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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

魔物のたましい

えーと・・・
昨日ブログを書いていて、ついついSSを書きたくなってしまいました。

シスターアンナ悪堕ちSSです。
短編で、シチュ優先で、世界観などはドラクエⅥを知らないとわかりづらいと思いますが、楽しんでいただければ幸いです。

残念ながら今日一日では書ききれなかったので、明日以降まで引っ張っちゃいますが、お許しを。

1、
「ゲゲゲ・・・まだまだ寝るには早いぜ」
キラーバットの三つ又の槍先がつんつんとうずくまった男をつつく。
「まったくだ。俺たちから逃げようったってそうは行かないさ」
タイガークローのいやらしい笑い声が響く。
「た・・・助けて・・・」
うずくまった男は恐怖に震えてなす術を持たない。
人間はただモンスターのなすがままだったのだ。

ここは牢獄の町。
アクバーと呼ばれる魔物の実力者が支配する町。
あちこちの町や村から魔物に反抗的な人間たちやさらわれてきた人間たちが押し込められている。
ここではアクバーが法であり、魔物たちが好きなように人間たちをいたぶって楽しむことができるのだ。
殺すもよし、ただいたぶってひいひい言わせるもよし。
人間たちはただ生きることだけを考え、プライドも何もかも捨てて絶望の中にその日を生きているのだった。

「やめてください!」
少し高いが凛とした清涼な声が響く。
「ヌウ、誰だ?」
キラーバットとタイガークローが驚いたように声の主を探す。
ほとんどの人間たちが建物の陰から恐る恐る覗いているのに対して、その声の主は通りに立って彼らに声をかけてきたのだった。
その声の主は美しく若い女性だった。
胸の前で両手を組み合わせ、その胸にはクルスが下げられている。
紺色の尼僧服に白いヴェールを被った教会の尼僧。
この町の寂れた教会に奉仕するシスターアンナと呼ばれる女性だった。

「その者はもう怪我をしています。やめてください」
おずおずと、しかしはっきりとシスターアンナは魔物たちに向かって訴える。
「なにぃ!」
タイガークローの一喝に思わず首をすくめてしまうシスターアンナ。
しかし、彼女は逃げ出さない。
この町の普通の人間ならば魔物の一喝は耐えられない。
すぐに腰を抜かすか逃げ出してしまうだろう。
しかし、彼女は必死に歯を食いしばって胸の前で両手を組んで耐えている。
その姿はいかにも気高かった。
「お願いです。もうやめてください。その者はただあなた方が恐ろしかっただけなのですから」
かすかに声が震えているかもしれない。
しかしシスターアンナの声は周囲に響いていた。
「おうよ。俺たちはアクバー様配下のモンスターだ。恐ろしくて当然」
「だがな、運んできた酒を取り落とすというのはいただけないんじゃないか? え?」
キラーバットが槍の石突で男の脇腹を殴る。
「ガハッ!」
男は激痛に躰をよじって苦しんだ。

「あ、やめて!」
思わずアンナは飛び出していた。
彼女とて恐怖を感じていないわけではない。
相手は何しろ魔物なのだ。
人間など虫けら以下にしか思っていないだろう。
そんな連中の前に飛び出すなんて自殺行為だ。
だが、彼女は自然に躰が動いていた。
神様と大賢者マサールの教えにその身をささげたシスターアンナは虐げられている人を見過ごすことは出来なかったのだ。
「やめてください!」
そう言ってシスターアンナは男の躰をかばうように上に被さる。
「シ、シスターアンナ・・・」
男が驚く。
まさかここまでしてもらえるなんて思わなかったのだ。
ここは牢獄の町。
魔物に逆らっては生きてはいけない町なのだから。

「こ、このアマ!」
キラーバットが槍を振りかざす。
「待て!」
通りの奥の建物から野太い声がする。
「?」
キラーバットもタイガークローも思わず顔を上げた。
そこには建物の入り口に立っている一体の魔物がいた。
全身を輝く金属質の鎧で覆い、躰の左右でその色が金と銀に分かれている。
右手には大きな長柄の刀らしきものを持ち、左手には楕円形で髑髏の浮き彫りがされたシールドを持っていた。
この町の支配者アクバーの片腕と呼ばれる強力なモンスターゾゾゲルである。
「ゾ、ゾゾゲル様」
「ゾゾゲル様」
思わずキラーバットもタイガークローも一歩あとずさる。
それほどこのゾゾゲルという魔物は高い実力を備えているのだ。
「その女に手出しはするな」
ゾゾゲルが無造作に言い放つ。
「?」
その言葉にシスターアンナは驚いた。
なぜ?
なぜ私を助けてくれるの?
思わず顔を上げてゾゾゲルのほうを見上げるシスターアンナ。
だが、ゾゾゲルのフルフェイスヘルムの奥に光る目はまったくの感情を感じさせはしない。
「な、なぜですか、ゾゾゲル様? こいつは神などを信じ、この町の人間どもに希望とやらを与えているんですぜ」
タイガークローが納得行かないというようにゾゾゲルに言う。
「お前たちの知るところではない。全てはアクバー様よりの指示」
「ア、アクバー様の?」
キラーバットもタイガークローも顔を見合わせるしか出来ない。
一体この神とやらに仕える女に何があるというのだ?
「わかったら立ち去れ」
先ほどからまったく声の調子が変わらない。
それが帰ってこのゾゾゲルという魔物の力の強大さを感じさせている。
「チッ、行くぞ、キラーバット」
「ああ、命拾いしたな。お前たち」
そう言って二体の魔物は彼らの寝床へ帰って行く。
それを見てゾゾゲルも建物の方へ振り向いた。
「あ、あの・・・」
背後からの声にゾゾゲルは立ち止まる。
「ありがとうございました。助かりました」
服の汚れを落として立ち上がったシスターアンナが頭を下げる。
「ふん。勘違いするな。我はただアクバー様の命に従ったに過ぎん」
「そ、それでも・・・ありがとうございました」
「ふん」
頭を下げているシスターアンナに対しゾゾゲルは背を向ける。
人間を、しかも神とやらに仕えている人間を捨て置いているアクバー様の考えは彼にもわからなかったのだ。

「シスターアンナ・・・ありがとうございます」
うずくまっていた男が立ち上がる。
あちこち痛めつけられてぼろぼろだ。
「動かないで下さい。今怪我を治しますから」
そう言ってシスターアンナはホイミを唱える。
彼女の手のひらが当てられたところが温かくなって傷がみるみるふさがって行く。
「すごい・・・」
話には聞いていたが、治癒魔法というのはすごいものだ。
これなら死者でさえ生き返らせるザオリクと言う呪文もあながちほら話ではないのかもしれない。
「神のご加護がありますように・・・これで大丈夫ですわ」
こぼれるような笑顔を向けるシスターアンナ。
その瞬間町の人たちが通りに駆け寄ってくる。
「「シスターアンナ」」
「「シスターアンナ」」
口々に彼女の名前を呼んで跪く町の人々。
彼らにとっては絶望に打ちひしがれた現実を少しでもやわらげてくれる聖女様だったのである。
「皆様、私たちには神様がおそばについてくださっています。くじけてはなりません」
シスターアンナが静かに言う。
「いずれ魔物たちは駆逐されるでしょう。いつの日にか神に使わされた勇者がこの地の魔物たちを追い払ってくださるはずです。その日まで力を合わせて生き延びましょう」
「「おおーっ!」」
人々の大きな声がこだました。

窓の外から人間たちの歓声が聞こえてくる。
「まったく・・・忌々しいことでございますな、アクバー様」
豪華な王者の間ともいうべき広間の奥に、玉座のように設えられた椅子に座る主アクバーを見やる魔術師ドグマ。
もちろん人間の魔術師ではなく、彼自身も魔物である。
幾人もの人間の血を吸った魔導師のローブをまとい、杖とも鎌ともいうべき武器を携えている。
ゾゾゲルと並び称されるアクバーの両腕ともいうべき魔術師モンスターだ。
「今のうちだけだ。せいぜい人間どもには夢を見させてやるがいい。いずれその夢は悪夢に変わるのだからな」
玉座に座っているのはこの牢獄の町の支配者アクバー。
強靭な巨大な肉体に蝙蝠型の羽を背中に広げている。
顔つきはブルドックのような顔つきだが、口から飛び出している牙は無言で彼の強さを誇示していた。
「ご命令さえいただければ、このドグマめがあのような女すぐに血祭りに上げますものを」
ドグマにもアクバーがあの女を生かしておく理由がわからない。
あの女のおかげで人間どもは多少生きる希望を持ち始め、我ら魔物に反攻する者も出てきている始末。
「手を出してはならん。それは今一度徹底しておけ。シスターアンナを傷つけたりした者には我が怒りが向けられると知るがいい」
アクバーはドグマをにらみつける。
人間どもを恐怖と絶望のどん底に突き落とし、可愛い愛すべき存在を我が手にできるこの一石二鳥の計画。
誰にも邪魔はさせん。
アクバーの目が欲望にゆがんだ。

「アクバー様」
一人の牢獄兵が入ってくる。
こいつらはこの牢獄の町を管理するために生み出された下層のモンスターで、町に住んでいたり他の町からさらってきた人間の魂を抜いて暗黒の気を入れることによって作られる。
魂を抜かれて抜け殻になった人間に暗黒の気を入れて鎧を着せれば牢獄兵としてよみがえるのだ。
男だろうと女だろうと関係はない。
魂を抜かれてしまえばそいつはただの抜け殻だ。
牢獄兵になってしまえば以前の記憶などない。
多少元が男だったか女だったかで力や耐久性に差が出るが、所詮使い捨ての下級モンスター。
死のうが生きようがどうということは無い。
「何事か?」
アクバーは入ってきた牢獄兵を見やる。
胸が鎧を押し上げた若い女の牢獄兵だ。
そういえば先日作った女の牢獄兵だったか・・・
新婚だったはずだが、牢獄兵となって自らの手で夫をいたぶっていたはずだ。
暗い喜びにアクバーはほくそえむ。
「大魔王デスタムーア様よりの使いの者が参っております」
「来たか!」
アクバーは立ち上がる。
待ちに待ったモノがついに来たのだ。

「お前が大魔王様よりの使者か?」
広間に通されてきたのは緑色のぷよぷよしたスライムに器用にまたがっている戦士、いわゆるスライムナイトだった。
「ハハッ、大魔王デスタムーア様よりの書状とアイテムをお持ちいたしました」
スライムナイトがかしこまって箱を差し出す。
「おお、待っておったぞ」
アクバーはすぐに受け取り、手を振って使者を追い出す。
スライムナイトはすぐに退出して行き、アクバーは玉座に座って箱を開けた。
「一体大魔王様より何が?」
ドグマも気になるようだ。
「・・・・・・」
一心不乱に書状を読むアクバー。
やがて書状を握り締めると不適に笑みを浮かべた。
「大魔王デスタムーア様のご許可が下ったぞ。これでシスターアンナは・・・クックック」
「あの不遜な女がどうされたのです?」
「ドグマよ。お前にはあのシスターアンナの美しさがわからないようだな」
アクバーが箱の中から黒い真珠ほどの球体を取り出す。
「そ、それは確かにあのシスターは人間にしては類稀なる美しさ。しかし、所詮は人間。魔物の妖艶さにはかないますまい」
「確かにそうだ。だが、あの女に魔物の妖艶さを加えたら・・・いい女モンスターになるとは思わんか?」
「そ、そんなことが?」
ドグマは驚いた。
人間の女を女モンスターにするというのか?
「これを見よ」
真っ黒な小さな球体をドグマに見せ付けるアクバー。
ブルドックのような大きな口がニターと笑っている。
「それは?」
「大魔王デスタムーア様お手製の『魔物のたましい』よ」
「『魔物のたましい』?」
首をかしげるドグマ。
魔物の中でも知力を誇る彼にもそのようなアイテムに覚えはない。
「そうだ。これをあのシスターアンナに植え付ける」
「あのシスターに?」
「そうだ。この『魔物のたましい』を植え付けられた人間は徐々にその心が邪悪で高貴な魔物の心へと変わり、やがてその身も我ら高貴な魔物のものへと変わって行くのだ」
アクバーは得意げに話す。
「おお! なんと、あの女が我ら魔物の仲間入りをするというのですか?」
「そうだ。きっと美しく邪悪な魔物に生まれ変わるぞ。我が妻に相応しくな」
アクバーは喜びを隠し切れなかった。

[魔物のたましい]の続きを読む
  1. 2006/05/16(火) 22:15:07|
  2. デビルアンナ
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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