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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

ママと遊ぼう (3)

ブログ継続5000日達成記念SS「ママと遊ぼう」も今日が最終回です。
5000日という大きな節目にしては中編程度のSS一本しか用意できなかったことは、本当に申し訳ございません。
とはいえ、自分ではすごく楽しんで書けました作品ですので、皆様にも大いに楽しんでいただければと思っております。
今日で最終回ですが、どうぞ最後までお楽しみくださいませ。

それではどうぞ。


                   ******

「う・・・うーん・・・」
目覚まし時計が鳴っている。
もう朝なのぉ?
なんだかついさっき寝たばかりのような気がするわぁ。
ふわぁぁぁぁぁ
私は布団をはねのけて躰を起こす。
えっ?
えええええ?
なんでなんで?
どうして私はセンチューラの姿のまま寝ていたの?
どうしてぇ?

確か私は昨夜寝る前にシャワーを浴びて・・・
当然その時に一度裸になっているから、もしその前までずっとセンチューラの姿のままだったとしても、シャワーの後で着替えたはず・・・
それに夕食の支度は確か人間の姿でしたはずよ・・・
なのにこれって・・・
寝る前に再びセンチューラの姿に戻ったんだったかしら・・・

私はとりあえずセンチューラのスーツを脱いでいく。
なんだかとても残念で喪失感も感じるけど、擬態のためにはやむを得ない。
あんまりセンチューラの姿でうろついては怪しまれるというもの。
それに・・・
今日は外出しなくてはならないのだから・・・
外出?
外出って・・・どこへ?
あれ?
うーん・・・
まあ、いいか・・・

「おはよう」
「おはよう」
私が朝食の支度をしていると、あくびをしながら龍介が起きてくる。
よかった。
私みたいに龍介もドラゴンブルーのスーツ姿だったらどうしようかと。
あのスーツは借り物だからね。
私のと違っていずれ返却しなくちゃならないわ。
私のと違って?
そうだったっけ?
でも、センチューラのスーツを手放すなんてもう考えられないわ。

そういえば今日はもう金曜日。
明日は龍介もお休みか。
今週は“戦隊ヒーローになろう”にも行ってないし、明日あたりまた龍介と一緒に行ってみようかしら。
龍介を遊ばせておいて、私も・・・
うふふふふ・・・

「行ってきますー」
勢いよく玄関を出ていく龍介を見送り、私はやっと朝のバタバタした時間から解放される。
はあ・・・
一息ついたらセンチューラになって今日も・・・
うふふ・・・
って、いけないいけない。
その前に家事ぐらい済ませないと。
昨日も一昨日もまともに掃除も洗濯もしなかったような気がするし、まずはそっちから・・・

私はとりあえず各部屋に掃除機をかけていくことにする。
自室やリビング、それにドラゴンブルーと戦うあの部屋も掃除しなくちゃね。
まずは私の部屋から・・・と。
掃除機をもって部屋に入った私の目に、ジャドーマの紋章が目に入る。
あ・・・
そうよ・・・
行かなくちゃ・・・
行かなくちゃ・・・

なんだか頭がぼうっとする。
でも行かなくちゃ・・・
首領様が・・・
首領様が待っていらっしゃるわ・・・

私は上着を羽織って家を出る。
もちろん紙袋に入れたあれは忘れない。
でも、どこへ行けばいいんだったかしら?
どこへ?
ああ・・・
なんだか変だわ・・・
考えがまとまらない・・・
私・・・どうしてしまったのかしら・・・

気が付くと、私は“戦隊ヒーローになろう”の施設まで来てしまっていた。
だが、正面の入り口ではない。
私が立っていたのは裏口。
従業員通用口だ。
でも、ここって従業員専用では?

私の手はドアの脇にあるパネルに伸びる。
6・・・3・・・1・・・7・・・
なぜか頭の中に数字が浮かび、私の指がその数字のキーを押していく。
八桁ほど押したところでカチッと音がして鍵が開く。
どうして?
どうして私はここの暗証番号を知っているの?

ドアが開く。
中は薄暗い。
行かなきゃ・・・
私は中へ入って扉を閉める。
そしてそのまま薄暗がりの中を進んでいく。
次を右・・・
突き当りを左・・・
階段を下り・・・
奥の扉・・・
まるで誰かに遠隔操作されているみたい・・・
でも、不思議と心は落ち着いている。
恐怖心はない。
なぜなら・・・
ここが私の居場所・・・
そう感じるから・・・

重たい扉が開く。
中は真っ暗。
私はその中に入り込む。
静か。
何も見えず何も聞こえない。
私の呼吸音ぐらい。
でもわかる。
ここは玉座の前。
偉大なる首領様の前。

私は服を脱ぐ。
そして、持ってきたあれを着る。
ううん・・・
擬態を解いて本当の姿に戻るの。
私の本当の姿。
邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラの姿に・・・

しばらくして背後の扉が開く。
もう一匹が来たようだ。
扉が閉まり、小さな衣擦れの音がして、やがて私の隣に仲間の気配を感じるようになる。
うれしい・・・
彼女も来てくれたんだわ。

すうっと闇の中に浮かび上がってくる悪魔の顔。
邪悪結社ジャドーマの紋章だわ。
なんて素敵なのかしら・・・
「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
私は思わず両手を上に伸ばして腰をくねらせる。
偉大なるジャドーマの一員、女戦闘員センチューラとしては当然の行動だ。
隣ではもう一匹も同じように腰をくねらせている。
偉大なるジャドーマに栄光あれ。

『実験は成功した』
私の頭に声が響いてくる。
えっ?
実験?
実験とはいったい?

『お前たちは完全に身も心もセンチューラとなった』
はい。
私たちは身も心も邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラでございます。
『モニターによる意識操作、そしてその後のセンチューラの皮を着ることによる洗脳と肉体強化により、お前たちは生まれ変わったのだ』
はい。
私たちは生まれ変わりました。
『お前たちのおかげで、ごく普通の女性をセンチューラにする実験は成功した。礼を言う』
そんな・・・
なんてもったいないお言葉・・・
私たちこそこんなに素晴らしい躰にしていただいて感謝いたしておりますのに・・・

『お前たちにはさらなる実験の参加を命じる。よいな?』
もちろんです。
どうぞ何なりとご命令を。
「クネクーネー!」
「クネクーネー!」

ばさりと私たちの足元に何かが放り出されてくる。
これはいったい?
私の足元には茶色のゴムの塊のようなものが、もう一匹の足元には同じく白いゴムの塊のようなものが落ちている。
『お前たちはさらに生まれ変わるのだ。我がかわいいしもべたちよ。新たなる皮を身に着けてもっと強くなるがいい』
はい。
かしこまりました。
私たちは生まれ変わります。
もっと強くなり、首領様のしもべとして尽くします。
偉大なる首領様・・・

「あれ?」
ふと気が付くと、私は大きな手提げ付きの紙袋を手にして“戦隊ヒーローになろう”の受付ロビーのソファに座っていた。
いつものように大画面のモニターがいくつもデモ画面を流している。
いくつかはプレイ動画も流れているようで、向こうの席では若い母親と思しき女性がうっとりとその様子を眺めていた。

「う・・・うーん・・・」
あら?
私の隣には由紀奈さんが座っていたのね。
彼女もどうやら居眠りをしていたみたいだけど、どうして私たちここに来ていたのかしら?
確か家で掃除をしようと思っていたはずだったのに・・・
「あ・・・聖香さん?」
ぼんやりとした目で私を見る由紀奈さん。
「おはよう由紀奈さん」
「あ? えっ? どうして? どうして私ここに?」
頭がすっきりしたのか、由紀奈さんが慌てている。
「落ち着いて。私も目が覚めたらここにいたの。よくわからないけど、二人でここに来ていたみたいね」
どうしてここにいるのかは私もよくわからない。
もしかしたら、二人とも無意識のうちにここへ来ていたというのだろうか?

「まあ、なんだかよくわからないけど、とりあえず帰りましょうか? まだ何か用事があります?」
「あ、いえ」
時計を見るともうお昼近い時間。
午後になれば龍介も帰ってくるし・・・
そうだわ。
「由紀奈さん、もしよかったらこのままうちに来ない? どうせ午後になったら子供たちも帰ってくるわ。今日もみんなで遊びましょ」
ドクン・・・
心臓が跳ね上がる。
遊ぶ・・・
ああ・・・
そうよ・・・
遊ばなくては・・・
子供たちとたっぷり・・・
遊ぶのよ・・・

「ええ・・・そうね・・・遊ばなきゃ・・・」
由紀奈さんもなんだかうっとりとした表情を浮かべている。
「うふふふふ・・・」
「うふふふふ・・・」
私たちは笑い合う。
子供たちと遊び、虜にしなくてはね。
さあ、行きましょう。

「お客様」
由紀奈さんと一緒にここを出ようとした時、受付の女性が声をかけてくる。
「お忘れ物ですわ」
「えっ?」
私たちは顔を見合わせ合う。
忘れ物?
さっき首領様よりいただいたものはすでに手に持っているのに?

「こちらをどうぞ」
受付の女性がまたしても手提げ付きの紙袋を差し出してくる。
私は差し出された紙袋の中身を確認する。
ああ・・・
確かにこれは持っていかなくては・・・
うふふふふ・・・
「ありがとう」
私は受付の女性に礼を言い、二つ目の紙袋を受け取ってその場を後にした。

「ただいまー」
誰もいない我が家だけど、ついついただいまを言ってしまう私。
やっぱり家に帰ってきたら、ただいまを言わないというのも違和感よね。
「お邪魔します」
私の後に続いて由紀奈さんも入ってくる。
うふふふふ・・・
これから楽しい宴の始まり。
さっそく生まれ変わらなくちゃ。
生まれ変わらなくちゃ・・・

私たちは早速私の部屋に行く。
そして受付の女性にいただいた紙袋から、やや小ぶりではあるものの見ているだけで胸が熱くなるレリーフを取り出す。
邪悪結社ジャドーマの紋章のレリーフだ。
これこそ私の部屋にはふさわしい。
私はレリーフを由紀奈さんに渡して持っていてもらい、自分で用意した額縁入りの紋章を外していく。
これはあくまで仮の物。
こうして本当の紋章を頂いたからには、本物を飾るのは当然のこと。
私は由紀奈さんが持っているレリーフを受け取り、額縁を外したところに掲げる。
ああ・・・
なんて嬉しい。
私の部屋にジャドーマの紋章を頂くことができるなんて。

私たちはすぐに服を脱いでいく。
新たな自分になるのだ。
擬態を捨てて新たなる躰に。
これまでの私からさらなる強い躰に・・・

ばさり。
私はいただいた皮を広げていく。
赤茶色のややぶよぶよした皮。
私の新たなる躰の皮。
なんだか見ているだけでドキドキする。

私の隣では同じようにやや白みを帯びたぐにゅぐにゅした皮を前にしてうっとりしている女がいる。
うふふふふ・・・
彼女も新たな躰になるのね。
私たちは生まれ変わるんだわ。

私は赤茶色の皮を持ち上げて背中の切れ込みに足を通す。
ややひんやりとした感触があり、すぐに足から脚へと密着していくのがわかる。
センチューラの時もそうだったけれど、こうして新たな皮に覆われるのはとてもいい気持。
私は皮を腰まで持ち上げ、さらに胸を収めるようにして首のあたりまでたくし上げていく。
まるでいくつもの環を重ね合わせたような蛇腹状の皮に包まれていく私の躰。
その環状の節には短く硬い剛毛が生えていて、躰をくねらせるだけで地面を這っていくことができるのだ。
なんて素敵なのだろう。

私は両手を皮に差し入れて腕を通していく。
肩まで引き上げると、両腕も環状の節でおおわれ、うねうねと自由に動くようになる。
骨などという動きの邪魔をするものは無くなり、自由自在に動かせるのだ。
素晴らしいわ。

最後は首から頭の部分をかぶっていく。
すぐに皮は私の頭に密着し、口元以外が赤茶色に覆われる。
もちろん目も鼻も耳も皮に覆われ消えていく。
でも心配はない。
私の体表すべてがセンサーなのだ。
光も匂いも味さえも躰で感じることができるのだ。
むしろ今まで目や鼻や耳などに頼っていた自分が愚かしくさえ感じるわ。

全身が皮に覆われた私は、少し躰をくねらせて皮を躰になじませる。
皮がぴったりと密着し、新たな私の皮膚となる。
うふふふふ・・・
これが生まれ変わったアタシ。
アタシの新しい躰なのね。

アタシは姿見に全身を映し出す。
赤茶色のややぬめりを帯びたような躰。
胸のところの節だけが、やや色が淡くて太くなっている。
頭からつま先までいわば細いリングを積み重ねたような環状の節に覆われた私の躰。
目も鼻も耳もなく、ただ口元だけがピンクの唇に笑みを浮かべていた。
「ニュルーン! ニュルニュルーン!」
アタシは躰をくねらせる。
うねうねとうごめくアタシの躰。
自在に動いてどんなところにも潜り込むことができそうだわ。
それに、なんて気持ちがいいのかしら。
最高だわ。

「ヌーメー! ヌメヌーメー!」
アタシの隣に全身が白くぬめったような躰を持つ女がやってくる。
全体的なフォルムはアタシと同じように人間の女のラインを持っているけど、頭頂部から二本の触覚のようなものを揺らしており、口元には私と同じようにピンクの唇が笑みを浮かべている。
彼女もアタシと同じように躰をくねらせて気持ちよさそうだ。

アタシたちはどちらからともなくお互いの躰を抱き寄せ合う。
そして躰をくねくねと絡ませながら、お互いの唇をむさぼりあう。
ああん・・・
気持ちいいわぁ・・・
「ニュルーン! ニュルニュルーン!」
「ヌーメー! ヌメヌーメー!」
アタシたちはお互いに歓喜の鳴き声を上げていく。
これこそが新しいアタシたちなのね。
素晴らしいわぁ。

しばらく抱き合った後、アタシたちはちょっと残念そうに躰を離す。
そして床に置いてあったジャドーマの紋章の付いたベルトを拾うと、お互いの腰に締め合った。
うふふふふ・・・
これでアタシたちは完成ね。

「ニュルーン! ニュルニュルーン! 偉大なる首領様。アタシは邪悪結社ジャドーマの女怪人、ミミズ女ミミズーラです。ニュルニュルーン!」
私は壁に掛けられたジャドーマのレリーフに躰をくねらせながら自己紹介をする。
そう・・・
アタシはミミズーラ。
もうセンチューラなんかとは違うのよ。

「ヌーメー! ヌメヌーメー! ワタシは邪悪結社ジャドーマの女怪人、ナメクジ女ナメクーラですわ。ヌメヌーメー!」
私の隣ではもう一匹の女怪人が私と同じように躰をくねらせる。
うふふふふ・・・
アナタはナメクーラなのね。
女怪人同士、仲良くしましょうね。
ともにジャドーマのために。
「ニュルニュルーン!」
「ヌメヌーメー!」

くちゅっ、くちゅっと湿った音がする。
あん・・・
ダメぇ・・・
快感が強すぎるぅ・・・
「うふふふ・・・ミミズーラのここ、べちゃべちゃになっているわよ。ヌメヌーメー!」
「ああん・・・だ、だってぇ・・・」
ナメクーラの触手と化した指先がうねうねと奥まで刺激してくるんですものぉ・・・
アタシは躰をくねらせて快感をむさぼっていく。
もう・・・
アタシだって・・・
「ひゃん!」
ナメクーラの躰がびくっと震える。
アタシの右腕がくねくねと伸びてナメクーラの秘部に入り込んだのだ。
「ひゃあっ! ダメぇ!」
「うふふふふ・・・ナメクーラだってもう大洪水じゃない。ニュルニュルーン!」
「ああん・・・もう・・・気持ちよすぎるぅ。ヌメヌーメー! ヌメヌーメー!」
アタシたちは躰をくねらせ合ってお互いの躰を楽しみ合う。
以前は不可能だった動きも、今のアタシたちには造作もない。
背中合わせから脚を絡ませたりキスをし合ったりだってできるのだ。
素晴らしい躰だわぁ。

「うふふふふ・・・ニュルーン! ニュルニュルーン!」
「うふふふふ・・・ヌーメー! ヌメヌーメー!」
ひとしきり快楽を味わった後でアタシたちはベッドに横たわっていた。
アタシたちはジャドーマの女怪人同士。
これからもともにジャドーマのために働くの。
仲間がいるってうれしいわ。

「ただいまー」
「お邪魔しまーす」
どうやら獲物たちが帰ってきたみたいね。
さあ・・・
遊びを始めましょうか。
アタシたちはベッドから躰を起こし、お互いに笑みを浮かべあった。

アタシたちは廊下に出ると、そのまま壁を這い上って天井を這って行く。
うふふふふ・・・
今のアタシたちにはこんなことは朝飯前。
人間どもは頭上には意外と気が付かないもの。
驚かしてあげるわよぉ。
うふふふふ・・・

「あれ? ママいないのかな?」
いつもならすぐにアタシが出迎えるのに、今日は姿を見せないので戸惑っているみたいね。
うふふふふ・・・
もうすでにあなたたちの頭の上にいるわよぉ。

「ママー? わあっ!」
にゅるっと地面に降り立つナメクーラの姿に一人の子供が悲鳴を上げる。
うふふふ・・・
突然目の前に女怪人が姿を見せたら驚くわよねぇ。
あの子は確か・・・リュウスケとかいう名前だったかしら・・・
どうでもいいけど・・・

「ヌーメー! ヌメヌーメー! さあ、遊んであげるわよぉ、かわいい獲物たち」
ナメクーラが唇をぺろりと舐める。
獲物を前にして舌なめずりをしているんだわ。
「わあっ! な、なんだ!」
「ママ? もしかしてママなの?」
もう一人の子供、確かコウタとか言ったかしら・・・そのコウタがナメクーラのことをママだなんて言っているわ。
バカねぇ・・・
そんなわけないじゃない。

「ヌーメー! ママァ? ワタシはあんたのママなんかじゃないわよぉ。私は邪悪結社ジャドーマの女怪人、ナメクジ女ナメクーラよぉ。ヌメヌーメー!」
腰に手を当てて躰をくねらせているナメクーラ。
ああん・・・
きれいよぉ、ナメクーラ・・・
また抱きしめたくなっちゃうわぁ・・・

「ジャ、ジャドーマの怪人だって?」
思わず後ずさっているリュウスケくん。
うふふふ・・・ダメよぉ・・・逃がさないわぁ・・・
アタシは玄関側の入り口に前に躰を下ろして立ち上がる。
「わぁっ! こっちにも!」
「ニュルーン! ニュルニュルーン! どこへ行くつもりなのぉ? アタシたちと遊びましょう? たっぷりとかわいがってあげるわよぉ」
「そ、その声はママ? いったいどうしたの?」
「ああん、違うわぁ。アタシは秘密結社ジャドーマの女怪人、ミミズ女ミミズーラよぉ。ニュルニュルーン!」
アタシもナメクーラと同じように躰をくねらせる。
なんだか前もこんなふうに躰をくねらせていたかしら・・・

「あっ、そうか! ボクたちがセンチューラじゃ物足りないって言ったから?」
「そういえば怪人と戦いたいって言ったよね、ボクたち」
子供たちが顔を見合わせてうなずく。
「もしかして、怪人のスーツ借りてきてくれたの?」
「ちょっと気持ち悪いけど強そう」
ええ?
気持ち悪いですって?
こんなにきれいな躰じゃない。
これだから人間は・・・

「よし、耕太君、変身だ!」
「うん。ジャドーマの怪人を倒すんだ!」
二人の子供たちが部屋を出ていこうとしたので、アタシはナメクーラに通してやるようにジェスチャーを送る。
うふふふふ・・・
正義とやらがどこまで通用するか教えてあげるわ。

正義のスーツを着てアタシたちの前でポーズをとる獲物たち。
ああん・・・
たまらないわぁ・・・
この子たちが今からアタシたちの手でどうなるのか・・・
楽しみだわぁ・・・
「ニュルーン! ニュルニュルーン!」
「ヌーメー! ヌメヌーメー!」
アタシとナメクーラは思わず声を上げて舌なめずりをしていた。

「クッ、くそぉ! 放せぇ!」
あっという間にアタシに取り押さえられ、アタシの躰の下でもがいているドラゴンブルー。
あらあら・・・あの威勢はどこへ行ったのかしらねぇ・・・
うふふふふ・・・
アタシの躰に捕らえられたからには、そう簡単には逃がさないわよぉ。

「つ、強い! ちくしょう!」
隣ではナメクーラがバードレッドを抑え込んでいる。
彼女の躰だってアタシと同様に逃れられないわ。
お前たちはもうアタシたちの獲物なのよ。

「ニュルーン! ニュルニュルーン!」
アタシはドラゴンブルーのヘルメットを外してしまう。
「や、やめて! やめてよママ!」
「違うって言っているでしょぉ。アタシはミミズーラ。ママなんかじゃないのよぉ」
躰の下でもがく獲物にアタシは口付けをする。
うふふふふ・・・
もしかしてファーストキスだったかしら?
どうでもいいけどね。
「や、やめて・・・」
うふふふふ・・・
かわいい。
食べちゃいたくなるわ。
いただきまーす。

アタシは胸の乳房から液をドラゴンブルーのスーツに吹きかける。
「わあっ!」
シュウーッと音がして、戦隊スーツが溶けていく。
大丈夫よ。
スーツだけを溶かすように加減したわ。
少々熱さを感じるかもしれないけど、お前の躰には傷はつけないから安心しなさい。

溶けて前が開けたスーツをさらに広げるようにアタシは腕をくねらせる。
獲物の躰を抑えつけたままでこんなことができるなんてとっても便利。
これもアタシがミミズ女だからよね。
うふふふふ・・・

「や、やめて・・・やめてよぉ」
身動きができないように押さえつけられているせいか、半べそをかき始めるリュウスケくん。
あらあら・・・
意気地なしねぇ・・・
そんなんじゃこの先困るわよ。
大丈夫。
とっても気持ちいいことしてあげるんだから。

アタシは彼のスーツを股間まで広げて小さく縮こまったおちんちんをむき出しにする。
うふふふ・・・
まだまだ小さいわね。
でも心配いらないわ。
すぐに大きくしてあげる。
「ファボッ」
アタシは首を伸ばすようにして躰をくねらせ、獲物のおちんちんを口にほおばる。
そしてそのまま舌でもてあそぶように転がしていく。
「ああっ・・・あああっ」
うふふふ・・・
どうかしら?
アタシの口の中は気持ちいい?
未知の感触に今頃襲われているんでしょうね。
いいのよ。
出しちゃいなさい。
アナタの欲望の液体を。

「ああああー」
やがて口の中に吐き出される白濁液。
一番搾りを頂きね。
美味しいわぁ。
うふふふふ・・・
「ふああああ・・・」
向こうでもナメクーラがバードレッドの精液を搾り取ったところみたい。
ピンク色の舌が唇を舐めているわ。
今度はこっちにももらわなくちゃね。
うふふふふ・・・

アタシはしぼんでしまったおちんちんを再び口に含む。
「ああ・・・ダメ・・・ダメだよぉ」
「あらぁ? 何がダメなのかしらぁ? 大丈夫よぉ。アタシが舐め舐めすれば、すぐにまた元気になるわぁ。ニュルニュルーン!」
アタシは獲物に見せつけるように舌をチロチロと出し入れしながらおちんちんを舐めていく。
元気な子供の肉体が反応し、また大きくなってくるおちんちん。
そうよぉ。
それでいいの。
さあ・・・今度はこっちに出しなさい。
アタシは躰の体勢を直すと、今度は下の口でおちんちんをくわえ込む。
ああん・・・
いいわぁ・・・
まだ未熟だけど、なかなか楽しませてくれるじゃない。
これも正義の戦隊スーツをずっと着ていたおかげね。
あのスーツは肉体を強化する機能があるんですってよ。
お前の躰も下の方はかなり強化されたみたいね。
くふふふふ・・・

アタシとナメクーラはそれぞれ相手を取り換えながらたっぷりと楽しんでいく。
獲物の二人はもう抵抗する気もなくなり、アタシたちの思うまま。
快楽に支配されてただひたすらに精を出すだけになっている。
それもそのはず。
あの戦隊スーツには着ていた者の思考を改変する力があったらしい。
勝っているときには問題ないが、一度負けたりすると、もう反抗する気力がなくなるのだ。
首領様がずっとこいつらを勝たせていた理由がわかったわね。
最後にアタシたちに組み伏せられ、気力をくじくためだったんだわ。
くふふふふ・・・
それでいいのよ。
お前たちはもうアタシたちの虜なの。
アタシたちの言いなりなのよ。

                   ******

「はああ・・・あああ・・・」
下半身を露出し、大人並みに大きくなったおちんちんを勃起させている二人の少年たち。
土曜日の朝から元気なこと。
今にもはち切れそうなぐらいねぇ。
出したくてたまらないんじゃないかしら。
くふふふふ・・・

「ヌーメー! ヌメヌーメー! くふふふふ・・・」
口元に笑みを浮かべながら、少年の一人のおちんちんの先端をハイヒールのように変化した足でそっとこすっているナメクーラ。
あーあ・・・
あれじゃ生殺しねぇ。
かわいそうに。
くふふふふ・・・
そう思うアタシももう一人の少年のおちんちんに、ただ吐息を吹きかけるだけにして焦らしている。
出したいでしょ?
でもまだダーメ。
出させてあげないわ。
くふふふふ・・・

「ああ・・・お、お願い・・・お願いです・・・出させて・・・」
切なさそうに私を見上げるリュウスケくん。
すっかり快楽に飲み込まれちゃったわねぇ。
もうザーメンを出さずにはいられないんでしょ?
「ニュルーン! ニュルニュルーン! どうしても出したいのかしら?」
アタシは意地悪く言ってやる。
出したいに決まっているのだ。
もう彼らの躰は出さずにはいられないのだから。
あの正義スーツに強化されたおちんちんは精液タンクみたいなものよねぇ。
くふふふふ・・・

「出したい・・・出したいですぅ・・・」
その声はもう懇願でしかない。
「ニュルニュルーン! だったらアタシのいうことを聞く?」
「聞く! 聞きます!」
くふふふふ・・・いい子ね。
スーツによる影響もあり、もうアタシの言うことには逆らえないのよね。
アタシは少年の足元にばさりとスーツを置く。
それは真っ黒の全身タイツ。
偉大なる邪悪結社ジャドーマの用意した特製のスーツだ。
「ニュルニュルーン! それじゃそれを着なさい。すべてを脱いでそれを着るのよ。早くしなさい」
「あ・・・は、はい」
もう出すためなら何でもしそうな勢いで少年が立ち上がり、置かれたスーツを着込んでいく。
アタシはナメクーラがもてあそんでいるもう一人にもそのスーツを持っていき、着るように命令した。
「ヌメヌーメー! よかったわねぇ。それを着れば出させてもらえるってよ。くふふふふ・・・」
慌ててそれを着こんでいく少年を見て笑っているナメクーラ。
彼女も存分に楽しんでいるみたいね。

やがて黒い全身タイツを着込んだ二人の少年がアタシたちの前に立つ。
頭頂部がやや水滴のようにとがった形をしており、両手を上に伸ばせば一匹の黒い線虫の姿となる。
そう・・・
彼らの姿は邪悪結社ジャドーマの男性型戦闘員センチューの姿なのだ。
センチューラと違うところは躰のラインを除けば一か所だけ。
センチューラが口元が露わになっているのに対し、センチューはそれがなくのっぺりとした顔となっているところだ。
二人はスーツの着心地を確かめるかのようにその手で顔を撫でまわしている。
なんだかうっとりとしているようだ。
それでいいのよ。
すぐにお前たちの意識はスーツの相乗効果でセンチューへと変わっていくわ。
お前たちは新たなセンチュー、子供型センチューのラーヴァセンチューになるのよ。
くふふふふ・・・

「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
やがて二人は両手を上に伸ばして腰をくねらせる。
センチューやセンチューラのいつもの行為だ。
どうやら二人ともラーヴァセンチューとして完成したようね。

「ヌメヌーメー! さあ、お前たちが何者か言ってごらんなさい」
「クネクーネー! ボクたちは邪悪結社ジャドーマの少年戦闘員ラーヴァセンチューです」
「クネクーネー! 偉大なるジャドーマに忠誠を誓います」
ナメクーラに言われ、腰をくねらせながらアタシたちに自己紹介するラーヴァセンチューたち。
口がないのにちゃんと声を出すことができるのは不思議よね。
くふふふふ・・・
かわいい子たちだこと。

「クネクーネー! クネクーネー!」
アタシの上で腰を振る一匹のラーヴァセンチュー。
そのスーツに覆われてのっぺりとした股間から、むくむくと勃起した肉棒が姿を現し、アタシの中をかき混ぜていく。
ああん・・・いいわぁ・・・
ラーヴァセンチューに犯されるのも悪くないわねぇ。
ああーん・・・来てぇ・・・
もっと奥まで来てぇ・・・
ニュルニュルーン!

ニュプニュプと音を立てるアタシの股間。
「クネクーネー! クネクーネー!」
気持ちよさそうに声を上げながら腰を振るラーヴァセンチュー。
この子はどっちだったかしら・・・
リュウスケくん?
それともコウタくんだったかしら?
どっちでもいいわね、そんなもの。
しょせんは一匹のラーヴァセンチューに過ぎないわ。
くふふふふ・・・
気持ちいいでしょう?
アタシの中はミミズ千匹なのよ。
たっぷり搾り取ってあげるわね。
くふふふふ・・・
これからもずっと・・・

                   ******

「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
「わあっ! なんだお前たちは?」
「きゃあーっ!」
二人で散策を楽しんでいた男女の悲鳴が上がる。
くふふふふ・・・
さあ、ラーヴァセンチューたち、そいつらを始末するのよ。
お前たちの力を見せてやりなさい。
「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
男女に飛びかかっていくラーヴァセンチューたち。
くふふふふ・・・
見かけは小さくても、センチューである以上人間どもの比ではない。
強化された肉体は普通の人間たちを殺すのなどは簡単なこと。
二人はあっという間に男女の息の根を止めてしまう。
さて、あとはアタシたちの仕事ね。

「ニュルーン!」
「ヌーメー!」
アタシとナメクーラは死体のそばに行くと、お互いの胸を揉みしだく。
ああん・・・いい気持ちぃ・・・
ナメクーラの手は最高だわぁ・・・
あん・・・出ちゃうぅぅ・・・
アタシとナメクーラの胸から同時に液がほとばしり、男女それぞれの死体に降りかかる。
たちまちそれらはジュウジュウと音を立てて溶けていく。
くふふふふ・・・
死体がなければ人間どもに気づかれる可能性は大幅に減る。
おそらく何があったか気づくものなどいないはず。
愚かな人間どもの知らないうちに、世界は邪悪結社ジャドーマのものになるのよ。
くふふふふ・・・

「さあ、早く引き揚げましょう。誰かに見られたら厄介だわ。ニュルニュルーン!」
「ええ、そうね。まあ、見られたら始末するだけだけど。ヌメヌーメー!」
口元に笑みを浮かべているナメクーラ。
まあ、彼女の言う通りなんだけれど、今はまだ目立つなという首領様のご命令なのよ。
今はまだ戦力を増やすとき。
アタシたちもなるべく目立たないようにしなくちゃね。

それにしても、あの正義の戦隊スーツを着て子供たちを遊ばせるのが、ラーヴァセンチューを生み出すためだったとは思わなかったわ。
センチューラだったアタシたちが戦って負けてあげていたのも、気力をくじくためであると同時にラーヴァセンチューとなった後の戦い方を覚えさせるためだったのね。
そしてこれからはもっと・・・
くふふふふ・・・

「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
部屋に戻ってきたアタシたちは、二人のラーヴァセンチューたちにご褒美をあげる。
股間におちんちんを生えさせて、ザーメンを出させてあげるのだ。
今日はお口でしてあげようかしら。
濃いザーメンをたっぷりと味わわせてちょうだい。
こうして快楽で彼らにご褒美をあげ、身も心もラーヴァセンチューに仕立て上げる。
もはや彼らはアタシたちの意のまま。
命令すればどんなことでもするしもべたちなのだ。
首領様はさらに戦闘員たちを増やす計画らしい。
この子たちにも働いてもらわなければね・・・
ニュルーン!

                   ******

深夜、アタシは一匹のラーヴァセンチューを連れて家を出る。
人間どもに見つからないように、土に穴を掘り、そこから土の中を進んでいく。
ミミズ女であるアタシには土の中はお手の物。
やがてアタシたちは地上に出る。
そこはあの“戦隊ヒーローになろう”の従業員通用口。
周囲を確認してアタシは中に入り込む。
もちろんラーヴァセンチューも一緒に。
そして暗い通路を歩き、あの部屋へとたどり着く。
そこには偉大なる邪悪結社ジャドーマの紋章が輝き、首領様の存在を感じることができた。

「ニュルーン! ニュルニュルーン!」
アタシは思わず躰をくねらせる。
ああ・・・偉大なる首領様・・・
御身の前にいられる幸せを感じますわぁ・・・
「クネクーネー! クネクーネー!」
アタシの背後ではラーヴァセンチューが躰をくねらせている。
彼も首領様の前にいるという幸せに躰が動いてしまうのだろう。
そうよ・・・
アタシたちはジャドーマの一員。
首領様のおそばにいられるのはとても幸せなことなのよぉ・・・

やがてアタシたちの他にも気配が増える。
「ヌーメー! ヌメヌーメー!」
「クネクーネー!」
「クネクーネクネクーネー!」
「クネクーネー!」
様々な声が室内に満ちていく。
くふふふふ・・・
少しずつ仲間が増えてきたわね。
いいことだわぁ・・・

アタシの隣にやってくる一匹のナメクジ女。
アタシの大事な仲間のナメクーラ。
アタシにとっては一番のパートナーと言っていいわ。
ナメクーラもそう感じてくれているといいな。
なんたってアタシたちはもう毎日一緒に過ごしている。
二人でお互いの腕を触手のように変化させて絡ませ合い、そのまま互いの秘部を愛撫するのはたまらない快感。
まあ、でも、彼女は彼女で違う楽しみも楽しんでいるようだけどね。
くふふふふ・・・

アタシたちの背後には新たなセンチューラが二匹とラーヴァセンチューが四匹、ラーヴァセンチューラが二匹、そしてセンチューが一匹いる。
ラーヴァセンチューのうちの二匹はアタシたちが最初に作り出した子供たち。
その二匹を使い、クラスメートの女の子たちをさらわせて、二匹のラーヴァセンチューラへと作り替えた。
アタシとナメクーラが無理やり押さえつけてスーツを着せてやったけど、やがてスーツが馴染むにつれて身も心もラーヴァセンチューラへと生まれ変わった。
アタシたちのデータから、より効率よく洗脳ができるようにスーツも改良されているとのこと。
今では肉体も強化され、自分たちをさらってきたラーヴァセンチュー二匹と仲良くやっているようだ。
そのうちさらに仲間を増やしてあげなくちゃね。

もう二匹のラーヴァセンチューとセンチューラたちは、新たにこの“戦隊ヒーローになろう”によって作り出された者たち。
アタシたちと同じくスーツを渡され、身も心も染まっていった親子。
最初に母親たちをスーツによってセンチューラにし、彼女たちを使ってその子供たちをラーヴァセンチューへと作り替えた。
アタシたちの結果によって新たに調整された戦隊スーツを着て楽しんでいた子供たちは、抵抗することもなくスーツを着込んでラーヴァセンチューへと変わっていったそう。
すでに戦隊スーツによって半分以上洗脳されていたからだ。
二匹のセンチューラの方は適性があれば、アタシたちのように女怪人になれるかもしれない。
あくまで適性があればだけどね。

そして最後の一匹のセンチューはナメクーラが作り出したもの。
センチューラとは違う口のないのっぺりとした顔をしながら、クネクーネーと声を出して腰をくねらせている。
彼女の夫だったとかいう男をラーヴァセンチューと一緒にこれも無理やり押さえつけ、センチューのスーツを着せてやったという。
身も心もセンチューになった今ではナメクーラの求めに応じて股間からペニスを生やし、彼女に快楽を与えるザーメン出し専用のセンチューになっているみたい。
センチューとラーヴァセンチューに交互に犯してもらって楽しんでいるとか。
くふふふふ・・・
アタシもあの男が戻ってきたらザーメン出しセンチューにしちゃおうかしら。
それも楽しそうね。

『しもべたちよ』
偉大なる首領様のお声が脳裏に響いてくる。
「ニュルーン!」
「ヌーメー!」
「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
アタシたちはそれぞれが声を上げ、偉大なる首領様に返事をする。
ああ・・・
首領様・・・
どうぞこのミミズ女ミミズーラに何なりとご命令を・・・
「ニュルーン! ニュルニュルーン!」
アタシは首領様の次のお言葉を待ち焦がれ、躰を思い切りくねらせるのだった。

エンド

いかがでしたでしょうか?
よろしければ感想コメントなどを頂けますと、とても励みになりますです。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
また次回作をお楽しみにー。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2019/03/27(水) 21:00:00|
  2. ママと遊ぼう
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ママと遊ぼう (2)

ブログ5000日達成記念SS、「ママと遊ぼう」の二回目です。

受付のお姉さんから、なかば押し付けられるようにレンタルのセンチューラスーツを渡されてしまった聖香ママ。
彼女はいったいどうなってしまうのだろうか? (笑)

それではどうぞ。


                   ******

「それじゃ行ってきまーす。帰ってきたらお願いだからね」
「もう・・・さっさと行きなさい!」
私は龍介を追い立てるように学校に送り出す。
はあ・・・やれやれ・・・
あの子ったらもう完全に私が遊びに付き合ってくれるものと思っているんだから・・・
とはいえ、今日こそは“戦隊ヒーローになろう”に行かなくても済みそうではあるわね。
六百円使わなくて済むわぁ。

昨夜はもう龍介は大はしゃぎだった。
家に帰ってきたらさっそくあのドラゴンブルーのスーツに着替え、ずっと着たまま過ごしていたのだ。
食事の時もヘルメットのまま食べようとして私に怒られる始末。
寝るときもそのまま寝ようとしたものだから、それは借りものなんだからと言ってパジャマに着替えさせるのに苦労したわぁ。
きっと今日も学校から帰ってきたらすぐにドラゴンブルーのスーツに着替えるんでしょう。
そして私にもあの黒いセンチューラとやらのスーツを着て戦ってほしいというに決まっているわ。
はあ・・・
困ったものねぇ・・・
こっちは子供じゃないんだから、あんなスーツを着てヒーローごっこって言われてもねぇ・・・

とりあえず私は、龍介がいない間に掃除や洗濯を済ませようかと立ち上がる。
それらが一通り終わると、だいたいお昼近くになるのよね。
そしてお昼を済ませて一息ついたら、もう龍介が帰ってくる時間というわけ。
主婦もこれでなかなか忙しいのよね。

そういえば、このスーツって洗濯とかしなくてもいいのかしら?
私は龍介の部屋で洗濯物の出し忘れがないかどうか確認しながら、ベッドの脇の紙袋に目を止める。
二つの紙袋の片方にはドラゴンブルーの青いスーツが、もう片方には悪の組織ジャドーマの女戦闘員センチューラのスーツが入っている。
昨日も一旦は広げてみたけど、頭からつま先までをピッタリ覆うような全身タイツみたいになっていて、その上からベルトやブーツなどを組み合わせるようになっているようだ。
モニターの中に映し出されていたセンチューやセンチューラたちは、それこそ躰のラインが露わになるような姿だったから、着たらきっと私もそんな感じになるのだろう。
うう・・・そんなの無理に決まってる。
絶対に着るなんて無理よ・・・

とりあえず龍介には自分だけで我慢してもらわなくちゃ。
このスーツを着るぐらいなら、たとえ六百円払ってもあそこに連れて行く方がマシよね。
そしてこのスーツも返却して・・・
返却して・・・
返却・・・かあ・・・
でも、まあ、返却する前に一度くらいは・・・
私は紙袋から黒いセンチューラのスーツを取り出してみる。
このスーツの手触りはとてもいい。
たぶんラバーではなくナイロンだと思うけど、すごくすべすべで感触がいいのよね。
どうしよう・・・
なんだか着てみたくなっちゃった・・・
着てみようか・・・
一度も着てみもせずに返却するのもなんだかよね・・・
今なら誰もいないんだし・・・
一度だけ・・・

私はなんだかドキドキしながらスーツと残りのベルトなどが入った紙袋を持って部屋に戻る。
そしてベッドの上にスーツを広げていく。
白いシーツの上の真っ黒なスーツがとても目を惹きつける。
なんだかますます着てみたくなっちゃうわ。

私は紙袋に一緒に入っていた使用上の注意書きに目を通す。
ええと、この度は当アミューズメント施設“戦隊ヒーローになろう”のスーツレンタルをご利用いただきましてありがとうございます、着用の前にこの注意書きをお読みいただきますようお願いいたします・・・と。
このスーツは、邪悪結社ジャドーマの女性型戦闘員センチューラを模したスーツとなっております、このスーツを着用していただきますことで、戦隊ヒーロー側のスーツのゴーグルにも映像が映し出されるようになっております、か・・・
やっぱりこのスーツを着ることで、ドラゴンブルーのゴーグルに私の映像が出てくるってわけなのね。
スーツの能力を充分に生かすため、着用時には何も身に着けない状態での着用をお願いしますって、裸で着ろってことなの?
下着とか着ていたら下着の線とかが出てしまうってことなのかしら・・・

私は窓にカーテンを広げ、外から見えないようにしたところで着ているものを脱いでいく。
なんだか変な気分だわ。
何やってんのかしらね、私。
そう思いながらも、私は服をすべて脱ぎ捨て、下着も脱いで裸になる。
そしてドキドキしながらスーツを手に取り、背中の開口部を確認すると、そこから足を入れていく。
「ヒャッ!」
思わず声が出てしまう。
なんて気持ちいいの?
足がするっと滑るような感じでスーツの中に入っていく。
そしてすぐにキュッと締まるような感じで密着してくるのだ。
パンストやタイツなんかとは全然違う密着感。
まるで肌と一体化するみたい・・・
それがなんとも気持ちがいい。

私はもう片方の足もスーツに通すと、そのままたくし上げるようにして腰まで上げる。
次にスーツを胸のあたりまで持ち上げるようにして、右手をスーツの袖へと通していく。
袖の先端は手袋状になっていて、私はそこに指先を入れていく。
指先まですべて入ったところでスーツが右腕に密着しピッタリと一体化するので、同じように左手もスーツの中へと入れていく。
両手を通したら今度は頭。
スーツの上半身全体を頭からかぶるような感じで頭を入れる。
センチューラには目を出す覗き穴がないから、目を開けても真っ黒なスーツの裏地が見えるだけ。
でも、口元は開いているのよね。
だから、全身が真っ黒なのに、口元だけが肌色と赤い唇が見えるのが、とても異質な生き物を思わせていたんだっけ。
頭がスーツに収まると、背中の開口部が閉じてスーツが全身に密着する。
首も腰回りも胸の形もすべてがぴったりとスーツに包まれるのだ。
そしてだんだんと目も見えてくる。
目の部分はスーツで覆われているはずなのに、周囲の光景が見えるのだ。
へー。
最近の技術ってすごいのねぇ。
こんなすごいスーツを貸し出しちゃってもいいのかしら?

スーツを着終わった私は、ブーツを履いて手袋を嵌めていく。
このブーツも手袋も黒一色で、私は口元以外すべて黒に包まれる。
最後にジャドーマの悪魔の顔のような紋章の付いたベルトを腰に巻いて出来上がり。
うん。
これで私も邪悪結社ジャドーマの女性型戦闘員センチューラの一員ね。

私はそのまま姿見の前に立つ。
鏡の中には、全身が真っ黒のピッタリした衣装に覆われた女が一人映っている。
頭部は水滴のようにやや頂部がとがった形をしており、目も鼻も耳も覆われているけど、口元だけが露出して、私のピンク色の唇が笑みを浮かべていた。
不思議なことに目が完全にスーツの布地に覆われているのに、全くそれを感じない。
こうやって鏡に映った自分の姿を見ることができるのだ。
お尻も胸もピッタリとスーツに覆われているのに、それがかえって裸であるかのように躰の線をあらわにしている。
とても恥ずかしいはずなのに、ちっとも恥ずかしさを感じない。
それどころか、むしろ見せつけたくなるぐらい誇らしさを感じてくる。
腰にはジャドーマの紋章が付いたベルトがアクセントとして全体を引き締めている。
この紋章を見ているだけで、ジャドーマに従いたくなってくる感じ。
そう・・・
私は邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラ。
偉大なる首領様の忠実なるしもべ。
なーんちゃって。
ドラゴンブルー龍介と戦隊ごっこをするんだから、ちゃんと役になりきらなくちゃね。

私は姿見の前で両手を頭の上に伸ばし、手のひらを合わせて腕を頭の脇にピッタリと付ける。
こうすることで頭と腕が一体化したようになり、一匹の線虫に見えるというわけ。
なんといっても私たちセンチューラは線虫の戦闘員なのだから。
これこそが私たちにふさわしいポーズなのよ。
そしてそのまま私は腰をくねらせる。
うねうねと動く線虫だ。
なんだか気持ちいい。
もっともっとうねらなくちゃ。
「クネクーネー!」
私は思わず声を出す。
途端に全身にゾクゾクするような快感が走る。
モニターに映し出されていたセンチューやセンチューラたちもこうして声を発していたわ。
なんて気持ちがいいの・・・
最高だわ。
「クネクーネー! クネクーネクネクーネー!」
私は我を忘れて躰をくねらせ続けていた。

いっけない・・・
いったい私はどれだけの間腰をくねらせていたのだろう?
全然疲れもしなかったし、まだまだくねらせていられるのは間違いないけど、気が付くともうお昼。
午前中は結局何にもしなかったことに・・・
まあ、いいか・・・
掃除も洗濯もしなければ死ぬというものでもなし。
こうしてセンチューラとなって腰をくねらせている方が楽しいわ。
なんと言っても気持ちがいいしね。
龍介がドラゴンブルーのスーツを着たがるのもわかるわぁ。

「うふふ・・・」
私はもう一度姿見に映る自分の姿を確認する。
全身真っ黒の女が笑みを浮かべているわ。
偉大なる邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラ。
こうしていると首領様の声が聞こえてくるみたい。
はい・・・
私は女戦闘員センチューラです。
何なりとご命令を。
すっと片膝をついてひざまずく。
ああ・・・
役になりきるっていいわねぇ。
どうせもう少ししたら龍介が帰ってくるし。
それならいちいちこのスーツを脱ぐのも面倒だし、この姿のままでいましょうか。
この躰・・・とても素敵・・・
ずっと着ていたいかも・・・

掃除や洗濯をしなかったことでお腹が減っていないということもあったけど、結局お昼は甘めのコーヒーを飲むだけで済ませてしまった。
口元が開いているからこういう時は便利ね。
ドラゴンブルーのようなヘルメットタイプのスーツなら外さなきゃならなくて不便よね。
本物のセンチューラたちが何を食べているのかは知らないけど、口があるからには何か食べているんでしょうね。
さて・・・
もうそろそろ龍介が・・・

「ただいまー」
うふふふ・・・
来た来た・・・
正義のヒーローのご帰還だわ。
しっかり出迎えてあげなくちゃね。

「龍くんおかえりー。クネクーネー!」
私が玄関まで出迎えて両手を上にあげ腰をくねらせると、龍介の目がまん丸くなる。
「マ、ママ?」
「ブッブーッ! 残念でしたー。それは龍くんが学校へ行くまでの私。今の私は邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラなのよぉ。クネクーネー!」
私はここぞとばかりに腰をくねらせる。
あーん・・・
センチューラになるのって気持ちいい・・・

「うっわー! うれしいー! ママあのスーツを着てくれたんだね? ありがとう」
「あん、もう・・・言ったでしょ。私はママじゃなくセンチューラよぉ。早く手を洗ってうがいしてバトルスーツに着替えて私と戦いにいらっしゃい。クネクーネー!」
ああ・・・ドキドキする。
いよいよドラゴンブルーとの戦いだわ。
え?
あ・・・はい・・・
わかりました・・・
まずは正義に花を持たせてあげろと・・・ですね?
偉大なる首領様・・・
クネクーネー!

「きゃあぁぁぁ!」
ドラゴンブルーのキックを受けた私は床に倒れ込む。
もちろん子供の蹴りの力などたいしたことないし、このスーツは本当に衝撃をやわらげてくれるみたいなので痛みなどほとんど感じない。
倒れ込むのは演技に過ぎないのだ。
でも、ドラゴンブルーは私の上に馬乗りになってポカポカと叩いてくる。
「ああん・・・もうダメ・・・やられた。やられましたぁ。クネクーネー!」
私は頭をカバーするように両手で覆い、腰をくねらせて死んだふりをする。
「やったぁっ! ジャドーマのセンチューラを退治したぞ!」
私から離れてガッツポーズをするドラゴンブルー。
うふふふ・・・
龍介ったらホント楽しそう。
でも、その喜びは今だけよ。
今回はやられてあげただけなんだから。
そのうちお返しをしてあげるんだからね。
うふふふふ・・・

「あーあ・・・負けちゃった。ドラゴンブルーは強いわね」
私は死んだふりをやめて立ち上がる。
「うん。ドラゴンブルーは無敵なのだ!」
シャキーンという感じでポーズを決める龍介。
「でも、邪悪結社ジャドーマはこの程度では終わらないわよぉ。クネクーネー!」
私も負けじと両手を上に伸ばして腰をくねらせる。
今回は首領様の命令だから負けてあげただけなんだからね。
思わずそう言いたくなる私。
あれ?
私・・・そんな命令を受けたかしら・・・
首領様なんて・・・
まあ、いいか・・・
「大丈夫! ジャドーマはドラゴンブルーとバードレッドが必ず倒す。ジャドーマの首領もやっつける」
あらあら、すっかりバードレッドとはいいコンビになったみたいね。
でも、首領様がそう簡単に倒せると思ったら大間違いよ。
いずれそれを思い知らせてやるんだから。

あー、でも面白かったわぁ。
こうしてセンチューラのスーツを着て首領様のために働くのって素敵。
もっともっとジャドーマのために働きたいわぁ。
ジャドーマのために・・・

それにしても・・・
私は立ち上がって室内を見る。
やっぱりここはちょっと狭いわよねぇ。
さっきも戸棚にぶつかりそうになったりしたし・・・
テーブルを片付けただけのリビングじゃ戦うには物足りない広さだわ。
でも・・・
うちはそんなに広い部屋なんてないし・・・
せめて家具を退かして何もない部屋を作れれば・・・
私はふとひらめく。
そうだわ。
パパの部屋を片付けちゃいましょう。
どうせまだまだ戻ってこないんだし、机や本棚をガレージなり物置なりに押し込んじゃえば・・・
うふふふ・・・
そうしましょう。
そうすれば少なくとも家具にぶつかったりする心配はなくなるわ。
うふふふふ・・・

そんなことを思いながら、結局私と龍介は晩御飯の前までお互いにスーツを着たまま過ごしてしまった。
龍介はドラゴンブルーのスーツを脱ごうとしなかったし、私もこのセンチューラのスーツを脱ぎたくなかったからだ。
晩御飯の支度をしながらも、私は時々クネクーネーと言いながら腰をくねらせ、そのたびにドラゴンブルーの龍介が、現れたなジャドーマのセンチューラと言って攻撃してくるので、私もついつい戦ってしまう。
ホント、楽しいわぁ。
もう、ずっとセンチューラのままでもいいぐらい。
クネクーネー!

                   ******

「ふう・・・これで良し・・・と」
翌朝、私は龍介を学校に送り出すと、すぐにセンチューラのスーツに着替えてしまう。
それにしても本当にこのスーツは気に入っちゃったわぁ。
なんだかこれを着てセンチューラの姿にならないと落ち着かないような気がするのよね。
なんというか、私が私じゃないような感じ。
いわば、人間の姿は仮の姿、擬態というような感じかしらね。
うふふふ・・・
やれやれ・・・
すっかり私自身が嵌っちゃっているわねぇ。
それも正義の戦隊じゃなく邪悪結社ジャドーマの側の一員として。
「クネクーネー!」
私は姿見の前で両手を頭の上に伸ばして手のひらを合わせ、腰をくねらせて声を出す。
ああん・・・
気持ちいい・・・
そうよ・・・
私はセンチューラ。
邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラよぉ。
ああん・・・
最高だわぁ。

「あら、意外と軽いものね・・・」
私は夫の部屋に入ると、机やいすや本棚を部屋の外へと運び出す。
もっと重たかったような気がしていたけど、私一人でも充分動かせるわ。
それにしてもこんなに軽かったかしら?
まあ、軽いことはいいことよね。
これならこの部屋を遊び場にするのも簡単だわ。
とりあえず机と本棚はガレージに放り込んでおいて、他の家具も適当に物置に押し込んでしまいましょう。
あの人が帰ってきたら・・・
その時はその時よ。
うふふふふ・・・

がらんとなった夫の部屋。
まあ、広さ的にはそれほどではないけど、家具がなくなったことで戦うにはよくなったわね。
それにしても・・・
なんというか殺風景だわ。
これじゃホントにただの空の部屋。
何かこういい物がないかしら・・・
そうね・・・
大きなジャドーマの紋章とか・・・
いいかも・・・

「クネクーネー! クネクーネー!」
私は自分の部屋に戻ると、何度も声を上げながら腰をくねらせる。
なんて気持ちいいのかしら。
もうやめられない。
ああーん・・・
なんだか頭がぼうっとしちゃう・・・
力もなんだか抜けてきちゃった・・・
私はぱたりとベッドの上に横たわる。
はあ・・・
シーツがスーツに触れるのを感じる。
もうこのスーツは私の肌同然。
私はスーツの上から胸を揉む。
ああん・・・
気持ちいいー!
おっぱい感じちゃう・・・
自然と私の手は股間へと延びていく。
スーツの上から撫でるだけなのに、躰がぴくっと反応してしまう。
ああ・・・
いつものオナニーなんかと全然違う。
スーツ全体が性感帯にでもなったみたい。
最高だわぁ。
ああ・・・
指が動く。
止まらない。
イっちゃいそう・・・
ああ・・・ん・・・
「クネクーネーーーーーー!」
私は指を動かしながらひときわ大きく声を上げていた。

「ただいまー」
「クネクーネー!」
午後になって龍介が帰ってくる。
私はもちろんセンチューラとして声を上げ腰をくねらせながら出迎える。
ああ・・・
ゾクゾクするわぁ。
今日もこれから正義との戦いが始まるのよ。
午前中のオナニーもよかったけど、こうして正義と戦うのもたまらない。
早く早くドラゴンブルーに変身してぇ。

私は家具を取り払った夫の部屋にドラゴンブルーを引き入れる。
「パパの部屋が?」
「クネクーネー! 今日からはここが戦いの場よ。ちょっと狭いけど、これなら机の角や本棚を気にしなくていいでしょ」
「うん。でもいいのかなぁ?」
「いいに決まっているわ。文句なんか言わせないわよ。クネクーネー!」
そうよ。
うだうだ文句を言ったりしたら殺してやるんだから。
正義のヒーローでもない一般の人間なんか私たちに歯向かえるはずないわ。

「クネクーネー!」
「よーし! 来い! ジャドーマのセンチューラめ!」
ファイティングポーズをとるドラゴンブルー。
行くわよー!
私たちジャドーマに歯向かう者は容赦しないわ!
「クネクーネー!」
私は声をあげながらドラゴンブルーに飛びかかっていくのだった。

「あーあ、面白かった。ありがとうママ」
「いいえぇ。どういたしまして」
私はやられたふりからゆっくりと起き上がる。
ヘルメットを外した龍介はとてもうれしそう。
そりゃあなたは勝ったんだから気持ちいいでしょうね。
でも、私はやられてあげただけなのよ。
せいぜい今のうちいい気分に浸っていなさい。
いずれ私たちがもっと力を付けたら・・・
その時は・・・
うふふふ・・・
って、あれ?
力を付けたらって・・・
誰が?

「ママ?」
龍介がどうしたのかという目で私を見ている。
いけない。
なんだかぼうっとしてしまったわ。
さて、楽しい時間はここまでね。
残念だけど、人間に擬態して買い物に出かけなきゃ。
さすがに冷蔵庫の中も残り少なくなってきたしね。
「ごめんごめん。なんだかぼうっとしたみたい。買い物に行くけど一緒に行く?」
「行く!」
私が龍介にそういうと、龍介はうれしそうにうなずいた。

買い物に行く途中、私と龍介はあの“戦隊ヒーローになろう”のある施設の前を通りがかる。
そういえば、家でスーツを着るようになったから、昨日今日とここへは来てないわねぇ。
さすがに家の中だけじゃ狭いから、今度はまたここに来ようかしら。
その時は私もジャドーマ側の一員で参加させてもらえないかしらね。
仲間たちと一緒に戦いたいわぁ。

「あ、耕太君のママだ」
龍介の声に思わず見ると、耕太君ママの由紀奈さんが何だかうつむき加減で歩いてくるのが目に入る。
どうしたのかしら?
なんだか元気がなさそうね。

「由紀奈さん」
「こんにちは」
「えっ? あっ! こ、こんにちは」
声をかけたのが私たちだと気づくと、ぎこちない笑みを見せてくる由紀奈さん。
「どうしたんです? 何かあったんですか?」
「いえ、その・・・」
彼女の視線がちらっと手にしている紙袋に行く。
あら?
もしかして彼女の持っている紙袋は・・・
センチューラのスーツが入っていたものかしら?

「いきなり声をかけちゃってごめんなさいね、なんだかずいぶんと浮かないような顔をしていたものだから」
「あ、いえ、お二人はここへ?」
由紀奈さんが“戦隊ヒーローになろう”の施設を見る。
「いいえ。今日は龍くんと買い物に行くところ。スーツをレンタルしたおかげで家で遊んでいるから、ここには来てないの。由紀奈さんも耕太君と遊んでいるんでしょ?」
「それが・・・そのことで耕太と言い合いになっちゃって・・・」
「えっ? 言い合い?」
どういうことなのだろう?
言い合いになるなんて・・・
「その・・・耕太はバードレッドのスーツを着て楽しんでいるんですけど、私にもあのスーツを着て戦ってほしいって言ってきて・・・でも、あのスーツを着るのはどうしても恥ずかしくて、着るのは・・・その・・・」
ああ、そういうこと。
羞恥心がスーツの魅力を上回ってしまっているのね。
そんなの一度あのスーツを着ればすぐに消えてしまうのに。
もったいないわぁ。
センチューラのスーツは素晴らしいわよぉ。
由紀奈さんだったらきっと素敵なセンチューラになるでしょうに。

「それで・・・いっそのことスーツを返してしまおうかなと。家にこのスーツがある限り、耕太は着ろ着ろって言ってくるでしょうから」
「ダメよ、由紀奈さん」
「えっ?」
思わず私が強く言ってしまったことで、由紀奈さんが驚いている。
でもダメ。
スーツを返してしまうなんてとんでもないわ。
ここは私がちゃんとスーツの良さを教えてあげないとね。

「由紀奈さん、そのスーツを返してしまったら、きっと耕太君はがっかりするわ。それはそれはとてもがっかりするわ」
「で、でも・・・」
「由紀奈さんは耕太君にそんながっかりさせてしまっていいの? 恥ずかしいってだけでスーツを着ないで耕太君の願いを無視して、それでいいの?」
「聖香さん・・・」
「うちの龍くんはすごく喜んでくれたわ。そりゃ、最初は私もあのスーツを着るのは恥ずかしかったけど、着てみたらそんなのは気にならなくなったし、ドラゴンブルーと戦うのはとっても楽しかったわよ」
そう・・・
最初は私だってあんな躰の線が露わになるスーツを着るのは恥ずかしかった気がするわ。
でも、今はもうそれこそがセンチューラである喜びの一つ。
ジャドーマの女戦闘員として、愚かな人間の男どもを油断させるためにも、センチューラは美しいボディラインを見せつけなくてはならないのよ。

「だから、一度着てみて。何ならうちで一緒に着ましょうよ。私も一緒に着れば二人なんだから恥ずかしくないわよ」
「え? ええ?」
「そうしましょうよ。明日、午前中にスーツを持ってうちに来て。二人で邪悪結社ジャドーマの女戦闘員になって、耕太君や龍くんを迎え撃ちましょうよ」
「うわぁ! うちで耕太君と一緒に遊べるの? それいい! お願いしますおばさん。耕太君と一緒に!」
私の言葉に思わず目を輝かせる龍介。
バードレッドと一緒に戦えるというのはドラゴンブルーにとっても喜びだろう。
「ほら、うちの子もこう言ってますし。耕太君もきっと喜びますよ。何よりママが相手をしてくれるというのは、子供にとってとてもうれしいことですから」
私はここぞとばかりに畳みかける。

私は半ば強引に由紀奈さんと約束を交わしてLINEを交換する。
由紀奈さんもどうやら断り切れなくなったようで、明日の午前中にうちに来て、スーツを一緒に着てみるということに同意してくれた。
大丈夫。
いったんあのスーツを着たら、彼女だってきっとセンチューラのすばらしさを理解するに決まっているわ。
二人で一緒にセンチューラになりましょうね。

                   ******

「うふふふふ・・・」
私はワクワクしながら由紀奈さんを待つ。
今朝は龍介も楽しみにしながら学校へ向かっていったから、きっと学校が終わったら一直線で帰ってくるわね。
私も由紀奈さんと一緒にセンチューラになれるかと思うとドキドキが止まらないわぁ。
うちの住所はちゃんと送っておいたし、わからなければすぐに連絡してと言っておいたし、近所の目印も知らせておいたからきっと大丈夫よね。
ああ・・・
早く来て欲しいわぁ。

玄関の呼び鈴が鳴る。
来た!
私は急いで玄関へと向かう。
ドアを開けると、そこにはややうつむいた由紀奈さんが立っていた。
よかった。
来てくれた。
これで私たちは二匹のセンチューラになれる。

「いらっしゃいませ。さあどうぞ」
「あ、あの、お邪魔します」
スーツの入った大きな紙袋を下げ、由紀奈さんが我が家の玄関を跨ぐ。
私は彼女をリビングに案内し、まずはコーヒーを出してもてなす。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
私の出したコーヒーを受け取る由紀奈さん。
「今日は来てくれてよかった。龍くんもすごく楽しみにしていたし。耕太君には学校が終わったらこっちに来るようには言った?」
「ええ。耕太もすごく喜んで。学校が終わったら龍介君と待ち合わせてこちらに来るって言ってました」
ああ、なるほど。
龍介も耕太君と遊べてうれしいでしょう。
さてと・・・
由紀奈さんの気が変わらないうちに始めましょうか。
逃げられたりしたら困るしね。
うふふふふ・・・
「それなら大丈夫ね。それじゃ少し待ってて」
「あ、はい」
私はコーヒーを飲んでいる由紀奈さんをその場に残して席を立つ。
本当の私に戻る時間。
彼女にもこのすばらしさを教えてあげないと。

私は自分の部屋に戻ると、すぐに着ているものをすべて脱ぎ捨ててセンチューラのスーツを着る。
全身がぴったりと覆われていくのが気持ちいい。
顔も頭も黒いスーツに覆われ、口元だけが露わになる。
全身が覆われたら、今度はブーツを履いて手袋をつける。
これで手と足は二重に覆われることになる。
おかげで蹴ったり殴ったりしてもこちらにダメージが来ることが少なくなるのだ。
最後は紋章の付いたベルト。
これを締めると、ジャドーマの一員である喜びを感じられる。
偉大なる首領様にお仕えする集団の一員。
私は邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラなのよ。
「クネクーネー!」
私は両手を上にあげて手のひらを合わせ、腰をくねらせて声を上げる。
うふふふふ・・・

「クネクーネー!」
リビングに入り、すぐさま声を上げて両手を上に伸ばして腰をくねらせる私。
あ・・・
由紀奈さんが目を丸くしているわ。
もう・・・
しょうがないわねぇ。
あなただってあのモニターに見入っていたじゃない。
すぐにこの姿のすばらしさに気が付くわよ。

「クネクーネー!」
私は由紀奈さんのそばに行く。
「あ、えっ? せ、聖香さんですか?」
なんだか信じられないようなものを見ている感じの由紀奈さん。
「クネクーネー! そうよぉ。でもね、この姿の時は私は邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラなのよぉ。クネクーネー!」
私は腰をくねらせながら、手でそっと由紀奈さんの顎を持ち上げ、その顔を私の顔と向き合わせる。
「ほうら・・・よくごらんなさい。私はセンチューラ。そして、あなたもセンチューラになるの」
「あ・・・」
由紀奈さんの目がとろんとなる。
うふふ・・・
思い出したようね。
そうよ・・・
あなたもセンチューラの仲間なのよぉ・・・

私は彼女の持ってきた紙袋から黒い全身タイツ状のセンチューラのスーツを取り出し、彼女の手に渡してやる。
「さあ、これを着なさい。これを着てあなたもセンチューラになるの。偉大なる首領様にお仕えする女戦闘員センチューラになるのよ。クネクーネー!」
「わ・・・私も・・・センチューラに・・・」
私はこくんとうなずく。
そして彼女を立たせ、その耳へと優しくささやく。
「さあ、裸になりなさい。すべてを脱ぎ捨て、そのスーツを着るの。あなたは生まれ変わるのよ。クネクーネー!」
「ああ・・・」
しばらく自分の手の中のスーツを見下ろしていた彼女は、やがておもむろにそのスーツをテーブルに置いて着ているものを脱ぎだした。

上着もスカートも脱ぎ、下着も脱いでいく由紀奈さん。
そのスタイルのいい躰が露わになる。
ああん・・・
素敵・・・
きっとこれなら男どもの目を引き付けて油断させるに違いない。
首領様の望む女戦闘員にふさわしいわ。
ちょっとうらやましいかも。

「あ・・・」
スーツに足を入れただけで、思わず声が漏れてしまう由紀奈さん。
でしょ?
このスーツは本当に気持ちいい。
着ていることが快感なの。
あなたもすぐにわかるわ。

「はあ・・・はあ・・・ん・・・」
吐息を漏らしながら由紀奈さんはスーツを着込んでいく。
恥ずかしいと思う気持ちはもうどこかへ飛んで行ってしまったみたい。
きっともうこのスーツ無しではいられないわね。

やがて由紀奈さんの全身はスーツに覆われ、口元だけが覗いている。
ピンク色の唇が食べちゃいたくなるぐらい。
かわいいわぁ。
そして、その唇に笑みが浮かび、手袋とブーツを身に着けていく彼女。
最後にジャドーマの紋章の付いたベルトを腰に締め、すべてが完成する。
ああ・・・
なんて素敵・・・

「クネクーネー!」
私が腰をくねらせる。
すると、彼女もおもむろに両手を上に伸ばし、手のひらを合わせて一本の線虫となり腰を振り始める。
「クネクーネー!」
やがて彼女の口からも私と同じような声が上がり、新たなセンチューラが誕生した。
「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
私と彼女は鏡合わせのように向かい合い、お互いの腰をくねらせて声を上げる。
ああ・・・
なんて気持ちいいの・・・
仲間がいるって最高・・・
私たちはセンチューラよぉ・・・

「クネクーネー! おめでとう、由紀奈さん。これであなたも邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラね」
「クネクーネー! ありがとう聖香さん。うふふふ・・・センチューラになることがこんなに気持ちがいいことだったなんて知りませんでしたわ」
うふふふと笑みを浮かべているセンチューラ。
「でしょ? 私たちはセンチューラ。これからは首領様のために」
「ええ、私たちはセンチューラ。これからは首領様のために」
私たちはどちらからともなくお互いの躰を抱き寄せる。
「うふふふ・・・素敵よセンチューラ。クネクーネー!」
「クネクーネー! あなたも素敵よ。センチューラ」
私たちは躰を撫で合い、口づけを交わし合う。
私たちはセンチューラ同士。
こうしてお互いのつながりを確かめ合うの。
ジャドーマの一員として一つになるのよ。

私たちは冷たい床にもかかわらず横になる。
そしてお互いの躰を撫でさする。
「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
お互いの声が甘くなる。
気持ちいい・・・
仲間に撫でてもらうことがこんなに気持ちがいいなんて。
私たちはセンチューラ。
センチューラ同士なのよぉ!
「「クネクーネーーーーー!!」」

「うふふ・・・美味しい。クネクーネー!」
私たちはひとしきり快感をむさぼりあった後、何事もなかったかのようにコーヒーを飲んでいた。
もちろんセンチューラの姿のままだ。
もうすぐ龍介も耕太君も来るだろう。
そうしたら戦いが始まるわ。
彼らを喜ばせるための偽物の戦い。
でもいずれは・・・
うふふふ・・・

「あはぁ・・・クネクーネー!」
私の向かいではもう一人のセンチューラが気持ちよさそうに躰をくねらせている。
「うふふふ・・・もうすっかりセンチューラになったみたいね」
「クネクーネー! ええ、もちろんですわぁ。私はセンチューラ。それ以外の何者でもありませんわ。うふふふふ・・・」
「それでいいのよ。私たちはセンチューラ。これからはジャドーマのために」
「ええ、ジャドーマのために。クネクーネー!」
声を上げるのも楽しくなっちゃったみたいね。
いいわぁ。

「ただいまぁ!」
「お邪魔しまーす!」
玄関が開き、子供たちの声が聞こえてくる。
さあ、戦闘開始ね。
私たちはうなずき合うと、二人をそろって迎え撃つように立ち上がる。
何やらにこやかに話をしながら入ってくる二人。
もうすっかり仲良くなったみたいね。
いいことだわ。

「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
私たちは両手を上に伸ばし、手のひらを合わせて一本の線虫になり、腰をくねらせて声を上げる。
隣に仲間がいるというのはうれしいわぁ。
「うわぁ! センチューラが二人も!」
「えっ? もしかしてママ?」
二人が思わず声を上げる。
特に龍介はともかく、耕太君はリアルでは初めて見るセンチューラに驚きを隠せないみたい。
「クネクーネー! 違うわぁ。私はもうあなたのママなんかじゃなく、邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラなのよぉ。クネクーネー!」
楽しそうに腰を振るもう一匹のセンチューラ。
思わず私も腰を振っちゃうわね。

「耕太くんのママもすっかりなりきってるね。ボクたちも変身しよう」
「うん。ようし!」
龍介と耕太君が顔を見合わせて力強くうなずく。
うふふふふ・・・
さっさと変身していらっしゃい。
今日はどっちが勝つのかしらね?
首領様の思し召し次第よ・・・

「ドラゴンブルー見参!」
「バードレッド見参!」
背中を合わせて決めポーズをとる二人の少年戦隊。
なかなか様になっているじゃない。
かっこいいわよ。
でもね。
こっちも今日は二匹なんだからね。
行くわよ。
「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
私はもう一匹のセンチューラとともに彼らを攻撃する。
私たちだって普通の人間なんかは一撃で始末できるんだから。
舐めてもらっちゃ困るわ。
えーい!

「キャーッ! クネクーネー!」
「うぐっ! クネクーネー!」
私ともう一匹のセンチューラが床に倒れる。
ぴくぴくと痙攣して見せ、やがてぐったりとなる。
残念。
今回も勝ちは戦隊に譲れとのご命令。
正義なんかに負けたくはなかったけど、首領様のご命令は絶対。
こうして彼らを勝たせることに、きっと何かお考えがあるのだろう。

「やった!」
「うん。やったね!」
赤と青の少年戦士ががっちりと腕を組む。
悔しいわぁ。
本当ならこんな子供に私たちが負けるはずはないのに・・・
でも仕方ないわね。
今のうちせいぜい楽しんでおきなさい。

「あーあ、負けちゃった」
「悔しいわぁ。クネクーネー!」
口をへの字にしたもう一匹のセンチューラも起き上がる。
彼女も本当に悔しそう。
センチューラとして本気で戦いたかったのね。
でも、こればかりは仕方がないわ。

「ママもおばさんもありがとう。すごく楽しかった」
「うん。すごく楽しかった」
ヘルメットを外してにこやかに笑っている二人。
もう・・・
いずれその笑顔をめちゃくちゃにしてあげるんだからね。
「どういたしまして。私たちも楽しかったわ。ねえ、センチューラ?」
「ええ。とっても楽しかったです。明日もこちらにお邪魔してもいいですか?」
「まあ。すっかり身も心もセンチューラね。もちろん私はOKよ。君たちは?」
「もちろん!」
「うん。明日もお願いします」
二人の少年たちも笑顔でうなづく。
うふふふ・・・
すっかり嵌っているみたいね。

夕方になり、鳥飼さん親子を送り出して、私は龍介と二人だけで再び戦い合う。
だって・・・
このスーツを脱ぎたくないんですもの。
それに、こうして戦っている方が家事なんかするより楽しいしね。
きっと今頃はもう一匹のセンチューラも・・・
うふふふふ・・・

                   ******

さてと・・・
今日もしっかり戦わなくちゃね。
きっともうすぐもう一匹のセンチューラがやってくるわ。
楽しみぃ。
そのためにも・・・
私はセンチューラのスーツを出し、ジャドーマの紋章の付いたベルトを広げる。
そしてその紋章部分をデジカメで写真に撮り、大きく引き伸ばしてプリンターで印刷する。
その印刷した紋章を、今まで絵を飾ってあった額縁に入れ、部屋の壁に取り付ける。
うん、これで良し。
本物には及びもつかないけど、これでジャドーマの紋章に向かって躰をくねらせることができる。
ああ・・・
考えただけでゾクゾクするわ。
早くセンチューラにならなくちゃ。

私はいそいそとスーツを着込んでセンチューラに生まれ変わる。
ああ・・・
これこそが本当の私。
人間の姿なんてもうしてられないわぁ。

「クネクーネー!」
私は飾った紋章に向かって腰をくねらせる。
最高!
最高です!
偉大なる首領様!
私は邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラ。
どうぞ何なりとご命令を。

玄関の呼び鈴が鳴る。
もう一匹が来たわね。
今日も楽しくなりそう。
うふふふふ・・・

「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
私たちはすぐに壁に飾られた紋章に向かって腰をくねらせる。
あん・・・
こうなったらこの部屋をもう少しアジトっぽくしたいわね。
今度“戦隊ヒーローになろう”の受付に聞いてみようかしら。
なんかジャドーマのアジトにふさわしいものがありませんかって。

「あん・・・クネクーネー!」
「ああん・・・クネクーネー!」
私たちはどちらからともなく躰を愛撫しあう。
お互いの躰が重なり合い、両手の指がまるで本物の線虫のように絡み合う。
二人の口が重なって、舌が生き物のようにうごめいていく。
ああ・・・気持ちいい・・・
センチューラ同士で躰をこすり合わせるのは最高だわ。
それもジャドーマの紋章の下でなんて・・・
ああん・・・なんだかイッちゃいそう・・・
「クネクーネーー!」

ひとしきりお互いの躰を愛撫しあった後、私たちはリビングでヒーローたちの登場を待つ。
家事なんてする気もないし、お昼ご飯だってどうでもいい。
第一食べたいとも思わない。
それよりも首領様の命に従い、ジャドーマに敵対するものを排除したいのだ。
この世界のすべてをジャドーマのものに・・・
私たちはそのための女戦闘員センチューラなのよ。

「クネクーネーー!」
やがて戦隊ヒーローたちが現れて、バードレッドのパンチを受けた私は壁にたたきつけられる。
もちろんバードレッドにそんな力があるはずはない。
私がそう見えるように壁に背中を当てただけ。
でも、バードレッドは喜んでいる。
センチューラを倒したと喜んでいるのだ。
どうしていつまでもこいつらに喜ばせておくのかしら・・・
私たちの力なら、このような子どもたちなど一捻りにできるのに・・・
首領様のご命令だから従っているけど・・・
もっと私たちの力を見せつけてやりたいわ・・・

「クネクーネーー!」
ドラゴンブルーの一撃を受けて床に倒れるもう一匹のセンチューラ。
彼女も実に見事に演技をしている。
ドラゴンブルーの攻撃など全く効いていないのにね。
人間の力で私たちを倒せるはずがないわ。
まして子供たちの力なんかじゃ・・・
ああ・・・
思いっきり暴れたいわぁ・・・

「ようし! 今日もセンチューラを倒したぞ!」
「うん。しょせんこいつらは戦闘員だからね。ボクたちにかなうはずがないんだ」
「そうだね。どうせなら怪人と戦いたいよ」
「ボクもそう思う。戦闘員なんて弱いもん」
がっちりと腕を組むバードレッドとドラゴンブルー。
楽しそうにしているわねぇ。
忌々しいこと・・・
いずれジャドーマによって正義など滅ぼしてやるんだから。
私たちが弱いですって?
ふざけるんじゃないわよ!
私はもう一匹のセンチューラを助け起こすと、苦々しい思いで二人のヒーローをにらみつけた。

                   ******

あ・・・れ?
私はいったい?
確か私はもう寝ていたはず・・・
これは夢?
なんだかよくわからない・・・

「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
ひんやりする夜風の中、私はもう一匹のセンチューラとともに両手を上に伸ばして腰を振る。
やっぱりとても気持ちいい。
こうして仲間と一緒にうねるのは最高だわ。

夜の闇。
街灯もわずかしかない小道。
周囲は寝静まり、歩く者もいない。
そんな中、私たちがくねくねと腰を振る。
これこそが闇の世界のすばらしさ。
私たちにふさわしい世界。
私たちはお互いの躰に触れ合うように抱き合い、お互いの躰をこすりあう。
唇同士も重なり合い、お互いの体液をむさぼりあう。
なんて甘くて美味しいのかしら・・・
私たちはセンチューラ。
邪悪結社ジャドーマの女戦闘員センチューラよ。

足音が聞こえてくる。
誰かが道を歩いてくるのだ。
どうしたらいい?
どうしたら・・・

始末しろ・・・
頭の中で声がする。
はい、首領様。
私たちを見た人間は始末します。
始末します。

「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
私ともう一匹のセンチューラが人間に襲い掛かる。
深夜遅くまで残業をして帰ってきたサラリーマンらしい。
バカな男・・・
そのまま会社に泊まれば始末されずに済んだのに。
「わっ! な、なんだ?」
「クネクーネー!」
「クネクーネー!」
男は次の言葉を発することもできない。
私たちに始末されたからだ。
首をへし折られ、どろんとした目で宙を見ている男。
おそらく何が起こったのかもわかっていないだろう。
すぐに私たちはその場を離れる。
他に誰かに見られるわけにはいかない。
今はまだ。

よくやった・・・
お前たちにはさらなる力を与えよう・・・
目が覚めたら、我が下へ来るのだ・・・
よいな・・・
はい。
ご命令のままに。
偉大なる首領様。
「クネクーネー!」
「クネクーネー!」

続く

  1. 2019/03/26(火) 21:00:00|
  2. ママと遊ぼう
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ママと遊ぼう (1)

今日から三日間で、当ブログの5000日達成記念SSを一本投下いたしたいと思います。

タイトルは「ママと遊ぼう」です。
まあ、タイトル通りのSSです。(笑)

どうかお楽しみいただければと思います。
それではどうぞ。


ママと遊ぼう

『現れたなギャラワルー!』
『むぅ! 不思議戦隊の連中、どうしてここがわかったのだ?』
『あなたたちのやることなどお見通しよ!』
『俺たち不思議戦隊がいる限り!』
『お前たちの好きにはさせない!』
テレビから流れてくる勇ましい声。
若くてかっこいい役者さんたちがポーズを決めて見得を切る。
確かに見ているだけでワクワクするのは間違いないわね。

「頑張れ・・・レッド・・・負けるな・・・ブルー・・・」
テレビの前でこぶしを握り締めている我が息子。
思わず声も漏れてしまっている。
もう小学生も二年目だというのにまだまだ子供ねぇ。
まあ、最近の特撮物は大人の鑑賞にも耐えられるとは言うし、確かに見ていると面白いのも確かなんだけどね。

『グギャァァァァ!』
お約束通りの展開に断末魔の悲鳴と大爆発。
毎回毎回よくもまあ飽きもせずに同じパターンとは思うけど、それを毎週楽しみにしている息子を見ていると、ある種の安心感のようなものがあるのだろうとも思う。
言ってしまえば時代劇や刑事ドラマと同じようなものなのだろう。
黄金の王道パターンというものなのだ。

「わぁ、来週はゴールドが出るんだ。正体は誰なのかなぁ? やっぱり食堂のおじさんかな」
あらら、新キャラ登場かしら?
またかっこいい武器とか出てきておもちゃを欲しがってくるかもしれないわね。
私はちょっと苦笑する。
うちはそんなに裕福な方じゃないんだから、何でもかんでも買ってあげるというわけにはいかないんだからね。
そこはちゃんと理解してよね、龍介(りゅうすけ)。

さて、テレビも終わったようですし、掃除機をかけても大丈夫かな?
さすがに見ている最中に掃除機をかけるのは悪いものね。
掃除機をかけたらいろいろと買い出しにもいかなくちゃ。
やれやれだわぁ。

「付いてくるのはいいけど、何も買わないわよ」
私は前もって釘を刺す。
暇だったからなのか、一人になるのがいやだったからなのか、私が買い物に出かけると言うと、龍介も一緒に付いてくると言い出したのだ。
まあ、一人で留守番させるのもなんだから一緒に連れてきたけれど、龍介と一緒だといつもお菓子だのなんだのって買い物が増えるのよね。
「うん。わかっているよママ」
大きくうなずく龍介だけど、果たしてどこまで本気やら。
だいたい美味しそうなお菓子を見つけては買ってってねだってくるんだから。
困ったものだわ。

「ねえ、ママ、あれ見て」
「えっ?」
つないでいた手を引っ張られ、私は思わず足を止める。
何事かと思って龍介を見ると、その目がキラキラと輝いていた。
私はその視線の先を追って、龍介が足を止めた理由を知る。
そこには戦隊ヒーローたちと思われるカラフルなバトルスーツを着た男女が描かれた大きな看板があり、ヒーロー戦隊体験型アトラクション“戦隊ヒーローになろう”オープンと書かれていた。
ここって確か前は大型パチンコ店だったと思ったけど、まさかこんな施設になっていたなんて・・・

「ねえ、ママ、ちょっと寄ってもいい?」
案の定龍介は目を輝かせて入りたいと訴えてくる。
はあ・・・
これはもう一度は入らないと、毎日のようにせがまれることになりそうね。
やれやれだわ。
私は肩をすくめると、ほんのちょっとだけよと言って、その施設に入ってみた。

「わあ」
私は思わず声を出してしまっていた。
一階は広いゲームコーナーになっているようで、格闘ゲームやレースゲームといったテレビゲームばかりでなく、写真を撮ってシールにするやつやカプセルのガチャガチャなど幅広い遊具が並んでいる。
でも、肝心の体験型アトラクションってどれ?
そう思った私の疑問はすぐに解消される。
正面にでかでかと外に掲げられていた看板と同じようなパネルが店内にも掲げられており、二階が受付と書かれている。
「ママ、早く」
その看板を目ざとく見つけた龍介が私の腕を引っ張ってくる。
「もう・・・待って、龍くん」
私は龍介に引っ張られるようにして二階へと向かう。
もう・・・しょうがないんだからぁ・・・

「いらっしゃいませ。“戦隊ヒーローになろう”へようこそ」
エスカレーターを上がったすぐのところに受付カウンターがあり、女性が二人にこやかに受付をしている・・・んだけど、白を基調にした軍服っぽいデザインの衣装を着ているのに私は驚いた。
カウンターの隣にはゲートがあり、そこから先は受付をしないと入れないようになっているらしい。
受付カウンターの反対側にはロビーが設えてあり、大きなソファやテーブル、自動販売機が置かれて休憩できるようになっているみたい。
今日は日曜日だが、まだオープンしたてということもあるのか、今のところはお客も少ないようでそこには誰もいない。
またロビーの壁面には大きなモニターがいくつも設置され、どうやら中で今行われているプレイの光景かデモムービーが流されているようだ。
そこでは市街地や建物の中などがCGと思われる画像で表示され、そこに現れる怪人や悪の組織の手下たちを倒していくというゲームみたいね。
うん・・・
こりゃあ龍介にはたまらないところだわぁ・・・

「ママ、早く早く」
私は龍介に引っ張られるようにカウンターへと向かう。
「はいはい。えーと、初めてなんですけど」
二人いる受付の女性の片方にとりあえず話しかける私。
「いらっしゃいませ。当施設は特撮番組等で見られますいわゆる戦隊もののキャラクターに実際に扮していただき、ヴァーチャルリアリティ空間の中で悪の組織と戦っていただく体験型アトラクションとなっております」
「はあ・・・」
要はなりきりのごっこ遊びの高等なものということかしら?
「衣装はこちらで用意しているものを着用していただきますが、安全性などには充分配慮したものとなっております。また、ヘルメットにはバーチャルリアリティシステムを内蔵したゴーグルが組み込まれており、ヘッドフォンからの音声と合わせて、臨場感のある仮想現実を味わっていただくことが可能となっております」
もう一人の受付の女性が見本となる衣装を持ってきてくれる。
赤い正義の戦隊のヒーローのコスチューム。
こりゃあ結構本格的だわ。
こんなの見たら龍介が着たがらないわけが・・・
ちらっと横目で龍介を見ると、やはりわくわくしたような表情でその衣装を見つめている。
あーあ・・・これはもうどうしようもないわねぇ。

「どうする、龍くん。やる?」
答えなど聞くまでもないのだけど、一応私は聞いてみる。
「やる!」
だよねぇ。
「えーと、おいくらなんですか?」
「はい。正規料金ですと一時間千円となっておりますところですが、オープン価格といたしまして今月いっぱいは一時間三百円でのプレイ料金となっております」
正規料金は一時間千円!
結構高いのね・・・
確かにこれだけの設備や衣装を用意してということだから高くなるのは仕方ないのだろうけど・・・
これは龍介には今月で飽きてくれることを祈るしかないわね。
「それじゃ一時間で」
「かしこまりました。それではこちらにプレイされますお方のお名前をご記入いただけますでしょうか?」
私は差し出された用紙に宮間(みやま)龍介と書き込んでいく。
「ありがとうございます。それでは龍介隊員、バトルスーツの装着システムにご案内いたします」
受付の女性が用紙の名前を見て龍介に声をかけ敬礼する。
あ、なるほどね。
どうやら戦隊チームのオペレーターという設定みたいね。
だから軍服みたいな衣装だったんだ。

胸を張って女性の後についていく龍介。
そりゃあ龍介隊員なんて呼ばれたら、胸も張りたくなるよね。
その間に私は渡されたパンフレットを見ながらロビーで待つ。
この施設の概要とかが記されていて、バーチャルだのスーツに仕込まれた装置だの空間を構成するだの書かれているけど、何がなんやらちんぷんかんぷんだわ・・・
まあ、龍介のような特撮戦隊もの好きな子供向けに戦隊ヒーローになり切って遊べる施設ってことよね?
でも、一時間千円は高いわぁ・・・

「ママー! 見てぇ!」
私がパンフレットから顔を上げると、ちょうど着替え終わった龍介が出てきたところだった。
わあ・・・
本当に結構本格的だわ。
頭をすっぽりと覆うフルフェイスのヘルメットに躰を包み込むスーツ。
手には手袋を嵌め、足にはブーツを履いている。
腰にはかっこいいベルトも付いていて、どこからどう見ても特撮の戦隊ヒーローだ。
色は青。
赤を選ぶかと思っていたけど、青を選んだのね。
龍介なりのこだわりがあるのかしら。

「すごくかっこいいわよ、龍くん」
「えへへ」
なんとなく照れ臭そうに頭を掻く龍介。
顔はヘルメットのバイザーで見えないけど、きっと少し赤くなっているでしょう。
「赤じゃなく青にしたんだ?」
「うん。赤と迷ったんだけど、落ち着いて敵と戦う方がかっこいいかなと思って。ドラゴンブルーっていうんだ」
なるほど、龍介だからドラゴンね。
「ドラゴンブルー、かっこいいじゃない」
「えへへへ」
やっぱり照れ臭そう。
「では、ドラゴンブルー。街で怪人が暴れまわっておりますので、すぐに出動願います」
先ほどの女性が再び敬礼で龍介に出撃を促してくる。
「了解!」
ドラゴンブルー龍介がすぐに敬礼をして彼女の後についていき、バトルフィールドと呼ばれるところに入っていく。
きっとこれから一時間は夢の世界で過ごすのだろう。
なんだかうらやましいわねぇ。

私はその間缶ジュースを飲みながらロビーで待ちぼうけ。
と、思っていたのだけど、どうやらモニターの一つが龍介のヘルメットにセットされているゴーグルの映像を流し始めたようで、思わずそれに見入ってしまう。
映像はかなりリアリティを感じるもので、最近の技術の凄さに驚かされる。
建物の陰にいた怪人や戦闘員たちを追い立て、広い場所で戦いを挑んでいるようだ。
パンフレットによれば難易度設定もできるようで、今回龍介が選んだ難易度がどのレベルなのかは知らないけど、怪人一体と戦闘員が数人いるみたい。
もちろんチームプレイもできるようなので、正義の戦隊ヒーローが増えれば、悪側もまた怪人や戦闘員が増えたりするのだろう。
はあ・・・
なんだかんだと龍介に付き合っているうちに、私にもそのぐらいのことがわかるようになってしまったわ。
私はそんなことを思いながらジュースを口に運ぶ。
それにしてもすごいわねぇ。
射撃で相手を倒すのは、まあわかるとしても、龍介が殴ったり蹴ったりする時はどうなっているのかしら?
やっぱりスーツにそういった感触が伝わるようになっているのかしらね。
そうじゃないと空気を殴ったり蹴ったりしているみたいなもんでしょうから。
モニターの中では龍介の目から見た映像が戦闘員や怪人と互角以上に戦っている。
迫力もすごい。
怪人の吹き付けてくる酸がかかりそうになった時には、ロビーにいた私も思わず躰を動かしてしまったぐらい。
こりゃあ龍介は楽しくて仕方がないだろうなー。
はあ・・・

とりあえず一時間目いっぱい遊んだ龍介は、しぶしぶといった感じで施設を後にし、私とともに買い物を終えて帰ってきた。
驚いたことにさっきまでの興奮の方が大きかったのか、今日はお菓子を買ってとねだってこなかったのだ。
たぶん、お菓子よりももっと大事なことをおねだりしたいからだろう。
もちろんそれはまたあそこに連れて行って欲しいというものに違いない。
やれやれだわ。

とはいえ、あの施設の威力は大したものというのは認めざるを得ないわね。
今日は家に帰ってきてからも、龍介はどこか心ここにあらずといった感じでヒーローになって怪人をどう倒したとか戦闘員とどう戦ったとか、酸をかけられたけどうまくかわしたとかそんなことをずっと喋りまくっている。
そのたびに私も、ああ、あのシーンねとか、あのシーンだわとかモニターに映し出されたシーンを思い出す。
もちろん龍介は自分の見ていた映像を私も見ていたとは知らないだろうから、微に入り細に穿って丁寧にああだったこうだったと話してくれるのだ。
なんだか私まで一緒になって戦っていたような気がするわ。

そして私が何も言わなくても食べた後の食器を台所に運んでくれたり、明日の準備をすぐにしたり、夜も早々にベッドに入って寝てしまった。
いい子にしておねだりの成功確率を上げるつもりなのね、きっと。
努力は認めてあげるけど・・・
今月だけよ・・・

                   ******

ふう・・・
家計簿の遊興費の欄に書き込まれる数字を見て私はため息をついてしまう。
六百円。
三百円ではなく六百円。
そう・・・
ついに昨日は二時間もあそこにいてしまったのだ。
二時間も・・・

案の定、あの日から龍介はあそこに入り浸るようになってしまった。
最初は週に一回と約束したにもかかわらず、あの日の翌日にはもう二度目のプレイをやっていた。
学校から帰ると、私を言葉巧みに買い物へと連れ出し、まんまとあそこの前を通らせて目的を達してしまったのだ。
私も最初は一回三百円だし、まあ・・・などと甘い顔をしていたところはあるけど、その翌日も、その翌々日も龍介と私はあの“戦隊ヒーローになろう”というアトラクションに行っていたのだ。

どうして私も付き合っているのかというと、龍介だけで行かせるのが不安だったということもあるけれど、普段は聞き分けのいいはずの龍介がこれに関しては私が何度ダメと言ったところで聞き入れないし、また、なぜか私も龍介がモニターの中で戦隊ヒーローとして敵を倒すところを見たいという気になってしまって、行くならいっしょにと付いて行ってしまうのだ。

そう・・・
私自身があそこのロビーでモニターを眺めていると、どんどんあの世界に引き込まれていくような感覚になる。
ドラゴンブルー龍介の目で見た世界と、それを外部から俯瞰した映像が流され、今ドラゴンブルー龍介がどういう戦いをしているのかがわかるのだ。
それは見ているだけでワクワクするものであり、いつしか私もその場にいるような気になってくる。
それもドラゴンブルー龍介と一緒に戦っているのではなく、どちらかというと彼の敵側のイメージで見てしまうのだ。
そうすると、ドラゴンブルー龍介の戦いが隙だらけであることも見えてくる。
ほらほら、足元がお留守よとか、背中ががら空きよとか思わず言ってしまいたくなり、それがなんだかとても楽しいのだ。

だから昨日は龍介が一時間のプレイを終えた時、私はもっと見ていたくて、一時間延長してもいいわよなんて言ってしまったのよね。
はあ・・・
私としたことがどうかしているわ・・・
あんなものに夢中になっちゃうなんて・・・
でも・・・
見ていると本当に惹き込まれるのよねー。
悪の怪人や戦闘員ってなんか魅力を感じるわぁ。
最近のはデザインも素敵だしね。
中には女性型の怪人や戦闘員もいたりして、それがまた美しかったりするのよねー。
今度はどんな怪人が出てくるのかしらって思うと、また行きたくなってしまうけど、もういい加減に龍介も私も我慢しないと、出費がどんどんかさんじゃうわ。

決めた。
今日は絶対行かないわよ。
龍介がなんと言おうと絶対に行かないんだから。
幸い今晩のおかずは冷蔵庫の中にあるもので充分間に合うし、買い物に行く必要もないからね。
いい!
絶対に行かないんだからね!

「いらっしゃいませ。いつものコースでよろしいですか?」
「ええ、それで」
私はにこやかに笑顔を振りまく受付の女性にうなずく。
あれぇ・・・
おかしいなぁ・・・
今日はここへは来ないつもりだったはずなのに・・・
どうして来ちゃったのかしら・・・

「それじゃ龍介隊員。バトルスーツ装着システムにご案内します」
「お願いします」
もうすっかり顔なじみとなった受付嬢と敬礼のやり取りをする龍介。
「あ、ごめん、ちょっと待って」
ふと龍介が足を止める。
「えっ?」
どうしたのかしら。
いつもならウキウキですぐに装着システムという名の更衣室に行くんだけど・・・

「ねえ、君もやる? どうせならチームを組まない?」
見ると、ちょうどエスカレーターを上がってきた少年と母親がいる。
龍介はその子に声をかけたのだ。
へえ、珍しいわね。
いつもはあんまり自分から声をかけたりしないのに。

「えっ? いいの?」
「うん。いつも一人だから戦隊ぽく感じなかったんだ。一緒にやろうよ」
「うん。ありがとう」
龍介に声をかけられた子も目を輝かせている。
もしかしたら彼も一人で遊んでいたのかな?
そういえば結構子供が飛びつきそうなのに、あんまりプレイしている子を見ないわよね。
いつも龍介一人だったし・・・

「それじゃボクは先に着替えているから」
「うん。ボクもすぐに行くよ。ママ、早く受付して」
更衣室に入っていく龍介を見送りながら、彼も早くプレイしたくて仕方がないみたいだ。
あの子は龍介と同じぐらいかしらね?
ママの方も私と同じくらい?
きっと彼女もあの子にせがまれたんでしょうね。
そう思うとなんだか親しみを感じるかも。

「それでは耕太(こうた)隊員、バトルスーツ装着システムにご案内します」
「お願いします」
龍介と同じように敬礼して更衣室に向かう少年。
どうやら耕太君っていうみたいね。
私はとりあえずロビーのソファのところで、とりあえず挨拶しておこうと母親を待つ。
「初めまして。宮間と申します」
「あ、は、はい。あ、と、鳥飼(とりかい)です。初めまして」
一瞬なぜ私に挨拶されるのかわからないといった感じだったものの、すぐに私が声をかけてきた子の母親だと気が付いたのか、ぺこりと頭を下げてくる。
なんだか少しおっとりしたような感じの人で、清楚というよりもかわいいと言った方がしっくりくる人だ。
「あー、驚かせてしまいましたか。そちらのお子さんに声をかけたのはうちの息子でしたので」
「あ、いえいえ、ありがとうございます。うちの子も喜んでます」
「そちらも南小ですか?」
私は龍介が通っている小学校かどうか尋ねてみる。
「あ、うちは泉小なんです」
残念。
泉小は南小とは隣合わせになるけど、一緒ではなかったか。

「ドラゴンブルー、見参!」
装着システムから着替え終わった龍介が出てくる。
もうすっかり見慣れたドラゴンブルーの格好だ。
うんうん。
かっこいいよ、龍介。
「バードレッド、見参!」
私が龍介のドラゴンブルー姿を見ていたら、その隣に鮮やかな赤いスーツを着た戦隊ヒーローが現れる。
どうやらこれが耕太君の変身した姿のようだ。
大まかには龍介の青いスーツと同系のようだけど、細かいところに若干の差異があるのかな?
赤と青が並んだ姿は、小さいながらにまさに特撮番組の戦隊ヒーローだわ。
「バードレッドかー。ボクはドラゴンブルー。よろしく」
「こちらこそよろしく」
二人は握手して、そのままそろってバトルフィールドに入っていく。
さあ、いよいよバトル開始ね。

いくつもあるモニターのうちの三面に二人の映像が流れだす。
そのうち二つはドラゴンブルーとバードレッドそれぞれから見える映像。
もう一つはその二人の姿を外側から映したものだ。
もちろん二人の姿はフィールド画面と合成されているから、室内で戦っているとは思えない迫力ある映像になっている。

「うちの子はこうして誰かと一緒にプレイするというのが初めてなので、もしかしたらそちらにご迷惑をかけちゃうかも」
モニターを見ていると、隣からそう声をかけられる。
見ると彼女も私と同じようにモニターに夢中になっている。
ふふっ・・・
私もあんなふうに真剣に見ていたのかしら・・・
「うちの子も初めてですからお互い様でしょう。それに見た感じけっこういい協力プレイをしているようですよ」
私は缶のオレンジジュースを一口飲んでまたモニターに目を向ける。
彼女からの返事があったのかどうかは覚えてない。
私の目はもうモニターに釘付けだったのだ。
ああ・・・
なんて素敵なの・・・

気が付くと二時間はあっという間に過ぎていた。
私も鳥飼さんもモニターに釘付けで、口を付けた缶ジュースが二時間後にも飲み終わっていなかったぐらい。
ドラゴンブルー龍介もバードレッド耕太君も充分遊んだようで、にこにこと満足げだ。
それに今回は初めての協力プレイだったので、時間が経つのがずいぶん短く感じたみたい。
見ている私もあっという間の二時間だったわ。

「それじゃまた明日ね」
「うん、また明日ー」
思わず私は苦笑する。
龍介はこちらの都合など考えずに、ちゃっかり耕太君と明日も会う約束をしてしまっている。
あーあ・・・
これは明日も二時間コースかしらね。
お金がかかるわぁ・・・
見ると耕太君のママも困ったものだと苦笑している。
でも、たぶん彼女も明日も来るんだろうな・・・

「ええ、そうなの。ほんと入りびたりなのよ。でもそのおかげでお手伝いとかよくしてくれるけどね」
私はスカイプを通じて夫と話をする。
二時間しっかり暴れた龍介は、今日も早々に布団に入ってしまった。
きっと今頃は夢の中でも暴れているに違いない。
『おいおい、あんまりゲームばかりさせるのはよくないんじゃないか? いつもは君の方がこう言ってたしなめるだろ』
夫は単身赴任で半年間の海外だ。
なので、こうして時々スカイプを使って話をするというわけ。
「わかっているわ。お金だってかかるし・・・でも、なんだか行ってしまうのよねー」
『なんだそりゃ。しっかりしてくれよ』
夫が笑う。
そりゃ私だって今日は絶対に行かないと思ったりするんだけど、龍介に行こうと誘われると、なんだか行きたくなっちゃうのよ。
なんでなのかしら・・・
『まあ、来月には一度戻れると思うよ。仕事も来月には一段落するから』
「うん。楽しみに待ってる。龍くんも楽しみにしていると思うよ」
『うん。俺も会うのが楽しみだ。それじゃ明日も早いからまたね』
「うん、またね」
私はそう言ってスカイプを切る。
本当は最後に愛してるなんて付けたいところなんだけど、なんとなく照れ臭くて言えない。
だから心の中で付け加える。
愛しているわよ、あなた・・・

                   ******

ふう・・・
やっぱり少し食費を削らないとだめかしらね・・・
私は昨日の出費を家計簿に書いていく。
遊興費の項目は昨日も六百円。
一昨日もその前も同じ。
もうあそこに二時間いるのが当たり前になっているわ。
ああ・・・
どうしたものか・・・

龍介は今日も朝から戦隊もののテレビを見ている。
毎週日曜日の楽しみなのだ。
今では自分も戦隊の一員だからなのか、より一層見るのに熱が入っている。
さっきから身じろぎもしないで画面に食いついているわ。
ふう・・・
あそこの料金、もう少し安くならないかしら・・・
百円とか・・・
これが正規料金になったらどうしよう・・・
貯金を崩すしかないかしら・・・
でも・・・
行かないなんて考えられないし・・・

「あー、面白かったー。来週も楽しみ」
テレビを見終わった龍介がうーんと背伸びをして躰をほぐしている。
私は家計簿を閉じて立ち上がると、龍介の所へ行く。
「龍くん、今日も行く?」
「いいの? 行く!」
いいに決まってるでしょ。
そりゃお財布的にはよくないけど・・・
龍介も楽しいし、何より私が行きたくて仕方がなくなっているのだ。
どうしちゃったんだろう・・・
でも、あそこのモニターを見ていると夢中になっちゃうのよね。
やめられないわぁ。

「いらっしゃいませ。“戦隊ヒーローになろう”にようこそ。いつもありがとうございます」
私も龍介もすっかり受付の女性たちに顔を覚えられてしまったわねぇ。
私はにこやかにいつものように受付を済ませる。
ロビーを見ると、今日はすでに耕太君ママの由紀奈(ゆきな)さんも来ていて、私に手を振ってくれた。
どうやら私たちが来るのを待っていてくれたらしい。
耕太君もすぐに龍介のそばに来て、一緒にバトルスーツ装着システムへと消えていく。
ほどなくしてスーツに着替えたドラゴンブルーとバードレッドはそれぞれ私たちに決めポーズをして見せると、そのままバトルフィールドへと入っていった。
うふふ・・・
今日も楽しませてもらうわね。

「聖香(せいか)さん、こんにちは」
「こんにちは、由紀奈さん」
私は由紀奈さんに挨拶し、彼女の隣に腰を下ろす。
「はい、どうぞ」
「わ、ありがとう」
私は由紀奈さんが差し出してくれたオレンジジュースをありがたく受け取った。
ここ二三日でわたしは耕太君ママである由紀奈さんとすっかり意気投合するようになっていた。
なんだか優しくて癒し系の感じの彼女はかわいいのよねぇ。
「ふう・・・美味しい」
「よかった。いつもそれをお飲みでしたから」
にこやかにほほ笑む由紀奈さん。
私もつられて笑顔になる。
「でもおごってもらっちゃっていいの? お財布厳しくない?」
「ええ、豪華なランチをおごるというわけにはいきませんけど、ジュースぐらいなら」
そうよねー。
お互い毎日ここに来ているから、出費がかさむわよねー。
明日あたりまたお金をおろしてこなきゃ・・・
「あ、始まりますよ」
「うふふ・・・二人のお手並み拝見ね」
「ええ・・・ジャドーマにどこまで立ち向かえるかしら。ふふふふ・・・」
「うふふふふ・・・」
私たちはモニターに映る赤と青のヒーローたちに立ち向かう怪人や戦闘員たちの動きにいつしか見入っていた。

「はい、お疲れ様でした、龍介隊員、耕太隊員」
「「お疲れ様でした」」
二人そろってびしっと敬礼を決める龍介と耕太君。
えっ?
もう終わり?
もう二時間も経ってしまったの?
なんだか全然そんな気がしないわ。

「由紀奈さん。由紀奈さん」
私は隣でとっくにデモ画面に切り替わったモニターをまだを見つめている由紀奈さんに声をかける。
なんだかぼうっとして心ここにあらずという感じだわ。
まるで夢でも見ているような・・・
「あ・・・えっ?」
私が声をかけたことでハッとして私の方を見る由紀奈さん。
「もう終わりましたよ。耕太君が待ってますよ」
「あ・・・いけない、私ったら夢中になっちゃっててぼうっとしちゃって・・・」
その気持ちはわかるわぁ。
私もそんな感じだったもの。
なんだかモニターを見ていると頭がぼんやりして躰がふわふわしてくるような感じで。
とっても気持ちが良くて。
そして・・・
ジャドーマの紋章が頭に浮かんでくるのよね。
とても素敵なジャドーマの紋章が・・・

「ママー」
いけない。
龍介が呼んでいるわ。
精算をしなくちゃね。
私は財布を取り出して受付に行く。
「いつもご利用ありがとうございます。二時間のご利用で六百円になります」
にこやかな受付の女性が利用料を言ってくる。
私は財布から五百円玉と百円玉を取り出して、トレーに入れる。
ふう・・・
毎日六百円は結構するわよねぇ。
これが来月からは二千円になるわけ?
どうしましょう・・・

私と由紀奈さんはそれぞれ支払いを済ませ、受付を後にしようとする。
「あの、お客様」
「はい?」
「いつも当施設をご利用くださいまして、本当にありがとうございます。こうして毎日のように来ていただけますのは従業員といたしましてもうれしい限りです」
「うーん・・・なんだか足が向いちゃうのよねぇ。あの子よりも私の方がここへ来たくなってしまうというか・・・」
私は苦笑する。
毎日今日こそは行かないと思うのに、気が付くとここへ来ているという感じなのだ。
「私もです。なんだかどうしても来たくなっちゃって・・・」
隣で由紀奈さんも苦笑いをしている。
「それはきっとお二人に適性があるからですわ」
「適性?」
なんのことだろう?
私と由紀奈さんが顔を見合わせる。
「いえ、こちらのことでして。ですが、こう毎日のようにこちらへいらっしゃられますと、失礼ですが結構なご負担を感じていらっしゃるのではございませんでしょうか?」
「えっ? そ、それは・・・まあ・・・」
確かに毎日となるとやや負担に感じるのは事実だ。
我が家はそれほど裕福ではないのだから。
「う、うちもまあ・・・」
由紀奈さんも口ごもる。
たぶん彼女にとってもそうなのだろう。

「やはりそうでしたか。お客様にご負担を強いてしまうというのは当施設としては本意ではありません。結局お客様の足が遠のいてしまうのでは本末転倒でございますし」
まあ、それはそうよね。
せっかく来てもらいたくてもお金がないから行けませんとなっては、こことしても困るわよね。
「そこで、もしよろしければなのですが、ご自宅でもお楽しみいただけますよう当施設のスーツレンタルをお試しになられましてはいかがでしょう? 今ならオープン記念でレンタル料は今月中は無料となりますが」
「スーツレンタル?」
「はい。ご自宅に龍介隊員や耕太隊員が着用なさってますあのバトルスーツをお持ち帰りいただき、当施設に来られなくてもあのスーツで遊んでいただけるシステムとなっております。これですとスーツのレンタル料のみでご利用いただけ、施設使用料はかかりません。レンタル料も今月中は無料です」
あのスーツを自宅で?
確かにスーツだけでも着たら遊びの雰囲気が格段に変わるとは思うけど・・・

「でも、ただスーツを着るだけになってしまうのでは?」
由紀奈さんの問いかけに私もうなずく。
ここで遊んでいるようなことが自宅でできるとは思えないし。
「それはご心配なく。やや画像構成が大雑把になってしまいますが、ヘルメットに装着されたゴーグルのVR機能が働き、室内の家具や物品をバトルフィールドと同じような障害物に見立てて表示してくれます。ですので、ここで遊ぶよりは精度は落ちますが、同じように遊んでいただくことは可能です」
へー。
最近のデジタル技術はすごいのねぇ。
家の中でも遊べるなら、その方がいいわよねぇ。

「ただ、一つだけお母様方のご協力が必要な部分がありまして・・・」
「協力?」
何を協力するというのだろう?
「スーツのVRゴーグルは周囲の家具や物品をバトルフィールドの障害物にすることは可能なのですが、動くもの、つまり敵役である怪人や戦闘員等を表示するには基準となる人が必要となりまして、その役をお母様方に行なっていただくこととなります」
「えええ?」
「わ、私たちがですか?」
「はい。こちらで用意いたします特殊スーツをお母様方にも着用していただきまして、戦隊スーツを着用したお子様の前に立っていただきますと、ヘルメットのVRゴーグルがスーツの信号を読み取ってお子様の目には敵の怪人や戦闘員に見えるというわけです」
そう言って受付の女性が黒く畳まれた布の塊を差し出してくる。
それは広げられると躰全体を包み込む全身タイツのような黒いスーツだった。
ほかに紋章の付いたバックル付きのベルトやブーツに手袋もある。
「これを着ろと?」
「はい。これはセンチューラのスーツでして、お母様にこれを着ていただきますことでお子様のスーツにはジャドーマの女戦闘員であるセンチューラが現れたように映ります。それでお子様とご一緒に遊んでいただくことができるわけです」
「はあ・・・」
ジャドーマとはこの“戦隊ヒーローになろう”に登場する悪の組織名であり、センチューラとは線虫をベースにしたジャドーマの戦闘員のことである。
男性型のセンチューと女性型のセンチューラがいて、私たちはそのセンチューラのスーツを着るということらしい。

「あ、あの・・・」
私はどうしたものかと戸惑ってしまう。
いくら何でもこんなものを着て子供と遊ぶなんてできるわけがない。
「どうか一度お試しくださいませ。もしどうしてもお気に召さないようでしたら、こちらに持ってきていただければOKですので」
そういって大きな手提げ付きの紙袋にドラゴンブルーのスーツとセンチューラのスーツを入れて渡されてしまう。
由紀奈さんの方もバードレッドとセンチューラのスーツを手渡され、困惑したような表情を浮かべていた。
「一度お試しくださいませ。きっとお気に召すと思いますので」
「はあ・・・」
押し切られるように二つの袋を押し付けられてしまう私と由紀奈さん。
まあ、無料ということだし、私はともかく龍介がドラゴンブルーのスーツは着たがるだろうから、持ち帰ることにしましょうか・・・
あとで返せばいいことだし・・・
私はそう思い、二つの袋を下げて受付を後にした。

続く

  1. 2019/03/25(月) 21:00:00|
  2. ママと遊ぼう
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北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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