はあ・・・
書けないなぁ・・・
スランプかなぁ・・・
ここのところSS書く気力が出てきません。
夏バテ?
はあ・・・
ということで、言い訳がましく少ししか書いていないことを正当化?
ほんのちょっとですが、どうぞー。
「動いた!」
栗色の髪のパーシス少尉が叫ぶ。
「全艦戦闘配備!」
「要塞からも通信です。各艦戦闘配置に着けとのことです」
「了解したと伝えろ」
リーザがすぐさま指示を下す。
「連邦軍はNフィールドより攻撃を開始するようです。空母ドロスを中心としてこれを迎撃せよとのことです」
「うむ、モビルスーツ隊を発進させる。補給作業は終わったのか?」
「補給作業、終了しました。ローネフェルト大尉に来て欲しいとのことです」
「了解した。今行く」
私はノーマルスーツのバイザーを閉める。
『マリー』
?
艦橋を出て行こうとした私は振り返った。
『死んじゃだめよ』
振り返りもせずにただ片手を上げて送ってくれるリーザ。
「了解」
私は大きくうなずいた。
「二人とも準備はいい?」
『準備完了しています』
『いつでもいいですぅ』
二人の元気な声が流れてくる。
私は各部のチェックを済ませた後、YMS-15を発進口に向けた。
「YMS-15ギャン、アマリア・ローネフェルト発進する」
『大尉殿、発進どうぞ。ご武運を』
「ええ、あなたもね」
ブリュメルの通信担当士官はウルリカ・レーンクビスト少尉。
学校を出てすぐにこのブリュメルに配備された新米少尉だが、今はもう充分に中堅士官としての実力を備えていると言っていい。
宇宙に出て一ヶ月あまり。
私にとってはこのブリュメルは我が家のようなものだ。
失いたくは無い。
発進口にグリーンのランプが灯る。
私はスロットルレバーを倒し、15を虚空に飛び出させた。
「編隊を組んで。われわれは空母ドロスの隊と合流し、Nフィールドの敵を迎撃するわ」
『『了解!』』
私の背後にピッタリと付く二人の09R。
私たちの周囲にはこれまで見たこと無いほどのモビルスーツがひしめいてきている。
『すごい・・・』
パットのつぶやきが聞こえる。
この数に圧倒されたのだろう。
確かにこの数はルウムを思い出させるものがあるわね。
あの時は私もまだ06Cに乗っていたもの・・・
まだ一年しか経っていないのに、もう十年前のような気がするわ。
『モビルスーツ隊は第二ラインまで進出。侵攻して来る敵を攻撃せよ』
ドロスからの命令が各モビルスーツに伝えられる。
「聞こえたわね? 第二ラインまで出るわよ」
『了解です』
『了解ですぅ』
二人の返事を聞きながら、私は周囲を確認する。
ブリュメルを含めた艦艇は、要塞砲とともに支援砲撃に徹するため後方待機。
その中心には巨大で何段もの発進口を備えた空母ドロスが鎮座していた。
周囲には各戦線からかき集められたモビルスーツの群れ。
驚いたことにMP-02Aのようなモビルポッドのほか胴体左右にロケット弾を装備したガトルタイプの戦闘爆撃機も多く飛んでいる。
持てる全てがここに集められたと言っていいのかもしれないわね。
『来ますよぉ』
アヤメが相変わらずの優しい声でさりげなく警告する。
正面には連邦軍の大艦隊がこちらに向かってくるのが映し出された。
私は思わず苦笑する。
これでカスしか残っていないですって?
じゃあ、私たちの数はカス以下じゃない。
『これより突入します!』
腹に巨大なミサイルを抱えて向かってくる連邦軍の突撃艇に向かい、ガトル隊が攻撃を開始する。
戦闘の火蓋が切られたのだ。
一瞬にして両軍の数機が爆散する。
ガトルがミサイルを放ち、連邦の突撃艇からも大型ミサイルが放たれる。
私はシールドのロケット弾をいっせいに発射する。
ずしんと言う軽いショックとともに56発のロケットが炎を吹いて飛んで行く。
こちらに向かってきた三機の突撃艇が火だるまと化した。
漆黒の戦乙女
最後のコメントということになりますかね
私も現在スランプ状態です、いつものように書き出しに悩んでおります
ローネさんの感想、自分たちがカス以下って言うのは、あの演説そのままに取るとそうなっちゃいますよね
きっと親ギレン派は優良主たる自分たちからすれば…なんて鼓舞してそうですが
向こうでのSSも期待しておりますよ~
8月1日 21:46
舞方雅人
>>漆黒の戦乙女様
お互いにつらいところですね。
新しいSSに取り組んでみようかと考えております。
今までのSSに少し行き詰まりを感じているのは確かなので。
困ったものです。
8月1日 22:31
- 2006/07/31(月) 21:26:36|
- ガンダムSS
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現在の米軍ですと、歩兵師団にはそれぞれM1戦車を装備した戦車大隊が配属されており、歩兵と戦車は密接な関係で行動をしております。
しかし、第二次世界大戦のあたりですと、戦車を潤沢に装備できた米軍以外の国では、戦車は機甲(装甲)師団にまとめて配備されるのが普通でした。
歩兵師団の歩兵たちは軍団や軍を通して戦車を回してもらうことで、戦車と行動をともにできたのです。
歩兵師団にはせいぜいがトラックや装甲車が配備されるのが関の山でした。
もちろん、日本帝国陸軍の歩兵師団とて例外ではなく、歩兵師団には戦車などは配備されるものではありませんでした。
しかし、日本陸軍の歩兵たちには、身近で心強い装甲車両があったのです。
94式軽装甲車です。
第一次世界大戦は塹壕での戦いとなりました。
歩兵は塹壕に身を潜め、敵の銃砲火に耐えつつ、じっとチャンスをうかがうというのが戦争だったのです。
塹壕でのにらみ合いでは頭を出すこともままなりません。
塹壕内の兵士たちに弾薬などの物資を補給するのは非常に危険をともなうことでした。
そのために第一次世界大戦の後、世界では小型装甲牽引車が作られるようになりました。
機関銃弾や小銃弾を跳ね返しながら塹壕の周囲を走り回り、後部の荷室や牽引している荷車からの弾薬や物資を届けるのです。
94式軽装甲車も本来はそういった目的のために作られた小型牽引車でした。
しかし、ある程度の戦闘力を与えるために搭載された銃塔が、この車両を日本陸軍の歩兵にとって頼もしい車両に感じさせることとなったのです。
むちゃくちゃ薄いとはいえ装甲されている94式軽装甲車は、中国軍の機関銃や小銃弾にはある程度の防御力を持つことは言うまでもありません。
しかも、もともと歩兵用の弾薬運搬車ですから、歩兵師団に配属されており、わざわざ軍に支援を仰がなくても師団長の判断で使用できました。
94式軽装甲車は師団にとってはなくてはならない装甲車両となったのです。
機関銃一丁の火力でしたが、歩兵の先頭に立って中国軍に向かう様は、歩兵にとってはまさに戦車以上に頼もしかったのではないでしょうか。
軽い車両で大きさも小さいためにトラックに載せることもでき、専用の輸送車両が要らないことも稼働率を上げる一因でした。
ある意味世界中で最も活躍した豆タンクだったのです。
まあ、逆に言えば、この程度の車両を稼働させるのが日本陸軍の限界だったということも言えるかもしれません。
小ぢんまりとまとまったその姿は結構可愛らしく、私は日本軍の装甲車両の中で一番好きと言ってもいいですね。
こういった車両もあったんだと思ってくれれば幸いです。
それではまた。
- 2006/07/30(日) 21:54:23|
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最近は魔術書が人格を持って可愛い女の子になったりするのが流行のようですが(ニトロプラス「デモンベイン」参照)、ホラー小説の代名詞ともなっているのがパルプ雑誌「ウイアード・テイルズ」にハワード・フィリップ・ラヴクラフトが書いていたクトゥルー関連の小説ですね。
ラヴクラフト自身がどう考えていたかどうか定かではないですが、彼の友人や彼の後に続いた作家たちがこの作品群を神話体系としてまとめました。
まあ、そのおかげでいろいろと辻褄が合わないこともあるみたいですけどね。
水の神様が水の底で身動きできないらしいですからね。(笑)
一般的にはクトゥルーと呼ばれていますが、CTHULHUと言うスペルもどうもいろいろと読み方があるようで、クシュリュー・クトゥルフ・クリルリル・はては表題のようにク・リトル・リトルと読んだりすることもあるようですね。
TRPGにもなっていて、私も大好きなんですが、最近やっていないなぁ。
かつてはホビージャパン社から箱入りで出ておりまして、私はそのシリーズを揃えておりました。
最近はエンターブレイン社が出し直したみたいです。
このシステムの特徴はやはり正気度というものがあることでしょうか。
いろいろと恐怖を味わうたびに減って行き、最後には0に至ると発狂するわけなんですが、シナリオにでてくるNPCの中には、最初から正気度が0で邪悪な存在を心から信じ仕えている者も多いです。
キャラクターにとっては、恐怖を味わいじわじわと自分が狂気に陥って行くのを肌身に感じていくわけですが、どういうわけかプレイでは爆笑になることが多いです。(笑)
「うわー、5も減ったー!!」
「一時的狂気だー!!」
とか言いながら笑っちゃうんですよねー。
モンスターも吸血鬼や狼男といったモンスターも使えますし、もちろんクトゥルフ系列のモンスターも使えます。
面白いシナリオを作って、プレイヤーにちょっとの恐怖と爆笑を与えられれば大成功かな。
またやりたいなぁ。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2006/07/29(土) 22:18:56|
- TRPG系
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昨日今日と部屋の整理に没頭しておりまして、暑さとともにへばっております。
本棚の中の月間ゲーム雑誌3年分とコミックス50冊以上一気に処分いたしました。
本って重いですよねー。
先ほどそれらを持って古本屋へ行ってきました。
私の売った本がまたどなたかの役に立ってくれるといいですね。
結構なお金になりましたよー。
「トリコロ」の多汰美ちゃんじゃないですが、焼肉焼肉ぅ・・・特選焼肉ぅってぐらいにはなりました。(笑)
まあ、だからと言って、護衛艦一隻買えはしませんが。
そんなこんなでSSは書けておりません。
明日、明後日で書きたいですー。
今日はこんなもんで勘弁してください。
それではまた。
- 2006/07/28(金) 21:48:33|
- 日常
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今日はへばっています・・・
暑いさなかに部屋の片付け&不用品の放出なんぞしていたら、もうてきめんにへばってしまいました。
だらしないなぁ・・・
と、あるつてで手に入れさせていただいたエロゲーをプレイ中です。
DISCOVERY(ディスカバリー)様の「人妻戦隊アイサイガー」です。
公式サイトはこちら。http://www.discovery-team.jp/index.html
いや、結構楽しめるゲームですね。
悪の怪人とのカードバトルもそれなりに緊張感ありますし、いろいろなパロディ要素も満載です。
まだ数種類のエンディングしか見ていないのですが、その中にキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! と言うのがありました。(笑)
エンディング名「魔教戦隊アクサイガー」
ヒロインをはじめとしたアイサイガーの面々が敵に捕らえられ洗脳調教を受けてしまうのです。
残念ながら洗脳調教のシーンはありませんが、悪コスに身を包み悪の戦士となったヒロインにはもう惹かれちゃいました。(笑)
惜しむらくは悪コスがいまいち正義コスと見分けが付きづらいんですよね。
もっと思いっきり悪の女戦士っぽいコスだったらなお良しだったんですが・・・
でも、きちんと悪落ちしてくれましたし、なかなか素敵なエンディングでした。
楽しめましたよ。
さあ、これからヒロインエンドを含むグッドエンドを目指すぞー。(笑)
それではまた。
metchy
アイサイガーは自分もしっかりと?プレイしました。
あのENDはMC好きにはたまらないものがありますね。見た目分かりにくいんですが、アイシャドウのようなメイクもしていますし。ただ残念なのは、舞方さんもおっしゃいましたが、洗脳シーンが省かれていたことや、最後に3人がそろった絵がなかったことですかね。声だけでも十分妄想は可能かも・・・。
7月28日 11:01
舞方雅人
>>metchy様
妄想のおかずとしてはよかったですよねー。
もう少し悪妻ぶりを発揮してくれるとよかったんですが、あれでも滅多に見られないシーンですからね。
良くぞやってくれたと思います。
7月28日 21:58
- 2006/07/27(木) 21:16:10|
- PCゲームその他
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今日はローネフェルトをちょっとだけ送ります。
戦闘に入るのがなかなか遅くてすみません。
今日も戦闘に入りませんが、なにとぞご容赦を。
「な、なんだ? あの光は?」
「何が一体?」
モンテビデオの艦橋は戦慄した。
俺が艦橋に上がった時、その光は第一連合艦隊を直撃していたのだ。
「何があったか調べろ。全ての回線で情報を・・・」
艦長のサカッチ少佐が指示した途端、モンテビデオの各通信機器は飽和した。
『誰か~!!』
『フェーベが・・・フェーベが消滅?』
『第43戦隊は応答なし! 第28戦隊も同じく応答なし!』
『うわ・・・あ・・・』
『誰か応答してくれー!!』
『こちら戦艦ビクトリア! こちら戦艦ビクトリア! 救援を・・・救援を請う!!』
『たすけ・・・て・・・たす・・・』
『誰でもいい! 動けるものはこっちに来てくれ!!』
『フェーベ、ヒマリア、ともに応答なし。第一連合艦隊の旗艦をアリゾナに移せ!』
『キール、アストラハンともに応答なし!』
『再編を急ぎ現空域を離脱しろ! 第二射が来るぞ!』
『もうだめだ・・・もうだめだぁっ!!』
『敵が・・・敵がぁっ!!』
『開けてくれぇ!!』
「なんだこれは?」
サカッチ少佐が腰を浮かす。
通信機から聞こえるのは悲鳴と絶叫。
「スズヤに確認しろ。モンテビデオはいかがすべきか? とな」
「は、はい」
慌てて通信機に取りつく通信担当士。
「何をしている! ボールの発進準備をして置け!」
「了解しました」
俺は艦長に敬礼すると、艦橋から退出する。
『戦艦ヤマシロ、応答なし!』
背後で聞こえるその名前に俺は黙って目をつぶった。
『お姉さま、いえ、大尉殿。全軍に通信です』
「通信?」
私は何が起こったのかわからなかった。
MP-02Aの事故がまだ収まっていないのに・・・
『ギレン総帥の特別演説が行なわれるとのことです。各艦艇、各機とも通信回線を開くようにとのことです』
パットの09Rが私の15の肩を掴む。
『戻りましょう、大尉殿。ブリュメルが近くまで来ています』
「わかったわ・・・戻りましょう」
私はうなずいた。
『我が忠勇なるジオン軍兵士達よ。今や地球連邦軍艦隊の半数が我がソーラ・レイによって宇宙に消えた。この輝きこそ我らジオンの正義の証である。決定的打撃を受けた地球連邦軍にいかほどの戦力が残っていようと、それはすでに形骸である。あえて言おう、カスであると。それら軟弱の集団がこのア・バオア・クーを抜くことはできないと私は断言する。人類は、我ら選ばれた優良種たるジオン国国民に管理・運営されてはじめて永久に生き延びることができる。これ以上戦いつづけては人類そのものの危機である。地球連邦の無能なる者どもに思い知らせてやらねばならん、今こそ人類は明日の未来に向かって立たねばならぬ時である、と』
「ご苦労様」
ブリュメルの艦橋に上がった私をギレン総帥の演説とリーザの笑顔が出迎える。
「ソーラ・レイ?」
直立不動でギレン総帥の演説を聞いている艦橋要員たちの間をすり抜ける。
「光を見たでしょ? コロニーマハルを使ったレーザー砲よ」
リーザの表情がかげる。
コロニーを使ったレーザー砲?
噂に聞いていたあれが・・・ついに・・・
「いい気なものだわ・・・マハルには何百万も人がいたのに・・・」
「リーザ。それ以上は・・・」
私に耳打ちするように言ってくるリーザを私は押しとどめる。
どこで密告されるかわからないのだ。
こんな時節では、どんなことをしても総帥府に取り入っておこうとする輩もいるだろう。
「気にすることは無いわ」
「リーザ・・・」
『ジークジオン!』
スクリーンではギレン総帥の演説がクライマックスを迎える。
だが、ブリュメルの艦橋は静かだった。
「パーシス少尉、連邦軍の観測は続けている?」
「はい、艦長」
栗色の肩までの髪の女性士官がリーザにうなずいた。
「動きがあったらすぐに知らせて。おそらくこのまま引き上げたりはしないわ」
「まさか・・・いくらなんでも再編成のために後退するのでは?」
航海長のオスカー・パウルス中尉が振り向いた。
「甘いわ。連邦にしてみればここでの後退は政治的にマイナスにしかならないわ。それにソーラ・レイは連射が利かないでしょ。だとしたら後退再編成に時間をとって再度のソーラ・レイを受けるよりは一気に攻撃に転じる可能性は高いわ」
私もうなずく。
実際のところソーラ・レイによる被害を受けても、なお連邦軍の戦力は我々の戦力を上回っているのだ。
おめおめと逃げ帰ることは考えられない。
「連邦軍、二手に分かれます。やはり来るようです」
「やはりね・・・戦闘準備!」
「了解!」
私は気を引き締めた。
『あれがホワイトベース・・・』
アナスタシアのつぶやきが聞こえる。
ボールのコクピットから見るホワイトベースは白くてよく目立つ。
俺たちの乗る巡洋艦モンテビデオは戦艦ルザルを旗艦とした艦隊に再編成されることになったのだ。
その中核はホワイトベース。
連邦の白い勇者たちだ。
話によればアムロ・レイ少尉はまだアナスタシアやミスティと変わらないどころか、もっと幼い少年兵だという。
それがあの活躍ぶり。
ニュータイプだとかというのもわかる気がする。
『中尉殿・・・こんな戦力で勝てるんですかぁ?』
「エイボン曹長。大丈夫だ。確かに味方は損害を受けた。だが、被害はわずかだし、ジオンの悪あがきもそうは続かないさ。現にあの光だって一撃だけだろ?」
俺はまったくの気休めを言う。
指揮官は腹芸ができないとならないのだ。
事実はそんなものでは無い。
おそらく半分近い戦力を失ったのではないだろうか。
応答が無い戦艦だけでも二十数隻におよぶ。
だが、それを言ったところで始まらない。
いつだって希望を与えてやるのは指揮官の仕事だ。
もっとも・・・兵士というものはいつだって士官の嘘を簡単に見破るものだが・・・
『そ、そうですよね? ジオンはもうお終いなんですよね・・・』
「ああ、だからこの戦いは無理するなよ。俺たちはしっかりとやることをやればいいだけなんだ。間違っても英雄になんかなろうとするなよ」
『中尉殿も死なないで下さい・・・』
俺はどきっとした。
アナスタシア・チュイコワ曹長・・・
俺はもう生きていても仕方ないんだよ・・・
ソフィアはもういないんだ・・・
情け無い話だが、俺はソフィアに惚れちゃっていたらしい。
彼女がいるから頑張れた。
ヤマシロがあの光に飲み込まれた今となっては・・・
「大丈夫だ。みんな死なない。死ぬもんか」
俺は心にも無いことを言っていた。
姫宮 翼
有名台詞ですね。カスであるとは。
で、この後このお方は死んでしまうわけですね。
と言う事はこの後はお楽しみの展開ですか。楽しみに待っています。
足なんて飾りなんです(笑
7月27日 19:31
漆黒の戦乙女
ギレン最後の演説ですね
ギレンの演説は毎度自信たっぷりなんですが、演説を聞かせる対象が全世界(ガルマ国葬)、ソロモンが落ちた直後(高官達に向けて)、そして今回のア・バオア・クーの将兵達に向けてと周りの変化で国が負けに向かっているという表現をしているとテレビで言っていたシーンなので印象に残っております
ローネたちの運命、一番気になるのはそこでしょうねwアヤメたちとの甘いひと時をもう一度過ごすことができるのか…楽しみです
7月27日 21:48
舞方雅人
>>姫宮 翼様
レス遅くなってすみません。
AMBACさえなければ足なんぞ不要ですよねー。
偉い人にはそれがわからんのです。(笑)
>>漆黒の戦乙女様
なるほどー。
言い聞かせる相手の変化ですか。
確かに国内向けになって行きますよね。
ローネたちの運命は・・・
どうなるのかなぁ。
7月28日 21:56
- 2006/07/26(水) 22:08:23|
- ガンダムSS
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昨日ブログを更新したところ、あるお方からご指摘を受けました。
その内容は「ローマの軍艦の漕ぎ手は奴隷ではありませんよ」というものでした。
ご指摘の内容はうなずけるものであり、私も確かそんな話を聞いたことがあると思いましたので、資料に当たってみました。
その結果はまさしくご指摘の通り。
ローマ海軍のガレー船の漕ぎ手は奴隷ではありませんでした。
三段櫂船(漕ぎ手が三本の櫂で五人使うので五段櫂船ということもあり)は、当時のローマ海軍戦力の中心であり、カルタゴとの戦争であるポエニ戦争のときにカルタゴから捕獲したガレー船をモデルにして作られました。
その時に作られたガレー船はおおむね全長が40メートルほど、最大幅が6から7メートルぐらいのものでした。
乗組員は約300人。
そのうち漕ぎ手が270人ほどで、そのほかに兵士が約120人ほど乗り込みました。
漕ぎ手となったのは主に下層階級の人たちでした。
ローマの軍団兵たちは武器や鎧は自前で調達しなくてはならなかったので、そういった武器や鎧を調達できない人たちが、労働力として漕ぎ手に従事したのです。
占領地や植民地などの住民、いわゆるローマ市民権を持たない人たちも、海軍で25年間勤めればローマ市民権を得ることもできたそうです。
ガレー船の漕ぎ手に奴隷を使うようになったのは、どうも後の世であったようですね。
英国がいち早く航洋海軍へと転換できた理由の一つは、英国は早々に奴隷売買が禁じられたためガレー船だと漕ぎ手を確保できなくなったためという一面があるそうです。
まあ、映画ですから史実とは違うということなのでしょう。
不用意に映像を信じてはいけないということですね。
ご指摘どうもありがとうございました。
それではまた。
- 2006/07/25(火) 21:51:48|
- 趣味
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「ベン・ハー」と言う映画をご存知でしょうか?
結構古い映画ですが、かなり有名なアカデミー賞受賞作品ですし、何度もテレビで放映されているので見たことがある方も多いでしょう。
古代ローマ帝国を舞台にした一大スペクタクルで、主人公の波乱万丈の境遇を描いた作品ですね。
私はこの映画が好きで、録画しては何度も繰り返し見ているほどです。
しかし、中身はよく覚えていません。
チャールトン・ヘストンがなんかやっていたようなんですが、しっかり見ないんですよね。(笑)
私はこの映画の何が好きって、主人公が奴隷の境遇に落ち、ガレー船の漕ぎ手にされるところが一番好きなんですよー。
ハンマーが叩くリズムに合わせてオールを漕ぐ奴隷たち。
指揮官の指示する速度によってハンマーのリズムが変わり、それにあわせてオールの漕ぐ速度も変わって行く。
そんな中で必死にオールを漕ぐ奴隷たち。
船上では鎧を身につけた兵士たちが弓を射たりするわけですが、なんと言っても敵船を沈めるには船首のラム(衝角)をぶつけるのが一番という、当時の海戦をそのまま画面上に見せてくれるのです。
ラム戦及び切り込み戦闘という当時の海戦を画面上で見ることができる映像を、舞方はこれぐらいしか知りません。
他にガレー船の戦いが映像であるのを知っているよという方は教えていただけると嬉しいです。
というわけで、中身はどうでもいいんですが、私はこの映画が好きなわけですよ。
当時のちゃちといえばちゃちな特撮なんですが、一度ご覧になられるといいかもしれません。
それではまたー。
T-Fly
こちらのサイトの書き込みは初めてお邪魔します。
様々なSS、楽しませて頂いてます。
舞方さんの文章を拝見して、また自作品に生かせる所は参考にしたいと思います。
g-thanさんのブログにて頂いた先日のサイト情報、ありがとうございました。
ですが、画像を入手出来ませんでした。
もし、画像をお持ちでしたら、送って頂けませんでしょうか?
唐突なお願いですが、よろしくお願いします。
7月25日 20:41
- 2006/07/24(月) 22:04:30|
- 映画&TVなど
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当ブログにいつもコメントをいただき、リンクもさせていただいております「沙弥香の脳内妄想」の沙弥香様から、当ブログの一周年記念として非常に素晴らしいSSをいただきました。
E=MC^2に掲載させていただいていた、「正義の女戦士クリスタルローズ」の最終回の沙弥香様バージョンです。
クリスタルレモンをしっかりと妖女虫化させていて、非常に完成度も高く、最初に読んだ時にはこういったエンドでも良かったなと思わされてしまいました。
正直素晴らしい出来栄えで、さすがにいつも素敵なSSで皆様を楽しませていらっしゃる沙弥香様です。
ご許可をいただいたので、ここに掲載させていただきますね。
別な形のクリスタルローズのエンディング、存分にお楽しみ下さいませ。
「クリスタルパワー!」
三崎聖夜がペンダントを取り出し、高く掲げる。
ペンダントの魔力が解放され、それが巻きつくように聖夜の躰を覆って行く。
やがて魔力の渦の中から、パープルのミニスカート型のコスチュームとヘルメットに身を包んだクリスタルレモンが姿を現した。
「ふふふ、驚いたわね、その若さ・・・もしかしてクリスタルの聖女からエネルギーをもらっているのかしら?」
「・・・そういうことにしておいてちょうだい・・・あなたに詳しく答える必要などないわ!」
言うが早いか、三崎聖夜、いえ、クリスタルレモンは私に向かって飛び掛ってくる。
「はっ!」
すごい・・・
全盛期のクリスタルレモンの身のこなしだわ。
私はとっさに身をかわした。
が、胸のあたりに奇妙な圧迫感を受けた。
何・・・?
たしかに間合いは見切っていたはず。
クリスタルレモンは私に触れることなどできなかったはずだわ。
まさか ―
クリスタルレモンの手にある、変身に使用したペンダントが変形しているのが見えた。
それは、コスモソードの柄のような形になっていた。
まずいわ・・・あれは ―
それは聖女から与えられた究極のエネルギーウェポン、コズミックカッターだったのだ。
あれをまともに食らっては、いくら強靭な外骨格に守られた私の体とはいえ真っ二つ。
どうやら、彼女も必死のようだわ・・・綺麗ごとではすまなくなっているってわけね。
「あまりこういうやり方は好きじゃないのだけどね ―
あなた達は地上の平和を脅かすものとして巨大になりすぎたわ。
こちらも力の加減ができないのよ。」
やはり、そういうことか ―
「はぁっ!」
ふたたびクリスタルレモンが飛び掛る。
コズミックカッターの切っ先は真っ直ぐ私をめがけて伸びてきた。
刃先までの間合いはわかっているとはいえ、無傷ではよけられそうにない。
「くっ!」
私はそのまま急速に後退し、自分から敢えて壁にぶつかった。
ドスンッ!
そして壁を蹴り天井に向かって飛び上がる。
そのまま天井の弾力を利用して角度を変え、クリスタルレモンの脳天へ踵落としを食らわそうとしたのだが ―
「はっ?!」
滞空している私の眼下には、クリスタルレモンに捉えられたホタルナがいたのだ。
「ぐっ・・・!し、しまった!」
このまま蹴り下ろしたのではホタルナの脳天に突き刺さってしまう。
ガシャンッ!
私はホタルナの体をよけるようにとっさに体の向きを変えた。
保健室の薬品棚に、私は体ごと突っ込んでしまった。
どうにか、ホタルナに衝突することは避けられた。
「ブ、ブラックローズ様!」
ホタルナは私の身を気遣い、駆け寄ろうとするが、クリスタルレモンに拘束されているためにそれもままならない。
「ぐっ!」
クリスタルレモンの左腕が、全盛期を取り戻したパワーを以ってホタルナの首筋に食い込む。
「おっと、ごめんなさいね・・・
正義の味方たるもの、こんな卑怯な戦い方はしたくはないのだけど・・・」
どうやら2度目の攻撃は、最初からホタルナ目当てであったようだ。
クリスタルレモンの表情に心なしか苦悶の色が見える。
ふふふ・・・甘いわね・・・正義なんて・・・
ホタルナのことは心配ないだろう。
それは今に判る。
「ブラックローズ様・・・申し訳ございません・・・私がふがいないばかりに・・・」
まぁ・・・
ふふふ、なかなか役者じゃない、ホタルナったら。
「とりあえず、縁根先生が安全なところに逃げるまで時間を稼がせていただくわ」
クリスタルレモンが言う。
やはりね・・・甘いわよ、クリスタルレモン・・・
所詮正義なんてそんなもの。
くだらない正義感・倫理観に縛られて、持ちうる力の半分も発揮できないんだわ。
悪はそんなことはないの・・・悪は、ね・・・ふふふ
パァァァァァァッ・・・・!!!
突然ホタルナの全身が光りだす。
それは薄緑色の、この世のものとは思えないような美しい光だった。
「え?」
目をつぶらなければならないほどの眩しさではない。
「い、いったいこの光は?・・・・あ?・・・な、なにが・・・?」
ふふふ、もらったわ・・・
思わずクリスタルレモンは光を見てしまったのだ。
突然クリスタルレモンは崩れるようにその場に膝を突き、ホタルナの首を羽交い絞めにしていた腕も緩めてしまう。
「ふふふ、ホタルナの放つ蛍光は強力な催眠効果があるのよ」
そんな私の言葉に歯軋りをしながら悔しがるしかないクリスタルレモン。
「くうっ・・・!ひ、卑怯な・・・」
「うふふ、学園長・・・これまでですわね」
ホタルナが不敵に微笑む。
とても頼もしい妖女虫になったものだわ。
ホタルナはクリスタルレモンにトドメを刺そうと光のパワーを最大にする。
光は薄い緑色から眩いオレンジ色に変わってゆく。
この光は私たち地底帝国の者にとってはただの光だが、地上の人間どもにとっては見ているものの脳細胞をぐちゃぐちゃに破壊してしまう殺人光線なのだ。
「ぐうっ!!・・・きゃぁ!」
さすがのクリスタルレモンも、もとは生身の人間。
我が地底帝国の妖女虫に敵うはずが無い。
脳みそをシェイクされるような激痛にのた打ち回るクリスタルレモン。
ククク、正義面した人間の苦悶の表情はたまらないわね。
さて・・・
私はこの保健室に持ってきたもう一つの魔獣の核を取り出した。
「あら?・・・うふふ」
それだけで全てを察したホタルナは、私が何も言わずとも、「殺人光線」の出力を弱めていった。
「うう・・・はぁはぁはぁ・・・」
激痛から解放されたクリスタルレモンだが、すでに立ち上がる気力も、シールドを張るパワーも残っていない。
姿カタチも、もとの三崎聖夜に戻ってしまっていた。
汗だくになって仰向けに倒れているだけだ。
聖夜の豊かな胸が大きく波打ち、苦痛の大きさを物語っていた。
「ふふふ、さようなら、正義のクリスタルレモン・・・」
私は聖夜にニッコリと微笑みかけると、しなやかに波打っているその魅力的な胸の谷間へ、魔獣の核を押し込んでやる。
「ぐぅっ!・・・・ああっ!・・・」
魔獣の核は、シールドの張られていない聖夜の体の中へ、いとも簡単に埋没して行き、聖夜はそのままぐったりと気を失ってしまった。
「ブラックローズ様、もしかして最初からこのように?」
ホタルナが悪戯っぽい笑みを浮かべて聞いてきた。
頭上の触角がフルフルと小刻みに動くのがカワイイ。
「ええ、もちろんよ。
クリスタルの聖女のこと、また小細工をしてどこかにエネルギーを転送しないとは限らないでしょう。
そうしたらまたクリスタルレモンのような正義にうつつを抜かす戦士が現れるに違いないわ。
それよりも、そのままそのエネルギーをこちらの手駒として使ってやるのよ。
そのほうが賢明だからね。」
「さすがですわ、ブラックローズ様」
ホタルナはうっとりとした表情で私に寄り添ってくる。
「ふふふ・・・あ、始まったようよ」
聖夜の周囲に闇がわだかまり、瞬く間に彼女の体を包み込む。
闇の立ち込めている隙間から垣間見える聖夜の体 ―
若返った聖夜のプロポーションをさらに魅力的に見せる大きくくびれたウェスト。
臀部が鋭く競りあがり、その先端には鋭い毒針が生えてくる。
豊満で魅惑的な乳房には、その頂点を中心に同心円の模様が広がってゆく。
膝から足首まで、そして肘から手首までがそれぞれフサフサとした黒く美しい毛に覆われ、手足の指先には鋭く強靭なカギ爪が漆黒の光を放ちながらニョキニョキと伸びてきた。
目は大きな複眼となり、頭上には長い触角が伸びている。
そして、背中には大きな透明の羽が4枚、まるで美しいベールのように彼女の体を覆っている。
口元だけがかつての聖夜の面影を残すその新たな妖女虫は、残忍な肉食昆虫スズメバチをモチーフとしたものであることがわかる。
ゆっくりと私たちの前で起き上がる妖女虫。
「ふふふ、どうやら完成ね・・・気分はいかがかしら?」
私はその美しいフォルムに包まれた芸術品に声をかけた。
「ふふふ、私は妖女虫ジバチナ・・・最高の気分ですわ・・・
ブラックローズ様、これからは地底帝国に忠誠を誓います・・・
地底帝国に栄光あれ!」
こうして学園長であり正義の戦士クリスタルレモンであったかつての三崎聖夜は妖女虫ジバチナとなった。
****************
「これでこの地上に巣食うおろかな正義の使者とやらは全て我々地底帝国の手中に堕ちましたわね。」
私は大きな達成感を感じながらゲドラー様に言った。
「ふん、しかし、またいつクリスタルの聖女が新たな使者を送り込んでくるかはわからん。
まぁ、そのときはそのときだがな」
ゲドラー様は私たちに油断は禁物と戒めるが、余裕しゃくしゃくのご様子でグラスの中の琥珀色の液体を口に含む。
まったく頼もしい限りだわ。
「ククク・・・ご心配には及びませんわ、ゲドラー様」
三崎聖夜、いや、妖女虫ジバチナが妖艶な笑みを浮かべ、ゲドラー様のあとに続く。
「クリスタルの聖女からのパワーは、すべてこの妖女虫ジバチナを通して空間転送されて参ります。」
あら、ふふふ、そうだったわね。
私たちには頼もしい味方ができたのだったわ。
それも、クリスタルの聖女どもにとって最も手ごわい、ね・・・ふふふ
「ふん、なるほどな。つまりそなたを通じてパワーを我々で横取りできるというわけか。」
「ええ・・・それだけではなく、パワーを根こそぎ吸い取ってしまうこともできますわ。
次の空間転送のチャネルが開いたときがクリスタルの聖女どもの最期というわけですわ・・・ホホホ・・・」
ジバチナは手の甲を口に当て、高らかに笑った。
もはや三崎聖夜は、残忍な妖女虫ジバチナとしてクリスタルの仲間たちを根絶やしにすることに生きがいを感じているようだ。
「ふん、知らずはクリスタルの聖女だけ・・・というわけか。それもまた一興だな」
ゲドラー様はクリスタルの聖女たちの最期を予感して、満足そうに再びグラスを傾けた。
完
[異聞クリスタルローズ最終回(沙弥香様作)]の続きを読む
- 2006/07/23(日) 20:45:01|
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今日は少し早めに更新です。
この後でちょっとやることがあるものですから。
今日はローネフェルトです。
よかったら読んでやって下さいませ。
「今、どのあたりだ?」
俺はモンテビデオのパイロットルームで読みかけの雑誌から顔を上げる。
「間もなくア・バオア・クーの第三哨戒圏に入るあたりでは無いでしょうか」
編み物の手を休めるチュイコワ曹長。
物静かなクールビューティというイメージが強いアナスタシアだが、時間があるときはいつも編み物をしていることが多い。
一度誰にあげるのか聞いたことがあるが、にっこり笑ってナイショですと言われてしまった。
今編んでいるのはどうやらセーターらしい。
色から言っても男物のようだが・・・
「中尉殿! 中尉殿!」
パイロットルームに駆け込んでくるエイボン曹長。
こいつはおっちょこちょいなところがあるが、憎めない可愛い奴である。
「どうした?」
俺は立ち上がると自販機のところへ行く。
「ホワイトベースがやりましたよ。すごいですぅ」
目をきらきらさせているミスティ。
まるで自分のことのようだ。
「やったって? 何が?」
「ソロモンの亡霊ですよ。ソロモンの亡霊を撃破したんです!」
「なんだと?」
俺はコーラのチューブを取り出してキャップを開けた。
ソロモンの亡霊というのは、先日コンペイ島周辺の艦艇を次々と撃沈してくれた恐るべきモビルアーマーのことだ。
コンペイ島に残されたデータによると、どうも遠隔操作の小型機を使ってくるらしい。
殺りあいたくない相手だったが・・・そうか、ホワイトベースが殺ってくれたか・・・
「すごいわね。さすがホワイトベース」
編み物の手を止めるアナスタシア。
俺はコインを入れて二人の分も飲み物を取り出した。
「ほらよ」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
俺が投げるチューブを二人はしっかりキャッチする。
「あ、それとそれと、戦争終わりです」
「戦争終わり?」
俺は耳を疑った。
ソロモンが落ちたってキャリフォルニアが落ちたって降伏しないジオン軍だぞ。
サイド3までは終わらないんじゃないのか?
「どういうことなの?」
アナスタシアもいぶかしげにしている。
「ジオンの王様がレビル将軍に降伏して来たんですよ。間もなくフェーベに接触してくるとか。うーっ、やったぁぁぁぁ!」
万歳して飛び跳ねるミスティ。
これで戦争が終わるということで嬉しいのだろう。
「それって本当なのか? いまいち信用できないが・・・」
「謀略の可能性もありますね」
俺とアナスタシアは顔を見合わせる。
確かに謀略の可能性は否定できないのだ。
「そんなこと無いですよ。もう艦橋では戦争終わったってノーマルスーツ脱いでいますよ」
「まだ脱ぐなよ。油断はするな」
俺は急いでそういった。
確認できるまでは油断するな。
「はい、中尉殿」
慌てて黄色のパイロットスーツのシールを確かめるミスティ。
すまんな。
だが、用心に越したことは無いんだ。
「艦橋に行ってくる」
俺は情報確認のために艦橋へ向かった。
岩肌を掠めるように飛ぶ私のYMS-15。
その背後には急速に接近してくる二機の09Rがいる。
ジャイアントバズのペイント弾は私を交錯するように放たれ、ぎりぎりのところで要塞表面の岩に赤や緑をぶちまける。
やるわね・・・
私はベクトルを左右に振り分け、反転のチャンスをうかがって行く。
パットもアヤメもすごくいいコンビーネーションに育ってきたわ。
もう宇宙での戦闘には何の問題も見当たらない。
それどころか気を抜くと撃墜されちゃうわね。
私はようやく装備されたシールドからビームサーベルを抜き放つと、急速に減速して要塞の表面を蹴り飛ばす。
いきなり反転した私の15に二人の09Rは一瞬コース取りにためらいを見せる。
こういった場合には二人という点がかえって不利に作用しかねないのだ。
私はまっすぐにアヤメの09Rに突っ込んで行き、ビームサーベルを作動させずに突き出した。
『あうぅ・・・やはりお姉さまはさすがですぅ』
アヤメの声がしょげている。
そりゃね。
負けるわけには行かないじゃない。
『イヤァァァァァッ』
ヒートサーベルを振りかざして突っ込んでくるパットの09R。
私の教えを忠実に守っているわね。
近接戦闘は勝利した一瞬気が抜けるもの。
本当に危険なのは敵を切り伏せた後なのだ。
「ごめん」
私はアヤメの09Rを蹴り飛ばして位置をずらす。
直前にいた位置を狙いたがわずパットの09Rは切り裂いた。
すかさず私はシールドのロケット弾を模擬発射する。
コンピュータの計算が当たり判定を下し、パットの09Rは脚部損傷とみなされた。
『まだまだぁ!』
AMBACを使わずに各部バーニアを吹かして反転するパットの09R。
「甘い!」
そんな動きは見切っているわ。
私は反転した09Rののど元にビームサーベルを突きつける。
これで・・・えっ?
『相討ちですよ。お姉さま』
パットがしてやったりと笑っている。
パットの09Rのヒートサーベルはピッタリと私のコクピットの前に切っ先を突きつけていたのだ。
いつの間に・・・
私は苦笑した。
その時、曳光弾が私の脇を走り抜けて行く。
「な? 敵?」
私はすぐに全周索敵を行なう。
?
周囲に敵の姿は無い。
『す、すみません』
すぐにレーザー通信が入ってくる。
『実弾訓練中に軌道を変更してしまいました』
見ると不恰好なモビルポッドが数機、展開して実弾訓練中らしい。
あれがMP-02Aオッゴ?
じっくり見るのは初めての機体。
円筒を横にして下部にアーム、上部にモノアイ、そしてザクマシンガンを固定武装とした機体。
とにかく簡単に作れて数を揃えるための兵器。
連邦のRB-79と大差ない代物。
どちらが有効なのかしらね。
「こちらは軽巡ブリュメル所属のYMS-15およびMS-09R。実弾訓練は充分気をつけなさい」
『え、ええっ? ロ、ローネフェルト大尉殿ですか?』
え?
通信機から流れる少女の声。
あの時の少女たちなの?
『第894モビルポッド中隊のエリカ・シュトラウト上等兵です。昨日は握手していただきありがとうございました』
私は昨日の少女たちの顔を思い浮かべる。
あの中の一人だったのだろう。
「こちらこそ。頑張ってね。シュトラウト上等兵」
『はい。頑張ります』
力強い声。
きっとあのコクピットの中でドキドキしながら私の声を聞いているに違いない。
そう思うと、なんだかかえって照れくさいわね。
『こら、いつまでおしゃべりしているの! 大尉殿はお忙しいのよ。それにまだ訓練は終わっていないわ』
『は、はい、小隊長』
シュトラウト上等兵のMP-02Aが戦列に復帰する。
再度の射撃訓練に望むのだろう。
私もチームの訓練を再度行なおうと二人のほうに振り返った。
『ビジッ・・・ビジジジ・・・』
いきなり空電ノイズが通信機に割り込んでくる。
私は再度振り返った。
『シュトラウト上等兵!!』
『エリカ~!!』
複数の叫び声が上がる。
先ほどまで会話していたMP-02Aのザクマシンガンが爆発していた。
「な・・・」
私はすぐにスロットルを全開にし、ペダルを踏み込む。
ぐんと言うショックとともに15が加速を開始する。
「何があった?」
『暴発です。シュトラウト上等兵のオッゴの銃が暴発して・・・』
クッ・・・
私は歯噛みする。
起こるべきことが起こってしまったのか・・・
「シュトラウト上等兵! シュトラウト上等兵! 返事をしなさい!」
私の背後にはすぐにバックアップができるようにアヤメとパットが続行する。
何も言わなくてもこうした判断ができるのは心強い。
『ああ・・・あああ・・・痛い・・・痛いよぅ・・・』
ザクマシンガンの暴発で推力を得てしまったMP-02Aは要塞に向かって落ちて行く。
各所から火花を吹いたMP-02Aは制御不能に違いない。
「聞こえる? シュトラウト上等兵! 聞こえているなら脱出して!!」
私は声を限りに叫んでいた。
すでに他のMP-02Aはあまりの事に動けないで居る。
私は何とか加速を合わせて追いすがろうと15を向けた。
『ああ・・・いやぁ・・・死ぬのはいやぁ・・・おかあさーん・・・おにいちゃーん・・・』
「脱出しなさーい!!」
私の叫びもむなしくMP-02Aはそのままの速度でア・バオア・クーに激突する。
『ジジジ・・・』
爆発が起こり通信機にノイズが入る。
「シュトラウト上等兵!!」
私はやりきれない思いに包まれた。
整備不良だ・・・
学徒動員はパイロットだけではない。
モビルスーツを稼働させるために重要な整備部門でも学徒動員によって少年少女が働いている。
だけど、一週間やそこらの指導期間でモビルスーツの整備などできるはずが無いじゃない・・・
だから・・・
だから絶縁不良とかが・・・
『お姉さま・・・』
『お姉さま、あれを』
そばに来たパットとアヤメが一点を指差す。
?
あれは何?
私が顔を上げたその向こうで、一筋の光が宇宙を切り裂いていった。
姫宮 翼
整備不良で事故死は本当に勘弁して欲しいです。
信用が出来ないと言う精神面への恐怖が出てきますからね。
学徒動員なんてどっちにしても良い事なんてありはしないんですよね。
ソーラレイ出てきましたね。これでいよいよ最終局面ですか。
スターダストメモリーの時はガトーが単機で突っ込んで破壊していたのが印象的な兵器です。
7月23日 19:50
漆黒の戦乙女
整備不良…嫌な言葉ですね
パイロット…というか兵士としては戦場で散ることが一番名誉?なんだと思うんですがこれはなんと言っていいやら
模擬戦、パットもすごく強くなったわけですね
そしてとうとうでたソーラレイ発射、後のない国(者?)同士の総力戦が始まるわけですね
ガトーがつっこんだのはソーラシステムⅡの制御艦につっこんだわけで、ソーラレイは密閉型コロニーを改造した巨大なレーザー砲なんですねたしか
発展型なのがコロニーレーザー…になるのかな
7月23日 21:32
舞方雅人
>>姫宮 翼様
太平洋戦争当時の日本軍も整備不良にはなかされたようですね。
エンジンもすぐに故障したりとか、大変だったようです。
ソーラレイとソーラーシステムは混同しやすいんですよねー。
ミラー並べるのはソーラーシステムですー。
>>漆黒の戦乙女様
戦う前に死んでしまうというのはまさに浮かばれないですよね。
こういったこともあったのではないかと思い書きました。
最後の総力戦が大変ですー。
7月24日 22:09
- 2006/07/22(土) 19:54:51|
- ガンダムSS
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今TVで「ハウルの動く城」やってますねー。
実は私はまだ見たことがなかったので、録画しながら見ているところです。
19世紀ふうの世界観ぽいのはいいですね。
こういう未熟なテクノロジーと言うのは大好きです。
そういえば「天空の城ラピュタ」もそんな感じでしたね。
蒸気機関や機関銃あたりがあるようなそんな世界。
いわゆるスチームパンクのような世界を舞台にしたSSというのも書いてみたいですね。
昔のTRPGにギア・アンティークというのがあったんですが、それがまさにそんな感じの世界観でした。
蒸気で動く戦車や自動車。
列車砲に飛行船。
まさに楽しいスチームパンクの世界です。
動力も蒸気機関ばかりではなく、油沸機関と言って特殊な液体を水の代わりに沸かすエンジンや、妖精を捕らえてその生命エネルギーを動力とする妖精エンジンなんてのもありますね。
軍事力をもって周辺国家を狙うヴァルモン帝国の野望を砕くなんて大掛かりなシナリオも作れれば、妖精エンジンにするための妖精を捕らえて来いなんてシナリオも作れてしまいます。
もっとも、プレイヤーにそんなこと言っても、たいていは断られちゃいますし、それどころか妖精エンジンの中身を救出ってシナリオのほうがよほど受けはよかったですね。(笑)
オールスターの新庄はやっぱりすごかったなー
それではまた。
g-than
スチームパンクネタといえば、昔アクティブというメーカーから出てました「ガンブレイズ」を
当時雑誌で見た時にいいなあと感じた事を思い出しました。
キャラも可愛かったのですが、メカ系も凝っていたような記憶があり当時PCを持っていなかった事を
悔やんだ物です。
敵側の薔薇十字団(だったかな)のメンバーが皆おにゃのこというのもポイント高かったかなと。
7月21日 23:43
舞方雅人
>>g-than様
残念ながら「ガンブレイズ」は知らないんですー。
でも薔薇十字団というネーミングはいいですねー。
おにゃのこばかりの組織というのは見栄え良さそうですー。
7月23日 20:49
- 2006/07/21(金) 21:58:24|
- TRPG系
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また土石流災害が起こってしまいましたですね。
毎年のように起こる自然災害。
土砂崩れはほんとに毎年起こっていますよね。
日本という国土の急峻さもあるんでしょうし、住宅街が山の斜面に作られているというのもあるんでしょう。
しかし、こうも毎年続くというのは何か問題があるように思えてなりません。
雨が降り続いている西日本の皆様、充分にご注意下さいませ。
それともう一つニュースから。
欽ちゃんこと萩本欽一さん率いる野球チーム「茨城ゴールデンゴールズ」が解散宣言を出してしまいました。
極楽トンボ山本の不祥事に絡んでということですが、個人的には続けて欲しいです。
社会人野球に多大な影響を与えたゴールデンゴールズは、なくしてしまうにはもったいないと思います。
何とか別の形で謝罪し、チームとしては存続していただければなぁと思います。
なんか、ついにニュースに関する感想でお茶濁しという気がしないでも無いですが、まあ、こういう日もあるということで。
それではまた。
grendy
何だか自然の猛威をまざまざと見せ付けられている・・・・
そんな状況ですよね。
最近は札幌でも雷雨がひどかったり、私の住んでいる地区でも
昨日は雨が降ったりやんだりと・・・まったく・・地球に異変が起こっているのか?
とも思ってしまいます。
7月20日 23:36
ALTION
茨城ゴールデンゴールズの選手たちはどうなるのだろう?監督の独断?とも取れる行為で、やりたくてやっている方々が影響を受けるのはなんとも言いがたいものがありますね。自然災害については、山あり谷ありの国家ですし、避けては通れないとはいえ、技術を上回るものがあり、偉大さを見せ付けられますね。こういえるのも、自然災害とは比較的無縁の場所にすんでいるからかもしれませんが。
7月21日 1:00
metchy
本当に、「異常気象」という言葉が当てはまらなくなってきていますね。数年前までは「過去何十年で最悪」などと言っていましたが、そういうコメントが聞かれなくなるほど毎年のように最悪を更新しているんじゃないでしょうか?去年は台風が日本に上陸した数が過去最高を更新しましたし、そのうち、北海道にも「梅雨入り」宣言されることもあるのかも・・・。
東京や札幌などのの大都市で今回のような大雨が続いたら、コンクリートジャングルは水を吸収できないので、被害はもっと甚大なものになるんじゃないでしょうか。そう考えると、怖いですね。
7月21日 13:13
舞方雅人
>>grendy様
自然と言うものはいったん暴れると手が付けられないですよね。
地球的な規模の気象変動はあちこちに被害をもたらしてますよね。
温暖化の影響なのかなぁ。
困ったものです。
>>ALTION様
ゴールデンゴールズはどうなるんでしょうね。
上手く存続できればいいと思います。
自然災害はやむを得ないと思いますが、最近のはどうも人災のような気がしてなりません。
そのあたりが気になるところです。
>>metchy様
雨の逃げ道が都市部では無いですからね。
下水道も想定外の雨量には対応できませんし。
都市部にとっては水害は結構恐ろしいですよね。
今回はそういったことが無いことを祈ります。
7月21日 22:10
- 2006/07/20(木) 21:43:26|
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今日の話はギャグです。
終了記念にちょっと血迷ったものです。(笑)
まあ、息抜きにどうぞ。
「ハア、終わっちゃったわねぇ」
ソファーにくつろぎ、心なしか寂しげな表情を浮かべているブラックローズ。
赤いボンデージ状の外骨格がつややかで美しい。
「お疲れ様でした、ブラックローズ様」
その足元にぺたんと座り、外骨格の継ぎ目から筋肉をマッサージしている黒レオタードの少女。
言うまでもなく片場聡美である。
「ふふ・・・あなたもお疲れ様。残念ね。あなたにも更なる強化のチャンスがあったというのに・・・」
足元に座っている聡美の頭を撫でてやる。
「いえ、そんな・・・私はブラックローズ様の奴隷人形になれただけで充分です」
聡美はうっとりとした表情を浮かべてその顔を上げた。
相変わらず可愛いわね・・・
ブラックローズも目を細める。
「それをあの舞方雅人とか言う男は、あれほど聡美の強化案をプッシュしてくれた方がいるにもかかわらず、まるっきり無視したみたいよね」
こぶしを握り締めるブラックローズ。
どうもその舞方雅人という人物には好印象を抱いてはいないようだ。
「あ、ブラックローズ様・・・弁護するわけではありませんが、あの男も考慮はしたようです。しかし・・・」
「そう、所詮あの男の頭脳レベルなど知れたもの。オーバーヒートして収拾がつかなくなったんでしょ」
吐き捨てるように言うブラックローズを前に、聡美は苦笑するしかない。
「それで? 今日は何かあるというのかしらね?」
気を取り直してサイドテーブルに置かれたグラスに手を伸ばす。
冷えたシャンパンが先ほど聡美の手で用意されていたのだ。
「今日は終了記念のお祝いがあるそうです。先ほど連絡がありました」
聡美はすっと立ち上がってシャンパンのボトルを手にする。
ポンという音とともに栓が抜かれ、白いシャンパンがブラックローズの持つグラスに注がれていった。
「終了、おめでとうございます。ブラックローズ様」
「ありがとう聡美。あなたも飲みなさい」
優雅にグラスを傾けるブラックローズ。
グラスに赤い外骨格が映りこんでいる。
「いえ、私は・・・」
すっと膝をつき辞退する聡美。
彼女は奴隷人形であり、ブラックローズに従うメイドの役割に徹するつもりだったのだ。
「あーっ! ブラックローズ様ずるい」
「もう始められていたんですね?」
「もう少し早く来ればよかったか」
三人のにぎやかな声が流れてくる。
無論現れたのは栗原姫菜、澤崎律華、春川しのぶの三人だ。
今はまだ魔力によって女子生徒の姿をとっている。
もちろんこのマンションに来たからにはそんな必要は無い。
「あら、あなたたちも来たのね?」
「来たのね? じゃ無いですよー。先に始めるなんてずるいです」
ぷうっと膨れる姫菜。
相変わらず子供っぽさが抜けていない。
まあ、聡美との出会いが漫画的なぐらいだから、子供っぽくも感じられるというものだろう。
「うふふ・・・ごめんなさい。あなたたちが来るかどうか聞いていなかったから」
ソファでゆったりと彼女たちを見やるブラックローズ。
その姿はまさしく女王と呼ぶに相応しい。
「ご心配ございません。皆様のお席もちゃんと用意してございます」
すっと一礼して皆を迎え入れる聡美。
黒いレオタード姿が相変わらず似合っている。
「むぅ、当然でしょ。私たちはなんて言ったって妖女虫なんですからね。ブラックローズ様のおそばにいるのは当然なんだから」
姫菜はまだ膨れている。
どうも人気面であまり評価されていないのが気に入らないようだ。
同時登場の聡美にばかり人気が集中しているのが面白くないのだろう。
「姫菜。その姿では妖女虫と言っても説得力が無いぞ」
「うふふ、姫菜は落とされ方も一般的でしたものね」
「むぅ、二人ともひどいよ」
しのぶと律華にからかわれて、姫菜はますます膨れてしまう。
「うふふ、まあ、いいじゃない。こちらへいらっしゃい」
ブラックローズが立ち上がってリビングへ向かう。
そこにはとりどりに飾られたテーブルにたくさんの豪華な食事が並べられていた。
「私一人では大変でしたので、少し手伝っていただきましたけど・・・」
聡美はそう言うとキッチンのほうを指し示す。
そこには裸エプロン姿の澤崎佳奈子と澤崎雛美が立っていた。
相変わらず二人ともうっとりとした表情で微笑んでいる。
「お母さん・・・雛美」
律華がその姿をほほえましく見つめる。
妖女虫となった律華にとって、二人はもう手足のように使える奴隷人形だ。
「お口に合いますかどうか・・・」
「地底の材料は使ったことがなかったものですから」
二人がぺこりと頭を下げて一礼する。
「アルコールに関しては地上のものを用意しました。地底のものよりもよろしいとのことでしたので」
見るとグラスとシャンパンもしっかり用意されている。
「さあ、いつまでもそんな姿をしていることはないわ。元の姿になりなさい」
ブラックローズが一番奥の椅子に着くと、他の三人もそれぞれムカデナ、ドクガナ、ホタルナの姿を取り戻す。
そしてそれぞれが席に着いたところで、椅子が余っていることに気がついた。
「ブラックローズ様。他にも誰か来るのですか?」
ドクガナが首をかしげる。
「あ、それはですね・・・」
聡美が何か言おうとした時、慌ただしく駆け込んでくる妖女虫二人の姿があった。
「間に合った・・・」
「ブラックローズ様、ひどいです」
「クモーナ、サソリナ。間に合ってよかったわね」
苦笑するブラックローズ。
「どうやらあのボケ男、舞方雅人があなたたちのことを忘れていたようよ」
「なんてこと」
「赦せないわ、地上人のくせに」
クモーナとサソリナの周囲が凍りつく。
おそらく明日のブログ更新は不可能となるだろう。
クモーナもサソリナも地上人に容赦をするような妖女虫では無い。
「とりあえず、これで全員かな?」
ドクガナがあらためてみんなを見渡す。
「いいえ、あとお二人です」
聡美が首を振った。
「ふん、あの頃のお前たちは恐るべき相手だった。キチク将軍が苦戦したのもうなずける」
「うふふ、それはありがとう。クリスタルポピーも浮かばれますわね」
優雅な足取りで入ってくるスーツ姿の女性といかつい軍服姿の男。
言うまでもなく三崎聖夜とゲドラーである。
「ふん、男は邪魔だろうが、一応顔を出させてもらうぞ」
「お招き預かり光栄ですわ。私もこの仲間に加わるかと思っておりましたけど」
二人は一応の挨拶をしてテーブルに着く。
広いテーブルもこれでいっぱいになった。
「三崎学園長に関してはどうだったんですか、ブラックローズ様?」
ホタルナがそっと訊いてくる。
やはりラストバトルの相手として気になるらしい。
「妖女虫化は予定されていたんですか?」
「さあ、私は聞かされていなかったわ」
首を振るブラックローズ。
「予定にはなかったと聞いております。舞方雅人にそのつもりはなかったということみたいですね」
聡美が佳奈子と雛美と一緒にグラスにシャンパンを注いでいく。
「そうでしたか・・・次作があるとしたらまた敵同士ですわね、ブラックローズ」
「そのようね、クリスタルレモン」
二人の間にふと視線が交錯した。
「さて、それでは僭越ながら最後に妖女虫と化した私、ホタルナが乾杯の音頭を取らせていただきますね」
ホタルナがすっと立ち上がると、テーブルを囲んでいた面々も立ち上がる。
「それでは、『正義の女戦士クリスタルローズ』の終了と『舞方雅人の趣味の世界』の一周年を・・・」
「ホタルナ、後者は無用よ。地上人のくだらないブログのことなど構うことは無いわ」
ブラックローズがぴしゃりと言い放つ。
「はい、ブラックローズ様。それではあらためて。『正義の女戦士クリスタルローズ』の終了を祝して、かんぱーい!!」
「「かんぱーい!!」」
グラス同士の鈴の音のような音が周囲に満ち満ちて、皆が笑顔で乾杯する。
「さあ、あとは無礼講よ。楽しくやってね」
ブラックローズが席に着き、皆も座ってめいめいに食事や会話を始めるのだった。
「ふーん・・・ここが地底帝国とやらの前線基地となったマンション?」
「そのようですわデスルリカ様」
突然現れる三つの人影。
「何者?」
即座に反応して立ち上がる妖女虫たち。
その素早さはさすがである。
「これは失礼。あなたたちに代わってこの世界に闇をもたらすもの・・・といったところかしらね」
漆黒のボンデージに銀色の鋲やチェーンがついたベルトをはめ、黒エナメルのハイヒールブーツと長手袋、それに裏地の赤いマントを羽織った妖艶な女性がそこにいた。
その両脇に控えるように立っているのは、全身を漆黒の全身タイツで包んだ若い女性と黒レオタードに身を包んだ少女。
二人も中央の女性と同じく妖艶さを漂わせている。
「私たちに代わって?」
ブラックローズも立ち上がる。
「ええ、私は大いなる闇のしもべデスルリカ。この二人は私の可愛い闇の女たち。レディアルファとレディベータよ」
「うふふ・・・よろしく。妖女虫の皆さん」
「これからは私たちが闇を広げてあげるわ。あなたたちの出番は終了」
無邪気な笑顔を浮かべながらも、いつでも力を発揮できる体勢であるのは間違い無いだろう。
これはもしかして一触即発か?
「ふふふ・・・そうは参りませんわ・・・」
新たな声が部屋に響く。
「今度は誰?」
ドクガナが声の主を探るが、気配をまったく感じない。
「我が名はゼーラ。この世界は光が支配するわ。さあ、闇を払いなさい。ホーリードール」
『『はい、ゼーラ様』』
抑揚の無い声が続き、部屋の片隅に光が膨れ上がる。
「何事?」
「ブラックローズ様!!」
「騒ぐな!」
うろたえる妖女虫たちを叱咤するブラックローズ。
やがてその光の中から青と赤のミニスカート型のコスチュームに身を包んだ二人の少女が現れる。
「また・・・何なのこの娘たちは?」
三崎聖夜もあきれたようにつぶやいた。
あまりにも幼い少女たちではないか。
先ほどのレディベータといい作者はロリコンに違いない。
「いくよ、ドールアスミ」
「ええ、ドールサキ」
無表情にレイピアとスタッフを構える少女たち。
「デスルリカ様、ここは狭すぎます。いったん外へ」
「私が時間を稼ぎます。ブラディサイズ!」
身長の倍はあろうかという大きな鎌を呼び出すレディベータ。
「その必要は無いわ、レディベータ。一緒に来なさい」
「あ、はい。デスルリカ様」
レディベータとレディアルファはすぐにデスルリカのそばによると、闇が彼女たちを包み込む。
「逃がさない」
「追いましょう。ドールサキ」
すぐに二人の少女も光に包まれて姿を消す。
「ふん、面白い連中だな」
早々にグラスを開けてブランデーを楽しんでいるゲドラー。
雛美がその足元にはべってお世話をしている。
「面白すぎですわ。また収拾がつかなくならなければいいですわね」
「それにしても光も闇も新たな連中が出てきたとは・・・しばらく様子を見なくてはならないわね」
聖夜が消え去った二人の少女のことを思う。
あのような少女に戦わせていると知ったら、クリスタルの聖女はなんと思うだろうか・・・
「うふふ・・・ええ、しばらくは様子見ですわね。ですが、あのような連中をのさばらせてはおきませんわ。いずれ地上は我が地底帝国のもの。その日に備えて力を蓄えておきましょ」
ブラックローズは妖しく笑みを浮かべるのだった。
沙弥香
うーん、なかなか・・・
舞方さんはギャグだとおっしゃいましたが、三崎聖夜が出てくるあたりから萌え萌えしてしまいましたわww
やっぱり聖夜の妖女虫化、見たかったですわねww
クリスタルローズ2ではぜひお願いしますね<(_ _)>
重ね重ねですが、完了、お疲れ様でした。
7月20日 0:00
metchy
まさかのクリスタルローズとホーリードールのコラボレーション!!
といっても、ホーリードールの連中は勝手に出てきて勝手にどこかに行ってしまいましたね。
クリスタルローズの主要メンバーによる座談会?いいですね。ホタルナが講釈をつけて自らのHP1周年を記念しようとして、ブラックローズ様が「くだらないブログ」と落とすところがにくい演出ですごく気に入りました。
ところで、地底の国のアルコールってどうなんでしょうかね・・・。自分は下戸なんですが、なんとなく気になってしまいました。やはり、虫を・・・(以下略)。
余計なことは置いといて、楽しませてもらいました。
7月20日 13:42
漆黒の戦乙女
ぼろくそに言われてますねw
ホーリーローズの面々の乱入に学園長も登場なんてサプライズですね
笑わせていただきました
本日ジャスブレを買ってきました…メッセージ飛ばしまくりで全部エンディング見ちゃいましたが、自分的にはどうなんだろうと思ってしまいましたね
2はどうかなぁ
7月20日 21:52
舞方雅人
>>沙弥香様
モエモエしていただいてよかったですー。
クリスタルローズ2は多分無いと思いますよ。ww
でも、私自身はいつでも彼女たちに会いたいと思っていますけどね。
外伝的なものをいずれは書くかもしれませんね。
>>metchy様
あははは。
確かに勝手に出てきて勝手に去りましたね。
楽しんでいただいたようで何よりでした。
地底帝国のアルコールは木の根や虫などを発酵させたりしたものじゃないでしょうか。
きっと地上侵略の目的は美味しいアルコール飲料を手に入れるためだったりして。(笑)
7月20日 21:55
舞方雅人
>>漆黒の戦乙女様
笑っていただいて嬉しいですー。
こういった文章は自分も楽しんで書けますからね。ww
ジャスティスブレイドですか?
2は・・・微妙ですー。
7月20日 21:57
- 2006/07/19(水) 21:37:14|
- クリスタルローズ
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MSイグルーはまだ見ていないんですが、オッゴと言うモビルポッドには惹かれるものがありますね。
棺桶にもいろいろありますが、ボール、パブリク、ガトル、そしてこのオッゴ。
こんな兵器に乗せられて戦わなければならなかった兵士たちが、気になっちゃいます。
学徒動員などということは二度と起きてほしく無いですね。
重力。
言い換えるなら引力と言ってもいい。
物体と物体の間にはどんな物体同士でも必ず働くこの力。
この力は対象となる物体の質量や大きさに影響される。
つまり、軽巡の艦内などよりも、このア・バオア・クーにいると重力を感じることになるのだ。
このちょっとした違いが違和感となって襲い掛かってくる。
だらしないものね・・・
私は苦笑した。
ほんの今月初めまで地球という重力井戸の底にいて、何の違和感も感じていなかったというのに、ちょっと躰が無重力に慣れるとすぐに重力変化に戸惑いを感じてしまうのだもの。
私は時計を見る。
今はジオン標準時12月29日の16時18分。
半舷上陸によって休暇を得た私は、行くところがあるわけでもなくア・バオア・クー内のレクリェーション施設へ向かうことにする。
レクリェーション施設と言っても、このア・バオア・クーは18万人を擁する一大要塞。
映画館や図書館、酒場やショッピングセンターまであって、時間つぶしには事欠かない。
本当ならアヤメとパットも連れて来たかったんだけど・・・
二人は二人でどこかへ行ってしまっていた。
父親が死んで以来パットとはあまり顔を合わせてはいない。
状況を把握するためにも艦橋にいることが多かったし・・・
いや、いい訳はよそう。
パットの悲しそうな顔を見ていられなかったのよ。
ふう・・・
私は首を振って通路を歩いていく。
「「イッチニィ、イッチニィ、イッチニィ・・・」」
元気のよい掛け声が通路の奥から聞こえてくる。
このア・バオア・クーの通路は割りと広めであり、将兵の格好のジョギングコースになっている。
きっとそうした一団だわ。
そう思って私は通路の端に寄る。
「「イッチニィ、イッチニィ、イッチニィ・・・」」
先頭を切っているのは伍長らしいわね。
その後ろにいるのは上等兵。
どうやら配属されたばかりの新兵たちね?
って・・・嘘・・・
私は走ってくる兵士たちを見て驚いた。
まだ、少女たちじゃないの・・・
走ってきたのはいずれもパットよりも幼い少女たちだった。
「ぜんたーい、止まれ!」
先頭の伍長の号令で一斉に少女たちの足が止まる。
いずれも可愛らしい少女たち六人。
「全員、士官殿に対し、敬礼!」
通路の端に一列に並び、私に対して敬礼をしてくる少女たち。
新品のグリーンの制服がまだ躰に馴染んですらいないのだ。
私は答礼を返しながら、どうしても質問をするのを止められなかった。
「ご苦労。私は軽巡洋艦ブリュメル所属のモビルスーツ小隊長、アマリア・ローネフェルト大尉よ」
「「ご苦労様です、大尉殿」」
目をきらきらさせながら少女たちは私を見つめてくる。
まっすぐな、純真なその眼差し。
こんなところではなく、学校の教室にこそ相応しいかも。
「あなたたちはどの部隊?」
「私たちは一週間前に配属されたばかりの第894モビルポッド中隊です。私はリサ・クリーテン伍長です」
先頭の伍長が自己紹介をしてくれる。
「私はアルマ・レーベンホフ伍長です」
もう一人の伍長も負けじと自己紹介をする。
どうやらこの二人はリーダー格であり、何かにつけて張り合っているのだろう。
「休んでいいわ。モビルポッド? あなたたちは工兵なの?」
私はちょっと不思議に思った。
彼女たちの胸には間違いなくモビルスーツパイロットの徽章が付いている。
まだ幼いこの娘たちはパイロットなのだ。
でも、モビルポッドということは作業用・・・?
「違います。私たちは新型戦闘用モビルポッドMP-02Aオッゴのパイロットです」
「オッゴ?」
聞きなれない機体だわ。
「はい、配備されたばかりですから・・・」
姿勢を少し楽にしたものの、少女たちの緊張が伝わってくる。
きっとこんなふうに士官に話しかけられるなどなかったのだろう。
「あなたたち、歳はいくつ?」
おそらくパットと変わらないか下ぐらい・・・ね。
「十五歳です。来年ハイスクールに進学します」
明るい茶色の髪の毛をしたそばかす少女、クリーテン伍長がにこやかに答える。
十五歳ですって?
「私もです。ズムシティ第一校志望です」
レーベンホフ伍長がやはり訊かれもしないことを言う。
オレンジ色がかった髪の毛と整った顔立ちは可愛らしい。
「ハイスクール前の娘が・・・パイロットなの?」
「はい、私たちは学徒動員で緊急招集を受けたんです」
少女たちがいっせいにうなずく。
学徒動員・・・それにしても十五歳まで・・・
私は唇を噛む。
「た、大尉殿」
一人の少女がおずおずと手を上げる。
「こら、勝手な発言は・・・」
「いいわ、言って見なさい」
私はレーベンホフ伍長を制した。
「大尉殿、お願いがあります」
「お願い?」
くりくりとした瞳をまっすぐに私に向けてくる少女兵。
「あの・・・手を握っていただいてもよろしいですか? ベテランパイロットの大尉殿にあやかりたいんです」
私は目をつぶった。
怖いのだ。
彼女たちはジオンを救おうとその身を捧げる。
だが、戦場へ出るのは怖いのだ。
当たり前だ。
私だって怖い。
だからどんなものでもいいからすがりたいのだ。
たとえそれが気休めであろうとも・・・
「ええ、もちろんよ。私こそあなたたちのような兵士と一緒に戦えるのは光栄だわ」
私は右手を差し出した。
「ありがとうございます!」
少女がしっかりと私の手を握る。
「大尉殿、私も」
「私もお願いします」
「私も」
私は次々と少女たちの手を握る。
「いいこと、絶対に死んじゃだめよ。いいわね」
「「はい、大尉殿」」
私の言葉に彼女たちはうなずく。
ああ・・・どうか・・・どうかこの娘たちを無事に生き延びさせてください・・・
私は彼女たちに別れを告げ、通路を歩き出す。
背後では少女たちのかけ声が再び上がる。
私は天を仰いでため息をついた・・・
結局図書館で暇を潰しただけでわたしはブリュメルに戻ってくる。
もっとも、それなりにそのあとでウインドショッピングを楽しみ、美味しそうなアップルパイを片手にぶら下げてではあるが。
戻ったらアヤメとパットを呼んでお茶にしよう。
私はそう思いながらタラップを上がって行く。
新型艦だというのにあちこちの塗料が剥げているブリュメル。
無理も無いわね。
すでに何度も戦闘を経験しているんだもの。
私はこの艦が好きだ。
艦長のリーザをはじめ、いい乗組員が揃っている。
絶対に沈めたくは無い。
私はエアロックを抜け、艦内に入り込んだ。
「お帰りなさい、お姉さまぁ」
パイロット控え室に入ったとたんにアヤメが抱きついてくる。
「え、えっ?」
私がよろめくのも構わずにそのままキスを交わしてくる。
「ま、ま・・・」
待ってと言うことすらできずに、私の口はふさがれた。
「ぷあ・・・お姉さまぁ」
無邪気な笑顔を見せるアヤメ。
その顔の向こうに赤くなりつつも腰に手を当てて怒っているパットがいた。
「ア、ア、アヤメさん! お姉さまを独り占めしないで下さいって言ったばかりじゃないですか!!」
「うふふ・・・やーだ。やきもちパットも可愛いけど、お姉さまは私のモノぉ」
にっこり笑って舌を出すアヤメ。
まったく・・・
先ほどの少女たちとどっちが大人なんだか。
私は苦笑する。
「だ、だめですぅ!! お姉さまは二人のものですぅ!!」
ちょっと待って・・・
いつから私はあなた方の所有物に?
そう思う間もなく、パットもそばにやってきて私とアヤメを引き離そうとする。
「離れてくださいアヤメさん!!」
無理やり引き離そうとするパットと、そうはさせないとばかりに密着してくるアヤメ。
「ふ、二人とも離れなさい!」
私は抱きしめられて息苦しくなり、思わず大声を出してしまう。
「わ、ご、ごめんなさいお姉さまぁ」
「ひゃ、す、すみません大尉殿」
二人は弾かれたように離れていった。
「まったく・・・アップルパイが潰れちゃうじゃない」
私は苦笑しながらテーブルの上にパイの入った箱を置く。
すると、箱がもう一つテーブルの上に置いてあるのに気が付いた。
「あら?」
「うふふ・・・お姉さまとぉ、美味しいケーキを食べたいなって思ったんですぅ」
「アヤメさんと一緒に行って買ってきたんです」
ニコニコしながらパットが箱を開ける。
白いクリームに彩られたケーキやチョコレートケーキが美味しそう。
「わあ」
私は思わず声がでた。
「美味しそうね」
「はい。お姉さまも喜ぶかなって思いまして」
「パットと私で選んだんですよぉ」
二人とも楽しそう。
あら?
はあ・・・いつの間にかパットも私をお姉さまと呼ぶようになっちゃったな・・・
「今お茶入れますねぇ」
「お願いするわ」
私は席に着き、アップルパイとケーキでつかの間のティーパーティを楽しむことにしたのだった。
姫宮 翼
ここまで負けが込んでいるとはかなり凄惨ですね。
私も昔、戦争の映像等で日本のこれを見たときなんて頭を横に振りました。
この学生達やひめゆり隊が出なければ、他国の若者達が戦争に行かなければもしかしたら世界中が変わったかも知れないと思っていますね。
前線で戦局分かっているローネフェルトさんだから分かる事でしょうね。前線は今更学生達を招集することも無いだろうにと思っていたんでしょうか。
こういう兵士が真っ先に死ぬんですよね……。
7月19日 20:09
漆黒の戦乙女
学徒兵ですか、ゲルググに乗せるのがキシリア派ならこちらはギレン派でしょうか?
彼女達が生き残れる可能性は…低そうな気がしますね
そしていつもの甘甘なひと時wパットも完全にお姉様呼びが定着したようで…仲がいいのか悪いのかw
7月19日 22:03
舞方雅人
>>姫宮 翼様
ひめゆりの少女たちも特攻機に乗って飛び立った少年たちも二度とあってはならないと思います。
本当に戦争というものはつらくて悲惨なものです。
それを知らない人が多すぎますよね。
目をつぶるのではなく、きちんと情報を与えて、戦争を知らしめるべきだと思いますよ。
戦争を知らない人こそ戦争をしてしまうと思いますからね。
戦争もの書いていて説得力無いよなぁ。ww
>>漆黒の戦乙女様
学徒動員の兵士たちがいずれも09Rや14に乗れたわけでは無いでしょうからね。
それよりもこういったモビルポッドや06に乗せられた人が多かったのでは無いでしょうか。
生き残れるかは・・・難しいだろうなぁ。
アヤメとパットは・・・仲いいですよ。(笑)
7月20日 21:50
- 2006/07/18(火) 22:01:44|
- ガンダムSS
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昨日はブログ一周年の温かいお祝いコメントをたくさんの人から寄せていただき、本当にありがとうございました。
今日からはまた、新しい気持ちでブログを続けて行こうと思います。
これからもよろしくお願いいたします。
今日は札幌でも短時間に結構の量の雨が降りました。
一部地区では床下浸水も起こったそうです。
先ほどのニュースでは、道路の一部がゆがんだとの報道もなされておりました。
で、そんな中、舞方は友人宅を訪れようと、スクーターを走らせておりました。
もちろん雨が降る前の話であり、降水確率は40%とは言うものの、それほどでも無いだろうと高をくくって出かけたわけですね。
一応背中のディパックには合羽も入っているし、ぽつぽつ程度なら気にしないからいいや。
そう思っていたのが運のつき。(笑)
間の悪いことに友人宅への道の半ばほどで、ぽつぽつ降り出してきました。
「あちゃあ、降ってきちゃったか」
そう思い、道すがらのスーパーの軒先で合羽を上にはおろうとしたとき、いきなりバケツをひっくり返したような豪雨になりました。(笑)
一瞬にしてと言ってもいいでしょう。
まさに一瞬にして頭から靴の先までずぶ濡れ。
合羽を着るどころではありません。
それでも上だけは何とか着て、引き返すために家に向かいました。
まあ、もうお判りの通り、半ば自棄でしたので、どうなろうとスクーターを走らせたわけですよ。
雨はもう視界が霞むほどの雨脚でしたし、雨宿りしようにもする意味すら無くすほどずぶ濡れになっていましたからね。
結局30分ほどかかって自宅に着いたときには、靴はぐちゅぐちゅ、ズボンは絞れば勢いよく水が出るほど。
下着から果ては財布の中の紙幣までがずぶ濡れ状態でした。
スクーターもエンスト寸前でしたしね。(笑)
まさかこれほどの豪雨になるとは思わなかったんですが、まあ、先ほどのニュース見ていたらうなずけたかな。
友人宅には行けなかったし、ずぶ濡れだし、参りました。
日本海側のほうでは豪雨被害も出かねないようですので、皆様も気をつけてくださいねー。
それではまた。
yukki
遅ればせながら、ブログ開設一周年おめでとうございます。
最近は書き込んでいませんが、ちゃんと読まさせてもらっています。
毎回、楽しませてもらっています。
これからも、頑張ってください。
ではでは~
7月17日 22:30
metchy
昨日の雨は本当にひどかったですね。
自分は連休で実家(札幌)に戻っていたのですが、実家から帰ろうと準備をしていたら突然スコールのようなどしゃ降りで、しばらく家を出るのをためらっていました。
梅雨のない北海道ですが、最近はジメジメした天気が多いで気分も落ち込んでしまいますよ。
7月18日 13:52
舞方雅人
>>yukki様
コメントありがとうございます。
目を通してくださっているということで、大変嬉しいです。
これからも楽しんでいただけるように頑張って行きますので、応援お願いいたします。
>>metchy様
降るかな降るかなとは思っていたんですが、ドサーと来てしまったので参りました。
靴も服もわやですわ。
参ったものですー。
最近は雨が多いですよね。
7月18日 22:31
- 2006/07/17(月) 21:29:03|
- 日常
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一周年記念二本立てのその二ですー。
少しだけで申し訳ありませんが、ホーリードールを投下いたしますねー。
こちらも少しずつ進めて行きますので、応援よろしくお願いいたします。
それではどうぞー。
14、
「おはようございます。おばさま」
玄関先にたたずむ明日美。
いつものように紗希を迎えに来てくれたのだ。
「いらっしゃい明日美ちゃん。上がって待っててね」
これもいつものように迎え入れる留理香。
なんら変わらぬ普段の光景だ。
「はい、失礼いたします」
靴を脱ぎ、きちんと揃えて上がる明日美。
このあたりは良家のお嬢様のしつけのよさを感じさせる。
紗希もこの辺りを気をつけてくれればね。
留理香は少し苦笑した。
母親一人で育てたからか、しつけは少し甘かったかもしれない。
元気で活発なのはいいことだけど、少しおしとやかさが足りないのだ。
紗希を闇の世界に導いたあとは、この娘を紗希のしもべにしてあげてもいいかもね。
留理香はそう思った。
「?」
黙って奥のリビングに入って行く明日美。
留理香はその行動に違和感を感じる。
普段の明日美ならば、留理香が移動するまでは入ってこない。
それが今日は留理香のほうを見もせずにすたすたと歩いていくのだ。
何か・・・
留理香は変に思ったものの、とりあえずは朝食の支度をするためにキッチンへ向かっていった。
「おはよう。お母さん」
階段を静かに下りてくる紗希。
留理香は思わず時計を見上げる。
デジタル時計の数字は7:45をさしていた。
今日はいつもより早いわね・・・
留理香はココアに牛乳を入れて温める。
甘さ控えめのあったかココアは、明日美ちゃんも喜んでくれるのだ。
「おはよう、紗希。今日は早かったのね」
「はい、夕べはぐっすり眠れましたから・・・」
紗希?
普段の紗希とは何かが違う・・・
紗希の返事に違和感を感じる留理香。
キッチンから顔を出すと、紗希はすでに洗面所で顔を洗っているところだった。
いつもなら慌てて顔を洗うところなのに・・・
留理香は奇妙な違和感を抱えたままカップにココアを注ぎ込む。
「はい、どうぞ」
留理香はココアのカップをリビングで待っている明日美に手渡した。
「ありがとうございます・・・おばさま」
表情をまったく変えずにカップを受け取る明日美。
そのまま両手でココアを口に運んで行く。
「お母さん、私にもちょうだい」
顔を洗い終えた紗希が入ってくる。
いつものようなその笑顔は変わらない。
「ちょっと待ってね。トーストももうすぐ焼けるから」
「はい」
紗希はうなずくとちょこんと明日美の向かい側の椅子に腰掛ける。
そして、そのままじっと待ち始めていた。
「お待たせ、早く食べないと・・・って、今日は大丈夫そうね」
皿を紗希の前に置きながら時計を見る。
いつもならこの時点で八時はゆうに越えているのだ。
「うん、大丈夫だよ。お母さん」
身じろぎもせずに待っていた紗希は、皿が並べられると黙々と食事を取り始める。
「紗希・・・何かあった? 躰の調子でも悪い?」
「そんなこと無いよ。大丈夫」
「そう? ならいいけど・・・」
釈然としないものを感じながら、留理香はキッチンへ行き自分の分の朝食を作り始めた。
「おはよう、お母さん」
リビングに入ってくる一人の少女。
その身には漆黒のレオタードを纏い、室内だというのに黒い手袋とロングブーツを履いている。
肩までのつややかな黒髪にはカチューシャが嵌まり、黒く塗られたアイシャドウと唇が妖艶さをかもし出していた。
「おはようございます」
無表情で入ってきた少女に挨拶をする一人の女性。
若々しい姿は一児の母とは思えない。
三十代半ばになるが、美しい容色は衰えていないのだ。
「朝食はできている?」
「はい、ご用意いたしました」
何も映していないような瞳がキッチンを向く。
こんがり焼かれたトーストと卵。
それに温められたミルクがそこには用意されていた。
「いいわ、持って来て」
「はい」
漆黒の少女はテーブルにつき、女性が食事を運んでくる。
無表情でテーブルに食事を並べて行く様はある種の不気味さすら感じさせた。
「それでいいわ。あとはおとなしくしていなさい」
「はい」
言われたとおりに無表情で立ち尽くす女性。
「うふふ・・・食事が終わったらお母さんもビーストにしてあげるね」
少女はパンを口に運びながら女性を見上げる。
その目にはいたずらっぽい表情が浮かんでいた。
小鳥遊 千鳥(たかなし ちどり)。
それがこの女性の名前である。
夫の新太(しんた)は会社員であり、今は北海道の釧路支所に単身赴任だ。
副所長という肩書きだから、小鳥遊家はそれなりには裕福な家であり、妻の千鳥は専業主婦として娘の雪菜と仲良く二人暮しをしているのだった。
いつもは夕食前には帰ってくる雪菜だったが、昨日は図書館に行くと言ったきり遅くまで帰ってこなかった。
心配して心当たりに電話をかけ、またあのバス事故に巻き込まれたのではないかと警察にまで電話をかけてみたのだが、どこにも雪菜はいなかった。
心配で心配でいても立ってもいられなかった千鳥の元に、雪菜は何事もなかったように帰ってきた。
当然千鳥は雪菜を問い詰めた。
こんなに遅くなったのは何か理由があるからに違いない。
その理由さえきちんとしたものなら、注意だけにとどめておくつもりだったのだ。
だが、雪菜はまるで軽蔑したようなまなざしを千鳥に向けたかと思うと、たった一言こういったのだ。
『うるさい』
千鳥は愕然とすると同時に怒りがこみ上げた。
こんなに心配していたのにうるさいとはなんということなの。
千鳥は脇をすり抜けて部屋へ行こうとする雪菜の肩を掴み、無理やり自分の方へ向けさせた。
きちんと理由を言わせなければならない。
そうじゃないと雪菜は手の届かないところに行ってしまう。
そう思った千鳥はひざを折り、目線を合わせて雪菜を見つめた。
『うるさい! 今はお前のことなど知ったことでは無い!』
千鳥が覚えているのはそこまでだった。
「ふふふ・・・ねえ、お母さん」
ミルクのカップを置いた少女がゆっくりと立ち上がる。
浮かんだ表情は妖しく、まさに闇の女に相応しい。
「お母さんの闇って何なのかなぁ。楽しみだよね」
少女、レディベータは自分の母親にそっと近づく。
「うふふ・・・精神支配しちゃったから何も考えられないか・・・えいっ」
ぱちんと指を鳴らすレディベータ。
すると千鳥の目が二三回瞬きし、意識が戻ってくる。
「え? あ、ええっ?」
一瞬状況判断に戸惑ったものの、やがて記憶が整理されていく。
「あ、ああ・・・ゆ、雪菜・・・その姿は一体?」
口元に手を当てて驚きを隠しきれない千鳥。
いつの間にか夜は明け、娘の姿が異様な衣装を纏っているのだから無理も無い。
「うふふ・・・私はレディベータ。もう小鳥遊雪菜なんかじゃないの」
「レ、レディベータ?」
思わず一歩あとずさる。
いつもなら娘の軽口にもノリで答えられるほどの仲の良さだったが、今の目の前の少女には異質な恐怖を抱いてしまうのだ。
「じょ、冗談はやめなさい、雪菜。お母さんを困らせないで」
「うふふ・・・あなたはもう私のお母さんではなくなるわ。これから私があなたの闇を引き出してあげる。あなたはビーストになるのよ」
一歩一歩ゆっくりと近づいてくるレディベータ。
「ビ、ビースト?」
千鳥もじりじりと下がらざるを得ない。
「そう。闇の魔獣ビースト。素敵なビーストになるといいな」
やがてリビングの壁が千鳥の背中を押し付ける。
「ヒッ、い、いやぁ」
「おとなしくなさい」
壁に背中を付けた千鳥は精いっぱい身をそらせて、一センチでも遠ざかろうとする。
だが、レディベータの右手が千鳥のブラウスを掴み、異常なほどの力で千鳥の胸を引き寄せた。
「うふふ・・・さよなら。お母さん」
「ん、んむぅぅぅぅぅぅ・・・」
グイッと引き寄せられた千鳥の顔にレディベータは自らの顔を寄せる。
やがて、レディベータの唇が千鳥の唇に重ねられた。
「んん・・・むぐぐ・・・」
閉じた口をこじ開けるかのように侵入してくる柔らかい舌。
口の中に流れ込んでくるどろっとした甘い液体。
それらが口の中で撹拌され、のどの奥に押し込まれるように流れ込む。
「むぐぅぅぅ・・・」
逃れようとしても躰はがっちりと引き寄せられていて逃げられない。
千鳥は何もできないままに、その液体がのどを通るのを黙って甘受するしかなかった。
[一周年記念その二]の続きを読む
- 2006/07/16(日) 21:50:33|
- ホーリードール
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一周年記念としてSSを投下しますねー。
クリスタルローズの最終話をお届けします。
二年越しの作品でしたが、これで一応のケリといたします。
皆様に本当に愛された作品でした。
完結できることは私にとっても喜びです。
本当にありがとうございました。
いずれクリスタルローズ全話、掲示板のほうに掲載いたしますね。
それでは最終話、お楽しみ下さいませ。
10、
保健室の扉が開く。
律華が入ってきた音だわ。
私はベッドのところのカーテンを閉めて、様子を窺う。
「あら? どうしたのかしら?」
佐藤養護教諭の声がする。
心なしか妖しさを含んでいるように聞こえるのは気のせいかしらね?
「あ、はい、少し保健室で休んできなさいって言われちゃいまして・・・」
自信を喪失したような律華の声。
もう何を信じていいのかわからずに、混乱しているに違いないわね。
うふふ・・・
上手くやりなさい。
「あらあら、風邪でも引いた? 熱はあるの?」
ゴトゴト音がする。
きっと椅子に座って愛子に向き合ったのね。
「いえ、熱はないです。風邪じゃ・・・ないと思います・・・」
「ふーん、それじゃお腹が痛い? あの日かしら?」
「ち、違います。違うんですけど・・・」
いつになく歯切れの悪い律華。
私は戸惑いを浮かべている律華に笑みを浮かべる。
「ああ、ごめんなさい。先生が悪かったわ。そこのベッドを使っていいわよ。オナニーするんでしょ」
「えっ?」
愛子の申し出に息を飲む律華。
きっと驚いた顔をしているに違いないわね。
「違うの? 教室でするのが恥ずかしくてここに来たんでしょ? まだまだ多いのよね、そういう娘」
「あ、そ、それって、ここへオ、オナニーしに来るんですか?」
「もちろんでしょ。女はいつでも淫らにいやらしく。授業中のオナニーは当たり前なのにね」
うふふ・・・いずれそうなるかもしれないわね。
我が地底帝国が地上を支配した暁には、地上人は家畜として管理してやらなくてはならないわ。
そうなれば発情もコントロールしてやらないとね。
「で、でも、縁根先生はオナニーしていたら保健室で休んできなさいって・・・」
「本当? それは困ったものね。縁根先生はオナニーの大切さがわかっていないんだわ。私から教頭先生に言っておきますね」
「あ、はい、お願いします」
異常な会話を当然のように行なっている二人。
私は楽しくて仕方がない。
「それでどうするの? このまま教室へ戻る? せっかくだから気持ちよくなってからにしなさい」
「はい。ベッドを使わせてもらいます」
何のためらいもなく言い切った律華。
あとは最後の仕上げのみ。
ぎしっと音がする。
ベッドのスプリングが軋んだ音。
隣のベッドに律華が躰を横たえたのだろう。
「カーテンはどうする? 先生としては早く慣れるためにも開けたままの方がいいと思うけど」
「あ、はい。開けたままでします」
あらあら・・・律華ちゃんたら本当にいやらしい娘なんだから。
私はそっと魔獣の核を用意して、そのまま気配を殺している。
オナニーをすることに気を取られている律華なら気が付きはしないでしょう。
「ああ、よかったら使う?」
何かをベッドに放り投げたのか、乾いた音が聞こえてくる。
「あ、えっ? これって・・・」
「ローターよ。使ったことない?」
うふふ・・・用意がいいこと。
「な、ないです・・・」
律華はきっと真っ赤になっているでしょうね。
「あそこに当てると気持ちいいわよ。使って御覧なさい。もちろん清潔よ」
「あ・・・はい。ありがとうございます」
律華がローターを手にしたのだろう。
ブーンと言う低い振動音が聞こえてきた。
「ん・・・は・・・あぁ・・・」
艶めかしい声が流れ始める。
私は静かに仕切っているカーテンを開け、隙間から律華の痴態をのぞき見る。
「んん・・・あん・・・ああん・・・」
スカートを捲り上げた律華は静かな振動音を股間付近から奏でていた。
机に向かって何かの作業をしている愛子は、できるだけ無関心を装っているものの、彼女の手も股間に伸びているのを私は見て取った。
「ああ・・・ん・・・きも・・・ち・・・いい・・・」
律華の躰がじょじょにしなり、足がぴんと伸びて行く。
手の動きが小刻みになって、振動音もくぐもったりはっきり聞こえたりと変化する。
「あ・・・あはぁ・・・イ・・・イッちゃう・・・よぉ・・・」
そろそろ頃合いのようね。
私はそっとベッドから抜け出すと、隣のベッドに近づいた。
目を閉じて快感をむさぼっている律華は私にはまだ気付いていない。
私はその柔らかそうな唇にそっとキスをする。
「えっ? ひえっ?」
キスの感触に目を開けた律華は、目の前に私を認めて驚いていた。
「くすっ、気にしなくていいのよ。楽しみましょう」
私はセーラー服の上から可愛らしい胸に両手を添える。
そのまま優しく揉み解して更なる快感を高めてやるのだ。
「あ、はあん・・・はん・・・」
そっと目を閉じてあえぎ声を発し始める律華。
股間に伸びた手は休むことなく小刻みに揺れている。
私は律華の首筋から耳のほうにかけて舌を這わせ、耳たぶを甘噛みしてあげた。
「ひゃん」
律華の躰がビクッと跳ねる。
うふふ・・・可愛いわ。
私はそのままセーラー服の上着を爪で切り裂き、白く可愛らしいブラジャーも真ん中で切り裂いた。
プルンと言う擬音がそのまま当てはまりそうな形の良い律華の胸がはじけ出る。
私はそのまま硬くしこった乳首を親指の腹で刺激する。
「はあぁぁん・・・せ、先生・・・」
「なあに、律華」
私は律華の胸に口を付けて、乳首の先端を舌で転がす。
「は、ひゃん・・・はん・・・か、感じるよぅ」
「気持ちいいでしょ。いいのよ、遠慮なくイッちゃいなさい」
「は・・・はい・・・」
律華の律儀な性格か、きちんと返事をすることに私は苦笑する。
私は舌で舐りながらもう片方の胸を左手で愛撫する。
もちろん右手は律華の股間に伸ばし、ローターを操る手に添えてあげることも忘れない。
「あ・・・ああ・・・イ、イッちゃうよぉ」
「うふふ・・・そう、それじゃいいものを上げるわね」
私は用意していた魔獣の核を取り出して口に含む。
「いい・・・も・・・の?」
「ええ、そうよ。可愛い律華がうんと気持ちよくなれるお薬みたいなもの。さあ、口を開けて」
「あーん・・・」
素直に可愛らしい口を開ける律華。
目を閉じて口を開ける様はまるで雛鳥のよう。
私はそっと律華の口に口付けをして、魔獣の核を押し込んでやる。
そしてそのまま舌を絡めて唾液を流し込む。
「ん・・・んぐ・・・」
律華ののどが上下して魔獣の核が滑り落ちて行く。
「うふふ・・・さあ、イッちゃいなさい」
私は口を離すと、魔力をそっと流し込む。
微弱な快楽をもたらすものだから、シールドは反応しない。
「ふ・・・ふあぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
すぐに律華は背中を浮かせてつま先を丸めて行く。
躰がビクビクと震え、絶頂に達したようだった。
ぐったりと力を失う律華。
やがてどす黒いオーラが律華の周囲に巻き起こる。
じわりと黒い染みが律華の胸に現れる。
変化が始まったのだ。
新たな妖女虫の誕生。
私はその様子を高揚した気分で見つめていた。
ベッドに横たわる妖女虫。
額には触角が伸び、メガネの奥の目はアイシャドウが引かれたように黒く縁取られる。
肩から胸にかけては赤いショルダーパットをつけたような形の外骨格が覆い、茶色のレオタードを着たような腹部には股間のところに光る発光器が組み込まれていた。
背中には硬い翅、両手両脚は黒いロンググローブとブーツ。
澤崎律華は新しい妖女虫ホタルナに生まれ変わったのだ。
やがてホタルナはゆっくりと上半身を起こして起き上がる。
彼女は顔にかかっていたメガネを煩わしそうに取ると、おもむろにそれを握りつぶした。
「うふふふ・・・気持ちいい。なんて素晴らしいのかしら。私は妖女虫ホタルナ。地底帝国に栄光あれ」
立ち上がって自分の両手を見下ろすホタルナ。
変化した両手に思わず笑みが浮かぶ。
「うふふ・・・おめでとうホタルナ。これからはあなたも地底帝国の一員よ」
「はい、ブラックローズ様。一刻も早くこの世界を地底帝国のものに」
頭を下げて一礼するホタルナ。
「おめでとうございます、ホタルナ様」
愛子も跪いてホタルナに頭を下げた。
当然のこと奴隷人形は妖女虫などよりも下層の存在。
下僕虫すら奴隷人形に比べれば上位の存在なのだ。
「ありがとう、佐藤先生。今度はあなたを可愛がってあげるわね」
ホタルナが微笑む。
その笑みは妖しく、美しかった。
いつの間にかチャイムが鳴っていたのだろう。
廊下が騒がしくなっている。
「どうやら授業が終わったようね。姿を変えた方がいいわ」
「はい、ブラックローズ様」
律華はすぐに魔力を使い自らの躰を変化させる。
すぐに今までの澤崎律華がそこに立っていた。
「ハア・・・こんな姿になるなんていやですね」
思わずため息をつく律華。
人間の姿などいやなのだ。
「大丈夫よ。もうすぐ世界は地底帝国の物になるわ。あなたたち三人が私とともに地上支配に手を化してくれればね」
「もちろんです、ブラックローズ様。早くくだらない人間どもを支配したいです」
律華は胸に手を当てる。
これで戦力は整ったわ。
あとは・・・
ノックの音がする。
「あ、はい?」
「失礼します」
愛子が返事をすると、一人の女性教師が入ってきた。
「縁根先生」
「君嶋先生? ここで何を?」
私も驚いたが、縁根先生はもっと驚いたようだ。
メガネの奥の目が驚愕に見開かれている。
「私は佐藤先生にちょっと相談を・・・縁根先生は?」
「私は澤崎さんの様子を見に来たんですわ。まったく・・・」
授業中の事を悪夢として振り払おうとしているのか、頭を振る縁根先生。
ふん、くだらない女だわ。
「もう、すっかりよくなりました。縁根先生」
私の影から姿を現す澤崎律子。
もちろんその姿は先ほど変えられている。
「ふう・・・澤崎さん。あなたのような方があのような・・・あ・・・」
私の顔を見る縁根先生。
私は意地悪く黙って微笑んだ。
「あのような・・・何ですか?」
律華もニヤニヤと笑いながら先を促す。
どうせこんな女は生かしておいても意味が無いし・・・構わないか・・・
「それは・・・その・・・あのような・・・淫らな・・・」
言っている本人が赤くなっている。
お堅いオールドミスはセックスもオナニーも嫌いなのかしらね?
「淫らな・・・何ですか?」
愛子に借りていたピンクローターをこれ見よがしにもてあそぶ律華。
残虐な思いが浮かんでいるようね。
「あ、あなた、何を持っているの?」
縁根先生は驚いてふるふると震える指先でローターを指差している。
「クスッ。これですか? 怨恨先生は使わないんですか?」
律華はスイッチを入れてローターを振動させる。
ブーンという低い振動音が保健室に広がった。
「つ、使うわけが・・・」
怨恨などと呼ばれたことすらも気が付かないらしいわね。
バカな女。
「うふふ・・・そんなことだからお堅い怨恨先生はいつまでも結婚できないんですね」
「な・・・」
わなわなと震える縁根先生。
私も笑いを禁じえないわね。
「あなたは何を言っているかわかっているの? 授業中にあんなことをして。恥知らずな!」
「あーあ・・・クスッ、ねえ、ブラックローズ様。この女、殺してもいいですか?」
あきれたように律華が言う。
私は黙ってうなずいた。
いい加減この女ともおさらばしたいものよね。
「構わないわ。存分になさい」
「ありがとうございます。ブラックローズ様」
にっこりと微笑む律華。
もはや妖女虫としての思考に変化している彼女にとって、人間とは無価値な下等生物なのだ。
「あ、あなたたちは一体? 一体何の話をしているの?」
じわっと恐怖がこみ上げてきたのだろう。
いつもなら教師としての権威が彼女を保護し、こんな少女におくれを取るようなことは無いのだろうけど、妖しく微笑む律華は彼女をはっきりと見下しているのだ。
そのことが彼女をして恐怖を感じさせている。
「うるさいわよ」
ゆっくりと両腕を組んだ律華が前に進み出る。
「あ、あなた・・・一体・・・」
じりじりと後ろに下がる縁根百合子。
だが、いつの間にか入り口に立っていた愛子がかちゃりと鍵をかける。
「ヒッ」
その音にすらビクッと躰を飛び上がらせる。
哀れなものね。
でも、くだらない人間らしいわ。
生かしておく価値も無い。
「さ、佐藤先生、き、君嶋先生・・・」
救いを求めるように私と愛子をきょろきょろと目で追う縁根。
もっとも、ここであなたを救うものなど居はしない。
「うふふ・・・逃げられませんわ、縁根先生」
ニコニコしながら入り口の扉にもたれかかる佐藤愛子。
長い白衣が妙に色っぽい。
「ふふ・・・あなたには生まれ変わった私の姿を見せてあげるわ」
「生まれ変わった?」
目の前の少女を恐る恐る見つめる縁根。
その目が見る見るうちに見開かれていく。
魔力が律華の周囲にわだかまる。
それが晴れた時、そこには一体の美しくも妖しい妖女虫が立っていた。
「あ、あああ・・・」
「うふふ・・・これが私。妖女虫ホタルナよ」
「ば、化け物・・・」
ヒュッという風を切る音がして、縁根の言葉を妨げた。
「ひあっ」
頬を張られて床に転げる縁根百合子。
スカートがまくれ上がり、ストッキングに包まれた太ももがあらわになる。
「お黙り。下衆が」
腰に手を当てて立ちはだかるホタルナ。
私はベッドに腰を下ろして成り行きを見守ることにした。
どうせ殺すなら楽しみたいものだわね。
「あ、あああ・・・た、助けて・・・」
張られた頬を押さえつつ、哀れっぽくホタルナを見上げている縁根。
その股間から恐怖のあまり湯気が立つ。
「うふっ、あはははは・・・ぶざまなものねぇ。あなたそれでも教師なの?」
ホタルナの右足が縁根の脇腹を蹴りつける。
「ゴホッ」
体をくの字に折り曲げ苦しむ縁根。
「あはははは・・・」
口元に手を当ててホタルナは高笑いした。
「佐藤先生? 開けてくれませんか?」
ノックの音と同時に声がする。
あの声は・・・
「あ、た、助けてー!」
死に物狂いの縁根が大声を出し、ドアに向かう。
結界を張ったのが逆効果になったみたいね。
私はすっと立ち上がる。
「佐藤先生? 佐藤先生?」
どんどんとドアがノックされる。
「助けて、助けてー」
這いずりながら大声を上げる縁根。
だが、ホタルナがつかつかと近寄り、その足を踏みつける。
「おとなしくしなさい」
「グギャッ」
ゴキッと言う音がして縁根の左足が折れる。
「どうしますか? ブラックローズ様」
愛子が困惑した表情で私を見る。
だが、私は何も言う必要はなかった。
保健室の扉が打ち破られ、一人の人影が入ってきたのだ。
「三崎・・・聖夜」
私は現れた人影を凝視する。
予想通りと言って差し支えない。
「ああ・・・が、学園長・・・」
顔を涙でくしゃくしゃにしながら、すがるような目で三崎聖夜を見上げている縁根。
まったくぶざまなもの。
「縁根先生・・・これは・・・」
保健室に入り込む三崎聖夜。
その身ごなしに隙は無い。
「新たな地底帝国の魔獣ですか・・・」
「魔獣? 違いますわ、学園長。彼女は魔獣をはるかに超えた存在。妖女虫ホタルナですわ」
私はまっすぐ三崎聖夜を見据える。
いまさら君嶋麻里子で通すつもりも無いし、クリスタルレモンは排除すべき存在だ。
私は思念を送り、すでにドクガナもムカデナもこちらに向かっている。
クモーナには遊撃の位置にいてもらおう。
万が一の時には退路を確保しておかなければならないのだ。
もっとも、その心配は必要無いでしょうけど。
「妖女虫ホタルナ・・・なるほどね。あなたが悪に魂を売り渡したのは仲間を増やすためだったというわけ?」
すっと身構える三崎学園長。
さすがにクリスタルレモンとしての躰の記憶は確かというわけか。
「うふふ・・・仲間を増やしたのは目的達成のためですわ。地上支配という目的のためのね」
「正義のクリスタルローズも地に落ちたものね。あなたをクリスタルの戦士に選んだのは失敗だったということか・・・」
じりじりとホタルナと私を牽制しつつ縁根のカバーに入る学園長。
「早く逃げなさい、縁根先生」
「は、はい・・・」
ひいひいと這いずりながら保健室を出て行く縁根。
まあいいでしょう。
どうせ長いことは無いわ。
「ブラックローズ様・・・」
足元の獲物に逃げられたホタルナが指示を請う。
私は黙って手で制した。
あんな女はいつでも始末できるのだ。
「ブラックローズ? それが地に落ちたあなたの名前というわけね?」
「ええ、私はブラックローズ。地底帝国の女戦士」
私は魔力を解放する。
黒と赤のボンデージ状の外骨格が私の躰を覆って行く。
素晴らしい私の躰。
いつもこの姿で居ることができるようになるのも、そう遠くは無いだろう。
「クリスタルパワー!」
三崎聖夜がペンダントを取り出し、高く掲げる。
ペンダントの魔力が解放され、それが巻きつくように聖夜の躰を覆って行く。
やがて魔力の渦の中から、パープルのミニスカート型のコスチュームとヘルメットに身を包んだクリスタルレモンが姿を現した。
******
「ふん、それでどうしたというのだ?」
ソファーにもたれてグラスを傾けているゲドラー様。
私は床に腰を下ろし、うっとりとゲドラー様の股間の屹立を眺めている。
天を突き刺すようなその姿は、私の心をわしづかみにして離さない。
「うふふ・・・クリスタルレモンなど、私たちの敵ではありませんわ」
私はそっとゲドラー様の肉棒に指を這わせる。
じわっと熱が伝わって、指先が熱いわ。
「私が手を下さずとも、ホタルナ、ムカデナ、ドクガナの三人で充分楽しませていただきました」
「ふん、そうだろうな・・・お前たちは魔獣とは比べ物にならない力を持っているからな」
からんとグラスの氷が音を立てる。
ゲドラー様も私に触れられてお喜びのよう。
私はそっと顔を近づけ、硬くなっている先端にそっと口付けをする。
「ええ、散々いたぶらせていただいたのですが・・・」
「最後の最後で逃げられた・・・そういうことだな」
私は黙ってうなずいた。
ゲドラー様のおっしゃる通りなのだ。
クリスタルレモンは確かに戦士としての力は侮れない。
しかし、私たち妖女虫の三体が力を合わせれば、クリスタルレモンには勝ち目など無かった。
それを私たちは過信しすぎたのだ。
「傷だらけになり、ぼろぼろのクリスタルレモンは最後にクリスタルの力を全て解放するつもりだったようです」
「キチク将軍と相討ちしたあのパワーの解放か・・・」
「はい・・・」
私はゲドラー様と皇帝陛下に対する申し訳なさでいっぱいになる。
それと同時に、ゲドラー様のこの肉棒を味わいたくてたまらない。
「ゲドラー様・・・その・・・味わっても・・・よろしいですか?」
私は多分おびえたような目をしているのだろう。
事実私は恐れていた。
不手際を責められ、この素敵な肉棒を味わうことができないのではないかということを・・・
「ふん、いいだろう」
「ああ・・・ありがとうございます」
私はすぐに一礼して感謝の意を表わした。
嬉しい・・・
とても嬉しいわ。
私はゲドラー様の肉棒をすぐにその口でくわえ込む。
舌を絡めて唾液をまぶし、その熱い肉棒を味わうのだ。
「おうっ、むう・・・だが、クリスタルレモンがパワーを解放する前に、離脱したというのか?」
「んちゅ・・・ちゅるっ・・・は、はい。ぼろぼろになったクリスタルレモンの躰を光が包み込み・・・んちゅ」
私は舌を這わせ、サオを舐めまわしつつ答える。
その不自由さが従属を感じさせ、私の官能に火をつけて行く。
「ふん、クリスタルの光か・・・」
「ちゅるっ・・・ぴちゅ・・・はい・・・彼女は自ら意図してではないようでしたが・・・彼女はクリスタルの聖女の代理だったのです・・・ああん・・・」
私は右手でゲドラー様の肉棒を持ちながら、左手が股間をいじり始めるのを止められなかった。
すでにじっとりと濡れたそこは、外骨格のカバーの隙間からも愛液が滴り落ちており、床にはしたない染みが広がっている。
「クリスタルの聖女の・・・おおうっ・・・代理だと?」
「はいぃ・・・先の戦いでクリスタルの戦士たちは・・・クリスタルポピーにその力を集約し、パワーを解放することでキチク将軍と相打ちになったあと・・・はあん・・・どうやらクリスタルポピーは消滅しアップル、ストロベリー、レモンの三人は力を失いました」
これは多分に推測が含まれている。
でも、戦闘の最中に彼女が言っていたことからも、この推測はほぼ正しいはず。
「クリスタルの聖女は・・・比較的力を残していたクリスタルレモンを通じ、新たな戦士を探し出したのですわ・・・ひゃあん」
私の躰がびくんと跳ねる。
ゲドラー様のつま先が、私の股間に入り込んできたのだ。
私のあそこはもうグチョグチョで、指を出し入れするごとに水音すら立てている。
「ふん、それがお前たちということか・・・」
ゲドラー様がニヤニヤしながら私を見下ろしている。
それだけで私はもうたまらない。
ゲドラー様ぁ。
私はゲドラー様の肉棒を思いっきり頬張った。
「ふぁい・・・ほうれふぅ・・・」
ジュプジュプと頭を上下させ、のどの奥まで突き通す。
にじみ出た先走りが、唾液と絡まり口中に広がって行く。
美味しい・・・
私は夢中で頭を上下させた。
「おおうっ・・・いいぞ、でるっ! ううっ」
私の口の中でゲドラー様がはじけ飛ぶ。
のどの奥を貫くようなほとばしりに私の躰は震え、めくるめく快感が私の躰を走り抜けて行く。
「ふぁあ・・・あ・・・イ・・・っくぅ」
私の指が敏感なところを擦りあげ、私は頭が真っ白になるほどの絶頂にその身を任せていた。
「ふん、奴らは再度新たな戦士を結集するつもりか・・・」
「はい、そう思われます」
ゲドラー様の隣に座らせられ、肩を抱いてもらっている。
この瞬間の幸福は何物にも代えがたい。
「全てを失うわけには行かないクリスタルの聖女が、最後にクリスタルレモンを連れ去った・・・そういうことだな」
氷の解けてしまったグラスを空にするゲドラー様。
私は寄り添うようにゲドラー様の肩に身を任せる。
「はい・・・奴らは再び新たな戦士を投入してくるはずです。私がさっさととどめを刺さなかったばかりに・・・申し訳ありません」
「ふん、気にするな。そう簡単には行かないことは皇帝陛下もご承知だ」
ゲドラー様の手が私の髪の毛を梳いていく。
「これでクリスタルが一揃い手に入ったのだ。このやり方が効果を持つこともはっきりした。クリスタルなど恐れることは無い」
「はい・・・」
「これからも我が片腕として働いてもらうぞ、ブラックローズ。我と皇帝陛下のためにな」
ゲドラー様が私を抱く腕に力を込めた。
「はい。ブラックローズは未来永劫皇帝陛下とゲドラー様に忠誠を誓い、地底帝国のために尽くしますわ」
私は笑みを浮かべると全てを捧げそう誓った。
END
沙弥香
きゃあ!
きゃあきゃあきゃあ!
まさかこちらでクリスタルローズが読めるとは思ってもみませんでしたわ!
うーん、今日はこの一年で一番素敵な日かも!
じーっくり読んでこれから萌え萌えしますぅ~ww
これからも頑張ってくださいね!
7月16日 20:45
metchy
クリスタルローズついに完結しましたね。
正義の戦士総悪堕ちというシナリオもいいですけど、正義の戦士が一人or二人逃げ帰って、新しい戦士を補充して体制を整えようとするエンディングというのもいいですね。
新たに選ばれた戦士が同じように地底帝国によって妖女中にされ手駒にされる。そういう妄想が浮かんできますね。
いくつものSSを同時進行するのは大変だと思いますが、これからもめげずに頑張ってください。期待しています。
7月16日 22:05
漆黒の戦乙女
こっちで読めるなんて私も驚きですw
クリスタルの聖女側は戦いはこれからだ…な感じですね
あの後学校はどうなったのか…とは言ってもきっと支配されたんでしょうね…何人生き残ったんでしょうね
これからもがんばってください
7月16日 22:06
空風鈴ハイパー
おおー来ましたねー。
舞方さんの作家としての代名詞とも言えるクリスタルローズですねー。
先日1周年記念になにかするって仰ってたんで、もしや?と期待してたんですが、とうとう完結ですか・・・。
待った分(笑)喜びもひとしおです。
やっぱり、どんなSS見ても、私にとってベストキャラは
「ブラックローズ様」
ですねー。私的に、今までこの御方を超える存在には巡り合えてないです。
野郎の私ですから、アウトですが、下僕虫でもいいから御仕えしたい!ってぐらいですね(笑)。
こういう終わり方もいいですね。霊姫やった後だけに、続編への引きかと勘繰ってしまいます(笑)。
でもやっぱ
「敵・すなわち堕とす相手あっての悪の存在」
ですもんね。「全てを黒に染めて、でそこから・・・」っのは「宇宙の果てはどうなってるか?」考えるみたいで、想像が及ばなくなってしまいますけど、こういう形で
「とりあえず悪の勝利、しかし生き延びた光の戦士は・・・」
みたいな「妄想・脳内補完の余地が残る結末」ってのはいいですねー。
今後のローズ様の御活躍を妄想しつつ、改めて御疲れ様でした。
素晴らしい作品をありがとうございました。ファンであり読者として感謝感謝です。
今後も楽しみにさせていただきます。
7月16日 23:12
舞方雅人
>>沙弥香様
ずいぶんとお待たせしちゃいましたからね。
最後となりましたが、楽しんでいただければ幸いです。
モエモエできるかどうかわかりませんが、よろしくお願いしますねー。
>>metchy様
E=MC2でも打ち切りっぽいといわれたエンドですが、私自身は決まっていたエンドでしたので満足です。
またいつかブラックローズ様たちに会いたいですね。
>>漆黒の戦乙女様
学校は支配下に置かれるでしょうね。
地上人は適度に間引くというのが地底帝国の方針ですから、多数の生徒が殺されたかもしれません。
そこらへんは非情なものでしょうね。
>>空風鈴ハイパー様
はい。
私の代名詞ともいえる代表作でしたね。
終えることができて感無量です。
今まで応援ありがとうございました。
「うふふ・・・造物主よりの命令だから仕方ないけど、本当ならお前ごときは私にふれることなどできないのよ」
私はそう言って目の前で歓喜に打ち震えている地上の男を見下ろしていた。
「ほら、私の脚よ。舐めなさい」
椅子に座った私は脚を組んで目の前の男、確か空風鈴とか名乗っていた男の前に差し出した。
ブーツ状の私の外骨格が男の目を釘付けにする。
うふふ・・・可愛いわね。
いかがですか~ww
7月18日 22:16
空風鈴ハイパー
うおお!!!スペシャルシチュSSありごとうございます!!!
読んだ瞬間から背筋がぞくぞくしてたまんないっす、思わず感謝のコメントさせていただきました。
今夜は妄想夢に「ブラックローズ様」出演決定です(笑)。
「ああ、ローズ様・・・素晴らしい御姿です・・・」
なんて感じで歓喜に打ち震えつつ御奉仕するなんて・・・わー!妄想暴走中!
失礼しましたー。でもあらためてありがとうございましたー。
7月18日 23:52
- 2006/07/16(日) 20:20:18|
- クリスタルローズ
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ちょうど一年前の今日7月16日。
私はこの「舞方雅人の趣味の世界」と言うブログを始めました。
当初は何をやろうか特に決めていたわけではなかったのですが、まあ、自分の気楽な文章発表の場になればいいやと思ってSSも書くようになったんですよね。
今では小ネタ的なミリタリーネタと、連続SSの二本立てで進めるようになりましたが、正直SSがなければとっくの昔にブログ止めていたでしょうね。
開始した当初は一年間続けられるとは思いませんでした。
もちろんできるだけ続けるぞという気はありましたよ。
でも、毎日更新をここまでできるとは思っていませんでした。
あざといこともやりましたけど、どうにか一年間の毎日更新ができて感無量です。
これからは少し気楽に書いていきたい気もしますね。
でも、なんだかんだと続けるんだろうなぁ。(笑)
ここまで来ることができたのはひとえに覗きに来て下さる皆様のおかげです。
皆様のおかげで今日現在で338000を越えるカウンター数となりました。
本当に皆様ありがとうございます。m(__)m
稚拙な文章に満ちている当ブログではございますが、これからもご贔屓のほど、切にお願い申し上げます。
これからもこの「舞方雅人の趣味の世界」をよろしくお願いいたします。m(__)m
今晩もまた更新します。
お楽しみに。
沙弥香
舞方さん、一周年記念おめでとうございます!
沙弥香はいつも舞方さんのすばらしいSSを感激(萌え萌え)しながら読んでいますww
今夜もSSが投下されるとのこと、すっごく楽しみですわ!
これからも2周年、10周年目指して頑張ってくださいね!
7月16日 11:50
g-than
一周年おめでとうございます~。ここまで毎日の更新を続けて来られたという事に
感嘆してしまいます。
今後も舞方さんカラーのブログ展開を楽しみにしております。
7月16日 14:21
grendy
ついに一周年ですか!おめでとうございまーす!!しかも累計カウンターが338000・・・!!
凄い!凄すぎます舞方さん!
いつも更新されてますし、SSも評判が上々のようで、本当におめでとうございます。
それにしても早いですね~もうあれから1年ですか。
これからもマイペースで、時にはいいアドバイスを下さったりして本当に私も感謝しております。
今後とも一層のご発展を願って、「いよ~っ!パン!」と一本締めで締めさせて頂きました(笑)。
それではまたまた~。
7月16日 17:25
姫宮 翼
一周年おめでとうございます。毎日欠かさずにここまで長い間出来ると言う事は結構大変ですよね。
これからも、毎日の更新を楽しみにさせていただきます。
7月16日 20:12
マビマビ
こんばんは。一周年おめでとうございます!
すごいなぁ。1年も続けられる勢い。しかもものごっついスピードで
文章を創作されている。本当、素晴らしいです。
私も舞方さんを見習いがんばろー。って気持ちをいつも分けていただいております。
これからも、いっぱい頑張って下さい!
7月16日 20:43
metchy
一周年おめでとうございます!
ブログ(日記)と言えどSSや時事ネタなど、いろいろな形で毎日更新し続けたというのは本当に素晴らしいですね。
特にSS投下のスピードはすごいですね。しかも一本だけでないところが・・・。
これからも頑張ってください!
自分も頑張ってコメントしますから(笑)
7月16日 21:39
空風鈴ハイパー
1周年おめでとうございます。
SSの製作も続けつつ、毎日の更新、読者として楽しませていただいてる身としてほんと頭が下がります。
先日私も1周年のコメントいただきましたけど、1年休まず続けるってのはほんと大変だと思います。
私なんかは安易な引用と中身のない雑記だからいいですけど、これだけ力の入ったSSを定期的に生産しつつ、毎日更新ってのは・・・。
「奴は化け物か!」
って思います(笑)。
舞方さんはきっと悪の組織に改造されてるんではないかと思ってしまいます(笑)。
「ふふふ、その素晴らしい創造力から生み出される洗脳SSでMCスキー達を虜にしておしまいなさい」
とか悪の組織の女幹部に指令されてるのでは(笑)。
ともかく今後も楽しみにしてます。
お互い止めるに止められない状況ですが、無理せず頑張りましょうね。では。
7月16日 22:55
縁根小百合
今晩は、縁根先生の中の人のものですw
舞方さんの、連日の努力というか、集中力に脱帽です。
人が読めるものを毎日毎日きちんと続ける、これがどれくらい大変かは
した人のみがわかるでしょう、わたしには絶対不可能な事ですがw
これからは、無理をしないで、マイペースで、などと思います
では、今後ともよろしく(ふかぶか
7月16日 22:56
舞方雅人
>>沙弥香様
コメントありがとうございます。
こちらこそ沙弥香さんのSSにはいつも楽しませていただいておりますよ。
エロさと変身が見事に調和した素敵な作品群ですよね。
これからも楽しませてくださいませ。
こちらも2周年、10周年と目指して行きますので。
>>g-than様
コメントありがとうございます。
こちらこそg-thanさんにはそれほど励まされてきたことか。
g-thanさんの素敵なイラストを見るたびに妄想が膨らんだものです。
これからも素敵な作品を送り出されることを期待しておりますね。
>>grendy様
コメントありがとうございます。
振り返ると早いものですね、確かに。
いろいろと書き綴ってきて、それが皆様に受け入れてもらっているというのは幸せであり、作者冥利に尽きるというものです。
これからも応援よろしくお願いいたしますね。
一本締め、ありがとうございました。
>>姫宮 翼様
コメントありがとうございます。
毎日更新は苦しくもあり、また楽しいものでもありました。
これからもできるだけ続けていきますね。
7月17日 21:40
舞方雅人
>>マビマビ様
コメントありがとうございます。
スピードはそんなに早く無いと思いますよ。
マビマビさんこそ素敵な文章をいつもお書きになっていてすごいと思います。
SS楽しませていただいておりますよ。
これからも素敵な作品を拝見させて下さいませー。
>>metchy様
コメントありがとうございます。
浮気者の性分なせいか、一本に絞って書けないというところがあるんですよね。
別のモノがすぐ書きたくなっちゃうという。
今は必死にこらえて一本でも早く完結するようにと頑張っているところです。(笑)
これからもコメントをよろしくお願いいたしますね。
>>空風鈴ハイパー様
コメントありがとうございます。
空風鈴さんのおかげですよ。
はっきり言って、負けるものかとやってきた部分はありますからね。(笑)
悪の組織の女幹部、ぜひとも手元に一人は欲しいものです。(笑)
疲れて帰ってきたときには、冷たい笑みを浮かべながらも、優しく迎えてくれたり。
逆にSS書かないでいると、思いっきりなじられたり・・・
いかん・・・嬉しいかも。(笑)
そんなファミリーコメディな悪の組織も楽しいかもしれないですね。
>>縁根小百合様
コメントありがとうございます。
中の人ともどもいつもお世話になっております。
きちんと殺してあげるつもりが中途半端になってごめんなさい。
いずれきっちりと殺してあげますねー。(笑)
またどこかで登場してくださることを願っております。
7月17日 21:55
- 2006/07/16(日) 11:41:26|
- 記念日
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いよいよ明日7月16日が、私がブログを開始した日です。
つまり今日は前夜祭。(笑)
明日の一周年記念はやはりSSを投下します。
でも、今日の前夜祭も、やはりSSを投下しますねー。
今日はローネフェルトです。
終戦を迎えたら次はどうしましょうか・・・
ローネフェルト戦後編?
宇宙に浮かぶ雨傘。
いや、もしくはキノコといったところか・・・
特異な姿が背後の星々を隠し、深遠の宇宙に浮かんでいる。
宇宙要塞ア・バオア・クー。
我がジオンの最終防衛線。
こことグラナダを結ぶラインを突破されれば、ジオンにとって後は無い。
「間もなくア・バオア・クーに到着します」
ブリュメルの艦橋は慌ただしくなる。
入港作業にかからねばならないのだ。
私は一人窓外を眺めている。
この要塞は連邦を防ぐことができるのか?
「左舷より艦隊が接近中!」
オペレーターの悲鳴にも似た声が上がる。
「入港の順番はこっちが先でしょう?」
リーザが思わず左を向く。
人間というのは左と言われると振り向いてしまうものなのだ。
もちろんすぐにリーザは切り替えられたスクリーンを凝視する。
スクリーンに映し出されたのは、三隻の機動部隊。
先頭にいるのは翼を広げたダークグリーンのザンジバル級。
それと見慣れたグリーン塗装のムサイ級ではなく、完成したばかりと思われる新型のムサイ改級で色も赤茶と言っていいような色のが二隻。
「あれは・・・海兵?」
リーザが腰を浮かす。
あまりにも急速に接近するその艦隊は、こちらの存在など無視するかのようだった。
海兵?
私もスクリーンを凝視する。
突撃機動軍内の荒くれ集団。
開戦直後の大量虐殺の実行者。
抱かれるイメージはそんなものだろう。
指揮官はシーマ・ガラハウ少佐、いや、今は中佐だわ、確か・・・
「通信を、早く!」
「すでに送ってます」
「まったく・・・どうしようもない狼どもだわ」
リーザは舌打ちをする。
「返信ありました」
「スクリーンに出して!」
すぐにスクリーンに先方の艦橋が映し出される。
ニヤニヤと下卑た笑いとだらしなく前を開いた軍服。
いかつい男たちとまるで娼婦のような雰囲気を漂わせる女性たち。
これが軍艦の艦橋なの?
『呼びかけてきたのはあんたかい?』
キャプテンシートの女性がすっと立ち上がる。
まだ若い女性だが、長い髪の毛をなびかせ、中佐の階級章をつけている。
「軽巡ブリュメル艦長のリーザ・オスハイマーです。ア・バオア・クー第五宇宙港への入港はこちらが優先でとなります。割り込まないでいただきたい」
立ち上がって敬礼するリーザ。
『ふふ・・・』
相手は妖艶な・・・と言っても見る者を不安にさせる笑みを浮かべる。
『なかなか可愛いねぇ。そこのオペレーターも、それからそこの大尉も』
視線が私の方を向く。
「中佐?」
『わかっている。私は突撃機動軍海兵隊のシーマ・ガラハウ中佐だ。優先権がそちらにあるのは百も承知さぁね』
「艦隊、なおも接近中。このままでは30秒後に接触します!」
『ふふふ・・・可愛いオペレーターの言うとおりさね。どうする? リーザ艦長。あっははははは・・・』
腰に手を当てて高笑いをするシーマ中佐。
背後のクルーたちも笑いを隠そうともしない。
「クッ・・・上角30度、二時の方向に変針!」
やむなく変針を命じるリーザ。
ぐんと躰が沈み込み、ブリュメルが進路を変えて行く。
『すまないねぇ、リーザ艦長。あっははははは・・・』
笑い声だけを残して通信が切れる。
「ばかにしてぇ」
リーザの歯噛みが聞こえてくる。
私は思わず苦笑してしまった。
『第一艦隊、進発します!』
『補給隊は続いて発進。艦隊の後方に続け』
『第二艦隊の発進準備を続けろ!』
『第三艦隊はどうなった!』
ごった返す宇宙港内の通信が流れてくる。
俺は発進して行く艦艇を黙って見つめていた。
『中尉殿、こちらでしたか』
『中尉殿』
黄色のノーマルスーツがそばにやってくる。
可愛い俺の部下たち、ミスティ・エイボン曹長と、アナスタシア・チュイコワ曹長だ。
あのあと俺はどうにか無事に拾われ、こうしてコンペイ島で機体を待っている。
ミスティも無事で、あんなことがあったにもかかわらずケロッとしていやがった。
「積み込みは終わったのか?」
俺は手すりにもたれかかりながら、二人のほうに向き直る。
『私たちの機体は積み込み完了しました。あとは中尉殿の機のみなんですが・・・』
『やはりボールなんでしょうか・・・』
「だろうな。いまさら小隊にジムが配備されるとも思えないよ」
俺は苦笑する。
ジムが欲しいのは確かだが、そうなると小隊の構成がいびつになる。
それは望むことではないからな。
『行っちゃいましたね・・・エリアルド大尉殿』
少し寂しそうにミスティが言う。
彼女はソフィアに可愛がられていたからな。
気持ちはわかる。
『シン曹長殿もですね』
窓外を発進して行く艦隊に目を移す。
レビル将軍指揮下の第一連合艦隊。
旗艦のフェーベのそばに戦艦ピョンヤン。
少し離れて戦艦ヤマシロが浮いている。
ソフィアの小隊はヤマシロに配属になったのだ。
俺は夕べの感触を思い出す。
柔らかいソフィアの躰。
その温もりがまだ残っているようだ。
『そろそろ艦にいらしてください。艦長がお待ちですから』
「なんだ、それを早く言えよ」
俺は躰を起こして床を蹴った。
サラミス級巡洋艦「モンテビデオ」
これが俺たちの新しいお宿だ。
もっとも、格納庫搭載型の新型ではなく、ニューヨークシティと同じく0070年代前半就役の旧式艦である。
俺たちのRB-79ボールは甲板前部にワイヤーで止められているだけ。
ジムは搭載されず、ボール小隊が一個載せられるだけなのだ。
新品のボールが今搭載されていく。
どうやらあれが俺の機体か。
やはりボールがまわされたことに、俺はやっぱりという気持ちを抱いてしまう。
『ボールですね。中尉殿』
チュイコワ曹長の声が何となく嬉しそうなのは気のせいか?
「まあな、今の連邦には贅沢はご法度だからな」
俺は内心の落胆を気取られないように勤める。
いよいよア・バオア・クーか・・・
まったく・・・
年明けはまた厳しくなりそうだな・・・
俺はタラップを上がり、モンテビデオに乗り込んだ。
『かなり無理したんじゃないですか?』
ア・バオア・クーの技術士官が私の方を向いてにやりと笑う。
入港したブリュメルは艦及び装備の整備を行なわれる。
アヤメやパットの09Rはそうでも無いみたいだけど、私の15は脚部を再度整備しなくてはならない。
なにせ、破壊されたあと応急処置しかしていないのだ。
「工場に持っていくなんて言わないでしょうね」
ここにいたって乗機を取り上げられたのでは目も当てられないわ。
『まあ、それは言いませんがね。脚部は交換したほうが・・・』
「交換部品なんて・・・あるの?」
このYMS-15は試作機だ。
部品があるとは言っていたけど、脚部丸々となるとあるかどうか・・・
『そうですなぁ・・・難しいかもしれません』
ふう・・・
それなら下手にいじらないほうがいいわ。
とりあえず着艦とAMBACには支障が無いわけだし、オーバーホール中に敵にでも来られたらたまらない。
「足のほうはいじらないで。推進器関連を重点的にやってちょうだい」
『了解しました』
私は敬礼して作業にかかる技術士官を背にし、その場を後にした。
漆黒の戦乙女
ソフィアさんに死亡フラグが立ちましたね
ローネさんはギャンがちょっと大変そうな感じ、生き残れるのでしょうかね
7月16日 22:02
舞方雅人
>>漆黒の戦乙女様
そうなんですよねー。
レビル艦隊ですからねー。
まあ、どうなることやら。
皆さん生かしてやりたいんですけど・・・ね。
7月17日 21:32
- 2006/07/15(土) 21:41:30|
- ガンダムSS
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北の大地もじめじめして暑いですー。
今日の札幌は30度まで上がりましたー。
やはり暑いのはこたえますね~。
ガダルカナルを巡る戦いでも露呈したように、日本軍の設営能力は米軍に比べて著しく劣るものでありました。
飛行場を作ろうにも、人力が中心である日本軍はかなりの期間が必要であり、その間は上空の制空権を別の飛行場からの航空機に頼ることになるのです。
ところが周辺が島々であるガダルカナルなどの島嶼基地では、周辺の飛行場と言っても近くには無いことが多いのです。
そのため日本軍では水上機を重視して整備に努めました。
二式水上戦闘機はそんななか作られた水上戦闘機です。
もともとは十五試水上戦闘機(強風)が配備されるまでのつなぎとして、簡易に製造できる水上戦闘機というコンセプトで作られたものでした。
そのため、既存の零式艦上戦闘機をベースにフロートを装備して水上戦闘機に仕上げた形となりました。
しかし、簡単に作るというコンセプトは失敗します。
零式艦戦は腐食に弱い部品を使っていたため、水上戦闘機には不適当だったのです。
そのため零戦を改造して水上戦闘機を作るということはできず、結局新規に作るしかなかったのです。
できあがった二式水上戦闘機は、零戦譲りの20ミリ砲に威力もあってそれなりの活躍をします。
しかし、フロートをつけたことにより、運動性も最高速度も大幅に低下したため、水上戦闘機としては凡作となったのです。
それでも、手近に飛行場が無いソロモン海などでは有用な兵器であり、日本軍にとっては必要欠くべからずな戦闘機だったことは間違いないでしょう。
それではまた。
- 2006/07/14(金) 21:36:16|
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ガダルカナル島に上陸した米軍は、日本軍の建設途中の飛行場を確保。
ブルドーザーによって拡張整地し、瞬く間に使用可能にしてしまいました。
ガダルカナルの飛行場を発進した米軍機は、島上空の制空権を確保。
日本軍は苦境に陥ることになります。
日本軍は飛行場奪回のための攻撃を何度も繰り返しますが、その都度敗退。
補給を運ぶ輸送船は、飛行場から飛び立つ米軍機によって次々と沈められてしまいました。
日本軍はここにいたり、艦砲射撃による飛行場砲撃によって飛行場を使用不能にし、その間に補給を積んだ輸送船を島に接岸させるべく作戦を立てました。
この目的のために用意されたのが、第六戦隊でした。
重巡青葉を旗艦とし、重巡古鷹、衣笠、駆逐艦吹雪と初雪を従えた第六戦隊は、五藤少将の指揮の下勇躍ショートランド泊地を出発します。
この時、戦隊には敵情情報がまったくありませんでした。
もちろん情報収集は怠り無かったのですが、先行した別艦隊も、航空索敵も米軍の姿を捉えてはいなかったのです。
しかし、米軍は存在していました。
スコット少将率いる、重巡二、軽巡二、駆逐艦五の有力なる水上艦隊でした。
五藤少将率いる第六戦隊は、ガダルカナル島の北方にあるサヴォ島を過ぎたあたりで飛行場砲撃のため速度を落としました。
その時、21時43分。
青葉の見張り員は左舷15度、一万メートル先の怪しい艦影を発見したのです。
しかし、第六艦隊司令部はこれを先行する味方艦隊では無いかと疑いました。
そのため、旗艦青葉は発光信号を出すことにしたのです。
「ワレアオバ・ワレアオバ」
第六戦隊はそのまま前進。
約7千メートルの地点で見張り員はついにその艦影を敵だと確認しました。
しかし、五藤少将はなおも味方確認のための発光信号を続けさせます。
「ワレアオバ・ワレアオバ」
その直後、敵弾がいきなり周囲に着弾し始めます。
そのうちの一弾は艦橋を直撃。
不発だったにもかかわらず、五藤少将以下司令部要員の大多数が死傷するという事態になりました。
五藤少将は両足を失う重傷。
青葉は集中射撃を受け、あっという間に戦闘不能状態になりました。
よたよたと戦場を離脱する青葉は、僚艦古鷹及び衣笠、駆逐艦二隻を戦場に残して行くことになりました。
幸いにして青葉はどうにかショートランドへ戻ることができました。
しかし、第六戦隊の残りはまた米軍の攻撃を受けることになり、古鷹と吹雪が沈没。
衣笠が小破という損害をこうむりました。
米軍の損害は駆逐艦一隻沈没、損傷が巡洋艦二隻と駆逐艦一隻で、決して楽な戦いではなかったことではありました。
しかし、レーダーによって早期に敵を発見し、最初は一方的に攻撃できたことが、最後まで有利に働いたのです。
日本はこの戦闘ではレーダーの存在をまだ知りませんでした。
以後もソロモン海においては米軍のレーダーと、日本軍の目視索敵という図式が繰り広げられることになります。
苦しい戦いになることは言うまでもありません。
そのあたりについてはまた後日。
- 2006/07/13(木) 22:22:36|
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ドイツのワールドカップも無事終わり、サッカーの話題も少し下火になったみたいですが、やはりというかFIFAのランクが大幅に下がったようですね。
もっとも十位台だったというのが正直信じられない数字でしたので、正確な順位に落ち着いたということかもしれませんね。
一方いよいよプロ野球は前半が終わりますねー。
来週にはオールスターが開催されます。
我が(?)阪神からは監督推薦を含めて7人が選ばれました。
ですが、数字も立派で選ばれて不思議無いと言えるのは藤川と金本ぐらいでは無いでしょうか。
他の選手には悪いですが、こと打つ方にかけては今年の阪神の選手は調子よく無いんですよね。
今日は無事に勝てたんですが、金本選手の二本のホームランが効きましたね。
何にせよ今年の阪神はとにかく投手が抑えて勝つという構図が出来上がっていて、投手が崩れると勝てないと言ってもいい状態です。
投打の歯車がかみ合うのはいつのことか・・・
このままでは中日が逃げ切っちゃいそうですからね。
何とか追いすがって行って欲しいものです。
それにしても巨人はどうしたんでしょう。
やはりプロ野球人気の発展のためにも、巨人には強くあって欲しいものです。
今日はこんなところで。
それではまた。
grendy
FIFAランキングの低下、こちらの記事で初めて知りました。
つか順当な位置に落ち着いたって感じですよね・・・。今までが高すぎた感もありますし。
そもそもあのランキング制度にも色々と問題があるんですよね?
確かどれだけ国際マッチを多く行ったかで決定するとかで、
それ=実力とはどうしても結びつかないという専門家の意見もあったようですが、
今回に限っては、日本のランクはこれぐらいが妥当かなと思いました。
7月12日 21:43
metchy
日本のFIFAランキングはあのくらいが妥当ではないかと思います。
確か、ワールドカップが始まる前のドイツとの親善試合のとき、ランキングは日本とドイツはほとんど同じだったはず・・・。あの時点で明らかにおかしいと思ってましたね。これで日本のサッカーが目を覚ましてくれればいいですけど。
プロ野球も、セリーグは2強4弱で固まってきましたし、パリーグは地元の日本ハムがかなり善戦してくれて、4チームがダンゴ状態になっているので、これからはパリーグでしょう(by 新庄:2004)。ですから巨人戦の中継より日本ハムの試合をもっと流して欲しいです。
そういえば阪神の藤川、連続無失点記録止まってしまいましたね。球団記録を何十年ぶりに抜いたので、日本記録までがんばって欲しかったですけど、失点の原因が藤川の暴投とは・・・。ちょっと藤川らしいかなと思ってしまいました。
7月13日 15:54
舞方雅人
>>grendy様
ランキングの計算方法も変わったらしいですね。
まあ、手っ取り早く上下関係を把握するにはいいのでしょうけど、やはり正確であって欲しいですよね。
>>metchy様
阪神今日は負けたなぁ。
パリーグは日本ハムに頑張って欲しいですよねー。
日本ハムの選手もだいぶ顔が知られてきましたが、もっと中継して欲しいというのは同感です。
がんばれー
7月13日 22:29
- 2006/07/12(水) 21:33:56|
- スポーツ
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皆さんはエースという言葉をご存知でしょうか。
カード遊びのブリッジ。
その切り札をトランプというのですが(日本ではカード自体がトランプと呼ばれるようになっちゃいました)、その中でもエースは切り札中の切り札というわけですよね。
そこから転じていろいろな場面での優秀な人物をエースと呼ぶようになったわけですが、軍事上でエースというと撃墜数の多い航空機パイロットを指し示す言葉として知られています。
現在では五機撃墜がエースの資格として認知されているため、ベトナム戦争でもアメリカ空軍及び海軍のF-4パイロットにエースが出現しました。
しかし、もともとはエースは十機撃墜を持ってエースとすることになっていたのはご存知でしょうか?
航空機が空中戦を行なうようになったのは第一次世界大戦からです。
1914年の開戦以来、英、仏、独、墺、露などが軍用機を量産して、軍事活動に利用してきました。
最初は高いところから敵軍を偵察、または敵陣地に対する砲撃の観測などを行なってきました。
もちろん敵軍の航空機が頭上を飛びまわることで、味方の被害は増大します。
大砲の弾が正確に落ちたり、自軍の配備の薄いところを的確に攻撃されたりするわけですからね。
そこで敵の航空機に上空を飛ばれないように、武装した航空機が自軍の上空を飛び回るようになりました。
戦闘機の登場です。
そうなると、敵軍はまず戦闘機を排除しないと偵察を行なえないので、敵軍も戦闘機を繰り出してくるようになります。
空中戦が発生し、制空権という概念が生まれるようになりました。
当時の空中戦は航空機自体が未熟だったために、パイロットの腕がかなりの影響を及ぼしました。
中には敵機を多数撃ち落すようなパイロットも登場することになったのですね。
もちろん軍はそういった人物を内外に知らせることで、味方の士気を鼓舞し敵軍の士気を粗相させようと計ります。
そこで敵機を十機撃墜した人物をエースとして紹介し、切り札であるということを内外に印象付けたんですね。
航空戦が激しかった西部戦線では、英、仏、独それぞれにエースが生まれ、それぞれ自軍の宣伝に一役買うことになりました。
ところでアメリカは1917年に参戦することになりましたが、すでにエースを輩出していた国々と比べ、これからエースが出てくるにはかなりの年月が必要となることが予想されたのです。
いつまで経っても自軍のパイロットにエースがでてこないとなると、国民に対しても諸国に対してもやはり宣伝効果が低いことは否めません。
そこでアメリカ軍は考えました。
いっそのこと半分の五機撃墜でもいいんじゃないかと。
結局アメリカ軍はその考えを採用。
五機撃墜でエースと呼ばれるようになったのです。
おかげで米軍にも幾人かのエースが誕生。
戦後アメリカの地位向上が影響して、五機撃墜がエースというのが広まって現在に至るのです。
まあ、宣伝目的&士気高揚によって生み出されたインフレエースでしたが、第二次世界大戦では四百機撃墜などというパイロットも生まれるほど苛烈な航空戦が行われるようになりました。
その後はジェット機時代に入り、両軍の航空機がさほど数を投入できなくなってきてエースもあまり生まれなくなりました。
湾岸戦争やイラク戦争ではエースは生まれたんでしょうかね?
それではまた。
姫宮 翼
PS2のエースコンバットシリーズをプレイし始めてからより一層戦闘機が好きになりましたね。調べるために色々お気に入りに登録した身です。
銃器を搭載していない本当に初期の頃は石等をぶつけていたと何処かで見た気がします。
それから、機関銃を搭載したんですよね。最初はプロペラに当たった様ですが……。
第二次大戦のドイツのエーリッヒ・アルトマンは凄いと思いますね。その心情も素晴らしいと思います。
昔のエースパイロットは目が良かったそうです。今とは違いレーダーもありませんから、それも当然でしょうね。
最近の戦争では多分いないと思います。
7月12日 19:12
舞方雅人
>>姫宮 翼様
プロペラを撃ち抜いてしまったというのは有名な話ですね。
プロペラ同調機銃を搭載したフォッカーDⅢは、連合軍からフォッカーの懲罰と言われるぐらいに連合軍機を落としたそうです。
あと、目がよくないとパイロットにはなれなかったらしいですね。
新谷かおる氏も松本零士氏も目が悪くて断念したとか。
やはり目視索敵は昔も今も重要です。
7月12日 22:46
- 2006/07/11(火) 22:00:19|
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アメリカ海軍航空母艦ヨークタウン。
CV-5
1937年竣工。
全長246・9メートル。
基準排水量19800トン。(世界の艦船より)
巡洋戦艦改造のレキシントン級空母と、小型空母レンジャーの運用実績を踏まえて建造された、アメリカ海軍の中型空母ですね。
日本海軍でいえば蒼龍&飛龍に匹敵する空母なんですが、大きさ的には翔鶴型に迫ります。
非常に使い勝手がよかったようで、エセックス級空母などはこのヨークタウンを大型化しただけと言ってもいいようです。
搭載機は、場合にもよりますが、約90機。
アメリカ軍の場合は甲板上に露天係止して、艦載機を増やすことが良くありましたので、実際は100機を超えることもあったようですね。
同型艦にはビッグEこと有名なエンタープライズCV-6とホーネットCV-8があり、いずれも太平洋戦争初期のアメリカ軍空母機動部隊の主力として激戦に投入され、活躍いたしました。
もちろん世界最強といわれていた日本海軍南雲機動部隊などを相手にしたのですから、損害も多く、このヨークタウンはじめホーネットも戦没。
エンタープライズのみが戦争を生き延びました。
竣工以後ヨークタウンは、大西洋に赴き船団護衛などについていたのですが、太平洋戦争開始前に太平洋に回航され、太平洋艦隊の一員として日本海軍と対峙する事になります。
真珠湾攻撃を受けなかったヨークタウンは、1942年5月、珊瑚海においてレキシントンとともに日本軍と戦闘に入ります。
いわゆる珊瑚海海戦です。
この戦闘において日本海軍は空母翔鶴を損傷し、空母祥鳳を失ったのですが、アメリカ海軍も大型空母レキシントンを失い、ヨークタウンも中破してしまいます。
ヨークタウンはよたよたと戦場を離脱。
一方の日本軍もポートモレスビー攻略を断念したために双方痛みわけ的な海戦になりました。
真珠湾に回航されたヨークタウンは全治3ヶ月の重傷でした。
しかし、日本海軍の次の目標がミッドウェーであることを突き止めたアメリカ軍は、日本海軍撃滅のためにも空母が必要であると判断。
ヨークタウンの応急修理を命じます。
ここがアメリカ軍のすごいところ。
ヨークタウンは72時間後には戦闘可能状態に復帰していたのです。
ヨークタウンはエンタープライズ、ホーネットとともに出撃。
ミッドウェー海戦に挑みました。
この海戦では両軍がいろいろな錯誤を犯したものの、ちょっとしたタイミングを利用できたアメリカ海軍艦爆隊が赤城、加賀、蒼竜の三隻をしとめます。
唯一残った飛龍が艦載機を発艦させヨークタウンを損傷させ、一時は動力を失うほどの損害となります。
しかし、アメリカ軍のダメージコントロール能力は凄まじく、約30分後には動力も回復。
ヨークタウンは不死身かと思われました。
事実、飛龍を発進した第二次攻撃隊は動いているヨークタウンを見て、第4の空母だと思ったぐらいでした。
しかし、飛龍雷撃隊の攻撃は再びヨークタウンに集中。
ヨークタウンは今度は魚雷を受けて傾斜、ついに総員退艦命令が出されました。
艦長以下生き残りの二千数百人は付近の駆逐艦などに移乗し、ヨークタウンの沈没を見守ることになりました。
しかし、ヨークタウンは沈まなかったのです。
飛龍の攻撃隊も去り、静かになった海上では傾斜も止まったヨークタウンが浮いていたのです。
これは曳航して帰れるかもしれない。
そう思ったバックマスター艦長は損傷修理班を率いて再びヨークタウンに戻りました。
損傷修理班の活躍により、傾斜も徐々に復元したヨークタウンは死の淵からまたよみがえるかと思われたその時、魚雷がヨークタウンを襲います。
潜水艦伊-168が放った魚雷でした。
伊-168の魚雷はヨークタウンに横付けして損傷修理班を支援していた駆逐艦ハンマンを一瞬にして撃沈。
その二分後にはヨークタウン本体にも二本の魚雷が命中しました。
さらに沈んで行くハンマンの爆雷などが水中で爆発。
それもヨークタウンにダメージを与えます。
もはやこれまでと感じたバックマスター艦長は退艦を命令。
ヨークタウンはついに波間に没しました。
時に1942年6月7日。
それにしてもアメリカ海軍の艦艇はそのダメージコントロールのすごさは定評がありますね。
考え方の相違なんでしょうかね。
それではまた。
- 2006/07/10(月) 22:29:19|
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ペルソナドライバー霊姫終わりましたー。
うーん・・・微妙。(笑)
悪堕ちも洗脳もあるんですけどねー。
なーんか肩すかしを食わされた気分になるのは何でだろう。
いや、面白いんです。
いいシチュなんです。
でも微妙・・・かなぁ。
悪くはないですよ。
買って損ではないと思います。
さて、今日は連邦軍側。
ソロモンに到着したバーナード君です。
宇宙港に一隻の宇宙戦艦が入港して行く。
マゼラン級宇宙戦艦「フェーベ」。
レビル将軍麾下の第一連合艦隊の旗艦である。
ここは旧ソロモン。
今は我が軍の前進拠点となった「コンペイ島」である。
昨日、我が軍はティアンム提督始め多大な損害を出しながらもソロモンを攻略した。
損傷を受けたガンビア・ベイを旗艦とする我が艦隊は陥落後のソロモンに入港。
使用可能な宇宙港と修理施設によってガンビア・ベイはドック入りした。
俺の所属する艦隊はここで解散。
以後は新たな艦隊に配属になることになる。
もっとも、のんびりしてなどいられないだろう。
レビル将軍のコンペイ島上陸も、多分に政治的意味合いが大きい。
きっとこの光景はTVによって全世界、ジオンを含む全世界に配信されているはずだ。
ジオンのプロパガンダ放送は、ソロモン放棄は予定の行動だと言っているが、例えそうだとしてもこの映像はジオン国民には衝撃だろう。
俺はそんなことを考えながら、ゆったりとボールを漂わせる。
すでに周辺に敵の気配はない。
全ての敵は遁走し、ア・バオア・クーへ向かうかグラナダへ向かっている。
どうせ明日か明後日にはまた出撃なのだ。
少しのんびりしたってバチは当たるまい。
『こらっ! だらけているんじゃないぞ。バーナード君』
突然ヘッドフォンに柔らかい怒鳴り声が飛び込んでくる。
スクリーンに映る黄色いモビルスーツ。
ジムライトアーマーだ。
徹底的に軽量化されたために一撃食らったらヤバい機体だが、ソフィアはよく使いこなしている。
「だらけてなどいませんよ。少しぼうっとしていただけです」
『それがだらけているって言うのよ。しっかりしなさい。お友達を連れて来たんだから』
ソフィアの声はいつ聞いても耳に優しい。
ん? お友達?
『お久し振りです中尉殿。シン・ファンレイです』
シン軍曹?
アラスカでファンファンを駆っていたあのシン軍曹か?
「シン軍曹? ほんとにシン軍曹か?」
『今は曹長です。中尉殿』
黄色のライトアーマーの影から現れるジム。
なんてこった・・・
俺は正直うらやましい。
「ジムのパイロットになったのか?」
『はい。パターソン大尉殿の推薦がありまして』
なるほど。
確かに彼女ならジム乗りとしてもやって行けるだろう。
「どこに配属されたんだ?」
『第一連合艦隊第三戦隊所属の戦艦ピョンヤンです』
「戦艦配備か。たいしたもんだ」
これはお世辞ではない。
やはり連邦軍には戦艦を重要視する風潮が根強いのだ。
当然格納庫を搭載した後期型マゼラン級だろうが、甲板係止の前期型マゼラン級だろうが、そこに配備されるジム隊は優秀な者が回される。
『そんなことないですよ。たまたまです』
「相変わらず幸運の妖精は一緒に居るのか?」
俺はファンファンのコクピットにぶら下がっていた翅を広げた妖精のマスコットを思い出していた。
「もちろんです。小隊内では三番機ですが、この機体の製造番号も895番機なので、5が付いているんですよ。幸運の五番機です」
俺は思わず笑みを浮かべた。
社会にでたらまだまだ大学生と言ってもいいぐらいの年齢だ。
占いや可愛いものを好むのは当然だろう。
『中尉殿、あれを』
シン曹長のジムが指差す先には一隻の奇妙な宇宙船が浮かんでいた。
全体を白で塗られた船体。
左右に張り出した翼は大気圏内での航行を前提としているもの。
左右のモビルスーツデッキの張り出しと、後部両舷のエンジンポッドにより、まるで宇宙を駆けるペガサスのようにも見える。
「ペガサス級・・・ホワイトベースか・・・」
噂には聞いていたが、実際に実物を見るのは初めてだ。
ブライト・ノア大尉にアムロ・レイ少尉。
連邦軍の若きヒーローたちか・・・
俺はその勇姿に見惚れていた。
『ねえ、二人とも。何か・・・妙な感じがしない?』
ソフィアのライトアーマーが周囲を探る。
「妙な感じ・・・ですか?」
俺もカメラを望遠から広角に切り替えて周囲の索敵を行なった。
静かな宇宙だ・・・
何もおかしなところはない。
『あ・・・大尉殿も感じられるんですか? 私もさっきから頭痛がして・・・』
シン曹長のジムが少し離れて行く。
「風邪でも引いたんじゃないのか?」
『そんなことは・・・』
言葉尻が小さくなるのは否定しきれないってことか・・・
俺は苦笑する。
戦艦の個室で汗をかく運動をしていたんじゃないのか?
『つぅ・・・』
シン曹長のジムが揺らめく。
「シン曹長!」
言わんこっちゃない。
熱でもあるんじゃないのか?
『きこ・・・え・・・る・・・』
「聞こえる? 何がだ?」
「シン曹長!」
ソフィアのライトアーマーがシン曹長のジムを横から支えるようにカバーした。
その時、スクリーンの片隅が光る。
「爆発? 何だ?」
俺はすぐに射撃ボタンの安全レバーを解除する。
「エイボン曹長! チュイコワ曹長! 俺のそばに寄れ!」
『了解』
『了解です』
すぐに二人の声が聞こえる。
よかった・・・
俺はホッとした。
『巡洋艦イシカリ、爆沈!』
『周囲を警戒しろ! 攻撃か?』
『わからん! あっ! ニューメキシコ爆沈!!』
薄れていたミノフスキー粒子を通して悲鳴のような通信が交錯する。
一瞬にして巡洋艦と戦艦が爆沈?
一体何だ?
『聞こえ・・・る・・・聞こえるんです、中尉殿!』
「だから何が聞こえるんだ!」
俺は周囲に集まってきたエイボン曹長とチュイコワ曹長のボールを確認し、シン曹長を怒鳴りつける。
報告はきちんとしないとだめだろうが・・・
『ラ、ラ・・・って音・・・ラ、ラって聞こえるんです!』
なんだそりゃ?
「無線の混信じゃないのか? エリアルド大尉殿は聞こえますか?」
その間も周囲を見渡すが、何もない。
また光。
今度は何がやられたんだ?
『私には聞こえないわ。シン曹長、ほんとに聞こえたの?』
『今でも聞こえるんです。ラ、ラって・・・気味悪いよぉ・・・吐き気がする・・・』
「風邪の幻聴だ! とにかく今は周囲を警戒しろ!」
『り、了解』
ふらふらしながら飛んで行くジムに俺は不安を覚える。
もし敵だとすればいい的だ。
『巡洋艦ヴォルガ、アマゾン、ともに爆沈!』
『敵はどこだ? どこにいるんだ?』
『現場なら敵は見えるだろう! こっちは電気系統の修理がまだ終わっていないんだ、見えるわけないだろう! お、おい、どうした? 38エリア、38エリア!』
混乱に拍車がかかっている。
何が起こっているのかさっぱりわからない。
ジオンの置き土産が起動しているのか?
自律機雷か何かの攻撃なのか?
コンペイ島と艦隊が翻弄されている。
?
何だ?
なんか小さいものが見えた気が・・・
突然近くに居た巡洋艦グリーンランドの船体に爆発が起こる。
「なんだよ、一体?」
『キャァー』
エイボン曹長の声だ。
『エイボン曹長?』
見ると進路がずれたグリーンランドがのしかかるようにエイボン曹長のボールを押しつぶそうとしている。
ちいっ!
俺はレバーを思い切り倒し、フットペダルを踏みつける。
間に合えっ!
俺は全てのパワーで推進剤を吐き出させ、ボールをエイボン曹長の機体に近づける。
スローモーションのようにゆっくりと艦首をこちらに向けてくるグリーンランド。
宇宙巡洋艦がこれほど獰猛な表情に見えるのは初めてだ。
必死に機動を行なうエイボン曹長のボールがグリーンランドの艦首に接触されかけている。
胴体部の爆発が艦首を弾き飛ばし、それがまさに質量兵器のごとく向かってくるのだ。
『お母さーん!』
「うりゃー!」
俺のボールに衝撃が走る。
目いっぱいに伸ばしたアームにエイボン曹長のボールが触れる。
振動とともにアームはひしゃげ、それと同時にエイボン曹長のボールの軌道がありえない方向に変わって行く。
続けざまの衝撃。
弾かれたエイボン曹長のボールはグリーンランドの軌道をはずれ、衝突圏外へ飛んで行く。
『キャァー』
叫びたいのはこっちだぜ。
「こなくそっ」
俺はレバーを思い切り倒し、ボールを急角度で下に沈ませる。
スクリーンの脇にはまさに巡洋艦の艦首。
それがぐんと上に飛び上がって行く。
メキメキという音とともにコクピットのハッチがゆがんで行く。
頭の上を通過して行くグリーンランドの艦首がボールの上面を擦り、主砲を吹き飛ばして行ったのだ。
エアーが抜け、機器類の音が一切聞こえなくなる。
ヘルメットを閉じていたので問題ないが、すでにボールは警告ランプのオンパレードだ。
俺は素早くベルトを外し、立ち上がってゆがんだハッチをこじ開ける。
深遠な宇宙と、青い地球が目に入った。
「こちらランディス・バーナード。これより脱出する」
聞こえているかいないかわからないが、とりあえずは言っておくに越したことはない。
目の前をヘルメットのないノーマルスーツの兵が漂って行く。
グリーンランドの乗組員だろう。
ああはなりたくないな・・・
俺は発信機と救難発光機を作動させると、宇宙へ飛び出した。
姫宮 翼
地獄のオールレンジ攻撃ですね。ゲーム等でも悪夢の射程を誇る奴です。
ララァの歌が聞こえると言う事はこのシンと言う子はNTでしょうか?あぁ、ちょっと曖昧です。記憶が薄れていますね。
この前、逆襲のシャアとVガンダムの最終巻をレンタルしたんですが艦が簡単に沈むんですよね。
主人公や名前ありキャラの機体が強いのかもしれませんが。
リーンホースJrのビームラムや戦艦にビームシールドは結構先進的なアイディアだったと今になっても思います。F-91のビームフラッグも結構面白いですしね。
7月9日 21:35
通りすがりのMCマニア
> ペルソナドライバー霊姫終わりましたー。
>
> うーん・・・微妙。(笑)
> 悪堕ちも洗脳もあるんですけどねー。
>
> なーんか肩すかしを食わされた気分になるのは何でだろう。
> いや、面白いんです。
> いいシチュなんです。
> でも微妙・・・かなぁ。
ある意味よく分かります(笑)
とりあえず、一番萌えるのが『自由意志を奪われた○○』という段階で、私は何かを間違えているのでしょうか?(爆)
(自由意志奪われた割に、妙にあれこれ曰うのはどんなものなのか、とは思ってしまいますが)
それにしても……MAIKA、ADVゲーム形式に地の文を導入するあのスタイル、いい加減どうにかならないものかと思ってしまうのは自分だけでしょうか?(^_^;)
7月9日 22:24
漆黒の戦乙女
NTさんがいますね
覚醒して活躍するんでしょうか?
逆シャアだとネオジオンの艦隊はあんまり撃沈されていた記憶ないですね
核ミサイルの余波で2隻?アムロが1隻落とした以外は…基本的に戦艦はエンジン部を狙わない限り簡単には落ちませんしね
特に逆シャアの時は戦闘ブリッジが存在してるから余計に落としにくくなってるのかも
7月10日 19:45
舞方雅人
>>姫宮 翼様
シンちゃんはNTですね。
これから活躍するかはなんとも言えませんが。
艦船はモビルスーツには弱いですからね。
それにこの時は画面上でも次々と撃沈されていましたからね。
ビームシールドってビームサーベル同様に不可思議な気がしますー。ww
>>通りすがりのMCマニア様
どうもMAIKAは洗脳をエロを抵抗無く受け入れられる心理状態にすることと捕らえている気がしますね。
なんか洗脳、悪堕ちスキーとしては微妙な気がするんですよね。
まあ、悪くないんですけど、微妙でした。
>>漆黒の戦乙女様
戦闘艦艇も逆シャアではかなり進化していますからね。
沈みづらくはなっているでしょう。
シンちゃんの活躍はどうかなぁ。
7月10日 22:38
- 2006/07/09(日) 20:06:17|
- ガンダムSS
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今日は帝都奇譚をお送りします。
よかったら見て行って下さいませ。
12、
「で? 夕べ会ったってどういうことなんだい?」
人気の無い公園の木陰にやってくる助野と灯。
昼休みはもう終わるが、急いで社に戻る必要もない。
社の先輩の山下は、とりあえず今日は好きにしろと言ってきたのだ。
と、言うことで、灯は助野に夕べのことを話すことにしたのだった。
「・・・というわけよ」
「なるほどねぇ。陸軍さんが絡んできているのか・・・こりゃちょっと厄介だな」
顎に手を当てて考える助野。
軍が絡むとなれば、編集長の言うとおりに手を引くのが無難だろう。
しかし、それを言ったところで灯は納得しないだろうなぁ・・・
「危険だぞ」
「わかっているわ」
しっかりとうなずく灯。
「よし、それじゃ今夜探ってみよう。だが、見つからなかったらあきらめるんだぞ」
「あきらめるなんてできないわ。今夜がだめなら明日の夜もよ」
その言葉に助野は首を振る。
「だめだ。あんまりうろつくと軍に見つかるぞ。憲兵隊につかまったらどうする」
「う・・・」
言葉に詰まる灯。
陸軍に目を付けられたらただではすまない。
「とりあえず、今夜付き合ってやるから。な」
「うん・・・お願い」
「よし、それじゃ夜八時に集合だ。日本橋でどうだ?」
右手の指を一本立てて集合場所を決める助野。
灯は黙ってうなずいた。
「入生田曹長殿。小野田分隊長殿がお呼びです」
入り口でびしっと敬礼をし、用件を伝える伝令。
「今行く」
報告書をまとめていた腕を休め、入生田曹長は立ち上がる。
分隊長とは言っても階級は憲兵大尉である。
憲兵にとって分隊とは、警察署のようなものであり、分隊長はいわば署長と言ってもいいのだ。
廊下を歩き分隊長室の入り口をノックする。
『入れ』
ドアの向こうから分隊長の声がした。
「入生田憲兵曹長、入ります!」
ドアを開け、びしっと一礼をする入生田曹長。
「おう、入生田、よく来た。入れ」
「ハッ」
奥のデスクから顔を上げて入り口の曹長を見やる小野田憲兵大尉。
深く掘り込まれたしわが、その階級とは裏腹に年月の長さを感じさせる。
カツコツと靴音も高く部屋に入り込んだ入生田曹長の目に、ソファーに座る若い女性の姿が目に入った。
地方人?
分隊長のデスクの前までやってきて敬礼する入生田曹長。
しかし、その目はソファーの女性を向いてしまう。
「お呼びでしょうか? 分隊長殿」
「うむ、まず紹介しよう。こちらは破妖月子さん。宮内省の方だ」
小野田大尉が立ち上がりデスクを回ってくる。
月子も優雅に立ち上がるとすっと頭を下げた。
後ろでまとめた髪の毛がさらっと前に落ちてくる。
「破妖月子です。初めまして」
顔を上げる月子。
その美しさに入生田は息を飲む。
白い肌に漆黒のつややかな髪。
瞳は深いとび色で、赤く紅を差した唇が艶めかしい。
「帝国陸軍東京憲兵隊、中央分隊所属の入生田です。初めまして」
入生田も頭を下げた。
「入生田曹長。夕べもまた出たのだな?」
「はっ? あ、はい。現れました」
一瞬何のことかと思ったが、小野田大尉が言っているのは魔物の事で間違いない。
「破妖さんはその件でこちらに見えられたのだ」
この女性が?
一体彼女は何者なのだ?
「はあ・・・」
容量の得ない返事をするしかない入生田曹長。
「入生田さん、夕べの魔物はどんな奴でしたか?」
月子が単刀直入に訊いてくる。
「動く死体です。書生風の感じでしたが焼き捨てました」
「日本人でしたか?」
「もちろんです」
うなずく入生田曹長。
「まあ、座りなさい。曹長も」
小野田大尉が席を勧める。
挨拶を交わしたまま、妙な緊張感で二人とも立ちっぱなしだったのだ。
「あ、すみません」
そう言って席に着く月子。
最近流行の洋装を身につけて、脚を晒している。
若い女性のくせに・・・
そう思いながらも目が離せない。
それほど月子のスタイルは日本人離れしている。
すらっとした脚は芸術品だろう。
「失礼します」
そう言って入生田曹長も向かいに座る。
「それで、日本人ですかとはどういう意味でしょう?」
小野田大尉が先を促した。
「外国人、特にロシア人はそばに居ませんでしたか?」
月子の目が入生田を見つめてくる。
嘘は見逃さないぞと言っているかのようだ。
「ロシア人ですか? いいえ」
「ニコライ・ペトロ-ヴィッチ・ヴォルコフという名前はご存じありませんか?」
「存じませんな・・・何者ですか?」
ヴォルコフ・・・聞いてはいない。
「おそらくは魔物の実力者」
「魔物の?」
月子は黙ってうなずく。
ニコライ・ペトロ-ヴィッチ・ヴォルコフ。
退魔師間の情報には無かった名前。
おそらくは最近になって帝都にやってきたものと思われる。
ここ最近の一連の干からびた死体の話はもちろん月子も知っていた。
欧州に一時はびこったと言われる吸血鬼の一種であろうことは想像に難くない。
吸血鬼はその血を吸った相手をしもべとして使役できるという。
おそらくは干からびた死体は血を吸っただけで放り出した死体。
もしくは吸血鬼化がうまく行かなかった死体ではないだろうか。
そして、夜歩く死体は吸血鬼となったしもべたち。
それを束ねているのがおそらくはヴォルコフ。
あの実力から言っても間違いないだろう。
「何か情報があるかと思いましたが、こちらではまだしもべたちに対する対処の段階でしたか・・・」
個人的なつてで調べたところ、動く死体に関わっているのは東京憲兵隊であるということがわかったので、早速出向いてみたのだ。
もっとも、さしたる情報がないであろうことは予想はついていた。
動く死体など信じられるはずもないし、それでも憲兵隊が魔物退治に乗り出してくれているのは僥倖というべきだろう。
「一体何が起こっているのか教えてくれませんか? 我々のところにも魔物を退治せよとの命令しか来ておらんのです」
小野田大尉も肩をすくめている。
「帝都に吸血鬼が入り込んでいます。ヴォルコフの狙いはわかりませんが、放っておけばしもべたちが増えて行くことになるでしょう」
「それはわかります。しかしなぜこんなことに・・・」
「薄々お気づきでは無いのですか? 防疫研究班がシベリア帰還部隊とともに持ち込んだのだと」
「まさか?」
小野田大尉も入生田曹長も絶句する。
確かに帝国陸軍は太正七年以来シベリアに出兵し続け、ようやく撤兵の動きになったところだ。
前年以来シベリア派遣部隊は撤収を開始しているが、そこで魔物を持ち込んだというのか。
「魔物退治は充分お気をつけ下さい。あと、ヴォルコフについて何かありましたら教えてくださると助かるのですが・・・」
そう言って月子はメモに連絡先を書いて渡す。
白くてしなやかな指が入生田の目を奪った。
「それでは失礼します。お邪魔いたしました」
「ご苦労様」
立ち上がった月子に小野田と入生田が敬礼する。
二人に見送られて月子は憲兵分隊を後にした。
「摩耶子さん、一緒に帰りましょう」
放課後、玄関で靴を履き替えている摩耶子は背後から声をかけられる。
「桜さん。よろしいのですか?」
鞄を持って下駄箱に上靴を入れる摩耶子。
「ええ、もうすぐ小山田と美月が来るわ。送りますわよ」
にこやかな笑顔を向けてくる桜。
いつもながらその笑みは麗しい。
「ありがとうございます。それじゃお願いいたしますね」
摩耶子も笑みを浮かべる。
二人は校門へ向かい歩き出した。
「体調はどうですの?」
「えっ?」
桜の言葉に一瞬戸惑う摩耶子。
「午後は授業に身が入っていなかったでしょ? 夜更かしでもしたのかしら?」
あ・・・
先ほどの授業の事が思い出される。
ほ・・・し・・・い・・・
さ・・・くら・・・が・・・ほし・・・い・・・
摩耶子は青ざめた。
あれは・・・
あれは一体なんだったのか・・・
「摩耶子さん?」
いきなり青い顔をした摩耶子に桜は心配になる。
やっぱり体調がよくないんだわ・・・
お医者さんを勧めたほうがいいのかしら・・・
「あ、だ、大丈夫・・・ですわ」
青い顔のままうつむく摩耶子。
何か自分の中で得体の知れない感情が渦巻き始めている。
自分でありながら自分でないようなそんな感じ。
一体これは何なの?
「摩耶子さん、具合が悪いようならお医者さんへ行きましょうか?」
そっと摩耶子の手を取る桜。
なんてことはない摩耶子の躰を気遣った行為だったが、摩耶子は躰を硬くした。
「!」
慌てて手を引っ込める摩耶子。
「摩耶子さん?」
いきなり手を振り解かれたことに桜は驚いた。
何かいけないことだっただろうか・・・
「ご、ごめんなさい」
摩耶子自身が今の自分の行動に戸惑いを感じていた。
一瞬摩耶子は桜に手を触れられて、そのまま彼女を抱きしめたくなっていたのだ。
私・・・どうかしている・・・
「ごめんなさい。ちょっと用事を思い出しまして・・・先に帰って下さいませ。さようなら」
そう言うと摩耶子は校舎に向かって駆け出した。
「摩耶子さん!」
桜の前で身を翻した摩耶子に向かって手を伸ばす。
しかしその手を空を掴むだけだった。
桜は唖然として摩耶子の去っていく後ろ姿を眺めているだけだった。
- 2006/07/08(土) 21:43:10|
- 帝都奇譚
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今日はMAIKAさんの新作「ペルソナドライバー霊姫」を手に入れてきました。
まだインストールしたばかりなので、内容がどうかはいずれまた書くこともあると思います。
期待通りだと嬉しいんですけどね。
楽しみ楽しみ。
それと一緒に本屋で買ってきたマンガに、新谷かおる氏作のB-17爆撃機をメインにした「RAISE」の二巻があるんですが、読んでいて苦笑してしまいました。
ドイツ軍側のゲストキャラクターとしてちょっとだけ出てきたんですが、「ウォルフガング・アドラー少佐」と言うキャラクターがいたんです。
はて・・・どこかで聞いたような気が・・・
ドイツ人の名前は結構戦記モノなどでよく見ているので、その中にあったかな・・・なんて考えていたんですが・・・
あのアヤメを調教したいやなヤローの名前じゃないですか。(笑)
しかもご丁寧に階級まで同じ少佐。
うーん・・・新谷氏と同じキャラネーミングとは光栄ですね。
思わず苦笑してしまいました。
私の作品の中でもわりとあっけなく死んじゃいましたし、「RAISE」の中でも一話ちょこっと顔を出しただけで死んでました。ww
生き残れないネーミングだったのかなぁ。
まあ、それはさておき、映画「メンフィス・ベル」もそうでしたが、B-17によるドイツ爆撃ってのは厳しい飛行だったみたいですね。
米軍はその防御火力の高さから空の要塞と名付けておりましたけど、戦闘機とまともにやりあえるわけではないですからね。
護衛の戦闘機は航続力不足でフランス上空ぐらいまでが精いっぱい。
結局ドイツ上空では編隊による密集火力だけが頼りですもんね。
日本の96式陸攻も中国奥地の爆撃には、戦闘機の護衛が付けられなくて被害が続出。
そのために航続力の長い戦闘機ということで零戦が作られたわけですからね。
ノルマンディー以後、地上軍がフランスを占領して戦闘機隊が進出し、P-51が護衛に付くようになるまで、爆撃隊は大変だったのでしょう。
それにしても13000機ほどのB-17に対し、17000機作られドイツ爆撃に活躍したはずのB-24はマンガや映画にならないですね。
人気がないのかなぁ。
それではまた。
空風鈴ハイパー
あ、舞方さんも購入されましたか。
それがしも朝一番乗りでゲットしてきました。
只今、10時過ぎ、これからどっぷりはまるつもりです。
ルクシオンの二の舞にならなければ良いですが・・・。
あー、B-17の話!
私あの大仰な名前が好きなんですよね(笑)。
「空の要塞」ってなんか、ラスボスとの最終決戦の舞台みたいですよね。
この名前故に、性能的にも遜色ないB-24(生存性とかでは勝ってますよね)より知名度が上なんでしょうね。
防空戦力が殆どない日本上空では超空の要塞が好き勝手に暴れましたけど、
ヨーロッパの空ではB-17は多いに苦戦を強いられましたね。
リトルフレンドの登場まで、甚大な被害を出していたようですし。
でもそうして米爆撃隊を苦しめた独軍戦闘機乗り達はさすがだなーとも思いますね。
戦史みてても、あの辺の独軍パイロットの戦術研究、各人が意見を戦わせる部分はすごく興味深いですよね。
7月7日 22:23
舞方雅人
>>空風鈴ハイパー様
ルクシオンも悪くはないんですけどね。
B-24は海軍にも使われて長距離哨戒機としてUボート狩りなんかやっていますね。
結構使い勝手は良かったんじゃないかって思うんですけど、見た目がスマートじゃないことが影響したのかなぁ。
ドイツ空軍のパイロットたちはすごいですよね。
百数十機撃墜とか平気で数人いますからね。
B-17の防御力をもってしてもつらかったでしょうね。
7月8日 21:49
- 2006/07/07(金) 21:49:45|
- 趣味
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お久し振りのローネフェルトです。
いよいよ戦場はア・バオア・クーへまっしぐらです。
『お帰りなさい、ローネフェルト大尉。艦長がお呼びです』
15をブリュメルに着艦させると、すぐに通信が入ってくる。
「了解」
私はヘルメットを取りながら、そう答えた。
ブリュメルのハンガーに15を寄せ、私はコクピットをでる。
背後では次々に着艦してきた09Rが同じようにハンガーに立ち並ぶ。
ハッチを開けて出て来るアヤメとパットに手を振り、私は艦橋へ向かった。
シュンと音を立ててドアがスライドする。
艦橋に入った私に艦橋のみんなの視線が集まった。
その視線に賛嘆の色が浮かんでいることに私はちょっと照れくさくなる。
「アマリア・ローネフェルト。帰還しました」
私は敬礼して艦長席のリーザに帰還報告をする。
「ご苦労様。ノイマン准尉はどうしている?」
「え?」
パットがどうかしたの?
「はい、帰還してブリーフィングルームに待機しているはずです。警戒態勢が解除されるまではそのままですが・・・」
「そう・・・」
リーザの表情が曇っている。
「何かあったのね?」
私はリーザに近寄った。
「『ソロモン臨時艦隊』の指揮を取っていたフェリックス・ノイマン大佐が先ほど亡くなられたわ」
「フェリックス・ノイマン大佐って・・・まさか・・・」
私は何か重たいものを飲み込んだような気分に襲われた。
「ええ、パトリシア・ノイマン准尉のお父様よ・・・」
リーザがうなずいた。
窓外に映る星々の光。
大気が無いのでまるっきり瞬くことはない。
冷たく暗い深遠の宇宙。
こんなところでさえ人々は殺しあう。
ここ戦いはいつ終わるの?
一体何人の命を吸えば満足するの?
サイド3は戦火には巻き込まれてはいない。
でも、いつ連邦軍が攻撃してくるかわからない。
情報が錯綜しているけど、ソロモンは巨大な火柱で焼き尽くされたという。
連邦軍は新兵器を持ち出してきたのだ。
核などは問題ではない巨大な火柱。
一説にはルナツーからの巨大レーザー砲ではないかとも言う。
信じたくないけれど、ルナツーからソロモンを直撃できるレーザーが連邦にはあるのだろうか・・・
私は重い足取りを引き摺る。
“ソロモン臨時艦隊”
陥落寸前のソロモンから巨大モビルアーマーで出撃したドズル・ザビ閣下は、艦隊をまとめて後退するように発光信号を掲げたという。
チベ級重巡ローエングリンで指揮を取っていたノイマン大佐は、突然残存艦隊で最高位指揮官が自分であることに気が付いたとか。
戦艦グワランで指揮を取っていたオルデン准将は連邦軍に向かっていったきり音信普通。
ソロモンに残った艦艇はローエングリンの周囲に集まったらしい。
ノイマン大佐は戦闘空域からの離脱を宣言。
ドズル閣下の命令どおりに残存艦隊をソロモン臨時艦隊として、ソロモン空域を離脱したとのこと。
しかし、敵は一部を追尾艦隊として派遣。
ソロモン臨時艦隊は脱出して来た艦艇やモビルスーツを取りまとめ、必死に逃げたものの、連邦軍の追尾艦隊の攻撃を受けて被害が続出。
指揮を取っていたノイマン大佐座乗のローエングリンは、後方に陣取って味方の撤退を援護中に艦橋と前部主砲に被弾。
艦橋要員の大半が一瞬にして戦死した中で、負傷しながらも指揮を継続。
私たちが到着するまで艦隊を保持しつつ脱出の指揮を取っていたのだという。
援護艦隊にブリュメルが含まれていることを知ったノイマン大佐はただひと言・・・『パトリシアが来たか・・・』とだけ告げて亡くなられたとのこと。
私はブリーフィングルームのドアをスライドさせた。
「あ、お姉様ぁ」
「お帰りなさい、大尉殿」
談笑していたであろうパイロットスーツのままの二人が顔を上げた。
が、すぐに二人の表情が険しくなる。
それだけ私の表情が暗いのだろう。
「お、お姉様ぁ・・・」
「・・・・・・」
アヤメは心配そうにこちらを見ているが、パットが視線をはずしたことに私はハッとなった。
この娘・・・知っていたの?
「パトリシア・ノイマン准尉」
「・・・・・・」
「パトリシア・ノイマン准尉!」
「・・・・・・はい・・・」
ゆっくり立ち上がるパット。
その表情は苦悶に満ちている。
「あなた・・・ソロモンに父親がいるって・・・どうして言わなかったの?」
「父が・・・戦死したんですね?」
私はゆっくりとうなずいた。
「・・・・・・」
唇を噛み締めるパット。
アヤメもうつむいてしまう。
「知っていたんでしょ? 出発前にどうして会って来なかったの?」
「薄々は知っていました。ローエングリンが港にいることもわかっていました。でも、会いに言っても父は会ってはくれなかったでしょう」
「パット・・・」
「私はノイマン家の長女です。父は息子が生まれなかったことをとても気にしていました。娘では軍人にできないっていつも言っていたんです」
パットの目から涙があふれてくる。
「私の家は軍人の家系でした。古くは欧州大戦にまでさかのぼると聞いています。私は父がその家系を誇りにしているのがわかっていました」
「パット・・・」
「だから私はジオンに生まれたことが嬉しかった。ジオンでは男も女も関係ない。軍は全ての適齢期の男女を受け入れてくれるからです」
切々と話すパット。
「父は私が志願したと聞いて驚いていました。女性が軍に入るべきではないと思っていましたし、時期が時期でしたから・・・」
私はたまらずにパットのそばへ行き、抱きしめる。
「私・・・父に認めて欲しかった・・・俺の娘は立派な軍人なんだぞって言って欲しかった・・・お父さん・・・お父さーん・・・うわぁぁぁぁぁぁ」
私の胸にしがみつき泣きじゃくるパトリシア。
私は彼女の髪の毛をやさしく梳いてやり、そのまま泣くに任せてやった。
『総帥府報道部発表。我が忠勇なる宇宙攻撃軍は、迫り来る連邦の脅威に対し乾坤一擲、ソロモン周辺において一大決戦を挑みました』
艦橋の窓外を流れ行く棺の群れ。
『剛勇無双のドズル・ザビ閣下率いる我が軍は、新兵器を繰り出す敵軍に対し真っ向からこれを攻撃。多大な戦果を上げることに成功いたしました』
ランチでローエングリンに行き、パットと二人でノイマン大佐に面会して来た。
おそらくは物静かな知将として、部下の絶大な信頼を受けていたに違いない。
ローエングリンはソロモンの陥落以上にノイマン大佐の死を悼んでいるようだった。
『これまでに確認された戦果は、戦艦二十五隻、巡洋艦三十一隻、モビルスーツ及び突撃艇など百数十に及ぶと見られ、これによって連邦軍の攻撃は完全に頓挫いたしました』
『お父さーん・・・お父さーん』
遺体にすがり付いて泣きじゃくるパットの姿は見ていられなかった。
『我が方の損害は極めて軽微なるも・・・』
バキッという音がする。
キャプテンシートのリーザの持っている飲み物用のプラスチックボトルがひしゃげて、中身が滴り落ちていた。
『司令官たるドズル・ザビ閣下が負傷せられたることと、敵軍の攻撃を頓挫せしめたことにより、ソロモンの役目はここに終了したとギレン総帥はお考えであらせられ』
最後の棺が窓外を通り過ぎて行く。
この戦いで何人死んだのか・・・
『持久不敗体勢確立のため、絶対国防圏への戦力の集中を図るためにソロモンを放棄。宇宙攻撃軍への転進命令を出したということであらせられます』
転進か・・・
どう言いつくろおうともソロモンは陥落したのよ・・・
『これはあくまでも予定の行動であり、ソロモン放棄は既定の方針であることを国民の皆様にはお知らせいたします。来るべき年が輝かしい年になりますよう、国民の皆様の重ねての国家への献身を期待いたします。ジークジオン』
私はスクリーンに映っているアナウンサーを一瞥し、ブリッジを後にした。
姫宮 翼
ローエングリンと聞くとSEEDの陽電子砲を思い出します。
レーザー兵器はソーラーシステムでしょうか?この時代なら多分あっていると思います。
そう言えばパトリシアちゃんは初対面の時も軍人の家の出だとありましたね。
お父さんが前線で戦死は仕方ないと言えば仕方ないですが、家族からすれば衝撃は計り知れないでしょう。
娘が軍人になってくれたのは嬉しいけどそれを表面には出せないのと、女は男が安心して帰ってこれるように家を守って欲しいとパトリシアちゃんのお父さんは思っていたのかも知れないと私は思います。
それにしても、この放送はジオンの損傷と連邦の損傷を入れ替えているとかそんな感じでしょうか?どっちにしろ真実ではありませんね。情報改竄までやりはじめたらいよいよ危険だと思います。
7月7日 18:04
漆黒の戦乙女
まぁ、放送で負けてますなんて絶対言いませんし、ジオニックフロントの小説なんかでもジャブロー攻略で敵の新型MSを何機撃墜したとかという放送をしていた描写がありましたからそういう意味では戦争に負けている国家の末期症状の表現の一つという感じですね
なんとなく見えていないところでパットをなぐさめるアヤメの姿が思い浮かびそうな…ローネフェルトは指揮官という対場になるからそういうのはできないだろうな…ちょっと残念なような気も
7月7日 22:17
舞方雅人
コメントありがとうございます。
>>姫宮 翼様
そういえばSEEDの陽電子砲はローエングリンでしたねー。
レーザー兵器はおっしゃるとおりソーラーシステムのことです。
おそらくはまだ情報が錯綜しているでしょうし、ドズルでさえ「レーザーとでも言うのか?」と言ってましたしね。
パットの父はまさしくそういう気持ちだったと思いますよ。
情報改竄はまあ、やるだろうなということで。
>>漆黒の戦乙女様
まさに末期の情報統制を狙って書いて見ました。
いわゆる大本営発表ですね。
ジオン国民にとっては戦火は遠い場所での出来事(本土空襲などがあるわけじゃない)ですから、結構効果があるのじゃないかって思います。
パットを慰めるアヤメ・・・いいですねー。
そういうふうに奥行きを感じていただけるのは作者冥利に尽きますです。
7月7日 22:31
- 2006/07/06(木) 21:21:00|
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舞方は結構な親父です。
冷戦真っ最中の米ソの軍拡競争を肌身に感じて知っています。
1970年代から1980年代後半までの世界は、まさに米ソの二大国とその他の有象無象でできておりました。
もちろん軍艦大好きの舞方ですから、冷戦中の米ソ軍艦にも興味は当然ありました。
鉄のカーテンで仕切られていた当時、西側諸国の情報はわりと正確なものが雑誌などにも掲載されました。(もちろん正確と思い込まされているだけでしょうが)
しかし、ソ連軍の兵器に関してはまさに偵察機や偵察衛星、それに航空ショーや国際展示会によるものしか入ってこないのが実情でした。
そんな中で、「キエフ」級航空母艦とともに、西側海軍筋を驚愕させたのが、超大型ミサイル巡洋艦「キーロフ」でした。
満載排水量24000トン。
全長で250メートルを超える船体は、出現当時巡洋戦艦とすら言わしめたものでした。
確かに大きさで言えば「ニミッツ」級空母は大きさでは上回っておりましたが、世界初のミサイル垂直発射システム(VLS)を前甲板に装備したその巨体を初めて目にしたとき、舞方は米軍は抜かれたなと思ったものでした。
当時米軍最大の水上戦闘艦は原子力ミサイル巡洋艦「ロングビーチ」でした。
この軍艦も出現当時はミサイルだけを搭載し、艦橋の壁がレーダーになるというビルボードレーダーを備えた四角い艦橋で驚かせてくれたものですが、ロングビーチの出現は舞方の生まれる前でしたので、いまいちインパクトという面では薄かったのです。
当時ソ連軍は海軍力も大幅な増強を図っておりました。
YAK-36フォージャーを搭載したキエフと、VLS装備のキーロフはまさに新時代のソ連海軍の象徴だったのです。
推進動力も、やれ原子力だ、いや、煙突があるから蒸気タービンだ、などと物議をかもし、私も友人とその能力を話し合ったりしたものでした。
ある意味アメリカ海軍がその後、「アイオワ」級戦艦を現役復帰させたのも、このキーロフ級に対抗する意味もあったのかもしれません。
冷戦時の戦い方はある意味はったりです。
米ソ両軍とも、その持てる戦力を見せ付けあい、周辺諸国への影響力を誇示するのがやり方でした。
その与えるインパクトにおいてはキーロフ級の与えるインパクトは絶大なものがあったでしょう。
ソ連もそれを充分に承知していたからこそ、このような大型艦を建造したのでしょうね。
その後ソ連は崩壊。
維持費のかかるキーロフ級は早々に退役を余儀なくされました。
冷戦の産み落とした巨大戦闘艦キーロフ級。
その輝きは一瞬だったんですね。
それではまた。
- 2006/07/05(水) 21:44:22|
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ロイヤル・ソブリン級戦艦「ロイヤル・オーク」。
クイーンエリザベス級戦艦の次に計画されたロイヤル・ソブリン級戦艦五隻の二番艦。
1916年竣工なので、第二次世界大戦時にはすでに旧式戦艦と化していましたが、その巨砲を生かして通商路確保に東奔西走する任務を帯びていました。
第一次大戦時にはそれなりの高速戦艦(21・5ノット)だったのですが、大戦間にはすぐに低速戦艦とみなされるようになりました。
しかも、クイーンエリザベス級のように旧式化の度合いが進んでいた戦艦は近代化改装を行なわれ、速力も増し装備も更新されていたのですが、ロイヤル・ソブリン級は近代化改装を行なう前に第二次大戦が始まってしまったのです。
それでも、大戦間にそれなりの近代化が各艦に行なわれました。
ロイヤル・オークは幸運にもロイヤル・ソブリン級の中では一番近代化された戦艦として、英国海軍の戦艦群の一翼を担うことになっていたのです。
1939年9月、ドイツ軍によってポーランド侵攻が開始され、第二次世界大戦が始まりました。
開戦一月に満たないうちにポーランドは降伏。
イギリスは宣戦布告をしたものの、西部では音沙汰無しという奇妙な状態になりました。
オークニー諸島にあるイギリス海軍の根拠地、スカパフロー。
ロイヤル・オークはそこで待機中でした。
1939年10月13日。
一隻のUボートがスカパフローに侵入します。
ギュンター・プリーン大尉率いるU-47です。
ドイツ軍のUボートによるスカパフロー侵入はこれまでにも試みられてきましたが、今までは成功しませんでした。
プリーン艦長は細心の注意を払い、U-47を湾内に侵入させます。
潜望鏡を覗いたプリーン艦長の目前には、無防備な横腹を晒したロイヤル・オークが浮いていたのです。
U-47は魚雷を発射。
ロイヤル・オークは810名の乗組員とともに沈没。
U-47はスカパフローを脱出。
無事にドイツに帰り英雄として迎えられます。
一方ロイヤル・オークは英軍発の戦没艦となります。
根拠地に乗り込まれ、戦艦という大物を沈められてしまった英軍はメンツ丸つぶれでした。
以後、英国海軍はUボートとの長い戦いに入ることになります。
そのあたりはまた今度。
それではまたー。
- 2006/07/04(火) 22:23:21|
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久し振りのSSです。
なんかSS載せると私のブログって感じがしますね。
今日は帝都奇譚です。
ちょっとだけですが、どうぞ。
11、
ニャー・・・
柱にくくりつけられている猫が恨めしそうに一声上げる。
蕎麦屋の店先に紐で結わえられてしまっているのだ。
恨み言の一つも言いたいのだろう。
「ごめんね、すぐに食事して飼い主さんのところへ連れて行ってもらうからね」
灯はそんな猫にすまなそうに頭を下げると蕎麦屋に入る。
「親父、天ぷら二丁だ」
「へーい」
席に着くと同時に助野兵衛は手を上げて注文を済ませる。
どうやらこちらの意向はお構い無しのようだ。
「お昼から天ぷら蕎麦ですか?」
お腹にもたれそうだなと思う灯。
「まあな、お前は何がいいんだ?」
「へ?」
目が点になる。
「え? あ? だって二丁って?」
「俺の分だよ。お前はどうするんだ?」
うがー!
人の奢りだと思って天ぷら蕎麦二つも食う気かぁっ!
思わずそう言いそうになるのをこらえる灯。
「う・・・私はもり蕎麦を・・・」
「一つでいいのか?」
うがー!
「一つで充分よ!」
灯はどっかりと足を組んだ。
「はひー。食った食ったぁ」
二つの天ぷら蕎麦を瞬く間に平らげて、助野はお腹をさすっている。
その健啖ぶりに灯は苦笑せざるを得ない。
見ていて気持ちがいいくらいだ。
灯ももり蕎麦を食べ終えると、蕎麦湯でたれを楽しみ箸をおく。
「それで? 何をやらかす気だい?」
爪楊枝で歯をほじりながら助野が切り出す。
「決まっているでしょ。帝都に巣くう妖怪の探索よ」
「ん? あの夜歩く死体か?」
「そういうこと」
灯が力強くうなずく。
「しかしなぁ。探索といったって噂みたいなものだし・・・目撃者だって居るかどうか怪しいものだぞ」
残った水を飲み干すと、助野は辺りを見回してみる。
お昼時だ。
蕎麦屋の中には人がいっぱいいる。
そんな中でこんな話をしてもいいものか・・・
「目撃者なら居るわ」
「そろそろ出たほうが・・・って何ぃ!」
思わず大声を出してしまう助野。
その声に蕎麦屋の客の視線全てが助野に集中する。
「あ・・・いや、すんません」
頭をかき、笑ってごまかす助野に灯は苦笑した。
「目撃者がいるって・・・誰だよ」
先ほどとは打って変わってひそひそ声になる助野。
「目撃者は私よ。夕べ港のあたりで出くわしたわ」
「なんだと? 夕べ出くわした?」
「ええ、危ないところを陸軍の憲兵に助けられたの」
「出よう」
助野が立ち上がる。
ここで話していていい話題じゃない。
「え?」
「いいから来い」
そう言ってそのまま振り返りもせずに店を出て行く。
「あ、ま、待ってよ」
灯は慌てて水を飲み干し、お金を置いて店を出た。
眠たい・・・
躰がだるい・・・
気が付くと午後の授業が始まっていた。
昼食時からの記憶があいまいになっている。
何かとんでもないことをしてしまったような気もするし、そうでないような気もする・・・
今日は変だわ・・・
何か変・・・
摩耶子は異様な眠気に襲われていた。
人間はお腹がいっぱいになると眠くなるとは言うけれど・・・
教師が黒板に何か書いている。
教科書を持って何か言っている。
眠い・・・
眠い・・・
眠い・・・
「・・・ささん・・・」
「た・・・さ・・・ん」
「たか・・・ささん」
「たかつかささん!」
「鷹司さん!!」
「あ、は、はい!」
摩耶子はハッとして返事をする。
目の前では腕組みをして彼女をにらみつけている女性教師があきれたようにため息をついた。
「居眠りでもしていたのですか? 鷹司さん」
「そ、その・・・すみません」
立ち上がって頭を下げる摩耶子。
幸い机に伏していたわけではないようで、ただぼうっとしていただけのようだった。
「何かに集中するのは結構ですけど、今は授業中ですからね」
「はい、申し訳ありませんでした」
周囲のくすくすという忍び笑いが耳に付く。
ちょっとぼうっとしていただけなのに・・・
そんなに笑うことないですわ・・・
何かもやもやする。
いっそこの場で何か叫びだしたいようなそんな感じ。
「まあ、いいでしょう。以後気をつけなさい。座って結構」
「はい」
すとんと腰を下ろす摩耶子。
その様子を心配そうに見つめる桜。
ドクン・・・
あ・・・
心臓が跳ね上がる。
・・・しい・・・
ほ・・・しい・・・
さ・・・くらが・・・ほし・・・い・・・
あ・・・
首を振る摩耶子。
私は・・・私は何を・・・
「ホイ、もう逃がすんじゃねえぞ」
「わーい! タマ、タマー! ありがとう助兵衛さん」
「あ・・・」
猫を抱きかかえて、喜びにニコニコしながら頭を下げる少女。
ただ助野だけが苦笑する。
「これ幸子、すみませんね助野さん」
少女の母親がやはり苦笑しながら頭を下げる。
「いいのいいの。もう、この人ったら助兵衛で充分」
灯がにこやかに助野の肩を叩いた。
「この野郎」
「あはははは」
思わず笑い出す灯と親子。
こうなると助野もやはり苦笑するしかない。
恨むぜ・・・親父・・・
そう思いながらもこの名前に愛着のある助野だった。
姫宮 翼
天麩羅は「坊ちゃん」ではじめて見ましたね。その時に漢字を知った身です。
天麩羅蕎麦を二つはかなりの食いっぷりですねー。
にしても摩耶子さんは次辺りで完全に堕ちそうですね。結構進行が深いみたいで。
柱にくくりつけられた猫に萌えました(笑
7月4日 20:11
舞方雅人
>>姫宮 翼様
天麩羅の字は当て字ですからね。
天婦羅とも書くみたいです。
書いていて天ぷらそばを食べたくなりましたよ。
猫は萌えていただいて嬉しいですね。
7月5日 21:50
- 2006/07/03(月) 22:16:21|
- 帝都奇譚
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