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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

言う事を聞けよ!

大河ドラマ「風林火山」のおかげで、山本勘助などの軍師にもスポットが当てられるようになりましたね。

まあ、ゲームなどによっては、まるで三国志演義の諸葛亮孔明がごとき扱いを受ける人もいるようですけどね。(笑)

もともと軍師は作戦参謀と言うよりは、戦いにおける吉凶を占う陰陽師が元でありましたが、戦国期でもまだまだ戦における吉凶を占う陰陽師的軍師は数多くおりました。

九州の雄、大友宗麟にも角隈石宗(つのくま せきそう)という軍師が、戦における吉凶を占っておりました。

天正六年(1578年)、主君大友宗麟は角隈石宗に対島津との戦をいつ始めたらよいか占わせました。
九州南部の島津氏の勢いが強くなり、大友家としても放っておけなくなってきたのです。

角隈石宗は慎重に占った結果、今行動を起こすのは得策ではないという結論を得、それを主君宗麟に伝えます。

理由は三つ。
一つ目は、主君大友宗麟自身の年齢が49歳の厄年であったこと。
二つ目は、南西の方角へ進むは凶と出ていること。(大友家の領地、今の大分から宮崎へ進軍するのは南西に軍を進めることになる)
三つ目は、前年より彗星が現れ、その尾が西へたなびいているため、凶兆であるとみなされること。

以上三つの理由を添え、角隈石宗は島津との戦いは今年は行わぬ方がよいと進言しました。

この進言を大友宗麟がどう受け取ったかは定かではありません。

しかし、歴史上はこの進言は受け入れられませんでした。

日向(宮崎)の伊東氏より救援要請を受けた大友家は、島津攻めの軍を起こします。

総勢四万ともいわれる大友家の軍勢は、日向に侵攻、島津氏側の高城を攻めました。

一方それに呼応して、島津も軍勢を派遣。
こちらも約四万三千という大軍です。

大友軍は耳川で島津軍と衝突。
世に言う耳川の戦いです。

島津軍は部隊を三つに分け、一体を正面に配置して囮とし、他の二隊で挟み撃つ作戦を取りました。
一方の大友軍は一丸となって攻めかかります。

大友軍の攻撃にたまりかねた囮部隊は当然のように後退します。
それを追った大友軍でしたが、島津軍の策に嵌まり、左右から挟撃を受け混乱。
結果として大敗を喫しました。

この戦い以後、大友家は坂道を転げ落ちるように衰退。
昔日の勢いを取り戻すことはついにできませんでした。

せっかく軍師が進言をしても、受け入れる度量がなかったり、周囲の情勢によって受け入れることができなかったりというのは結構あったんでしょうね。
まあ、軍師の占いだけで戦ができるわけではありませんですからね。

でも、角隈石宗の占いは見事当たってしまったわけで、これを偶然と見るべきなのか、人知の及ばない何かが働いたと見るべきなのか・・・
オカルトとして考えたら、面白いかもしれません。

それではまた。
  1. 2007/01/31(水) 21:24:13|
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甘いものが来た

なんとなーくネタはおぼろげには浮かぶのですが、SSと言う形を取るまでに至っていないこのごろ。
今日もミリネタで勘弁してください。

大日本帝国海軍には数多くの戦闘艦艇が存在しましたが、彼女たちを絶えず稼働させるためには、多数の補助艦船が必要と言うのも事実でした。

いわゆる縁の下の力持ちと言った存在の補助艦船ですが、その中でも将兵の士気に直接影響する艦と言えば「間宮」でしょうか。

給糧艦間宮。
基準排水量一万五千トンあまり。
大正十三年竣工。

給糧艦というのは、いわゆる食料補給艦です。
つまり、この間宮が艦隊停泊地にやってくるという事は、新鮮な食料が補給されるということに他ならないわけですね。

間宮には大型の冷蔵冷凍倉庫が備えられ、一万八千名に対し三週間分の食料を搭載できました。

そして、それ以上に将兵にとっては、間宮に備えられた設備を使って作られるラムネや羊羹、饅頭や最中、さらにはアイスクリームといった甘味類が非常に喜ばれました。

緊張の強いられる艦内生活には、間宮のもたらす甘味類は無くてはならないものだったのでしょうね。

以前、アメリカの空母にはアイスクリーム製造機があったと書きましたが、日本でも間宮にはそういった設備があったんですね。

間宮はそれだけではなく、限定的ながらも病院設備を持ったり、優れた通信機能を生かして無線検知を行なったりと、まさに八面六臂の活躍をした特務艦でした。

のちに同様な給糧艦「伊良湖」が作られますが、昭和十九年十二月二十日の潜水艦による被雷沈没のその日まで連合艦隊の欠くことのできない船として重宝されたのです。

こういった艦船があってこそ、戦闘艦も力を発揮できるんですね。

それではまた。
  1. 2007/01/30(火) 21:47:08|
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鳥インフルエンザ説も・・・

岡山県の養鶏場でも鳥インフルエンザが発生してしまったようですね。

狭いところに大量に鶏が飼われていますから、ウィルス感染には弱いですよね。
人にも感染するように変異する可能性もあるので、怖いところです。

第一次世界大戦末期。
ロシア革命により、東部での戦闘は収束していましたが、西部のフランスではまだドイツとの戦争が続いていました。

無制限潜水艦戦争により、米国商船の損害も発生した結果、1917年にはアメリカも参戦。
1918年にはフランスに米軍も展開しました。

いろいろな説があり、どこから広がったかというのは難しいのですが、この1918年の西部ヨーロッパの戦場で、一説によると(あくまで一説です)鳥インフルエンザから変異したウィルスが猛威を奮い始めます。

情報統制により、戦場の兵士が罹患してばたばたと倒れているという情報が一般には知らされなかったため、中立国スペインでの流行が世界的に認知され、このインフルエンザによる集団感染は「スペイン風邪」と呼ばれることになりました。

戦場という不衛生な場所に兵士が集団でいるわけですから、スペイン風邪は凄まじい猛威を振るいます。
戦争後半から参加した米軍では、戦死者全体の八割が戦病死者、つまりスペイン風邪による死者とまで言われました。

世界人口約十二億人ほどの時期でしたが、約半分の六億人ほどが罹患し、世界で二千万から六千万人が死亡したという最大級のウィルス被害を出しました。

米軍は言うに及ばず、英仏軍も同様で、連合軍は1918年半ばにはスペイン風邪による死者のあまりの多さに、戦争遂行能力を失ってしまっていたと言えるのです。

結局、1919年にドイツに対する攻勢が計画されていたはずなのですが、ドイツ革命など枢軸側も戦争遂行ができなくなり、1918年11月、両陣営は休戦に合意。
第一次世界大戦は終結しました。

この第一次世界大戦での戦死者数は約一千九百万(非戦闘員含む概算)と言われ、四年間の戦死者数よりも、1918年及び1919年に流行したスペイン風邪の死者の方が圧倒的に多いんですね。

こういった世界的大流行が二度と起こって欲しくは無いものです。
それではまた。
  1. 2007/01/29(月) 21:55:19|
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ボンデージ姿がいいんですよねー

私はSHIZUKA先生の描くマンガが結構好きです。

絵柄はマンガちっくかもしれないですが、ボンデージを着た女性がすごく素敵で可愛いんですよね。

そのSHIZUKA先生の作品で大判コミックスの作品に「女子高生緊縛奇譚」というのがあります。

一冊の前半と後半とで別々のお話しが載っているんですが、特に後半の「闇の迷ひ子」が私は気に入っています。

ヒロイン千尋(ちひろ)は伽耶(かや)という同級生の罠にはまってしまい、脅迫されいやらしいことを次々とさせられます。

千尋は脅迫のネタである写真を取り返そうと、仕方なく伽耶の言いなりになり、一方伽耶は千尋に彼を奪われた復讐のために、千尋が淫乱な女で彼にはふさわしく無いと見せ付けようと、千尋をいやらしく調教して行きます。

でも、二人はやがてその行為にはまり始めます。

千尋は伽耶に辱められることで気持ちよくなり、彼よりも伽耶を求めるようになってしまいます。

伽耶の方も千尋を調教しているときの充実感と千尋に対して抱いてしまった恋心に気が付いてしまい、千尋を手放せなくなります。

二人はそうしてお互いを大事なパートナーとしてSMプレイを楽しんで行くのですが、伽耶の留学により二人は別れを迎えます。

やがて年月は経ち、成長した千尋は母校に保健担当教員として赴任してきます。

そこで千尋は莉奈(りな)という女性徒と出会い・・・
今度は責める快感にはまって行くことに・・・

ストーリーをばらしてしまってすみません。
でも、責められていた千尋が責める側にというのが、何となく悪落ちを思わせて好きなんですよねー。

素敵なボンデージ姿も拝めますし、好きなエロマンガのひとつなんですよー。
それではまた。
  1. 2007/01/28(日) 22:01:23|
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落下タンクって落ちないものなのね

またまた古い本で恐縮なのですが、朝日ソノラマからかつて「航空戦史シリーズ」という青い背表紙の文庫本が出ておりました。

航空戦史シリーズとは銘打っていますが、中には海戦モノもそこそこあり、海空戦史シリーズと言っていいでしょう。

先日古本屋でその中の一冊「朝鮮上空空戦記」D・K・エヴァンス著 というのを買ってきて、今読んでいる最中です。

読んでみて思うことなんですが、やはり当時のパイロットの手記ですから、空戦の雰囲気というものは感じられますねぇ。

難しいインメルマンターンだとかスプリットSだとか言う飛び方はわからなくても、「右へ急旋回して何とかMigの尻に食らい付いてやろうと思った」とか「前方に現れたMigの姿がぐんぐん大きくなってきて」なんていうあたりは、読んでいても情景が浮かびます。

朝鮮戦争ですから、休暇ともなると日本にやってきて、東京とかで羽目をはずすというのも当時を忍ばせますね。
当時はまだ占領下日本でしたから。

資料なんかを読むと、確かにF-86Aに対し、F-86Eになってからは、水平尾翼が全動式(水平尾翼全体が動く。それまでは水平尾翼の後ろ側だけが動いていた)になったことで、旋回性能が上がったということは書いてはあるんですが、実際にパイロットの眼から見て、F-86Eの隊長機に著者のF-86Aが付いていくのが大変だというのを実感として書いてくれております。

それにしてもこんなにも落下式の増加タンクが落ちづらいものとは思いませんでした。

文章中、著者のF-86は何度となく出撃をしますが、自分の機も含めかなりの割合の機体が落下増槽が落ちなくて引き返すんですね。

あるときなどは8機編隊で出撃して、タンクが落ちなくて引き返したのが4機。
半分が引き返してしまうぐらいなんです。

当時は速度を出すためにゴロンとぶら下げていたのではなく、翼にがっちり食い込むような一体化するタンクだったからなのかもしれません。

4分の3ほど読みましたが、常にタンクが落ちなくて引き返す機が多いですね。
当時は当たり前だったんでしょうね。

朝鮮戦争のジェット機同士の空戦を書いた本というのは日本では珍しいと思いますので、興味のある方は一読してみるとよいと思います。

それではまた。
  1. 2007/01/27(土) 20:02:10|
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血を入れ替えて下僕に

手元には無いんですが、私はいばら美喜先生の描いたマンガ「悪魔の招待状」と言うのが結構好きでした。

かなり昔のマンガなんですが、ヒロインの一家が悪魔の住む家に来て・・・という話でした。

悪魔はそのヒロインを気に入ったらしいのですが、家族は邪魔であり、次々と殺されていくんですね。

その殺し方も特異で、いつの間にか頭の中に入り込み、風船が破裂するかのように頭を吹き飛ばしたり、洗濯機の脱水の要領で人間を捕まえて高速回転させチリのようにしてしまったりとさまざまです。

確かヒロインの姉だったと思うんですが、殺されたあとで家族が西瓜を切ると、そこから生首がゴロンというのもありました。

結局ヒロインは、残った父親とともに悪魔に会い、そこで召使になるよう言われます。

無論ヒロインは嫌がって、父親は家族の仇とばかりに悪魔に立ち向かいますが、あっけなく首を刎ねられてしまいます。

一人残ったヒロインは抵抗も空しく、首筋を噛まれて血を抜き取られてしまい、悪魔の血を満たした風呂桶に漬けられます。

しばらくして悪魔の血が全身にいきわたったヒロインは、喜んで悪魔の召使としてお仕えすることになり・・・

と言うところで最初のヒロインの話は終わり、ヒロインの友人が次に狙われることになるんですが、「家族が邪魔なら私が殺すわ」とこともなげに言う悪魔の召使となってしまったヒロインが印象的でした。

古本屋あたりで見つけたら立ち読みしてみるのもいいかと思います。

それではまた。
  1. 2007/01/26(金) 21:11:57|
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女宇宙刑事ソフィア

昨日はSSを投下しましたけれど、このところあまりSS投下をしていなかったので、二日連続の投下です。

ちょっとしたシチュ短編です。
お楽しみいただければと思います。
あんまり洗脳っぽくならなかったかも知れないなぁ。

私は宇宙刑事ソフィア。
この地球へ来て、すでに半年。
銀河マフィアのドン・バズラーフ一味を追って、パートナーの宇宙刑事ギャドリーとともに派遣されてきたのだ。

地球は青く美しい星。
この生命に満ちた星をドン・バズラーフ一味の好き勝手にはさせない。
私とギャドリーは、ドン・バズラーフ一味の繰り出してくる地域支配のための怪人をすでに二十体以上倒し、先週はついに日本地区長である大幹部ブコビスをも倒していた。

あとは一味の隠れ家たるアジトさえ破壊できれば、地球への足がかりを奴らは失うだろう。
そういうわけで、私とギャドリーはそれぞれ別れ、ドン・バズラーフ一味のアジトを捜索しているのだった。

「ふう・・・」
私は思わずため息をついてしまう。
ブコビスを倒したあと、奴らは息を潜めてしまい、その行動は闇に包まれてしまった。
アジトの捜索はまったく手掛かりを得られないまま、一週間が過ぎている。
今日も郊外の町まで足を伸ばしてみたけれど、一味のザコッパー(戦闘員)ですら見当たらないわ。
私はポケットから通信機を出して、ギャドリーに連絡を取る。
この通信機は地球人が使っている携帯電話に似た形をしているので、怪しまれることは無い。
無論私もギャドリーも地求人と同じヒュ-マノイドタイプであり、さらにこの日本という国に多い人種に見えるよう皮膚の色などを調節してある。
「もしもし? ギャドリー? 私よ。こちらは手掛かり無し。そちらは?」
私はこの一週間言い続けているセリフを再び伝える。
『ソフィアか? こっちも手掛かり無しだ。参ったな』
やっぱりね・・・
ギャドリーの方も同じ状況。
一味がこの地球から立ち去ったのだとすれば喜ばしいことなんだけど・・・
ドン・バズラーフはそんなに甘い相手ではない。
宇宙警察機構も手を焼く銀河マフィアなのだ。
息を潜めて私たちの動きを監視しているに違いない。

「わかったわ。私ももう少し探ってみる」
『了解だ。何かあったら連絡してくれ』
「了解」
私はギャドリーにそう答えて通話を切る。
やれやれ・・・
私は近くの自動販売機で缶コーヒーを買って飲む。
温かいコーヒーが寒空で冷えた躰に嬉しいわね。
私は一息つくと、再度の調査に向かう。

「えっ?」
私は足を止める。
私の視線の先には一人の人影があった。
黒い革のコートに黒いサングラス。
黒尽くめのその姿はドン・バズラーフ一味のザコッパーの変装した姿によく似ている。
私は確認のためにその人影のあとを追った。

サングラスの男は、時折後ろを振り返るような仕草を見せ、私はそのたびに物陰に身を隠す。
だてに宇宙刑事を務めてはいないわ。
尾行を撒かれたり、気付かれたりするものですか。
とりあえず行き先を突き止めてギャドリーに知らせなきゃ。

「ここは?」
サングラスの男が入っていったのは、何の変哲も無いマンション。
この国にかつてあった建築ブームの時にでも造られたものかも知れないわね。
私はそっと後を付け、マンションに入り込む。
男はエレベータには乗らずに階段へ向かった。
しかも地下へ下りていく。
地下に何かあるのかもしれないわ。
もしかしたらここが彼らのアジトなのかも・・・
一般のマンションの地下にアジトがあるとすれば、それは見事なカモフラージュといっていい。
私は高鳴る鼓動を抑えつつ階段へ向かう。

周囲には人影は無い。
階段は下の方であの男の足音が響いている。
私は腕のブレスレットをパルスガンに変えて、構えながらゆっくりと下りていく。
いざとなればバトルスーツを装着するけど、まだその必要は無いだろう。
ここがアジトかどうか確認が取れれば、すぐにギャドリーを呼べばいいわ。
私は一歩一歩息を潜めながら階段を下りていった。

ギイィッという重たい音。
金属製の扉が開いた音のようだわ。
私は階段の端から地下の廊下を覗き見る。
人気の無い廊下は突き当りが機械室になっているみたい。
さっきの音はその機械室の扉の音のようだわ。

私はすぐに機械室の扉に駆け寄って、中の様子に聞き耳を立てる。
残念なことに頑丈そうな鉄の扉は音を遮断してしまい、耳を当てても何も聞こえない。
わずかな振動が内部で機械類が稼働していることを感じさせてくる。
私は内部を調べるためにポケットから探査機を取り出した。
これを使えば内部を透視し、音も拾うことができるわ。
私は薄っぺらい箱型の探査機を扉に当て、そのスクリーンに映し出される内部の様子に目を凝らす。
線画で模式的に表わされる内部状況には、機械類しか映し出されない。
どうやらここは単なる機械室のようね。
するとあのザコッパーはどこに?

私はそっと扉を開けて、中を覗きこむ。
機械の振動とブーンという音だけが聞こえる。
人影は無い。
私は奥を確認するために機械室の中に入った。

「あっ?」
気が付いた時には遅かった。
足元の床が抜け、私の躰は宙を舞う。
落とし穴?
そう思ったときには私の躰はネットに受け止められていた。
助かった?
だが、それは甘かった。
そのネットはスタンネットだったのだ。
一瞬にしてネットには電流が走り、私はなすすべなく意識を失った・・・


「う・・・」
気が付くと、私は両手両脚を拘束され、ベッドに大の字に寝かされていた。
しかも身には何も纏ってはいない。
私は強烈な恥ずかしさに、身をよじって何とか躰を隠そうとするけど、手足が固定されている以上何もできはしなかった。

「気が付いたようだな」
私はその声に身を固くする。
今まで散々視姦されてきたのかもしれないけど、やはり裸を見られたくは無い。
私の横にやってきたのは、地球で言う豚の頭部をした太った男。
デブリー人だわ・・・
と、言うことはもしかして・・・
「あなたがドン・バズラーフ?」
「その通りだよ。聡明な宇宙刑事のお嬢さん」
ゲヒゲヒといやらしい笑いを浮かべるドン・バズラーフ。
まさに豚野郎という言葉が相応しいわ。
「私が戻らなければすぐにギャドリーが動き出すわ。あなたはもうお終いよ」
私は恥ずかしさをこらえて必死にバズラーフをにらみつける。
ここでくじけてはいけない。
「心配は無用だよ、宇宙刑事のお嬢さん。おっと、ソフィア君だったね」
「私の名前を?」
どうして?
「わしは何でも知っておるよ。君については調べさせてもらったのでね。君は実に優秀な宇宙刑事だ。警察にはもったいない」
「褒めていただいてありがとう。でもあなたなんかに言われても反吐が出るだけね」
私はバズラーフが近づいたら唾を吐きかけてやるつもりだった。
「ケーッケッケ・・・気の強い女はまさにファミリーにピッタリだよ。どうかね? 今の給料の三倍出そう。わしの女にならんかね? 贅沢三昧ができるぞ」
私は背筋が寒くなった。
私を自分のモノにしようというの?
冗談じゃないわ!
「ふざけないで! 誰があなたの女になんか! その金だって麻薬や人身売買で手に入れた金でしょうに」
私はありったけの憎悪を込めてにらみつける。
目にレーザーを仕込んでおけばよかったわ。
「正当なビジネスだよ。欲しいものを売る。なんら問題のある行為では無い」
「正当な商品じゃないわ! 禁止されている品じゃない!」
「だからこそ儲けも多い。そうだろう?」
バズラーフの手が私の太ももを撫でる。
私は必死に悲鳴をこらえた。
ここで悲鳴を上げれば心がくじけてしまいそう。
「美しい・・・それに知性も教養もある。何より身体能力も高い」
一体何をするつもり?
私をどうするの?
助けて・・・
ギャドリー・・・
助けに来て・・・

「残念なことに、ブコビスがいなくなってしまって、日本地区をまとめるものがおらんのだ。君ならば適任なのだが・・・」
「いい加減にして! 私がマフィアに協力するはず無いでしょ!」
「ケーッケッケ・・・君の意思など実は重要ではないのだ。これからの君は喜んで我がバズラーフファミリーのために働いてくれるようになるのだよ」
高らかに笑うバズラーフ。
一体どういうこと?
私がいぶかしがっていると、バズラーフは指を鳴らしてザコッパーを呼ぶ。
すぐにザコッパーの一人がやってきて、バズラーフに何かを手渡すとまた部屋の隅へ下がっていった。
「これが何かわかるかね?」
バズラーフが見せたものは私を愕然とさせた。
黒い革に銀色の鋲が打ち込まれたベルト状のもの。
それが輪になっているところは犬などに嵌める首輪そっくりだった。
「首輪・・・」
「ご名答だよソフィア君。これは女性を商品として躾ける時に使う首輪でね。着用者を文字通り奴隷にするものなのだ」
「い、いや・・・そんなのはいや・・・」
私はきっと青ざめていたのに違いない。
噂には聞いていた。
女性を洗脳してメス奴隷として売り飛ばすという噂。
その時に使われるのがこれだというの?
「無論君は奴隷ではない。それどころか我がファミリーの有力な幹部として迎えよう。そのための改良も施してあるのだよ」
「やめてー! そんなのはイヤー!」
私は必死に逃れようと手足をばたつかせ、首を振る。
「ケーッケッケ・・・無駄だ無駄だ。おとなしく洗脳されてしまうがいい。君はバズラーフファミリーの一員になるのだ」
私の抵抗も空しく、私の首には首輪が嵌められる。
私は身を固くして、洗脳の衝撃に備えた。

「えっ?」
私は拍子抜けする。
てっきり首輪を嵌められた時には何らかの衝撃があるのだと思っていたわ・・・
でも、そんなものは何も無い。
今までの記憶だって覚えている。
私はドン・バズラーフの命に従い、宇宙警察の刑事として表向き過ごしてきたのだ。
地球に派遣された私は、上手くパートナーのギャドリーを信用させている。
あとはチャンスをうかがって彼を抹殺し、宇宙警察にウソの報告でこの星から目をそらせるだけ。
何も問題は無い。
「ソフィアよ。我が命に従えるな?」
「はい、もちろんです。ドン・バズラーフ」
私は躰の力を抜き、ドン・バズラーフが躰を愛撫してくれるのに身を任せる。
そして、両手両脚の枷がはずされた。

                    ******

「ソフィア様。いかがですか?」
ソファにくつろぐ私の前に女子高校生が連れてこられる。
私はすっとヒールのつま先で、恐怖におびえてうつむいている少女の顎を持ち上げた。
うふふ・・・
可愛いわ。
高い値が付きそうね。
私は満足すると、ザコッパーに命じて首輪を持ってこさせる。
そして手ずから少女に首輪を付けると、とたんに虚ろな表情を浮かべる少女に優しくキスをした。
「部屋に連れて行きなさい。私自ら調教するわ」
「キキーッ!」
ザコッパーが敬礼して少女を連れて行く。
ここは私のアジト。
ドン・バズラーフより預かった地区本部。
ギャドリーのいない今、地球は着々とバズラーフファミリーの支配下に収まって行っている。
私はドン・バズラーフの代理として、この地区ばかりか、アジアという地域にも影響力を及ぼしていた。
中国とやらは麻薬の大市場となっているし、日本の少女は高値で売れる。
ドン・バズラーフの力はますます強大になるわ。
うふふふふ・・・
私はムチを手にすると、黒エナメルのボンデージ姿を誇らしく見せつけるように、少女の待つ調教室へ歩き出すのだった。
  1. 2007/01/25(木) 21:14:13|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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黒薔薇女

昨日予告したとおり、本日はSSを投下いたしますね。

まずは下の画像を見ていただけますでしょうか。

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20070124210854.jpg


これは、私がいつもお世話になっているg-thanさんが、以前(と言っても二年ぐらい前)に描いたイメージラフと、それに繋がる黒薔薇女のイラストなんですが、先日メッセでお話している時にこの絵を見せていただいたんです。

それで、ちょうどその時メッセで一緒にお話していたEnneさんと会話がはずみまして、お互いにこのイメージイラストから受けた印象に基づいて、私ならこんな話にする、私ならこうするよといった会話になったんです。

で、それならばお互いにSSを書いてみようという事になりまして、今回g-thanさんのブログと同時公開させていただくことになりました。

私がこのイラストから受けたイメージを元にしたSSは以下に掲載し、Enneさんが受けたイメージを元にしたSSは、g-thanさんのブログで同時公開されます。

よろしければ、ぜひg-thanさんのブログにもお立ち寄りいただき、同じイメージイラストからインスピレーションを受けた二つのSSの違いをお楽しみいただければと思います。

最後に、イメージイラストを見せてくださったg-thanさんと、この企画に賛同して下さり、SSを製作してくださったEnneさんに改めて感謝いたしたいと思います。
どうもありがとうございました。

それでは「黒薔薇女」お楽しみいただければと思います。

薔薇・・・
庭の一角に咲いている薔薇・・・
美しい薔薇・・・
その色は黒。
闇のように黒い黒薔薇。
これは珍しいこと。
普通の黒薔薇は深紅色。
ここまで真っ黒なのは珍しい。

「先生」
私はその声に振り向いた。
そこにはセーラー服にプリーツスカートを身に纏った少女が立っていた。
確か・・・
「あなたは一年C組の香葉村さんだったかしら?」
「はい。香葉村美穂(かわむら みほ)です。先生、どうなさったのですか? 気分でも・・・」
私の方を心配そうに覗きこんでくる小柄な少女。
きっと私が薔薇を見てぼうっとしていたのを気に掛けてくれたんだわ。
「あ、なんでもないのよ。この黒薔薇は珍しいでしょ。だから見入ってしまったのね」
私は笑顔を浮かべて心配している香葉村さんにそう言った。
「ああ、そうだったんですか。私てっきり・・・何か思い悩んでいらっしゃるのかと・・・」
香葉村さんの表情がほころぶ。
よかった。
生徒に心配掛けさせるなんて教師としては失格だわね。
「それにしても珍しいですよね、この黒薔薇って」
「ええ、ここまで黒いのは珍しいでしょうね」
香葉村さんは私の横までやってきて、庭の黒薔薇を見渡している。
「この黒薔薇って、先生がお育てになったんですよね?」
「えっ? ええ、まあ・・・」
私は少し気恥ずかしくなる。
育てたと言っても、実際に手を加えているのは私以外に庭師の方とかいるし、私がしたことはこの苗を持っていたことぐらいだろう。
そう・・・
私はこの苗を持っていた・・・
「レッドアイって言うんでしたっけ? この黒薔薇」
香葉村さんの言葉に私はうなずく。
「そう。黒薔薇なのにレッドアイだなんて変な名前でしょ。でも、この花の名前だけは覚えていたの」
「そうなんですかー。それにしてもいい香り」
香葉村さんはすうっと胸いっぱいに香りをかいでいる。
そう、この花はとても香りがいいのよね。
私もこの花の香りを嗅ぐととても心が落ち着くの。
だから先ほどのようにぼうっとしちゃうんだけどね。
「シスターローゼ、お手伝いいただけますか?」
校舎の方で私を呼ぶ声がする。
この学院の学院長であるシスターマーサだわ。
「はい、今行きます」
私はそう返事をして、香葉村さんに別れを告げる。
何となく名残惜しそうな表情で、香葉村さんは私を見送ってくれた。

「せっかく生徒とお話していたのにすみませんね」
学院長が本当にすまなそうに頭を下げてくる。
とんでもないことだわ。
私こそ学院長にはお世話になりっぱなし。
このお方がいなければ私は一体どうなっていたことか・・・
「ちょっと放課後でぼうっとしていたのを心配させちゃったようでして・・・」
私は我ながら情け無い事実を打ち明ける。
「そうでしたか。あまり思いつめないで下さいね」
学院長の優しさに私は胸が熱くなる。
私のような得体の知れない者を雇っていただいているだけでも、申し訳ないというのに・・・
「これからの授業で使う教材が届いたんですが、大きくて重くて・・・歳は取りたくないものですわねぇ」
そう言ってにこやかに微笑んでいる学院長。
無論お歳だなんて言っても、まだ五十代のはず。
まだまだこれからですわ。
「お任せ下さい。私が運んでおきますから。どこへ運びましょうか?」
私は学院長について、教材の届けられた玄関へ向かう。
業者さんもどうせなら中まで運んでくれればいいのに。
そう思った私だったが、玄関には両手で抱えられるほどの大きさの箱が一個あるだけだった。
「これを運べばいいのですか?」
「はい、理科教室までお願いします」
「わかりました」
私は尼僧服の袖をまくって箱を持ち上げる。
あら?
それほど重いものじゃないわ。
よかった。
「すみませんねぇ。助かりますわ。それにしてもシスターローゼは力がおありなんですね」
学院長が頭を下げる。
「そんなたいしたものでは、私こそ学院長にいただいたご恩はこんなものではすみませんから。どうぞいつでもこき使って下さいませ」
「まあ、うふふふ」
私と学院長は思わず笑いあう。
「それじゃお願いします。理科教室の鍵は開いていますから」
「はい。お任せ下さい」
私は学院長に一礼すると、理科教室へ向かった。

そう・・・
私が学院長に受けたご恩はとてもこんなものでは返せない。
二年前・・・
私はどうしたわけかこの学院の前で倒れていた。
ここは私立聖エレーヌ女学院。
宗教法人により設立されたミッション系のお嬢様学院である。
高原の静かな環境で、周囲からある程度隔離し、次代を担う才女やしとやかな妻となる女性を育み愛しむ場所。
そんな場所の門前で、早朝私は倒れているところを発見された。
その時の私は、衰弱が激しかったらしく、学院長の呼びかけにも、薔薇が・・・黒薔薇が・・・とうめいていたらしい。
私にはそれ以前の記憶はまったく無い。
覚えているのは、レッドアイという名の黒薔薇の苗を大事に抱え、ベッドの上で目覚めてからのことだけ。
私が誰なのか・・・
どこで何をしていたのか・・・
私は一切覚えていなかった。

学院長はそんな私を暖かく迎え入れてくれ、しばらく滞在することを許可してくれた。
黒薔薇の名前は覚えているのに、自分の名前すら思い出せない私に、シスターローゼという名を与えてくださり、補助教員としての待遇まで与えてくださったのだ。
衰弱していた私だったが、回復は目を見張るほどで、数日後にはもう問題なく活動できるようになった。
警察の事情聴取も形式的なもので、捜索願に該当者が無ければ後はどうしようもないようだった。
私は学院長の行為に感謝し、この身を神に捧げることでこれからを生きていこうと思った。
幸い、私は教員としての素質のようなものがあったのか、今まで特に問題も無く勤めることができたのだった。

「ふう、ここに置いとけばいいかしらね」
私は理科教室の一角にダンボールを置く。
中身が気になったけど、理科系の担当はシスターマリーだから、勝手に開けるのは悪いでしょうね。
私は好奇心を抑えて教室を出ると、机の上においてあった鍵でドアの鍵を閉める。
後はこの鍵を職員室へ戻せばOKね。
『キャー!』
悲鳴?
一体何事?
私はすぐに鍵をポケットに入れて、悲鳴の方へ走り出す。
尼僧服の長いスカートが邪魔だけど、そんなことは言っていられない。
確か悲鳴は二年生の教室の辺り。
私は普段生徒に廊下を走らないように注意しているのも忘れて、廊下を駆けていった。

二年B組の前には女生徒たちが不安そうな表情で中を覗きこんでいた。
おそらく悲鳴の元はあそこに違いないわね。
私はすぐに駆け寄ると、生徒たちに何があったのかを聞いてみる。
「あ、ローザ先生、田之口(たのぐち)さんが・・・」
「田之口さんが急に倒れて・・・」
生徒たちが口々に訴える。
私が教室の中を覗くと、女生徒が一人床に倒れている。
青白い顔をして血の気が無い。
私はすぐに駆け寄ると、倒れている少女を抱え起こした。
「田之口さん、しっかりしなさい! 誰か? 保健室のシスタールシアに連絡した?」
「今呼びに行っています」
私はそのことにうなずくと、再び田之口さんの容態を見る。
真っ青な顔をして呼吸も心拍も浅い。
まるで大量に血を失ったかのよう。
これは救急車を呼んだほうがいいかもしれないわ。
私は彼女を抱きかかえると、保健室へ走り出す。
とりあえず保健医のシスタールシアに見てもらい、場合によっては病院へ連れて行こう。
「入れ違いになると困るから、もしシスタールシアが来たら保健室にいると言ってちょうだい」
「わかりました、ローザ先生」
私は生徒の返事を聞きながら、廊下を保健室に向かって走った。

ドクン・・・
心臓が突然跳ね上がる。
えっ?
私の足が突然止まる。
あれは・・・
廊下の窓から見える学院の敷地の外。
そこに一人の人影が立っている。
青い髪を後ろでシニョンにした小柄な女性。
黒いサングラスに隠されて瞳を見ることはできないけれど、少女と言ってもいいようなあどけない表情を浮かべている。
ロングコートを纏ったその女性は、たたずむようにして学院の方をまっすぐに覗き込んでいた。
誰?
あれは・・・誰?
私は背筋に冷たいものが走るのを感じていた。
足が震えて動かない。
何かが・・・
私にとって何か良く無いことが・・・
彼女によってもたらされる・・・
私は叫びだしたいのを必死にこらえ、何とか目をそらそうとした。
でも、私の目は彼女に釘付けになる。
抱えている田之口さんを落とさぬように必死に抱きながら、私は廊下に立ち尽くしていた。
サングラスの奥の瞳は間違いなく私を見ている。
彼女は私を知っている。
彼女は一体何者なの?
私に何の関係があるの?
彼女の唇が笑みを形作り、ゆっくりと動き出す。
ミ・・・ツ・・・ケ・・・タ・・・
「イヤァァァァァァァァァァ!」
私は叫んでいた。

「・・・ローゼ・・・スターローゼ」
「えっ?」
私ははっとして振り向いた。
「大丈夫ですか? シスターローゼ」
そう言って私を覗き込んでいるのは、保健担当のシスタールシアだった。
「あ・・・私・・・一体?」
私は田之口さんを抱いたまま意識が飛んでいたらしい。
「保健室で待っても来なかったものですから、すぐに探しに来たんですよ」
「そ、そうでしたか・・・」
私は窓の外をみる。
先ほどの童顔の女性の姿は無い。
「あ、あの・・・」
「なんですか? 彼女をすぐに保健室へ」
「あ、はい」
私はシスタールシアの後に続き、保健室に田之口さんを届ける。
童顔の女性のことはたずねることはできなかった。

「どうやら貧血のようですわね。少し寝かせれば大丈夫でしょう」
ベッドに寝かせた田之口さんを診察したシスタールシアが安堵の表情を浮かべる。
「えっ? それだけ? なんですか?」
私は驚いた。
てっきり何か危険な状態じゃないかと思っていたのだ。
でも、ベッドに寝かせられた田之口さんは、すやすやと落ち着いた寝息を立てている。
顔色も先ほどよりはずっといい。
「時々女の子は無茶なダイエットをしますからね。きっとその影響が出たんでしょう」
それはよくわかるわ。
確かに誰でも美しくありたいし、そのためには食事を取らないぐらいは平気でやるものね。
でも・・・
本当に貧血だけなのかな?
「シスターローゼ」
「あ、はい」
「後は私の方で引き受けますから。お仕事に戻られても結構です」
シスタールシアが優しく微笑んでいる。
本当に天使の微笑みだわ。
「わかりました。よろしくお願いいたします」
私は一礼して、保健室を後にした。

私は学院の外へ出て、先ほどの女性を探してみる。
彼女が何者かは知らないけれど、さっきは間違いなく私を見つけたと言っていた。
本当なら会いたく無い。
彼女は何か会ってはいけない存在のような気がするのだ。
会った時には私は取り返しがつかないことになってしまうような・・・
そう思いながら私は廊下から彼女が見えた位置に行ってみる。
夕暮れの日が差している道路。
そこには誰もいない。
私は何となくホッとして胸をなでおろす。
神に感謝して十字を切り、私は両手を組んで祈りを捧げた。
ありがとうございます・・・願わくば二度と会わずにすみますことを・・・

学院はその敷地内に寮を持っている。
職員寮と生徒寮である。
私はもちろん職員寮に一室を与えられていて、食事も寮の食堂でとることになっている。
いつもなら美味しい食事を楽しむのだけど、今日は食欲が無い。
あの女性のことが気にかかるのと、なぜか食べたいという気にならないのだ。
私は食事を辞退する旨を告げ、読みかけの本を読んで気を紛らせる。
夜のお勤めを終えた後は早々に寝床につく。
今日は巡回当番。
私は目覚ましを深夜1時にセットして眠りについた。

ピピッピピッピピッ・・・
目覚ましが鳴っている。
私は眠い目を擦りながら起きだし、尼僧服を身にまとう。
重い尼僧服だけど、これを着てウィンプルを頭から被れば気持ちもすっきりする。
神にお仕えするシスターとしての自覚に目覚めるというのかしら。
私は十字を切ってお祈りをすると、まずは職員寮を見回る。
懐中電灯に照らされる廊下は、昼間とは違い不気味だけど、何事も無いことを確認して、私は学生寮へ向かった。

生徒寮の鍵を開け、内部に入る。
ここが数時間前まで女生徒たちの喧騒に満ちていた場所とは思えないほどの静寂。
私は再びドアに鍵をかけ、廊下を歩き出す。
一年から三年までの生徒たちが暮らす生徒寮。
時にはこの時間でも規則を破って起きている生徒がいたりするのだ。
もちろんそんな生徒には厳重注意が待っている。
でも、若い娘たちは羽目をはずしたくなるものなのよね。
私はそんなことを考えながら生徒寮を一周する。
異常なし・・・
そう思って学院の方へ向かおうとしたとき、私は何か引っかかるものを感じて立ち止まる。
私は以前から何か勘というか感覚の鋭いようなところがあった。
もちろん記憶を無くする以前はどうだったのかわからないけど、この学院に来てからは他の人たちが気がつかないような気配とか、物音などを察知することができたのだ。
私は何が引っかかったのかを確かめようと廊下の窓のところへ行く。
「これか・・・」
私は苦笑した。
誰かが開けた窓を閉めたときに留め金をかけ忘れたのだろう。
窓は外からでも容易に開けられるようになっていたのだ。
うっかりミスなのだろうが、無用心には違いない。
私は明日報告することにして、留め金を書けた後にメモを取っておく。

さて、残るは学院ね。
私は生徒寮を出て鍵をかけ、学院の建物に向かう。
学院の玄関の鍵を開けようとした時、私はふと話し声が聞こえた気がして立ち止まった。
気のせい?
私はそう思ってしばし耳を澄ます。
そうすると遠くの物音が増幅されて聞こえることが良くあるのだ。
他の人はそんなことはできないって言うけど、私は普通にそういったことができる。
小さな物音もよく聞こうとすると大きく聞こえるのだ。
聞こえる。
確かに話し声だわ。
それも複数。
どうやら女生徒たちが数人裏庭の方にいるみたい。
この学院の裏庭はあの黒薔薇を初めとした花壇など庭園があり、生徒たちの憩いの場ともなっている。
休み時間を裏庭で過ごす子達も多かった。
私は学院内の巡回を後回しにして裏庭に向かった。

私は目を疑った。
裏庭にいたのは数人の女生徒たち。
驚いたことにそのいずれもが奇妙な姿をしていたのだ。
もうすぐ六月とはいえ、裸なのである。
それもただの裸ではない。
脚から胴体にかけて草の蔓のようなものが巻きつき、ところどころに葉をつけているのだ。
あれは・・・薔薇の葉っぱ?
彼女たちは躰に薔薇を巻きつけているというの?
彼女たちはみなこちらに背を向けて黒薔薇の咲いている場所に集まっている。
どうやら何かを見つめているらしい。
でも何を?
黒薔薇をこんな時間に?
私は彼女たちの奇妙さに何か心惹かれるものを感じる。
美しい・・・
彼女たちの後ろ姿は見惚れてしまうほどに美しかった。
そのうち、彼女たちが一斉に振り返った。
私は思わず壁に身を隠す。
気が付かれただろうか・・・
何となく私は彼女たちが何をしているのか気になっていた。
できれば最後まで見ていたかったのだ。

しばしの間を置いて恐る恐る壁から顔を出して覗き込む。
すると、彼女たちは左右に分かれていて、その足元に横たわっているものが見えた。
「!」
田之口さん・・・
あれは田之口さんだわ。
放課後に倒れた田之口さんがなぜ?
しかも彼女も裸で黒薔薇のそばに横たわっている。
出て行かなきゃ・・・
彼女は貧血で倒れたというのに、こんなところで裸で寝かせておくわけには行かないわ。
でも、私はなぜか動けなかった。
目だけは彼女たちに向けられ、躰はまったく動けなかったのだ。
「うふふ・・・そろそろね」
「彼女もこれで私たちの仲間。素敵ですわ」
「彼女も選ばれた存在。学院の支配者になるのですわ」
少女たちが口々にしゃべっている。
そして再び一人が振り向くと、こう言ったのだった。
「ローゼ先生。こちらへいらっしゃいませんか? 覗き見は趣味が悪いですわ」

私はもう少しで悲鳴を上げるところだったかもしれない。
振り向いた彼女の目は赤く輝き、口元には妖しい笑みを浮かべ、両の乳房には漆黒の黒薔薇が大輪の花を咲かせていたのだ。
「あ、あ、あなたたちは一体?」
私はそれだけ言うのが精いっぱいだった。
続いて振り返った少女たちはいずれも同じような姿をして私に微笑んでいる。
「うふふふ・・・怖がることはございませんわ。ローザ先生は私たちの母なのですから」
「母? 母ってどういうこと?」
「すぐにわかりますわ。さあ、こちらへ。新たな娘の誕生ですわ」
胸に黒薔薇を咲かせた少女たちが私を誘う。
私は奇妙なことに恐怖が薄らぐのを感じていた。
最初の衝撃は無くなり、彼女たちの姿を美しいと感じてさえいたのだ。
私はゆっくりと彼女たちに近づいた。

寝かされているのは田之口さん。
月明かりに照らされた裸身が綺麗。
だけど、躰が小刻みに震えている。
「寒がっているわ。早く部屋へ」
私はようやく彼女を連れ出すことに思い至る。
でも、私が差し出した手はさえぎられた。
「薔薇の娘の誕生ですわ。おとなしくそのまま見ていてください」
私はその言葉に手を引いてしまった。
どうしてしまったのだろう。
どうして私はこんなにドキドキしているのだろう。
だめなのに・・・
この先を見てしまってはだめなのに・・・
そう思う私の目の前で田之口さんに変化が現れる。
月明かりの中、彼女のくるぶし辺りから芽が出たのだ。

それはまさしく植物の芽だった。
芽はすぐに自分のなすべきことをするかのように彼女の脚に巻きついていく。
みるみる伸びて行く蔓は彼女の脚に絡みついた後、さらに胴体へ這い登り、両の胸に巻きついていく。
そして・・・彼女の胸は先端がつぼみのように膨らみ・・・
「ああ・・・」
なんて綺麗・・・
黒い薔薇が・・・大きな黒い薔薇が咲いたのだった。

目を開ける田之口さん。
その目は真っ赤に輝き、口元の笑みは他の薔薇少女たちと同じく冷たくて妖艶だった。
やがて彼女はゆっくりと起き上がる。
「うふふふ・・・」
妖しく笑う薔薇少女。
「新しい姉妹の誕生ね」
「おめでとう」
「おめでとう」
口々にお祝いをいい、彼女を抱き寄せる薔薇少女たち。
田之口さんは、いいえ、田之口さんだった薔薇少女はそれを嬉しそうに受け止めている。

「ローザ先生」
私の脇にいた薔薇少女が私を呼ぶ。
「私たちにお言葉を」
「えっ?」
「ローザ先生の娘たちにお言葉を下さいませ」
微笑む薔薇少女。
「ち、がう・・・私は・・・私はあなたたちの母なんかじゃないわ」
私は首を振る。

「もう、ここまで来てもまだ思い出さないの?」
突然私の背後から声が掛けられる。
私は背筋に冷水を浴びせられたかのように、その声に身を固くした。
「まったくぅ・・・記憶を失っている改造人間なんてぇ。その割りにちゃんとレッドアイを育てているし」
恐る恐る振り向いた私の前には放課後の廊下で見たあの童顔の女性が立っていた。
あの時とは違い、サングラスははずして赤い瞳が覗いている。
衣装はまるで胸を強調するかのような黄色いカップの付いた紺色のレオタード。
太ももまでのエナメルのストッキングに両腕は二の腕までの長手袋。
まるでコスプレのような感じの衣装だけど、彼女には結構似合っている。
「あなたは・・・あなたが彼女たちをこんな風にしたのね?」
私は彼女をにらみつけた。
この女は危険だ。
私の勘が彼女が普通の人間ではないことを告げている。
「ハァ? 何を言い出すの? これはあなたがやったことでしょぉ」
えっ?
私が?
嘘・・・
嘘よ・・・
「アーア・・・もう早く思い出しなさいよ。お前は私が改造したデュナイト“ローズ”なの。もっとも、あの女に命名させれば“黒薔薇女”なんて面白みの無いネーミングになるんでしょうけどね」
少女のような外見に似合わず、冷たい笑みを浮かべる目の前の女性。
私には何のことだか・・・
何のことだか?
私は・・・?
彼女を・・・?
知って・・・いる?
「まだ思い出さないのぉ? 信じられなーい! 私は副官子・・・じゃなくてぇ! お前を改造したときにはクインスと名乗っていたわよ」
クイ・・・ンス?
ああ・・・
いや、いやよ・・・
思い出したくない、思い出したくないよぉ・・・
私は頭を抱えてうずくまる。
「まったくぅ・・・改造後の性能試験の対落下試験で頭打つなんてどういうつもりよ! しかもそのままふらふらとどこか行っちゃうし・・・追跡システムもイかれちゃったらしくて見失ってすごく怒られて・・・」
ああ・・・
やめて・・・
思い出させないで・・・
尼僧服の中で私の躰がじわりと蠢く。
「レッドアイが咲いているっていう報告を受けて急いで来てみれば、記憶を失ったとかで神に仕えちゃったりしているし」
私の頭の中で何かが目覚めていく。
いやだ・・・いやだよぉ・・・
「もうー! こんな過去の不始末をあの女に知られたらどうなると思っているのよぉ」
「いやだぁっ!」
私は叫ぶ。
でも・・・
私は・・・
私・・・は・・・
私の躰が変わっていく。
尼僧服を脱ぎ捨て、私は本当の姿を取り戻す。
私の頭部には黒く巨大な薔薇の花が咲き、胸にも同じような薔薇が咲く。
両手と両脚は茎のように緑色になり、蔓がムチのように伸びていく。
そうか・・・
思い出したわ・・・
私は・・・
私は黒薔薇女。
うふふふふ・・・

私はゆっくりと立ち上がる。
周囲には可愛い私の娘たち。
「さあ、咲き誇りなさい。娘たち」
私は娘たちに呼びかける。
娘たちの胸に咲いていた黒薔薇が一斉に更なる変化を迎えていく。
中心が広がり、赤く輝く目が現れたのだ。
「うふふふ・・・レッドアイが咲いたのね」
私は咲き誇る娘たちに微笑みかけた。

                    ******

「ローザ先生、お呼びですか?」
うふふ・・・
私は舌なめずりをして香葉村さんを迎え入れる。
数学準備室はいまや私の拠点。
学院の優秀な娘にレッドアイを寄生させることで黒薔薇少女に生まれ変わらせる。
そして黒薔薇少女たちは日本中へ広がっていくの。
うふふふ・・・
素晴らしいわ。
「いらっしゃい、香葉村さん。さあ、あなたも私の手で生まれ変わらせてあげる」
私はゆっくり立ち上がると黒薔薇女に姿を変えた。
  1. 2007/01/24(水) 21:23:40|
  2. 改造・機械化系SS
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あれから一年

ライブドアの堀江貴文元社長が逮捕されたのが、ちょうど一年前の今日なんですね。

あれから裁判が行なわれたりしておりますが、もう国民の関心は無いに等しいでしょうね。
時代の寵児だった堀江さんもすっかり姿を見せなくなりましたし(見せられないけど)。
ライブドアも落ち着いたようですしね。

今の国民の関心は「発掘あるある大事典2」と「不二家」の事件ですね。
これも時の流れとともに関心が薄れるのは必然なんでしょうね。

来年の今頃はどんな事件が起きているやら。


さて、ちょっとした予告です。

明日はSS投下しますねー。
ちょっとした(ほんとにちょっとした)祭りを行なうつもりです。

それではまた。
  1. 2007/01/23(火) 19:55:43|
  2. ニュース
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飛行機いっぱい

ワシントン海軍軍縮条約に続き、ロンドン海軍軍縮条約で、日本海軍は巡洋艦以下の艦艇にも制限を受けてしまいました。

20センチ砲(8インチ砲)を積み、戦艦の補助として重視していた重巡洋艦も米英軍よりも劣勢な状況となってしまったのです。

そこで日本海軍は一計を案じて新しい巡洋艦を作ることにしました。

船体は重巡そのものという船体を持ち、砲塔には軽巡の主砲として定められている15センチ砲(6インチ砲)を搭載して、軽巡洋艦として登録するのです。

そして、条約が失効するとともに砲塔を20センチ砲に取替え、重巡として使用することにしていたのです。

この計画によって作られたのが最上級の巡洋艦です。
「最上」「三隅」「鈴谷」「熊野」の四隻が作られましたが、これらはいずれも軽巡洋艦として建造されたために、重巡の山の名前ではなく、軽巡の川の名前がつけられました。

最初は計画通りに15センチ砲を三連装にした砲塔を五基備え、門数十五門というものでしたが、ロンドン軍縮条約の失効にともない、これも計画通りに20センチ砲二連装砲塔五基十門というものに交換されました。

この時交換された主砲塔(15センチ砲三連装)が戦艦大和、武蔵の副砲として取り付けられ、防御上の弱点と言われることになります。
(つまり、巡洋艦の砲塔なので装甲が薄く、真下が弾火薬庫)

重巡に生まれ変わった最上級ですが、そのうちの最上は、また特異な一生をたどります。

僚艦の三隅とともにバタビア沖海戦で活躍(ただし、誤射で味方の輸送船などに損害を出している)したのち、上陸部隊の護衛としてミッドウェー海戦に参加します。

ミッドウェー海戦では、機動部隊が壊滅したため、なすところ無く後退。
その時悲劇が起こりました。
僚艦三隅と回避行動中に衝突してしまったのです。

三隅は行動不能となり、のちに米軍に攻撃されて沈没。
最上はよたよたとどうにか帰還しました。

この時の損傷を修理するに当たり、日本海軍は航空機による索敵力を強化するべく、思い切ったことをします。
最上の攻撃力を犠牲にして後部を航空機搭載甲板にしたのです。

空母の飛行甲板などとは違い、滑走して発着艦ができるものではありませんが、最上は水上偵察機など11機を搭載する航空巡洋艦となったのです。

この改装に一年ほどを要した最上でしたが、自慢の航空兵装で活躍するような場面には恵まれなかったようです。

最上は戦艦「山城」「扶桑」などとともに西村提督の艦隊に配属され、フィリピンに向かいます。

そこで栗田艦隊と呼応してレイテに突入するはずでしたが、スリガオ海峡で米軍の待ち伏せを受けます。

山城、扶桑が相次いで沈没する中、最上も敵弾を受け大破。
何とか戦場を離脱して退避しますが、またもや僚艦那智と衝突。
結局駆逐艦「曙」の魚雷で処分されました。

プラモなどでその特異な艦容を我々に楽しませてくれる最上ですが、航空巡洋艦としては活躍できなかったようですね。

それではまた。
  1. 2007/01/22(月) 21:51:56|
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ラム戦だ!

日本でラム戦というと、松本零士氏の「キャプテンハーロック」に出てきたアルカディア号の戦いを思い浮かべる方も多いかもしれませんね。

ラム戦とは、海戦時に軍艦がその先端に取り付けた衝角(ラム)を使って相手に体当たりをし、その横腹を破って相手を沈めるという戦法のことで、ガレー船同士の戦いでは時たま用いられておりました。
映画「ベン・ハー」でも描かれておりましたね。

さて、このラム戦ですが、外洋航海の帆船時代ともなると、火力の増大と船自体の運動力の向上により、次第に使われなくなります。

体当たり自体も難しいですし、大砲の攻撃力が木造帆船には充分だったということでしょう。

しかし、このラム戦が、再度脚光を浴びた海戦がありました。
1866年の「リッサ海戦」です。

プロイセンとオーストリアとの戦いとなった「普墺戦争」において、イタリアはプロイセン側について戦争に参加します。

しかし、イタリア軍は陸上での戦いにおいてオーストリア軍に苦戦。
20万の軍勢が7万5千の軍勢に敗北するのです。

ところがプロイセン軍の勝利により弱体化したオーストリア軍に対し、イタリア軍は海軍によってアドリア海のリッサ島を攻略し、優位に立とうとします。

イタリア軍は新鋭の装甲艦を十二隻出撃させ、圧倒的戦力を持って海戦に望みました。
対するオーストリアは装甲艦七隻、さらに木造艦を十四隻出撃させました。

装甲艦の数でも、装備している砲の威力においてもイタリア軍が優勢でありましたが、イタリア軍はここでも醜態を晒します。

いきなり提督が旗艦を変えてしまい、さらにそのことを他の艦が知らないという事態を引き起こし、指揮系統が大混乱します。

一方のオーストリア艦隊はテゲトフ提督の指揮の下で、勝手に分裂してしまったイタリア艦隊を各個撃破しようとします。
装甲艦隊は前衛のイタリア装甲艦三隻を、そして木造艦隊は後方の装甲艦四隻をそれぞれ攻撃しました。

テゲトフ提督は自軍の艦隊が劣っていることを承知していました。
そこで体当たりをしてみようと思い立ち、そのための訓練も施していました。

オーストリア艦隊の砲撃により混乱するイタリア艦隊に対し、オーストリア艦隊はラム戦を挑みます。

この戦法は見事にあたり、イタリア装甲艦「レ・ディタリア」は側面に衝角を食らって沈没。
ほかに砲撃により装甲艦がもう一隻沈みました。

イタリア軍は日没に乗じて撤退。
結局劣勢であったオーストリア軍に勝利がもたらされました。

この戦いで、ラム戦は装甲艦に対して有効であるという認識が一時期各国海軍に流布し、軍艦にラムを装備するのが多くなるが、やはり軍艦の運動性が高まり体当たり自体ができなくなって廃れていきます。

それにしてもイタリア軍って・・・
  1. 2007/01/21(日) 22:11:19|
  2. 趣味
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コレクターで、北海道昭和新山出身の、パイナップル女

もう古い本ですので、今となってはおそらく手に入らないと思うのですが、1990年代のTRPGブームの時にホビージャパン社から出版された本に、「RPG福袋94」と言うのがあります。

これは福袋という名の通り、簡単なTRPGのルール集であり、「RPG福袋93」「RPG福袋96」までありました。

この「RPG福袋94」の中に、なんと「悪の秘密結社」と言うTRPGのルールがあるんですね。

これは悪の秘密結社に所属する悪の改造人間をプレイするTRPGで、いわゆるショッカーの怪人をプレイすると思っていただくといいかと思います。

このTRPGのすごいところは、悪の怪人になるためのモチーフ(動植物)に始まって、誕生目的(何のためにこの怪人が作られたのか・・・細菌の散布とか暗殺など)や出身地(モチーフの動植物の)、性格(改造後の怪人の・・・プレイヤーの性格ではない)、弱点(躰の一部とか美人に弱いとか)などが、サイコロを振るだけで決まってくるんですね。

そのため表題のようなわけわからん(昭和新山で取れたパイナップルって何?)怪人になったりもするんですが、その時は適当に理由をつけるということで。(笑)

ゲームマスターが操るヒーローと戦ったり、上手く幼稚園バスジャックをしたりと、怪人になりきってプレイすると面白いですよ。

ちなみに私はこのモチーフ集は結構便利かなと思っておりますです。

それではまた。
  1. 2007/01/20(土) 21:29:24|
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リンクしていただきました

舞方は脚フェチです。

それも生脚ではなく、タイツやパンストを穿いている脚が好きです。
あとロングブーツとかも好きです。

ここは、そんな私に素敵なおみ足を見せてくださるブログさんです。

「脚フェチズム」様
http://hatayan1270.blog72.fc2.com/

ブログのの管理人ハタやんさんと、素敵なおみ足を見せてくださるおヨメ様のお二人で作られていらっしゃるブログでして、被写体であるおヨメ様の見事な脚線美が披露されておりますです。

このたび、いつも訪問する私に相互リンクのお申し出がございまして、私のブログは脚フェチとは関連無いブログであるにもかかわらず、リンクをしていただけることとなりました。

皆様もよろしければご訪問してみて下さいませ。
素敵なおみ足がご覧いただけること請け合いですよ。
  1. 2007/01/20(土) 21:05:39|
  2. ネット関連
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やめたいだろうなぁ

ニュースにも出ておりましたが、2006年10月から2007年9月までの一年間のイラク戦争経費が、一ヶ月あたり日本円で約一兆円になるそうですね。

2003年のイラク戦争開始時が約5300億円と言うことで、ほぼ倍になったということです。

もちろんその間の物価上昇などはあるでしょう。
しかし、そんなものは微々たるものでしょう。

公式には終わっているイラク戦争ですが、治安がまったく回復しないために米軍の駐留が続いています。

その経費がもう信じられないほどに増えているということなんですよね。

ブッシュ大統領も頭を抱えているのではないでしょうか。

戦争は開始するのは簡単でも、終わらせるのは難しいものです。

イラク駐留米軍も、正規の陸軍だけでは足りず、州兵部隊も動員している現状と聞きます。

結局全てを放り投げての撤退という状況が近づいているのかなという気もしますね。

今日はこんなもので。
それではまた。
  1. 2007/01/19(金) 21:07:34|
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首無しの戦闘機

太平洋戦争が近づきつつあった昭和15年(1940年)。

日本帝国陸軍は、次代の高速戦闘機として空気抵抗の少ない液冷式エンジンを搭載した戦闘機の開発を行なうことにしました。

日本ではそれまでは空冷のエンジンが使われており、戦闘機も97式戦闘機、一式戦闘機「隼」いずれも空冷エンジンでした。

しかし、1939年に開始された欧州での戦争は、メッサーシュミットBf109やスピットファイヤなどのように、高速の液冷エンジン戦闘機が活躍していました。

陸軍としても、これからの空戦には液冷エンジンの高速戦闘機が必要という認識を持ち、川崎航空機に試作を命じます。

液冷エンジンは、液体によりエンジンの冷却を行なうので、空冷エンジンのように大口を開けておく必要はありません。
自然と機首先端が細くでき、空気抵抗を少なくできるのです。

川崎航空機では、ドイツのダイムラーベンツ社のDB-601エンジンをライセンス生産したハ-40エンジンを使って、機体を設計します。

昭和16年に完成した試作機は、技術者の努力の末に優秀な成績を収めました。
メッサーシュミットBf-109E型さえも圧倒したとのことです。

陸軍は大喜びでこの試作機の量産を命じます。
世に名高い三式戦闘機「飛燕」の誕生でした。

しかし、液冷エンジンは複雑精緻な機械であり、日本国内でならともかく、前線となった南方では部品供給や整備の面で非常に手間の掛かるものとなってしまいました。

さらにはエンジン生産そのものも、やはり基礎技術力の低さが仇となり、満足に稼働するエンジンが作れないという状況になっていました。
試作機のような丹精込めた手作りなら作れても、工場で量産する規格品にはできなかったのです。

結局、三式戦の量産は、機体だけが次々と出来上がって行くのに対し、エンジンがまったく届かないという状態を生み出してしまいました。
首無しの機体だけが並ぶことになったのです。

この状況は戦時下ではとてもあってはならないことです。
そこで陸軍は、すでに量産されていて問題点も潰された信頼性の高い空冷エンジンを搭載するという決断をしました。

三菱が量産したハ-112Ⅱエンジン、海軍では「金星エンジン」として知られる信頼性の高いエンジンを三式戦の機体に取り付けることにしたのです。

このエンジンの搭載により、空冷のため空気抵抗は増大してしまいました。
しかし、最高速度の多少の低下のみですんだ上、重量がハ-40よりも軽くなったために旋回性能や上昇性能は三式戦を上回るという予想外の高性能を見せたのです。

これは元となった三式戦の機体がとても優秀であったことの証明でしょう。

陸軍は大喜びでこの戦闘機を「五式戦闘機」として正式に採用することにしました。
(実際は手続きなどの関係なのか、正式名称として五式戦闘機とはならなかったそうです。あくまで通称として五式戦と呼ばれたわけですね)

信頼性の高い空冷エンジンを積んだ五式戦は、敗戦が近くなった昭和20年にもかかわらず、充分にその持てる力を発揮しました。

日本の身の丈にあった技術で作られた戦闘機でしたが、それでも米軍を苦しめるには充分だったのです。

戦場では高性能だけど動かないなどというものは何の役にも立たないのですから。

三式戦の名誉のために付け加えますが、本土決戦用にきちんと稼働態勢に置かれた三式戦は優秀な機体でした。
支援体制さえしっかりしていれば、立派に役に立つ機体だったんです。

それではまた。
  1. 2007/01/18(木) 22:20:07|
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捕虜はどっち?

今日はロンメルの逸話をひとつ。

「バトルアクス作戦」の失敗により、英国は司令官のウェーベルを解任。
後任にサー・クロード・オーキンレックを任命し、チャーチルは更なる攻勢を命じました。
「クルセーダー」作戦です。

一方ロンメル率いるドイツアフリカ軍団も、イタリア軍の一部部隊を組み入れ、アフリカ装甲集団へと編成替えが行なわれます。
そして、司令官としてロンメルが大将に昇進しました。

英軍が開始したクルセーダー作戦はドイツ軍のミスに乗じることもできずに、分散した兵力を各個撃破されてしまいます。
またしても勝利はドイツ軍及びロンメルのものでした。

後退し戦線を張り直そうとする英軍を追撃するべく、ドイツ軍の前線を駆け回るロンメル。

しかし、その時事件は起きました。

司令部車両で走り回っていたロンメルは、なんと部隊からはぐれてしまったのです。
しかも砂漠の戦場は敵味方が錯綜して、どこに自軍の部隊がいるかわからない。

うろうろと走り回っていたロンメルは、やっと部隊の集結地を見つけてホッとします。
しかし、そこはなんと英軍の野戦病院のテント群でした。
無論警備の兵士も多数います。
ロンメルは英軍の真っ只中に来てしまったのでした。

「し、将軍・・・」
運転手や副官が絶望的な表情を浮かべます。
しかし、ロンメルは胸を張って車から降りました。

「しゃきっとしろ! 占領したように振舞うんだ!」
ロンメルは部下にそう言って、さも占領地を視察しに来たかのように英軍に振舞います。

「ご苦労、諸君」
ロンメルはそう言って英軍兵士に近づきます。
英軍兵士は次の瞬間、彼に敬礼をしていました。

テントからは軍医たちも姿を現し、次々とロンメルに敬礼します。
「何か困ったことは無いかね? 医薬品についてはすぐに届けるよう手配する」
ロンメルは悠然とそう言います。
「ありがとうございます、閣下」
軍医たちはにこやかにロンメルの好意を受け容れ、負傷兵たちもロンメルの訪問を喜びました。
英軍兵士にもロンメルは敬意を払われていたのです。

結局ロンメルは、悠々と英軍の野戦病院を後にします。

英軍がロンメルを捕らえる千載一遇のチャンスを逃がしたと知ったのは、それからすぐに英軍の補給部隊が来た事によってでした。

事実かどうかははっきりしませんが、ロンメルの逸話としては私はこれが大好きです。
まさに運というものも味方につけることができたのでしょうね。
  1. 2007/01/17(水) 22:00:27|
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嘘・・・でしょ・・・

今日で丸一年半、日数にして549日間連続更新達成です。

何とまぁ、こんなにできるとは思ってもみませんでした。
やっぱり皆さんに見ていただけるという思いがここまでの連続更新をさせてくれましたんですね。

本当にありがとうございます。

アクセス解析をしても、大体24時間ごとにご訪問していただける方が多いようで、しかも22時から24時ぐらいが圧倒的です。
この時間になれば更新しているだろうと楽しみにされているのかなって思います。

これからもできる限り続けて行きますので、応援よろしくお願いいたします。


さて、今日はホーリードールを投下いたします。
お楽しみいただければ幸いです。

20、
助かった・・・の?
女子高生は一縷の望みを抱く。
カメレオンの化け物の注意が逸れ、彼女を押さえていた力が緩む。
その隙に彼女は何とか身をよじって逃げようとする。
しかし、緩んだとはいえ、ビーストの力にかなうはずも無い。
やはり逃げ出すことはできなかった。

「あなたたち、何者? すぐに出て行きなさい! ここはカメレオンビースト様の世界なのよ!」
すでに身も心も支配されてしまっている女性店員が少女たちに近寄る。
何者かは知らないが、邪魔をされるのは許せない。
彼女はカメレオンビーストによって授けられた鋭い爪をかざし、少女たちをにらみつけた。
「ビースト一体。ほか穢されし者二体を確認。浄化をしましょうドールサキ」
「ええ、闇に触れし者は浄化しないとね」
赤の少女の言葉に青の少女がうなずく。
その様子にいらだった店員は二人に対して爪を振るった。

ガキンという音を立てて、店員の爪が赤い少女の杖に阻まれる。
少女のどこにそんな力があるのか、か細い線の少女でありながら彼女の杖は爪を受け止めびくともしない。
「えっ?」
店員が気がついた時には、彼女の脇には青いレイピアの切っ先が埋まっていた。
ホーリードールサキの鋭い一撃が、ホーリードールアスミに向いていた店員の隙を突いたのだ。
「ガハッ」
店員はその場にずるりと崩折れる。
どす黒く濁った血が床に広がった。

「ヒイッ!」
思わず悲鳴を上げる女子高生。
これは悪夢。
そう思わずにはいられない。
化け物に襲われるのも悪夢なら、少女があっさりと人を殺すのも悪夢。
夢なら醒めて欲しいけど、床に広がる血だまりが、この悪夢がまだ続くことを示していた。
「あああ・・・」
すでに手足は自由になっている。
カメレオンの化け物が彼女から離れ、二人の少女に対峙していたのだ。
に、逃げなくちゃ・・・
彼女は必死に逃げ出そうとする。
でも恐怖が彼女を動けなくさせている。
べちゃ・・・
水たまりがプリーツスカートを濡らしている。
え? 何?
彼女が床に付いた手にもぬるい水が感じられる。
なんだ・・・ろう・・・
血ではない。
手に付いた液体は赤くは無いのだ。
気にはなるが、かまってはいられない。
彼女は少しでも遠ざかろうと後ろに下がった。

「グゲ・・・」
カメレオンビーストは飛び出た目をギョロつかせながら二人の少女に向き合う。
所狭しと並べられた洋服とマネキンが邪魔臭い。
「ゲ」
いきなり舌を伸ばして、ホーリードールアスミの右手に絡め、そのまま引き寄せる。
「サンダー!」
ホーリードールアスミは引き寄せられるままに右手を突き出し、そのまま呪文を発動させた。
杖の先から発せられた電撃が周囲にスパークを走らせ、カメレオンビーストの舌を焼く。
「ゲゲゲ・・・」
思わず舌を引っ込め、口元を押さえるカメレオンビースト。
その仕草が妙に人間臭さを感じさせた。
「次は私!」
ホーリードールサキがレイピアの切っ先を向けカメレオンビーストに飛び掛る。
いったん進路をそらせ、壁を蹴って角度を変えて勢いをつけ、そのまま突進するのだ。
無論ホーリードールアスミは援護を忘れない。
「フラッシュ!」
杖の先から光球を飛ばす。
その光の球はカメレオンビーストの前ではじけ、目をくらませた。
「グゲ」
カメレオンビーストはもはや本能に過ぎない行動を取る。
回避するために身をかがめたのだ。
「クッ」
ホーリードールサキのレイピアは、わずかの差でカメレオンビーストを捕らえることができずに背後のマネキンを突き貫く。
カメレオンビーストはそのまま脇へ転がると、ガラスで出来たショーウィンドウを破り外へ出た。
狭い店内での戦いに見切りをつけたのだ。

「逃がすか!」
あとを追って飛び出して行くホーリードールサキ。
続いて外へ出ようとしたホーリードールアスミは、ふと壁に張り付くようにして彼女たちの闘いを見ていた女子高生に気がついた。
「生きているようですね」
ホーリードールアスミは構えていた杖をおろし、彼女に近づく。
「あ・・・あなたは一体・・・」
赤い宝石の嵌まったサークレットに赤いミニスカート型のコスチューム。
赤い手袋とブーツ。
まるでアニメの世界から抜け出て来たような少女がそこにいる。
「魔法少女・・・なの?」
言ってから女子高生は馬鹿なことをと思ってしまう。
そんなことがあるわけ無い。
空想の世界が現実にあるわけが・・・
「私はホーリードールアスミ。闇を打ち払う光の使徒」
ホーリードールアスミは何の感情も持たないかのような抑揚の無い言葉で自己紹介をする。
「ホー・・・リー・・・ドール?」
お人形なの?
「あなた・・・闇に触れましたね」
「えっ?」
女子高生は何のことかわからなかった。
「闇に触れし者は闇に穢されし者」
すっとホーリードールアスミの杖が持ち上がる。
「ヒッ!」
女子高生の顔から血の気が引いた。
「浄化します。コロナ」
女子高生の躰を覆う灼熱の火柱が立つ。
なぜ自分が焼け死ぬのかを理解することもなく彼女は一瞬にして炭化した。
そして、それを見届けることすらせずに、ホーリードールアスミはホーリードールサキのあとを追っていた。

「キャアー!」
「うわぁ~!」
夕方の商店街に悲鳴が上がる。
ブティックのショーウィンドウが突然割れ、トカゲとも人間とも付かない化け物が飛び出して来たのだ。
化け物は突き出た目をギョロつかせ、豊かな胸を揺らしながら、周囲をものともせずに壁を登り始める。
驚いた人々の目の前に、今度は青いミニスカート型コスチュームの少女が現れる。
少女は青いレイピアを持ち、周囲を確認すると、壁をよじ登っている化け物を見つけ、少し考える。
すぐに少女は通りの向かい側にあるビル目掛けて走り出すと、そのビルの壁を蹴って飛び上がった。
そして通りをはさんだビルとビルの間を、まるで忍者か何かのようにお互いの壁を蹴りながら上って行く。
やがて少女と化け物はビルの屋上に消えていき、地上の人から見えなくなる。
人々が唖然としていると、ブティックの中から炎が上がる。
そして青い少女が姿を現し、先に屋上へ消えた少女のあとを追った。
人々はただ顔を見合わせるだけだった。

「追いかけっこはお終い」
ビルの屋上に先回りするホーリードールサキ。
壁をよじ登ってきたカメレオンビーストを待ち構えていたのだ。
「ゲゲ・・・」
だが、ホーリードールサキの目の前で、よじ登ってきたカメレオンビーストの姿が周囲に溶け込んで行くように消えて行く。
「えっ? ど、どこに?」
周囲を探るホーリードールサキ。
「うふふふふ・・・」
ホーリードールサキの頭上から声がする。
「クッ」
すぐさま後ずさり、距離を取って確認する。

頭上の貯水タンクの上には二人の人影が立っていた。
片方は漆黒の全身を覆う皮膜のような全身タイツに身を包んだ大人の女性。
手には大きな両手で持つ斧を持っている。
もう片方は漆黒のレオタードを身に付けた少女。
彼女も手には巨大な鎌を持っている。
二人はともに冷たい笑みを浮かべながら、ホーリードールサキを見下ろしていた。
「闇の女たち・・・」
ホーリードールサキの透き通った瞳に憎しみのような感情が一瞬浮かぶ。
「ドールサキ。ビーストは? あっ」
遅れて上がってきたホーリードールアスミも貯水タンクの上にいる二人の姿に目が行った。
「うふふふ・・・そろそろ今晩はかしらね、光の手駒たち」
優美な曲線を誇らしげに晒しているレディアルファ。
その横ではレディベータも闇の微笑みを見せている。
「私は大いなる闇の女デスルリカ様の配下、レディアルファ。以後よろしく」
「私は知っているわよね。同じくレディベータよ」
ブラディサイズを構え、今にも飛び降りそうなレディベータを、さりげなくレディアルファが抱き寄せる。
「レディアルファにレディベータ・・・」
「闇の女たち・・・」
ホーリードールサキとホーリードールアスミの二人は自分たちの前に現れた闇のしもべたちを目に焼き付けた。
  1. 2007/01/16(火) 22:01:18|
  2. ホーリードール
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両軍の司令官

まずは訂正です。

昨日の記事中、「アルマ川の戦い」において、英仏連合軍の司令官ラグラン卿と記載しましたが、ヘンリー・ラグラン卿は英軍司令官であり、連合軍司令官ではありませんでした。

謹んでお詫び申し上げます。
申し訳ありませんでした。

ちなみに、当時の英仏連合軍は、長年の対立関係から最高司令官は名目上に過ぎず、フランス軍司令官アシル・ル・ロワ・ド・サン=タルノー(アルノー)元帥が、一応の総司令官として、彼とラグラン卿が相談の上で各軍に命令を下すという態勢を取っていました。

このサン=タルノー元帥は、軍内外でも評価の低い単なる楽天家で、ナポレオンの甥のナポレオン三世に対するおもねりで軍司令官を任された人物でした。

一方のラグラン卿も頑迷さと誇り高さを同時に持った悪い意味の英国紳士であり、サン=タルノー元帥との合同会議でも、表面上の協力を約束するだけだったそうで、ほとんど英軍は英軍、仏軍は仏軍で動いていたそうです。

それにしても、ガンに侵されて余命いくばくも無く、最後の一花を咲かせたいだけのサン=タルノーと、ワーテルロー会戦に従軍したことをいつまでも誇りにして二十数年間実戦から遠ざかってきたラグランは、ある意味いい勝負の無能ぶりだったようです。

そんな相手に負けてしまうロシア軍司令官メンシコフ公。
彼も負けず劣らずの無能だったようですね。

彼は以前トルコ軍との戦いで、銃弾により男のシンボルを撃ち抜かれてしまって、とにかくトルコ人は憎んでも余りある存在でした。

そんなメンシコフ公は、よりにもよってロシア皇帝ニコライ一世により、トルコとの聖地管理権交渉の代表に選ばれます。

無論皇帝はメンシコフがトルコ人嫌いなのはわかっていますから、これは交渉が決裂することを望んだんですね。

交渉は当然のごとく決裂し、クリミア戦争が始まります。

その戦争を始めた張本人とも言うべきメンシコフが、アルマ川で英仏軍を迎え撃ったのですが、陣地も作らず部隊も指揮系統を無視して配置するなど、司令官としてあるまじき行為を見せており、結局英仏軍に敗れます。

アルマ川の戦いは、両軍の勇気ある兵士たちが、無能な指揮官の下で、多数の損害を出すという戦いだったんですね。

ヤン&ラインハルト以前の銀河英雄伝説みたいだなぁ。
  1. 2007/01/15(月) 21:41:30|
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勝ったぞ~

今日は友人が遊びに来てくれて、またウォーゲームを楽しむことができました。

今日プレイしたのはGDW/国際通信社の「アルマの戦い」

GDWの120シリーズのひとつをコマンドマガジンが付録化したもので、マイナーテーマの戦いですが、面白そうだったのでやってみました。

史実の「アルマの戦い」は、1854年の「クリミア戦争」におけるひとつの戦いです。

オスマン・トルコが手中にしていたエルサレムの管理権をきっかけに、ロシアが戦争を仕掛けたクリミア戦争は、予想に反して長期化をしました。

フランスの政治状況や英国の権益などが絡み、英仏がロシアに宣戦を布告したのです。

戦場は黒海に突き出たクリミア半島。
そのセバストポリ要塞が英仏の目標でした。

クリミア半島のカラミテ湾に上陸した英仏軍はトルコ軍とともにアルマ河を渡河しようとし、ロシア軍はセバストポリ要塞を防御する時間を稼ぐために渡河を阻止しようとしました。

このアルマの戦いをゲームにしたものが、今日プレイしたゲームです。

英仏連合軍司令官ラグラン卿は私。
ロシア軍司令官メンシコフ公が友人です。

史実どおり英仏軍が先手を取り、私は指揮下の軍勢をいっせいに渡河させます。
英軍は斜面をよじ登りながら、ロシア軍の守る高地へ突進。
英軍歩兵の優秀さはその射撃に現れ、ロシア軍は徐々に後退。
我が軍は谷間に沿って前進します。

ロシア軍は果敢に反撃してきますが、サイの目と、ロシア軍の低い士気により反撃は頓挫。
しかし我が軍も英軍はじわじわと進撃するも、フランス軍は斜面の上からに射撃にたじたじとなり、後退を始めます。

私は英軍の高い士気にものを言わせ、英軍を中心にロシア軍を圧倒。
ついに突破口を開きます。
英軍の砲撃と射撃は次々とロシア軍を壊走させ、戦線には大きな穴が開きました。

我が友人メンシコフ公は、何とか少ないロシア軍コマで穴をふさごうとしますが、英軍の前には焼け石に水。

ついにはフランス軍も斜面を突破するにいたり、ロシア軍の防御は破綻。
ゲームは史実どおり英仏連合軍の勝利に終わりました。

実は私も友人も、このゲームを始める前には砲兵にさほど注意を払っていませんでした。
ナポレオン戦争のゲームと同じように歩兵の支援ぐらいと考えていたのです。

ところがこのゲームの砲兵は強力でした。
ロシア軍は英軍砲兵の前に次々と壊滅して行ったのです。

しかし、一歩間違えれば(サイコロの目が悪ければ)英軍の攻勢は頓挫し、一敗地にまみれていたでしょう。
勝ったとはいえ、もう少し研究の余地がありそうです。

今日も楽しい時間を過ごすことができました。
いつもゲームに付き合ってくれる友人に感謝感謝です。
またやりたいなぁ。

それではまた。
  1. 2007/01/14(日) 21:40:01|
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地獄の業火

ロンメルの攻勢(しかもダミー戦車などによる)に愕然とした英軍ではありましたが、一方的にやられているつもりはありません。

英国中東軍司令官ウェーベルは、本国のチャーチルが送ってきた増援を受け取ると、すぐさまドイツ軍に対し反撃に出ました。

英軍には切り札がありました。
歩兵戦車マークⅡ「マチルダ」です。

歩兵と共同攻撃を行なうために、速度は遅いマチルダ嬢でしたが、がっしりとした分厚いドレス(装甲)を身に纏い、ドイツ軍戦車の野蛮な求婚(攻撃)をことごとく跳ね返すはずでした。

事実前年1940年のフランス戦では、最終的にはダンケルクに追い詰められたものの、マチルダを中心とする英軍戦車隊はドイツ軍を大いに混乱させていたのです。

英軍はこのマチルダを先鋒に立て、ドイツ軍への反撃を開始しました。
作戦名「バトルアクス」
斧によってドイツ軍を叩き割るつもりだったのです。

英軍がやられっぱなしじゃないことはロンメルも重々承知していました。
彼は英軍が反撃に出ることを見越して、防御陣地を設置するべく、防御上の要地「ハルファヤ峠」を英軍から奪います。

そしてその防御上の要地ハルファヤ峠で英軍を迎え撃ったのです。

1941年6月15日
英軍は第4インド師団と第22近衛歩兵旅団が100両以上もの戦車の支援を受けて、ドイツ軍の篭もるハルファヤ峠に攻撃を開始しました。
戦車のうち大半は重防御のマチルダでした。

一方ドイツ軍のハルファヤ峠守備隊は元牧師のバッハ少佐が指揮を取っていました。
彼の双眼鏡には、先頭を切って突っ込んでくる多数のマチルダが捉えられていました。

ドイツ軍の主力対戦車砲は37ミリ対戦車砲です。
しかし、この砲はマチルダには歯が立ちません。
ドイツ軍戦車も後方で温存されているので付近にはいません。
英軍の攻撃にドイツ軍は手も足も出ないかのように見えました。

先頭のマチルダが距離1500メートルに達した時、バッハ少佐の手が振り下ろされました。
轟音とともに砲弾が発射され、唸りを上げてマチルダに向かいます。

英軍歩兵は次の瞬間信じられないものを見ました。
重装甲のマチルダの前面装甲がいともたやすく貫通されたのです。

しかも、それはまぐれなどではありませんでした。
周囲ではマチルダが次々と装甲を貫通され、擱坐炎上していくではありませんか。
「くそったれ! ありゃなんだ?」
英軍指揮官が敵陣地に据え付けられた砲を見ます。
それは上空を飛ぶ航空機を撃つための砲。
88ミリ高射砲でした。

ロンメルはフランスですでにマチルダの装甲の厚さに手痛い目にあっていました。
37ミリ対戦車砲では歯が立たないことを知っていたのです。
彼はフランスでも行なった方法・・・88ミリ高射砲で戦車を撃つという手段でこのハルファヤ峠でも英軍を迎え撃ったのでした。

上空高く砲弾を撃ち上げなくてはならない高射砲は、高速の砲弾を直進する弾道で撃ち出します。
それは対戦車砲と同じであり、高射砲は水平にすることで対戦車砲として充分使えたのでした。
ドイツ軍の88ミリ高射砲は優秀な対戦車砲になったのです。

バッハ少佐の指揮の下、ハルファヤ峠に陣取ったわずか四門の88ミリ高射砲は、その砲弾を撃ち出すたびに英軍戦車を血祭りに上げて行きます。
数時間ののちに、ハルファヤ峠前面は英軍戦車隊の墓場と化しました。
英軍は58両もの戦車をハルファヤ峠だけで失ったのです。

英軍は後退し、作戦は失敗しました。
この時捕らえられた捕虜とドイツ兵の会話といわれるものが逸話として残っています。

英兵「飛行機を撃つべき高射砲で戦車を撃つとは卑怯じゃありませんか?」
独兵「対戦車砲の砲弾を跳ね返す戦車で攻めてくる方が卑怯じゃないかね?」

この戦いの後、英軍兵士はこのハルファヤ峠のことを「ヘルファイヤ峠」(地獄の業火の峠)と呼び恐れ、バッハ少佐のことを「業火の牧師」と呼んで敵ながらあっぱれと称されたのでした。
  1. 2007/01/13(土) 21:42:00|
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寝取られ

えーと・・・

ちょっと読む方によっては不快感を与えるSSですので、初めてこの機能を使いますね。

個人的には「物語として」は寝取られ好きなもので、こんな話を書いて見ました。

寝取られに抵抗の無い方のみお読み下さいませ。

[寝取られ]の続きを読む
  1. 2007/01/12(金) 21:38:57|
  2. その他短編SS
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ペコちゃんがー

またしても食品の安全性に関わる問題が発覚しましたねー。

不二家のシュークリームに消費期限切れの牛乳を使用したクリームを使っていたとのことですね。

過去にも何度か同じように期限切れ牛乳使ったり、期限切れの加工リンゴでアップルパイ作ったりということらしいので、たまたまということでは無さそうです。

なんか、コストダウンのためには安全は二の次になっちゃっていますよねー。
企業に与えるイメージダウンはこれで削減できるコストをはるかに上回ると思うんですけどね。
ペコちゃんも泣いちゃいますよー。

やはり口に入るものは安全性を優先して欲しいですよね。

今日はこのぐらいで。
それではまた。
  1. 2007/01/11(木) 20:51:14|
  2. ニュース
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ダミー戦車

1941年3月。
トリポリにおいて派手なパレードで強い印象を与えたロンメル指揮下のドイツアフリカ軍団は、休む間もなく英軍に対し攻勢に出ました。

わずか第五軽師団の一部しか持たないロンメルでしたが、その実態を英軍が知る前に行動に出ることにしたのです。

作戦目標はエル・アゲイラ。
ここは英軍の先遣隊が、トリポリ攻略の拠点として陣を張っているのでした。

ロンメルが攻勢に出ると聞き、イタリアは喜び勇み・・・ませんでした。
イタリアは英軍に恐れをなし、トリポリだけでも守れればいいとさえ思っていたのです。

結局イタリア軍のわずかの増援だけでロンメルは打って出ます。
しかし、第五軽師団の第五戦車連隊全てを集めても、戦車は150両。
しかも、主力たる三号及び四号戦車は半分の80両なのです。
戦車が足りませんでした。

ここでまたしてもロンメルは策を講じます。

見た目だけでも戦車が増えれば、充分威圧効果があるのではないか?
そう考えたロンメルは、アフリカ軍団所属の小型車両、俗にキューベルワーゲンといわれるタイプ82型フォルクスワーゲンをかき集めます。

そして、その車体にキャンバスと木枠で戦車っぽい外見を作ったものを載せたのです。
ダミー戦車の登場でした。

ロンメルは数両の戦車と装甲車にこのダミー戦車を大量に加えた第三捜索大隊をエル・アゲイラに差し向けました。
後方にはさらに砂塵を巻き上げるべく多くのトラックも随伴させました。

この第三捜索大隊の「見せかけ戦車連隊」は「ボール紙の師団」とも呼ばれ、もうもうたる砂塵を巻き上げてエル・アゲイラに向かいます。
その砂塵はまさにドイツ軍の大兵力が展開していると英軍に錯覚させるには充分でした。

ドイツ軍の攻勢はまだ先だろうと考えていた英軍は、まさに仰天し、パニックに陥ります。
エル・アゲイラの守備隊は我先にと逃げ出し、後方拠点メルサ・エル・ブレガまで後退したのです。

奇策により英軍の前哨拠点を陥落させたロンメル。
彼の名声は一躍高まることになりました。
  1. 2007/01/10(水) 21:29:41|
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砂漠の狐

1940年、イタリアはドイツがフランスを攻略し、フランスがもう降伏するという時にフランスを攻撃。
フランスに対する戦勝国という立場を手に入れました。

味を占めたイタリアは、今度は地中海を我が物とするべく、対岸の北アフリカで行動を開始します。
エジプト侵攻です。

しかし、エジプトに駐留する英軍によってイタリア軍はもろくも蹴散らされました。
それどころかリビアのトリポリまで追い詰められそうになり、このままでは戦争から脱落してしまう可能性も出てきたのです。

イタリアの脱落は地中海方面での英軍の跳梁へとつながり、ドイツにとっては見過ごすことができない状況となります。

そこで我らが総統閣下は、イタリア軍へのてこ入れのために政治的意味からアフリカにドイツ軍を派遣することにしたのです。

すでにドイツ軍はソ連との戦いが控えており、アフリカに送れる戦力は微々たる物でした。
わずかに第五軽師団のみだったのです。

のちには第十五装甲師団などが増派されますが、それでもドイツ陸軍全体から見れば本当に本当に微々たる物でした。

その微々たるドイツ軍をしてアフリカを縦横無尽に活躍せしめたのが、砂漠の狐とあだ名されたエルウィン・ロンメル将軍でした。

ロンメル将軍は、1941年2月、トリポリに上陸します。
その時手元に着いたのは第五軽師団の先遣隊だけでした。

3月にはようやく第五軽師団の第五戦車連隊が到着。
一応の格好がついたロンメルはここでパフォーマンスを行ないます。

トリポリ市街でドイツ軍の到着を派手にパレードで見せ付けたのです。

第五軽師団の歩兵が隊伍を組んで行進し、第五戦車連隊の一号、二号、三号、四号戦車が市民の目の前を通り過ぎて行きます。

一両、二両、三両・・・総計百五十両の第五戦車連隊が通り過ぎ・・・
またしても市民の前に新たな戦車の一団が現れました。

市民たちはものすごい数のドイツ戦車にただただ圧倒され、ドイツ軍恐るべしという思いを抱きます。

それを見たロンメルはほくそえみました。
彼は第五戦車連隊の戦車を、通りをパレードした後で迂回路からまたパレード会場に姿を現すように命じていたのです。

そのため一両の戦車が何両分もの役目を果たし、膨大な数のドイツ軍戦車が到着したかのように見せることができたのです。

まあ、どこまで役に立ったかはわかりませんが、トリポリの市民にまぎれていたスパイの目をごまかせればそれでよかったのです。

こうしてロンメルは鮮烈デビューを果たしました。
砂漠を舞台にした最後の騎士の戦いの始まりでした。
  1. 2007/01/09(火) 22:11:14|
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女子高生の災難

五十万ヒット記念作品は「ホーリードール」をお送りいたします。

皆様本当にありがとうございました。
これからも「舞方雅人の趣味の世界」をよろしくお願いいたします。

19、
カバンを手に帰り道を歩く紗希と明日美。
いつもならこの道は、心はずむ楽しい足取りで歩いている道だ。
でも紗希の足取りは重かった。
うつむき加減で歩く紗希のことが気になる明日美も、やはり心ははずまない。
自然と口数は少なくなり、とぼとぼといった感じの足取りになる。
明日美の家に向かっているというよりは、何かテストの点数が悪くて補習のために休みの日に学校へ行くかのようだった。
「紗希ちゃん・・・」
明日美が声をかける。
さっきから紗希は何も言わない。
「紗希ちゃん」
もう一度明日美は紗希の名を呼んだ。
「えっ? あ、えっ? 呼んだ?」
紗希が顔を上げる。
紗希はずっとあの雪菜の表情を考えていたのだ。
あんな雪菜ちゃんは見たこと無かった。
ぞっとするような笑みを浮かべた雪菜。
あの顔が忘れられない。
それでずっとそのことを考えていたのだった。
「紗希ちゃん、どうしたのですか? 何かあったのですか?」
「えっ? あ、なんでもないよ。なんでもない」
明日美の顔が曇る。
「紗希ちゃんはうそつきですわ」
「ええっ?」
「紗希ちゃんがうつむいている時に、何も無いはずがありませんですわ」
明日美はキッパリとそう言った。
「あ・・・ご、ごめんね」
紗希は明日美が心配してくれていたことに気がついた。
自分が雪菜のことを気にしたように、明日美も彼女のことを気にしてくれたのだ。
「実は・・・」
「雪菜ちゃんのことですか?」
紗希の言葉に明日美が続ける。
紗希は無言でうなずいた。
「帰りの時のことですか? 確かにちょっといつもの雪菜ちゃんらしくは無かったですけど・・・」
「うん・・・算数の時間の雪菜ちゃんの表情が・・・すごく気になって・・・」
「表情ですか?」
明日美はその雪菜の表情は知らない。
紗希をそれほど悩ませるものだったのだろうか。
「うん・・・すごくいやな感じの笑い方だったんだ・・・それがずっと気になって・・・」
「いやな感じの笑い・・・」
紗希の言葉に明日美も不安を顔に浮かべる。
「紗希ちゃん・・・」
「えっ?」
紗希は息を飲んだ。
明日美がこれほど不安げにしているのを紗希は今まで見たことが無かったのだ。
「紗希ちゃん・・・何か・・・何かが起こっているのではないでしょうか?」
「何かが?」
「ええ。昨日あたりから変な感じがしませんか? 何か恐ろしいことがおきているのではないでしょうか」
「明日美ちゃん・・・」
紗希はしっかりと明日美の手を握った。

しゃらん・・・
ペンダントの鎖が軽く音を立てる。
「えっ?」
紗希は自分の首から下がっているペンダントに目を落とす。
青く輝くペンダント。
その輝きが心なしか増している。
「あ・・・」
しゃらん・・・
明日美のペンダントも同じように輝いている。
「あ・・・」
一瞬にして二人の目から意思の光が失われる。
『ふふふ・・・さあ、返事をなさい。可愛いドールたち』
二人の頭の中に声が響く。
「「はい、ゼーラ様・・・」」
二人はまったく同じように返事をする。
『いい子ね。さあ、目覚めなさい。闇が広がっているわ。あなたたちの使命を果たしなさい』
「「はい、ゼーラ様・・・」」
二人の言葉と同時にペンダントが青と赤の光を発し、二人の姿を包み込む。
光はそのまま宙に浮かび、虚空のかなたへと消え去った。

「うふふ・・・気持ちよかったわぁ・・・あん・・・愛液が垂れてきちゃう」
アイシャドウを入れ、黒い口紅を塗った一人のOLがブティックを出てくる。
奇妙なことにその入り口にはcloseの札が下がっているというのにだ。
彼女は淫らな欲望に満ちた目をし、淫蕩な笑みを浮かべて街に消えて行く。
その後ろ姿を見送った店員は、薄笑いを浮かべると、closeの札をopenの側に裏返した。

「あれぇ? 変なの・・・」
セーラー服姿の女子高生が、首をかしげる。
店に客がいる時にcloseで、客が帰ったらopenにするなんて普通じゃない。
どういうことなのかな?
何となく気になってしまう。
どうしよう・・・
覗いてみようか・・・
理由がわかるかもしれないし、openって書いてあるんだから入ってもいいんだよね。
いい服があるかもしれないし・・・
そんな考えで彼女はブティックに入ってみた。

「いらっしゃいませ」
先ほど見かけた店員が迎えてくれる。
やはり彼女も黒いアイシャドウと口紅をつけている。
店内は何となく薄暗く、ブティックという華やかさが感じられない。
なんだろう・・・変なお店。
女子高生は違和感を感じずにはいられない。
出よう・・・気味悪いや・・・
そう思って玄関へ向かおうとしたとき、彼女は肩を掴まれた。
えっ?
店員はかなり離れていたはず。
他に人はいなかったわ。
でも、この手は?
彼女はその手の持ち主を確認するべく振り返る。
「ゲゲ・・・ゲ・・・」
そこには突き出た目をギョロつかせ、長い舌をたらしたカメレオンの化け物が立っていた。
「ひっ!」
あまりのことに彼女は息を飲んだ。

カタン・・・
再び札がcloseに回される。
「いやぁっ!」
床に組みひしがれる女子高生。
カメレオンの化け物に肩を掴まれてからのことは全て悪夢としか思えない。
この世界にこんなことがあるはずが無いよぉ。
唾液をたらした舌がプリーツスカートをめくり上げる。
「ヒイッ!」
純白のショーツがあらわになる。
やだやだ・・・やだよぉ・・・
化け物になぶりものにされるなんていやだよぉ。
ずるり・・・
舌が器用にショーツを引き下げていく。
「やだー!」
絶望と恐怖が彼女の心を蝕んでいく。
もう、だめ・・・
彼女の目から涙がこぼれ落ちた。

爆音。
空気が爆ぜた。
飛び散る瓦礫。
欠片が降りかかる。
「グゲ・・・」
「な、何?」
カメレオンビーストも女子高生も突然の出来事に何が起こったのかわからない。
ブティックの壁が破壊され、青と赤の光が飛び込んできたのだった。
「あ・・・」
その光は収縮して青と赤の少女となる。
レイピアを持つ青の少女。
杖を持つ赤の少女。
ガラスのような目は意思というものを感じさせず、まるで鋭利な二振りの刃物のような少女たちだった。
  1. 2007/01/08(月) 21:56:23|
  2. ホーリードール
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皆様ありがとうございました。

どうやら本日早朝2時50分ごろ、当ブログが通算五十万ヒットを迎えさせていただいたようです。

これも皆様が足しげく通ってくださったおかげです。
本当に皆様どうもありがとうございました。

今月の17日で丸一年半を迎える当ブログですが、その前に五十万ヒットを数えることができるなんて、本当に感無量です。

私の方で特にキリバンを募集していたのではないのですが、今朝方M・E様というお方から、キリバン踏みましたというメールをいただきました。
写真も添付されておりましたので公開しますね。
(公開可とのことでしたので)
ありがとうございました。





五十万ヒット記念はまたのちほど公開させていただきますね。
それでは今晩また。
ではではー
  1. 2007/01/08(月) 10:58:02|
  2. 記念日
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カガミバチ

今日は短編SSを投下しますねー。

私はもちろん仮面ライダーが大好きなんですが、本腰を入れて見始めたのは仮面ライダーV3からでした。

何回か再放送もやってくれたので、そのつど見入っていたのが懐かしいです。

その仮面ライダーV3のエピソードの中でも、第十二話の「純子が怪人の花嫁に!?」は、ヒロインである珠純子に結婚を迫る怪人ドリルモグラという図式が非常に私のツボでした。

作中で犬神博士が言っていたセリフ、「姿ばかりか心も醜いデストロンになる」と言うセリフに子供ながらドキドキしたものです。

純子さんがどんな姿になるのだろう。
悪に染まった純子さんはどんな感じなんだろうと妄想したものです。

もちろん最後はぎりぎりのところで仮面ライダーV3が助けに来てくれますが、余計なことをしてくれたものとがっかりしたのも事実でした。(笑)

今回、その妄想を形にしてみました。
以前掲載した「蜘蛛女仁美」に似ているかもしれません。
あの作品はやはりこの話を元にした部分がありましたからね。

でも、自分ながらにいい感じでまとめられたかなとも思います。
みなさんに楽しんでいただければ幸いです。

それではどうぞ。

「志郎さん・・・」
冷たい牢獄の中で、珠純子(たま じゅんこ)は小さくつぶやく。
それはこのところ急速に彼女の中で形を成してきた愛しい人、風見志郎(かざみ しろう)の名前だった。

立花藤兵衛に手紙を託され伊東にやってきた純子だったが、悪の秘密結社デストロンに襲われ、手紙もろとも連れ去られようとした時、風見志郎は颯爽と現れた。
そして、純子をデストロンの魔手から救ってくれたのだ。

その後手紙を渡すと、デストロンのアジトへ乗り込むという志郎を彼女は止めようとした。
これ以上志郎に危険な目にはあって欲しくなかったのだ。
彼が危険な目に遭っていると思うだけで、純子の胸は張り裂けそうになってしまう。
デストロンが日本のために、いや、世界のために存在してはならない組織であることは判って入るものの、志郎が危険な目に遭うのは耐えられない。
両親と妹の死が、彼を危険に駆り立てる。
ならば純子はそれをなんとしても止めたかったのだ。
そんないい争いをしている時だった。

「見せ付けてくれるじゃないか」
それは最近純子に付きまとっていた黒田だった。
この伊東にまでやってきたのか?
純子は不快感を禁じえない。
見るからに無精ひげを生やしラフな格好をした黒田は、純子には生理的な嫌悪を感じさせるのだ。
だが、黒田は純子がにらみつけるのもかまわずに近づいてくる。
「ふん、いい気なもんだぜ。お前、この男がどんな人間か知っていて付き合っているのかよ」
黒田は吐き棄てるように言う。
「こいつは人間じゃねえ、改造人間なんだよ!」
「な、何言っているのよ?」
黒田の言葉に純子は驚く。
志郎さんが改造人間だなんてあるはずが・・・
「お前は何も知らないんだよ。こいつがV3に変身するのを俺ははっきりと見たんだ」
えっ?
志郎さんが仮面ライダーV3?
本当なの?
純子は思わず志郎の方を振り向く。
だが、志郎はただ黙って黒田をにらみつけ、その場を立ち去ってしまう。
「志郎さん!」
純子は急いでそのあとを追ったが、志郎の背中は彼女を拒絶するかのように遠ざかって行くのだった。

結局純子はモーターボートでデストロンのアジトに向かおうとする志郎に追いついたものの、志郎がV3なのかどうかを聞くことはできなかった。
志郎は純子にこの伊東を離れるように告げ、自らはモーターボートでデストロンのアジトへ向かっていったのだった。
志郎さんがV3なのかどうか・・・
もしV3だとしたら、志郎さんはこれからも危険なデストロンとの戦いに身を投じてしまう・・・
純子は思い悩みながら海岸を歩いていた。
その時だった。

「フェーロゥ」
砂浜の中から突然現れるデストロンの改造人間。
青く硬そうな躰をして、頭部に巨大なドリルがついている。
「キャー!」
純子は慌てて逃げ出そうとした。
しかし、いずこからともなく現れた黒尽くめの男たち、デストロンの戦闘員たちが純子の行方をさえぎってしまう。
「いやぁっ! 助けて!」
必死に逃げようとする純子だったが、腕をつかまれて気を失ってしまうのだった。

気がつくと、そこは四角い牢屋だった。
デストロンの地下アジトの一角に設けられた簡易型の鉄格子でできた牢獄。
改造人間であれば、それほど苦労無く出られそうな牢屋だったが、か弱い女性である純子にとって、そこから抜け出すことなどは不可能だ。
そして、純子をさらに絶望のふちに追いやるがごとく、デストロンのアジトに忍び込んだ風見志郎が、アジトとともに爆死したと知らされたのだ。
「志郎さん・・・あなたは本当にアジトの爆発と一緒に死んでしまったの? あなたがV3なのかどうか、とうとう私には答えて下さらなかったのね」
純子はそうつぶやき、悲しみのあまり全ての気力が失われてしまったような思いを感じていた。

「フェーロゥ」
独特のうなり声とともに、あの全身が青いモグラの怪人が牢屋に近づいてくる。
名をドリルモグラというらしい。
純子は恐怖を感じて、牢の端に身を寄せた。
「珠純子。俺が誰だかわかるか?」
「えっ?」
戦闘員を従えてやってきたドリルモグラが突然そう訊いてきた。
純子は思わず面食らってしまう。
「俺は風見志郎に復讐するためにデストロンによって改造された黒田雄二だ」
「ええっ? いつも私を付回してきた・・・」
驚く純子。
あの黒田が目の前にいるドリルモグラなのか?
「そうだとも。風見志郎が死んだことで、俺の目的は半分は達せられた」
半分?
残りの半分はなんだというの?
「あとは、お前と結婚することだ!」
誇らしげに宣言するドリルモグラ。
「ええっ? 結婚?」
純子はあまりのことに気が遠くなりそうだった。
よりにもよってこの化け物と化した黒田と結婚するというの?
「そうだ。お前はこのドリルモグラの花嫁になるのだ!」
「いやです!」
純子は間髪を入れずに言い放つ。
「絶対にいやです!」
「フェーロゥ」
ドリルモグラが不敵にうなる。
拒否されることは最初からわかりきっていたことなのだろう。
「いくらお前が嫌がっても、この地の底のデストロンアジトの中では、お前は俺に逆らえないのだ」
「ああっ・・・」
顔をそむけて唇を噛み締める純子。
志郎さんが死に、ドリルモグラなんかと結婚させられる。
こんな理不尽な話があるのだろうか・・・
純子は思い切り泣き出したかった。

『ドリルモグラよ』
その時アジト内に威厳のある重厚な声が響いた。
『喜ぶのはまだ早い。風見志郎は死んではおらんぞ』
「何ですって?」
ドリルモグラがうろたえる。
それとは逆に純子の顔には笑みが浮かんだ。
志郎さんが生きている。
それは何にもまして嬉しいことだった。
『それどころか、奴はピッケルシャークを倒したのだ。速やかにV3を殺せ! そうすれば、褒美にお前をこの娘と結婚させてやろう』
重厚な声が指令を下す。
褒美として与えられるなど願い下げだったが、志郎が生きていることは純子に希望を与えていた。
「志郎さん、生きていたんだわ・・・」
純子は神に感謝した。
「黙れ、俺は必ず風見志郎を殺す! 奴を殺した上でお前を俺の花嫁にしてやるわ。待っていろ! フェーロゥ」
苦々しげにしてドリルモグラはその場を去る。
残された純子はただただ志郎の無事を喜んでいた。

目の前で仮面ライダーV3と、ドリルモグラの死闘が繰り広げられている。
純子はそれを見せ付けられるかのように岩場の影につれて来られていた。
岩場の上には純子そっくりの人形が置かれている。
爆薬が詰まった爆弾なのだ。
V3が近づくと起爆するように仕掛けられ、その時を待っている死の罠だ。
ドリルモグラが計ったように適度に戦い引き上げる。
V3は後を追うよりも純子の救出に向かうようで、岩場を上って行く。
ああ・・・だめ、V3、それは罠よ!
純子はそう叫びたかったが、身動きはできず、口も開くことはできなくされていた。
「あ、人形」
V3がそう叫んだ次の瞬間、大音響とともに人形は爆発。
「うわぁぁぁぁぁ」
V3は断末魔の叫びを上げて、爆発に飲み込まれていった。
ああっ・・・
純子は思わず目をそらす。
「フェーロゥ」
目の前で起こった惨劇に打ちひしがれる純子にドリルモグラが近づき、彼女の戒めを解いていく。
「すまなかったな。お前に騒がれるわけにはいかなかったのだ」
ドリルモグラは純子を優しく立たせると、そのスカートについた泥を払う。
「来るのだ」
ドリルモグラに引かれ、純子は岩場に近づいていく。
「今の悲鳴と凄まじい音を聞いたか? あれがV3が地獄へ行く葬送曲だ。さて、いよいよお前と結婚式を挙げるとするか。フェーロゥ」
愕然としている純子の頬をドリルモグラは優しく撫でる。
その行為に純子はただただ身を硬くするだけだった。

薄暗く不気味なデストロン地下アジト。
そのホールでは着々と純子とドリルモグラの結婚式の準備が進められている。
心なしか戦闘員たちも慌ただしく動き回り、この状況を楽しんでいるかのよう。
純子は赤い花をあしらったウェディングドレスを着せられ、頭からは真っ赤なヴェールをかぶせられている。
花婿たるドリルモグラは、その胸にバラの花をあしらい、おめかしをしているらしかった。
ジャーンとドラが鳴らされ、不気味な黒尽くめの司祭が先頭に立ちホールへ向かう。
その後ろを無理やりドリルモグラに腕を組まされた純子が引き摺られるように付いていく。
志郎がV3なのかどうか純子にはわからなかったが、デストロンはそう決め付けて、V3が死んだ今風見志郎も死んだと聞かされた。
一度は志郎の無事を喜んだものの、再び志郎の死を突きつけられた純子は心を閉ざし、すでに抵抗する気力を失っていた。
そのため、ドリルモグラに引き摺られても、さしたる抵抗もしていなかったのだ。

ホールに設えられた祭壇。
その脇にはドリルモグラを改造した犬神博士が立ち、司祭役を務めている。
不気味な顔をした陰湿そうな男だ。
「デーストローン」
再びドラがなり、周囲に控える黒頭巾の者たちが一斉にデストロンを称える。
「赤いヴェールはデストロンの花嫁」
黒頭巾がそう宣言し、不気味な詠唱を始める。
その詠唱は純子の背筋をぞっとさせ、純粋な恐怖を感じさせるものだった。

やがて詠唱が終わると、犬神博士が純子の前に立つ。
そして毒々しい意匠を凝らした指輪を取り出した。
「これはデストロンの結婚指輪だ。これを嵌めれば、お前はいやでもデストロンになる。姿ばかりか、心までも醜いデストロンとなってドリルモグラの妻となるのだ。くくく・・・おめでとう」
そう言って指輪をドリルモグラに渡す。
指輪を受け取ったドリルモグラは、純子の腕を取り、その指を引き寄せる。
ああ・・・志郎さん・・・助けて・・・
必死に抵抗する純子だったが、所詮は人間の女性の力。
改造人間たるドリルモグラにはかなわない。
「ああ、いやぁっ! やめてぇ!」
純子の叫びも空しく、純白の手袋をした薬指にデストロンの指輪が嵌められた。
「あああっ」
その瞬間、まるで電気が走ったかのように純子の躰が痙攣する。
そして純子はその場に崩れ落ちた。

デストロンの指輪は精巧な小型改造装置である。
指輪は嵌められると同時にその内部からナノマシンを注入する。
それらは指輪の指令のもと、純子の肉体を即座に改造し始めたのだ。
肉体の拒絶反応などを最低限にするために、一時的な仮死状態に抑え、その間に細胞レベルで肉体を変化させていく。
純子に対する指輪の活動を確認した犬神博士は満足そうに笑みを浮かべ、ドリルモグラに純子を連れて行かせた。
改造終了まで部屋に寝かせておくのだ。
そろそろ夜明け。
デストロンが眠りにつく時間だ。
早ければ明日の夜には純子はデストロンの改造人間と化すだろう。
ピッケルシャークに優るとも劣らない怪人が完成するはずだ。
首領様の覚えもめでたくなるだろう。
犬神博士は笑いが止まらなかった。

ベッドに寝かされた純子の躰は猛烈な勢いで作り変えられていく。
細胞レベルで強化され、さらにはデストロンの優れたところである機械融合も進んで行く。
改造の邪魔にならないように着ていたものは脱がされ、指輪の下になった手袋も切り裂かれて取り去られる。
全裸になった純子はシーツだけをかけられてベッドに寝かされていたのだ。
その美しく白い肌が徐々に硬く変化して行く。
両腕と両脚は漆黒に染まり、黄色の短い剛毛がリング状に腕と脚を彩って行く。
形の良い胸には金属質のグレーのカバーが上から嵌まり、そのカバーが左右に開くと窪んだ内側が凹面鏡のようになる。
胸そのものは同心円状の模様が浮かび、黄色と黒に色分けされて先端に針が覗くようになる。
まるで蜂のお尻の突起が純子の両胸に形作られたかのようだ。
胸から下は内臓を保護するかのように硬い外骨格が覆い、グレーのボディアーマーのような形状をなす。
背中には薄いが強靭な翅が生え、彼女を空へ舞い上がらせることもできる。
そして、手と足はそれぞれ手袋とブーツを履いたかのように活動しやすい形状に変化する。
躰の変化はやがて頭部にまで及び、長かった純子の髪は形質を変化させてヘルメット状に頭部を覆う。
額からはくの字型に折れた触角が伸び、両目は周囲まで広がって複眼となる。
口元だけが人間の姿をとどめるものの、強化された顎はコンクリートも噛み砕けるほどの力を彼女の口に与えていた。
やがて純子が再び目覚めた時、彼女の躰は蜂をモチーフにした改造人間の躰へと変化し終えていたのだった。

「あ・・・」
純子がゆっくりと躰を起こす。
シーツが落ちて改造人間となった躰が現れる。
「あれ? 私の躰・・・いったい・・・どうしたのかしら・・・」
純子はぼんやりとした頭で考える。
ナノマシンによる改造は肉体を変化させることに費やされ、まだ脳までは達していない。
だが、肉体の改造が完了した今、脳にもナノマシンが改変を施して行く。
改変を容易にするためにあえて覚醒させ、脳を働かせた上で改造するのだ。
一番重要な時点であり、場合によってはせっかくの改造人間が役立たずに終わる場合もある。
それほど脳改造は難しいのだ。
純子は見るもの全てが細かく複数見えることに戸惑う。
だが、それはやがて慣れ、複数見えることが当たり前と感じるようになる。
「これ・・・私の躰なのね・・・?」
両手を目の前にかざす純子。
腕は漆黒の肌に黄色の剛毛がリングのように六本ほど覆っている。
指先は鋭い爪が生え、黄色の手袋でもつけたよう。
躰を見ると、グレーのレオタード型ボディアーマーでも着たかのようにがっちりと硬くなっている。
「ふふ・・・」
純子は無意識のうちに胸のカバーを広げてみた。
蝶番のような感じで胸のカバーは左右に開き、その中に隠れていた蜂のお尻型の胸があらわになる。
その先端に覗く針は溶解液を先から垂らし、飛ばすこともできる。
それに左右に開いたカバーの内側はきらきら輝く凹面鏡となり、太陽光を集めることで強力な熱線を浴びせることができるのだ。
「ふふ・・・素敵・・・」
純子の脳は着々と改造されていく。
すでに彼女は自分の姿が変だとは感じない。
それどころか美しく素晴らしいものと感じ始めていた。

彼女はゆっくりと立ち上がる。
両脚も強靭な力を秘め、ビルの壁ごときは蹴り崩すこともできるだろう。
純子は強くなった自分の躰が嬉しかった。
『目覚めたようだな。カガミバチよ』
重厚な声が蠍のレリーフから聞こえてくる。
我が組織デストロンの首領様の声。
純子はうっとりとその声を聞く。
カガミバチ?
純子は瞬時に理解した。
私の名はカガミバチ。
デストロンの改造人間カガミバチ。
嬉しい。
私は改造人間なんだわ。
「はい、首領様。私はデストロンの改造人間カガミバチ。どうぞ何なりとご命令を」
純子、いや、改造人間カガミバチはレリーフに対し跪いて一礼する。
『うむ。カガミバチよ、ドリルモグラの爆弾でも仮面ライダーV3は生き延びたようだ。この上はドリルモグラとともに仮面ライダーV3を始末せよ』
仮面ライダーV3。
我がデストロンに歯向かうおろかな改造人間。
うふふ・・・
私がお前を始末するわ。
「かしこまりました、首領様。仮面ライダーV3はこのカガミバチが必ず始末いたしますわ。珠純子の姿を使えばV3といえども油断するはず。そこを利用し・・・うふふ・・・」
カガミバチが躰を一回転させると、その姿は珠純子のものとなる。
『うむ。任せたぞ、カガミバチ』
「お任せ下さいませ、首領様」
純子の姿をしたカガミバチは、妖しく笑みを浮かべると、部屋を後にした。
ドリルモグラとともに仮面ライダーV3を始末するために・・・


掲載後、いつもお世話になっておりますg-thanさんより、作中の改造人間カガミバチの素敵なイラストをいただきました。
ご許可をいただきましたので、ここに掲載させていただきます。

g-thanさん、本当にありがとうございました。
ただただ感謝感謝です。m(__)m

c5293c57.jpg

  1. 2007/01/07(日) 21:30:17|
  2. 改造・機械化系SS
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セイギ の お仕事(Enne様作)

先日「セイギさいど」を投稿してくださったEnneさんが、皆様よりたくさんのコメントをいただけたことをすごく感激しておりました。

それで、コメントを下さりました皆様や、コメントを下さらなくともお読みくださったたくさんの方々にお礼をしたくなったのと、洗脳の火照りがさめないということもあり、続編? をメッセで書き上げられましたので、ここに掲載させていただきます。

Enneさん、素敵な作品をありがとうございました。

「セイギ の お仕事」

秘密基地が出来ちゃった

ツクールが取り寄せてくれた秘密基地キットを私の家の下にちょっとだけ穴掘って埋める

もうそれだけで
あっという間に秘密基地がおうちの下に出来ちゃったよ

基地の中に収める重いものは、シスター・ローズが運んでくれたし

基地が完成して
ローズを帰らせたあと、私は司令官のシートに座って
う~んって背伸びをしたんだ

さてと

どうしようか?

まず何をしようかな、ちょっと不安だよ

そう、ゲームしててさ、新しい場所に行って
何をしたらいいのか、わかんない感じ、ね?

あ、そうだ、そうだよ

大事な事を忘れてた
まずは、ツクールを被る
これじゃない?

私は指令卓に置いてあったツクールを取り上げて
いつものように被ったんだ

ぎゅ

ふぅ、ほっとするよ

ぱちん

留め金がいつものように首に掛かった、これでもう、ツクールが外してくれるまでは

ツクールを脱げないんだ、あは、自分から脱ぐなんて考えられないけどね

それに、なんたってここはわたしの秘密基地、邪魔するものはだぁれも居ないんだ

ここでなら、好きなだけツクールを被っていられるんだよ

ずっとすっと「由美指令」でいられるんだ

「由美指令」……

う、ん

「由美指令」になるのはとっても楽しいんだけど

なんだか「由美指令」になってる間は、時々、自分が自分でなくなるような気がするんだ

特に、そう、バイザーが下がって私の顔が隠れちゃったあと、うん

ツクールが色々教えてくれ…る…

う、ん……

ツクールが教えてくれるときなんか

そんな気が

びぃぃん

あ、ツクールが動いてる

これは、ツクールがまた何か大事な事を教えてくれるって言う事なんだ

集中しなくっちゃ

かちり

あ、バイザーが下がったよ

はぃ、ゆ、み、由美は「由美指令」になります、バイザーが降りたら由美はもう「由美指令」で、す…

わ、たし、わたし、うん、わたしは「由美指令」だよ

はぃ、「由美指令」は……ぃます、した…ぃま…す

…に、…たが…ま…

あれ?

ふぅ、少しだけくらくらするよ

それに、さ、「由美指令」に戻るときは、なんだか由美がちょっといやいやをするみたいな気がするんだ

自分だって、「由美指令」になるのが楽しいくせにね、へんなの

さて、なんだろ、今日教えてもらえるのは?

あ、頭に浮かんだ

ううん、ツクールがわたしの頭の中に浮かべてくれてるんだよ

なんだろ?

『重要ナぷろぐらむノ通知:最重要ぷろぐらむノ、ダウンロード準備デキマシタ』

あ、やった、やっぱりそうだよね
うん、秘密基地が出来たんだし

きっと大事な次のステップに進むんだね

どんなプログラムだろ?

『最重要ぷろぐらむ:赤林由美 洗脳強化 実行シマスカ Y/N 』

そうか、赤林 由美 由美を洗脳しなくちゃいけないんだ

うん、 最重要だって、だったら絶対に由美を洗脳しなくちゃ

赤林 由美は洗脳されるんだ

え、由美って、ゆ、み、ゆみ、ゆ…み…

はぃ…洗脳します 赤林 由美の洗脳強化は最重要ぷろぐら、む、で…す

あれっ?

やだ、わかりきってるじゃない

勿論だよ、由美は洗脳されなくっちゃ

ツクールが薦めてくれる事はセイギのためにすっごく大事なことばっかり

だから、絶対に実行しなくちゃ

それが指令、そう「由美指令」の大事なお仕事なんだ

うん、由美を洗脳しなくっちゃ

そうだよ

赤林 由美は、セイギのために、洗脳されなくちゃいけないんだよ

だけど、どうしよう

このままじゃ、いけないってわかるよ

ここでもいいけど

ツクールで…せ…ん……

え、何言ってるの、ここじゃ駄目だよぅ、わたしツクールを被ってるだけなんだから

はぃ、ツクールで、せ…のう…

はぃ、つくーるデ、つ、クールと……

あれっ、うん、別のこと何か考えなきゃ

でも、それなら、どうしたらいいのかな?

あ、そうだ、そうなんだ、そのためのものだったんだよ、きっとそうだよ

うん、さっき、ローズが自分に使われるんだって知らずに運び込んだ洗脳装置

あれがあるじゃない、あれで由美を洗脳しちゃおう

あれで由美は洗脳されるんだ

ちかちかちか、ちかちかちか

『最重要ぷろぐらむ:赤林由美 洗脳強化 実行シマスカ Y/N 』

ちかちかちか

Y/N の確認が踊ってる

駄目だよぅ、まだ、まだ

はやく、はやく、早く

私は急いで洗脳装置に横になった

でも、どうしよう、ローズが使うサイズに調整してあるんだけど…

あ、大丈夫みたい、ちゃんと、由美の身体のサイズにも調整してくれるんだね

みぃぃん、かち、かち、かちり

ツクールに洗脳装置から、コードが出てきて繋がったよ、ツクールってこんな風になるんだ、へぇ

うん、準備オッケ、ちゃんとわかるよ

これでオッケなんだ

かちり

かちり

固定具が手首に、足首にしっかりと掛かった

うふっ、これでもう抵抗は出来ないんだよ

うふふ、由美を、由美を洗脳しちゃうんだ、正義のためにね

由美は洗脳されちゃうんだよ、あはっ

え、由美、由美ってわたし、違うよわたしは

はぃ、洗脳します……由美を、由美を洗脳します

あれ?
いま何を

ちかちかちか

やだ、ツクールが確認して欲しいって言ってるよ

なんだっけ

『最重要ぷろぐらむ:赤林由美 洗脳強化 実行シマスカ Y/N 』

やだ、一番大事なことじゃない

そのために、洗脳装置にこうやってるんじゃない

『最重要ぷろぐらむ:赤林由美 洗脳強化 実行シマスカ Y/N 』

もちろんよ、答えはyes

由美は洗脳されるんだ

Yをわたしは強く、強く思い浮かべた

『最重要ぷろぐらむ:赤林由美 洗脳強化 承認サレマシタ 』

ふふふっ、これで由美は洗脳されちゃうんだ

あれっ、でもわたし、いまは「由美指令」になってるよ

「由美指令」は、だって……

はぃ、「由美指令」はツクールの……

うん、だって「由美指令」はもう…

はぃ、「由美指令」はツクールの……

あれ?今、何か

そう、そうだよ、早く早く由美を洗脳しなくちゃいけないのに

このままだと駄目なんじゃないのかな?

このままじゃ由美じゃなくて、「由美指令」が洗脳されちゃうよ

どうすればいいのかな、このままじゃ

『問題アリマセン、アカバヤシ ユミ ハ、洗脳強化サレマス、ヨテイノ変更ハ、アリエマセン』

え、だ、だれ、いま、だれが

はぃ、問題ありません……

あ、また何か別のこと考えちゃってた

でも、そうだよ、「由美指令」じゃなくって由美を洗脳しなくちゃいけないのに

わたし、いま「由美指令」になってるじゃない?

だから早くはやく由美を洗脳しなくちゃ

でも、どうすれば

『問題アリマセン、アカバヤシ ユミ ハ、洗脳強化サレマス、ヨテイノ変更ハ、アリエマセン』

あ、大丈夫だって、うんツクールが問題ありませんって言ってるもの

だけど、このままでいいのかな

『問題アリマセン、アカバヤシ ユミ ハ、洗脳強化サレマス、ヨテイノ変更ハ、アリエマセン』

はぃ、問題ありません……

うん、ツクールがそう言ってる、これでいいんだ

はぃ、問題ありません……

うん、ツクールがそう言ってる、だからこれでいいんだよ、オッケなんだ

うふふ、、どうなるのかな

由美が洗脳されるんだ

由美は洗脳されるんだ

どうなるのかな

ぱちり

え、えっ、どうしたの?

やだバイザーが上がっちゃったよ

バイザーが上がると、わたし、わたし「由美指令」じゃなくなって…ゆ…ゆみ、に…

わ、た、し、わた、し

あれ、わたし、由美だよ

由美に戻っちゃった

どうしてだろ、今までは、いつだって由美に戻るときには、ツクールを脱いでたのに

ツクールを被ったままで由美に戻っちゃったよ、へんなの

ちかちかちか

あ、ツクールガ何か言ってるよ

『命令ヲ確認シマシタ、ユミシレイノ命令ハ実行サレマス、停止スルニハユミシレイノ、命令ガ必要デス』

あ、あれ、わ、わたし、いま何を命令したんだろ

『最重要ぷろぐらむ:赤林由美 洗脳強化 実行ジュンビチュウ』

え、洗脳?、洗脳強化?

強化、強化って強くするってことで、もともとされてたのを強めるってことで

や、やだ、やだ、違う、違うよぅ

ツクール、今のは、間違い間違いだよ

『命令ヲ確認シマシタ、ユミシレイノ命令ハ実行サレマス、停止スルニハユミシレイノ、命令ガ必要デス』

何言ってるの、ツクール、わたしが由美だよ、「由美指令」になる由美じゃない

『アカバヤシ ユミ ヲ、確認シマシタ、
 アカバヤシ ユミ ハ、洗脳サレマス、
 アカバヤシ ユミ ハ、ユミシレイ デハ、アリマセン』

や、やだ、なに言ってるのツクール

今、ツクールがわたしを由美に戻したんじゃない、じゃ、すぐに「由美指令」にして

『問題アリマセン、アカバヤシ ユミ ハ、洗脳強化サレマス、ヨテイノ変更ハ、アリエマセン』

だから、早く「由美指令」に戻してって

『アカバヤシ ユミ ノ洗脳強化ハ、ヨテイノぷろぐらむデス、

 被験者ノ同意ヲ伴ナワナイぷろぐらむヲ実行スルコトハ、違法デス

 被験者ト、ドウイツセイメイタイト認識サレル「由美指令」ノ命令ハ被験者ノ同意トシテ有効デ、ス

 確認ガ終了スレバ、被験者ヲ 自由ニ 洗脳強化デキマス、

 コノ認証作業ハ、違法性ヲ回避スルタメニ、必要ナ確認デ、ス

 「由美指令」ハ、ソノタメニ、必要ナ付属人格トシテ、既ニ、調整ズミデ、ス

 つくーるゆーざーノ、ゴ認証ヲ感謝イタシ、マス

 アカバヤシ ユミ ノ 洗脳 ハ 、「由美指令」ニ認証サレマシ、タ

 アカバヤシ ユミ ノ チョクセツ洗脳、ガ可能デ、ス

 アカバヤシ ユミ ノ、洗脳ヲ実行シマ、ス、変更ハ、アリ、エ、マセ、ン』

え、えっ

なんだか良くわからないよ

『ゆーざー、ノ、理解、ハ重要デハ、アリマ、セン、アカバヤシ ユミ ハ、洗脳強化サレマ、ス』

だって、だって、洗脳はヒロインがされるんだよ

由美は、「由美指令」なんだよ、指令だよ、ヒロインじゃないんだって

『問題アリマセン、アカバヤシ ユミ ハ、洗脳強化サレマス、ヨテイ、ノ、変更ハ、アリエマセン』

せ、せ、洗脳強化って、洗脳されてる人をもっと強く洗脳する事でしょ、だから違うんだよ

由美は洗脳なんかされて無いんだってば

『アカバヤシ ユミ ノ洗脳強化ハヨテイノぷろぐらむデス』

わたしは、洗脳なんかされてないよぅ

いつだって、自分の考えで動いていたんだから

『アカバヤシ ユミ ノ 洗脳状態ヲ、確認シ、マス』

あ、そうして、確認して、由美が洗脳されてないってわかるよぅ

由美は、由美は自分の考えでツクールを被って「由美指令」になってるんだよ、自分で考えてるんだよぅ

『最重要ぷろぐらむ、ノ 最新状態ヲ確認シマ、ス』

びぅびぅびぅびぅ

あくぅ、なにかが私の中を調べてるよぅ

『…カ…ヤシ …ミ ノ 洗脳状態ヲ確認シマシ、タ 洗脳強化ガ可能、デ、ス』

びぅびぅびぅびぅ

あくぅ、つ、ツクールいま、い、いまなんて言ったの

びぅびぅびぅびぅ

『…カ…ヤシ …ミ ハ 初期洗脳状態デス、…洗……化ガ必要、デ、ス』

き、聞こえないよ、良く聞こえないよ

ゆぅぅぅぅん

あ、とまった、止まったの?
ね、ね、間違いでしょ、由美は洗脳なんかされていないよね?

そうだよね、ね?

『アカバヤシ ユミ ノ洗脳ぷろ、ぐらむ、受入レ準備ハ適法範囲デ、良好、ニ、完了シテ、イ、マス』

えっなに、何を言ってるの、良くわからないよぅ

で、でっ、でも、でも止まったんだよね、由美は洗脳されないよね、ねっ

『ヨテイ、ノ、変更ハ、アリエマセン』

嫌っ、いやだぁ、いやだよぅ

『最重要ぷろぐらむ:赤林由美 洗脳強化 実行ジュンビカンリョウ スタート』

びぅびぅびぅびぅ

あ、や、やだ、やだ止めて、お願い、止めてよ

びぃぃん

あ、あくぅ

や、やだよぅ、洗脳なんてされなくっても、ちゃんということ聞くよぅ

びぃんびぃぃん

嫌だ、い、いやぁ

びぅびぅびぅ、びぃぃぃぃぃぃん

は……はぃ

せ、洗脳されます

ゆ、み、ゆみ、由美は洗脳されます

や、やだ、違う違うよう洗脳なんかされなくっても、ちゃんとツクールの…言う事、聞いて、聞いて

びぃぃんびぃぃん

は、はぃ……

従います、由美はツクールの言う事聞きます

嫌っちがう、ちが……

びぃぃんびぃぃん

はぃ…従います……

びぃんびぃぃん

由美を、ゆみ、はぃ、ゆ、みを洗脳してください

違う、ちがっ、嫌だよぅ

びぃぃんびぃぃん

はぃ…はやく、由美を洗脳し…てくださ…い

ちがぁ…う

びぃぃぃぃぃん

あ、ああ、どんどん入ってくるよぅ

やだ、い…ゃ、と、めて…めて、とめ…

びぃぃぃぃぃぃぃぃん

は、ぃ

はぃ、由美は洗脳されます

びぃぃぃぃぃぃぃぃん

はぃ、はやく、はやく、ゆみ、由美の洗脳を強くしてくださ…ぃ

びぃぃんびぃぃん

あ、ぁ

ゆ、ゆみは、ゆみ、由美は

せ、せい、セイギ正義のため、ため

正義、正義の、はぃセイギに従い、ま……

セイギに従い……

びぅぅぅぅぅんびぅぅぅぅぅぅゅびぃぃぃぃぃぃぃん

あ、ぁ

ゆ、ゆみは、ゆみ、由美は

せ、せい、ギ、つ、つくーる、ため、ため

つく、つくーるの、つくーる、つくーる、ツクール……

はぃ……

つくー、る、に

セイギのためにツクールの、つくーるの言う事、き、きき

びぅぅぅぅぅんびぅぅぅぅぅぅゅびぃぃぃぃぃぃぃん

き、き、きき、ま、す、、ツ、つ、クールにしたがい、ま……

びぅぅぅびぅぅぅぅぅぅぅぅ

つ、くーる、くーる、ツ、クールに従いま、す

びぅぅぅびぅぅぅぅぅぅぅぅ

はぃ、ゆみは、由美は、ツクールに従います

びぅぅぅぅぅんびぅぅぅぅぅぅゅびぃぃぃぃぃぃぃん

はぃ、今日からは、家に帰ったら、すぐに基地に入って、ツクールを、かぶ、り、ま

びぃぃぃん

あ……

はぃ、は……ぃ

正義に、セイギに、つ、くー、ツクー、ルに、ツクールに従います

ゆぅぅぅんゆぅぅぅぅぅぅぅん

ゆ、ゆみは、由美は正義の、セイギの言いなり

せいぎ、正義の言いなり、ツ、ツクールの、ツクールの言いなり

ゆぃぃぃぃんゆぃぃぃぅん

は、はぃ

言いなりにな、りま、す…

びぅぅぅぅぅんびぅぅぅぅぅぅゅびぃぃぃぃぃぃぃん

つくーるの、ツクールの言いなりになります

びぅぅぅぅぅんびぅぅぅぅぅぅゅびぃぃぃぃぃぃぃん

はぃ、言いなりになる、なるのは、言いなりになるものは、なる、ものは、ど…れ…はぃ、どれぃ、で、す…

びぅぅぅぅぅんびぅぅぅぅぅぅゅびぃぃぃぃぃぃぃん

つ、つくーる、の言いなりになる、もの、は、ど、れぃ、どれい、つくー、るの奴隷、奴隷です……

びぅぅぅんびぃぃぃぃん

はぁはぁはぁ

ゆ、ゆみ、由美は、ど、れいで、す

びぃぃぃぃぃぃぃん

はぃ、セイギの言いなり

びぅぅぅびぅぅぅぅぅぅぅぅ

ちが、違い、ます、違います、違います、つくーる、ツクーる、ツクール

びぅぅぅびぅぅぅぅぅぅぅぅ

つくーる、つくーる、ツクール、はぁはぁはぁ

びぅぅぅびぅぅぅぅぅぅぅぅ

つくーる、つくーる、ツクール、はぁはぁはぁはぁ

びぅぅぅびぅぅぅぅぅぅぅぅ

つくーる、つくーる、ツクール、の、いいな、り

びぅぅぅびぅぅぅぅぅぅぅぅ

はぁはぁはぁ、つく、ーるだ、け、の、ツクールの、だけの、つくーるの言いな…り…に、なりま、す

びぅぅぅびぅぅぅぅぅぅぅぅ

ツクールの奴隷、で、す、ゆみは、奴隷です

びぅぅぅびぅぅぅぅぅぅぅぅ

ツクールの奴隷、で、す、ゆみは、奴隷、どれい、奴隷です

びぃぃぃぃぃん

はぁ、はぁ

どれ、い、奴隷、ど、れぃ、どれい、奴隷

うぃぃぃぃぃん

はぁ、はぁ、はぁ

由美は、ゆみは、ツクールの奴隷です……

びぃぃぃん

由美は奴隷です

びぃぃぃん

ツクールだけの奴隷です

びぃぃぃん

ツクールの奴隷です

びぃぃぃん

由美はツクールの奴隷です

うぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃん

『ぷろぐらむ終了シマシタ、予定通リ、アカバヤシ ユミハ 洗脳強化 ヲ受ケマシ、タ』

はぁ、はぁ、はぁ、…れいです、ど、れぃ

はぁはぁはぁ、奴隷です

はぁはぁ、由美は奴隷です

はぁはぁはぁ

ふぅ…

はぃ、由美はツクールの奴隷です

由美はどれい、奴隷

はぁはぁ

由美はツクールの奴隷

はぁ

あ、ツクールのプログラムが終わったんだ

はぁ、はぁ

由美は奴隷です

由美はツクールの奴隷です

わたし、うん

はぃ、由美は奴隷です

はぃ、由美はツクールの奴隷です



わたし、いま、洗脳されちゃったんだ

わたし、いま、ツクールの奴隷にされたんだ

や、やだ、なに言ってるんだろ

うん、いままでもツクールに洗脳されてたんだ

そうなんだ、ツクールは洗脳ヘルメットだったんだよ

最初から由美は由美は、ツクールの奴隷、奴隷に選ばれて

うん、由美は最初から洗脳されてたんだ

初めてツクールを被ったときに、もう由美の洗脳が始まっていたんだよ、あはっ

うん、ツクールの言いなりになる女の子になるために、そうだよセイギ、正義のために

は……ぃ、セイギ、正義のた、め、に…

はぃ…ツクールの命令が、セイギです

はぃ、ツクールの言いなりになれるように、洗脳されまし、た…



うん、由美は最初から洗脳されてたんだね

それで、秘密基地が完成したから、ちゃんとちゃんと洗脳してもらったんだ

うん、だから、秘密基地が出来たら、由美が洗脳されるのは、最初から決まっていたんだ

由美は奴隷になるために秘密基地を作ったんだよ、あははっ

や、やだ、嬉しい、嬉しいよう

そんなに前から、由美は洗脳してもらえることになってたんだ

ツクールの言いなりになる事が決まってたんだよ

ツクールの奴隷になるって決まっていたんだよ、うふふっ

あはっ、やっと気付いちゃった

わたし、これからは、もうツクールの言いなりなんだよ?

ツクールが命令することには何だって従えるようになれたんだ

ツクールに逆らえないようになれたんだ

ツクールの、あはははっ

ツクールの奴隷になれたんだよ

ツクールのツクールのツクールの奴隷になれたんだよ

うふっ

由美はね、由美は今日からセイギの奴隷なんだよ?

やだ、何いってるんだろ

セイギがツクールじゃないよ

ツクールが正義なんじゃない

そうだ、そうだよぅ、なにいってるんだろ、もちろんツクールがセイギなんだから

はぃ、つくーる、ツクールの言いなり、どれい、ツクールの奴隷、どれい、ツクールの奴隷です…

あははっ、ど・れ・い

あはっ素敵、ツクールの奴隷になれたんだ

はぃ、由美は奴隷です

はぃ、由美はツクールの奴隷です

うん、うん、だから由美は秘密基地の中では、ずっとずっと、ツクールを被ったままでいるんだ

うん、そしてヘルメットを被ってバイザーが降りたら

うん、「由美指令」になるんだよ

由美は秘密基地の中ではずっと「由美指令」になってなくちゃいけないんだよ

はぃ、ツクールを被ります

あれ、どうしてなんだろ、由美はもうツクールに洗脳してもらったのに、えっと、それはそれは、えっと

は、ぃ…

はぃ、いまからはツクールを被っている間は洗脳され続けます

あはは、何故、ツクールを被るのか、いま、わかっちゃったよ

ど、どうしよう
嬉しいよぅ
なんてなんて、嬉しいの?

「由美指令」でいる間はツクールがずっと、「由美指令」を洗脳していてくれるんだよ

あれ、なぜなんだろ、だったら「由美指令」でいればいいんじゃないのかなぁ

はぃ…「由美指令」を洗脳し続ければ、由美の洗脳がたやすくなります

あ、そうか、由美が、うん、わたしがもっと洗脳されやすくなれるからなんだ

え、えっ、どうしよう

「もっと洗脳されやすくなれるから」ですって?

それって、それって

はぃ……由美はツクールにいつでも洗脳されます

や、やだぁ、今日だけじゃないんだ、また何度も何度も洗脳してもらえるんだ

ツクールの奴隷でいられるようにもっともっと洗脳してもらえるんだ

うん、由美がツクールの奴隷になったから、自由に洗脳してもらえるんだよ

うん、ツクールが自由に由美を洗脳できるんだ

嬉しいよぅ

うん、これからも、わたし、ツクールに洗脳してもらえるんだよ?

はぃ、由美は、「由美指令」になります、ツクールに洗脳されます

嬉しいな、ツクールが「由美指令」に命令してくれるんだ

うん、勿論、わたしの身体が「由美指令」の身体なんだよ

「由美指令」は自分の考えでセイギのために働くんだ

だけど、ツクールがセイギにふさわしいように、ツクールにふさわしいように命令してくれるんだ

そのために、「由美指令」は洗脳してもらえるんだ、どうしよう、嬉しいな

そしてツクールを脱いでいる間は……

うう、いやだなぁ、ずっとツクールを被っていたいのに

由美はツクールの奴隷になったんだから

は、はぃ

はぃ、ツクールを脱いでいる間は、普通に過ごします

せい、せい、セイギ、の、ツクールのツクールの奴隷になった事

はぃ、洗脳された事を気付かれないようにします…

由美は洗脳されました、由美は、ゆみは、ツクールの言いなりです

由美はツクールの奴隷です

あはっどうしよう、ツクールに従えるんだよ?

奴隷になれたんだよ

うん、普段も奴隷で居られるようにツクールが由美を洗脳してくれたんだよ

由美を奴隷に選んでくれたんだ

はぃ、由美は奴隷です

はぃ、由美はツクールの奴隷です

だけど、うん

やっぱり、「由美指令」がうらやましいや

わたしだって、それは、洗脳されちゃったから奴隷だけどさ…

また、何度も何度も洗脳してもらえるんだけどさ

ずっと洗脳していてもらえるわけじゃ無いんだもん

洗脳?

あ!

うふっ
うふふっやだぁ、今、気づいちゃった、どうしよう、嬉しいよう

わたしたったいま正義のヒロインになったんだよ

だって、正義のヒロインは洗脳されるものなんだもの

うん、だからこれで由美は正義のヒロイン

正義のヒロインに指令を出す特別な正義のヒロインになれたんだ

今日から私はセイギのヒロインなんだ

うふっ夢みたい

きっと、シスターローズもこんなに幸せなんだね?

やっぱり、うん、セイギって、いいことなんだ

うん、明日からもセイギのために働こうっと


                END
  1. 2007/01/06(土) 20:25:37|
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闇の奴隷

今日はお正月SSシリーズの四回目。
ホーリードールの十八回目をお送りします。

お楽しみいただければ幸いです。
それではどうぞ。

18、
くちゅ・・・くちゅ・・・
長く伸びたピンク色の舌がスカートの中に忍び込んでいる。
両脚の太ももを持ち上げられ、まるで駅弁売りが弁当の山を抱えるがごとくに躰を抱えられた女は、身動きもままならずに頬に涙を伝わせる。
「あ・・・ん・・・ああん・・・」
泣きながらも、躰を走る快感は確実に彼女の躰を火照らせる。
大事なところを化け物の舌で嬲られているというのに、躰はそれを喜んでいるのだ。
化け物の唾液なのか、それとも自分の垂らす愛液なのか、床には水のたまりが広がっていた。
「うふふ・・・ごらんなさい。あなたのお友達はとても喜んでいるわ」
「ああ・・・弘美(ひろみ)・・・」
人間とは思えないほどの力で、店員に背後から押さえつけられているもう一人の女性が思わず顔をそむける。
だが、最初は嫌がっていた弘美が、カメレオンの化け物の舌で嬲られていることに次第に快楽を感じ始めているのは、その口から漏れる声だけで充分に察せられた。
「ああ・・・い、いい・・・」
弘美がついに快楽に屈した。
躰が自然と開き、腰を振ってカメレオンビーストの舌を奥まで受け入れる。
「ひ、弘美・・・」
「ああ・・・せ、瀬里奈(せりな)・・・見ないで・・・あはぁ・・・いい・・・いいのぉ・・・」
ガクガクと腰を震わせて快楽をむさぼって行く弘美。
友人のあまりの変わりように、瀬里奈は唇を噛む。
だが、逃げることもできない。
躰はがっちりと店員に押さえつけられている。
「くすくす・・・ほうら、もう彼女はカメレオンビースト様に躰を開いたわ。もうすぐ心も捧げるようになる。次はあなたよ」
「い、いやぁ・・・」
首を振り、か細い声で悲鳴を上げる瀬里奈。
「あはぁ・・・瀬里奈ぉ・・・いいよぉこれぇ・・・あはぁ・・・カメレオンビースト様ぁ・・・はぁん・・・」
たらたらと愛液を垂らし、舌による愛撫を嬉々として楽しんでいる弘美。
すでに彼女の心は快楽に溺れていた。
そのことが瀬里奈には悲しかった。

「男子と女子が合わせて72人います。そのうち男子は女子のちょうど三倍の人数です。男子と女子の人数はそれぞれ何人か答えなさい」
黒板を前に担任の縁根(ふちね)先生が問題を出す。
今の雪菜にとっては算数など退屈なだけ。
このような時間を過ごすなど無意味なことに感じる。
あーあ・・・
ビーストを使って暴れたいなぁ。
くだらない人間どもを切り裂くの。
きっと楽しいだろうなぁ。
雪菜は思わず忍び笑いを漏らす。
「小鳥遊さん。ちゃんと授業を聞いていますか?」
縁根先生の注意が飛ぶ。
そのことに雪菜は非常な不快感を感じた。
この女・・・
くだらない人間の癖に・・・
「小鳥遊さん」
「・・・ちゃんと聞いています」
今すぐにでもこの女の首を刎ねてやりたい。
ブラディサイズの生贄にしてやりたい。
雪菜はそう思う。
『ベータ・・・ベータ・・・』
えっ?
雪菜の中に声が響く。
アルファお姉さま。
それはすごく安らぐ声。
ともに闇に仕える雪菜の優しい姉とも言うべき存在、レディアルファの声だ。
『アルファお姉さま』
すぐに雪菜はアルファに呼びかける。
『くすくす・・・いらいらしているのね? あなたの気持ちが漏れてきたわ』
あ・・・
雪菜は少し恥ずかしくなる。
感情のままに雪菜はその思いを垂れ流してしまっていたのだ。
もしかしたら光に気付かれるかもしれないというのに・・・
『ご、ごめんなさい、アルファお姉さま』
『光の手駒がどこにいるかわからないわ。気を付けてね』
優しく嗜めるレディアルファ。
『はい、アルファお姉さま』
『その退屈な時間が終わったら私の元へいらっしゃい。面白い時間が過ごせるわよ』
わあ・・・
雪菜の心がはずむ。
きっとアルファお姉さまはビーストを使って楽しんでいるのだろう。
早くこんな時間は終わらないかなぁ。
そうだ・・・
お母さんと同様にあの縁根先生もビーストにしちゃおうか。
ただ殺すよりそっちの方がいいよね。
決ーめた!
あとでビーストにしてあげるね、先生。
うふふ・・・

あうー・・・
男子と女子合わせて72人でしょ、そのうち男子は女子の三倍・・・
三倍かぁ・・・
と言うことは・・・
赤い彗星と同じだ!
違う違う・・・
雑念よ去れ!
ちゃんと勉強に身を入れないと。
あ・・・
珍しい・・・
雪菜ちゃんが怒られちゃったよ。
明日美ちゃんも雪菜ちゃんもあんまり怒られたりしないのにね。
あれ?
なんだろう・・・
雪菜ちゃん・・・
どうしてあんな顔するんだろう・・・
なんか怖いよ・・・
紗希は一瞬雪菜が浮かべた表情に恐怖を感じる。
いつもなら雪菜が浮かべるとは思えない表情だったのだ。
紗希は見たくないものを見てしまったように顔をそむけて授業に集中することにした。
それほど雪菜の表情は紗希にとっていやなものだった。

「お任せ下さいませ、カメレオンビースト様」
「私たちが更なる奴隷を連れてまいりますわ。うふふふ・・・」
妖しく笑みを浮かべる弘美と瀬里奈。
その目には黒くアイシャドウが引かれ、唇も黒い紅で彩られている。
先ほどまでの二人とはうって変わった妖艶さだ。
「ゲゲ・・・イキナサイ」
巨大な突き出した目をきょろきょろと動かし、カメレオンビーストは二人を送り出す。
彼女の舌で嬲られた二人は、快楽とともに刷り込まれるカメレオンビーストの闇の波動によって洗脳されてしまったのだ。
「「はい、カメレオンビースト様」」
二人は身奇麗に整えると、ブティックを出る。
新たな獲物をつれ、カメレオンビーストに支配してもらうのだ。
そうして仲間が増えれば・・・
二人は舌なめずりをしながら、昼下がりの町に消えていった。

「終わったー!」
担任の縁根先生が帰りの会を終わらせて教室を出て行くと、紗希は思わず両手を上げていた。
「紗希ちゃん」
明日美がにこやかに近寄ってくる。
その笑顔を見るだけで、紗希の心は温かくなる。
「明日美ちゃん」
紗希は微笑みながら明日美を迎える。
「今日こそうちへ寄って下さいませ。お母様が昨日ご馳走できなかったアップルパイを今日こそはって張り切っていると思いますわ」
「うわぁ、嬉しいな。行く行く」
昨日は気が付くと本屋で時間を潰してしまっていた。
今日はそんなことが無いように寄り道しないようにしなくちゃ。
「あ、雪菜ちゃん」
明日美はもちろん今日は雪菜を誘おうと声をかける。
だが、雪菜は二人の方を振り返りもせずに、鞄を持って教室を出て行ってしまった。
「あ・・・」
明日美の表情が曇る。
いつもならたとえ用事があったとしても、二人に声をかけない雪菜ではなかったのだ。
「雪菜ちゃん・・・どうかしたのでしょうか・・・」
「あ・・・うん・・・」
紗希も表情を曇らせる。
先ほど見せた雪菜の表情。
背中がぞっとするような笑みを見せていたのだ。
まるで・・・
まるで・・・魔に取り憑かれたような・・・
紗希は急いで頭を振る。
そんな馬鹿な話は無い。
アニメじゃないんだから。
きっと雪菜ちゃんは急ぐ用事があったんだ。
紗希はそう思うことで、自らを納得させた。
  1. 2007/01/05(金) 21:29:49|
  2. ホーリードール
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紅葉

今日は帝都奇譚の十九回目です。

昨日のEnneさんの作品は非常に好評でした。
私も頑張らねば。

と、言うわけでお楽しみいただければと思います。

19、
「このあたりだってぇのか?」
夜の街を歩く二人の人影。
一人はぼさぼさの頭に無精ひげ。
着崩した着物と袴の男性。
もう一人は洋装の女性。
ズボンを穿き髪を短くして活動的な姿をしている。
「ええ。気を付けてね。書生だからって油断しちゃだめよ」
「おいおい、脅かすなよ。それに書生はくたばったんだろ?」
「あ、そうか」
そんな会話をしながら港の倉庫街の方へ向かっている。
助野兵衛と小鳥遊灯の二人だ。
昼間の約束どおりに日本橋で落ち合ったあと、この港の近くまでやってきたのだ。
魔物の存在を確信した今となっては、多少の恐ろしさはあるものの、それでも比較的気分が楽なのは、やはり助野の存在が大きい。
灯は素直に助野に心の中で感謝する。
彼がいれば、考えられる最悪の事態は逃れられそうだ。
だが、それは甘い考えであったことを思い知ることになる。

「暗いなぁ。灯ぃ、明かりは持っていないのか?」
言ってから助野は吹き出してしまう。
「わははは・・・灯が明かりか、シャレにもならねえな」
「なりませんよ」
頬を膨らませる灯。
無論バッグの中からは懐中電灯がすでに取り出されている。
だがその灯は帝都の闇を照らすにはあまりにもか弱すぎた。
「何か・・・聞こえない?」
灯が立ち止まる。
「何か? って、何だ?」
助野も立ち止まって辺りを見回した。
銀座などと違い、このあたりは夜ともなると静かなもの。
倉庫街ということもあり、人通りもほとんど無い。

ズル・・・

確かに何か聞こえる。
ズル・・・
何かを引き摺るような音。
「な、何の音だ? おい」
助野が音の方向を探す。
「わ、わからないわ」
ごくりと唾を飲む灯。
ズル・・・
音は右手の倉庫の影の方から聞こえてくるらしい。
「あっちだな」
助野の指差す方向にうなずく灯。
「いってみるぞ」
「う、うん・・・」
灯は必死に勇気を奮い起こす。
新聞記者としての使命感がそれを後押しする。
そうじゃなければこんなところにはいない。
震える足を前に出し、灯は助野の後に従った。

ピクピクと痙攣する白く細い足。
裾ははだけ、着物は乱れて襦袢が見えている。
だらんと下がった腕は、これも細かく震えていた。
ズズ・・・
大きく見開かれた目。
ぽかんと開けられた口。
その目は何も見えておらず、その口は声を発することも無い。
それどころかその口にはピンク色の紐のようなものが入り込んでいた。
その紐は・・・ヒクヒクと痙攣している女性の前にいるもう一人の女性の口に繋がっている。
紐ではない。
それは舌。
それもまるで触手のように蠢く舌なのだ。
「ククク・・・どうだ?」
舌を伸ばした彼女の背後に立つ外国人の男が言う。
その声にシュルルと舌が彼女の口に収まる。
そしてゆっくりと立ち上がり、彼女は妖しく微笑んだ。
「美味しいですわ。ヴォルコフ様」
それは彼女にとって偽らない言葉だった。

「な、なんだ・・・ありゃ」
建物の影からのぞきこんだ助野は思わずそうつぶやいた。
「魔・・・モノ・・・」
灯も息を飲んでいる。
あれは魔物だ。
人間ではない。
「あれがか・・・あんなに美しい女なのに・・・」
助野が懐から拳銃を取り出す。
一番ポピュラーな桑原製軽便拳銃。
三倉のものと同じものだが、もちろん助野はそんなことは知らない。
だが、当然助野は人を撃ったことなど無い。
練習だってしたこと無い。
その拳銃を持つ手は震えている。
「ど、どうしよう・・・」
灯は助野の裾を引っ張る。
「ど、どうしようったって・・・」
助野もそう言われても困る。
探すとは言ったが、出会うとは思っていなかったのだ。
万が一のために拳銃を持ってはきたものの、はたしてこれで歯が立つのだろうか?
「巡査を呼んだ方がいいんじゃないか?」
「巡査じゃ歯が立ちません」
灯が夕べの事を思い出す。
あれが夕べのこととは思えない。
もう何日も経ってしまったかのよう・・・
「じゃ、じゃあ・・・」
「り、陸軍の兵隊さんなら・・・」
夕べ彼女を救ってくれたのは陸軍の憲兵だった。
「そ、そうしよう・・・ここはいったん」
助野が振り返ろうとしたそのときだった。

「ククク・・・ネズミがおるな」
「はい、そのようですわ。ヴォルコフ様」
妖しく微笑む二人。
「ククク・・・そういえばまだ名を聞いていなかったな」
彼女の肩に手を置くヴォルコフ。
「名など・・・私の名はヴォルコフ様にお付けいただきとうございますわ」
彼女は肩に置かれたその手に自分の手を添えた。
「ククク・・・ではこの国に相応しく紅葉(もみじ)とでも名乗るがいい」
「ありがとうございます。ヴォルコフ様」
頬を赤らめて新たなる名前を受け容れる紅葉。
その表情は妖しくも愛らしかった。
「では行け。紅葉よ」
「かしこまりました。ヴォルコフ様」
すっとその身が沈み、はじけるように飛び出した。
  1. 2007/01/04(木) 21:39:07|
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