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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

性懲りも無く

えーと。
性懲りも無く新作SSです。
4・5回で終わる短編になると思います。
GW中に終わるようにしようと思いますので、しばしのお付き合いの程を。

1、
「はああっ!」
剣の切っ先が残像を紡ぐ。
あまりの速さに目が追いついていかない。
普通の人間なら、何が起こったのかさえ気が付かないだろう。
だが。
そいつはその切っ先をかわしていた。
「チッ!」
舌打ちする。
そいつは長く伸びた手足で壁に取り付き、幾つもの目で彼女たちを見下ろしていた。
「ルビー、私に任せて!」
「サファイヤ、両側から一気に!」
左右に展開する人影。
壁に張り付いたそいつの正面にいるもう一人とともに、そのいずれもがヘルメットを被り、躰に張り付くレオタードのようなスーツを身に纏っている。
赤、青、緑の色に分かれてはいるものの、全てのデザインは同じで、違うのは持っている武器らしき物のみ。
赤のスーツを纏っているのはショートカットの茶色の髪をした若い女性。
形良い胸とくびれた腰がそのスーツによってあらわになっている。
彼女が右手に持つのは反りの入った曲刀。
日本刀より小振りだが刃の幅はかえって広い。
柄の部分が長いので両手で持つことも可能な剣だ。
だが、今は獲物を捉えきれていない。

右に向かったのは青いスーツを纏った女性。
長い髪の毛を後ろで一つに束ねている。
体つきは赤いスーツの女性よりも線が細い。
どちらかというと華奢な感じだが、それがかえって強靭さを与えているらしい。
持っているのは長い杖。
切るなど論外で殴るにも不適当。
だが、その先から放たれる雷(いかずち)は何者をも破壊する。
だが、今はまだ放たれてはいない。

左に向かったのは緑のスーツを纏った女性。
ヘルメットの下から左右に束ねた髪が覗いている。
体つきは一番小柄。
そのせいか幼さすら感じさせるし、実際幼いのかもしれない。
胸も小振りで成熟さを感じさせなかったが、それでも女性らしいラインは流れるような見事さがある。
持っているのは両手にダガー。
隙あらば獲物を目掛けて飛び掛る。
彼女が操るダガーはまるで飛び交う猛禽のごとく獲物を引き裂き命を奪う。
だが、今はまだ飛び立ってはいない。

壁にはお尻から糸を出して屋上に張り付け、クモのように変化した手足を使って這い回っている一体の悪魔がいた。
かつては美人のOLとして会社での人気も高かった女性だったが、今は身も心も悪魔に変化し捕らえてきた男どもを貪り食う存在と化している。

やっぱり縦方向の動きは苦手なようだわ・・・
女性が一人モニターに映し出される戦いの様子を見つめている。
壁を這っているクモ型の悪魔・・・コードネームアラクネ。
滅多に現れる存在ではないが、それゆえに強力な相手でもある。
彼女に何があったのかはわからない・・・
でも、今の彼女は人間に危害をもたらす悪魔。
速やかに消去しなくてはならないのだ。
左右に展開した二人・・・サファイヤとエメラルド。
この二人のコンビネーション攻撃はアラクネといえども無事ではすまないだろう。
だがとどめはやはりルビーが必要だろう。
アラクネはおそらく屋上へ逃げるはず。
そこへとどめを与えなければならない。
「ルビー。とどめはあなたが・・・」
『わかってます、司令』
落ち着いた声が返ってくる。
彼女は冷静だ。
戦い方は凄まじいが戦いに飲まれてはいない。
頼もしいことだ。

『雷!』
『シューティングダガー!』
左右の二人から同時に攻撃が放たれる。
青い火花と緑のきらめきがビルの壁の一点で交差する。
アラクネはその持ち前の俊敏さで逃れようとしたものの、直線的な軌道の雷と上下に分かれて曲線的な軌道を取る二本のシューティングダガーにはさまれては逃げ場が無い。
『グギャウ』
何とか雷の直撃はまぬがれたものの、シューティングダガーが一本深々と脇腹に突き刺さる。
まだ人間の形をとどめている脇腹から流れ出るのは真っ黒な液体。
すでに血と言えるものではない。
『グギギ』
ダガーを抜き捨てて屋上へ向かうアラクネ。
だがその瞬間を見逃しはしない。
『ルビーソード!』
そう叫んで赤いスーツの女性がジャンプする。
その跳躍力は通常の人間はおろかハイジャンプの選手だって足元にも及ばない。
七階建てのビルの屋上付近まで一気に跳躍して、ルビーは剣を振り下ろす。
『フレイムクラッシュ!』
『グギャァァァァァ!』
胴体を上下にから竹割りのごとく切り裂かれるアラクネ。
そのまま地面に落ちて砕け散って行く。
『ふう・・・』
ストッと着地するルビーのそばにサファイヤとエメラルドがやってくる。
『やったね、皐月(さつき)』
『やりましたね、皐月さん』
にこやかに声をかける二人。
『晶(あきら)、恋(れん)、まだだよ、つかまった女の子を助けなきゃ』
表情を引き締めるルビー。
『そうだね。このビルの中だと思う』
『ええ、どうやら巣を張っていたようですしね』
『ようし、行くよ!』
『『ええ』』
三人はすぐにビル内に消えていった。

暗いビル内。
つい先日まではオフィスビルとして機能していた七階建てのビル。
そこは今やアラクネの巣と化していた。
荒れた廃ビルと同じような光景が広がる。
結界が張られたビルは人の出入りを拒んでしまうのだ。
ここにいた人間は食われるか寄りつかなくなるかのどちらかだった。
『気をつけて・・・』
ルビーが後ろの二人に声をかける。
しっかりとしたリーダー役をこなしているルビー。
サファイヤもエメラルドもルビーを信頼して命を預けているのだ。
『わかってます』
『皐月さんも気を付けて』
サファイヤもエメラルドも警戒を緩めない。
主がいなくなった今、さほどの脅威は無いはずだが、“清掃局”がビル内を“清掃”するまではまだ悪魔の残滓が残っているのだ。
『うっ・・・』
『あう・・・』
廊下のドアから中を覗いたルビーとサファイヤが顔をしかめる。
『なんです?』
エメラルドが覗き込もうとするが、サファイヤが制止した。
『恋は見なくていいわ』
そう言って足早に部屋の前を通り過ぎる。
真っ暗な室内にはスーツを着た白骨が転がっていたのだ。
アラクネの犠牲者だろう。
『司令、ほんとにいるのかな・・・』
ルビーの声が流れてくる。
「警察からの情報では間違いないわ。早くしないと・・・」
スクリーンを見つめる女性が答える。
『うん・・・わかってる』
ルビーがうなずいた。
このスクリーンの映像は彼女たちのヘルメットが、彼女たちの見ている映像を周囲の情報とともに送ってきている。
それを司令である彼女が見つめているのだ。
『先へ行ってみるよ』
「気を付けて」
『うん』
ルビーたちは先へ急ぐ。
彼女は黙って映像を見つめるのだった。

『これは・・・』
『ここまで立派な巣は初めてだわ・・・』
『うえ・・・』
彼女たちの目の前に広がる光景。
ビルの七階は広いホールになっていたらしい。
暗いそのホールのなかに、白いものがいくつもぶら下がっている。
それは糸でくるまれた人間の繭。
ホールには縦横にロープのような糸が張り巡らされ、そのあちこちにそういった餌となった人間のくるまれた繭がぶら下がっているのだ。
『・・・すんすん・・・』
『?』
ホールの奥ですすり泣くような声が聞こえる。
『皐月、今のは・・・』
『うん・・・多分・・・』
ルビーがうなずく。
『恋はここで援護して』
『了解。気を付けて』
エメラルドが身構える。
ルビーとサファイアの二人はゆっくりと奥へ進んで行く。
『すんすん・・・すんすん・・・』
すすり泣く声が大きくなる。
『あれだ』
『捕らわれた女の子だわ』
ルビーとサファイヤの前に手足をアラクネの糸でくくりつけられた少女が現れる。
『大丈夫・・・まだ大丈夫だ』
『うん、そのようね』
二人はゆっくりと近づいていく。
少女は泣き腫らした目を二人に向けた。
『あ・・・』
『大丈夫か?』
ルビーが思わず駆け寄る。
少女の悲しそうな目に引き込まれたのだろう。
『あ・・・助けに・・・来てくれたの?』
『ああ、待ってろ』
傷一つ無い裸の少女を縛り付けているアラクネの糸をソードで切り取り自由にする。
『ああ・・・』
解き放たれた少女は床に崩れ落ちた。
『しっかりしろ。すぐに病院に・・・』
少女を抱きかかえるルビー。
『ありがとう・・・お姉ちゃん・・・うふふ・・・』
サファイヤの目の前で少女の両腕が変化し始める。
『皐月!』
『うわっ! くそっ!』
少女を突き飛ばすルビー。
少女はくるっと一回転して長く伸びた手足で着地する。
すでに頭には複数の目が現れ、手足は毛に覆われている。
アラクネの誕生だ。
『遅かったか・・・』
『もうアラクネに・・・』
落胆するルビーとサファイヤ。
もはやこうなっては消去するほかは無い。
「ルビー、サファイヤ! 今ならまだ力をつけていないわ。消去して!」
スクリーンに向かって叫ぶ。
苦しいが仕方が無い。
彼女が人間を食って力をつけてしまえば手強くなる。
『わかってる、わかってるよ・・・』
『でも・・・』
二人も苦悩する。
手遅れだったのだ。
アラクネは気に入った女性を捕らえて巣に連れ帰る。
そこでじわじわと心と躰を作り変えるのだ。
アラクネとなった女性を元に戻すことは出来ない。
消去するしかないのだ。
『ごめん・・・ごめんよ』
『ごめんなさい・・・』
ルビーとサファイヤはそれぞれの武器をアラクネに向けた。

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  1. 2006/05/01(月) 22:33:36|
  2. 戦隊司令理梨子
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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