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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

思いっきりいやな奴

とりあえず昨日の続きです。
今日は自分でもいやな奴だなあと思いながら書いていました。
でもこういう奴ほど、書いていると楽しんですけどね。

「アマリア・ローネフェルト。入ります」
『おう、入れ』
部屋の中から野太い声がする。
私は呼び出しを受けてウォルフガング・アドラー少佐の下に出頭しに来たのだった。
「失礼いたします」
私は扉を開いて部屋の中に入り、敬礼した。
「アマリア・ローネフェルト中尉であります。出頭命令により参りまし・・・た・・・」
私は言葉を失った。
部屋の中にはアルコール臭が漂い、床のあちこちに酒瓶が転がっているのだ。
テーブルの上には食い散らかされたスナック菓子がこぼれ、まだ中身の入った酒が二・三本立っていた。
ソファには酔いつぶれた士官が二人ほど腰掛けていたが、二人ともどんよりした目で私をチラッと見ただけで、いびきをかいて寝てしまっていた。
奥の革張りのシートに座っていた男がラッパ飲みしていた酒瓶をゆっくりとテーブルに置くと、私の方を無遠慮にじろじろと見つめてくる。
「ほう、アラスカの山猫はなかなかの美人じゃないか」
「失礼ですがアドラー少佐殿でありますか?」
私は目を疑った。
軍服の前をだらしなく開け放して酒を飲んでいるこの男が私の直属上司になる男だというのだろうか。
「ああ、そうだ。俺がウォルフガング・アドラー少佐殿だよ。中尉殿」
この男は私が嫌いならしい。
構わないわね。
私もどうやら嫌いになりそうだから。
「初めまして少佐殿。このたび少佐殿の・・・」
「ああ、お前は俺の部下になったんだ。これからは俺の命令に従ってもらうぞ。何でも言う通りにするんだ。俺が靴を舐めろといったら靴を舐め、俺がチンポをしゃぶれといったらしゃぶるんだ。いいな!」
酒瓶を手に取り、中の液体をグイッと流し込むアドラー少佐。
「それは今この場でそうしろとのご命令でしょうか? 少佐殿」
私は精いっぱいの憎しみを込めて少佐をにらみつける。
「ん? ふふふ・・・今は必要ない。そのうちにお前のほうからさせてくれとせがませてやるさ・・・」
下卑た笑いを浮かべているアドラー少佐。
だが油断がならない男のようだ。
「中尉、アラスカじゃ山猫などと呼ばれていい気になっていたようだが、ずいぶんと部下を失っているじゃないか。結構部下を危険に晒して自分は後ろで手柄を独り占め・・・そうじゃないのか?」
少佐は自分が口をつけていた瓶からグラスに琥珀色の液体を注ぎ、私に差し出してくる。
「おっしゃる意味がわかりかねますが。少佐殿」
私は吐き気を感じながらもグラスを受け取り、さりげなくテーブルに置く。
願わくば飲めとは言われませんように。
「ん、ふふふふ・・・心配するな中尉。俺はそういう奴は嫌いじゃないんだ。むしろ俺にふさわしい女じゃないかと思っているんだがね。まあ、飲めよ」
私は目をつぶった。
やはり飲まずには済まされないか・・・
私はグラスを取り上げると、一気にのどの奥に流し込む。
アルコールの喉を焼く感じが奥まで伝わって行く。
「いい飲みっぷりじゃないか。いい女だ」
少佐は立ち上がると私の前にやってきて私のあごを持ち上げる。
「俺の女になれ。そうすれば楽をさせてやるぞ」
「それはご命令でしょうか? 少佐殿」
私は目をそらさずに少佐をにらんだ。
「いや、上位者からの忠告だよ。中尉」
「ありがとうございます。ご忠告はありがたく承りますが、あいにく今は誰の物になるつもりもございませんので」
「ふふん、気の強い。さすがに山猫だな」
少佐は私のあごから手を離すと再び革張りの椅子に座りなおした。
端正な顔立ちだが、どこか猜疑心の塊のような感じを漂わせている。
先ほど私に言った部下の手柄を独り占めというのは少佐のことではないのだろうか・・・
「中尉、一つ言っておこう。俺は先日までグラナダに居たんだ。わかるか、この意味が? 俺はキシリア閣下にも目をかけていただいているんだよ」
「それは重畳でした。では、なぜ今ここにいらっしゃるのでしょうか?」
むっとした表情を浮かべるアドラー少佐。
いい気味だわ。
「もういい、行け。行って自分の愛機を磨いて置け」
私はその言葉を待っていたので、敬礼をして少佐の部屋を後にした。

「ふう・・・」
ため息をついて私は苦笑する。
最近ため息をつくことが多すぎるようだわ。
年寄りじみてしまっているんじゃないだろうか。
そんなことを考えながら、私は結局少佐の言われたとおりにハンガーにやってきていた。

グレーの塗装のMS-07Hグフ飛行試験タイプ。
いつものように幾人かの整備兵たちがこまごまとした整備をしている。
彼らがいなければこんなモビルスーツなどというものはすぐに動かぬ鉄くずに成り果てるのだろう。
「あら?」
私はグフの脇に巨大な円柱が置かれていることに気が付いた。
よく見るとその円柱にはトリガーと弾倉が付いていることからバズーカだということがわかったものの、ザクが持つタイプよりも口径が大きい感じがする。
私は整備兵たちのところへ行き、声をかけた。
「今晩は。ご苦労様」
「これは中尉殿」
「ご苦労様です、中尉殿」
整備兵たちが作業の手を止めて一斉に敬礼をした。
「ごめんなさい、そのまま続けて。一つ聞きたいことがあっただけなのよ」
「はい、なんでしょうか」
結局私の正面に運悪く立ってしまった小柄な女性整備兵が私の問い掛けに応える役になってしまったようで、そのほかの兵たちは作業に戻っていった。
「あれって、バズーカでしょ? ザクのじゃないわよね」
「ああ、あれはジャイアントバズですよ。MS-09用なんですがこいつにも使えそうなんで」
「ジャイアントバズ? MS-09用の?」
私は驚いた。
ジャイアントバズは噂では連邦のマゼラン級宇宙戦艦も容易に沈めることができるという。
そんなものを持たされているとはなかなかのものだわね。
「でも、この機体には格闘戦用の武器が無いんですよね」
「えっ?」
そういえばもらった資料にも固定武装については記載があったが、白兵戦用の武器は載っていなかったわ・・・
「まったく無いの? 白兵戦用の武器が? グフなのに?」
「ええ、ヒート剣もヒートホークもまったく無しです。まあ、試験機だからなんでしょうけどね」
彼女の言葉に私は少し考える。
確かに今までなら格闘戦はほとんど必要なかった。
たまに連邦が鹵獲したザクを使ってくることがあったが、そんなのはそれほど脅威ではなかったわ。
でも、今度の行き先はもしかしたらジャブロー。
そんなところへ行くのに白兵戦用の武器が無いのは心もとない。
私はだめもとで頼んでみることにした。
「ねえ、あの07Hの右腕をエネルギーコネクターのある06Jのものと交換できないかしら?」
「ええ? そりゃ同じジオニック社製ですからやってやれないことは無いと思いますが・・・」
目の前の女性整備兵は明らかに驚いている。
無理も無いわね。
前代未聞のことを押し付けているのだから。
「何とかお願い。そしてどこかにヒートホークを引っ掛けといて欲しいの」
「ふう・・・わかりました。やってみますね」
私が拝むようにお願いすると、彼女はやれやれといった感じで引き受けてくれた。

「オーライ、オーライ・・・」
ハンガーの外からモビルスーツが搬入されてくる。
やっぱり見たことの無い機種で紫色が主体のカラーリングがされている。
「あれは?」
「ああ、あれはアドラー少佐の機体ですよ。グフ重装型って奴です」
「アドラー少佐の?」
がっしりとした重量感のある機体は確かに分厚そうな装甲を纏っているようだわ。
「ええ、あれってドムよりも装甲が厚いんですよ」
「ドムよりも?」
見たところホバー能力も無いようだし、それじゃさぞかし機動性は悪いでしょうね。
「ええ、アドラー少佐はあんな分厚い装甲のモビルスーツに乗りながら、自分は後方で指揮を取るって評判なんですよね」
「後方で?」
あきれた・・・
あんなに重装甲ならあのタンクもどきの弾だって弾くでしょうにね・・・
「ええ、指揮官は死ぬわけにはいかないとかで。そういえば知っていますか? 少佐って壊し屋って言われているんですよ」
「壊し屋?」
「ええ、少佐の部下になると、死ぬか精神が壊れるかだって言う話ですよ」
「精神が?」
「良くわからないんですけど・・・少佐は気に入った部下は壊しちゃうって話なんですよ」
どういうことなんだろう・・・
まあ、近いうちに私自身が身をもって体験することになりそうだわね・・・
私はあのアドラー少佐の下卑た笑いを思い出して身震いした。 [思いっきりいやな奴]の続きを読む
  1. 2005/12/05(月) 20:12:07|
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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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