阪神が四連敗で終わったことで、舞方は少し壊れ気味です。
こんなのを書いちゃいました。(笑)
「よくも生き残ったものね・・・」
ボソッとソフィア・エリアルド中尉がつぶやいた。
ルナツーの港湾ブロックに隣接するレクリェーション区画のベンチで俺はタバコをくゆらせていた。
空気が貴重品と言っていい宇宙ではなかなか楽しむことのできない贅沢だろう。
中尉の言葉はまさしく俺にとっても実感として感じられることだった。
一方的な完敗。
あの戦闘はそう言っていいだろう。
オカダ大佐の旗艦をはじめ巡洋艦三隻轟沈。
かろうじて「ボルゴグラード」だけが戦場を離脱できたのだが、こちらも艦橋に被弾し、カネモト艦長以下主だった艦橋要員が戦死。
補助艦橋からの操作でよたよたとルナツーに到着したのが先日のことだった。
全部で二十四機いたボールは俺を含めて四機のみ、GMも十二機中三機しか残らなかった。
ジオンの新型リックドムは見事なロッテ(二機編隊のこと)を組み、こちらは各個撃破されていったのだ。
「ふふ・・・君も生き延びたのね。これでベテランの仲間入りって所かしら」
「どうですか・・・ただ逃げ回っていただけですからね」
俺はタバコの煙を吐いて苦笑いする。
「それでいいのよ。見苦しくぶざまでも生き残ったものの勝ちだわ」
エリアルド中尉が肩をすくめる。
「笑ってくれていいわよ。私も逃げ回っていたんだから」
「笑えるわけ無いでしょう・・・」
「・・・そうか・・・」
俺はエリアルド中尉とともに青空が映し出されている天井パネルを無意味に見上げた。
「エリアルド中尉、バーナード少尉、出頭命令です」
わざわざこのレクリェーション区画まで迎えに来てくれるとはよっぽど連邦も人手不足なのか・・・
「わかった、すぐ行く」
「了解、すぐ行くわ」
俺と中尉はそう答えルナツーの司令部に出頭する。
そこで待っていたのは・・・
「また、貧乏くじなんでしょうかね」
「ふふふ・・・そうかもね」
無重力状態のブリーフィングルームで俺はまずいコーヒーを飲んでいた。
そばでは再び一緒の船に乗ることになったエリアルド大尉が苦笑いをしている。
生き残った。
ただそれだけで俺たちは出世したのだ。
エリアルド中尉は大尉に。
そして俺は中尉にだ。
で、それに伴って責任まで押し付けられることになる。
「バーナード中尉、ここでしたか」
「中尉、私たちはどうすれば・・・」
黄色のノーマルスーツを身につけた女学生がやってくる。
パイロット訓練を終えたばかりの雛鳥たち。
彼女らが俺の小隊の二番機と三番機のパイロットたちなのだ。
「機体の整備は終わったのか?」
「えっ?」
「整備は整備兵が・・・」
型どおりの言葉に俺は苦笑いする。
ほんの二ヶ月前までは俺もそうだったことを思い出すが、ここでそれを言っても始まらない。
「バカ、自分の棺桶ぐらい自分でチェックしとけ!」
俺はそう言って、コーヒーのカップを握りつぶすと彼女たちを連れてブリーフィングルームを後にした。
コロンブス級輸送艦を改装した簡易型MS母艦「ガンビア・ベイ」
「ホワイトベース」級MS母艦が高価なため、手っ取り早く作れるMS母艦として急速に数を増やしている簡易型MS母艦の一隻だ。
輸送艦の貨物室にMSハンガーを設置し、GM二個小隊及びボール二個小隊を搭載できる。
大艦巨砲の権化たるマゼラン級戦艦の甲板に野ざらしで搭載するよりはよほど運用性は高い。
しかし、元が輸送艦であるために足の遅さが問題だった。
そして俺たちは「ガンビア・ベイ」と護衛の巡洋艦「ニューヨーク・シティ」及び「イシカリ」の三隻でグラナダ方面でかく乱行動を取りア・バオア・クーとの分断を図ることになるのだった。
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- 2005/10/27(木) 22:34:53|
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