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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

久し振りにエロゲー買ってきました

先週発売された「蝿声の王」(さばえのおう)を買ってきました。
デジタルゲームブックということで、懐かしさを感じつつインストール。
したまでなんですよ。まだ。(笑)

で、一緒に買ってきたのが「魔法少女アイ2plus」

前作「魔法少女アイ」は出た当時に手に入れて楽しんだんですが、2の方は手に入れていなかったですよね。

まだ途中なんですが、登場人物が可愛いですねぇ。
絵柄は好みが正直分かれるところかと思いますが、アイとリンの二人の魔法少女のストーリーはなかなか楽しめます。

まだエンドを迎えていないのですが、悪堕ちエンドが無いかなぁ。

今日は短いですがこれにて。

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  1. 2006/04/30(日) 21:21:38|
  2. PCゲームその他
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TRPGの追加職業です

以前掲載したオリジナルTRPGの追加職業を掲載しますねー。

よければ使ってみてください。

追加職業

モンク・・・最低必要数値、運動9以上&精神4以上
肉体を武器に戦いを行なう僧侶の一形態です。
前衛で戦うのに向いていますが、防御力は低めです。
主たる攻撃は己の肉体で行ないます。
そのため武器に関してはかなりの制限を受け、さらに動きの制限される鎧を着ることもできません。
僧侶魔法が使えます。

使用可能武器は棍棒のみ。
着用可能な鎧は通常の衣類かレザーアーマーのみ。
シールドの使用は不可。

モンク専用武器
武器             攻撃力
殴る              1D6
蹴る              1D6+2

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  1. 2006/04/29(土) 19:29:14|
  2. TRPG系
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連邦の小艦隊

バーナード君登場ですー。
戦機が熟しつつありますよー。

「パゾク級輸送艦ブラデア、出港します」
「よし、続いてワルトラントが出港するわ。本艦はその次に続く」
出港作業中のブリュメルのブリッジ。
私は遠ざかって行く輸送艦を眺めている。
この重要な時期にここを離れなければならないとは、さぞ・・・
「マツナガ大尉? あれに乗っているの?」
「ええ、そのようだわ」
背後から掛けられたリーザの声に私は答える。
窓外を出港して行く重巡ワルトラント。
艦隊旗艦として赤く塗装された船体に見慣れない機体が載っている。
YMS-14ゲルググ。
いや、つい先日正式採用された機体だからMS-14か・・・
重量感ある機体は機動性に富み、ビームライフルを搭載している。
優秀な機体らしい。

ウッズマン機動部隊には目いっぱいのモビルスーツが回されてきている。
ワルトラントに六機。
ブリュメルに三機。
スタメルに三機。
ドズル閣下の執念が乗り移ったかのよう。
コンスコン閣下の仇討ちとはいえ、これほどの戦力を回すに値する存在。
連邦の白い悪魔・・・
それはすでに単なる一機のモビルスーツではないんだわ。
連邦の象徴となってしまい、ジオンにとってはその撃破こそが重要となってしまっている。
でも・・・
それは連邦の思惑に嵌まってしまっているのではないだろうか・・・
現に連邦は木馬を単独で後方撹乱に使用している。
われわれはそれに踊らされるように木馬に戦力を差し向けては消耗しているわ。
このモビルスーツがソロモンから減少したことで、ソロモンが不利になるとも思えないけど、現時点で木馬に向かうのは時期が悪すぎる。
なぜ?
私は納得行かなかった。

航行する艦隊。
サイド5へ俺たちは向かっている。
コロンブス級の輸送艦をベースに改装を施した簡易型モビルスーツ母艦とサラミス級の巡洋艦が二隻。
わずか三隻の小艦隊だが、その任務は重要だ。
“あの”第13独立艦隊の後方支援である。
ジャブローはあの第13独立艦隊を囮専門としてジオンの戦力を引き付ける役割を押し付けたらしい。
だが、一隻で次々と押し寄せるジオンの攻撃を跳ね除けるのは至難の業だ。
そこでレビル将軍は宇宙艦隊司令のティアンム提督と図り、背後から支援を行なうべくこの艦隊を派遣してきたというわけだ。
試作品を中心としたイレギュラーズとある意味いつ沈められてももったいなくない小艦隊を使って、ジオンの戦力を分断させることができるのならこれに越したことは無い。
だが、その消耗品とみなされた艦隊に配備された兵士は、その任務が重要だといわれたところで慰めにはならないな。

「浮かない顔しているわね? バーナード中尉殿」
喫煙コーナーでタバコを吸っていた俺に声を掛けてくるブルネットの長い髪の女性。
無重力が彼女の髪をさらさらとひるがえさせている。
「こんなところへわざわざどうしたんですか? エリアルド大尉殿」
俺はタバコの煙を彼女に掛からないように、排煙装置目掛けて吐き出していく。
「うふふ・・・お互い呼びなれない階級になっちゃったわね」
俺のそばに座って髪を掻き揚げるソフィア・エリアルド大尉。
このコロンブス改型モビルスーツ母艦「ガンビア・ベイ」の主戦力であるジム小隊の隊長である。
連邦空軍のパイロットとしてフライマンタに乗っていた時期に俺の命を救ってくれたことなど、彼女は知る由もないだろうな。
結局俺もそのことを告げるでもなく彼女とはこうして一緒に過ごしている。
前衛に出るジム小隊の彼女を俺のボール小隊が援護する形なのだ。
「そうですね」
俺は苦笑する。
乗艦を沈められたり、同僚を失ったりしながらも、ただ生き残っているというだけで俺は中尉に昇進した。
昇進したのならジムぐらい回して欲しいものなのだが、まわってきたのはバッジだけ。
相変わらずの棺桶暮らしというわけだ。
「ねえ、お願いがあるんだけど・・・中尉殿」
上目遣いで俺の顔を覗き込んでくるエリアルド大尉。
「なんですか? 大尉殿?」
俺はまたタバコを吸う。
艦内時間は深夜01:00。
本来なら寝ていなくてはならない時刻だ。
「抱いて・・・」
「ぶはっ、がはっ、げほっ」
俺は咳き込んだ。
いきなり何を・・・
「怖いの・・・」
俺の腕にすがってくるエリアルド大尉。
「大尉・・・」
「次の出撃をしたら帰って来れないかもしれない・・・そう思うと怖い」
「大尉・・・」
俺はタバコを灰皿に放り込み、大尉のか細い肩を抱いてやる。
「ボールでの出撃は3回が限度と聞いているわ。4回目を生き残るのは至難の業。でもあなたはすでに5度の出撃をして帰ってきている」
それは事実だ。
ボールのような棺桶はパブリクと同じくらいに帰還率が低い。
俺の部下たちもすでに幾人も死んでいる。
ボールでモビルスーツとやりあうこと自体が無謀なのだ。
「お願い。中尉の強運を分けて欲しいの。私の内膣に」
「大尉・・・俺は強運なんかじゃありませんよ。俺が生き残ったのは、単に敵がボールなどいつでも落とせるから無視されたまでです。敵が本気で“キャッチボール”に来たら、すぐにアウトにされちまう」
「ううん、そんなこと無い。あなたは生き延びているわ。もちろん運だけじゃない。それだけの技量を持っているの。だから・・・」
俺の顔を見つめているエリアルド大尉。
その青い瞳が吸い込まれそうなほどだ。
「大尉、今の自分の気持ちをあまり本気にしないほうがいい・・・これから出撃で気が昂ぶっているんですよ」
こんなセリフ・・・誰かが言っているだろうな・・・
「違う・・・違うわ。私・・・抱いて欲しいの・・・あなたに恐怖を静めて欲しいの・・・他でもないあなたに・・・」
「大尉・・・本当に俺でいいのか?」
俺は彼女を抱きしめる。
「ソフィア・・・」
自分の名を呼んで欲しいのか大尉はファーストネームを俺に告げる。
「わかった、ソフィア。俺の部屋に行こう」
俺はソフィアを連れて喫煙ルームを後にした。

「旗艦ワルトラントより入電。木馬の情報つかめず」
「ふう・・・」
ブリュメルの艦橋にため息が流れる。
ソロモンを出港以来三日。
木馬の行方は杳として知れなかった。
サイド6を出てソロモンに向かったのなら、そろそろ出会ってもおかしくない。
ルートを変えた?
ソロモンへは来ないというのか?
リーザも落ち着かない様子だ。
ウッズマン司令はカリカリしている。
木馬も捉えられず、ソロモンでの戦闘にも参加できないとなれば、遊兵と化したこの艦隊はいい笑いものだろう。
「ワルトラントより再度入電。索敵のためにモビルスーツを発進させろとのことです」
「チッ! 了解したと伝えろ」
リーザの返事を聞いた私はすぐに艦橋を出る準備をする。
「マリー、お願いね」
「了解。索敵線は何線?」
ヘルメットを被りながら確認する。
「二線出すわ。一機は手元に置いておきたいから」
「了解。それじゃアヤメを残しておくわね」
「気をつけてね」
「うん、ありがと」
私は首もとのシールを嵌めながらハンガーデッキへ向かった。

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  1. 2006/04/28(金) 22:12:32|
  2. ガンダムSS
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零式水上観測機

海上での戦闘は火薬の発明以来大砲を撃ち合ってきました。

大砲の射程がさほどでもなかった時期には、大砲のそばの砲員が目で見て修正していましたが、射程が延びるにしたがってそれではおぼつかなくなってきてしまいました。

そこで各艦艇は砲撃指揮所を高いところに設けるようになりました。
なぜなら、地球は丸いため、低い位置からは見えない所でも高いところからは見ることができたからです。

各国の砲撃を主任務とする艦艇、いわゆる戦艦はそのためにマストの頂上に砲撃指揮所があるのですが、日本の戦艦はその砲撃指揮所までを塔のような艦橋構造物で構築したために、重厚な艦橋となり浮かぶ城と形容されるに至ったのです。

ところが、その高いマストの頂上からでも見ることのできなくなるほど遠距離にまで、大砲の弾が届くようになってしまいました。

陸上であれば砲撃観測用の気球を上げることで、遠距離着弾の観測を行なうことが出来ましたが、高速で動き回る戦艦の上に気球を上げることはできません。

そこで第一次世界大戦で実用化の域に達した航空機により、着弾観測を行なうようになったのです。

陸上の空中戦が、その着弾観測機を撃ち落すために始まったのと同じように、海上での空中戦もその戦艦に対する着弾観測機を撃ち落すことから始まったのです。

つまり、上空の制空権を確保した方が一方的に着弾観測が出来るため、圧倒的に有利になりますが、そのための制空権確保のための航空戦力において、大日本帝国海軍は不利となることが予想されておりました。

何せ相手はアメリカ海軍です。
航空機の数で勝ると予想されるアメリカ軍に対し、日本海軍は戦艦搭載用の着弾観測機にも敵機との空戦能力を持たせるべきであると結論付けました。

零式観測機はその思想の元に設計された観測機でした。

複葉機という旧式な外観であり、かつ7.7ミリ機銃三丁という軽武装ではありますが、その機動性は非常に高く、フロート付きの水上観測機でありながらも空戦能力は高いものでした。

特に格闘戦闘においては、零戦改造の二式水上戦闘機よりも上だったとの評価が下されており、太平洋の島々に派遣された水上機部隊の戦闘機として重宝されたのです。

700機ほど生産された本機は、太平洋戦争での名機としてその名を残したといえるでしょう。
  1. 2006/04/27(木) 22:00:35|
  2. 趣味
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久しぶりに見ましたー

近所のビデオレンタルショップで旧作一本百円というタイムサービス(笑)をやっていたので、何となく見たくなって「仮面ライダー」を借りてきました。

昭和のいわゆる一号ライダー編です。
クモ男から始まり、コウモリ男、サソリ男、サラセニアン、カマキリ男、死神カメレオン、蜂女、コブラ男、ゲバコンドル、ヤモゲラス、トカゲロンと重傷を負って二号ライダーにチェンジするまでの一クール13話。

今見ると確かに古さは否めませんが、いいですねぇ。

怪奇シリーズと銘打っていただけあって恐怖感を演出するのに結構力を入れていますよね。

緑川博士や本郷猛を襲う女戦闘員もエロさよりも不気味さ満点。

溶解液などで溶かされるシーンも発泡スチロールあたりを溶かしているんでしょうが、ちゃんと溶けている感じが出ています。

まあ、毎週やるには予算的な面などがあったのか、第二クールの二号ライダー編になると単に倒されるだけで、怪人も爆発して終わりになりますし、雰囲気も明るいものに変わります。

それはそれでいい面もあるのですが、やはり第一クールの不気味なショッカーというのは捨てがたいですよね。

久し振りに堪能いたしました。
また不気味な組織に改造されるおにゃのこのSSが書きたくなりますねー。
今度はどんな話にしようかな。
  1. 2006/04/26(水) 21:53:46|
  2. 映画&TVなど
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白狼

ファンの皆様に石を投げられそうですー。
ファンの皆様お許しを。ww

ソロモンでの一コマです。
ローネフェルトが結構可愛いかも。(笑)

「目標、前方に行動中の敵巡洋艦! 敵艦の下方より接近して撃沈する」
『『了解!』』
私は苦笑する。
いがみ合っているのか仲がいいのか・・・
アヤメもパットも妙に息が合っている。
天空を駆ける三機のモビルスーツ。
YMS-15ギャン。
機動性は申し分ないわ。
さすがに次期主力と目されただけの事はある。
でも・・・
格闘戦闘に特化しすぎているわ。
宇宙では遮るものなど無い。
絶えずベクトルを変化させねば軌道を読まれる。
その瞬間にそのモビルスーツの運命は決まってしまうわ。
できることなら接近戦闘は避けたいのが本音だけど・・・
射撃しようにも射撃できる武器が・・・ねえ・・・
「各機! 援護射撃! 私は敵艦へ突っ込む!」
『『了解!』』
急減速をし、バズーカの照準を合わせるMS-09Rリックドム二機。
互いにカバーをしあっているのは無意識のなせる業なのか?
私は速度を上げギャンを敵艦の下方へ回りこませる。
その間にもリックドムのジャイアントバズの曳光弾が私の脇をかすめて行く。
敵艦は船体をロールさせ、その主砲を使えるように向けてくる。
さすがリーザだわ。
対空機銃の曳光弾がすぐさま私の方に伸びてきた。
爆発しない訓練弾だと思っていても気持ちのいいものではないわね。
その間にもジャイアントバズの訓練弾がブリュメルの一番砲塔と右舷エンジンを直撃して発光ペンキをぶちまける。
これでブリュメルは半身不随。
下手したら撃沈されている。
私はギャンを左舷エンジンに取り付かせ、ビームランスを突き刺すまねをした。
「ドーン! 敵艦撃沈!」
『ふう・・・さすがねマリー。手も足も出ないわ・・・』
リーザの肩をすくめた姿がスクリーンに映し出される。
「モビルスーツの機動性に追随できる戦闘艦艇は存在しないわ。巡洋艦はモビルスーツと戦ってはいけないのよ」
『まさにその通りね。敵のモビルスーツが出てきたらマリーに任せるから。最近噂の白い奴もね』
リーザがウインクする。
白い奴・・・
ガンダムとか言われているモビルスーツ・・・
連邦の試作機らしいが、実戦でかなりの戦果を上げているという。
敵のプロパガンダだとはわかっているが、少年兵が操縦しているとも聞く。
連邦は目立つのを承知でモビルスーツのカラーリングをそのガンダムに合わせているのだ。
だから今ではほとんどの敵モビルスーツは白い奴と言えるわね。
「冗談でしょ。連邦の宣伝の的にはなりたくないわ。白い奴は白同士で白狼様にお願いするわよ」
『マツナガ大尉ね? 会えたの?』
「いいえ、残念ながらね」
『くすっ。向こうも山猫さんには会いたがっているらしいわよ』
リーザが笑う。
白狼様が会いたいって言ってくれてるなんて・・・
なんか嬉しいわね。

『お姉様、接近する機影が!』
アヤメがすぐに私のそばに接近する。
パットはブリュメルのブリッジ直上に占位して接近する機影に対応した。
「敵味方識別は? ここはソロモン海よ」
『待って、後方に艦艇もいるわ。味方識別信号ブルー。味方ね』
リーザからデータが届く。
さすがに識別能力は巡洋艦にはかなわない。
『軽巡ドリュッケンとその所属機のようね。モビルスーツ隊の指揮官はアナベル・ガトー大尉』
アナベル・ガトー?
聞いたこと無いわね。
私はスクリーンに映っている機影をクローズアップした。
ブルーグリーンとグリーンのツートンカラーのリックドム?
それにしては全体のフォルムがちょっと違うような気もする。
パーソナルカラーの持ち主か・・・
私も申請したら許可は得られるかもしれないけど・・・
気に入った色も無いしね・・・
『こちらは巡洋艦ドリュッケン所属のアナベル・ガトー大尉だ。そこの巡洋艦。このあたりで何をしている!』
『こちらは巡洋艦ブリュメル艦長のリーザ・オスハイマー少佐だ。訓練航海の途中である。司令部の許可は得ているが?』
『これは失礼しました。現在ソロモンは第一級警戒態勢に入りました。全艦艇はベララベラ空域、サヴォ空域、ガダルカナル空域、ラッセル空域の内側まで後退せよとのことですので』
後退?
どういうこと?
『後退とは急なことだわ。何かあったの?』
おそらくリーザはすぐにレーザー通信を行なっているはず。
ソロモンはなんと言ってくるか。
『サイド6で交戦があり、一個艦隊が壊滅。コンスコン少将が戦死なされました』
コンスコン少将が戦死?
ドズル中将の信任厚いあのコンスコン機動部隊の司令官が・・・
一体連邦軍はどれほどの戦力をサイド6空域に展開していたのか?
『コンスコン少将が戦死? それは・・・一体どうして・・・』
リーザにとってはショックだろう・・・
巡洋艦アウリアは一時期コンスコン艦隊に配備されていたこともあるのだから・・・
『連邦の白い悪魔です。連邦の木馬と白い悪魔がよってたかって・・・無念です』
『そう・・・ありがとうガトー大尉』
『ハッ! それでは失礼いたします。われわれはまだパトロールの途中なので。行くぞ! カリウス』
『ハッ、大尉殿!』
二機のリックドムは機首をひるがえす。
私は敬礼してその機影を見送った。

ソロモンの宇宙港に入港するブリュメル。
宇宙港は騒然としていた。
『新型は何機あるんだ? 一体?』
『手空きのメカマンはすべて第1宇宙港へ向かわせろ!』
『MA-08の整備にはいくら人手があったって足りないんだ! 手空きでなくてもいい! 回せる人数は回せ!』
私はこの喧騒の中ギャンの整備を整備員に任せてそこらをぶらつく。
リーザはコンスコン少将の件を詳しく聞くのと、今後の戦闘行動について司令部に打ち合わせに行った。
連邦の白い悪魔・・・
今まではただのプロパガンダだと思っていたわ・・・
連邦のよくある戦果誇張。
確かに連邦軍は優勢に違いない。
だけど試作機を駆る少年兵が華々しい戦果を上げるなんて考えられないわ・・・
でも・・・
たった一隻の白い母艦、木馬と呼ばれる母艦と、その搭載機はガルマ中将を撃破し、ランバ・ラル中佐を撃破し、有名な黒い三連星すら撃破したという。
その白い悪魔が現れたとき・・・
私は勝てるのだろうか・・・

『お姉様ぁ』
一体のノーマルスーツが向かってくる。
私は苦笑する。
今の呼びかけは全ての兵の耳に入ったに違いない。
頼むから止めて欲しいのだけど・・・
『こちらにいたんですかぁ、お姉様ぁ』
アヤメは誰はばかることなく私に抱きついてきた。
「アヤメ、や、やめなさい」
私はアヤメを引き剥がす。
『ああん、お姉様ぁ』
残念そうに離れるアヤメ。
「こんなところで抱き合っても仕方ないでしょ。それよりもどうしてここへ?」
『はい、それではベッドで』
私はきっと真っ赤になっていただろう。
宇宙港内の全ての視線が私に集中したかのように思える。
「ア、アヤメ」
『す、すみませんですぅ。お姉様にお客様なんですぅ』
バイザーの奥で舌を出すアヤメ。
「お客様?」
『はい、この方ですぅ』
アヤメが背後に控えている人物を紹介する。
『シン・マツナガ大尉殿とおっしゃる方です』
「イッ!」
私は息を飲む。
「は、初めまして白狼様。おうわさはかねがね」
私は気を付けをして敬礼する。
『こちらこそ。シン・マツナガだ。噂の山猫に会えて光栄だ』
ノーマルスーツ越しの落ち着いた声が流れてくる。
立派な口ひげを蓄えたたくましい男性。
『この戦争はまだ続く。無駄死にはするな』
「ありがとうございます。白狼様もご無事で」
私はマツナガ大尉の手を取る。
ノーマルスーツ越しだというのに暖かく感じられるわ。
『ではまた会おう。今度はア・バオア・クーかグラナダかも知れんが』
私はどきっとした。
ソロモンは・・・
ソロモンでは敵は防げない?
「お言葉ですが白狼様のセリフとは思えません」
何を言っているのだろう私は・・・
まるで小娘のように駄々をこねている。
敵の物量を考えればうなずけるのに・・・
『うん? ハハハハ・・・悪かった。貴公の言うとおりだ』
頭を下げるマツナガ大尉。
「いえ、こちらこそ失礼いたしました」
私も頭を下げる。
『では失礼する』
立ち去って行くマツナガ大尉。
私は敬礼をして見送った。

『お姉様ぁ』
再び抱きついてくるアヤメ。
「ア、アヤメ」
『渡しません。あの人にはお姉様は渡しませんですわぁ』
「あの人?」
『今の人ですぅ。お姉様の目は恋人を見るような目でしたぁ』
アヤメは必死になって抱きついてくる。
恋人?
ああ・・・そうか・・・
私は白狼様に憧れていたんだ・・・
でも・・・
「アヤメ。あの人は私なんかにはもったいないわ。私では釣り合わない」
『当然ですぅ』
む・・・
そう正面きって認められても・・・
『あの人じゃお姉様には役者不足ですぅ。お姉様には男なんてもったいなさすぎますぅ』
あはは・・・
私は苦笑した。

「新たな命令?」
私はブリュメルの艦長室に呼ばれていた。
リーザが受けてきた命令について、私が呼び出されていたのだ。
「ええ、我がブリュメルはリヒャルト・ウッズマン大佐指揮下の艦隊に編入。チベ級重巡ワルトラント及びムサイ級軽巡スタメルとともにソロモンを離れて単独任務に就きます」
リーザが冷蔵庫から飲み物のチューブを取ってよこす。
「なぜ? なぜこの時期にソロモンを離れなくてはならないの?」
私はチューブを受け取り、キャップをひねる。
「木馬捜索と退治よ」
リーザの表情が険しくなる。
「木馬? 木馬を退治ですって? 三隻で?」
私はチューブに口を付けることも忘れて首を振る。
「無理よ。コンスコン閣下のことを忘れたの? 三隻の艦隊と十二機の09Rが手も無くひねられたのよ!」
「放置しておくわけには行かないでしょ!」
リーザの口調が荒くなる。
私は驚いた。
リーザも苦悩していたのだ。
「でも・・・わざわざこちらから出て行くことは無いわ。木馬だってこのソロモンへ向かっているのでしょう?」
「それがね、どうも木馬は単独で我が軍の連絡線を脅かすつもりらしいわ。それにね、サイド6からはシャア大佐率いる部隊が木馬追跡に向かっているらしいの」
ああ・・・そういうことか・・・
ドズル閣下はコンスコン艦隊を失ってメンツを潰された。
その上シャア大佐に木馬を沈められてはキシリア閣下に会わせる顔が無いというわけね・・・
「わかったわ。あの娘たちに伝えておきます」
私は飲み物をすする。
いつに無く苦い味がしたような気がした。
「頼むわ。ところで聞いた?」
「えっ? 何を?」
「ふふふ・・・もうソロモンでは有名よ。ブリュメルの可愛い子猫たちは男に興味が無いんだって」
私はもう少しで飲み物を吹き出すところだった。
アヤメの奴・・・
「ソロモンの士気を低下させた罪は重いわよ。独身男性兵士はみんな愕然としたんだから」
「あ、あれは・・・」
「まあ、いいんじゃない。ウザウザと言い寄られても迷惑だしね」
リーザが笑っている。
私は早々に艦長室を後にした。

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  1. 2006/04/25(火) 20:40:55|
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変わっていく日常

久々の「帝都奇譚」です。
ちょっとだけの更新ですが、お楽しみいただければと思います。

9、
いつもと変わらぬ授業。
教師の講義を聞き、ノートを取っていく。
いつもの当たり前の光景。
でも・・・
どうしたんだろう・・・
摩耶子は躰が火照っていることに奇妙なものを感じていた。
何となく唇が乾く。
舌で唇を舐めると気持ちがいい。
何となく力が内から湧きあがってくるような気がする。
私・・・どうしたんだろう・・・
でも・・・何となく気持ちいいわ・・・
摩耶子はそう思う。
ペロッ。
摩耶子はまた唇を舐めていた。

いつもと変わらぬ授業。
生徒たちは講義を聞き、ノートを取っていく。
いつもの当たり前の光景。
でも・・・
どうしたのかしら・・・
胸がムカムカする・・・
生徒たちのざわめきが気に食わない。
イライラする・・・
まぶしいのはいや・・・
早く夜にならないかしら・・・
夜が待ち遠しい・・・
無意識のうちに舌なめずりをする雛華。

「夢でも見たんじゃないかね? 君ぃ」
メガネの奥から上目遣いに見上げてくる編集長。
「ゆ、夢なんかじゃありません編集長! 私は見たんです! 本物の歩く死体を!」
必死になって訴える灯。
憲兵にはああ言われたものの、黙っているなんてできるはずが無い。
灯のあまりの剣幕に周囲の社員たちはみな驚いているが、編集長だけは平然としてメガネを取って拭き始める。
「夢だよ。夢を見たんだと思うことだ」
「どうしてですか、編集長?」
机に両手を付いて詰め寄る灯。
この件に関しては編集長も探ってみろと言っていたではないか・・・
「陸軍の憲兵が居たんだろ? 関わるなと言われたんじゃないか?」
「う・・・は、はい・・・」
灯はうなずく。
「軍が関わっているとなればうかつなことは出来んよ。うちみたいな弱小はにらまれたらひとたまりも無い」
「えっ?」
編集長の言葉にハッとなる灯。
確かに陸軍が絡んでいると言っていた・・・
手を引けとも言われている・・・
でも・・・
あんな化け物がもし誰にも知られずに徘徊していて、犠牲者がでるようなことになれば・・・
その危険を知らせなくてもいいのだろうか・・・
「まあ、この件はこれで終わりだ。山下の助手に戻っていいぞ」
編集長が手を振って灯を追いやる。
灯は唇を噛み締めて引き下がるしかなかった。

気分が晴れない・・・
どうしたというのだろう・・・
今朝はあの人の顔すら見ることができなかった・・・
生徒たちの顔もまともに見られない・・・
雛華は職員室で頭を抱える。
心がささくれ立つ・・・
いらいらする・・・
どうしたのだろう・・・
「白鳳先生。今使いのものがこれを」
紙片を手渡される雛華。
「ありがとう」
無造作に雛華は受け取る。
誰がこんなものを・・・
紙片を開く雛華。
『フジで待つ』
ドクン。
ドクンドクン。
雛華の心臓が高鳴る。
あ・・・
あの人だわ・・・
ドクンドクンドクン。
行かなければ・・・
でも・・・
でもいいの?
行ってしまってもいいの?
私は・・・
私は白鳳幸一の妻なのよ・・・
行ってもいいの?

「白鳳先生? どうしました? 授業始まりますよ」
同僚教師に言われてハッとする雛華。
「あ、すみません。すぐ行きます」
雛華は紙片をきちんと折りたたんでポケットにしまう。
すでに心は決まっていた。
あの人に会うのだ。
そう、あの三倉警部補に。
席を立つ雛華の足取りは軽い。
先ほどまでのいらいらが嘘のように消え去っていたことに、雛華は気が付いていなかった。

「鷹司さん」
廊下を歩いていた摩耶子を呼び止める声がする。
振り向いた摩耶子の目にクラスメートの姉川久(あねがわ ひさ)と、その背後に隠れるようにうつむいている見慣れない生徒の姿が映る。
栗色の髪をした少女と言ってもいい感じの娘で、下級生のように思える。
「こんにちは、姉川さん。そちらは?」
摩耶子はにこやかに微笑む。
長い黒髪が光に照り映える。
「呼び止めましてすみません鷹司さん。こちらは茶道部の後輩で真木野小夜(まきの さよ)さんですわ」
後ろに隠れるようにしている女子生徒を紹介する姉川。
清楚な感じの線の細い女性だが、芯はしっかりした女性との評判である。
「あ、あの・・・真木野小夜です。鷹司先輩のことはかねがね・・・」
赤くなってぺこんと頭を下げる小夜。
その仕草が愛らしい。
「鷹司摩耶子です。よろしくお願いいたしますわ」
摩耶子も礼をする。
挨拶は何をおいても基本である。
「お昼は教室でいただくのですか? よければ中庭でご一緒にいかが?」
姉川はどうやら摩耶子を誘いに来たようだ。
断る理由もないし、複数で食べる方が食事も美味しい。
「ええ、桜さんもお呼びしてよろしいかしら?」
「白妙さんね? もちろんですわ」
姉川もうなずく。
「それではお弁当を取ってきますわ」
「あ、一緒に行きますわ。真木野さん、行きましょう」
「はい、姉川先輩」
三人は教室へ向かって歩いていった。

「はあ・・・」
昼休みに食事に出てきた灯は何度目かになるため息を付いていた。
確かにあの瞬間は恐ろしかったものの、彼女とて新聞記者の端くれである。
編集長にああ言われてしまったものの、動く死体などというものが存在する以上、それを調べて市民に知らせるのが新聞記者の仕事ではないだろうか。
でも・・・
一人では・・・
「あ・・・」
通りを歩く灯の目に一人の人影が入る。
「こら! 引っ掻くんじゃねえ!」
ギニャーという鳴き声を発し、必死で逃れようとしている猫を抱きしめて歩いてくる袴姿の親父。
無精ひげを生やし髪はぼさぼさ。
「助兵衛さん!」
灯は思わずその人影、助野兵衛に声をかけていた。
「ん? おっ、灯じゃねえか。どうしたんだこんなところで? まさかクビになったのかい?」
助野は猫ののどを撫でながら灯の姿を認めて近づいてくる。
猫は観念したのか、仕方なく撫でられているようだ。
「違いますよ。今はお昼休みです」
「そうか。だったら蕎麦でもどうだい? 無論灯の奢りだ」
あっけらかんと言ってのける助野に灯は苦笑する。
「いいですけど。その代わり・・・手伝ってくれます?」
「おう。なんだか知らんがいいぜ」
再び内容も聞かずにあっけらかんと言う助野に灯は驚いた。
「内容も聞かないでいいんですか?」
「ああ、どうせろくでもないことだ」
「ぷっ・・・あはははは・・・」
笑う灯。
もしかしたら久し振りに笑っているかもしれない。
「ありがとう助兵衛さん。奢る奢る。お蕎麦奢っちゃう。行きましょ」
「おいおい、せっかく捕まえた猫が逃げるよ」
灯に腕をつかまれた助野はまんざらでもないようだった。

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  1. 2006/04/24(月) 22:17:31|
  2. 帝都奇譚
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今日はシミュレーションゲームをやりました

昨年9/4のブログにも記事を載せましたが、シミュレーションボードゲーム「スコードリーダー」を友人とやりました。

ボードは第3盤と第4盤をつなぎ、第3盤の村落に位置するドイツ軍をソ連軍が攻撃するという自作シナリオを行ないました。

ちょっと面白い試みとして、スコードリーダーのルールにもある実戦ゲームというルールを使ってそれぞれが7-0という指揮官コマに自分を投影して参加することにしました。

ちょっと長くなりましたが、リプレイ風に書いてみましたので、雰囲気を味わってもらえればと思います。
このゲーム知らない人には、何じゃこりゃと思われるかもしれませんが、まあ、ご容赦を。(笑)


やあ、同志諸君。
俺はワシリー・マイカタビッチ・マサトノフ労農赤軍伍長だ。

本日早朝、大隊本部より丘陵に囲まれた村落に立て篭もるドイツ軍を撃退せよとの命令が、わが中隊に下った。
敵は500ポイントで編成された約二個小隊らしいとの報告が斥候よりもたらされているが、どこに配置されているかは第3盤上であるということしかわからない。
ご丁寧にも敵は隠蔽コマをかぶせ、我らに大まかな配置しかわからないようにしているのだ。

幸いにもわれわれは攻撃側ということで、防御側よりも多くのポイントをもらっている。
約750ポイントを得て編成されたのわが中隊はドボビッチ中尉の指揮の下4-4-7狙撃兵分隊15、ドボビッチ9-1指揮官1、8-0指揮官2、そして7-0指揮官の俺が1、MMG1、LMG3という編成だ。
しかも大隊本部は気前良くT-34を1両貸し出してくれている。
これで勝てねばシベリア送りは間違いないだろう。
俺は気を引き締めた。

ルールについてはスコードリーダーのみを使用。
それ以外については一切使用しないことに決まる。
勝利条件はお互い相談の上で、第3盤上の道路に囲まれた村落からドイツ軍を駆逐するということに決まった。
厳しいものだが政治委員が目を光らせている以上は達成しなくてはならない。
同志諸君、応援して欲しい。

1942年晩秋。
スターリングラードで激戦が続いているこの時期、名も無き村落を巡る戦いの火蓋が切って落とされた。

第1ターンソ連側。
ドボビッチ中尉以下の中隊はその全力を持って第4盤に進入した。
第4盤は開豁地が多く、うかつに進めば-2の修正を受けてあっという間に分隊が壊滅しかねない危険な盤である。
だが、幸いにして最初のダイス勝負に勝ったため、季節は秋10月。
麦畑の地形が機能するのだ。
麦畑を進めば開豁地とは違って-2の修正は来ない。
さらに敵は部隊を建物に集中配備しているために、見晴らしのいい周囲の丘を放置している。
丘の上に機関銃を据えられて、タコツボでも掘られたらちょっと厄介なことになるのだが、勝利条件上村を手薄に出来なかったのだろう。
となると厄介なのは3N1の2レベル建物の二階部分だ。
隠蔽マーカーが置かれてはいるが、俺ならばあそこに機関銃と指揮官を配置する。
敵もおそらく同様だろう。
俺は一個分隊を率いて、3N1からの射線に入らないように慎重に部隊を進める。
ドボビッチ中尉も同意見のようだ。
みな3N1を避けて進入していく。
おお、力強いエンジン音が響いてくる。
大隊本部が約束したT-34一両が早くも援護のために盤上に進入して来たのだ。
その76ミリ主砲で3N1にいると思われる敵を潰すために、麦畑の一画に停止して射界を建物に向ける。
これで俺たちの移動は終わった。
敵が防御射撃に入る。
おおっと、敵は早々に隠蔽ゴマを外して射撃をしてきた。
やはり思ったとおり3N1の二階にはMMGと一個分隊が潜んでいた。
その上なんと優秀な9-2指揮官までいるではないか!
これはなんと厄介な。
敵の狙いは3N1を狙おうとして機関銃を運んでいたドボビッチ中尉の二個分隊だ。
森の中にいるとはいえ、修正は森で+1に対し敵の指揮官の-2がある。
げげっ、サイコロは合計5。
-1で4。
分隊の半分の火力とMMGで火力は6。
KIA(除去)にはならなかったものの2の士気チェック。
ドボビッチ中尉は耐えたため、幸い一個分隊が戦闘不能になっただけだった。
不幸中の幸いだ。
さらに敵の射撃は続き、この防御射撃でさらに一個分隊が戦闘不能になる。
これから被害がどれくらいになるのか・・・
俺は田舎のばあちゃんと同志スターリンの加護を祈った。

さて、前進射撃だ。
もっとも、敵から身を隠してきたので、この回は行なえる部隊がまったくいないので無し。
脱出期に撃たれて戦闘不能になった分隊が早々に手近な森に逃げ込んで指揮官を待つ。
突撃気にわが中隊は一歩ずつ前進したが、俺は退避した分隊を再び回復させるためにそちらへ向かって進んだ。

第1ターンドイツ側。
敵は先ほどと同じように二箇所の機関銃が我々を猛射。
特に3N1の機関銃は指揮官の指揮能力の高さもあって強い。
再び我が方に二個分隊の戦闘不能が出る。
我が方も負けてはいない。
と言いたいが、射程の関係で届くのは機関銃のみ。
しかも頼みの機関銃に取り付いていた分隊は先ほどの射撃で戦闘不能になっていた。
ここでT-34が猛然と射撃。
見事に命中するも、損害無し。
さすが石造建物である。
+3修正はトーチカ並み。
敵は移動突撃の気配無し。
このターン終了。

第2ターンソ連側。
どうやらドボビッチ中尉が逃げる兵士を一人二人射殺したのか、戦闘不能の二個分隊が見事に回復。
T-34の砲撃も3N1へ命中。
しかし被害無し。
全ての分隊は敵に向かって猛然と進撃。
しかしムチャな命令だ。
せめて夜間ならもう少し接近も楽なはずなのだが・・・
敵は防御射撃を行なってくる。
第4盤上は悲鳴が飛び交った。
MMGに取り付いた回復したばかりの二個分隊が3N1からの射撃によって沈黙。
射撃が終わった時にそこに二個分隊は存在しなくなっていた。
さらにもう一つのドイツ軍のMMGの射撃も威力を発揮。
サイコロの合計2という素晴らしさでさらに一個分隊が除去される。
15個分隊中すでに3個分隊を失った今、俺の脳裏に敗退の言葉がよぎる。
死か、シベリアか、はたまた栄光の勲章か・・・
我が方の前進射撃もようやく成果を発揮。
3U1の木造建物内の敵部隊が隠蔽コマだけのダミーであることがわかった。
良く考えろ、敵の戦力は少ないんだ。
押しまくれば勝機は見えるはず。
わが部隊は着実に前進する。

第2ターンドイツ側。
やった!
俺のハッパ掛けが効果を奏して一個分隊が回復。
功績ポイントを1ゲット。
これが10たまれば昇進だ。
一方ドイツ軍の準備射撃は3S1のMMGによってまたしても一個分隊が戦闘不能。
大丈夫か我が軍は?
敵の移動は無し。
がっちりと拠点を固めている。
我が方の防御射撃はまったく効果なし。
T-34の砲撃も命中すらしない。
第2ターン終了。

第3ターンソ連側。
このままでは埒が明かない。
何とかしたいが支援砲撃も航空支援も無い。
T-34の砲撃だけが頼りだ。
幸い敵には対戦車砲は無さそうだ。
もっとも、無いとは言い切れないが。
ドボビッチ中尉は前進を命令。
中隊は再び前進を開始。
なんとT-34までが支援砲撃をせずに前進して敵に接近する。
命中率を少しでも上げようというのだ。
おかげで3S1の機関銃が射線を阻まれる。
もう少し早く進撃してもらいたかったものだ。
しかし、敵の防御射撃は止まらない。
またしても一個分隊がMMGに取り付こうとして除去される。
あのMMGは味方のコマなのに敵のために働いているのか?
さらに悪い知らせが中隊本部より入る。
イストノフ少尉が負傷したのだ。
幸い指揮下の分隊は健在だということだが、指揮官の戦闘不能は特にこたえる。
俺はまた建物の中で萎縮して戦闘不能になっている分隊にたどり着いた。
次の回復期でこいつらにハッパをかけてやらなくては。
前進射撃は効果なし。
サイコロの神はドイツ軍に味方している。
敵のプレイヤーは昼間なのにビールなど飲みくさって・・・腹が立つ。(笑)
突撃によって3K1の敵ユニットが全てダミーであったことが判明。
いいぞ、そのまま敵の側面に回りこめ。

第3ターンドイツ側。
「この腰抜けども! シベリアへ行きたいのか!」
俺のこの言葉が効いたのか、またしても分隊は回復。
功績ポイントも2個め。
ただ、イストノフ少尉は回復できず、ドイツ側の準備射撃で戦死した。
ただ、今回は敵の準備射撃で戦闘不能になったのは無く、ドイツ側の移動も無かったためこちらの防御射撃となる。
相変わらずT-34の主砲は当たれども損害無し。
石造建物強いなぁ。
結局全ての防御射撃は効果なし。
ドイツ軍の突撃も無しで第3ターン終了。

第4ターンソ連側。
ようやく第4盤を横断し、第3盤に手が掛かる。
イストノフ少尉の抜けた穴を埋めるためにも、俺は前進するしかない。
まずは準備射撃。
T-34は今度は3S1の木造建物に砲撃。
ついにサイコロの女神はこちらを向いてきた。
3S1のドイツ兵に1の士気チェック。
8-1指揮官と4-6-7分隊がそれぞれ戦闘不能になったのだ。
間髪を入れずに部隊は前進。
俺も一個分隊を率いて戦闘不能分隊のいる木造建物へ走りこむ。
俺にたいしてはなんとあの3N1の機関銃が撃ってきたものの、士気チェックに成功。
無事に建物内に走りこめた。
見たかサンダース軍曹!
敵の防御射撃は振るわず、戦闘不能になったものは一つも無い。
突撃期についに敵の占拠する建物3T1と3M1に突入した分隊は、首尾よく3T1を占領。
3M1では白兵戦が続くことになった。

第4ターンドイツ側。
双方の回復期。
ドイツ側は8-1指揮官ヘムレン軍曹が絶望時の士気チェックに成功。
見事に回復したものの、指揮下の分隊は回復できなかった。
一方俺のハッパはまたしても成功。
まるで俺自身が政治委員にでもなったかのようだ。
これで功績ポイントは3点。
何とかあと7点欲しい。
ここにいたってドイツ軍は全ての隠蔽コマを撤去。
全部隊に射撃を命じてきたものの、一個分隊が戦闘不能になるにとどまった。
いいぞいいぞ。
移動は無いとのことなのでこちらの防御射撃。
残念ながら効果なし。
T-34の砲撃は1の士気チェックを引き起こしたものの、9-2指揮官は意に介さなかった。
ただ、白兵戦が続いていた3M1の建物はドイツ軍の分隊を排除。
占領を完了した。
第4ターン終了。

第5ターンソ連側。
ヘムレン軍曹恐るべし。
絶望時の士気チェックを成功させ、指揮下の分隊を回復させてしまう。
一方こちらの準備射撃はついに3N1の機関銃についていた分隊を戦闘不能に至らしめた。
これで射撃をしてくるとしても指揮官のみの半分の火力となる。
勢い良く前進する俺たち。
だが、敵の防御射撃で3T1を占拠していた分隊が除去されてしまった。
これで6個分隊が消え去ったことになる。
なんという激しい戦争だろう。
続く白兵戦では3M2を占拠。
敵の分隊も3個目が失われ、3N1も風前の灯火だ。

第5ターンドイツ側。
3N1の9-2指揮官シュターラー中尉は必死に部下の回復に努めるも失敗。
たった一人で機関銃を撃つ様は悲壮ですらある。
ドイツ軍は村の前面での防衛をあきらめ、村落へと引き下がる。
勇者ヘムレン軍曹はじめ、8-1指揮官が計二人。
7-0指揮官が一人まだ残っているのだ。
まだまだこちらの勝利はおぼつかない。
こちらの防御射撃は3N1の分隊を除去。
3N1にはシュターラー中尉のみとなる。
もはや脱出は不可能。
彼は最後まで一人で機関銃を撃つ気だろう。
敵ながら天晴れである。
突撃期はドイツ側が配置をずらしただけに終わる。
第5ターン終了。

第6ターンソ連側。
回復期は双方とも無し。
こちらの準備射撃となる。
あれほど味方の血を吸ってきたMMGがドボビッチ中尉の手でついにシュターラー中尉を捕らえた。
シュターラー中尉は負傷し、脱出期に脱出できないために自動的に除去となる。
村の外側の防衛線は完全に我が方の手に落ちた。
あとは村落の確保あるのみ。
突撃期でシュターラー中尉の使っていたMMGを捕獲。
我が方の火力として期待できる。
俺も遅まきながら3T1に到達。
村を望む位置についた。

第6ターンドイツ側。
なんということだ。
3N3まで進出して、石塀の影から敵を伺っていた二個分隊が、敵射撃で相次いで戦闘不能になってしまった。
さらに敵射撃は俺にも命中。
俺は負傷してしまう。
幸い指揮下の分隊は無事だったので、功績ポイントの低下は-1のみ。
しかし・・・せっかくのポイントがぁ。
敵部隊と渡り合って功績ポイントを得ようとしたのが間違いだったかも・・・
敵の移動は無し。
こちらの防御射撃はまったく効果なし。
第6ターン終了。

第7ターンソ連側。
T-34の砲撃が止まる。
なんと砲が故障したのだ。
幸い車体機銃がヘムレン軍曹を負傷させたものの、全般的に攻撃は不調。
一方的の防御射撃もこちらを捕らえきれない。
手詰まりか・・・

第7ターンドイツ側。
俺は勇気を振り絞って回復する。
自分を回復させてもポイントにはならないんだが・・・
しかし赤軍に恥ずべきことが起こった。
回復させようとした8-0指揮官の前で6ゾロを出し逃亡した分隊があったのだ。
当然全員を敵前逃亡で射殺したに違いないが、一個分隊が失われた。
ヘムレン軍曹は回復できなかったようだ。
ドイツ軍の準備射撃は凄まじかった。
3T1の二個分隊が戦闘不能に追い込まれる。
一方こちらの防御射撃はヘムレン軍曹を除去し、一個分隊を戦闘不能にした。
第7ターン終了。

第8ターンソ連側。
3N2の二階に陣取った3個分隊が捕獲した機関銃を加えて16火力という圧倒的火力で3O5を攻撃するも、石造建物の防御力の前に効果なし。
前進した一個分隊は逆に戦闘不能に追い込まれる。
まさに手詰まりか・・・

第8ターンドイツ側。
シェクリー伍長(8-1指揮官)によって一個分隊が回復したものの準備射撃は効果なし。
一方こちらは俺が一個分隊を回復させ、1ポイントをゲットしたものの、戦闘不能分隊を回復しようとしたところ1ゾロを出してしまいなんと凶暴化させてしまったのだ。
NKVDの恐怖が兵士を駆り立てたのか、もはや俺の制止すら聞きそうに無い。
3N2の火力がモノを言い3O5の一個分隊が戦闘不能。
しかしシェクリー伍長の回復した一個分隊が再び3R3に布陣する。
突撃及び白兵戦は無し。
第8ターン終了。

第9ターンソ連側。
ドボビッチ中尉によって一個分隊が回復。
ドイツ軍は回復無し。
こちらの準備射撃はシェクリー伍長と一個分隊を戦闘不能に追い込んだものの、防御射撃によって3N2の二個分隊が戦闘不能。
さらに接近した凶暴兵たちがあっという間に除去されてしまう。
これ以上の攻勢は難しそうだ。

第9ターンドイツ側。
ドイツ側は一個分隊を回復させたもののやはり準備射撃もこちらの防御射撃も効果なし。
突撃及び白兵戦無し。
第9ターン終了。

第10ターンソ連軍
最終ターンを迎えて勝利条件達成の見込みはなくなってしまった。
まだ村落はドイツ軍が押さえている。
3N2からの準備射撃は3O5の二個分隊を戦闘不能に追い込む。
俺は敵弾をものともせずに3T3の敵分隊に隣接する3S3へ走りこむ。
敵弾がかすめるように飛んでいったが、俺は無事に走りこんだ。
こちらの移動により敵は3O5を放棄。
俺は一個分隊を連れて3T3に突撃、白兵戦に持ち込んだ。
白兵戦の結果は・・・

父さん、母さん・・・俺は精いっぱいやったよ。
敵分隊を除去したまではよかったが、俺自身の分隊も俺もろとも除去されてしまった。
3T3のへクスにはどちらの分隊も残らなかったのだ。
戦死の通知が届くのはいつになるのだろうか・・・

第10ターンドイツ側。
シェクリー伍長の分隊が最後の力を発揮してこちらの一個分隊を戦闘不能に落としいれる。
こちらは戦闘不能の一個分隊を除去したものの、村落からのドイツ軍完全除去はならず、わずかにシェクリー伍長と一個分隊のみが残るだけだったが、ドイツ軍の勝利となった。
残念である。

こんな感じでゲーム終了。
負けましたが充分に楽しみました。
またプレイすることにします。
  1. 2006/04/23(日) 20:14:21|
  2. ウォーゲーム
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なかなか頑張っているじゃん

当ブログとリンクさせていただいている空風鈴さんの「空風鈴の雑記」にも記載がありましたが、アメリカの娯楽TVドラマ「コンバット」をレンタルビデオを借りて見ましたー。

確かに言われるごとくご都合主義満載の米軍が圧倒的に強いドラマなんですが、やはりなかなか面白い作品なんですよね。

ヴィック・モローのサンダース軍曹と、リック・ジェイソンのヘンリー少尉のコンビは時には助け合い、時には衝突しながらも、任務の遂行に命を賭けています。

カービー、ケリー、リトルジョンなどのベテラン分隊員を率いるサンダースはまさに強いアメリカの象徴かもしれません。

しかし、彼もスーパーマンではありません。

時には負傷し、時には精神的に落ち込んだりもします。

そういった人間臭さ、言い換えれば人間ドラマがこの作品の魅力なんでしょう。

まあ、確かにご都合主義なところは結構あるんですよ。

ドイツ軍の狙撃兵はいつも木の上にいて、しかもすぐ見つかって撃たれたり。
ドイツ軍の機関銃は走っていく兵士の足元にしか着弾しなかったり。
ドイツ軍の柄付き手榴弾は爆発する前に投げ返されたり。
まあ、いろいろとあるわけですよ。(笑)

でも、結構頑張って作っていますよ。

M4戦車役にもドイツ戦車役にもなるM41戦車なんですが、ドイツ戦車として画面に登場するときには、ちゃんとシュルツェンを付けたりしてあるんですよ。

M3/5ハーフトラックの上部に銃塔を搭載してSdkfz250/9に似せたりして作ってあるのを見たときには感激モノでした。

まあ、なんだかんだ言ってもずいぶん楽しめましたので、良ければ皆さんも一度見てみてはいかがでしょうか。

それではまた。

[なかなか頑張っているじゃん]の続きを読む
  1. 2006/04/22(土) 22:04:09|
  2. 映画&TVなど
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チハタンⅢ

久し振りにチハ車について書きますね。

97式中戦車の57ミリ砲が短砲身の低初速の砲だったことは以前書きました。

防御地形に潜む敵の機関銃を攻撃するにはそれで充分と考えられたのですが、ノモンハンでソ連軍の戦車を相手にしたとき、その主砲の貫通力の弱さが致命的であることがわかりました。

後のバルバロッサ作戦では、装甲が薄いということでドイツ戦車に歯が立たなかったBT-5/7型戦車でしたが、97式中戦車の57ミリ砲では至近距離でないと貫通できなかったんですね。

そのため後の一式機動47ミリ砲となる試製47ミリ対戦車砲を戦車砲として改良し、その砲を積んだ対戦車用の戦車を開発することになりました。

その一環として、考えられたのが、手っ取り早く97式中戦車の砲塔を47ミリ戦車砲に合わせて作られた新型砲塔に交換するというものでした。

こうして出来たのが新砲塔チハ、97式中戦車改です。

この47ミリ砲は初速も速く、97式中戦車の57ミリ砲では貫通することが困難だった米軍のM3軽戦車の正面装甲を約1000メートルほどの距離で撃破出来たそうで、戦車兵たちの士気はかなり高まったという事でした。

しかし、ご存知のようにヨーロッパでの戦いにおいて、すでに47ミリクラスの砲は貫通力の点で時代遅れとなってしまっており、太平洋の島々に上陸してくる米軍の戦車も75ミリ砲を搭載したM4が主流でした。

結局、47ミリ砲を搭載した97式中戦車改でも、M4に対抗することはかなわずに、いたずらに損害を多くする結果になってしまいます。

これは日本の大砲の開発と生産がほぼ大阪砲兵工廠一ヶ所に絞られてしまっていたためで、既存の大砲の生産に集中せざるを得なかった砲兵工廠としては、新型砲の開発にまで手が回らなかったんですね。

そのため強力な新型砲を作ることができずに、それを搭載する戦車も作ることができなかったんです。

このあたり、またしても国力の限界ということを感じさせられてしまいますね。

それではまた。

[チハタンⅢ]の続きを読む
  1. 2006/04/21(金) 22:38:09|
  2. 趣味
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あのお方の肝いり

久々のローネフェルトです。

ブリュメルにも新型が配備されるようですよ。

ではではー。

『アマリア・ローネフェルト大尉。君には引き続き軽巡洋艦ブリュメルのモビルスーツ隊指揮官の任についてもらうことになった』
『ハッ。謹んで承ります』
私は先ほどの司令部での命令を思い出していた。
リーザの手回しが効いたのか、私はブリュメルに配属が決まった。
アヤメやパトリシアについても問題なく私の配下に決まった。
あとはモビルスーツの手配だけど、これはリーザがやってくれると言っていたので任せてある。
もっとも、ソロモン目指して敵が向かっているという情報だから、今あるザクだけってことにもなりかねないけど・・・
ブリュメルの格納庫にあるのは09R、06FZ、06F2、それと損傷したYMS-11か・・・
戦力としては遜色ないけれど、統一が取れていないのがネックだわね。
せめて09Rで統一できれば・・・
それがかなわぬなら06FZで統一したいものだわね。

「ふう・・・」
ブリュメルの通路で私はリーザと出会う。
浮かない顔をしているわ。
一体どうしたというのだろう。
「リーザ・・・何かあったの?」
私が声をかけるとリーザは顔を上げる。
「あ、マリー。心配しないで、なんでもないわ」
まるで無理に微笑んでいるかのよう。
どうしたのかしら・・・
「ほんとに? 顔色が悪いわ。風邪でも引いたんじゃない?」
「大丈夫よ。そうじゃないわ・・・」
リーザは首を振る。
「マリー。モビルスーツのことだけど・・・」
「ええ」
「期待していいわよ。いい機体を回してもらえることになったから」
リーザはそう言って私の脇を通り過ぎていく。
「いい機体?」
「ええ、そうよ。装備課に話をつけてきたわ。」
私の脇を通り過ぎるリーザの躰が汗臭い。
「装備課に?」
「ええ、ばっちりよ」
「あなた・・・まさか・・・」
「その先は言わないで・・・シャワーを浴びてくるわ」
振り向きもせずに部屋へ向かうリーザ。
私は何も言えなかった。

「大尉殿! 大変です大尉殿!」
ブリュメルの自室で、ベッドに寝転がり本を読んでいた私のところへパトリシアが入ってくる。
「どうしたの? ノイマン准尉」
私はベッドの下に座っているアヤメの肩に置いていた手を持ち上げて、上半身を起こした。
「ああ! ミナヅキ少尉殿、抜け駆けはひどいですよ!」
「ふふん・・・関係ないですわぁ。お姉さまは私のものですぅ」
「冗談じゃないです! 大尉殿・・・お姉さまはあなただけのものじゃないです!」
顔を真っ赤にして怒っているパトリシア。
ふう・・・
アヤメだけじゃなくなったんだったわね・・・
「それで? 何が大変なの? パトリシア」
私はあえてパトリシアと名前を呼ぶ。
「あ、すみません。モビルスーツが搬出されているんです。格納庫から」
「えっ? どういうこと?」
私は起きだして上着を羽織る。
モビルスーツが搬出されるなんてどういうことなのかしら。
「とにかく来て下さい」
パトリシアが部屋から飛び出し、私はそのあとに続いた。

『オーライオーライ!』
『06F2の搬出は次だ! 順番を守れっ!』
ハンガーデッキは相変わらずの喧騒に包まれている。
その中でYMS-11が05、いわゆる旧ザクによって艦の外へ搬出されていく。
「モビルスーツを搬出ってどういうことなの?」
ハンガーデッキの責任者に私は声をかける。
「あ、小隊長。どうもこうもリックドム以外を全て搬出することになりまして」
頭をかく整備長。
「だからどうしてなの?」
「モビルスーツの入れ替えです。なんか新型がまわされてきたらしいですよ」
「新型?」
私は港内へ目をやった。
いくつかのモビルスーツが並んでいるが、新型なんて・・・
あれは?
真っ白いザク?
宇宙港の片隅に整列しているモビルスーツの中に真っ白なザクがある。
普通の06Fじゃないわ・・・
06R-1?
噂の白狼?
エースパイロットだわ。

『オーライ、よーし!』
私はその声に我にかえる。
一台のモビルスーツが搬入されてくるところだったのだ。
嘘・・・
見たことも無い機体。
ザクでもドムでもない機体だわ・・・
鈍い銀色に輝く機体。
まるで中世の鎧を着せたような外見。
円形のシールドはとげとげがいかめしい。
「あれは・・・あれは一体何なの?」
私は整備長に聞いてみた。
「試作品ですよ。ツィマッドが押し付けてきたんです。次期主力機のコンペに負けた機体らしいんですが、グラナダのマ・クベ大佐が肝いりで開発したとかで負けると思わなかったらしくてすでに数機生産してしまったらしいんです」
「また・・・試作品?」
「YMS-15、ギャンって言うそうです。一機しか無いってんで部隊運用が出来ないからこっちに押し付けてきたんですよ」
頭部がとんがったヘルメットのような頭。
十字に切れ込んだモノアイの可動範囲。
それにしてもまた試作機とは・・・
「武器は何? バズーカ? マシンガン?」
「ああ、シールド見てくださいよ。あのとげとげがロケット弾なんですよ」
私は唖然とした。
シールドで敵弾を受けようものなら、誘爆はまぬがれないのでは?
「ゆ、誘爆の危険性は?」
「ええ、ですから敵に出会ったらまずは全弾ぶち込んじゃってください」
私は頭を抱えた。
こんな機体アヤメにもパットにも渡せないわ。
私が乗るわよ。
まったく・・・
「ああ、心配しなくていいですよ」
「えっ?」
「ツィマッドから部品だけは大量に来ていますから。存分に壊してください」
私は苦笑するしか出来なかった。 [あのお方の肝いり]の続きを読む
  1. 2006/04/20(木) 22:25:15|
  2. ガンダムSS
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東部戦線のユーモア

「スターリングラード」 アントニー・ビーヴァー著 朝日文庫

この本の中にちょっと面白いものを見つけたので紹介しますね。

第二次欧州大戦の東部戦線(独ソ戦)の激烈さは、皆さんもご存知かもしれません。
お互いにお互いの国民を完膚なきまでに叩きのめそうとした殲滅戦でありましたが、独ソ戦前半はソ連領内に侵入したドイツ軍と、混乱したソ連軍双方が住民に犠牲を強いる恐ろしい戦いでした。

その地獄のような東部戦線から、めでたく休暇をもらって一時帰国することになったドイツ兵たちは、自嘲的にその地獄の有様を皮肉を込めてこういった文章にしていました。

『休暇を取る兵士たちへの覚書』

諸君はこれより国家社会主義の国へ赴こうとしていることを忘れてはならない。
そこは諸君らがこれまで慣れ親しんだ生活環境(東部戦線の地獄)とは大いに異なる。
住民の習慣に合わせて如才なく付き合い、慣れ親しんだ習慣を捨て去ること。

1、食物
ジャガイモはきちんとした保管庫に保存してあるので、床板などを引き剥がして探してはならない。
(ソ連領内の農家ではジャガイモを床下などに隠してあることが多かった)

2、夜間外出禁止令
鍵を忘れてしまったらまずドアノブをまわしてみること。緊急時以外は手榴弾を使用してはならない。
(ソ連領内では敵の家屋は銃撃や手榴弾を放り込んでから入るのが普通)

3、対パルチザン防衛
通りで出会う民間人に合言葉を尋ねる必要はない。また、間違った返答があっても銃撃しなくてもよい。
(ソ連領内では民間人といえどもパルチザンであることが多かった)

4、動物対策
体に爆発物をつけているのはソ連特有の犬である。
ドイツの犬は最悪でも噛み付くだけであり、爆発はしない。
当地(ソ連領内)では犬は射殺するように奨励されているが、ドイツではそんな振る舞いは悪印象を与えるだけである。
(ソ連軍は犬に爆薬をつけてドイツ軍へ突入させた。たいした被害は出なかったが、不気味であった)

5、一般市民との関係
ドイツでは婦人服を着ているからと言ってパルチザンとは限らない。
ただ、諸君ら休暇中の兵士にとっては、美しい彼女たちは危険である。
(ソ連軍は女装までしてパルチザン活動をしたのかな?)

6、その他
休暇でドイツに帰ったら、家族といえど我々のいるこの地(ソ連領内)が楽園であることを話してはならない。
誰もがこの地へやってきて、我々の楽しみを奪いかねないからである。
(ゲシュタポやSSによって東部戦線の悲惨な状況を国民に知られないように監視されていた)

どうですか?
逆説的に現状の悲惨さを訴えているんですね。
戦場でのユーモアでしょうが、なかなかいい出来の作品ではないでしょうか。

[東部戦線のユーモア]の続きを読む
  1. 2006/04/19(水) 22:20:20|
  2. 本&マンガなど
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名人芸

今日は久し振りにミリタリーネタを書きます。

日本皇紀2600年(昭和15年)に正式採用となった軍用機の一つに有名な零式艦上戦闘機があります。

日本軍は正式採用した兵器に年号をつけてきましたが、明治時代は明治○○年の○○をとって○○式と名付けました。
例えば明治38年正式採用の38式歩兵銃などがそうです。

大正時代に入ると、今度は大正○○年の○○をとって○○“年”式とつけました。
四年式15センチ榴弾砲などがそうなります。

昭和に入るとそのまま年号をつけたのでは大正時代の兵器と混同してしまう恐れが出てきました。
そこで、神武天皇の即位を紀元とする日本皇紀を使用することになりました。
皇紀の下二桁を取って兵器の名称に付けたのです。
皇紀2597年に採用された97式艦上攻撃機や97式中戦車(いわゆるチハ車)がそうですね。

ところがそこで困ったことが起こりました。
皇紀2600年採用の兵器をどう呼ぶかということに悩んだのです。

結局この問題は陸海軍別々の回答を引き出しました。
海軍は早々に2600年採用の兵器を零式と呼ぶことに決定しました。
零式艦上戦闘機(零戦)や、零式観測機などですね。
一方陸軍は2600年採用の兵器を百式と呼ぶことにしました。
百式司令部偵察機や、百式短機関銃などがそうです。

その零式艦上戦闘機いわゆる零戦ですが、言われるほど名機でなかったことは皆さんご存知だと思います。

兵藤二十八著「パールハーバーの真実」によれば、零戦は最初から空母搭載の艦上戦闘機としては作られていなかったということなんですね。

零戦はもともとは空母に搭載し、空母機動部隊や攻撃機隊の護衛をすることが目的として作られるはずでしたが、重防御で護衛戦闘機無しでも問題ないとして作られた96式陸上攻撃機が、実際は中国軍の戦闘機に落とされるようになってしまいました。

そのため96式陸攻の航続距離についていける長距離護衛戦闘機が必要となってしまい、零戦には長距離航続距離が求められてしまったのです。

つまり零戦は何をさておいても長距離を飛べなければならなかったのです。
そう、防御重量を犠牲にしてでもです。

さらに零戦の主武装として翼内装備された20ミリエリコン機関砲は、悪くない機関砲ではありましたが、弾道の直進性に難があり、さらに重量を減らすために各砲60発ぐらいしか弾を積んでいなかったそうです。

撃墜王坂井三郎さんはこの零戦の20ミリ機関砲には早々に見切りをつけ、敵機撃墜にはコクピット前方の7・7ミリ機関銃を使用したそうです。

もちろん7・7ミリの機関銃では機体に当たってもダメージはほとんど出ませんから、コクピットの風防ガラス越しにパイロットの頭部を撃ち抜くことを心がけたとのことでした。

これは坂井さんのみならず、零戦パイロットのほとんどがその方法で敵機を撃墜していたとのことで、まさに太平洋戦争前半のベテランパイロットはそうした神業を当然のごとく発揮できた人たちばかりだったとのことでした。

名機零戦を支えていたのは、こういった名人芸を発揮できるベテランたちのたゆまぬ努力の賜物だったのでしょうね。

それではまた。

[名人芸]の続きを読む
  1. 2006/04/18(火) 21:54:42|
  2. 趣味
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相互リンクさせていただきました

negitoro様主催のイラストサイト「door pics」と相互リンクさせていただきました。

negitoro様、どうもありがとうございます。m(__)m

「door pics」様はまだ開始間もないとのことですが、素敵なイラストで楽しませてくださるサイト様です。
当ブログともどもお引き立てのほどをよろしくお願い申し上げます。

さて、先週末、メッセでのTRPGの二回目が無事に終わりました。

四人のプレイヤーの方々には改めてお礼を申し上げます。

すごく楽しい時間を過ごさせていただくことが出来ました。

初心者の皆さんということもあり、手軽なシナリオをやらせていただきました。

キャラクターの立ち寄った村で、雑貨屋の娘が森の中の泉に出かけたまま帰らないという、すごく単純なシナリオです。

プレイヤーの皆さんはすぐに探しに行ってくれまして、森の中へ出かけました。

森の中では巨大グモを首尾良く退治。
泉へたどり着きますが、娘さんの姿はない。

盗賊のキャラクターはじめ全キャラクターが周囲を捜索すると、コボルドの足跡が多数あり、どうやら娘さんはコボルドに連れて行かれた模様。

すぐに後を追ったキャラクターがたどり着いたのは一つの洞窟でした。

洞窟の中にはコボルドの集団が居そうだとのことで、キャラクターたちは入り口で待ち伏せておびき出すことにしました。

おびき出しは成功し、洞窟の外へ現れたコボルドたちの足をロープで引っ掛け、さらに眠りの魔法で一網打尽にすると、洞窟の中に入って行きました。

洞窟の中の一室で縛られていた娘さんを救助することに成功し、無事に脱出。

村まで戻ってくることが出来ました。

こうやって書くとなんて単純なんだろうと思いますけど、結構サイコロ振りなどで楽しんでいただけたようでした。

私も久し振りにマスターが出来てすごく楽しかったです。

今度プレイの模様をリプレイ風にSSにするのもいいかもしれないですね。

それではまた。

[相互リンクさせていただきました]の続きを読む
  1. 2006/04/17(月) 21:39:22|
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S・S・Bに栄光あれ!

セミ女さん完結です。
終わりましたー。

当初二回ぐらいと思っていたのが、書くごとに伸び伸びになってしまいました。
ほんとに自分でも驚きでした。

でも書き終えて満足です。
うまくg-thanさんのイラストに繋がりましたでしょうか・・・
この場を借りてg-thanさんに感謝を述べさせていただきます。
ありがとうございました。

それと、メッセでアイデアをいろいろと提示していただいたEnneさんにもこの場を借りてお礼申し上げます。
EnneさんがいなければこのSSはできなかったと言っても過言ではありません。
どうもありがとうございました。

最後に、このSSはフィクションです。
それはご理解いただければと思います。

7、
ふらふらと通りを歩いている紀代美。
周囲の喧騒も、人通りの多さもただ彼女の心をいらいらさせる。
はあ・・・はあ・・・
どうして・・・
どうしてこんなに・・・
どうしてこんなに人間が多いのかしら・・・
意味無いのに・・・
こんなに生きている意味無いのに・・・
邪魔臭い・・・
わずらわしい・・・
ウザったい・・・・
殺しちゃいたい・・・
思いっきり殺しちゃいたいわ・・・
だめよ・・・
殺すなんていけない・・・
どうして?
どうしていけないの?
人間はすぐに他の生き物を殺すじゃない・・・
食事のために殺し・・・
害になると言っては殺し・・・
危険だからと殺し・・・
邪魔になると言っては殺し・・・
気持ち悪いという理由だけで昆虫なんかも殺し・・・
果ては無意識にすら殺しているじゃない・・・
だったら・・・
だったら私が殺してなぜいけないの?
下等な生き物を殺してなぜいけないの?
私は改造人間・・・
選ばれたる存在・・・
下等な人間どもとは違うわ・・・
私は選ばれたのよ・・・
ふふふ・・・
そうよ・・・
私は人間なんかじゃない、改造人間なのよ・・・
ふふふふふ・・・

アパートの近くにある公園。
夜になると周囲にはあまり人通りがなくなり、柄の悪い男たちがたむろする。
今までの紀代美なら近くを通ることは避けていた公園。
だが、紀代美は躊躇いもなくその公園へ入っていく。
カツコツとパンプスの音が敷石に響き、街灯がその姿を照らし出す。
肩から鞄を提げ、スーツとストッキングに包まれたその姿はかなりの美人と言っていい。
かつての紀代美が持っていたおどおどした姿はそこにはなく、毅然とした姿勢がその美しさを際立たせていた。
公園の中央部あたりには三人の男がベンチで所在無げにタバコを吸っている。
制服を着ているところからすると学生だろう。
みんな一様に歩いてくる女性の姿に目を奪われている。
「よう、ねーちゃん。仕事帰りかい?」
「こっち来ないか? 俺たち暇でさー」
「一緒に楽しまないか? え? きゃっははははは」
男たちが紀代美に声をかける。
紀代美はただうるさそうに一瞥をくれると、そのまま歩き去ろうとした。
「おっととと、そりゃねえよ、ねーちゃん」
男たちが立ち上がり、紀代美の先へ回り込む。
「俺たち寂しいんだよ。相手してくれよ」
「あんたも楽しませてやるぜ。ひいひい言わせたるよ」
「「ぎゃははははは」」
下卑た笑いを上げる男たち。
だが、無造作にポケットに入れた手にはナイフぐらいは持っているに違いない。
下衆ども・・・
下等な腐った生き物たち・・・
紀代美の心に湧き上がってくる感情。
それは殺意。
いや、それは明確な殺意ですらない。
排除、または処理と言ってもいいかもしれない。
邪魔な人間どもを処理する・・・
それは改造人間には当たり前のこと・・・
私は改造人間・・・
こいつらは蛆虫ですらない・・・
蛆虫の方がよほど高等な生き物だわ・・・
殺すわ・・・
始末するわ・・・
処理するわ・・・
消去するわ・・・

「何とか言えよ、おい!」
「無理無理、ビビッちゃってんだよ。さっさとやっちゃおうぜ」
「そうそう」
「「ぎゃははははは」」
男どもの笑い声が公園に響く。
紀代美は顔を上げる。
その目は妖しく輝き、口元にはゆがんだ笑みが浮かんでいる。
「死ね」
紀代美の右腕が一閃し、正面に立っていた男の顔を薙ぐ。
血しぶきと肉片が飛び散り、男は顔をえぐられて骨と眼球が露出した。
「ぎゃああああああ!」
一拍置いて男の悲鳴が上がる。
「な、何?」
「なんだと!」
紀代美を囲むように両脇に立っていた男たちは一瞬何があったかわからない。
そのまま紀代美は右手をすぼめ、錐のように突き刺した。
「げぼっ」
顔をえぐられた上に胸を貫かれた男はドウッと倒れて動かなくなる。
敷石に血が広がり、赤黒く染まっていく。
「ふふ・・・うふふ・・・」
紀代美が笑った。
その右手はスーツの袖口から先がつややかな外骨格に覆われ、鋭い爪の付いた指先が血で光っていた。
「あ、お、お前は一体?」
男たちが後ずさる。
その目は驚愕に見開かれていた。
「うふふ・・・なぁんだ・・・こんなに簡単だったんだわ・・・私ったら馬鹿みたい・・・」
紀代美はうっとりと自分の右手を見つめる。
「綺麗・・・知らなかったわ・・・こんなに気持ちがいいなんて・・・」
「て、てめえ! よくも浩二を!」
「うらぁあああ」
左右からナイフを取り出して襲ってくる男たち。
このまま逃げ出すのは彼らのプライドが許さなかったのだろう。
紀代美は避けもせずに笑みを浮かべたまま立ち尽くしている。
その両脇から男たちのナイフが突き刺さった。

「「!」」
男たちは戸惑う。
確かに今まで本当に人を刺したことなどない。
だが、この硬質な手ごたえは人間の肉を刺した感触とは思えなかった。
「ふふふふ・・・」
紀代美の笑い声が聞こえてくる。
二人が顔を上げると、紀代美は冷たい笑みを浮かべたままだった。
「馬鹿な男たち。そんなナイフで私が傷付くとでも思っているのかしら・・・」
「・・・・・・」
恐怖が男たちを捕らえる。
思わずナイフから手を離して後ずさる。
ナイフは支えを失ったかのように敷石に落ちて硬質な音を立てた。
切れ目の入った紀代美のスーツ。
その切れ間から茶色い外皮が覗く。
「ば、化け物?」
「うふふふ・・・下等生物のくせに私を化け物呼ばわり? 許せないわ。私は改造人間セミ女なのよ!」
紀代美はスーツを引き裂いた。
その下からは茶色い外骨格に覆われ、美しい女性的なラインを持ったセミの合成人間が現れる。
「ひいっ!」
思わず腰を抜かしてしまう男たち。
圧倒的な威圧感が彼らを動けなくしてしまっている。
「うふふふ・・・さあ、死んでしまいなさい!」
セミ女の腹部が共鳴し、その口から鳴き声が発せられる。
「ぎーーーーーーーー」
「うわぁっ!」
両手で耳を押さえても鳴き声は容赦なく二人の男を苦しめる。
のたうちまわり転げまわる男たち。
やがて全身を痙攣させ、口から血を吐いて死んでしまう。
動かなくなった男の躰をハイヒールブーツのように変化した足で蹴るセミ女。
「ふふふふ・・・どう? 私の殺人音波の味は」
満足そうにセミ女は死体を見下ろす。
「ああ・・・気持ちいい・・・擬態を解くのがこんなに開放感があるなんて・・・人間を殺すのがこんなに気持ちいいなんて・・・」
両手で胸をかき抱くように快感に浸るセミ女。

「おめでとうございます、セミ女様」
「人間どもを始末したご気分はいかがですか?」
「とっても気持ちよくありませんか?」
夜の公園に人影が現れる。
街灯に照らされる五人の少女たち。
「あなたたち・・・今のを・・・」
現れた合唱部の五人をにらみつけるセミ女。
「ご心配なく、セミ女様」
「私たちはセミ女様のお味方です」
「後始末はどうかお任せ下さいませ」
妖しい笑みを浮かべて近寄ってくる少女たち。
その姿にセミ女は警戒を解く。
改造された脳がこの娘たちが敵ではないことを告げているのだ。
「そう・・・それじゃ後は任せるわ。始末しておきなさい」
セミ女はそう言うと、ジャンプして街灯の上に立つ。
そのまま街灯や屋根を伝って自宅の方へ姿を消した。

「うふふ・・・思った以上に役に立ってくれたわね」
「こんなクズどもでも役に立って喜んでいるんじゃないですか?」
綾乃の言葉に響子もうなずく。
「セミ女様の持ち物は鞄と靴以外は処分しました。鞄と靴は明日お渡しします」
聡里が両手に紀代美のバッグと靴を持ってくる。
「それがいいわ。もっとも・・・そんなものも使わなくなるでしょうけどね」
「これでセミ女様は・・・」
「ええ、私たちの素晴らしいご主人様よ」
「「うふふふふふ・・・」」
夜の公園に少女たちの笑い声が響いた。

                  ******

「センセー」
「センセー、一緒にお昼にしませんか?」
「ちょっと来てほしいところがあるんですけどぉ」
いつものように合唱部の五人が紀代美を呼びに来る。
「ええ、いいわよ。どこに行くの?」
きりっとした姿勢で女生徒たちのほうへいく紀代美。
その姿は以前とはまったく違い、あの真海でも何となく声をかけづらい。
今朝の職員室ではついに真海は一言も紀代美に口を聞けなかったのだ。
「来てもらえればわかりますぅ」
「きっと気に入ってもらえると思います」
左右から紀代美の手を取る聡里と美咲。
それは紀代美にとっても嬉しくなる行動だ。
「わかったわ。行きましょう」
紀代美は五人に連れられるようにその場を後にした。

「あら、いつもの部室じゃない」
紀代美たちが来たのは合唱部に部室としてあてがわれた旧舘の一室だった。
校舎のはずれにあることもあって、あんまり使うことがない。
狭い部室で歌うよりも天気のよい日は外で歌う方が気持ちがいいのだ。
「いいからどうぞ入ってください、先生」
部長の響子がドアを開ける。
「これは?」
部屋に入った紀代美の前に大きなカプセルを中心とした機械が並んでいる。
「ふふふ・・・セミ女様。ここでは擬態は必要ありませんわ」
「擬態を解いてくつろいで下さいませ」
どこから持ってきたのかゆったりした椅子を用意する綾乃。
「あなたたち・・・ふふふ・・・」
紀代美は笑みを浮かべて椅子に座る。
「セミ女様。私たちはS・S・Bによって改造されたセミ女様の直属女戦闘員なんです」
「どうぞ、私たちの姿をご覧下さい」
そう言って、少女たちはその制服を脱ぎ去り、エイミーがスクリーンで見たのと同じ紺色のレオタード姿に変化する。
それぞれがまったく同じ衣装を身にまとい、背中から前に回りこむ半透明の翅を身に付け、胸元にはセミの口吻をかたどった口元を覆うマスクが下がっていた。
「私はセミ女様直属女戦闘員01です」
部長の響子が妖しく微笑む。
「私は02です」
「私は03」
「私は04です」
「05です。セミ女様」
口々に自分のナンバーを伝える女戦闘員たち。
彼女たちは素晴らしい主人を前にして多少興奮しているようだった。
「そうだったの・・・ふふ・・・うふふふ・・・」
紀代美がすっと立ち上がる。
スーツのボタンを外して上着を脱ぎ、ゆっくりとスカートを下ろして行く。
全ての衣類を脱ぎ捨てた紀代美は擬態を解いてセミ女へと姿を変えた。
「「わあ・・・」」
目の前でセミ女へと変身する紀代美に女戦闘員たちは喜びを隠しきれない。
「はあ・・・気持ちいいわぁ。擬態を解いて本当の姿になるのは気持ちいいわね」
「素敵です。セミ女様」
「素晴らしいお姿です」
「ありがとう。あなた方も素敵な姿よ」
セミ女が腕を組んで椅子に座る。
その姿は支配者としての威厳に満ちていた。
思わず五人の女戦闘員たちは跪く。
「私たちはこのカプセルで改造を受けました」
背後のカプセルを示す01。
「とっても気持ちがいいんですぅ」
「03ったら洗脳が病みつきになっちゃってるんですよ」
「02だってそうじゃない!」
思わず微笑んでしまうセミ女。
ここが自分の居場所・・・
この娘たちは私のしもべ・・・
私は改造人間セミ女なんだわ・・・
セミ女はそう思う。

「あなたたち、静かになさい」
01の声が飛ぶ。
「「ハッ」」
すぐに静まり返る室内。
「セミ女様。私たちに最後の調整をお願いいたします」
「最後の調整?」
「はい。セミ女様はS・S・B並びにプロフェッサー・エイミー様に忠誠を誓われますか?」
01が真剣ななまざしを向ける。
セミ女に迷いは無い。
「もちろんよ。私をこの素晴らしい躰に改造してくださったエイミー様には感謝してもしきれないわ。これからは身も心も全てをS・S・Bとエイミー様に捧げるわ」
「よかったぁ。ありがとうございますセミ女様」
「これで私たちもセミ女様に全てを捧げることが出来ます」
「ありがとうございます。セミ女様」
嬉しそうな女戦闘員たち。
「どういうこと?」
セミ女は首をかしげた。
「あ、すみません。セミ女様が忠誠を誓うまでは私たちはセミ女様の監視役を命じられていたんです」
01が頭を下げる。
「でもこれで私たちは監視の任を解かれ、セミ女様のみに従う女戦闘員になれたんです」
嬉しそうな佐崎綾乃こと女戦闘員02。
「あ・・・ああ・・・」
へたり込んで呆けてしまう飛鷹聡里こと女戦闘員05.
「あは・・・もしかして05ったらイッちゃった?」
優しく声をかける渡鍋美咲こと女戦闘員04。
「は、はい・・・私、嬉しくて嬉しくて・・・」
股間を押さえたまま感じているようだ。
「そうだったの・・・ふふふ・・・これからはあなたたちは私のしもべ。私のために仕えるのよ」
「「はい! セミ女様!」」
すっと立ち上がり一斉に右手を胸の前で水平にする。
「うふふふ・・・手始めにまずはこの学院を支配するのよ。学院の生徒たちを私の催眠音波で支配し、S・S・Bの忠実な工作員に仕立て上げるの」
妖しく笑みを浮かべるセミ女。
「「はい、セミ女様。何なりとご命令を」」
「もうすぐ研修旅行があるわ。そのときが作戦開始よ。教室と違ってバスの中なら逃げ場はないわ。たっぷりと私の催眠音波を聞かせてあげるの。うふふふふふ・・・」
「「かしこまりましたセミ女様! S・S・Bに栄光あれ!」」
女戦闘員たちの声が響く。
「S・S・Bに栄光あれ!」
セミ女も誇らしげに声を上げるのだった。

To be continued to Kiss in the dark 2005/8/6

[S・S・Bに栄光あれ!]の続きを読む
  1. 2006/04/16(日) 20:11:32|
  2. セミ女
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セミ女直属戦闘員

今日はちょっと短いですがセミ女の6回目です。
無計画さ浮き彫り・・・orz

それでもここまでこられましたー。
楽しんでいただければ幸いです。

6、
「恵畑先生」
呼びかけられた紀代美は急いで指先に擬態を施す。
美しい外骨格がひ弱な指先に変化するのを見て、紀代美は少し寂しさを感じた。
「あ、何ですか? 野戸先生」
「あなた・・・やる気あるの?」
腕組みをして紀代美を見下ろしている野戸理奈子。
「えっ?」
突然のことに戸惑う紀代美。
「困るのよね、あなたみたいのがいると」
「えっ?」
何のことだか紀代美にはわからない。
「あなたのせいで矢際先生が増長するのよ。他の先生の迷惑になるのがわからないの?」
「そ、そんな・・・」
そんなこと言われても・・・
紀代美は唖然とする。
いつもは味方になってくれていたはずの野戸先生がそんなふうに思っていたなんて・・・
それに私ばかりじゃなく他の先生方だって矢際先生に追従しているじゃない・・・
「いじめってのはね、いじめられる方にもかなりの原因があるの。いつもビクビクおどおどしているから付け込まれるのよ」
あきれたように紀代美を見つめる理奈子。
「・・・・・・」
口をつぐんでしまう紀代美。
こういった場合は言い返せばかえって相手に反撃されてしまう。
紀代美はじっとうつむいてしまった。
「あなた聞いてるの? あなたみたいなのがいると困るって言っているの。辞めちゃったら? どうせたいした能力もないんだし・・・」
ギリ・・・
悔しさに歯噛みする。
どうしてそんなことを言われなくちゃならないの?
私が能力ないってどうしてあなたにわかるの?
そんなにあなたは優秀なの?
改造された私以上に?
「矢際先生も先生だけど、あんたもあんたなのよ。見ていると鬱陶しいたらありゃしない」
頭ごなしに言い放たれる。
鬱陶しい?
鬱陶しいのはあなたの方よ・・・
ただの人間のくせに・・・
私は改造されているのよ・・・
あなたなんかとは違うのよ・・・
この私より優秀ですって?
たかが人間のくせに笑わせないでよね!

「お黙り」
「えっ?」
うつむいた紀代美の発した言葉に一瞬耳を疑う理奈子。
「黙りなさいって言ったのよ」
ゆっくりと顔を上げる紀代美。
その表情に怒りが浮かんでいる。
「あ、あなた・・・」
「能力がないですって? 鬱陶しいですって? あなたにそんなことを言われる筋合いはないわ」
「ふん。口だけは一人前? それとも開き直りかしら?」
紀代美から感じる不気味さを押し殺して強がる理奈子。
いつも感じる弱さは微塵も感じられない。
「ただの人間のくせに!」
紀代美は立ち上がるとすっと右手を伸ばして理奈子の首を握り締める。
「くだらない人間のくせに!」
「ぐ、がはっ」
紀代美の右腕が上に伸び、理奈子の躰が持ち上がる。
「あ、げほっ、た・・・たひへへ」
真っ青になる理奈子。
「恵畑先生!」
「恵畑先生、止めてください!」
職員室に残っていた教師たちが止めに入る。
殺してやる・・・
殺してやる・・・
殺してやる・・・
人間なんて・・・殺してやる・・・
「あがが・・・」
「恵畑先生!」
「恵畑先生!」
男性教師二人が両側から紀代美と理奈子を引き離そうとする。
殺して・・・えっ?
ハッとする紀代美。
わ・・・私は・・・
私はどうしたと・・・
はあ・・・はあ・・・はあ・・・
心臓がドキドキする・・・
躰が興奮している・・・
殺したくて仕方が無い・・・
だめよだめよだめよ・・・
人を殺すなんてだめよ・・・
でも・・・
どうしてだめなの?

「恵畑先生!」
「放しなさい、恵畑先生!」
「あ・・・」
右手を離す紀代美。
崩れ落ちるように倒れこむ理奈子。
男性教師が抱えるように理奈子を支える。
「あ・・・私・・・私・・・」
紀代美は走り出していた。
職員室にはいられない・・・
ロッカーから鞄を持ち出すと紀代美は学院を飛び出していった。

「あーあ・・・飛び出して行っちゃいましたよ、エイミー様」
ハエロボットからの映像をスクリーンで見ていた官子が心配そうに言う。
「上出来よ。あそこまで行動させられたんですもの。あと一押しで彼女はセミ女として覚醒するわ」
エイミーの口元には余裕の笑みが浮かんでいる。
「それにしても回りくどいですねぇ。いつものエイミー様ならさっさと洗脳しちゃうんじゃないですか?」
「言ったでしょ。これも実験のうちなの。宗教などという物を使って洗脳を行なう神彌弥に対抗するためにも、洗脳に関してのデータは多ければ多いほどいいのよ」
エイミーのこめかみがヒクヒクとひくつく。
それだけエイミーは首領の寵愛を受けている神彌弥という存在が気になるのだった。
「あはは・・・そ、そうなんですか・・・」
官子はただ苦笑せざるを得ない。
この二人の確執が首領の目論んだものなのか、はたまた意識せずにこうなってしまったものなのか。
それは官子にもわからない。
もっとも、対抗意識を燃やしているのはエイミーの方だけかもしれないが・・・
そのとき電子音が鳴り、スクリーンの脇にあるコンソールが明滅する。
「あ、通信が入っていますよ。エイミー様」
「つないでちょうだい」
ムチを手にスクリーンに向き直るエイミー。
「了解です」
てきぱきとコンソールパネルを操作する女戦闘員。
すぐにスクリーンが切り替わり、見慣れた姿が映し出される。
聖光女学院の合唱部部長、西来響子だ。
だがそれは普段の制服姿ではなく、光沢のある紺色のレオタードを着込み、背中から躰の両側を通って前にまでまわってきている半透明の翅のようなマントを羽織っているうえ、胸元にはセミの口のような鋭い口吻の付いたマスクが下がっている姿だった。

響子はすっと右手を胸に水平にして一礼をする。
「セミ女様直属女戦闘員01よりご報告いたします。学院の女性教師に音波催眠をかけ、セミ女様の覚醒を促すことに成功いたしました。引き続きセミ女様の覚醒を促すよう作戦行動を続行いたします」
西来響子、いや、すでに官子によって洗脳と改造を施されたセミ女直属女戦闘員01はエイミーに受けた指示を忠実に実行するべく、その途中経過を報告してきたのだ。
「ご苦労。あの教師には後催眠をかけて騒ぎ出さないようにしなさい。警察にでも駆け込まれたりしたら面倒だからね」
エイミーが細かな指示を出す。
ある程度はやはり指示を出してやらねばならないのだ。
「かしこまりました。そのようにいたします」
一礼をして通信を切る女戦闘員01。
「さあ、そろそろ仕上げにかかるわよ。うふふふ・・・」
エイミーの顔に満足そうな表情が浮かぶ。

[セミ女直属戦闘員]の続きを読む
  1. 2006/04/15(土) 20:11:04|
  2. セミ女
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選ばれた存在?

セミ女さん第五話目です。
そろそろ心も変わってきてます。

5、
無味乾燥な授業・・・
くだらない人類の歴史・・・
真剣に聞いている生徒はごく一部・・・
イライラする・・・
私はなぜこんなことをしているのだろう・・・
内職と称して授業とは関係のないことを行なう生徒・・・
手紙のやり取りをして放課後の事を相談する生徒・・・
イライラする・・・
どうしてこの娘たちは整然とした行動ができないのだろう・・・
無秩序の集団・・・
それはまさに人間そのもの・・・
支配・・・
誰かが支配をする・・・
人間を支配する・・・
支配しなくてはならない・・・
人間を支配しなくては・・・ならない・・・

「そこ! 何をしているの? 今は授業中よ」
紀代美は一人の女生徒を指し示す。
その女生徒は紛れも無く机の下でマンガを読んでいた。
「えっ? な、何もしてません。ほ、本当です」
女生徒はすぐにマンガを机の中に開いたまましまいこむ。
「何か関係ないものを読んでいたんじゃない?」
「読んでいません! そんなことしていません!」
首を振る女生徒。
「嘘言いなさい!」
紀代美はつかつかと女生徒のところへ行って、女生徒を立たせて机の中を引っ掻き回す。
「これは何!」
開かれたマンガを机の上に取り出す紀代美。
それは紀代美にとっても初めてのことだった。
今まではどうしても注意することに臆して注意できなかったのだ。
「そ、そんなの知りません。たまたま休み時間に読んでいたままだっただけです」
「黙りなさい!」
パシーンという音が教室内に響く。
唖然として頬を押さえる女生徒。
シーンと静まり返る教室。
紀代美は思わず自分の右手を見つめる。
わ、私は・・・
私は今何をしたの?
私は・・・生徒を・・・
生徒を叩いてしまったの?
ゾクッとするものが紀代美の背中を走り抜ける。
ドキドキと心臓が高鳴る。
ど、どうしたの私は・・・
気持ち・・・いい?
気持ちいい?
はあ・・・
気持ちいい・・・
ざわめき始める教室内。
叩かれた女生徒はまだショックを受けている。
「もういいわ、座りなさい」
「はい・・・」
おとなしく言うことを聞く女生徒。
「みんな静かに! 授業を続けます!」
ざわめきが一瞬にして静まる。
完全にコントロールされた教室。
紀代美の一挙手一投足が生徒たちを支配する。
気持ちいい・・・
なんて気持ちいいんだろう・・・
紀代美は先ほどまで感じていたイライラが消え去ってしまったことを感じていた。

「「そして~私が~迷い込むのは~薄闇の世界~♪」」
五人の声が一つになる。
CDの伴奏に合わせて響く綺麗な歌声。
いつものように体育館脇で練習をしている合唱部の女生徒たち。
紀代美はタクトを振っている。
最初はまったくぎこちなかったものだが、今ではかなり上達した。
歌うのはほとんどがアニメソングやドラマの主題歌。
将来はともかく、まだ部になったばかりの今は歌うことが楽しければそれでいいのだ。
生徒たちはここ最近見違えるほど一体感が出てきていた。
ハーモニーも素晴らしい。
何より、紀代美のタクトに合わせて一糸乱れない姿勢が紀代美を満足させていた。
「ふう・・・少し休憩しましょ」
「「さんせーい!」」
みんなの顔がほころぶ。
木陰にいつものように敷いたビニールシートの上に座り込む。
「疲れたー!」
「うふふ・・・でも気持ちいいわ」
真柴里緒と佐崎綾乃は二人寄り添って微笑んでいる。
「あ、西来さん。私がお金出すからみんなにジュース買ってきてくれないかしら」
紀代美がポケットから財布を取り出す。
「えっ? よろしいのですか?」
西来響子がすぐに紀代美のそばに来てスッと跪く。
「ありがとうございます、先生」
「「ありがとうございます」」
四人もいっせいに跪いて一礼をする。
あ・・・
なんて気持ちがいいのかしら・・・
この娘たちはとても素晴らしいわ・・・
これこそがあるべき姿・・・
これこそが・・・
「いいのよ。私も喉が渇いたから、私の分もお願いね」
財布から千円札を取り出す紀代美。
「かしこまりました」
響子が恭しく千円を受け取る。
「あ、私が行きます、リーダー」
一年の聡里が手を上げる。
いつも部長と呼ばれていたはずなのに、最近はリーダーと呼ばれていることが多い。
「そう、じゃお願いするわ。先生の分をまず第一にね」
「はい」
すっと立ち上がって響子から千円を受け取ると、聡里はすぐに駆け出して行く。
紀代美はその姿が頼もしかった。

「センセー、センセーは電車通勤ですよね? 痴漢とかに遭わないですか?」
ゴクゴクと冷たいウーロン茶を飲んでいる渡鍋美咲。
メガネがとてもよく似合う俗に言うメガネ美人だ。
「えっ? 痴漢?」
紀代美は思わず聞き返す。
紀代美は何回か痴漢に遭っている。
朝の混雑する電車内でお尻を触られたことがあるのだ。
そのときは声を上げることさえできなかった。
紀代美の気の弱さが痴漢に恐怖を感じさせていたのだ。
だけど、それをそのまま言ってもいいものなのかしら・・・
痴漢に遭ったら大声で助けを求めなさいって指導していたはず・・・
教師の私が痴漢に遭って震えていましたなんて言えないわ・・・
「ええ、痴漢にあったことないですか?」
「ハーイ。私ありまーす」
元気よく右手を上げる飛鷹聡里。
さっきドリンクを抱えて走ってきたというのに汗一つかいていない。
「私もあるわ」
部長の響子も小さく右手を上げた。
「西来さんも?」
紀代美は驚いた。
五人中二人も痴漢に遭っていると言う。
これは問題ではないだろうか。
「リーダーはそういう時どうするんですか? 私は次の駅で痴漢と一緒に降りてトイレに誘って殺しちゃいました」
まるで昨日見たテレビの感想でも言うかのようにあっさりと言う聡里。
「ああ、先日のあれは聡里ちゃんだったんだ」
「ええ、音波を使って殺したから、心臓発作としか思わなかったみたい」
「あまり派手にやっちゃだめよ。怪しまれないようにしないと」
缶コーヒーを飲んでいる綾乃が心配そうにする。
「リーダーはどうしたんですか? やっぱり殺したんでしょ?」
「当然でしょ」
こともなげに言う響子。
長い髪をかき上げてペットボトルの果汁ジュースを飲んでいる。
「くだらない人間には死を与えてやるのが当然だわ」
「ま、待って!」
紀代美が口を挟む。
「あなたたちいったい何の話をしているの? 殺すだの殺さないだのって・・・いったいあなたたちどうしちゃったの?」
「先生」
「えっ?」
響子が冷たい視線を向けてくる。
「先生はくだらない人間どもが多すぎるとは思わないんですか?」
「センセーだって殺しちゃいたいクズどもがいないですか?」
「そんなのは殺しちゃえばいいんですよ」
「人間は少しぐらい死んだ方がいいんです」
響子と同じように冷たい表情で笑みを浮かべている少女たち。
それはあまりにも不自然な光景であるにもかかわらず、紀代美には彼女たちには相応しく思えていた。
「そ、それは・・・」
くだらない人間?
殺しちゃいたいクズども?
少しぐらい死んだ方がいい?
ああ・・・わからない・・・
わからないわ・・・
確かにくだらない人間は多いわ・・・
殺しちゃいたいクズだってそばにいる・・・
でも・・・
でも・・・
殺しちゃってもいいの?
殺すことが正しいことなの?
わからない・・・
わからないよぉ・・・
「センセー、センセーは選ばれたんですよ」
紀代美のそばで囁く真柴里緒。
「私たちがお手伝いいたしますわ」
「先生は心の赴くままに支配者として振舞えばいいんです」
「私たちにお任せ下さい」
「「どうか、私たちにご命令を」」
紀代美の前に跪く五人の少女たち。
「い、いや・・・いやよ・・・いやぁっ!」
紀代美はその場を逃げ出した。
少女たちといると、自分の心の奥底に秘められたものが、白日の下にさらけ出されそうだったのだ。

「ハアハア・・・」
心臓がドキドキ・・・しない?
息が切れ・・・ない?
息が切れたように思ったのは人間だったときの感覚を引き摺っているから?
私の躰・・・
「本当に改造されちゃったんだわ・・・」
紀代美は職員室の自分の席に着き、顔を伏せてしまう。
顔の下側になっている右手の指先だけそっと擬態を解いてみる。
つややかな外骨格に覆われた強靭な指先と鋭い爪が現れた。
「綺麗・・・」
どうして逃げ出したのかな・・・
人間なんてどうしようもない生き物・・・
誰かが支配しないとだめなんじゃないのかな・・・
『先生は選ばれた存在なんですよ』
西来響子の言葉が思い出される。
「選ばれた存在・・・か・・・」
何となく嬉しい・・・
改造されたことで選ばれた存在になれたのだろうか・・・
だとしたら私は本当に選ばれた存在なのかもしれないな・・・
「うふふ・・・」
紀代美の口元に笑みが浮かぶ。
気持ちよかったな・・・
国原さんたらすっかりおとなしくなっちゃって・・・
私が叩いたおかげよね・・・
クラスの娘たちも私の言うとおりになって・・・
気持ちよかったな・・・
今度試してみようかな・・・
私の鳴き声で確か言うとおりにさせることが出来たはず・・・
やってみようかな・・・
紀代美の脳裏に彼女の指図どおりに行動する生徒たちの姿がよぎる。
素敵だろうな・・・
「うふふ・・・」
紀代美は擬態を解いた指先をぼんやりと眺めていた。

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  1. 2006/04/14(金) 21:12:26|
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合唱部の女の子たち

すみません・・・orz
続いています。

文章中に悪事を肯定するような表現がありますが、あくまでSS中のフィクションですので、その辺はご理解のほどを。

ではでは。

4、
「はあ・・・」
購買で昼食用の調理パンを買い求めた後で、今日も紀代美はため息をついていた。
朝早々に教頭から昨日の無断欠勤の注意をねちねちといわれた後で、矢際真海から今度行なわれる研修旅行のパンフレット作成を押し付けられたのだ。
本来なら学院に勤めて間が無い紀代美のするようなことではなく、取引業者とかとそれなりの対応の取れる中堅の教師が行なうべきことなのだが、真海が安請け合いをして紀代美に丸投げしてきたのだ。
『研修旅行は毎年のことだからある程度はパターンが決まっているけど、トラブルが起こったらあんたのせいだからね。私に恥じかかせるんじゃないよ』
真海のその言葉に紀代美はいつに無く腹が立った。
殺してやりたいとさえ思ったのだ。
だが、紀代美はうなずいていた。
逆らうことの怖さと無意味さを知っていたからだ。
手を握り締めて耐えるだけ。
あくまで噂だが真海に逆らったために職場を失い、転々とする羽目になった教師が何人もいるとか。
せっかくの職場を失いたくは無かった。

「センセー! 恵畑センセー!」
「センセー!」
にこやかにやってくる女生徒たち五人。
手に手にとりどりの包みを持っている。
今日もお誘いに来てくれたのだろう。
いつも声をかけてくれる五人の女生徒たち。
もうすっかり顔なじみだが、もともとはこれも真海の押し付けから始まったことだった。
「先生、今日もお昼一緒に食べませんか?」
「今日は先生もうお昼用意しちゃいました?」
「見てください、綾乃がセンセの分のお弁当も作ってきたんですよ」
「お口に合うかどうかわからないんですけど、よろしければ食べてくれませんか?」
あっという間に紀代美を取り囲んで口々にしゃべり始める少女たち。
思わずその情景に紀代美は微笑んでしまう。

制服に身を包んだ五人の少女たちはいずれも紀代美が顧問を押し付けられた合唱部の娘たちだった。
吹奏楽部あたりは人気があって生徒たちもたくさんいるのだが、なぜかこの学院では合唱部は今まで無かったらしく、今年になって五人目が入ったということで同好会から格上げされたのだ。
格上げされたからには顧問が必要なのだが、出来たばかりの合唱部の顧問など誰もやりたがらず、音楽教師にいたっては自分の吹奏楽部の敵だと言わんばかりであったので、結局真海が紀代美に押し付けてきたのだった。
音楽の経験などまったくない一介の社会科教師、それも世界史担当とあっては合唱のことなどわかるはずも無い。
それでも紀代美は一所懸命に音楽関係の本を読んだり、TVの合唱コンクールを録画したりして何とか合唱を把握しようと努めてきた。
生徒たち五人も一緒に合唱部を作って行くんだという感じで、紀代美に逆に教えたり一緒に録画を見たりして仲良くなったのだ。
最近は体育館脇のスペースでCDを伴奏に歌っていると、数人の生徒たちが聞きに来てくれるまでになっていた。
残念ながら入部希望者まではいなかったが、五人と紀代美の仲はすごくよかったのだ。

紀代美は生徒たちの間では人気がある。
だからお昼のお誘いはそこそこあって、たまに十人以上の大所帯となることもあったが、中心となるのはいつもこの娘たちだった。
生徒たちととる食事は楽しく、またいろいろと生徒の悩みや相談ごとも聞くことができるので有意義だった。
そのことがまた真海にとっては面白くないらしく、いろいろと嫌みを言われたりもするので、紀代美にとっては真海に見つからないように校舎脇とか屋上の隅とかで集まることが多かった。
「今日はあっちに行きましょう」
紀代美は校舎脇の木陰に生徒たちを連れて行く。
夏の日差しが暑かったが、木陰で取る食事は美味しいだろう。
「「ハーイ」」
生徒たちの声が見事にハモる。
紀代美と五人の生徒たちはわいわいとしゃべりながら場所を移動していった。

「センセー、どうぞ」
目に前に差し出される四角い包み。
すごく嬉しい・・・
「でも、悪いわ。私ならほら、パンも買ってきたし」
紀代美は購買の袋を指し示す。
「それは後でも傷まないですよ。せっかく綾乃が作ってきたんですから食べてやってよ」
「綾乃ちゃん昨日はがっかりしてたんだよね」
「センセが来なかったもんね」
口々に言いながらひざの上にお弁当を広げて行く女生徒たち。
さすがに女の子。
お弁当の中身はカラフルである。
紀代美も料理は好きな方だったが、連日帰りが遅くなる状態では自炊はなかなか出来なかった。
それでついついスーパーの惣菜かコンビニのお弁当ということになってしまう。
お弁当だってそんな事情だからあまり作ることは無かった。
購買で調理パンを買うことが多かったのだ。
「センセ、お願いです。食べてみてください」
二年C組の佐崎綾乃(ささき あやの)がうつむきながら差し出しているお弁当。
紀代美はうなずいて受け取った。
「やったね、綾乃」
そっと綾乃の肩を小突く同じ二年C組の真柴里緒(ましば りお)
ソプラノの美しい声の持ち主である。
「佐崎先輩、おめでとうございます」
紀代美は苦笑した。
一年C組の飛鷹聡里(ひだか さとり)だ。
この娘のおかげで部に昇格したのだけど、お弁当を受け取ったぐらいでおめでとうとは・・・
「よかったね、綾乃。あんたずっとセンセにお弁当作ってくるって言っていたもんね」
二年D組の西来響子(にしき きょうこ)。
合唱部の部長をしている責任感の強い娘だ。
「センセー。早く食べて食べて」
二年A組の渡鍋美咲(わたなべ みさき)。
紀代美以上に興味深そうにお弁当箱が開けられるのを待っている。
「はいはい。それじゃいただくわね佐崎さん」
紀代美は受け取ったお弁当を開ける。
玉子焼きやから揚げといった定番のおかずが並び、ご飯には海苔がかぶせられている。
その海苔も一枚をきちんと食べやすいように切り分けて乗せてあり、綾乃の心遣いが感じられた。
「あ、あんまり見ないで下さい・・・恥ずかしいから」
綾乃は赤くなっている。
だが、紀代美が食べるのを待っていて、自分のお弁当には手がついていない。
「「・・・・・・」」
固唾を呑んで紀代美を見つめている女生徒たち。
紀代美は玉子焼きに箸をつけ、そっと口へ運んで行く。
玉子焼きが紀代美の口の中に消え、もぐもぐと咀嚼されていく。
ごくんという音が聞こえてきそうなのどの動きが終わり、一瞬静寂が訪れる。
「美味しい」
「「やったーっ!」」
五人は思わず両手を上に上げて万歳したり、こぶしを握り締めたりしていた。
この瞬間、紛れも無く紀代美は幸福だった。

セミが鳴いている・・・
ミーンミーンミーン・・・
ジージージー・・・
複数のセミが織り成す音のハーモニー。
思わず紀代美は顔を上げる。
木の幹で樹液をすすっているセミが目に入る。
あれはアブラゼミだわ・・・
セミの種類など気にしたことも無いのにそれはすぐにわかった。
なんて可愛いのかしら・・・
昆虫などグロテスクなはずだったが、セミは別だ。
セミは美しい生き物。
人間など比べ物にならないほどに美しい・・・
「えっ?」
私、私今何を・・・

「センセー、センセーってば」
呼びかけてくる声にハッとなる紀代美。
「えっ? あ、ごめんなさい。聞いていなかったわ」
食事を終えて昼休みをおしゃべりで過ごしている女生徒たち。
紀代美も午後の授業の準備まではまだ時間があったのだ。
少し意識が飛んでいたらしい。
寝不足だったかも。
紀代美は何の気なしに視線を落として愕然とした。
躰を支えている右手の指先が外骨格に覆われて鋭い爪が覗いていたのだ。
ああ・・・嘘・・・
すぐに擬態を施して人間の指先に戻す。
指先は再び滑らかな指先に変化した。
やっぱり・・・擬態は無意識状態になると失われちゃうんだわ・・・
昨晩自宅へ帰った紀代美はシャワーを浴びてそのまま眠りについたのだ。
だが、朝目が覚めたときには悲鳴を上げないようにするのが精いっぱいだった。
いつの間にか擬態は解け、セミ女の姿に戻っていたのだ。
急いで擬態を施し人間の姿になって学校へ来たのだが、常に意識の隅で擬態を意識していないとだめなのかもしれない。
もちろん、慣れればそんなことはなくなるのかもしれないが、紀代美にとっては重大事だった。

「センセー、聞いてます?」
「あ、ご、ごめんなさい。何の話だったかしら」
「綾乃のお姉さんのことですよぉ。綾乃のお姉さんたら会社の帰りに複数の男たちに襲われたんですって」
えっ?
襲われた?
「父も母もおろおろしちゃって馬鹿みたいなんですよ。隙があるからそんな目に遭うんだってわからないんですよ」
あっさりと言い切っている綾乃。
「だよねー。私だったらそんな奴ら殺しちゃうね」
「うんうん」
何?
この娘たちは何を言っているの?
紀代美は彼女たちの言葉が信じられない。
襲われたとか殺すとか・・・一体何を言っているの?
「うん、私もそういったの。殺してこなかったのって。そしたらそんなことは出来ないとか何を言っているんだとか・・・もううざいったらありゃしないわ」
「わかるわかる。うちもうざくってさ、早く始末していいよって指令が来ないかなぁ」
綾乃の言葉にうなずいている里緒。
クラスが同じだけに二人はいつも仲がよい。
「勝手な行動はだめよ、指示通りにするの。いいわね?」
「「わかってます、リーダー」」
響子の言葉にうなずく四人。
一体何がどうなっているのか・・・
紀代美は背筋が冷たくなる。
だが、同時に何か得体の知れない感情も沸き起こっていた。
殺す・・・
捕まえて殺す・・・
獲物を捕まえて引き裂いて殺す・・・
獲物を捕まえて引き裂いてぐちゃぐちゃにして原形をとどめないほど破壊して殺す・・・
ドキドキドキ・・・
心臓が早鐘のように連打する。
それは悪魔の鳴らす鐘の音だった。
「センセーもそう思いませんか? うざい連中やクズな人間は殺しちゃえって」
一年生の聡里が屈託の無い笑顔を向けてくる。
それは自分の言葉にまったく疑問を持っていないということ。
「えっ?」
紀代美は我に帰る。
「一体どうしたの? 何でそんなことを言うの? みんな変よ。どうかしているわ」
「そうですか先生?」
響子が不思議そうな顔で紀代美を見る。
「人間なんていう生物は無秩序すぎませんか? 支配されないと奴らはこの世界を食いつぶしませんか?」
「優れたものが奴らを支配して、クズどもを排除しないと世界の調和が取れないんじゃないですか?」
「センセーだってそう思いませんか?」
口々に笑みを浮かべながら語る生徒たち。
「そ、そんなこと・・・」
紀代美は答えられない。
混乱して答えられないのだ。

授業開始五分前の予鈴がなる。
すっと隙の無い動きで立ち上がる五人の女生徒たち
「先生は選ばれた存在です。支配者となる必要があるんですよ」
「えっ?」
そういい残して響子は他の四人とともに教室へもどって行く。
「私は選ばれた・・・存在・・・」
その後ろ姿を見送る紀代美はそうつぶやいていた。

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  1. 2006/04/13(木) 21:14:58|
  2. セミ女
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仲のいい二人(笑)

本当は二回か三回で終わらせたかったのですが、なんか話が膨らんでしまって今回でも終わりませんでした。

でも、その分楽しんでいただけたらと思います。
それではドゾー。

3、
マスクがかぶせられ麻酔ガスが流される。
「あ、う・・・げふっ」
必死になって呼吸を止める紀代美だったが、苦しさに耐え切れずに呼吸をしてしまう。
「あ・・・」
だんだん意識が遠くなる。
「い・・・や・・・」
だめ・・・
だめよ・・・
意識を失ったらだめ・・・
だが、紀代美の意識は遠くなっていった。

「まったく・・・みんなして私のことを狂っている狂っているって・・・」
口を尖らせているエイミー。
彼女にしてみれば当然の事を行なっているに過ぎないのだ。
「エイミー様はそんなに狂っちゃいないですよね」
「そ・ん・な・に?」
エイミーが振り向くと同時に官子は思わず自分の口を押さえてしまう。
「いいのよ。そんなに慰めてくれなくても。うふふふ・・・」
ムチをしならせるエイミー。
「あ、あはは・・・エイミー様目が、目がすわっていますぅ」
一歩二歩と下がる官子。
「そりゃあ私は毎日毎日手を変え品を変えて生き物とたわむれ、人体改造のことばかり考えているんですものねぇ」
「あ、あはは・・・そ、そんなこと無いですよエイミー様。エイミー様はそれがお仕事ですから・・・」
「そう。そう言ってくれて嬉しいわ、官子。うふふふ・・・」
「ヒイッ!」
エイミーの冷たく怪しい笑みに官子は観念して背中を向ける。
エイミーの短めのムチが空気を切って官子のお尻に当てられた。
「ヒギャァッ!」
「おほほほ・・・お仕置きよ、お仕置き」
「ヒギャァッ!」
一回二回とエイミーのムチが官子のお尻でいい音を立てて行く。
その様子にいつものことと肩をすくめる戦闘員たち。
これはエイミーにとっても官子にとってもいい意味での楽しみなのだ。

「ふう・・・このぐらいで良しとしましょう。改造の方も順調のようね」
シーツを剥ぎ取られ、裸で手術台に横たわっている紀代美の周囲からはいろいろな機器やチューブが伸びている。
ボックスに入れられていたセミたちは液体によってどろどろに溶かされ、そのエキスが紀代美に注入されていく。
細胞を変化させるために光線が照射され、紀代美の細胞がセミのDNAを受け入れて行く。
表皮は硬くなり外骨格を形成して行き、関節には節が作られていく。
頭部の周囲にはカチューシャのようにセミの複眼や口の辺りが作られ、髪の毛を飾って行く。
紀代美の目の周囲にはカバーが現れてサングラスのように保護される。
大学時代には知り合いからミスキャンパスに推薦されそうになり、慌てて断ったという美しいボディラインは外骨格が覆っても変わらずにその流れるようなラインを保持していた。
胸の膨らみも腰のくびれもセミの外皮が覆い、背中からは半透明の美しい翅が伸びて行く。
つま先は指が消え去り、かかとが伸びてハイヒールブーツ状に整えられる。
手の指先には鋭い爪が伸びて、獲物を切り裂く武器となる。
紀代美はいまやセミと人間の合成された改造人間セミ女と変貌していったのだった。

「うふふ・・・素敵だわ。これこそ選ばれたる者の美しさ」
うっとりとした表情を浮かべるエイミー。
その手に持ったムチも喜びに打ち震える。
「あとは脳改造ですね。エイミー様」
機嫌が良さそうなエイミーに思わず官子の表情もほころんだ。
「お黙り、官子。それよりも手配してもらったことはちゃんとできたんでしょうね?」
「えっ? は、はい。もちろんです」
かしこまる官子。
「そう。わざわざトラックにカプセル一式と医療戦闘員を用意したのだから、失敗するはずが無いわよね?」
「も、もちろんです、エイミー様。すでに改造も終わっていますけど・・・でも戦闘員にしては手間をかけていませんか?」
エイミーの顔にゆがんだ笑みが浮かぶ。
「うふふふ・・・いいのよ。これも一つの実験なんだから」
「そうなんですか・・・」
官子はそんなエイミーを見て内心でほくそえんでいた。

薄暗い部屋。
無影灯も機器の灯りも消えている。
「ん・・・」
紀代美はゆっくりと目を覚ます。
「あ・・・こ、ここは・・・」
頭を振ってぼんやりした状態をはっきりさせようとしながら上半身を起こす紀代美。
「ヒッ!」
薄暗い中でも紀代美にははっきりと自分の躰が目に入る。
「あ・・・こ、これは・・・」
変わってしまった自分の両手を見つめる紀代美。
関節ごとに節で区切られ、外骨格に覆われて爪が鋭く伸びている自分の手。
「い、いやぁっ!」
思わず叫び声を上げて両手で顔を覆う紀代美。
「あらあら、そんな素敵な躰になったのに何が不満?」
影の中から現れるエイミーの姿。
「ああ・・・ひ、ひどい、ひどいよぉ。元に・・・お願いだから元に戻してぇっ!」
顔を覆いながら首を振って泣き喚く紀代美。
「うふふふ・・・それは無理よ。改造された躰が元にもどるわけ無いじゃない」
「そ、そんなぁ・・・」
紀代美はすがるようにエイミーを見上げる。
「でも心配は要らないわ。あなたの脳にはすでにその躰の情報がインプットされているの。わかるでしょ? あなたには特殊能力があって、人間体に擬態できるってことが」
エイミーがムチの先でセミ女紀代美の顎を持ち上げる。
「人間体なんかよりもこっちの方が素敵だと思うんだけどなぁ」
「あ・・・」
紀代美は首を振る。
こんな化け物のような姿などいらない・・・
私は人間・・・
人間の姿になるのよ・・・
紀代美は細胞の配列を擬態モードに切り替える。
エイミーが言うとおり彼女にはそれができることが“わかった”のだ。
セミ女としての外骨格に包まれた姿はじょじょに肌色を取り戻し、やがて裸の女性の姿が現れる。
「できた・・・私はいったい・・・」
自分の姿に“戻れた”ものの、こんなことができること自体が紀代美にとってはショックだった。
「言ったでしょ。あなたは我がS・S・Bの改造人間セミ女。その姿はあくまで擬態なのよ」
裸の紀代美にエイミーはガウンを渡す。
「ち、違います。私は恵畑紀代美。聖光女学院の社会科教師です」
ガウンを受け取った紀代美は必死になってそう主張した。
そうしなければセミ女であることを認めたことになってしまいそうだったのだ。
「私はセミ女なんかじゃありません。私は・・・私は恵畑紀代美ですぅ・・・」
「うふふ・・・まあいいわ。あなたがそれほどまでにセミ女であることを嫌がるのなら、私も無理強いは出来ないものね。その姿で暮らしたければそうしたらいいわ」
紀代美はエイミーの言葉に一瞬驚く。
「えっ?」
「はあ・・・どうやら洗脳はうまく行かなかったみたいね。本来ならばあなたは誇らしげに自分がセミ女であることを宣言するはずなのに」
肩をすくめるエイミー。
「そんなことはしません。私はセミ女なんかじゃないわ。私は恵畑紀代美です!」
ガウンを羽織り、いつに無く強い調子で紀代美は言う。
それを紀代美は意識していなかった。
「はいはい。あなたは恵畑紀代美。改造された躰を元には戻せないけど、擬態モードで暮らせば紀代美として生きられるでしょうね」
「そうさせてもらいます」
エイミーをにらみつける紀代美。
「あなたを解放するわ。残念だけど仕方が無い」
エイミーは指を鳴らして戦闘員を呼び寄せる。
「「お呼びでしょうかエイミー様」」
二人の戦闘員がやってきて跪く。
「この女を適当なところで解放しなさい。わかったわね」
「「かしこまりました。どうぞこちらへ」」
「それじゃ失礼します」
恭しく紀代美を案内する戦闘員についていきながら、紀代美はエイミーに対して一瞥をくれる。
「うふふ・・・いつでも戻っていらっしゃい」
「そのつもりはありませんから」
紀代美は振り向くことなく手術室をあとにした。

「エイミー様・・・」
闇の中から官子が現れる。
「うふふふ・・・」
楽しそうに笑っているエイミー。
「どういうことなんですか? 脳改造はしなかったのですか?」
「したわよ。セミ女としての躰のコントロールの仕方など一通りね」
官子の疑問にさらっと答えるエイミー。
「でも洗脳が・・・」
「ええ、洗脳はしていないわ。最小限のセイフティだけ。彼女はこんな目に遭ったというのに警察へ行こうと思ったりはしないでしょうね」
「どうしてですか?」
官子が驚く。
せっかく改造を施したというのに洗脳もしないで放り出すとは危険極まりない。
「これは実験よ。以前別種の生物を寄生させることで肉体を変異させ、思考も変化させることに成功したわ。今回は環境を使って思考を変えさせられるかの実験なの」
得意そうにムチを打ち鳴らすエイミー。
「環境ですか?」
「そう。あの生徒思いの紀代美センセが生徒から・・・うふふふ・・・」
「あ、なるほど。それであれを用意したんですね?」
納得したように官子もうなずく。
「うふふふふ・・・」
エイミーの忍び笑いが手術室に響き渡った。

「夕暮れ?」
解放された紀代美は空を見て驚いた。
どうやら捕らえられてからかなりの時間が経っているようだ。
無断欠勤してしまったことになるのかもしれない。
「はあ・・・」
なんていう一日だったのだろう・・・
S・S・Bなどという組織に捕らえられて改造なんていう目に遭ったなんて・・・
擬態することで自分の姿に戻ることは出来たけど・・・
これからどうしたらいいのだろう・・・
自分の中にはセミ女という肉体が隠れている・・・
それをどうしたらいいのだろう・・・
「考えても仕方ないか・・・」
紀代美は夕べ買ったコンビニのお弁当をぶら下げて自宅への道を歩いていった。

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  1. 2006/04/12(水) 21:07:28|
  2. セミ女
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エイミー様登場

セミの種類も結構ありますよね。
鳴き方もさまざま。

セミ女さんはどんな鳴き方をするんでしょうね。
やっぱり「みーんみーん」が一番かなぁ。

それではセミ女の二回目です。

2、
「先生、恵畑先生~」
制服姿の女生徒たちがやってくる。
その手には綺麗な包みを抱えているところから察するにお昼のお誘いだろう。
「恵畑先生はお昼はどうするんですか?」
「良かったら私たちとご一緒しませんか?」
色とりどりの包みを抱えている女生徒たち。
その表情は柔らかで屈託の無い笑顔を向けてくる。
誘ってくれるんだわ、嬉しいなぁ・・・
紀代美は素直に嬉しくなる。
大学をでてまだ間もないこともあるせいか、紀代美は結構生徒たちに人気があった。
女生徒たちはニコニコしながら紀代美の返事を待っている。
「もちろんいいわよ。どこで食べましょうか?」
「わあ」
パアッと表情がほころぶ女生徒たち。
あ・・・
私はこの笑顔を見るために教師をしているんだわ・・・
紀代美は幸福感を感じていた。

「あ・・・」
ひんやりした空気が頬を撫でる。
暗い部屋で目を覚ます紀代美。
夢?
今のは夢だったの?
紀代美は頭を振って起き上がろうとする。
「えっ?」
その時になって紀代美は気がついた。
両手両脚が固定され、台のようなものに寝かされているのだ。
「ど、どうして?」
紀代美は何がなんだかわからない。
そういえば私は・・・
妖しげな紫色の女の人に・・・
記憶を呼び戻す紀代美。
私は誘拐されたんだわ・・・
どうしよう・・・
身代金なんか払えないよぅ・・・
それよりも逃げ出さなくては・・・
紀代美はまず自分の状態を確認する。
痛いところは無い。
どこも怪我をしている様子は無い。
もちろん躰を起こすことすら出来ないので、目で見たわけではないが、首を回してみたところ問題は無さそうだ。
それよりも問題は、どうも服を脱がされているようなのだ。
上に白いシーツのようなものをかけられているが、ひんやりしてスースーする。
両手と両脚は手首と足首のところで固定されている。
金属ではなく革のベルトみたいだけど・・・どちらにしても引きちぎったり出来ない以上変わりは無い。
はあ・・・
逃げられないわ・・・
首を振る紀代美。
どうしよう・・・
不安だけが頭をよぎる。

「お目覚めのようね。恵畑紀代美さん」
ドアが開いて灯りが差し込んでくる中、人影が現れて声がする。
「だ、誰ですか? どうして私を誘拐したんですか?」
首を横に向けて灯りの方を見る紀代美。
「うふふ・・・当然の疑問ね」
入ってきたのは女性が二人だった。
緑色の髪をポニーテールにした躰の線を強調するような上下セパレートの服と網タイツの女性と、青い髪の毛をまとめ、ミニスカート型の服を着た童顔の女性。
そのあとから数人の肌が紫色の女性たちが入ってくる。
彼女たちはなにやらパネルやスイッチを操作して、機械類を作動させているようだ。
「ここは我が組織S・S・Bの秘密アジト。そして私はS・S・Bの化学主任のプロフェッサー・エイミー。よろしくね」
そばへやってきたポニーテールの女性が自己紹介をする。
「プロフェッサー・エイミー・・・」
紀代美は驚いた。
まだ20代前半と思われるその女性がプロフェッサーとは思えなかったのだ。
それに衣装も奇抜すぎる。
どこの大学だって彼女の服装は顔をしかめるだろう。
「彼女は私のサポートをしてくれている副官子(ふく かんこ)。私ともどもよろしく。いずれあなたの上官となるのだからね」
「エイミー様、私の名前は・・・」
官子の抗議を無言でにらみつけるエイミー。
「あ、あはは・・・はい、そうです。私は副官子です。あはは・・・」
冷や汗を流しながら一歩後ずさる官子。
その表情からもこの冷たい笑みを浮かべているプロフェッサー・エイミーと名乗る女性が厳しい人物であることがよくわかる。
「これからあなたは私の改造手術を受けるのよ」
「改造手術?」
一体何のことだろう・・・
私をどうするつもりなのだろう・・・
紀代美は彼女を見下ろして笑みを浮かべているこの女性がとても恐ろしく思えた。

「官子。改造モチーフは決まっていたでしょ? 準備は出来ているの?」
「あ、はい、エイミー様。今回の作戦には音波を使用しますのでセミを使います」
官子がすでに機械にセットされているボックスの中の昆虫を指し示す。
そこには透明なケースに捕らわれた数匹のセミが蠢いていた。
「ヒッ!」
紀代美はつい顔をそむける。
鳴き声は聞きなれていて別に嫌悪感を抱くものではないのだが、六本の足を動かして蠢く複数の昆虫の姿は気色悪さを感じさせるものなのだ。
「うふふ・・・夏休みの昆虫採集よろしく可愛い戦闘員たちが林の中で採ってきたセミなのよ。毛嫌いすること無いじゃない」
エイミーが手にしたムチで紀代美の顔をそっと自分に向けさせる。
「それにね・・・うふふ・・・あのセミたちはあなたと一緒になるのよ。あなたはセミ女となるの」
「セ、セミ女?」
紀代美は青ざめた。
狂っている・・・
この人は何か狂っているわ・・・
それともこれは何かの撮影にでも巻き込まれたの?
だったら早く解放してよ・・・
「今回の作戦には複数の音波が必要ですからね。複数のセミの合成怪人になるんですよね、エイミー様」
官子がにこやかに補足する。
「ええ、アブラゼミにミンミンゼミ、ヒグラシにツクツクホーシ。そういったセミの合成怪人にあなたはなるの。どう? 素晴らしいでしょ? あはははは・・・」
口元に手を当てて高らかに笑うエイミー。
「狂っているわ。あなたは狂っている!」
「お黙り!」
エイミーのムチがピシッと音を立てて紀代美の寝せられている手術台に当たる。
「ヒッ!」
「私は狂ってなどいないわ! 私はS・S・Bの化学主任のプロフェッサー・エイミーよ! 私に不可能など無いわ!」
エイミーの剣幕に紀代美はおびえる。
「ああ・・・ごめんなさい、ごめんなさい。もう赦して・・・うちへ帰してください・・・」
すぐに泣き顔になってしまう紀代美。
相手が強い口調を使うと紀代美は気後れしてしまうのだ。
「心配は要らないわ。あなたのその性格も変えてあげる。これからのあなたは他人を踏みつけるサディストになるのよ」
「そんなのいやです。うちへ、うちへ帰して・・・ここのことを黙っていろと言うなら誰にも言いません。言いませんから・・・」
「お黙りなさい! あなたは選ばれたのよ! 他の誰でもない、あなたが選ばれたのよ!」
「エイミー様、もうとっとと改造しちゃいましょう」
紀代美をにらみつけるエイミーに対し官子が口を挟む。
「そうね。改造を始めましょう」
「いやぁ、いやですぅっ!」
紀代美は必死に訴えるが、エイミーと官子は紀代美のそばを離れて戦闘員たちに指示を与えて行く。
手術用の無影灯が点灯し、紀代美の周囲からさまざまな機器が彼女に伸びていく。
「いやぁっ!」
紀代美の叫びもむなしく、改造手術は始まったのだった。

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  1. 2006/04/11(火) 22:00:45|
  2. セミ女
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g-than様ありがとうございます

当ブログにもリンクしていただいておりますg-than様のブログ、「Kiss in the dark」は皆様ご存知だと思います。

g-thanさんは素晴らしいイラストやマンガ形式で素敵なストーリーを展開していらっしゃいますが、今回嬉しいことにイラストの一つにSSを書かせていただけることになりました。

「Kiss in the dark」の2005年8月6日をご覧下さい。
素敵なセミ女さんが作戦を展開しているイラストが掲載されています。

そのイラストに至るまでのSSを今回書かせていただく許可をもらうことができました。
いずれは「Kiss in the dark」の別館に掲載いただければと思いますが、とりあえずはこちらで掲載させていただきます。

ということで一回目です。

1、
「恵畑先生、これもお願いしますね」
職員室で仕事に取り組んでいる恵畑紀代美(えばた きよみ)の机の脇にファイルが数冊無造作に置かれる。
「えっ? でも・・・」
思わず顔を上げる紀代美。
教師というものはこれでなかなか忙しい。
担任を持っていない紀代美でも、やることは山のようにあるのだ。
その仕事もあと少しで終わる目処がついたというのに・・・
「ごめんね、この埋め合わせは今度するから。ちょっと用事があるのよ」
同僚の矢際真海(やぎわ まさみ)は悪びれた様子も無く、ウインクをしてみせる。
「いいでしょ? お願い」
「え、ええ・・・」
紀代美はうつむいてしまう。
真海はこの聖光女学院の教師たちの中ではある意味実力者だ。
彼女の機嫌を損ねると陰湿な嫌がらせを受けることになるのは、紀代美は身を持って体験していた。

この学院に勤めるようになって数ヶ月。
右も左もわからない紀代美はいろいろなことを同僚に教わろうとしたものの、真海の機嫌を損ねてしまったばかりに仕事を押し付けられたり、重要な連絡事項を伝えてもらえなかっらしたことがあるのだ。
もともと気の弱い紀代美は、おとなしく真海に従うしかないと感じ、できるだけ逆らわないようにしてきていた。

はあ・・・またかぁ・・・
心の中でため息をつく紀代美。
「アー、矢際先生もしかしてデートですか?」
「うふふ、まあね」
他の女性教師の冷やかしににこやかに答える真海。
デートかぁ・・・
紀代美はまだ特定の男性とお付き合いしたことは無い。
二十四にもなって晩熟だとは思うが、何となく男性を敬遠してきたのだ。
「矢際先生! お仕事は済んだんですか?」
「野戸先生? ええ、恵畑先生が手伝ってくださったものですから」
「またですか? 恵畑先生、あなたも人がよすぎますよ!」
野戸先生が真海をにらみつける。
この学院の女性教師の中でも、芯の強い曲がったことが嫌いな野戸理奈子(のと りなこ)は矢際真海の意に沿わない唯一の人物だった。
だが、彼女が真海に忠告することはかえって紀代美にはつらいことだった。
「あ、野戸先生、私は別に・・・」
嵐にならないように紀代美はすぐに取り繕う。
真海が機嫌を損ねれば、八つ当たり的に仕事量が増えるのだ。
とりあえず言われたとおりにしていれば真海の機嫌が悪くなることは無い。

「恵畑先生がそんなだから・・・」
理奈子は肩をすくめて仕事に戻る。
まるで奴隷のようだと思うが、肝心の紀代美自体が唯々諾々と従っているのでは仕方が無い。
学院の理事長にコネがあるからと言って、好き勝手に振舞うのはどうかしているし、それに流されている連中も連中だと理奈子は思う。

「ふう・・・終了っと」
ファイルを閉じる紀代美。
時計はもう21:30を指している。
「わあ、もうこんな時間だわ・・・」
すでに同僚の全ては帰ってしまって、校舎に残っているのは警備員ぐらい。
「早く帰らなきゃ・・・おなかも空いたし」
紀代美は鞄を取り出すと、肩に掛けて帰り支度を整える。
灯りを消して職員室を出る紀代美。
その姿をじっと見つめる存在が一つ。
天井に張り付いたハエがその大きな複眼を入り口に向けていた。
紀代美の姿が消え去ったあと、そのハエは驚いたことにモーターの音をかすかにさせて背中の翅をヘリコプターのローターのように回転させる。
やがてその奇妙なハエは換気口を使って外に出て行った。

「冴えない女性ですねぇ。いいように顎で使われちゃっているじゃないですか。ほんとに彼女を今回の作戦に使うつもりなんですか? エイミー様」
まだ少女と言ってもいいような童顔の女性が不思議そうに背後を振り返る。
青い髪を頭の後ろでお団子にまとめ、紫がかったコルセットは胸のところを強調するかのように黄色があしらわれ、申し訳程度の白のミニスカートとガーターストッキングをまとっている。
「ふふふ・・・彼女は心にどす黒い闇を抱えていることでしょうね。そういった人物こそが我がS・S・Bには相応しいのよ」
彼女の背後で冷たい笑みを浮かべている女性。
緑色の髪をポニーテールにし、ワインレッドのブラジャーとパンティ。
すらりとした脚には網タイツを穿き、黒革のグローブとロングブーツを身に着けている。
「そんなもんなんですか?」
今ひとつ納得が行かないような表情の小柄な女性。
だが、ワインレッドの女性はじろっとひとにらみをすると、こう言った。
「実行部隊に連絡。彼女を拉致しなさい!」
「は、はいっ!」
弾かれたように指示を伝えに通信機に向かう小柄な女性。
作戦は始まったのだ。

「はあ・・・」
何度目のため息だろう・・・
紀代美自身この状況を何とかしたかった。
だが、どうも真海に声をかけられると、ヘビににらまれた蛙のように反抗できなくなってしまう。
何度か学院を辞めようかと思ったこともあったが、生徒たちと接するのが大好きな彼女は学院を辞めることは出来なかった。
もうすぐ研修旅行。
クラスの副担任である彼女もその旅行に参加することになっている。
きっと楽しいことだろう。
出来ることなら生徒たちと語り合いたいもの。
紀代美はわくわくしながらその日を指折り数えていた。

夏も盛りに近くなったが、夜も10時近くなると人通りも少なくなる。
手近なコンビニに寄ってお弁当を買ってきた紀代美は家路を急いでいた。
「うう・・・栄養偏るなぁ。最近自分でご飯作っていないよぅ」
そうつぶやきながら歩いて行く紀代美。
その目前に人影が二つ現れる。
「えっ?」
思わず紀代美は目を見張った。
現れたのは女性だったが、そのいでたちがあまりにも異質だったのだ。
全身の肌が驚いたことに紫色。
腰回りを覆うオレンジ色のパレオ。
胸と手足は黒革のコルセットとブーツにグローブ。
およそリオのカーニバルでも注目を引くこと間違いないのだが、彼女たちはその姿を恥ずかしげもなく当然のように受け止めている。
「あ、あなた方は?」
「聖光女学院の恵畑紀代美ね?」
鋭い視線を向けてくる二人の異質な女性たち。
「そ、そうですけど・・・あなた方は一体?」
少しあとずさる紀代美。
本能が危険を知らせている。
振り向いて走り出すか、大声を上げるべきなのだろうが、二人の鋭い眼差しがそれを許さない。
「私たちはS・S・Bのプロフェッサー・エイミー様所属の女戦闘員。お前をエイミー様がお呼びなのよ。一緒に来てもらうわ」
二人は笑みを浮かべるとゆっくりと一歩一歩近づいてくる。
「い、いやぁっ!」
紀代美は悲鳴を上げたが、人間とは思えないほどの素早さで二人の女戦闘員は紀代美の口をふさいでしまう。
薬の臭いが紀代美の鼻腔に届いてきて、紀代美の意識は闇に飲み込まれてしまった・・・
  1. 2006/04/10(月) 22:27:45|
  2. セミ女
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楽しかったー

初めてTRPGをメッセで行ないました。

皆さんTRPGは初めてと言う方ばかりでしたが、意外なほどキャラクターを楽しんで行なわれていたようでした。

初めてでしたので、キャラクター作成と買い物、それとシナリオの発端までしかたどり着けませんでしたが、それでも充分に楽しませていただきました。

メッセでもTRPGは問題なく出来ますね。

それがわかってすごく嬉しかったです。

これなら遠く離れた人とでも、TRPGできますね。

プレイヤーの方々も楽しんでいただけたようですので、次回が楽しみです。

チャンスがあれば、このブログを見てくださっている方々ともやってみたいですね。

それではまた。

[楽しかったー]の続きを読む
  1. 2006/04/09(日) 21:29:33|
  2. TRPG系
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昨日に続いて

昨日に続いてRPGの装備品や魔法のリストを載せますね。

お試しいただければ幸いです。

メッセRPG装備品リスト

武器                  攻撃力            使用制限
ダガー(短剣)             1D6-2(最低1ダメージ)   無し
銀のダガー              1D6-2(最低1ダメージ)   無し
ショートソード(小剣)         1D6              魔術師、僧侶不可
ノーマルソード(剣)         1D6+2            魔術師、僧侶、盗賊不可
トゥーハンドソード(両手剣)    1D6+4            魔術師、僧侶、盗賊不可
棍棒                  1D6-1(最低1ダメージ)   無し
メイス                 1D6              魔術師、盗賊不可
ウォーハンマー           1D6+2             魔術師、盗賊不可
アックス(斧)             1D6              魔術師、僧侶不可
バトルアックス            1D6+3            魔術師、僧侶、盗賊不可
スピア(槍)              1D6+2            魔術師、僧侶、盗賊不可
杖                   1D6-2(最低1ダメージ)    無し
弓                   1D6              魔術師、僧侶不可

防具                 防御力/回避力       使用制限
ローブ                 0/+1               無し
レザーアーマー(革鎧)       1/+1              魔術師不可
チェインメイル(鎖帷子)       2/0             魔術師、盗賊不可
プレートメイル(鎧)          3/-1             魔術師、盗賊不可
シールド(盾)             0/+1             魔術師、盗賊不可

防具については防御力と回避力があります。
防御力は受けたダメージをその分減らします。
回避力は相手の命中判定の時に自分の回避値に足し(引き)ます。

メッセRPG魔法リスト

魔術師魔法 (魔術師キャラクターのみ使用可能)



レベル1
1)眠り(スリープ)・・・使用コスト2
抵抗に失敗したものを眠らせます。
効果範囲は半径1メートル。(つまり直径2メートル)
眠った者に対する攻撃は自動的命中となり、さらにとどめの一撃となるため、結構強い魔法ですが、効かないモンスターも結構います。



2)光(ライト)・・・使用コスト1
杖の先や、たいまつの先などに明かりを灯す呪文です。
たいまつやランタンと同じくらいあたりを照らしますが、効果時間が1時間ほどで消えてしまいます。
この呪文をモンスターの目にぶつけることもできます。
その時は抵抗判定ではなく命中判定となります。(つまり運動の数値で判定)
うまく命中すると、モンスターは約10分間目が見えなくなります。(命中判定半減)



3)炎の矢(バーニングアロー)・・・使用コスト2
一体の敵を攻撃する呪文です。
抵抗値に失敗したモンスターには自動的に命中します。
命中した炎の矢は1D6+2のダメージを与えます。
さらに2D6を振り、11以上の場合のみ、さらに炎が燃え移ったということで1D6ダメージが追加されます。
結構強力かも。



4)魔力感知(センスマジック)・・・使用コスト1
アイテムや場所などに魔力がかかっているかどうかを調べることができます。
ただ、どういった魔法なのかまではわかりません。


僧侶魔法 (僧侶キャラクターのみ使用可能)



レベル1
1)癒し(ヒール)・・・使用コスト1
ダメージを受けて減ってしまったHPを1D6+1回復させます。
もともとのHPの数値を超えることはありません。



2)死霊退散(ターンアンデッド)・・・使用コスト2
抵抗に失敗したアンデッドを退散させます。
逃げて行くだけですが、無抵抗となるので倒しやすくなるでしょう。
さらに影響判定の時に相手の抵抗値よりも3以上上回れば、1D6体分消滅させられます。



3)防御(シールド)・・・使用コスト1
この呪文は一人のキャラクターの前面に光の盾を生じさせます。
正面からの攻撃には回避力が+1、防御力が+1されます。
1D6ターンの間有効です。



4)聖なる武器(ホーリーウェポン)・・・使用コスト1
これは特定の武器にかける呪文です。
この呪文を受けた武器は1D6ターンの間攻撃力に+1されます。
また、魔法の武器で無ければ傷が付かないようなモンスターでもダメージを与えることが出来ます。


メッセRPG商品リスト



武器                                    価格
ダガー(短剣)                                3S
銀のダガー                                 50S
ショートソード(小剣)                            10S
ノーマルソード(剣)                             20S
トゥーハンドソード(両手剣)                        40S
棍棒                                      2S
メイス                                     15S
ウォーハンマー                               25S
アックス(斧)                                 5S
バトルアックス                               20S
スピア(槍)                                 15S
杖                                       5S
弓                                      10S
矢(10本入り)                                5S



防具
ローブ                                    5S
レザーアーマー(革鎧)                          20S
チェインメイル(鎖帷子)                         40S
プレートメイル(鎧)                            80S
シールド(盾)                                10S



その他いろいろ
火口箱(火打石&火口のセット。火をおこすのに必要)        2S
トーチ(たいまつ五本セット。一本で一時間ほど燃える)       1S
油(ランタン用。フラスコ入り。割れやすいので注意)         1S
ランタン(油を使って周囲を照明する。油一本で約4時間燃える) 10S
獣脂ろうそく(照明用。燭台が必要)                   1S
燭台(ろうそくを燃やすが、覆いがないので風ですぐ消える)     5S
背負い袋(物を入れる)                          5S
皮袋(小物を入れる)                           1S
水袋(水や酒などを入れる)                       2S
ロープ(10メートル単位。人間一人がぶら下がれる)         2S
鉤付きフック(ロープの先に付ける。持ち運びづらい)        5S
盗賊道具(鍵開けフックや針金など。盗賊は必携)     20S
ホーリーシンボル(聖なる印。僧侶は必携)              10S



保存食(一日分。ほとんど腐る心配が無い)              5S
通常食(一日分。腐る)                          1S
ワイン(一袋分約一リットル。水代わりにもできる)          1S
蜂蜜酒(同上だが水代わりには強すぎる)               2S



傷薬(一回分。HPを3回復)                        5S
解毒剤(一回分。毒を消す)                       10S
魔力薬(一回分。MPを6回復)                     15S


とりあえず以上です。

[昨日に続いて]の続きを読む
  1. 2006/04/08(土) 20:21:19|
  2. TRPG系
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わくわくしています

今度いつもメッセでお世話になっている方々と、メッセを使ってTRPGを行なってみることになりました。

最近仕事の関係などで、リアルでTRPGを行なうチャンスが無かっただけに、すごく楽しみです。
もうわくわくです。

で、ルールをどうしようか悩んだのですが、メッセでできそうな手軽なルールが見当たらなかったので、既存のルールブックを参考に有り合わせでルールを作成しちゃいました。

一応ここに公開しますね。

よければ使ってみて下さいませ。

メッセRPG基本ルール

キャラクターの基本能力値
プレイヤーの分身たるキャラクターにはそれぞれ数値が決められます。
プレイ中はそのキャラクターの数値に基づいていろいろな判定がなされます。
各キャラクターの基本能力値は以下の通りです。

1)運動
2)器用
3)精神
4)HP(ヒットポイント)
5)MP(マジックポイント)

各数値の決め方
1)運動・・・2D6 (6面サイコロ二個振って足す。2から12のどれかになります)
2)器用・・・2D6 (同上)
3)精神・・・2D6 (同上)
4)HP・・・3D6プラスマイナス運動ボーナス (6面サイコロ三個振って足した後に運動ボーナス分を足すか引く。2から20のどれかになります)
5)MP・・・3D6プラスマイナス精神ボーナス (6面サイコロ三個振って足した後に精神ボーナス分を足すか引く。2から20のどれかになります)

各数値のボーナス
運動・器用・精神の三つにはそれぞれ数値に基づいたボーナスがあります。
戦闘時や魔法発動時に関わったりしますので注意してください。
各数値でのボーナスは以下の通り。
2・3・・・マイナス1
4から8・・・プラスマイナス0
9から11・・・プラス1
12・・・プラス2

各数値の説明
1)運動
これは戦闘力と考えてもらって結構です。
基本的に剣を振り回すときの運動能力をあらわしていると考えてください。
戦士のキャラクターは最低でも9必要です。
僧侶は最低でも4必要です。

2)器用
これはいろいろな動作を行なう時の基本数値です。
わりと使い道が多いので、この数値が高いほうが便利です。
盗賊は最低でも9必要です。

3)精神
魔法を使うときの基本数値です。
魔術師や僧侶が魔法を使うときはこの数値が基本となります。
魔術師は最低でも9必要です。
僧侶は最低でも4必要です。

4)HP
キャラクターの耐久力です。
戦闘でのダメージはここから減らして行きます。
0まで減ると戦闘不能(気絶)。
マイナス3を超えると死亡です。

5)MP
キャラクターの魔法力です。
魔法にはそれぞれ使用コストがあり、使用するごとにその分のコストをこのMPから減らします。
使うと0以下になるような状態のときはその魔法は使えません。
(MPの残りが1しかないのに、コスト2の魔法を使うような場合)

職業
このRPGでは現時点では職業は四つしかありません。
(以後増えるかもww)
戦士・僧侶・魔術師・盗賊の四種類です。
各キャラクターはこのうちのどれかの職業についていただくことが必要です。

各職業の説明
戦士・・・最低必要数値、運動9以上
前衛で敵と戦うのが仕事の職業です。
基本的にモンスター退治が多いRPGでは無くてはならない職業です。
剣を持ったり弓を持ったり、鎧も制限無く着ることができます。
その代わり魔法は一切使えません。

僧侶・・・最低必要数値、運動4以上&精神4以上
神の力を借りて奇跡を起こす職業です。
アンデッド(ゾンビとかヴァンパイヤとかのすでに死んでいるモンスター)には僧侶がいたほうが便利だったり、いないと太刀打ちできなかったりします。
僧侶は神の力を借りてこういったモンスターを退散させることができます。
僧侶は戦士とともに前衛で戦うにも向いています。
剣や弓は持てませんが、棍棒系の武器を持つことができます。(血が出なければいいんだそうです)
鎧の制限はありません。
僧侶魔法が使えます。

魔術師・・・最低必要数値、精神9以上
古代から伝わる秘術で魔法を操る職業です。
どちらかというと後衛で援護するのに向いています。
古代語を読んだり魔法書を読んだりできます。
魔法しか通用しないモンスターもいたりします。
持てる武器には制限があり、ほとんど持てないと言ってもいいでしょう。(魔法は鉄などの金属を嫌うのです)
同様に着られる鎧も制限があります。
魔術師魔法が使えます。

盗賊・・・最低必要数値、器用9以上
盗みが職業ですが、悪人というわけではありません。
モンスターが貯めこんだ宝物や遺跡の財宝を盗んだりするのが主な職業です。
そのため気配を消したり、罠を解除したり、鍵開けをしたりできます。
戦闘では後衛が基本でしょう。
器用さを維持するために装備できる武器や鎧に制限があります。


戦闘ルール

RPGではストーリー上戦闘が大きなウェイトを占めます。
以下に戦闘ルールをご説明いたします。

戦闘の基本
戦闘は武器を使って相手に切りつけたり、魔法を使って相手にダメージを与えることを目的とします。
自分たちの障害となる敵を排除するのがその目的です。
戦闘は主に双方の攻撃の繰り返しとなります。
流れとしては以下の通りです。

1)物理攻撃の場合 (剣や棍棒・弓などでの攻撃)
攻撃→命中判定→モンスターの回避値を上回り命中した場合にはダメージ判定→ダメージ適用
相手が生き残った場合は相手側の攻撃となり、上記の行動があなたに対して行なわれることになります。
このゲームでは相手の命中をかわしたりはできません。
そういった行動を含めての命中判定だと思ってください。
回避値はモンスターそれぞれに固有ですので、マスターからの提示となります。
あなたや仲間が攻撃を受ける場合は基本的な回避値は8プラスマイナス運動ボーナスとなります。

2)魔法の場合 (僧侶&魔術師魔法での攻撃)
魔法発動(自動です。使うと宣言してくれればOK)→モンスターの抵抗値を上回るか判定→上回った場合はダメージもしくは影響適用
抵抗値はモンスターそれぞれに固有ですので、マスターからの提示となります。
あなたや仲間が魔法を受ける時には基本的な抵抗値は8プラスマイナス精神ボーナスとなります。

実際の判定方法
1)物理攻撃
先攻と後攻を決めます。
サイコロを振って大きい目を出した側から先攻です。
(プレイヤー側が4。マスター側は3でした。この場合はプレイヤー側が先攻です)
            ↓
攻撃目標を宣言。(モンスターAを狙って剣を振ります)
            ↓
マスターよりの回避値提示。(モンスターAの回避値は7だよ)
            ↓
命中判定は2D6を振って合計した後で運動ボーナスを足します(引きます)。
(サイコロは2と5で7。それにボーナスがプラス1ありますから合計で8です)
            ↓
回避値を上回れば命中。上回らなければ外れとなり行動終了。(同数は命中)
(8なら回避値を超えているから命中だよ)
            ↓
命中したらダメージ判定。
ダメージは持っている武器の攻撃力プラス(マイナス)運動ボーナス。
(持っている武器が剣ですので攻撃力は1D6+2。それに運動ボーナスがプラス1ですから・・・サイコロが3なので3+2で5。それにボーナスを足して合計6です)
            ↓
ダメージ適用。モンスターのHPからダメージを引きますが、その際に防御力でダメージが減らされることもあります。
(モンスターAの防御力は0、HPは5だからモンスターAは倒されたね)
            ↓
モンスターが生き残ったりした場合には相手の攻撃が行なわれることになるでしょう。

2)魔法攻撃
先攻と後攻を決めます。(これは戦闘時に全体で一回決めればいいだけです)
            ↓
使う魔法の宣言。(眠りの呪文を使います)
            ↓
目標、もしくは目標範囲を宣言。
(モンスターAを中心にモンスターBとできればモンスターCまで範囲に含みたいです)
            ↓
マスターよりの抵抗値および範囲の提示。
(モンスターCはちょっと離れているから無理だね。モンスターAとBの抵抗値は7だよ)
            ↓
魔法が影響を与えたかの判定。
影響判定は2D6を振って合計した後で精神ボーナスを足します。
(サイコロは3と4で7。それに精神ボーナスが2ありますから、合計で9です)
            ↓
抵抗値を上回れば影響が与えられます。上回らなければ影響無しで終了です。
(抵抗値を超えているから影響がでるね)
            ↓
影響適用。(眠りの呪文ですから、抵抗に失敗したモンスターは寝ちゃいます。二体とも寝ちゃいましたね)


戦闘以外の判定ルール

RPGではキャラクターが戦闘以外にもいろいろな行動を行ないます。
そういった場合の判定方法は以下の通りです。

マスターが使用する能力値と判定目標値を提示します。
(その穴を飛び越えるなら運動の数値で目標値は14だね)
            ↓
能力値に2D6を足して目標値以上なら成功です。
(運動が6で、サイコロが6と4ですから合計10。全部足すと16ですから目標値を超えました)
           ↓
(君はうまくその穴を飛び越えることができたよ)
鍵開けや罠外しはたとえ目標値を上回ることがあっても、盗賊以外のキャラクターは失敗です。

HPおよびMPの回復
戦闘などで減少したHPやMPは回復させなければそのままとなりますので、回復させることが必要となります。
回復には以下の方法があります。

1)自然回復
一晩宿屋などでぐっすりと眠ることができれば、HPとMPが回復します。
HPは一晩寝ることで、2回復します。
(途中で起こされたり、よく眠ることができないと判断された時には1のみ回復ということもあります)
MPは一晩寝ることで全回復します。
(これも上記と同様で半分だけ回復ということもあります)

2)強制回復
魔法や傷薬などの薬などによってHPやMPが回復することがあります。
それぞれの薬や魔法により効果が違いますが、強制回復は時間がかからず、その場で回復します。
効果はそれぞれの薬や魔法の記述を参照してください。

とりあえずルールとしてはこんなものです。
不備もあるでしょうから、お気づきの点はご指摘いただければと思います。

[わくわくしています]の続きを読む
  1. 2006/04/07(金) 21:53:42|
  2. TRPG系
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ソロモンのあの方

ちょっとだけですがローネフェルトです。

あの方の登場ですー。

『こちらは航路哨戒の突撃艇ジッコ114号。接近中の艦艇へ、その所属を明らかにされたし』
パトロールについているジッコ突撃艇の一隻だわ。
「こちらはソロモン駐留艦隊第4艦隊第17戦隊所属の軽巡洋艦ブリュメルだ。これよりソロモンに入港する」
リーザの声が艦橋に響く。
颯爽とした彼女はいつ見てもかっこいいわね。
『データ確認。軽巡ブリュメルと認識。お帰りなさい』
「ありがとう。ジッコ114号」
リーザが通信を切る。
「各員へ、これより本艦はソロモンに入港する。入港準備にかかれ!」
慌ただしくなるブリュメルの艦内。
きびきびした乗組員はいつ見ても気持ちがいい。
この艦がリーザの下で統一されているのがよくわかる。
私は作業の邪魔になると思い、艦橋を後にしようとした。
「どこ行くの、マリー?」
背後から声を掛けられる。
「作業の邪魔になると思って。パイロット控え室へ引き上げるわ」
私は振り向いてそう言った。
「構わないわよ。ここまで来れば連邦軍だっていないでしょうし、それにだいぶお疲れじゃないの?」
意味ありげに微笑むリーザ。
私は苦笑する。
あの後アヤメは自分の暴走を恥じたのか、借りてきた猫のようにおとなしくなった。
ところが、私がパトリシアを紹介した途端に、アヤメの中に火が点いたらしい。
二人して私の気を惹こうとするのだ。
おかげで私は双方からお茶や食事を一緒にしたいと誘われて息つく暇も無い。
リーザはそのことを言っているのだ。
「ミナヅキ少尉の話は聞いたわ。正直言って私は手元に置くのは賛成できないけど・・・」
「でも、彼女を本国に帰したらモルモットにされるのが・・・」
「わかっているわ。あなたがそれを望んでいないこともね」
私は結局リーザのそばに戻る。
「でも、必要以上に深入りするのは避けた方がいいわ。ミナヅキ少尉は普通じゃないのよ」
「わかっているわ・・・けど・・・」
リーザの忠告は痛いほどわかる。
でも、いまさら彼女を見捨てるなんてできはしない。
「ふう・・・仕方ないわねぇ」
リーザが肩をすくめる。
「ごめんね、リーザ」
私は謝るしかできなかった。

『ブリュメル入港。係留作業かかれ!』
『物資搬入は予定通り。各員は所定の位置につけ!』
『外周チェックを行なう班は作業にかかれ!』
『搭載モビルスーツの搬出準備!』
『係留作業終了後、艦長は要塞司令部まで出頭のこと』
さまざまな通信が飛び交う第3宙港。
軽巡洋艦ブリュメルはしばしそこに巨体を休める。

宇宙要塞ソロモン。
我がジオンの最前線要塞基地である。
重要拠点の一つだが、連邦軍のルナツー要塞や我がジオンのア・バオア・クー要塞に比べれば一回り小型の要塞といえるだろう。
コロニー建設のために取り寄せた小惑星をくり抜いて作ってある点では他の二大要塞と変わらないが、軍港施設が充実し、モビルスーツの出撃基地としての役割が重視されている点で違いがある。
もっとも、現在では工廠設備も付随され、単独での長期戦闘に耐えられるようになっているのは変わらない。
個人的には小型要塞であるがゆえに一番バランスが取れていると私は思う。
ルナツーのように大型の小惑星を使っていると、その一部分しか利用してない上に、基地のある反対側は無防備と言っても差し支えないらしい。
その点ソロモンはまさに星型。
宇宙に浮かぶダビデの星のような前後左右に突き出た腕が濃密な火線を形成し、接近する敵艦艇を撃滅するのである。
まさに我がジオンの守り神。
ソロモンが健在な以上、連邦軍の進撃もこのルートからでは頓挫するに違いない。
とは言うものの、最近の連邦軍の戦力増強振りは目を見張るものがあるわ。
苦戦を強いられることになりそうね。

「何とか、艦長の権限であなたたちをこのブリュメル所属のモビルスーツ隊に配属してもらうように手配してみるわ」
「ありがとうリーザ。でも無理はしないでね」
私は要塞司令部へ向かうリーザを見送る。
それにしてもこの戦力の充実振りはどうだろう。
この宇宙港だけでもチベ級の重巡が二隻に、ムサイ級の軽巡が五隻。
さらにはジッコ級の突撃艇やガトル級の宇宙戦闘機もいっぱい。
肝心のモビルスーツは奥の格納ブロックなので、ここからは見えないけれど、きっと09Rがひしめいているんでしょうね。
連邦軍なんかに負けるもんですか。

「本国からは新型を一機しか送らないというのか?」
「どうも総帥は戦力をグラナダとア・バオア・クーに集中させる腹積もりのようです」
通路を歩いてくる巨大な体躯。
肩にとげの付いたいかめしい軍服はもしかすると・・・
「ええい! ソロモンを見捨てるつもりか、兄上は!」
「キシリア閣下の思惑も絡んでいるようでして・・・」
「姉上もか?」
「はあ・・・フォンブラウンに怪しい動きがあるとかで、こちらに戦力は回せないとのことです」
小柄な頭の薄い高級参謀を連れた巨体が私のほうへやってくる。
私は通路の脇に寄り、背筋を伸ばして敬礼した。
「ラコック・・・俺は違うぞ!」
「は?」
「俺は兄貴や姉上とは違う。俺はジオンという国を、ジオンの国民を守るために戦う! ゼナやミネバを守るようにジオンの国民を守って見せるぞ!」
私の前を通り過ぎる巨大で暖かい司令官。
私は彼の言葉がすごく嬉しかった。 [ソロモンのあの方]の続きを読む
  1. 2006/04/06(木) 21:29:44|
  2. ガンダムSS
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妄想しちゃいました

「世界史 驚きの真相」 桐生操著 PHP文庫
と言う本を読みました。

歴史好きとしてはこういった歴史の裏側のミステリーめいたお話もいいんですよね。

今回はそのミステリーに基づいたお話ではないんですが、この本の中に旧ソ連によって暗殺用スパイとして仕立てられたスタシンスキーという人物のお話がありました。

旧ソ連のKGBによって洗脳とも言える「教育」を受けた彼は、当時東ドイツに潜入し、そこで暗殺任務についていたそうです。

ところがレイマンと名乗り東ドイツ人として暮らしていたスタシンスキーは、あろうことかインゲというドイツ娘と恋に落ちちゃうんですね。

スタシンスキー=レイマンはインゲには本当のことを知られないようにしながら、幾人かの暗殺を行ないます。

その成果に満足した旧ソ連は、彼を英雄として呼び戻し、勲章まで授与します。

栄光に包まれたスタシンスキーはそこでインゲと結婚したい旨を発表しました。

当然暗殺者として手塩にかけて育ててきたソ連政府およびKGBはいい顔をしませんでした。

ところがスタシンスキーが強固にインゲとの結婚を申し込んだため、ついにKGBも折れざるを得なく、スタシンスキーはインゲと結婚することになりました。

スタシンスキーはインゲにレイマンという名が偽名であることや、暗殺者であることを打ち明けます。

驚いたインゲは、結婚したあとに西側への亡命をスタシンスキーに提案しました。

スタシンスキーは悩みましたが、祖国への忠誠を捨て切れなかったために、亡命はしませんでした。

KGBはインゲにも「教育」を施し、スパイにしたてようとしましたが、インゲの強固な反対にあって断念。

その後スタシンスキーは自分が利用されているだけだと悟り、西側に亡命します。

西ドイツで殺人罪に問われたものの、あくまでも殺人の「共犯者」として罰せられ、殺人犯はソ連政府であるという判決が出たそうです。

この話を読んで、私はついインゲもKGBに洗脳され暗殺者夫妻としてKGBに利用されるシーンを妄想しちゃいました。

「インゲはどこですか?」
「心配はいらん。ドイツ人である彼女には少し我が国の情勢などを教育しなくてはならんのだよ」
「まさかインゲまで・・・」
「何の話かね? スタシンスキー君」

「ただいま、あなた」
「おお、インゲ。無事だったんだね?」
「もちろんよあなた。ねえ、私わかったの。この世に共産主義ほど素晴らしいものは無いって。私、この国のためならばどんな事でもできるわ。あなただってそうでしょう?」
「な・・・インゲ・・・君は・・・」
「うふふふ・・・」

なんてシーンが彼らにはともかく、他のスパイの人々にはあったかもしれないですね。
  1. 2006/04/05(水) 22:07:48|
  2. 本&マンガなど
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今日はホーリードールの10話目です。

相変わらずちょっとずつですが、楽しんでいただければ幸いです。

10、
「あ・・・ああ・・・」
沁み込んでくる闇。
怖い怖い怖い・・・
自分が自分でなくなっていく恐怖。
沁み込んでくる闇は彼女の心も躰も作り変えて行く。
いやよいやよいやよ・・・
助けて助けて助けて・・・
「あぐぐぅ・・・」
ビキビキと躰が音を立てて行く。
その苦痛は凄まじい。
「ぐぎぃぃぃぃ・・・」
あまりの苦痛に悲鳴を上げてしまう。
普通ならその声を聞けば誰かがそばへ来そうなものだったが、今ここには誰も来ない。
いるのはただ一人。
彼女のその苦痛を与えた本人だ。
「ああ・・・あああ・・・」
「ふふふ・・・」
邪気の無い笑顔。
漆黒と言っていい髪の毛にまがまがしいカチューシャを嵌め、同じく漆黒のレオタードを着た少女。
その笑みは目の前で苦痛に苛まれているものに向けられたものだ。
「どう? 気持ちいいでしょ? やがてはその苦痛があなたを生まれ変わらせてくれるのよ」
「あががが・・・」
宙を仰ぎ目を見開いている女性警官。
その苦痛のため躰はピンとしなり、口は開かれたままとなる。
誰も通らない夜の通りで、それは異様な光景だった。

闇が心に沁み込んで行く。
それは彼女の心の傷と合流する。
あれはいつのことだったろうか・・・
大きな犬がにらんでいる。
今ならわかる。
あれはドーベルマン。
凶暴な大犬だ。
私はただ震えている。
逃げたくても逃げられない。
お父さんもお母さんも近くにはいない。
誰も助けてはくれない。
犬は私をにらんでいる。
牙をむき出しにして涎を垂らしている。
食べられる。
私は食べられる・・・
怖い怖い怖い・・・
助けて助けて助けて・・・
でも・・・
誰も助けてはくれなかった・・・
私はあの犬に食べられたんだ・・・
今でも残る右腕の傷・・・
泣いていた私のところへ誰かが来て犬を引き離してくれた・・・
それからどうなったのか私は知らない。
でも、私は食べられた。
私は食べられた・・・
もう食べられるのはいやだ・・・
食べられるなんて絶対にいやだ。
食べられるぐらいなら食べてやる・・・
食べてやる・・・
食べて・・・やる・・・
タベテ・・・ヤル・・・

指先の爪が伸びていく。
鼻が前方に突き出し、口元が引き裂けていく。
筋肉が膨らみ、表皮には毛が生えてくる。
ストッキングも制服も引き裂き、肉体をあらわにしていく女性警官。
その柔らかなラインがしなやかさの中にも強靭さを兼ね備えていく。
「ググ・・・グルルルル・・・」
人間とは思えないうなり声が上がる。
人間にはありえない尻尾をぴんと立てて四つん這いになる女性警官。
「うふふふ・・・あなたの闇は犬なんだ・・・あははは」
高らかに笑うレディベータ。
「グルルル・・・食ラウ・・・食ラウ・・・」
犬のビーストと化した女性警官は飢えを満たすべく獲物を探す。
「ふふ・・・そうよ。全て食べちゃいなさい!」
「アオ~~~ン」
レディベータの命に高らかに雄たけびを上げて走り出すビースト。
その先に待つものが殺戮であることにレディベータは満足を覚えていた。

食事を終えて自室で宿題を解いている明日美。
その胸に赤い石の嵌まったペンダントが輝いている。
それは不思議なペンダントで、どこで手に入れたのかまったく思い出せない上に、いつから提げているのかも思い出すことができなかった。
「先ほどお母様にお訊きした時も、見覚えが無いって言っていらしたわ。いつの間に私はこれを提げていたのでしょう・・・」
宿題を解く手を休め、ペンダントを手に取る明日美。
それを見ていると奇妙な感情がよぎる。
不気味なものを見るときのような恐れとも思える感情と、大切なものを手に取ったときの何となくせつないような暖かい感情が混じるのだ。
「紗希ちゃんも提げていましたわ。お揃いで手に入れたということはどこかへ一緒に出かけたときのことだと思うのですが・・・」
だとしたらきっとわいわい言いながら選んだに決まっているのだ・・・
そんな楽しい思い出ならば忘れているはずが無い・・・
忘れてしまうなんてそれこそ紗希ちゃんに失礼だ・・・
「それにしても不思議ですわ・・・」
楽しく二人で選んだ物のはずなのに、この見ていると背筋が凍るような気持ちはどうしてなのか・・・
「まるで・・・」
まるで何か持っていてはいけない物のよう・・・
「えっ?」
突然ペンダントが光り始める。
いけない!
明日美はとっさにそう思う。
このペンダントが輝く時、よくないことが起こる・・・
だが、明日美の目はその輝きから目をそらすことはできなかった。

「はあ・・・満足ぅ」
美味しいオムレツを食べ終えて、紗希は自室のベットに寝転んだ。
満腹の紗希は幸せこの上ない笑顔を見せている。
だが・・・
「はう~・・・そういえば宿題があったんだぁ」
天国から地獄へ突き落とされたような悲しげな声。
上半身を起こして机に向かおうとした紗希の胸でペンダントが揺れる。
「あ・・・」
思わずペンダントを手に取る紗希。
青い石が嵌まっているペンダント。
明日美ちゃんとお揃いのペンダント。
それは二人の友情の証。
いつ買ったのか、それとも明日美ちゃんからお誕生日にもらった物だったろうか・・・
忘れちゃって思い出せないけど、大事なのは明日美ちゃんとお揃いであるということ。
このペンダントがある限り、明日美ちゃんはそばにいてくれる。
無くしたら大変。
紗希はすでに着替えたパジャマの内側にペンダントを入れようとした。
「えっ?」
ペンダントは突然光り始める。
「な、何々?」
青い冷たい光が部屋中に広がった。
「あ、ああ・・・だめぇっ!」
紗希は言い知れない恐怖を感じていた。

「ああ・・・あああ・・・」
ぺたんと床に座り込む若い女性。
ちょっとした買い物から帰ってきた時、その異変に遭遇したのだ。
くちゃくちゃと何かを咀嚼する音。
ぽたぽたと滴り落ちる赤い液体。
それが何であるか彼女は知らない。
いや、知りたくはない。
彼女の疑問は、なぜこんな所に巨大な獣がいるのだろうかということと、何を食べているのだろうということ、それと先ほどまでテレビを見ていた夫とベビーベッドで寝ていた赤ちゃんがなぜいなくなっているのかということだけだった。
室内は赤かった。
どうしてか知らないが赤く塗られていた。
ペンキをぶちまけたようにところどころだけ赤い室内。
誰がこんなことをしたのだろう・・・
夫が帰ってきたら怒られちゃうわ・・・
きっとこんなに赤かったら、いくら赤ちゃんって言っても気持ち悪がるだろうな・・・
綺麗な赤じゃないんだもの・・・
何かどす黒いような・・・
ぎろりと獣の目が彼女をにらむ。
「あは・・・」
へたり込んだ彼女の足元から湯気が上がる。
ヒュッと風が動き、室内に新たな赤い色が撒き散らかされた。
[犬]の続きを読む
  1. 2006/04/04(火) 19:44:27|
  2. ホーリードール
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朝のひと時

「帝都奇譚」の続きです。

選択肢を提示したいんですが、まだそこまで行かないんですよね。
中途半端ですみません。

8、
「おはようございます、奥様」
朝の光がまぶしい。
いつものように起こしに来てくれたおヨネさんが恨めしく感じる。
「おはようございます、おヨネさん」
精いっぱいの笑顔を作って起き上がる雛華。
なんだかすごく気分が悪い。
胸がムカムカして食欲も無い。
ぺろりと舌なめずりをして布団から外へ出る。
「お食事の準備ができておりますのでどうぞ」
「ありがとうございます。旦那様は?」
「まだお休みでございます。これから起こしに行きますが、奥様が行かれますか?」
雛華は首を振った。
今はあの人の顔を見るのがつらい。
なぜだかわからないが、夕べから雛華は自分が得体の知れない感情を持って来始めていることに気が付いていた。
昨日までの自分であればあの人の顔を見るのがつらいなどと考えたりはしなかっただろう・・・
だが、雛華は夫の顔を見るのがつらかった。
「お願いするわ、おヨネさん」
微笑みを浮かべて着物を着替え始める雛華。
「かしこまりました、奥様」
おヨネさんが扉を閉めて出て行く。
雛華は唇が乾くような感じがして舌なめずりを繰り返すのだった。

「おはようございます。お父様、お母様、お爺様」
いつものように家族が揃う洋間に入ってくる摩耶子。
「おはよう、摩耶子」
「おはよう、摩耶子さん」
「おはよう」
テーブルについた家族がそれぞれに挨拶を返してくる。
鷹司家の毎朝の風景だが、今日は部屋の隅にいつもとは違う顔があった。
「あ、失礼いたしました。おはようございます、破妖さん」
「おはようございます摩耶子さん。夕べはゆっくりお休みになられましたでしょうか?」
先日とは違い、今日はシックな黒い上下を着ている破妖月子。
束ねた黒髪とも相まってなかなか魅力的だ。
「はい、それはもうぐっすりと」
「そうでしたか・・・それはよかった」
何となくホッとしたような表情を浮かべる月子に摩耶子は首をかしげる。
「何かあったのですか? 破妖さん」
「いえ、ただ私が実光様にわがままを言ってお泊めいただいたものですから、安眠を乱してはいないかと気になったものですから」
にこやかに微笑む月子。
「まったく驚きましたよ。父に言われてすぐでしたからね」
トーストを片手にした鷹司昭光が多少の不信さを覗かせる。
「申し訳ありません、昭光様」
月子が頭を下げる。
「宮内省の大柄(おおつか)がいきなり破妖さんを紹介してきたときにはわしも驚いたわい」
「大柄さんが?」
「ああ、しばらく摩耶子のそばにおいて欲しいとのことでな。なにやらわからんが摩耶子を呪うものがおるらしい」
実光が大きな湯飲みで日本茶をすする。
呪い?
摩耶子はテーブルについて朝食を食べ始めていたが、思わず手が止まってしまう。
「呪いですって?」
摩耶子の母親である鷹司幸子(さちこ)が声を荒げる。
「どこの誰が摩耶子を呪うというのですか? 一体誰が!」
「落ち着きなさい、幸子。誰がとかどうやってとかじゃ無く、単なる噂だよ。だが、鷹司家のことを思って大柄さんが破妖さんを寄越してくれたのだそうだ」
新聞を片手にコーヒーに口をつける昭光。
「そういうことじゃ。摩耶子も破妖さんからお守りをもらったじゃろ? あれは呪い返しの効果があるらしい」
ああ、なるほど・・・
それであのお守りを手渡されたと言うことなのね・・・
摩耶子はセーラー服のポケットに入っているお守り袋を確かめる。
「!」
一瞬摩耶子は指を引っ込めた。
なぜか知らないがお守り袋に触れたとたんに電気が走るような感触があったのである。
恐る恐る再びお守り袋に指を当てる摩耶子。
なんとも無い?
先ほどのような電気は走らない。
さっきは何だったのかしら?
考えてもわかるわけでもなく、摩耶子は食事を終えると席を立つ。
呪いがどんなものかは知らないが、何となく破妖さんがいてくれると大丈夫と言う感じがする。
「それでは学校へ行ってまいります」
摩耶子はそう言って頭を下げると心配そうな母を残して洋間を後にした。

気付かれなくてよかった・・・
痛む左手を押さえ月子はホッとする。
摩耶子を襲うのは呪いではない。
実体を持った魔物なのだ。
昨晩は顔見せのようなもの。
いずれ再びやってくることは目に見えている。
その時にはたして彼女を守りきることができるのか?
月子は表情を暗くした。
昨晩の戦いは相手が引いたもの。
それにこちらを人間風情と舐めてかかってきたところがある。
だから月子も隙を突くことができたが、それでも左腕にダメージを負わされた。
あの伯爵が全力で立ち向かってこられればどっちが勝つかはわからない。
厳しい戦いになるだろう。
「実光様。私もそれでは失礼いたします」
「うむ、頼みますぞ、破妖さん」
頭を下げて扉へ向かう月子を実光は見送った。

臭いが漂う。
人の好まない死の臭い。
死臭だ。
薄暗い地の底のような冷たい空間。
死臭はそこに満ちている。
当然だろう。
そこには死が満ちていた。
数体の死体が転がっていたのだ。
その死体の中から長い髪をたらし、ゆっくりと立ち上がる人影。
柔らかいその躰のラインからも若い女性であることが知れる。
その顔に生気は無く、ただ無表情に起き上がったのみ。
一言も発せずに周囲を見渡し、奥にいる人影に気が付くと、それを避けるように部屋の隅へ下がって行く。
「ふん・・・また役立たずが出来上がったか・・・」
地の底から聞こえるような太い声。
端正な顔立ちに苦悶の表情を浮かべている。
金色の髪と青い瞳が薄闇の中でひときわ輝いているかのよう。
胸に飾りをあしらった黒いスーツを見事に着こなしたその姿はまさに西洋の紳士。
「あの女・・・何者だ?」
鈍く痛む舌を伸ばす。
少し赤くなっているだけで、傷はまったく見えない。
それでも再生に多少手間取ったことが苛立ちを強めていた。
「まだ足りぬか・・・」
西洋の紳士、ヴォルコフは忌々しげにつぶやくと、たった一つあるソファに横になった。

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  1. 2006/04/03(月) 21:38:20|
  2. 帝都奇譚
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再会

ローネフェルトの続きです。

懐かしい方が登場です。

『固定完了。お疲れ様でした、大尉殿』
私は06FZを整備兵の手に渡すと、傷付いたYMS-11を眺める。
表面装甲があちらこちら傷付き、よく無事に戻ってこられたものだと思う。
「ミナヅキ少尉は?」
『医務室です。念のためと言うことでしたが』
「そう、ありがとう」
私はうなずく。
怪我の具合はたいしたこと無いとは思うけど・・・精神的なものが問題ね。
「アクト・ザクは修理できそう?」
『現状ではとてもとても。何せ地上から上がってきたばかりの試作品ですからね。部品がまったく無いんですよ』
「それはそうね」
基本的な問題だわ。
機体だけあればモビルスーツはいいってものじゃない。
それを動かすためには膨大な量の維持補修部品が必要なのだ。
それがまったくないYMS-11は張りぼてに過ぎないと言うことね。
『補給艦にも無いでしょうからね・・・正直言って廃棄処分かもしれません』
「わかったわ。残りの二機の整備を万全にお願い」
『了解です。大尉殿』
敬礼する整備兵に私も敬礼を返してその場を去る。
とにかく医務室にいるアヤメの様子を見てこなければ・・・

「どうですか? 彼女の容態は?」
医務室に入った私は軍医少尉にそう尋ねた。
「怪我らしい怪我はありません。とりあえず今は落ち着いて眠っています」
奥のベッドを指し示す軍医少尉。
そこには落ち着いた表情で眠っているアヤメの姿があった。
「何があったんですか? 麻薬でもやっているんじゃないんでしょうね?」
軍医少尉の鋭い視線。
麻薬は軍隊には付き物だ。
前線の兵士たちが出撃前に使うことは多々あるらしい。
もっとも、当然発覚したら憲兵隊に捕まってしまうけど。
「麻薬なんかじゃないわ」
もっと性質が悪いものよ・・・
そう言いかけて私はとどまる。
言ったところで解決にはならないし、アヤメがまたモルモットにされるのが落ち。
そんなことにはさせたくない。
できればアヤメは戦争など無いところ・・・そう、サイド6あたりで平和に暮らして欲しいもの。
「そうでしょうか? まあ、血液検査をしてみればいいことでしょうが、あいにくそんな暇も無いですし」
「しばらく寝かせて置いてください。大丈夫だと思いますから」
「はい。わかりました、大尉殿」
渋い表情でうなずく軍医少尉。
私はアヤメのそばへ行ってそっと頭を撫でると医務室を後にした。

「補給艦との会合までは?」
シャワーを浴びて着替えた私は艦橋にお邪魔する。
本来ならパイロットはパイロットの控え室があるのだが、正規のモビルスーツ隊が配属されていないこのブリュメルでは、一人で過ごすことになってしまう。
そこで私は艦長と知己であると言う多少の特別性を利用して、艦橋へ入ることを許可してもらったのだ。
「もう間もなくよ、そろそろキャッチできてもいいんだけどね」
リーザが艦長席からこちらを向く。
我が軍の軽巡は艦長のみシートが与えられていて、他の乗員は立ちっぱなし。
もちろん無重力だから躰への負担は少ないが、急激な機動をする時に不便なのではないだろうか。
「前方にデブリ! 急速接近!」
「相対速度は? 船体に影響はありそう?」
宇宙で戦争をやっていると当然破壊される艦船やモビルスーツが発生する。
それらは破壊された時の速度を維持したまま飛び交うことになるのだ。
その中には船体やモビルスーツに実体弾としてダメージを与えるものも存在する。
そのためデブリはバカにできない障害なのだった。
「相対速度小。船体ダメージを及ぼすほどのデブリは感知できません」
「ではこのままの速度を維持。衝撃に備えよ!」
リーザの指令が全艦に通達される。
「マリーはそこの補助シートに着いて」
「了解」
私は壁に備え付けてある補助シートを倒して座り、衝撃に備えた。
がんがんと言うデブリが船体に当たる音が不気味に響く。
この近辺で戦闘があったに違いない。
このあたりのデブリなら、四、五日もすれば地球へ落下するはずだからだ。
「ミルヒ・クー(乳牛)との会合ポイントです・・・が」
「あれは?」
リーザが息を飲む。
「ミルヒ・クーだ! パモアがやられたんだ・・・」
そこには残骸となって漂っているパプア級補給艦「パモア」の姿があった。

「周囲を索敵! 同時に生存者を探して!」
状況から言っておそらく望みの無い命令であることはリーザもわかっているはず。
しかし一人でもいい、誰か生き残っていて・・・
私はすぐに双眼鏡を取り出して艦橋の強化ガラスから外を見る。
先ほどのデブリはこれだったんだわ。
速度の大きいデブリはとっくに飛び去ってしまい、速度のほとんど無いデブリだけが漂っていたんだ。
だから相対速度が小さかったんだわ。
「戦闘があったのはおそらく昨日あたりね」
リーザも艦長席を出て双眼鏡を眺めている。
せめて脱出ポッドの一つでも回収できれば・・・
「艦長、あれを!」
観測員が指差す方を私も見る。
漆黒の宇宙空間にぽつんと一つ光るものがあった。
「脱出ポッド?」
「違います、モビルスーツのようです」
確かにそうだわ。
あれはモビルスーツ。
MS-09ドム?
違うわね、09Rリックドムだわ。
「回収作業かかれ!」
「了解!」
リーザの指示の元、回収作業が始まった。

『固定作業終了』
『ハッチ開放!』
私もハンガーデッキにやって来て作業を見守る。
幸いなことに09Rはほとんど損傷もしておらず、自力航行可能だったようで、発見されるとすぐにブリュメルに着艦してきたのだった。
それにしても・・・
いまさらながらに09は重量感がある。
『救出ありがとうございました。宇宙攻撃軍第251モビルスーツ大隊所属、パトリシア・ノイマン准尉です。乗艦許可願います』
えっ?
『乗艦を許可します。ようこそブリュメルへ』
整備班長がきちっと敬礼して出迎える。
09Rのハッチからスマートなノーマルスーツが姿を見せ、すっと下りてくる。
『乗艦許可ありがとうございます。補給艦パモアで待機中に襲撃を受け、どうにか発進したんですが、敵を追い払うのが精いっぱいでパモアは撃沈され、私も残存推進剤がほとんどなくなってしまったので救助を待っていたところでした』
『そうでしたか。とりあえずご無事で何よりでした。後ほど艦長にお引き合わせいたします』
『よろしくお願いいたします』
穏やかな優しい声。
間違いないわ。
「久し振りね、ノイマン准尉」
『えっ?』
ノーマルスーツが振り返る。
バイザーの奥の表情がみるみる驚愕の表情に変わる。
『中尉殿!』
あのパトリシアが今私の目の前にいた。 [再会]の続きを読む
  1. 2006/04/02(日) 21:16:43|
  2. ガンダムSS
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鋼鉄の少女たち

四月に入りましたねー。
いよいよ春という感じがこの北の地方でもしてきました。

もう町中にはほとんど雪も無く、降るのも冷たい雨に変わってきました。
後はもう少し暖かくなってくれるといいんですけどね。

今日はマンガをご紹介しますね。

「鋼鉄の少女たち」1~4巻 角川コミックス 手塚一佳原作 しけたみがの作画

最初にこのタイトルを見たときには、また馬鹿なマンガが出ているなと思ったものでした。

戦車に乗って戦う少女たちのマンガと聞けば、たいていの人たちが半ばそう思うのではないでしょうか。

私もそう思ってとりあえずパラパラとめくってみました。

ところがところが!
結構凄まじい戦争しているんですわこれが。

ハッチから顔を出している戦車長は狙撃を受けて死んじゃうし、乗っている戦車は装甲が薄いからすぐに敵弾が貫通しちゃうし、捕虜になれば女性ですから当然輪姦され、犯され、孕まされます。

お二方のどちらかがかなりのミリオタと見えて、戦闘も結構戦闘しています。

キャラクターもあっけなく死んじゃったり、恐怖で漏らしたり、生理が来たりと大変です。

何より一番恐ろしいのは、この結構まじめな戦争マンガが、あろうことか「エース桃組」に連載されていたことでしょう。(笑)

小林源文先生の戦場マンガのキャラクターを少女たちにしたような感じと思ってもらえればいいのかな。

現在は連載が終了してしまったようですが、よければ一読を。

それではまた。
  1. 2006/04/01(土) 22:26:19|
  2. 本&マンガなど
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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