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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ゴックン・・・

うーん・・・
『魔物のたましい』を飲ませるだけでかなりかかってしまいました。
ようやくシスターアンナが『魔物のたましい』を飲みますよー。

それでは4回目ですー。

4、
「それはこっちのセリフだ! 行くぞ!」
ヘボヘボと呼ばれた男がその名とは裏腹な勇敢さでゾゾゲルに切りかかる。
抜き払われた剣はその刀身が炎を纏ったように赤い。
『ほのおのけん』だわ・・・
後ろ手に取り押さえられながらも、シスターアンナは彼らの戦いに目を奪われていた。
彼女とアクバーの前にはドグマとゾゾゲルが立ちはだかり、彼ら勇者の攻撃を阻んでいる。
彼女が救われるためにはまずはこのドグマとゾゾゲルを倒さなければならないのだ。
そんなことが可能なの?
シスターアンナは少し暗い気持ちになる。
ドグマもゾゾゲルも魔物の中でも強力さにかけてはかなりのものだろう。
その二人でさえアクバーには敵わない。
彼らにとっては苦しい戦いになるはずだった。

「くぁwせdrftgyふじこ・・・」
赤い髪の毛を後ろでまとめた少女が呪文を唱える。
杖の先から巨大な炎が塊となってゾゾゲルへ向かった。
メラミの呪文? あれが?
爆炎とともに熱風があたりに吹き荒れる。
「キャアッ!」
思わず目を閉じるシスターアンナ。
「?」
だが熱風はまったく感じられない。
そっと目を開けると彼女の躰はアクバーのコウモリ型の翼によって守られていたのだ。
「あ・・・アクバー・・・」
「まったく厄介な奴らだ。だが、ドグマとゾゾゲルの敵ではないわ」
彼女の方を見もしないが、アクバーはしっかりと彼女を守っていたのだ。
それがかえってシスターアンナにとっては苦しかった。
私は・・・倒すべき相手に守られている・・・
シスターアンナはうつむいた。

「お前の相手はこの俺様だ!」
上半身裸ともいうべき巨体を押し立ててばくれつけんを放つハッサン。
「ぐおっ」
ドグマのローブが舞い、表情が苦痛にゆがむ。
「おまけよ!」
長い金色の髪をなびかせて優雅に舞うように呪文を唱える女性。
その杖の先からは強力な冷気が噴出し、ドグマとゾゾゲルを襲う。
「ぬうっ」
さすがのゾゾゲルも躰に霜を纏わり付かせて一歩下がった。
「いけるぞ!」
ヘボヘボの振り下ろす一撃が金属音を立ててゾゾゲルの鎧に食い込む。
だが・・・
「ふんぬっ!」
長柄の剣がヘボヘボの盾にぶつかる。
そのまま勢いは殺がれずにその躰を吹き飛ばす。
「うわっ」
尻餅をつくヘボヘボ。
「ヘボヘボ!」
思わず駆け寄る赤い髪の少女。
「大丈夫だバーバラ」
ヘボヘボはすぐさま起き上がって剣を構え直す。

「ばくれつけん!」
ハッサンのこぶしが幾度もドグマの躰にめり込んで行く。
「ぐぼっ、がはっ」
口の中を切ったのか床に黒い液体が滴る。
「よし、ミレーユ、とどめを刺せ!」
「わかったわ」
金色の髪の女性がハッサンにうなずく。
だが・・・
「¥@:?&%$#おkmんじ・・・」
ドグマが呪文を唱えると、ドグマとゾゾゲルの躰のまわりを緑色の光が漂い、見る間に彼らの傷がふさがって行く。
「ベホマラー?」
シスターアンナは驚いた。
まさか神の奇跡を使えるなんて・・・
魔物が治癒魔法を使えることに愕然となったのだ。
「ククク・・・」
ドグマがにやりと笑う。
「次はこちらの番だ。#$%+-*@¥:?・・・」
ドグマの呪文がミレーユを襲う。
ピンク色の霧が彼女の周囲に漂いミレーユの目の焦点が合わなくなった。
「お前の敵はそいつらだ!」
ドグマの言葉に虚ろにうなずくミレーユ。
今の彼女には敵も味方もわからない。
「あれは一体?」
「ククク・・・メダパニの呪文だ。あの女はもはや正常な判断が出来ないのだ」
アクバーが笑っている。
ミレーユは何も考えられず、言われるままにヘボヘボたちに向けて先ほどの冷気の呪文マヒャドを唱える。
「うわあっ」
彼らの悲鳴が響いた。

「さみだれ剣!」
ゾゾゲルの長柄の剣がきらめき、血しぶきが飛び散る。
ドグマの杖がハッサンの腹部にめり込み、虚ろなミレーユの呪文が追い討ちをかけて行く。
ああ・・・
シスターアンナは悲鳴から逃れるように首を振る。
経験が足りないのだ。
彼らの今までの経験ではドグマとゾゾゲルに歯が立たない。
「もうやめて・・・お願いですからもうやめてください」
「そうはいかん、黙っているのだ」
ブルドックが笑みを浮かべるような顔でアクバーは笑っている。
もう勝負はついた。
マヒャドやばくれつけんで倒せなかったときに彼らの勝機は失われていたのだ。

「かえん切り!」
「うわあっ」
ドウッと倒れるヘボヘボ。
そばにはぼろぼろにされたハッサンや服のあちこちが凍りついているバーバラが倒れている。
メダパニで混乱していたミレーユもゾゾゲルの回し蹴りやさみだれ剣の攻撃によって倒されていた。
「く、くそっ・・・」
床に爪を立てて何とか立ち上がろうとするヘボヘボ。
しかし、そのまま倒れこみ意識を失ってしまう。
「ああ・・・」
駆け出そうとするシスターアンナ。
だが、がっちりと捕まえられた腕は振り解くことが出来ない。
「は、離して! あの人たちが・・・」
どうしたらいいのだろう・・・
私を助けに来てくれたのに・・・
私がこんなところへ来てしまったから・・・
私のせいだわ・・・
「無駄だ。奴らはここで死ぬのだ」
アクバーの冷酷な宣告。
「そんな・・・お願いです。私はどうなってもいいから彼らを助けてください!」
すがりつくようにシスターアンナはアクバーに訴える。
彼らを死なせてはいけない・・・
シスターアンナは必死だった。

アクバーが冷たい笑みを浮かべる。
「ではこれを飲むのだ」
「えっ?」
シスターアンナの目の前に差し出されるピンク色の不気味な芋虫。
うねうねと動き、背中には一列になった棘のような突起がある。
この芋虫がどういったものかシスターアンナは知らない。
だが、いつまでも美しくあるようにとのアクバーのプレゼントだ。
害にはならないだろう。
こんな不気味な虫がお腹の中で消化されるというのは耐えがたかったが、彼らの命には代えられない。
「わかりました・・・飲みます」
シスターアンナはうなずいた。

「ドグマ、ゾゾゲル、それぐらいにしておけ」
「何ですと?」
「よろしいのですかアクバー様?」
アクバーの言葉に驚く二人。
だが、アクバーはうなずくとシスターアンナに『魔物のたましい』を手渡す。
シスターアンナの手のひらの上で蠢く『魔物のたましい』。
顔を上げたり下げたりしてうねうねと不気味に身をくねらせている。
シスターアンナはくじけそうになる自分の気持ちを奮い立たせてそっと口へそれを運び込む。
目をつぶって一気に口の中へ入れて、そのままごくんと飲み干した。
「う・・うげ・・・」
襲ってくる吐き気をこらえる。
お腹の中で蠢いているような気がして気持ちが悪い。
今すぐ吐き出してしまいたいけど、それは出来ない。
彼らを無事に助けるまでは吐き出してはいけないのだ。
「飲みました。これで彼らを自由にしてくれますね?」
シスターアンナは気持ち悪いのを隠すように顔を上げる。
「よくやった、シスターアンナ。約束どおりそいつらの命までは取らん」
にやりとほくそえむアクバー。
狙いが見事に的中したのだ。
これでシスターアンナは・・・
アクバーは喜びに浸る。

「おい、そいつらを牢獄へ入れておけ。武器も何もかも取り上げておくのを忘れるな。それと・・・」
「まだ何か?」
ドグマが気を失っているハッサンを蹴りつける。
「そいつらを牢から出した連中を調べておけ。表で騒ぎを起こしている奴らの中にいるに違いない」
「かしこまりました」
一礼するドグマとゾゾゲル。
早速四人を連れ出すために牢獄兵たちを呼び寄せる。
「あ、待ってください」
シスターアンナが四人に駆け寄った。
「何をする気だ?」
アクバーが呼び止める。
「せめて応急手当だけでもさせてください」
そう言ってシスターアンナは四人の倒れた勇者たちに治癒呪文をかけようとする。
「ふん・・・まあいいだろう」
アクバーが肩をすくめた。

倒れこみ意識を失っている若者。
経験不足にも関わらずにここまで来てくれたのだ。
少しでも傷を治してあげることでお礼代わりになれば・・・
シスターアンナはそう思って手をかざす。
ホイミの呪文を唱えようとした時にちょっと考え込む。
なぜ彼らは危険を冒してまでここへ来たのかしら・・・
私を助けるため?
本当にそうなの?
シスターアンナは首を振った。
違うわ・・・
彼らがここへ来たのはアクバーが溜め込んでいる財宝や、彼を倒したという名声が目当てに違いない・・・
そうでなければ危険を犯して私のような一介のシスターを助けに来るはずがないわ・・・
アクバーを倒せば富も名声も思いのまま・・・
彼に代わってこの町を支配することだってできるかもしれない・・・
ドグマとゾゾゲルの代わりを倒れている大男や金髪の女性が務め、アクバーの代わりをこの青年が務めるとしたら・・・
何も変わりはしないわ。
それどころかもっと悪くなる可能性だってあるわ。
そうよ・・・
アクバーを倒し、彼に成り代わろうなんて考える人間がまともなわけないわ・・・
こいつらは倒されてよかったのよ・・・

すっと手を引っ込めるシスターアンナ。
そのまま振り向いてアクバーの方へ向かう。
「どうしたのだ? シスターアンナ」
「いえ、どうやら手当ては必要無さそうですわ。そのまま牢へ入れても死ぬ心配はないでしょう」
そう言ってうつむくシスターアンナ。
私・・・
私悪い女だわ・・・
手当てもせずに牢に入れろだなんて・・・
でも・・・
でも彼らが何を考えているのか知れたものじゃないわ・・・
それを・・・
それを見極めてからお礼を言っても神様は許してくださるわよね・・・
「私・・・教会へ戻ります」
シスターアンナは顔を上げた。
「よいのか? 部屋を用意させてもよいのだぞ」
「いいえ、結構ですわ。失礼します。みんなが待っていますので」
「まあ、よかろう」
アクバーが指を鳴らす。
するとすぐに牢獄兵が二人やってきて跪いた。
「シスターアンナが教会へ戻るそうだ。念のためについていけ」
「「ハッ」」
無表情のまま二人はかしこまる。
すでに四人は運び出され、室内はブチュチュンパが舐めまわして戦闘の跡を片付けていた。
「こちらへ」
「ありがとう」
二人の牢獄兵に付き添われ、シスターアンナはアクバーの居館を後にした。

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  1. 2006/05/19(金) 20:08:59|
  2. デビルアンナ
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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