先日2chでも紹介されていましたが、アメリカのHip Comix様が一日だけの無料解放を行なっておりました。
おかげさまで大変素晴らしい作品の数々を拝見することができました。
ありがとうございます。m(__)m
その中でもやはりDr.robo様のヒロインロボット化作品はそそられますよねー。
私もこういったヒロイン機械化は好きなので、もう非常に楽しませていただきました。
人形姫様や妄想どかん様といったサイト様にもいつもお世話になっており、一度拙作を人形姫様には送らせていただいたりもしましたが、また書きたくなりますよね。
「ドクターマイカタ! 女の子をロボットにして言いなりにしようだなんて、この私が赦さないわ」
「ムッ? 貴様はビューティナイト。相変わらず美しい白レオタードか」
悪の科学者ドクターマイカタの前に立ちはだかる美しい正義のヒロインビューティナイト。
白いレオタードにロングブーツとロンググローブ。
背中には赤いマントが翻っている。
「私の格好なんてどうでもいいでしょ? それよりも捕らえた女性たちを解放しなさい!」
腰に手を当ててにらみつけてくるビューティナイト。
「むう・・・やむを得まい。お前のパワーには勝ち目は無いからな」
解放される女性たちをビューティナイトは背後にかくまう。
「あなたたち、もう安心よ。さあ、ドクターマイカタ。一緒に警察にき・・・て・・・えっ?」
首筋に打ち込まれた注射器に唖然とするビューティナイト。
すぐに意識が遠くなる。
「くくく・・・すでに彼女たちはわたしの可愛いロボットウーマンなのだよビューティナイト。そしてすぐに君も仲間ニなる」
「あ・・・しまっ・・・た・・・」
床に倒れこむビューティナイト。
見下ろすドクターマイカタの顔に笑みが浮かぶ・・・
うーん・・・続きを書こうかどうしようか・・・(笑)
ロボット化されたヒロインが言いなりに・・・そそりますよねぇ。
- 2006/05/31(水) 22:16:00|
- ネット関連
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5月10日以来のローネフェルトです。
お待たせしましたー。
宇宙戦闘がうまく書けているか心配です。
よろしければどうぞ。
光?
発光信号だわ!
遠い・・・
私はすぐにレーザーをブリュメルに向けて発信する。
「こちらはローネフェルト。敵はどこ?」
『・・・・・・』
しばらくの雑音。
方向には問題無いはず。
お願い・・・拾って・・・
「こちらローネフェルト。敵との正確な距離はわかる?」
すでに私はYMS-15を発光信号に向けている。
あの光が誰が発したものにせよ、うまく離脱してくれることを望むわ。
『こちらはブリュメル・・・こちらはブリュメルです。ローネフェルト大尉殿、聞こえますか?』
「聞こえるわ。敵はどこ?」
『敵は艦隊の二時方向。艦隊水平面より上下角プラス3度です』
「やっぱり・・・」
光の方向からもそれはわかっていた。
パットが接敵したのだ。
「ブリュメル、よく聞いて。ミナヅキ少尉の機体を発進させて。その時に15用の予備プロペラントをミナヅキ少尉にくくりつけてでも持ってこさせて」
私はYMS-15の速度を上げる。
推進剤が驚くほどの速さで減って行く。
『お待ち下さい・・・ハイ・・・ハイ・・・了解です・・・大尉殿、艦長の許可を得ました。すぐにミナヅキ少尉を射出するとのことです』
「お願いね。帰れなくなるのはごめんだわ」
『了解です。ご武運を』
「そちらもね」
私は通信を切る。
この空域にいる連邦軍となれば木馬の可能性は大いにあるわ。
となればパット一人では苦戦する。
一刻も早く応援に駆けつけてやらなければ・・・
私はさらにフットペダルを踏み込んだ。
引き摺られている?
モニターの向こうの噴射炎の輝き。
ソフィアのライトアーマーが回り込んだために、敵機は離脱を半ばあきらめ回避行動に移っている。
落とされないように加速をランダムに行なって、取り付かれないように必死に動いている。
はずなのだが・・・
徐々にジム三機は艦隊より遠ざかっている。
このまま時間が過ぎれば・・・
『中尉殿。どうやら片付きそうですね』
『私たちの出番は無さそうですね。よかった・・・』
少女たちの偽らざる思いだろう。
学校出たての十九歳同士。
ガンビア・ベイの中でも二人は時に仲がいい。
「バカ! しっかりまわりを良く見ていろ! ミノフスキー粒子下ではおのれの目だけが頼りなんだからな」
ふっ・・・
俺も何度言われたことか・・・
陸の上で戦車砲撃っていた方が何ぼか楽だな・・・
『りょ、了解です』
『了解です、中尉殿・・・』
絶対に死なせたくない・・・
可愛い可愛い俺の部下たちだ。
絶対に死なせたくない。
それにしても上手い・・・
俺は敵機のパイロットの腕に感心していた。
かれこれ十分。
戦場は艦隊よりはるかに離れてしまっている。
俺の思ったとおり引き摺られているのだ。
たった一機の敵機がジム三機を翻弄している。
ソフィアだって腕は悪くない。
それどころか連邦のモビルスーツ乗りの中では平均以上のレベルだろう。
それが引き摺られている。
理由としてはもう一つある。
味方のジム二機の連携がなっていないのだ。
せっかくソフィア機が頭を押さえても、後ろががら空きなのでちょっとの機動ですり抜けられる。
噴射炎の動きからだけでもこちらのジムは無駄が多い。
あれではもしかすると・・・肝心な時に推進剤切れを起こすかも・・・
「エイボン曹長、チュイコワ曹長、いいか、機動は的確に素早く必要なだけ行なうんだ。そうしないと・・・」
『わかっています中尉殿』
『“肝心な時に推進剤切れを起こす”ですよね』
俺は苦笑する。
どうやらいつもブリーフィングで口癖のように言っているから一言一句覚えてしまっているようだ。
『中尉殿』
アナスタシア・チュイコワ曹長の静かな声が流れてくる。
「どうした?」
『あれ・・・なんですか?』
ボールのマニピュレーターが指し示す方向。
地球の反射光で見えづらい。
ん?
まさか?
「敵機だ!」
俺が叫ぶのと同時にヘッドフォンが悲鳴を上げる。
『こちらイシカリ! 高熱源体接近!』
『ニューヨークシティより各機へ! ニューヨークシティより各機へ! 敵機発見!』
『旗艦ガンビア・ベイより各艦へ。旗艦ガンビア・ベイより各艦へ! 対空戦闘準備!』
遅いだろ!
俺は怒鳴りつけてやりたくなった。
索敵機が発光信号を上げた以上はいつ敵機が来ても不思議じゃない。
CAPにだけ任せていていい訳が無いじゃないか。
「エイボン曹長、チュイコワ曹長! 俺のそばから離れるな! いいな!」
『了解です』
『了解』
二機のボールが俺のそばに寄ってくる。
どうか無事で生き残れよ。
推進剤残量が二割を切ったか・・・
これでアヤメと合流できなければ私は溺れる。
そう思うと背筋がぞっとする。
だけど・・・
パットを見殺しにはできないわ。
なんとしても・・・
いた!
やはり戦闘中。
しかも三機と混戦中?
スクリーンに映る噴射炎がダンスを踊っている。
良く無事で・・・
敵艦は三隻か・・・
木馬はいるのかな?
どうせ格闘戦をするしか手が無いんだから・・・
私はシールドを構えてトリガーを引く。
多少の振動が走って全てのロケット弾が飛び出して行く。
その数総数56発。
多少の熱線追尾はできるが、ほとんど無誘導と言って構わないロケット弾を全弾撃ち尽くしたのだ。
これであとはビームサーベルのみ。
さあ、行くわよ!
弾幕?
一機のモビルスーツがこれほどの弾を一度に?
『ち、中尉殿』
『中尉殿』
「喚くな! 当たりゃしない!」
俺は二人を怒鳴りつける。
こういった弾幕はむやみに動けばかえって当たる。
もちろんそれはこういったモビルポッドやモビルスーツに言えることで、艦艇に対してはそうはいかない。
一発二発で致命傷にはならないだろうが・・・
艦隊から曳光弾のシャワーが上がる。
ちかちかとロケット弾が撃ち落される。
しかし・・・
ガンビア・ベイの格納庫付近に爆発が二度起こった。
スクリーンの片隅で爆発光が光る。
一斉射の効果が多少はあったらしい。
このまま速度を緩めずに乱戦の中に割って入る。
敵はジム三機。
色違いのが一機いるけどカスタム機か?
もっともこちらも紫の機体だから人のことは言えないわね。
私は苦笑した。
『た、大尉殿』
私の15を認めたパットの09Rがこちらに向かってくる。
無事でよかった・・・
声が聞こえるとホッとする。
「ノイマン准尉、無事で何より。後は任せて後退しなさい」
おそらくパットの機は残弾もほとんど無いはず。
推進剤だって心もとないでしょう。
『あ、で、でも大尉殿が・・・』
「いいから下がりなさい!」
目の前に連邦軍の赤と白の機体が迫る。
こいつは機動の仕方も知らないの?
私はベクトルを変えることなくビームサーベルでなぎ払う。
「!!」
すごい・・・
ヒートホークやヒートサーベルとは比べ物にならないわ・・・
私は背後で火球と化す敵機を背に敵艦隊に突進した。
[YMS-15の初戦果]の続きを読む
- 2006/05/30(火) 21:42:25|
- ガンダムSS
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ようやくシスターアンナの完結です。
長くかかっちゃいました。
楽しんでいただければ幸いです。
9、
ピシーン!
ピシーン!
ムチが皮膚を打つ音が響く。
苦悶のうめき声とともに脂汗がハッサンから滴る。
背中の皮膚は切れ血が垂れ始めている。
荒い息。
はあはあと速い呼吸。
だがそれはハッサンのものではない。
汗が飛ぶ。
「あは・・・あははははは・・・」
笑いが止まらない。
腕が振り下ろされていく。
ムチが空気を切り裂き勢い良く当たっていく。
躰が熱い。
腕が止まらない。
楽しい。
楽しくてたまらない。
「あははははは・・・」
笑い声が周囲に響く。
もう止まらない。
シスターアンナは存分にムチを振るっていた。
「う・・・あ・・・」
がっくりとうなだれるハッサン。
もはや意識はなく、ただムチ打たれるだけになってしまう。
「ククク・・・気を失ったようだな。シスターアンナよ、それぐらいでいいだろう」
そっとアクバーがシスターアンナの腕を押さえた。
「え?」
我に返ったようにハッとなるシスターアンナ。
「これ以上やっても死ぬだけだ。死んではつまらないからな。こいつらは体力があるから楽しませてくれる」
ああ・・・そうよ・・・
死んじゃったらつまらないわ・・・
ムチを振るうのがこんなに気持ちいいなんて・・・
うふふ・・・
もっともっと楽しみたいわ・・・
そのためには生きていてもらわないと・・・
「ハイ、アクバー様。その通りですわ」
シスターアンナはそっとハッサンのそばに行き呪文を唱える。
ベホイミの呪文がハッサンの傷をたちまちのうちに癒して行く。
「うふふ・・・これでいいですわ。これでまだまだ・・・うふふふ・・・」
それは見るものをぞっとさせる悪魔の笑み。
シスターアンナの笑みはまさに美しく残酷な悪魔の笑みだった。
「ククク・・・どうやらずいぶん気に入ったようだな。シスターアンナ」
「ハイ、アクバー様。とても気に入りましたわ。人間をムチ打つことがこんなにも気持ちいいことだったなんて知りませんでした」
アクバーにうなずき、胸に手を当てて余韻を感じるシスターアンナ。
「驚いたな・・・まさかシスターアンナがこんなことをするなんて」
ドグマも目を丸くしている。
「うふふ・・・ドグマ様、私はアクバー様のおかげで欲望のままに生きる喜びを見出したのですわ。これからは楽しく生きませんと。ね」
妖艶に微笑むシスターアンナ。
「くそっ、なんてこった! シスターアンナ、あんたそれでもシスターかよ!」
鎖をガチャガチャさせてテリーが叫ぶ。
何とか逃げ出したいがどうしようもない。
「ほう、まだいきがるか、小僧」
アクバーが大きな口をゆがめて笑う。
もはやこいつらには楽しませてもらう価値しかない。
たいした後ろ盾もなしにここまで旅をしてこられたことは驚きだが、この強靭な精神と肉体ならばうなずけるというもの。
せいぜい楽しませてもらうとしよう。
「くそっ、アクバー! 貴様シスターアンナを洗脳したな!」
その言葉につかつかとテリーに近寄るシスターアンナ。
パシーンという音が響き、彼女の平手がテリーの頬を打った。
「黙りなさいクズが! アクバー様を侮辱すると赦さないわ」
赤い瞳がテリーをにらみつける。
「シスター・・・目を覚ましてくれよ」
「目を覚ます? おかしなことを言うのね。私は正気に決まっているじゃない。やはりクズにはそんなこともわからないのかしら?」
「シスターアンナ・・・」
唇を噛むテリー。
どうやらシスターアンナは心を変えられてしまったようだ。
もはや以前のシスターアンナではない。
「さて、ドグマとゾゾゲルにも楽しみを分けてやらねばな。上に行くとしよう、シスターアンナよ」
アクバーが背を向ける。
「・・・・・・ハイ、アクバー様」
テリーに一瞥をくれ、ムチをドグマに手渡してアクバーの後を追う。
スリットから覗く太ももまでのガーターストッキングに包まれた脚が美しい。
その後ろ姿を黙って見つめるドグマとゾゾゲルの前で静かに扉は閉じられた。
はあ・・・はあ・・・
どうしたのかしら・・・
躰が熱い・・・
背中がむずむずする・・・
節々が痛む・・・
アクバーの後を歩きながら躰の不調を感じているシスターアンナ。
「む? 疲れたか?」
振り返り、少し顔色の悪いシスターアンナを気遣うアクバー。
「いえ、大丈夫です・・・」
首を振るシスターアンナ。
「そうか。ならいいが」
再び歩き出すアクバー。
地下牢を出て居館のほうへ向かって行く。
ドクン・・・
ドクンドクン・・・
あ・・・
躰が・・・
躰が・・・
熱い・・・
まるで火がついたよう・・・
熱いよう・・・
ガクッとひざから崩れ落ちるシスターアンナ。
あ・・・
アクバー様・・・
ア・・・ク・・・バ・・・さ・・・ま・・・
そのまま倒れこんでしまう。
「む? どうした?」
振り返るアクバーの目に地面に倒れこんだシスターアンナの姿が映る。
「む、しっかりするのだシスターアンナ」
駆け寄って助け起こすアクバー。
だが、シスターアンナの躰はまるで火がついたように熱い。
「すごい熱だ。これはもしや」
意識を失ったシスターアンナをアクバーは抱きかかえ、そのまま居館へ運びこんだ。
闇・・・
どろどろに溶けた闇・・・
べとべととして躰に纏わり付いてくる・・・
ゴムのような・・・タールのようなどろどろとした闇・・・
躰がその中に沈んで行く・・・
顔も目も鼻も耳もどろどろの闇に覆われていく・・・
熱い・・・
どろどろに煮えたぎった闇・・・
躰が熱で溶かされていく・・・
手も脚も胸もお腹も溶かされて徐々に形を失っていく・・・
口からも鼻からも目からも耳からも肛門からもヴァギナからもどろどろの闇が入ってくる・・・
お腹も胸も闇で満たされて溶けていく。
残るのは何も無い・・・
首から下はすでに闇・・・
でもそれでいい・・・
闇が全ての替わり・・・
手も脚も胸もお腹も無いけれど、手も脚も胸もお腹も存在する・・・
やがて煮えたぎる闇は目も鼻も口も耳も溶かしていく・・・
何も無い・・・
何も見えないし聞こえないししゃべれないし嗅げもしない・・・
だが全てを見ることができ、聞くことができ、話すことができ、嗅ぐことができる・・・
それはまるで胎児のよう・・・
新たな生が今始まるのだった・・・
******
「あれっきりシスターアンナの姿が見えなくなったんだが、どうなったんだ?」
「ああ、酒場の一件以来だろ? アクバーのところに居るとか聞いたが・・・」
「地下牢の連中はどうなったんだ?」
「さあ・・・どうも女たちはもう牢には居ないって聞いたけどな・・・」
「食事を運んだシンシアの話じゃ、生かさず殺さず毎晩拷問されているらしいぞ・・・」
「新たなアクバーの側近が増えたというのは本当か?」
「さあな・・・おそらくその発表がこれからあるんじゃないか?」
広場に集められた牢獄の町の住人たち。
男も女も全ての町の人々が集められている。
広場の周囲には以前まで友人や家族だった人々が牢獄兵と化し、威嚇するように槍を構えて立っていた。
広間の正面には壇が設えられていて、その上にはギロチンが置かれている。
このギロチンで処刑された人間は数知れない。
魔物たちは意味も無くただ楽しむためだけに人間をギロチンにかけていく。
このギロチンはこの町の恐怖の象徴だった。
「おい、現れたぞ」
「あ、あれは?」
人々がざわめく。
そのざわめきの中、アクバーと三人の魔物が壇上に上がった。
二人はドグマとゾゾゲルであり、町の人々にとってもおなじみの顔だったが、もう一人は今まで見たことのない魔物だった。
その魔物は女だった。
艶めかしくも美しい肢体を晒した女魔物だったのだ。
頭の両側には太いねじれた角が生え、肩口までの髪から覗く耳は尖っている。
首には漆黒のチョーカーを巻き、胸から股間までをおへそのところが開いた黒いボンデージのレオタードが覆っている。
背中は大きく開いていて、蝙蝠型の羽根がヒクヒクと動いていた。
二の腕から先と太ももから下はそれぞれ黒い長手袋と同じく黒のハイヒールのブーツが覆っている。
お尻からは先の尖った尻尾が妖しく動き、まさに悪魔と呼ぶに相応しい姿を誇らしげに見せつけていた。
その女魔物が振り向いて正面を向いたとき、人々は絶望に打ちひしがれた。
「シスターアンナ・・・」
「ああ・・・シスターアンナが・・・」
「シスターアンナだ・・・」
その女魔物の顔はみんなが見知っていた顔だった。
しかし、その表情には冷たい笑みが浮かび、瞳は赤く、黒く塗られた唇からは真っ赤な舌がぺろりと覗いていた。
「ククク・・・今日は貴様らにいい知らせをやろう。我が妻デビルアンナだ」
アクバーが悪魔と化したアンナの腰を抱いてそばへ寄せる。
デビルアンナと呼ばれたかつてのシスターアンナは嬉しそうに腰を振ってアクバーに擦り寄った。
「うふふふ・・・私はデビルアンナ。アクバー様の妻にして忠実なしもべ。今日からは我が夫とともにお前たちクズどもを管理してあげるわ」
妖しい笑みを浮かべながらデビルアンナは宣言する。
人々の絶望的な表情がなんとも心地よい。
「うふふふ・・・まずはこれから」
そう言うと呪文を唱えるデビルアンナ。
彼女の頭上に巨大な火球が浮かび、かつての居場所であった教会を直撃する。
轟音とともに教会は吹き飛び、人々は全ての希望が失われたことをまざまざと見せ付けられた。
「クククク・・・メラゾーマとはなかなかやるわい。さすがはわしの妻」
満足そうにうなずくアクバー。
「うふふふ・・・このぐらい造作も無いことですわ。さあ、クズども、生きていたかったらしっかりと我ら魔族に奉仕することね」
住民たちはがっくりとうなだれる。
「クククク・・・お前たちのもう一つの希望とやらもいずれはこうなるのだ。見よ!」
アクバーが壇の下に控えていた牢獄兵を手招きする。
小柄な牢獄兵とヘルメットから金髪を覗かせた牢獄兵の二人が壇上に上がって跪いた。
「クククク・・・こいつらはヘボヘボとやらと一緒に居た女たちでな。我が妻の希望により牢獄兵として下僕にしてやったわ」
顔を上げる牢獄兵と化したミレーユとバーバラ。
二人は無表情でデビルアンナとアクバーの命を待つ。
「どうだ。いい知らせであろう? がっはっはっは・・・」
アクバーの高笑いが響いた。
「うふふふ・・・ねえ、アクバー様」
「なんだ?」
広場から居館へ戻ってきてくつろいでいるアクバー。
その膝の上にはデビルアンナが座っている。
「私、面白いことを思いつきましたわ」
「ほう、聞かせてもらおうか」
アクバーがにやりと笑う。
すでにシスターアンナの面影はまったくない。
デビルアンナは素晴らしい女魔物だ。
「あのヘボヘボとやらにはライフコッドにターニアという妹が居るとか・・・うふふ・・・私、その子で遊びたいと思いますわ」
冷たく笑うデビルアンナ。
真っ赤な舌が黒く塗られた唇を舐めまわす。
「クククク・・・それは面白い。あのヘボヘボの顔が見ものだわい」
美しく邪悪な女魔物デビルアンナ。
アクバーはそのことに非常な満足を覚えるのだった。
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- 2006/05/29(月) 19:50:55|
- デビルアンナ
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モニター手に入れましたー。\(^o^)/
すごいー!
17インチ液晶タイプですけどむちゃくちゃ見やすいじゃん。
今までのブラウン管モニターとはまったく違いますねー。
驚きましたー。
これでしばらくはモニターは心配ないかな。ww
さて、今日はちょっと変わった話題で。
私は結構料理とか好きなんですよ。
と言ってもせいぜいがハンバーグ作ったりオムレツ作ったりといった程度なんですがね。(笑)
で、先日PHP文庫から出ていた文庫本で「にほん料理名ものしり事典」と言う本を手に入れてきました。
いわゆるうんちく本なんですけど、いろいろと料理名の由来が載っていて楽しいんですよ。
まだ読み始めたばかりで、半分も読んでいないんですが、その中でへーと思ったことを書きますね。
多分皆さんご存知なんでしょうけど、京都近辺で取れる有名な大納言小豆。
なぜこれが大納言小豆と呼ばれるようになったのか。
もちろんこれは一説で、異説もあるんでしょうけど、この本に紹介されていたのは以下の通り。
大納言小豆は煮ても形が崩れない。
つまり腹の中身をはみ出さない。
と言うことは切腹をしない。
大納言も切腹はしない。
と言うことで大納言小豆と呼ばれるようになったとのことですね。
あと、面白かったのは風呂吹き大根。
これはかなり眉唾物なので、信用が置けないのですが、ある漆職人が冬の乾燥時期が漆にはよくないと困っていたところ、一人の僧が大根のゆで汁を風呂(漆職人の仕事場兼漆器の保管場所のこと)に入れる(吹き込む)と適度な湿気でよいと教えてくれたそうです。
そこで漆職人が言うとおりにしたところ、非常にいい感じで効果があったらしく、それ以来風呂に大根のゆで汁を吹き込むようになったものの、そのためにゆでる大根の処理に困り、近所に配って食べてもらったところ美味しいと評判になって、それ以来風呂吹き大根と呼ぶようになったとか。
もちろん今言ったようにかなり眉唾らしいのですが、大根のゆで汁が湿度を保つのは確かだそうで、一応の科学的根拠はあるのだとか。
面白い説ですよね。
また面白い話があったら紹介しますね。
それではまた。
- 2006/05/28(日) 21:49:48|
- 本&マンガなど
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今日は嬉しいことと悲しいことがありました。
嬉しいこととしては、なんと言ってもこのブログ開設以来初めて一週間で一万ヒットに到達したことです。
ページビュー合計: 281692 今日のページビュー: 1148
今週のページビュー: 10301 1 時間以内のページビュー: 94
もうなんと言ってよいやら。
訪れてくださった方々に深く深く感謝いたしております。m(__)m
これからも楽しんでいただけるように頑張りますねー。
エイエイオー!
悲しいこととしては二つ。
元会社の同僚であり、個人的に友人であるK・Mさんが体調不良などもろもろの事情でこの北の大地を離れることになってしまいました。
公私共にお世話になり、特にTRPGなどを一緒に楽しんだ友人である彼と別れるというのは寂しさがつのります。
本州方面へ行き、体調を整えて出直すとのことですので、きっとまた元気な顔を見せてくれると信じています。
K・Mさん、頑張ってくださいね。
また連絡を取り合いましょう。
もう一点悲しいことが・・・
これまでずっと私のコンピュータ生活を支えてきてくれたブラウン管モニターが、さすがに寿命を迎えてきつつあるようで画面がうまく表示されません。
どう調節しても左右がゆがみ、時間をおくと少しよくなるような感じです。
考えてみればもう6年使っているモニターなので、そろそろ寿命なんだと思いますね。
更新考えたほうがいいんだろうなぁ。
明日でもショップへ行って見てこよう。
とりあえずこんなところでSSもミリタリーもないですが、今日のブログを締めますね。
それではまたー。
[今日の出来事]の続きを読む
- 2006/05/27(土) 21:34:50|
- 記念日
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シスターアンナ8回目です。
よかったら楽しんでくださいね。
それではー。
8、
髪を掻き揚げながら通りを歩いているシスターアンナ。
冷たい笑みが月明かりに映える。
背後で起こる悲鳴もざわめきも気にならない。
今日はいい月夜だった。
「こんな時間に散歩か?」
月明かりの中金属鎧が照りかえる。
フルフェイスのヘルメットが不気味な輝きを見せていた。
「これはゾゾゲル様」
シスターアンナは笑顔を見せ、スカートを持ち上げて一礼した。
「うふふ・・・とても気分がよくて・・・月を眺めておりましたわ」
赤く染まった瞳。
口元には冷たい笑み。
今までのシスターアンナとは違う。
「ふん・・・楽しんだようだな・・・殺したのか?」
「ハイ、虫けらどもを数匹。クスッ・・・人間ってたやすく死にますのね」
笑みを浮かべたままこともなげに答えるシスターアンナ。
「酒場の騒ぎはそのせいか。様子を見て来いと言われたが・・・まあいい。戻ってアクバー様に報告することにしよう」
くるりと背を向けるゾゾゲル。
どうやらシスターアンナの変化にはさほど興味はないようだ。
「あ、あの・・・」
立ち去ろうとしたゾゾゲルを呼び止めるシスターアンナ。
「ん? どうした?」
「アクバー様の元へ戻られるのですか?」
「ああ・・・」
うなずくゾゾゲル。
「あの・・・ご一緒しても構いませんでしょうか?」
両手を胸の前で組み、おずおずと切り出す。
それは何か恋人のところへ行きたいけど行ってもいいのだろうかと問いかけているようだった。
「構わんのでは無いか? アクバー様もお喜びになろう」
シスターアンナの表情がぱあっと明るくなる。
「あ、ありがとうございます。ゾゾゲル様」
以前であれば決して様付けなどしなかったであろうが、今のシスターアンナにはまったく気にならない。
「来るがいい」
「ハイ」
うなずいてシスターアンナはゾゾゲルの後に続いてアクバーの居館に向かった。
「ほお・・・よく来たなシスターアンナ」
アクバーはナイトドレス姿のシスターを喜んで迎え入れる。
野暮ったい尼僧服に包まれていて隠されていた若々しく美しい肢体が、惜しげもなく晒されているかのようだ。
実際にはスカートが覆い隠しているすらっとした脚線美も、スリットから覗かせることで余すことなく晒している。
「こんばんは、アクバー様。このような時間にご訪問する無礼をお許し下さいませ」
すっと片膝をつき、一礼をして館の主に敬意を表する。
「構わん。夜は魔物の時間だ。ククク・・・そなたも夜は気分が落ち着くのではないか?」
あ・・・
そうだわ・・・
その通りだわ・・・
夜はすごく気持ちが落ち着くわ・・・
「ハイ。仰せの通りですわ、アクバー様」
「ククク・・・アクバー様か・・・以前はあれほどわしを毛嫌いしていたのではないのか?」
シスターアンナの心臓が跳ね上がる。
あ・・・
私は・・・
私はなんとおろかだったのかしら・・・
このような実力あるお方をあのように嫌っていたなんて・・・
後悔が波のように押し寄せる。
「申し訳ありません。お許し下さいませ、アクバー様。私はおろかな女でした。神などという下らぬものに心を捕らわれ、アクバー様を初めとする魔物の方々の素晴らしさに気が付かなかったなんて・・・」
頭を下げて陳謝するシスターアンナ。
「良い、気にすることはないのだ。今のそなたならわかるであろう。我が魔族の素晴らしさが」
「ハイ。魔族は素晴らしいですわ。私もできることなら・・・魔族になりたいですわ」
ああ・・・それが叶うならどれほど素晴らしいことか・・・
それにしてもアクバー様はなんてお心の広いお方なのかしら・・・
この方のおそばに居たい・・・
永遠におそばに・・・
「ククク・・・時を待つがいい。そう、間もなくだ」
「えっ?」
何のことかしら・・・
もしかしたら私を魔族に加えていただけると言うの?
あ・・・
信じて・・・信じてよろしいのですか、アクバー様?
ああ・・・
なんて嬉しい・・・
私は・・・
私は永遠にアクバー様の忠実なしもべです・・・
私をどうか・・・
どうかおそばに置いて下さいませ・・・
「アクバー様。そろそろお時間ですぞ」
ドグマが壁にかかった時計を見る。
魔物が時間を気にするというのも変な話だが、牢獄の町と言う場所で人間どもを相手にしているとどうしても時間と言う概念を使わないとうまくいかないのだ。
そのためアクバーは時間という概念を使って町を支配していた。
時刻はすでに21時を過ぎている。
「おお、そうか・・・ククク・・・そなたも来るか? シスターアンナよ」
「どこへ行くのですか? アクバー様」
立ち上がるシスターアンナ。
もう彼女はアクバーが来いと言ったらどこへでも付いていくに違いない。
「地下牢だ」
アクバーが不気味な笑いを浮かべた。
ひんやりとした地下牢。
アクバーを始め、ドグマとゾゾゲル、そしてシスターアンナが階段を下りてくる。
「すでに準備はできております」
一礼して出迎える牢獄兵たち。
「うむ」
アクバーは一瞥して牢獄の奥にある拷問室へ向かう。
「どこへ?」
「拷問室だ。奴らはなかなかしぶとくてな。楽しませてくれる」
アクバーが巨体をゆすりながら歩いていく。
その大きな背中がとても頼もしい。
アクバー様ならばきっとこの町どころかこの世界を闇に閉ざしてくださる・・・
そう思うと何だか嬉しくなる。
「奴ら?」
「うむ。ヘボヘボたち一行だ。デスタムーア様より背後を調べるように仰せつかったのだ」
「デスタムーア様より?」
大魔王デスタムーア様・・・
この世界を司る闇の王。
一度でいいからお会いしたいわ・・・
「うむ、そうだ」
アクバーはうなずいた。
拷問室の扉が開かれる。
そこにはすでに壁に枷で固定されたハッサンが背中を向けて立たされていた。
さらにその隣にも同じようにテリーという青年が固定されている。
「くそっ、離せ!」
「俺たちを舐めるなよ。あとで後悔させてやる」
二人のおろかな喚き声が聞こえる。
バカな男たち・・・
アクバー様に逆らってただで済むわけがないじゃない・・・
いい気味だわ・・・
アクバーたちの後に続いて室内に入るシスターアンナ。
その姿にハッサンもテリーも驚きを隠せない。
「シ、シスターアンナ?」
「シスターアンナ? その格好は一体?」
「こんばんは、お二人さん」
慇懃に一礼するシスターアンナ。
侮蔑感を隠そうともしていない。
「ククク・・・どうかな彼女の姿は? とてもよく似合うじゃないか」
アクバーがいやらしく笑う。
だが、シスターアンナにとってはこの上もない褒め言葉だ。
「ありがとうございます。アクバー様」
「ア、アクバー様?」
「アクバー様だって?」
シスターアンナの言葉に再び驚愕する二人。
鎖をガチャガチャ言わせて枷を外そうとする。
「ククク・・・シスターアンナはな、自分に素直に生きることにしたのだ。そうだろう?」
「ハイ、アクバー様。私はこれからは欲望のままに生きますわ」
本当にそう思う。
どうして今まであんなに制限された生活をしてきたのか理解できない。
神という名の下に自分を押し殺してきた今まで。
でも、そんなことはもう必要ないのよ・・・
私はもう思うままに生きるの・・・
うふふ・・・
思わず笑みが浮かぶ。
「しっかりするんだ、シスターアンナ」
「あんたは町の人々の希望の源じゃないか!」
希望の源?
そんなこと知ったことじゃないわ・・・
所詮自らの力では生きていけぬクズども・・・
アクバー様に支配されることで生きて行くことができるのも知らずに文句ばかりを言うクズども・・・
そんな連中に崇められるなんてぞっとするわ・・・
「うるさいわね。お前たちには関係ないことでしょ」
二人をにらみつけるシスターアンナ。
「まあ、これを食らえばおとなしくなる」
ドグマが用意したとげの付いたいばらのムチを手にするアクバー。
床を打ち付けるバチンと言う音がする。
その音が二人を恐怖させた。
「ククク・・・」
ビュッと言う音がしてハッサンの背中にムチが打ちつけられる。
皮膚にムチが当たる乾いた音が響いた。
「ぐあっ!」
「ハッサン!」
悲鳴を上げるハッサン。
すぐに背中に一筋の痕が浮き出て血が滲む。
「くそっ、こんなことしたって俺たちには背後関係なんてないぜ」
「そうだ。俺たちはお前たちのような連中が赦せないんだよ」
テリーもハッサンも不適に笑う。
まだまだ堪えていないみたいだ。
「ふん、わしはお前たちの事などどうでもいい」
そう言って再びムチがうなりハッサンの背中を打つ。
「ぐあっ」
Xの字に痕が付く。
「お前たちがわしを楽しませてくれればそれでいいのだ」
アクバーがにたりと笑う。
「くそっ、サディストかよ」
テリーが舌打ちする。
これはちょっと厄介だ。
シスターアンナは不思議な気分に捕らわれていた。
アクバーがムチを振り下ろすたびに心臓が早鐘を打つ。
躰が火照ってくる。
ハッサンの背中に新たなムチ痕ができるたびに躰が熱くなる。
頭がぼうっとなって息が苦しくなる。
虚ろな目で振り下ろされるムチを見つめている。
「ククク・・・どうしたかな? シスターアンナ」
アクバーが笑っている。
その言葉もどこか別の世界から聞こえてくるようだ。
「やってみたいか?」
ムチを差し出すアクバー。
あ・・・
気が付くとムチを手にしていた。
「来るがいい」
言われるままに前に出る。
場所を開けてシスターアンナをハッサンに向き合わせるアクバー。
ククク・・・
どうやら思ったとおりだ。
アンナはサディスティックな感情が芽生えてきている。
アクバーはシスターアンナの手を取って持ち上げる。
「さあ、思い切り振り下ろすんだ。気持ちいいぞ」
こくりとうなずくシスターアンナ。
彼女の手が振り下ろされた。
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- 2006/05/26(金) 21:50:53|
- デビルアンナ
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ベトナムです・・・
泥沼です・・・
終戦の兆しが一向に見えません・・・
撤退することもかなわぬまま書き続けています・・・
シスターアンナが闇に染まるまで・・・(笑)
と言うことでシスターアンナ7回目です。
ようやく邪悪化しそうです。ww
7、
「こんばんは」
酒場に優しい声が流れる。
酒場にいた人々は振り返ると同時に目を見開いた。
「シ、シスターアンナ?」
「シスターアンナ?」
現れた女性は黒いすべすべしたドレスを身に纏い、裾からは黒エナメルのハイヒールを履いた脚が薄い黒のストッキングに覆われて覗いている。
「シスターアンナ。今日は一体?」
妖艶だがまがまがしさを感じさせる服装の彼女にみんな驚いていた。
「ワインがなくなったの。とりあえずワインと食べるものをちょうだい」
かつかつと靴音を響かせて店内をカウンターに向かって進むシスターアンナ。
背筋もぴんと伸び、美しい。
椅子に座って脚を組む。
スカートにくっきりと脚の形が浮かび、裾からは魅力的な足首が覗いていた。
今までは尼僧服に包まれていたみずみずしい肉体。
露出具合は同じぐらいなのに、包まれ方が違うだけで彼女の肉体はその滑らかなラインをあらわにする。
酒場にいる男たちにとってはまさに女王の降臨であった。
カウンターにワインのマグとサンドイッチが置かれる。
サンドイッチをつまみながらワインを飲む。
美味しい・・・
うふふ・・・
楽しいわ・・・
店内の男たちを見やる。
みんな一様にシスターアンナをちらちらと盗み見ている。
顔を合わせると恥ずかしげに顔をそむけるのだ。
ふん・・・
私をまともに見ることすらできないクズどもだわ・・・
もっとも、お前たちに見せてやるのももったいないんだけどね・・・
少し不快な気分になりながらワインを飲む。
せっかくのドレスを着たのに、こんなクズども相手では見せる価値もない。
うふふ・・・
きっとドグマ様は目を白黒させるわね・・・
ゾゾゲル様は何も言わないけれど目の輝きが変わると思うわ・・・
うふふ・・・
スカートを少し嫌みにならない程度に持ち上げるの・・・
すると私の脚が見えて喜んでくれるわ・・・
きっと私も気持ちよくなっちゃうわね・・・
アクバー様の前ではしたなく感じちゃうかも・・・
うふふ・・・
美味しいワインを味わうシスターアンナ。
店の男どもは最低だけど、ワインは悪くないわね・・・
あとで一樽届けさせなきゃ・・・
「すみません! シスターアンナがこちらだと聞いたんですが?」
一人の若者が酒場に入ってくる。
ランプの明かりでよくわからないが、何か切羽詰ったように顔が青ざめているようだ。
「シスターならこちらにいらっしゃるけど、どうしたんだ?」
マスターがカウンターのシスターアンナを指し示す。
「よかった・・・シスターアンナ、助けてください」
カウンターに駆け寄ってくる若者。
シスターアンナは彼の方に振り向いた。
「・・・どうしたの?」
いつに無く不機嫌そうな声。
いい気分で食事をしていたのが台無しだわ・・・
シスターアンナはそう思う。
「シスター、大変なんです。また奴らの気まぐれでボビーの奴が怪我をしたんです。どうか助けてください」
青い顔をして青年は訴える。
その必死さ加減がシスターアンナには癇に触った。
また?
どうせそのボビーとやらが魔物の機嫌を損ねたんでしょ?
そんなの当然じゃない・・・
この町は魔物が支配する町なのよ・・・
あんたたちなんていつ死んでもおかしくないんだからおとなしくしていればいいのに・・・
シスターアンナは黙ってワインを傾ける。
「おかわりちょうだい」
空になったマグを差し出すシスターアンナ。
「シスターアンナ、あまり飲み過ぎないほうが・・・」
「シスターアンナ、お願いです。急いで」
・・・なんだって言うのよこいつらは・・・
私はお酒を楽しむことも許されないの?
くだらない連中を助けるためにどうして私が楽しんではいけないのよ・・・
くたばればいいんだわ、こんな奴ら・・・
はあ・・・アクバー様にお願いして少し町の人間を減らしてもらおうかしら・・・
聴いてくれるかしら・・・私のお願い・・・
聴いてくれたら私なんでもしちゃうのにな・・・
「シスター!」
「うるさいわね! 連れてきなさいよ!」
若者をにらみつけるシスターアンナ。
その目はこの若者への憎悪が満ちている。
「あ・・・わ、わかりました」
すぐに駆け出して行く若者。
その様子にマスターもマグをワインで満たして行く。
シスターアンナは再び優雅な手つきでワインを傾けた。
「こっちです」
酒場の入り口から三人の青年たちが入ってくる。
一人は怪我をしているようで、服が破れ胸から血を流していた。
先ほどの青年が先導し、もう一人が怪我人の肩を抱えて歩いてくる。
床に点々と血の跡をつけながら、若者たちはどうにか怪我人をシスターの脇へ寝かせた。
「大丈夫か、ボビー? しっかりしろ」
「傷は浅いぞ。それにシスターアンナが手当てしてくれる」
勝手なことを・・・
足元に寝転がる怪我人を見下ろす格好になるシスターアンナ。
脚を組んだままワインを飲んでいる。
「シスター、お願いします」
仕方ないわね・・・
すっと席を立ち、怪我人の脇に跪く。
確かにひどい怪我ではあるが、命には別状無いだろう。
きっとタイガークローあたりに切り裂かれたに違いない。
おろかな男・・・魔物に逆らったりするから・・・
こんな男のために治癒魔法を掛けてやるなんて気が進まないわ・・・
こんな男に相応しいのは・・・そう・・・うふふ・・・死の呪文がいいかもね・・・
シスターアンナは先ほど覚えたばかりのザキを頭に思い描く。
スムーズに思い出される詩の呪文ザキ。
これならば呪文を唱えるのに問題は無い。
・・・掛けてみようかしら・・・
でも・・・
そんなことしたら・・・
・・・構わないわよね・・・
どうせ死んでも構わないクズだし・・・
ザキの効果を試すにはちょうどいいかも知れないわ・・・
しばらく無言で考え込むシスターアンナに青年が焦れてくる。
いつもと違うシスターに戸惑いもあるが、これ以上待てば怪我の回復が遅くなる。
放っておいても死にはしないかもしれないが、怪我の回復が遅れればそれだけ後遺症も残ってしまいかねないのだ。
「シスターアンナ、何でもいいから呪文をさっさと掛けちゃってくださいよ!」
彼はその言葉が死刑執行書のサインだったとは気が付かない。
ふふ・・・
うふふふ・・・
そう・・・
何でもいいんだ・・・
うれしいわぁ・・・
呪文なら何でもいいのよね?
うふふふふ・・・
冷たい笑みを浮かべるシスターアンナ。
うつむいて怪我人の様子を見ているために他の人にはうかがい知れないが、その笑みは見るものを凍りつかせることだったろう。
「qzwぇcrvtbyぬみ@お¥p・・・」
シスターアンナの口から呪文が発せられる。
その呪文はすぐにボビーに纏わり付くように青いオーラを発した。
「? ぐ・・・ぐわぁっ!」
自分の躰に起こったことが理解不能のままボビーの生命活動は無理やり止められる。
みるみる青ざめて死んでしまうボビー。
周りの男たちはあまりのことに息を飲んだ。
「な、な、何が起こったんだ?」
「お、おいボビー。ボビー!」
すでに死体となった友人を一所懸命に揺り起こそうとする青年。
だが、すでに物言わぬ骸と化している。
「な、何が一体どうなったんだ?」
「まさかシスターアンナが?」
「まさか・・・」
口々に疑念を口にする男たち。
「あら、手遅れだったみたいね。死んじゃったわ」
すっと立ち上がるシスターアンナ。
その表情には笑みが浮かんでいる。
「し、シスターアンナ・・・あなたは・・・」
何か言いたそうにする青年。
しかしシスターアンナは気にも留めずにカウンターに戻るとワインを傾ける。
「シスター! ボビーは死ぬような怪我じゃなかった! これは一体どういうわけだ!」
「うるさいわねぇ。あなたが何でもいいって言ったから、死の呪文を掛けてあげたのよ。うふふふ・・・気持ちよかったわ」
笑い声を上げるシスターアンナ。
その笑い声は周りの男どもをぞっとさせる。
「な、なんだって? どういうつもりなんだよシスター!」
思わず青年はシスターアンナに掴みかかる。
胸倉をつかまれそうになったシスターアンナは、身を引いてマグのワインをぶちまけた。
「下がりなさい! クズのくせに!」
「な、なんだとぉ!」
頭からワインを被った青年は怒りに燃えてシスターアンナを殴りつけた。
「キャァッ!」
床に倒れこむシスターアンナ。
「よ、よせ、マイク!」
「マイク!」
周りの男たちが青年を止めに入る。
青年は肩で息をしながらシスターアンナをにらみつけていた。
「シスターアンナ。俺たちはみんなあんたが大好きだったんだ。この町に希望をもたらしてくれたあんたが。それがどうしちまったんだよ!」
最低だわ・・・
こんなクズに殴られるなんて・・・
うふふ・・・
赦さない・・・
こいつらは赦さないわ・・・
口の中に血の味がする。
頬が腫れてきたらしく痛みがじんじんする。
ゆっくりと立ち上がるシスターアンナ。
「赦さない・・・お前たちは赦さないわ」
人間とは思えない赤い瞳で男たちをにらみつけるシスターアンナ。
その口から再び呪文が形作られた。
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- 2006/05/25(木) 21:25:44|
- デビルアンナ
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シスターアンナ6回目です。
今日は短くてすみません。
なかなか書く時間が作れませんでして・・・
うーん・・・いつになったら終わるのかな・・・
6、
「メラ、メラミ、メラゾーマ・・・うふふ・・・面白そうな呪文がいっぱいだわ・・・」
お茶を飲みながら魔術書を見ているシスターアンナ。
いや、それはお茶ではない。
カップに入っているそれは赤い液体。
ワインだった。
「うふふ・・・美味しい」
味わうようにカップを傾けるシスターアンナ。
もちろん教会は神の血としてワインを使う。
だが、シスターアンナはワインをこのように嗜むことは無かったのだ。
「はあ・・・なんかいい気持ち・・・解放されたような気分だわ」
首まわりを緩めてヴェールを外す。
クルスを取り出してテーブルに置く。
「ふう・・・息苦しいったらありゃしない・・・」
ホッとしたような表情を浮かべるシスターアンナ。
クルスを外して落ち着くなど考えられなかったことだ。
「面白いわぁ。今度誰かに使ってみようかしら・・・うふふ・・・きっと虫けらのように死んじゃうかも・・・うふふ・・・」
頭の中で呪文をシミュレートする。
意外と簡単に使えそうだわ・・・
メラ・・・
メラミ・・・
メラゾーマ・・・
うふふ・・・なんだ、簡単じゃない・・・
頭の中にはすぐ呪文が思い浮かぶ。
これなら問題は無さそうだ。
「うふふ・・・」
ワインを傾けながらわくわくしてページをめくる。
「えっ? 死の呪文ザキ? これも面白そうだわ・・・」
食い入るように読み込んで行く。
それはいかにも恐るべき呪文で、生物の生命活動を止め死に至らしめる呪文だった。
「・・・・・・」
まるでスポンジが水を吸い込むかのようにシスターアンナはまがまがしい呪文を覚えて行く。
それは邪悪な魔女の営みに他ならなかった。
「あら?」
ふと気がつくとワインは空になっている。
「一瓶空けちゃったんだわ・・・でもちょっと物足りないわね・・・」
魔術書から目を離したくは無かったが、ワインも欲しい。
仕方なくシスターアンナは立ち上がって教会の地下の物置へ向かう。
「あーあ・・・私も雑用に使える奴隷が欲しいわ・・・」
奴隷か・・・
うふふ・・・それもいいかも・・・
今度誰か回してもらおうかしら・・・
うふふ・・・地下牢の連中なんかいいかもね・・・
そんなことを考えながら地下の物置の扉を開ける。
かび臭い臭いがなぜか心地よい。
寝室・・・明るすぎるからここで寝るのもいいかも・・・
笑みを浮かべてワインの入った樽を探し出す。
「あら? こっちも空だわ」
先日の礼拝に使って補充していなかったようだ。
「まったく・・・いらいらするわね・・・酒場へ行かなくちゃならないじゃない」
樽を蹴りつけてやつ当たりをするシスターアンナ。
腕組みをしてため息をつく。
「仕方ないわ・・・出かけましょ・・・そろそろ夕食だし、作るのもなんか面倒くさいし」
酒場へ行けば軽食ぐらいは食べられるだろう。
「?」
そのとき物置の片隅にほこりを被ったチェストが置いてあることに気が付く。
「これ・・・何が入っていたかしら・・・」
そうつぶやきながらチェスとのところへ行くシスターアンナ。
あ・・・
なぜだろう・・・
何か安らぐような感じがするわ・・・
そのチェストから漏れ出す気配。
それがシスターアンナを心地良くさせる。
シスターアンナはチェストの前にしゃがみこむと、チェストを開けようとしたがどうやら鍵が掛かっている。
「もう・・・私が掛けたんだと思うけど、何をこんなに厳重に仕舞ったのかしら・・・」
シスターアンナはすぐに立ち上がると鍵を取りに行く。
もう、中を確かめずにはいられなかったのだ。
「あったわ・・・」
戸棚から鍵を取り出すシスターアンナ。
この鍵束のどれかに間違いは無い。
それにしても何を入れたか覚えが無いわ・・・
きっとたいした物ではないと思うけど・・・
ハッとするシスターアンナ。
確か・・・
呪われた品物を預かった記憶があるわ・・・
とてもまがまがしいもので強い呪いだからって言われて・・・
箱ごと預かったんだわ・・・
でも・・・
呪われた品物?
あの安らぐような気持ちが呪いによるものなの?
ま・・・さか・・・ね・・・
階段を下りて行くシスターアンナ。
教会は呪いを解くのも仕事の一つだ。
持ち主を清め、できることなら呪われたアイテムを処分する。
だが、あまりにも強力な呪いは払うことが出来るまで保管しておくのだ。
あれも保管したまま忘れ去っていたいたものかもしれない。
とりあえず開けてみればわかるわよね・・・
シスターアンナは再びチェストにしゃがみこむ。
鍵束の中から一本を選んで鍵を開ける。
かちりと言う音がして鍵が開いた。
「これは?」
チェストの蓋を開けて中を確認したシスターアンナの目の前には黒くつややかな衣服があった。
「綺麗・・・」
うっとりとした表情を浮かべて中から取り出すシスターアンナ。
それは黒いシルクのような生地でできたワンピースのドレスのようだった。
『闇のドレス』
手に取った途端にそんな名称が心に伝わってくる。
黒い闇の色をしたドレス。
スカートは長く胸を強調するようなデザインはナイトドレスと呼ぶに相応しい。
「素敵・・・着てみたいわ・・・」
抱きしめるようにしてその生地の肌触りを楽しむシスターアンナ。
うふふ・・・いい気持ち・・・
あら?
まだ中にあるわ。
『闇のドレス』を膝の上に置き、さらに手を伸ばす。
これは下着?
チェストの中には同じように黒いショーツとブラジャー。それにガーターベルトとストッキングがあった。
わあ・・・素敵・・・
うっとりと夢見るように下着を手に取るシスターアンナ。
うふふ・・・
すでに彼女の頭には手にした衣類を身に着けることしか頭に無い。
シスターアンナは着ている尼僧服に手を掛けた。
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- 2006/05/24(水) 22:02:44|
- デビルアンナ
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日本人にとっては軍隊の階級というものは細かな差異はあれど、兵から始まり、伍長、軍曹、曹長、少尉、中尉、大尉、少佐、中佐、大佐、少将、中将、大将といった具合で、陸軍も海軍もそれほど変わるものじゃないですね。(下士官兵は結構違いはあるんですが)
ところが欧米では軍隊というものは古くからの流れを汲んで階級が決まっているために、単純に日本語に訳したときの階級ではつかめない奥深さがあるんですね。
以前文献を読んだ時に、アメリカ陸軍の大尉が(大尉のみです)海軍の軍艦や輸送船など、船に乗ったときには一階級上の少佐となると知って、首をかしげたものでした。
でも、これって英語で考えると、実に素直に理解できちゃうんですよね。
英語では陸軍大尉はキャプテン(captain)です。
キャプテンというのはキャップ(cap、頭という意味)につく人という意味で、頭目とか親方という感じになります。
昔は大体中隊規模の部隊が一般的だったので、その部隊長=頭目(キャプテン)が階級になったんですね。
もうお判りですね?
軍艦にしろ商船にしろ、艦長及び船長を表わす英語はキャプテン(captain)です。
つまり、同じ船にキャプテンが二人も三人もいては困るんですね。
それで便宜上一時的に船の上でだけ陸軍大尉は少佐(メジャーmajor)と一階級上にして呼ぶのだそうです。
ちなみに海軍大尉はルテナン(Lieutenant)で、旗持ちとか副官というような意味になります。
軍艦の親方は艦長ですので、一隻の船を預かる人物が艦長(船長)=キャプテンとなります。
その補佐を勤めるのが少佐とか大尉の人たちなので、海軍では大尉=ルテナンとなるんですね。
階級についてはまだいろいろとあるので、そのうち紹介したいと思います。
[え? 一階級特進?]の続きを読む
- 2006/05/23(火) 22:32:10|
- 趣味
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シスターアンナ5回目です。
徐々に思考が変わってきている様子が感じていただけるかなぁ。
それではドゾー。
5、
静まりかえった夜。
すでに町は眠りにつき、時々魔物が徘徊しているに過ぎない。
夜は魔物たちの時間。
人間は家の中で息を殺し、浅い眠りをつかの間楽しむ。
夜通しやっている酒場ぐらいしか灯りは点いていないと思われたが、教会の一室から灯りが漏れていた。
「ん・・くぅ・・・ん・・・はあ・・・ああ・・・ん・・・んん・・・ああ」
開いた窓から艶めかしい声が聞こえる。
ランプの灯りに照らされたベッドの上の輝くような白い裸身。
うっすらと汗の浮き出た滑らかな肌が妖しく蠢く。
「ん・・・んん・・・あん・・・」
その手は股間に伸び、細かな動きを繰り返す。
白魚のような指がうねうねと動き、幻惑すら感じさせた。
「ああ・・・だめ・・・だめよ・・・ん・・・んんん・・・」
目をつぶり、快楽に息をあえがせながらシスターアンナの指は止まらない。
意識の中ではこれがいけないことだとはわかっている。
神は人間の性欲を穢れたものだと戒めている。
シスターアンナもそれを信じ、今まで躰を清く保っていたのだ。
でも・・・
でも止まらないよぅ・・・
いい・・・
気持ちいいの・・・
気持ちいいのよぉ・・・
くちゅくちゅと水音を立てるピンク色の秘めた唇。
綺麗な襞が指の動きにあわせて妖しく蠢いている。
だめなのに・・・
こんなことしちゃだめなのに・・・
そう思っても指は全く止まらない。
それどころかより深く潜り込んで彼女の敏感な部分を擦り引っかいていく。
「ああ・・・ああああ・・・」
彼女の全身を快感が走り回る。
何も考えられなくなってきて、躰がぴんと張り詰める。
「あ・・・い・・・いく・・・」
つま先が丸まって躰がしなる。
腰が浮いて頭が真っ白になる。
「いくぅぅぅぅぅぅぅ」
シスターアンナは光の中で絶頂を迎えていた。
「はあ・・・はあ・・・」
ベッドの上でぐったりとなるシスターアンナ。
いつ以来だろう・・・
一人で躰を慰めるなんてしばらくぶりだった。
気持ちよかった・・・
シスターアンナの顔に満足そうな笑みが浮かぶ。
オナニーって気持ちいいわぁ・・・
どうして神はこんな気持ちいいことを汚らわしく思うのかしら・・・
濡れてべとべとになった指を灯りにかざす。
んふふ・・・
そっと口へ運んで舌で舐める。
奇妙な味だがなんとも言えない。
「うふふ・・・神様にはナイショよ」
そう言っていたずらっぽく笑うと、シスターアンナは灯りを消して毛布をかぶった。
「おはようございます」
「おはようございますシスターアンナ」
「おはようございます」
朝早くから礼拝堂には人が集まってくる。
先日の脱走騒ぎにより、アクバーはよりいっそうの引き締めを行なってくるだろう。
酒場の人間が関わっていたとのことで、酒場も潰されてしまうかもしれない。
そうなったら人々はますます日々の憩いをなくしてしまうだろう。
せめてお祈りをすることで人々の心が休まれば・・・
シスターの尼僧服を身にまとい、凛とした姿で壇に立つシスターアンナ。
「おはようございます皆様。今日も神は皆様と共におられますわ。さあ、お祈りを捧げましょう」
そう言って聖像に向き直り跪いて両手を組む。
集まった人々も思い思いに両手を組んで祈り始めた。
天にまします神様・・・
どうかこの者たちに安らぎを・・・
安らぎ?
祈って安らぎが得られるの?
神様がそんなものを与えてくれるというの?
まやかしだわ・・・
中央の聖職者だって金儲けしか考えていないもの・・・
神なんてただのイメージ・・・
大魔王デスタムーアのほうがよほど実在しているだけにすがる価値があるというものよ・・・
大魔王デスタムーアなら願いをかなえてくれるかもしれないわね・・・
死という安らぎを与えてくれるかもよ・・・
うふふ・・・
シスターアンナは笑みを浮かべて立ち上がる。
「さあ、皆様。今日も一日頑張りましょう。くれぐれも魔物たちの機嫌を損ねないようにいたしましょうね」
祈っていた男女は一瞬えっというような顔をしたが、確かに言われる通りなので一様にうなずいた。
「わかりました。シスターアンナ」
町の人々はそれぞれ礼拝堂を出て行った。
「ふう・・・疲れた。祈ってどうにかなるんだったらとっくにこの町は救われているわ。そんなこともわからないのかしら・・・」
そう言って誰もいなくなった礼拝堂で聖像を見上げるシスターアンナ。
神様なんて・・・いるわけ無いわ・・・
ふいと視線を外し、住居に繋がる扉を開ける。
いつもなら聖像のほこりを払い、礼拝堂の掃除をするのだが、なぜか今日はする気になれなかった。
一日ぐらい・・・いいわよね・・・
何となく後ろめたさを感じたものの、シスターアンナは扉をくぐって閉めた。
窓の外を眺めているドグマ。
いつもどおりの牢獄の町がそこにはある。
あの忌々しい四人は他に仲間がいたらしく、テリーという剣士とチャモロという少年をすでに捕らえてある。
身包み剥いで牢獄へ入れたので、抜け出す心配は無いはずだ。
彼らの脱走を手引きした連中はすでに処刑を済ませ、その首は広場に晒してある。
人間どもは縮み上がっておとなしくなることだろう。
アクバー様よりのお咎めも無かったし、まずは重畳だ。
「町の様子はどうだ?」
玉座に座るアクバーが退屈そうに窓のほうを向く。
「は、取り立てて別に変わりはありません」
「そうか。教会はどうだ?」
「教会ですか?」
ドグマは再び窓の外を見る。
教会もいつもどおり・・・いや?
「今日はシスターアンナが見えませんな」
いつもなら教会の前を掃除していたりする時間のはずだが・・・
「そうか・・・グフフ・・・」
アクバーは大きな口をゆがめて笑った。
「ふう・・・相変わらずモノは高いし・・・いやになるわ・・・」
買い物に町へ出ているシスターアンナ。
いつもなら町の人々と触れあえるこの買い物が彼女は好きだった。
だが、今日は気が重い。
町中を無邪気に駆け回る子供たちや、屈託の無い笑顔で談笑しているおかみさんたちの笑い声がいやに耳につくのだ。
バカみたい・・・
こんな町に捕らわれて飼い殺されているのも知らないで・・・
どうしようもない連中・・・
人間なんてどうしようもない連中だわ・・・
アクバーに支配されても当然よね・・・
「?」
わ、私ったら何を考えているの?
昨日から変だわ・・・
あ・・・
シスターアンナは思い至る。
まさか・・・
まさかあの虫が?
あの虫が私を変にしているの?
ど、どうしよう・・・
キアリーやキアリクじゃ効かないわよね・・・
どうしよう・・・
シスターは青ざめる。
「このままじゃいけないわ」
何事か思いついたようにシスターアンナは通りを後にした。
「お願いです。囚人と会わせてください」
牢獄の町にある地下牢にやってきたシスターアンナ。
入り口を見張っている牢獄兵に先日再び捕らえられた四人組にあわせてくれるように懇願する。
彼らは町の外から来た旅人たち・・・
きっと何か知っているに違いないわ・・・
あの虫が一体何なのか・・・
『魔物のたましい』って何なのか・・・
「あいにくだがここは立ち入り禁止だ。立ち去りなさい」
無表情に答える牢獄兵。
以前彼はこの町にやってきた流れ者だった。
それをアクバーたちが捕らえ、今では牢獄兵として見張りに立っている。
「お願いです、少しだけ、少しだけ話をさせてください」
「だめだ」
「お願いですから!」
何とか会わせてもらおうと頼み込むシスターアンナ。
「だめだ」
だが、牢獄兵はにべも無い。
「お願いよ・・・」
「ここで何をしている?」
背後から声を掛けられるシスターアンナ。
「えっ?」
振り返ると全身を金属鎧で包み込んだゾゾゲルが立っている。
フルフェイスのヘルメットの奥の目が不気味に輝いていた。
「ゾゾゲル・・・」
「ここで何をしているのだ? シスターアンナ」
つかつかと近づいてくるゾゾゲル。
「そ、その・・・囚人とお話をさせて欲しかったのです」
少しうつむくシスターアンナ。
『魔物のたましい』について知っているかどうか聞きに来たなどという事がばれたら・・・
そう思い顔をそらす。
「囚人に? 何を話すというのだ?」
「そ、それは・・・神の教えをお話しするのですわ。彼らだって神様のお言葉を聞けば悔い改めて今回の狼藉を反省してくれると思いますの」
嘘が平気で言えるなんて・・・
でも、仕方ないわ・・・
きっと神も許してくれるはず・・・
許す?
バカね・・・
神様なんていないんじゃなかったの?
「いいだろう。おい、開けてやれ」
ゾゾゲルが顎をしゃくる。
「ハッ」
牢獄兵が鍵を開けて扉を開いた。
「いいのですか?」
シスターアンナはちょっと驚く。
まさか開けてもらえるとは思っていなかったのだ。
「少しの間だけだ。いいな」
ゾゾゲルはそのまま壁にもたれかかって目を閉じる。
「ありがとうございます」
頭を上げてシスターアンナは扉をくぐった。
「シスターアンナ?」
「シスター。ご無事でしたか」
牢獄の一部屋に入れられている旅人たち。
それぞれが二人ずつ三部屋に別れている。
シスターアンナはそのうちのヘボヘボとハッサンが捕らえられている牢の前に立った。
「こんにちは旅人さん。確かヘボヘボさんとハッサンさんでしたね」
「覚えていてくれて嬉しいです。俺がヘボヘボ。こっちがハッサンです」
「よろしくシスター」
あちこちにまだ傷が残っているものの、笑顔を見せる成年と巨漢の男。
「とりあえず無事でよかった。何とかここを脱出して町のみんなを救ってあげますからね」
何気ないそのヘボヘボの言葉にシスターアンナは怒りを感じた。
何とかここを脱出して町のみんなを救う?
余計なお世話だわ・・・
誰があなたに町を救ってくれなどと頼んだの?
無責任なことを言って町の人々をたぶらかさないで・・・
あなたがそんなことを言うから、町に人々はだまされてアクバーに逆らい命を落としたのよ。
それがわかっているの?
「シスター?」
「どうかしたのか? シスター?」
うつむいてしまったシスターアンナに首をかしげるヘボヘボとハッサン。
何か悪いことを言ってしまったのだろうか・・・
「何でもありません・・・何でもありませんわ」
顔を上げるシスターアンナ。
「よかった。それでここへはどうして?」
「シスター。何とか奴らから鍵を奪えないですか?」
鍵ですって?
こいつらはまだ懲りていないんだわ。
私が鍵を持ってきたら、またアクバーに立ち向くつもりなんだわ・・・
そして今度は私も殺される・・・
そんなことさせるものですか・・・
「鍵なんて無理です。少しはおとなしくしていてください」
「シ、シスター・・・そうですか・・・やはり難しいですよね」
落胆するヘボヘボ。
「それよりも聞きたいことがあります。『魔物のたましい』というのはご存知ですか?」
「『魔物のたましい』? 聞いたことないなぁ・・・」
ヘボヘボが首をかしげてハッサンを見る。
「いや、知らないな。チャモロはどうだ?」
ハッサンが少し離れたテリーとチャモロが入れられている牢に話しかける。
「すみません。僕も聞いたこと無いです」
少年も首を振る。
役に立たない連中だわ・・・
「すみませんシスターアンナ。私たちではお役に立てないみたいですね」
となりの牢から金髪のおとなしそうな女性・・・確かミレーユさん・・・が申し訳無さそうにシスターアンナに頭を下げた。
「そのようですね。無駄足でした」
あ・・・
私は何を・・・
「す、すみません。でも、その『魔物のたましい』がどうかしたんですか?」
シスターアンナはヘボヘボに振り返る。
どうかしたかですって?
あなたたちがアクバーに逆らったりするから、私はあの気色悪い虫を飲む羽目になったのよ!
それがわかっているの?
「あなたたちにはわからないわ。どうせあなた方はあの虫を飲んだわけではないのですから」
また・・・
でも止まらない・・・
心が尖って行くわ・・・
何でこいつらは平気な顔しているのよ・・・
「そんな言い方無いじゃないですか。シスターなのに」
シスターなのに?
シスターだったら怒ってはいけないの?
シスターは感情も欲望も抑えなくてはいけないの?
ばかげているわ・・・
「ええ、私はシスターですわ。でもだからどうだって言うの? あの気色悪い虫を飲んでもシスターなら我慢しろって言うの?」
止まらない・・・
どうしても止まらない・・・
「そんなことは言っていないじゃないですか!」
「おい、ヘボヘボ、よせ」
「ヘボヘボ」
回りの連中が心配する。
「もう結構です。私のことは自分でやります。あなた方のような役立たずに聞いた私がバカだったわ」
シスターアンナはそう言って牢獄を後にする。
「なんだ、一体?」
「どうしちゃったんだ?」
後に残されたヘボヘボたちには何がなんだかわからなかった。
「どうした?」
牢獄を出たところでゾゾゲルに声をかけられるシスターアンナ。
「・・・別に・・・」
無表情でその場を立ち去ろうとする。
「ふふ・・・いい顔をしているじゃないか」
「え?」
思わず脚が止まるシスターアンナ。
「人間のくだらなさにあきれ果てたような表情だ。なかなかにそそる」
「そ、そんなこと・・・」
ふいと顔をそらすシスターアンナ。
だが人間のくだらなさという言葉はなぜか心にのこる。
「帰ります。あの人たちに会うなんて時間の無駄でした」
地上への階段を上ろうとするシスターアンナ。
「待て」
「なんですか?」
その声にシスターアンナはにらむように振り返る。
「ふふ・・・俺はお前を探していたのだ。アクバー様よりこれを渡すように言われていたのでな」
一冊の本を差し出すゾゾゲル。
「これは?」
シスターアンナはそれを受け取る。
それは革で装丁された魔術書だった。
「魔術書?」
どういうつもりなの?
私は治癒魔法を主に学んだのよ・・・
攻撃呪文などは・・・
「アクバー様よりの指示だ。読んでみろ」
アクバー様よりの指示?
どういうことかしら・・・
でも・・・
読むぐらいならね・・・
「わかったわ。受け取ります」
本を買い物籠に入れて階段を上がるシスターアンナ。
結局彼女はそのまま教会へ戻るしかなかった。
[止まらない・・・]の続きを読む
- 2006/05/22(月) 21:43:38|
- デビルアンナ
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今日もSSはお休みですー。
最近ミリタリーもネタが切れてきて書くものが無い。
書きたいものは書く尽くしたか?
少し以前の記事を読み返す必要があるなぁ。
ということで毎号購読している「歴史群像」で、へーっと思ったことについて書きますねー。
海軍好き、軍艦好きの舞方としては、やはりアメリカ海軍の一大根拠地「ウルシー環礁」の記事が楽しかったですね。
地理的要因によりクローズアップされたウルシー環礁は米軍の巨大能力によって工廠、リゾート、航空基地など根拠地に必要な一式を揃えられ、艦隊が出撃し、損傷艦が寄港する重要な施設となったわけです。
その内容は記事に任せますが、その中で面白かったのがアイスクリームに関する記述でした。
アメリカ人はアイスクリームが好きだそうで、舞方もそれなりに好きなのですが、アメリカ軍は各艦艇にアイスクリーム製造機を搭載するほど必要不可欠なものだったようです。
もちろんそんなアイスクリーム製造機を搭載できたのは大型艦艇に限られたようでして、駆逐艦クラスはウルシー環礁などの根拠地でしか手に入らなかったようですが、南西太平洋で行動する海軍艦艇はやはり暑さに参っていたようで、みんなアイスクリームには飢えていたようなんですね。
そこで米海軍は任務の褒賞としてアイスクリームを支給するという手段を編み出し、例として海上に不時着水したパイロットを救助した駆逐艦は、そのパイロットの体重分のアイスクリームが支給になったとのことです。
またある空母ではアイスクリーム製造装置が故障したために下士官兵の不満が鬱積し、叛乱寸前にまでなったという笑えない話まででたとのこと。
さすがにクリスマスに前線の各兵士にクリスマスケーキを届けたといわれる米軍だけのことはあるなぁと感心するやら笑うやら。
まあ、日本軍も給糧艦などにラムネ製造装置を積んで各艦艇に支給したり、陸軍の兵士に支給していたそうですね。
腹が減っては戦は出来ぬ・・・ですが、嗜好品もやっぱり重要なんですよね。
士気の維持には欠かせないのでしょう。
それではまた。
[歴史群像2006/6]の続きを読む
- 2006/05/21(日) 22:12:35|
- 本&マンガなど
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シスターアンナを心待ちにしていらっしゃる方々には申し訳ありませんが、今日はお休みさせていただきます。
さっさと悪の心に染まったシスターを書きたいんですけどね。
もう少しお待ち下さい。m(__)m
今日はメッセTRPGの成長ルールをお届けします。
成長
キャラクターはいろいろな経験を経ることによって成長をすることができます。
シナリオあたりで得られる経験値が一定以上の数値を超えることによって成長が行なわれます。
成長はキャラクターの数値の増加などで表わされます。
各職業ごとで違うことに注意してください。
戦士
レベルが上がるごとにHPとMPが以下のように増加します。
HP 1D6+2
(3から8増加)
MP 1D6X1/2(端数切上げ)
(1から3増加)
僧侶
レベルが上がるごとにHPとMPが以下のように増加します。
HP1D6
(1から6増加)
MP1D6
(1から6増加)
さらに新レベルによっては追加魔法を得ることが出来ます。
魔術師
レベルが上がるごとにHPとMPが以下のように増加します。
HP1D6X1/2(端数切り上げ)
(1から3増加)
MP1D6+2
(3から8増加)
さらに新レベルによっては追加魔法を得ることが出来ます。
盗賊
レベルが上がるごとにHPとMPが以下のように増加します。
HP1D6
(1から6増加)
MP1D6X1/2(端数切り上げ)
(1から3増加)
レベルと経験値
人間の場合はどの職業についていても同じ経験値であれば同じレベルとなります。
以下に経験値とレベルを示します。
シナリオにおいて与えられる経験値はマスターそれぞれの判断となります。
レベル1 0から499
レベル2 500から1499
レベル3 1500から2999
レベル4 3000から4999
レベル5 5000から7499
あと、追加魔法も紹介しますねー。
魔術師呪文
レベル2
1)人物魅了(チャームパーソン)・・・使用コスト3
抵抗に失敗した人物を一定時間魅了し、まるで友人のように認識させることが出来ます。
ただし、あくまでも友人からの提案という形での影響力となるので、自殺しろとか仲間を攻撃しろなどという命令は受け付けない可能性が大です。
どちらかというと隠し持っている物をこっそり見せてくれなどのほうが可能性が高いでしょう。
時間はキャラクターレベルX1時間です。
2)蜘蛛の巣(ウェブ)・・・使用コスト4
3立方メートルほどの空間に魔法の蜘蛛の巣状の網を発生させます。
絡まれてしまうと運動の数値や回避値などが半分(端数切捨て)になり、当たりやすく攻撃しづらくなります。
さらに、このウェブには火をつけることができ、2ターンにわたって1D6ダメージを絡まれているものに与えます。
3)分析(アナライズ)・・・使用コスト2
アイテムやモンスターの能力などを調べる魔法です。
マジックアイテムの大まかな力や、モンスターの攻撃力や耐久力を大雑把に知ることが出来ます。
4)鏡像(ミラーイメージ)・・・使用コスト3
術者そっくりの鏡像が1D6X1/2(1から3体)出現します。
鏡像は術者の周囲1メートルぐらいのところに現れ、術者と同じように動きしゃべります。
そのために、術者を攻撃する場合は鏡像に攻撃をしてしまう可能性があり、ランダムでどれに当たったかを判定します。
鏡像自体は一度攻撃が命中すると自動的に消えますが、複数でている場合は残りはそのままです。
範囲魔法などで、鏡像を含む全体を攻撃された場合は術者も当然ダメージを受け、鏡像は全て消えます。
攻撃されたりしなくても、効果時間は1時間です。
5)開錠(オープン)・・・使用コスト2
鍵が掛かっている扉を開けることが出来ます。
ただし、魔法の力で閉じられている扉は開きません。
僧侶呪文
レベル2
1)沈黙の場(サイレントフィールド)・・・使用コスト3
直径3メートルぐらいの力場が音声を遮断します。
その中にいると敵味方とも呪文を使うことはできません。
その外から中に向かって呪文をかけることは問題ありません。
誰か生き物などにかける場合は抵抗値を超えなければなりませんが、抵抗値を超えた場合はその生き物とともにこの力場も移動します。
抵抗値を超えなかった場合は無効となります。
2)金縛り(ホールドパーソン)・・・使用コスト3
抵抗値に失敗した対象を動けなくします。
対象となるのは人間クラスの生物で、魔法生物や大型生物及びアンデッドには効きません。
抵抗値に失敗すると1時間動けなくなってしまいます。
もちろん麻痺している間はしゃべることも呪文を唱えることも出来ません。
3)のろま(ディレイ)・・・使用コスト4
抵抗値に失敗した対象の行動を遅くします。
かけられて効果を発揮された場合、対象はイニシアチブをとっていても一番最後の行動となります。
さらに、これは上がけすることが出来、複数回かかってしまうと二ターンに一回しか行動できなくなります。
何回かけたとしても二回に一回の行動は変わりません。
4)邪悪よりの保護(プロテクションフロムイビル)・・・使用コスト3
術者の周りに見えない障壁を作ります。
この障壁はほぼ術者に被さるようなものですので、誰かをその中に入れることは出来ません。
この呪文が効果を発揮している間は回避値と抵抗値が2上がります。
効果時間は1時間です。
- 2006/05/20(土) 19:19:46|
- TRPG系
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うーん・・・
『魔物のたましい』を飲ませるだけでかなりかかってしまいました。
ようやくシスターアンナが『魔物のたましい』を飲みますよー。
それでは4回目ですー。
4、
「それはこっちのセリフだ! 行くぞ!」
ヘボヘボと呼ばれた男がその名とは裏腹な勇敢さでゾゾゲルに切りかかる。
抜き払われた剣はその刀身が炎を纏ったように赤い。
『ほのおのけん』だわ・・・
後ろ手に取り押さえられながらも、シスターアンナは彼らの戦いに目を奪われていた。
彼女とアクバーの前にはドグマとゾゾゲルが立ちはだかり、彼ら勇者の攻撃を阻んでいる。
彼女が救われるためにはまずはこのドグマとゾゾゲルを倒さなければならないのだ。
そんなことが可能なの?
シスターアンナは少し暗い気持ちになる。
ドグマもゾゾゲルも魔物の中でも強力さにかけてはかなりのものだろう。
その二人でさえアクバーには敵わない。
彼らにとっては苦しい戦いになるはずだった。
「くぁwせdrftgyふじこ・・・」
赤い髪の毛を後ろでまとめた少女が呪文を唱える。
杖の先から巨大な炎が塊となってゾゾゲルへ向かった。
メラミの呪文? あれが?
爆炎とともに熱風があたりに吹き荒れる。
「キャアッ!」
思わず目を閉じるシスターアンナ。
「?」
だが熱風はまったく感じられない。
そっと目を開けると彼女の躰はアクバーのコウモリ型の翼によって守られていたのだ。
「あ・・・アクバー・・・」
「まったく厄介な奴らだ。だが、ドグマとゾゾゲルの敵ではないわ」
彼女の方を見もしないが、アクバーはしっかりと彼女を守っていたのだ。
それがかえってシスターアンナにとっては苦しかった。
私は・・・倒すべき相手に守られている・・・
シスターアンナはうつむいた。
「お前の相手はこの俺様だ!」
上半身裸ともいうべき巨体を押し立ててばくれつけんを放つハッサン。
「ぐおっ」
ドグマのローブが舞い、表情が苦痛にゆがむ。
「おまけよ!」
長い金色の髪をなびかせて優雅に舞うように呪文を唱える女性。
その杖の先からは強力な冷気が噴出し、ドグマとゾゾゲルを襲う。
「ぬうっ」
さすがのゾゾゲルも躰に霜を纏わり付かせて一歩下がった。
「いけるぞ!」
ヘボヘボの振り下ろす一撃が金属音を立ててゾゾゲルの鎧に食い込む。
だが・・・
「ふんぬっ!」
長柄の剣がヘボヘボの盾にぶつかる。
そのまま勢いは殺がれずにその躰を吹き飛ばす。
「うわっ」
尻餅をつくヘボヘボ。
「ヘボヘボ!」
思わず駆け寄る赤い髪の少女。
「大丈夫だバーバラ」
ヘボヘボはすぐさま起き上がって剣を構え直す。
「ばくれつけん!」
ハッサンのこぶしが幾度もドグマの躰にめり込んで行く。
「ぐぼっ、がはっ」
口の中を切ったのか床に黒い液体が滴る。
「よし、ミレーユ、とどめを刺せ!」
「わかったわ」
金色の髪の女性がハッサンにうなずく。
だが・・・
「¥@:?&%$#おkmんじ・・・」
ドグマが呪文を唱えると、ドグマとゾゾゲルの躰のまわりを緑色の光が漂い、見る間に彼らの傷がふさがって行く。
「ベホマラー?」
シスターアンナは驚いた。
まさか神の奇跡を使えるなんて・・・
魔物が治癒魔法を使えることに愕然となったのだ。
「ククク・・・」
ドグマがにやりと笑う。
「次はこちらの番だ。#$%+-*@¥:?・・・」
ドグマの呪文がミレーユを襲う。
ピンク色の霧が彼女の周囲に漂いミレーユの目の焦点が合わなくなった。
「お前の敵はそいつらだ!」
ドグマの言葉に虚ろにうなずくミレーユ。
今の彼女には敵も味方もわからない。
「あれは一体?」
「ククク・・・メダパニの呪文だ。あの女はもはや正常な判断が出来ないのだ」
アクバーが笑っている。
ミレーユは何も考えられず、言われるままにヘボヘボたちに向けて先ほどの冷気の呪文マヒャドを唱える。
「うわあっ」
彼らの悲鳴が響いた。
「さみだれ剣!」
ゾゾゲルの長柄の剣がきらめき、血しぶきが飛び散る。
ドグマの杖がハッサンの腹部にめり込み、虚ろなミレーユの呪文が追い討ちをかけて行く。
ああ・・・
シスターアンナは悲鳴から逃れるように首を振る。
経験が足りないのだ。
彼らの今までの経験ではドグマとゾゾゲルに歯が立たない。
「もうやめて・・・お願いですからもうやめてください」
「そうはいかん、黙っているのだ」
ブルドックが笑みを浮かべるような顔でアクバーは笑っている。
もう勝負はついた。
マヒャドやばくれつけんで倒せなかったときに彼らの勝機は失われていたのだ。
「かえん切り!」
「うわあっ」
ドウッと倒れるヘボヘボ。
そばにはぼろぼろにされたハッサンや服のあちこちが凍りついているバーバラが倒れている。
メダパニで混乱していたミレーユもゾゾゲルの回し蹴りやさみだれ剣の攻撃によって倒されていた。
「く、くそっ・・・」
床に爪を立てて何とか立ち上がろうとするヘボヘボ。
しかし、そのまま倒れこみ意識を失ってしまう。
「ああ・・・」
駆け出そうとするシスターアンナ。
だが、がっちりと捕まえられた腕は振り解くことが出来ない。
「は、離して! あの人たちが・・・」
どうしたらいいのだろう・・・
私を助けに来てくれたのに・・・
私がこんなところへ来てしまったから・・・
私のせいだわ・・・
「無駄だ。奴らはここで死ぬのだ」
アクバーの冷酷な宣告。
「そんな・・・お願いです。私はどうなってもいいから彼らを助けてください!」
すがりつくようにシスターアンナはアクバーに訴える。
彼らを死なせてはいけない・・・
シスターアンナは必死だった。
アクバーが冷たい笑みを浮かべる。
「ではこれを飲むのだ」
「えっ?」
シスターアンナの目の前に差し出されるピンク色の不気味な芋虫。
うねうねと動き、背中には一列になった棘のような突起がある。
この芋虫がどういったものかシスターアンナは知らない。
だが、いつまでも美しくあるようにとのアクバーのプレゼントだ。
害にはならないだろう。
こんな不気味な虫がお腹の中で消化されるというのは耐えがたかったが、彼らの命には代えられない。
「わかりました・・・飲みます」
シスターアンナはうなずいた。
「ドグマ、ゾゾゲル、それぐらいにしておけ」
「何ですと?」
「よろしいのですかアクバー様?」
アクバーの言葉に驚く二人。
だが、アクバーはうなずくとシスターアンナに『魔物のたましい』を手渡す。
シスターアンナの手のひらの上で蠢く『魔物のたましい』。
顔を上げたり下げたりしてうねうねと不気味に身をくねらせている。
シスターアンナはくじけそうになる自分の気持ちを奮い立たせてそっと口へそれを運び込む。
目をつぶって一気に口の中へ入れて、そのままごくんと飲み干した。
「う・・うげ・・・」
襲ってくる吐き気をこらえる。
お腹の中で蠢いているような気がして気持ちが悪い。
今すぐ吐き出してしまいたいけど、それは出来ない。
彼らを無事に助けるまでは吐き出してはいけないのだ。
「飲みました。これで彼らを自由にしてくれますね?」
シスターアンナは気持ち悪いのを隠すように顔を上げる。
「よくやった、シスターアンナ。約束どおりそいつらの命までは取らん」
にやりとほくそえむアクバー。
狙いが見事に的中したのだ。
これでシスターアンナは・・・
アクバーは喜びに浸る。
「おい、そいつらを牢獄へ入れておけ。武器も何もかも取り上げておくのを忘れるな。それと・・・」
「まだ何か?」
ドグマが気を失っているハッサンを蹴りつける。
「そいつらを牢から出した連中を調べておけ。表で騒ぎを起こしている奴らの中にいるに違いない」
「かしこまりました」
一礼するドグマとゾゾゲル。
早速四人を連れ出すために牢獄兵たちを呼び寄せる。
「あ、待ってください」
シスターアンナが四人に駆け寄った。
「何をする気だ?」
アクバーが呼び止める。
「せめて応急手当だけでもさせてください」
そう言ってシスターアンナは四人の倒れた勇者たちに治癒呪文をかけようとする。
「ふん・・・まあいいだろう」
アクバーが肩をすくめた。
倒れこみ意識を失っている若者。
経験不足にも関わらずにここまで来てくれたのだ。
少しでも傷を治してあげることでお礼代わりになれば・・・
シスターアンナはそう思って手をかざす。
ホイミの呪文を唱えようとした時にちょっと考え込む。
なぜ彼らは危険を冒してまでここへ来たのかしら・・・
私を助けるため?
本当にそうなの?
シスターアンナは首を振った。
違うわ・・・
彼らがここへ来たのはアクバーが溜め込んでいる財宝や、彼を倒したという名声が目当てに違いない・・・
そうでなければ危険を犯して私のような一介のシスターを助けに来るはずがないわ・・・
アクバーを倒せば富も名声も思いのまま・・・
彼に代わってこの町を支配することだってできるかもしれない・・・
ドグマとゾゾゲルの代わりを倒れている大男や金髪の女性が務め、アクバーの代わりをこの青年が務めるとしたら・・・
何も変わりはしないわ。
それどころかもっと悪くなる可能性だってあるわ。
そうよ・・・
アクバーを倒し、彼に成り代わろうなんて考える人間がまともなわけないわ・・・
こいつらは倒されてよかったのよ・・・
すっと手を引っ込めるシスターアンナ。
そのまま振り向いてアクバーの方へ向かう。
「どうしたのだ? シスターアンナ」
「いえ、どうやら手当ては必要無さそうですわ。そのまま牢へ入れても死ぬ心配はないでしょう」
そう言ってうつむくシスターアンナ。
私・・・
私悪い女だわ・・・
手当てもせずに牢に入れろだなんて・・・
でも・・・
でも彼らが何を考えているのか知れたものじゃないわ・・・
それを・・・
それを見極めてからお礼を言っても神様は許してくださるわよね・・・
「私・・・教会へ戻ります」
シスターアンナは顔を上げた。
「よいのか? 部屋を用意させてもよいのだぞ」
「いいえ、結構ですわ。失礼します。みんなが待っていますので」
「まあ、よかろう」
アクバーが指を鳴らす。
するとすぐに牢獄兵が二人やってきて跪いた。
「シスターアンナが教会へ戻るそうだ。念のためについていけ」
「「ハッ」」
無表情のまま二人はかしこまる。
すでに四人は運び出され、室内はブチュチュンパが舐めまわして戦闘の跡を片付けていた。
「こちらへ」
「ありがとう」
二人の牢獄兵に付き添われ、シスターアンナはアクバーの居館を後にした。
[ゴックン・・・]の続きを読む
- 2006/05/19(金) 20:08:59|
- デビルアンナ
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賞味期限間近のお蕎麦を茹でましたー。
うーん・・・まずい。(笑)
やっぱり時間が経っちゃっているからかなぁ。
さて、シスターアンナ第三回目ですー。
お邪魔虫が登場か?
3、
「アクバー様。シスターアンナをお連れいたしました」
牢獄兵によって居館の広間へ通される。
豪華なシャンデリアやテーブルの上の花瓶、壁に飾られた絵画などが目を奪う。
いずれも町の人々から搾取したり、近隣の村々から略奪してきたものだ。
もちろんアクバーたち魔物に美をめでる趣味は薄い。
これは単に自分たちに力の誇示に過ぎないのだ。
シスターアンナは広間の中央に進み出て、奥の玉座に腰掛けるアクバーをにらみつけた。
「私に用があるそうですね、アクバー」
「なんと無礼な口の聞き方だ、女! アクバー様をなんと心得るか!」
アクバーの両脇に控える二人の魔物。
ドグマとゾゾゲルのうち、ドグマがいきり立つ。
魔術師のいかつい顔がさらに憤怒の表情を浮かべていた。
「私にとって敬うべきお方は神様のみです。あなたたちを敬う理由などありません!」
「ぐぬぅ。このアマが」
「やめよドグマ」
アクバーが手を振って制する。
彼にとっては目の前のシスターのこの気高さが結構気に入っていたのだ。
神に仕える気高き女性。
それは裏を返せば、大魔王様へも同様に心からお仕えする気高き女魔族としての資質を持っているということに他ならない。
惜しい・・・
実に惜しい・・・
常日頃アクバーはシスターアンナのことをそう思ってみていた。
あの女が魔物であったなら、わしは一も二もなく妻にするために誘惑しておったものを・・・
先日まではそんなふうに思っていたものだったのだ。
だが、過日牢獄の町の状況を報告するために大魔王デスタムーアの下へ出向いた時に全ては変わった。
牢獄の町の状況は悪くはない。
人間どもは魔物によって支配され、おとなしく暮らしている。
だが、絶望の度合いが低いのだ。
大魔王デスタムーアにそのことを咎められ、原因を追究されたときにアクバーはシスターアンナのことを持ち出さざるを得なかった。
「始末せよ」
大魔王の言葉は簡潔だった。
だが、アクバーは躊躇ってしまった。
シスターアンナに惹かれてしまっていたからだ。
出来ればあの女をそばに置いておきたい。
もちろん相手は人間。
魔族である彼にとっては伴侶にするなど思いもよらないことだ。
しかし、それでもできればアクバーはシスターアンナを目の届くところに置いておきたかったのだ。
神などに仕える僧侶や尼僧などは忌々しく汚らわしい存在だ。
しかし、シスターアンナという女だけはアクバーにとっては別だったのだ。
アクバーは何度も考えていた。
いっそのことシスターアンナを他の人間どものように牢獄兵としてしまうのはどうか・・・
だが、そのたびに首を振る。
いかんいかん・・・
それではただの人形に過ぎなくなる。
わしが欲しいのは人形ではない。
わしが欲しいのはわしの妻にもなれるような気高く邪悪な女魔物だ。
牢獄兵のような人形ではない。
何かいい知恵はないものか・・・
そんな時に大魔王デスタムーアの居城で見つけたのが一冊の文献だった。
もちろんアクバーは読書など真っ平だったが、背に腹は変えられない。
何か妙案が無ければシスターアンナを自らの手で始末しなくてはならなくなる。
何かいいアイディアは無いかと思って蔵書を漁っていたのだ。
これだ!
ほこりを被った魔道書。
その一ページにその方法が載っていた。
『魔物のたましい』
それはそう名付けられたアイテムだった。
このアイテムを使うことによって、かつて数が少なかった魔族はたくさんいた人間の中から相応しい者を魔物とすることにより数を増やしたのだという。
これこそが求めていたものだ。
アクバーは狂喜乱舞した。
これでシスターアンナを魔物としてしまえば問題は解決する。
アクバーは早速『魔物のたましい』を作ることにしたのだった。
だがそのアイテムの作り方はちんぷんかんぷんだった。
作り方も材料もどの文献にも載っていない。
当たり前だ。
かつての魔族にとっては当たり前だった代物。
どこででも手に入るものにわざわざ作り方を書いておくだろうか。
例えば空気がどういうものかを書いた文献があっても、空気の作り方を書いた文献はまずないだろう。
アクバーは途方に暮れた。
ドグマやゾゾゲルはアクバーよりも知識量は少ない。
アクバーの知らないことを知っているわけがない。
万策尽きたアクバーは大魔王デスタムーアにそのことを話してみた。
意外にも大魔王デスタムーアはアクバーの話を黙って聞いたばかりか、追って使者を使わせるから普段どおり町を支配せよとの仰せだったのだ。
アクバーは半信半疑ながらも黙って町へ戻ってきた。
そしてついに先日大魔王デスタムーアより『魔物のたましい』が届けられたということだったのだ。
「シスターアンナよ。今日はお前に我がプレゼントを受け取ってもらいたくて呼んだのだ」
「プレゼント? そのようなものいりません。それよりも町の人々に対する嫌がらせを今すぐにやめてください」
毅然として言い放つシスターアンナ。
内心の恐怖をひた隠しにしているのは間違いないが、それでも震えもせずに立っている。
「嫌がらせ? 嫌がらせなどとんでもない。我らは普通に人間どもと接しておるのだ。それがどうかしたのかな?」
「ふざけないで下さい! あなた方のやっていることは弱いものいじめです。町の人々だって生きているんですわ。あなた方の都合で勝手にしないで下さい」
シスターアンナの言葉にアクバーはにやりと笑う。
やはりこの女は素晴らしい。
「黙って聴いておればいい気になりおって!」
ドグマがずいっと前に出る。
「ヒッ」
やはりどうしても躰がすくんでしまうシスターアンナ。
目をつぶってクルスを握り締めている。
「よさないかドグマよ!」
アクバーが一喝すると、ドグマは驚いて下がる。
その姿をゾゾゲルは冷ややかに見ていた。
「クックック・・・どうもこいつは魔術師のくせに血の気が多くていかん」
立ち上がるアクバー。
そのままシスターアンナに近づいていく。
「シスターアンナよ。わしはお前が気に入っておる。だから受け取るのだ。わしのプレゼントを」
「えっ?」
シスターアンナは驚いた。
アクバーが気に入っている?
この私を?
そんなことって・・・
「なに、たいしたものではない。ちょっとした薬のようなものだ。いつまでもお前が美しくあるようにな」
「そのようなもの必要ありません。永遠の美などあるはずが無いのですから」
シスターアンナが首を振る。
おそらくこのままでは彼女に『魔物のたましい』を植え付けるのは困難だろう。
だが、アクバーは引き下がらない。
このチャンスを逃すわけには行かないのだ。
「ドグマよ。そこにある黒い粒を持ってくるのだ」
「ハ、ハハッ」
ドグマが慌ててデスクの上にある黒い粒を取ろうとする。
パキッ!
「?」
「!」
乾いた音がして黒い真珠状の粒は割れていた。
「あ、あわわわ、こ、ここれは」
「なんと『魔物のたましい』が壊れた?」
ドグマは腰を抜かさんばかりに驚き、ゾゾゲルも色を失う。
だが、デスクの上の割れた球体からはもぞもぞと蠢くピンク色の芋虫のようなものがうねっていた。
「おお、どうやら孵化したようだな。心配はいらん。もともとそれこそが本当の『魔物のたましい』なのだ」
アクバーが早く持ってくるように手招きする。
「さ、左様で?」
ドグマが恐る恐る蠢く芋虫を摘み上げ、アクバーのところへ持ってきて手渡した。
「さあ、これを飲むのだシスターアンナ」
「ええっ?」
冗談でしょう?
こんな不気味なものを飲み込めというの?
シスターアンナは首を振る。
「の、飲めません、こんなの飲めません!」
「飲むのだシスターアンナ!」
シスターアンナの手を取り、引き寄せるアクバー。
顎に手を掛けて無理やり飲ませようと口をこじ開ける。
「い、いや、いやぁっ!」
必死に躰をよじって振りほどこうとするシスターアンナ。
あのような不気味な虫を飲むなんて出来ないのだ。
「飲むのだシスターアンナ。これを飲めばお前の心は我ら高貴な魔族のものとなり、やがてはその身も相応しい魔物となる。きっと美しい魔物に生まれ変わるだろう。我が妻に相応しい」
「いやぁっ、誰か、誰か助けてぇっ!」
シスターアンナの悲鳴が響き渡った。
「待てーっ!」
アクバーの居館に声が響き渡る。
ドアを蹴破って入ってくる四人の男女。
いずれも武器を携えていて、とても穏やかに話し合いに来た様子ではない。
「き、貴様らはヘボヘボにハッサン! 確か牢獄に入れたはず」
ドグマが杖を構える。
「ああ、確かに前は不覚を取って牢獄に入れられたさ。でもな、町の人たちが開けてくれたんだよ!」
「所詮牢獄兵ごときでは私たちには歯が立ちませんわ」
剣を構える若い男と杖を構える若い女。
「さあ、シスターを放してもらおうか!」
巨体をゆすってばくれつけんの構えを取る男。
「さもないとメラミの一撃を食らわせるわよ」
もう一人の女性も杖を構えて呪文をいつでも唱えられるようにしている。
「ああ・・・」
彼らの姿を見てシスターアンナはホッとする。
神様・・・
感謝いたします。
「無粋な奴らめ。ここをアクバー様の居館と知ってか?」
長柄の剣を構えるゾゾゲル。
「今度こそ牢獄ではなく地獄へ送り込んでやるわ」
ドグマも呪文をいつでも唱えられるように杖を侵入者たちに向け直した。
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- 2006/05/18(木) 22:36:04|
- デビルアンナ
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シスターアンナ二回目です。
なかなか進みませんですねぇ。
今日も少しだけですみません。m(__)m
あと、このSS中に出てくる牢獄兵の設定は私が考えたもので、ドラクエ中にはこういった設定はありませんのでご了承下さいませ。
2、
「まあ、一体どうなさったというのですか?」
教会に担ぎこまれてくる三人の男たち。
いずれも唇を紫色に腫れ上がらせている。
毒?
シスターアンナはすぐにその症状を見て取った。
「これは毒?」
「そうなんですよシスター。あいつら・・・毒の沼の中に落とした『ちいさなめだる』を取ってこいとか言いやがって・・・」
彼らを教会に担ぎこんだ男たちが悔しそうに唇を噛んでいる。
魔物たちの嫌がらせなのだ。
「すぐに毒を消しますわ。大丈夫」
シスターアンナはキアリーの呪文を唱える。
僧侶としての神の奇跡の一部なのだ。
次々と男たちへかけていくことでシスターアンナの疲労がかさむ。
しかし、彼女は三人全てにキアリーの呪文を施すと、さらにホイミで治療する。
男たちは見る間に呼吸も落ち着き、顔色も赤みがさしてきた。
「はあはあ・・・これで大丈夫・・・ですわ。後はゆっくりと休ませて上げてください・・・」
「シスターアンナ、大丈夫ですか?」
男たちが心配そうに伺う。
「大丈夫です。ちょっと呪文を使いすぎましたけど、しばらく休めば回復しますわ」
にこやかに笑みを浮かべるシスターアンナ。
その笑みは少しぎこちなかったが、それでも美しさが男たちを魅了した。
「そうですか・・・でも無理しないで下さいね」
「そうですよ。シスターは俺たちの聖女様なんですから」
口々にいう男たち。
「そんなことありませんわ。この町に住む皆さんが信仰を大事にして神を敬うのを、私はほんのちょっとお手伝いしているに過ぎませんわ」
「シスター。どうか気をつけてください。最近奴らはシスターをどうにかしようと画策しているらしいです」
「えっ?」
やはり・・・
シスターアンナはそう思う。
彼らにとって私は目障りな存在ですものね・・・
でも・・・
私には神様がついていてくださるわ・・・
負けるものですか・・・
「俺も聞いたよ。なんでもアクバー自体がシスターを狙っているって聞いた。気を付けてね」
「わかりました。でも、全ては神様の思し召しですわ。皆さんに神のご加護がありますように」
シスターアンナは両手を胸の前で組み合わせ祈りを捧げた。
「ドグマよ、人間どもへの嫌がらせは続いているのか?」
玉座のアクバーがにやりと笑う。
「もちろんです、アクバー様。お言いつけどおりにシスターアンナには手を出してはおりませんが」
ドグマが恭しく頭を下げる。
『魔物のたましい』が届いて数日。
行動を起こそうとしないアクバーにドグマは奇妙なものを感じてはいた。
いつものアクバーであれば欲しいものはすぐに手に入れる。
それが今回に限っては時間をわざと掛けているように思えるのだ。
「ぐふふ・・・ますます人間どもはシスターアンナを頼りにし、シスターアンナは彼らを優しく包み込む・・・か」
「よろしいのですか? 彼女を魔族にするには厄介になりませぬか?」
「心配はいらんドグマよ。『魔物のたましい』には餌が必要なのだ。優しさや愛といった下らぬ感情という餌がな」
ドグマは首をかしげた。
餌?
アイテムに餌が必要とはどういうことだ?
だが、その疑問の答えはまだ得られそうになかった。
「シスターアンナ。アクバー様がお呼びです。すぐに来なさい」
牢獄の町の教会に牢獄兵が三体やってくる。
いつもどおりのお勤めをしていたシスターアンナは静かにうなずくと祈りを捧げて立ち上がった。
「シ、シスターアンナ」
「シスターアンナ」
シスターアンナに憧れて、彼女とともに神に仕えようと申し出てきた少女たちが心配そうに彼女を見る。
「心配は要りません。私の方こそ彼にはお話したいこともありますから」
「シスターアンナ」
「大丈夫。私には神様がそばにいてくださいます。アクバーにもそれはわかるはず。無体なことはしないでしょう」
不安そうにしている少女たちをなだめ、シスターアンナは教会を後にする。
「シ、シスターアンナ!」
「行っちゃだめだ! シスターアンナ!」
「アクバーはあなたを亡き者としようとしているんだ。行っちゃだめだ!」
「シスターアンナ!」
町の人たちが通りにあふれてくる。
みな牢獄兵たちが教会へ入っていったことに不安を感じていたのだ。
「ちきしょう! おい! エリック! 貴様あれほどシスターアンナのことを好きだったんじゃないのか!」
「お願いだよ、メアリー。お母さんの事を思い出しておくれ! シスターを連れて行くのはやめなさい」
何とか牢獄兵たちの前に立ちふさがり、シスターアンナを連れて行くのを阻止しようとする町の人たち。
だが、魂を抜かれてしまい牢獄兵に生まれ変わってしまった友人や家族がシスターアンナを連れて行く。
その光景は町の人々に絶望を感じさせるのに充分すぎるほどだ。
「どきなさい。お前のことなど知らない。私はアクバー様に仕える牢獄兵。命令によりシスターアンナを連れて行く」
ランスでかつての母親を小突きながらシスターアンナを連れて行く牢獄兵。
「皆さん、私は大丈夫ですから。どうか無茶なことはしないで下さい」
「シスターアンナ!」
「シスターアンナ!」
目に涙を浮かべて町の人々はシスターを見送る。
だが、誰も彼女を救おうとする者はいない。
いや、出来ないのだ。
アクバーによって魔物の恐ろしさをいやというほど見せ付けられてきた町の人々は、シスターを救いたくても救うために立ち上がることなど出来なかったのだ。
「今に神様がお遣わしになる勇者様がきっと来ます。それまで耐えてください。皆さん」
「黙って歩け!」
両側から囲まれるようにシスターアンナは連れて行かれる。
それでも彼女は笑みを絶やさずに胸を張って歩いていた。
目指すはアクバーの居館。
私はどうなっても構いません・・・
どうか・・・
神様、どうか町の人々をお救い下さいませ・・・
シスターアンナは胸のクルスを握り締めた。
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- 2006/05/17(水) 21:18:16|
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えーと・・・
昨日ブログを書いていて、ついついSSを書きたくなってしまいました。
シスターアンナ悪堕ちSSです。
短編で、シチュ優先で、世界観などはドラクエⅥを知らないとわかりづらいと思いますが、楽しんでいただければ幸いです。
残念ながら今日一日では書ききれなかったので、明日以降まで引っ張っちゃいますが、お許しを。
1、
「ゲゲゲ・・・まだまだ寝るには早いぜ」
キラーバットの三つ又の槍先がつんつんとうずくまった男をつつく。
「まったくだ。俺たちから逃げようったってそうは行かないさ」
タイガークローのいやらしい笑い声が響く。
「た・・・助けて・・・」
うずくまった男は恐怖に震えてなす術を持たない。
人間はただモンスターのなすがままだったのだ。
ここは牢獄の町。
アクバーと呼ばれる魔物の実力者が支配する町。
あちこちの町や村から魔物に反抗的な人間たちやさらわれてきた人間たちが押し込められている。
ここではアクバーが法であり、魔物たちが好きなように人間たちをいたぶって楽しむことができるのだ。
殺すもよし、ただいたぶってひいひい言わせるもよし。
人間たちはただ生きることだけを考え、プライドも何もかも捨てて絶望の中にその日を生きているのだった。
「やめてください!」
少し高いが凛とした清涼な声が響く。
「ヌウ、誰だ?」
キラーバットとタイガークローが驚いたように声の主を探す。
ほとんどの人間たちが建物の陰から恐る恐る覗いているのに対して、その声の主は通りに立って彼らに声をかけてきたのだった。
その声の主は美しく若い女性だった。
胸の前で両手を組み合わせ、その胸にはクルスが下げられている。
紺色の尼僧服に白いヴェールを被った教会の尼僧。
この町の寂れた教会に奉仕するシスターアンナと呼ばれる女性だった。
「その者はもう怪我をしています。やめてください」
おずおずと、しかしはっきりとシスターアンナは魔物たちに向かって訴える。
「なにぃ!」
タイガークローの一喝に思わず首をすくめてしまうシスターアンナ。
しかし、彼女は逃げ出さない。
この町の普通の人間ならば魔物の一喝は耐えられない。
すぐに腰を抜かすか逃げ出してしまうだろう。
しかし、彼女は必死に歯を食いしばって胸の前で両手を組んで耐えている。
その姿はいかにも気高かった。
「お願いです。もうやめてください。その者はただあなた方が恐ろしかっただけなのですから」
かすかに声が震えているかもしれない。
しかしシスターアンナの声は周囲に響いていた。
「おうよ。俺たちはアクバー様配下のモンスターだ。恐ろしくて当然」
「だがな、運んできた酒を取り落とすというのはいただけないんじゃないか? え?」
キラーバットが槍の石突で男の脇腹を殴る。
「ガハッ!」
男は激痛に躰をよじって苦しんだ。
「あ、やめて!」
思わずアンナは飛び出していた。
彼女とて恐怖を感じていないわけではない。
相手は何しろ魔物なのだ。
人間など虫けら以下にしか思っていないだろう。
そんな連中の前に飛び出すなんて自殺行為だ。
だが、彼女は自然に躰が動いていた。
神様と大賢者マサールの教えにその身をささげたシスターアンナは虐げられている人を見過ごすことは出来なかったのだ。
「やめてください!」
そう言ってシスターアンナは男の躰をかばうように上に被さる。
「シ、シスターアンナ・・・」
男が驚く。
まさかここまでしてもらえるなんて思わなかったのだ。
ここは牢獄の町。
魔物に逆らっては生きてはいけない町なのだから。
「こ、このアマ!」
キラーバットが槍を振りかざす。
「待て!」
通りの奥の建物から野太い声がする。
「?」
キラーバットもタイガークローも思わず顔を上げた。
そこには建物の入り口に立っている一体の魔物がいた。
全身を輝く金属質の鎧で覆い、躰の左右でその色が金と銀に分かれている。
右手には大きな長柄の刀らしきものを持ち、左手には楕円形で髑髏の浮き彫りがされたシールドを持っていた。
この町の支配者アクバーの片腕と呼ばれる強力なモンスターゾゾゲルである。
「ゾ、ゾゾゲル様」
「ゾゾゲル様」
思わずキラーバットもタイガークローも一歩あとずさる。
それほどこのゾゾゲルという魔物は高い実力を備えているのだ。
「その女に手出しはするな」
ゾゾゲルが無造作に言い放つ。
「?」
その言葉にシスターアンナは驚いた。
なぜ?
なぜ私を助けてくれるの?
思わず顔を上げてゾゾゲルのほうを見上げるシスターアンナ。
だが、ゾゾゲルのフルフェイスヘルムの奥に光る目はまったくの感情を感じさせはしない。
「な、なぜですか、ゾゾゲル様? こいつは神などを信じ、この町の人間どもに希望とやらを与えているんですぜ」
タイガークローが納得行かないというようにゾゾゲルに言う。
「お前たちの知るところではない。全てはアクバー様よりの指示」
「ア、アクバー様の?」
キラーバットもタイガークローも顔を見合わせるしか出来ない。
一体この神とやらに仕える女に何があるというのだ?
「わかったら立ち去れ」
先ほどからまったく声の調子が変わらない。
それが帰ってこのゾゾゲルという魔物の力の強大さを感じさせている。
「チッ、行くぞ、キラーバット」
「ああ、命拾いしたな。お前たち」
そう言って二体の魔物は彼らの寝床へ帰って行く。
それを見てゾゾゲルも建物の方へ振り向いた。
「あ、あの・・・」
背後からの声にゾゾゲルは立ち止まる。
「ありがとうございました。助かりました」
服の汚れを落として立ち上がったシスターアンナが頭を下げる。
「ふん。勘違いするな。我はただアクバー様の命に従ったに過ぎん」
「そ、それでも・・・ありがとうございました」
「ふん」
頭を下げているシスターアンナに対しゾゾゲルは背を向ける。
人間を、しかも神とやらに仕えている人間を捨て置いているアクバー様の考えは彼にもわからなかったのだ。
「シスターアンナ・・・ありがとうございます」
うずくまっていた男が立ち上がる。
あちこち痛めつけられてぼろぼろだ。
「動かないで下さい。今怪我を治しますから」
そう言ってシスターアンナはホイミを唱える。
彼女の手のひらが当てられたところが温かくなって傷がみるみるふさがって行く。
「すごい・・・」
話には聞いていたが、治癒魔法というのはすごいものだ。
これなら死者でさえ生き返らせるザオリクと言う呪文もあながちほら話ではないのかもしれない。
「神のご加護がありますように・・・これで大丈夫ですわ」
こぼれるような笑顔を向けるシスターアンナ。
その瞬間町の人たちが通りに駆け寄ってくる。
「「シスターアンナ」」
「「シスターアンナ」」
口々に彼女の名前を呼んで跪く町の人々。
彼らにとっては絶望に打ちひしがれた現実を少しでもやわらげてくれる聖女様だったのである。
「皆様、私たちには神様がおそばについてくださっています。くじけてはなりません」
シスターアンナが静かに言う。
「いずれ魔物たちは駆逐されるでしょう。いつの日にか神に使わされた勇者がこの地の魔物たちを追い払ってくださるはずです。その日まで力を合わせて生き延びましょう」
「「おおーっ!」」
人々の大きな声がこだました。
窓の外から人間たちの歓声が聞こえてくる。
「まったく・・・忌々しいことでございますな、アクバー様」
豪華な王者の間ともいうべき広間の奥に、玉座のように設えられた椅子に座る主アクバーを見やる魔術師ドグマ。
もちろん人間の魔術師ではなく、彼自身も魔物である。
幾人もの人間の血を吸った魔導師のローブをまとい、杖とも鎌ともいうべき武器を携えている。
ゾゾゲルと並び称されるアクバーの両腕ともいうべき魔術師モンスターだ。
「今のうちだけだ。せいぜい人間どもには夢を見させてやるがいい。いずれその夢は悪夢に変わるのだからな」
玉座に座っているのはこの牢獄の町の支配者アクバー。
強靭な巨大な肉体に蝙蝠型の羽を背中に広げている。
顔つきはブルドックのような顔つきだが、口から飛び出している牙は無言で彼の強さを誇示していた。
「ご命令さえいただければ、このドグマめがあのような女すぐに血祭りに上げますものを」
ドグマにもアクバーがあの女を生かしておく理由がわからない。
あの女のおかげで人間どもは多少生きる希望を持ち始め、我ら魔物に反攻する者も出てきている始末。
「手を出してはならん。それは今一度徹底しておけ。シスターアンナを傷つけたりした者には我が怒りが向けられると知るがいい」
アクバーはドグマをにらみつける。
人間どもを恐怖と絶望のどん底に突き落とし、可愛い愛すべき存在を我が手にできるこの一石二鳥の計画。
誰にも邪魔はさせん。
アクバーの目が欲望にゆがんだ。
「アクバー様」
一人の牢獄兵が入ってくる。
こいつらはこの牢獄の町を管理するために生み出された下層のモンスターで、町に住んでいたり他の町からさらってきた人間の魂を抜いて暗黒の気を入れることによって作られる。
魂を抜かれて抜け殻になった人間に暗黒の気を入れて鎧を着せれば牢獄兵としてよみがえるのだ。
男だろうと女だろうと関係はない。
魂を抜かれてしまえばそいつはただの抜け殻だ。
牢獄兵になってしまえば以前の記憶などない。
多少元が男だったか女だったかで力や耐久性に差が出るが、所詮使い捨ての下級モンスター。
死のうが生きようがどうということは無い。
「何事か?」
アクバーは入ってきた牢獄兵を見やる。
胸が鎧を押し上げた若い女の牢獄兵だ。
そういえば先日作った女の牢獄兵だったか・・・
新婚だったはずだが、牢獄兵となって自らの手で夫をいたぶっていたはずだ。
暗い喜びにアクバーはほくそえむ。
「大魔王デスタムーア様よりの使いの者が参っております」
「来たか!」
アクバーは立ち上がる。
待ちに待ったモノがついに来たのだ。
「お前が大魔王様よりの使者か?」
広間に通されてきたのは緑色のぷよぷよしたスライムに器用にまたがっている戦士、いわゆるスライムナイトだった。
「ハハッ、大魔王デスタムーア様よりの書状とアイテムをお持ちいたしました」
スライムナイトがかしこまって箱を差し出す。
「おお、待っておったぞ」
アクバーはすぐに受け取り、手を振って使者を追い出す。
スライムナイトはすぐに退出して行き、アクバーは玉座に座って箱を開けた。
「一体大魔王様より何が?」
ドグマも気になるようだ。
「・・・・・・」
一心不乱に書状を読むアクバー。
やがて書状を握り締めると不適に笑みを浮かべた。
「大魔王デスタムーア様のご許可が下ったぞ。これでシスターアンナは・・・クックック」
「あの不遜な女がどうされたのです?」
「ドグマよ。お前にはあのシスターアンナの美しさがわからないようだな」
アクバーが箱の中から黒い真珠ほどの球体を取り出す。
「そ、それは確かにあのシスターは人間にしては類稀なる美しさ。しかし、所詮は人間。魔物の妖艶さにはかないますまい」
「確かにそうだ。だが、あの女に魔物の妖艶さを加えたら・・・いい女モンスターになるとは思わんか?」
「そ、そんなことが?」
ドグマは驚いた。
人間の女を女モンスターにするというのか?
「これを見よ」
真っ黒な小さな球体をドグマに見せ付けるアクバー。
ブルドックのような大きな口がニターと笑っている。
「それは?」
「大魔王デスタムーア様お手製の『魔物のたましい』よ」
「『魔物のたましい』?」
首をかしげるドグマ。
魔物の中でも知力を誇る彼にもそのようなアイテムに覚えはない。
「そうだ。これをあのシスターアンナに植え付ける」
「あのシスターに?」
「そうだ。この『魔物のたましい』を植え付けられた人間は徐々にその心が邪悪で高貴な魔物の心へと変わり、やがてその身も我ら高貴な魔物のものへと変わって行くのだ」
アクバーは得意げに話す。
「おお! なんと、あの女が我ら魔物の仲間入りをするというのですか?」
「そうだ。きっと美しく邪悪な魔物に生まれ変わるぞ。我が妻に相応しくな」
アクバーは喜びを隠し切れなかった。
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- 2006/05/16(火) 22:15:07|
- デビルアンナ
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テンション上がらなーい。
モチベーション下がったままですー。
理梨子さん以後SS書く気が起こってこないです・・・
困ったもんだー。(笑)
そういえば先日2chの調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart9にドラクエⅥのシスターアンナのことがカキコされていましたね。
私もあのイベントにはドキドキしちゃいましたねー。
主人公たちよ、できることなら間に合わないでくれと祈ったものでした。(笑)
ご存じない方もいると思いますので、少しばかり解説を。
主人公たちパーティは魔物が支配するある町へやってきます。
そこは魔物によって人間たちが虐げられる絶望が支配する町でした。
しかし、その町にはシスターアンナという若い尼僧がいて、彼女は人々を励まし、信仰によって絶望から人々を解き放とうと努力していました。
彼女の美しさと優しさは人々に勇気を与え、人々は魔物の目論む絶望に打ちひしがれた人間にはならずに居ることができたのです。
町を支配する魔物アクバーは当然そのことを快くは思いません。
何とかシスターアンナを排除しようと考えます。
しかもアクバーはシスターアンナの美しさに惚れ込み、彼女を手に入れようと画策するのです。
そんな状況のところに主人公たちはたどり着くんですね。
アクバーはシスターアンナを手に入れるために魔王より「魔物のたましい」と言うアイテムを受け取ります。
この「魔物のたましい」を人間に植え付けると、その人間の心は魔物の邪悪な心となり、やがては肉体も魔物となる・・・というものらしいのです。
アクバーはシスターアンナを連れ去り、「魔物のたましい」を植え付けようとするのですが、まあ、残念なことに主人公に邪魔されてしまい、アクバーは倒されます。
というか、倒せなければ全滅で再度教会からとなりますね。(笑)
ゲームですから、主人公が勝ってくれないと困るんですが、このイベントに関しては魔物となってしまったシスターを泣き泣き倒すような状況を期待してしまいました。(笑)
魔物と化したシスターアンナに「デビルアンナ」なんて命名してみたりして、アクバーのそばで微笑んでいるのを人間たちは見せ付けられる・・・そんな妄想をしていたものです。
悪堕ちして欲しかったなぁ。ww
それではまたー。
[ドラクエⅥ]の続きを読む
- 2006/05/15(月) 22:20:16|
- PCゲームその他
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いつも私の拙いブログにコメントを下さる静寂様より、私のオリジナルTRPGにおける種族ルールと追加職業ルールをいただきました。
もう、感謝感激です。
この場を借りてお礼申し上げますねー。
若干の修正は必要になると思いますが、なるべくこのルールを生かして使って行きたいと思います。
誠にありがとうございました。m(__)m
追加種族は三種類。
ドワーフ、エルフ、ハーフエルフです。
いずれもファンタジー世界には欠かすことの出来ない種族ですので、いつかはルール化しないとなぁって考えておりましたが、これで解決いたしました。
また追加職業としてシャーマンもいただきました。
これで私の世界にディードリットが存在できるようになりましたよー。(笑)
ルールそのものは一部修正を加えて、成長ルールなどとともに発表して行きたいと思います。
静寂様、本当にありがとうございました。
それではまたー。
[種族ルールをいただきました]の続きを読む
- 2006/05/14(日) 21:12:21|
- TRPG系
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TRPGでちょっと気になるモンスターを紹介しますね。
D&DゲームアクセサリーAC9「モンスターマニュアル」に掲載されているモンスターなんですが、ハイブブルードというモンスターがいます。
このハイブブルード、アリのような社会構造を持つモンスターで、いわゆる女王とその取り巻きである頭脳ユニットというべき存在、そして労働・兵士ユニットというピラミッド型社会を築いています。
いろいろと特徴があるモンスターなんですが、ブルードマザーという女王が産むブルードリングという子供を他の生物に寄生させるというのが面白いところなんですね。
しかもこの寄生は宿主を餌にしたりするのではなく、宿主を同化してハイブブルードの一個体にしてしまうんです。
ブルードマザーの出す毒ガスなどで麻痺させられた犠牲者(人間やエルフなどのヒューマノイドが主に選ばれる)は、ブルードマザーによってブルードリングを植え付けられます。
ブルードリングは宿主の精神と同化し、宿主はブルードリングのように考え行動するようになります。
やがてブルードリングは宿主の躰を変化させ始め、躰の外皮が外骨格状に硬くなり、目に膜が張り動きも昆虫っぽくぎこちなくなります。
こうなると歯や爪を武器にしてブルードマザーのために戦ったり、巣の構築など彼らの一員として働くようになります。
この段階ならまだ救うことが可能で、魔法などで体内のブルードリングを殺すことで元の意識を取り戻すことが出来ます。
しかし、変化した躰は元に戻らず、知識や外見などのハンデを受けることになりますが、外皮が硬くなったことで鎧と同程度の防御力を備えることになります。
この段階をさらに越えると、一時的に休眠します。
そして完全なハイブブルードへと変化するのです。
このハイブブルードは元の外見を多少はイメージさせており、女性ならば腰の括れや胸の豊かさなどを形作ったりします。
ですが、外皮は外骨格であり、触覚や複眼などを持つまさに直立したアリのような外見になってしまいます。
こうなるともう完全なるハイブブルードであり、ブルードマザーのフェロモンによってコントロールされる一個体となってしまいます。
「いやぁっ! 何かが・・・何かが入ってくるぅっ!」
「・・・・・・」
「従わなきゃ・・・マザーに従わなきゃ・・・」
「グギギ・・・ナンナリトゴメイレイヲ・・・」
なんてことを妄想すると、SSにしてみたくなりますよね。
それではまた。
- 2006/05/13(土) 19:52:49|
- TRPG系
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いろいろと話題になってますこの本。
今日ようやく読み終わりましたー。
先日文庫本(上中下巻)を一気に購入したんですが、読む時間がなかなか取れなくて・・・
でも、すごく楽しく読むことが出来ました。
面白かったー。
謎解きミステリーですが、自分なりの考えをまとめるまでも待てなくて次々とページをめくってしまいました。
ミステリーの常道、怪しい人は怪しくて、怪しくない人も怪しいです。(笑)
最後のシーンはなるほどーとうなずいてしまいました。
内容はいろいろと書くとネタバレですので、それは控えますね。
映画も間もなく公開ですが、見に行こうかなぁ。
それではまた。
- 2006/05/12(金) 21:42:29|
- 本&マンガなど
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皆さんは「機動戦士ガンダム」はご存知の方々が多いと思います。
シリーズもさまざまあり、無数のモビルスーツが画面及び設定上で出てきました。
そのなかでお好きなモビルスーツはなんですか?
私はあの「THE-O」(ジ・O)が大好きなんですよー。
デザインが確か横山先生ということもありますが、あの重量感がたまらないですね。
しかも運動性も抜群。
耐久力も半端じゃない。
パプテマス・シロッコというキャラクターの行動はともかく、島田敏さんの声も大好きですし、このシロッコとTHE-Oのコンビは私にはまさにツボでした。
惜しむらくは活躍シーンがほとんど無く、「ジオンの系譜」でせっせと技術力を上げて使うぐらいしかないんですよねー。
まあ、手に入れたときの強さと言ったら半端じゃないんで、苦労も報われるんですが、敵にクワトロさんがいたり、ハマーンがいたりするのはちとつらい。(笑)
武器が豊富なわけではないですが、隠し腕などという陰湿なものもあったりしますし。(笑)
好きなんですよねー。
皆さんは何が好きですか?
それではまた。
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- 2006/05/11(木) 21:52:00|
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ローネフェルトのパーソナルカラーが決まりましたー。
紫の山猫ですー。
結構いい色ですよね。
「どこ行ったのかしら・・・まったく」
私は少し怒っていた。
ブリーフィングルームに二人ともいない。
確かに艦内は航海配置だからブリーフィングルームにいる必要は無いとは言え、連邦の跳梁しているこの空域では凖待機しているのが当たり前でしょうに・・・
「ミナヅキ少尉とノイマン准尉はハンガーデッキへ!」
私はインターコムに怒鳴りつけ、そのままハンガーデッキへ向かう。
遅れてきたら叱り付けてやるんだから・・・
私はそう思いながらリフトグリップで通路を進み、ハンガーデッキへのエアロックをくぐる。
「みひゃっ?」
私は目が点になった。
ハンガーデッキに発進準備を整えて立っているYMS-15。
鈍い銀色に輝く中世の騎士といったイメージを抱かせるその外見。
のはずだった・・・
それが見事な薄紫色に染められている。
胴体の一部は、もともとの色が濃かったこともあるのか完全な紫色。
あの輝ける銀色はどこにも無くなっていたのだ。
さらに肩口にはディフォルメされた猫が描かれている。
「紫色?」
『あ、お姉様ぁ』
15の足元から飛び上がってくるノーマルスーツ。
言うまでも無くアヤメに違いない。
『大尉殿』
負けじともう一つのノーマルスーツもやってくる。
二人ともこんな所にいたのね。
それにしても・・・
『どうですかぁ、お姉様ぁ?』
アヤメが私のそばに取り付き、左腕にぶら下がる。
柔らかい胸が押し付けられる。
「アヤメ、やめなさいってば。それよりもこれは誰の指示?」
全身薄紫のモビルスーツなんて見たこと無いわ。
『あたしですぅ』
「う・・・」
私は肩を落とした。
『あ・・・大尉殿・・・私もその・・・』
パットもなの?
『お姉様のパーソナルカラーが無いかなって思ってたんですよぅ、そしたらなぜかこの色の塗料が大量に余ってて・・・』
アヤメがにこやかに私の顔を覗き込んでくる。
「それはそうでしょう。誰も使わないわ、こんな色。それに・・・」
バックパックのノズルが換わっているわ・・・
『あ・・・お気に召しませんか? お姉様・・・』
たちまち不安そうな顔をするアヤメ。
まったく・・・
私も甘いったらありゃしない。
この顔をされると何も言えなくなっちゃうんだから。
『あ、大尉殿。ミナヅキ少尉だけじゃないんです。私も・・・この素敵な色は大尉殿に相応しいって思って・・・』
パットもうなだれる。
はあ・・・
紫色かぁ・・・
嫌いな色じゃないし・・・
まあ・・・いいか・・・
「ふう・・・まったくあなたたちときたら・・・ありがとう」
『『わあ・・・』』
二人の表情が明るくなる。
まったく・・・
仲がいいんだから・・・
「それはそうと索敵に出るわ。ノイマン准尉は09Rで発進。艦隊の二時方向を索敵。ミナヅキ少尉はいつでも発進できるように09Rで待機。いいわね」
『あ、ハイ!』
敬礼して乗機に向かうパトリシア。
『・・・・・・』
「ミナヅキ少尉、これは命令です。いいわね」
不服そうなアヤメに私は強い口調で言い聞かせる。
『ハイ・・・』
うらやましそうにパットの後ろ姿を目で追うアヤメ。
私はそんなアヤメを抱き寄せてヘルメットを接触させる。
『ありがとうアヤメ。素敵な色で嬉しいわ』
『お姉様ぁ』
たちまちほにゃっとした表情を浮かべるアヤメ。
可愛いものだわ。
私はその場にアヤメを残すと床を蹴ってMS-15へ向かった。
「こちらはローネフェルト。YMS-15ギャン、出る!」
『了解。発進どうぞ!』
射出口の上部サインがグリーンに変わる。
担当官の発光スティックが振り下ろされる。
私はペダルを思い切り踏み込んでギャンを発進させた。
「?」
予想外の加速の私は息を飲む。
グンと躰がシートに押し付けられる。
ノズルを換えたのこのためか・・・
整備班長が高機動パックがどうのとか言っていたっけ・・・
私は加速を少し緩めて艦隊の四時方向へ向かう。
その後ろでパットの09Rが発進して行くのが見えた。
その他にワルトラントからとスタメルからも各二機が索敵に出る。
木馬はどこにいるのか・・・
『ち、中尉殿。目が回りますぅ』
俺の目の前でボールがむちゃくちゃな回転をしている。
あれではたまったものじゃない。
「バーニアを使え!回転を止めるんだ!」
『と、止まりませーん』
泣き声とも悲鳴とも付かない少女の声。
誰だ!
こんなのを実戦に出したのは!
「くそっ!」
俺はボールのマニピュレーターを引っ掛けるために接近する。
『うきゃぁぁぁ』
哀れな・・・
俺は苦笑しながらボールの砲を後ろに向けて、回転しているボールにマニピュレーターを引っ掛けた。
ガキン!
派手な金属の火花が散る。
同時にこちらのボールも振り回され、重心がずれたゆがんだ回転に変わる。
メキメキ・・・
いやな振動が響いてくる。
ボールの質量がこちらのマニピュレーターにかかってくるのだ。
折れないように素早く回転を止めるべくバーニアを吹かす。
最初は回転を合わせるように吹かし、それからゆっくりと止めるのだ。
そうしないとマニピュレーターが・・・
メキ・・・
そうしても折れるか・・・
整備の連中にまた何を言われるか。
俺は首を振った。
『大丈夫? 中尉』
ヘッドフォンに声が聞こえる。
夕べ散々ベッドで聞いた声。
あれほど激しいのは久し振りだった。
俺は一瞬にしてベッドの中の可愛い女の躰を思い出す。
「ご心配なく。大尉殿」
俺はレバーとペダルを操作して回転を止めて行く。
スクリーンの向こうでは星空が回転し、時折普通のジムとは違う黄色の塗装のジムが見える。
ジムライトアーマー。
エースパイロット用に運動性能を高めるため、その防弾性能、いわゆる装甲を薄くしたというとんでもない機体。
いくら運動性能が優れていたって、一撃で沈むんじゃ話しにならない。
もっとも、ボールよりははるかにマシだが・・・
ソフィアが好んで選んだわけではない。
回された機体がそれだっただけ。
連邦もモビルスーツの運用は試行錯誤だ。
作っては見たが役に立たない可能性があるものをこの囮支援艦隊に回してきたと見るべきか・・・
ボールの回転はやがて止まってくる。
星空の回転も止まって・・・
あれは?
『イシカリより各機へ! 高熱源体接近!』
『敵の索敵機だ! 各モビルスーツ補足して撃破しろ!』
ええい、いきなりそれかよ!
俺は回転を止めたボールを引き離す。
『中尉、援護をお願い!』
ソフィアのジムライトアーマーと随伴のジム二機が噴射炎に向かう。
「了解だ。無理しないで!」
『ありがとう』
柔らかい声。
またベッドであえがせたい声だ。
『中尉殿、われわれは?』
回転の止まった二番機と三番機がそばに接近する。
「俺たちは支援だ。まあ、今のところは心配いらん」
『えっ?』
「敵の索敵機だ。向こうも戦闘を回避して情報を持ち帰るのが任務だからな。この場での戦闘はそうは激しいものにはならない」
『あ、そうか』
おいおい、お嬢様方。
これは初歩のことですよ。
俺は苦笑する。
ミスティ・エイボン曹長とアナスタシア・チュイコワ曹長の二人は訓練学校を出たばかりだ。
ビンソン計画により連邦の宇宙艦隊が再建され、V作戦以後のモビルスーツの大量産が行なわれるようになると、俺のような戦車兵やソフィアのような戦闘機パイロットなどの転換組だけでは足りず、新人パイロットの大量育成が行なわれるようになったのだ。
その第一陣と言ってもいいかもしれないが、なんと言っても手っ取り早く育成されているために、戦術戦略などは二の次、とにかくモビルスーツの操縦を覚えさせることに主眼が置かれている。
戦術は生き残れば覚えるだろうということなのだ。
『中尉殿!』
エイボン曹長の声がする。
さっきまで助けてーと言っていたのとはえらい違いだ。
どうやら敵のモビルスーツが発光信号を上げたらしい。
噴射炎のあたりで青い発光弾が光っているのだ。
「敵が来るぞ。気を引き締めろよ」
『『了解!』』
二人の声がハモる。
どうやらマニピュレーターの修理をする暇は無さそうだ。
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- 2006/05/10(水) 19:43:41|
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「戦隊司令理梨子」最終話です。
なんかうまくまとまったようなまとまらなかったような。
イェーガー隊の設定やルビーたち三人ももう少し使ってやりたかったなぁ。
また別の話で使ってやろうかなぁ。
ともあれこれで完結です。
お読みくださってありがとうございました。
7、
放出後の気だるい疲労感。
すでに触手ペニスは役目を終えて理梨子の内膣に消え去っている。
あ・・・
理梨子はベッドの上で目を開けた。
わ・・・私・・・また・・・
理梨子は上半身を起こてベッドに腰掛けるような姿勢を取る。
「くすっ・・・お目覚めですか? 理梨子様」
向かい側の椅子に腰掛けている朱鷺恵が振り向いた。
「ドクター?」
理梨子はそのドクターの表情にいつもとは違う妖しさを感じ取る。
「知りませんでしたわぁ。理梨子様がこんな素敵な触手ペニスをお持ちなんだとは・・・うふふ・・・私も理梨子様のおかげで生まれ変われましたわぁ」
そう言って立ち上がる朱鷺恵。
乱れた白衣を脱ぎ捨て、ブラウスもスカートも脱ぎ捨ててしまう。
女性らしい滑らかなラインが理梨子の目の前であらわになって行く。
あ・・・
綺麗・・・
下着を脱ぎ捨てて生まれたままの姿になった朱鷺恵は美しかった。
白い肌がまるで石膏で出来ているかのよう。
「うふふ・・・」
朱鷺恵は薄く笑みを浮かべる。
「あ・・・や、止めて・・・止めてぇ!」
理梨子が悲鳴を上げる。
ゆっくりと朱鷺恵の姿が変わっていく。
ぬけるような白い肌は青みを帯びていき、青白く変色していく。
髪の毛に隠れていた耳はその先端が尖り始め、髪の中から姿を現す。
背中からは巨大なコウモリ型の羽が伸びていき、両側に広がって形を整える。
お尻には尾てい骨のあたりから黒く細い尻尾が生えてきて、先端が返しの付いたかぎ状に尖っていく。
両手の指先も爪が鋭く伸びて黒く変色し、足の指先も爪が黒くなる。
唇は濡れたような真っ赤な色を湛え、同じく赤い舌先が舌なめずりをする。
紛れもない悪魔の姿。
リリムの姿がそこにあった。
「ああ・・・」
目を伏せる理梨子。
わかっていたこととはいえ、目の前で変化していくのを見るとやはり苦しい。
私は・・・
私はまた悪魔を生み出してしまったんだわ・・・
もう・・・
もう・・・私は生きてちゃいけないんだわ・・・
理梨子の目から涙があふれる。
悪魔を阻止するイェーガー部隊。
その司令官が悪魔を作り出すなんてなんという皮肉だろう・・・
「うっうっ・・・」
両手で顔を覆い、声を押し殺して泣き始める理梨子。
「理梨子様。何を悲しまれているのです?」
そっと理梨子の隣に腰掛けるリリム。
その腕が優しく理梨子を抱き寄せる。
「うっ・・・うっ・・・私は・・・私はあなたを・・・」
「クスッ・・・ええ、私は悪魔に生まれ変わりましたわ。とても感謝しているんですよ、理梨子様」
幼い赤子を抱くように優しく胸で理梨子を抱きかかえる。
「止めて・・・私は悪魔を生み出しちゃったのよ・・・もうこれ以上生きていけない・・・」
「理梨子様、どうしてですか? 理梨子様は素晴らしい力の持ち主なんですよ。私たち悪魔の母なんですから」
はっとして顔を上げる理梨子。
「そ、そんなこと言わないで! そんなのはいや!」
理梨子は首を振る。
「おかわいそうな理梨子様・・・人間としての意識がまだ根強いんですね・・・」
「当たり前じゃない! 私は人間よ!」
「クスッ・・・違いますわ。理梨子様は素敵な悪魔なんですよ」
「違うっ! 私は悪魔なんかじゃない!」
必死に理梨子は否定する。
そうしなければもう何がなんだかわからなくなっていたのだ。
「理梨子様。何も躊躇うことはないんですわ。欲望のままに生きるんです」
リリムが微笑む。
その笑みはすごく素敵で、気持ちが温かくなる。
「止めて! 私を誘惑しないで!」
目をつぶって首を振る理梨子。
もうこれ以上欲望に流されて悪魔を生み出してはならない。
「理梨子様・・・ご覧下さい」
「ひゃうっ!」
理梨子の躰に電気が走る。
スカートの中に差し入れられたリリムの手が、理梨子の股間を刺激して触手ペニスを引き出したのだ。
「素敵ですわぁ。こんな立派な触手ペニス、とても素敵だと思いませんか?」
リリムによって引き出され、目の前に差し出される触手ペニス。
その先端はヒクヒクと蠢いている。
「あ・・・」
理梨子の目が釘付けになる。
可愛い・・・
リリムの手によってむき出しにされた触手ペニスはとても愛しく、キスしたくなるほどだ。
「うふふ・・・可愛いと思いませんか?」
リリムはそっと理梨子の手を取って触手ペニスを握らせる。
「あ・・・」
理梨子の右手に触手ペニスのたぎりが伝わる。
熱い・・・
ヒクヒクしてる・・・
うふふ・・・
可愛い・・・
理梨子は触手ペニスの先端にそっとキスをする。
「ひゃあ・・・」
背筋を駆け抜ける快感。
ああ・・・
これよ・・・
なんて気持ちいいんだろう・・・
理梨子の目がとろんとなる。
触手ペニスの先端に舌を這わせてその味と形を楽しんでいく。
「理梨子様・・・理梨子様はただ楽しめばいいんですわ。そう・・・何も考えずに・・・」
口の端から垂れる涎を舌で舐め取るリリム。
理梨子はいつの間にか触手ペニスを咥えていた。
いいの?
楽しんでもいいの?
何も考えずに?
この可愛い触手ペニスで・・・
楽しんでもいいんだわ・・・
理梨子の手と口の動きが激しくなる。
触手ペニスが踊るように前後する。
下腹部から突き上げてくる快感。
口の中に広がる粘る液体。
のどの奥に絡まりながら落ちていく。
美味しい・・・
理梨子は淫蕩な笑みを浮かべて舌なめずりをした。
メディカルルームに向かう館花美紅。
「うう・・・なんだろう。ドクターから呼び出されるなんて・・・」
思わずちょっと腰が引けてしまう。
イェーガーの隊員は厳しい健康管理が義務付けられている。
それは司令部要員としてオペレーターである彼女としても例外ではない。
きっと先日の健康診断で何か引っかかったんだわ・・・
不安を感じながら美紅は廊下を歩いていた。
「館花美紅です。入ります」
『どーぞー』
いつもの気の抜けたようなドクターの返事。
思わず美紅の表情がほころぶ。
やはり緊張感をほぐすには最適な声なのかもしれない。
「失礼します」
スライドドアを開けて室内に入る美紅。
「いらっしゃい、館花さん」
机に向かっていた長夜朱鷺恵が椅子を回して美紅の方を向く。
「いらっしゃい。美紅ちゃん」
「えっ?」
美紅は驚いた。
診察用のベッドに、玖薙理梨子が腰掛けていたのだ。
「あれ? 司令がどうして?」
「うふふ・・・可愛いわぁ・・・」
ぺろりと舌なめずりをする理梨子。
その妖しさに美紅はただならぬものを感じる。
「ど、どうしたんですか? 司令」
美紅が後ずさる。
カチン。
スライドドアが音を立てる。
鍵の掛かった音。
「嘘・・・」
美紅は驚いた。
ドクターも司令も身動きをしていない。
にもかかわらずドアの鍵が掛かったのだ。
念動力?
東堂恋に備わっている能力だ。
離れたところから物体をコントロールできる。
エメラルドのダガーが舞うような攻撃をするのは恋のその能力に負うところが大きい。
だけど・・・
この二人が持っているはずないよぉ・・・
美紅は動かなくなったスライドドアに背中をつける羽目になった。
「待っていたのよ館花さん。理梨子様があなたを選ばれたの」
すっと立ち上がる朱鷺恵。
その足元に脱ぎ散らかされた衣類が落ちている。
「あ、えっ?」
美紅は朱鷺恵の姿を見る。
どうみても服を着ているのに、彼女の足元には白衣とかが落ちているのだ。
朱鷺恵がその視線を察する。
「ああ、これね。片付けるのを忘れていたわ。だめねぇ。服を着るなんて必要なくなっちゃったから気が付かなかったわ」
「えっ?」
「うふふふ・・・」
朱鷺恵の躰から黒い靄のようなものが現れる。
「ええっ?」
その靄は朱鷺恵の躰を包み込むと、すぐに晴れていった。
「ヒッ!」
美紅は息を飲んだ。
出現回数は少ないものの、強力な悪魔としてデータ登録されている悪魔サキュバスの姿がそこにあったのだ。
「サ、サキュバス! 司令、逃げてください!」
「うふふ・・・だめよ美紅ちゃん」
「えっ?」
美紅が振り向く。
妖艶な笑みを浮かべ人差し指を口元に当てている理梨子の姿が目に入る。
「彼女はサキュバスの上位種。リリムと呼んであげなくちゃ」
「しれ・・・い・・・」
美紅の背中に冷たいものが走る。
「うふふ・・・ごめんなさい美紅ちゃん・・・私・・・我慢できないのよ」
そう言って理梨子は立ち上がる。
「ちょっとだけ・・・ちょっとだけだから入れさせてね」
理梨子のスカートが持ち上がり、中から太いホースのようなものが現れる。
「ひいっ!」
美紅は蒼白になった。
「うふふ・・・これ、とっても素敵でしょ。すごく気持ちいいのよぉ」
ホース状の物体を手に取り、その先端を理梨子は舐める。
それはまさに男のモノを舐める淫蕩な女の顔だった。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ」
美紅は目の前が真っ暗になった。
******
『ぐぎゃぁぁぁぁ』
「第一師団特殊戦闘団損害70%。戦闘行動続行不能」
『応援を・・・応援頼む! 助けてぇ!』
「第一空挺団特殊大隊戦闘力消失。人員の損耗は約80%」
スクリーンに首都圏各地の戦闘状況が映し出されている。
いや、これはすでに戦闘ではない。
虐殺に過ぎなかった。
『あはははは・・・死ね死ね死ねぇっ!』
炎を纏わりつかせたソードを振るう赤いレオタードスーツの女。
背中には漆黒の羽根を持ち、赤い瞳が殺戮を楽しむかのように細められている。
『あはははは・・・私の雷はいかがかしら?』
杖を振るう青いレオタードスーツの女。
彼女も背中からは漆黒のコウモリ型の羽根が生えている。
空の高みから繰り出される雷は何者も止める術を持たなかった。
『キャハハハハ・・・食らえっ!』
ダガーを縦横無尽に飛び回らせる緑のレオタードスーツの女。
背中の漆黒の羽根が舞い、身軽な彼女がさらに軽々と宙を舞っている。
その様子をスクリーンで見ていた理梨子は満足そうにうなずいた。
「うふふふ・・・私の可愛いリリムたち。存分に暴れなさい」
「ひゃあ・・・ううあ・・・ああ・・・」
司令官席の下からうめき声がする。
航空自衛隊の女性隊員が四つん這いで机の下にいる。
そのスカイブルーの制服のスカートの中に理梨子の触手ペニスが入り込んでいるのだ。
「うふふふ・・・あなたもすぐにリリムとして生まれ変わるわ。わたしの可愛い娘としてね」
「ああ・・・ああん・・はあん・・・」
ぐちゅぐちゅと水音を立てながら腰を前後に動かす隊員。
涎をたらし人外の快楽のその身を捧げてしまっている。
「うっふふふふ・・・世界は私たち悪魔のもの。抵抗など無意味なのにね・・・」
舌なめずりをする理梨子。
オペレーター席では漆黒の羽根を生やし身も心もリリムとなった美紅が戦況を表示している。
すでに首都圏の戦闘部隊は壊滅。
清掃局も機能していない。
闇の世界の訪れは目の前だ。
「あ、理梨子様、通信に割り込んでくるものが」
「何者?」
理梨子の表情が険しくなる。
「スクリーンに出ます」
美紅の言葉と同時にスクリーンは暗くなり、一人の青年が現れる。
あ・・・
理梨子は胸が熱くなる。
「ル、ルシファー様」
理梨子は彼を様付けで呼ぶのに何も抵抗は感じなくなっていた。
それはそうだろう。
彼女は悪魔であり、ルシファーは悪魔の一大実力者なのだから。
すぐに立ち上がって一礼する理梨子と美紅。
『さすがだな、玖薙理梨子』
すっと手を振って座るように指示するルシファー。
「お褒めのお言葉ありがとうございます。ルシファー様」
頭を下げて席に着く理梨子。
『イェーガーたちもすっかり生まれ変わったようではないか』
「ハイ。あの娘たちも私の触手ペニスをたっぷりと味わわせてやりましたわ。今ではわたしの可愛い子供たちですわ」
邪悪な笑みが浮かぶ。
『ククク・・・それでこそ悪魔の聖母。我が妻に相応しい』
「えっ?」
理梨子は心臓が高鳴った。
私が・・・
私がルシファー様の妻に?
嬉しい・・・
なんて嬉しいお言葉かしら・・・
『お前は選ばれたのだ。さあ、我が元に来るがいい。悪魔リリスよ』
リリス・・・
理梨子にはもうそれ以外の名前は考えられなかった。
私はリリス・・・
悪魔の聖母・・・
ルシファー様の妻・・・
「ハイ。ルシファー様。私は悪魔リリス。永遠にルシファー様のおそばにお仕えいたしますわぁ。うふふふふ・・・」
イェーガーの司令室にリリスの邪悪な笑いが響いていた。
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- 2006/05/09(火) 20:02:12|
- 戦隊司令理梨子
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「戦隊司令理梨子」第6話目です。
あと少しです。
何とかあと一二回で終わらせることが出来そうかな。
6、
急がなければ・・・
急いで司令部へ行かなくては・・・
こんなことは二度と起こってはならない・・・
私が悪魔を作り出してしまった・・・
イェーガー部隊の司令官である私が悪魔を作り出してしまった・・・
赦されることじゃないわ・・・
すぐに何とかしなければ・・・
今すぐに・・・
理梨子はスポーティセダンを高速で走らせる。
真っ赤なスポーティセダンは街中を無事に抜け、郊外の私立大学に走りこむ。
そこはなんてことの無いごく普通の大学であり、レベルもそれほどのものではない。
国立大学のように目立つ大学ではないのだ。
理梨子はこの私立大学の技術研究棟の地下駐車場へ車を向ける。
駐車場の入り口にカードを提示し、ゲートを抜ける。
地下に降りた理梨子は奥の立体駐車場に車を入れる。
表向きは立体駐車場だが、この駐車場はイェーガー部隊の司令部への入り口なのだった。
車から運転手が降りたかどうか、安全を確認するために付けられていると思われているTVカメラに理梨子はカードを向ける。
がくんと衝撃が走り、立体駐車場のエレベーター型車両移動装置が動き出す。
そのまま理梨子は車ごと立体駐車場からさらに地下へと潜って行く。
B5の表示がエレベーターの前に表示され、ゲートが開いて通路が現れる。
理梨子は車を発進させて通路を奥へ進み、駐車場に車を入れた。
頑丈そうな鉄の扉。
まるで金庫の入り口のよう。
その脇に警備詰所が設置され、常時数名の警備員が詰めている。
「ご苦労様です」
警備員が窓から顔を出す。
「ご苦労様。玖薙理梨子です」
理梨子はカードを提示する。
警備員はカードを読み取り機にかけ、さらに脇にある機器を指し示す。
そこにはスコープを覗き込むような接眼部があり、そこから覗き込んだ者の網膜パターンを判別する。
さらにそのスコープを抱えるように手を添えるような場所があり、そこに手のひらを押し付けることで指紋のチェックが行なわれるのだ。
警備員の詰所側のモニターに次々と表示されていくグリーンの表示。
身分証明カードOK。
網膜パターンOK。
指紋右左ともにOK。
警備員がうなずき、スイッチを押す。
すると頑丈な扉の中心に入力ボタンが現れる。
理梨子はそのボタンで5桁の数字を打ち込んだ。
暗証番号OK。
理梨子の前で扉が開いた。
触手を何とかしなければ・・・
ドクターに見てもらわなくては・・・
この触手を取らなければ・・・
私はこれからも悪魔を生み出しかねないんだわ・・・
まるで私自身が悪魔のよう・・・
先ほどと同じようなゲートを司令部に行くまでには三つくぐり抜ける必要がある。
その三つ目をくぐり抜けていつもの司令部区画に入ったとき、理梨子は薄笑いを浮かべた。
なんて簡単なのかしら・・・
私が悪魔だったらこの司令部はもう壊滅したも同然だわ・・・
触手ペニスで適当な職員を悪魔にして・・・
うふふ・・・
世界は闇に包まれるわ・・・
悪魔が支配する素晴らしい闇の世界・・・
そこまで考えて理梨子は愕然とした。
私・・・私いったい何を考えたの?
私は・・・どうなってしまったの?
違う・・・
違う違う・・・
私は悪魔なんかじゃない!
あいつに・・・ルシファーに付けられた触手のせいだわ。
一刻も早くこれを・・・
理梨子は司令室へは向かわずにまっすぐにメディカルルームへ向かって行く。
いるかしら・・・
メディカルルームの前で理梨子は少し躊躇う。
なんと言って説明しよう・・・
触手ペニスだなんて言っても信じてもらえるだろうか・・・
「信じるも信じないもないわ。見てもらうしかないじゃない」
理梨子は意を決してノックする。
「ハーイ。どうぞー」
気の抜けたような優しい声。
いつものドクターの声だわ。
理梨子は何となく張り詰めた気が緩むのを感じる。
これはもしかしたらドクターは稀有の才能を持っているのじゃないかしら・・・
医療行為を受けるのは、どうしたってある種の緊張状態に置かれるもの。
それをあの優しい間の抜けた声が取り去っているのかもしれないわ・・・
理梨子はそんなふうに感じて笑みが浮かぶ。
「玖薙理梨子です。お邪魔します」
そう言って理梨子はドアをスライドさせた。
「玖薙司令? どうしたんですか?」
椅子を回転させて入り口の方を向く白衣の女性。
このイェーガー部隊の担当医師、長夜朱鷺恵(ながや ときえ)。
肩までの黒髪ときりっとしたメガネが特徴的だ。
清潔そうな明るい室内で常に隊員の健康を気遣う白衣の美人女医。
まさにそんな形容がピッタリの女性である。
ただ、外見と声のギャップがこれほど激しい女性もめずらしいかもしれない。
彼女の声は幼く間が抜けて聞こえるのである。
先ほどの声だって、くなぎしれー、どーしたんですかーと聞こえてしまうのだ。
もっとも、それは彼女の意図するところなのかもしれないが。
「ドクター、急いで私の躰を調べてください。私・・・悪魔の手で触手を植え付けられてしまったんです」
「?」
きょとんとするドクター。
いきなり何を言っているのかという感じだ。
「ドクター! これは冗談なんかじゃないの。私の躰には悪魔の触手が・・・」
「悪魔の触手? 触手って・・・タコみたいな?」
う・・・
ちょっと違うけど・・・
「に、似たようなものです。それを取り去って欲しいんです」
「と、取り去るって・・・ま、まずは調べてみないと」
理梨子の緊迫した表情にドクターもとりあえずは調べるつもりになる。
悪魔は人が変化するものと、動物が変化するもの、さらには無生物が変化するものといろいろある。
しかし、悪魔に変化せずに一部だけを作り変えられるなどとは聞いたことがない。
「それで、どこに付けられたんですか?」
「・・・・・・」
理梨子は赤くなってしまう。
「司令?」
「それが・・・」
「?」
ドクターが理梨子を見つめる。
「あそこに・・・」
理梨子は真っ赤だった。
「わかりました。そこに寝てください」
ドクターがベッドを指し示す。
理梨子はうなずいた。
スカートと上着を脱ぎ、ベッドに横になる。
ブラウスとパンティストッキングに包まれた躰は女性らしさを誇示していた。
ドクターはストッキングとショーツの上から下腹部を触診する。
柔らかい圧力が下腹部に当てられて、理梨子はちょっと躰を硬くした。
「ごめんなさい。ちょっと探るわね」
ショーツの上から秘部をなぞるドクター。
柔らかい手が敏感なところを撫で、理梨子は疼くような気持ちよさを感じてしまう。
「ど、どう・・・ですか?」
考えてみれば自分で探ってはいなかった。
今朝は見た目で確認しただけだったし、奥まで指を入れるなんてしなかったのだ。
「上からじゃ特に異常は感じられないわね。悪いけど下も脱いでくれる?」
「ええ」
理梨子は一度起き上がって、パンストとショーツを脱いでいく。
下半身を晒すのは恥ずかしいが仕方が無い。
ドクターはカルテを用意してなにやら書き込んでいる。
理梨子は思わず秘部を隠すようにしてベッドに横たわった。
「脱いだわ」
「ありがとう」
ドクターが振り返り、理梨子の下腹部側に回る。
あ・・・
恥ずかしい・・・
理梨子は目をつぶる。
自分の性器が人目に晒されることには慣れていない。
子供を産んだこともないし、男性にそこを舐めさせるようなこともしたことがない。
躰が熱くなる。
心臓がドキドキと早鐘のように打ち始める。
早く・・・
早く終わって・・・
恥ずかしいよぉ・・・
躰が・・・
躰が熱い・・・
あ・・・
あそこが・・・
あそこが疼いちゃう・・・
何も変わったところは無いわね・・・
長夜朱鷺恵は理梨子の性器を覗き込む。
綺麗な性器・・・
あまり使われていないに違いない。
それが理梨子の望んでのことなのか、望まないことなのかはわからないが。
奥側なのかな?
それとも・・・何かの間違い?
イェーガーの司令官職は激務だろう。
精神的に不安定になったとしても仕方がない。
うーん・・・
とりあえずもう少し覗いてみよう。
朱鷺恵がそう思って顔を近づけたとき、理梨子の秘唇から突然“それ”が姿を現した。
「ひやぁっ!」
思わず朱鷺恵は悲鳴を上げて後ろに下がろうとする。
だが、躰のバランスを崩してしまい、後ろに倒れて尻餅をついてしまった。
同時に背後の壁に頭をしたたかに打ちつける。
衝撃でメガネが外れて床に転がった。
「あうぅ!」
「ドクター?」
目を開けて上半身を起こす理梨子。
足元側の床には、脚をM字型に広げて尻餅をついている朱鷺恵の姿がある。
「あたたたたた・・・」
両手で後頭部を押さえてうつむいている朱鷺恵。
「大丈夫?」
理梨子はその様子を覗き込む。
ドクン・・・
心臓が跳ね上がる。
白衣の裾が広がり、スカートの中にベージュのパンストのセンターシームが白いショーツの上にくっきりと見て取れる。
あ・・・
何かがせり上がる。
むき出しにされた秘部から顔を出していた“それ”がむくりと鎌首をもたげた。
「だ、大丈夫・・・」
頭を振って顔を上げた朱鷺恵は息を飲む。
理梨子の股間から伸びる異様なホース。
いや、触手だわ・・・司令の言葉は本当だったんだ・・・
うっすらとそんなことを考える。
「あ・・・ああ・・・」
躰が震える。
目の前の光景に目を奪われる。
綺麗・・・
白のショーツの上に重なる薄いナイロンのベージュ。
そこに隠されている甘美な世界。
入れたい・・・
そこに“それ”を入れたい・・・
柔らかく暖かい素敵な空間。
味わうに相応しい甘い世界。
入れたい・・・
犯したい・・・
犯し・・・たい・・・
触手ペニスが飢えている。
あそこに入りたがっている。
だ・・・め・・・
それは・・・だめ・・・
理梨子は必死に耐えようとするが、触手は理梨子の努力をあざ笑うかのように伸びていく。
「い、いやぁっ!」
後ずさる朱鷺恵。
だが、その悲鳴もどこか間が抜けてるように聞こえてしまうのは不幸かもしれない。
しかも背後は先ほど頭を打った壁しかない。
「し、司令・・・止めてください」
朱鷺恵はその凶悪な外観を持つ触手を見つめる。
その先端は明らかに男のモノだ。
時々咥えて飲んであげるあれにそっくりなのだ。
あの触手がどういったものであるにせよ、あまり好ましい出来事にはならないだろう。
「い、いやぁっ!」
朱鷺恵は悲鳴を再び上げていた。
ああ・・・
ドクター・・・逃げて・・・
ううん・・・
逃げないで・・・
痛くないから・・・
気持ちいいんだから・・・
私の触手ペニスは・・・とっても気持ちいいんだから・・・
ああ・・・
だ・・・め・・・
理梨子はゆっくりとベッドから降り立つ。
触手ペニスを徐々に伸ばして行く。
だめ・・・
こんなことしては・・・だめ・・・
ドクターは逃げ場を探して左右を見ているが、入り口までは遠く、手近に武器になりそうなものもない。
もっとも・・・銃で撃たれたって死ぬような気がしない。
ああ・・・
ドクター・・・
一緒に・・・
一緒に気持ちよく・・・なろう・・・
一緒に・・・
だって・・・
私にはどうしようもないの・・・
これは私のせいじゃないわ・・・
私は抵抗しているのよ・・・
でも・・・
ルシファー様のくれたこの触手ペニスがいけないの・・・
この触手ペニスがとても気持ちいいんだもの・・・
私のせいじゃないわ・・・
這って逃げようとする朱鷺恵の躰を押さえつけるように引き寄せる。
「いやぁ・・・むぐ・・・」
右手で朱鷺恵の口を押さえつける理梨子。
その顔には淫蕩な笑みが浮かび、うねうねとうねる触手ペニスをうっとりと眺めている。
「ああ・・・ごめんなさい、ドクター・・・」
「むぐ・・・むぐぐ・・・」
必死になって身をよじり躰を引き離そうとする朱鷺恵。
だが理梨子の力は信じられないほど強く、振りほどくことがまったく出来ない。
「ああん・・・ドクター・・・だめ・・・だめなの・・・私・・・入れたくて仕方が無いの・・・」
「むぐ・・・むぐぐ・・・」
理梨子の左手は朱鷺恵の白衣の前を開け、ブラウスの隙間から胸を揉み始める。
「むぐー・・・」
朱鷺恵の躰がびくんと跳ねる。
いきなり胸をつかまれて衝撃を受けたのだ。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
理梨子はそう言いながらも胸を揉む手を休めない。
それどころか、理梨子の触手ペニスは朱鷺恵のスカートに侵入し、パンストとショーツを器用にずり下ろして行く。
「むぐ・・むぐぐ・・・」
朱鷺恵の目から涙があふれる。
「ごめんなさいドクター・・・私にもどうしようもないの・・・」
舌で朱鷺恵の涙をすくう理梨子。
かすかな塩味が口に広がる。
ぬぷ・・・
「ヒイッ!」
朱鷺恵の口から悲鳴が漏れる。
触手ペニスが侵入していくのだ。
まだ濡れてもいない朱鷺恵のそこは、触手ペニスを受け入れることなど予想もしていない。
太い異物の侵入にひだが擦れて悲鳴を上げている。
「あぐぅ・・・あぐぅ・・・」
「ああ・・・ごめんなさいドクター・・・痛かったでしょ・・・」
そう言って理梨子は右手ではなく唇を重ねることで朱鷺恵の口をふさぐ。
「あ・・・む・・・」
朱鷺恵は何とか振りほどこうとしたが、理梨子の力は人間のものではない。
ああ・・・助けて・・・雅人・・・
朱鷺恵の脳裏に恋人の姿が映る。
恋人のモノだけを受け入れてきた秘密の箇所に、今、悪魔の触手が入っているのだ。
ん・・・んん・・・
口の中に理梨子の唾液が流れ込んでくる。
それはどうしてか甘く、簡単にのどの奥まで滑り落ちて行く。
理梨子は知っていた。
自分の唾液が獲物の躰をほぐすことを。
彼女の唾液によって、獲物は苦痛ではなく快楽のみを受け取ることになるのだということを。
「ぷあ・・・はあ・・・ごめんなさいドクター・・・でも・・・私・・・とても気持ちいいの・・・」
理梨子はうっとりとして朱鷺恵の顔を見下ろしていた。
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- 2006/05/08(月) 21:02:27|
- 戦隊司令理梨子
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すみませーん。
今日は載せられるほど書けませんでした。
GW中の完成ならず、本当にすみませーん。m(__)m
ということでミリタリーネタを一つ。
表題の「CA」、これは米軍の艦種記号で「重巡洋艦」を表わします。
米軍は艦艇の艦種を艦種記号で表わし、それに数字を組み合わせることで艦番号を決めていました。
例えば戦艦はBattleShipの頭文字をとってB。
Bだけじゃほかに何かと重なることも考えられるので、二つ重ねてBB。
アメリカ最後の戦艦アイオワ級のアイオワはBB-61。
日本が降伏文書にサインした戦艦ミズーリはBB-63となります。
駆逐艦はDestroyerの頭文字でD。
重ねてDDとなります。
一方潜水艦などから船団を護るために建造された護衛駆逐艦はEscortDestroyerとなり、DEという艦種記号が与えられました。
戦力の中心となる航空母艦の艦種記号はCV。
これはAircraftCareerのCareerからCが来ています。
ではVは何か?
これ、実は飛行機の羽根をイメージした文字なんですね。
飛行機(V)を運ぶCareer(C)ということでCVなんです。
原子力空母エンタープライズはCV-65となりますね。
では巡洋艦はどうなるのか?
巡洋艦はCruiser。
その頭文字はCですから、基本的には巡洋艦はCCとなります。
ところが巡洋艦は装甲巡洋艦や防護巡洋艦、偵察巡洋艦など種類が多く、CCだけではまかなうことが出来ませんでした。
おりしもワシントンで海軍の軍縮条約が取り決められ、巡洋艦は8インチ砲搭載のA級巡洋艦と5インチ砲搭載のB級巡洋艦に分けられました。
もうお判りですね。
このA,Bの級分けが重巡と軽巡の分類となり、日本では甲巡と乙巡という分類となったのです。
つまり、A級の巡洋艦だからCA。
これによって米軍の重巡はCAという艦種記号となったのです。
では、軽巡はCBなのかというとそうではなく、LightCruiserの頭文字でCLなんですよね。(笑)
これを知るまでは結構悩んだものです。
HeavyCruiserならCHじゃないのか?
ずっとそう思っていたんですよ。
まあ、答えを知ってなるほどと思いましたけどね。
現在の米軍にはCAもCLもありません。
現在の米軍にあるのはミサイル巡洋艦であり、艦種記号はCGとなります。
GuidedmissileCruiserの頭文字からCGとなるんですね。
ちなみに日本の海上自衛隊の護衛艦はEscortのEではなく、駆逐艦DestroyerのDで、DD-○○が大半です。
駆逐艦なんですね。
それではまたー。
- 2006/05/07(日) 22:10:55|
- 趣味
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「戦隊司令理梨子」の続きですー。
GW中に仕上げられない可能性が大。
舞方君ピーンチ。(笑)
5、
すっとルシファーが手をかざす。
「えっ?」
タイトスカートの中でパンストがずり下がる。
続いてショーツがずり落ちて行く。
「な、な、何?」
私は思わずしゃがみこんで下がったショーツを押さえ込もうとした。
だが、出来なかった。
わたしの躰は私の意思に反してピクリとも動かない。
「あ・・・嘘・・・」
「心配するな。悪いようにはしない」
ルシファーの冷たい笑み。
見る者を凍りつかせる氷の微笑みだわ。
「いやよ! 止めて、止めてぇっ!」
理梨子は叫んだが、躰は直立したままでパンストとショーツを下ろされるがままになっている。
「ふふ・・・」
ルシファーは左手を足元に横たわっている女性の上にかざした。
すると、驚いたことに彼女の躰から一瞬にして全ての衣類が消失した。
「嘘・・・」
生まれたままの姿になった女性。
やや小さめかなと思える胸はそれだけに形が整っていてピンク色の乳首がちょんと上を向いている。
柔らかそうなお腹はたるみもなく子供を産んだお腹とは思えないほど。
叢はきちんと手入れされていて素敵なデルタを描いている。
滑らかに流れる脚のラインはすらっとしてとても綺麗。
「あ・・・」
美しい・・・
綺麗な人・・・
柔らかそうな肉体・・・
素晴らしい秘部・・・
入れたい・・・
あの素敵な秘唇を味わいたい・・・
「え、あっ・・・」
理梨子はハッとする。
今、何を・・・
何を考えたの?
「ふふ・・・どうかな? この獲物は気に入ったかい?」
「え、獲物? ふ、ふざけないで!」
理梨子は内心を見透かされたことに少しうろたえる。
だが、ルシファーはそんな理梨子に笑みを向けるだけだ。
「ふふ・・・」
ルシファーの右手が空を動く。
「あ、えっ?」
理梨子の躰が動き、ハイヒールを脱いで足元に纏わりついたパンストとショーツを脱ぎ捨てた。
「ああ・・・そんな・・・」
下腹部から何かがせり上がる感じがしてタイトスカートの下からあの触手が顔を覗かせる。
「ひぃぃぃぃぃ・・・」
それは恐怖。
自分の躰に異質なモノが存在する恐怖。
だがそれは紛れもなく自分のモノ。
うねうねと伸びて理梨子の顔のところまでせり上がる。
グロテスクな先端。
男のモノの先端にそっくりだ。
それが理梨子に訴えてくる。
早く入れさせて欲しいと訴えてくるのだ。
「あああ・・・」
恐怖感は薄らいで行く。
嫌悪感はすでに無い。
「ふふ・・・立派じゃないか。お前の触手ペニスは」
ルシファーの目が射抜くようにそれを見つめる。
触手ペニス・・・
触手ペニス・・・
触手ペニス・・・
なんて素敵なんだろう・・・
これは私の触手ペニスなんだわ・・・
すっと手を伸ばして触手を掴む理梨子。
そのまま先端を口に近づけると、舌で先端を舐める。
「!!」
腰が砕けてしまいそうな激しい衝撃。
なんて快感。
これが触手ペニスなの?
これを・・・
これをあそこに入れたりしたら・・・
私は・・・
私は狂っちゃう・・・
ルシファーの手が動く。
足元に横たわっていた女性の躰が持ち上がり、向きを変えて足を理梨子の方へ向けた。
「え?」
その脚が左右に開かれ、M字のようにさせられる。
むき出しになった秘部が理梨子の前に晒された。
「あ・・・」
理梨子は息を飲む。
こんなふうに女性のあそこを目にすることなど普通は無い。
素敵・・・
むき出しになった秘部はその隠されていた姿をあらわにしている。
両のひだが理梨子を飲み込もうとしているかのようにかすかに息づいている。
あ・・・
だめ・・・
だめよ・・・
入れてはだめ・・・
必死に目をそらす理梨子。
そうしなければ彼女は手にした触手ペニスを無理やり秘唇にねじ込んでしまいそうだったのだ。
「ふふふ・・・」
意地悪いルシファーの笑い声。
彼の手がまた動き、理梨子の手から触手ペニスがするりと抜け出す。
「あ・・・だめ・・・だめぇ!」
理梨子は手を伸ばして掴み取ろうとするが、触手ペニスはルシファーに導かれるがごとくその先端を女性の秘唇に近づけて行く。
「だめえっ! やめてぇっ!」
そういいながらも理梨子には根元を掴んで引き戻すという考えは出なかった。
「ふふ・・・何を苦しんでいる。これは私に無理やりさせられていること。お前にはどうしようもないのだ。だから・・・楽しめばいい」
「あ・・・」
そうだわ・・・
そうよ・・・
これは私がしているんじゃない・・・
ルシファーにさせられていること・・・
私にはどうしようもないことなのよ・・・
私にはどうしようもない・・・
私には・・・
理梨子の躰の力が抜ける。
差し伸べていた右手が下がる。
その目はただ触手ペニスの先端を見つめ・・・
女性の秘部に入って行くのを見守っていた。
あ・・・
あっけなく“それ”は飲み込まれていった。
温かい・・・
温もりが伝わってくる。
「ん・・・」
女性が声を漏らす。
異物が挿入されたことに躰が反応したのだ。
途端にきゅっと“それ”が挟み込まれる。
あ・・・
思わず腰が浮く。
躰が揺さぶられるような感覚。
気持ちいい・・・
女の内膣って・・・こんなに気持ちよかったんだわ・・・
初めて知る快感。
男性であれば味わえたかもしれないが、女性であればわからない感覚。
しかも理梨子は同時に自分の秘部も疼くのを感じている。
触手ペニスがもたらすものはまさに狂おしい快感。
男性と女性を同時に今理梨子は味わっているのだった。
「あ・・・あああ・・・」
躰が硬くなる。
神経が張り詰める。
全てが触手ペニスと一体になったかのよう。
理梨子は今一個の獣となる。
「ああ・・・あああ・・・」
「ふふ・・・味わうがよい。理梨子よ」
「ああ・・・はい・・・」
すでに自分が何を言っているのかすらわからない。
今この場でルシファーが悪魔の契約を申し込んだとしたら、理梨子は何も読んだり考えたりすること無く契約書にサインをしていることだろう。
触手ペニスが動く。
理梨子の躰も動く。
規則正しくゆっくりと。
それが徐々に早くなる。
女性を引き寄せ、その腰を浮かせるように両手で抱きかかえる。
重力を感じないこの空間で理梨子はしっかりと女性の腰を抱きしめていた。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
じゅぶじゅぶと水音が響く。
愛液が飛び散り、触手ペニスが脈動する。
「ああ・・・いい・・・いい・・・気持ちいい・・・」
もう何がなんだかわからない。
理梨子はただただ触手ペニスが命じるままに腰を振る。
下腹部から何かが突き上げてくる。
それがあの白濁液だということは理梨子は感じていたが、それを吐き出すことを止めるなどとは考えられもしなかった。
「いい・・・いく・・・いくぅ・・・」
腰の動きは激しいビートを刻み、触手ペニスが嬉しそうに跳ね回る。
脈動する長いサオが膨らんだり窄まったりして快楽を双方に送り込んで行く。
「はああ・・・いっくぅぅぅぅぅぅ」
突き上げるような爆発を理梨子は感じた。
頭の中が真っ白になる。
躰がぴんとしなって爪先立ちになる。
全て何もかもが外に向かって放出されていく。
「あああ・・・」
どくどくと注がれて行く白濁液。
それは女性の秘部からあふれ出して垂れ落ちていった。
あーんあーん・・・
泣き声が聞こえる・・・
「う・・・」
理梨子は硬く冷たいアスファルトの上で目を覚ました。
「こ、ここは・・・」
頭を振りながら周囲を確認する理梨子。
ここはマンションの地下駐車場だ。
理梨子は自分の車の脇に倒れていたのだ。
夢? ・・・じゃないわよね・・・
あっ・・・
少し離れた紺色のワンボックスカーのそばにベビーカーがある。
その中からさっきから泣き声が聞こえてくるのだ。
「あ、あの人は?」
あたりを見渡すが見当たらない。
理梨子は立ち上がって服のほこりを払う。
とりあえずは周囲に危険は無さそうだし、赤ん坊が泣いているといってどうしたらいいのかは理梨子にはよくわからなかったからだ。
「?」
ショーツもパンストも穿いている。
いったい・・・
理梨子は下腹部を確かめた。
やはり変わったところは無い。
あのグロテスクな触手ペニスは影も形も感じられなかった。
ルシファー・・・
あの悪魔は私を混乱に陥れている。
奴の手に乗せられたままなのが悔しい。
あーんあーん・・・
「あ・・・」
理梨子は気を取り直す。
あの女性がどうなったかはわからない。
でも、赤ん坊をそのままにはしておけないわ。
理梨子がベビーカーに向かったそのとき、ワンボックスカーの死角から人影が現れる。
「!」
理梨子は息を飲む。
それは理梨子が触手ペニスによって犯したあの女性であり、ベビーカーの赤ん坊の母親だった。
本来なら彼女が現れたことで赤ん坊のことは任せてもよく、理梨子は自分のことを考えて司令部へ向かうことができるはずだった。
だが・・・
彼女は裸だった。
しかも、そのことを恥ずかしがる様子も無く、薄く笑みを浮かべて裸足でベビーカーに向かって行く。
「あ、あなた・・・」
理梨子は背中に寒いものを感じる。
いったい何が・・・
私が・・・
私が彼女を犯したから?
私のせいなの?
「お、奥さん!」
理梨子の声に彼女が振り向く。
その口元には淫蕩な笑みが浮かび、形良い胸を惜しげもなく晒している。
「うふふふ・・・」
「あ・・・」
理梨子がたじろぐ。
この女は・・・
「うふふふ・・・」
彼女は理梨子から再びベビーカーに注意を向けて近寄って行く。
「や、やめなさい! 離れて!」
理梨子は車のドアを開け、ダッシュボードから銃を取り出そうとする。
私はいったい何をしようとしているの?
私があの人をああさせてしまったのではないの?
理梨子はそう思いながらも拳銃を取る。
チャンバーに弾を込めるためにシリンダーをスライドさせていつでも撃てるようにする。
この島国で拳銃の所持を認められている数少ない職業の一つがイェーガーの司令官職である。
しかし、だからと言ってダッシュボードに入れておくのは違反行為だ。
いつ盗難に遭ってもおかしくは無いのだから。
だが、いつも持ち歩いているハンドバッグに入れて歩くのはいやだった。
どうしてもその重さが彼女に周りの人間と違うことを思い起こさせる。
だから理梨子は普段は拳銃を車のダッシュボードに入れてあったのだ。
「止まって! 止まりなさい!」
拳銃を裸の女性に向ける理梨子。
その足がぴたりと止まる。
あーんあーん・・・
赤ん坊の声だけが地下駐車場に響く。
「くす・・・」
女が笑う。
「!」
理梨子は拳銃のグリップを強く握り締めた。
彼女は普通じゃない。
でも・・・
それは私のせいなの?
「私を撃つんですかぁ? 理梨子様ぁ」
「理梨子様ですって?」
女の口から発せられた言葉に驚く理梨子。
「うふふ・・・ええ、理梨子様」
裸の女性は嬉しそうに両手を広げてその姿を誇示するかのよう。
「あなたに様付けで呼ばれる理由なんて私には無いわ」
美しい・・・
その裸体は紛れも無く美しかった。
だが・・・
同時に不気味でもあった。
あのルシファーと同じように彼女からは闇を感じるのだ。
悪魔・・・
彼女も悪魔なの?
「そんなことはありませんわ理梨子様。あなたは私を生まれ変わらせてくださった素晴らしいお方。私・・・とっても感謝しておりますの」
自分の躰をかき抱くように両手を胸の前でクロスさせる。
「動かないで!」
撃つの?
私はこの人を撃つの?
私は・・・この人を・・・撃てるの?
「うふふ・・・無駄ですよ理梨子様。そんなものでは私は傷付きませんわ。理梨子様によって生まれ変わったんですもの」
彼女は冷たく微笑む。
あーんあーん・・・
赤ん坊の泣き声と彼女のくすくす笑いが耳についた。
「生まれ変わったですって?」
理梨子がにらみつける。
「ええ。私は生まれ変わったの。全て理梨子様のおかげですわ」
「どういうこと?」
「うふふ・・・こういうことですわ」
理梨子は目を見張った。
彼女の肌が青白く変色して行く。
両の耳が尖って行く。
背中に大きな黒いコウモリのような羽が現れる。
両手の爪は鋭く尖り、お尻の辺り、おそらく尾てい骨から伸びた尖った黒い尻尾がヒクヒクと動いている。
悪魔。
文献に出てきた女悪魔「サキュバス」の姿に他ならない。
「サ、サキュバス!」
「うふふ・・・ええ、ですがより正確にリリムとお呼び下さいませ理梨子様」
ぺろりと舌なめずりをするリリム。
その真っ赤な舌と真っ赤な唇は見る男性をまさに虜にしてしまうだろう。
知性を備えた強力な悪魔と言ってよい。
「うふふ・・・いかがですか理梨子様。あなたの生み出された悪魔リリムは?」
「わ、私が・・・」
「ええ、そうですわ理梨子様。うふふ・・・」
美しかった。
目の前のリリムはとても美しかった。
黒い背中の羽が広がり、指先を舐める舌がとても魅力的。
赤い瞳は男を誘惑するものだが、理梨子も吸い込まれるようなその瞳に見惚れていた。
「うふふ・・・」
リリムはベビーカーに近寄り、泣いている赤ん坊を抱きかかえる。
止めなければ・・・
理梨子は拳銃をリリムに向ける。
「可愛いわ・・・私のシンちゃん」
リリムは両手で赤ん坊を高く掲げる。
そしてオムツカバーを取り外すとその可愛らしい性器をむき出しにした。
止めさせなきゃ・・・
止めさせるのよ・・・
相手は悪魔・・・
私は悪魔を・・・
だが、理梨子は引き金を引けない。
リリムが愛しかったのだ。
美しいリリムが愛しかったのだ。
私の・・・リリム・・・
理梨子は唇を噛む。
「うふふふ・・・シンちゃんの性器、美味しそう」
リリムは長い舌で赤ん坊の小さな性器の先を舐める。
あーんあーん・・・
自分に何が起こっているのかを理解しない赤ん坊はただ泣き喚くのみ。
「たっぷり味わってあげるわね。私のシンちゃん」
リリムはぞっとするような邪悪な笑みを浮かべると、赤ん坊の性器に口を付ける。
そしてまるでチュウチュウという音が聞こえるような感じで赤ん坊の精気を吸い取り始めたのだ。
「や、止めてぇ!」
理梨子はついに目をそらす。
だが両手は言うことを聞かなかった。
引き金を引くことも出来ずに立ち尽くす理梨子。
赤ん坊の泣き声が小さくなっていく。
どれぐらいの時間がたったのだろう。
理梨子にはわからない。
ただ目の前の出来事を黙って見ているだけだった。
「うふふ・・・美味しかったわぁ」
干からびてしまい泣き声も上げなくなった赤ん坊を無造作に放り投げるリリム。
「ああ・・・」
がっくりと膝から崩れ落ちるように地面に膝をつく理梨子。
私は・・・
私はなんてことを・・・
悪魔を生み出したばかりか・・・その悪魔を撃つことさえ出来ない・・・
「うふふ・・・さよなら・・・理梨子様」
そう言ってリリムは背中の羽を広げる。
「ま、待ちなさい!」
理梨子が顔を上げる。
しかし、リリムの姿はすでにそこには無かった。
あとには絶望に打ちひしがれた理梨子だけが残されていた。
[ちょっと後味悪いかも]の続きを読む
- 2006/05/06(土) 18:21:12|
- 戦隊司令理梨子
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うーん・・・
せっかくの休日なのに今日は乗りが悪かったです。
なので少しだけ・・・
4、
「えっ?」
目を覚ます理梨子。
布団を跳ね除ける。
「え、えっ?」
周囲を見回してみる。
ここはベッドの上。
マンションの自分の部屋。
「え・・・夢?」
自分の躰を確かめる。
パジャマを着ていたが、ズボンを下ろして下腹部を確認する。
「何も・・・ない・・・?」
あの不気味な触手は見当たらない。
「はあ・・・ふう・・・」
胸をなでおろす理梨子。
「よかった・・・」
何がなんだかわからないけど・・・
きっと昨日のことが心にあってあんな夢を見たんだわ。
私がもう少し早く・・・
ピピピッピピピッ・・・
目覚ましのアラームが鳴る。
「はあ・・・行かなきゃ・・・」
アラームを止めると、理梨子はパジャマを脱ぎ捨てて顔を洗うためにベッドを後にした。
「無い・・・」
昨日着ていたはずの紺のスーツが・・・無い。
どうして・・・
私・・・ベッドで寝ていたわ。
あれは夢じゃないの?
思わず下腹部をさする理梨子。
「調べてもらった方がいいかもしれないわね・・・」
ブラウンのスーツを取り出して着替える理梨子。
身支度を整えてマンションを出る。
地下駐車場。
夕べはここで・・・
違う・・・あれは夢・・・
夢なのよ・・・
理梨子は自分の車に近づいていく。
「こんにちは」
「!」
背後から掛けられた声に思わず躰が硬くなる。
振り向いた理梨子の目にベビーカーを押した若い女性が映る。
はあ・・・
張り詰めた気が一瞬にして緩む。
下の階の方だわ。
なんて名前だったかしら・・・
「これからお仕事ですか?」
「あ、ええ」
理梨子はうなずく。
時間はすでに10時過ぎ。
普通のサラリーマンなら出勤時刻はとっくに過ぎている。
しかし、イェーガーの司令である理梨子は基本的にはフレキシブルである。
実際問題として夜間活動することが多い悪魔に対しては、夜間の仕事になることの方が当然多いのだ。
だから理梨子は大体午前11時ぐらいに本部に出勤することが多い。
「お気をつけて」
「はい」
にこやかに会釈をしてワンボックスに向かう女性の姿を何の気なしに眺める。
髪の毛を自然に掻き揚げる姿が美しい。
ぞく・・・
背中から腰にかけての曲線が艶めかしい。
ぞく・・・
歩いていくその足のラインが素敵。
ぞくぞく・・・
「えっ?」
下腹部に妙な感じを覚える。
「えっ? な、何・・・?」
何かがせり上がってくる。
ショーツが・・・パンストが・・・わずらわしい。
「あ・・・ああ・・・」
入れたい・・・
「えっ?」
わ、私は何を・・・
もぞ・・・
「ひあっ?」
まさか・・・
まさか・・・私・・・
悪夢がよみがえる。
ショーツが盛り上がる。
タイトスカートの前が膨らんでくる。
「いや、いやぁっ!」
理梨子はしゃがみこんでしまった。
「えっ?」
ベビーカーを押していた女性が振り向く。
「ああ・・・大丈夫ですか?」
車の脇でしゃがみこんでしまった理梨子に、彼女は駆け寄ろうとする。
きっと何か起こったに違いないと思ったのだ。
「こ、来ないで!」
下腹部を押さえて理梨子が叫ぶ。
「?」
一瞬立ち止まる女性。
しかし、下腹部を押さえて苦しんでいるように見える理梨子をほうっては置けない。
「お腹が痛いんですか? 私、看護師なんです。ちょっと見せてください」
最悪だ・・・
理梨子は唇を噛む。
こんな自分を知られたくない・・・
私は・・・
私は・・・
『ふふふふふ・・・』
笑い声が聞こえる。
聞き覚えのある冷たい笑い。
ルシファー・・・
理梨子は周りを見渡した。
「キャアッ!」
近寄ってきていた女性が悲鳴を上げる。
彼女の足元が闇に覆われ始めていたのだ。
「な、何?」
見る間に闇は彼女を駐車場の床に飲み込んで行く。
「お、奥さん!」
理梨子が声をかけるが、彼女はすっぽりと闇に飲み込まれてしまっていた。
「そ、そんな・・・」
『さあ、宴の始まりだ』
ルシファーの声とともに、理梨子の足元もまた闇が口を開けていた。
「ああっ」
理梨子は手を伸ばそうとしたが、その手は何も掴むことは出来なかった。
二回目ともなると無重力状態にも慣れてくる。
だからと言って身の置き所のない感覚は気持ちいいものではない。
「ルシファー! あなた・・・」
きっとなってルシファーをにらみつける理梨子。
闇の中に夕べと同じように彼は立っているのだ。
その足元には先ほど闇に飲み込まれた女性がいる。
気を失っているのか目をつぶっていた。
「ようこそ、玖薙理梨子」
笑みを浮かべるルシファー。
すらっとした躰に黒のスーツがよく似合っている。
「あなたの狙いは私のはず。その人を解放しなさい!」
「ふふふ・・・」
「何がおかしいの!」
理梨子はルシファーの態度に怒りを覚える。
「彼女は特別ゲストだよ。君のためのね」
「私のため?」
ルシファーはうなずいた。
- 2006/05/05(金) 21:34:22|
- 戦隊司令理梨子
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「戦隊司令理梨子」の第三話です。
いよいよ悪魔が動き出しましたー。
3、
「!」
理梨子が振り向いた刹那、闇が理梨子を覆いつくす。
「な、何?」
思わず払いのけようとするが、もちろん払いのけられれるものではない。
濃密な闇は理梨子の自由を奪い、その意識を遠くさせて行く。
い、いけない・・・
理梨子は唇を噛んで痛みで気を引き締める。
闇の向こうにうっすらと人影が見えるが、黒い影に過ぎず男とも女ともつかない。
何者なの?
まさか・・・私が異形存在対策委員会のイェーガー部隊の司令官と知って?
まさか・・・
ありえないわ。
私は単なる大学から出向して協力している者に過ぎないことになっている。
少なくともデータ上はそうなっていて、私がイェーガー部隊の司令官と知る者はごくわずかのはず。
理梨子は霞む目を必死に見開き、相手を確かめようとする。
男?
闇の中に浮かび上がる長身の人影。
すらっとした躰は黒い服のせいで闇に溶け込んでいる。
対照的に白というより青白い顔。
冷たい笑みが浮かんでいる。
まだ若い青年。
だが、強い力を感じる。
人間ではないのかもしれないわ・・・
「ふふ・・・」
青年がかすかに笑う。
だ、だめ・・・か・・・
彼がすっと手を振ったとき、理梨子の意識は薄れて行ってしまった。
「ハッ!」
理梨子は目を覚ます。
周囲はやはり闇。
躰がふわふわとしてまるで無重力の中に浮いているよう。
「こ、ここは?」
躰を起こそうとするが、すでに起きているのかもしれない上につかみ所がない。
「身動きが・・・」
躰を動かすことはもちろん可能だったが、動かしても何も変わらない。
これでは動かす意味が無いのだ。
「いったい・・・ここは・・・」
周囲を見渡す理梨子。
「ふふふ・・・どうやらお目覚めのようだね、玖薙理梨子」
理梨子の真上、いや、正面なのか?
そこに先ほどの青年が立っていた。
しかも逆さに。
「あ、あなたは何者?」
理梨子は相手をにらみつける。
「ふふ・・・我が名はルシファー。と言ったら信じるかな?」
「信じないわね」
薄く笑う理梨子。
確かに悪魔の一員かもしれないが、好き好んで悪魔の帝王の名を使いたがる者ほど小物であることが多かったのだ。
「正直なことだ。イェーガーの頭脳は切れ者だというのは本当らしい」
「私が何の頭脳ですって?」
理梨子は心底驚いた表情をしようとする。
悪魔に気取られるわけには行かないのだ。
だが、上手く行ったかどうか・・・
「ふふふ・・・可愛い努力をする。美しく聡明な女性は私の好みだよ」
ぞっとするほどの冷たい笑み。
人間には浮かべることは出来ない笑みかもしれない。
「それはどうも」
躰を動かして、何とか“ルシファー”ときちんと向き合おうとする理梨子。
さかさま同士では上手く会話できない。
「内閣府異形存在対策委員会、対悪魔戦専門部隊イェーガー隊司令官玖薙理梨子。年齢25歳。東都大学生物学及び構造物理学など六つの博士号を持つ才女。対悪魔戦用強化スーツ開発の玖薙純一博士の一人娘」
ルシファーはすらすらと理梨子の経歴をそらんじ始める。
「えっ? な、なぜそれを?」
「5歳の時に母玖薙路子(くなぎ みちこ)と死別。寂しさを紛らわし、かつ父親の気を惹くために勉学に専念。中学高校ともに抜群の成績を残す」
こいつはなぜそこまで・・・
私の資料を調べたとしてもこれほど詳しくは・・・
理梨子はルシファーを驚いた表情で見つめる。
「東都大学一年の時、好奇心から処女を捨てる。以後大学三年までに五人の男と性交渉を持つも性行為に快楽を感じず、さらに大学三年の9月に複数の男子学生により陵辱を受ける」
「!」
ばかな・・・
あのことは誰も知らないはず・・・
「ど、どうしてそれを・・・」
「以後、性行為を極端に嫌悪し学業及び研究に没頭するようになり現在に至る・・・こんなところかな?」
「き、貴様・・・」
理梨子はルシファーを厳しくにらみつける。
傷をえぐるような許せない言葉をこいつは発したのだ。
許せない・・・
理梨子はルシファーに掴みかかろうとする。
しかし闇が躰を上手く制御させてくれない。
「ルシファー!」
理梨子は叫んだ。
理梨子の叫びにもルシファーは動じない。
「喚くな。私はお前に性の快楽を与えてやろうというのだ」
「性の快楽?」
理梨子はぞっとする。
悪魔の常套手段の一つ。
人間の性欲を利用して力を強化する。
女性を犯し食う。
男性を犯し食う。
悪魔のやることは同じ。
ただ人間の性別に合わせて男性型の悪魔や女性型の悪魔がいるだけ。
こいつは私を犯して食うつもりなんだわ・・・
それは理梨子にあのことを思い出させる。
恐怖と苦痛・・・
そして、無力さ・・・
「遠慮しますわ。私は別に性の快楽など求めてませんから」
「ふっ。はたしてそうかな? 遠慮するな」
「ふざけないで! あなたに犯されるぐらいなら死を選びます!」
理梨子はキッパリと言い放つ。
「犯す? 何を誤解しているんです?」
ルシファーはにやりと笑う。
「えっ?」
「犯すのは・・・あなたなんですよ」
「えっ?」
理梨子は絶句した。
「ふふふ・・・ほら、御覧なさい」
ルシファーが理梨子自身を指し示す。
「えっ?」
理梨子は自分自身を見下ろす。
どこも変わったことはない。
どこも・・・変わっては・・・
もぞ・・・
「?」
紺色のタイトスカートが盛り上がる。
「えっ?」
それはまるで男が欲望をたぎらせた時に起こる変化に似ている。
もぞ・・・
ひあ・・・
躰に電気が走ったかのよう。
何かが下腹部で蠢いている。
「な、何?」
思わずスカートをめくってみる理梨子。
目の前のルシファーの視線など無視するしかない。
美しい黒いストッキングに覆われた太ももがあらわになる。
「ええ?」
そのストッキングのパンティ部分と白いショーツがこんもりと膨らんでいる。
しかもその膨らみはもぞもぞと動き、それにつれて理梨子は下腹部に鈍い心地よさを感じて来始めていた。
「あ・・・はあ・・・は・・・」
「・・・」
理梨子の口からふと吐息が漏れる。
その様子をルシファーは深く青い瞳で見つめていた。
やがてショーツがずり落ち、パンティストッキングのゴム部分を乗り越えて太い触手状の物体が顔を覗かせる。
「ひあっ」
理梨子の目が驚愕に見開かれる。
その触手状の物体はまさしく男の股間に生えているモノの先端を模していた。
「ああ・・・嘘・・・嘘よ・・・」
「ふふふ・・・素敵な触手ですよ。これからはあなたが好きにその触手を使いなさい」
ルシファーの言葉はまるで死刑宣告のように理梨子の耳に入る。
「これを取って。取ってぇ!」
思わず両手に触手を握り締める理梨子。
「ひゃうっ!」
背筋に得体の知れない感覚が走る。
触手に突き上げるものを感じ、その先端に透明な液がにじみ出てくる。
「あひゃあ・・・な、何これ・・・あはあ・・・」
腰が浮く。
背中が持ち上がる。
つま先が丸くなる。
躰がしなる。
「はあ・・・はああ・・・はあ・・・」
理梨子は触手を握り締める。
そのまま無意識のうちに上下に扱き始めていた。
「はあ・・・はあ・・はあ・・・」
ドクンドクン・・・
心臓が早鐘を打つ。
気持ちいい・・・
すごく気持ちいいよ・・・
あ・・・
何か来る・・・
で・・・
でちゃう・・・
でちゃうよ・・・
「で、でるぅぅぅぅ」
理梨子の扱く触手の先端から勢いよく白く粘る液体が放出される。
それはすごい量を振りまいて理梨子の躰を白く染めた。
「あ・・・あはあ・・・」
感じたことのない快楽は理梨子の脳髄を焼き尽くすようだった。
うっとりと余韻に浸る理梨子。
その姿をルシファーは満足そうに眺めていた。
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- 2006/05/04(木) 22:27:54|
- 戦隊司令理梨子
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今日はリアルで友人たちとTRPGをしてきましたー。
「ダブルクロス」と言うゲームで、超能力を持つ者とそれを悪用する者といういわゆるX-MENぽいゲームということでしたが、私はX-MENを見たことがなかったので、類似性についてはいまいち飲み込めません。
それよりも久し振りにプレイヤーをやったので、疲れましたー。(笑)
私は全体像が把握出来るマスターの方が好きで、プレイヤーはあまりやらないことが多く、プレイヤーはホント久し振りだったんですよ。
キャラとして状況を考えて行動するのは、結構頭を使います。
マスターなら、ある意味プレイヤーの行動を聞いてからそれに対処すればいいだけですので、私にとっては楽なんですよね。
結構他の方々はマスターの方が大変だと言って、マスターを敬遠する人が多いんですけどね。
でも楽しかったー。
また近いうちにやろうっと。
それではまた。
- 2006/05/03(水) 21:44:44|
- TRPG系
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あうー・・・
アラクネの活躍に期待してくださった皆さん、すみません。
アラクネの出番はあれで終了です。
お許しを。
2、
とぼとぼとビルの入り口に現れる三人の姿。
肩を落として痛々しい。
『状況・・・終了・・・』
ルビーの苦しそうな声が流れてくる。
「ご苦労様。後は清掃局に任せなさい」
『了解です・・・司令』
入れ代わるように数人の作業服姿の清掃局員がビル内に入って行く。
悪魔の痕跡を消去し、その存在を知らせないようにするためだ。
三人はふと立ち止まると、いったん後ろを振り返りまた歩き始めるのだった。
「スーツの着装解除を確認。イェーガーの任務終了です」
スクリーンの前に座ってコンソールを操作していた女性が優しい声で言う。
「ご苦労様。美紅(みく)ちゃん」
「いえ、司令もお疲れ様でした・・・あの・・・」
立ち上がり振り替える館花美紅(たちばな みく)。
二十歳になったばかりの若い女性だが、その情報処理能力はかなりのものだ。
幼い表情を浮かべる童顔の彼女は、その小柄さとも相まっていつも歳より若く見られる。
オペレーターとしていつもそばにいてくれる彼女に、司令はいつも助けられていた。
「何?」
「あの・・・お気になさらないで下さい。司令は精いっぱいのことをなされたのですから」
その言葉に優しく微笑む司令。
「大丈夫よ。ありがとう」
「あの・・・」
そっと手を上げてさえぎる司令。
「心配いらないわ。あなたも凖待機に戻ってちょうだい。今日はもう・・・いいでしょう」
「はい、失礼いたします・・・司令」
一礼して司令部を出て行く美紅。
紺色のタイトスカートのスーツ姿がよく似合っている。
「ふう・・・」
机に顔を伏せる司令。
「もう少し早く特定できていれば・・・」
その言葉は苦々しかった。
西暦200X年。
国内には闇が広がりつつあった。
いつの世にも存在したはずの悪魔。
人間の欲望を形にしたといわれるその悪魔が跳梁し始めていたのだ。
各国は歴史的に悪魔に対する対策を司ってきた教会を中心として悪魔の封じ込めを計ったが、この極東の島国は教会の勢力が弱いこともあり、悪魔対策は後手に回ることが多かった。
この状況に政府は危機感を感じ、試験的に悪魔対策を専門とする部署を立ち上げたのだった。
「内閣府異形存在対策委員会」
それがその専門部署の部署名だった。
だが、教会と違い悪魔対策のノウハウがあるわけではない異形存在対策委員会は、所詮各省庁の情報の渦の中から悪魔に関すると思われるものを選り分ける部署に過ぎなかった。
もちろん警察庁を傘下に置く国家公安委員会も防衛庁も消防庁を傘下に置く総務省も、はては海上保安庁を傘下に置く国土交通省も、いきなり出来上がって悪魔に関する情報をよこせと言ってくる異形存在対策委員会に協力する気持ちは生まれるはずがなかった。
結局悪魔に関する事件は各都道府県警察が対応することが多く、悪魔の存在を基本的に信じるはずのない警察としては奇妙な事件として結論付けられるのが落ちだった。
その状況が多少なりとも変わってきたのは、悪魔に対抗するための戦力として退魔スーツが試作されたことによる。
本来は防衛庁が開発させようとしていた個人用強化スーツが原点であるのだが、玖薙純一(くなぎ じゅんいち)博士が目を付け、自己の裁量によって対悪魔用の戦闘スーツとして完成させることにしたのだ。
異形存在対策委員会も玖薙博士を支援し、その試作品が完成したのが数ヶ月前。
ただ、そのスーツで悪魔に対抗するにはある種の能力が必要だった。
いわゆる超能力とも言うべきもの。
悪魔の超常能力に対抗するためには、スーツを着る人間もまた超能力をもたねばならない。
スーツはその能力を飛躍的に強化して発揮するためのものなのだ。
その能力を持つものを異形存在対策委員会は探してみた。
その結果集められたのが三人の女性だった。
古住皐月(こずみ さつき)
添嶋晶(そえじま あきら)
東堂恋(とうどう れん)
この三人がリストアップされ、それぞれの特質に合わせてスーツが調整される。
そのスーツ調整の最中に不慮の事故で玖薙博士を失ったものの、博士の一人娘でありスーツ開発の協力者でもあった玖薙理梨子(くなぎ りりこ)が後を引き継ぎ、スーツを完成させていた。
その後試験的とはいえ悪魔対策に投入された三人のスーツ戦士は「イェーガー」と呼ばれ、悪魔退治に成果を上げつつある。
ただ、異形存在対策委員会への風当たりはまだまだ強く、その成果もまだ疑問視されるような状況であるため規模拡大など望むべくもなく、予算面からも人員増強が図れないために戦士たちを統括する司令官に玖薙理梨子が当たることになり、小数の要員とともに悪魔に対峙しているのだった。
しかも悪魔との戦闘に当たる「イェーガー」たちが女性ばかりであるという事実は、男性上位の政府部門には不評であり、警察や自衛隊の猛者を集めて悪魔に当たらせようとする動きが形を成して「清掃局」を作り上げ、異形存在対策委員会に不備があればいつでも取って代わろうとしており、油断することは出来ない。
現状はとりあえずイェーガーが悪魔と戦い、清掃局は周辺の確保などに当たることになっているものの、その協力関係は決して良好ではなかったのだ。
「はあ・・・」
席を立つ理梨子。
「イェーガー」部隊の指揮などという任務を負わせられるとは思わなかったが、スーツの調整やデータ収集を初めとして結局は関わらなければならないのだ。
それに悪魔という存在を放置することもできはしない。
携わるのならば中心にいるほうが何かと都合がいいだろう。
そう思って司令官職を引き受けたのだった。
だが、やはり畑違いの職である。
決して上手に指揮を取れているとは言いがたい。
今日の件についてもそうだ。
警察からの情報が入るのが遅かったとはいえ、アラクネの習性から言えばそういう犠牲者が出るのは当然と考えるべきだったのだ。
あの少女を救えなかったのはイェーガーの三人が悪いのではない。
私が悪いのだ・・・
理梨子はそう思っていた。
「帰ろう・・・」
司令部を出る理梨子。
大きなスクリーンとさまざまな機器類。
そしてオペレータとしての美紅の席があるぐらいだ。
だが、この小さな部屋が悪魔にかなりのダメージを与えていると言ってもいい。
なかなか認めてはもらえないが、この数ヶ月でイェーガーの三人が屠った悪魔の数は十指にあまる。
これは各国の教会の実績と比べても遜色ないどころかトップクラスだろう。
悪魔に横の繋がりがあるとすれば、イェーガーの三人とこの司令部に勤務する人々はかなり忌々しい存在ではないだろうか。
もっとも・・・
悪魔に横の繋がりは感じられない。
普通の悪魔は現れると無差別に人間を襲い食うものがほとんどだ。
アラクネのように知性的な悪魔はほとんどいない。
おそらく悪魔というのはこの地球上の生命とは異質な生命体というだけなのかもしれない。
だが、人類にとっては脅威であるには違いないのだ。
悪魔の増加が何を意味するのか。
聖書で言うところの黙示録が始まっているのかもしれないわね。
そんなことを考えながら理梨子は身支度を整えて司令部のある建物を後にした。
夜更けの町。
すでに深夜をとうに過ぎ明け方も間近い。
マンション地下の駐車場に車を止めた理梨子は、車を降りてエレベーターに向かう。
その背後に人影が現れたのはその時だった。
- 2006/05/02(火) 22:16:14|
- 戦隊司令理梨子
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本当に本当にありがとうございます。m(__)m
これも皆様の応援の賜物。
これからも自分が書いていて楽しく、かつ皆様に読んで楽しんでいただけるようなSSを書いていきたいと思いますので、応援よろしくお願いいたします。
もちろんミリタリーネタも書いていきますよー。
それではまた夜にお目にかかりますね。
[ありがとうございます。25万アクセス行きました。]の続きを読む
- 2006/05/02(火) 11:22:44|
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