第一次世界大戦で活躍した潜水艦ですが、もちろんその後各国ともにその改良や運用方法を改善してきたことはいうまでもありません。
無制限潜水艦戦争、いわゆる潜水艦による通商破壊戦を考慮したドイツは、高価な魚雷は商船相手にはもったいないということで、88ミリ砲を搭載し浮上砲撃で沈めるというやり方をとろうとします。
もちろんこれは、第二次世界大戦では航空機などによる対潜攻撃が盛んになった中期以降は使えない攻撃方法でしたが、潜水艦に大砲を載せて敵艦船を攻撃するというのは、第二次世界大戦が始まる前までは各国が考えていたことだったようです。
その考えの究極の一つがフランス海軍が1934年に竣工させた潜水艦「シュルクーフ」でしょう。
当時世界最大のこの潜水艦は、水上排水量が3300トンもありました。
ちなみに、ドイツのUボートは一番数多く作られたⅦC型で760トンぐらいですから、いかに潜水艦として大きかったかということですね。
それもそのはず、この「シュルクーフ」には重巡洋艦と同じ20センチ砲が2門搭載されていたのです。
上部構造物に固定されているため、旋回することはできませんが、いきなり駆逐艦よりも大きな潜水艦が浮上してきて、重巡洋艦の主砲を撃ったらそりゃあ驚くことでしょう。
フランスはこの潜水艦で通商破壊を行なうつもりだったようですが、商船相手には強力すぎるこの主砲をどう使うつもりだったんでしょうね。
まさか巡洋艦と撃ち合うつもりでは無いでしょうし・・・(そんなことするぐらいなら魚雷を使うでしょう)
実際フランスもあまり使い勝手がよくなかったのか、同型艦は造られませんでした。
実際に第二次世界大戦が始まったとき、「シュルクーフ」には出番がなく、そうこうしているうちにフランスはあっけなくドイツに降伏。
「シュルクーフ」はフランスを脱出し、イギリスに向かいますが、イギリスによって拘留。
その後自由フランス軍の潜水艦としてメキシコ湾で哨戒行動中に、なんとアメリカの商船と衝突。
あっけなく沈没してしまいます。
商船を沈めることを期待された潜水艦が商船に沈められる・・・(まあ、攻撃されたわけではないですが)
これもまた戦争の皮肉かもしれませんね。
それではまた。
- 2006/09/07(木) 21:54:12|
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