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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ノモンハン6

「満州国」(正式には満洲国。当用漢字表の趣旨に基づき教科書で使われる字体で表記)は日本の傀儡国家であるとは言え、れっきとした独立国としての体裁は整えておりました。
無論、独立国と言っても、それは各国に承認されなければなりません。
しかし、当時ソビエト連邦(以下ソ連)は、満州国を独立国としては承認しておりませんでした。

最終的(太平洋戦争終了時まで)には当時の世界の三分の一に当たる23ヶ国が承認(準承認含む)をした満州国ですが、ソ連は承認をしていません。
ソ連にとっては満州は中国の一地方に過ぎなかったのです。

そうなると、独立国家同士で決められるべき国境というものを、満州国とソ連の間で取り決めることができませんでした。
ソ連はあくまでも中国(清朝)との間の取り決めであるネルチンスク条約に基づいた国境線を中ソ国境とし、日本側も一応はそれでよしとみなすほかなかったのです。

しかし、このネルチンスク条約も国境線に関してあいまいなところが多い条約でした。
一望千里の草原や砂漠が多い土地では、国境線があいまいになるのは仕方ないことだったのかもしれません。

ですが、満州国にとっては大事な国境線であり、満州国の治安と防衛を担当する満州国軍、ひいては関東軍にとっては無視できないものでもありました。
満州国軍が頼りになるものではない以上、満州国の防衛はひとえに関東軍にかかっており、国境守備も関東軍の重要な任務の一つだったのです。

大日本帝国陸軍にとっては、日露戦争以来その主敵はロシアであり、その後を継いだソ連でした。
満州事変以後上海事変などで中国と戦争状態にありましたが、あくまでも陸軍にとっては主敵ソ連であり、特に満州国に駐留し常に隣国であるソ連の脅威を感じていた関東軍にとっては、その思いは必要以上に強いものでした。

第一次世界大戦後、ロシアでは革命が発生し、それに呼応するように各国がシベリアへ出兵します。
日本も各国軍の中で最大級の出兵をしますが、さほど益も無く、かえって最後まで出兵を続けていたために各国の批判を浴びました。
このシベリア出兵から満州事変に至るまでぐらいの間は、ソ連にとっても国内が落ち着かない時期でもあったために、満州方面でのソ連の行動はおとなしいものでした。

しかし、昭和8年(1933年)に始まった、ソ連の第二次五ヶ年計画は極東の開発が重視され、ウラジオストックを中心とするソ連極東方面は著しい経済開発と、軍事力の増強が行なわれることになります。
一方、満州防備に任じる関東軍も、広大な満州全土を守るために飛躍的な増強を見ますが、やはり日本の国力から言って、ソ連とは格差が生じます。

この背景には国力差もそうですが、ソ連の対日不信感の増大も一因でした。
ソ連は革命政権の基盤が整わないうちは、日本と事を構えたくないとして、昭和6年(1931年)には相互不可侵条約を申し入れました。
しかし、当時の日本政府は赤色革命によって生じた共産主義政権に対する恐怖と嫌悪からこれを拒否。
ソ連側は対日融和としてさらに東支鉄道の売却を持ちかけますが、これもすったもんだの挙句、売却成立までに二年を要する結果になります。
このため、ソ連は対日不信感を強め、東支鉄道売却で得た利益の大部分で、ソ満国境にトーチカ群を築くという行為に出ます。
ソ連は日本との融和をあきらめたと言っていいでしょう。

一方、日本側、特に関東軍はソ連が軍備力を強化して行くのを知りませんでした。
いえ、知っていたとしても無視しました。
関東軍の軍備を増強したとは言っても、歩兵師団三個、機械化師団一個を中心とする五万人の兵力では、極東ソ連軍二十三万にはどうあっても太刀打ちできません。
しかし、そのことを指摘するものは、「恐ソ病患者」と呼んで非難しました。
精強帝国陸軍にあって、なおその中の精強を持って自負する関東軍は、たとえ敵が幾万ありとしても、強靭な精神力を持ってあたれば、鬼神もこれを避くようにソ連軍に対しても対処できると見ていたのです。

確かにソ連軍はいくらかは増強しているだろう。
しかし、烏合の衆であるし、日露戦争では負けたではないか。
これからもこちらが断固たる態度で臨めば恐れるに足らん。
必要なのはソ連に舐められないことである。
数を頼んでこちらが少数であるがゆえに舐めた行動をソ連が起こした場合は、断固として一撃をするべきである。
そうすればソ連は懲りて満州にちょっかいをかけることもなくなるだろう。
とにかく舐められないことが肝心だ。

関東軍はそう考えていました。
以後、ソ連(ソ連の友邦国である外蒙古含む)と満州国との間の国境線不明瞭な地域における衝突は激化の一途をたどります。

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  1. 2007/07/30(月) 21:08:09|
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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