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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

白狼

ファンの皆様に石を投げられそうですー。
ファンの皆様お許しを。ww

ソロモンでの一コマです。
ローネフェルトが結構可愛いかも。(笑)

「目標、前方に行動中の敵巡洋艦! 敵艦の下方より接近して撃沈する」
『『了解!』』
私は苦笑する。
いがみ合っているのか仲がいいのか・・・
アヤメもパットも妙に息が合っている。
天空を駆ける三機のモビルスーツ。
YMS-15ギャン。
機動性は申し分ないわ。
さすがに次期主力と目されただけの事はある。
でも・・・
格闘戦闘に特化しすぎているわ。
宇宙では遮るものなど無い。
絶えずベクトルを変化させねば軌道を読まれる。
その瞬間にそのモビルスーツの運命は決まってしまうわ。
できることなら接近戦闘は避けたいのが本音だけど・・・
射撃しようにも射撃できる武器が・・・ねえ・・・
「各機! 援護射撃! 私は敵艦へ突っ込む!」
『『了解!』』
急減速をし、バズーカの照準を合わせるMS-09Rリックドム二機。
互いにカバーをしあっているのは無意識のなせる業なのか?
私は速度を上げギャンを敵艦の下方へ回りこませる。
その間にもリックドムのジャイアントバズの曳光弾が私の脇をかすめて行く。
敵艦は船体をロールさせ、その主砲を使えるように向けてくる。
さすがリーザだわ。
対空機銃の曳光弾がすぐさま私の方に伸びてきた。
爆発しない訓練弾だと思っていても気持ちのいいものではないわね。
その間にもジャイアントバズの訓練弾がブリュメルの一番砲塔と右舷エンジンを直撃して発光ペンキをぶちまける。
これでブリュメルは半身不随。
下手したら撃沈されている。
私はギャンを左舷エンジンに取り付かせ、ビームランスを突き刺すまねをした。
「ドーン! 敵艦撃沈!」
『ふう・・・さすがねマリー。手も足も出ないわ・・・』
リーザの肩をすくめた姿がスクリーンに映し出される。
「モビルスーツの機動性に追随できる戦闘艦艇は存在しないわ。巡洋艦はモビルスーツと戦ってはいけないのよ」
『まさにその通りね。敵のモビルスーツが出てきたらマリーに任せるから。最近噂の白い奴もね』
リーザがウインクする。
白い奴・・・
ガンダムとか言われているモビルスーツ・・・
連邦の試作機らしいが、実戦でかなりの戦果を上げているという。
敵のプロパガンダだとはわかっているが、少年兵が操縦しているとも聞く。
連邦は目立つのを承知でモビルスーツのカラーリングをそのガンダムに合わせているのだ。
だから今ではほとんどの敵モビルスーツは白い奴と言えるわね。
「冗談でしょ。連邦の宣伝の的にはなりたくないわ。白い奴は白同士で白狼様にお願いするわよ」
『マツナガ大尉ね? 会えたの?』
「いいえ、残念ながらね」
『くすっ。向こうも山猫さんには会いたがっているらしいわよ』
リーザが笑う。
白狼様が会いたいって言ってくれてるなんて・・・
なんか嬉しいわね。

『お姉様、接近する機影が!』
アヤメがすぐに私のそばに接近する。
パットはブリュメルのブリッジ直上に占位して接近する機影に対応した。
「敵味方識別は? ここはソロモン海よ」
『待って、後方に艦艇もいるわ。味方識別信号ブルー。味方ね』
リーザからデータが届く。
さすがに識別能力は巡洋艦にはかなわない。
『軽巡ドリュッケンとその所属機のようね。モビルスーツ隊の指揮官はアナベル・ガトー大尉』
アナベル・ガトー?
聞いたこと無いわね。
私はスクリーンに映っている機影をクローズアップした。
ブルーグリーンとグリーンのツートンカラーのリックドム?
それにしては全体のフォルムがちょっと違うような気もする。
パーソナルカラーの持ち主か・・・
私も申請したら許可は得られるかもしれないけど・・・
気に入った色も無いしね・・・
『こちらは巡洋艦ドリュッケン所属のアナベル・ガトー大尉だ。そこの巡洋艦。このあたりで何をしている!』
『こちらは巡洋艦ブリュメル艦長のリーザ・オスハイマー少佐だ。訓練航海の途中である。司令部の許可は得ているが?』
『これは失礼しました。現在ソロモンは第一級警戒態勢に入りました。全艦艇はベララベラ空域、サヴォ空域、ガダルカナル空域、ラッセル空域の内側まで後退せよとのことですので』
後退?
どういうこと?
『後退とは急なことだわ。何かあったの?』
おそらくリーザはすぐにレーザー通信を行なっているはず。
ソロモンはなんと言ってくるか。
『サイド6で交戦があり、一個艦隊が壊滅。コンスコン少将が戦死なされました』
コンスコン少将が戦死?
ドズル中将の信任厚いあのコンスコン機動部隊の司令官が・・・
一体連邦軍はどれほどの戦力をサイド6空域に展開していたのか?
『コンスコン少将が戦死? それは・・・一体どうして・・・』
リーザにとってはショックだろう・・・
巡洋艦アウリアは一時期コンスコン艦隊に配備されていたこともあるのだから・・・
『連邦の白い悪魔です。連邦の木馬と白い悪魔がよってたかって・・・無念です』
『そう・・・ありがとうガトー大尉』
『ハッ! それでは失礼いたします。われわれはまだパトロールの途中なので。行くぞ! カリウス』
『ハッ、大尉殿!』
二機のリックドムは機首をひるがえす。
私は敬礼してその機影を見送った。

ソロモンの宇宙港に入港するブリュメル。
宇宙港は騒然としていた。
『新型は何機あるんだ? 一体?』
『手空きのメカマンはすべて第1宇宙港へ向かわせろ!』
『MA-08の整備にはいくら人手があったって足りないんだ! 手空きでなくてもいい! 回せる人数は回せ!』
私はこの喧騒の中ギャンの整備を整備員に任せてそこらをぶらつく。
リーザはコンスコン少将の件を詳しく聞くのと、今後の戦闘行動について司令部に打ち合わせに行った。
連邦の白い悪魔・・・
今まではただのプロパガンダだと思っていたわ・・・
連邦のよくある戦果誇張。
確かに連邦軍は優勢に違いない。
だけど試作機を駆る少年兵が華々しい戦果を上げるなんて考えられないわ・・・
でも・・・
たった一隻の白い母艦、木馬と呼ばれる母艦と、その搭載機はガルマ中将を撃破し、ランバ・ラル中佐を撃破し、有名な黒い三連星すら撃破したという。
その白い悪魔が現れたとき・・・
私は勝てるのだろうか・・・

『お姉様ぁ』
一体のノーマルスーツが向かってくる。
私は苦笑する。
今の呼びかけは全ての兵の耳に入ったに違いない。
頼むから止めて欲しいのだけど・・・
『こちらにいたんですかぁ、お姉様ぁ』
アヤメは誰はばかることなく私に抱きついてきた。
「アヤメ、や、やめなさい」
私はアヤメを引き剥がす。
『ああん、お姉様ぁ』
残念そうに離れるアヤメ。
「こんなところで抱き合っても仕方ないでしょ。それよりもどうしてここへ?」
『はい、それではベッドで』
私はきっと真っ赤になっていただろう。
宇宙港内の全ての視線が私に集中したかのように思える。
「ア、アヤメ」
『す、すみませんですぅ。お姉様にお客様なんですぅ』
バイザーの奥で舌を出すアヤメ。
「お客様?」
『はい、この方ですぅ』
アヤメが背後に控えている人物を紹介する。
『シン・マツナガ大尉殿とおっしゃる方です』
「イッ!」
私は息を飲む。
「は、初めまして白狼様。おうわさはかねがね」
私は気を付けをして敬礼する。
『こちらこそ。シン・マツナガだ。噂の山猫に会えて光栄だ』
ノーマルスーツ越しの落ち着いた声が流れてくる。
立派な口ひげを蓄えたたくましい男性。
『この戦争はまだ続く。無駄死にはするな』
「ありがとうございます。白狼様もご無事で」
私はマツナガ大尉の手を取る。
ノーマルスーツ越しだというのに暖かく感じられるわ。
『ではまた会おう。今度はア・バオア・クーかグラナダかも知れんが』
私はどきっとした。
ソロモンは・・・
ソロモンでは敵は防げない?
「お言葉ですが白狼様のセリフとは思えません」
何を言っているのだろう私は・・・
まるで小娘のように駄々をこねている。
敵の物量を考えればうなずけるのに・・・
『うん? ハハハハ・・・悪かった。貴公の言うとおりだ』
頭を下げるマツナガ大尉。
「いえ、こちらこそ失礼いたしました」
私も頭を下げる。
『では失礼する』
立ち去って行くマツナガ大尉。
私は敬礼をして見送った。

『お姉様ぁ』
再び抱きついてくるアヤメ。
「ア、アヤメ」
『渡しません。あの人にはお姉様は渡しませんですわぁ』
「あの人?」
『今の人ですぅ。お姉様の目は恋人を見るような目でしたぁ』
アヤメは必死になって抱きついてくる。
恋人?
ああ・・・そうか・・・
私は白狼様に憧れていたんだ・・・
でも・・・
「アヤメ。あの人は私なんかにはもったいないわ。私では釣り合わない」
『当然ですぅ』
む・・・
そう正面きって認められても・・・
『あの人じゃお姉様には役者不足ですぅ。お姉様には男なんてもったいなさすぎますぅ』
あはは・・・
私は苦笑した。

「新たな命令?」
私はブリュメルの艦長室に呼ばれていた。
リーザが受けてきた命令について、私が呼び出されていたのだ。
「ええ、我がブリュメルはリヒャルト・ウッズマン大佐指揮下の艦隊に編入。チベ級重巡ワルトラント及びムサイ級軽巡スタメルとともにソロモンを離れて単独任務に就きます」
リーザが冷蔵庫から飲み物のチューブを取ってよこす。
「なぜ? なぜこの時期にソロモンを離れなくてはならないの?」
私はチューブを受け取り、キャップをひねる。
「木馬捜索と退治よ」
リーザの表情が険しくなる。
「木馬? 木馬を退治ですって? 三隻で?」
私はチューブに口を付けることも忘れて首を振る。
「無理よ。コンスコン閣下のことを忘れたの? 三隻の艦隊と十二機の09Rが手も無くひねられたのよ!」
「放置しておくわけには行かないでしょ!」
リーザの口調が荒くなる。
私は驚いた。
リーザも苦悩していたのだ。
「でも・・・わざわざこちらから出て行くことは無いわ。木馬だってこのソロモンへ向かっているのでしょう?」
「それがね、どうも木馬は単独で我が軍の連絡線を脅かすつもりらしいわ。それにね、サイド6からはシャア大佐率いる部隊が木馬追跡に向かっているらしいの」
ああ・・・そういうことか・・・
ドズル閣下はコンスコン艦隊を失ってメンツを潰された。
その上シャア大佐に木馬を沈められてはキシリア閣下に会わせる顔が無いというわけね・・・
「わかったわ。あの娘たちに伝えておきます」
私は飲み物をすする。
いつに無く苦い味がしたような気がした。
「頼むわ。ところで聞いた?」
「えっ? 何を?」
「ふふふ・・・もうソロモンでは有名よ。ブリュメルの可愛い子猫たちは男に興味が無いんだって」
私はもう少しで飲み物を吹き出すところだった。
アヤメの奴・・・
「ソロモンの士気を低下させた罪は重いわよ。独身男性兵士はみんな愕然としたんだから」
「あ、あれは・・・」
「まあ、いいんじゃない。ウザウザと言い寄られても迷惑だしね」
リーザが笑っている。
私は早々に艦長室を後にした。

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  1. 2006/04/25(火) 20:40:55|
  2. ガンダムSS
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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