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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

セミ女直属戦闘員

今日はちょっと短いですがセミ女の6回目です。
無計画さ浮き彫り・・・orz

それでもここまでこられましたー。
楽しんでいただければ幸いです。

6、
「恵畑先生」
呼びかけられた紀代美は急いで指先に擬態を施す。
美しい外骨格がひ弱な指先に変化するのを見て、紀代美は少し寂しさを感じた。
「あ、何ですか? 野戸先生」
「あなた・・・やる気あるの?」
腕組みをして紀代美を見下ろしている野戸理奈子。
「えっ?」
突然のことに戸惑う紀代美。
「困るのよね、あなたみたいのがいると」
「えっ?」
何のことだか紀代美にはわからない。
「あなたのせいで矢際先生が増長するのよ。他の先生の迷惑になるのがわからないの?」
「そ、そんな・・・」
そんなこと言われても・・・
紀代美は唖然とする。
いつもは味方になってくれていたはずの野戸先生がそんなふうに思っていたなんて・・・
それに私ばかりじゃなく他の先生方だって矢際先生に追従しているじゃない・・・
「いじめってのはね、いじめられる方にもかなりの原因があるの。いつもビクビクおどおどしているから付け込まれるのよ」
あきれたように紀代美を見つめる理奈子。
「・・・・・・」
口をつぐんでしまう紀代美。
こういった場合は言い返せばかえって相手に反撃されてしまう。
紀代美はじっとうつむいてしまった。
「あなた聞いてるの? あなたみたいなのがいると困るって言っているの。辞めちゃったら? どうせたいした能力もないんだし・・・」
ギリ・・・
悔しさに歯噛みする。
どうしてそんなことを言われなくちゃならないの?
私が能力ないってどうしてあなたにわかるの?
そんなにあなたは優秀なの?
改造された私以上に?
「矢際先生も先生だけど、あんたもあんたなのよ。見ていると鬱陶しいたらありゃしない」
頭ごなしに言い放たれる。
鬱陶しい?
鬱陶しいのはあなたの方よ・・・
ただの人間のくせに・・・
私は改造されているのよ・・・
あなたなんかとは違うのよ・・・
この私より優秀ですって?
たかが人間のくせに笑わせないでよね!

「お黙り」
「えっ?」
うつむいた紀代美の発した言葉に一瞬耳を疑う理奈子。
「黙りなさいって言ったのよ」
ゆっくりと顔を上げる紀代美。
その表情に怒りが浮かんでいる。
「あ、あなた・・・」
「能力がないですって? 鬱陶しいですって? あなたにそんなことを言われる筋合いはないわ」
「ふん。口だけは一人前? それとも開き直りかしら?」
紀代美から感じる不気味さを押し殺して強がる理奈子。
いつも感じる弱さは微塵も感じられない。
「ただの人間のくせに!」
紀代美は立ち上がるとすっと右手を伸ばして理奈子の首を握り締める。
「くだらない人間のくせに!」
「ぐ、がはっ」
紀代美の右腕が上に伸び、理奈子の躰が持ち上がる。
「あ、げほっ、た・・・たひへへ」
真っ青になる理奈子。
「恵畑先生!」
「恵畑先生、止めてください!」
職員室に残っていた教師たちが止めに入る。
殺してやる・・・
殺してやる・・・
殺してやる・・・
人間なんて・・・殺してやる・・・
「あがが・・・」
「恵畑先生!」
「恵畑先生!」
男性教師二人が両側から紀代美と理奈子を引き離そうとする。
殺して・・・えっ?
ハッとする紀代美。
わ・・・私は・・・
私はどうしたと・・・
はあ・・・はあ・・・はあ・・・
心臓がドキドキする・・・
躰が興奮している・・・
殺したくて仕方が無い・・・
だめよだめよだめよ・・・
人を殺すなんてだめよ・・・
でも・・・
どうしてだめなの?

「恵畑先生!」
「放しなさい、恵畑先生!」
「あ・・・」
右手を離す紀代美。
崩れ落ちるように倒れこむ理奈子。
男性教師が抱えるように理奈子を支える。
「あ・・・私・・・私・・・」
紀代美は走り出していた。
職員室にはいられない・・・
ロッカーから鞄を持ち出すと紀代美は学院を飛び出していった。

「あーあ・・・飛び出して行っちゃいましたよ、エイミー様」
ハエロボットからの映像をスクリーンで見ていた官子が心配そうに言う。
「上出来よ。あそこまで行動させられたんですもの。あと一押しで彼女はセミ女として覚醒するわ」
エイミーの口元には余裕の笑みが浮かんでいる。
「それにしても回りくどいですねぇ。いつものエイミー様ならさっさと洗脳しちゃうんじゃないですか?」
「言ったでしょ。これも実験のうちなの。宗教などという物を使って洗脳を行なう神彌弥に対抗するためにも、洗脳に関してのデータは多ければ多いほどいいのよ」
エイミーのこめかみがヒクヒクとひくつく。
それだけエイミーは首領の寵愛を受けている神彌弥という存在が気になるのだった。
「あはは・・・そ、そうなんですか・・・」
官子はただ苦笑せざるを得ない。
この二人の確執が首領の目論んだものなのか、はたまた意識せずにこうなってしまったものなのか。
それは官子にもわからない。
もっとも、対抗意識を燃やしているのはエイミーの方だけかもしれないが・・・
そのとき電子音が鳴り、スクリーンの脇にあるコンソールが明滅する。
「あ、通信が入っていますよ。エイミー様」
「つないでちょうだい」
ムチを手にスクリーンに向き直るエイミー。
「了解です」
てきぱきとコンソールパネルを操作する女戦闘員。
すぐにスクリーンが切り替わり、見慣れた姿が映し出される。
聖光女学院の合唱部部長、西来響子だ。
だがそれは普段の制服姿ではなく、光沢のある紺色のレオタードを着込み、背中から躰の両側を通って前にまでまわってきている半透明の翅のようなマントを羽織っているうえ、胸元にはセミの口のような鋭い口吻の付いたマスクが下がっている姿だった。

響子はすっと右手を胸に水平にして一礼をする。
「セミ女様直属女戦闘員01よりご報告いたします。学院の女性教師に音波催眠をかけ、セミ女様の覚醒を促すことに成功いたしました。引き続きセミ女様の覚醒を促すよう作戦行動を続行いたします」
西来響子、いや、すでに官子によって洗脳と改造を施されたセミ女直属女戦闘員01はエイミーに受けた指示を忠実に実行するべく、その途中経過を報告してきたのだ。
「ご苦労。あの教師には後催眠をかけて騒ぎ出さないようにしなさい。警察にでも駆け込まれたりしたら面倒だからね」
エイミーが細かな指示を出す。
ある程度はやはり指示を出してやらねばならないのだ。
「かしこまりました。そのようにいたします」
一礼をして通信を切る女戦闘員01。
「さあ、そろそろ仕上げにかかるわよ。うふふふ・・・」
エイミーの顔に満足そうな表情が浮かぶ。

[セミ女直属戦闘員]の続きを読む
  1. 2006/04/15(土) 20:11:04|
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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