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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

アメリカ南北戦争概略その36

フッド追撃を麾下のジョージ・H・トマスとジョン・M・スコフィールドに任せ、その二人がフッドと対峙していた頃、シャーマンはアトランタでこれからの行動について思案していました。

彼は南部諸州同盟の息の根を止めるため、南部の後背地域へ侵攻し、海へ突き抜けて南部をさらに分断するつもりでした。
今までは、軍事的失敗を嫌うワシントンの政治的理由から、そういった行動にでることを戒められてきたシャーマンでしたが、アトランタ陥落と、それにともなう大統領選挙でのリンカーンの再選によって政治的危険度が低下したことで、シャーマンは行動をある程度自由にすることができるようになりました。

1864年11月15日。
シャーマンは麾下の軍勢六万二千を二隊に再編成し、一隊をヘンリー・W・スローカム少将、もう一隊をオリバー・O・ハワード少将にゆだね、アトランタを出発します。
有名な「海への進軍」の開始でした。

シャーマンは以前も述べたとおり、戦争を支えるものを全て破壊するという考えであり、さらにフッド指揮下の南軍の跳梁で補給線が脅かされてもよいように、麾下の軍勢に対しては「現地調達は自由である」という命令を出していました。
この命令により、北軍兵士たちはまだ手付かずであった南部諸州同盟の後背地区の全てのものを「現地調達」する自由を得たのです。

すでに南軍の主な兵力は根こそぎフッドの軍勢に合流していたため、シャーマン率いる北軍の前には(住民がいないという意味ではなく、抵抗する軍勢がいないという意味での)無人の野が広がっておりました。
そのため各部隊は広範囲に散開し、手当たり次第に食料、財産、時には婦女子も「現地調達」していったのです。
文字通りそれは略奪の嵐でした。
シャーマンの進撃路にあたったジョージア州の人々は、今でもシャーマンを嫌っていますし、第二次大戦中陸軍在籍の戦車兵の中には、M4戦車(俗にシャーマン戦車と呼ばれている)に搭乗することを拒否する南部出身兵もいたと言います。

11月22日、ジョージア州の民兵が北軍の後衛を襲撃します。
それは郷土愛に満ちた少年と老人の集団で、戦意は高かったものの、素人の集団でした。
三度の突撃のあと、彼らは追い払われましたが、かなりの損害を出したのはいうまでもありません。
そして、この小さな戦いが、シャーマンの北軍にとって大西洋岸の都市サヴァンナに至るまでに起こった唯一の戦闘だったのです。

12月2日。
北軍はサヴァンナに到達。
サヴァンナにはハーディー率いる南軍兵士一万五千ほどが悲壮な決意で防御していました。
このまま戦ったのでは損害も多いと考えたのと、大西洋岸を掌握する北部連邦海軍との連絡線を確保するために、シャーマンはまずサヴァンナ近郊にある海岸の砦マカリスター砦を攻略します。

攻略そのものはさしたる反撃も受けず成功し、これによってシャーマンは再度サヴァンナに向かって、今度こそはハーディー率いる南軍と対決するつもりでした。
しかし、マカリスター砦の陥落により、海側をも北軍海軍によって封鎖されることになったサヴァンナは、立て篭もっても補給を切られて自滅するだけと悟ったハーディーはサヴァンナを放棄。
12月21日、シャーマンはサヴァンナに入城しました。

年末の12月23日からは、南部に残った貿易港の一つウィルミントン港の防衛を担うフィッシャー砦に対する攻撃も始まります。
海軍のポーター提督と陸軍のバトラー将軍の共同作戦でしたが、バトラー将軍のあまりの手際の悪さに怒ったポーターがワシントンに事態を報告。
再選によって司令官人事に気を使わなくてもよいリンカーンは、即座にバトラーを解任してアルフレッド・テリー准将に後事を託します。
テリー准将とポーター提督の陸海共同攻撃は翌年1865年1月13日から15日にかけて行なわれ、一千三百の損害をこうむったものの、砦自体は陥落。
これによってウィルミントン港も北軍の封鎖が完成し、か細い一本の糸であった南軍の海外からの補給も断たれることになりました。
(ウィルミントン自体は1865年2月22日陥落)

南部諸州同盟議会は最後の一縷の望みをかけてある決断を下します。
1865年1月16日、南軍全軍の総司令官にロバート・E・リーを任命することが議決されます。
(任命自体は2月3日)
何も手を打つことのできないデイビス大統領に対するあてつけですらありました。

サヴァンナを出発したシャーマンは、次の目標を港町チャールストンとサウスカロライナ州の州都コロンビアに決定します。
サヴァンナへ向かったときと同じように、全軍を二隊に分けてそれぞれチャールストンとコロンビアに向け、もしも南軍が各個撃破に出てきたとしても、すぐに連携できるようにしたうえでの進撃でした。

南軍はナッシュビルで壊滅したフッド軍勢の残余などをかき集め、それをP・G・T・ボーリガールに預けましたが、サヴァンナより撤退したハーディーの軍勢を加えても、その数は二万に届かないぐらいでした。

1月15日にチャールストン港沖合いで北軍軍艦バタプスコが蝕雷して沈没するようなことがあったものの、シャーマンの進軍はとどまることを知らず、天候などの悪条件をものともせずに2月17日、コロンビアを陥落させます。
ボーリガールはシャーマンの進軍に翻弄され、コロンビアを放棄せざるを得なかったようでした。
コロンビアは事故とも放火とも言われる火災に見舞われ、全市が灰燼に帰してしまいます。
これもまた、戦争の災禍でした。

コロンビアとチャールストンの陥落によって、南部諸州同盟の命運は尽きました。
後はどう収拾をつけるかだけとなりました。

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  1. 2007/05/23(水) 20:33:21|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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