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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

アメリカ南北戦争概略その20

リーがメリーランド州に再度侵攻しようとしたことには幾つかの理由がありました。

一つは、フッカーは撃退したものの、北軍戦力はまだ強大であり、遅かれ早かれ南部諸州同盟の首都リッチモンド目掛けて南下してくるであろうため、機先を制してワシントンへ圧力をかけること。
北軍の南下はリーにとっても南部諸州同盟にとっても悪夢であり、幾度か撃退できたとしても、最終的にはリッチモンドに篭城せざるを得なくなるでしょう。
それを防ぐには北軍を北方へ吊り上げる必要があったのです。

二つ目は、リーの率いる南軍の補給状態の悪化を北部の潤沢な物資を略奪することによって補うこと。
南部諸州同盟は工業力や輸送力に劣るため、南軍兵士の補給状態は極めて悪く、半数の兵士は靴を履いておらず、食料に関してすらかなり厳しい状態でした。
南軍は北軍と戦う前に、まず衣食を満たす必要があったのです。
それに、戦場がメリーランドに移れば、ヴァージニア州の農家は比較的無事な状態でこの秋の収穫を得ることができ、南軍の食糧事情改善の一助にもなるとの考えもありました。

三つ目は、これはリー自身はそうは思っていなかったかもしれませんが、メリーランドで北軍が危機に陥れば、北軍はあちこちから兵をかき集めるであろうから、ミシシッピ川沿いの要塞都市ヴィックスバーグの包囲が解かれる可能性が考えられること。
無論これは北軍にとってはありえないことでした。
東部の北軍は現状でもリーの軍勢に比べて優位に立っており、多少損害を受けたとしても、手付かずの兵力がまだまだありました。
西部のグラントの軍勢から兵力を引き抜く必要などまったくなかったのです。

これに対し、南軍の知将ロングストリートは別の作戦案を提示します。

鉄道を使えば部隊の移動は迅速に行なうことができます。
北部に比べ圧倒的に少ない南部の鉄道網ではありましたが、それでも東部と西部を結ぶ鉄道網はありました。
その鉄道網を使い、フッカーに対する押さえとして残すエーウェルとA・P・ヒル以外の移動可能な全ての南軍を移動させ、ちょうど東部と西部の中間あたりで戦っているブラッグ、ジョンストン、バックナーあたりの戦力と合流して、同じく中央部に位置する北軍ローズクランズの軍勢を撃破することで、北軍を東西に分離させるというものです。
こちらもあわよくば、グラントの軍勢をひきつけることで、ヴィックスバーグの解囲を目論むという点では同じでした。

しかしリーはこのロングストリートの作戦案に難色を示します。
彼は他の地域で戦勝を得るよりも、ワシントン近くの北軍を翻弄し、常にワシントンに脅威を与えることを選んだのです。
さらに先ほど述べた南軍の補給問題が、南軍の迅速な移動を妨げるであろうことも予測できました。
南軍にとっては、物資略奪という第二の理由が逼迫していたのです。

結局リーはメリーランド州へ再度の侵攻を開始します。
1863年6月3日のことでした。

後世の後知恵的な視点から見れば、リーがロングストリートの作戦案を退けたのは誤りといわれました。
ロングストリートの作戦案こそが、当時の南軍にとって最良の策であり、そのため、それを退けたリーは国家的規模の戦略眼が無いとの批判を受けることとなります。

一方リーと対峙する北軍ポトマック軍司令官“ファイティング・ジョー”フッカーは、軍の再編を終えた後、リーの出方を伺っておりましたが、南軍のスチュアートの騎兵部隊やエーウェルやA・P・ヒルの歩兵部隊などとの小競り合いから、リーが再び動き出したことを知りました。

リーが北部侵攻を狙っているのであれば、こちらはその逆手を取ってリッチモンドを攻撃するべきだという意見をフッカーはリンカーンに進言しますが、あっさりと却下。
リーの軍勢だけを相手にしろと言われたフッカーは、仕方なくリーの軍勢を補足するべく行動を開始します。

絶えず、リーの軍勢とワシントンの間にポトマック軍を位置させていたフッカーでしたが、いくつかの理由によりリンカーンと対立していました。
彼は自分の要求するところが聞き入れられるように、辞職をちらつかせてリンカーンと交渉しましたが、それは逆効果になりました。
適当な口実を見つけてフッカーを解任しようとしていたリンカーンにとって、フッカー自身が辞職をちらつかせたことは絶好の口実となったのです。
フッカーは即座に解任されました。

後任に任命されたのは、驚くべきことに西部方面で手腕を発揮していたユリシーズ・グラントでした。
リンカーンは切り札を東部に持ってくることにしたのです。

しかし、当然のことグラントは西部の戦場におりました。
5月中旬からのヴィックスバーグ攻略戦を進めている最中だったのです。
そこで、リンカーンは、当面の代役、あくまで当面の代役としてある将軍にポトマック軍を一任します。

ジョージ・ゴードン・ミード少将。
この瞬間、彼は歴史に燦然と名を残すことになります。

没落寸前のスペインとの貿易で金を支払ってもらえずに没落した父の息子として生まれたミードは、ウエストポイント(陸軍士官学校)をでた後、測量技師として陸軍と繋がりを持ちました。
メキシコとの戦争に従事した後、再び測量技師として生活。
南北戦争勃発とともに北軍に参加します。
師団長としてフレデリクスバーグやチャンセラーズヴィルで活躍したミードをリンカーンは知っていたのです。
猛将でありながらも手堅さを持つミードを、リンカーンはこの場面で一番信頼できる男としてグラントが到着するまでの間ポトマック軍の臨時司令官として任命したのです。

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  1. 2007/04/04(水) 21:00:42|
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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