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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

二周年記念SSをもう一つ

忘れてませんよーということで、二周年記念にもう一本投下です。

久々のグァスの嵐。
もうお忘れの方も多いでしょうね。

半年振りになりますが、またチョコチョコと書いて行ければなと思っております。
よろしくですー。

17、
クラリッサを別室へ連れて来たダリエンツォは、マグカップにそっと薬を仕込む。
思考を鈍らせ言うことを聞かせやすくするする薬だ。
奴隷を調教する時に使われるという。
「飲め」
薬が混ざっているホットワインを手渡すダリエンツォ。
ほのかな甘い香りがクラリッサの鼻腔をくすぐった。
「これ?」
クラリッサが顔を上げる。
「ああ、躰が温まる」
「あ・・・」
クラリッサはそっとマグカップに口を付けた。
暖かいワインが喉に染み渡る。
はちみつでも入っているのだろうか。
甘い。
「あの男のことがわかったか?」
ピクッとクラリッサの肩が震える。
「あの男はお前を利用していたのさ」
マグを持つクラリッサの手も震える。
違う・・・
違う・・・
そう思いたい。
でも、あれは強制されて言っていたようには思えなかった。
「お前は見捨てられた。あの男はお前を捨てたのだ」
「ああ・・・」
クラリッサの頬を涙が伝う。
捨てられた・・・
私はダリオに捨てられた・・・
あんなに好きだったのに・・・
ダリオは私のことを好きじゃなかったんだ・・・
「わかっただろう? あの男がいかにひどい奴か」
ダリエンツォの言葉がクラリッサに突き刺さる。
ひどい・・・
ひどい・・・
ダリオはひどい・・・
私を・・・
私をだまして・・・
私をだましていたんだ・・・
「悔しいだろう?」
悔しい・・・
悔しい悔しい・・・
悔しい悔しい悔しい・・・
「ひどい目にあわせてやりたくないか?」
ひどい目に?
クラリッサがふと顔を上げる。
妖しく微笑むダリエンツォの顔がそこにはあった。
「ひどい・・・目に?」
「ああ・・・俺はお前の味方だ。お前を救ってやる」
救う?
私を救う?
誰から?
誰から救うの?
「俺がお前を救ってやる。お前の苦しみを解き放ってやる」
苦しみ?
この苦しみから救ってくれる?
私を救ってくれるの?
ああ・・・
嬉しい・・・
すごく嬉しいよぉ・・・
「お前を苦しめていたのは誰だ? あのダリオという奴だろう?」
ダリオが?
ダリオが私を?
そうだ・・・
ダリオは私を苦しめた。
ダリオは私を裏切った。
ダリオは私を見捨てた。
ダリオは私を苦しめた!!
「どうだ? 奴を殺したくないか?」
殺・・・す・・・?
ダリオを殺す?
ダリオを殺す・・・
ダリオを殺す。
ダリオを殺す!!
「ダリオを・・・ダリオを殺す」
クラリッサの目に狂気が宿る。
ダリエンツォはその目におのれの策が上手く行っている事を見て取った。

渡されるナイフ。
それはあらためてクラリッサを怖気づかせるには充分なもの。
だが、それはダリエンツォもわかっている。
狂気を浸透させなくてはならない。
「大丈夫だ。お前は救われる。これでお前は救われるんだ」
「私は救われる・・・私は救われる・・・」
ただただナイフを見つめ、つぶやいているクラリッサ。
その目は虚ろ。
その肩を抱き、ダリエンツォは彼女を誘った。

「もういいでしょ? あの女は好きにしていいから、俺を解放してくれませんか?」
卑屈な笑みを浮かべて周りの男どもに訴える。
なんなら多少の身代金だって払ってもらえるはず。
ガンドルフィ家は少しは金がある家なのだ。
「さあてね。キャプテンがなんと言うかな」
そう言って水夫たちが下卑た笑い声を上げる。
ダリオはため息をつくしかなかった。

その時ドアが開く。
そこから入ってきた人影を見て、ダリオは息を飲んだ。
「ク、クラリッサ・・・」
入ってきたのはキャプテン・ダリエンツォとクラリッサだった。
だが、クラリッサはうつむいてダリオの方を見ようとはしない。
「ダリオ・ガンドルフィ」
クラリッサの様子をもっとよく見ようと思ったダリオだったが、ダリエンツォに声をかけられ、そちらの方を向くしかなくなる。
「な、なんです?」
「解放されるのはお前じゃない」
ダリエンツォがにやりと笑う。
「えっ?」
俺じゃない?
それじゃクラリッサが解放されるのか?
こいつらの狙いは彼女じゃないのか?
「クラリッサ、あの男を刺せ。そうすればお前は解放されるんだ」
ダリエンツォはクラリッサにそう耳打ちして、肩を押してやる。
ふらりと二・三歩前に出るクラリッサ。
顔を上げた彼女の目は虚ろだった。

「ク、クラリッサ・・・」
両手を後ろ手に縛られ、両足も縛られているダリオは身動きが取れない。
「ダリ・・・オ・・・」
クラリッサの手には光るナイフが握られていた。
「ク、クラリッサ」
ダリオはぞっとした。
まさか・・・
まさか彼女は俺を殺す気か?
「ダリオ・・・」
ふらふらとクラリッサはダリオに近づいていく。
「よ、よせ、クラリッサ。俺だ。ダリオだ。婚約者のダリオだよ」
「婚・・・約・・・」
「そ、そうだ・・・愛してるよ、クラリッサ」
ダリオは必死で縛られた腕を解こうともがきながら、クラリッサに語りかける。
嘘がばれてしまったのは直感的に感じたが、それしか彼女を止める手立てが思いつかない。
「愛・・・してる・・・?」
ピクッと肩を震わせるクラリッサ。
その歩みが一瞬止まる。
「そうだ。愛してるよクラリッサ。一緒にうちへ行こう。家族もきっと君を待っている」
「嘘・・・よ・・・」
「えっ」
「私をまた・・・だますのね?」
クラリッサの目に異様な光が灯る。
「だ、だますなんて・・・」
ダリオが唇を噛む。
まったく・・・
なんてこった・・・
「だましてなんかいないよクラリッサ」
「無駄だよ」
ダリエンツォが首を振る。
「先ほどのお前の話しを聞かせてやった。そいつはもうお前の言葉を信じはしないさ」
「くそっ」
ダリオは舌打ちした。
「クラリッサ、あんな奴の言うことを信じるのか? 俺の愛を疑うのか?」
「い・・・や・・・」
「クラリッサ!」
「私は解放されるの・・・私は解放される・・・」
クラリッサがナイフを振り上げる。
「クラリッサ!」
どすっと言う音とともに、クラリッサの頬に血しぶきが飛び散った。
  1. 2007/07/16(月) 22:45:06|
  2. グァスの嵐
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  4. | コメント:3

二周年記念

新潟・長野を中心に、大きな地震がありました。
亡くなられた方も出てしまったということで、あらためて地震の恐ろしさを感じます。
被災なされた方々に、心よりお見舞い申し上げます。


さて、二周年記念として、「ホーリードール」を少しですがお送りします。

本来二周年記念として書いてきたSSもあったのですが、日程的に間に合わず、いずれ一気に掲載させていただこうと思います。

では、少しだけで申し訳ありませんが、「ホーリードール」お楽しみ下さい。

24、
「ん・・・」
人もうらやむような熱いキス。
夜の帳が下りた公園にはまだまだ人が多い。
家路を急ぐ人。
これから仕事に向かう人。
そして、二人だけの時間を楽しんでいるカップル。
彼女もそのカップルのうちの一人だ。
付き合って一年になる彰(あきら)はもったいないほどの彼。
今日はこれからホテルへ行ってたっぷりと楽しむのだ。
下着だって黒でまとめ、お手入れだってしっかりとした。
もうすぐ二人は一緒になる。
二ヵ月後には結婚式。
少し不安だけど、彰だったら私を守ってくれるよね。

「あれ?」
戸惑ったような彼の声。
「どうしたの?」
甘い口付けから引き離され、紀代美(きよみ)はちょっと不満を覚えた。
「いや・・・その、あたりが急に静かになったなと思って・・・」
紀代美を抱きしめた腕を緩め、周囲を見回す彰。
何となく背筋に冷たいものを感じて紀代美も周囲に目を配る。
「何? 何なの?」
「わからない。誰もいなくなっちまった・・・」
それは事実だった。
先ほどまで聞こえていても気にならなかった周囲の喧騒がまったく聞こえなくなっている。
人の姿も無く、噴水の近くのベンチに座る二人を、月と街灯だけが照らし続けている。
「彰・・・」
何となく恐ろしくなり、紀代美は彰にしがみつく。
「だ、大丈夫だよ。たまたまさ。そう、たまたまだよ」
自身の不安を隠すことができずにいながら、男はそう答えるしかない。
いったい何が起こっているのか?
二人にはまったく想像できなかった。

ふっと周囲の街灯が一斉に光を失う。
「きゃぁー」
悲鳴を上げる紀代美。
噴水を彩っていたさまざまな色彩のイルミネーションも消え去り、樹木が闇を増大させて不気味この上ない。
「て、停電だよ、停電」
彰は自分自身の恐怖も手伝って、紀代美をしっかりと抱きしめる。

カツコツと足音が響く。
「?」
静かな暗闇の中、人影が近づいてくるのだ。
シルエットになっているので顔はわからない。
だが、何か長い布・・・そう、マントのようなものを羽織っているような姿であることは見て取れた。
「こんばんは」
優しそうな声がする。
女の人だ。
落ち着いた大人の女性。
二人にはその声にホッとしたのと同時に、得体の知れない不気味なものをも同時に感じていた。

樹木の影が作った闇。
その影から姿を現した女性を月明かりが照らす。
「ヒッ」
月明かりが照らし出したその姿に息を飲む紀代美。
その女性は、まさに闇の中から現れた女性といっていいいでたちだった。
身に纏っているのは黒いエナメルのレオタードタイプのボンデージ。
銀色の鋲やチェーンをあしらったベルトが腰周りを飾り、肩には鋭いとげが付いたパッドが突き出している。
両手は肘から先を同じく黒エナメルの手袋が包み込む。
両脚は太ももまである黒いロングのハイヒールブーツが覆い、肩からは裏地の赤い黒マント。
そして額に嵌めたサークレットの両脇からはねじれた角が額の方へと伸びていた。

「な、なんだ、あんたは?」
彰は精いっぱいの虚勢を張る。
本当は一も二も無く逃げ出したいような恐怖を女からは感じていた。
しかし、ここで逃げたりしたら紀代美に軽蔑されてしまう。
ただそれだけのために彰はこの場にとどまっていたのだ。
「私はデスルリカ」
「デスルリカ?」
男の方には一瞥をくれるだけで、デスルリカの視線は紀代美に向けられていた。
得体の知れない恐怖にガタガタ震える彼女を、慈愛に満ちた笑みで見つめる闇の聖母。
まさにデスルリカの笑みはそう言って差し支えなかった。
「あなた。あなたには素敵な生命力が満ち溢れているわ。さあ、私にそれを差し出しなさい」
すっと誘うように右手を差し出すデスルリカ。
その目が一瞬赤く輝き、紀代美の瞳を射抜いていた。
「あ・・・」
ふらりと立ち上がる紀代美。
「き、紀代美?」
すっと自らの腕をすり抜けるようにして立ち上がった彼女に戸惑いを隠せない彰。
「紀代美!」
慌てて紀代美の腕を掴み取る彰。
おかげで紀代美の動きが止まる。
しかし、彼女の目はデスルリカに向けられ、腕を離されればすぐにでも彼女の元へ行ってしまうに違いない。
「てめぇ! 紀代美に何をした! 紀代美をどうするつもりだ!」
先ほどまでの恐怖は怒りに変わり、彰はデスルリカをにらみつける。
「お前には用は無い。死にたく無ければ邪魔をするな」
ウザったい虫けらでも見るような目でデスルリカは男をにらみつける。
くだらない人間。
黙って立ち去ればいいものを・・・
この女を確保しようとした時にどうしても結界に入れざるを得なかっただけの男。
わずらわしい・・・
「ふざけんなよコスプレババァ! 紀代美は俺の彼女だ! てめぇの好きになんかさせるかぁ!」
ピクッと躰を震わせるデスルリカと紀代美。
いずれもが彰の言葉に反応してのものだが、反応した言葉自体はまったく別物だ。
「邪魔するなだぁ! そっちこそさっさと失せな! 俺はこれでも剣道四段なんだぜ」
それは事実。
彰は高校時代は県大会で優勝したこともある実力の持ち主だった。
「紀代美、下がっていろ」
ぐいと紀代美を無理やり引き寄せ、ベンチに被さるように茂っていた木の枝を一本へし折る。
木刀としては心もとないし、使い勝手もまったくよくないのだが、このイカレタ女を相手に脅しには使えるだろう。

「そう・・・死にたいのね。その願い、かなえてあげるわ」
デスルリカの口元に冷たい笑みが広がる。
単に無視したかったから放っておいただけなのに・・・
わずらわしいから捨て置きたかっただけなのに・・・
でも・・・
邪魔するなら容赦はしない。
デスルリカはその手に漆黒のハルバードを呼び出した。
長さ三メートルほどもあろうかという漆黒の柄のハルバード。
先端には槍の穂先と斧の刃先が付いている。
突いてよし、切ってよしの実用的な武器。
もちろん魔力を帯びたそれは切れ味も並ではない。

男の顔色が変わる。
まさか武器を持ち出すとは思わなかったのだろう。
だがもう遅い。
ベータに必要な魔力を抽出する前に虫けらを一匹始末しよう。
ほんの一手間だけでいいのだ。

「クッ・・・」
男が逡巡する。
相手が持ち出したのは槍だ。
木の枝では勝負にならない。
だが・・・
だが・・・
「うわぁぁぁぁぁっ!」
男は木の枝を振りかぶって駆け出した。

「デスハルバード」
デスルリカはそう一言つぶやくと、笑みを浮かべながら無造作にデスハルバードを突き出した。
「グホッ」
男の声が響き、デスハルバードは男の胸を貫く。
そして、驚いたことにデスルリカは男の躰を突き刺したまま、デスハルバードを一閃して男の死体を遠くへ放り投げた。

すうっと実体を失うデスハルバード。
デスルリカの手にはすでに何もない。
呆けたように立ち尽くす紀代美のもとへ彼女は向かう。
「待たせたわね。さあ、あなたの生命力をちょうだい」
「は・・・い・・・デス・・・ルリカ様」
見つめられ、話しかけられるままに紀代美はうなずく。
その目はデスルリカから離れない。
「ふふ・・・」
デスルリカはそっと紀代美を抱き寄せると、静かに唇を重ねた。
「ん・・・んん・・・」
紀代美の躰が小さく震える。
そして、手の指先がぴんと伸ばされ、ガクガクと震えたかと思うと、すべすべして綺麗な肌が急速に萎び始めた。
「んんんー」
紀代美は目を見開いて恐怖に身を振りほどこうとしたものの、すでに躰の自由は利かなかった。

やがてミイラのように萎びてしまった紀代美の死体は崩れ落ち、笑みを浮かべたデスルリカだけが立っていた。
「まあまあね。さ、急いで戻らないと・・・ベータが待っているわ。それに紗希も。うふふふふ・・・」
黒く塗られた唇を舐め、妖しい笑みを浮かべたデスルリカは、優雅にその場を立ち去って行く。
結界が消え、ミイラのような紀代美の死体が見つかったのは、それから程なくのことだった。
  1. 2007/07/16(月) 20:14:29|
  2. ホーリードール
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

丸二年達成です

2005年7月16日は私のブログ開始の日です。

つまり、昨日の時点で丸二年が経過しました。

だからなんだというわけではありませんが、私自身ちょっと嬉しいですね。
ここまで連続投下ができるとは正直思っていませんでしたので。

今日からまた新たな気持ちでブログを進めて行きますが、丸三年連続投下できるかな?

これからも一日一日一歩ずつ歩んで行きたいと思います。
皆様、どうぞ応援よろしくお願いいたします。
  1. 2007/07/16(月) 10:29:47|
  2. 記念日
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:12

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プロフィール

舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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