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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

再会

ローネフェルトの続きです。

懐かしい方が登場です。

『固定完了。お疲れ様でした、大尉殿』
私は06FZを整備兵の手に渡すと、傷付いたYMS-11を眺める。
表面装甲があちらこちら傷付き、よく無事に戻ってこられたものだと思う。
「ミナヅキ少尉は?」
『医務室です。念のためと言うことでしたが』
「そう、ありがとう」
私はうなずく。
怪我の具合はたいしたこと無いとは思うけど・・・精神的なものが問題ね。
「アクト・ザクは修理できそう?」
『現状ではとてもとても。何せ地上から上がってきたばかりの試作品ですからね。部品がまったく無いんですよ』
「それはそうね」
基本的な問題だわ。
機体だけあればモビルスーツはいいってものじゃない。
それを動かすためには膨大な量の維持補修部品が必要なのだ。
それがまったくないYMS-11は張りぼてに過ぎないと言うことね。
『補給艦にも無いでしょうからね・・・正直言って廃棄処分かもしれません』
「わかったわ。残りの二機の整備を万全にお願い」
『了解です。大尉殿』
敬礼する整備兵に私も敬礼を返してその場を去る。
とにかく医務室にいるアヤメの様子を見てこなければ・・・

「どうですか? 彼女の容態は?」
医務室に入った私は軍医少尉にそう尋ねた。
「怪我らしい怪我はありません。とりあえず今は落ち着いて眠っています」
奥のベッドを指し示す軍医少尉。
そこには落ち着いた表情で眠っているアヤメの姿があった。
「何があったんですか? 麻薬でもやっているんじゃないんでしょうね?」
軍医少尉の鋭い視線。
麻薬は軍隊には付き物だ。
前線の兵士たちが出撃前に使うことは多々あるらしい。
もっとも、当然発覚したら憲兵隊に捕まってしまうけど。
「麻薬なんかじゃないわ」
もっと性質が悪いものよ・・・
そう言いかけて私はとどまる。
言ったところで解決にはならないし、アヤメがまたモルモットにされるのが落ち。
そんなことにはさせたくない。
できればアヤメは戦争など無いところ・・・そう、サイド6あたりで平和に暮らして欲しいもの。
「そうでしょうか? まあ、血液検査をしてみればいいことでしょうが、あいにくそんな暇も無いですし」
「しばらく寝かせて置いてください。大丈夫だと思いますから」
「はい。わかりました、大尉殿」
渋い表情でうなずく軍医少尉。
私はアヤメのそばへ行ってそっと頭を撫でると医務室を後にした。

「補給艦との会合までは?」
シャワーを浴びて着替えた私は艦橋にお邪魔する。
本来ならパイロットはパイロットの控え室があるのだが、正規のモビルスーツ隊が配属されていないこのブリュメルでは、一人で過ごすことになってしまう。
そこで私は艦長と知己であると言う多少の特別性を利用して、艦橋へ入ることを許可してもらったのだ。
「もう間もなくよ、そろそろキャッチできてもいいんだけどね」
リーザが艦長席からこちらを向く。
我が軍の軽巡は艦長のみシートが与えられていて、他の乗員は立ちっぱなし。
もちろん無重力だから躰への負担は少ないが、急激な機動をする時に不便なのではないだろうか。
「前方にデブリ! 急速接近!」
「相対速度は? 船体に影響はありそう?」
宇宙で戦争をやっていると当然破壊される艦船やモビルスーツが発生する。
それらは破壊された時の速度を維持したまま飛び交うことになるのだ。
その中には船体やモビルスーツに実体弾としてダメージを与えるものも存在する。
そのためデブリはバカにできない障害なのだった。
「相対速度小。船体ダメージを及ぼすほどのデブリは感知できません」
「ではこのままの速度を維持。衝撃に備えよ!」
リーザの指令が全艦に通達される。
「マリーはそこの補助シートに着いて」
「了解」
私は壁に備え付けてある補助シートを倒して座り、衝撃に備えた。
がんがんと言うデブリが船体に当たる音が不気味に響く。
この近辺で戦闘があったに違いない。
このあたりのデブリなら、四、五日もすれば地球へ落下するはずだからだ。
「ミルヒ・クー(乳牛)との会合ポイントです・・・が」
「あれは?」
リーザが息を飲む。
「ミルヒ・クーだ! パモアがやられたんだ・・・」
そこには残骸となって漂っているパプア級補給艦「パモア」の姿があった。

「周囲を索敵! 同時に生存者を探して!」
状況から言っておそらく望みの無い命令であることはリーザもわかっているはず。
しかし一人でもいい、誰か生き残っていて・・・
私はすぐに双眼鏡を取り出して艦橋の強化ガラスから外を見る。
先ほどのデブリはこれだったんだわ。
速度の大きいデブリはとっくに飛び去ってしまい、速度のほとんど無いデブリだけが漂っていたんだ。
だから相対速度が小さかったんだわ。
「戦闘があったのはおそらく昨日あたりね」
リーザも艦長席を出て双眼鏡を眺めている。
せめて脱出ポッドの一つでも回収できれば・・・
「艦長、あれを!」
観測員が指差す方を私も見る。
漆黒の宇宙空間にぽつんと一つ光るものがあった。
「脱出ポッド?」
「違います、モビルスーツのようです」
確かにそうだわ。
あれはモビルスーツ。
MS-09ドム?
違うわね、09Rリックドムだわ。
「回収作業かかれ!」
「了解!」
リーザの指示の元、回収作業が始まった。

『固定作業終了』
『ハッチ開放!』
私もハンガーデッキにやって来て作業を見守る。
幸いなことに09Rはほとんど損傷もしておらず、自力航行可能だったようで、発見されるとすぐにブリュメルに着艦してきたのだった。
それにしても・・・
いまさらながらに09は重量感がある。
『救出ありがとうございました。宇宙攻撃軍第251モビルスーツ大隊所属、パトリシア・ノイマン准尉です。乗艦許可願います』
えっ?
『乗艦を許可します。ようこそブリュメルへ』
整備班長がきちっと敬礼して出迎える。
09Rのハッチからスマートなノーマルスーツが姿を見せ、すっと下りてくる。
『乗艦許可ありがとうございます。補給艦パモアで待機中に襲撃を受け、どうにか発進したんですが、敵を追い払うのが精いっぱいでパモアは撃沈され、私も残存推進剤がほとんどなくなってしまったので救助を待っていたところでした』
『そうでしたか。とりあえずご無事で何よりでした。後ほど艦長にお引き合わせいたします』
『よろしくお願いいたします』
穏やかな優しい声。
間違いないわ。
「久し振りね、ノイマン准尉」
『えっ?』
ノーマルスーツが振り返る。
バイザーの奥の表情がみるみる驚愕の表情に変わる。
『中尉殿!』
あのパトリシアが今私の目の前にいた。 [再会]の続きを読む
  1. 2006/04/02(日) 21:16:43|
  2. ガンダムSS
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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