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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

太っちょ

今日は少しだけですがボトムズを投下しますね~。

よろしければどうぞー。

4、
猛烈に吹きすさぶ雪嵐。
低気圧が接近しているのだ。
この状態なら軍用列車への接近も容易だろう。
それにしても・・・
複雑な気持ちは否めない。
てっきりクメンあたりでビーラーゲリラとでも戦うものだと思っていた。
こんな寒風吹きすさぶ惑星に来るとは思っていなかった。
甘いと言えばそれまでだが、八百長だらけのバトリングを抜け出せればそれでよかったのだ。

「物思いにふけているようですね。そろそろ出撃の準備が必要では? アイスブルーアルティア」
窓外を見ていた私の背後から声がかかる。
「シフォン・・・」
振り返った私の前にはシフォン・ドゥーリッチが立っていた。
こげ茶色の長い髪が赤いパイロットスーツによく映える。
鳶色の瞳が近づきがたい雰囲気の光を湛えていた。
「何を見ていたんですか? 外はただの白一色だと思いますが。ふふ・・・それとも、出撃前の余裕を見せているのかしら」
何?
彼女はどうやら私に敵意を持っているようだわ。
なぜかはしらないけど。
「余裕なんてないわ。ただ、気象状況を見ていただけ。それにアルティアで構わない。アイスブルーなんてつける必要ないわ」
「そうですか、アイスブルー。お邪魔したようですね」
にやりと笑ってわざとらしくアイスブルーと私を呼ぶ。
「けんかを売るつもりならいつでも買うわよ」
私は静かにそう言った。
彼女の真意はわからないが、不愉快なことには違いない。
「ふふ・・・」
挑むように私を見るシフォン。
私は黙ってこぶしを握る。

「何やってんだ? お前ら」
ラートルの野太い声が私たちをさえぎる。
「ふっ、いいえ、特に何も」
薄く笑みを浮かべシフォンは背を向ける。
私も気が抜けたように握ったこぶしを開く。
「ちょっと話をしていただけです。アイスブルーとね」
「へっ、女同士で話なんぞしなくても、可愛がって欲しけりゃいつでもいいな」
ラートルの下卑た笑いが広がる。
「ふふ・・・そのうちに・・・」
シフォンはそう言って立ち去った。
「なーんだ、ありゃあ?」
「さあ・・・」
私はそう答えるだけだった。

コンテナの周囲に人が取り付いている。
ATの出撃準備が始まったのだ。
もちろん私たちパイロットは、それぞれ割り当てられた機体のところへ行って整備兵たちと一緒に機体を出す。
考えてみればムチャな話だわ。
ここへ来てわずか数日。
割り当てられるATも今始めて見せられるのだ。
スコープドッグぐらいしか考えられないけど、違っていたら乗りこなすのも大変だわ。
一緒に行くパイロットたちとも共同訓練などしたこともない。
それで襲撃行動など、通常の兵士では考えられないだろう。
でも、傭兵とはそんなもの。
即実戦で役に立たなければ意味がない。
どんな状況でも戦って見せるだけ。
私は目の前でコンテナが開くところを見つめていた。

「こ、これは・・・」
私は唖然としていた。
髪の毛に纏わりつく細かい雪。
芯まで冷えるような冷たい風。
そんな中、コンテナから出てきた白いATに私は情けなくも驚きを受けていたのだ。
カムフラージュ用の白い塗装。
だが、私はこれ以外の塗装でしかこの機体を見たことはない。
バララントグリーン。
その特異な緑色は我がギルガメスにとっては疫病神だ。
目の前の機体。
それはファッティーと呼ばれている機体だった。
  1. 2006/10/31(火) 21:10:26|
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殿中でござる

元禄十四年(1701年)三月十四日。
江戸城において、とんでもない事件が起きました。

江戸幕府が送った年始祝賀の答礼として朝廷より勅使ならびに院使が派遣されてきていた江戸城内において、勅使馳走役の浅野内匠頭長矩(あさのたくみのかみながのり)が、高家吉良上野介義央(きらこうずけのすけよしひさ)に切りつける刃傷事件が起きたのです。

場所は江戸城松の廊下。

その日、たまたま大奥の御台所から勅使に対して渡される品物と口上を述べる役目を承った人物が、打ち合わせのために松の廊下を歩いていました。

梶川与惣兵衛頼照(かじかわよそべえよりてる)。
江戸城詰の幕府旗本で、700石の所領を与えられておりました。

打ち合わせの当人である吉良上野介は老中と話中だったため、先に浅野内匠頭との打ち合わせを済ませた梶川与惣兵衛は、白書院の間から吉良上野介が出てきたので、彼のもとに行きます。

吉良上野介との会話をしていると、突然怒鳴り声が上がりました。

「この間の遺恨、覚えたるか!」

その声に吉良上野介が振り向いた時、浅野内匠頭の短刀が振り下ろされ、吉良上野介は眉間を切られました。

さらに逃げようとした吉良上野介を浅野内匠頭が背中から切りつけたのを見た梶川与惣兵衛は、必死になって浅野内匠頭の背中から取り押さえようとします。

「浅野殿、殿中でござる、殿中でござるぞ!」
そう言って浅野内匠頭にしがみついた梶川与惣兵衛に対し、浅野内匠頭は武士の情けを訴えます。

しかし、浅野内匠頭は取り押さえられ、吉良上野介を討ち果たすことはできませんでした。

浅野内匠頭は即日切腹。
吉良上野介にはお咎めなし。

この一方的な沙汰が後に再び事件を呼び起こすのですが、梶川与惣兵衛は浅野内匠頭を取り押さえた功により五百石の加増となりました。

後の討ち入り以後、浅野内匠頭同情論に押され、すっかり嫌われてしまったそうですが、あの場に立ち合わせたら誰もが止めちゃいますよね。

しかし、あの場に立ち合わせたことで、こうやって三百年後にも名前が伝わるというのはすごいことです。
本人はどう思っているのでしょうね。

それではまた。
  1. 2006/10/30(月) 22:48:51|
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橙武者

薄田隼人正兼相(すすきだはやとのしょうかねすけ)。
大坂の陣の参戦武将の一人です。

大坂方の武将の一人として、冬の陣及び夏の陣に参戦するのですが、その前半生は不詳。

一説によると、岩見重太郎という名前でヒヒ退治をしたと言うことなのですが、ホントかどうかなんとも言えませんね。

豊臣秀頼に三千石ほどで召抱えられ、以後豊臣家家臣として行動。
徳川との軋轢に対しては主戦派として強硬姿勢を見せています。

ご存知の通り、方広寺の鍾銘事件により、大坂と関東の戦いは避けられなくなります。

薄田兼相は大坂冬の陣において、博労淵砦(ばくろうがふちとりで)の守備に当たることになります。

守備兵700ほどとともに砦に入った薄田兼相はそのまま東軍と対峙。
しかし、攻撃はまだと見たのか、彼はミスを犯します。

なんと、女郎屋に女を買いに行ってしまうのです。

11月29日、東軍蜂須賀と石川の軍勢約五千が博労淵砦を襲撃。
守備隊長不在の守備隊は砦を守備することができずに後退してしまいます。

薄田兼相が気が付いた時にはすでに遅く、砦は東軍に奪われます。

この失態により、薄田兼相は味方から「橙武者(だいだいむしゃ)」と言うあだ名を付けられてしまいました。

橙は形も色も立派だが、味が悪くて飾り物にしかならない。
そういう意味なのです。

結局、冬の陣では汚名返上をすることができず、薄田兼相は夏の陣に死に場所を求めます。

夏の陣では道明寺の戦いにおいて、後藤又兵衛隊に続いて東軍と激突。
壮烈な討ち死にを遂げます。

橙武者の汚名を充分に雪ぐことのできた戦いだったということでした。

それではまた。
  1. 2006/10/29(日) 22:40:49|
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破魔の短剣

昨日に続いて帝都奇譚です。

よろしければドゾー。

15、
躰が自由に動かせない。
何にも増してこれは恐怖だ。
手をつかまれてただ連れて行かれるだけ。
いっそのこと意識を失ってでも居たのならまだましだろう。
叫ぶことさえできはしない。
巡査を呼べばいいと言われ、周囲の人は黙って彼女を通してしまった。
宮内省の職員?
それがいったいなんだというの。
私は会わなければならない人が待っているのよ。
危険な状態?
これ以上の危険な状態など考えられないわ。
そう思うだけで雛華は黙ってついていくしかない。
細い小道に連れ込まれ、人々の喧騒が遠ざかる。
これから何が待ち構えるのか・・・
雛華は背筋に冷たいものが走るのを感じていた。

「詳しく話もせずに連れて来てすみません」
月子は連れて来た雛華を前にして頭を下げた。
だが、詳しく話したところで結果は同じだっただろう。
相手は魔に取り憑かれていることなど否定し、彼女はやはり札を使うことになっただろうから。
ただ、これから先は違う。
ここできちんと説明するのは相手に対しても必要なこと。
しっかりと状況を認識してもらえば、それだけ魔も祓いやすくなる。
「あなたの躰は今は自由にはなりません。私が封じているからです。声も出せません。お判りですね?」
建物の壁を背にした目の前のメガネの女性がコクコクとうなずく。
洋装にメガネといい、彼女はなかなか先進的な女性のようだ。
それだけに魔に付け狙われることになったのかもしれない。
「私は宮内省に籍を置く退魔師。破妖月子と申します。あなたのように魔に取り憑かれている方を見過ごすわけには参りません。これから、あなたの魔を祓います。いいですね」
目の前の女性の目が見開かれる。
やはり気がついては居なかった。
それはそうだろう。
魔に取り憑かれていることを自覚できる人間などまずいない。
月子は構わずに魔を祓う準備を始める。
札を取り出して呪を唱え、そのまま足元に落とす。
札は落ちると同時に燐光を発し、一瞬周囲を青白く染め上げた。
燐光が消え去った後、小路の左右を確認する月子。
たまたま用事があったのか、それとも近道をするつもりだったのか、男が小路に入ろうとする。
だが、男は小路の手前で向きを変え、小路に入らずにそのまま通りを進んでいった。
結界は問題ないわね。
月子は結果に満足する。

宮内省の退魔師?
魔に取り憑かれている?
雛華にとってはわからないことだらけだ。
魔を祓うなどといわれても素直に応じられるはずもない。
だが、躰が動かせない以上まな板の上の鯉なのだ。
どうすることもできはしない。
助けて・・・
誰か助けて・・・

江渡時代の鎖国はいい面も悪い面もこの国にもたらした。
悪い面としては近代化が遅れ、富国強兵を合言葉に無理やり近代化を図らなければならなくなったことだろう。
その歪みが西南戦争であり、日清戦争であり、日露戦争だったのだ。
一方いい面はといえば、独自の文化が今も受け継がれていることと、欧州の魔物が入りづらかったということだろう。
江渡期には西洋の魔物についてはまったく考慮する必要が無かったのだ。
しかし、世の中は明次維新後ガラッと変わった。
外国人が入り込み、それとともに外国の文化や技術、外国の魔物が入り込むようになったのだ。
退魔師はそれに対処するために欧米の魔物についての知識を身につける必要に迫られた。
もちろん、月子も破妖一族の人間として身につけている。

吸血鬼と呼ばれる存在。
その中にはさまざまなバリエーションがあるが、ヴォルコフはその中のひとつだろう。
そのヴォルコフによってもたらされた災厄が彼女に取り憑いているのだ。
吸血鬼は仲間を増やすことができる厄介な代物。
放っておけば彼女もまた吸血鬼と化す。
捨て置くことができないのはそういうわけだ。
肉体の穢れを取り去り、魔の力を祓い去る。
そのための手立てを講じるのだ。
月子はまた札を取り出すと、目をつぶり印を組んで呪を込める。
そして、その札を口にくわえ、懐から呪術用の短剣を取り出す。
その鈍い輝きに目の前の女性は、恐れを抱くようにかすかに震えた。
人間としての刃物に対する恐怖と、魔の存在としての聖なる物に対する恐れ。
二重の恐れが彼女を包み込んでいるのだろう。
「動かないで」
月子はくわえた札を左手に取ると、それを目の前の女性の左胸に当てる。
ピクッと女性の躰が震えるのがわかる。
月子は呪を唱え、右手の短剣に念を込める。
そして、月子は短剣を札の上から彼女の胸に突き刺した。
  1. 2006/10/28(土) 21:54:57|
  2. 帝都奇譚
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気配を感じた

今日は少しですけど帝都奇譚をアップしますねー。

前回の選択肢では1を回答された方が二人ほどおりましたので、1番の「何か気配が・・・」に続きます。

よかったらお楽しみ下さいませー。

14、
「これは? 何か気配が・・・?」
月子は周囲に注意を払う。
何かが・・・
そう、間の気配とも言うべきものが月子の身に感じられたのだ。
「何か・・・居る・・・」
月子は鋭い視線を周囲に注ぎ、気配の元を探ろうとした。
市電や人力車が走り、家路を急ぐ人々の群れ。
そんな中に感じたわずかな気配。
破妖家の中でも抜群といわれた月子だからこそ感じ取れたのかもしれない。
「どこ?」
左右を見る。
人々のざわめき。
交通整理をしている巡査の姿。
何も変わったことは無い。
早足で駆けていく女性。
えっ?
あれは・・・何?
彼女の周囲に立ち昇るどす黒い闇。
魔の気配だわ・・・
月子はすぐに彼女を追う。
メガネをかけたスマートな女性。
美しく知的な雰囲気を漂わせている。
でも・・・
あの魔の闇はどういうこと?
彼女は・・・
月子は指輪に付けられた水晶を覗き込む。
小さな水晶だが、間の存在を確認するには充分だ。
違う・・・
魔物じゃない・・・
けど、取り憑かれているわ。
払わなきゃ・・・
あのままじゃ彼女自身が魔になってしまう。
月子はバッグの中から破魔の札を取り出した。

夕方も遅い時刻。
家路を急ぐ人の群れ。
それはこの市電の中も同様だった。
神田から浅草を経て錦糸町方面へ向かう路面電車。
いつものように帰りの人ごみにまぎれて家路についていた彼女は、さっきから何も考えられなくなっていた。
デパートのマネキンガールという憧れの職業に就き、日々まじめに勤めていた彼女だったが、先ほど見かけた外国の紳士に見つめられてからは、頭の中に霞がかかったようになっていたのだ。
私・・・何をしているんだろう・・・
家に帰らなきゃならないのに・・・
お父さんもお母さんも待っているのに・・・
門限はきちんと守るってことでデパートの勤めるの許してくれたのに・・・
そんなことが一瞬頭をよぎる。
しかし、次の瞬間にはそんなことはどうでもよくなっているのだ。
彼女はただ目の前の背の高い外国人に従い、彼の後についていくことしかできなかった。

銀座の方へ向かっている早足の女性。
頬が上気しているのは早足のためだけではあるまい。
信号で追いついた月子は少し様子を窺う。
間違いない。
彼女は魔に取り憑かれている。
放っておくわけにはいかない。
どうする・・・
こんな街中では・・・
月子は周囲を窺った。
ビルとビルとの間に細い小路がある。
あそこがいいわね・・・
月子は一人うなずくと気を引き締める。
「ちょっと、あなた」
メガネをかけた女性に声をかける月子。
「?」
いきなり声をかけられて、彼女は驚いた。
「手間は取らせないわ。ちょっとこちらへ来なさい」
有無を言わせぬ威圧感で相手を圧倒する。
魔に取り憑かれている相手には細かい話は無用だ。
黙って従わせるに限るのだ。

「な、なんですか、あなたは? 私は急いでいるんです」
月子に背を向け、その場を去ろうとする白鳳雛華。
今しも彼女は三倉に会いに行くところだったのだ。
それなのにいきなり声をかけられたことで、彼女は気分を害していた。
「あなたは今危険な状態なのよ。わからないの?」
黒髪を後ろで束ねた凛々しい女性はそんなことを言うものの、雛華には何が危険なのかわからない。
いや、心の奥底ではわかっているのだ。
これから会う三倉という男こそ危険であることが。
だが、雛華は会うのをやめられない。
三倉に会いたいのだ。
たとえ、それが火に飛び込む蛾のようなものであっても。
「変なことを言わないで。失礼します」
雛華は強引に立ち去ろうとした。
周りの人々も、二人の女性の様子に奇妙なものを感じている。
こんなところで関わって居たくはない。

わかってはいたものの、月子はこの状況に歯噛みする。
見過ごしにはできないが、かといって強制的に彼女を連れ込むわけにも行かない。
やむを得ないわね。
月子は札を一枚取り出すと、印を組んで呪を唱える。
「ハッ!」
そして、その札を去ろうとするめがねの女性に投げつけた。
札は女性に触れる直前で光となり、そのまま彼女の躰に纏わり付く。
「ひあっ」
女性は突然、躰が動かなくなって立ち尽くす。
「ごめんなさい。そのまま行かせるわけにはいかないのよ」
月子はそう言って女性に近づいた。

「ちょっとあんた、何をやっているんだい?」
周囲の人々が不審に思い、その中の一人が声をかけてくる。
札の効果はわからないだろうが、彼女が何かしたのはわかるだろう。
往来の只中で行なったのだからなおさらだ。
「私は宮内省の職員です。職務により彼女を拘束しました。お疑いなら巡査でも呼べばよろしい」
我ながら情けない。
本来ならば闇に姿を隠すのが我らの仕事。
だというのに・・・
だが、ままならないのはこの世の常。
彼女を連れて立ち去るとしよう。
月子はそう一人思い、身動きのできなくなっている女性の手を引いて歩き出す。
札の効果は彼女の自律行動を封じるもの。
コントロールしてやればついて来させることなどたやすい。
あっけにとられている人々をよそに、月子と雛華は小路に消えていった。
  1. 2006/10/27(金) 22:23:05|
  2. 帝都奇譚
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泣いていましたね

決まりました。
北海道日本ハムファイターズ、日本一です!!

新庄の最後の花道を飾ることができました。
すごいですよね。

これほどまでに最後を盛り上げることができる選手がどれだけ居るでしょうか。
幸せではないかと思います。

もう、新庄は最後の打席も、九回の守りも泣いていましたね。
思わずもらい泣きしそうでした。

北海道日本ハムファイターズ、おめでとうございます。
そして、お疲れ様でした。

中日ドラゴンズの皆様、素晴らしい試合を見せていただきありがとうございました。
来年はまた阪神とのいい試合を見せて下さいませ。

さあ、2006年のシーズンは終わった。
来年に向けての補強や練習が始まります。
また新たなシーズンへ向けての第一歩です。

セ・パ12球団の皆様、素晴らしいシーズンをありがとうございました。
  1. 2006/10/26(木) 21:48:53|
  2. スポーツ
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来た来たキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

日本シリーズの話題ばかり続いてすみません。m(__)m

でも、書かずには居られないですねー。

3対0。
日本ハムの完封勝ちです。

まさにキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
これで王手ですよ。
残り三試合で一勝です。

もちろんここまで来たからには名古屋にはもう行って欲しくないですね。
明日勝って優勝を決めて欲しいです。

それにしても、面白い商品が出てきますねー。

白いボール型と茶色のグローブ型のお饅頭。
しかもお昼にしか売らないということで、ついたネーミングが昼饅(ひるまん)ww
しかも一個88円。

手に入れて食べたくなりますー。
しっかり商売に載せられていますね。(笑)

おそらく明日はお祭騒ぎでしょう。
昨日勝っただけで、お祝いの紅白饅頭やお餅が振舞われていましたからね。
さあ、寒い北海道に熱い瞬間をもたらしてくださいねー。

それではまた。
  1. 2006/10/25(水) 22:35:42|
  2. スポーツ
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二勝目ゲット

いや、すごいですね。
北海道は寒い中とてつもなく熱いですよ。

史上初めて北海道で行なわれる日本選手権シリーズ。
その熱気がひしひしと伝わってきました。

初回の得点機をモノにした両チームがその後は投手戦。
朝倉投手もよかったですが、武田(勝)投手も打たれながらも抑えていましたね。

八回には稲葉選手の低い球を掬い上げたホームラン。
見事でした。

これで二勝。
このまま連勝で札幌での胴上げを望みたいですが、まあ、そうは問屋が卸してくれないでしょうね。

中日の怖さが発揮されないうちに終わって欲しいものです。(笑)

それではまた。
  1. 2006/10/24(火) 21:31:57|
  2. スポーツ
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頭の下がるお仕事

なんか調子悪いです。
頭も痛いし・・・
SS書く気も起こりません。
風邪でも引いたかなぁ・・・

当ブログにリンクしていただいているグレンディさんのブログ、グレンディの「トイ・ボックス」の10/22分に、あるブログが紹介されておりました。

その名も「特殊清掃「戦う男たち」」。

特殊清掃。
聞き慣れない言葉ですよね。

グレンディさんのブログで大体のことは感じていましたが、覗いてみて考えさせられました。

世の中にはいろいろな理由で誰にも看取られずに死んでしまう方がおります。

独居老人の老衰死や自殺者、一人暮らしの方の病死や事故死など。

そういった方々はその死を発見された時には、すでに腐敗が始まっていらっしゃるのがほとんどです。

そういった、すでに腐敗されてしまったような遺体や、その遺体があった部屋の内装などを綺麗にするのがそのお仕事なのです。

もちろん特殊清掃と呼ばれるもの全てがそういった仕事ではありません。
しかし、そういった誰にも看取られずに亡くなられ、腐敗されてしまった方々を綺麗にするお仕事もまた特殊清掃と呼ばれるものなのだそうです。

ある時は骨だけになってしまった遺体の骨を洗浄してあげたりもするそうです。

人間誰しも最後は綺麗に締めくくりたいと思っていらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、そういった思いもかなわずに亡くなってしまう方もかなりいらっしゃいます。

事故であれ病気であれ、突然に死はやってきます。
そういった方々の思いも含めて、その場を綺麗にしてくださる。

そんな職業があることは当たり前と言えば当たり前なのですが、まったく意識したことはありませんでした。

常に身近にあることなのに、誰もが意識をしない死というもの。
あらためて考えさせられました。

それではまた。

ちなみにそのブログについては「グレンディの「トイ・ボックス」」をご覧下さいませ。
リンク先にございます。
  1. 2006/10/23(月) 20:03:10|
  2. ネット関連
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エロ落ち

今日はマンガの紹介を。

「桃色ピンク」 中華なると著 エンジェル出版

いやらしい親父にエロ漬けにされる女性を描かせたらぴか一の中華なると先生の作品です。

戦隊チームの紅一点レンジャーピンクが、悪の組織のボス万色(まんじき)の姦計にかかって、エロエロにされてしまうというストーリーなんですが、本命のピンクを落とす前に女長官を落としたりしてなかなか見せてくれます。

まあ、悪落ちではなくエロ落ちなので、ただ快楽のために戦いを放棄するようになってしまうだけなのですが、先に落とされた長官が魔族に変化させられたりするのは結構いいものでした。

中華なると先生の作品は、エロ親父率が高いのですが、万色も例に漏れず腹の突き出たエロ親父です。

そういったエロ親父が美人の女性をエロ調教して思うがままに・・・というのは、私は結構好きですね。

まあ、マンガですので、絵柄の好き嫌いがあると思いますが、よろしければどうぞ。

それではまた。
  1. 2006/10/22(日) 20:30:03|
  2. 本&マンガなど
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日本シリーズ開幕

北海道日本ハムファイターズ対中日ドラゴンズの日本シリーズが始まりました。

新庄の引退もあって、前評判も高いシリーズといえるかもしれません。
川上とダルビッシュの投手対決も楽しみです。

名古屋に行くわけにもいかないので、TV観戦なんですが、日本ハムには頑張って欲しいですね。

昨年は阪神が一勝もできなかったので、今年はそんな一方的な試合にはなって欲しく無いなぁ。

いや、日本ハムの四勝なら、それはそれでいいんですが。(笑)

今日はこのあといろいろあるので、こんなもので失礼します。
それではまた。
  1. 2006/10/21(土) 19:08:19|
  2. スポーツ
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十字軍

ボートF-8クルセーダー。

アメリカ海軍空母艦載機で最初の本格的超音速戦闘機ですね。

グラマンF-11とほぼ同時期に採用されたのですが、生産数や実績においてまさに圧倒的な差をつけたと言っていいでしょう。

スマートな機体はエンジンの太さのみと言っていいような細さであり、まさに空気抵抗を排してスピードを追求したと言っていいでしょう。

機体の両側には二十ミリ機関砲が四門備えられ、ミサイルよりも機銃によるドッグファイトを中心にしていたために、ラストガンファイターと呼ばれたものでした。

実際、ベトナム戦争開始前は、ミサイル至上主義がまかり通っており、機銃によるドッグファイトは米海軍パイロットに求められる技能ではなかったそうです。

しかし、F-8のパイロットたちは、自主的にドッグファイトの訓練を行ない、それにからかい半分で参加したF-4のパイロットたちは、その後のベトナムでのMIGとの戦いに非常に役立ったと口を揃えました。

その結果、米海軍は異機種間戦闘訓練を行なうようになり、MIG-17役のA-4や、MIG-21役のF-8対F-4という訓練で実戦に備えられたんですね。

米空軍がF-4同士の訓練でほとんど役に立たなかったといわれるのとは対照的でした。

またF-8は、艦載機として空母の艦上で運用するために、翼に特殊な構造を取り入れました。

翼の揚力をアップするために翼そのものを油圧で前側を持ち上げることができるようにしたのです。
そのため、発艦も着艦も非常にやりやすくなりました。

また、艦載機として空母艦内の狭い格納庫に格納するために、翼の左右を上側に折り曲げることができたのですが、機体バランスのよさゆえか、翼を折り曲げたまま発艦しても墜落することなく飛び続けることができたそうです。

少なくとも七回の翼を折りたたんだままの発艦が記録されているとのことですが、それぞれすぐに空母の周りを一周して着艦しているとのこと。
ただ、エリア88で見せたような、通常の飛んでいる状態から折りたたんで飛ぶということはできないとのことでした。

F-8クルセーダーは、米海軍の空母上空をがっちりとミグから守っていたんですね。

それではまた。
  1. 2006/10/20(金) 20:44:08|
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あの毛利家とは違うんです

戦国最後のおおいくさ。
大坂の陣。

語弊があるかもしれませんが、舞方はこの戦いが非常に好きです。

東軍の圧倒的兵力に対し、智謀と男気だけで戦いを挑んでいく勇者たちが好きなのです。

今までブログで紹介した木村長門守重成、そして真田左衛門佐信繁(幸村)といった人物ももちろん大好きなんですが、それ以上に今日紹介する人物が好きなんですよねー。

毛利豊前守勝永(かつなが)。

毛利という姓を名乗ってはいますが、あの中国地方の毛利家とは関わりがありません。
まあ、あるといえばあるのですが。

勝永の父、毛利三左衛門勝信(かつのぶ)は、もともとは森三左衛門勝信といい、秀吉がまだ配下を二三人しか持っていない頃からの家臣でした。

おそらく中間(ちゅうげん=武士と平民の中間扱い)だったと思われ、以後、愚直に秀吉に付き従ったと思われます。

そのかいあってか、森勝信は秀吉から小倉に六万石を賜り、一大名となります。
中間から大名になったというのは、秀吉配下では彼だけといわれ、出自の定かでない彼のために秀吉が中国の毛利家に頼み込み、森姓を毛利姓に改めたということです。

実直な武士であり、いわゆる武断派の一人ですが、三成とはそれなりに仲がよかったらしく、関が原の時には小倉の押さえを任され、息子の毛利勝永は伏見城攻めに参加しております。

関が原の戦いで西軍敗北のあおりを受け、小倉毛利家は所領没収。
勝信、勝永親子は肥後加藤家から土佐山内家に預けられました。

山内家では勝信、勝永親子に1000石もの捨扶持を与えて厚遇し、小倉毛利家の家臣も数多く召抱えたと言います。

紀州久度山で真田昌幸が亡くなった頃、毛利勝信も亡くなりました。

大阪が風雲急を告げてきた頃、毛利勝永は秀頼挙兵の報を聞き、土佐を抜け出します。

家康の命で土佐より出撃した山内家当主忠義に留守を託された忠義の父康豊(山内一豊の弟)に面会し、実は私は忠義とは衆道(男色)の仲なので、忠義一人を行かせるのは忍びない。どうか妻と子を置いていくから私も参陣させて欲しいと頼み込み、まんまと土佐を抜け出すのです。

勝永はかつての小倉毛利家家臣とともに大坂へ入城。
その数およそ四千五百ほどもいたということです。

大阪冬の陣では真田幸村、後藤又兵衛、木村重成らの影に隠れ、さしたる働きのなかった勝永ですが、大阪夏の陣では獅子奮迅の働きを見せ付けます。

血気にはやった家臣の勇み足から天王寺口の決戦が始まりますが、勝永は真田隊とともに家康本陣へ突撃。

本多忠朝や小笠原秀政らを討ち取り、家康本陣へ迫りますが、真田同様に衆寡敵せず、ついに家康の首を取るには至りませんでした。

彼の最後は一説によると、大坂城で秀頼の自害を介錯後、嫡男毛利勝家とともに自害したと言います。

毛利勝永も真田幸村も名を残すためだけに戦ったいくさでしたが、それだけに彼らには魅力を感じますね。

それではまた。
  1. 2006/10/19(木) 22:13:04|
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浅く静かに潜航せよ

昭和18年。
ガダルカナルの大消耗戦により、制空権が無い状況での輸送船による補給は無理ということがわかりました。

しかし、制空権が無い状況でも、補給は確実に行なう必要があります。
特に太平洋の島嶼においては、補給が死活問題となります。

海軍が制空権及び制海権を確保してくれるならば、問題は無いのですが、昭和18年ともなるとそれがおぼつかなくなっているのは誰の目にも明らかでした。

そこで、日本陸軍は海軍がガダルカナルなどに行なっていた潜水艦による輸送を陸軍でも行なうことにしました。

かと言って、日夜前線で行動している海軍の潜水艦を借りることはできません。
そこで日本陸軍は、自前で潜水艦(潜水艇)を建造することにしました。

それが輸送潜水艇、通称マルユ(○の中にひらがなのゆ)艇です。

これは、それほど大きくない排水量270トンほどの船体の潜水艇で、全長は40メートルほど。
前後に合わせて40トンほどの物資を積むことができました。
米だけでいえば約24トンを積むことができ、二万人の一日分を運ぶことができたのです。

潜航深度はせいぜい80メートルもあるか無いかで、隔壁も無いために非常に危うい代物だったそうです。

乗員は二十四名。
全てが陸軍の軍人で、陸軍船舶部隊の兵員でした。

輸送潜水艇は造船所が海軍の傘下であって使えなかったため、車両工場などが建造に携わり、終戦までに四十隻ほどが作られたそうです。

フィリピンなどで実際に部隊への補給活動について、それなりに成功を収め、撃沈されたのは四隻ということでした。

四周が海に囲まれた日本は、陸軍といえども、船舶なくしては活動できなかったということなんでしょうが、それでも、こんなものまで作ってしまう陸軍というのは、海軍との協調性がなかった証と言っていいのではないでしょうか。

それではまた。
  1. 2006/10/18(水) 22:18:05|
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大名もつらいよ

今日も江戸期のことを少し。

「江戸大名 知れば知るほど」大石慎三郎著 実業之日本社
と言う本があるんですが、これにちょっと面白い話が載っていたので紹介しますねー。

大名家の婚姻というものは、家と家との結びつきなので、お見合いで気に入れば結婚、気に入らなければ断るなどということは本来は無いと思うんですが、さすがに幕末ともなるとお見合いで相手を決めるという話もあったようです。

秋田佐竹二十万石の最後の当主佐竹義尭(さたけ よしたか)が嫁取りの時にお見合いをしたんですね。

相手は丹波篠山青山家。
当主青山忠良(あおやま ただなが)の娘とのお見合いはうまくいき、義尭は娘をもらうことになりました。

美しい姫をもらうことになった義尭は、輿入れを待ち焦がれておりましたが、輿入れ当日、まさに驚天動地の事態が起こりました。

なんと、お見合いで会った美しい姫君とは似ても似付かぬ醜女がやってきたのです。

驚いた秋田佐竹家では、事の真相を探ったところ、青山家ではお見合いに美しい奥女中を立てて替え玉見合いをしていたということだったんですね。

結局姫はすぐさま離縁を申し渡されたとのことでしたが、父親の青山忠良の策はうまく行かなかったということですね。

輿入れさえしてしまえばこちらのもの・・・という思いがあったんでしょうかね?


替え玉ということでもう一つ。

盛岡南部家第三十七代当主南部利用(なんぶ としもち)が家督相続直後に十六歳で急死しました。

実は利用は、江戸の将軍家との拝謁を済ましておらず、正式には家督を継いでいませんでした。

家督を継いでいなければ、相続者のいない家は取り潰されます。

そこで背格好の似た替え玉を用意し、江戸に連れて行って拝謁させたんですね。

もちろん情報の伝達能力のなかった江戸期ですから、利用の顔を知っているものは江戸にはおりません。

替え玉はまんまと利用として拝謁し、南部家の家督相続は認められました。

まあ、認められてしまえば、あとは養子を立てるなどして継がせてしまえばいいわけで、南部家のお家の危機は去ったのです。

大名家も大変だったんですよね。

それではまた。
  1. 2006/10/17(火) 21:26:11|
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パイロットたち

予告

寒風吹きすさぶ白い大地。
ここは惑星ベンエジヴァン。
降り立ったアルティアの目の前に、一癖も二癖もありそうな連中が待ち受ける。
これから先は白い地獄。
雪の大地に火薬が臭う。
次回「パイロットたち」

悪魔は美しい女の姿をしている。


なんて感じでボトムズSSですー。
ではどうぞー

3、
惑星ベンエジヴァン。
寒風が吹きすさぶ荒涼とした大地。
吹雪が舞い、何もかもが白く染まっている。
急ごしらえのシェルター型の居住区画。
ヒーターが赤々と燃えて、中は思いのほか温かい。
ここには今三十人ほどの人間が詰めていた。
ATは六機。
ご丁寧にコンテナに梱包されて、キャリアーに載せられて出番を待っている。
機種はわからないものの、おそらくはスコープドッグの冬季装備型。
雪原用にスノーシューを装備したタイプではないだろうか・・・
何をやるのか知らないが、六機のATを揃えるとは結構なもの。
私は窓の外を吹きすさぶ雪を黙って見つめていた。

「ふん、女がいるとはな」
シェルター内の溜まり場にはAT乗りが集っている。
私は作戦目的なども知らされぬまま、ここに放り込まれていた。
女である私はいつものごとくの言葉を耳にする。
女だ・・・
女のくせに・・・
そんなのばかり。
男どもは女を見るとそう言わずにはいられないらしい。
私は無言でサンドイッチを口にする。
反応するほど付け上がらせるに過ぎないからだ。
「ケッ、お高く留まりやがって」
アルコールのグラスを傾けている男。
筋肉質の巨体を揺らしている。
「やめとけよラートル。これから仲間になるんじゃないか」
片隅で同じようにグラスを傾けていた痩せた男が声をかける。
赤い気密スーツを着込んだ姿は精悍だ。
「こんなのが仲間か? 参ったものだぜ。なあ、ユジン?」
「ん? 僕は構わないよ」
奥の方で本を読んでいた男が顔を上げる。
少年?
一体何者?
私は思わずサンドイッチをぱくつくのをやめた。
「ガ・ユジンです。よろしく頼みます」
少年はにこやかに微笑んでくる。
その笑み波形感心をやわらげる。
「あ・・・はい。アルティア・カディスです。よろしく」
私は頭を下げる。
何となく彼の持つ雰囲気に引き摺られたのだ。
「俺はマ・フォン。こいつはラートルだ。口は悪いがいい奴だぞ」
痩せた男が笑いかける。
「ラートル・メイドンだ、足を引っ張ってくれるなよ」
筋肉質の男が面白くも無さそうに自己紹介する。
「よろしく」
私はそれだけを言う。
腕も性格もわからない相手だ。
傭兵として付き合う以上のことは必要無い。
「それで? あと一人はどうしたんだ?」
ラートルの疑問はもっともだ。
彼らと私、それにターロス大尉を入れてもパイロットは五人。
ATは六機なのだ。
あと一人来るには違いない。
「おそらくもう少ししたら来るんだろう。大尉殿と一緒にな」
マ・フォンが肩をすくめる。
「あなたがたは作戦目的は知っているの?」
私はジュースを口にしながら訊いてみた。
知っているのなら私だけが教えられていないということになりかねない。
「さあ、知らねえな。お前の方があの大尉とは仲が良さそうじゃないか、ええ?」
ラートルがガハハハと笑っている。
下卑た笑いだ。
「僕も聞いていませんよ。ただ、重要な役目だとは聞いていますけど」
小柄な少年といった感じのユジンが答える。
重要な役目ね・・・
「ユジン・・・あなたいくつなの?」
「僕? 十六だよ」
あっけらかんと答えるユジン。
人懐こい笑いに私も思わず微笑んでしまう。
ちょっと待ってよ。
やっぱり子供じゃない。
「こいつの見た目にだまされちゃいけねえぜ。こいつのATを駆る腕前はたいしたものだからな」
ラートルが笑っている。
確かに口は悪いがいい奴なのかもしれない。
こうも簡単にべらべらしゃべってくれると警戒心が薄いのかもしれないわね。
それにしても・・・
こんな少年がATの操縦とはね・・・
私は苦笑した。

バラバラバラと音が響く。
ヘリコプターのローターが風を切る音だ。
この吹雪の中を飛ばされるパイロットには同情を禁じえないわね。
三つのシェルターがコの字型に配置された内側にヘリコプターは着陸する。
吹雪と地吹雪が交じり合って視界はゼロに近くなる。
エイティーフライ型のヘリコプター。
いざとなればAT一機を吊り下げて、戦場に投入することもできるパワーの持ち主だ。
連絡用に使うにも便利だろう。
舞い上がる雪の中、ヘリのハッチが開いて人影が現れる。
赤いパイロットスーツに身を包んだ人物と、ギルガメスの軍服を着た人物。
軍服を着ているのはターロス大尉。
もう一人の赤いパイロットスーツは?
長い髪が激しい風になびいていく。
女?
私以外にもATパイロットの女性が来るとはね。
赤いパイロットスーツの女性は、スマートな物腰で優雅に歩いてくる。
なかなかの美人だわ。
私はふとそんなことを思っていた。

やがて彼らはシェルター内に入ってくる。
「諸君、遅くなった。最後のパイロットを連れてきた」
ターロス大尉が彼女を指し示す。
「シフォン・ドゥーリッチです。以後よろしく」
彼女はにっこり微笑み敬礼をする。
「ケッ、また女かよ。やってられねえぜ」
渋い顔のラートル。
どっかりと腰を落ち着けたままで顔をあわせようともしない。
「マ・フォンだ。これで全員ということだな」
「ガ・ユジンです。よろしく」
残りの二人もそれぞれに挨拶を交わす。
「私は・・・」
私が挨拶をしようとすると、シフォンはつかつかと歩み寄ってきた。
「アイスブルーアルティアですね? 初めまして」
「あ・・・」
手を差し出してくるシフォン。
私は素直にその手を受け取る。
「アルティア・カディス。よろしく」
握り返してきたその手は・・・なぜか力がこもっていた。

「挨拶はそれぐらいでいいだろう。これよりブリーフィングを行なう。シフォンも席に着け」
「ハッ」
ターロス大尉が軍帽を脱いで正面に立つ。
驚いた。
ラートルなんか酒が入っているというのに、すぐにブリーフィングだなんて・・・
ガタガタと音がしてみんながそれぞれ席に着く。
「作戦開始は明0600。目標はヴィスロン平原を走る軍用列車」
どよめきが起こる。
軍用列車の襲撃とはどういうこと?
「静かに。われわれは明日、ATにより軍用列車を襲撃。その後速やかに撤収する」
「どういうことなんです? 軍用列車を襲うなど理由がわかりません」
フォンの言葉が全員の気持ちを代弁しているだろう。
どういう理由で味方の軍用列車を襲うのか?
このベンエジヴァンへ来た時から、ここで何をするのかと思っていたが、まさか軍用列車の襲撃とは。
「理由は明白だ。この軍用列車には武器が積まれている。バララントに通じるゲリラに渡る物だ」
「バララントに?」
「そうだ。この軍用列車を通過させてしまえば、各星系のゲリラは大量の武器を手に入れることが可能と判断することになるだろう。それを阻止するために我々はその軍用列車を阻止しなくてはならない」
熱っぽいターロス大尉の言葉。
「なるほどー。そういうことかい!」
ラートルがうんうんとうなずいている。
「それは間違いないんですね?」
フォンが念を押し、大尉がうなずくのを黙って見ている。
・・・・・・
筋書きはあっているように見えるわね・・・
でも・・・
「報酬はきちんと出るんでしょうね?」
両手を頭の後ろに組んだまま、ユジンがニコニコと笑っている。
そう・・・
金をもらう以上は従わなくてはならない。
それが意に沿わないものであったとしても。
傭兵とはそういうもの。
「それは間違いない」
「じゃあ、いいじゃん」
ユジンの一言にみんながうなずいた。
  1. 2006/10/16(月) 22:46:14|
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臭い収入

昨日に続いて「お江戸の意外な生活事情」からトイレのことについて紹介しますねー。

トイレのことは「雪隠」と呼ばれるのですが、武家屋敷では建物ごとに、長屋では共同の雪隠が設けられておりました。

大と小はそれぞれ分けられており、長屋の共同便所の場合ですと下半分にしか扉で隠れる部分がなかったために、誰が入っているかはすぐわかったそうです。

大と小が分かれているのは、大便が必要だったからなんですね。

当時は人の大便は農業に欠かせない肥料として利用されたのです。
江戸近郊の農家は、定期的に便所の汲み取りにやってきて、大便を買い取っていったのです。
金銭で買い取る場合もあれば、作物を置いていく場合もありました。

代金の多寡は食べているものの質によるものだったらしく、町屋よりは武家屋敷、武家屋敷よりは大名屋敷の便のほうが高かったとのことです。

長屋では糞尿代金は大家の懐に入りました。
農家と契約を結び、農家は年二回、盆暮れに代金を大家に支払ったそうです。

江戸後期で大人十人分の糞尿が約二分から三分(一分は四分の一両)と言うことでしたから、大家にとっては結構な収入になったのでしょうね。

欧州の大都市では、糞尿が道路にぶちまけられていたということですので、糞尿をきちんと利用するシステムを持っていた江戸は世界でも珍しい都市だったんですね。

それではまた。
  1. 2006/10/15(日) 21:29:13|
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女遊びはつらいよ

以前読んだ本なんですが、「お江戸の意外な生活事情」中江克己著 PHP文庫というのがあります。

江戸期の庶民の生活風景を詳しく記した本ですので、興味のある方はご一読をされるといいと思います。

食事はどんなものを食べていたのか、古着屋が多かったのはなぜか、長屋のトイレはどんな感じだったのか・・・などなど知っていること知らないことたくさん載っておりました。

で、その中に吉原遊郭のことが載っていたので、ちょっと紹介しますね。

江戸は人口の男女比が極めて不均衡な都市でした。
地方から参勤交代の大名に付き従ってくる武士などの影響で、男性が七割、女性が三割という都市だったのです。

当然男はあぶれ、女性の肌が恋しくなりますが、そういった時に行くのが遊郭でした。

有名なのは吉原遊郭でしたが、この吉原にもいろいろな格式がありました。

最高の格式である「大見世」(その下には中見世、小見世というのがあります)の最高の遊女を「大夫」と言いますが、彼女と遊ぶのはまさに一財産と並々ならぬ苦労が必要だったのですね。

普通の遊女は見世先で顔見世をして、客は気に入った遊女を選ぶわけですが、大夫に会うにはそうはいきません。

まず「揚屋」という遊女と遊ぶための場所へ行き、そこの女将や芸者、太鼓持ちなどに酒宴で振舞います。
そこの女将に金があって大夫と遊ぶに相応しい男ということを見せ付けるわけですね。

すると、女将は客の値踏みをし、問題無いとなれば大見世に遊女を借りるための書類を送ります。
これを「遊女差紙」(ゆうじょさしがみ)と呼ぶそうで、客に問題が無いことを示す証明書のようなものだそうです。

この遊女差紙を受け取った大見世は指名のあった遊女を揚屋に差し向けます。
そのときは大夫一人が行くのではなく、提灯を持った若い衆や新造(妹女郎)禿(大夫の身の回りの世話をする少女でかむろと読む)などがぞろぞろとついてきます。
この集団が大見世から揚屋までを華やかに歩く。
これを「道中」と呼ぶそうです。

通りをゆっくりと歩いて揚屋に着いた大夫は、客の待つ座敷へ行くわけですが、気に入らなければ、挨拶だけで帰るとのこと。
首尾よく気に入られた場合でも、盃を交わしてお開きです。
これが「初回」と行って次の約束を取り付けることができるのです。
ちなみに費用は七両から八両ほどとか。

初回を終えた客は、二回目にもまた揚屋で同様に酒宴を張ります。
この時も大夫がやってきて顔を合わせるだけ。
これを「裏をかえす」と言うそうです。
費用はやはり初回と同じぐらい。

二回目を首尾よく終えた客は、三度目の揚屋での酒宴となります。
こうなると大夫とは「なじみ」となり、ようやく遊女から認められて一晩をともに過ごすことができるのです。

まさに金がかかって仕方がないので、「大尽遊び」と呼ばれるわけなんですね。
一般庶民にはとてもとても。
今で言う「銀座の最高級店」といったところなんでしょうか。

でも、一度でいいからこういった遊びをしてみたい・・・そう思うのは誰しもではないでしょうか。

それではまた。
  1. 2006/10/14(土) 19:21:36|
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一石一城の主

まあお判りとは思いますが、表題は駄洒落です。
本来は一国一城の主ですねー。

ところで皆様も時代劇などで大名という殿様が出てくるのを見たことがあると思いますが、大名って何なんでしょう。

江戸期に限りますが、大名とは端的に言って一万石以上の所領を幕府によって認められた武家のことなんですね。
つまり一万石に満たない武家は大名ではありません。
(例外あり)

大は加賀前田家の百万石から、小は一万石の小大名まで千差万別の大名家がおよそ三百。
江戸期全国三百諸侯といわれるものです。

で、この石(こく)と言う単位。
よく時代劇などでも「当家は○○万石の大名家」とか、「×千石の旗本家」とか出てきますけど、いったい一石とはどのくらいなんでしょう。

まあ、ググれば早いわけなんですが、一石=十斗=百升=千合となります。
一合が一人当たりの一食分のお米とほぼ等しく、千合はほぼ一年分のお米の量となります。

また、一升がおよそ1・8リットルであるため、一石=百升=約180リットルとなります。
これをお米の重さにすると、約150キログラム。
一俵60キログラムのお米が約二俵半となります。

つまり、一万石だと約1500トンのお米になるわけですね。
大名家はそのお米を元に生計を成り立たせていたということになります。

ところで、大河ドラマなどで戦国時代の合戦を時たま見かけますよね。
両軍合わせて数万の人間が敵味方に分かれて戦いました。

では、一万石の大名はどれだけの兵士を保持できたのでしょうか?
これはその時々によっても違いますが、およそ二百五十人から三百人といったところでした。

これは大体以下のような計算になります。

先ほど述べたように、一石は一人の人間が一年間食べられるお米の量となります。
つまり、一石が一人を養うのです。

すると、石高=養える人口となりますので、一万石の大名だと、領地で一万人と言うことになります。

もちろん一万人の中には女性がいます。
戦闘に耐えられない子供や老人もいます。
およそ七割の七千人はそういった女性と子供、老人となります。

となると、戦に出られる成人男性は三割の三千人。
しかし、三千人全てを戦に連れて行ってしまっては、領地経営の基本である農業が成り立ちません。
田の面倒を見る人がいなくなってしまいます。

結局、実際に戦に連れ出せるのは三千人の一割。
約三百人ということになるのです。

関が原の戦いのとき、関が原戦場に布陣した石田三成の軍勢はおよそ六千。
三成の所領は近江佐和山十九万四千石。
一万石につき三百人とすると五千九百人ほどでほぼピッタリです。

宇喜田秀家も戦場に一万七千の軍勢を連れてきておりましたが、彼の所領も五十七万石。
ほぼピッタリとなるんですね。

兵士一万人を集めるには、約三十五万石が必要ということで、まさに加賀百万石の戦力の強大さがわかると思います。

まあ、徳川は旗本八万と豪語しておりますので、二百七十万石あったということなんでしょうね。

何となく一石と大名というものがわかっていただければ幸いです。
それではまた。
  1. 2006/10/13(金) 21:52:00|
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決まりましたー!

北海道日本ハムファイターズの優勝が決まりました。

選手の皆様おめでとうございます。
そしてお疲れ様でした。

最後は内野安打という泥臭い勝ち方でしたが、かえってらしかったかもしれません。

ソフトバンクの選手の皆様、お疲れ様でした。
見事な試合を見せていただき、ありがとうございました。

斉藤投手は最後打ち取っていたんですけどね。
わずかな差が勝敗を分けましたね。

さあ、これで日本シリーズですよ。
夏の高校野球甲子園大会の凖優勝旗、パシフィックリーグの優勝旗に続いて日本シリーズの優勝旗も持ち帰ってもらいましょう。

札幌で日本シリーズが行なわれる日が来るなんてなぁ。
夢のようですね。

日本ハムがんばれー。
相手は阪神じゃないから思いっきりやっていいぞー。(笑)

それではまた。
  1. 2006/10/12(木) 21:38:45|
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蜂女

一発ネタの短編をアップしますね。

ある海外サイトさんを見て触発されました。
ラバーに包まれながらの変化もいいものですね。

「ハア・・・ハア・・・」
私は息を切らせながら走り続ける。
ビルとビルの間を抜け、窓を破って侵入し、階段を昇ったり下りたり・・・
「ハア・・・ハア・・・」
まったく・・・
何でこんなことに・・・
私は肉体行動派じゃないんだってば・・・
息が切れる。
私は走りながら後ろを見る。
げげっ!
まだ追ってくるの?
しつこいなぁ、あの女刑事。
私は階段を下りて、暗い廊下を駆け抜ける。
いつの間にかどこかのビルの地下に入っちゃったらしいわね。
まずいか・・・
どこかで上に出ないと行き止まりということにもなりかねないわ。
それにしても・・・
なんか変な臭いがするわね・・・
「ハア・・・ハア・・・」
だめ・・・
もうだめ・・・
私は手近なドアを開けると、その中に入り込む。
そしてドアを閉めると、そのドアにもたれかかるようにしてへたり込んでしまった。

「ハア~~~~もうだめ・・・」
私はハアハアと息を切らせている。
汗が吹き出てくる。
もう・・・
どこでこうなったのかしら・・・
私は息を整えながら、外の物音を聞き耳を立てて聞いていた。
そりゃあさ・・・
ネットバンクのメインコンピュータのハッキングしたりさ・・・
大手企業の機密情報覗き見て売ったりさ・・・
いろいろとやったけど・・・
アシはつかないようにしてきたつもりなんだけどなぁ。
どこかでミスしたってことよね。
それにしても・・・
何? この臭い?
ゴムのような臭いだわ・・・
もう・・・
いやな臭いね。

私はようやく人心地つくと、ゆっくりと立ち上がる。
臭い・・・
ゴムが溶けたようないやな臭い。
どうやらこの部屋の奥から臭ってきているようだわ。
何か機械類が所狭しと置かれている部屋。
空調や配電などの機械類だったのかもしれない。
今はあちこち塗装がはげ、むき出しの金属がさびている。
どうやらあの女刑事は奥の方へ行ってしまったらしい。
ドアの向こうは気配が無い。
はあ・・・
私は少しホッとする。
それにしても・・・
この臭いは何だろう。
機械からゴムが溶け出したのだろうか・・・
私は機器類の陰になっている部屋の奥へ行ってみた。

「こ、これは?」
私も思わず声を出してしまう。
その声は広くなったホール状の部屋に響き、廊下の方まで聞こえたかもしれない。
でも、今の私にはそんなことは気にならなかった。
ここは何か大型の機械が設置されていたのか、二階分ぐらいぶち抜きの天井も高くコンクリートで作られたホールの様な部屋だった。
その部屋の中央にそれはあった。
このゴムのような臭いの元。
私はあんぐりと口を開けてそれを見上げていた。

それは巨大な花のようだった。
暗い部屋の中でひっそりと咲いていたとてつもなく巨大な花。
どす黒く一抱えほどもありそうな茎を持ち、コンクリートの床を貫いて立っている。
床にはタールのような液体が茎を中心に広がり、どす黒く畳ほどもありそうなぎざぎざの葉が数枚、茎から伸びていた。
そして、その一番頂上に毒々しい赤黒い巨大な花が咲いている。
天井すれすれの高さまで届いたその花は五つの花弁を持ったゆりのような形の花だった。
そして、その花からは、時々蜜のようなどろっとした黒い液体が床に向かって垂れてきていた。
ゴムのような臭いはその蜜のような液体が発しているらしい。
周囲に充満するゴム臭さは息苦しくなるほどだった。

「こ、これは一体?」
私は思わずあとずさる。
光も差さない暗い地下室で、こんな巨大な花が咲いている。
不気味なことこの上ない。
私は恐怖を感じて逃げ出そうと振り向いた。
「動くな!」
振り向いた私に向けられる銃口。
そこにはパンツスーツ姿のあの女刑事が拳銃を構えて立っていた。
私は黙って両手を上に上げた。

「もう逃げられないわ。おとなしくしなさい」
拳銃を構えつつゆっくりと近づいてくる女刑事。
私は無言のままにらみつけるように立っていた。
女刑事さんは私の上げた右手を取ると、そのまま後ろに回して左手とともに押さえつける。
「15時13分、あなたを逮捕します」
ガチャリという音とともに私の両手には冷たい金属の枷が嵌められる。
あーあ・・・
参ったなぁ・・・
私はため息とも付かないような息を吐く。
「ふう・・・」
背後では女刑事も息をついていた。
「まったく・・・こんなところまで逃げ込んできて・・・携帯もつながりゃしないわ。どうしよう」
肩越しに振り返ると、ポケットから携帯を出しているようだ。
アンテナが立たない状態なのだろう。
「それにしても臭いわねぇ。何の臭い?」
くんくんと鼻をひくつかせている。
ゴムのような臭いはさっきから変わってはいない。
何となく慣れてしまったのかな。
あまり気にならなくなってきたわ。
「花よ」
「花ぁ? 花って、あの咲く花?」
ふっとバカにしたような笑みを浮かべる女刑事。
ふん、信じられないだろうけど本当なのよ。
「本当よ。そこの奥の部屋に咲いているわ。これはその花の臭いなのよ」
「バカな事を。ははーん、私が奥を見に行っている間に逃げる気ね? そうは行かないわよ」
女刑事は私を引っ張ると、機械類のところへ連れて行く。
「どっちにしろ応援も呼ばないとならないし、ここにいてもらうわ」
そう言って彼女は私の手から手錠を片方だけはずすと、配管にぐるっと通して再度嵌め直す。
つまり、私は配管がはずれない限り逃げることはできないと言うわけだ。

偶然私の位置からはちょうど奥の部屋が見える。
扉が無くなったドア枠の向こうには太い茎が見えている。
「これでいいわ。おとなしくしていなさい」
そう言って振り返った女刑事の動きが止まる。
「な、何あれ?」
「だから言ったでしょ。花よ」
私はそっと手錠を嵌められた手を動かしてみる。
配管にそって動かすことはできるけど、はずすことはできないようだ。
「バ、バカな・・・」
奥の部屋に向かって歩いていく女刑事。
その足取りはちょっとおどおどしている。
私は思わず笑みが浮かんだ。
彼女も不気味なんだわ。
逃げ出したほうがいいのかもしれないけど・・・
なんか・・・
このゴムの臭いも悪く無いわ・・・

「こんなのは見たこと無いわ・・・これは一体何なの?」
女刑事はゆっくりと花に近づいていく。
「私だって知らないわ。突然変異かなんかじゃないの?」
私はそう言ったが、聞いているかどうか。
彼女は花に気を取られているようで、床に液体が広がっていることに気がついていない。
ローヒールのパンプスがタールのような液体に触れ、ネチャッと音を立てた。
「ヒャッ」
思わず足を引っ込める女刑事。
その驚きようがちょっと笑える。
「なに、これ・・・」
彼女は屈みこむと、床に広がったタールのような液体を眺める。
「臭っ、ゴム臭い」
そう、あれはゴムのような臭いがする。
その香りは部屋いっぱいに充満しているのだ。
やがて彼女は右手の人差し指を液体に漬けてみる。
掬い取るように人差し指でその液体を指で取ってみたのだ。
「ねばねばだわ・・・ほんとにゴムが溶けたような感じね」
糸を引きながら床から持ち上げられる彼女の指。
薄暗い部屋の中でも、彼女の白い指が真っ黒に染まっているのがよくわかる。
彼女はその指を鼻のそばへもって行くと、くんくんと臭いをかぎ始めた。
「ハア・・・臭い・・・臭いわぁ」
私は彼女のその言葉にどきっとする。
何かその言葉に・・・そう、恍惚としたようなものを感じたからだ。
「まったく・・・薬品でもこぼれたのかしらね・・・ハア・・・臭い・・・」
臭いと言いながら立ち上がった彼女は、それでも指に付いた黒い液体の臭いをかぐのをやめない。
「ちょっと、なんか中毒性あるんじゃないの? その臭い」
私はちょっと心配になる。
臭いがあまり気にならなくなったのは・・・
私の鼻が慣れたせいではなく、中毒性があるからじゃ・・・
「うふふ・・・大丈夫よ・・・こんな臭いいい臭いなんですもの」
彼女は笑みを浮かべている。
ヤバい・・・
これは何かヤバいよ・・・
「ちょっと、もう戻って来なさいよ! 私を連行するんでしょ?」
「くんくん・・・ハア・・・いいにおい・・・うふふ・・・ねばねば・・・」
彼女は私の言葉など無視して、指を擦り合わせて楽しんでいる。
黒い液体は親指と人差し指の間で糸を引いている。
それを嫌がりもしていないのだ。
彼女は一体どうしちゃったんだろう・・・

「ええっ?」
私は思わず声を上げる。
彼女が靴を脱いで、あの黒い液体が広がる床を歩き始めたのだ。
ネチャ、ネチャと黒い液体が彼女に踏まれて音を立てる。
彼女の白いソックスが、たちまち黒く染まって床との間に糸を引く。
「ちょっと、何やっているのよ!」
私は止めたかった。
何か変だ。
彼女は何か普通じゃなくなっているんだ。
すぐにここから出たい。
私はとんでもない場所に入ってしまったんだ。
「ん・・・くそっ」
私がガチャガチャと音を立て、手錠をはずそうと試みる。
もちろん簡単にはずれるとは思わないけど、もしかしたら彼女が音で正気に戻るかもしれないし、配管だって腐っているかもしれないのだ。
それに誰かが・・・彼女の同僚が音を聞いて駆けつけるかもしれない。
とにかくここにいては変になっちゃう。
私は必死に手錠をガチャガチャとはずしに掛かった。

「ハア・・・ああ・・・いい臭い・・・」
彼女はネチャネチャと足元で糸を引きながら花のそばまで歩いていく。
「ああ、もう、しっかりしてよ!」
私が叫んでも、もう彼女の耳には入っていない。
彼女は捕らえられてしまったのだ。
あの花の魔力のようなものに・・・
「大きい・・・素敵・・・」
うっとりと彼女はその赤黒い花を見上げている。
彼女の目にはもはや他のものは映っていない。
ああ・・・
どうしたらいいの?
「ひゃん」
彼女の声に私はビクッとした。
何が?
「ああ・・・はあーーん・・・」
彼女の声はすぐに甘ったるい媚びたようなあえぎに変わる。
「冷たーい・・・気持ちいい・・・」
彼女はどうやらあの黒い蜜のような液体が垂れてきた下にいたようだった。
あの蜜のしずくが彼女の額に落ちたのだ。
「ふふ・・・ふふふふ・・・」
ぞっとするような妖艶な笑みが浮かぶ。
「うふふふ・・・気持ちいい・・・」
そう言って彼女は額に付いた黒い液体を指で拭う。
額に一筋、黒い筋が走る。
「はあーん・・・いい・・・いいわぁ・・・」
違う・・・
拭ったんじゃない。
彼女は指であの液体を額に塗り広げたんだわ。

ポタン・・・
ポタン・・・
しずくが彼女に落ちてくる。
彼女はそれを笑みとともに受け止めて、じょじょに顔に塗り広げて行く。
額から頬、そしてまぶたや鼻筋、黒い液体はじょじょに彼女の顔を黒く染めて行く。
「あは・・・あはははは・・・」
楽しそうに笑っている彼女。
何も知らなければそこに恐怖を感じることは無かったかもしれない。
彼女は笑いながらのどのほうへも液体を塗りたくっていく。
丁寧に口元だけが塗り残されているのが、かえって妖しさを感じさせた。
黒い顔の中の白い口元と赤い唇。
それはとても美しくさえある。

やがて彼女は上着を脱ぎ始める。
ええっ?
まさか・・・
私が見続ける中、彼女は上着どころか白いブラウスも脱ぎ始める。
すでに黒い液体のせいで首周りや胸のあたりが黒く染まっているそれを放り投げ、ベージュのブラジャーもはずしていく。
私が見てもうらやましくなる形のよい乳房がむき出しになるけど、彼女はまったく気にしていない。
そのまま彼女はベルトを外し、ズボンを脱いでいく。
ショーツも脱いでしまった彼女はもうソックスだけしか身につけていなかった。
ペチャ・・・
あ・・・
私が見ている前で彼女は床に広がった黒い液体の上に寝転がる。
わあ・・・
ネチャッとした液体を両手でかき集めるようにして、その白い肌の上に垂らしていく。
「ハアーーン・・・」
気持ち良さそうなあえぎ声が彼女から漏れる。
私は黙って見ているしかできなかった。
いや、それどころか・・・
私自身がその光景に見惚れていたのかもしれない。
粘つく液体を躰に塗りたくる彼女。
脚を交互に高く上げ、ソックスすらも脱いでいく。
液体は彼女の体に塗られると、艶のある皮膜になっていく。
そう・・・まるで薄いゴムの皮膜が躰を覆うよう。
口元だけが白いまま、彼女の躰は黒いゴム皮膜に覆われていった。

「えっ?」
私は目を疑った。
上半身を起こした彼女。
べっとりと濡れたつややかな髪を、彼女はさらに液体で撫でつけていく。
すると、肩まであったボリュームのある髪の毛が・・・
消えていく・・・のだ。
ゴム皮膜に覆われたような頭部は、彼女の首から上をフードでも被ったかのように丸い頭蓋骨そのものの形になっていく。
髪の毛がまったく姿を消してしまったのだ。
もう彼女の躰に素肌の部分は口元だけしか無い。
彼女の躰はまるでゴムの全身タイツを身に着けたかのよう。

ふと彼女がこちらを向く。
目も鼻もゴムに覆われてしまった彼女は口元に笑みを浮かべていた。
ゾクッとするような妖しい笑み。
怖い・・・
彼女は何か違う生き物のようだわ・・・
私は何とかして手錠をはずそうともがくものの、手錠はそれをあざ笑うかのようにガチャガチャと音を立てるだけ。
「誰か~! 誰か来て~!」
必死の思いで叫んでみるものの、私の声は部屋に響き渡るだけだった。

そんな私の叫びも意に介さずに、彼女はやがて自分の躰を両手でいじり始めた。
腰に手を当て、まるで括れを強調するかのように両側から絞り込む。
嘘・・・でしょ・・・
彼女の腰は両手で絞り込まれると、たやすく細く括れていく。
まるで・・・
まるで粘土細工のよう・・・
どうして?
一体どうなっているの?
括れはかなり細くなり、胴が上下に分けられる。
続いて彼女は胸をいじる。
ただでさえ形の良い胸が、彼女の両手によって大きく突き出してくる。
ゴムに覆われているのに乳首までがぴんと立っているのがわかる。
感じて・・・いるの?
彼女の口元はだらしなく開いていた。
すぐにでもあえぎ声が聞こえてきそうだ。
気持ちいいの?
わからない。
私にはわからない。
やがて彼女の両手は胸からお尻に伸びていく。
私に見せるように彼女はお尻をこちらに向けた。
丸いお尻も真っ黒に包まれている。
彼女はそれをつまむようにして、お尻を突き出してくる。
彼女のお尻はじょじょに大きく膨らんできた。
先端が尖った巨大な風船のように、腰の下に巨大な塊ができていく。
一体何なのだろう・・・
彼女は何をしているんだろう。

お尻に巨大な肉塊を付けた彼女は、今度は座り込んで両手で目の周りをいじり始める。
目を中心にして巨大な楕円を作っていく。
やがてその楕円は輝きを増し、漆黒のガラス状に変化する。
巨大な楕円状のレンズだ。
それが彼女の両目の位置に・・・
ああ・・・
そうか・・・
やっとわかったわ・・・
あれは蟻?
それとも蜂?
彼女は今巨大なゴムの昆虫になっているんだ・・・
人間がゴムの虫になる・・・
あは・・・
あはははは・・・
いやだ・・・
いやだいやだ・・・
「いやだー!」
私は気が狂ったのかもしれなかった。

複眼を作り終えた彼女は加速度的に変化していく。
つややかなゴムの皮膜は硬い外骨格に。
額からは二本の触覚が。
両手の指先は指がくっついて二股の鉤爪に。
両脚は同じく先端が鉤爪状になる。
そして・・・
薄く透き通る黒い翅が・・・
彼女の背中に広がった。

「キチキチキチ・・・」
唯一残った人間らしい口元から、歯擦音のような音が聞こえてくる。
「あはははは・・・」
私はおかしくも無いのに笑っている。
人間、一定以上の恐怖には笑いが出るらしい。
「け、刑事さん・・・冗談は・・・」
いまだにそんなことを口にする私。
無駄なことだとはわかっているのに・・・
「キチキチキチ・・・」
彼女、いえ、彼女だったモノはゆっくり自分の姿を見渡して、やがて私の方を見る。
あれは蜂だ。
黒いラバーによって作り出された蜂女。
漆黒の艶のある外骨格。
くびれた腰と突き出たお尻はまさに蜂。
ゆっくりと翅が震え始め、やがてワーンという羽音とともに彼女の躰が宙に浮く。
そして・・・
私の前に降り立った。

「いやだ~! 助けて~! 誰か~!」
私は必死になって泣き叫ぶ。
いやだ・・・
いやだー・・・
死にたくない・・・
食われるのはいやだー・・・
彼女はその人間らしさの残った口元に笑みを浮かべている。
私がもがいているのを楽しんでいるかのよう。
そして私の上に屈みこみ・・・
鉤爪で私の手錠の鎖を引きちぎった。
「えっ?」
私が驚く間もなく、彼女の声が耳元で囁く。
「キチキチ・・・アナタモ・・・ナカマ・・・」
私は背筋が凍りついた。

私は動けなかった。
逃げ出したかったのに躰が思うようにならなかった。
彼女は私を抱え上げ、翅を震わせて宙に浮く。
そして、私を花へと導いていく。
ああ・・・
私はなすすべもなく、花の真下に下ろされた。

ネチャッという感触が靴に伝わる。
ゴムの臭いがムワッと広がる。
あまりの臭いにむせそうだ。
「あっ」
私は後ろから突き飛ばされる。
思わず両手をついて躰を支えようとしたが、ネチャッとした液体に手を取られて地面に倒れこんだ。
「いやあっ!」
思わず起き上がって両手で液体を拭う。
服も両手もべたべただ。
顔にまで飛び散ったに違いない。
私は必死になってこの液体を拭っていく。
いやだ・・・
いやだ・・・
化け物になるのはいやだ・・・
ポタン・・・
「ヒッ」
私の首筋に何かが滴った。
「いやぁっ!」
思わず首筋に手を当てる。
ついた液体を拭ってホッとする。
両手はもう真っ黒。
ゴム皮膜に覆われて美しい。
私はそっと臭いをかぐ。
はあ・・・
いい臭い。
ポタン・・・
私の首筋にまた滴ってくる。
気持ちいい・・・
とても気持ちいい・・・
私は立ち上がって上を見上げる。
素敵な花がそこには咲いていた。

「キチキチキチ・・・」
私は翅を震わせて花の種を体内に取り込んでいく。
これをどこかに持っていき繁殖させる。
そして虫も増やしていく。
幸いこの星には虫に適合する生物が多い。
虫さえいれば繁殖はたやすい。
花の蜜で虫を作る。
私は虫に適合する生物をつれてきて、花の種を広めていく。
それが虫である私の仕事。
私はもう一匹の虫とともに、この地下の部屋を後にした。
  1. 2006/10/11(水) 20:47:35|
  2. 異形・魔物化系SS
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中日優勝

中日の優勝が決まりましたね。

今日の巨人戦で延長の末巨人を破っての勝利。
ウッズ一人にやられたようなものでしたね。

今までと同じようなシーズンは今年で終わり。
来年からはシーズン一位が優勝というのは変わらないんですが、プレーオフを制しない限り日本シリーズにはでられません。

中日にはセリーグの代表として頑張ってもらいましょう。

落合監督以下、中日の選手の皆さん、優勝おめでとうございました。

岡田監督以下の阪神の選手の皆さん、来年はまた優勝の美酒を味わわせてくださいね。

さあ、相手は決まった。
明日からは日本ハム対ソフトバンクのプレーオフ。

パリーグを制するのはどっちだ?

それではまた。
  1. 2006/10/10(火) 22:42:40|
  2. スポーツ
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ブティックの中

ついにプレーオフの相手が決まりましたね。

先手を取られながらも逆転で二勝を手にしたソフトバンク。
勢いはありそうです。

日本ハムがんばれー。

さて、今日はホーリードールを少し投下します。
着々と増え始めるビースト。
紗希ちゃんと明日美ちゃんはどうなるのか・・・

16、
「はう~・・・お腹空いたよう」
休み時間にはお決まりの紗希のセリフだ。
「紗希ちゃんは相変わらずですわね」
明日美がニコニコと微笑んでいる。
「う~・・・朝しっかり食べているのになぁ」
紗希は机に突っ伏してでろーんと伸びている。
「紗希ちゃんは食べ盛りだもんね」
雪菜がそばにやってくる。
それにつれてクラスメイトも紗希の机の回りにやってきた。
「いっつも元気だもんね、紗希ちゃんは」
「そういえば昨日の事故すごかったよねー」
「そうそう、すごかったよねー」
「おかげで見たいドラマが潰れちゃったよー」
四人の少女たちが口々にしゃべり始める。
「バス事故にガス漏れ。ひどいことになったよね」
「そういえばさ・・・」
雪菜がにこっと微笑む。
「紗希ちゃんと明日美ちゃんって・・・バス事故の現場に居なかった?」
「え?」
紗希が顔を上げる。
「私、あのバス事故の現場に居たの。その時紗希ちゃんと明日美ちゃんを見たような気がするんだけど」
意味ありげに妖しく微笑む雪菜。
「え?」
「うそ?」
「大丈夫だったの?」
クラスメイトたちも驚き思わず口に手を当てている。
「私・・・たち?」
紗希と明日美は顔を見合わせた。
「私は大丈夫だったわ。うふふ・・・紗希ちゃんと明日美ちゃんはどうだったの?」
「えーと・・・私たちは本屋に居たよ」
「ええ。その通りですわ」
紗希も明日美も不思議そうな顔をする。
バス事故は街の中心部だ。
そんなところに行くわけがない。
「そっかー、私の見間違いかな・・・」
雪菜は首をかしげた。
もとより彼女にも確信があるわけではない。
だが、あの現場に現れた光の手駒はこの二人に似過ぎていた。
せっかく作り上げたドーベルビーストを葬り去った光の手駒。
八つ裂きにしたいぐらいに憎たらしい。
クス・・・
二人を替わりに引き裂いても面白いかもね・・・
もしかしたら、光の手駒は二人を基に作られたのかもしれない。
それならば二人が知らないのも無理は無い。
少しの間様子を見よう。
もし、紗希ちゃんと明日美ちゃんが光の手駒なら・・・
真っ先に切り裂いてあげる・・・
くすくす・・・
雪菜はその瞬間を想像して笑みを浮かべていた。

「いらっしゃいませー」
一軒のブティックに若い女性が入ってくる。
パステルグリーンのスーツを着こなした美しい女性だ。
茶色の長い髪がつややかで同色の瞳が印象的だ。
彼女にはどういった服が似合うかしら・・・
すぐに店のオーナーは脳裏でシミュレーションを開始する。
最近はブティックを訪れる客も少なくなってしまった。
彼女の店も経営は苦しい。
だからこそ的確なアドバイスと非凡なセンスをアピールすることで、顧客を掴んでいかなくてはならないのだ。
パートで雇った若い娘がお客のほうへすぐに行く。
でも、このお客に対しては彼女では役者不足だわ。
オーナーはそう判断すると、すぐに彼女にこう言った。
「智ちゃん、私がお相手するわ」
「あ、はい。オーナー」
若いパートを下がらせて、彼女はお客のそばへ行く。
「いらっしゃいませ。これからの季節のお召し物でしたら、こちらなどはいかがでしょう」
早速彼女は売り込みを開始する。
センスのよい価格の張るものをさりげなく薦めて行くのだ。
もちろんお客の自尊心をくすぐることも忘れない。
「お客様は素敵なセンスをお持ちのようですから、こちらならお客様のお目にもかなうかと」
「うふふ・・・そうね」
うんうん・・・
掴みは悪くない。
若いようだけど、最近の娘はカードで買ってくれるから、少々値が張っても大丈夫。
月当たりにするとこの程度ですよと言えばいいのだ。
「あっちの方が好みだけど、あなたも悪くないわね」
「えっ?」
彼女は何を言っているの?
あっちって・・・智ちゃん?
どういうこと?
「うふふ・・・あなたの闇はどんなのかしら? わたしの可愛いビーストになってくれるかしらね?」
オーナーの顔を覗き込んでくるスーツの女性。
「あ、あの・・・お客様?」
「うふふ・・・少しおとなしくしててね」
オーナーの肩を掴む女性。
「えっ?」
軽くつかまれた感じだったのだが、まったく身動きできなくなる。
「お、オーナー」
店員の若い女性が思わず声を上げる。
「うふふ・・・あなたも少しおとなしくしていなさい」
パステルグリーンのスーツの女性がすっと左手を彼女に向ける。
すると彼女はそのまま意識を失ってしまうのだった。
「あ、智ちゃん・・・」
「うふふ・・・私はレディアルファ。闇の女なの。うふふふ・・・」
パステルグリーンのスーツの女性はオーナーの肩をつかんだまま妖艶に笑っている。
その足元からオーラのように漆黒の闇が立ち昇り、彼女の躰を包んで行く。
やがて・・・
闇が晴れると、そこには漆黒の全身を覆うボディスーツに身を包んだ美しい女性の姿が現れた。
「あ・・・あなたは一体・・・」
「ふふ・・・言ったでしょ。私はレディアルファ。闇に仕える闇の女」
「レディ・・・アルファ・・・」
両肩をつかまれたオーナーはまったく身動きができない。
目の前の女性の黒く塗られた唇の艶めかしさだけが目に入る。
「ああ・・・」
「うふふ・・・さあ、あなたの闇を解放しなさい。この世界を闇に包むのよ」
柔らかな感触が彼女の唇に押し付けられる。
それがこのレディアルファという女の唇であることに気がついたときには、彼女の口の中には甘い液体が流れてきていたのだった。

「あ・・・ああ・・・あ・・・」
のどの奥へ流れ落ちる液体。
とても甘い・・・
躰が痺れる・・・
力が抜ける・・・
彼女は何か夢を見るような気分だった。
34年間の人生。
それが今無意味なものになっていく。
躰が熱い・・・
胸が焼けるようだ・・・
声がでない・・・
助けて・・・
誰か助けて・・・
怖い・・・
怖い怖い怖い・・・
私は・・・
私は・・・
誰?
あれは誰?
ああ、そうだわ・・・
私が最初に勤めた服飾店の店長だわ・・・
センスの無いけばけばしいだけの女・・・
宝石と洋服を身につけるに値しない女・・・
色の取り合わせを無視したセンスには反吐が出る・・・
なぜ?
なぜ私があなたに合わせなけりゃならないの?
なぜ私がセンスの無い服装をしなくちゃいけないの?
引き立て役?
私が引き立て役?
あなたのために?
あなたなんかのために?
いやよ・・・
そんなのはいや・・・
色が欲しい・・・
とりどりの色が欲しい・・・
さまざまな色を身につけて輝きたい・・・
色が・・・いろいろな色が・・・

オーナーの躰がガクガクと震える。
ビキビキと皮膚が変化する音が聞こえる。
開けた口から舌が飛び出ている。
「あ・・・あああ・・・」
眼球が飛び出し、メガネを押し上げて行く。
顔色がじょじょに緑色になり、皮膚がうろこ状に硬くなっていく。
「あがああああっ」
叫び声を上げて着ている服を引き裂いていく。
素肌は全て緑色に染まり、スカートからは太い尻尾が現れてくる。
額からは二本の角が突き出してきて、メガネは突き出した眼球に押されて床に落ちた。
「ゲゲ・・・ゲ・・・」
左右に広がった口からは牙が覗き、飛び出していた舌は床まで届く長さとなる。
わずらわしそうにスカートを引き裂いた彼女はその変化した肉体をあらわにした。
「くすくす・・・あなたはカメレオンなのね? カメレオンビーストってわけか」
少し下がって彼女の変化の様子を見ていたレディアルファの前で、今、かつてこの店のオーナーだった女性は醜いカメレオンへと変化し終わった。
「ゲゲ・・・ゲ・・・」
両手を掲げて鋭い爪をかざすカメレオンビースト。
「うふふ・・・可愛い娘。さあ、暴れなさい。飢えを満たしなさい。街に恐怖を振りまきなさい」
緑色のうろこ状の皮膚をそっと優しく撫でるレディアルファ。
「ゲゲ・・・カシコマリ・・・マシタ・・・」
長い舌をシュルルルと出し入れしながら左右の目をきょろきょろと動かしている。
その目が床に倒れている若い女に注がれた。
「ゲゲ・・・ゲ・・・」
「うふふ・・・いいわよ。たっぷりと飢えを満たしなさい、カメレオンビースト」
レディアルファの冷たい笑みが店の鏡に映っていた。
  1. 2006/10/09(月) 22:14:39|
  2. ホーリードール
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勝負は明日に・・・

パ・リーグのプレーオフは一勝一敗の五分になりましたねー。

西武が先勝したものの、今日ソフトバンクが勝ったことでタイに持ち込みました。

明日、最後の勝負が行なわれます。

この勝者が、日本ハムに向かってくるんですよね。
どっちが来るのかな。

日本ハムはちょっと試合から離れているのが気になりますね。
打撃陣が調子落としているっぽいし・・・

なんにしても初戦が大事。
調子を上げて勢いをつけてくる相手ですからね。

プレーオフは大変そうです。

それではまた。
  1. 2006/10/08(日) 21:41:31|
  2. スポーツ
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メッセTRPG追加ルールです

メッセで行なっているTRPGの追加ルールを紹介しますね。

まずは追加職業です。

吟遊詩人・・・必要最低数値、器用4以上&精神9以上
呪歌を使って魔法と似たような効果を得ることができる職業です。
戦闘には向いていませんが、盗賊並みに後方での支援はできるでしょう。
武器や防具には制限があります。
呪歌を使うことができます。
呪歌は効果が現れるまでに数ターンかかる場合があります。

使用可能武器は盗賊と同じです。
使用可能防具も盗賊と同じです。

呪歌
レベル1
1)子守唄(スリープソング)・・・使用コスト3
魔術師呪文の眠り(スリープ)と同じですが、歌を聴いたもの全てに影響が現れます。
術者の前面以外の位置にいるものは抵抗値に+2することができます。
呪歌の発動は次ターンの最初です。

2)癒しの歌(ヒーリングソング)・・・使用コスト3
歌を聴いているもの全てに僧侶呪文の癒しと同じ効果が発生します。
発動は次ターン最初です。

3)応援歌(チアーソング)・・・使用コスト4
歌を聴いている全てのものが命中に+1、ダメージに+1のボーナスを余分に受け取ることができます。
発動は2ターン後の最初です。
効果は歌っている間です。

4)守りの歌(プロテクションソング)・・・使用コスト4
歌を聴いている全てのものが回避値と抵抗値にそれぞれ+1のボーナスを得ます。
発動は2ターン後の最初です。
効果は歌っている間です。


続いて種族です。

1)エルフ
美しく華奢な姿をしており、耳が尖っているのが一般的です。
魔法に興味があり、魔法のアイテムが大好きです。
身長は150から165センチぐらい。
体重も50キロ前後です。
冒険者として森の外へ出てくるエルフはごく少数であり、普通は森の中の隠れ里に住んでいます。

戦士、僧侶、魔術師、吟遊詩人になることができます。
盗賊、モンクはなれません。

数値の決め方は以下の通り。

運動・・・2D6(2から12のいずれか)
器用・・・2D6(2から12のいずれか)
精神・・・1D6+6(7から12のいずれか)
HP・・・3D6プラスマイナス運動ボーナス(2から20のいずれか)
MP・・・3D6+4プラス精神ボーナス(7から24のいずれか)

2)ドワーフ
背が低くがっしりとした体格が特徴です。
ガンコで美味しい食事と美味しい酒に目がありません。
身長は120センチほど。
体重は65から80キロぐらい。
洞窟や穴居住宅などに住んでいます。

戦士、僧侶になることができます。

数値の決め方は以下の通り。

運動・・・1D6+6(7から12のいずれか)
器用・・・2D6(2から12のいずれか)
精神・・・2D6(2から12のいずれか)
HP・・・3D6+4プラス運動ボーナス(7から24のいずれか)
MP・・・3D6プラスマイナス精神ボーナス(2から20のいずれか)

3)ハーフリング(ホビット)
小柄な種族で少々耳の尖った子供のように見えることがあります。
楽しいことが大好きで楽天的です。
身長は90センチぐらい。
体重も30キロ前後です。
やはり集落を作って暮らしています。

戦士、盗賊、吟遊詩人になることができます。

数値の決め方は以下の通り。

運動・・・2D6(2から12のいずれか)
器用・・・1D6+6(7から12のいずれか)
精神・・・2D6(2から12のいずれか)
HP・・・2D6+1プラスマイナス運動ボーナス(2から15のいずれか)
MP・・・3D6プラスマイナス精神ボーナス(2から20のいずれか)

これで種族も使えるようになりましたので、またプレイの幅が広がると思います。

それではまた。
  1. 2006/10/07(土) 19:27:21|
  2. TRPG系
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機雷なんて嫌いだぁ

のっけからくだらない駄洒落ですみません。m(__)m
まあ、機雷に当たって死んだりしたら、たいていはこう思うとは思いますが。(笑)

明治37年。
大日本帝国は北方の大国ロシア帝国と戦争状態に入ります。

大陸での戦争であったため、日本は陸軍の兵士や物資は日本海を越えて送り込まなければなりませんでした。
そのため、日本海軍はなんとしても日本海の制海権を確保しなくてはなりませんでした。

当時海軍戦力の中心は戦艦でした。
30センチクラスの主砲を持ち、一万トンを超える大型の戦艦の保有数がそのまま海軍力として計られる時代だったのです。

日本海軍は当時戦艦六隻を中心とした艦隊を一個備えておりました。
このワンセットを揃えるだけでも日本は国力のかなりの部分を傾注し、公務員の給料の一部を戦艦の建造費に当てたぐらいでした。

一方のロシアは戦艦中心の艦隊を二個保有しておりました。

一方は有名なバルチック艦隊。
ただ、最新鋭の戦艦を含んだこの艦隊は、遠くバルト海におりました。
つまり、ヨーロッパを相手にした艦隊でした。

もう一つが旅順艦隊。
旅順という良好な軍港と要塞に護られたこの艦隊もまた戦艦を中心とした日本艦隊に匹敵する艦隊でした。

艦隊の数は二対一。
つまりロシアの方が圧倒的に有利です。
しかし、これを各個撃破できれば、日本にも勝機が生まれます。
このため、日本はまず旅順艦隊を撃破することを考えました。

しかし、ロシア海軍はもちろん各個撃破されることなど望んではおりません。
旅順艦隊(ロシア太平洋艦隊)司令官スタルク中将は艦隊を温存し、やがて太平洋へやってくるバルチック艦隊と合流。
圧倒的艦隊戦力で日本海軍を撃破しようと考えます。

日本軍は駆逐艦の夜襲で敵艦隊を混乱させた上でおびき出し、旅順港外で一気に決着をつけるべく、開戦当初に奇襲を行ないました。

この攻撃で駆逐艦の魚雷により、ロシア海軍の戦艦数隻に損傷を与えたものの、ロシア艦隊はかえって出撃してこなくなってしまいます。

そこで日本海軍は今度は旅順軍港の口を閉ざそうとしますがこれも失敗。

しかし、一方的に攻撃を受けていたロシア艦隊は士気が低下しスタルク中将は解任されます。

後を継いだのが名提督と名高いマカロフ中将でした。

マカロフ提督は水兵からのたたき上げで、実績は抜群。
提督となったのも引き立てなどではなく実力でした。

また、二度の世界一周航海や北極圏の航海など海洋冒険家としても名高く、海洋学者としても著名でした。

さらに海軍戦術の大家であり、日本の東郷提督始め、主だった海軍軍人はその著書を愛読していたといわれます。

そんな実力家のマカロフ提督は、着任と同時にロシア艦隊を立て直します。
水兵たちはマカロフの着任を喜び、士気は瞬く間に上昇。
マカロフも艦隊保全よりも一戦交えることを計画します。

一方日本艦隊は旅順港内へ戦艦の主砲による間接砲撃を実施しておりましたが、港内を観測できる観測所が無いため、めくら撃ちにならざるを得ませんでした。
(この観測所が欲しいので陸軍に203高地を落として欲しかったんですね)

マカロフはこれに対しても、観測所を設けて逆に港内の戦艦群から間接射撃を行なって、日本艦隊を追い払います。

日本はここにいたり二回目の旅順閉塞作戦を行いますがこれも失敗。
ついに港の入り口に機雷を敷設することにしました。

明治37年4月13日。
偵察に出てきたロシア駆逐艦が機雷敷設支援中の日本の駆逐艦に攻撃を受け撃沈されます。

これにマカロフは怒り、巡洋艦を差し向けて日本軍の駆逐艦を蹴散らそうとしました。
一方日本軍も巡洋艦隊が応戦、マカロフはついに自ら戦艦群を率いて出港します。

日本軍はしめたとばかりに旅順艦隊を戦艦部隊の方へ引き寄せようと画策。
マカロフもそれに応じ、港外へ出撃。
日本軍の戦艦隊と遭遇します。

遠距離砲戦は双方ともに損害少なく、マカロフは避退のために旅順港へ戻ろうとしました。

無事に旅順港へ戻ってきたその時、マカロフの乗る旗艦ペトロパブロフスクが機雷に接触。
轟音とともに爆沈します。

マカロフの死はロシア艦隊に大衝撃を与え、以後旅順艦隊は旅順港から出なくなってしまいました。

この引きこもり状態のロシア艦隊を排除するために、旅順攻撃が行なわれることになるのですが、それはまたいずれ。

それではまた。
  1. 2006/10/06(金) 22:28:01|
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出発

ボトムズストーリーの二回目です。

お楽しみいただければ幸いです。

2、
ふう・・・
やれやれだわ。
私は薄暗い町の雑踏に身を置いた。
ク・ローウンの町。
饐えた金属のさびが彩る背徳の町。
メルキアのウドにも匹敵する闇の町。
バトリングに一喜一憂し、意味の無い大金が乱舞する。
でも、私たちには回っては来ない。
バトリングから抜け出したくても金が無くては抜け出せない。
ATのパイロットは生かさず殺さず。
興行が成り立たなくなるようなことは行なわれないのだ。
私は道の端で店を出してる屋台に入り、串焼きを手に入れる。
ここク・ローウンではなかなかいける食べ物の一つだ。
「あいよ。50ギルダンだ」
えっ?
「な、何よそれ? 昨日まで20ギルダンだったでしょ?」
「いやなら食ってくれなくてもいいんだぜ! 材料が不足気味なんだ」
店の親父が不機嫌そうにこちらをにらむ。
ふん、材料って言ったって、そこらをうろついている野良ロロガスじゃないの。
「わかったわよ」
私は仕方なく50ギルダンを払って串焼きにかぶりつく。
美味しい・・・
ソースがピリッとしていい味なのよね。
でも50ギルダンは高い。
クソー。
毎日のように価格が変動する。
安定とは程遠いこの町。
犯罪が多発し、人が死んでいく。
私は食べ終わった串を道端に投げ捨てた。

「よう、姉ちゃん。一晩いくらだ?」
酔って酒瓶を片手に下げた親父が酒臭い息を吐きかけてくる。
私は無視を決め込み、通り過ぎようとしたが、親父は肩を掴んでくる。
「待てよ、姉ちゃん」
「・・・離せ」
私は肩越しに振り向いて親父をにらみつけた。
「う・・・」
親父はおずおずと手を引っ込める。
私はそのまま親父を無視してその場を後にする。
「ケッ、バカヤロー」
親父の怒鳴り声が背後で響いた。
やれやれだわね。

「やはりここにいたか、アイスブルー」
しけた酒場でグラスを傾けていた私の背後から声がかかる。
振り向くと赤い気密服、つまりはATのパイロットスーツに身を包んだ背の高い男が立っていた。
「ターロス大尉殿?」
私は驚いた。
ギルガメス軍アーボイン星系駐留軍第5機甲大隊時代の私の上官だ。
アイスブルーというあだ名も、私の目が冷たさを湛えた氷のような青さだということで彼が付けたもの。
髭もじゃの顎はあれ以来変わっていない。
「大尉殿、どうして?」
私は思わずカウンターから立ち上がると敬礼をしていた。
悲しい性だわね。
「楽にしろよ。もう戦争は終わったんだ。俺も軍を退役した」
つかつかと私のそばにやってくるターロス大尉。
酒場の連中は一斉に私たちの方を見ているが、仕方が無い。
「ハッ、しかしどうして?」
私は右手を下げ、大尉に席を用意する。
「お前を探していたんだ。アイスブルー」
「私を?」
私は酒場の親父に大尉の分の酒を用意してもらう。
「ああ、どうだ? 金は欲しくないか?」
金?
もちろん欲しい。
金さえあればこんなところでバトリングなんかはしていない。
でも・・・
「金は欲しいですが・・・どういうことですか?」
「AT乗りを探している。ある会社の仕事でな」
グラスを傾けるターロス大尉。
なるほど・・・
後ろ暗い仕事というわけか。
どうしたものか・・・
「お前なら100万ギルダン出そう。どうだ」
100万ギルダン?
バトリングをやっていては手に入らない金額だわ。
私は決心する。
「わかりました」
「そう言ってくれると思ったよ。これは手付けだ。三日後までに宇宙港へ来い」
ターロス大尉がグラスを空にする。
「宇宙港?」
「ああ、詳しくは宇宙へ出てからだ」
「わかりました]
私も一気にグラスを空にした。
また、硝煙の臭いが私を待っているのだ。
席を立ったターロス大尉を私は黙って見送った。

眼下に小さくなっていく惑星テクトン。
すでにシャトルは軌道上の貨客船に接近している。
行く先はわからない。
宇宙港に来た私を待っていたのはターロス大尉だけ。
パイロットスーツに身を包んだ大尉はシャトルのチケットを私に渡すと、無言で先に立って歩いていく。
私も黙ってその後に従うしかない。
すでに私の身は大尉に預けられたのだ。
余計なことは聞く必要は無い。
そうして私はシャトルに乗り込んだのだった。
着慣れないパイロットスーツは息苦しい。
「マッチメーカーは素直に手放してくれたか?」
「いいえ」
私は大尉の質問に即答する。
そう、サゴンはなだめたり脅したり必死になって引き止めてきた。
ただ、幸い私の場合はサゴンの口車に乗ってうかうかと専属契約をしてこなかったので、バトリングを離れることに支障はなかったのだ。
最後はグダグダと文句を言われたものの、私はサゴンと縁を切った。
まあ、この仕事がうまくいけば、独立してやっていくための頭金ぐらいにはなる。
うまくいけばだが・・・
「わかっているとは思うが、これは作戦行動だ。これから一定期間お前はある作戦に従事してもらうことになる。いいな?」
「わかっています、大尉殿」
私はうなずいた。
AT乗りを集めて一人100万払うというのだ。
傭兵として働けということなのだ。
そう・・・血と硝煙の世界。
あの血なまぐさい世界が待っている。
私はなぜか心がはやるのを感じていた。
  1. 2006/10/05(木) 22:00:27|
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負けたー

国体で高校野球の決勝戦がありましたね。

皆様ご存知の通り駒大苫小牧と早稲田実業でした。
まさに仕組んだような決勝戦ですが、またしてもハンカチ王子にしてやられましたねー。

1-0というスコアはまさに紙一重。
田中君の力投報われずという結果になっちゃいましたが、斉藤君が上手だったということでしょう。

高校での対戦はこれで終了。
斉藤君は大学。
田中君はおそらく楽天でしょう。

数年間は対戦が無いわけですが、まさにプロ入り後が楽しみですね。
斉藤君がそのままメジャーに行っちゃったりしないといいなぁ。

それにしても田中君は、来年すぐには無理でしょうけど、来年後半ぐらいには一軍に上がってくるんじゃないでしょうかね。
楽天戦が楽しみです。

それではまた。
  1. 2006/10/04(水) 21:28:02|
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確かに成型炸薬はね。

私の好きなマンガの一つに園田健一作の「GUN SMITH CATS」と言うマンガがあります。

連載再開して「GUN SMITH CATS BURST」としてコミックスも出ているんですが、最新の3巻目ではRPG-7が出てくるんですよね。

最近は映画などでも使われたりするために、結構知名度が上がった携帯型兵器だと思うんですが、対戦車用の成型炸薬弾頭を撃ち出す兵器です。

無反動型のロケットランチャータイプなので、いわゆるバズーカに近いものと思っていただければいいんですが、弾頭の破壊力が大きく、戦車も装甲車も対成型炸薬弾対策を余儀なくされることになりました。

発射時に後方に発射炎が出るので、後方に燃えるものや壁などがあると射手はひどい目に遭っちゃうわけですが、映画などでは平気で車内などから撃っていたりして結構笑えちゃいます。

その点さすがに園田さんはマニアックな方でもあり、きちんとRPG-7の発射を紙上で見せてくれますね。

しかも、成型炸薬弾の特徴であるジェット噴流による内部破壊という面もしっかり生かしてあり、車外に向けてジェット噴流を逃がすことで車内の人間の被害がほとんど無いという状況まで見せてくれるんですよね。

まあ、実際にはRPG-7には対人及び軟目標向けの榴弾弾頭もあるとのことなので、マンガ内のような状況ですとそちらを使ったほうがいいんでしょうけど、対戦車兵器で撃たれたらひとたまりも無いですよね。

もともとはドイツ軍が第二次世界大戦中に使ったパンツァーファウストがベースであり、旧ソ連軍が、使い捨てだったパンツァーファウストの弾頭をはめ込み直せるようにしたものというのがRPG-7と思ってもらっていいのかな。

安価で手っ取り早く強力な対戦車火力が手に入るので、テロリスト御用達みたいなところもあり、映画などでは悪役が使うことが多いですよね。

旧ソ連製兵器の安価でそこそこの性能という特徴をまさに具現したような兵器であり、AK-47アサルトライフルとともに世界の紛争には顔を出す兵器ではないでしょうか。

それではまた。
  1. 2006/10/03(火) 21:33:36|
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ライセンス生産なんかしなくても

第二次世界大戦後半。
ヨーロッパ上空で猛威を振るったのが、ノースアメリカン社製単座戦闘機P-51です。

抜群の航続力と空戦性能を持つこの戦闘機は、大戦中盤に戦場に現れてから、ドイツ空軍にとっては疫病神みたいな戦闘機だったかもしれません。

しかし、この優秀な戦闘機はアメリカ空軍の要求によって作られたものではありませんでした。

第二次世界大戦が始まったころ、アメリカ製の航空機はヨーロッパでは評価が低いものでした。
スピットファイアやBf109に匹敵するような戦闘機は無く、カーチス社のP-40のみがそれなりの評価を受けていたに過ぎませんでした。

そこで対独戦に備えて英国はP-40をアメリカに求めましたが、さすがのアメリカもカーチス一社では要求に答えられるものではありませんでした。

そこで英国は練習機などで好評を得ていたノースアメリカン社に、カーチス社からライセンスを受け取りP-40を生産しないかと持ちかけました。

しかし、ノースアメリカン社は自社の名誉にかけてP-40を上回る新型戦闘機を作って見せると言います。
英国はそれを了承。
ノースアメリカン社に新型戦闘機を任せます。

新型戦闘機は1940年の9月には初飛行し、すぐに生産に移されます。
英国空軍に配備された新型戦闘機はマスタングと呼ばれ、その長大な航続力と低空での運動性により、偵察機や地上攻撃機として使われました。

その後ロールスロイス製のエンジンを搭載することでマスタングは大幅に性能アップ。
高空での運動性能も素晴らしいものになります。

その性能に惚れ込んだ米軍もこの新型戦闘機を正式採用。
P-51という型式番号を与えられ、米軍の制空戦闘機として使用されることになりました。

B-17の爆撃行にも追随できる航続距離を持ったP-51は、ドイツ本土爆撃の護衛機として活躍します。

大戦後半の戦闘機として抜群の性能を持ったP-51はその後朝鮮戦争にも使われますが、さすがにジェット機が主力となった制空戦闘にはもう使えなくなり、対地攻撃などに使われました。

このP-51の成功はノースアメリカン社に自信を付けさせ、後にF-86という名ジェット戦闘機を生み出すもとになったんですね。

それではまた。
  1. 2006/10/02(月) 22:18:15|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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