第二次世界大戦でも多用され、今でも歩兵支援の有効な兵器として手軽な砲兵器が迫撃砲です。
砲兵を軍の中心としていた第二次大戦中のソ連軍でも、歩兵支援用に各種の迫撃砲を装備しました。
迫撃砲は、砲兵器の中では取り扱いが簡単であり、簡単な訓練で使用できたので、緒戦で大量の捕虜を出してしまい未熟練兵が多かったソ連軍にとっては、まさにうってつけの砲兵器でした。
中でも一番使われたのが、口径82ミリの中型迫撃砲でした。
フランス、ドイツなど一般的な中型迫撃砲は81ミリ口径なのに対し、ソ連の中型迫撃砲が82ミリという口径なのは、もし万が一弾薬が敵軍に捕獲されても、81ミリ口径の迫撃砲では撃つことができないし、幸運にも敵軍の81ミリ迫撃砲弾を捕獲した時には、こちらは82ミリ口径なのでとりあえず撃つことはできるだろうという考えからでした。
この82ミリ中型迫撃砲はいくつかのタイプがあるのですが、大戦中作られたM1941型迫撃砲は、支脚の左右にプレスの鉄板製の車輪がつけられ、手で運びやすくなっていました。
他国の迫撃砲が運搬には分解するのが一般的であったのに対し、この方法は取っ手を握って前方に倒せば、底板が浮いて車輪が地面に付くので、非常に運びやすかったのではないでしょうか。
価格が安く大量に装備できる迫撃砲は、確かに命中率はよくないものでしたが、頭上から降らせられるし数撃ちゃ当たるしで使いやすい兵器であったのは間違いないでしょう。
ASLでも迫撃砲の威力を感じられるシナリオを、早くできるようになりたいなぁ。
それではまた。
- 2007/08/31(金) 21:42:51|
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このところちょっと訳ありでブログにSSを投下できなくなってます。
楽しみにされていらっしゃる方も多いとは思うのですが、なにとぞしばしの間お時間を下さいませ。
シミュレーションデザインゲーム社さんの「1862」というゲームがこのたび手元に来ました。
「1862」とはもちろん西暦の年号のことでして、1862年に戦われた戦闘をゲーム化したシミュレーションウォーゲームです。
1862年とは何があった年なのか?
旧暦1月には水戸浪士が老中安藤信正を襲撃した「坂下門外の変」(桜田門外の変ではないですよ)があり、旧暦4月には薩摩藩尊皇派が島津久光によって粛清された「寺田屋騒動」が起こり、旧暦8月には神奈川県横浜市生麦において島津久光の行列を横切った英国人リチャードソン一行が斬られるという「生麦事件」が起こっています。
そんな政情慌ただしい日本での出来事と同様に、海の向こうアメリカでは「南北戦争」の二年目を迎えておりました。
「1862」は、そんな二年目の南北戦争の四つの戦いを一つのセットに収めた4in1ゲームです。
実は舞方は南北戦争ファンでありながらも南北戦争のゲームに乏しく、「大戦略南北戦争」(VG社)ぐらいしか持っておらず、こうした会戦級ゲームは以前より興味がありました。
「1862」には、2月の西部でのグラントの活躍する「ドネルソン砦攻略戦」、5月のマクレラン対ジョンストンの「セブンパインズの戦い」、9月のマクレラン対リーの「アンティータムの戦い」、そして12月に行なわれたローズクランズ対ブラッグの「マーフリーズボロの戦い」の四つが収まっています。
いずれもまだまだ未熟な北軍対優秀な将に率いられる南軍という感じの戦いであり、南北戦争が両軍互角の戦いをしていた頃の戦いです。
それだけにゲームとしても面白そうであり、ルールも比較的簡単そうです。
まだじっくりと見ていないので、なんとも言えませんが、手軽に楽しめる南北戦争会戦級のようですので、いずれプレイレポートでも報告できればと思います。
それではまた。
- 2007/08/30(木) 19:40:27|
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スターリンはこれで終わったなどとは考えていませんでした。
ヨーロッパ情勢の変化に備えるためにも、極東での日本の蠢動を完全に封じ込めたいと考えていたのです。
ノモンハンの国境紛争はいいチャンスでした。
スターリンは日本にいるゾルゲなどのスパイ網に、関東軍との衝突は日本との全面戦争になるや否やを問い合わせました。
その答えは否。
ノモンハンで関東軍と武力衝突に至っても、日本との全面戦争にはならないであろうというものでした。
満足したスターリンは、現地関東軍に対しできる限りの兵力でこれを撃滅することを命じます。
そしてその実行者に、後の独ソ戦で有名になるゲオルギー・コンスタンチノヴィチ・ジューコフを任命しました。
ジューコフは直ちにハルハ河西方の都市タムスクに出発。
到着と同時に現地の第57特別狙撃兵団長を解任し、後任に納まりました。
ジューコフは現地の状況をスターリンに報告し、大規模な兵力の増強を要請します。
スターリンもその要請を受け入れ、要請以上の兵力を送ることを約束しました。
すなわち、機械化狙撃兵師団一、戦車旅団二、装甲車旅団一、狙撃兵師団二、砲兵連隊三、飛行旅団二という膨大な兵力がジューコフの手元に送られることになったのです。
ジューコフはハルハ河東岸に橋頭堡を築くべく、陣地を構築し兵力を展開させていきました。
日本軍内部、関東軍と参謀本部においては、ノモンハンの国境紛争は終結したと信じて疑いませんでした。
東捜索隊の壊滅、山県支隊の大打撃など関東軍にとっても出血の多かった戦いでしたが、ソ蒙軍も負けず劣らずの損害を出したはず。
事実こちらが増援を出せば引き上げたではないか。
ということは、ソ蒙軍もこれ以上の損害には耐えられないというまでのダメージを受けていたという証明であろう。
関東軍司令部はそう考え、参謀本部にもそのように報告していました。
つまり、「ノモンハンの国境紛争は終結した」という報告でした。
ノモンハン近傍は、関東軍にとっても拠点であるハイラルから約二百キロの距離にありますが、ソ連軍にとってはシベリア鉄道の駅があるボルジャ、またはヴィルカから七百五十キロも離れておりました。
燃料、弾薬、糧秣、軍事行動に必要な物資は膨大な量になります。
そういった物資を運ぶには鉄道が一番であり、鉄道以外では微々たる量しか運べません。
関東軍を始めとする日本軍もトラックはありましたが、あくまで物資輸送では補助的なものでした。
ですから、兵力を展開するには、そばに鉄道があるということが不可欠と考えられていたのです。
ですから、最寄の駅から七百五十キロも離れた場所に兵力を展開するとしても、運べる物資が限られるトラックや馬車では大兵力の展開は望めません。
関東軍は自分たちのトラック保有量などから考えて、ソ連軍もノモンハンに大兵力を展開できるなどとは夢にも思わなかったのです。
大兵力を展開できないソ蒙軍相手であれば、関東軍第23師団の兵力をもってすれば対処可能であろう。
無論、その場合には関東軍直轄の砲兵力や航空兵力をプラスしてやることも必要であろうが、それで充分であると考えたのです。
そのため、関東軍側にはソ連軍の兵力増強がまったく見えていませんでした。
昭和14年(1939年)6月19日。
第23師団長小松原中将よりの緊急電報が関東軍司令部に舞い込みます。
6月17日より連日ソ連軍航空機が国境を越えて爆撃に及び、カンジュル廟やアルシャンの集積物資を破壊されたというのです。
しかも、ソ蒙軍は再びハルハ河を渡り、東岸に陣地を築きつつあるとのことでした。
小松原中将はこのソ蒙軍の越境攻撃に対し、今度こそ断固膺懲したいと強く進言します。
関東軍司令部は激昂しました。
またしても懲りずに来たのかという思いとともに、今度こそ撃滅して関東軍の恐ろしさを思い知らせてやろうと意気込みます。
中国戦線での支那派遣軍の苦戦から自重したほうがよいとの意見もありましたが、このまま黙っていてはソ連軍に舐められるばかりだ、一撃を食らわせて黙らせるほうがよいとの意見が多数を占め、関東軍はソ連軍との戦いを決意します。
関東軍はこのために最精鋭の第7師団の投入を考えました。
第7師団は北海道旭川で編成された師団で、古くは日露戦争の旅順攻略戦に参加した伝統ある師団です。
当然装備も優良で兵の士気も高く、関東軍の中でも最強の師団と目されていました。
この第7師団を中核にして、関東軍直轄の砲兵と航空機がこれを支援。
ハルハ河を逆渡河して西岸に侵入、その間に第23師団が東岸のソ蒙軍を一蹴するというものでした。
さすがにこの作戦案を提示された関東軍上層部は、参謀本部の承認をとった上での作戦実行をと考えましたが、辻少佐や服部中佐などの参謀たちが参謀本部への不信により、関東軍独自での行動を主張。
越境ソ蒙軍撃滅は関東軍の本来の任務であるし、参謀本部などにいちいちお伺いを立てていては機を失する。
ことは重大事であるゆえに一刻も早い処置こそ必要として、参謀本部を無視するよう訴えました。
現地の一軍でしかない関東軍が、参謀本部を無視して独自行動を行なう。
これはあってはならないことであり、日本陸軍の最悪な組織運用の見本でしょう。
結局関東軍参謀長磯谷廉介(いそがい れんすけ)中将も辻少佐や服部中佐の勢いに飲まれ、作戦案を了承。
関東軍司令官の植田大将の裁可を仰ぐこととなります。
植田大将は、一つだけ修整を加えるように言いました。
「この作戦では主力が第7師団となっているようだが、ノモンハン周辺は小松原の第23師団が担任だ。それを第7師団に任せられたのでは俺が小松原なら腹を切るよ」
腹を切るのはそのことに対してではなく、関東軍が参謀本部の統帥を離れようとしていることに対してではないのでしょうか。
結局この一言により、作戦の主力は第23師団ということになりました。
第7師団からは歩兵四個大隊その他を分派して第23師団への応援という形で派遣することになりました。
関東軍は歩兵十三個大隊、火砲百十二門、戦車七十両、航空機百八十機、自動車四百両、総兵力約一万五千という兵力を向かわせることになったのです。
関東軍は自信満々でした。
そして、その自信満々の関東軍がまずやったことがタムスク爆撃でした。
その13へ
- 2007/08/29(水) 20:12:32|
- ノモンハン事件
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おそらく、ドイツの再軍備宣言(1935年)以前から開発されていたのだとは思いますが、1936年に採用されたドイツの第二次大戦初期の対戦車砲が、ラインメタル社製37ミリ対戦車砲PAK35/36です。
ヨーロッパ中央部に広がる森の中の木漏れ日に偽装できるような、複雑な外形で傾斜のある防盾を持ち、二輪と開脚式の砲架を持つこの対戦車砲は、折からのスペイン内戦に参加してソ連軍戦車を撃破。
その優秀性を見せ付けました。
戦闘重量328キログラムと、手軽で人力で押して歩けるために布陣も容易。
初速760メートル毎秒の徹甲弾は、400メートルの距離にある30度の傾斜の装甲板38ミリ厚を撃ちぬくことができ、当時の各国の主力戦車のほとんどを撃破可能という優れものでした。
無許可コピーの得意なソ連軍も、この対戦車砲の優秀さを認め、ラインメタル社に正式にライセンス購入を申し入れてライセンス生産を行なっています。
1939年の第二次世界大戦勃発によるポーランド侵攻でも威力を発揮してポーランド軍に痛撃を与えますが、ポーランド軍には戦車が多くなく、どちらかというと榴弾を使っての歩兵砲的使われ方をしたようでした。
1940年にはフランス侵攻があり、各地で抵抗するフランス軍戦車及び英軍戦車と砲火を交えます。
この時点で、すでに戦車の装甲厚に対して37ミリ口径のPAK35/36では限界が見え始めており、英軍のマチルダマークⅡや仏軍のシャールB1などには歯が立たなくなりつつありましたが、それらは英仏軍の中でも数が少なく、主力であった戦車たちにはどうにか歯が立ったので、PAK35/36もそれほど問題とはされませんでした。
スペイン内戦でソ連軍のBT-5/7戦車や、T-26といった軽装甲のソ連軍戦車に対しては優位を保てていたPAK35/36であったため、1941年のバルバロッサ作戦においてもソ連軍戦車に対しては同砲で問題ないと考えられておりました。
ドイツ軍はソ連が新型戦車を装備しているということをまったく知らなかったのだといわれています。
ライセンス生産をしていたソ連ですから、当然PAK35/36の優秀性と同時に限界もわかっておりました。
ソ連ではPAK35/36を独自に口径アップした45ミリ対戦車砲M1932/1937を開発し、戦車の主砲として装備していましたし、新型のKV-1やT-34などはPAK35/36では撃ち抜かれないような装甲厚となっていたのです。
バルバロッサ作戦開始によりソ連領へ攻め入ったドイツ軍は、そこでKV-1やT-34という新型戦車に遭遇します。
二号戦車や37ミリ砲搭載の三号戦車、38(t)戦車では歯が立たず、前線を突破してきた戦車に対してドイツの対戦車砲兵はPAK35/36で立ち向かいました。
しかし、当然のようにPAK35/36の砲弾は、命中してもゴンと音を立てるだけで貫通できません。
ゴンゴンと音を立てるだけのPAK35/36は踏み潰され、KV-1やT-34は戦場を走り回ります。
いつしか、PAK35/36は音を立てるだけの「ドアノッカー」というありがたくないあだ名までつけられてしまいました。
PAK35/36はそれでも、トーチカの銃眼などを潰したりするには便利だったし、相手が装甲車程度なら相手できるというので、大戦後半まで使われます。
そして、砲身の先っぽから差し込んで発射すると言ういささか乱暴なやり方でしたが、卵型の大型成型炸薬弾が1942年には作られ、距離200メートルで垂直の180ミリ装甲を撃ちぬくことができるようになりました。
これですと、KV-1やT-34も撃破出来るのですが、いかんせん最大射程が350メートルほどしかないのと、一発一発砲の前に行って砲弾を差し込まなくてはならないので、あまり対戦車用には使われなかったようです。
むしろトーチカや強固な建物に篭もる歩兵に対して撃ち込んでいたようですね。
日本でもラ式(ラインメタル製という意味)37ミリ対戦車砲として一部が使われたとのことでした。
優秀な砲だったんですね。
それではまた。
- 2007/08/28(火) 19:50:11|
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いまさらですが、Anim様から出ているエロゲー「背教学園~操られた信仰」をプレイいたしました。
以下、舞方の個人的感想。
催眠術をミニゲームにして、成功失敗でパターンが変わるのも、ミニゲームが一定の条件でスキップ可能になるのも、OKだと思います。
なかなか面白い趣向ではなかったでしょうか。
エロさもちょうどいいかなって感じでした。
長すぎず短かすぎず、声優さんのあえぎ声が激しすぎることも無く。
実用本位だったと思います。
ただ、これフローチャートが表示されるとは言え、かなり大変。
私は攻略サイトさんのおかげでクリアしましたが、自力でとなるとかなり大変な苦労をしそうです。
ボリューム的にそれほど多いって感じでもないんですけどね。
仕方ないこととは言え、フローチャートで違うブロックに入っていると、当然既読スキップは使えないわけで、ほとんど同じ文章を見続けるのはつらいものがありました。
それと・・・催眠というものにあまり良さを感じなかったんですよねー。
催眠で言いなりにするというカタルシスがほとんど感じられなかったのです。
催眠で陵辱された女性たちは、単に快楽に溺れているような感じでしたし、結局隠された人格を表面化させたり、封じたりという作業にだけ使われているようでした。
せっかくの学園長や女性教師に催眠をかけるというシチュがあるのに、手駒にして女生徒を誘惑したり調教の手助けをさせたりというシーンがほとんど無かったので、思考をゆがめたという気がしなかったんですよね。
やはり私としては、悪堕ちっぽく主人公の嗜好に共感するようゆがめられて、主人公の手伝いを喜んでするようになるようなシチュが欲しかったですねー。
そういったシーンが希薄だったのが残念です。
Anim様は次回作として「特警戦隊サイレンジャー」がラインナップに上がっていますので、前回ヒロインのユズレンジャーたちの悪堕ちが見られるようですが、サイレンジャーたちも悪堕ちしてくれるといいなぁ。
それではまた。
- 2007/08/27(月) 19:46:33|
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「それは一人前のプレイヤーのセリフだ!」
と、何の前置きもなく0083のコウとガトーの会話のパロですが、今日は「札幌歴史ゲーム友の会」にお邪魔させていただきました。
私がお伺いしたのは午後からでしたが、多くの方に温かく迎えていただきました。
16世紀ヨーロッパのマルチプレイモノ「Here I Stand」をプレイされているようで、皆さんわいわいと楽しんでいらっしゃるようでした。
私は柿崎様(で、よろしかったかな?)に「パンツァーグルッペクライスト」をお付き合いいただき、圧倒的な独軍に翻弄されるソ連軍という体たらくを晒してしまいます。
柿崎様、お付き合いありがとうございました。
その後、今日も6ゾロ様とASL SK1のシナリオ4をプレイ。
自分なりには善戦したつもりでしたが、やはりまだまだ甘さが残る戦いだったようです。
むやみに撃つ段階を過ぎると、今度は我慢をしすぎて射撃の機会を失うようになると今日も6ゾロ様はおっしゃっておりましたが、まさに今日の私はそうだったようでした。
効果的な初期配置、それと残留火力による移動の阻害。
そのあたりを指摘され、まさになるほどという思いです。
今日も6ゾロ様はネットでのASLトーナメントに優勝されるほどの実力の持ち主であり、そういった方と対面プレイをできるというのは何にもまして素晴らしいことだと思います。
まだまだ未熟な私と快く対戦していただき、本当にありがとうございました。
またチャンスがあればお伺いさせていただこうと思います。
その折にはよろしくお願いいたします。
それではまた。
- 2007/08/26(日) 20:54:25|
- ウォーゲーム
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今日は二週間ぶりの先輩とのゲーム対戦。
先日二回目のソロプレイをして、どうにか独軍でも勝てることを確認した私は、「スモレンスク攻防戦」(CMJ74号)の再度の対戦をお願いしました。
今度は勝ったるでー!!
第一ターン、独軍は自動車化歩兵二個ユニットでソ連軍の2戦力ユニットを3:1で攻撃。
1さえ出なければソ連軍に楔を打ち込めます。
出た目は1・・・orz
ココデデルノデスカ? ソレガ・・・
攻撃に失敗した自動車化歩兵はあっけなく包囲され全滅。
以後、独軍は敗北への道をひた走ります。
終盤、先輩の油断を突き、イェルニヤへの突進がなるかとも思いましたが、先輩の1:1攻撃に阻まれ突進ならず万事休す。
結局1点しか勝利得点を上げられずに敗北です。
うーん・・・ダイス運とは思いたくないけど・・・勝てんなぁ。
これでこのゲームは三連敗。
いい加減つらいものがありますね。
どうやったら独軍は勝てるのか?
ソロプレイでは勝ったこともあるのになぁ。
その後気を取り直してASL-SK2のシナリオ9をプレイといういつものコース。
イタリア軍が先輩、連合軍が私でしたが、ここでもイタリア軍がどうにか粘り、最終ターンの白兵戦で生き残ったためにイタリア軍がかろうじて勝利しました。
・・・orz
ゲーム下手なんでしょうかねぇ。(笑)
でも、次こそはって思ってゲームしちゃう。
負けても楽しい時間を過ごせますしね。
無論勝ちたいですけど・・・
次回こそは頑張るぞー。
それではまた。
- 2007/08/25(土) 19:42:48|
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安彦良和氏の描かれたマンガに「虹色のトロツキー」(潮出版社)というのがあります。
昭和初期の満州国を舞台にしたマンガで、日系モンゴル人のウムボルトという青年を主人公に置き、当時の満州に実在した人物を織り交ぜて虚実合わせたストーリーを展開するマンガです。
当ブログで拙い記事を書かせていただいておりますノモンハン事件は、このマンガの最後を飾る一大事件でして、主人公ウムボルトも満州国軍の一士官として参加します。
辻参謀や植田司令官など関東軍の面々や、李香蘭、川島芳子、甘粕正彦といった満州の有名人も次々と出てきます。
そんな中で運命に翻弄されるウムボルトは、やがてしっかりと自己を持ち、おのれと時代に立ち向かって行く、そんな話です。
満州国は五族協和の夢の国でした。
無論実態は日本の傀儡国家であり、日本人が他の民族を搾取するのが当たり前でしたが、それでも建前は五族協和、全ての人々が平和に暮らす国家というものでした。
日本人も決して搾取をする人々だけではなく、夢を抱いて満人漢人蒙人たちと満州を開拓しようという意気に燃えた人々も多かったのです。
「虹色のトロツキー」でも、最初の方の建国大学(満州に作られた大学)のエピソードでは、日系も他の民族も全て一つ屋根の下で同じ釜の飯を食っていたのです。
満州国は傀儡国家であり、国民すらいませんでした。
国民を定める国籍法がなく、満州国民というのは一人もいなかったのです。
これは、日本人が満州国人になってしまい、関東軍が徴兵できなくなるのを避けるためだとのことでした。
このように国家の体をなしていない傀儡国家ではありましたが、国際社会の三分の一が認め、夢の多民族共存国家を建設しようとした人々(日系非日系に関わらず)がいたということも、もっと知られてもいいのかもしれませんね。
それではまた。
- 2007/08/24(金) 21:55:52|
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スターリンはヨーロッパとともに極東にも脅威を感じておりました。
そのため、日本に支援された満州国による度重なる挑発行為は、本格的な戦闘の前触れとなりかねないことも感じておりました。
折りしも日独伊三国同盟についての動きが活発化している中、独日との二正面作戦を行なわなければならない可能性も考慮しなくてはならなかったのです。
スターリンはこの際一度日本軍を叩いておくことも必要と考えます。
ノモンハンでの国境紛争に対し、ソ連軍の全面的支援が命令されました。
昭和14年(1939年)5月17日。
東捜索隊が引き上げたハルハ河東岸に、再び外蒙軍が布陣します。
前回の60に対し、今回は約300人の軍勢でした。
小松原師団長は外蒙軍の再度の越境に断固対処することにしました。
今度こそ外蒙軍に一撃を加えて膺懲してやるのだと意気込んだのです。
その外蒙軍をソ連軍が支援していることも、ソ連空軍がノモンハン上空を跳梁し、関東軍航空部隊と空戦を繰り広げていることも無視されました。
小松原師団長は第23師団所属の第64連隊第3大隊を中心として、連隊砲中隊と速射砲中隊の山砲と速射砲を3門ずつ、それに先日出動した東捜索隊と満州国軍騎兵部隊を加え、それを支援する輜重部隊(補給担当)を合わせて約2000名の兵力を派遣します。
指揮を取るのは第64連隊長山県武光(やまがた たけみつ)大佐でした。
5月23日。
山県大佐の支隊はノモンハンへ向けて出動。
小松原師団長はそのことを関東軍司令部へ報告します。
しかし、報告を受けた関東軍司令部は意外にもこの山県支隊の派遣は時期尚早だと考えました。
「満ソ国境紛争処理要綱」にもあるがごとく、一気に敵を殲滅するためには敵軍を満州国内に誘致し、それから大兵力で殲滅する考えだったのです。
外蒙兵300程度が越境してきたぐらいでは、静観をする方針でした。
関東軍司令部の考えを知らされた小松原師団長は、逡巡した挙句に山県支隊をカンジュル廟というラマ教の拠点がある場所で待機させました。
ここで関東軍司令部がさらに撤収を指示していればこの後の悲劇は防げたかもしれません。
しかし、5月24日、関東軍司令部は以下のような命令を発します。
「カンジュル廟に兵力を出したからには、速やかに目的を達して帰還すること」
つまり、一戦交えるなり何なりして外蒙軍を追い払い帰還せよとのことです。
山県支隊の派遣は認められたのでした。
山県支隊のこの一時待機はソ連軍に貴重な時間を与えてしまいます。
ソ連軍工兵部隊が、ハルハ河に橋を架けてしまったのです。
これでソ連軍は兵力を自由に渡河させることができるようになりました。
BA-6型装甲車(当時の装甲車としては桁違いの45ミリ砲を搭載)を始めとする装甲車39両などソ連軍機械化狙撃兵大隊(ソ連軍は歩兵を狙撃兵と呼びました)を中核とした約1400名ほどの戦力が、有力な火砲の支援の下ハルハ河東岸に布陣して、山県支隊を待ち受けることになったのです。
その様子を山県大佐は薄々は知っていたようです。
しかし、彼は逆に意気盛んでした。
ソ連軍も出てきているということは、今度は簡単には逃げないだろう。
だとしたら大いに手柄を立てるチャンスだ。
そう考えてでもいたようでした。
何せ彼は、同行していた新聞記者に面白いことが見られるよとまで言っていたのです。
5月28日。
山県大佐は部隊を三方に分け、ハルハ河とホルステン河の合流点(日本軍は川又と呼称)付近に敵を包囲するべく攻撃を開始します。
中央と左翼を山県支隊が、右翼を東捜索隊が受け持ち、それぞれ払暁より各個に攻撃を開始。
東捜索隊は持ち前の機動力を生かして川又近辺まで進出、そこで逃げてくる敵を包囲する役目を受け持っていました。
幸い東捜索隊はさしたる抵抗を受けることなく川又付近まで進出します。
しかし、そこは敵陣のど真ん中でした。
以後、東捜索隊は山県支隊主力と切り離されたまま、絶望的戦いをすることになります。
山県支隊主力も夜の闇の中で展開したため、自隊の位置も不明のまま各所で戦闘に入らざるを得ませんでした。
日本軍の小隊中隊がソ連軍と苛烈な戦闘に入る中、東捜索隊もソ連軍の猛攻を受け円陣を組んだまま兵力を減らされていきました。
装甲車に支援されたソ連兵に対するに、日本兵は肉弾で対処するより仕方ありませんでした。
対戦車砲も自軍の戦車も無く、歩兵は手榴弾で何とか撃退しなくてはならなかったのです。
5月29日。
山県支隊とは連絡の取れぬまま、東捜索隊は食料も弾薬も無く、午後7時ごろ壊滅します。
敵中に孤立し、わずか200名ほどのこの捜索隊は二日間も粘ったのですが、ついに援軍は到着しませんでした。
それどころか、山県支隊も非常に危うい状況でした。
ソ連軍の火砲と装甲車によって、各所で日本兵は蹂躙されていたのです。
しかし、山県支隊の苦戦も東捜索隊の壊滅も師団長たる小松原中将は知りませんでした。
無論関東軍司令部も知りませんでした。
ですから、関東軍司令部からは、「貴隊の赫々たる戦果を慶祝す」などという電報が小松原師団長の元に届けられ、小松原師団長は山県支隊に宛てて、もう充分敵を痛めつけただろうから28日をもって作戦を終了、集結せよとの無電を送っているのです。
なんというバカな話ではありませんか。
29日になって小松原師団長は慌ててハイラルより第71連隊第2大隊を中核とする部隊がノモンハンに投入されます。
ソ蒙軍は日本軍が増援を出してきたことを知るといったん後退。
ハルハ河西岸へ引き上げました。
5月31日。
日本軍は手痛い損害を受け、東捜索隊の遺体を収容して戦場を離脱。
第一次ノモンハン戦は自然集結となりました。
辻参謀は敗因を第23師団が新設であるゆえの相互支援の不備によるものと片付け、それにしてもと続けます。
「外蒙軍にあれほどの戦車装甲車があるとは思わなかった・・・」
東捜索隊の損耗率は63%。
220人中139人が戦死傷しました。
完敗でした。
その12へ
- 2007/08/23(木) 20:55:16|
- ノモンハン事件
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高校野球決勝戦が終わりました。
最後まであきらめなかった佐賀北高校に勝利の女神が微笑みました。
八回の満塁ホームランはすごかったですね。
あそこで誰もが出たら・・って思い、誰もが出るとは思わなかったでしょう。
両校ともお疲れ様でした。
広陵残念でしたね。
さてさて、昨日は米軍のPBYカタリナを取り上げましたが、いつもコメントを下さる空風鈴様が二式大艇についてコメントを残してくださったので、今日はその二式大艇を取り上げたいと思います。
川西財閥が中島飛行機から技術者を引き抜く形で作られた川西航空機株式会社が作り上げた傑作飛行艇、それが九七式大型飛行艇(九七大艇)でした。
エンジン四機を搭載した翼をカタリナと同じようにパラソル式に胴体の上に取り付けた九七大艇は、爆弾2トンも搭載でき、長距離哨戒能力にも優れた優秀な大型飛行艇でした。
しかし、航空機の発達により、早晩九七大艇も陳腐化するであろうことを考慮した海軍は、九七大艇をさらに上回る能力を備えた大型飛行艇の製作を川西航空機に命じます。
これはもう、零戦と同じく当時の航空機の限界を大幅に超える注文でありました。
最大時速385キロの九七大艇も当時は高速と言われたものでしたが、新型飛行艇に求められたのは最高時速444キロ以上というものであり、これは海軍の当時の主力戦闘機九六式艦上戦闘機と同等というものでした。
航続距離も偵察時で7400キロメートル、爆弾搭載時でも6500キロメートル以上が求められ、これは双発爆撃機である一式陸上攻撃機や米軍の重爆B-17よりも五割増しという途方も無いものでした。
さらに自機防御用に20ミリ機関砲を搭載することや防弾装備をすることなど、まったくもって無茶と言える要求だったのです。
しかし、川西航空機はこの要求をほぼクリアする優秀な大型飛行艇を完成させました。
九七大艇を設計した菊原静男技師を中心とした川西航空機の設計班がやり遂げたのです。
昭和16年に初飛行したこの大型飛行艇は、二式大型飛行艇(二式大艇)と命名され、日本海軍の長距離哨戒機兼攻撃機として配備されます。
昭和17年3月には、ハワイ真珠湾を二式大艇三機が空襲。
その長距離攻撃能力を遺憾なく発揮します。
さらに搭載した20ミリ機関砲で敵大型機と空中戦を行なうこともあり、哨戒中のカタリナや、B-17などと銃撃戦を交わし、撃墜したことも少なくなかったと言います。
しかし、やはり制空権の無い空では戦闘機の集中攻撃を受けることが多くなり、戦争後半は多くが撃墜されてしまいました。
終戦時にはわずか四機が残るのみだったと言います。
カタリナと違って優秀なレーダーを持つこともなく、連合軍の潜水艦にとっての脅威とはなりえませんでしたが、日本軍の数少ない長距離哨戒、輸送、攻撃のできる大型機であり、日本の大型航空機の中ではもっとも優秀な機体といえるかもしれません。
二式大艇は戦後使われることはありませんでしたが、カタリナとはまた違った戦後の歩みを残しました。
川西航空機は戦後新明和工業となり、二式大艇の設計を手がけた菊原技師の手で戦後の日本の対潜哨戒飛行艇であるPS-1が作られるのです。
二式大艇で得られた技術を最大限に取り入れたPS-1は世界でも最優秀と言える飛行艇であり、電子装備の陳腐化により対潜哨戒機としての役目は終えましたが、高い波でも離着水ができる二式大艇譲りの能力は救難飛行艇として最適で、海上自衛隊はUS-1として導入。
離島などからの患者輸送や、遭難船舶からの人命救助等大活躍をしていることは皆様ご存知の通りです。
さらに新明和工業は後継機としてUS-2を開発。
二式大艇は今に至るまでその系譜を保ち続けているのです。
カタリナとは違いましたが、二式大艇も優秀な飛行艇でした。
しかも、攻撃ではなく森林火災消火用や、救難用として命脈を保っているというのが、何か嬉しくなりますね。
それではまた。
- 2007/08/22(水) 20:37:51|
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地球はその表面積の七割を海が覆っています。
その広い海洋を、航路などがあるとは言え、縦横に行動する海軍艦艇を捜索するというのは至難の業でした。
第一次世界大戦までは各海域に捜索用の艦艇を派遣して捜索しておりましたが、第一次世界大戦後は飛躍的に性能を伸ばしてきた航空機も海洋での捜索活動に従事するようになりました。
アメリカ海軍でも、敵艦艇の捜索や、遭難艦船の人命救助などに使用できる長距離飛行艇を装備しました。
それがコンソリデーテッド社製のPBYカタリナ飛行艇です。
1935年に初飛行したカタリナ飛行艇は、第二次世界大戦勃発時にはすでに新鋭機とは言えなくなっていました。
しかし、この胴体より上に支柱を付けて羽根を載せた形の双発飛行艇は、実に使い勝手のよい汎用性を示し、大戦中はおろか戦後まで長く使われる名飛行艇となりました。
折りしも大西洋ではドイツ海軍のUボートによる通商破壊戦が繰り広げられましたが、カタリナの長距離哨戒能力は英軍にとっても魅力的で、英軍も早速カタリナを自軍の装備として導入し、対潜哨戒機として活用します。
最大4000ポンド(約1800kg.)の爆雷や爆弾を搭載できるカタリナは、その航続距離の届く範囲ではUボートにとって非常な脅威となりました。
運動性もそこそこなカタリナは対潜哨戒機としては非常に使いやすかったことでしょう。
後期生産型ではレーダーも備え、陸上からも運用できるように改善されるなど、まさに連合軍にとってはなくてはならない航空機となりました。
護衛空母とその艦載機がハンターキラーとして活躍するようになっても、カタリナの重要性はいささかも色あせなかったのです。
太平洋では持ち前の長距離哨戒能力が遺憾なく威力を発揮しました。
ミッドウェー海戦での日本の南雲機動部隊を発見したのもカタリナ飛行艇だったはずですし、日本艦隊の行動を察知するのにカタリナはなくてはならない哨戒機だったことでしょう。
P-51のような戦闘機でもB-29のような重爆撃機でも無い、いわゆる縁の下の力持ち的な地味な航空機ですが、まさに連合軍を勝利に導いた航空機の一つと言えるでしょう。
戦後は救難機や森林火災消火用機として運用され、カタリナの設計を流用した森林火災消火用機は現在でも製造されているそうです。
息の長い機体ですね。
それではまた。
- 2007/08/21(火) 20:48:36|
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8月8日に紹介しました「『世界征服』は可能か?」 岡田斗司夫著 ちくまプリマー新書より、世界征服の目的と首領のタイプがでていましたのでご紹介しますねー。
岡田氏は悪の組織が行なう世界征服には四つの目的があるとしています。
一つ目が、「人類の絶滅」
地球にとって不要な人類を抹殺するために世界を征服するのです。
「宇宙戦艦ヤマト」のガミラス帝国が例として挙げられていました。
二つ目が「金儲け」
経済を牛耳るなどして、最終的に金を儲けるために世界を征服するのです。
タイムボカンシリーズの「ヤッターマン」のドクロベー一味が例でした。
三つ目が「支配される前に支配する」
相手に屈服するのがいやなので、逆に相手を屈服させてしまえと世界征服をするのです。
悪の組織と見づらいかもしれませんが、「機動戦士ガンダム」のジオン公国が例として出されておりました。
四つ目が「悪を広める」
全世界に悪を広めるために世界を征服するのです。
ちょっとわかりづらいですが、警察など悪事を制御しようとする存在を排除するためにということですね。
「ドラゴンボール」のピッコロ大魔王が例として挙げられておりました。
そして、マンガなどに多いのが五つ目の「何をしたいのかわからない」という組織だそうです。
つまり、世界征服だとぶち上げているものの、世界征服の暁には何をするという目的が見えないものが多いそうです。
「仮面ライダー」のショッカーあたりも、いまいち世界征服後のビジョンが見えないので、このタイプに入るそうです。
そう言われればそうかも。
同様に、悪の組織の首領も四つのタイプがあるそうです。
あなたはどのタイプ?
一つ目が「正しい価値観で全てを支配する魔王タイプ」
歪んだ正義感を持ったりするタイプだそうで、自分勝手でだらしない人間なんか俺の手で浄化してやる的な発想で世界を征服しようとするタイプだそうです。
二つ目は「独裁者として世界を管理したがるタイプ」
おろかな人類を管理してやるのだと言わんばかりに、全てに率先して自分が動き、組織としても公正な組織を作るが、全てを自分でやらなければ気がすまないために仕事ばかりが増えて過労死するタイプだそうです。
三つ目が「太鼓持ち大好きなバカ殿タイプ」
支配した人類を前にバルコニーで手を振ることを夢見、おべっかやゴマすりをする部下を重用するタイプで、夢を見ているうちに部下の裏切りや組織の崩壊にあってしまうタイプだそうです。
四つ目は「裏に徹する黒幕タイプ」
表向きの首領は傀儡を立ててやらせ、実質上の権力を握ってしまうタイプで、堅実にやればいいものを悪をすることに喜びを感じるタイプだそうです。
うーん・・・
私はどのタイプかなぁ。
「魔王」タイプがいいけど、人類がいなくなると困るしなぁ。
美しく有能な女性は洗脳改造して、裏切らない忠実な配下にした上でその他の人類を支配させつつハーレムを作る。
うーん・・・
「バカ殿」タイプかも。(笑)
それではまた。
- 2007/08/20(月) 21:15:26|
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今日もASLをソロプレイ。
SK1のシナリオS6をプレイしました。
ソ連軍が最後まで押しておりましたが、最後の最後でドイツ軍の分隊を除去できず、ドイツ軍の辛勝でした。
さて、今日はノモンハンの10回目です。
いよいよ戦闘が始まります。
第23師団長小松原道太郎中将は陸軍きってのソ連通として有名でした。
中尉の時にロシア語研究のためロシアに派遣。
その後も大尉の時にロシア大使館つき武官補佐官、中佐の時にソ連大使館つき武官と何度もソ連に派遣されていたのです。
その後はハルビンにあった関東軍特務機関の機関長も勤め、歩兵第8旅団長、第2独立守備隊司令官などを経て第23師団長となりました。
経歴から言って、確かにソ連については詳しかったと思われる小松原師団長でしたが、反面部隊指揮の経験には乏しく、与えられた師団も新設の三単位師団(連隊が三つしかない)ということで、関東軍司令部においてはその戦闘力に疑問符がつけられておりました。
関東軍参謀の辻少佐は、新婚早々の新世帯で、鍋釜だけで店開きした師団に過ぎないと言い切っており、侮蔑感さえ漂わせておりました。
当然、関東軍司令部のその雰囲気は小松原師団長も察しており、加えて越境ソ蒙軍(ソ連及び蒙古軍)を断固撃滅するという「満ソ国境紛争処理要綱」が下達されたばかりの時期とあっては、ここで第23師団を持ってソ蒙軍を撃退すれば、師団に対する不評もぬぐうことができる上に自身に対しても評価が上がると考えたとしても無理からぬことだったでしょう。
満州国国境警察よりの出動依頼に小松原師団長は第23師団の一部を派遣することを決めました。
「昨12日朝来、外蒙軍約700がノモンハン南方においてハルハ河を渡河し不法越境、満州国軍と交戦中」
「防衛司令官(小松原中将のこと)は師団(第23師団)の一部及び在ハイラル満軍(ハイラル駐在満州国軍)全軍をもってこの敵を撃滅せんとす」
この電報が関東軍司令部に到着したのは昭和14年(1939年)5月13日のことでした。
この時辻少佐は、「関東軍司令部の幕僚中誰一人としてノモンハンという地名を知っているものはいなかった」と後の手記に書いています。
満州国成立以後、年を経るごとに増えていった国境紛争に関連する地名を満州国防衛の責任を負うとしていた関東軍の幕僚が知らないなどということがありえるのでしょうか?
もし事実ならば、関東軍は満州防衛の責任など果たしえなかったでしょう。
自己弁護だと考えた方が良さそうです。
関東軍司令官植田大将は、すぐさま小松原中将を支援するべく航空隊や自動車隊を派遣。
バックアップを万全にします。
その上で東京の参謀本部に外蒙兵の侵入を報告し、参謀本部もその旨了承して次のような電報を関東軍に送りました。
「軍(関東軍)の適切なる処置を期待されあり」
当時の陸軍のソ連軍軽視は以前にも書きましたが、ソ連通と言われた小松原中将も例外ではありませんでした。
ソ連軍でさえ日本軍の3倍の数でも対処しうると豪語する関東軍にあって、ソ連軍に指導されているとは言え外蒙軍などはいくら数がいても鎧袖一触であるとの考えが小松原中将にはあったでしょう。
そのため、小松原中将は、外蒙兵約700という報告に対し、東八百蔵(あずま やおぞう:一部資料ではひがし やおぞうとなっている)中佐を長とする第23師団第23捜索隊(敵兵力捜索や威力偵察に当たる部隊)を中心とした約300名の部隊を送り出します。
「断固敵を撃滅せん」と言っておきながら、約700と言われる敵に対し300の兵力を送るあたり、小松原中将ひいては関東軍の敵を蔑視する風潮がうかがえます。
5月15日。
東捜索隊の到着により、越境してきていた外蒙軍(報告上は700だが、実際は60名ほど)は、抵抗しても無駄だとして早々にハルハ河を渡って退却します。
関東軍は越境してきた外蒙軍を追い返すという目的は達しました。
小松原中将は東捜索隊に同行した満州軍第8団にそのまま現地にとどまるよう指示し、東捜索隊はハイラルに戻るよう指示しました。
外蒙軍は精鋭関東軍が出て行けば逃げるだけ。
何も恐れることは無い。
小松原中将も関東軍司令部もそれを確信したにとどまりました。
小松原中将にいたっては、出動しても戦火を交えることも無かったため、もっと早く現地へ到着しないと逃げる敵を追いきれないとして、食料や弾薬を減らして出動することすら考えるのです。
後の戦闘で食料弾薬の不足に苦しむことになるなどまったく思いもよらなかったのでした。
さらにこの時、関東軍はやってはならないことをしていました。
植田司令官により小松原中将の指揮下に加えられていた航空隊の一部が、満州国側の主張する国境線すら越えて外蒙軍を攻撃しているのです。
誰が命じたものかは現在わかっていませんが、天皇陛下の命令なくしては国境を越えることのできないはずの日本陸軍(関東軍)はまったく頓着することなく国境を越えて外国軍を攻撃したのです。
これはとんでもないことであり、命じた方は銃殺にされても文句は言えない行動でした。
しかも、この攻撃により、日本軍に脅威を感じたソ連がいよいよ本腰を上げて戦闘参加を考えたのです。
また一つ、タガが外れました。
その11へ
- 2007/08/19(日) 20:40:20|
- ノモンハン事件
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今日は先輩が遊びに来られないので、一人寂しくウォーゲームのソロプレイ。(笑)
でも、これがまた結構面白いんですよね。
本当はタクテクス4号に載った「帆船の戦い」(AH)の海賊船対軍艦のシナリオあたりをプレイしたいのだが、やはりプロットシステムはソロプレイしづらい。
まあ、やってやれないことは無いが、今日はそこまでの気力はありませんでした。
ということで、今日は手軽く(?)「アドバンスドスコードリーダー」のスターターキット2(MMP)と、ドイツ装甲軍団の「スモレンスク」(CMJ)をプレイ。
ASL SK2はシナリオ9をやりました。
本当は砲兵器を理解しようと言うことでのソロプレイでしたが、シナリオカード見ているうちに、イタリア軍のヘボヘボさに惹かれてしまいました。(笑)
このシナリオは、シシリー島のある村での戦いで、村を守るイタリア軍十個分隊及び二個半個分隊を北からは米軍五個半分隊が、南からは四ターンに入ってくる英軍七個分隊が包囲攻撃を行なうというシチュエーションです。
どんな戦いでも、ある程度の防御しやすい場所に篭もって攻撃してくる敵を迎え撃つ方が有利なのは間違いないもので、両翼より攻撃されるとは言え、イタリア軍が機関銃を構えて待ち伏せている村への攻撃は連合軍にとってもそう楽ではないでしょう。
ということで、イタリア軍を建物を中心に配置。
北からの米軍はやはり火力的にも脅威なので(米軍はエリート部隊なので一個分隊が7火力、イタリア軍は3火力。イタリア軍は二個分隊集まっても火力的に米軍一個分隊に敵わない)、重機関銃と中機関銃を中心に米軍撃破を重要視する配置に。
一応南からの英軍にも対処できる位置に軽機関銃を中心とした四個分隊を配置して完了。
米軍は二ターンには丘の上にある建物に入り込み、イタリア軍を攻撃できる態勢に。
そこでイタリア軍の重機関銃と中機関銃が撃ちまくる。
が・・・
最初の攻撃で中機関銃が故障。orz
重機関銃も一個分隊を混乱させたにとどまります。
その後の米軍の攻撃は、まさに火力の強力さを見せ付けた上に、米軍機関銃はROFが回って何度も銃撃をしてくる始末。
あっという間にイタリア軍三個半分隊が失われました。
中機関銃の故障は直る間もなく6を出して除去。
重機関銃は撃てる兵士がいなくなる。
イタリア軍にとってはもはや先が見えちゃいました。
ということで三ターンで打ち切り。
イタリア軍はよほど上手くやらないと米軍だけでもかなり苦戦しそうです。
で、ASLがあっさりと終わったので、スモレンスクのソロプレイ。
先輩との対戦では二戦二敗なので、どうにかドイツ軍を勝たせたいところ。
先輩とのプレイではいつも初期配置の装甲部隊をクリチェフ方面に回しちゃうので、今日は素直にスモレンスクに回してみる。
装甲部隊の威力はやはりなかなか。
この部隊がいるだけで、スモレンスク方面はかなり楽になるみたいです。
いつものやり方が悪いということだなぁ。
ソ連軍の増援はオーソドックスと思われるEとGを中心に展開させる。
そしてとにかくドイツ軍の装甲部隊をはさんでポンに賭ける事にする。
ドイツ軍はスモレンスクの二ヘックスをがっちり確保したあと、クリチェフ方面を押さえつつできればイェルニヤへ突進するつもり。
しかし、クリチェフがなかなか落ちない。
3:1の戦闘を仕掛けてARとはどういうこと?
そうこうしているうちにスモレンスク方面ではお互いにユニットのすりつぶしあい。
はさんでポンで双方のユニットが消えて行く。
盤中央のキスラウィチ、ポチノク近辺でもドイツ軍の装甲部隊がはさんでポンされる。
五ターンに出てきたFからのソ連の援軍四ユニットがイェルニヤとその前面にZOCを張って万事休す。
結局最終ターンに1:1攻撃が成功してドロゴブーシィを陥落させ5点を確保したものの、ドイツ軍は装甲ユニットを6個も失いマイナス6点。
ほかに落とせなかった都市もあるので最終的にはプラスマイナスでマイナス3点。
ソ連軍勝利に終わりました。
ソロプレイでも勝てないじゃん。
装甲部隊を突出させるとはさんでポンされるし、突出させないと都市が落とせない。
うーん・・・難しいなぁ。
他の方のブログとか見ると、結構ドイツ軍勝っているんだよなぁ。
やり方下手なんだろうなぁ。
もう少し研究しないとダメそうです。
今日はこんな記事ですみません。
それではまた。
- 2007/08/18(土) 19:05:23|
- ウォーゲーム
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今年(2007年)の5月30日のブログ記事において、巡洋戦艦天城の記事中に航空母艦天城は完成しなかったとの記述があります。
確かに赤城型巡洋戦艦天城を改造した航空母艦は完成いたしませんでした。
しかし、帝国海軍航空母艦「天城」は確固として存在しました。
誤解を与えてしまうような表現になってしまって申し訳ありません。
いやー、雲龍型航空母艦二番艦天城をすっかり忘れていたんですよー。
ミリオタ舞方ともあろう者が恥ずかしい限りですー。
太平洋戦争序盤、日本海軍は6隻の空母を中核とした機動部隊を運用しましたが、その中でも大きさと運用実績などで使い勝手のいい手ごろな空母として飛龍がクローズアップされました。
飛龍はすごく使いやすい中型空母でありましたが、唯一の欠点として艦橋が左舷にあると言う問題がありました。
煙突が右舷にあり、艦橋が左舷にあるという飛龍は、煙突からの熱気と艦橋構造物が生み出す気流が艦の後ろで乱流となり、艦載機の着艦に非常に悪影響を与える欠点があったんです。
日本海軍は太平洋戦争が始まる前から、空母の量産を考えていました。
そのため手ごろな中型空母としての飛龍を量産のモデルとすることにしておりましたが、飛龍にはそういった欠点があったため、その部分だけを改善した艦橋を右舷側にした中型空母を作ることにしたのです。
それが雲龍型空母でした。
ミッドウェー海戦で4隻の空母を失った日本は、急遽空母の大増産を図ります。
雲龍型空母も16隻の大量建造が行なわれましたが、雲龍、天城、葛城の3隻が完成しただけで終戦。
天城も昭和19年8月に完成しましたが、艦載機も無く活躍もできないままに昭和20年7月に空襲で大破。
結局終戦後解体されました。
16隻作ろうにも資材も燃料も無く、3隻作るのが精いっぱいで、しかも艦載機も無い。
戦争末期の日本のつらさを現していますね。
葛城にいたっては、カモフラージュのためにわざわざ飛行甲板に小屋を建てたり畑を作ったりもしたそうです。
何のための空母やら。
それではまた。
- 2007/08/17(金) 21:44:08|
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お盆も終わりですね。
今日の札幌は曇りで過ごしやすかったです。
ちょっとだけ「グァスの嵐」更新です。
クラリッサはほぼ陥落。
18、
「い、イヤァァァァァァァァァァッ!」
悲鳴を上げてあとずさるクラリッサ。
その手には血に濡れたナイフが光っている。
何がなんだかわからない。
いったい自分は何をしたのだろう。
気がつくと目の前ではダリオが胸から血を流し、シャツが真っ赤に染まっている。
「ク・・・クラリッサ・・・」
苦痛に満ちた表情で彼女を見上げるダリオ。
何が・・・
何があったというの?
クラリッサは首を振る。
「あ・・・ああ・・・あああ・・・」
あまりのことに青ざめ、口も開くことができない。
「クラ・・・リッサ・・・」
ダリオが名を呼ぶ。
それはクラリッサにとっては地獄からの呼び声のように感じるのだった。
「来い」
クラリッサの腕をぐいと引くダリエンツォ。
カランと彼女の足元にナイフが落ちる。
そしてそのまま彼女は訳もわからずにダリエンツォに引かれるままに連れて行かれる。
ああ・・・
私は・・・
私は何をしたの?
私はいったいどうしちゃったの?
わからない・・・
何がなんだかわからないよ・・・
助けて・・・
誰か助けて・・・
がたんという音がして、クラリッサは自分が椅子に座らせられたことを知った。
「飲め」
目の前に差し出されるホットワイン。
湯気がほんのり漂っていい香りを発している。
「あ・・・」
両手で大事に受け取り、少し口に含む。
甘い味が口の中に広がり、気分を落ち着かせてくれるようだ。
クラリッサは今のことを忘れようとコクコクとワインを飲む。
温かいホットワインが全てを洗い流し癒してくれる。
ああ・・・
頭がぼんやりする。
とても気持ちがいい。
ふわふわして穏やかな気流の上にいるみたい。
「よくやった」
誰かの声が聞こえる・・・
よくやった?
何か褒められることをしたんだろうか?
そうだ・・・
私はナイフで人を刺したんだっけ・・・
あれは悪いことじゃなかったのかしら?
褒められていいのかな?
「お前は俺の言う通りにあの男を刺した。よくやった」
ああ・・・
嬉しい・・・
褒められると嬉しいわ・・・
言う通りにしてよかった・・・
「嬉しいか?」
「・・・はい・・・」
「いい娘だ。お前は俺のためにあの男を殺した。よくやった。俺も嬉しいぞ」
髪の毛が優しく梳かれ、唇にそっと触れるようなキスをされる。
ああ・・・
気持ちいい・・・
「恐れることは無い」
「お前は俺のものだ」
「俺の言う通りにすればいい」
胸に刻まれていく彼の言葉。
クラリッサはその一つ一つにうなずいていく。
「血を好きになれ。お前にはこれからもたっぷりと楽しいことをさせてやるからな」
にやりと笑うダリエンツォ。
クラリッサはそんな彼を虚ろな瞳で見つめているのだった。
「もうすぐサントリバルだ」
舵柄を握るエミリオが陽射しをさえぎるように手びさしで目の上を覆う。
心なしか声が弾んでいるように聞こえるのは、少しでも陽気にさせようとする彼の心の現われか。
船尾のエミリオのそばには、あれ以来ずっと後方を見続けている金髪の少女の姿があった。
「ミュー・・・」
エミリオはその姿を見ると心が痛む。
大事な人を失ったのだ。
きっと胸が張り裂けそうだろう・・・
まだ少女じゃないか。
これからどうするのだろう・・・
エミリオはそう思う。
身内の人はいるのだろうか?
きっと今頃は心配しているのではないか?
できればサントリバルで荷を下ろしたらこの娘を家まで送ってあげたい。
でも、フィオのことも優先しなくちゃならないからな。
エミリオはそんなことを考えながら舵を握っていた。
「ミューちゃん、そこは陽射しが強いわよ。こっちへ来ない?」
フィオレンティーナが襟元を少し肌蹴ながらパタパタと空気を送り込む。
無理も無い。
この陽射しだ。
気温はかなり高くなっているはず。
気をつけないと熱射病になりかねない。
と、思って見ていたエミリオの目に、フィオの健康そうな小麦色をした二つの胸の膨らみがちらりと入る。
「うわっ」
エミリオは思わず目をそらす。
もちろん彼だって女性の裸を見たことが無いわけではない。
港には売春宿だってあるのだ。
だが、こんなときに太陽の陽光の下で見るなど考えてもいない。
ついつい赤くなるエミリオ。
だいたいフィオレンティーナは無防備すぎるのだ。
若い女性であるという認識が少ないに違いない。
もっとも、それを指摘したら、むきになって胸を肌蹴そうだが。
「あ、ミューは大丈夫です」
かけられた声ににっこり笑みを浮かべて答えるミュー。
確かに汗一つかいてはいない。
ゴルドアンのようなバグリー人ならともかく、エミリオもフィオレンティーナもうっすらと汗をかいているのにだ。
暑さには強いのかもしれない。
「ミュー、暑さで倒れるといけない。日陰に入っていたほうがいいよ」
エミリオも心配する。
あれ以来ずっと立ちっぱなしなのだ。
神経が張り詰めているのだろうが、このまま無理させたらどうなるかわからない。
「ミューは・・・そうですね。わかりました」
何か言おうとしたミューだったが、彼女はこくんとうなずくとフィオレンティーナのいる日除けの天幕の下に入り込む。
「おーい、サントリバルが見えるぞ」
船首の方で帆を操っていたゴルドアンの声がする。
ファヌーはまっすぐにサントリバルに向かっていた。
- 2007/08/16(木) 19:17:57|
- グァスの嵐
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暑い・・・
暑くて何にもやる気になりません。
札幌の最高気温は34度。
死ぬる・・・
SS?
へっ!
そったらもん書いていられるけ~!
嘘です、ごめんなさい。m(__)m
ということで、以下本文。
第二次世界大戦中、ドイツ軍はUボートによる通商破壊活動を行ないました。
しかし、広い大西洋上で航路がほぼ決まっているとは言え、英国の輸送船団と出会うには、長い時間の哨戒行動が必要でした。
哨戒行動中にはもちろん燃料も食料も消費してしまいます。
消費した燃料や食料は、基地へ戻るか補給艦とランデブーしなくてはなりません。
Uボート部隊の司令官デーニッツ提督は、そのために補給用の潜水艦を建造させました。
補給艦も潜水艦であれば、敵に気付かれにくいと考えたのです。
こうして建造されたのが、ⅩⅣ型補給用潜水艦でした。
全長は67メートルと、ⅦC型Uボートとほぼ同じでしたが、喫水と幅が一回り以上も大きく、喫水が6.5メートル、幅が9.3メートルもありました。
速力は水上で14.4ノット、水中で6.2ノットほどで、既存のUボートの部品を大幅に流用して作られたと言います。
自分用の魚雷発射管は持たず、補給用の魚雷を四本と、補給用の燃料432トン、補給用食料を45トン、真水を10トンも積んで、大西洋の洋上でUボートにこれらを補給したのです。
ちなみにこの物資でⅦC型Uボート12隻が4週間も洋上哨戒時間を伸ばせたそうです。
もちろん海上で燃料や魚雷のやり取りをするのは重労働で、一回の補給には五時間ほども掛かったと言います。
しかし、足りなくなった燃料や食料を補給してくれ、さらには艦内でパンまで焼いて支給してくれるⅩⅣ型補給潜水艦は、Uボート乗りからは「乳牛(ミルヒ・クー)」と呼ばれ親しまれたのでした。
しかし、戦争半ば頃から連合軍の長距離哨戒機が大西洋上空を飛び始めると、のんびり洋上補給もできなくなり、ⅩⅣ型補給潜水艦も次々と沈められていきました。
10隻建造されたⅩⅣ型は全て1944年6月までに撃沈されています。
潜水艦の最大の敵は航空機であり、ⅩⅣ型も例外ではなかったのでした。
それではまた。
- 2007/08/15(水) 20:46:08|
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1でも書きましたが、満州国がモンゴル(外蒙古)と接する満州国北西部突出部、その南側に位置するのがノモンハンでした。
ノモンハンというのはもともとはラマ僧の役職名だったそうです。
最高位のフトフクに次ぐものであり、このあたりにラマ僧の墓があったことから地名になったものらしいです。
このあたりは草原と砂丘が続くなだらかな丘陵地帯で、いわゆる草の海とも言うべき広大な平原です。
その中にノモンハンという集落があり、地域一帯がホロンバイルと呼ばれておりました。
夏のノモンハンは膝丈の草が生い茂り、いい牧草となったため、牧畜を主とする蒙古人がヒツジなどを連れて放牧しながら移動するそんな場所でした。
ホロンバイルの中をハルハ河という河が流れており、そこから分かれた支流のホルステン河がノモンハンの付近を流れています。
このあたりにはホロン湖やボイル湖などいくつかの湖沼がありましたが、そのほとんどは塩水湖であり飲用には適しません。
一方ハルハ河やホルステン河は真水であり、人間にも家畜にも貴重な水として重宝されておりました。
つまり、広大な草の砂漠の中では、ハルハ河やホルステン河以外では真水は手に入れることが非常に困難だったのでした。
このホロンバイルの中を満州国とモンゴル(外蒙古)の国境線が走っていたのですが、この国境線が不明瞭でした。
もともとこのあたりは、蒙古人の遊牧民が家畜を連れて移動していたので、境界という概念が希薄でありましたが、ソ連及びモンゴルと満州国及び日本の国境線の認識がずれていたことも大いなる問題の一つでした。
これはもともとソ連とモンゴルは、中国(清朝)との国境線はハルハ河より東側約十五キロ乃至二十キロ離れた地点を結ぶ線としていたのに対し、中国(清朝)側はハルハ河中間点を国境として認識していたということが発端でした。
清朝より独立したという形の満州国としては、当然ハルハ河が国境線だと信じていましたし、関東軍もそれを信じて疑いもしませんでした。
国境が河よりも東側にあるとは夢にも思わなかったのです。
モンゴル人民共和国(日本側呼称外蒙古)は1924年(大正13年)に独立しておりましたが、ソ連型の社会主義国を目指しており、ソ連とは切っても切れない関係にありました。
自国軍も持ってはおりましたが、関東軍を中心とする満州国の軍事力には抗しえるはずも無く、ソ連軍の駐屯を認めて防衛を共に行なっておりました。
いわば、衛星国家だったのです。
もともと国境という概念が希薄な上に、家畜の移動に連れて移動する遊牧民が、ハルハ河を超えてノモンハン方面に草場を求めてくるのはある意味当たり前でした。
しかし、そこ(ハルハ河)は満州国にとっては国境です。
ハルハ河を超えることは無断越境に他なりませんでした。
ノモンハンの集落には、満州国の国境警察分駐所が置かれ、満州国警察が不法越境を厳しく取り締まることになったのです。
最初は遊牧民を威嚇程度で追い払っていたものが、やがて遊牧民の護衛に外蒙(モンゴル)兵がくっついてくるようになると、小銃の撃ち合いなどが行われるようになりました。
こうしてこのノモンハン周辺でも、国境紛争が頻発するようになります。
昭和14年(1939年)5月4日。
外蒙兵がバルシャガル高地(ハルハ河を超えノモンハン集落に近い丘)を偵察中とのことで、満州国国境警察がこれを攻撃。
幾人かを捕虜にします。
5月10日。
ハルハ河を東西に渡る渡河点付近を警備中の満州国国境警察隊に対して外蒙側から射撃を受け応戦。
これは外蒙側から見れば、満州国国境警察による不法越境に対し攻撃したということになります。
5月11日。
この日も満州国国境警察と外蒙軍との間に衝突があり、外蒙側に死傷者が出る事態となります。
5月12日。
度重なる満州国国境警察の不法越境(と外蒙は考える)に業を煮やした外蒙軍は、約60名の兵力で越境攻撃(と満州国は考える)をしてきました。
ことここに至り、満州国国境警察は上部組織であるハイラルにある満州国軍第十軍管区司令部に通報。
満州国軍は直ちに応戦の準備を整えると共に、外蒙兵越境の事実を関東軍の第23師団に通報いたします。
関東軍に派遣されていた日本陸軍第23師団は、ホロンバイルを含む満州国西北部方面の防衛担当であり、当然ノモンハン近郊の外蒙軍の越境に対処する担当となるのです。
日本陸軍第23師団は九州熊本を中心とした地域の人々によって1938年(昭和13年)に編成されたばかりの新しい師団でした。
さらには、従来の師団が歩兵連隊を四つ持つのに対し、連隊が三つで編成される多少小型化された師団でもありました。
そのため、関東軍でも新編師団としてその戦闘力にはまだまだ信が置けないと考えられてもいました。
おそらく、対ソ連との直接対決となるソ満国境は荷が重い。
そう考えられて、直接ソ連と接しないこの満州国西北部方面に回されていたのです。
満州国軍の報告を受けた第23師団司令部は、最初満州国軍に任せて静観の構えを取りました。
しかし、日本軍が満州国軍を見捨てるのかという訴えに、師団長の小松原道太郎(こまつばら みちたろう)中将も師団の出動を命じます。
ノモンハンの悲劇が始まってしまいました。
その10へ
- 2007/08/14(火) 19:09:02|
- ノモンハン事件
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バンダイから出ているフィギュアに、「ガールズ イン ユニフォーム」というのがあります。
特撮番組に出てきたヒロインたちを、可愛いフィギュアにしたものですが、そのVOL.3のラインナップがこちら。

この中のファラキャットを今回手に入れました。
いやぁ、可愛いですねー。
ファラキャットは以前から好きなキャラでしたが、こうしてフィギュアになると可愛さも一層増すというものです。
全身を覆う黒とピンクのぴったりしたスーツがちゃんと再現され、お尻もプリンとしています。
ヌンチャクを構えた姿が勇ましいですね。
ファラの忠実なしもべという設定も、彼女を魅力的にしていると思います。
今度正義のヒロインを、ファラキャットのような主人に忠実な悪の女戦士に・・・というストーリーも書いてみたいですね。
私の妄想のためにも、ファラキャットにはPCの前でポーズをとっていてもらうとしましょうか。
それではまた。
- 2007/08/13(月) 20:25:29|
- 趣味
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今日のTVの「報道特集」で、戦艦大和を撮影した当時のカメラとフィルムが、パプア・ニューギニアのブーゲンビル島に埋められているというのをやっておりました。
戦艦大和は戦時中の完成であるため、軍機(軍事機密)扱いであり、写真も非常に少ないのです。
そのため、戦艦大和を写した写真は、それだけで貴重なものなのですが、軍の命令で写されたとされるその埋蔵された写真は、大和を複数の角度から撮っている可能性が高いため、発見されれば(そしてフィルムが無事ならば)大変重要な資料となると考えられるとのことでした。
大和に限らず、武蔵の写真なども非常に少ないので、戦後62年を経た今日、そういった写真が見つかるということは難しいと思いますが、見つかるといいなと思ってTVを見ておりました。
残念ながら、今回の調査では見つけられなかったとのことですが、今後に期待したいものです。
このあと21時からはNHKでマンガ家の水木しげる氏の実体験を基にしたドラマ「鬼太郎が見た玉砕 水木しげるの戦争」があります。
水木氏のマンガ「総員玉砕せよ」のドラマ化と言いますが、あのマンガの雰囲気をできるだけ出していただけると嬉しいですね。
戦争の記憶は徐々に風化して行きますが、やはり戦争のことは忘れてはなりませんし、目をそらしてはいけないのだと思います。
それではまた。
- 2007/08/12(日) 20:43:17|
- 映画&TVなど
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やはり甲子園には魔物がいるんですねぇ。
今日は先輩といつものようにゲームの日で、「第五次辺境戦争」GDW/HJを相手していただいたんですが、お互い対人プレイは初めてとあり、初期配置だけで結構な時間をとられてしまいました。
先輩が帝国側、私が外世界連合側を受け持ってプレイ。
やはり初期段階での外世界連合側の戦力の豊富さに圧倒され、帝国はなすすべもなくじりじりと押されます。
しかし、SDBを防御的に使うなどのゲリラ的行動で時間を稼ぎ、増援が入ってくるターンまでしのぎきれば、展開はどうなるかわかりません。
今日はインストプレイでしたので、4ターン終了時でお開きとしましたが、その時点での外世界連合側の勝利得点は91点でした。
もう少し稼いでおきたかったな。
ということで、TVをみると、駒大苫小牧が3対2で勝っている状況で9回じゃありませんか。
この回を押さえれば勝利。
なはずだったんですけどねー。
結果は4対5で広島の広陵の勝利。
9回の守備のミスで与えた2点が大きかったですね。
甲子園にはやはり魔物がいたんだなぁ。
昨日駒大岩見沢も負けましたので、今年は久し振りに南北両方とも一回戦敗退でした。
いつもの北海道に戻ったみたいだ。
北海道の甲子園での夏は終わりましたが、高校野球はこれからまだまだ熱戦が続きます。
今年はどこが優勝するんでしょうね。
広陵にも帝京にも頑張って欲しいものです。
それではまた。
- 2007/08/11(土) 20:00:41|
- スポーツ
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舞方はこんなネタも大好物です。
ということでちょこちょこっと書きましたシチュ抜き出し短編の女教師MCモノです。
よければ読んでみて下さいませ。
「何度言ったらわかるんですか、黒洲(くろしま)先生? 先生のやっていることは覗き、痴漢行為ですよ」
私はレオタードの上にジャージを羽織り、体育館入り口でうろついていた黒洲先生に言い放つ。
最近いつもいつもこの太った中年教師は新体操部の練習を覗き見ているのだ。
最初は気がつかなかったが、レオタード姿の生徒たちがそわそわしているので、どうしたのか聞いたところ、時々黒洲先生が覗いているというではないか。
顧問としてそんなことを許すわけには行かない。
それにいつも汗をかいている、この太った中年教師が私はどうも好きになれない。
薄笑いを浮かべて反省している様子のまったく見えないこの男に私は苛立ちを覚える。
「黒洲先生、もし今後もこういうことがあれば、職員会議に提出しますので。そのつもりでいてくださいね」
「いやはや、誤解ですよ吹浦(ふくら)先生。私はたまたま通りかかっただけですから」
汗を拭き拭きニヤニヤと笑っている黒洲先生。
こんな男が生徒たちのレオタード姿を覗いていたのかと思うとぞっとする。
「わかりました。黒洲先生は方向音痴なんですね? 国語科準備室がこちらにあると思っておられるようですから」
「なっ・・・」
「とにかく、このあたりをうろつかれると迷惑なんです。生徒たちも萎縮していい演技ができなくなるんです。インターハイで不本意な成績を残したくはありませんので。いいですね!」
私は相手に言い返す暇も与えずに一気に言い放つ。
これぐらい言ってやらなければわからないでしょうからね。
国語科教師が聞いて呆れるわ。
「クッ」
何か言いたそうだった黒洲先生だが、私は体育館の入り口をぴしゃりと閉める。
ふん、いい気味だわ。
「先生お見事」
「先生ありがとー」
「吹浦先生やるー」
「デブ黒いい気味ー」
新体操部や体操部の女生徒たちが口々に歓声を上げてくれる。
インターハイ間近の今、生徒たちは本番同様にレオタード姿なのだ。
観客に見られるのはともかく、興味本位でいやらしい視線に晒させるわけには行かない。
顧問である私が彼女たちを守らなくちゃね。
黒洲のような変態教師なんてさっさと首になればいいのよ。
******
私がきつく言ったせいか、あれから黒洲先生は体育館近くには姿を見せない。
国語科準備室に篭もってなにやらしているらしいけど、生徒たちを覗き見しないのなら問題は無いはず。
もっとも、教師としての腕前もあまり褒められたものではないみたいなんだけどね。
時々教頭先生に嫌み言われているようだし。
あーあ・・・あんな人さっさとやめちゃって欲しいなぁ。
顔を見るだけで不愉快な気分になっちゃうわよね。
「吹浦先生、遅くまでご苦労様」
新体操部の顧問として部活動を指導していた私が職員室に戻ってきた時には、すでに夜の9時を過ぎていた。
寒々とした蛍光灯の灯が一画だけ点いている職員室は、普段ならもう誰もいないはずだった。
私は職員室の明かりを消し、戸締りを確認して守衛さんに鍵を渡すだけで一日が終わるはずだったのだ。
「黒洲先生・・・」
私は太ったこの中年男が職員室に残っていたことに驚くと同時に、思わず身構えてしまう。
こんなところでとも思うが、この男なら人目が無ければ私を襲うぐらいはしかねないと思ってしまったのだ。
「お疲れ様です。ずいぶん遅くまでお残りですね」
私はできるだけ内心の不安を出さないように、当たり障りの無い言葉を交わしてさっさと職員室を出ようとした。
まずったわね。
帰りに着替えるつもりで、職員室まではレオタードの上にジャージを羽織っただけで来てしまったのだ。
黒洲先生にしてみれば、まさに獲物がかかったようなものかもしれない。
「いやいや、待っていたんですよ、吹浦先生」
「クッ」
私は思わずあとずさる。
やっぱりこの男は私を待っていたんだわ・・・
守衛室まで逃げた方がいいのかしら・・・
でもまさかそこまでは・・・
いざとなれば大声上げれば守衛さんに聞こえるかな・・・
「吹浦先生。この通りです」
そう言って深々と頭を下げる黒洲先生。
「えっ?」
私は一瞬面食らってしまった。
黒洲先生が謝っている?
「いやはや、年甲斐も無くレオタード姿の少女たちに見惚れちゃったんですなぁ。それでもう少し見たいと思い、つい覗きのようなマネをしてしまいました。謝って赦されるものではありませんが、この通りです。赦して下さい」
頭を下げ、謝罪する黒洲先生。
「や、やめてください。頭を下げられても困ります」
私はとりあえず油断しないようにして黒洲先生の様子を窺う。
もしかしたら私を油断させようとして・・・
ふう・・・
ここまで疑っちゃうなんて私もどうかしているかもね。
本心で謝っているのかもしれないし・・・
「吹浦先生にも大変ご不快な思いをさせてしまいました。幾重にもお詫びします」
国語化教師らしく、丁寧な口調で謝る黒洲先生。
「わかりました。でも二度としないで下さい。もし今後同じようなことがあれば・・・」
「いやいや、そのご心配は無用です。私は明日、辞表を提出いたしますから」
頭を下げたまま、懐から封筒を取り出してみせる黒洲先生。
まさかそこまで・・・
「黒洲先生、私はそこまでは・・・」
そりゃあ、やめればいいとは思っていたけど、これじゃ私が追い出したみたいじゃない。
私は黒洲先生のそばへ行き、そこまでしなくてもと言うつもりだった。
「おっと・・・」
はらりと黒洲先生の手から封筒が離れ、私の足元に落ちてくる。
「あ・・・」
私は無造作にそれを拾い、黒洲先生に差し出した。
「えっ?」
私の目の前に突き出される木彫りの人形。
古びたもので、黒ずんでいて、何か得体の知れない雰囲気がある。
いや、それよりもその人形が耳まで裂けたような口で笑っている。
この人形はいったい?
角みたいのが頭にあって・・・
まるで・・・
まるで悪魔のような・・・
「ふふ・・・あは・・・あははははは・・・」
まるで目の前の人形が笑い出したかのような笑い声。
その笑い声が黒洲先生のものだと理解するまでに、私はちょっと時間が掛かった。
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ・・・」
黒洲先生は笑い続けている。
何がそんなに可笑しいのかしら。
それよりも・・・
どうして私はこの人形から目が離せないのかしら・・・
「うひゃひゃひゃ・・・引っかかりましたね吹浦先生」
引っかかった?
何に引っかかったと言うの?
「うひゃひゃ・・・この人形はね、私の友人が南米で呪術師に押し付けられたものでしてね。現地では心をゆがめる悪魔と言うそうですよ」
「心をゆがめる悪魔?」
私はまったくこの人形から目が離せない。
ニヤニヤ笑う口の中にはご丁寧に牙らしいものまで彫られている。
両手を腕組みして、人間をあざ笑っているかのよう・・・
「ええ、友人は知らなかったようですがね、私はこれがまぎれもない本物だとわかったんですよ」
「本物?」
「そう、これは心をゆがめてくれる悪魔なんですよ。持ち主の思った通りにね」
持ち主の思った通りに?
私はぞっとした。
それが事実ならば、私の心は黒洲先生にゆがめられてしまうということなの?
まさか・・・
「もちろん無制限じゃありません。悪魔には取引が必要ですからね。うひゃひゃひゃひゃ・・・」
ぞっとするような笑い声を響かせる黒洲先生。
私はただそれを聞きながら立ち尽くしていた。
「さて、吹浦先生にはこれから私の女になってもらおうかな。君は結構その体つきがいやらしくてね。レオタード姿を見ては勃起していたよ」
鳥肌の立つような黒洲の言葉。
でも私は彼がどんな顔をしているのか見ることができない。
きっといやらしく笑っているんだわ。
最低。
こんな男の言いなりになるなんてありえない。
こんな人形で何ができるのよ。
「黒洲先生! いい加減にしてください! 訳のわからないことはもうやめておとなしく私を解放しなさい。さもないと大声を出しますよ」
私は人形から視線をそらすことができないまま、どうにかして黒洲の卑劣な行動から逃れようとしていた。
催眠術とかで聞いたことがあるわ。
何らかの拍子に相手に催眠をかけ、視線をそらすことができなくさせる。
黒洲がやっているのもきっとそれだわ。
暗示に掛かりやすいとは思いたくないけど、黒洲の言いなりになるような暗示なんてごめんこうむるわ。
催眠術は相手が嫌がることはさせられないはず。
絶対に言いなりになんかなってやるものですか!
「おやおや、私に逆らってはいけない。“君は目の前にいる黒洲鐐造(くろしま りょうぞう)を人間的にも男としても敬い尊敬しているのだから”ね」
ふざけたことを言わないで!
黒洲鐐造を人間としても男としても敬い尊敬しているですって?
そんなの当たり前じゃない!
私は黒洲先生をすごく尊敬しているわ。
黒洲先生は素晴らしい教育者ですもの。
尊敬するのは当たり前じゃない。
「“黒洲鐐造の言うことは全て正しく疑念を挟む余地は無い。君は黒洲鐐造に身も心も全てを捧げ、彼の女であることを喜びと感じる”のだ」
黒洲先生の言うことは全て正しく疑念を挟む余地は無いのは当然だわ。
黒洲先生は最高のお方ですもの。
間違えるはずなどありえないわ。
黒洲先生は神様のようなお方なの。
私は彼に身も心も全てを捧げるわ。
私は彼の女。
彼のためなら何でもするわ。
「“吹浦芽久美(ふくら めぐみ)は黒洲鐐造の女であり、他の男に心を奪われることは一切無い。一生を黒洲鐐造に捧げ尽くし、彼の求めることならどんなことでも喜んで行なう”」
「はい。私吹浦芽久美は黒洲鐐造様の女です。他の男などには一切心奪われることはございません。一生を黒洲鐐造様に捧げ尽くし、彼の求めることはどんなことでも喜んで行ないます」
私は鐐造様のお言葉を繰り返す。
そうよ・・・
私は身も心も鐐造様のもの。
鐐造様に全てを捧げるわ。
ああ・・・
なんて素晴らしいのかしら・・・
「はう、あん、あん、鐐造様・・・鐐造様ぁ。最高です。最高ですぅ」
鐐造様のペニスが私の躰を突き上げる。
職員室に鍵をかけ、誰の邪魔も入らない二人の世界で私は鐐造様に可愛がっていただいている。
鐐造様のご希望で私はレオタードを身につけたまま。
股間の部分をずらして入れていただいたの。
はあん・・・
天にも昇る気持ちってこのことなんだわ。
最高のセックス。
鐐造様の汗が飛び散り美しい。
太目のお腹が弾力のあるクッションとなって私の快感をさらに増大させているわ。
ああーん・・・
イく・・・イく・・・イッちゃうー・・・
******
「ひゃあう・・・こ・・・こんなこと・・・」
レオタードの股間に鐐造様のモノを模したバイブを嵌め、スイッチを入れてやる。
「ふああああ・・・」
たちまちレオタードの股間部分の布には染みが広がり、彼女が快楽を感じていることがわかる。
両手両足を縛り上げ、身動きをとれなくした上で絶えず股間を刺激して発情させる。
この娘ももうすぐ鐐造様の好みの女となるわ。
うふふふ・・・
「ふふふ・・・いい声でよがるじゃないか。快楽には逆らえないということかな?」
笑みを浮かべながら鐐造様がレオタード姿の少女を見ている。
すでに調教を終えた新体操部の部長がその鐐造様のペニスを咥え、うっとりとした表情で見上げていた。
「はい、鐐造様。あの娘ももうすぐ鐐造様の素晴らしさがわかりますわ。いずれ新体操部の少女たちは全て鐐造様のメスとなるでしょう。うふふふふ・・・」
手元のバイブのスイッチで強弱をつけてやり、少女を快楽の虜にする。
やがてあの娘も涎をたらして鐐造様のペニスをねだるようになるのだわ。
うふふ・・・
なんて素敵なのかしら。
鐐造様の素晴らしさを少女たちに教え込む。
これこそが教育というものだわ。
そのお手伝いができるなんてなんて私は幸せなのかしら。
「ふふふ・・・赤いエナメルのボンデージ。よく似合っているじゃないか芽久美。まさに少女たちの上に君臨する女王だな」
「ああ・・・ありがとうございます鐐造様。鐐造様のおかげで私は真の教育に目覚めることができました。これからも私は鐐造様のために少女たちに性の喜びを教えていきますわ」
私は鐐造様にお褒めいただき、思わず股間をぬらしていた。
- 2007/08/10(金) 19:20:25|
- 催眠・洗脳系
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第一次世界大戦後、フランスは国境線防衛のために、コンクリートで固められた国境線要塞「マジノ線」を建設しました。
独仏国境線に沿って構築されたマジノ線は、頑強な要塞線であり、もし独軍がフランスへ進撃しようとしても、この要塞が食い止めてくれるはずでした。
そのマジノ線攻略用に、ドイツ軍は巨大な大砲を用意しました。
とてもとても巨大な大砲です。
その名も80センチ列車砲「グスタフ」(もしくはドーラとも呼ばれました)
大和の主砲が46センチ砲ですから、約二倍の太さ(長門の40センチ主砲ですとまさに二倍)を持つ巨大な大砲です。
要塞は動けませんから、こういった列車砲があれば、要塞攻撃には威力を発揮するのですが(制空権の確保が必要ですが)、このグスタフが完成したのは1942年であり、すでにフランスは降伏した後でした。
完成お披露目にはヒトラー総統も同席しており、その席で(異説あり)ヒトラーはクルップ社の者に戦車も撃てると吹き込まれますが、グデーリアンが「撃てるでしょう。ただし命中しませんな」と言ったとか。
完成したグスタフは、折からの独ソ戦でセバストポリ要塞の攻撃に駆り出されます。
全長で43メートル、全幅7メートル、全高11.6メートル、1350トンもの重量のグスタフは小型の軍艦のようなものです。
線路も特別に敷いた複線が必要であり、組み立てて撃てるようになるまで三週間も必要でした。
人員も部隊長の大佐を筆頭に司令部及び司令部中隊、火器管制小隊、情報小隊、観測小隊、砲中隊、建設隊、防空隊、ロケット砲隊、警備二個中隊、軍犬小隊、憲兵隊など約4000人が必要で、砲を発射するだけで350人が必要な代物でした。
セバストポリ要塞には諸説ありますが、36から55発ほど撃ち込み、地下深くの火薬庫を吹き飛ばしたりしております。
結局何門作られたかも定かではない巨大大砲ですが、こういう巨大なものって男のロマンを感じさせますよね。
それではまた。
- 2007/08/09(木) 21:29:15|
- 趣味
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甲子園で第89回の全国高等学校野球選手権大会が始まりましたね。
録画した開会式の入場行進を見るだけで、ちょっと感動してしまう舞方でした。
今日を含めて15日間の熱戦がスタートしましたね。
三日目には駒大岩見沢が帝京と、四日目には駒大苫小牧が広陵と対戦します。
駒大岩見沢もそうですが、駒大苫小牧は四年連続決勝進出という偉業も達成して欲しいですね。
高校球児たち頑張れ。
さて、今日は面白そうな本を買ってきました。
「『世界征服』は可能か?」 岡田斗司夫著 ちくまプリマー新書
私は知らなかったんですが、この岡田斗司夫氏、ガイナックスの創始者なんですね。
「オタキング」の名で知られる大阪芸術大学の客員教授の方なんですが、この岡田氏が悪の組織による世界征服のやり方と問題点などを丁寧にまじめに取り上げた本となっております。
買ったばかりなので、まだ内容をきちんと読んではいないのですが、ショッカーやギャラクター・死ね死ね団などが取り上げられているようですね。
悪の組織ファンとしては楽しめそうな内容のようです。
内容については機会があれば紹介しますね。
それではまた。
- 2007/08/08(水) 21:06:05|
- 本&マンガなど
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張鼓峰事件以後、国境紛争に対しては強硬な態度を取るようになる関東軍ですが、参謀本部はそれに対して制御不能状態に陥っていました。
一つには中国での戦いが泥沼化しつつあり、それに対して国力を傾注せざるを得なかったこと。
二つ目には、その中国を後押しする米英を牽制しようと、独伊との間に三国軍事同盟を結びたい陸軍に対し、米英を敵に回すわけには行かないとする海軍側との軋轢がのっぴきならない事態になりつつあったこと。
この二点を中心とし、さらにもろもろのことが重なって参謀本部は手一杯の状態になっていたのです。
この上、ソ連と事を構えることはできない。
参謀本部の判断は正しいものでした。
しかし、それは関東軍にとっては弱腰以外の何者にも思えなかったのです。
参謀本部にとって関東軍の役目は、対ソ戦に備えてその準備を怠り無く行なうことであり、満州国の国境の不確定部分を多少ソ連(外蒙含む)に侵入されたとて、どっしりと構えて微動だにせずにいれば、ソ連もそれほど無茶はしないだろうという考えでした。
つまり、参謀本部は張鼓峰事件に鑑み、対ソ強硬路線は引っ込め、「侵されても侵さない」を関東軍に命じました。
面白くないのは関東軍でした。
関東軍は満州防衛に責任を持つ軍です。
それが国境を侵されても無視しろと言われたのであれば、面白いはずがありません。
「侵されても侵さない」というのであれば、満州国を見捨てろというのか?
関東軍作戦課は憤慨しました。
そして、関東軍独自の国境紛争に対する解決法を提示します。
「満ソ国境紛争処理要綱」です。
この「満ソ国境紛争処理要綱」は、関東軍作戦課の俊英辻正信(つじ まさのぶ)少佐が起草し、服部卓四郎(はっとり たくしろう)中佐の承諾を得て関東軍司令官植田謙吉(うえだ けんきち)大将が発表したものです。
ですが、その内容たるやあきれかえるものと言っていいでしょう。
確かに「満ソ国境紛争処理要綱」の出だしにはこうありました。
「軍(関東軍)は侵さず、侵さしめざるを満州防衛の基本方針とする」
つまり、ソ連軍(外蒙軍含む)が優勢であるとは言えども、国境線に関してはお互いにこれを侵さず侵されずという形を取るというものでした。
しかし、そこから先が問題でした。
「万一ソ連軍が越境して来た時には、周到なる準備計画の下に徹底的にこれを膺懲(ようちょう:懲らしめ思い知らせること)せしめ、ソ連の不法なる野望を初動において粉砕する」
つまり、ソ連軍がもし国境を越えて満州国に入ってきたら、関東軍は戦力を集中してこれを撃滅するというものでした。
これ自体は国境防衛として特に問題があるとは思えないのですが、その方法が問題だったのです。
「そのためには、一時的にソ連領に侵入したり、ソ連軍を満州国領内に誘致、滞留せしむるも可」
「国境線不明瞭なりし地域においては、現地防衛司令官が自主的に国境線を認定し、第一線部隊に指示すると同時に、戦力の多寡国境線の如何なりとも必勝を期す」
つまり、満州国政府ひいては日本政府とソ連政府が外交で話し合うべき国境線を、現地司令官が勝手に判断して国境と主張し、勝手に判断した国境をソ連軍が越えるよう仕向けることができ、そこを越えたソ連軍を排除するためには、天皇陛下の命令が無ければできないはずの軍の国境線の越境をしてもよいと言っているのです。
まさに関東軍は言ってはならないことを言っていたのです。
この命令は参謀本部を無視するだけではなく、全軍の司令官たるべき大元帥陛下(天皇陛下)をも無視することになるのです。
関東軍はこの「満ソ国境紛争処理要綱」を、一応は参謀本部に提出し認可を求めました。
しかし、連日中国での諸問題や、それ以上に日独伊三国軍事同盟の締結に向けて政府や海軍と角突き合わせている状況の参謀本部は、この「満ソ国境紛争処理要綱」に明確な指示を出しませんでした。
明確な指示を出さないということは許可できないということだから、少し頭を冷やして考え直せ。
これが参謀本部の考えであったかもしれません。
提出された「満ソ国境紛争処理要綱」が頭ごなしに否定されては関東軍の面子がなくなるだろう。
だから何も言わないことで、関東軍が察するのを待つということだったのでしょう。
しかし、関東軍司令部はそうは考えませんでした。
提出した「満ソ国境紛争処理要綱」がまずいなら何か言ってくるはず。
何も言ってこないということは、参謀本部はこの処理要綱を認めたのだと考えたのです。
こうして関東軍はこの「満ソ国境紛争処理要綱」を基本方針としてしまいます。
またしても悲劇を止めるタイミングを逸しました。
その9へ
- 2007/08/07(火) 20:51:29|
- ノモンハン事件
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先日の土曜日はいつもどおり先輩とゲームの日。
今回はHJ/サンセットゲームズの「太平洋艦隊」と「ASL SK2」のシナリオ10の二本立てでした。
太平洋艦隊は二回目ではあるものの、以前プレイしたのがいつなのか忘れるぐらい以前なので、実質初めてのプレイみたいなもの。
ルール的にもかなり間違ってプレイしていたっぽい。
私が日本軍、先輩が連合軍でガダルカナルシナリオをプレイしました。
バランスが取れているシナリオとは言うものの、日本軍にとっては厳しいことは間違いありません。
すでにミッドウェーでの敗北のため、日本海軍には頼れる空母は翔鶴と瑞鶴だけ、空母戦では不利となりますが、すでにガダルカナルに米軍の基地が建設されている以上、座して眺めているわけにも行きません。
トラックにいる艦隊を二つに分け、戦艦隊は後の地上砲撃のために残して空母艦隊が出発です。
双方ともガダルカナル島周辺に待機させていた潜水艦でしたが、日本軍の潜水艦が活躍。
連合軍の巡洋艦や駆逐艦にダメージを与えます。
その後、ガダルカナル沖で日米の空母艦隊が衝突。
エンタープライズに損傷を与えるも、翔鶴が海底に送り込まれます。
ああ・・・
大事な空母が・・・
日本軍はどうにか川口支隊を上陸させますが、まともな戦闘をすることはできそうにないので、とりあえず後続の師団を待つことに。
それまでは対地支援でどうにかしのぐ作戦に出ます。
3フェイズ目には日本軍はトラックに残った燃料を全てかき集め、大和以下の戦艦隊を編成。
ガダルカナルへの地上砲撃に向かいます。
航空攻撃をどうにかしのぎ、地上砲撃。
さすがに大和の主砲の威力は凄まじく、米海兵隊もLSPが3にまで減少。
このまま行けば・・・
行きませんでした。
米空母とヘンダーソン基地からのLACによって、ああ、大和はガダルカナルの沖に沈みます。
山本五十六長官は大和と運命を共にしたと聞きました。
以後は燃料も無く動けない日本軍に対し、米軍が反撃。
ガダルカナルから追い落とされてゲームセット。
やはり、米軍は強かった。
艦艇はいくらか沈めた(潜水艦でワスプ沈めたり)ものの、やはりガダルカナル島は遠いですね。
でも、もう少しやりようを考えてみるのは必要でした。
次回に雪辱を期さねば。
ASL SK2のシナリオ10は、私がギリシャ軍、先輩がイタリア軍をプレイし、どうにか勝たせていただきました。
面白かったー。
それではまた。
- 2007/08/06(月) 19:53:02|
- ウォーゲーム
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グレイバー蛇足の最終回です。
盛逸司令の生まれ変わった姿を楽しんでいただければと思います。
読み終えましたらぜひぜひ感想を下さいませ。
面白かった、つまらなかった、どんな一言でも結構です。
よろしくお願いいたします。
それではどうぞ。
4、
ふふふ・・・
皮肉なものね。
さっきまではこの衣装のもたらす気持ちよさにぼうっとなったけど、被せられたヘルメットの痛みが私の頭をすっきりさせてくれたわ。
こんな衣装に負けるものですか。
私はヘルメットの後ろにたれたサソリの尾が、背中に張り付いていくのを感じながらグレイバーたちをにらみつける。
バイザーにさえぎられていることをまったく感じさせない私の視界。
背中に張り付いた尾は、そのままシュルシュルと伸びてお尻を超え、私の足元ぐらいまでの長さになる。
その先端からは強力な毒液が滴っていた。
うふふ・・・
この毒液なら象でも一刺しで死ぬわね。
私は何となく嬉しくなる。
ああ・・・早く躰の自由が利くようにならないかしら・・・
「ふふふ・・・なかなか似合っているじゃない。素敵よ」
インビーナが私を見下ろして笑っている。
それはどうも。
でもね・・・
躰の自由さえ利けば、こんな衣装はすぐに脱いで・・・
脱いで・・・
ああ・・・
これを・・・脱ぐ・・・?
こんなに私にピッタリなのに?
こんなに私を力強い存在にしてくれるのに?
脱いでしまうの?
ああ・・・
ど、どうして・・・
「ふふふ・・・しばらくおとなしくしているのね。お前たち、もういいわ。部屋で待機しなさい」
「「ルーィ!」」
グレイバーを下がらせるインビーナ。
二人のグレイバーはインビーナに敬礼をすると、部屋から出て行ってしまう。
本当にあの二人は秋奈ちゃんと美智代ちゃんなのか?
それを確かめることすらできなかった。
「こんな格好をさせてもあなたの思い通りにはならないわ。ヘルメットを被せられたときに感じた痛みで、あなたの洗脳は解けちゃったわよ」
そうだ・・・
確かにあのままでは危なかったかもしれない。
この衣装の気持ちよさに取り込まれていたかもしれないわ。
でも、今は違う。
頭もはっきりしているわ。
私はセーバーチームの・・・
セーバー・・・チームの・・・?
セーバー・・・チーム・・・の・・・
私は・・・?
私は?
「ふふふ・・・それはどうかしらね。言い忘れていたけど、あなたの躰に打ち込んだ薬はもうすぐ切れるわ。そうなれば躰の自由も利くはず」
インビーナの言葉に私は顔を上げた。
躰の自由が利く?
そうなればここを脱出してセーバーチームに連絡を・・・
その前に・・・
「そうなればその衣装を脱ぐのも、ここから出て行くのも自由よ。私たちは邪魔はしないわ。この部屋の鍵も開けておいてあげる」
「な、何をたくらんでいる?」
「何も・・・お前がどうなるのか、見ものだわ」
インビーナが出て行こうと背を向ける。
「待って!」
私は呼び止めてしまった。
「なんだ?」
インビーナが振り向く。
私は唇を噛み締めてこう聞くしかなかった。
「教えて・・・私の・・・私の名前は、なんと言うの?」
「ふっ」
酷薄そうなインビーナの笑み。
「それをじっくり思い出すのね。そのうちわかるわ」
「ま、待って! 待って!」
私の目の前で扉は閉じられた。
一人になった部屋で私は考え込む。
どうして?
どうして名前が思い出せないの?
私がどうしてここにいるのか、私がセーバーチームのどういう位置にいるのか、それはちゃんと思い出せるのに・・・
私には妹がいたのも覚えている。
名前はインビーナ。
今では暗黒結社ルインの女幹部となっているわ。
私は彼女に従って・・・
従って?
ああ・・・
頭が混乱している。
何がなんだかわからない。
カリカリカリ・・・
小さな音がする。
「ん?」
私はあれ以来床に寝かされたままだったが、首を動かして音の方を見てみた。
首が、動く・・・
躰が動き始めたんだわ。
私は手足を動かしてみようと力を込める。
きりきりきり・・・
また音?
私はすぐにそれが何かを悟った。
私の左手の爪が床を引っかいたのだ。
鋭い私の爪が床を削った音だったのだ。
私は左手を持ち上げて握ってみる。
握れた。
動かせるようになったんだわ。
次は右手。
大きなハサミを私は開く。
すぐに私の思い通りにハサミは開き、そして閉じられる。
カシッという硬質な音がハサミの硬さを教えてくれる。
どんなものでもへし折れそうで気持ちがいい。
ふう・・・
考えても仕方がないわ・・・
インビーナはいずれ思い出すって言っていたわ。
ならば、思い出すまで待つだけよ。
私はあらためて上半身を起こして室内を確認する。
よく見ると部屋の一角にはベッドやソファーもある。
これならゆったりくつろぐこともできそうだわ。
私は躰が動くことを確認するために立ち上がる。
外皮がつややかに輝いて美しい。
「ん」
両手を上に上げて伸びをする。
動かなかった筋肉がほぐれてとても気持ちいい。
「ふあぁ」
思わず声も出てしまう。
しばらく躰を動かしていなかったからね。
少し躰を動かさないと。
私は少し屈伸をしたあと、右手のハサミを振り上げ、すぐに左手の爪で獲物の喉をかき切るまねをする。
さらに見えない相手に蹴りを入れ、尖ったヒールが肉に食い込むさまを想像する。
ふふ・・・
気持ちいい・・・
これならいつでも戦えるわね。
すぐにでもセーバーチームに・・・
えっ?
私は思わず立ち尽くす。
セーバーチームに?
私は・・・
私は何をするつもりなの?
私は・・・いったい・・・
私はよろめくようにソファーに腰を下ろす。
ふかふかのソファーは私のお尻の尻尾もちゃんと優しく受け止めてくれる。
とりあえず落ち着くのよ。
今の私は混乱している。
OK、それははっきりしているわ。
きっと躰を動かなくしていた薬だかフィールドだかのせい。
それ以外におかしなところはない。
私の躰だって滑らかな硬い外皮が守ってくれているから傷一つない。
えーと・・・
躰が動いたら何をするつもりだったか思い出すのよ。
そう、脱がなくちゃ・・・
脱ぐ?
何を?
何を脱ぐというの?
脱ぐものなんてありはしないわ。
私の躰を覆うのは硬い外皮だけ。
人間どものようなくだらない衣服など身につけないもの。
私はいったい何を脱ぐつもりだったのかしら・・・
私は尻尾の先を器用に引っ掛け、クーラーボックスを開ける。
一般のサソリは尻尾の先が膨らんでいるけど、私の尻尾はどちらかというとムチに似ている。
先端の膨らみはごくわずかで、先端には鋭い針がついているのだ。
その先端部分を引っ掛けるようにすれば、クーラーボックスの扉を開くぐらいはわけはない。
クーラーボックスの中には見慣れた赤い缶。
私はそれを取り寄せると、プルを開けて中身を飲む。
コーラ特有の炭酸が喉を焼いて気持ちいい。
きっと頭もすっきりするはず。
OK。
もう一度考えて見ましょう。
まず始めに重要なこと。
私は何者?
私は・・・
私はスコーピオンルイン。
ルインビーストの一員。
ルインのしもべ。
うふふ・・・
そうよ、私はルインのしもべ。
ルインビーストの一員だわ。
どうして今まで気付かなかったのかしら。
あははは・・・
バカみたい。
私はスコーピオンルイン。
スコーピオンルインよ。
うふふ・・・
そうだわ。
私ったら何を考えていたのかしらね。
私の使命は決まっているじゃない。
セーバーチームを倒すこと。
セーバーチームの司令という記憶を生かして、奴らを抹殺する。
それこそが私の使命であり存在意義でもあるのよ。
ふふふ・・・
おろかなセーバーチーム。
ルインに歯向かった代償を身を持って知るがいいわ。
******
「がはぁっ!」
私のハサミの一振りで柱に叩きつけられるセーバーグリーン。
ここはセーバーベースの司令室。
いいえ、もはやその残骸といった方が相応しい。
「う・・・あ・・・ど、どうして・・・」
壊れた機器類の間に倒れたセーバーブルーが、壊れたヘルメットに包まれた顔を上げる。
「ルーィ・・・可哀想なお兄ちゃん。ルインに歯向かったりするからいけないんだよ」
哀れむようにそう言いながらも口元には笑みが浮かんでいるグレイバー320号。
かつてあの男の妹だったらしいが、そんなことは意味が無い。
それどころか、ルインに歯向かった者の末路を楽しんでいるに違いないわ。
そう、それは私も同じこと。
ここがかつて私のいた場所だなんて思えない。
こんな連中はさっさと始末してしまわないと。
「秋奈ちゃん・・・目を覚まして・・・司令も・・・」
私の足元に転がったセーバーレッドが手を伸ばしてくる。
いまいましい蛆虫め。
まだくたばっていなかったのか。
肉体的に痛めつけるのが楽しかったから毒を使わなかったけど、もういいわよね。
「ルーィ・・・私はもう秋奈じゃないって言ってるじゃないですか。私はグレイバー320号。あっちにいるのがグレイバー387号。そして、こちらのお方がスコーピオンルイン様。最強のルインビーストなんですよ」
「320号、説明は不要よ。このようなクズどもに理解できるはずがないわ」
私はそう言うと、セーバーレッドのスーツの裂け目に尻尾を滑り込ませ、先端の針を差し込んで毒を注入する。
「ふぁがっ!」
意味不明の叫び声をあげ、一瞬で絶命するセーバーレッド。
ああ・・・
なんて気持ちがいいのかしら。
「ふふふふ・・・セーバーチームもお終いのようね」
カツコツと足音を響かせてインビーナ様が姿を現される。
「これはインビーナ様。このようなところへようこそ。残り二体の始末ももうすぐですわ」
私はセーバーレッドの死体から尻尾を引き抜くと、柱を背に倒れているセーバーグリーンに向かう。
ブルーの始末は320号に任せてもいいだろう。
「うふふふ・・・これほどとは思わなかったぞスコーピオンルイン。お前を選んだのはやはり正解だったな」
「ああ・・・お褒めのお言葉ありがとうございます。とても嬉しいですわ、インビーナ様」
私はゾクゾクするほどの心地よさに打ち震え、セーバーグリーンの首を柱ごと右手のハサミで挟みこむ。
「この者の首、インビーナ様にお捧げいたしますわ」
私は右手に力を込める。
バキッという音とともに柱が砕け、床一面が赤く染まる。
「あははは・・・この司令室がセーバーチームの墓場となるとはな。こいつらも本望だろう」
インビーナ様の高笑いが破壊された司令室に響く。
私はそれを聞きながら、足元に転がって来たものを踏み潰す。
グチャッという音がインビーナ様の笑いをさらに高め、私は満足感とともにその笑いに聞き惚れていた。
- 2007/08/05(日) 19:26:29|
- グレイバー
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3回目となります。
それではどうぞ。
3、
「和泉? 本当に・・・和泉な・・・の?」
「さっきからそう言っているわ。聡明なお姉ちゃんならわかるでしょ」
ああ・・・
あの笑顔だわ・・・
明るく暖かな和泉の笑顔・・・
ああ・・・
でも・・・
でも・・・
「和泉・・・どうして・・・」
どうしてあなたはルインの手先に・・・
「うふふ・・・私は選ばれたの」
「選ばれた?」
和泉の顔には誇りが満ちている。
「そう。私はルインに選ばれた。ルインによって生まれ変わったの。森嶋和泉は確かにあの時死んだと言ってもいいわ。今の私はルインの女幹部インビーナ」
クッ・・・
私は唇を噛む。
せっかく和泉に会えたというのに・・・
和泉が生きていたというのに・・・
「和泉、目を覚まして! あなたはルインに利用されているだけだわ! あなたはインビーナなんかじゃない! 森嶋和泉なのよ」
「あはははは・・・違うわ。この衣装を見て。素晴らしいでしょ? 私はインビーナ。ルインの女幹部インビーナ。森嶋和泉なんて女なんかじゃないのよ」
和泉は今の自分をよく見て欲しいかのように立ち上がってくるくると回って見せる。
黒のアンダーウェアが躰に張り付き、赤いアーマーがこの暗がりでも輝いている。
私はそれを複雑な思いで見るしかない。
「和泉・・・あなたはもう・・・」
私は首を振った。
和泉はやはりあの時死んだのだ。
ここにいるのは暗黒組織ルインの女幹部インビーナ。
もう・・・
もう私の妹じゃない・・・
「そんな顔をしないでいいわ。もうすぐお前もルインの一員になるのだから。」
すっかりインビーナとしての冷たい笑みを浮かべ、彼女は私を見下ろしてくる。
「なっ?」
どういうこと?
私もグレイバーにするつもり?
「秋奈ちゃんや美智代ちゃんと同じく私もグレイバーにするつもり? あいにくだけど私は彼女たちとは違うわよ」
どうやったかはわからないけど、黙ってルインの言いなりにはならないわ。
彼女たちオペレーターと違って、私は正規の訓練を受けているんですからね。
拷問や自白剤などに対する訓練だって受けているわ。
「ふふふ・・・お前はグレイバーなどにはしないわ。お前は私の姉。能力だってそれ相応なもの。時と場合によってはお前こそがインビーナになっていた可能性だってあったのよ」
そんな・・・
冗談じゃないわ。
誰がルインの手先なんかに・・・
インビーナがパチンと指を鳴らす。
今まで後ろに控えていたグレイバーが、先ほどインビーナに渡された包みを再度インビーナに手渡した。
「ふふふ・・・これをご覧」
インビーナが包みを広げて見せる。
「な、」
私は言葉を失った。
広げられたそれはインビーナの着ているような全身を覆う漆黒のウェアだったのだ。
しかも、胸と腰周りには赤茶色の硬そうなアーマーが付いている。
インビーナの着ているものと違うのは、そのアーマーの面積がほぼ上半身全体を覆うようになっているらしいのと、頭からすっぽり被るヘルメットのようなものがあることだ。
「ふふふ・・・これはルインビーストのスーツさ。お前はこれを着てわがルインのルインビーストになってもらう」
まさか・・・
そんなバカなことが・・・
これを着せられたら暗黒組織ルインの怪人になってしまうというの?
そんなバカな・・・
「ふふふ・・・信じられないみたいね。でも、お前たちセーバーチームが倒してきたルインビーストは全てこのスーツによって生まれ変わった女性たちだったのよ」
インビーナの言葉に私はショックを受ける。
なんてこと・・・
グレイバーも怪人も、もとはみんな人間だったなんて・・・
中枢部の連中は知っていたの?
知っていて隠していたの?
なんてこと・・・
そんなことって・・・
「グレイバー320号、387号。このスーツをあの女に着せなさい。優しく着せるのよ」
「「ルーィ!」」
右手を胸のところで水平にするルインの敬礼を躊躇いなく行い、グレイバーとしての鳴き声も出す二人。
もうあの娘たちはグレイバーになってしまった・・・
そして、あのスーツを着せられたら・・・
私もルインの化け物になってしまうというの?
「クッ」
私は必死に躰を動かそうとする。
お願い。
少しでもいいから動いて!
でも、私の躰はピクリとも動かない。
首から下はまるで鉛の塊のよう。
どうしたらいいの・・・
「ふふふ・・・盛逸司令、おとなしくしてくださいね。もっとも、身動きできない状態でしょうけど」
グレイバーの黒く塗られた唇が妖しく微笑んでいる。
これがあの優しくて兄思いの秋奈ちゃんだなんて信じられない。
「クッ、やめて! やめなさい二人とも! 目を覚まして!」
私はどうにもならない躰に歯噛みしながら、何とか思いとどまってもらおうとする。
でも、二人は手際よく私のブラジャーばかりかショーツまでも脱がせてしまった。
ああ・・・
私は思わず目をつぶる。
恥ずかしさと悔しさとで言葉が出ない。
どうしてこんな目に遭わなければならないの?
お願い・・・
誰か助けて・・・
私の右足がそっと持ち上げられる。
「えっ?」
私は何をされるのかと思わず目を開けてしまった。
「あっ」
私の目の前には、グレイバーが広げた漆黒の全身タイツのようなスーツがあった。
その背中の部分は広げられ、そこに私の右足が通されようとしていたのだ。
「いやぁっ! お願い、やめてぇっ!」
私はもう、ただ叫ぶ。
秋奈ちゃんや美智代ちゃんがグレイバーになってしまったのと同じように、このままでは私もルインビーストにされてしまう。
そんなのはいや。
そんなのはいやよぉ・・・
「ヒッ」
すべすべした肌触りが私の右足を伝ってくる。
私の右足がスーツのタイツ部分に滑り込むように入れられていくのだ。
何これ・・・
それは今まで穿いたどんなストッキングやタイツよりも肌触りがよく感じる。
うああ・・・
背筋をゾクゾクとさせる快感・・・
そう、これは快感だわ・・・に私は声を失った。
「ふふふ・・・気持ちいいでしょ? お姉ちゃん」
相変わらず冷たく妖しい笑みを浮かべているインビーナ。
その視線が私を絡め取っていた。
「ああ・・・何これ・・・」
するすると右足が覆われる。
見た目はゴムのラバースーツのような感じさえしたのに、まったく皮膚に張り付く感じがしない。
でも、適度な圧迫がスーツを着ているという快感を私に伝えてくるのだ。
「次は左足ですよ。盛逸司令」
「ああ・・・」
私はグレイバーたちのなすがままに左足を持ち上げられる。
そして、右足と同じようにスーツに左足が通される。
ああ・・・
気持ちいい・・・
気持ちいいよぉ・・・
私はもう何も考えられない。
ただただ、この快感をもっと味わっていたい。
躰が動かないことなんて、もうどうでもよかった。
両足を通されたスーツは私の太ももまでを覆い、ピッタリと密着する。
腰を浮かせられ、股間と腰周りをスーツに覆われた私は、下半身を走るゾクゾクする快感にもう翻弄されっぱなしだった。
やがて二人のグレイバーは私の右腕、次に左腕をスーツに差し入れ、肩を覆うようにして胸と腹部をスーツに密着させる。
「どうですか盛逸司令? 着心地は?」
「はあん・・・ああ・・・いいです・・・」
まるで夢を見ているみたい。
こんな気持ちいいスーツは生まれて初めてだわ。
「もっと締め付けられたいですか?」
グレイバーの問い掛けに私は無言でうなずく。
もっとこのスーツに包まれたい。
私はそう思ったのだ。
すると、きゅっと背中が引き締まる感じがして、胸と首周りが密着した。
「ふふふ・・・背中の開口部が閉まりましたよ。盛逸司令は自らこのスーツを着たんです」
そう・・・なの?
私自身で?
ああ・・・
気持ちいい・・・
「さあ、パーツを付けますね」
グレイバーたちの手には赤茶色の硬質な素材で作られたようなブーツや胸当てが握られている。
あれを私に付けるんだ・・・
私はぼんやりとそう思う。
真っ黒に覆われた私の足。
その足を伸ばして赤茶色のブーツが履かせられる。
ひざまで届くロングブーツは、つややかに光ってつま先も細くヒールも高くてかっこいい。
両足ともブーツに覆われると、私の足は黒と赤茶色のコントラストが素敵だった。
「うふふ・・・感じますか? つま先もヒールの先までも司令の足と一体化したのが」
えっ?
一体化?
ああ・・・
そう言われれば感じるわ。
このブーツが私の足。
つま先もヒールも私の躰なんだわ・・・
グレイバーたちは次に私の腰周りを覆うアーマーと、胸当てを付けて行く。
それらが付けられるたびに、私の躰は赤と黒に染められていく。
そして、右腕の先には、先端が左右に広がる大きなハサミになっている手袋が付けられる。
「慣れるまでちょっとかかるかもしれないですけど、慣れればまったく違和感なくなりますよ」
ああ・・・そうなのかしら?
私は嵌められた右手を動かしてみるが、やはり躰の自由がまだ利かない。
「左手は指先が鋭い爪になっています。獲物を引き裂くには好都合ですよ」
左手にも肘まで覆う赤茶色の手袋が嵌められて、つややかな爪が光っていた。
「うふふふ・・・最後はヘルメットですよ」
そこだけが覗く黒く塗られた唇に笑みを浮かべ、グレイバーは赤茶色のヘルメットを私の前に差し出した。
それは奇妙なヘルメット。
耳まで頭部をすっぽり覆う形をし、目のところが黒いバイザーになっている。
よく見ると、ヘルメットの上にサソリがへばりついているような形をしており、後ろにはサソリの尻尾がたれていた。
バイザーの部分はサソリの両のハサミが保持するような形になっていて、つまり被ると頭の上にサソリが乗る形となる。
私はそれを奇妙な思いで眺めていた。
被せて欲しい・・・
早くあれを被りたい・・・
あれと一体になりたい・・・
私はそんなことを思っていたのだ。
「あ・・・」
私の頭にヘルメットが被せられる。
短くした肩までの髪もヘルメットに包み込まれ、バイザーに覆われた私の視界が真っ暗になった。
「あうっ」
私の頭に激痛が走る。
まるでヘルメットに付いたサソリの脚が、私の頭に食い込んだかのよう。
八つの針が頭に刺さったみたいな痛みに私は頭を押さえようとしたけど、手足はまったく動かない。
反射さえも抑えられているんだわ。
いけない・・・
なんかぼうっとしちゃっていたわ・・・
こんなものを着せられてぼうっとしちゃうなんて・・・
どうやら痛みは治まったみたい。
目を開けたせいか、周りもよく見えるわ。
この部屋ってこんなに明るかったのね。
気がつかなかったわ。
- 2007/08/04(土) 19:36:39|
- グレイバー
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またまた嬉しいことに新たにリンクをしていただけることになりました。
皆様ご存知の方が多いと思われますが、真田クロ様のサイト、「Crooked Navel Homepage」様です。
URLはこちら。
http://home.att.ne.jp/omega/jackson/index.html
真田クロ様は、魅力的なイラストで悪堕ちキャラを描いていらっしゃる素敵なお方です。
きっと皆様も楽しまれたことがおありではないでしょうか。
悪堕ちを中心としたゲーム「Dark Princess」も製作中とのことで、期待がいやがおうにも高まります。
真田クロ様、このたびはリンクありがとうございました。
皆様もぜひぜひ足をお運び下さいませ。
- 2007/08/03(金) 19:25:14|
- ネット関連
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「グレイバー蛇足」の二回目です。
それではどうぞ。
2、
ひんやりした暗い空間。
ここはいったい?
「くっ」
私は起き上がろうとして、躰の自由が利かないことに気がついた。
頭ははっきりしているし、首をめぐらせることもできるのだけど、手足はまったく動かない。
しかも、あろうことかスーツを脱がされ下着だけにされている。
これは確かに女を監禁するにはいい手段だわ。
下着だけしか身に着けていないなら、なかなか女は逃げ出せないもの。
私はそんなこと気にしないけど、手足が動かないのはどうにもならないわね。
「気が付いたようですね。盛逸司令」
闇の中から声がする。
振り向くと、ゆったりとした足取りで二体のグレイバーがこちらにやってきた。
口元だけを覗かせたマスク付きのレオタードにストッキングを身に付け、薄く笑みを浮かべている。
私をずっと監視していたということね。
「387号、インビーナ様に連絡を」
先に近づいてきたグレイバーが後ろのグレイバーに指示を出す。
「ルーィ!」
胸のところで右手を水平にし、直立不動になってしまう後ろのグレイバー。
いったい何を?
「ルーィ! 320号、インビーナ様に連絡いたしました。用意を終えたらすぐにこちらにいらっしゃるとのことです」
「ルーィ! 了解したわ。インビーナ様がご到着なさるまで私たちはこの女を監視します。いいわね」
「ルーィ!」
二人のグレイバーは互いに敬礼らしきものを交し合う。
くぅ・・・
躰の自由さえ利けば・・・
それにしても・・・
このグレイバーの声・・・
どこかで・・・
「もうすぐインビーナ様がいらっしゃいます。おとなしくしていてくださいね、盛逸司令」
「人違いだ。私は・・・」
「うふふ・・・ごまかしは無駄ですよ盛逸司令。私も387号もあなたのことはよく知っているんですから」
「何?」
私は時間稼ぎに別人を装おうとしたけれど、よく知っているとは?
「だめですよぉ、盛逸司令。一人でのこのこご自宅へ帰るなんて。しかも、以前の私が持っていた通信機にあっさりと引っかかるなんて」
ば・・・かな・・・
やはりこのグレイバーは・・・
秋奈・・・ちゃん?
「まさかあなたは・・・あなたは粟端秋奈なの?」
私は聞かずにはいられない。
まさか・・・
まさかまさか・・・
人間がグレイバーに?
研究部から漏れ出たうわさは本当だったの?
「うふふふ・・・それは以前の私の名前。私がくだらない人間だったときの名前ですね。でも今は違うんですよ。私はグレイバー320号。ルインの忠実なるしもべなんです。お前もそうよね、四釜美智代さん?」
そう言って背後のグレイバーに振り向く目の前のグレイバー。
「ルーィ。それは昨日までの私の名前です。今の私はグレイバー387号。320号のおかげで私は生まれ変わりました。すごく幸せです。ルインに栄光あれ」
私は目の前が暗くなった。
血の気が引いたことがよくわかる。
なんてこと・・・
セーバーチームのオペレーターがグレイバーになってしまった?
そんなことがありえるの?
信じられない・・・
いったいどういうことなの?
「ふふふ・・・こんばんは。セーバーチームの盛逸司令」
インビーナ!
私はありったけの憎悪を込めた目で彼女をにらみつける。
いつの間に入ってきたのか知らないが、小脇に何かを抱え、口元に笑みを浮かべたその顔を、私は唇を噛み締めながら見据えてやった。
「ふふふ・・・いい表情だわ。さすがはセーバーチームの司令官ね」
小脇に抱えていたものをグレイバーに手渡し、私のすぐそばまでやってきて私を見下ろしてくる。
悔しい悔しい・・・
躰の自由さえ利けば、この女を今すぐにでも殺してやりたい。
この女は・・・
この女は・・・
「インビーナ! お前は赦さない! その顔は・・・お前のその顔は絶対に赦せない!」
私は必死に躰を動かそうと試みる。
せめて脚だけでも動かせれば・・・
でも、私の躰はピクリとも動いてはくれない。
悔しい・・・
「ふふふ・・・この顔が赦せない? 私の顔がどうして赦せないのかしら?」
それは・・・
私は唇を噛む。
ニヤニヤと私を見下してくるインビーナの顔。
それは私にとってはこれ以上ない屈辱。
かつてその顔は・・・
「言えないか? ならば私から言ってやる。お前はこの顔が妹の顔に瓜二つだから赦せないのだろう?」
グ・・・
やはりそういうことか・・・
私は動揺しまいと必死に心を落ち着かせる。
しかし、あの事件を忘れることなどできはしない。
「二年前に死んだお前の妹、森嶋和泉(もりしま いずみ)にね。そうでしょう? 森嶋希望(もりしま のぞみ)」
本名まで・・・
防諜と安全のために私が盛逸成実という偽名を使っていることは、本部でも知る者は限られているのに・・・
ルインはどこまで知り尽くしているのか・・・
あの事件・・・
その事を思い出すと今でも私の心は張り裂けそうになる。
あの日・・・
私は和泉とともに訓練に勤しんでいた。
山林内のサバイバル訓練。
私たちはセーバーチームの候補の一人だったのだ。
セーバーチームはあらゆることを求められる。
サバイバル訓練もその一つ。
私たちはペアを組み、迷彩服に身を包んでの野外訓練を楽しんでいた。
厳しく危険な訓練だが、和泉と一緒なら楽しかった。
「お姉ちゃん!」
その時だった。
和泉が切迫した声をあげたのは。
私はすぐに和泉のところへ行った。
和泉の周りには数体のグレイバーがいて、彼女を取り囲んでいた。
「グレイバー!」
私はすぐにサバイバルナイフを構え、和泉を助けに駆け寄った。
ナイフだけでのサバイバル訓練だったので、武器は持っていなかったのだ。
「お姉ちゃん、逃げて!」
和泉もナイフで応戦していたが、とても対抗できるはずがない。
和泉が私を呼んだのは、私には逃げて欲しかったからなのだ。
「クッ」
私はどうにかグレイバーたちをかわして和泉のところへ行きたかった。
でも、グレイバーは私の方にも迫ってくる。
ナイフではグレイバーの服を切り裂くことさえできはしない。
銃弾だって歯が立たないのだ。
ナイフだけではどうしようもない。
「和泉ー!」
私は和泉の名を叫んでいたが、和泉とは離されるばかり。
私はじりじりと追い詰められ・・・
やがて足場を踏み外してがけ下に転落した。
しばらくして気が付くと、あたりはすでに夕闇が迫っていた。
幸い肩関節の脱臼程度で済んでいたが、下に樹木がなかったら死んでいたはず・・・
いや、むしろその方がよかったかもしれない・・・
無傷で済んだ通信機で助けを呼び、自衛隊員たちの協力のもと周囲の捜索が行なわれ・・・
和泉の死体ががけ下から見つかったのだ。
「和泉は・・・和泉はルインに殺された! お前たちに殺されたのよ」
私は叫ぶようにそう言ってインビーナをにらみつける。
視線で相手が殺せるものならば、インビーナは私の視線で焼き尽くされているに違いない。
「ふふふ・・・うふふふ・・・あははははは・・・」
可笑しそうに笑い出すインビーナ。
和泉の顔で笑うその姿に私は耐え難いものを感じる。
「何が可笑しい!」
「ふふ・・・私がこの顔をしているのはどうしてだかわからないの?」
インビーナがすっとしゃがみこむ。
私の顔に顔を近づけ、もっとよく見なさいと言わんばかりだ。
「決まっているでしょう、私を苦しめるため。私を苦悩させ、判断力を低下させるため。でもその手には乗らないわ」
本部の出した結論も、私の出した結論も同じ。
ルインはインビーナにあえて和泉の顔をさせ、生き残った私の無力化を計ったのだ。
和泉の死は私を打ちのめすには充分だった。
セーバーチームは一挙に二人の候補者を失ったのだ。
ルインは本当は私も殺すつもりだったのだろう。
だが、予想に反して私は生き残った。
でも、ただそれだけだった。
怪我が回復しても、私にはもう訓練を続ける気力も何も湧いてはこなかった。
セーバー候補者としての誇りも失せ、和泉を失ったことを嘆くだけの私は、やがて候補者から外される。
ただ、知識とルインに対する怒りとを持った私を本部は司令部要員として配属し、昨年私はセーバーチームの司令官となった。
でも・・・
和泉のことはいつも忘れない。
それどころか、こいつが忘れさせてくれない。
私はインビーナが憎かった。
殺したかった。
躰さえ動けば・・・
「お前たちの作戦は成功したんでしょうね。候補者を二人とも抹消できたのだから」
私は皮肉っぽくそう言ってやる。
セーバーチームは結局今のレッド、ブルー、グリーンが立派に引き継いでいるわ。
ルインの手に引っかかったのは癪だけど、殺されれば和泉に会える。
私の恨みはきっと彼らが・・・
「うふふふ・・・あははははは」
「何が可笑しいの!」
私は目の前で笑うインビーナを怒鳴りつける。
「あはははは・・・ああ、可笑しい」
ひとしきり笑ったインビーナは、驚いたことに私の首に手を回して上半身を抱き起こすように抱え込んでくる。
「な、何を」
私は躰が動かないことにいらだちながらも、なすすべがない。
「うふふ・・・小さい頃は私の方がこうしてお姉ちゃんに抱いてもらったよね」
えっ!
ま・・・まさか・・・
「ねえ、お姉ちゃん。本当に私が死んだと思っていたの? あれは偽者だって思わなかったの?」
偽者?
それは・・・そう思いたかった・・・
でも・・・
でも・・・
がけ下に落ちていた和泉は間違いなく和泉だった。
私が見間違えるはずはないし、がけ下に落ちたにしては死に顔も綺麗で判別が付いた。
信じられなかった。
和泉じゃない。
私はそう思いたかった。
でも・・・
でも・・・
念のために実施してもらったDNA鑑定でも、本人に間違いはないと言われたのよ。
「そう思いたかったわ。絶対違うって思いたかった! でも・・・でも・・・」
私の目から何かがこぼれる。
「うふふ・・・泣いてるの? お姉ちゃん」
「な、泣いてなど・・・」
「あんなの出来損ないを一つ作ればいいだけ。死体でいいなら不完全なクローンで充分なの。DNA検査ぐらいは一致するしね。だから、だまされてくれたのは嬉しいけど、他愛もなく信じてしまうなんてね」
そ・・・そんな・・・
確かにクローンならDNAや血液型は一致する。
でも・・・
そこまでして?
「ねえ、お姉ちゃんは覚えている? 小さい頃学校を抜け出して林に行ったこと・・・」
林?
ああ・・・
和泉は言い出したら聞かないところがあったから・・・
どうしてもウサギに会いたいんだって言って・・・
ウサギを探しに学校近くの林に行ったんだわ・・・
「あとで怒られたけど、お姉ちゃんが私をかばって、自分がカブトムシを取りに行くんで私も連れて行ったって言い張ったよね」
ああ・・・
そうだったわ・・・
和泉が怒られるのは耐えられなかったから・・・
私が怒られたほうがましだと・・・
ま、待って・・・
そのことは誰も・・・
和泉?
やはりあなたは和泉なの?
「うふふ・・・思い出してくれたかしら? お姉ちゃん」
インビーナの笑顔が私に向けられていた。
- 2007/08/03(金) 19:12:15|
- グレイバー
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今日から四日連続でSSを一本投下いたします。
これは先日投下しました「グレイバー」の続編ですが、言ってしまえば蛇足です。
本来「グレイバー」はあれで完結したものでしたが、私自身が続きを妄想してしまったのと、多少の続きが見たいと言うリクエストをいただいたことで、つい形にしてしまいました。
あくまで蛇足ですので、お気に召さないところが有るかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです。
それではどうぞ。
1、
「チクショー!!」
苛立ちの声とともにテーブルに叩きつけられる拳。
セーバースーツを着ていないからいいようなものの、もし着ていたらあのテーブルは粉々に砕け散っていたに違いない。
「落ち着けよ政司(せいじ)! 秋奈(あきな)ちゃんは頭のいい娘だ。きっと無事にどこかで救出を待っているさ」
永戸(ながと)君がいらだつ粟端(あわはし)君を落ち着かせようとするけど、たぶんあれでは落ち着けないわ。
「落ち着けだって? もう秋奈がいなくなって一週間にもなるんだぞ! てめえよくそんなことが言えるなっ!」
今にも永戸君に掴みかかろうとする粟端君。
これではチームワークはズタズタだわ・・・
「政司、秋奈ちゃんがいなくなって苦しんでいるのはお前だけじゃない。このベースにいる誰もが心配しているんだ。警察だって優先的に動いてくれているし、このベースの警務部門も動いている。そのうち結果は出る。それまで待て」
私が口を開こうとした時、西下(にしした)君が静かに口を開く。
体格の大きさのせいもあるのか、どっしりと構えているようなところが頼もしい。
「とにかく、何らかの事件に巻き込まれたことは疑いないわ。ただ、それがルイン絡みであるという証拠はないし、捜査力を持たない我々が動いたところで得るものは少ないわ。粟端君、待つのも重要なことよ」
そう、二十歳そこそこの女性が行方をくらませるような事件はルイン絡みでなくても充分に起こりえる。
むしろ陵辱目的あたりで連れ去られたと考える方が正しいのかもしれない。
「盛逸(もりはや)司令・・・」
唇を噛んで拳を握り締めている粟端君。
無理もないわ・・・
秋奈ちゃんはたった一人の大事な妹ですものね。
私は秋奈ちゃんが今どういう状況なのかを憂えて、胸が苦しかった。
「そういえば、四釜(しかま)さんもここ二日ばかりいないんですね?」
私は西下君にうなずく。
「美智代(みちよ)ちゃんは体調不良でお休み中よ。彼女も秋奈ちゃんの失踪を相当気にかけていたから、きっとそのせいもあるかもしれないわ」
交代制とは言え、メインオペレータの二人がいない。
これはセーバーチームにとっても少なくない痛手だ。
もし、これがルインの手によるものだとしたら・・・
でも、彼女たちがセーバーチームのオペレーターであるということは第一級の機密事項のはず。
ルインに知られるということなど万が一にもありえるはずが・・・
「どっちにしても、何かあったときにはすぐに出動できるようにしていてちょうだい。あなたたちだけが世界を救う希望なんですからね」
私がそう言ってセーバーチームの面々を見渡すと、彼らは力強く頷いた。
「それじゃ、後はお願いね」
私はハンドバッグの中身を確認して立ち上がる。
「了解です。司令も少し休んでくださいね。お疲れのようですから」
副司令の神楽崎安奈(かぐらざき あんな)が少し心配そうに私の方を見つめている。
大丈夫よ。
まだまだ二日三日の徹夜ぐらいは大丈夫。
でも、気力は保てても、お肌にはよくないわよね。
「大丈夫よ。でも、家に帰って少し休むわ。何かあったら連絡をちょうだい」
「はい。お疲れ様でした」
安奈に手を振って、私はセーバーベースの司令室を後にする。
彼女はこの春に着任したばかりの若手士官。
防衛大のエリート教育を受けているけど、少し杓子定規というか臨機応変さが足りなく感じる。
規程に乗っ取って組織を運用することはもちろん重要だけど、そればかりでは足元をすくわれるかもしれない。
そのあたりを上手く教えてあげられればいいんだけど・・・
「お疲れ様でした。お気をつけて」
「ありがとう。それじゃお先に失礼するわ」
ゲートの警備員に見送られ、私はカモフラージュされた建物から外へ出る。
残業を終えたOLのような振りをして建物から出てきた私を気に留めるものなど誰もいない。
これこそがセーバーチームを安全に保つための工夫なのだ。
仰々しく護衛の車付きで送り迎えするのも悪くはないのかもしれない。
でも、それこそ目立つことこの上ないし、護衛を上回る戦力で攻められたらどの道意味がない。
目立たないこと。
一般人であること。
これこそが最大の防御になるはず。
もちろん最大限の注意は払う。
ハンドバックの中にはスタンガンや位置報知システムや通信機などが入っている。
何かあれば、すぐにでもセーバーチームに知らせが行くようになっているのだ。
さて、今日はどのように帰ろうか。
宵の口の街なかは人でにぎわっている。
そういえばもうすぐ七夕だわね。
私のふるさとは八月に七夕を行なうから、かえってちょっとぴんと来ないけど、デパートなどのショーウィンドウは浴衣や夏物衣料のマネキンで楽しげだ。
そろそろ冷たいものの美味しい季節。
秋奈ちゃんが無事に戻ったら、お祝いにみんなでビヤガーデンに繰り出すのもいいかもしれない。
私はそんなことを考えながら、駅前の大型書店に立ち寄った。
できるだけパターンにならないように、それでいて気まぐれに行き先を決めて帰り道のルートを分散する。
そのためにまっすぐ家に帰ることはほとんどない。
尾行などにもできるだけ気を付けて、人ごみの中を縫うようにして歩く。
書店に寄って出たばかりの小説を一冊買ってきたのもそのため。
尾行に気がつきやすく撒きやすい。
で、ケーキ屋の前にいるのは予定外中の予定外。
まずったわね。
この通りを通るんじゃなかったわ。
ここのケーキって美味しいのよ。
ついつい食べたくなっちゃうじゃない。
どうせ家に戻ったって、秋奈ちゃんの事もあるし休むに休めないわ。
仮眠を取るぐらいが関の山。
食事は司令部でサンドイッチをつまんだから問題ないし・・・
ケーキかぁ・・・
私は自分のスタイルが気になる。
こればかりは世の女性はみんな気になることよね。
普段から体力維持と体型維持を兼ねた運動をしているとは言え、少しでも気を抜くわけには行かない。
でも・・・
疲労回復のためにも甘いものの一つぐらいは・・・
決めた。
一個だけ買って、家でお茶にしましょう。
小説を読みながらお茶してリラックスすれば、少しは疲労も取れるでしょうしね。
うん、そうしましょう。
私は一人頷くと、ケーキショップの入り口をくぐっていた。
ふう・・・
近づいてくる私のマンション。
と言っても、半分以上はセーバーチームの予算から出されているんだけどね。
今日も何事も無く帰りつけたみたい。
マンションはセキュリティもしっかりしているし、まず問題ない。
この行き帰りの時間だけが危険といえば危険な時間。
でも、ルインが嗅ぎつけているとは思えな・・・
あれは?
マンションの玄関付近の植え込みの脇に放り投げられたように置かれたピンク色の携帯端末。
作動していることを示す赤いLEDが点滅している。
間違いない。
あのピンクの携帯端末は秋奈ちゃんの携帯端末だわ。
この近くに来ているの?
もしかしたら逃げてきて私に助けを求めに来たの?
私はすぐにそのピンク色の携帯端末に近づいた。
「こんばんは」
その声を暗がりの中から聞いた時、私は自分のうかつさに呪詛の言葉を吐きたくなった。
こんなのは罠に決まっていたのだ。
都合よく私の住むマンションの入り口近くに落ちていた秋奈ちゃんの携帯端末。
ちょっと考えればわかることだったのに・・・
私は暗がりの中の人影を確認することもなく飛び退る。
距離をとって逃げ出すのだ。
そしてすぐさまセーバーチームに・・・
だが遅かった。
振り向いた私の前に黒尽くめの女が立っていた。
のっぺらぼうのように目も鼻も耳もない。
その代わり、口元だけが黒一色の中から覗いていた。
その唇も黒いことに気が付いたとき、私は首筋に衝撃を受ける。
「あぐっ」
全身に痺れが走り、私はその場に崩折れた。
うふふという笑い声とともに足音が近づいてくる。
意識がどんどん遠くなっていく。
「ダメですよ、司令。いくらルートを変えたって、行き着くところは同じなんですから」
ああ・・・その通りだわ・・・
でもね・・・
ここを嗅ぎつけられるとは思っていなかった・・・の・・・よ・・・
- 2007/08/02(木) 19:12:45|
- グレイバー
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