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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ゼーラ様のために

久し振りのホリドルですー。
SSはブログのネタ考えなくていいから楽だなぁ。

ということでよければお楽しみ下さいませ。

11、
「ググ・・・グルルル」
低いうなり声を発しながら肉を咀嚼するビースト。
黒い短い毛を全身に生やしたその姿はまさにドーベルマンだったが、女性らしい柔らかなラインは崩していない。
しなやかで美しいメス犬のビーストだ。
先ほどまで悲鳴を上げていたOLもすでに足元で事切れている。
内臓を美味そうに咀嚼するビーストを楽しそうにベンチに座って見ている黒い少女。
黒いレオタードと手袋にブーツを身に着けていて大人びているが、その表情はあどけない。
公園の中にはあちこちに血だまりができている。
通りには赤色回転灯が静かに回っているミニパトカー。
そのフロントウィンドウには血がべっとりと付いていた。
近くの家からは開け放たれた扉や窓から楽しそうなテレビの音が聞こえ、血の匂いが漂っている。
寒々とした街灯の明かりだけが他に誰もいなくなった公園内を照らしていた。
「マダ・・・タリナイ・・・」
口から血を滴らせながらうめくようにつぶやくビースト。
強烈な空腹感が彼女を突き動かしている。
食われる恐怖は食う楽しさへと変わり、獲物を引き裂くことが楽しくて仕方が無い。
わずか三十分の間に彼女が食い殺した獲物は二十人を下るまい。
じっくりと腰を落ち着けて食うつもりなどない。
獲物は一番美味いところだけ食えばいい。
それは心臓。
脳も美味い。
獲物が何を食べたかによって味が変わるのが内臓。
胃や腸は当たり外れがあるのだ。
だから襲う。
美味い心臓と逃げ惑う獲物を狩る楽しさ。
二つが両立することをなぜ知らなかったのだろう。
笑い出したいくらいに気持ちがいい。
あの黒い少女のおかげ。
ベンチに座ってこっちを見ている黒い少女のおかげ。
だから従う。
あの少女の言葉には従う。
でも制止はされてない。
だから襲う。
人間を襲ってやる。
ビーストはまた走り出した。

「昼間の奴よりは動きが良さそう・・・」
一軒の屋根の上に現れる青い光。
それは形を整えると青を基調としたミニスカート型のコスチュームを身に纏った少女となる。
額には青い宝石の嵌まったサークレットが輝き、その目は冷たく何の感情も浮かんではいない。
「ぶざまですわ。食い殺すしか能がないなんて」
向かいの家の屋根に現れる赤い光。
やはり赤を基調としたミニスカート型のコスチュームを纏った少女となる。
色違いのおそろいのいでたちをした少女もやはり無表情でビーストを見下ろしている。
その目はガラスのようでただ物事を映し出しているに過ぎないかのようだった。
「さっさとやっちゃおうよドールアスミ」
「ええ、このような闇の存在を赦しては置けませんですわ。ドールサキ」
二人は躊躇うことなく、ビーストの前に飛び降りた。

「あれは?」
立ち上がったレディベータの表情がゆがむ。
忘れもしない。
光の手駒。
私を見捨てた光の手駒だ。
突然現れた二人の光の手駒に戸惑っているビースト。
今までのようにたやすく襲える相手ではないとその感覚が教えているのだろう。
「ビースト! 食い殺せ!!」
レディベータは憎しみを込めて言い放った。

飛び掛るビースト。
その素早さは並ではない。
人間なら避けることなどできない速度だ。
鋭い牙がアスミに向かってうなりを上げる。
「・・・・・・」
無言で杖を構えるアスミ。
動きを読んでいたのか、その杖ががきっと音を立ててビーストの牙を止める。
「やあっ!」
青いレイピアが街灯の明かりに輝いてビーストの脇腹に向かう。
しかし、逆にビーストの後ろ足がサキの脇腹にめり込み、彼女を吹き飛ばした。
「ぐあっ!」
もんどりうって倒れるサキ。
「ハッ!」
アスミは杖に食い込んだ牙をそのままに右手の平をビーストに向ける。
光が集中して火球を作り出すが、すぐさまビーストは飛び退って態勢を整える。
「やるな・・・」
「戦闘力はかなりのものですわ」
起き上がったサキのカバーに駆け寄るアスミ。
「グルルル・・・」
牙をむき出して二人の少女と対峙するビースト。
その目はらんらんと輝いている。
「闇の女は後回し。今はあのビーストを片付けましょう」
「うん。ゼーラ様の邪魔をする奴らは赦さない!」
すっとレイピアを構え直すサキ。
「ええ、ゼーラ様に逆らうものは消去する」
無表情に杖を構えるアスミ。
その杖の先がビーストに向き、氷の刃がいくつも飛び出して行く。

「ガアッ!」
ジャンプするビースト。
その足元にいくつもの氷の刃が突き刺さる。
「甘いわよ。ビーストの運動能力を舐めないでね」
レディベータが笑みを浮かべる。
だが、ビーストの回避した先には青いレイピアを持ったサキが突進していた。
「やあっ!」
青い光が一閃する。
どす黒い液体が飛び散った。

「グルルル・・・」
脇腹から血が滴る。
だが致命傷には程遠い。
痛みさえ無視すれば動きに支障はない。
よくも・・・
よくも私を・・・
死ねっ!
ビーストは飛び掛った。

「あうっ」
「ドールアスミ!」
杖が弾き飛ばされる。
可愛い顔が地面に叩きつけられた。
「あぐっ!」
ビーストの爪がコスチュームを切り裂き、まだ膨らみきらない胸をあらわにする。
「ドールアスミ!」
サキのレイピアがビーストの背中を襲う。
しかし、一瞬早くビーストは飛び退ってサキをにらみつけていた。
「ドールアスミ!」
「大丈夫ですわ。戦闘行動に支障はありません。ですが、呪文への集中力が・・・」
アスミがふらつきながら立ち上がる。
「くそっ!」
サキはビーストとアスミの間に割り込んでアスミをカバーする。

「あははは・・・私が手を出すまでもないわね。さっさとビーストに食われちゃいなさい」
手の甲を口元に当てて笑うレディベータ。
「デスルリカ様に気をつけなさいって言われていたけど、光の手駒を倒すなら早いほうがいいわよね」
光の手駒といえど、この程度なら恐れることはない。
ビーストに始末させればデスルリカ様もお喜びになるに違いないわ。
レディベータの赤く染まった瞳が月明かりに輝いていた。

「ガアアッ!」
飛び掛るビースト。
その鋭い牙を避け、サキはレイピアを叩き込む。
もともとの紗希の運動神経のよさからか、ホーリードールサキの敏捷性も並ではない。
爪と牙をぎりぎりでかわして、レイピアの切っ先を突きこんだのだ。
びしゃっと音がして地面に再び血が撒き散らされる。
「グルル・・・」
「ビースト!」
レディベータの驚愕の声。
回避するというより自ら飛び込むような形で剣を使ってくるとは・・・
「これを!」
胸の前で両手を交差させ、呪文を唱えるホーリードールアスミ。
その手を頭上に掲げて振り下ろす。
巨大な火球がビーストに襲い掛かり、その身を焼かんとする。
「ガアッ」
だが、ビーストは先ほどのサキと同じようにアスミに飛び掛って行くことで火球を避け、同時にアスミの肩口に食らいついた。

「きゃあぁぁぁぁぁ」
「ドールアスミ!」
血しぶきが上がる。
肩口を押さえて倒れこむホーリードールアスミ。
その頭をビーストが押さえ込む。
「あうっ」
爪が髪の毛に食い込み、血が滲む。
「ドールアスミを離せっ!」
青いレイピアがなぎ払う。
ビーストはしなやかに飛び退って態勢を整えた。
「ドールアスミ!」
「クッ・・・ごめんなさいドールサキ。戦闘力を著しく低下させてしまいました」
肩を押さえながらも立ち上がるホーリードールアスミ。
「戦えないの?」
「いえ、まだ大丈夫です」
「そう・・・なら戦って。ゼーラ様のために」
冷たく言い放つホーリードールサキ。
ホーリードールアスミは黙ってうなづいた。
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  1. 2006/06/02(金) 21:22:27|
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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