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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ムチの音

シスターアンナ8回目です。

よかったら楽しんでくださいね。

それではー。

8、
髪を掻き揚げながら通りを歩いているシスターアンナ。
冷たい笑みが月明かりに映える。
背後で起こる悲鳴もざわめきも気にならない。
今日はいい月夜だった。
「こんな時間に散歩か?」
月明かりの中金属鎧が照りかえる。
フルフェイスのヘルメットが不気味な輝きを見せていた。
「これはゾゾゲル様」
シスターアンナは笑顔を見せ、スカートを持ち上げて一礼した。
「うふふ・・・とても気分がよくて・・・月を眺めておりましたわ」
赤く染まった瞳。
口元には冷たい笑み。
今までのシスターアンナとは違う。
「ふん・・・楽しんだようだな・・・殺したのか?」
「ハイ、虫けらどもを数匹。クスッ・・・人間ってたやすく死にますのね」
笑みを浮かべたままこともなげに答えるシスターアンナ。
「酒場の騒ぎはそのせいか。様子を見て来いと言われたが・・・まあいい。戻ってアクバー様に報告することにしよう」
くるりと背を向けるゾゾゲル。
どうやらシスターアンナの変化にはさほど興味はないようだ。
「あ、あの・・・」
立ち去ろうとしたゾゾゲルを呼び止めるシスターアンナ。
「ん? どうした?」
「アクバー様の元へ戻られるのですか?」
「ああ・・・」
うなずくゾゾゲル。
「あの・・・ご一緒しても構いませんでしょうか?」
両手を胸の前で組み、おずおずと切り出す。
それは何か恋人のところへ行きたいけど行ってもいいのだろうかと問いかけているようだった。
「構わんのでは無いか? アクバー様もお喜びになろう」
シスターアンナの表情がぱあっと明るくなる。
「あ、ありがとうございます。ゾゾゲル様」
以前であれば決して様付けなどしなかったであろうが、今のシスターアンナにはまったく気にならない。
「来るがいい」
「ハイ」
うなずいてシスターアンナはゾゾゲルの後に続いてアクバーの居館に向かった。

「ほお・・・よく来たなシスターアンナ」
アクバーはナイトドレス姿のシスターを喜んで迎え入れる。
野暮ったい尼僧服に包まれていて隠されていた若々しく美しい肢体が、惜しげもなく晒されているかのようだ。
実際にはスカートが覆い隠しているすらっとした脚線美も、スリットから覗かせることで余すことなく晒している。
「こんばんは、アクバー様。このような時間にご訪問する無礼をお許し下さいませ」
すっと片膝をつき、一礼をして館の主に敬意を表する。
「構わん。夜は魔物の時間だ。ククク・・・そなたも夜は気分が落ち着くのではないか?」
あ・・・
そうだわ・・・
その通りだわ・・・
夜はすごく気持ちが落ち着くわ・・・
「ハイ。仰せの通りですわ、アクバー様」
「ククク・・・アクバー様か・・・以前はあれほどわしを毛嫌いしていたのではないのか?」
シスターアンナの心臓が跳ね上がる。
あ・・・
私は・・・
私はなんとおろかだったのかしら・・・
このような実力あるお方をあのように嫌っていたなんて・・・
後悔が波のように押し寄せる。
「申し訳ありません。お許し下さいませ、アクバー様。私はおろかな女でした。神などという下らぬものに心を捕らわれ、アクバー様を初めとする魔物の方々の素晴らしさに気が付かなかったなんて・・・」
頭を下げて陳謝するシスターアンナ。
「良い、気にすることはないのだ。今のそなたならわかるであろう。我が魔族の素晴らしさが」
「ハイ。魔族は素晴らしいですわ。私もできることなら・・・魔族になりたいですわ」
ああ・・・それが叶うならどれほど素晴らしいことか・・・
それにしてもアクバー様はなんてお心の広いお方なのかしら・・・
この方のおそばに居たい・・・
永遠におそばに・・・
「ククク・・・時を待つがいい。そう、間もなくだ」
「えっ?」
何のことかしら・・・
もしかしたら私を魔族に加えていただけると言うの?
あ・・・
信じて・・・信じてよろしいのですか、アクバー様?
ああ・・・
なんて嬉しい・・・
私は・・・
私は永遠にアクバー様の忠実なしもべです・・・
私をどうか・・・
どうかおそばに置いて下さいませ・・・

「アクバー様。そろそろお時間ですぞ」
ドグマが壁にかかった時計を見る。
魔物が時間を気にするというのも変な話だが、牢獄の町と言う場所で人間どもを相手にしているとどうしても時間と言う概念を使わないとうまくいかないのだ。
そのためアクバーは時間という概念を使って町を支配していた。
時刻はすでに21時を過ぎている。
「おお、そうか・・・ククク・・・そなたも来るか? シスターアンナよ」
「どこへ行くのですか? アクバー様」
立ち上がるシスターアンナ。
もう彼女はアクバーが来いと言ったらどこへでも付いていくに違いない。
「地下牢だ」
アクバーが不気味な笑いを浮かべた。

ひんやりとした地下牢。
アクバーを始め、ドグマとゾゾゲル、そしてシスターアンナが階段を下りてくる。
「すでに準備はできております」
一礼して出迎える牢獄兵たち。
「うむ」
アクバーは一瞥して牢獄の奥にある拷問室へ向かう。
「どこへ?」
「拷問室だ。奴らはなかなかしぶとくてな。楽しませてくれる」
アクバーが巨体をゆすりながら歩いていく。
その大きな背中がとても頼もしい。
アクバー様ならばきっとこの町どころかこの世界を闇に閉ざしてくださる・・・
そう思うと何だか嬉しくなる。
「奴ら?」
「うむ。ヘボヘボたち一行だ。デスタムーア様より背後を調べるように仰せつかったのだ」
「デスタムーア様より?」
大魔王デスタムーア様・・・
この世界を司る闇の王。
一度でいいからお会いしたいわ・・・
「うむ、そうだ」
アクバーはうなずいた。

拷問室の扉が開かれる。
そこにはすでに壁に枷で固定されたハッサンが背中を向けて立たされていた。
さらにその隣にも同じようにテリーという青年が固定されている。
「くそっ、離せ!」
「俺たちを舐めるなよ。あとで後悔させてやる」
二人のおろかな喚き声が聞こえる。
バカな男たち・・・
アクバー様に逆らってただで済むわけがないじゃない・・・
いい気味だわ・・・
アクバーたちの後に続いて室内に入るシスターアンナ。
その姿にハッサンもテリーも驚きを隠せない。
「シ、シスターアンナ?」
「シスターアンナ? その格好は一体?」
「こんばんは、お二人さん」
慇懃に一礼するシスターアンナ。
侮蔑感を隠そうともしていない。
「ククク・・・どうかな彼女の姿は? とてもよく似合うじゃないか」
アクバーがいやらしく笑う。
だが、シスターアンナにとってはこの上もない褒め言葉だ。
「ありがとうございます。アクバー様」
「ア、アクバー様?」
「アクバー様だって?」
シスターアンナの言葉に再び驚愕する二人。
鎖をガチャガチャ言わせて枷を外そうとする。
「ククク・・・シスターアンナはな、自分に素直に生きることにしたのだ。そうだろう?」
「ハイ、アクバー様。私はこれからは欲望のままに生きますわ」
本当にそう思う。
どうして今まであんなに制限された生活をしてきたのか理解できない。
神という名の下に自分を押し殺してきた今まで。
でも、そんなことはもう必要ないのよ・・・
私はもう思うままに生きるの・・・
うふふ・・・
思わず笑みが浮かぶ。
「しっかりするんだ、シスターアンナ」
「あんたは町の人々の希望の源じゃないか!」
希望の源?
そんなこと知ったことじゃないわ・・・
所詮自らの力では生きていけぬクズども・・・
アクバー様に支配されることで生きて行くことができるのも知らずに文句ばかりを言うクズども・・・
そんな連中に崇められるなんてぞっとするわ・・・
「うるさいわね。お前たちには関係ないことでしょ」
二人をにらみつけるシスターアンナ。

「まあ、これを食らえばおとなしくなる」
ドグマが用意したとげの付いたいばらのムチを手にするアクバー。
床を打ち付けるバチンと言う音がする。
その音が二人を恐怖させた。
「ククク・・・」
ビュッと言う音がしてハッサンの背中にムチが打ちつけられる。
皮膚にムチが当たる乾いた音が響いた。
「ぐあっ!」
「ハッサン!」
悲鳴を上げるハッサン。
すぐに背中に一筋の痕が浮き出て血が滲む。
「くそっ、こんなことしたって俺たちには背後関係なんてないぜ」
「そうだ。俺たちはお前たちのような連中が赦せないんだよ」
テリーもハッサンも不適に笑う。
まだまだ堪えていないみたいだ。
「ふん、わしはお前たちの事などどうでもいい」
そう言って再びムチがうなりハッサンの背中を打つ。
「ぐあっ」
Xの字に痕が付く。
「お前たちがわしを楽しませてくれればそれでいいのだ」
アクバーがにたりと笑う。
「くそっ、サディストかよ」
テリーが舌打ちする。
これはちょっと厄介だ。

シスターアンナは不思議な気分に捕らわれていた。
アクバーがムチを振り下ろすたびに心臓が早鐘を打つ。
躰が火照ってくる。
ハッサンの背中に新たなムチ痕ができるたびに躰が熱くなる。
頭がぼうっとなって息が苦しくなる。
虚ろな目で振り下ろされるムチを見つめている。
「ククク・・・どうしたかな? シスターアンナ」
アクバーが笑っている。
その言葉もどこか別の世界から聞こえてくるようだ。
「やってみたいか?」
ムチを差し出すアクバー。
あ・・・
気が付くとムチを手にしていた。
「来るがいい」
言われるままに前に出る。
場所を開けてシスターアンナをハッサンに向き合わせるアクバー。
ククク・・・
どうやら思ったとおりだ。
アンナはサディスティックな感情が芽生えてきている。
アクバーはシスターアンナの手を取って持ち上げる。
「さあ、思い切り振り下ろすんだ。気持ちいいぞ」
こくりとうなずくシスターアンナ。
彼女の手が振り下ろされた。

[ムチの音]の続きを読む
  1. 2006/05/26(金) 21:50:53|
  2. デビルアンナ
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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