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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

砂漠はつらいよ

まずは残念なお知らせを。

楽しいイラストと素敵なSSを掲載していらしたnegitoro様のサイト「doorpics」が閉鎖となってしまいました。

私もずいぶん楽しませていただいたので、閉鎖は非常に残念なのですが、ご都合があらせられるということで、閉鎖を決断なされたそうです。

negitoro様のこれからの新たな出発をお祈りしつつ、これにて私のブログからもリンクをはずさせていただきました。
negitoro様、今までありがとうございました。
またいつかお会いいたしましょう。


さて、昨日までナポレオンのモスクワ遠征について書きましたが、ナポレオンについては、もう少しまとめてまた書いていきますね。

今日はまたロンメル率いるドイツアフリカ軍団のことを少々。

ロンメルの肖像写真を見た人は、おそらく例外なく彼が帽子にゴーグルをかけていたことが印象に残っているのではないでしょうか。

砂漠は人間にとっては苛酷な環境です。
それは目にも同様でした。

砂嵐が吹けば当然目は開けていられなくなりますが、砂嵐でなくても、行軍中の車両の巻き上げる砂埃は兵士たちの目を痛めつけます。

そこでドイツ軍としても、目の保護のためにゴーグルが支給されたようですが、ロンメルのトレードマークのゴーグルは支給されたものではありません。

実は彼のゴーグルは英軍が使っていたものでした。
あるとき彼は、自らの攻撃で占領した英軍陣地を査察中に、そこに置かれていたゴーグルを発見。
そのデザインに惚れ込んだ彼は、即座にそれを我が物としてしまったそうです。
(異説あり。この英軍のゴーグルは砂漠用のものでは無いらしく、アフリカに来る前からロンメルは使っていたという説も)
それ以来彼の帽子には、常にこのゴーグルが乗っかることになりました。

ロンメルはこのゴーグルをかけ、捕獲した英軍の装甲車を指揮車両に使い、英軍の捕獲戦車や捕獲火砲でドイツ軍を維持していたんですね。

補給が滞りがちなドイツアフリカ軍団は、英軍からの捕獲品を使用するほうが、本国からの補給を待つより確実だったのですね。

砂漠で手に入れることが難しいのは、何も武器弾薬だけではありません。
水も手に入れることが難しいものの一つでした。

一人当たりの水の割り当てが厳格に決められる状態では、食器を洗ったり洗濯したりするのに水を使うわけには行きません。
そこで食器も着ている物も、砂でこすって汚れを落としたんだそうです。

アフリカ軍団のコットン製の制服はオリーブグリーンで染められているのですが、砂で擦られるために、カーキ色に退色してしまうのだそうで、ベテラン兵士のカーキ色と新兵のオリーブグリーンの違いが一目瞭然だったそうです。
そのため、新兵は着任するとまず制服を砂でこすってカーキ色に退色させ、ベテランと見分けが付かないようにするのが慣わしだったらしいですね。

水が手に入りづらいと言うことは、食事にも影響します。
ドイツ軍ではパンを焼くためには真水を使わず、地中海の海水でパン生地を練ったそうです。
適度な塩味が付いているので、パンを焼くにはちょうどよかったとか。

ここで笑い話を一つ。
イタリア軍陣地より、ドイツ軍宛てに水の補給を求める電文が届きました。
ドイツ軍指揮官は、乏しい水の蓄えから何とかやりくりして、イタリア軍に水を届けます。
水が届いたイタリア軍は大喜びで、鍋でパスタを茹で、その湯は捨ててしまったとか。

本当だったらドイツ軍は殺意を覚えるでしょうね。

それではまた。
  1. 2007/02/28(水) 21:31:01|
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消滅

1812年9月14日。
ロシアの聖都モスクワに入場したナポレオンは、これで和平が成ると考えました。

ロシア軍はボロディノで敗北し、モスクワまで明け渡す体たらく。
皇帝アレクサンドルも和平を結ばざるを得ないだろうと思ったのです。

しかし、アレクサンドルもクトゥーゾフも和平などは考えません。
「戦いはこれからだ!」なのです。

ナポレオンが入場した翌日。
モスクワは大火に見舞われます。
誰かが下した命令だとも、フランス軍の起こした失火だとも言われますが、ともあれモスクワはほぼ全焼します。

しかし、ナポレオンはこのモスクワでアレクサンドルの出方を待ちます。
和平を申し込むよう使者も差し向けます。

そうしているうちに一ヶ月という時間が過ぎ、10月13日にモスクワに初雪が降ります。

ここにいたり、ナポレオンもついに撤退を決断。
来る時とは別の南方路を通り、食料を補給しつつフランスへ戻るという案を採用します。

10月18日。
クレムリンでの最後の閲兵が行なわれ、残存フランス軍約九万のモスクワ脱出が開始されました。
脱出は夜になるまで行なわれ、ここにフランス軍はモスクワを放棄したのです。

ナポレオンの目論みは当然ロシア軍もわかっておりました。
来る時に焼き払った町や村は食料も宿舎も何もありません。
当然フランス軍は寒さを避け食料を求めて南下すると読んでいたのです。

モスクワ南方にはクトゥーゾフがロシア軍をあちこちに布陣させておりました。
飢えて凍えたフランス軍はそのロシア軍と闘う力はありません。
あちこちでロシア軍の襲撃を受け、さらに数を減らすばかりか、南方への進出も阻まれます。

結局フランス軍は何も残っていないもと来た道に戻らざるを得ませんでした。

11月。
温暖な冬とはいえ零下25度にもなるというロシアの冬に、フランス軍は次々と倒れます。
飢えた人々に寒さに対する抵抗力はありません。
さらには錫ペストによりコートが役立たなくなる不運も重なります。

スモレンスクに到着した時には、フランス軍は四万を切っておりました。

悪い時には悪いことは重なるもので、フランス軍がほうほうの態でたどり着いたベレジナ川は、折からの暖気で氷が溶け、渡れなくなっていました。
フランス軍工兵は死を賭して川に入り橋を架けます。
ロシア軍の攻撃を防ぎながら、数多くの死者を出しながらも完成した橋を渡れたのは三万ほどでした。

その頃パリでは、ナポレオンの戦死の報が流れ、その隙にクーデターが起きます。
ナポレオンはその報告に愕然となり、戦場を離脱。
兵士たちは置き去りにされました。
ナポレオンが兵士を置き去りにするのは二度目です。

クーデターは幸い鎮圧され、ナポレオンは12月18日に無事にパリに入りました。
しかし、ナポレオンのいなくなった戦場では、ナポレオンに指揮されることに慣れきった将軍がただ混乱するばかり。
結局フランスの地を踏んだのは五千ほどでした。

こうしてフランス軍はロシアの大地に消滅したのです。

しかし、ナポレオンが完全にひざを屈するまでには、まだまだ大量の血が必要とされました。

1813年戦役。
いわゆる諸国民の戦いが待っています。

何かナポレオンのロシア遠征が続いちゃいましたね。
それではまた。
  1. 2007/02/27(火) 22:00:38|
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ボロディノの戦い

昨日の記事で訂正ですー。

とくめー様のおっしゃるとおり、初期のロシア軍の撤退を指揮したのはバルクライ・ド・トーリという将軍でした。
とくめー様、ご指摘ありがとうございました。
うろ覚えはだめですねー。
申し訳ありません。m(__)m

ロシア軍の焦土戦術は確かに効果的ではありました。
しかし、さほど戦いもせずに土地を明け渡して後退するというのは、ロシア貴族や兵士にとっては忍耐の必要なことでした。

しかも、撤退をしてフランス軍に好き勝手をさせているのは、皇帝に命じられた司令官とはいえ外国人だったバルクライ・ド・トーリです。

ロシア兵士たちはとにかく一戦をしてフランス軍を打ち破りたかった。
何もしないまま後退だけでは士気が落ちるだけでした。

皇帝アレクサンドル一世は政治的に見てもこれ以上の後退は避けたいと感じ、ついにバルクライを解任します。
そして、あまり仲のよくなかったクトゥーゾフを抜擢。
総司令官に任じました。

クトゥーゾフも総司令官として一戦することは必要だと感じていました。
これ以上の士気の低下は看過しがたかったからですし、もはやフランス軍はモスクワの手前まで来ていたからです。
ロシアの名誉のためにも戦う必要がありました。

しかし、クトゥーゾフは老練です。
減少したとはいえ、無敵のフランス軍にはまだ勝てないであろうことも見て取っていました。
だから、彼は負けないことに徹し、軍勢をできるだけ保持したまま頃合いを見て撤収することを考えていたのです。

クトゥーゾフは決戦の場にモスクワから百キロほどのボロディノという寒村に陣を敷きました。
この瞬間、小さな村ボロディノは歴史に名をとどめることになったのです。

一方ナポレオンもロシア軍との決戦は望むところでした。
のらりくらりと逃げ回るロシア軍がついに決戦を仕掛けてきたのです。
ここで完膚なきまでにロシア軍を叩きのめせば、これまでの損害も無駄ではありません。
アレクサンドルもナポレオンの前に屈するでしょう。

偵察により、ロシア軍はボロディノ村近くのラエウスキー高地とセメノウスカヤ高地に大砲を中心とした防御陣を敷いて、フランス軍を迎え撃つということがわかりました。

当然ナポレオン麾下の将帥はがっちりと固められた陣地へ攻撃するおろかさを訴え、迂回して背後からの包囲を進言します。

しかし、何度となく包囲が完成する前にロシア軍に逃げられていたナポレオンは、せっかく決戦しようと陣を敷くロシア軍が、またしても逃げてしまうのではと恐れます。

結局ナポレオンは正面攻撃を命令。
1812年9月7日、世に言うボロディノの戦いの幕が切って落とされました。

攻めるフランス軍は十三万。
これを右翼、中央、左翼の三つに分け正面から突進します。

守るロシア軍は十二万。
これもセメノウスカヤ高地を中心とした陣地で、ただ闇雲に砲撃を浴びせ守ります。

お互い奇策もなく単なる正面からの殴り合いといった感じの戦闘は、まさに泥仕合の様相を呈します
それでも多大なる損害をものともせずに進むフランス軍はじわじわとロシア軍を圧倒。
ロシア軍はついにセメノウスカヤ高地の一部を奪われます。

時間は午後二時ごろ。
まだ日没までは時間があります。
ここでフランス軍の切り札とも言うべき親衛隊を投入して、一気にけりをつけることはできたはずでした。

しかし、ナポレオンは首を振ります。
親衛隊の投入により、ロシア軍がまたしても逃げてしまうのではという恐怖があったと言われます。

結局親衛隊の投入は行なわれず、戦いは日没まで両軍決定打の出ないまま殺し合いのみが続くという状況でした。

一戦し、負けないまま引き上げるという目的を達したクトゥーゾフは、当然のごとく軍を引き上げます。
ただし、その損害は少なくなく、戦場を離れ得たロシア軍は八万にまで撃ち減らされておりました。

一方フランス軍は戦場にとどまり、見かけ上の勝利を得ます。
しかし、フランス軍も二万五千を失い、十万ほどまでになっていました。

9月14日、ロシア軍が引き上げたモスクワにナポレオンは入場します。
ナポレオンはようやくロシアの首都を手に入れたのでした。

しかし・・・
それは凄まじい敗走の始まりでした。

それではまたー。
  1. 2007/02/26(月) 21:49:35|
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寒いよぉー

1812年、フランス皇帝ナポレオンは宿敵ロシアを屈服させるべく、六十万もの軍勢を率いて遠征を開始します。

それに対し、ロシア皇帝アレクサンドルが用意できた軍勢は二十万。
各地の守備や小競り合いによる損失などで、ロシア国境のニェーメン川を渡った時点では四十八万ほどになっていたとはいえ、なおナポレオン率いるフランス軍(ただし、全部がフランス軍ではない。征服されたり同盟している諸国の軍勢が加わってのこの数字である)が圧倒的でした。

ロシア軍の指揮を取るのは老将クトゥーゾフ。
彼はまだまだ戦意も高く数も多いフランス軍との直接対決を避け、後退します。
広大なロシアの大地にフランス軍を溺れさせるつもりなのでした。

ロシア軍を捕らえ、決戦を強要し、もってロシア軍を撃破してアレクサンドルを屈服させる。
これがナポレオンの目論見でした。

しかし、六月に国境を越えたフランス軍は七月、八月と戦闘らしい戦闘もせずにただロシアの奥地に引きずり込まれます。
しかもその間、ロシア軍は周辺の住民の迷惑を顧みずに田畑を焼き払ってしまいます。

兵站という概念がまだ乏しかった当時、糧食の現地調達はわりと一般的なことでした。
ナポレオンはそれでも兵站には配慮したほうでしたが、これほどの大軍ではどうしようもありません。

九月、ボロディノ近郊で度重なる後退に業を煮やしたアレクサンドルの命令で、クトゥーゾフは防衛ラインを敷き、ナポレオンを迎え撃ちます。

この時点でのフランス軍はおよそ十三万。
すでにそれほどまでに減っていたのです。

対するロシア軍は十二万。
ほぼ互角の兵力ではありましたが、まだまだナポレオンの神通力は健在でした。
ロシア軍はほぼ五万を失って敗走します。

ナポレオンはモスクワを放棄したロシア軍に代わってモスクワに入場。
ここでアレクサンドルの出方を待ちました。

しかしアレクサンドルからは無しのつぶて。
貴重な一ヶ月を空費してしまいました。
しかもロシア軍の撤退時のドサクサでモスクワは焼け野原になっていたのです。
食料も宿舎もありませんでした。

10月。
モスクワに初雪が降ります。

飢えと寒さについにナポレオンは撤退を決意。
フランス軍の長い敗走の始まりでした。

この年は記録的な寒さ・・・と思いがちですが、実はそうでもなく、12月になるまでは比較的暖冬でした。
しかし、だからと言ってロシアの冬が厳しいのは言うまでもなく、さらに、悪いことが重なるもので、フランス軍のコートに使われていた錫製のボタンが錫ペストと呼ばれる寒気でぼろぼろになる症状を起こしてしまい、コートの前をボタンで止めることができなくなったのです。

11月。
飢えと寒さ、さらにロシア軍の追撃により、フランス軍は三万を切るまでになりました。

12月。
軍旗を焼き、軍馬を食い尽くしたフランス軍はついに本国に逃げ帰りますが、たどり着いたのは五千ということでした。
まさにフランス軍は跡形もなく消え去ったのです。

これ以後、フランス軍は翌年には再度再編されますが、もはや無敵ではありえませんでした。
ナポレオンは事実上このロシア遠征で終わったと言ってもいいかもしれません。

それにしても、この事実を前にしながら、後年ヒトラーも同様にロシアの大地に敗れるとは、ロシアの広大さ恐るべしですね。
それではまた。
  1. 2007/02/25(日) 22:06:54|
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蛇足

先日掲載いたしました短編SS「サボテンバット」に登場しました女怪人サボテンバットのイラストを、いつもお世話になっておりますg-thanさんが描きあげてくださいました。

いつものごとく見事なデザインで、素晴らしいものでしたので、ここに掲載させていただきます。

g-thanさん、いつもありがとうございます。


サボテンバット



さて、あくまで蛇足なんですが、先日のサボテンバットで最後にただサボテンにされてしまった娘の鮎美ちゃんを、彼女も改造してほしいというご意見がございましたので、エンドBという感じで書いてみました。

よろしければこういうエンドもあると言うことで、楽しんでいただければと思います。


サボテンバット・エンドB

「サボテンバットよ。心からゲルショッカーに忠誠を誓うお前に会わせたい人物がいる」
ブラック将軍のムチがアジトの出入り口をさす。
「会わせたい人物?」
「そうだ。連れて来い!」
ムチが振り下ろされると出入り口が開き、戦闘員に両腕を掴まれた少女が入ってきた。
「いやぁっ! 離してぇ!」
「鮎美?」
入ってきたのは彼女の娘の鮎美だった。
両手を掴まれた鮎美は恐怖に打ち震えていた。
「クックック・・・そうだ、お前の娘だ。会いたかっただろう」
「キキィ。はい。会いたかったですわ」
サボテンバットが前に進み出る。
「キャァー! 化け物ぉ!」
だが、鮎美はサボテンバットの姿に悲鳴を上げる。
久し振りに会った娘に近づいたサボテンバットは悲しかった。
ああ・・・
鮎美・・・どうして怖がるの?
この姿は素晴らしいと思わないの?
ゲルショッカーによって私は最高の躰をいただいたのよ・・・
それがわからないの?
サボテンバットはあまりのことに立ち尽くしてしまっていた。

「娘よ。お前の母親は我がゲルショッカーによって改造手術を受けたのだ。この姿を見よ。美しい最高の姿ではないか」
ブラック将軍が恐怖に顔をそむけた鮎美の顎を乗馬ムチで向き直らせる。
「えっ?」
鮎美はその言葉に驚いた。
改造?
お母さんが・・・?
この化け物が・・・お母さんなの?
「い、いやぁっ!」
鮎美は再び顔をそむける。
そんなバカな。
お母さんがこんな姿のはずが無い。
この化け物がお母さんだなんて嘘だ。
「嘘、嘘よ」
「嘘ではない。お前の母親は我がゲルショッカーのサボテンバットに生まれ変わったのだ。そうだな? サボテンバットよ」
「キキィ、その通りですわブラック将軍。私、咲田景子はゲルショッカーによってサボテンバットへ生まれ変わりました。鮎美、何も怖がることはないわ」
サボテンバットが両手を広げて敵意の無いことを示す。
鮎美がいまだ人間であることは悲しいことではあるが、抱きしめてあげれば鮎美はすぐに彼女の手で素敵なサボテンに変えてあげられるだろう。
「いやぁっ! そんな・・・ひどいよぉ」
あまりのことに鮎美は泣き出してしまう。
お母さんが・・・
お母さんが化け物になっちゃった・・・
ひどいよぉ・・・
がっくりとうなだれる鮎美。
すすり泣く声だけが室内に響く。

「娘よ、そんなに悲しむことは無い」
ブラック将軍がいやらしい笑みを浮かべる。
「母親と一緒に暮らしてきたお前は、やはりサボテンのエキスを多少沁み込ませている。人類総サボテン化計画を推進するためにも、お前も母親と同じく我がゲルショッカーの改造を受けるのだ」
「えっ?」
鮎美が驚いて顔を上げる。
改造?
私を改造?
愕然とする鮎美。
「ブラック将軍、それでは鮎美も?」
「うむ、サボテンバットジュニアへと改造するのだ」
ブラック将軍はそう言うと顎をしゃくり、戦闘員たちがすぐさま鮎美を手術台に固定する。
「キャァー!」
鮎美の叫びを耳にしながらも、サボテンバットは鮎美のそばに足を進める。
「サボテンバットジュニア・・・ああ、なんて素晴らしいのかしら。うふふ・・・鮎美、あなたもこれからゲルショッカーの改造人間になるのよ」
鮎美に語りかけるサボテンバット。
もはや彼女に鮎美の悲鳴は耳に入らない。
ああ・・・鮎美も改造されるんだわ。
なんて素晴らしいのかしら。
鮎美もすぐに改造されたことを喜ぶようになるわね。
うふふ・・・
サボテンバットは喜びに打ち震えた。

「イヤァッ! 助けてぇ!」
鮎美の悲鳴が部屋中に響く。
しかし、手術台に固定された手足はまったく動かない。
「ギィ、手術準備完了しました」
技術戦闘員が腕をクロスして報告する。
「よし、改造を始めろ」
ブラック将軍のムチが振り下ろされ、スイッチが入れられる。
「いやぁぁぁぁぁ」
鮎美の腕につきたてられたチューブに液体が流れ込み、鮎美の躰に沁み込んで行く。
「サボテンバットよ。この娘の体内にはサボテンのエキスが不足している。お前のエキスを注ぎ込むのだ」
「キキィ、かしこまりました、ブラック将軍」
サボテンバットは嬉しそうにうなずくと、鮎美の首筋に左手を這わす。
そしておもむろにとげを突き刺し、エキスを流し込み始めた。
「あぐぅぅぅぅ」
全身を覆う激痛とともに鮎美の姿が変わり始め、徐々に景子と同じくサボテンの表皮とコウモリの剛毛に覆われて行く。
両手は鋭い爪となり、両脚は靴を履いたような形に変容する。
やがて気を失った鮎美の姿は、母親である景子と同じサボテンバットに変容していた。
「ふふふ・・・可愛いわ、鮎美。いいえ、あなたはもう鮎美という名ではなくなったのよ。あなたはサボテンバットジュニア。わがゲルショッカーの改造人間になったの。これからは一緒にゲルショッカーのために働きましょうね」
生まれ変わったわが子を愛しむように、サボテンバットは手術台に寝かされたサボテンバットジュニアの頭をゆっくりと撫でる。

「目覚めるのだ、サボテンバットジュニア」
ブラック将軍の命令にゆっくりと目を開ける鮎美。
母親の心をゆがめた改造された肉体は、幼い少女の心をもあっという間にゆがめてしまう。
ほんのわずかの間に鮎美は改造された肉体に喜びを感じてしまった。
そして、鮎美という人間であることを捨て、サボテンバットジュニアであることを選んだのだ。
手術台から降りたサボテンバットジュニアは、すぐにブラック将軍の前に立つ。
「キキィ、私はゲルショッカーの改造人間サボテンバットジュニア。ブラック将軍。何なりとご命令を」
「クックック・・・これよりお前はサボテンバットとともに人類総サボテン化計画を実行するのだ」
「キキィ、お任せ下さいませ」
冷たい笑みを浮かべるサボテンバットジュニア。
もはや鮎美の持っていた愛らしさは微塵も無い。
「キキィ、さあ、行きましょうサボテンバットジュニア。人間どもをサボテンにするのよ」
「キキィ、はい、サボテンバット。私もお手伝いいたします」
二人の女怪人は、そう言って誇らしげにアジトを後にした。
  1. 2007/02/24(土) 22:05:13|
  2. 怪人化・機械化系SS
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ミサイル集中射

政治的戦略的戦術的の三拍子揃った奇襲により、アラブ側は第三次中東戦争で一敗地にまみれました。

アラブ側はこの屈辱を晴らすべく、六年の間耐えに耐えます。
そして、今度はアラブ側が乾坤一擲の奇襲作戦を敢行することになります。

アメリカがバックに付いているイスラエルは、情報収集能力においては中東随一という自負がありました。
エジプト、シリアを中心とするアラブ軍が戦力を集中してイスラエルを攻撃しようとすれば、その兆候をたちどころにイスラエルは察知して、対応が可能と踏んでいたのです。

事実この時も、優秀なイスラエル情報部は正確にアラブ軍の戦力集中を察知しておりました。

しかし、情報は正しくても、評価を間違えればその情報は無価値となります。

エジプト軍は以前より対イスラエル戦のために戦力を集中して侵攻するという設定の演習を繰り返しました。
約二十回の演習は当然イスラエルに察知され、イスラエル側も万が一の実際の侵攻に備えて兵員を集結させたり民間人として暮らしている予備役兵を再度動員したりするなど対策を取っておりました。

しかし、実際の侵攻が無い状態が続くと、やがてエジプト軍には侵攻の意思は無く、演習も単なるパフォーマンスと受け取られるようになって行きます。

イスラエルはより確実な状況を情報部なりが確認するまで、エジプトやシリアなどの軍事力の集中を見過ごすようになってしまいました。

頃や良しと見たアラブ側は、ついに1973年10月6日、イスラエルに対し奇襲攻撃をかけました。
第三次中東戦争終結からわずか六年のつかの間の平和は終わったのです。
第四次中東戦争(イスラエル側呼称ヨム・キプール戦争、アラブ側呼称10月戦争もしくはラマダン戦争)の始まりでした。

シリア側の奇襲に呼応してエジプト軍も兵員約八十万人、戦車約二千両、火砲約二千三百門を持ってスエズ運河を渡河します。

バーレブラインと豪語していたイスラエルの防御陣地は各所で寸断され、エジプト軍はシナイ半島に橋頭堡を次々と確保します。

前線が悲鳴のような救援要請を次々送ってくる中、イスラエル軍は混乱しつつも反撃に出ます。

前進してくるエジプト軍戦車群に対し、中東最強とうたわれたイスラエル空軍が対地攻撃をすることで、その進撃を止めるのが当面の作戦とされました。

奇襲をまぬがれた制空戦闘用のF-4と地上攻撃用のA-4が各地の基地から飛び立ち、イスラエル上層部にホッとした空気が流れます。
しかし、戦況報告に彼らは再び愕然とすることになりました。

最強であるはずの空軍機が次々と撃墜されていくのです。

空対空戦闘であれば負けない自信に満ちた彼らを迎え撃ったのは、ソ連製の対空ミサイルの集中射撃でした。
F-4もA-4もエジプト軍の進撃を止めるどころか、あまりの損害の多さに飛行禁止区域を設けざるを得ないほどでした。

「まだ我々には戦車がある」
イスラエルの切り札とも言えるのは戦車でした。
アメリカ製のM-48やイギリスのセンチュリオンの改良型を中核としたイスラエル機甲部隊は、第三次中東戦争で見せたその猛威を再び発揮するべく、エジプト軍に向かいます。

第三次中東戦争で威力を発揮したオール・タンク・ドクトリン。
その威力を再び世界は目の当たりにするかと思われました。

しかし、エジプト軍は戦車部隊に対し戦車部隊で対抗するのではなく、歩兵を持って対抗します。

ヨーロッパでは森林などの地形の複雑さにより、使い勝手が悪く評価の低かったソ連製対戦車ミサイル9M14、NATOコード名AT-3サガー。
エジプト軍はこのサガーミサイルを歩兵部隊に大量配備していたのです。

兵士が直接目視しながら戦車に誘導するサガーは、今述べたようにヨーロッパでは使いづらい兵器でした。
しかし、シナイ半島は砂漠です。
視界を遮る邪魔者はありません。
エジプト軍は満を持してイスラエルの戦車部隊を待ち受けたのです。

オール・タンク・ドクトリンにより、歩兵の支援を排除したイスラエル戦車部隊はエジプト軍の罠に嵌まりました。
一斉に複数のミサイルが飛んでくる戦場で、イスラエルの各戦車は瞬く間に破壊されていきました。
一両の戦車に平均二三発のミサイルが命中していたと言いますから、驚くべきミサイルの集中射でした。

結局イスラエル軍は後退。
オール・タンク・ドクトリンは無残に敗北したのでした。

第四次中東戦争はその後防御に徹したイスラエル軍により、結局はエジプト軍の進撃は止められます。
戦力を使い果たしたエジプト軍に対し、ようやく反撃に出たイスラエル軍は航空機の支援のもと、戦車と歩兵が共同で攻撃をするという諸兵科連合部隊になっていました。

最終的にはスエズ運河を逆渡河したイスラエル軍により、首都カイロが脅かされる事態に陥ったエジプト軍は休戦を受諾。

1973年10月24日、第四次中東戦争は終結しました。

一ヶ月足らずの戦争でしたが、世界に与えた影響は大きく、日本ではオイルショックが発生してトイレットペーパーの買占め狂乱が起きたのは記憶の残っている方も多いでしょう。

この後エジプトとイスラエルの和平が実ったことで、現在のところ、この第四次中東戦争が最後の中東戦争になっています。
できればこのまま最後であってほしいものですね。

それではまた。
  1. 2007/02/23(金) 21:37:31|
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戦車ばっかり

第二次世界大戦時、各国の軍隊では諸兵科連合と言って、戦車部隊を中心に自動車化歩兵や砲兵、工兵などをバランスよく組み込んだ一種の戦闘集団を形成し、敵軍に当たるという思想が取り入れられました。

これは戦車単独ではどうしても敵の歩兵による近接突撃や、対戦車砲陣地からの攻撃などに脆弱であったため、戦車と歩兵砲兵などがお互いの弱点をカバーしあう必要性に基づいたものだったのです。

しかし、この鉄則とも言うべき諸兵科連合をあえて放棄した軍隊がありました。

イスラエル軍です。

中東の砂漠地帯では平坦な砂地が延々と続きます。
そこでは防御側は身を守れるような森や林はおろか、岩陰すらありません。
塹壕を掘ろうにも、足元の砂は掘れば掘るだけ崩れ、深い塹壕を掘るのは不可能です。

そういう地形では、身を隠しながら敵戦車を待ち受ける対戦車砲もほとんど剥き出しで砂地の上に展開せざるを得ませんでした。

第二次及び第三次中東戦争時のエジプト軍の主力対戦車砲はソ連製の100ミリ対戦車砲でしたが、砂地の上の対戦車砲は容易に発見されますし、また運良く先手を取ることができても、その命中率は一キロ先の目標に対して50%ほどと、決して必中の対戦車砲ではなかったのです。

そこでイスラエル軍は、機動性に難のある歩兵や砲兵を分離し、戦車部隊単独で敵陣に突っ込むことを考えました。
発想者はイスラエル・タル大佐。(イスラエルという名前のようです)

タル大佐の案によれば、機動性に富む戦車部隊であれば、敵陣の対戦車砲に対して迂回行動を取ることも、他の戦車の援護の元で対戦車砲に必中距離まで詰め寄り一撃を加えることも容易だというのです。

このアイディアはオール・タンク・ドクトリンと呼ばれ、すぐにイスラエル軍機甲部隊の中心思想になりました。

第三次中東戦争。
1967年6/5から6/10までのいわゆる六日間戦争(これはイスラエル側の呼び方で、アラブ側は六月戦争と呼びます)において、イスラエル軍はこのオール・タンク・ドクトリンのもとアラブ側に奇襲をかけます。

制空権確保のためにレーダーに引っかからないように低空で侵入したイスラエル空軍機は、開戦三時間でエジプト空軍基地を壊滅に追い込みます。
約二百機の航空機と百人のパイロットを失ったエジプト軍は、もはや航空戦力を全てなくしたと言っても過言ではありませんでした。

そして、イスラエル機甲師団はシナイ半島のエジプト軍を蹂躙して行きます。
オール・タンク・ドクトリンは大成功を収め、エジプト軍の防衛陣地は各所で寸断されました。
機動防御のエジプト軍戦車部隊も、優秀なイスラエル戦車兵の猛攻の前に各所で壊滅。
戦争はほぼ大勢が決しました。

エジプトと同様に、シリア、ヨルダンの二カ国もイスラエルの奇襲を受け、大損害を出します。
結局第三次中東戦争はイスラエルの大勝利で停戦が受け入れられました。

シナイ半島でのわずか四日間の戦いで、エジプト陸軍が受けた損害は、死傷者約一万五千、捕虜約五千。
捕獲された車両は戦車が八百、野砲/自走砲が数百、車両は千両をくだらなかったといわれ、破壊された車両と合わせると、実にエジプト軍の保有する車両の八割を失ったと言います。

一方イスラエル側の損害は死傷者約千三百。
圧倒的な大勝利でした。

オール・タンク・ドクトリンはまさに無敵イスラエル軍の中心だったのです。

だが・・・
アラブ側も黙ってはいませんでした。
オール・タンク・ドクトリンにも斜陽が忍び寄ってきます。

それはこの次に。
それではまた。
  1. 2007/02/22(木) 21:21:34|
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サボテンバット

2chの「おにゃのこが改造されるシーン」及び、「おにゃのこ改造 byアダルト」スレに、最近またSSが投下されているのを見て、私も触発されてしまいました。

ということで、仮面ライダー初代より、ゲルショッカーの怪人にお出ましいただきました。

「おにゃのこ改造 byアダルト」にもイソギンジャガーのSSが載っていましたが、どうも似たような展開になってしまい申し訳ありません。

それではどうぞ。


ガラスに囲まれた温室。
年中南国の気温に設定されている温室内には、鮮やかに花を咲かせたサボテンの鉢植えが多数置かれていた。
そのサボテンをかいがいしく面倒を見ている一人の女性。
三十代後半の熟れた肉体を白衣に包んで書類にデータを書き込んでいる。
咲田景子(さくた けいこ)。
父の後を継いでサボテンの研究を続けていたのだ。
そのためこの温室には世界中から各種のサボテンが集められている。

「お母さん、ただいまー」
温室に一人の少女が入ってきた。
三つ編みにしたお下げ髪が可愛い少女だ。
「お帰りなさい、鮎美。あら? それは何?」
景子が鮎美の持ってきた小包に気が付いた。
「あ、これ? 知らなーい。玄関においてあったわ」
鮎美は白い箱を母親に差し出す。
何かしら?
景子は首をかしげたが、送り主も書いていない上に包装すらされていない。
「まさか爆弾ということは・・・無いわよね」
苦笑しながら中身を確認するために箱を開ける。
「あら、これは?」
「わあ、綺麗」
箱を覗き込んだ二人の前には、オレンジ色の丸い形のサボテンが入っていたのだ。
「見たこと無いサボテンだわ」
「きっと新種なのね」
二人が顔を見合わせた時、そのサボテンからいきなり白いガスが噴出してくる。
「えっ?」
「きゃぁー」
白いガスはすぐに二人の意識を遠くさせていく。
「あ・・・あゆ・・・」
くたっとなった娘に手を伸ばすものの、景子の目の前も暗くなっていってしまった。

『クックック・・・聞こえるか? 咲田景子よ』
箱の中のサボテンから声が聞こえてくる。
すると、倒れていた景子の目がゆっくりと開かれた。
『さあ、来るのだ。我がアジトへ来るがいい』
景子は無言でゆっくりと起き上がると、サボテンの箱を持ち、その指示に従って歩き出す。
倒れている鮎美を振り返りもせず、景子はそのまま温室を出て姿を消した。

いずことも知れぬ地下のアジト。
その正面にはかつてのワシのマークに新たにヘビがまきついて、より精悍となったマークが飾られている。
その前に立つのは全身を黒い軍服で固め、顔の左右に頬当ての付いた黒いヘルメットを被った男だ。
肩からは赤い飾り帯をかけ、胸には幾つもの勲章をつけている。
相当な実績を戦場で上げてきたのだろう。
その顔には自信が窺えた。
『ブラック将軍よ』
ワシとヘビのマークの中央が輝き、アジト内に声が響く。
「ハッ、お呼びですか首領」
ブラック将軍と呼ばれた男が乗馬ムチを振る。
『このような女を改造してどうしようというのだ』
首領の言葉にブラック将軍は背後を振り返る。
そこには手術台に寝かされた景子が手足を固定されていた。
「ご安心を。この咲田景子という女はサボテンの研究者。この女の肉体にはサボテンのエキスがたっぷりと沁み込んでいます。つまり、我がゲルショッカーの改造人間にうってつけの素体」
ゆっくりと景子の脇にやってくるブラック将軍。
その顎を乗馬ムチで持ち上げる。
「お前はこれより改造手術を受け、我がゲルショッカーの怪人となるのだ」
「えっ? そ、それは一体?」
目が覚めたときには手術台に寝かされていた景子には、何がなにやらさっぱりわからない。
「お前が気にする必要は無い。お前は黙って手術を受ければいいのだ」
「ええっ? い、いやです。いやぁぁぁ」
必死に首を振って逃れようとする景子。
だが、逃れられるはずも無い。
『ブラック将軍よ。改造を始めよ!』
「ハハッ。始めろ!」
ブラック将軍が大きくうなずき、配下の技術戦闘員たちに命令を下す。
「ギィッ」
両手を大きく交差するゲルショッカーの敬礼をして、技術戦闘員はスイッチを入れた。

「いやぁっ!」
景子の両腕にチューブが差し込まれ、緑色の液体が流し込まれていく。
そのチューブの先には機械が接続され、その内部では南米の吸血コウモリが溶かされていた。
「あああ・・・」
全身を貫く痛み。
躰が全部バラバラになるような感じだ。
「あぐぅ・・・」
景子の躰がガクガクと痙攣する。
「クックック・・・この女の体内のサボテンのエキスと、南米の吸血コウモリが合わされば・・・クックック・・・」
満足そうにブラック将軍は笑みを浮かべた。

やがて景子の躰が変化を始める。
服が引き裂け、形のよい胸がとげのある緑色のサボテンの表皮に覆われていく。
すらっと伸びた脚はストッキングが破れ、茶色の剛毛が生えてくる。
右手はコウモリのような鉤爪ができ、左手は胸と同じようにサボテンの表皮と鋭いとげが生えてくる。
つま先とかかとは靴を履いたような形に変化し、美しかった顔は大きな耳を持つコウモリの顔へと変化していった。
咲田景子はゲルショッカーの改造人間になってしまったのだ。

「クックック・・・起きるのだ、サボテンバットよ」
両手両脚の戒めが解かれ、景子の躰が自由になる。
「う・・・あ・・・」
サボテンバットと呼ばれた景子がゆっくりと起き上がる。
「あ・・・あ・・・こ、この躰は一体?」
すっかり変わってしまった両手両脚に景子は愕然とした。
サボテンとコウモリの合いの子のような姿。
これが今の自分の姿だというのか?
「い、いやぁぁぁぁぁ」
両手で顔を覆い泣き崩れる景子。
あまりのことに言葉も出ない。
『むぅ、どうしたことだ。ブラック将軍よ、脳改造は行なわなかったのか?』
首領も驚いたような声を出す。
「クックック・・・ご安心を首領。この女には脳改造は必要ありません。いずれそれがわかってもらえるでしょう」
神経質そうに頬をひく付かせるブラック将軍。
だが、彼には彼の計算があるらしい。
『なるほど。では任せよう』
「お任せ下さいませ、首領」
恭しく一礼するブラック将軍。

「さて、いつまでも泣いていても仕方あるまいサボテンバットよ」
「わ、私はそんな名前じゃありません。私は咲田景子です。お願い・・・元に、元に戻して」
すがるようにブラック将軍を見上げる景子。
「クックック・・・その姿では娘に会うこともできまい」
ハッと息を飲む景子。
鮎美・・・
鮎美に会いたい・・・
でも・・・
でもこんな姿では・・・
「お願いです・・・元に戻して・・・」
「よかろう。お前が我が命令を果たせば姿を元にもどしてやる」
「えっ?」
景子の心に光がさす。
ブラック将軍は乗馬ムチでサボテンバットとなった景子の顎を持ち上げ、いやらしく笑みを浮かべた。
「どうだ? 悪い取引ではあるまい」
「・・・・・・わ、わかりました」
景子はうつむいてしまう。
けれど、元の姿に戻してやるという申し出には抗えなかった。
「クックック・・・なに、簡単なことだ。世界平和科学者委員会の会長と副会長を始末するのだ」
「世界平和科学者委員会の会長と副会長?」
「そうだ。どちらもお前には何の関係も無い人間だ。それをこなせばお前を元の姿に戻してやろう」
ブラック将軍の言葉に景子はうなずいた。
うなずくしかなかったのだ。
「・・・・・・わかりました。それが終われば元の姿に戻していただけますね?」
「約束しよう」
ブラック将軍は再びいやらしく笑った。

世界平和科学者委員会とは、ゲルショッカーの脅威に対するために、世界の平和を愛する科学者の力を結集しようという目的で作られたものだ。
その会長と副会長はゲルショッカーに一番抵抗している日本から選ばれた。
ゲルショッカーとしてはどうしても始末したい相手である。
サボテンバットに改造された景子がその始末を命じられたのだ。
『お前の左手のとげからは毒液が出るようになっている。その毒液は人間を生きたままサボテンへと変えてしまうのだ。殺すわけではないから安心しろ』
ブラック将軍の言葉が景子の脳裏によみがえる。
例えサボテンになっても生きている。
その言葉は景子をすごく精神的に楽にさせていた。
殺せと命じられれば、景子はどうしても躊躇うだろう。
苦しんだ挙句に任務に失敗しかねない。
ブラック将軍はそれを見越していたのだ。

夜。
世界平和化学者委員会の会長宅は、当然のように厳重に警戒されている。
ゲルショッカーに狙われるのはわかりきっているのだ。
最大級の警備をするのは当然だ。
「ギィ、会長は自宅におります。しかし、門にも外周にも警備の人間がうろついております」
青紫の全身タイツに身を包んだゲルショッカーの戦闘員が景子に報告する。
「キキィ。そう・・・わかったわ。お前たちは警備員を引き付けなさい」
景子は戦闘員たちに指示を下す。
この任務は彼女が中心となって行なわなければならない。
そのため、戦闘員たちへの命令も彼女が行なえるのだ。
「ギィ」
腕をクロスして戦闘員たちが散らばっていく。
やがて、警備員たちの動きが慌ただしくなり、その気配が少なくなっていく。
ふふ・・・上手く行ったようだわ。
自分の考えが上手く行くのは気持ちがいい。
戦闘員たちは彼女の命令に手足のように従ってくれるのだ。
彼女は心置きなく任務に専念できるだろう。

塀を簡単に飛び越える。
すごい・・・
こんなに躰が軽いなんて・・・
景子は改造された自分の躰にあらためて驚きを感じた。
こんなにすごいとは思わなかったのだ。
塀を越えた景子はそのまま建物の屋根に飛び移る。
そして窓をこじ開けて侵入した。
うふふ・・・簡単なものね・・・
何か気分がいい。
こんなに簡単だとは思いもしなかった。
これなら何度やってもいいかもしれない。

天井からぶら下がるようにして会長の部屋に入り込む。
ふふ・・・
まったく気が付いていないようね。
初老の会長はデスクに向かって一心に何かをやっていた。
背後の天井にぶら下がる景子にはまったく気が付いていない。
ふふ・・・
ゲルショッカーにとってあなたは邪魔なの。
殺しはしないからおとなしくサボテンになっておしまいなさい。
景子はスッと会長の背後に立つ。
さすがに気が付いたのか、会長は振り返った。
「な、何者だ、君は?」
驚いて椅子から腰を浮かせる会長。
「キキィ! 私はゲルショッカーの改造人間サボテンバット。おとなしくサボテンになっておしまい!」
驚くほど素直に景子は自らをサボテンバットと名乗ることができた。
もちろんこれから会長を始末しようという時に咲田景子などと名乗るつもりもなかったが、サボテンバットと名乗ることが、これほど簡単だとは思わなかったのだ。
私は・・・サボテンバット?
違う違う・・・
でも今はそんなことを考えている場合では無い。
命令に従い会長をサボテンにする。
今の彼女にとってはそれが全てだった。
「キキィ」
景子は会長に掴みかかると、右手のコウモリの爪でがっちりと押さえ込み、左手のサボテンのとげを突き刺す。
あ・・・
景子の躰に快感が走る。
とげから毒液が流されるとき、景子は言いようも無い快楽を感じたのだ。
「うわぁっ」
会長の躰が痙攣し、とげを刺されたところからみるみる緑色に変色して行く。
嘘・・・
景子はあまりのことに驚いた。
サボテンにするとは聞いていたが、これほど劇的な変化を起こすとは思わなかったのだ。
やがて会長の躰はとげの生えたサボテンとなってしまう。
それはまさに人間の形を保つかのように丸い頭部と手足を持ったサボテンであった。
ああ・・・
それを見た景子は名状しがたい感情が沸き起こってくるのを止められなかった。

素敵・・・
サボテンになった会長はすごく素敵だった。
サボテンの研究をしていた彼女にとって、サボテンは愛すべき存在だった。
わずらわしい人間関係よりも、サボテンに熱中している方が好きだったのだ。
その彼女の目の前には人間である事をやめ、サボテンとして生まれ変わった会長が転がっていた。
生きているのは間違いない。
だが、物も言わず動くこともできない植物のサボテンとなった。
会長はもはや何も考えることも思い悩むことも無い。
ただのサボテンとなったのだ。
なんて素晴らしいのかしら・・・
景子は思わず屈みこんでサボテンを愛撫する。
とげがちくちくするのがなんとも言えず素敵だ。
ああ・・・
なんて素敵なの・・・
人間をサボテンにする。
それはなんて素晴らしいこと。
もはや苦しみも悲しみも感じることは無い。
太陽の光を浴びてただただ立ち尽くせばいいのだ。
これほど素晴らしいことがあるだろうか・・・
うふふふ・・・
景子の中で何かが歪んで行く。
彼女の唇が釣りあがり、妖しい笑みが浮かぶのだった。

「会長、お茶が入りました」
ドアがノックされ、秘書と思われる若い女性が入ってくる。
だが、サボテンバットの姿を見て持っていたトレイを取り落とした。
「キャー!」
「見たわね? お前もサボテンになるがいいわ」
景子は躊躇いもなく秘書を捕まえるととげをさす。
秘書はあっという間にサボテンへと変わり果てた。
「うふふ・・・うふふふふ・・・」
静かになった室内にサボテンバットの笑い声が響いていた。

                 ******

数日後、会長に続いて副会長もサボテンに変えたサボテンバットがアジトに帰還する。
「キキィ。ただいま戻りました、ブラック将軍」
誇らしげに胸を張り、ブラック将軍の前に跪く。
「よくやったぞサボテンバット。これで世界平和化学者委員会は無力化した」
満足そうに目を細めるブラック将軍。
「キキィ。お褒めの言葉、ありがとうございます」
サボテンバットが嬉しそうに答える。
「これでお前は我が命令を遂行した。こちらも約束を果たさねばならないが、まだ元の躰に戻りたいかな?」
サボテンバットはしばし黙った後、首を振った。
「いいえ。これほどすばらしい躰にしていただいて、今では感謝しております。元の躰になど戻りたくはありません」
サボテンバットの言葉にブラック将軍はうなずいた。
「そうだろう。お前は人間などを超えた改造人間なのだ。その躰を誇りに思うがいい」
「はい。私はゲルショッカーの改造人間サボテンバット。これからもゲルショッカーのために身も心も捧げます」
景子はこの数日で変わってしまっていた。
改造された肉体に酔いしれ、その能力に惚れ込んでいた。
人間をサボテンにする能力が何よりも彼女を喜ばせた。
彼女は副会長襲撃の際は警備員も全てサボテンにしてしまうほどだったのだ。
もはや咲田景子としての意識はなく、サボテンバットであることに喜びを感じ、そう呼ばれることに誇りを持つようにすらなっていたのだ。

「サボテンバットよ。心からゲルショッカーに忠誠を誓うお前に会わせたい人物がいる」
ブラック将軍のムチがアジトの出入り口をさす。
「会わせたい人物?」
「そうだ。連れて来い!」
ムチが振り下ろされると出入り口が開き、戦闘員に両腕を掴まれた少女が入ってきた。
「いやぁっ! 離してぇ!」
「鮎美?」
入ってきたのは彼女の娘の鮎美だった。
両手を掴まれた鮎美は恐怖に打ち震えていた。
「クックック・・・そうだ、お前の娘だ。会いたかっただろう」
「キキィ。はい。会いたかったですわ」
サボテンバットが前に進み出る。
「キャァー! 化け物ぉ!」
だが、鮎美はサボテンバットの姿に悲鳴を上げる。
「鮎美・・・・・・ふふ・・・うふふ・・・」
一瞬戸惑ったサボテンバットだったが、すぐにある感情が浮かんできた。
可愛いわ・・・
この娘もサボテンになれば・・・
もっと可愛くなるに違いないわ・・・
「助けてぇ! 誰か助けてぇっ」
「キキィ。おとなしくしなさい、鮎美。すぐにあなたもサボテンにしてあげるわ」
サボテンバットの左手のとげが鮎美に向けられる。
「クックック・・・娘をサボテンにすることができるまでになったか。これでサボテンバットの完成だ」
「キャァーッ!」
ブラック将軍の目の前で、サボテンバットのとげが鮎美に突き立てられるのだった。
  1. 2007/02/21(水) 21:46:31|
  2. 怪人化・機械化系SS
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アン・ボニー

昨日はメアリ・リードでしたので、今日はアン・ボニーです。

アンもメアリと同じく私生児として生まれました。
アイルランドの弁護士が女中に生ませてしまったそうです。

父親は娘に男装をさせ親戚の子と偽ったそうですが、あっけなくバレ、弁護士はアンとともにアメリカに渡ります。

アメリカで農園を開いた父親は大成功を収めたらしく、アンは裕福な環境に育ちましたが、気性は激しかったらしく、気に触った女中を殺しちゃったり、迫った男性を半殺しにしたりということでした。

父親は何とかアンに良縁をと願いましたが、アンはジョン・ボニーという水夫と結婚、放浪生活を始めました。
そして、放浪の果てにジャック・ラカムと出会います。

恋多きアンはジャックに惹かれ、ジャックの船に男装して乗り込みました。
ジャックの船で勇敢に戦っていたアンは、あるとき捕獲した船から乗ってきたメアリ・リードと出会いました。

男装していたメアリを、ハンサムな青年と思い込んだアンはまたしても恋に落ちます。
しかし、メアリが女性だということを告げると、アンはかなりショックを受けて落ち込んだものの、それ以来二人は親友になりました。

結局アンもメアリと同じく、最後はラカムの海賊船が捕まったときに捕まりました。

メアリ同様妊娠していることを告げたアンでしたが、やはり彼女も妊娠していたようです。

メアリは病死いたしましたが、アンの方は出産後幾度か死刑をの執行を見送られたのち記録から消えました。

父親が有力者となっていたので、何らかの裏取引があったのではないかといわれています。

メアリもアンも「非常に品が悪くどんなことでも平気でやった」と証言されましたが、実際はどうだったんでしょうねー。

二人の女海賊。
事実はどうあれ、今となってはロマンを感じてしまうのは私だけでしょうか。

それではまたー。
  1. 2007/02/20(火) 21:14:59|
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メアリ・リード

今年の「名探偵コナン」劇場版は「紺碧の棺(ジョリーロジャー)」だそうですねー。

二人の女海賊を園子さんと蘭ちゃんみたいだと言っていましたが、二人の実在の女海賊「メアリ・リード」と「アン・ボニー」という方々がいます。

今日はメアリ・リードの方をご紹介しますねー。

メアリ・リードはイギリス生まれ。
彼女の母は若くして結婚したが、夫は彼女との間に男の子を儲けた後航海に出て戻りませんでした。

その後二人目に女の子を授かった母親でしたが、おそらく私生児だったのではないでしょうか。
田舎に逃避して人目をはばかるようにメアリを生んだ後、程なく男の子のほうが死んだので、男の子の服を着せて男子として育て、夫の遺児として仕送りを得ていたようです。

少年として育ったメアリは、フランスで貴婦人の小姓になりましたが、すぐに飽きて抜け出してしまい、英国海軍の軍艦に男装をして乗り込みました。

その後軍艦も抜け出して陸軍の歩兵連隊に入るんですが、勇敢な見習い士官として評判は上々だったらしいですね。

そこで知り合った男性兵士と恋に落ち、メアリは女性であることを知らせて結婚します。

夫とともに酒場を始めたメアリでしたが、幸いなことに店は繁盛。
幸せな時期を過ごします。

しかし好事魔多し。
夫の急死により、店をたたむ羽目になります。

その後メアリは再び男装し軍に入ったりしますが、あるとき乗っていた船が海賊の襲撃を受け拿捕されました。

海賊ジャック・ラカム、通称キャリコ・ジャックに誘われた彼女は、以後海賊の仲間になり、同じ船に乗っていたもう一人の男装の女海賊アン・ボニーと知り合います。

メアリはカトラス(船乗りがよく使う片刃の剣)の名手だったらしく、決闘でも数々の男を倒したといいます。

ラカムの海賊船でアンとともにカリブ海で暴れまわったメアリでしたが、ついにバレット船長率いる武装スループ(帆船の一種)に捕まりました。
しかし、男性乗組員が早々に降伏する中、メアリとアンは最後まで戦ったといわれます。

メアリはアンとともに死刑判決を受けますが、メアリは妊娠をしていると主張。
検査の結果まさしく妊娠していたメアリは、死刑が延期されましたが、結局熱病にかかり亡くなりました。

海賊は数多くいますが、女海賊として名を残しているのは彼女とアンぐらいでしょう。
波乱万丈の人生だったみたいですね。

それではまた。
  1. 2007/02/19(月) 21:34:58|
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変身モノ

あ痛たた・・・
やってしまいましたー。

腰を痛めてしまったようでPCの前に座るのがつらいー。
明日までにやわらぐかなぁ。

と、いうことで今日は映画の紹介など。

「ザ・フェイス」
原題は「THE WASP WOMAN」

これはもともとは同じ題名の映画「THE WASP WOMAN」のリメイクなんですが、私は旧作の方は見ておりません。
ザ・フェイスの方はストーリーはほとんど同じです。

化粧品会社の中年女社長が、今まで付き合いのあった写真家がもうモデルに起用してくれないどころか、若い女性をモデルとして使い始めたことにショックを受けます。

彼女はある研究家が蜂のエキスを使った若返りの妙薬を作成していることを知り、その研究家と接触します。

研究家の人体実験に協力した彼女は、徐々に肌のつやと張りを取り戻し・・・
写真家も彼女に再度接近してくるのですが、彼女の周りで奇妙な事件が起こり始め・・・

実は彼女は薬の影響で蜂女と化してしまったのでした。

というような映画なんですが、蜂女が美しくない。
単なる巨大化したスズメバチなんですよねー。

やはり女性のラインを生かしつつ蜂化してほしいものですよね。
そこのところは残念です。

それではまた。
  1. 2007/02/18(日) 20:59:43|
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戦国の保存食

戦国時代、戦場に持っていく物として保存食があることは論を待たないと思います。

では当時どのような保存食があったのでしょうか。

よく言われるものの一つに糒(ほしいい)がありますね。
米を蒸して干すだけというものですが、軽くなる上に、そのまま食べることもできますし、水に漬けたりお湯に漬けたりするだけで、粥のように食べることもできました。

二合のお米約300グラムを、糒にすると、約250グラムほどになるそうで、いろいろなものを背負っていかなくてはならない戦場では軽くなるだけでずいぶん助かったでしょう。

ファーストガンダム世代の人はご記憶にあるかもしれませんが、エピソードの中で塩を求めてさまよえる塩水湖を探すというのがありました。
塩は人間の生理には欠かせない重要なもので、塩が無いと、カリウムとナトリウムのバランスが崩れ躰が上手く動かなくなってしまいます。
(ちなみにホワイトベースは塩水湖の跡にあるはずの岩塩を取るということは思いつかなかったんでしょうかね?)

となると、塩分とさらにタンパクが摂取できる味噌はやはり重要で、味噌を焼いて味噌玉にして携帯したり、乾燥させて乾燥味噌にして持ち運んだりするのですが、面白い方法がほかにもありました。

里芋の茎を味噌で煮しめ、乾燥させて縄のようにするのです。
普段はこれを使って荷物を縛り、場合によってこの縄を細かく切ってお湯に入れると、なんと具入りの味噌汁になるのです。
よく考えられていますよね。

ほかには大豆をゆでて干した干し豆や、そば粉や米の粉、はちみつにゴマなどを混ぜて作った兵糧丸と呼ばれる携帯食など。
さまざまな知恵と工夫で携帯食が作られました。

梅干しを果肉だけ丸めて乾燥させたものも用いられるんですが、面白いのは喉の渇いたときにはそれを見るということなんですね。
舐めちゃうと余計に喉が渇くので、見るだけなんだそうです。

いろいろとあるもんなんですね。
それではまた。
  1. 2007/02/17(土) 21:06:21|
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外より中が問題かも

元オリックスバファローズの中村紀洋選手がどうやら中日ドラゴンズ入りが決まりみたいですね。

育成選手扱いということで年俸は400万ほどになっちゃうらしいですけど、野球ができないよりはいいかもしれません。

でもねー。
中日の選手にしてみれば複雑みたいですねー。

キャンプ前であれば「横一線スタート、今年は頑張るぞー」だった中日の三塁手立浪や森野が、「えっ? 俺たちじゃだめってこと?」って考えちゃうみたいですからねー。

あらためてチームというものの編成の難しさというところでしょうか。

これで内部にギクシャクしたものがあってこけられても面白くないんで、問題がなければいいんですけどね。

オリックスはオリックスで元近鉄/巨人のローズが復帰ほぼ確定ですもんね。
大丈夫なんでしょうかね?

オリックスはもう内部が完全にバラバラらしくて、元オリックス派、元近鉄派、外様の三つに分裂しているとか。

つらいところですねー。

まあ、スポーツ新聞の記事ですから、話半分なんでしょうけど、組織をまとめるというのは大変なことなんですね。

ということで今日はこれまで。
それではまた。
  1. 2007/02/16(金) 21:24:44|
  2. スポーツ
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二種類あったんだ!

零式艦上戦闘機、99式艦上爆撃機、97式艦上攻撃機といえば、太平洋戦争緒戦の頃の日本海軍機動部隊の三種の神器と言ってもいいでしょう。

いずれ劣らぬ名機であり、南雲機動部隊の艦載機として、知名度も高い機体です。

ところで、この中の一つ、97式艦上攻撃機には二種類あったというのはご存知でしたでしょうか?
私はつい最近まで知らなかったです。orz

もともと97式艦上攻撃機は、十試艦上攻撃機として三菱と中島の二社に海軍が競争試作させた機体でした。

中島の最初の試作機は、全金属製の単葉機で、光エンジンに難があったものの、機体の完成度は高く、引き込み脚の優秀な機でした。

一方の三菱の試作機も、全金属製の単葉機でした。
脚は固定脚で多少の古臭さを感じさせるものの、エンジンは金星エンジンを搭載し、信頼性とパワーに優れるのが魅力でした。

中島は将来的に光エンジンから栄エンジンに換装してパワーアップすることを海軍に申し入れており、そうなった場合にはエンジンの優劣はほとんどなくなります。

結局優劣どちらともつかない海軍は、この二種の試作機を同時に採用しました。

中島製が97式艦上攻撃機一号。
三菱製が97式艦上攻撃機二号。
(まるで仮面ライダーのようなww)

のちに前述の通り栄エンジンに換装した中島製97式艦上攻撃機三号が真珠湾攻撃などに名を馳せることになります。

本来はどちらかに決めたかったところなのですが、折からの中国大陸での戦争に一機でも多くの攻撃機が必要だったため、両機種を採用することで短期間に多くの機体を調達できると考えたんですね。

中島製の97式艦上攻撃機は、無論その後の太平洋戦争の緒戦に活躍します。

一方その陰に隠れた形の三菱製97式艦上攻撃機ですが、陸上基地配備の攻撃機として評価はすこぶる高かったそうです。

エンジンの信頼性の高さなど、使い勝手がよかったんでしょうね。
旧式機と判断され、本土に返還するように命じても、現地部隊は手放さなかったそうです。
(もっとも、交換の機体が来るかどうかもわからないのに、手放すはずが無いですよね)

空母から飛び立った中島製97式艦上攻撃機が表の名機なら、地味ですが、陸上基地から黙々と作戦に従事した三菱製97式艦上攻撃機は裏の名機と言えるのかもしれませんね。

それではまた。
  1. 2007/02/15(木) 21:31:10|
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夢の不沈艦

北緯41度46分、西経50度14分。

地図を見ていただくとわかると思うんですが、この位置は北大西洋でも結構南寄りです。

英国本土よりはるかに南であり、ニューヨークの沖合いと言っていい位置ですが、ここがあのタイタニックの沈没位置なんですね。

と、言うことは、このあたりまで氷山が流れてくるということです。

そう、氷の塊が、です。

1940年。
フランスはドイツの電撃作戦の前に敗れ去りました。
ドイツはフランスの港という大西洋への出口を得たことになったのです。

そのため、1940年後半より、ドイツのUボートは大西洋での通商破壊活動に猛威を振るうことになります。
英国は非常に苦境に立たされました。

島国である英国は、当然のごとく船舶により必需品を運んでいます。
Uボートはそれら商船を無差別に襲撃して、英国を干上がらせるのです。

原子力潜水艦と違い、当時の潜水艦は可潜艦です。
比較的浅い水深を潜るUボートにとって、一番の脅威は航空機でした。

英国は航空機によってUボートを空から封じ込めたいと考えましたが、当時の英軍の航空機では、航続距離などの関係でどうしても大西洋の中央部には航空機の届かない大きな穴ができてしまいます。

航空母艦があればいいのですが、当時の英国はまだまだ護衛空母もなく、艦隊空母は数が少なくて商船護衛などに振り向けることはできません。

英国はどうにかして北大西洋の中央部に長距離哨戒機を飛ばせる航空基地が欲しかったのです。

そんなときにチャーチルのもとに一つのアイディアが持ち込まれました。

発案者はジェフリー・パイク。
アイディアとは、氷を使って洋上に航空基地を作る。
つまり「氷山空母」を作って、そこを拠点に航空機を飛ばそうというものだったのです。

氷と言っても、普通の氷ではありませんでした。
「パイクリート」と呼ばれるおがくずを一割ぐらい混ぜた水を凍らせたものでした。

これは通常の氷に比べて固く溶けにくいという性質を持っており、これをベースに建造物を作ることは可能と考えられたのです。

計画は「ハバクック(ハボクック)」と呼ばれ、具体的には金属の骨組みにパイクリートでできたブロックを積み上げて行くというものでした。

全長600メートル、最大幅100メートル、排水量200万トンという凄まじく巨大な氷と金属の建造物は、上面が平らに整備され、滑走路として使われます。
もちろんパイクリートと言えども溶けないわけではないため、冷気を循環させて低温を維持するといった工夫もなされる予定でした。

計画では推進器も備えられ、約18ノットの速度で移動し、100機以上の航空機を搭載する海上航空拠点となるというものでした。

アイディアはチャーチルのゴーサインを得て、1943年にカナダで実際に試験が行なわれたそうです。

しかし、当然のごとくいろいろな問題が噴出し、さらには米国の参戦で護衛空母が数多く配備されることなどから、計画は中止。
氷山空母は幻となりました。

ただ、その稀有壮大な着想が仮想戦記などではもてはやされ、小説上では活躍していることもあるようです。

SF好きとしては、地球上ではなく宇宙空間を行く氷の宇宙船であれば溶けることをそれほど心配しなくてもいいのになと思います。

それではまた。
  1. 2007/02/14(水) 21:45:20|
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ポケットの中の戦艦

第一次世界大戦の終結後、ドイツはヴェルサイユ条約によって、軍備をすごく制限されることになってしまいました。

徴兵制が禁止され、航空機、戦車、潜水艦、航空母艦などは保有することができなくなりました。

さらに参謀本部の解散や、陸軍は総兵力を10万人以下にすること、海軍は戦艦6隻、軽巡洋艦6隻、駆逐艦12隻、水雷艇12隻までとすることも決められました

そして、戦艦の備砲は口径が11インチ(28センチ)以下、排水量は1万トン以下とまで制限されてしまったのです。

これでは無論まともな戦艦など作れるはずもありません。
戦勝国としては、ドイツにまともな戦艦を作らせないのが目的でしたから、その目的は充分に達せられたわけです。

ところがその後、ワシントン及びロンドンの両海軍軍縮条約により、1万トン以下の排水量の補助艦にも各国に制限がかけられます。

つまり、かつての戦勝国であっても、1万トン以下の軍艦は主砲が8インチ(20.3センチ)までという制限が課せられたため、単純に排水量1万トンの軍艦はドイツであれば11インチ砲が搭載できるのに対し、英仏は8インチ砲しか搭載できないという矛盾が起こることになったのです。

無論、英仏は1万トンをはるかに超える戦艦を保有できるのですから、ドイツがいかに1万トンの軍艦で優位に立っても問題ないという考えだったかもしれません。

そこでドイツは排水量1万トンの軍艦には無理としか思えないような能力を盛り込むことにしたのです。

主砲は11インチ砲三連装砲塔が前後に一基ずつ計六門。
速力は当時の高速戦艦(大体23ノットから24ノット)の上をいく28ノット。
防御力は重要部分に対しては8インチ砲弾を跳ね返せるぎりぎりの150ミリ装甲。

つまり、英仏の高速戦艦に対しては、こちらの速度の優位さを持って戦場を離脱し、相手の方が速度が速い重巡を中心とする補助艦艇に対しては圧倒的な砲撃力と、何とか耐えうる防御力を持って砲撃戦を挑み、撃破するという思想でした。

この思想は血の滲むような努力を持って現実の軍艦へと結実します。

英仏を刺激しないように「装甲艦」という艦種名を付けられた一番鑑「ドイッチュラント」は、速度こそ26ノットでしのんだものの、そのほかはほぼ要求どおりの能力を持っておりました。
ただ、排水量だけはどうしても1万トンに抑えることはできず、1万2千トンほどとなっておりました。

ドイッチュラントは当時の海軍常識を覆す軍艦でした。
英仏には事実上対抗できる軍艦がなかったのです。

マスコミはこの艦を「ポケット戦艦」と呼んでその驚きを伝えました。

フランスはすぐに対抗できる艦として戦艦「ダンケルク」級の建造を開始。
ドイツもまたそれに対抗する軍艦を・・・といういつの時代でも見られる建艦競走に入りました。

結局ドイツ海軍は1945年まで戦争はありえないと言っていたヒトラーを信じて、その線にそって軍備を進めていたのですが、1939年に戦争が始まってしまったことで、ほとんど準備のできていない海軍力で戦争をする羽目になりました。

少ない海軍力を有効に使う手段として、ドイツ海軍が取った作戦は通商破壊戦でした。

潜水艦はおろか、「ビスマルク」のような戦艦さえも通商破壊に駆り出したのです。

そんな中、ポケット戦艦の一隻「アドミラル・シェーア」が大西洋などで大きな活躍をした以外はあまり活躍できずに終わりました。

しかし、課せられた制限の中でいかにして有力なものを作るか。
この命題に挑戦した数ある物の中でも、ポケット戦艦は成功作の一つと言っていいのではないでしょうか。

それではまた。
  1. 2007/02/13(火) 21:48:27|
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今年も楽しみー

ベースボールマガジン社発行、「週刊ベースボール」の2/24増刊、「2007年プロ野球全選手写真名鑑」を買ってきました。

毎年買うんですけども、今年もこれがでる季節になりましたね。

早速気になる球団をチェック。

「阪神タイガース」
井川の抜けた穴がどこまで埋められるかですね。
背番号の変更で心機一転の三東、四年目の筒井、五年目の江草、このあたりがどこまで伸びてくるかというところでしょうか。

福原、安藤、下柳を中心にローテーションを組むのでしょうが、五枚から六枚先発が欲しいところですね。
ジャンとボーグルソンが一角に入ってくれればかなり助かるんですけど・・・

打者は当然金本が中心。
キャンプ始めに故障した赤星がちょっと気になりますが、今岡、浜中が元気そうでクリーンアップは任せられそうです。
林、喜田、桜井あたりの中堅選手が今年はどこまでやってくれるか楽しみです。
総じて打者は年齢が高いので、若手の奮起に期待ですね。

「北海道日本ハムファイターズ」
投手陣は今年も金村、八木、ダルビッシュが中心。
そこに建山、江尻、須永あたりが食い込んできて欲しい。
新人の宮本、糸数、ダースなどは、早めに一軍昇格といければいいのですが・・・

打者のほうは小笠原と新庄の抜けた穴は当然のように容易には埋まりません。
セギノールの残留は決まりましたが、どうもムラがある感じですし、稲葉一人では力不足です。
森本、田中の一二番は健在。
ただ、森本が野球以外のところで疲れてしまわないかどうか・・・
チームに復帰の坪井にも期待したいところです。

「読売巨人」
投手陣は精神的要の工藤が抜けてしまい、上原にかかる重圧が大きくなります。
上原、内海、高橋尚、姜がローテーションの中心でしょうか?
そこに真田や木佐貫、FAの門倉が絡んでくれば、コマ数は揃いそうです。

打者は小笠原と谷が増強されました。
生え抜き軽視は相変わらずですが、毎年のことでもう何も言えないですね。
高橋由と阿部、二岡が力量を発揮すれば、結構怖い打線になりそうです。

「横浜ベイスターズ」
ここは仁志と工藤、それに寺原の加入が大きいでしょう。
三浦、工藤を中心の投手陣と、仁志が加わった打線はなかなか侮りがたくなりそうです。
要注意チームかもしれません。

「東北楽天ゴールデンイーグルス」
駒大苫小牧出身の田中に過剰な期待がかけられているような状況。
まだまだ発展途上の田中がどこまで一年目で飛躍できますでしょうか。

他の球団ももちろん気になりますが、とりあえずはこのぐらいで。

今年も熱い戦いを期待します。
日本のプロ野球頑張れ。

それではまた。
  1. 2007/02/12(月) 22:08:59|
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今日も勝ったぞー

一ヶ月前の1月14日、友人とゲーム「アルマの戦い」で対戦したわけですが、今日、同じ友人と再戦いたしました。

先日と同じく私が英仏連合軍。
友人がロシア軍を受け持ち、前回と同じ側での対戦となりました。

友人はリベンジ、私は再びの勝利を目指したわけですが、歴史上は英仏軍が勝っておりますので、勝って当たり前というプレッシャーもあります。

友人は前回同様連合軍右翼のフランス軍に対するために自由配置ユニットを置いていきます。

これは実は私にとってはありがたい配置で(逆に言えばロシア軍はやらないほうがいい配置)、私はひそかにほくそえみます。

しかも、前回の反省に基づいたのか、連合軍左翼の英軍のさらに左翼側も重点的に防御してきます。

つまり、仏軍と英軍の間、中間部には薄い防衛線しか引かれませんでした。

こうなればやることは一つです。
私は全軍に薄い中央部を目指して進軍させました。

前回と同様サイコロの目もそこそこ良く、英軍砲兵の前にロシア軍は蹴散らされていきます。

最終的には第6ターン終了時に友人が投了いたしましたので、前回よりも早い段階での勝利となりました。

それにしてもこのゲームの砲兵は強いですねー。
特に騎兵砲は前進しても撃てるため、破城槌のごとくロシア軍を蹴散らしてくれます。

逆に言えば、ロシア軍はこの騎兵砲をいかにして封じるかが重要ということでしょう。
おそらく友人も、次回があるのならそこを突いてくるでしょうね。

でも、こうして友人とゲームできるのはいいものです。
また近いうちの対戦を約束して(ゲームは違うものになるかもしれませんが)今日はお開きとなりました。

次は何をやろうかなー。

それではまた。
  1. 2007/02/11(日) 20:03:42|
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好きな作品パートⅣ

本棚を整理していたら、結構古いアダルトマンガが出てきました。

古本屋にも売らずに、本棚の奥に押し込めてあったアダルトマンガたち。

当然売らないのは理由があるからで、それなりに気に入った話しが載っているものばかりです。

と、いうことで、ちょこっとご紹介をば。

かなり古いマンガなので、手に入らない可能性が高いかもしれませんがご了承のほどを。

アダルトマンガ
「ミラクルガール&ボーイ」 法田恵著 シュベール出版
イッちゃうとテレポートしちゃう超能力の持ち主の女子高生ヒロインと、ふしぎ研究会に所属する彼氏とのラブコメ。

なんですが、もう一人超能力を持つ男が出てきまして、ヒロインに興味を持ちます。
この男、超能力でMCできるので、女はいくらでもモノにできるわけですが、女教師が目を見つめられて「これで先生は罪悪感なく生徒とSEXできるようになった」と刷り込まれ、男の言いなりになってしまうあたりは結構くるものがありました。

ほかにも何箇所かMCシーンがありますが、一番美味しかったのはここかな。
それなりに楽しめました。


「吸血姫ブラッディ魔魅」 きさらぎ蜜お著 司書房
これも古い。
相当古いです。
ヒロイン魔魅の内部に眠る吸血鬼が復活のために魔魅の肉体をコントロールし始めます。
貧血で倒れた魔魅は学校の保健室に運ばれるんですが、そこの女性養護教諭がまず始めの犠牲者に。
その後男性体育教師を養護教諭とともにしもべにした魔魅の中の吸血鬼は、生徒たちの血を集めさせ、復活をたくらみます。

まあ、落ちを言っちゃうと、魔魅を好きな彼氏が魔魅を救っちゃうんですけど、嬉しいことに最後が・・・

助けられた魔魅が運び込まれたのは保健室。
「あなたは吸血鬼一族の大事なお方。どうか私めの血を・・・」
そう言って自ら血を与えようとする養護教諭・・・

まあ、これもそこそこ楽しめましたです。


「おねーさんとあそぼうっ!」 山文京伝著 フランス書院
これはもちろん中身もいい!
犬に心奪われる人妻。
未知の生物との快楽に溺れる女性たち。
調教され、身も心も落とされていく若妻などなど・・・
さすが山文さん。

しかーし!
私にとってこのマンガの最大の価値は表紙カバーを取ったところにありました。(笑)
正義のヒーローアルジャーグのパートナーレイラ。
捕らわれたレイラが「腐敗の種子」を植えつけられ、悪のしもべに落ちていく。
わずか10コマちょっとの本体表紙と裏表紙に綴られたこの短編こそが、私にとっては最高の代物でした。

以来山文さんのコミックスって、必ずカバー開けるよなぁ。(笑)

ということで今日はこのぐらい。
それではまた。
  1. 2007/02/10(土) 20:13:49|
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熱くなるのもほどほどに

2月に入り、そろそろスポーツシーズンに向けて動き出す時期となってきましたね。

昨年のプロ野球の覇者北海道日本ハムもキャンプに入りましたし、サッカーのコンサドーレも練習に汗を流しています。

ともに熱狂的なファンがいるスポーツですが、とりわけサッカーは世界的にもファンが多く、中には熱狂のあまり、暴力的な行為に走る人もでる場合がありますね。

一人や二人なら何とかなっても、集団の力は怖いものです。
ましてやそれが国家規模になれば・・・

1969年。
今を去ること38年前になりますが、この年、翌年開催が控えていたサッカーメキシコワールドカップの予選が中南米で行なわれておりました。

狭き門である本選出場枠を巡る予選の熱狂は今も変わりません。
ホンジュラスとエルサルバドルという二国も、本選出場をかけて熱い戦いを繰り広げておりました。

一戦目はホンジュラスで行なわれ、ホンジュラスサポーターがエルサルバドル選手の泊まるホテルの前で大騒ぎを行い、一睡もさせなかったために1-0でホンジュラスの勝利となりました。

二戦目はエルサルバドルで行なわれ、今度はエルサルバドルサポーターがホンジュラス選手を眠らせないという行動にでました。
試合は3-0でエルサルバドルの勝利。

ついに三戦目はメキシコという双方とは関係の無い国で行なわれ、ここで3-2でエルサルバドルが勝ちました。

その後エルサルバドルはハイチにも勝利し、ついに本選出場を獲得します。

面白くないのはホンジュラスでした。

前々から、国境線が確定していなくて小競り合いがあっただけではなく、ホンジュラス国内にエルサルバドルの労働者が入り込み、不法滞在と仕事の奪い合いという問題が激化していた折でした。

サッカーの試合に負けたホンジュラスはついにエルサルバドルに国交断絶を通告。
ホンジュラス国内のエルサルバドル人を追放しにかかります。
さらにホンジュラスの国内ではエルサルバドル人に対する暴力も激化。
ついにエルサルバドルは、自国民保護のためにホンジュラスに攻撃を開始します。
史上名高い、「サッカー戦争」の勃発でした。

戦争そのものはやはり血なまぐさく激烈なもので、米州機構や国連が仲介に乗り出し停戦するまでの四日の間に双方で数千人規模の死者がでたそうです。

この戦争ではなんと、ベトナムではF-4ファントムやMigが飛び交い、ミサイルで戦っていたというのに、ホンジュラス空軍のF-4Uコルセアと、エルサルバドル空軍の同じくF-4UとP-51ムスタングという第二次大戦のレシプロ(プロペラ)戦闘機同士が空戦を行い、エルサルバドルのF-4UとP-51が撃墜されたとのことで、この「サッカー戦争」が現在のところ最後のレシプロ機同士の空戦ということになっています。

ホンジュラスとエルサルバドルの険悪な状況はその後も続き、国際司法裁判所の提示した国境線を双方が受け入れて確定したのは、2006年4月のことでありました。(なんと昨年です)

もともと状況的に険悪だった国同士だったのですが、サッカーがきっかけで戦争という状況になってしまったのは悲しいことですね。

くれぐれも熱くなり過ぎないようにしたいものです。

それではまた。
  1. 2007/02/09(金) 20:54:32|
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白米(゚д゚)ウマー

腹が減っては戦はできぬ。

古今東西どこででも通じる大原則ですね。

今日は学研「歴史群像シリーズ66 戦国武心伝」より戦国時代の食を少々。

戦国時代の武士は基本的には粗食です。
これは物があるなし以前に粗食に慣れておくことで、篭城時や敗戦時などの兵糧が途切れた場合に困らないようにしておくことなんだそうです。

平時においては五合の玄米が基本だったそうで、これを朝と晩の二回に分けて食べるそうです。
昼食(中食)は平時には取らないそうで、出陣時などの場合のみだそうです。

五合の玄米は750g、約2600キロカロリーで、ビタミンC以外はほぼ必要量を取れるといういわゆる完全食なんですね。

で、この玄米を中心に、一汁一菜、お味噌汁とおかずが一品というのが基本だったようです。

これは大体3500キロカロリーほどとなってかなり高カロリーなんですね。
現代人の一日の必要摂取カロリーが約2400カロリーだそうですから、結構多いですよね。

それだけ重労働ということなんでしょう。
ちなみに現在の陸上自衛隊の一日の基本カロリーも約3300ほどらしいです。

さて、いざ戦となると、今度は白米が基本となりました。
白米に生味噌を添えて好きなだけ食べさせたのだそうです。

まあ、好きなだけと言っても、基本は一日に一升。
これを四回に分けて食べたそうです。

白米は栄養面では劣りますが、炊き上がりが早いのと、消化がいいのとで戦の時には白米ということになったそうです。
生味噌が付けば、高たんぱくだし、消化酵素もあるのでさらにいいというわけですね。

足軽にしても農民にしても、白米を食べられるなどというチャンスはほとんどありません。
ですので、戦になると白米が食べられるということで、意外と戦への志願者が多かったそうです。

それだけ白米には魅力があったんでしょうね。

食に関してはまた別の機会にも書きますね。
それではまた。
  1. 2007/02/08(木) 20:30:54|
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相互リンクさせていただきました

このたび霧鎖姫ジャック様のサイト「煉獄歯車」と相互リンクさせていただくことになりました。

URLはこちらです。
http://taikeihozumi.h.fc2.com/

もうご存知の方も多いとは思いますが、ジャック様はイラストとSSの双方で素晴らしい悪堕ちの世界を展開なさっていらっしゃる方です。

「煉獄歯車」はジャック様の素敵な世界を存分に楽しめる、とても楽しいサイトさんでして、私もちょくちょくお邪魔させていただいております。

ジャック様、相互リンクありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
  1. 2007/02/07(水) 22:18:32|
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踊れ踊れ!

ベテラン搭乗員によって操作されたティーガーは、まさに無敵の存在と言ってもいい戦車でした。

少なくとも登場した1942年及びクルスクでの戦いのあった1943年頃までは、ソ連軍にティーガーと正面切って戦闘をできる戦車は皆無でした。

そんな中であった戦いを一つ。

1943年1月。
ドイツ軍に包囲されたレニングラードを解放するために、ソ連軍は反攻作戦を開始します。

そんな中レニングラード近郊の住宅街に立て篭もるドイツ軍兵士を追い出すために、オサチューク中尉率いるT-60戦車一個中隊が歩兵を支援するために進出します。

T-60戦車は重量5.8トンの軽戦車で、主砲はわずか20ミリ。
1941年ならともかく、1943年ではあまり使い道の無い戦車でした。
それでもソ連軍の戦車不足のために使われていたのです。

ドイツ軍の砲撃により、履帯を切ってしまったオサチューク中尉は、本隊を先行させ、自分は修理してから本隊を追いました。

その時オサチューク中尉のT-60のクルーは林の中から巨大なドイツ軍の重戦車が三両も現れたのを見ます。

「ティーガーだ!」
オサチューク中尉は愕然とします。
相手の主砲は88ミリ、重量は60トン近い。
大人と子供以上に差があるT-60では勝ち目があるわけがありません。

しかし、オサチューク中尉は操縦手のマカレンコフ曹長に言いました。
「ティーガーの前で踊るんだ」

彼らの右後方には野砲中隊が布陣をしているところでした。
T-60の20ミリ砲なら無理でも、76.2ミリ野砲なら撃ち抜けるかも知れない。
オサチューク中尉はそう考えたのです。

一台のT-60はこれ見よがしに三両のティーガーの前で走り回り始めました。
20ミリ機関砲はいくら撃ってもティーガーの装甲に弾かれるばかりでしたが、ティーガーにとっても小うるさいT-60は意外と機敏に走り回るため、88ミリ砲に捕らえられない状況が続きました。

ティーガーはじりじりと野砲中隊の方へ引き寄せられます。
オサチューク中尉は野砲中隊がティーガーの側面を狙えるように、ティーガーを引きずり回し、ついに野砲中隊の前にティーガーが姿を現します。

その瞬間、二両のティーガーの側面に76.2ミリ砲弾が集中し、動きが止まりました。
残ったティーガーは早々に退避し、姿を消します。

結局オサチューク中尉のT-60は無傷で残り、ティーガーは二両が失われました。

この戦闘により、オサチューク中尉は「ソ連邦英雄」の称号を受けたそうです。
どんな時でも冷静に全力を尽くせば、いい結果がついてくると言うことなのかもしれないですね。

それではまた。

(参考文献「グランドパワー2001年9月号」)
  1. 2007/02/07(水) 22:09:22|
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二週間もか

燃料電池というのをご存知でしょうか?

水を電気分解すると、水素と酸素が発生しますよね。
理科の実験などでよくやると思います。

基本はあれの逆をやるんですね。
水素と酸素を化合して水を作り出すと同時に電気も取り出します。

次世代エネルギーとして注目を集めている燃料電池ですが、まだまだ実用にはいろいろな障害も待ち受けているようですね。
早く実用化されるといいのですが・・・

でも、潜水艦の世界では、すでに実用化されたものがあるんですね。

ドイツ海軍に就役している212A型Uボート(潜水艦)がそれで、推進器に燃料電池を使っているのです。
(ちなみにUボートとは、ドイツ語のウンターゼーボート、英語ではアンダーシーボートで水面下の船つまり潜水艦のことです)

無論水上ではディーゼル機関を使いますが、水中で燃料電池による航走の場合は約八ノットほどの速力しか出ませんが、約二週間の水中活動ができるのだそうです。

今までは原子力潜水艦でも無い限り、長期間の水中活動はできませんでしたから、二週間というのはすごいことなんですよね。

原子力潜水艦だと、取り扱いなどの技術的な面のほか、周辺諸国への軍事的脅威として導入できない国も多かったでしょうけど、燃料電池などのいわゆる通常動力&AIP(非大気依存推進)動力の潜水艦なら、取得したいという国は結構あるでしょうね。

実際日本の海上自衛隊でも次期潜水艦はAIPシステムを組み込むようですし、韓国海軍は212A型の輸出バージョンである214型をライセンス生産しているようです。

ちなみに拙作「グァスの嵐」に登場する人間型ロボット「ミュー」も、動力源は燃料電池です。

将来的には自動車なども燃料電池車が出てくるんだろうなぁ。

それではまた。
  1. 2007/02/06(火) 21:55:05|
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庭の人影

今日は帝都奇譚の20回目です。

少しばかりですが、よろしくお願いいたします。

20、
「うわー! 来るなぁっ!」
笑みを浮かべながら走りこんでくる女性に対し、助野は叫びながら銃を向ける。
だが、狙いを定める暇も無く、ましてや撃ったことの無い助野は手が震えてしまって引き金を引くことすらできやしない。
「キャハハハハハ・・・」
紅葉と呼ばれた女の魔物は、人間離れした素早さで助野のそばに走り寄ると、あっという間に手刀で拳銃を叩き落す。
「うわぁっ!」
助野はうめき声を上げ手首を押さえる。
紅葉はそのまま助野の襟首を掴んで引き寄せると、一気にのど笛に噛み付いた。
「ひゅうぁ・・・げぼっ」
助野の口から血があふれる。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ」
両手で口元を押さえた灯の悲鳴が響き渡る。
「こいつのエキスなどいらない。お前のエキスをおよこし!」
口をパクパクさせ、瀕死の重傷を負っている助野をその場にほうり棄て、紅葉の赤い瞳が灯の方を向く。
「ああ・・・あ・・・だ・・・誰・・・か・・・」
動かない足を必死に引き摺り、灯は助けを呼ぼうとかすれた声を上げる。
「紅葉よ」
唐突にヴォルコフが声を発した。
今にも襲いかかろうと身構えた紅葉の動きが止まる。
「はい、ヴォルコフ様」
甘えるようなうっとりした目でヴォルコフに振り返る紅葉。
彼女にとってはヴォルコフこそが全てであり、それ以外のものは意味を成さないのだ。
「その女はわしに捧げよ」
紅葉はゆっくりとうなずく。
「かしこまりました。ヴォルコフ様」
次に何が起こったのか?
紅葉の動きに息を飲んだ瞬間、灯の意識は遠くなっていた。

夜の帳が辺りを覆う。
街灯が照らし出すのはほんの一握りの空間に過ぎない。
太正の御世とはいえ、まだまだ帝都も江渡の世界を抜け出していない一角も多いのだ。
だが、そんな暗い通りを歩く一人の若い女性がいる。
いや、少女と言ってもいいだろう。
ハイカラな紺色の女学生の制服、セーラー服を身に纏い、ゆっくりと歩いている。
気になるのはその足取り。
何となく覚束ず、まるで酔っているか夢遊病のような感じ。
ハア・・・ハア・・・
息が荒い。
こんな時間に女性が出歩くことだけでも不自然であるが、彼女は何か熱に浮かされたような呆けたような表情を浮かべている。
「小夜・・・小夜・・・」
切れ切れに聞こえる呟き。
歩みは止まらない。

やがて彼女は一軒の家の前で止まる。
大きな庭のある日本家屋。
中からは明かりが漏れ、そろそろ眠りの準備をしていることだろう。
「・・・うふ・・・」
少女の口元に笑みが浮かぶ。
少女自身その笑みを浮かべたことには気が付いていないだろう。
なぜ自分がここにいるのかもよくわかっていないに違いない。
だが、彼女はここにいた。
喉の渇き・・・ただそれを癒したかった。
真木野。
玄関の表札にはそう書いてある。
「小夜・・・」
彼女はトンと地面を蹴った。
ゴム底の運動靴が彼女の力を地面に伝える。
黒いタイツに包まれた脚が宙に浮き、彼女の躰を跳ね上げた。
塀を飛び越え、庭に降り立つ少女。
スカートがふわりと翻り、黒髪がはらはらと舞う。
音はしない。
一陣の風のごとく、ただ静かに庭に立ち尽くすのみ。
家人は誰も気がつかない。
少女は再び笑みを浮かべるのだった。

「ふう・・・」
パタンと本を閉じ、首を回す。
集中して読んでいたので首筋が固まっている。
面白い小説。
芥川龍之介の作品は小夜にとっては興味深い。
今日も遅くまで読みふけってしまった。
そろそろ寝ないと明日がつらくなるだろう。
小夜はそう思い、寝る支度をするために立ち上がる。
『小夜・・・』
「えっ?」
小夜はふと自分を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
部屋には彼女一人。
家人は居間の方にいるので、家人が呼んだのかもしれない。
でも、それにしては変だった。
『小夜・・・』
「誰?」
小夜は少し気味が悪くなる。
一体誰が自分を呼ぶのだろう。
『小夜・・・』
声は庭のほうから聞こえてくる。
いや、それは本当に声なのか?
小夜には耳からではなく頭の中に響いてくるように感じるのだ。
「誰? 誰なの?」
部屋の障子を開け、窓の外を見る小夜。
闇に包まれた庭がそこにはある。
『小夜・・・私よ・・・』
闇に包まれた庭に人影が見える。
誰?
疑問に思ったのは一瞬だった。
人影の目が小夜を見つめたのだ。
その中にごくわずかな赤い輝き。
その赤い輝きが小夜の脳を貫いていく。
あ・・・
小夜は我を失った。
  1. 2007/02/05(月) 21:54:57|
  2. 帝都奇譚
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素敵なマニュアル

どの戦車にもマニュアル、いわゆる取扱説明書はあるとは思うんですが、「ティーガーⅠ」にもとても素敵なマニュアルがありました。
(余談ですが、ティーガーⅠと呼ばれるようになったのは、もちろんティーガーⅡ、いわゆるケーニッヒティーガーができてからです。それ以前は単なるティーガーでした)

私はそのマニュアルを、デルタ出版社発行のシュトルム&ドランクシリーズ№1、「ティーガー」で拝見させていただき、すごく楽しめたものでした。

以下にいくつか抜粋させていただきますね。

操縦手に対して
「スキーのクロスカントリーの選手は競技に参加する準備に二時間を必要とする(食事、ワックス塗り、柔軟体操など)。そうしないと最高の機材もつらい訓練も水泡に帰してしまう。ティーガーの操縦手は、ティーガーを活躍させる準備に二時間を必要とする。そうしないと小さなことのために動かなくなってしまう。治療よりも予防の方がよい。だからスタートする前には必ず次の点をチェックせよ(ガソリン、オイル、油圧、電流、水、始動、待機状態)」

こういった書き出しに始まり、各項目が書き込まれていきます。
例えばエンジン回転数を一定に保ちなさいと言った項目では・・・

「26回転を一分間に、上手な人はヴィンナ・ワルツを踊るときに3/4拍子のリズムでそれだけ回れる。その時音楽は耳の中に溶け込み、動きと上手にバランスを取る。それより遅いと退屈してしまうが、だからと言って速く回るとめまいを起こしてしまうし、パートナーも怒って去っていってしまう。2600回転毎分を4ストロークで、ティーガーはこのリズムを愛している」

このように何かの例えを出して書かれているのが非常に多いですね。

あと、やはり男社会の軍隊であるためか、女性になぞらえることがすごく多いです。
例えば無線手の場合・・・

「無線手と無線機は、それが言葉に表わせないぐらい一体でなければならない。それが(無線機が)素晴らしい女性であるかのように」

装填手の場合・・・
ティーガーの砲弾はわかりやすいように色分けされておりました。
徹甲榴弾は黒、榴弾は黄色とかいうように。

「ブロンドであれ、黒、白、あるいは灰色になってしまったものであれ婚約者のように大事に世話をせよ。そのときの効果は絶大だ。ちょっとした一押し(砲に対して砲弾を装填すること)で、熱いハートは君のもの」

砲手の場合・・・
ドイツ軍は照準などに際してシュトリヒという単位を用いました。
1シュトリヒは円(360度)を6400に分けた一つを差しました。

「恋人のエルヴィラは君のために誕生日のお祝いのケーキを焼いてくれた。直径が2キロもの巨大なケーキだ。師団のみんながエルヴィラのケーキをもらおうとしたので、君はそれを6400個に切り分けた。そうするとこのケーキは中心のところでは厚さがほとんど無いにもかかわらず、1000メートル先の外周部では1メートルもの厚さがあるのだ。エルヴィラは一切れの長さが2000メートルになったとしても喜んでケーキを焼いてくれるだろう。その時外周部では厚さが2メートルになる。もっとも、こんなケーキは野戦郵便では受け付けてくれないだろう」

こういった感じで読み手に理解しやすいように、例えを使っているんですね。
さらにはイラストも付いているので、楽しく読めたでしょう。

おそらくティーガーの乗員は、このマニュアルを何度も繰り返し読んだんでしょうね。

それではまた。
  1. 2007/02/04(日) 21:37:32|
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昼飯の時間だ

ドイツ陸軍Ⅵ号重戦車。
言わずと知れた「ティーガーⅠ」です。

日本ばかりではなく全世界の戦車ファンにとって、非常に人気のある同車ですが、舞方にとっても好きな戦車の一つですね。

前面装甲厚100ミリ。
側面&後面装甲厚80ミリ。
この側面&後面装甲厚ですら、4号戦車の後期型の前面装甲と同じです。

主砲は高射砲より転用された56口径88ミリ戦車砲kwk36。
無論その威力は折り紙付きでした。

1942年、レニングラード地区において初の実戦参加をしますが、当時のソ連軍の主力戦車たるT-34の76ミリ砲では、相当な近距離に至らなくては正面はもとより側面装甲でさえも撃ちぬけないものでした。

一方ティーガーの主砲の88ミリ砲は1000メートルの距離でT-34の正面装甲を撃ちぬく威力があり、まさに遠距離砲戦をする限りティーガーは一台も失わずにT-34を片っ端から撃破することが(あくまで理論上は)可能だったのです。

しかし、ソ連軍はすべての砲は対戦車砲であるという考えを持っている国です。
45ミリの対戦車砲から、76ミリの野砲、果ては122ミリや150ミリの榴弾砲までもが直接照準でティーガーを狙ってくるのです。

そこでティーガーのマニュアルには「敵に対するときには食事時にしなさい」と書いてありました。

これは敵の食事中に襲撃しろと言っているのではありません。
食事時、すなわち敵を10時半(朝食)1時半(昼食)4時半(間食)7時半(夕食)の方角に置くように車体を調整する、そうすることによってティーガーの垂直装甲は傾斜装甲と同じく敵弾を斜めに受けることになり、見かけの装甲厚が180ミリにも達するため、たとえ150ミリ砲といえども貫通は至難のわざとなるということなのです。

小林源文先生のマンガなどでも、「昼飯の時間にしろ」などというセリフがでてきますが、それはこういうことを意味しているんですね。

ティーガーは精密機械であり、運用にはさまざまな苦労があるのですが、ドイツ軍の戦車兵と整備兵は、それらの苦労をものともせずにこの猛獣を飼いならして使っていったのです。

わずか数両のティーガーは、戦場に姿を見せたとたんに伝説と化し、敵兵の心胆を寒からしめたものでした。

ただ、ティーガーはあまりにも高価に過ぎましたね。
パンター二台分の費用はやはり高かったのでしょう。
生産台数はわずかに1300両ほど。
数がモノを言う戦争という消耗の中では、あまりにも数が少なすぎました。

虎についてはいずれまた書きますね。
それではまた。
  1. 2007/02/03(土) 21:50:02|
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不発だったのにねぇ

1982年4月、ガルチエリ大統領は国民の政府に対する不満をそらせるために、長年主権を主張してきたものの、実質的支配権を英国に握られていた島に上陸を開始します。

島の名はマルビナス諸島。
実質的支配国である英国では、フォークランド諸島と呼ばれておりました。

アルゼンチン国民はガルチエリ大統領の軍事行動に熱狂し、一時は現政権に反対の反ガルチエリ勢力ですら、政府の行動を支持し全面的に支援すると言う声明まで発表しておりました。

一方英国は鉄の女サッチャー首相の下、断固奪回と言う方針でまとまります。
これは、英領香港(当時)や英領ジブラルタルに対する諸外国の影響を懸念したためと、やはり格下と思っていたアルゼンチンごときに遅れを取るのは耐えられないと言う国民感情によるものといえるでしょう。

英国は国防予算縮小のためにオーストラリアへの売却すら考えられていた軽空母「インヴィンシブル」と、すでに退役間近となっていた軽空母「ハーミズ」を中核としたウッドワード機動部隊を派遣します。

その機動部隊の防空直衛艦として配属されていたのが、42型駆逐艦「シェフィールド」でした。
ちなみに英国は、エリア防空艦(いわゆる艦隊防空用の長距離対空ミサイルを持つ)を駆逐艦、主に対潜水艦及び対艦用の小型艦をフリゲートと呼んでいるようです。

シェフィールドは、42型駆逐艦の一番艦として1975年に就役。
当時としてはまだまだ最新鋭の部類でした。
シーダート対空ミサイル連装発射機を持ち、後部には対潜ヘリコプターを搭載。(防空艦と言えども対潜装備は持つ)
オールガスタービン推進艦で、基準排水量3500トンの船体を30ノットで走らせます。
(無論巡航時には16ノットほど)

軽空母インヴィンシブルとハーミズ合わせても二十機ほどのシーハリアーでは、二百機に及ぶアルゼンチン空軍に対する艦隊上空の防空体制には不安がありましたが、この42型駆逐艦がしっかりと護ってくれるはずでした。

対するアルゼンチン空軍は、フランスから購入したばかりのシュペルエタンダール(スーパーエタンダール)五機と、それに搭載するエグゾセ対艦ミサイル五発が到着しておりました。

フォークランド(マルビナス)諸島沖に展開した英国機動部隊は、諸島の周囲半径二百海里を海空封鎖領域として宣言。
侵入するアルゼンチン軍艦艇と航空機には攻撃を仕掛けると通告します。

英国原潜「コンカラー」により第二次大戦型巡洋艦「ヘネラル・ベルグラーノ」を撃沈されたアルゼンチンは、英国が本気であることを知り愕然とします。

しかし、アルゼンチンも黙ってはいません。

1982年5月4日。
基地を飛び立った二機のシュペルエタンダール攻撃機は、哨戒任務中の42型駆逐艦シェフィールドに攻撃を仕掛けます。

二機のシュペルエタンダールから発射された二発のエグゾセ対艦ミサイルは、海面すれすれを飛んで一発ははずれたものの、もう一発がシェフィールドに命中。

でもエグゾセは不発でした。
爆発はしなかったのです。

しかし、ミサイルは飛ぶための推進剤が積まれています。
この推進剤はシェフィールドに突入したあとも燃焼を続けました。
近くには調理室があり、一説によると朝食のフライ料理を作っていたとか。
真偽はともかく、調理室の可燃性油に燃え移った推進剤の火炎は、瞬く間にシェフィールドに燃え広がりました。

火災は艦内のプラステック製可燃物などを燃やしたために有毒ガスが発生。
ついに総員退艦を余儀なくされました。

鎮火後も浮いていたシェフィールドでしたが、曳航中の5月10日、浸水により海中に没しました。

エグゾセがフランス製兵器であったため、西側友好国の兵器として敵とは認識されなかったとか、哨戒任務についていたにもかかわらずレーダーを作動させていなかったからだとか、エグゾセの命中にはいろいろと真偽の怪しい話がでましたが、兵器市場においてエグゾセの評価は一気に高まりました。

その後、エグゾセは英国の徴用貨物船「アトランティックコンベアー」も撃沈し、さらに評価を高めています。

対空艦として建造された42型駆逐艦でしたが、5月25日には「コヴェントリー」も撃沈されており(こちらはエグゾセではなく通常爆弾。名誉のために付け加えると、四機のアルゼンチン機の攻撃を受け二機を撃墜するも、爆弾を投下され沈没)、いささか対空艦としては心もとないと思われたのか、その後の建造艦では20ミリCIWSなどを増設しています。

エグゾセ自身は不発だったのにねぇ。

それではまた。

そうそう、時計を変えてみました。
今までの水族館タイプは、癒されるんですが、時刻が見づらかったもので。
水族館タイプが良いという人がいれば、もどそうかなとも思います。
  1. 2007/02/02(金) 22:27:15|
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戦闘終了

今日から二月。

プロ野球はキャンプインです。
沖縄の日本ハムも高地の阪神もまずは順調な滑り出しかな。

森本の裸に背番号一のパフォーマンス。
思わず笑っちゃいましたね。

今年も各球団ともいい試合を見せて欲しいものですねー。
阪神がんばれー。

さて、今日はちょこっとだけボトムズ投下です。

6、
装甲貨車の対AT砲がうなりを上げる。
砲弾が雪原に炸裂してあたりに雪を舞い上がらせる。
当たりはしない。
動き回るATに当てるのは至難の業。
私はファッティーを左右に振らせながら、カタパルトランチャーのトリガーを引く。
ほぼ同時に三発の弾が装甲貨車の砲塔を貫いた。
『へっへー』
ラートルのファッティーが親指を上げる。
その脇ではユジンのファッティーからもカタパルトランチャーの砲口から発砲の煙がたなびいていた。
さすがにやるわね。
私の口元に笑みが浮かんだ。

砲塔を破壊された装甲貨車の側壁が開く。
客車からは対ATライフルを持った兵士たちも降りてきた。
まずは装甲貨車が問題。
私は軸線上からファッティーをそらし、カタパルトランチャーを連射する。
先手必勝。
ATが出てくるのを待つ必要は無い。
ランチャーの弾は吸い込まれるように装甲貨車の中に消えて行き、そのまま中で爆発する。
装甲された側壁がかえって仇となり、爆発のエネルギーはほとんどが中へ向かい、一部が扉を吹き飛ばす。
だが、敵もさる者。
爆炎の中から猛然と飛び出してくる一台のAT。
スコープドッグ。
雪原用に白く塗装されているが、ATの代名詞ともいえる代物だ。
大型のグライディングホイールを装着して、雪原での機動性を高めている。
「ラートル、ユジン、気を付けて!」
私は叫びながらファッティーを走らせる。
とにかく立ち止まらないこと。
立ち止まることは死を意味する。
『わかっている!』
『了解だよ』
ちゃんと反応を返してくれるのが気持ちいい。
私はカタパルトランチャーで牽制のための攻撃を行なった。

スコープドッグは狂ったように走り回る。
雪を蹴立てて集中砲火を避けるのだ。
貨車の中に何機あったのかわからないが、飛び出してくることができたのは一機のみ。
自分が倒されるわけにはいかないという意識の表れだろう。
すでに装甲列車の前方では二機のスコープドッグがターロス大尉たちによって仕留められている。
残るは一機のみ。
ラートルとユジンが左右に展開して囲みにかかる。
自然私が正面に対峙する事になる。
相手は覚悟を決めたのか、マシンガンを乱射して突っ込んでくる。
カメラターレットにぐんぐん大きくなってくるスコープドッグ。
私はスコープの照準を合わせ、カタパルトランチャーの引き金を引く。
びりびりと振動が走り、スコープドッグの機体にボツボツと穴が開いていく。
しばらくそのまま走ってきたスコープドッグだったが、やがて雪上に前のめりに倒れると爆発した。

「ふう・・・」
私はホッと息を吐く。
兵士たちはもう、ATが倒されたと知れば我先にと脱出していく。
これはどうしようもないこと。
士気が崩壊した兵士を戦場にとどめておくことなど、誰にもできはしない。
『ようし。お宝を確かめるとしようぜ』
ラートルのだみ声が入ってくる。
お宝って・・・ゲリラに渡る武器じゃないの?
『お宝じゃないですよ。武器ですよ』
『バーカ。金目のものがまったく無いってことは無いだろう。ガハハハ』
ユジンの忠告に笑って答えるラートル。
まあ、それはそうよね。
私はファッティーを装甲列車に近づけた。
  1. 2007/02/01(木) 21:42:34|
  2. ボトムズSS
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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