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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

最終回です

ようやく長かったSSにケリをつけることができました。
お待ちいただき申し訳ありませんです。m(__)m
それではどうぞ。


36、
暗闇の中汀は両手両足を触手に絡まれ床に大の字にさせられてしまう。
首に絡みついた触手はその先端を鎌首のように持ち上げて汀を見下ろしていた。
「いやぁっ! いやよぉっ!」
恐怖が汀を支配する。
すでに退魔師としての勇気は失われ、陵辱を前にして怯える一人の女になっていた。
強力な妖魔はそうそう出現するものではない。
だが、ごく稀に出現した時には幾人かの退魔師が命を落とすことも珍しくはなかった。
先天的な能力が要求される退魔師は肉体的な構造の違いが影響を及ぼすのか圧倒的に女性が多い。
しかし、戦いという場においてはその女性という性別が不利に働くことが多く、妖魔に陵辱され殺される退魔師もまた多かったのだ。
汀の友人も何人かは連絡が取れなくなっている。
そのうちの何割かは人知れず妖魔との戦いに敗れ命を落としているのだろう。
「いやぁっ」
汀は必死になって体を動かす。
しかし、二重にも三重にも絡みつかれた体はわずかに動かすことができるぐらいで、振りほどくことはできなかった。

ようやく動きを止めたタイマシ。
“それ”の触手によってタイマシは絡め取られ、床の上でもがくだけとなった。
ブキもまた動きを止め、床の上に転がっている。
タイマシと切り離されたブキは動くことはできない。
それは今までの戦いでわかっていることだ。
ではタイマシと他の人間との違いは何か?
それを確かめるべく“それ”は触手を動かしていった。

汀を見下ろしている黒くグロテスクな触手の先端。
黒人のペニスを間近で見るとこんな感じなのかもしれない。
汀だって処女ではない。
数人と性交渉を持った事だってあるし、男性のモノを間近で見たことだってある。
だが、それだからこそこの触手の先端はペニスと見紛うほど似ていると思うのかもしれなかった。
手は動かせない。
右手はともかく左手もがっちりと触手に絡みつかれて妖刀を振るうどころかピクリとも動かせない。
さらに妖刀そのものが手から離れてしまっていて、拾うことさえできないのだ。
イヤだ・・・
イヤだイヤだ・・・
こんなところで死ぬのはイヤだ・・・
死にたくない・・・
死にたくないよ・・・
汀は触手から顔をそむける。
できる精一杯の抵抗だ。
だが・・・
それにしても・・・
なぜこんな時に体が疼くのだろう・・・

触手の先端はゆっくりと汀の喉元に忍び寄る。
すでにズタズタに切り裂かれあちこちから白い肌を露出させてはいるものの、汀の体はいまだ黒の革ツナギによって保護されていた。
その革ツナギのハイネックの首元にあるファスナーを触手は器用に下ろしていく。
ジジジジジという音がまるで時が止まってしまったかのような倉庫内に響いていく。
ファスナーはふくよかな胸を下り、滑らかなお腹を通り過ぎ、股間のところで動きを止める。
白いショーツが姿を現し、汀の大事なところを精一杯保護するべく抵抗しているようだ。
「やめて・・・いやぁ・・・」
汀は目を閉じていやいやと首を振る。
だが、そんなことはお構い無しに触手は数を増し、革ツナギを両側へ開くとブラジャーの中央を持ち上げて引きちぎる。
ポロンという形容がふさわしい感じで汀の形良い両の乳房が晒された。
ああ・・・そんな・・・
身動きできない自分に対する悔しさと魔物に対する憎しみとが汀の唇を噛み締めさせる。
えっ?
驚いたことに触手が両胸に優しく巻きつき、柔らかくこね始めたのだ。
う、嘘・・・
柔らかく揉みしだかれる胸は汀に女としての快感を送り込んでくる。
最近味わっていない女としての喜び。
それを今この魔物は与えてくれようというのか?
あ・・・あ・・・
汀の体が快楽を求め始める。
両胸を揉まれ、さらに他の触手が首筋を優しく撫でさする。
「は・・・あ・・・」
なまめかしい吐息が汀の口から漏れる。
晒された白いショーツにじんわりと染みが浮き始めた。
ど・・・どうして?
汀は自分の体の反応の速さに驚く。
ちょっと胸を揉まれ首筋を撫でられたぐらいでこんな・・・
「ま、まさか・・・」
汀が目を見開く。
体液だ・・・
魔物の体液が気化しそれを吸い込んでしまった私は・・・
最初からこれは罠?
私を嬲るためにここへ?
バカな・・・
汀は悔しかった。
このような状況に陥って手も足も出ない自分が呪わしかった。

「ひあっ」
汀の体に電気が走る。
触手がピンと立った乳首の先端を突付いてきたのだ。
ああ・・・
自然と腰が浮く。
もうショーツには恥ずかしい染みが広がっていることだろう。
でも構わない・・・
欲しかった・・・
そこに熱くたぎるモノを入れて欲しかった。
体が快感を欲している。
刺激を欲しているのだ。
ああ・・・ああん・・・
汀は腰を上げて、浅ましくもの欲しそうに腰を揺らし始める。
欲しい・・・欲しいの・・・
触手が焦らすようにおへそのあたりを触っている。
「ああん・・・ああん・・・お願い・・・お願い・・・」
何がどうなっているのかわからない・・・
どうして自分がこんなふうにお願いしているのかもわからない・・・
両手も両足も動かせない。
もどかしくて気が狂いそうだ・・・
いや、もう狂っているのかも知れない・・・
「はあん・・・あはん・・・」
構わない・・・
狂っていても構わない・・・
太いのが・・・
太くてたくましいモノが・・・
欲しかった。
「頂戴! お願いだから私に頂戴!」
汀は声を限りに叫んでいた。

変わらない。
どこも変わりはしない。
タイマシはやはり人間だ。
恐るべきはタイマシではなくブキの方なのか?
ならば恐れることはない。
ブキはタイマシを離れて活動できない。
タイマシも今までの人間と同じように精気を啜りしもべに変えてやればいい。
ずいぶんとしもべを失ってしまった。
このタイマシをしもべとすればいくらかは埋め合わせになるだろう。
すでにタイマシは“それ”の体液によって酔いしれている。
後はいつもどおり快楽を送り込みながら体組織を変化させてやればよい。

白いショーツはもう汀の愛液でグチョグチョに濡れていた。
待ちきれないように腰を振りながら、汀は触手を求めもどかしい思いをしていた。
触手は胸を揉み、おへそや首筋を撫でながら汀の官能を高めていく。
「はあん・・・はあぁん・・・」
口からは涎が一筋流れている。
浅ましいメスの顔がそこにはあった。
やがて“それ”は触手を使って白いショーツを引きちぎる。
それを汀は喜びを持って受け止めていた。
ついに待ち焦がれたモノを受け取れるのだ。
「来てぇ・・・私の内膣に来てぇ・・・早くぅ」
もう何も考えられなかった。
今までの事など思い出しもしなかった。
自分が何者なのか、相手がどんな存在なのか、そんなことはもうどうでもよかった。
今の汀はただ浅ましくモノを欲しがるメスだった。
触手の鎌首が持ち上がる。
使い込まれていない汀の秘部。
ピンク色のひだが愛液に輝き、触手を求め蠢いている。
ぷっくりと膨れたクリトリスはいまや遅しとその瞬間を待ち望んでいた。
触手は一瞬躊躇うように入り口で止まった後、ゆっくりとその身を中に沈めて行く。
「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
汀の喜びの声が響く。
両手両足を広げ、全身で触手を迎え入れるように体で受け止める。
ジュプ・・・ジュプ・・・
触手がその身を潜り込ませる。
初めはゆっくり。
そして小刻みに出入りをして汀の体を燃え立たせる。
「ひゃん・・・ひゃんひゃん・・・」
体を震わせて歓喜に浸る汀の体。
「ひゃぁん・・・いい・・・いいわぁ・・・感じるぅ・・・感じるのぉ・・・」
ガクガクと腰を振り触手の動きにシンクロさせる。
「あ、もぶっ・・・もむっ・・・」
大きく開けていた口にも触手が潜り込んでくる。
息が苦しくなるがそんなことは構わない。
のどの奥まで犯されることこそ汀の喜びだったのだ。
ああ・・・気持ちいい・・・気持ちいいわ・・・
全てをさらけ出してむさぼるように快楽を全身で受け取って行く。
のどの奥をゴンゴンと突いてくる痛みさえも心地よかった。
どろっとしたものがのどの奥へ流れ込む。
痛みは薄れ気持ちよさだけがどんどん膨らんで行く。
ほんのちょっとした刺激だけで汀の体は弾け飛んでしまうだろう。
体の奥へ突き入れてくる触手はひだを刺激して気持ちよすぎる。
イく・・・イッちやう・・・イッちやうの・・・
汀はその瞬間の訪れを待ち望み、快楽の海の中で目を開けて触手を見る。

「!」
凍りついた。
息が止まった。
まるで冷水を浴びせられたようだった。
汀の目に入ってきたのは快楽を与え汀を篭絡しようとしている触手ではなく、壁際でぐったりと横たわっている弘子の姿だった。
その姿はとてもか弱く、まるで巣から落ちた雛鳥を思わせる。
守らなければならない彼女を放っておいて私は何をしているのか?
ここで私がこいつに屈したら彼女はどうなるの?
このまま快楽の海に流されていいの?
汀は思いっきり口に含んでいるものを噛んだ。
どろっとした液体が口の中であふれ、むせ返るのも構わずに汀は噛んだ。
ピクピクとのどの奥で触手が暴れている。
歯をのこぎりのように左右に動かしながら汀は噛む。
ブチッという感触とともに触手は噛み切れ、のどの奥へ滑り落ちる。
口の中の気色悪い液体を唾と一緒に吐き出すと、汀は何とかしようと再びもがき始める。
股間を刺激する触手の与えてくる官能の炎を何とか理性で防ぎながら汀は考える。
何をすればいいのか・・・
どうすればこの状態を脱出できるのか・・・
両手両足も動かせないし、膣内には触手が入り込んでともすれば快楽に負けてしまいそうになる。
汀は周囲を見回す。
この状況を改善できるのならば何でもいい。
何か無いか・・・
そのとき汀の目にもう一つのものが映る。
床に転がっている妖刀。
今は柄だけとなっているが汀はそちらへ手を伸ばす。
再度口を目掛けて延びてくる触手を唇を噛み締めながらかわし、何とか妖刀へと左手を伸ばして行く。
もう少し・・・あと少し・・・
下腹部はすでに自分の物ではないように快楽に打ち震えている。
触手の動きがとても気持ちいい。
意識が飛んでイッちゃいそうになる。
あと少し・・・
汀の左手が触手に逆らい妖刀の柄に少しずつ近づいて行く。
あと三センチ・・・二センチ・・・一センチ・・・五ミリ・・・一ミリ・・・
中指の指先が柄に届く。
汀は指先で柄を転がし、手元に引き寄せるとしっかりと掴み取る。
ふう・・・
汀の目から涙がこぼれる。
これで・・・これで終わりにするのだ・・・
全てを終わりに・・・
汀は振り返る。
壁際の弘子は先ほどから変わらずに横たわっている。
胸のかすかな動きが彼女が死んでいないことを物語っている。
弘子・・・ごめんね・・・
汀は心の中で謝る。
言葉にしようと口を開ければ触手が入り込んできてしまう。
だから声を出すことはできない。
弘子ごめんね・・・私・・・あなたを道連れにしちゃう・・・
でも・・・
でもあなただけは触手に犯させはしないわ・・・
綺麗なままでいさせてあげる・・・
汀の涙が床に広がる。
弘子・・・
汀は妖刀へ向かって念を凝らした。
瞬間、世界が反転した。

意識がゆっくりと浮かび上がる。
薄く目を開ける。
暗い・・・
薄暗い部屋だ・・・
ここは・・・
ここはいったい?
弘子はゆっくりと起き上がった。
体がぎしぎし言う。
私は・・・
そうだ・・・
私は由紀美ちゃんに連れてこられて・・・
するとここは?
周囲を見渡す弘子。
暗くてよく見えない・・・
弘子は立ち上がるとうんと伸びをする。
ずっと固い床に寝ていたせいか体のあちこちが痛い。
体を少し動かすとやっと人心地が付く。
それから改めて室内を見渡した。
そして・・・
床に倒れている汀が居た。
「汀さん!」
弘子は駆け寄った。

   ******

花束とリンゴを抱えて病室へ向かう弘子。
中央病院に汀は収容されていた。
原因不明の高熱と衰弱。
意識不明の重態だった。
医者にも良くわからない。
あちこちの傷はふさがっているものの、衰弱が激しいのだ。
いったい何があったのかいろいろ聞かれたものの、弘子にも説明できるはずはなかった。
学園でも何人もの生徒が衰弱している状態だったが、時期外れのインフルエンザの集団感染の疑いがあるということで一週間の学校閉鎖になっていた。
警察も医療関係者も首を傾げるものの、魔物が学園を支配していたなどと言っても信じてはもらえないだろう。
全ては終わったのだ。
汀の倒れていた近くには黒々とした燃えカスのような塊があるだけだった。
弘子にはそれが悪夢の元凶だったということが何となくわかったが、口をつぐんでいた。
どうせ言っても信じてはもらえない。

「こんにちは。毎日お見舞いに来ているのね」
白衣を纏った一人の看護師が階段の途中で弘子に声をかけてくる。
「こんにちは、山岸さん。今日まで学校もお休みですから」
にこやかに答える弘子。
山岸聖歌(やまぎし せいか)は汀の担当の看護師さんだ。
まだ若くてちょっとドジなところがあるらしく、いつも看護師長さんに叱られるらしい。
でもその笑顔は一級品だと弘子は思う。
「早く行ってあげなさい、破妖さん気が付いたわよ」
「えっ?」
弘子は持っていた袋を落とすところだった。
「ほ、本当ですか?」
「ええ、先ほど先生の診察も終わったわ。衰弱さえ回復すれば大丈夫だそうよ」
山岸看護師がにこやかに微笑む。
この笑顔こそ患者にとっては天使の笑顔だろう。
「は、はい。ありがとうございます」
弘子は慌ててつんのめるように階段を上って行き、病室へ向かう。
汀の病室は個室で奥にある。
走り出したくなるのを必死でこらえて弘子は廊下を進んで行く。
病室の前で弘子は一旦立ち止まると息を整えてノックした。
「はい・・・どうぞ」
汀の声が聞こえてくる。
弘子はすぐに扉を開けた。

汀はベッドに上半身を起こしていた。
ピンクのパジャマが妙に可愛い。
ぼろぼろになって倒れていた汀が病院に担ぎ込まれた後、弘子が買ってきて渡したものだ。
「弘子ちゃん・・・無事だったのね・・・」
「汀さんこそ・・・」
その後は言葉が出てこなくなる。
弘子の頬には後から後から涙が伝ってくるのだ。
「汀さん・・・よかった・・・本当によかった・・・」
弘子はベッドのところへ行くとへたり込んで泣き出してしまった。
「汀さん・・・私・・・私・・・」
ベッドの突っ伏して泣きじゃくる弘子の肩を汀がそっと抱いてやる。
「弘子ちゃん・・・終わった・・・終わったのよ・・・」
か弱く泣きじゃくる弘子を汀は優しく見つめていた。
「汀さん・・・」
涙を拭って弘子が汀を見上げる。
「もう終わったのよ・・・あとは私が・・・力を蓄えるだけ・・・」
くすっと笑みを浮かべる汀。
「そうですね。今リンゴ剥いてきます」
弘子は何か照れくさくなってリンゴの入った袋を手に病室を出る。
後に残った汀はその後ろ姿を見送った。

「ねえ酒本さん、これからみんなでマックでお茶しない?」
「ごめんね、今日は中央病院へ行かなくちゃ」
友人の誘いをあっさりと断ってしまう弘子。
「病院? 何しに行くの?」
友人は怪訝そうな顔をする。
一週間の休みで学生たちはすっかり体力も回復していた。
いまさら病院なんて行く必要がないはずなのだ。
「お世話になった人が入院しているんだもん。お見舞いに行かなきゃ」
「あ、そうなんだ。大変だね」
所詮は人事でしかない友人はあっさりしている。
彼女の命がその人によって救われたなどとは露ほども思ってはいないのだ。
「別に大変じゃないよ。でも土日ちょっと顔を出せなかったからね。今日は行かなきゃ。それじゃね」
弘子は手を振って友人と別れるとバス停へ向かう。

自動ドアが開き病院内に入って行く弘子。
いつものように受付を通り階段へ向かう。
今日は何となく静かな感じだ。
月曜日なのに外来が少ないのかもしれない。
階段を上がるといつもの廊下を山岸看護師が歩いてくる。
でも何となくぼうっとした感じで顔も少し赤い。
風邪でも引いたのだろうか・・・
「こんにちは」
「あら酒本さん、いらっしゃい。汀様がお待ちかねよ」
「えっ?」
弘子は聞き返した。
今なんて言ったの?
確か汀様?
「うふふ・・・さあ、早く行ってらっしゃい。ずっとお待ちなのよ」
そう言うと山岸さんはふらふらと廊下を歩いて行ってしまう。
弘子は何かとてもいやな予感がした・・・
そう・・・まだ終わってはいないのではないのだろうか・・・
だとしたら汀さんに早く良くなってもらわないといけない。
見舞いに来るぐらいしかできないものの、弘子は汀に早く良くなってもらうようにいつも果物は欠かさない。
今日は定番のバナナを持ってきている。
でも、喜んでくれるだろうか。
そんなことを思いながら弘子は病室の扉をノックした。

「こんにちは弘子。ちょうど食事を終えたところなのよ」
ベッドに上半身を起こしている汀。
弘子は少しホッとした。
今日は顔色もずいぶんよくなっている。
このままなら後数日で退院できるかもしれない。
「えっ? そうなんですか? でももうすぐ夕方ですしお昼遅くなったんですか?」
「うふふ・・・違うわ」
汀はそう言って妖しく微笑んだ。
「今日はバナナを持ってきたので食べてくださいね」
弘子が袋をベッドの脇に置く。
「そんなものはいらないわ」
「えっ?」
「うふふ・・・可愛いわ・・・弘子。私が欲しいのはあなた」
汀はゆっくりと人差し指に舌を這わせる。
その爪は黒く鋭く、舌もまた黒い色をしていた。
「あ・・・そ・・・そんな・・・」
弘子はぞっとした。
魔物は滅びたのではなかったのか?
「うふふ・・・もっともっと力をつけなきゃね・・・さあ、弘子、こちらへいらっしゃい」
「あ・・・ああ・・・」
汀に掛けられている布団が盛り上がり、しゅるしゅるという音がして触手が顔を出す。
それはあの体育倉庫で見たものと同じだった。
「い、いやぁぁぁぁぁっ!」
悲鳴を上げて扉を開ける弘子。
だがそこには山岸看護師が立っていた。
「あ、ああ・・・」
「だめですよ酒本さん。汀様から逃げたりしちゃ」
山岸看護師の白衣の下から触手がゆっくりと鎌首をもたげる。
「あ、あなたも・・・」
「うふふ・・・彼女はすでにわたしの可愛いしもべなの。今日もたっぷりと精気を啜ってきてくれたのよ」
背後で汀の艶めかしい声がする。
「ああん・・・当然ですわ。私は汀様の忠実なしもべですもの」
うっとりとした表情で汀に答える山岸聖歌。
弘子は目の前が真っ暗になったような気がした。
「心配はいらないわ、弘子。あなたは可愛い私の大事な人。念入りに妖魔に生まれ変わらせてあげる」
弘子の目の前で病室の扉はゆっくりと閉じていった。

「うふふふ・・・いかがですか汀様。この女をしもべにすればいろいろと便利だと思いますけど」
黒革のボンデージに身を包み、ハイヒールのブーツとロンググローブを身に着けて院長室の椅子に座っている汀に妖艶な笑みを浮かべた弘子が言う。
弘子も真っ赤なコルセットに同じような赤いブーツとグローブを嵌めている。
妖艶さを漂わせる汀と違い、少し幼さを残す弘子にはちょっとアンバランスだったが、それがかえって可愛く見せている。
弘子の前には裸で四つん這いにさせられた女が一人いた。
その股間とお尻には弘子から伸びた触手が差し込まれ、与えられる快楽にうっとりと涎をたらしている。
「うふふ・・・弘子に任せるわ。好きになさい」
妖艶で残虐な妖魔に変化した弘子を頼もしげに汀は見つめる。
「そうですか? じゃあ、私のしもべにしちゃいますね。市長の秘書ですから使えそうですし」
冷たい笑みを浮かべて触手を動かし、さらに口にまで突っ込んでいく。
「むぐぐぐ・・・」
「あはははは・・・気持ちいいでしょ? お前は生まれ変わるのよ。私に仕える妖魔になるの。嬉しいでしょ?」
弘子にもてあそばれながらその女はじょじょに身も心も変えられていくのだ。
「汀様、例の件はいかがなさいますか?」
汀のそばにいたもう一人の女性が声をかける。
白衣を着込んでいるものの、その下からはうねうねと触手が蠢いている。
汀によってこの病院の院長となった山岸聖歌である。
「ああ、派遣されてくる退魔師ね? ご丁寧に私に連絡してくるんだものね」
くすくすと手の甲を口元に当てて笑う汀。
「歓迎してあげましょう。この私がたっぷりとね。うふふふ・・・」
汀の笑いが部屋に響いた。


これにて終了です。
どこかで見たような最後になってしまいました。
パクリと思われても仕方ないかな。

とりあえずここまでお付き合いありがとうございました。
また別の作品をいずれ投下いたしますので、そのときはまたよろしくお願いいたしますね。

[最終回です]の続きを読む
  1. 2005/10/04(火) 19:12:04|
  2. 退魔師
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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