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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

異形存在対策委員会

あうー・・・
アラクネの活躍に期待してくださった皆さん、すみません。
アラクネの出番はあれで終了です。
お許しを。

2、
とぼとぼとビルの入り口に現れる三人の姿。
肩を落として痛々しい。
『状況・・・終了・・・』
ルビーの苦しそうな声が流れてくる。
「ご苦労様。後は清掃局に任せなさい」
『了解です・・・司令』
入れ代わるように数人の作業服姿の清掃局員がビル内に入って行く。
悪魔の痕跡を消去し、その存在を知らせないようにするためだ。
三人はふと立ち止まると、いったん後ろを振り返りまた歩き始めるのだった。

「スーツの着装解除を確認。イェーガーの任務終了です」
スクリーンの前に座ってコンソールを操作していた女性が優しい声で言う。
「ご苦労様。美紅(みく)ちゃん」
「いえ、司令もお疲れ様でした・・・あの・・・」
立ち上がり振り替える館花美紅(たちばな みく)。
二十歳になったばかりの若い女性だが、その情報処理能力はかなりのものだ。
幼い表情を浮かべる童顔の彼女は、その小柄さとも相まっていつも歳より若く見られる。
オペレーターとしていつもそばにいてくれる彼女に、司令はいつも助けられていた。
「何?」
「あの・・・お気になさらないで下さい。司令は精いっぱいのことをなされたのですから」
その言葉に優しく微笑む司令。
「大丈夫よ。ありがとう」
「あの・・・」
そっと手を上げてさえぎる司令。
「心配いらないわ。あなたも凖待機に戻ってちょうだい。今日はもう・・・いいでしょう」
「はい、失礼いたします・・・司令」
一礼して司令部を出て行く美紅。
紺色のタイトスカートのスーツ姿がよく似合っている。
「ふう・・・」
机に顔を伏せる司令。
「もう少し早く特定できていれば・・・」
その言葉は苦々しかった。

西暦200X年。
国内には闇が広がりつつあった。
いつの世にも存在したはずの悪魔。
人間の欲望を形にしたといわれるその悪魔が跳梁し始めていたのだ。
各国は歴史的に悪魔に対する対策を司ってきた教会を中心として悪魔の封じ込めを計ったが、この極東の島国は教会の勢力が弱いこともあり、悪魔対策は後手に回ることが多かった。
この状況に政府は危機感を感じ、試験的に悪魔対策を専門とする部署を立ち上げたのだった。
「内閣府異形存在対策委員会」
それがその専門部署の部署名だった。

だが、教会と違い悪魔対策のノウハウがあるわけではない異形存在対策委員会は、所詮各省庁の情報の渦の中から悪魔に関すると思われるものを選り分ける部署に過ぎなかった。
もちろん警察庁を傘下に置く国家公安委員会も防衛庁も消防庁を傘下に置く総務省も、はては海上保安庁を傘下に置く国土交通省も、いきなり出来上がって悪魔に関する情報をよこせと言ってくる異形存在対策委員会に協力する気持ちは生まれるはずがなかった。
結局悪魔に関する事件は各都道府県警察が対応することが多く、悪魔の存在を基本的に信じるはずのない警察としては奇妙な事件として結論付けられるのが落ちだった。

その状況が多少なりとも変わってきたのは、悪魔に対抗するための戦力として退魔スーツが試作されたことによる。
本来は防衛庁が開発させようとしていた個人用強化スーツが原点であるのだが、玖薙純一(くなぎ じゅんいち)博士が目を付け、自己の裁量によって対悪魔用の戦闘スーツとして完成させることにしたのだ。
異形存在対策委員会も玖薙博士を支援し、その試作品が完成したのが数ヶ月前。
ただ、そのスーツで悪魔に対抗するにはある種の能力が必要だった。
いわゆる超能力とも言うべきもの。
悪魔の超常能力に対抗するためには、スーツを着る人間もまた超能力をもたねばならない。
スーツはその能力を飛躍的に強化して発揮するためのものなのだ。
その能力を持つものを異形存在対策委員会は探してみた。
その結果集められたのが三人の女性だった。
古住皐月(こずみ さつき)
添嶋晶(そえじま あきら)
東堂恋(とうどう れん)
この三人がリストアップされ、それぞれの特質に合わせてスーツが調整される。
そのスーツ調整の最中に不慮の事故で玖薙博士を失ったものの、博士の一人娘でありスーツ開発の協力者でもあった玖薙理梨子(くなぎ りりこ)が後を引き継ぎ、スーツを完成させていた。

その後試験的とはいえ悪魔対策に投入された三人のスーツ戦士は「イェーガー」と呼ばれ、悪魔退治に成果を上げつつある。
ただ、異形存在対策委員会への風当たりはまだまだ強く、その成果もまだ疑問視されるような状況であるため規模拡大など望むべくもなく、予算面からも人員増強が図れないために戦士たちを統括する司令官に玖薙理梨子が当たることになり、小数の要員とともに悪魔に対峙しているのだった。
しかも悪魔との戦闘に当たる「イェーガー」たちが女性ばかりであるという事実は、男性上位の政府部門には不評であり、警察や自衛隊の猛者を集めて悪魔に当たらせようとする動きが形を成して「清掃局」を作り上げ、異形存在対策委員会に不備があればいつでも取って代わろうとしており、油断することは出来ない。
現状はとりあえずイェーガーが悪魔と戦い、清掃局は周辺の確保などに当たることになっているものの、その協力関係は決して良好ではなかったのだ。

「はあ・・・」
席を立つ理梨子。
「イェーガー」部隊の指揮などという任務を負わせられるとは思わなかったが、スーツの調整やデータ収集を初めとして結局は関わらなければならないのだ。
それに悪魔という存在を放置することもできはしない。
携わるのならば中心にいるほうが何かと都合がいいだろう。
そう思って司令官職を引き受けたのだった。
だが、やはり畑違いの職である。
決して上手に指揮を取れているとは言いがたい。
今日の件についてもそうだ。
警察からの情報が入るのが遅かったとはいえ、アラクネの習性から言えばそういう犠牲者が出るのは当然と考えるべきだったのだ。
あの少女を救えなかったのはイェーガーの三人が悪いのではない。
私が悪いのだ・・・
理梨子はそう思っていた。

「帰ろう・・・」
司令部を出る理梨子。
大きなスクリーンとさまざまな機器類。
そしてオペレータとしての美紅の席があるぐらいだ。
だが、この小さな部屋が悪魔にかなりのダメージを与えていると言ってもいい。
なかなか認めてはもらえないが、この数ヶ月でイェーガーの三人が屠った悪魔の数は十指にあまる。
これは各国の教会の実績と比べても遜色ないどころかトップクラスだろう。
悪魔に横の繋がりがあるとすれば、イェーガーの三人とこの司令部に勤務する人々はかなり忌々しい存在ではないだろうか。
もっとも・・・
悪魔に横の繋がりは感じられない。
普通の悪魔は現れると無差別に人間を襲い食うものがほとんどだ。
アラクネのように知性的な悪魔はほとんどいない。
おそらく悪魔というのはこの地球上の生命とは異質な生命体というだけなのかもしれない。
だが、人類にとっては脅威であるには違いないのだ。
悪魔の増加が何を意味するのか。
聖書で言うところの黙示録が始まっているのかもしれないわね。
そんなことを考えながら理梨子は身支度を整えて司令部のある建物を後にした。

夜更けの町。
すでに深夜をとうに過ぎ明け方も間近い。
マンション地下の駐車場に車を止めた理梨子は、車を降りてエレベーターに向かう。
その背後に人影が現れたのはその時だった。
  1. 2006/05/02(火) 22:16:14|
  2. 戦隊司令理梨子
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夕べSSをアップしたあと、日付が変わったあたりでアクセス数が25万を超えました。

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本当に本当にありがとうございます。m(__)m

これも皆様の応援の賜物。

これからも自分が書いていて楽しく、かつ皆様に読んで楽しんでいただけるようなSSを書いていきたいと思いますので、応援よろしくお願いいたします。

もちろんミリタリーネタも書いていきますよー。

それではまた夜にお目にかかりますね。

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  1. 2006/05/02(火) 11:22:44|
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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