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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

しずく(8)

2500日記念SS「しずく」も今日で最終回です。

今作品はTRPG「TRAVELLER(トラベラー)」の世界観を使っていたり、あんまりなじみのない宇宙SFだったりとかなり俺得な作品でしたので、読者の方を置いてきぼりにしてしまったかもしれませんね。

ともあれ、これで終わりです。
それではどうぞ。




それからの俺はジャンプの間中彼女たちに付きっきりだった。
“しずく”の効果を見計らって再度注射を打ち、そのたびごとに彼女たちの心に俺への服従心を植えつける。
もちろん性的な奉仕をさせることも忘れない。
まさにアダルトゲームの世界がそこにあるのだ。
最初は嫌がっていた二人も、二日三日と時間が経つにしたがって徐々に変わってくる。
俺の命令に素直に従うようになってきたのだ。
ヴラニカのほうは以前も“しずく”の影響を受けていたせいか、それとも諦めが早かったのか、わりと俺に従順に従っていた。
リヴァーナのほうも必死に俺に抵抗していたものの、三日目を過ぎるころからだんだんと態度が柔らかくなってきた。
俺の命令に従うことは気持ちいいことと刷り込んでいるので、だんだん俺の命令に従うようになってきたのだろう。

「ふふふふ・・・うまそうにしゃぶるようになってきたじゃないか」
俺は股間に顔をうずめて俺のモノをしゃぶっているリヴァーナにそう言ってやる。
「んん・・・はい・・・ご主人様のしゃぶるの・・・好きになってきました・・・」
なんとなくうっとりとした表情を浮かべているリヴァーナ。
もとがいいだけにその顔は俺の嗜虐心をゾクゾクさせてくる。
「ふふふふ・・・男なんて大嫌いだったんじゃないのか?」
「ああ・・・そうです・・・でも・・・ご主人様は別です・・・意地悪言わないでください」
うまそうに俺のものをしゃぶり、舌を這わせていくリヴァーナ。
つい先日までの彼女とは別人のようだ。
「ふふふふ・・・ヴラニカもちゃんとリヴァーナを可愛がってやるんだぞ」
俺はリヴァーナの背後にいるヴラニカに声をかける。
「はい、もちろんです。ご主人様」
そう答えながらヴラニカはリヴァーナの胸を優しく揉んでいる。
リヴァーナは俺のモノをしゃぶりながら胸を揉まれているのだ。
「あ・・・あふん・・・ああ・・・」
胸を揉まれる感触にもだえながらも、一心に俺のモノをしゃぶるリヴァーナ。
その様子に俺はたまらずリヴァーナの口に白濁液を放出する。
「んんっ・・・んんんっ・・・んぐっ・・・」
出された精液をこぼさないようすべて口で受け止める努力をするリヴァーナ。
俺がそうするように命じてあるのだ。
だから彼女はそれに従おうとしているのだ。
「ふふふふ・・・美味いか?」
「んぐっ・・・ふあ・・・はい・・・美味しいです」
唇の周りについた精液を舌で舐め取るリヴァーナ。
なんともエロティックでいやらしい表情だ。
「それでいい。可愛いぞ、リヴァーナ」
俺は優しく彼女の頭をなでてやる。
「・・・ありがとうございます、ご主人様」
まだ少し複雑そうな表情で俺を見上げるリヴァーナ。
だが、はるかにその表情は柔らかくなっている。
俺になでられたことがうれしかったのかもしれない。
「良かったわね、リヴァーナ。ご主人様のエキスを私にも少し頂戴」
ヴラニカがそう言ってリヴァーナにキスをする。
お互いに舌を絡めあい俺の精液の味を楽しんでいるのだ。
可愛い奴らだ・・・
俺はとても満足だった。

                   ******

こうして俺は二人を“しずく”を使って調教しつつ時間を過ごした。
そして無事に一回目のジャンプを終えて深宇宙にジャンプアウトすると、彼女たちに手伝わせて燃料を移し変え、すぐに二回目のジャンプに入った。
行き先はモーガン。
四星系からなるランヤード植民星団と呼ばれる小規模星間国家の所属星系だ。
ここに逃げ込めばとりあえずは一安心といったところだろう。

「ああ・・・ご主人様のおチンポ・・・たくましくて素敵・・・」
うっとりとした目をしながら俺のモノに頬擦りをするヴラニカ。
その顔には妖艶な笑みが浮かんでいる。
すっかり俺に心酔しきっている表情だ。
「ご主人様の太もももですわ。抱きついているだけで感じてしまいます・・・」
床にぺたんと座り込みながら俺の足にしがみついているリヴァーナ。
彼女も同様に俺に崇拝の目を向けている。

二度目のジャンプに入り、再び彼女たちの調教を行ったことで、ほぼ二人は俺のメス奴隷へと変化した。
“しずく”によって俺のことを崇拝するように仕向けられた彼女たちに取り、今や俺は彼女たちには神にも等しい存在になっていた。
俺の命令に従うことは彼女たちの喜びであり、俺に性的な奉仕をすることこそが彼女たちの生きがいと思い込むように刷り込まれた二人。
もはやヴラニカもリヴァーナも俺の命令には絶対服従であり、俺が死ねと言えば喜んでその命令に従うだろう。
良くも悪くも“しずく”というのはそこまでの力のある薬品なのだ。
こんなものを作り出したピューリティ連合の恐ろしさを、俺はいまさらながらに思い知らされている。

このジャンプが終わるころにはもう二人に“しずく”を使う必要はなくなっているだろう。
もう彼女たちの思考は完全に書き換わっており、以前の思考を取り戻すことは考えられない。
むしろ彼女たち自身がそんな思考を持っていたことを否定するだろう。

「ああん・・・気持ちいい・・・気持ちいいのぉ・・・ご主人様・・・ご主人様ぁ・・・」
俺の上で快楽に身悶えながら腰を振るヴラニカ。
もう何度もセックスしているが、彼女の中はとてもすばらしい。
俺のモノに吸い付くように絡み付いて離さないのだ。
「はあん・・・あん・・・」
傍らでは俺と姉のセックスを見ながらリヴァーナがオナニーをしている。
俺に命じられ、気持ちよさそうにオナニーしているのだ。
彼女の中もまた姉に劣らずすばらしい。
まさに名器を持った姉妹といえる。
「待っていろ、ヴラニカが終わったらお前の番だ」
「ああ・・・はい・・・ありがとうございます、ご主人様ぁ・・・」
快楽にとろけた顔で俺に礼を言うリヴァーナ。
数日前には考えられもしないことだったろう。
だが、今彼女にとっては俺の命令こそがすべてなのだ。
俺は力強くヴラニカの腰を引き寄せて白濁液をほとばしらせた。

                   ******

モーガン星系の空域にジャンプアウトした「ガムボール」は、早速ランヤード植民星団自警軍の警備艇の接触を受けた。
俺はこの「ガムボール」が帝国船籍であることを提示し、ピューリティ連合に寄ってからこの星系に来た単なる商船であることを強調して事なきを得る。
幸いランヤード植民星団はそれほど外部からの訪問に神経を尖らせている国家ではない。
むしろ近隣のカーター技術主義国やピューリティ連合、カーライリアン星間議会などと星間貿易を行っているために外来船には寛容な国家といっていいだろう。
おかげで「ガムボール」もさほど問題視されずに入国することができるわけだ。
もっとも、星団内で問題行動を起こせば当然その限りではないだろうが・・・

俺はピューリティ連合から何らかの追跡者が来ることを考え、このモーガンでは物資補給だけにとどめることにした。
結果的に結構な量の“しずく”を持ち去ってきてしまったことになるため、取り返しにこないとも限らないのだ。
もしかしたらピューリティ連合内では俺は犯罪者扱いになっているかもしれない。
少しでも早くピューリティ連合からできるだけ離れるほうがよさそうだ。

俺は「ガムボール」をモーガンの軌道宇宙港に停泊させると、すぐに係官と交渉して燃料や生活物資の補給を行ってもらう。
モーガンの宇宙港はトラベラー協会の表示によればBタイプということだが、なるほど軌道宇宙港もそこそこ大きく船舶の出入りも多いようだ。
ここはせっかくのBタイプ宇宙港ということだし、ジャンプミスを起こしづらい高純度燃料を入れてもらおうかとも考えたが、このあと何があるかわからないし、ここで金を使ってしまうのはまずいと考え価格の安い低純度燃料で我慢する。
まさかそう何度もジャンプミスをするとも考えづらいしな。

燃料代二千百に停泊代が百クレジット、生活物資代が三人分で六千クレジットか。
今までは一人分で済んでいたが、今回からはヴラニカやリヴァーナの分も必要だ。
金がかかってしまうが仕方がない。
俺は合計八千二百クレジットを振り込み、物資補給が行われるのを待つ。
その間ヴラニカとリヴァーナの二人は部屋で待機だ。
ほぼ俺の奴隷になったようだが、まだどうなるかわからないからな。
外と接触させるのはまだ早いだろう。

こうして俺は早々にモーガンをあとにして2パーセク離れたグリッフィン星系へと向かった。
グリッフィンはまた別の小規模恒星間国家カーター技術主義国に所属する一星系であり、ここを経由してどこの国家にも属さないヒマラヤ星系へと向かうのだ。
そしてドリンサーループと呼ばれる一連のジャンプ1で行くことのできる星系が連なるライン上で船荷輸送を続けることができれば、そのうちほとぼりも冷めるだろう。
ピューリティ連合にしたって連合自体を脅かすような状態にでもならなければ、そうそう数少ない連合の宇宙船を派遣して俺たちを探し回るようなことはしないと思うしな。
まずはおとなしくほとぼりを冷ますとしようか・・・

                   ******

「ふうーん・・・これが今度の商品? 多少は見た目がいいようだけど、私たちのレベルじゃないわね」
「うふふふ・・・リヴァーナったら、そんなことを言っては失礼よ。彼女たちは依頼主のたってのご希望でメス奴隷に生まれ変わるようご主人様の調教を受けることになったのだから」
俺が船倉に入ってきたことに気が付かなかったのか、二人がそんな会話を交わしている。
二人とも合成皮革でできた躰にぴったりしたボンデージを着込み、太ももまでのロングブーツと二の腕までの長手袋をはめている。
ヴラニカは赤、リヴァーナは黒と色分けされ、二人の美しいボディラインを余すところなく見せ付けていた。

「素材が届いたようだな」
俺が声をかけると、二人のボンデージ姉妹が振り返る。
「はい、ご主人様」
「いつでも調教できますよう準備は整っておりますわ」
にこやかに笑みを浮かべている二人。
二人の目には俺への崇拝でうっとりとしたものが浮かんでいる。
それとは逆に、格子の向こうに捕らわれた二人の女性は、裸にされていることもあってうずくまってめそめそと泣いていた。

「“しずく”の用意をしろ。彼女たちにも主人に従う幸せを教えてやらなくてはいかんからな」
「はい、ご主人様」
「かしこまりました、ご主人様」
すぐに二人は手分けして調教の準備を始めていく。
もうすっかり二人は俺の助手でありメス奴隷だ。
今では進んで調教の手伝いをしてくれる。
頼りになる助手たちだった。

きっかけは、ほんのちょっとしたことだった。
ほとぼりを冷まそうとしてドリンサーループを渡り歩いていた俺たちだったが、「ガムボール」を使って船荷輸送をするにはちょうど良かった。
そのうち俺たちはリーヴァーズ・ディープの小規模星間国家のひとつ、グラーリュン集合国に立ち寄ることとなり、集合国の政府や企業の依頼で船荷輸送をすることが多くなった。

グラーリュン集合国はピューリティ連合と同様、グラーリュン星系を中心としたわずか二星系と一地方自治体からなる星間国家で、リーヴァーズ・ディープの各国家の中でも小さいものの一つだ。
だが、それでも一応の星間国家であり、自前の集合国海軍を保持することで周囲から独立を保っている。

残念なことにグラーリュン集合国のもう一方の星系ボタニー・ベイはEタイプという低レベルの宇宙港しか持ってないために、「ガムボール」で寄港することは困難であったが、幸いグラーリュン集合国は隣接星系の一つアイキーをヴェニス星系と共同で開発する協定を結んでおり、アイキー行きの物資が多数運び込まれるのを待っている状態だったのだ。
そのため「ガムボール」もそのいくらかを分け与えられて物資輸送に従事することができ、しばしこのグラーリュン集合国の商船として働いていたのだった。
グラーリュン集合国とヴェニスおよびアイキー

そんなとき、グラーリュン集合国議会の一議員がアイキー行きの荷を運ぶよう俺に接触してきた。
そのとき俺の秘書としてヴラニカが、ボディガードとしてリヴァーナが、二人してかいがいしく働くのを見たその議員は、自分もそんなふうに忠実な女性を手にしたいものだと言ってきたのだ。
荷運びにしては気前のいい支払いに気を良くしていた俺は、二人が最初から俺に忠実だったわけではなかったことをつい言ってしまった。
すると彼は、どうやったらそんな忠実な女性を作れるのかと訊いてきたが、もちろん言えるはずがない。
しまったとは思ったもののもはや後の祭りで、彼はもしほかの女性でも同じようなことができるなら、金はいくらでも払うのでぜひ自分に忠実にしたい女がいるからやってほしいと言ってきた。
この時点で断ることなどもう俺にはできなかった。
断ればいろいろと調べられ、俺は最悪なことになってしまうかもしれないのだ。

俺はやむを得ず彼の言う女性を連れてくるように言った。
彼が連れてきたのは彼に反対する反対派の議員の一人だったが、なるほど美人の女性であり、忠実な奴隷にできるならばしたいと思うような女性だった。

俺はヴラニカとリヴァーナに手伝わせ、アイキーまでのジャンプの行き帰りの二週間で彼女を調教した。
無論“しずく”を使ってだ。
最初は抵抗していた彼女も、やがて“しずく”によって刷り込まれた思考を受け入れ、議員の忠実なメス奴隷へと生まれ変わった。
そして、愛していたはずの夫に離婚を突きつけ、議員の忠実な手ごまとして反対派を切り崩すと同時に、議員のメス奴隷として夜はベッドを共にするようになったのだ。

それ以来その議員は俺にいろいろと便宜を図るようになってくれた。
そしてその見返りにこうして時々指定された女性たちをメス奴隷に調教する。
もちろん相応の謝礼もいただく。
この二人をメス奴隷にすれば、ざっと百万クレジットにはなるだろう。
それだけの金をかけても若い女をメス奴隷にしたいという男がいるのだ。
金で言うことを聞かせるのではなく、心から服従し尽くしてくれるメス奴隷。
それは男の夢と言ってもいいのかもしれない。

「ご主人様、“しずく”の用意ができました」
無針注射器を手渡してくるヴラニカ。
「ご苦労。お前にもこの薬を使ったんだったな」
「はい。おかげでご主人様のメス奴隷としてお仕えする喜びを知ることができました。とても感謝いたしております」
「いい娘だ。その衣装もとてもよく似合っている」
にこやかに答えるヴラニカに、俺は無針注射器を受け取りながらそっとお尻をなでてやる。
「あん・・・ありがとうございますご主人様。このボンデージはご主人様が私たちのためにあつらえてくださったもの。とても着心地が良くて気持ちいいですわ」
「ええ、もう私もこれ以外の衣装なんて着たくありません。このボンデージ、とっても気に入ってます。あ、でも、ご主人様のご命令ならもちろんこれ以外の服だって着ます」
胸に手を当ててボンデージの着心地をあらためて確かめているリヴァーナ。

二人が着ているボンデージはわざわざテクノロジーの高いリンターナで作らせた高級品だ。
躰にぴったり密着しているのだから気持ちいいのは当然だろう。
俺はそのほかにも二人に船外活動用の宇宙服をあつらえてやったが、こちらもまるで昔のB級SF映画にでも出てくるような躰に密着した宇宙服で、二人の滑らかで張りのあるボディラインを見事に浮き立たせるようになっていた。

「ふふふふ・・・そのときはそのときでまた俺が命令する。この船にいるときは二人ともその格好で過ごすんだぞ。いいな」
「わかっております、ご主人様」
「私たちはご主人様にボンデージ姿を見ていただけてとても光栄です」
赤と黒のボンデージ美女が、俺の目の前で笑みを浮かべている。
ビジネス時のタイトスカートのスーツにストッキングという秘書スタイルのヴラニカと、つやつやの黒い皮ツナギを着たボディガードスタイルのリヴァーナも悪くはないが、ボンデージ衣装が一番好きな俺にとってこんなにうれしいことはない。

「幸せか? 二人とも」
「はい、ご主人様」
「もちろんです。ご主人様」
二人がうっとりとした目できっぱりと返事をする。
彼女たちはもうそのように思考するようゆがめられてしまったのだ。
だが、それでいい。
もうこの二人は俺のものだ。
未来永劫俺のものだ。

「それでご主人様、調教はどちらからにいたしますか?」
リヴァーナが鉄格子のほうを振り返り、笑みを浮かべながら女どもを見比べる。
ヴラニカもこれからのことを考えているのか、薄く笑みを浮かべている。
どうやら調教の楽しさを知ってしまったらしい。
二人とも多少のサディズムが芽生えているのだろう。
俺には忠実なメス奴隷でありながら、ほかの女にはサディスティックな女王として振舞う。
まさに俺にとっては理想の女たちだ。

「そうだな、まずは右側から。お前、名前はなんと言う?」
がたがた震えるだけで何も答えない裸の女。
「ガムボール」の船倉に作られた調教室の鉄格子を開け、リヴァーナがヒールの音を響かせながら入っていって女の頬を張り飛ばす。
「ご主人様が名前を聞いているでしょ? 答えなさいよ!」
「あ・・・エマリア・・・エマリア・フィドンです」
張り飛ばされた頬を手で押さえ、恐怖の表情で女が名前を答える。
「よし、エマリア、心配することはない。すぐにお前も男に従うメス奴隷となる喜びを知ることができる。男に飼われるのは幸せだぞ」
「うふふふ・・・そうよ。私たちのようにご主人様にお仕えするの。とっても幸せなのよ」
ヴラニカが胸に手を当てている。
「うふふふ・・・あなたもすぐにわかるわ」
リヴァーナがエマリアを引きずり出す。
恐怖におびえるエマリアに、俺は“しずく”を注射する。
あとは依頼主好みに仕立てるだけだ。
いずれこの女も男に従うメス奴隷になるだろう。

“しずく”はあと二、三十人分ぐらいはある。
詳しい組成がわかってないので複製を作るのはほぼ不可能だろうが、それだけあれば充分な金になるだろう。
金がたまればどこか・・・カレドン公国にでも土地を買って住むのもいいかもしれない。
ヴラニカとリヴァーナと三人で住むのだ。
それまでは・・・
こういう調教師生活も悪くない。

END
  1. 2012/05/28(月) 21:06:13|
  2. しずく
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しずく(7)

2500日記念SS「しずく」も七回目。
今日と明日のあと二回となりました。

それではどうぞ。




じ、冗談じゃない。
これを撃たれてたまるものか。
殺す気はないなんて言っているが、これを撃たれたらショックで死んでしまうぞきっと。
一か八か・・・
覚悟を決めるしかない。
俺はポケットからそっと注射器を取り出して手に持った。

銃声とともに俺はコンテナを蹴る。
床をすべるようにしてリヴァーナの足にしがみつき、そのまま彼女の太ももに注射器を押し当てて薬液を注入する。
「うあっ! な、何を、何をした!」
足にしがみついた俺を蹴り飛ばし、怒りに燃えた目で俺をにらみつけてくるリヴァーナ。
俺はまたしてもコンテナに背中を打ちつけてしまう。
「グフッ」
衝撃で息が詰まる。
だが、薬剤の注入はうまく行った。
あとは“しずく”が効いてくれれば・・・

「何をしたの? 私に何をしたの? 答えなさい!!」
俺に銃を向け怒鳴りつけてくるリヴァーナ。
何をされたのか不安で仕方がないんだろう。
俺だってそうだったからな。
「ハア・・・ハア・・・クッ・・・私に何をした?」
“しずく”が効いてきたのか、呼吸が荒くなり胸に手を当てている。
拳銃は俺に向けているものの、その銃口が揺れている。
「銃を置け。床に銃を置くんだ」
俺は意を決して命令してみる。
うまく・・・うまくいってくれますように・・・

「あっ・・・えっ?」
戸惑いながらも床に銃を置くリヴァーナ。
やった!
“しずく”が効いたんだ。
「な、なぜ?」
自分の行動が信じられないと言う表情のリヴァーナ。
「よし、そのまま銃をこちらに向かって滑らせるんだ」
俺は続けざまに命令する。
「あ・・・はい」
スーッと床を滑りながら俺のところにやってくる拳銃。
俺はすぐにそれを取り上げると、全身の痛みに耐えて立ち上がった。

「き・・・貴様!! 私に何を!」
まるで視線だけで人を殺せそうな憎悪に満ちた目を俺に向けてくるリヴァーナ。
“しずく”の影響で俺に従ったとはいえ、まだまだ俺に対する敵意が消えたわけではない。
むしろ増幅されたと言っていい。
“しずく”が効いているうちにそれを何とか解消してしまわねば・・・
「よく聞け。お前はもう俺の奴隷だ」
俺はドキドキする。
まるで俺自身が“しずく”を打たれてしまったかのようだ。
のどが渇き、汗がじっとりと浮いてくる。
これは蹴られたことによる全身の痛みからだけではあるまい。
「お前は俺のメス奴隷だ」
言ってしまった・・・
単独任務のときに何度となく楽しんだアダルトゲーム。
その中に女性を調教して言いなりにするというゲームがいくつかあった。
俺はそういうゲームが好きでよくやっていたものだったのだ。
そのゲームの中では女性を「メス奴隷」と呼んでいたのだった。

「めす・・・どれ・・・い・・・」
リヴァーナが躰を震わせながら搾り出すように口にする。
おそらく必死に抵抗しているのだろう。
だが、“しずく”によって刷り込まれ焼き付けられてしまえばどうしようもない。
「そうだ。お前は俺のメス奴隷だ」
俺はさらに畳み掛ける。
“しずく”の効果があるうちに彼女に焼き付けて定着させてしまわなくてはならない。
もちろん一回ではすまないだろう。
何度も“しずく”を注射して焼付けを強固にしていくのだ。
そう、あの楽しんだアダルトゲームのように彼女を“調教”しなくては。

「いいか。今から俺の言うことをよく理解して自分に置き換えて繰り返すんだ」
「・・・・・・」
俺の言葉にキッとリヴァーナがにらみつけてくる。
だが、このままにしておくわけにはいかない。
「いいか。お前はもう俺を傷付けたり殺したりするようなことを試みることはできない。お前は俺の命令にはなんでも従い、俺に服従するのが当たり前になる」
「私は・・・あなたを傷付けたり殺したりすることを試みることは・・・できない・・・クッ・・・私は・・・あなたの命令にはなんでも従い・・・あなたに服従するのが当たり前・・・」
わなわなと躰を震わせて俺の言葉を繰り返すリヴァーナ。
心の中ではそれこそ必死に抵抗しているはずだ。
だが、こうして言葉にさせることで焼き付けも強固になってくるはず。

「ふざ・・・けるな・・・誰が・・・お前なんかに・・・」
怒りに燃えた目で俺をにらみつけているリヴァーナ。
精神力をフルに使って俺に抵抗しているのだ。
「お前は俺のメス奴隷だ。俺のことを心から敬愛し、俺の命令にはどんなことでも服従する。俺に服従することはお前の喜びであり、俺に従うことこそがお前の生きがいになる」
俺の言葉に目を見開くリヴァーナ。
その言葉がどんな意味を持っているかわかったのだ。
すでに俺の言葉は脳裏に刻まれたはず。
心なしか先ほどより彼女の視線がやわらかくなっている。
自分の意に反しながらも俺に対する敬愛の情が浮かんでくるのを止められないのだろう。
そうさ・・・
彼女だって充分すぎる美人だ。
まず手始めに彼女を俺のものにしてやるんだ。

「わ・・・私は・・・あなたの・・・メス奴隷・・・です・・・あなたを心から・・・敬愛し・・・あなたの命令にはどんなことでも・・・服従します・・・ううう・・・」
必死に自分と戦っているリヴァーナ。
だが、“しずく”が効いている以上俺の命令には逆らえない。
俺があのドッジの命令には逆らえなかったように、彼女も俺の命令には逆らえないのだ。
この“しずく”って奴はなんてすごい薬なんだ。

「あなたに服従することが私の喜び・・・くぅ・・・あなたに従うことこそが私の生きがい」
じょじょに言葉がスムーズになっていく。
それに伴い彼女の表情が、苦悶を浮かべながらも次第に緩んでいくのが手に取るようにわかる。
俺の言葉が脳裏に刻み込まれ、俺に服従することが喜びに感じるようになって来たのだろう。
「それでいい。もう繰り返す必要はないがもう一度言うぞ。お前は俺のメス奴隷だ。俺のことはご主人様と呼んで敬愛し、俺の命令にはなんでも従うんだ。いいな?」
「クッ・・・はい・・・ご主人様」
彼女の目が俺をにらんでいるが、その目に先ほどまでのようなとげとげしさはもうない。
“しずく”によって無理やり作り出された精神状態だが、彼女は自らが俺のメス奴隷だと認識したのだろう。
俺はもう大声で叫びだしたいほどうれしかった。

俺はリヴァーナにいくつか屈辱的な命令をしてみた。
四つん這いになれとか床を舐めてみろとかそういったことだ。
彼女は必死に抵抗していたが、“しずく”の効果にはかなわない。
結局嫌がりながらも俺に命令に従ってしまい、そのことが命令に従う喜びを感じさせてしまう。
俺が食事を終えるころには、やや諦めにも似たような表情を浮かべて俺に素直に従っていた。
まだまだ野生の雌豹のようなものだが、じょじょに飼いならしていってやる。

さて、このままリヴァーナをここに置いておくわけにはいかない。
そろそろ姉のヴラニカが様子を見に来てしまってもいいころだ。
もう後戻りはできない。
このままリヴァーナを上に戻せば、様子がおかしいと気が付かれてしまうだろう。
ならばもうやるしかない。
彼女にも“しずく”を打ってメス奴隷にしてしまうしかないのだ。
俺にはもうほかの選択肢はなくなったのだ。

「いいかリヴァーナ、よく聞くんだ」
俺がそういうと彼女は不満そうな表情をするがこくんとうなずく。
「上の居住区へ行って姉を呼び出すんだ。俺が暴れて手がつけられないとでも言ってな。そしてここにつれてきたら後ろから羽交い絞めにしろ。お前は格闘ができるから問題ないはずだ。いいな」
息を呑むリヴァーナ。
それはそうだろう。
俺は彼女に姉を差し出せと言っているのだ。
普通の状態であればできるはずがない。
「返事はどうした? これは命令だぞ」
これは俺にとっても賭けのようなものだ。
はたして“しずく”はどこまでのことができるのか?
リヴァーナにこの命令にも従わせることができるのか?
ある意味“しずく”の限界に対する挑戦ともいえるだろう。

「・・・はい・・・ご主人様・・・」
リヴァーナは悔しそうに俺をにらみつけたものの、やがてあきらめたようにそう言った。
そしてくるりと俺に背を向けてハッチのほうへ向かうと、ハッチを開けて出て行った。

「ふう・・・」
俺は思わずため息をつく。
やってしまった・・・
俺は取り返しのつかないことをしてしまったのだ。
だが、この興奮は何だ?
大声で叫びだしたいほどの興奮。
美しい女を意のままにできる喜び。
ゲームなんかじゃなく本当にメス奴隷を手に入れた喜び。
とても言葉では言い表せない興奮だ。

待て待て、その前に用意しておかねば。
俺は“しずく”を再度注射器に充填する。
油断をするな。
リヴァーナはまだ完全に俺のものになったわけではない。
今はまだやむを得ず従っているだけなのだ。
どこで足をすくわれるかわからない。
さっき俺はなんて言った?
俺が暴れて手をつけられないとでも言って・・・と言ったはず。
となれば武器を持ってくるかもしれない。
充分に注意しなくては。
俺は浮かれていた気持ちを引き締める。
詰めが甘くなってはいけないからな。

「ミシェルさん!!」
突然船倉につながるハッチが開き、心配そうな表情をしたヴラニカが入ってくる。
俺はなんだかうれしくなった。
ヴラニカは俺が暴れていると言われただろうにもかかわらず、俺のことを心配してくれたのだ。
俺はとりあえず無針注射器をポケットに隠し、両手を広げて何も問題がないことを示してやる。
「ミシェルさん・・・どうやらご無事のようですね。きっと妹が手荒なことをしたんでしょうけど、どうか落ち着いて暴れたりするのはやめてください」
俺の無事な姿を見てホッとした表情を浮かべるヴラニカ。
その顔がなんとも言えず美しい。
ちょっとくすんだ金髪をショートカットにしているリヴァーナとは違い、彼女の方は輝くばかりの見事な金髪を背中の辺りまで流している。
吸い込まれるような青い瞳が俺をじっと見つめていた。

「すまない、ヴラニカ。俺にはもうこれしか道はないんだ」
「えっ?」
ヴラニカがきょとんとした表情を浮かべるとほぼ同時に、彼女の背後からやってきていたリヴァーナがヴラニカを羽交い絞めにする。
「な? リヴァーナ、な、何を?」
「ご、ごめんなさい姉さん。私もう自分で自分がコントロールできないの・・・」
姉を羽交い絞めにしながら苦悶の表情で俺をにらみつけてくるリヴァーナ。
俺の命令には従わざるをえないが、心はまだ屈服したわけではないのだ。
だが、その目には弱さも垣間見られるようになっている。
姉を押さえながらも、俺の命令に従うことの気持ちよさも感じているに違いない。

「ミシェルさん、あなたいったい妹に何を・・・」
「すまないな。君たち二人には俺のメス奴隷になってもらうよ。俺の言うことならなんでも従う可愛いメス奴隷にね」
俺は自分で自分の言ったセリフに苦笑する。
まさに俺が楽しんできたアダルトゲームの中に出てくるようなセリフじゃないか。
まさか自分でこんなセリフを言うときが来るとはね。
「メ・・・メス奴隷?」
「や、やめろ・・・姉さんには手を出すな・・・」
姉を羽交い絞めにしながらも精一杯の抵抗をするリヴァーナ。
まあ、今の段階では当然だろう。
これから二人を“しずく”で調教し、俺の言うことはなんでも聞くメス奴隷にしなくてはならない。
ここまで来たらやるしかないのだ。

「い、いやっ! やめてっ!」
俺はポケットから注射器を取り出し、羽交い絞めにされているヴラニカの首筋に“しずく”を注射する。
「あ・・・な、何を・・・」
俺は“しずく”が効いてくるまでしばし待つ。
ヴラニカの呼吸が荒くなり、やがて目が焦点を失い始める。
どうやら効いてきたようだ。

「あ・・・私に・・・私に何を・・・したんです・・・」
うつろな目をして俺に訊いてくるヴラニカ。
なんて美しいんだ。
この女を俺のものにする。
こんなすばらしいことがあるだろうか。
「ああ・・・姉さん・・・姉さんしっかりして・・・」
姉を羽交い絞めにしていながら、一方では姉を心配すると言う異様な状況のリヴァーナ。
俺を憎悪の目でにらんでいる。
“しずく”の効き目が切れてきたか?
いや、待て・・・
一度に多くを注射してもいいことはあるまい。
明日もう一度注射をすればいい。

「よく聞くんだ、ヴラニカ」
「ああ・・・はい」
こくんとうなずくヴラニカ。
思わず返事をしてしまうのだろう。
「お前は今日から俺のメス奴隷になるのだ」
「メス・・・奴隷?」
「そうだ。お前は俺のメス奴隷だ。俺の言うことはなんでも聞き、俺を傷付けたり殺すようなことは決してしない。俺に心から敬愛して仕え、俺の命令に従うことがお前の幸せになる」
「ああ・・・あああ・・・」
がくがくと躰を震わせるヴラニカ。
心の中で必死に抵抗しているのだ。
俺の言葉と戦っていると言っていい。

「リヴァーナ、お前からも言うんだ。姉さんはご主人様のメス奴隷になるんだと」
「えっ?」
驚いたような表情をするリヴァーナ。
まさか自分が姉の調教の手伝いをさせられるとは思っていなかったのだろう。
だが、これもリヴァーナに対する調教の一環だ。
彼女にももっともっと俺に忠実なメス奴隷になってもらわねばな・・・

「どうしたリヴァーナ? 言うんだ!」
「・・・・・・はい・・・ご主人様・・・姉さん・・・姉さんも・・・ご主人様の・・・クッ・・・メス奴隷に・・・なるのよ・・・」
悔しそうに途切れ途切れになりながらもそう口にするリヴァーナ。
「ああ・・・リヴァーナ・・・あなたはもう・・・」
背後の妹を振り返るヴラニカ。
「・・・・・・ごめんなさい姉さん・・・私は・・・もう・・・」
姉から顔を背けるリヴァーナ。
「・・・そう・・・彼が私たちの・・・ご主人様なのね・・・」
「・・・・・・ええ・・・」
「そうだ。俺が今からお前たちの主人だ。俺の命令にはなんでも従うんだ。そして俺のことはご主人様と呼べ。いいな」
「ああ・・・はい・・・ご主人様」
「・・・はい・・・ご主人様」
二人が俺の言葉にうなずいた。

「ふう・・・」
久しぶりに俺は「ガムボール」のコクピットに戻ってきた。
シートに腰を落ち着けるとホッとする。
なんだかんだ言って俺はこの「ガムボール」が気に入っているんだなぁ。
まあ、自分の船ともなれば誰だって愛着が湧くんだろうけどね。

ヴラニカとリヴァーナの二人は居住区画のもう一つの部屋に押し込んだ。
とは言ってもたいして広くもない部屋だから、共有スペースも自由に使わせておく。
だが、コクピットには俺が許可したとき以外は入るなと命じておいた。
“しずく”の威力はすごいものだ。
二人ともいやそうなな表情を浮かべながらも俺の命令に逆らう様子はない。
本当にすごい薬だ。
よくこんなのを俺の船で運ぶ気になったものだ。
まあ、俺自身“しずく”のせいで彼らに逆らうことはできなかっただろうし、エイリア女史もいたから安心していたのだろう。
まさかこんなふうに積荷を積んだままプルガトリィを離れることになるなんて思いもしなかったからな。
だが・・・
おかげで俺はこうしてあの二人を支配することができた。
ジャンプから通常空間に戻るまでの間、彼女たちをじっくりと調教することにしよう。
俺は自然と笑いがこみ上げてくるのを止めることができなかった。

  1. 2012/05/27(日) 20:48:02|
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しずく(6)

2500日記念SS「しずく」も六回目になります。

楽しんでいただけているのかはなはだ不安ではありますが、よろしければどうぞ。




「痛ててて・・・」
気が付くと俺は両手と両足を粘着テープのようなもので後ろで縛られ、「ガムボール」の船倉の片隅に転がされていた。
必要最低限の明かりしか点いていない船倉内なので薄暗い。
やれやれ・・・
宇宙服だけは脱がせてくれたらしいな。
インナースーツ姿なのでちょっと肌寒く感じる。
その場で殺されなかったのは良かったが、これではどうしようもないな。
せめて手足の拘束だけでも解かなくては。
そう思ってしばらくじたばたしていると、通路に通じているハッチが開く。
そこから通路の明かりが漏れて人影が入ってきたのに気がついた。

もしかして俺を殺しに来たのではないか?
そう思って俺は緊張に躰を固くする。
「だれだ?」
俺がそういうと、入ってきた人影もびくっとしたようだ。
「き、気がついていたんですね?」
そう声がして明かりが点けられる。
やってきた人影を見て俺は別の意味で驚いた。
てっきり妹のほうだと思ったのに、入ってきたのは姉のほうだったのだ。
しかも躰のラインにフィットした宇宙服のインナースーツ姿である。
俺はこんな状況にもかかわらず胸が高鳴ってしまった。

「妹が手荒なことをしてごめんなさい。痛みはありませんか」
俺のそばにやってくる姉。
持っていたものを手近なコンテナの上に置き、そのまましゃがみこんで俺の後頭部に手を当てる。
「痛たた」
「あ、ごめんなさい」
あわてて手を引っ込める。
「本当にごめんなさい。でも、あの星を出るにはこうするしかなかったんです。赦してください」
彼女がぺこりと頭を下げる。
どうにも俺は彼女を憎むことはできそうにないな。

「理由を聞かせてくれないか? あの星を脱出したかった理由を」
とりあえず彼女たちが何者で、どうして俺の船を乗っ取ったか知りたいところだ。
「はい・・・私がすべての原因なんです・・・」
「原因?」
「はい。私はプルガトリィの信仰心教育施設で信仰心教育を受けていたんですが、妹が言うには施設で行われているのは教育でもなんでもない、あそこはバホート神に盲従する人間を作り出すための洗脳施設だというのです」
「洗脳施設?」
俺はすぐにあの“しずく”のことが脳裏に浮かんだ。
確かにあれを使えば洗脳とも呼べるレベルで人間の思考を変化させることもできるだろう・・・

「ええ、私も以前はそう思っておりました。実は私は以前バホート神にささげられる処女として選ばれたことがあったんです」
「神に選ばれた処女?」
「そうです。バホート神に対して感謝をささげ、大地の恵みをお祈りするために神官の方々に処女をささげるのですが、私はどうしてもそれがいやだったので、何とか別の人に代わってもらいたいと思っておりました」
なるほど・・・
いい年をした男ども相手に処女をささげるのは願い下げというわけだ。
「でも、私の両親はこんな名誉なことを辞退するなんてけしからんといい、私を神殿に連れて行きました。妹も私を何とか助けようとしてくれたのですが、こともあろうに政府に反抗的なバホート神に対する信仰心を持たない人たちに助力を頼んでしまったみたいで・・・」
「ふむ・・・」
「妹たちは私を助けようと神殿に来てくれました。ですが、神殿警護隊の方々と戦いになってしまって・・・結局私は選ばれた処女としてはふさわしくないということになり、神にささげられることはなくなりましたが、信仰心が不足しているということで再教育を命じられ、このプルガトリィの施設に送られてきました」
「妹さんも一緒に?」
「いいえ、あの娘は最後まで私を助けようとしてくれたんですが、神殿警護隊の方々との戦いで怪我をしたらしく、助力を頼んだ方々が連れ帰ったそうです。それが今回、その方々と一緒にここまで私を助けに来てくれて・・・」
そこまで言って彼女はちょっと困ったような表情をした。
もしかして、彼女は助けられたことがうれしくないのだろうか・・・

「あの娘は変わってしまいました。やさしい娘だったのに・・・銃を使って人を傷つけるなんて・・・」
「あんたを助けるためだったんだろう・・・」
「それは・・・ありがたく思います。でも、バホート神に対する信仰心をかけらも持たないような人たちと行動し、神殿にも政府にも反抗するなんて間違ってます」
「だが、あんただって処女をささげるよなことはしたくなかったんじゃ?」
「あの時はそう思いました。でも、教育施設でみんなと一緒に規則正しい暮らしをして神のお言葉を教えていただいていたら、私が間違っていたと思うようになってきたんです。バホート神に処女をささげるのはとっても名誉なことだったのに・・・」
俺は確信した。
彼女にはあの“しずく”が使われたんだ。
だから考えが変わったんだろう。
「一つ聞きたいんだが」
「なんでしょう?」
彼女が顔を上げる。
まるで吸い込まれるかのような綺麗な瞳だ。
「プルガトリィの教育施設ではこう何か病気の予防注射のようなものは受けなかったか?」
「・・・・・・いいえ、受けませんでした」
しばし考えてから彼女は答える。
注射ではないのか?
もしかすると食事か何かに混ぜての経口摂取かも・・・
確かに俺みたいに原液をそのまま注射するのは問題があるか・・・

「あ、ごめんなさい、話ばかりして。お腹すいていませんか?」
彼女がコンテナに置いたトレイを取り上げる。
「本当はあの娘に拘束を解いてはだめって言われているんだけど・・・」
そういって彼女は俺にそばにトレイを置き、俺の両手の粘着テープをはがしてくれた。
「ありがとう。俺はミシェル・ダルドー。帝国の人間だ。君の名前は?」
「私は・・・」
彼女が一瞬言いよどむ。
極力俺と話したりしないように妹に言われたのかもしれない。
「私はヴラニカ・リリフォスといいます」
意を決したかのように名乗る彼女。
おそらく偽名なんかではないだろう。
「よろしく、リリフォスさん」
「ヴラニカで結構ですわ」
俺がそういうと、彼女はにこっと微笑んだ。

そのあと俺は彼女の持って来てくれた食事を食べ、少し話した。
彼女の妹はリヴァーナという名前らしい。
今はこの船のコンピュータで操船方法のマニュアルを読んでいるという。
操船方法をマスターすればあの男はもう要らないと言っているらしいというのが気がかりだが、そう簡単に宇宙船の操船がマスターできるとも思えない。
だが、少なくとも妹のほうは俺を始末しようとしているのは確かだろう。
何とかしないと殺されてしまうかもしれない・・・

と、そこまで考えて俺は手にしたサンドイッチを見つめた。
一瞬怪訝そうな顔をしたヴラニカが、やがて笑みを浮かべる。
「大丈夫ですよ。毒なんて入ってません」
「あ・・・いや・・・」
そんなことを考えたのではないのだが、彼女に見つめられて気恥ずかしくなる。
それに、俺もそうだが彼女も宇宙服のインナースーツ姿なので、自然と躰のラインが現れ、目のやり場に困ってしまうのだ。
「あの娘には私からも言って聞かせます。これ以上人に迷惑をかけるわけには行きません。私たちは別の星系に着いたらそこで降りますから」
「ああ・・・うん」
俺はそういったが、はたして妹の方が素直に俺を解放するだろうかと思う。
むしろ二人のことを知るものとして始末しようとするんじゃないのか?
そう考えてもおかしくないだろう。
彼女にとっては俺は信用できない人間のはずだからな。
やはり何とかしてこの船のコントロールを取り戻さなくては・・・

食事を終えたあと、申し訳なさそうに再度俺の手を拘束しようとしたヴラニカに、俺は必死で懇願する。
ここで両手を拘束されるとこの船のコントロールを取り戻すことが難しくなる。
だから、なんとしても拘束だけは避けたかったのだ。
俺は、ヴラニカに生理的欲求のことや体力消耗のことなどを訴え、船倉と通路をつなぐハッチに鍵をかけていいから、拘束だけはやめてほしいとお願いした。
ヴラニカはしばし考え込んだあとで、わかりました、妹にはナイショにしておきますからといい、拘束することはやめてくれた。
そして緊急用の携帯トイレを俺の部屋から持ってきてもらうと、ハッチに鍵をかけて出て行った。

船倉に一人取り残された俺は、少し様子を伺いつつ静かにする。
もしかしたら妹の方が姉と入れ替わりに俺の様子を確かめに来るかもしれないからだ。
しばらくしてその様子がないことを確かめた後、俺は船倉内を何か使えそうなものはないかと調べ始める。
ここは船内に二階層あるうちの上段の船倉。
ピューリティから積んできたものの大半がここに置かれている。
一階層下の船倉には、可変増加タンクが半分ほど場所を占めているので、隙間のあるこっちに俺を押し込めたのだろう。
さて、武器になりそうなものは何かないのか・・・
せめてあの拳銃に対抗できるものが何かあればいいが・・・

「ふう・・・」
俺はため息を付く。
わかってはいたことだが、やはり武器になりそうなものは一つもない。
そりゃあ、投げつければそれなりのダメージを与えるだろうというものはいくつもあるが、相手を確実に倒せるようなものではないし、やはり拳銃を持つ相手に使うには不適当だ。
だいたいがピューリティから積んできた物は、どうやらその教育施設とやらで使われる日常品ばかりで、食料品や生活物資ばかりなのだ。
生活には困らないが、戦えるものではない。

「医薬品のトランクか・・・」
まだ開けていないトランク。
大きさは1トンほどだろうか。
さすがに通常のコンテナとは大きさが違う。
日常品のように大量に必要となるわけではないからな。

「睡眠薬でもあれば・・・」
俺はそう思い医薬品のコンテナを開ける。
以前は危険性を考えたが、日常品と一緒に危険物を運ぶ可能性は低いだろう。
また、危険物が入っているとしたら、コンテナを開けるだけで危険になるような積み方もしないだろう。
そこまで考えて俺はハッとした。
そういえば、エイリア女史は“しずく”が・・・と言っていたな。
もしかするとこの中には“しずく”が入っているのかもしれない。
もし、この中に“しずく”が入っているとしたら・・・

コンテナの中には幾種類かの薬剤が入っていた。
ほとんどは錠剤であり、一般的な総合感冒薬から胃腸薬、痛み止めなど帝国内でもよく見られるものばかりだ。
俺は偵察局にいたときに医療の資格も取っていたので、これらの薬がどんなものかは大体わかる。

ほかにはいくつかの機材と液状薬剤が少々。
機材は使い捨てのレーザーメスや無針注射器などの医療器具。
液状薬品もだいたいはどのようなものか見当の付くものばかりだが、一点だけよくわからないものがあった。

「イドロシス・・・」
それがその薬剤の名前だった。
注射でも経口摂取でも使用可能。
成分は人間の精神に影響を及ぼすとされるものがほとんど。
おそらく間違いないだろう。
これがドッジの言っていた“しずく”なのだ。

手が震えてくる。
いいのか?
これを使うということがどんなことかわかっているのか?
相手の精神をゆがめ、自分に都合のいい考えを植えつける。
そんなことをしてもいいのか?
どう考えても犯罪ではないのか?

俺はイドロシス剤をそっと戻す。
ほかの方法を考えよう。
こんな方法がいいわけがない。
何か別の方法があるはずだ。
それに、何も殺されると決まったわけじゃない。
どこかの星で降ろされるかもしれないじゃないか。
彼女たちだって人殺しはしたくないはずだ・・・

・・・・・・だが、本当にそうか?
あの妹はピューリティ連合政府に反抗してきたんだぞ。
おそらく何人かの人間を傷付けたりしているはずだ。
もしかしたら殺してさえいるかもしれない。
目的のためには手段を選ばない女だ。
現に今だってプルガトリィを脱出するために俺の船を奪い、俺を監禁しているじゃないか。
それに俺はバイザー越しとはいえ彼女の顔を見ている。
そんな人間を黙って無事に解放してくれるだろうか・・・

それに・・・
もし無事に俺が解放されたとしても、彼女たちとはもうそれっきり二度と会うことはないだろう。
そう思うと俺は胸がキューッと痛む。
ヴラニカ・・・
彼女と会えなくなってもいいのか?
わずか小一時間しゃべっただけなのに、俺はもう彼女のことが気になって仕方がなかった。
彼女ともっと話をしたい。
彼女と仲良くしたい。
彼女の笑顔をもっと見ていたい。
いや、彼女を手に入れたい。

俺が殺されても解放されても俺は彼女と会うことはできなくなる。
そして彼女は、別の星で誰か別の男と知り合い恋に落ち・・・

俺は首を振った。
そんなことは許されない。
彼女がほかの男のものになるなんて耐えられない。
それぐらいなら彼女を殺してしまったほうがいいぐらいだ・・・

俺は仕舞ったばかりのイドロシス剤、通称“しずく”を取り出した。
これがあれば・・・
これを使えば彼女の心を俺のものにすることができる。
これを使って彼女を俺のものにするんだ。
彼女は俺のものだ。

俺は無針注射器を取り出すと、“しずく”を注射器に流し込む。
一度自分に使われただけで、他人に対して使ったこともない薬を果たして適量に合わせることができるのか?
もうこれは勘でしかない。
あの時打たれた分量はたぶんこれぐらいだ。
俺が打たれたのは原液と言っていた。
だから、これを直接注射したはずだ。
もし・・・
もし失敗したら・・・
そのときはそのときだ。

俺は“しずく”を入れた注射器を隠し持ってそのときを待つ。
心臓がどきどきして破裂しそうだ。
思いとどまるなら今のうちだと言う気持ちと、これをやらなければきっと後悔するという思いが複雑に交錯する。
ああ・・・
神様・・・
どうかうまく行きますように・・・

どれくらい時間が経っただろうか・・・
通路につながるハッチが開いて人影が入ってくる。
俺はできるだけ気取られないように振舞おうとしたが、入ってきた人物を見て凍りついた。
「な、何で拘束が解かれているわけ?」
入ってきたのは妹のほうだったのだ。
確かリヴァーナという名前だったか。
「クッ」
俺はどうしたものかと一瞬躊躇する。
この躊躇が俺のチャンスを奪ってしまった。
「動かないで!」
持ってきたトレイを放り出し、すぐさま拳銃を俺に向けるリヴァーナ。
姉と同じくとても美しい顔立ちをしているが、その目は冷たく俺をにらみつけている。
俺はおとなしく両手を上げるしかなかった。

「グハッ」
腹部に強烈な蹴りを食らい思わず声が出てしまう。
拳銃を向けながら近づいてきた彼女に思い切り蹴られたのだ。
「油断も隙もないんだから! どうせ姉さんに甘い言葉をかけて拘束を解いてもらったんでしょ? 姉さんも甘いんだから」
床に転がった俺を再び蹴り飛ばしてくるリヴァーナ。
船倉の壁に叩きつけられ、俺はうずくまった。
「あんたなんかさっさと殺したいぐらいなのよ。とりあえず生かしているのは、姉さんが人殺しをしてほしくないって言うからなのと、何かあったときの人質として使えるからぐらいなの。わかっているの?」
リヴァーナは俺を踏みつけ、まるで汚いものでも見るかのような目で俺を見下ろしてくる。
「う・・・グ・・・」
蹴られた痛みで声がでない。
くそっ・・・
こいつはやはり俺を殺す気だ。
ちくしょう・・・

「私、男は大嫌いなのよね」
「ガファッ」
またしても蹴り飛ばされる。
「神官どもばかりじゃなく、革命派の連中も女と見れば欲望に股間のものをたぎらせて迫ってくるバカばかり。クラッテと一緒よ」
クラッテってのが何かは知らないが、きっとサルと同じだ的なことを言われているんだろう。
「バホート神にささげるだなんて言って姉さんを犯したいだけの連中。革命派だって姉さんを助けてやるからって私に迫ってきて・・・ムカつくったらありゃしない」
「グハッ」
何度目かの蹴りが入れられる。
くそっ・・・
このままじゃ本当に殺されかねない。

「男なんてみんなそう。欲望に目をぎらぎらさせてこっちがちょっと甘い顔をすれば付け上がって・・・」
「オウッ!」
立ち上がろうとしたところを蹴り飛ばされコンテナに叩きつけられる。
「あんただってそう。姉さんの顔を見たときのあんたの表情、姉さんをモノにしたいって顔をしてた。そうなんでしょ?」
「グッ・・・」
図星を突かれて言葉に詰まる。
確かに彼女をモノにしたいと思っているが、そこまで顔に出ていたのか・・・
「やっぱりね・・・姉さん美人だから無理ないけど・・・」
リヴァーナが再び俺に銃を向けてくる。
「いいわ。あんたはまだ殺さない。でもね、これを撃ち抜いてあげる」
俺はぎくりとした。
彼女の持つ拳銃の銃口は俺の股間を向いている。
彼女は俺の股間のモノを撃つつもりなのだ。

  1. 2012/05/26(土) 20:58:43|
  2. しずく
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しずく(5)

2500日記念SS「しずく」も今日で五回目。
折り返し点をすぎました。

それではどうぞ。




ふと遠くで何かが光る。
突然宇宙服のヘッドセットがさまざまな会話で騒然となる。
空気が極微量しかないこの星では音は聞こえない。
当然会話は宇宙服の通信機を介することになるのだが、そこに大勢の怒声が飛び交い始めたのだ。
「な、なんだ?」
俺は突然のことに思わずそう口にする。
エイリア女史も戸惑っているようだ。

すると、見慣れた青白い光が近づいてくるのが目に入る。
あれは宇宙船を推進するスラスター駆動の発光だ。
標準星間前期レベルのテクノロジーで製造が可能になる宇宙船の推進機関で、以前も述べたように帝国内の宇宙船は大半がこのスラスター駆動で通常空間を航行している。
そのため機動ドライブと呼べば普通はこのスラスター駆動のことを指し示すのだ。
スラスター駆動はスラストプレートと呼ばれるものを作動させて宇宙空間を進む機能のため、ロケットのような噴射炎を出すことはない。
推進剤も必要ないのだ。
その代わり作動しているときには青白く発光するので、宇宙船が推進していることがわかるようになっている。
今近づいてくるのはこのスラスター駆動の発光だった。

近づいてくる箱型の宇宙船。
先端に二つの船首部分を持つこの船は、帝国内では一般的に見られる小型の自由貿易船と呼ばれるものの一種で、ジャンプ2の能力を持つ外航自由貿易船と呼ばれる奴だ。
多くの自由貿易船がジャンプ1しかできないのに比べ、ジャンプ2ができるので寄港先の選択肢を多くできる反面、その分だけ燃料を余計に搭載する必要があるので船荷の搭載量が少なくなってしまうという弱点もある。
帝国内で一般的とは言ったが、もちろんこのリーヴァーズ・ディープ宙域の帝国外の星系でもよく見られる宇宙船だ。

その外航自由貿易船が俺たちの真上を通過する。
そして船体右舷にある砲塔からビームレーザーが放たれ、宇宙港の管制塔を直撃した。
「な、なんだと!!」
俺はまたしても思わず声を上げてしまう。
ヘッドセットからは悲鳴が上がり、続いて雑音がひどくなる。
管制塔を中継していた通信が途絶えたのだ。
外航自由貿易船はそのまま上昇していくが、いったい何があったというのか?
宇宙船が宇宙港の管制塔を攻撃するなど普通ではない。

宇宙港の職員たちが右往左往する中、一台のバギーがやってくる。
もしかしたら宇宙港の職員かもしれない。
危険だから上空に上がれということかもしれない。

バギーには宇宙服を着た二人が乗っており、俺たちのすぐそばに停車する。
そしてその二人が降りてきたとき、俺は背中につめたいものを感じた。
そのうちの一人が拳銃を俺たちに向けてきたからだ。
見たところ火薬式のオートピストル。
低レベルの技術で作れるもので、帝国陸軍の兵士が持つようなプラズマガンやフュージョンガン、磁気ライフルのような高テクノロジーの洗練された武器ではないが、殺傷力は必要充分なものを持っているし、何より低レベルの技術で作れるから大半の星系で本体や弾を手に入れることができるため、今でも一般的に使われている武器だ。

『あ、あなたたちはいったい・・・』
『おとなしくしなさい。パイロットはどっち』
エイリア女子の声に続いてヘッドセットから声が流れてくる。
女の声だ。
拳銃を向けてきたのは女だったのだ。

「俺だ」
俺はそう言った。
パイロットの事を聞いてきたということは、こいつらはおそらく船を乗っ取りたいのだろう。
そんなことをさせるもんかとは思うが、拳銃を向けられている状況ではどうしようもない。
せめてエイリア女史は引き離しておこうと思ったのだ。

『そう、あなたがパイロットなのね。姉さん、早く乗って』
『リヴァーナ、危険すぎるわ。やめましょう』
『やるしかないのよ! 早く乗って!』
二人の会話が聞こえてくる。
なるほど、この二人は姉妹なのか。
俺に拳銃を向けているのが妹というわけだ。
姉のほうはあまり乗り気ではないようだが、それでもステップを上って「ガムボール」の中へと入っていった。

『あなたはいいわ、向こうへ行って』
拳銃を持った女がエイリア女史に命令する。
『ふ、船荷を降ろさせて』
『そんな暇はないわ! あっちへ行きなさい』
『し、しずくが・・・』
拳銃を向けられてしぶしぶと後ずさるエイリア女史。
いまなんと言った?
“しずく”だと?
あの薬が「ガムボール」に積まれているというのか?

『あなたは早く乗りなさい』
女が拳銃を突きつけてくる。
宇宙服のバイザー越しに鋭い視線が俺に向けられているのを感じる。
「わかった」
やむをえないか・・・
俺は「ガムボール」から伸びているステップを上り、アイリスバルブを開けて中に入る。
すぐさま俺に拳銃を向けていた女性も中に入ってきた。
なるほど、アイリスバルブを閉められては困るというわけか。
俺は思わず苦笑する。
『何がおかしいの! 早くハッチを閉めなさい』
いらだったような女の声。
俺は外側のアイリスバルブを閉め、エアスプレーで宇宙服の殺菌をして空気を満たす。
そして宇宙服のバイザーを開けて、空気があることを示してやった。

「もう銃は必要ないだろう。下ろしてくれ」
『だめよ。早くコクピットに行って。すぐにこの星を離れなさい』
女はよほど警戒しているのか、宇宙服のバイザーを開けようとはしない。
催眠ガスでも使われることを恐れているのか。
俺は無用に刺激するのは避け、そのままコクピットへと向かう。

上にあるアイリスバルブを開けたところにもう一人の女性がいた。
宇宙船のエアロックの構造はどれも同じものばかりだから、自分で開けて入ったのだろう。
こっちのほうは宇宙服のバイザーを開けていた。
その顔を見て俺は思わず息を呑む。
なんて美人なんだ。
流れるようなつややかな金髪が輝き、抜けるような白い肌に青い瞳がとてもよく似合っている。
小ぶりな唇はピンク色でみずみずしく、頤はとても魅力的なカーブを描いていた。

『姉さん、すぐにバイザーを閉めて! ガスを使われたりしたら・・・』
宇宙服の外部スピーカーからくぐもった声がする。
その声に驚いたようにすぐにバイザーを閉める姉。
残念。
もう少しその顔を眺めていたかった。

『何をしているの! 早くコクピットに行って!』
後ろから拳銃で小突かれる。
細いシャフト内に三人もいるのだから動きづらいことこの上ない。
俺は黙ってラダーを上り、四層目にある居住区画に入り込む。
すぐに拳銃を持った妹が俺の後に続き、俺が何か不審な行動をしないかどうか目を光らせている。
そして最後に姉の方がおずおずと入ってきて、背後のアイリスバルブを閉じた。

俺は下手な動きをしないようにしながら、居住区画を抜けてコクピットに入り込む。
ここでも妹の方が拳銃を突きつけながらすぐに入ってきて、コクピットに通じるアイリスバルブを閉じられてしまわないように用心する。
この女、結構こういう場面に慣れているのか?

『早く発進させて! 急いで!』
「目的地は?」
『後で言うわ。出しなさい』
どうやらかなり精神的に圧迫されているのは間違いない。
下手な動きで撃たれても困る。
俺はすぐさま「ガムボール」の発進準備を行った。

窓外の宇宙港の様子はまだ混乱しているようだった。
だが、俺たちが「ガムボール」に乗り込んだあと、エイリア女史が急いで通報したのだろう、こちらに何台かのバギーが向かってくるのが見える。
そのうちの一台はこちらに大型の銃器を向けており、ほかの一台には大砲らしきものも付いている。
実力で発進を阻止するつもりか?
もしかしたら俺ごと「ガムボール」を破壊してしまうつもりかもしれない。
俺は急いで「ガムボール」を離床させた。

上昇する「ガムボール」に向けて地上のバギーから銃砲撃が加えられる。
冗談じゃない!!
何で俺まで攻撃されなきゃならないんだ!
人質となった俺を救出しようという気は最初からないらしい。
これはどうあれこの星から逃げるしかなさそうだ。

幸い銃砲撃は深刻なダメージを「ガムボール」に与えることはなかった。
「ガムボール」は最大の1G加速で上昇し、20分ほどで軌道に達することができた。
問題はここからだ。
地上での騒ぎは当然軌道宇宙港にも届いているはず。
あの神殿警護隊の警備艇が逃走を阻止しに来るかもしれない。
そうなったとき、はたしてこの「ガムボール」で逃げ切れるのか?

一番いいのは俺の隣で拳銃を持っているこの女を叩きのめして縛り上げ、神殿警護隊に突き出すことだろう。
だが、この女はたぶん荒事には慣れている。
俺も偵察局で多少の訓練は受けているが、たぶんこの女にはかなわないだろう。
おそらく返り討ちにあって殺されるのがオチだ。
それに、神殿警護隊が素直に俺を助けてくれるとは限らない。
なんと言っても俺はこのピューリティ連合に迷い込んできたよそ者だ。
逃亡犯と一緒に始末してしまえって言うのはありえる話だ。
結局、俺は女の言うままに「ガムボール」でこの星を離れたほうがよさそうってことか。

「で、どこへ行くつもりだ。どこかへ行くなら、ジャンプ準備プログラムでジャンプの計算をしておかなくちゃならない」
『ピューリティ以外ならどこでもいいわ。飛べるだけ飛びなさい。燃料が満タンなのはわかっているわ』
なるほど、この船が燃料を入れるのを待っていたということなのか?
それにしてもいったいこいつらはなぜこんなことを・・・

このプルガトリィからだと、行ける星系は決まっている。
1パーセク内で隣接する星系は一つもなく、連続ジャンプで行くしかない2パーセク先の星系もピューリティ、ニンバス、モーガン、リンドノアーの四星系のみ。
ピューリティ連合近辺
そのうちピューリティは論外だし、リンドノアーは大国ソロマニ連合の所属星系だ。
ソロマニ連合と帝国は表向きは平穏だが、かつては大きな戦争をやらかしている敵国であり、現在も帝国にとっての仮想敵国の一つである。
できれば行きたくないところだな。

と、なれば残る選択肢は二つしかない。
ニンバスかモーガンだ。
帝国への航路を考えると、ニンバスへ向かうのが一番であり、そこから2パーセク先のバクールには帝国の偵察局の支局もある。
そこで保護してもらうという手もあるのだが・・・

“ただし、帝国からは離れる方向へ行け”
俺の脳裏に突き刺さっているドッジの言葉。
帝国に戻りたいという思いとは裏腹に、このドッジの言葉が俺を苛んでくるのだ。
それに、ニンバスは宇宙港設備がEタイプしかない。
この「ガムボール」では寄港できないのだ。
俺はまるでそのことが自分を納得させる事実であるかのように、ニンバスへ向かうという選択を放棄する。
「ガムボール」の行き先はモーガンへと決まった。

来るなよ・・・来るなよ・・・まだ来るなよ・・・
じりじりと焦燥感に駆られながら、俺はひたすら「ガムボール」をジャンプ可能域まで走らせる。
ジャンプドライブは重力源のそばではうまく働かない。
なので、惑星などから少なくともその星の百倍直径分の距離を離れなくてはならないのだ。
このプルガトリィの場合、百倍直径分離れるには約四時間かかる。
その四時間の間、追っ手に追いつかれてはならないのだ。

いまのところ警備艇が追ってくる気配はない。
おそらく宇宙港を攻撃して飛び去ったあの外航自由貿易船を追っていったのだろう。
このプルガトリィに何隻の警備艇が配備されているのかはわからないが、こっちをすぐに追ってこられる警備艇がなかったのかもしれない。
だが、いずれは無断発進したこの「ガムボール」を追ってくることは充分に考えられる。
何とかジャンプに入ってしまえば問題ないが、それまでに追いつかれたりしたら厄介だ。
頼むからジャンプに入るまで追いついてこないでくれ。

俺の願いもむなしく、発進して二時間ほどしたころ、「ガムボール」のセンサーが追いかけてくる一隻の小型艇の姿を捉えた。
おそらく神殿警護隊の警備艇に間違いあるまい。
その速度は優に2Gは出ている。
追いつかれるのも時間の問題だ。
武装といい速度といい「ガムボール」で歯が立つ相手じゃない。
相手は一隻とはいえ警備艇。
ましてこちらの武装はジャンク品と来ている。
これはもうどうしようもないじゃないか・・・

俺はふうとため息を付いてシートにもたれかかる。
「ゲームオーバーだな。追いかけっこは終わりだ」
『どうしてジャンプして逃げないの! 早くジャンプしなさい! 計算は終わっているんでしょ!』
「バカを言うな! まだ百倍直径分離れていないんだ! こんなところでジャンプしたらジャンプミスの可能性が高いんだぞ。下手したら宇宙船ごと爆発だ!」
『クッ・・・』
女が俺の言葉に黙ってしまう。
唇をかんでいるのがバイザー越しに見て取れる。
姉と同様にとても美人だ。
いったいこの姉妹はどうしてこんなことをしたんだろう。

「あの場から逃走したのは俺も同じだ。そのあたりはできるだけうまく証言するよ。おとなしく降参したほうがいい」
俺は一息ついてそういった。
この状況ではもう逃げられない
おとなしく降伏するしかないのだ。
いくらなんでも降伏した相手を裁判なしで殺したりはしないだろう。
だが、彼女は無言で首を振った。

「うおっ!」
俺は驚いた。
センサーがすぐ近くをエネルギー線が通過したことを示したのだ。
エネルギー線?
バカな!
おそらくレーザーだが、威嚇ならば可視光線化しているはず。
そうじゃなければ相手が撃たれていることに気が付かないかもしれないじゃないか。
そこまで考えて俺は愕然とした。
違う・・・
威嚇じゃないってことだ。
俺は「ガムボール」を緊急回避させる。
そのすぐ脇をまたしてもエネルギー線が通過する。
間違いない。
相手はこっちを攻撃している。

「くそっ!」
俺は通信機をオープンにした。
「攻撃をやめてくれ! 降伏する。もう逃走はしない。だから攻撃をやめてくれ」
『無駄よ』
隣から声がする。
『やつらは私たちもろともあなたも始末するつもりみたいね』
今度は俺が唇をかむ番だ。
やっぱり奴らその気なのか。
俺ごとこの揉め事をなくしてしまおうってことなのか?

どうする・・・
どうする・・・
いつまでも逃げ切れるものじゃない。
いつまでもかわしきれるものじゃない。
相手は軍用と言っていい武装艇だ。
こっちはしがない小型商船だ。
その差は歴然。
あと十分もすれば追いつかれる。
いや、その前にレーザーで破壊されてしまう可能性が大だ。
どうする・・・
一か八か・・・
それしかないのか・・・

俺はジャンプドライブを作動させた。

結論から言うと、ジャンプミスらしい兆候は発生しなかった。
異常振動もドライブ機器の大きな故障も起こらず、ジャンプした途端に「ガムボール」が爆発すると言うこともなかった。
どうやら低い確率ではあったものの、問題なくジャンプ空間に入れたらしい。
あとは一週間で無事に通常の宇宙空間に出ることさえできれば問題ない。

「ふう・・・」
俺はホッと一息つく。
手には汗がぐっしょりだ。
生きた心地がしなかったぜ。
『無事ジャンプに入ったみたいね・・・』
「とりあえずはな・・・」
俺がそういった途端、俺は首筋に衝撃を感じる。
俺は一言も発することなく意識を失った。

  1. 2012/05/25(金) 21:02:09|
  2. しずく
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しずく(4)

2500日記念SS「しずく」の四回目です。

それではどうぞ。



頭がぼうっとする。
体が熱い。
くそっ!
薬が強烈に効いてくる。
意識が朦朧としてくる反面、俺は目の前の男の言葉を一言も聞き漏らすまいとしている自分に気がついた。
なんてこった・・・

「落ち着いてください。別にあなたの命を奪ったりはしませんよ」
ドッジがそう言ったとたん、俺はすうっと心が落ち着くのを感じた。
やられた・・・
「さあ、とにかく椅子を元に戻して座りなさい。わかったでしょう? あなたはもう私の言いなりだということが」
俺は彼の言うとおりに椅子を元に戻して座りなおす。
抵抗しようとしても無駄だった。
彼の言うことには無条件で従ってしまう。
彼の言うとおり、俺は彼の言いなりになっていたのだ。

俺に薬を注射した女が俺の目を覗き込んでくる。
「“しずく”の効果は問題ないようです。いつもながら強力ですね」
「原液を注射すればこんなものだろう。どうやら特に耐性をつけている様子もないしな」
何のことだかわからないが、どうやら俺は“しずく”と呼ばれる薬品を原液のまま注入されたらしい。
「さて、ミシェル君。今君の体に起こっていること、そして今ここで行われたこと、これからここで起こることすべて、いっさい人に話したり文字に書き記すなど記録してはならない。いいね」
ドッジの言葉が脳裏に突き刺さる。
俺は素直にうなづいていた。
彼に言うことに逆らうことはできない。
くそっ、これはただの薬じゃない。
強烈な暗示薬、いや、洗脳薬だ。

「ではミシェル君、もう一度尋ねるが、君は何が目的でこのピューリティに侵入したのかな?」
「違う・・・俺はラヴィニアに向かうつもりでジャンプしたのだが、ジャンプミスでこの星系に飛び出してしまっただけだ」
「帝国偵察局の命令でここへ来たのではないのですね?」
「違う。俺はもう偵察局を退役した。今は新たに自由貿易商人として始めようとしていたところだ」
「ふむぅ・・・」
腕組みをして椅子に深く座り込むドッジ。
俺は彼の質問に次々と答えていく。

「どうやら本当に彼は何か密命を帯びてここに来たわけではないようだな」
「そうなのでしょうか?」
ドッジと脇にいる女性が話している。
「宇宙船のほうは調査が終わっているか?」
「はい。コンピュータからも一般的なプログラムしか検出されませんでした。また積荷も雑多な日用品と美術的価値のありそうなコインのみで特に気になるものは何も・・・」
「そのコインも分析したか?」
「はい。何か仕掛けられているようなことはございませんでした」
「ふうむ・・・」
考え込んでいるドッジ。
俺に語りかけられた言葉ではないので、俺は黙って彼を見つめている。

「あのような小さな宇宙船で一人で乗り込んできたから怪しいと感じたのだが、どうやら考えすぎだったようだな。帝国が我が国の動きを探るために何か仕掛けてきたかとも思ったが・・・」
「この男、いかがいたしますか? 始末いたします?」
「その必要はあるまい。元帝国の偵察局員というだけでどうやら毒にも薬にもならん無害な男のようだ。さっさとピューリティを出て行ってもらったほうがいいだろう」
「はあ・・・大丈夫でしょうか?」
不安そうな表情を浮かべる女性。
「なに、ここでのことは外部に漏らさぬよう焼き付けておけばいい。深層心理を調べたりしなければばれることはないさ。むしろバクールにある帝国の偵察局の分署が何らかの形でこの男の消息を尋ねてきたりしたときに、この男が生きていたほうが都合が良い」
酷薄そうな笑みで答えるドッジ。
くそっ、こんな男に俺は唯々諾々と従わなくてはならないのか・・・

「よく聞くんだ、ミシェル」
俺の目を覗き込むようにするドッジ。
一般的に見てもかなりの美形に属するであろうその顔は、おそらく女性にはもてるに違いない。
「君は当面何も考える必要はない。私の指示に従って宇宙船を飛ばせばいい」
俺は黙ってうなずく。
「君の宇宙船はジャンプミスをしてここにたどり着いた。君はわれわれピューリティ連合に救助を求め、救助を受けることができた。そして宇宙船の整備と補給を受けてこの星を出発した。特に何も問題となるようなことはなかった。いいね、ここでのことをだれに何を尋ねられてもそう答えるんだ」
ドッジの言葉が俺の脳に焼き付いてくる。
くそっ・・・
これで俺は彼の言うとおりのことしかここでのことは答えられないってわけか。
「もう一度言っておくが、ここで君の身に起きたこと、君がわれわれにされたことは誰にも話したり記録して伝えてはならない。わかったね」
俺は再度うなずいた。

「君はこれから船荷を積んでプルガトリィまで行くがいい。そしてそこで積荷を降ろしたらあとはどこへでも好きなところへ行くんだ。ただし、帝国からは離れる方向へ行け。いいな」
「わかりました」
俺はそう返事をした。
くそっ、癪だが薬の影響なのか逆らう気持ちがまるで起きない。
いまだって毒づいてはいるものの、彼に従うのが当然という意識が強いのだ。
こいつら、とんでもない薬を持ってやがる。

「エイリア、次のプルガトリィ行きの連絡船に載せる荷物を少しこの男の宇宙船に移してやれ。それから燃料等も補給してやるんだ」
「よろしいのですか?」
ドッジの傍らの女性が確認する。
彼女の名はエイリアというらしい。
知的な感じで好感が持てる女性だ。
「かまわん。われわれはあくまでも遭難者の救助をしたのだ。手厚く保護して送り出したことにすればいい。プルガトリィまでは君も行け。この男の監視はもう必要ないとは思うが念のためだ。それとプルガトリィの様子も見てくるんだ」
「かしこまりました」
エイリアと呼ばれた女性が一礼した。

                   ******

程なくして俺は解放され、なつかしの我が家とも言うべき小型貨物船「ガムボール」に戻ってくることができた。
とは言っても常にあのエイリアという女性がそばにおり、俺は監視されている。
傍から見れば美人と常に一緒にいる俺はうらやましい存在かもしれない。
事実、白いゆったりした衣装から機能的なビジネススーツのような衣装に着替えたエイリア女史は素敵だったことは間違いない。
だが、彼女の目は冷たく、俺は常に監視されているということを意識せずにはいられなかった。

「ガムボール」の船倉からは、カーナシュの宇宙港から預かった船荷はすっかり消えていた。
帝国製の物資なので、ピューリティ連合でありがたく受け取ったということになるのだろう。
船荷には万一のことを考えて保険をかける荷主が多いから、損をしたのはごく一部かもしれないが、俺としては申し訳ない思いがした。
今では4トン分のコインだけが残っていたが、どうやらこれはお気に召さなかったらしい。
バホート神信仰にはこういった美術品は余計なものなのかもしれない。

その船倉に次々と運び込まれる貨物。
俺はそれがなんなのかさっぱりわからないままに「ガムボール」に詰め込んでいく。
一度エイリア女史が驚いたような表情を浮かべていた貨物があったが、どうしたのかと尋ねるとはぐらかされた。
どうやら俺に知られてはならないものがあるらしい。
どうせ航海の間は暇なのだ。
後で調べてみることにしよう。
危険物ならたまらないからな。

船倉にはほかにも燃料が入ったままの増設タンクがある。
ラヴィニアまでの二回目のジャンプで使おうとしたものだが、一回目のジャンプでジャンプミスしてしまったので使わないであったものだ。
ライブラリデータによれば、このピューリティから行き先であるプルガトリィまでは2パーセク離れているらしいから、こいつの出番ということになりそうだ。

機関部は俺がいない間に整備をしてくれたらしい。
もしかしたら俺が帝国のスパイだった場合は俺を殺してこの船を使うつもりだったのかもしれないな。

ともあれ、俺はドッジの言葉が強迫観念にでもなってしまったかのように出航の準備を行った。
食料等も積み込んだが、幸いそれについての請求が来ることはなかった。
もしかしたらエイリア女史がドッジの特権で支払ったのかもしれない。
こうして俺はエイリア女史を乗せたまま「ガムボール」を出航させた。

                   ******

プルガトリィに向けての一回目のジャンプに入り、ようやく俺は少し落ち着いた。
ジャンプに入ってしまえばピューリティ連合といえども手は出せない。
本当ならこのままどこかへ逃げて行きたいところだったが、あいにくこの周囲には親帝国の星系はなく、たとえあったとしても俺の脳裏に焼きついてしまったドッジの言葉が俺をそこに向かわせるのをためらわせただろう。
俺も多少の医学の心得があるが、あの“しずく”とやらは人間の脳神経系に作用する薬のようだ。
薬が効いている状態のときに言葉を与えると、それが強烈な暗示のように焼きついて、その言葉の通りに従ってしまう。
おそらく一回でこれほど強い効果があるなら、複数回使用することで思考そのものを捻じ曲げてしまう効果があるのではないだろうか。

そこまで考えて俺はハッとした。
地上には降りなかったからそれほど気にしなかったが、ピューリティは80億もの人が住んでいる人口の多い星系だ。
その80億の人々すべてにバホート神への信仰を持たせられるものなのか?
少なくともバホート神信仰に多少の疑いを持ってしまう人だっているのではないか?
そういう人たちにこの“しずく”とやらを与えれば・・・
心からバホート神を信仰し、そのためには命も捨てるような狂信者が作れてしまうのではないだろうか・・・

たった一回注射されただけで、俺はどうあってもプルガトリィに行き、そこから別の星に向かおうという気持ちになっている。
もし複数回使われていたら、俺はあのドッジに心から平伏し、彼の言うことなら何でもやったに違いない。
なんて恐ろしいことだ。
まさしく“しずく”は俺の感じたとおりの洗脳薬ということだ。

だが、そのことを俺はだれにも言う気にならない。
これもこの“しずく”のせいだろう。
ドッジにだれにも言うなと言われたから、俺はだれにも言う気にならないのだ。
そしてそれが薬のせいだとわかっていても、俺にはこのことをだれにも言う気になれなかった。

ジャンプに入った後の一週間は暇なものだ。
「ガムボール」には船室は二つしかなく、しかも食事や娯楽は共用スペースで済ませるしかない。
極端な話、船室とは名ばかりで、ベッドを置く区切られたスペースが二つあるだけといっていい状態なのだ。
この状況はエイリア女史にとっても予想外だったようで、通常の個室のある宇宙船を想定していた彼女にとってはつらいものだったろう。

ジャンプ空間という異空間の中ではどこにも行くことはできないから、万一俺が彼女の監視を逃れて何かしようとしても意味がない。
そのためかジャンプに入ってからは、彼女は区切られたベッドの区画で読書にいそしむことが多かった。

俺はそれをいいことに、時々機関部を見に行くといって下の階層へ行く。
最初のころは彼女も付いてきたが、機関部でただ作業をしている俺を見てても仕方がないと思ったのか、二日目ぐらいからは付いてこなくなったのだ。
俺はこの時間を使って積荷を調べてみた。

積荷の大部分は日常の生活物資だった。
中には書籍や食材なんかもあり、まるで何か誰かへの差し入れのような感じもする。
プルガトリィとはいったいどんなところなんだ?

総じて船荷におかしなことは感じられなかった。
確かに医薬品など開封厳禁のものもあったので中身までは確かめてないが、薬物などはむしろ開けることで危険となるかもしれないから開けないほうがいいだろう。
となると、エイリア女史のあの表情はいったいなんだったのだろうか。

                   ******

ピューリティから1パーセクの何もない宇宙空間で一回目のジャンプは終了した。
俺は船倉に行って増加タンク内の燃料を船体内の燃料タンクに移し変え、二回目のジャンプに備える。
コンピュータに再びジャンプ準備の計算をさせ、準備が整ったところで二回目のジャンプを行った。

二回目のジャンプともなると、エイリア女史の態度も少しは和らいだ。
彼女はピューリティ連合では二級神官の資格を持っており、ドッジの秘書官を務めているという。
将来的には一級神官の資格を得て神殿府に勤めることが目標らしい。
俺はドッジのことを尊敬しているかと尋ねてみたが、彼女はドッジのことを尊敬できるすばらしい一級神官だと答えた。
何か面白くない気がする。

ピューリティを出発して二週間。
二回のジャンプを無事に終えて「ガムボール」は再び通常の宇宙空間へと戻ってきた。
窓外には小さな暗い惑星が見えている。
目的地であるプルガトリィに間違いない。
ライブラリデータによれば、空気も水も少ない星らしい。
一応ピューリティ連合の構成国ということにはなっているが、以前も述べたように実態はピューリティの植民惑星に過ぎない。
人口は二千人ほどしかいないとあるが、主要産業はいったいなんなのだろうか。
ピューリティからプルガトリィへ

「やっと着いたようね」
エイリア女史がホッとしたようにつぶやく。
二週間もの間、男と二人きりだったのだ。
きっと気が気ではなかったかもしれない。
もっとも、俺はドッジに彼女に従うように命令されていたので、彼女に手を出すことなどできなかったが・・・

軌道宇宙港に連絡を取って入港の許可をもらいなさいというエイリア女史の指示に従い、俺はプルガトリィと連絡を取る。
すぐに軌道宇宙港からは連絡があり、入港を許可すると言ってきた。
ドッジ一級神官の遣いともあれば、ほとんど無条件で入港できるらしい。

ところが、「ガムボール」を軌道宇宙港に入港させようとした俺に、エイリア女史は地表に降りろといってきた。
軌道宇宙港ではなく地表の宇宙港に船荷を降ろしたいというのだ。
俺は一瞬この「ガムボール」では大気圏突入ができないことを言おうとしたが、幸いこのプルガトリィは大気のほとんどない惑星だ。
ここならばこの「ガムボール」でも着陸は可能。
俺は軌道宇宙港にその旨を伝え、地表宇宙港からの誘導を求めた。

地表宇宙港からの連絡もすぐに来て、俺はガイドビーコンを受け取った。
あとはデータを入力すれば「ガムボール」が自動で着陸をやってくれる。
宇宙船のパイロットはアクシデントがない限りはそう難しいものではないのだ。

軌道宇宙港の近くには、例の神殿警護隊の警備艇が二隻ほどうろついていたが、いずれもこちらがエイリア女史を乗せていることがわかると警戒を解いた。
やはりドッジ一級神官の力によるものなのだろう。

小さな星なので20分もすれば軌道から地表へと降下できた。
外はほぼ真空に近いほどの大気の薄さだ。
宇宙港の作業員たちも宇宙服姿で働いている。
俺も宇宙服に着替え、船荷の搬出等の作業を行うことにしたが、エイリア女史に止められた。
なんでも今回積んできた船荷は特別なものが含まれているから、直接受け取り相手に引き渡すとのこと。
その連絡をしてくるので待てという。
そういうことであれば、俺は先に燃料の補給等出航に伴う必要物資の補充を先に行いたいと申し出た。
エイリア女史はあっさりといいわの一言で俺の申し出を許可してくれたので、俺は宇宙港当局に連絡し、燃料や生活物資の補充を依頼した。
そして、その間にエイリア女史は宇宙港事務所のほうへと姿を消した。

天空にこの星にとっての太陽であるG0型の主星が輝いている今は、時間的に言えば日中ということになるのだが、大気が極微量しかないこの星では空は漆黒の闇に包まれて星々が見えている。
この星々の群れが帝国領でありソロマニ領でもあり、小国家群なのであろう。
俺はふと空を見上げながら、そんなことを考えていた。

しばらくすると、宇宙港の係官らしき男がやってきて、「ガムボール」に燃料を補給し始める。
空になった増加タンクにも液体水素をいっぱいにしてもらい、二度の連続ジャンプを可能にする。
このプルガトリィは、ピューリティ本国からも2パーセクの距離にあるうえ、そのほかの星系とも隣接していないので、別の星系に行くにもやはり2パーセクジャンプができるジャンプ2か、二連続のジャンプ1が必要なのだ。
残念ながら「ガムボール」はジャンプ1しかできないが、増加タンクのおかげで二連続ジャンプをすることで2パーセク離れた星系に行くことができる。
増加タンクを手に入れておいて本当に良かった。

俺が燃料補給や物資搬入をしていると、エイリア女史が戻ってくる。
だが、どこか様子がおかしい気がする。
「どうかしたんですか?」
『・・・・・・なんでもないわ』
俺の質問に肩をすくめてそう答えるエイリア女史。
なんでもないはずがないなと俺は思う。
宇宙服のヘルメットのバイザー越しでもエイリア女史が困惑した表情を浮かべているのが見て取れるのだ。
連絡する相手とうまく行かなかったのかもしれない。
俺はそう思ったが、口を出すことではあるまい。
  1. 2012/05/24(木) 20:58:11|
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しずく(3)

2500日記念SS「しずく」の三回目です。

そろそろ物語が動きます。

それではどうぞ。



それからの一週間、俺は気が気ではなかった。
ジャンプ空間という異空間に入ってしまった今となっては、ジャンプミスをしたとわかっていてもどうすることもできない。
ただひたすら無事に通常の宇宙空間に戻れることを祈るしかないのだ。
ジャンプも一週間で終わるとは限らない。
ごく普通のジャンプは、1パーセクジャンプだろうが最大の6パーセクジャンプだろうが、要する時間はほぼ一定で一週間と決まっている。
これは決まりごとのようなものでなぜそうなるのかということはまだ完全にはわかってはいない。
ジャンプミスはこの一週間という時間さえ狂ってしまう可能性があるのだ。
偵察局の受けた報告の中には、ジャンプミスで六週間もの間ジャンプ空間にとらわれていたという宇宙船も結構あった。
「ガムボール」には予備を含めておよそ四週間分の食料があるが、その間に通常空間に戻れることを期待するしかない。

考えたくはないが、最悪なのは通常空間に戻れないことだ。
ジャンプミスした宇宙船の何割かは通常空間にそれっきり戻ってこない。
頼むからそれだけは・・・

不幸中の幸いは「ガムボール」の機関部に損傷らしい損傷がなかったことだ。
多くの場合、ジャンプミスをした宇宙船はジャンプドライブが損傷を受けているものだ。
だが、「ガムボール」はいまのところパワープラントは無事に動いているし、ジャンプドライブや機動ドライブも見た目に異常はない。
もっとも、ジャンプミスをした以上は一度点検を受けなくてはならないだろうけどな。

願わくば無事に生きて通常空間に出られますように・・・

                   ******

気が気じゃない日々を約二週間ほど過ごしたころ、コンピュータの警告音が鳴り、「ガムボール」は唐突に通常の宇宙空間へと放り出された。
俺は安堵のため息をついたが、今度は別の心配が押し寄せてくる。
ここはいったいどこなんだ?
近くに人がいる惑星なり衛星はあるのか?
あったとして「ガムボール」が寄港できるCタイプ以上の宇宙港はあるのか?
俺はすぐにコンピュータを使って周囲の観測を行った。
この観測結果をコンピュータに入っているライブラリデータと照合すれば、ここがどこかわかるはずだ。
ここからここまでのジャンプミス

本当はすぐにでも救難信号を出すべきなのかもしれない。
しかし、ここがどこかわからず、もし海賊の跳梁跋扈するような空間だったら、SOS信号は逆に海賊をおびき寄せてしまうことになりかねない。
どうせ通常空間に出た以上は自動識別発信装置から船籍データが発信されているから、軍艦や警備艦に不審船としていきなり攻撃を受けることもないだろう。
まずはここがどこか確かめるのが先だ。

通常空間に出てホッとした俺は、空腹を感じて船内食を温める。
もしかしたら六週間出てこられないのじゃないかと思って、できるだけ食料を食べないようにしていたんだったっけ。
まずは通常空間に無事出られたことに感謝だな。
俺は観測データをコンピュータに照合させながら食事をすませることにした。

俺が食事を終え、コンピュータが照合結果をはじき出したのと、センサーが何者かの接近を知らせてきたのはほぼ同時刻だった。
「接近警報? 宇宙船か?」
俺は思わずそういいながら船外モニターを操作する。
「ガムボール」のコクピットは軍艦と違い、正面には外部視察ができるようにガラスのような透明な外板が使われているが、その一部を切り替えて船体各所にある外部モニターの映像を映し出すこともできるのだ。
もちろんガラスとは違って船体外板と同程度の強度を持っていることは言うまでもない。

そこに映し出されたのは船尾をオレンジ色に発光させた一隻の小型艇だった。
おそらく大きさ的には20トン程度だろう。
惑星の近傍でさまざまな任務に使われる一般的な小艇の大きさだ。
進路はこちらにまっすぐ向かっているのは間違いない。
どうやらこちらの存在に気がつき、確認のために向かってくるのだろう。
となればおそらくは警備艇ということか。

『・・・中の宇宙船、応答せよ。こちらはピューリティ連合神殿警護隊の警備艇である。停泊中の宇宙船、応答せよ・・・繰り返す・・・』
案の定通信機をつなげるとスピーカーから呼びかけが入ってくる。
ピューリティ連合神殿警護隊の警備艇?
ピューリティ連合だと?
俺は驚いた。
リーヴァーズ・ディープ宙域の小国家のひとつじゃないか・・・

                   ******

ピューリティ連合・・・
帝国偵察局認証トラベラー協会発行ライブラリデータによれば、帝国コア宙域よりおよそ100パーセク離れた場所に位置するリーヴァーズ・ディープ宙域内、宙域図上O(オー)に位置するドリンサー星域に属する小規模星間国家ということになる。

国家を構成しているのは主星系であるピューリティの他、わずかにプルガトリィ星系の二星系だけであり、リーヴァーズ・ディープ宙域全体を見渡しても恒星間国家としては最小の部類である。
しかも、“連合”とは言いながらも、プルガトリィ星系はピューリティによる支配を受けた植民地状態であり、実質的には二星系にまたがったピューリティの単独国家に過ぎない。
ピューリティ連合(ピューリティ&プルガトリィ)

ピューリティでは、宇宙を支配する宇宙神「バホート」への信仰が国家宗教とされており、政府はバホート神に仕える神官が神の代理として政務を勤めている。
バホート神に対する信仰は絶対であり、その教義に疑問を持つことは許されない。
これは外世界からの訪問者にも適用されるため、外世界からピューリティを訪れる訪問者は充分注意が必要である。
しばしば外世界よりの訪問者がバホート神信仰による宗教的行為との間でトラブルが発生することと、ピューリティ連合自体の外世界からの訪問を歓迎しない政策により、トラベラー協会では訪問には充分に注意が必要とされる「アンバーゾーン」の指定となっている・・・か・・・

まさにそのとおりと言っていい状況が俺の身には起こっている。
いま俺がいるのは「ガムボール」のコクピットではない。
ピューリティ連合の警備艇の船室に監禁状態なのだ。
そのため、「ガムボール」のライブラリデータをプリントアウトしたものを読んでいるというわけだ・・・

あのあとすぐにピューリティ連合の警備艇がもう一隻到着し、二隻が「ガムボール」を囲むような形となった。
そしてそのうちの一隻が臨検をすると告げ、「ガムボール」に接舷してきたのだ。
エアロックからどかどかと入ってきたのは三人の男女。
青いごわごわした宇宙服に身を包み、火薬式の銃を持っていた。
ピューリティ連合の技術力はトラベラー協会および偵察局で言うところのレベルA。
すなわち初期星間後期レベルの技術力しかない。
帝国内でごく一般的に流通している技術レベルはレベルBからCあたりの標準星間レベルだから、それよりはワンランク落ちるというわけだ。
実際彼らの着ている宇宙服は機能こそ標準的なもののようだが、重量や着心地の面では一段落ちるもののようだった。
警備艇も帝国内で一般的に見られるスラスター駆動ではなく、反重力駆動で動いているのだろう。
どうりで推進器の発光がオレンジ色のはずだ。
ちなみに各星系の技術レベルをトラベラー協会や偵察局では技術なしの0(ゼロ)から始まり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、A、B、C、D、E、F、Gとランク分けされている。
帝国の最高技術はFであり、太古種族の遺跡等から発見されたまだ未解明の技術あたりはレベルGの技術となる。
もっとも、帝国内の研究基地などでは一部レベルGの技術も実用化されているらしいが。

やってきた彼らはすぐに俺を拘束し、「ガムボール」のコンピュータに触れないようにと命じてきた。
そして銃を突きつけるようにして警備艇に移され、この部屋に監禁されたというわけだ。
なるほど。
「アンバーゾーン」指定となるのもうなずける。

6時間ほどして俺は警備艇の一室から引き出された。
エアロックを抜けて外にでると、そこがおそらく軌道宇宙港の一部であることがわかる。
通路の窓からは足元に広がる青い綺麗な惑星が見えた。
おそらくこれが惑星ピューリティということなのだろう。
濃厚な大気と表面の八割の海を持つ青い惑星。
これなら多くの人はこの惑星が住みやすいいい星だと思うに違いない。
そして、このような素敵な星にめぐり合わせてくれた神に感謝をするだろう。
バホート神とやらが崇拝されるのもうなずける。

窓外には接岸している多くの宇宙船も見て取れた。
多くは小型艇のようだが、中には恒星間宇宙船もあるようだ。
ライブラリデータによれば、ピューリティ連合には恒星間宇宙船を建造できる造船所を持たないはずなので、どこかからの輸入品ということになるのだろうか。
そんな中に混じって小さな球体が浮いていることに俺はホッとした。
「ガムボール」だ。
どうやら俺と一緒に移送されてきたらしい。
もう一度あれを無事に取り戻せるといいのだが・・・
俺は不安を抱えつつ青い制服の連中に従った。
いま逆らうのは得策ではないだろう。

                   ******

それからの二日間、俺はほとほと嫌気がさしていた。
青い制服の連中、神殿警護隊というらしいが、こいつらはピューリティ連合政府において警察と軍の仕事を兼ねているような連中らしい。
この神殿警護隊の連中が入れ替わり立ち代りなぜ俺がこのピューリティに来たのか理由を言えと言ってくる。
どうやら俺の前職が帝国恒星間偵察局の職員だったということから、俺を帝国から来たスパイとでも思っているらしい。
そんなバカなはずがあるものか。
帝国のスパイだったらもう少し上手に潜入するだろうさ。
わざわざジャンプミスなんかするものか。

とはいえ、それを信じてもらうのは容易じゃない。
まして相手は俺を疑ってかかっている。
ちょっとでも供述に食い違いがあれば、それ見たことかと俺をスパイに仕立て上げるぐらいはやりかねない。
まったく・・・
外国人嫌いもたいがいにしてほしいものだ。

ピューリティ連合はその立地位置からして、わずか1パーセク先に「ソロマニ連合」というほぼ六宙域にもなる複数宙域にまたがる巨大星間国家がある。
わずか二星系しか持たないピューリティ連合などその気になれば一瞬で飲み込まれてしまうだろう。
それを防ぐために極力外世界との接触を断っているということなのかもしれないが、それにしたってジャンプミスで遭難していた人間相手にここまで疑いを向けるとは・・・

ピューリティ連合に来て三日目、俺は再び尋問を受けていた。
いままでの俺の返答に問題がないと思ったのか、それともよほど手ごわいと思ったのかはわからないが、いつもの神殿警護隊の連中ではなく、白いひだのあるトーガのような衣装を身にまとった若い男性が相手だった。
彼は同じく白いゆったりした衣装を着た女性を連れていたが、神殿警護隊の連中がうやうやしくしていたことから、どうやらこのピューリティでもある程度の実力者らしい。
宗教国家であるピューリティであるから、もしかしたら宗教家なのかもしれない。

「はじめまして。ミシェル・ダルドーさんでしたね。私はこのピューリティ連合において一級神官を務めますパドゥモ・ドッジといいます」
トーガ姿のその男は俺の座らせられた席の前に着くと、そう自己紹介を行った。
「神殿警護隊による取調べでのいろいろな無礼は大変失礼いたしました。しかし、これも我がピューリティ連合の置かれている立場ではやむをえないこととご理解いただけたらと思います」
ドッジはまず頭を下げ一礼をしてきた。
いままでの神殿警護隊の連中とは違うようだ。
「また、あなたがいままで主張してきたこの星系に来た理由が宇宙船のジャンプミスによるもの、というのがにわかには信じがたかったのも事実なのです。何せあなたの乗ってきた宇宙船は機関部に故障らしきものが見当たらなかったのですから」
「本当なのか?」
俺は改めて問いかける。
いままでも神殿警護隊の連中がそのようなことを言っていたが、俺自身ジャンプ後に調べたときには確かに故障らしき兆候はなかった。
だが、ジャンプドライブは精密機械だ。
見た目ではわからなくてもどこかに故障があるという疑いは捨て切れなかったのだ。

「ええ、どうやらそのようです。整備士たちがチェックしたようですから」
ドッジの言葉に俺はホッとした。
ジャンプドライブは宇宙船で一番金がかかっている場所だ。
当然故障した場合の修理費用もほかの場所に比べて高くなる。
俺の手持ちクレジットでは修理費用を出せるかどうかわからなかったのだ。
故障していないというのは俺にとっては非常に朗報だった。

「たいていの宇宙船はジャンプミスをすれば何らかの故障が起こるのが普通です。しかしあの宇宙船は故障していなかった。となれば、ジャンプミスではなく故意にこの星系にやってきたと疑われても仕方ありますまい。違いますか?」
「確かにそうかもしれないが、そのようなことで嘘をつく理由が俺にはない。だいたいこの星系に来たくて来たわけではないのだから」
俺は何度も繰り返してきたセリフを言う。
帝国にしろソロマニ連合にしろ、こんなちっぽけな恒星間国家の動向など気にしてはおるまい。
だいたいがこのリーヴァーズ・ディープ宙域にはここと同じような恒星間小国家が十二もある。
ここは帝国、アスラン、ソロマニの三大国に挟まれた緩衝地帯だ。
それぞれの大国が直接ぶつかり合うことを避けるために、この宙域には手を出さないことを暗黙のうちに認めている。
特に人類同士である帝国とソロマニ連合はともかく、直立したネコ科の猛獣のような異種族アスラン人に率いられているアスラン氏族国連合とは帝国も何度か戦火を交えているのだ。
そのためお互いが接触しないように緩衝地帯を設けるようにしたのがこのリーヴァーズ・ディープ宙域というわけなのだ。
だから、ここには小さな恒星間小国家がいくつもあって、それぞれが独自に政治を営んでいる。
そのうちの一つ二つが何かやっているからといって、周囲に影響を及ぼしたりさえしなければ三大国にしてみれば痛くもかゆくもない話なのだ。
こそこそスパイを送り込んだりするよりも、何か動きがあれば力で叩き潰せば済む。
そのことが彼らにはわかっていないのだろうか・・・

「まあまあ、あなたのご不満はわかります。ですがこれも我が国が小国であるが故のことだとご寛容ください。最後に形式的な質問をいくつかさせていただきますが、その前に飲み物でもいかがですか?」
ドッジが傍らに控えていた女性に指示をする。
「いや、結構。できれば早いとこ済ませて開放してほしい。この星系から出て行けというなら従うつもりだ」
俺は女性が立ち上がったところだったが首を振った。
一刻も早く開放されたかったからと、飲み物に何か仕掛けられるということを恐れたのだ。

「そうですか・・・それでは仕方ありませんね」
ドッジが何か取り出したことに気をとられ、俺は立ち上がった女性が俺のそばに来たことを見過ごした。
服の上から俺の腕に拳銃型の無針注射器が押し当てられ、中の薬剤が注入される。
「しま・・・」
俺は椅子を蹴ってあわてて飛びのいたが、すでに後の祭り。
クッ・・・
こいつら何をしやがった?


PS:ちょっとしたアンケートを設置いたしましたので、よろしければ投票お願いいたします。
参考にさせていただこうと思います。
  1. 2012/05/23(水) 21:03:51|
  2. しずく
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しずく(2)

2500日記念SS「しずく」の二回目です。

まだまだ序盤であまり面白みがないかもしれませんが、楽しんでいただければうれしいです。

それではどうぞ。



ガーギルへの航海はまったくもって順調そのものだった。
故障も不調もまったくなし。
きわめて静かな航海だった。
俺はジャンプ中の一週間の間、退屈を紛らせるのに必死になるだけで済んだのだ。
このたった一回の航海で、俺はこの「ガムボール」がとても気に入った。

ガーギルの軌道宇宙港で運んできた船荷を降ろす。
「ガムボール」は惑星の地表に降りることはできないのだ。
なので軌道上に宇宙港設備があるA、B、Cタイプの宇宙港でないと使用できない。
このあたりがあまりこの船が売れ筋で無い理由の一つでもあるのだろう。
完全流線型であれば地表に降りることができるので、どの宇宙港でもかまわずに行くことができるのだから。

だが、そんなのは行く先を選べばいいだけだ。
むしろDやEタイプの宇宙港しかないような星系は商売に不向きなことが多い。
確実に儲けようと思えばそんなところは行かないほうがいいのだ。

さて、今回の航海と退職一時金の残りが七万八千クレジットほどある。
そこで俺は投機品を探してみることにした。
ブローカーを通せば結構いい儲けが期待できるかもしれない。

どういうわけか俺はこういった場面では妙に鼻が利く。
今回も宇宙港の酒場に顔を出したところ、ブローカーにめぐり合うことに成功した。
いい兆候だったが、残念なことに出物が悪かった。
四台のエアラフトを売りたいというのだ。
エアラフトとは反重力輸送機器の一種で、低空を反重力で移動するそりのようなものだ。
売ればかなりの額になるだろうが、いかんせん買うのにもかなり金がかかる。
今の手持ちではとても手が出ない。

幸いもう一種の商品が面白そうだったのでそっちを購入することにする。
10トン分のガーギル産のブランデーだ。
酒類は結構高値で売れるはず。
俺は商談を進めることにした。

1トン当たり六千クレジットで商談成立。
10トン分六万とブローカー手数料5%の三千クレジットを支払う。
荷は明日にでも「ガムボール」に運んでくれるらしい。

結局それ以上の出物は出ず、残りの42トンを宇宙港差し回しの船荷で埋めることにする。
もちろん燃料費や諸経費も払う。
問題はどこへ行くかだ・・・
ここからジャンプ1で行けるのは、ギャリソンとカーナシュの二ヶ所。
カーナシュに戻るのは面白くないが、行き先としては考慮しなくてはならない。
酒をより高く買ってくれそうなのはカーナシュのほうか・・・
やっぱり一度戻るとしようか・・・

それよりも俺は重要なことを忘れるところだった。
宇宙船をジャンプさせるには「ジャンプ準備」プログラムが必要だ。
だが、「ガムボール」にはその「ジャンプ準備」プログラムが入力されていない。
「ガムボール」付随のモデル1型コンピュータには「機動ドライブ」、「ジャンプ-1」、「航法」、「アンチハイジャック」、「ライブラリ」の五つが標準で組み込まれているが、肝心の「ジャンプ準備」プログラムは入っていないのだ。
何せ「ジャンプ準備」プログラムは価格が高い。
八十万クレジットもするのだ。
なので、カーナシュからガーギルまでは一回使いきりの「1パーセクジャンプ準備」プログラムをガバスが入れてくれたのだ。
これは一万クレジットで宇宙港で買うことができるもの。
八十万貯めて「ジャンプ準備」プログラムを買うか、誰かコンピュータに詳しい奴に作ってもらうかするまでは、こうして「使いきりジャンプ準備」プログラムを買うしかない。

カーナシュ・ガーギル・ギャリソン2
カーナシュへのジャンプはこれまた順調で何も問題は無かった。
俺は以前と同じく一週間の退屈をいかにして紛らすかにのみ集中していたといっていい。
本を読みゲームをし映像を見て過ごす。
退屈な一週間。
仲間内には「ファストドラッグ」という薬を使って、この一週間をわずか数時間にしか感じなくさせるという奴もいるが、そこまでするのもなぁという気がして俺は使っていない。
だが、あまりにも船旅が退屈ならそれも悪くないかもしれないな。

                   ******

カーナシュの軌道宇宙港にたどり着いた俺は、まずガーギルの宇宙港から頼まれた船荷を降ろす。
ガーギルからは結局10トン分しか船荷を預かることはできず、一万クレジットしか稼ぐことはできなかった。
うーん・・・これは甘く見ていると痛い目を見るかも知れないぞ。

今手元に残っているのは一万二千四百クレジット。
ジャンプごとに一万クレジットかかるというのは痛すぎる。
俺はすぐにその足でガバスの元へと向かうことにした。

「よう、ミシェル。もう戻ってきたのか?」
宇宙港付随の偵察局基地で俺はガバスに会う。
相変わらずの赤ら顔でにたにたと笑っていた。
「やあ、ガバス。実は頼みごとがあってきたんだ」
「頼みごと?」
怪訝そうな顔をするガバス。
「ああ、廃棄処分の偵察艦からでも『ジャンプ準備プログラム』を手に入れるわけには行かないかな」
俺は両手を合わせて拝むようにガバスに頼み込む。
「ああ、そのことか。やっぱり『ジャンプ準備プログラム』が無きゃ何にもできねぇからな」
にたにたと笑っているガバス。
こいつめ、わかっているくせに。
「ところで、ガーギルに行ってきたんだろ? 手ぶらでご訪問かい?」
俺は苦笑する。
足元見やがって・・・
「わかったよ。ガーギル産のブランデーを1トン分くれてやる。それで手を打ってくれ」
「よっしゃ、そう来なくっちゃ。すぐに組み込んでおいてやるよ。宇宙船のブースを教えておいてくれ」
満足そうに笑みを浮かべるガバスに俺は宇宙船の桟橋を教えてやる。
するとガバスはすぐに局内へと消えていった。

俺はガバス用に1トン分のブランデーをよけると、残りを売るためにブローカーを探しに行く。
幸いすぐにブローカーは見つかり、9トン分のブランデーをさばいてくれた。
驚いたことにこのブランデーは掘り出し物だったらしい。
なんと1トン二万クレジットで売れたというのだ。
俺はブローカーに感謝し、5%の手数料九千クレジットを引いた十七万一千クレジットを手に入れた。
これで残金は十八万三千四百クレジット。
どうやら一息つけそうだ。

さて、このカーナシュからまたガーギルへ行くというのもなんだか味気ない。
とは言うものの、「ガムボール」はジャンプ1船だから、1パーセクのジャンプしかできない。
偵察艦のように2パーセクのジャンプ2ができれば行き先もぐんと増えるのだが・・・
俺は宙域図に眼をやった。
俺が今いるのは帝国の中でもはずれのほうの位置にある「リーヴァーズ・ディープ」と呼ばれる宙域だ。
リーヴァーズ・ディープ宙域図(部分)
ここは帝国とあまり仲の良くない二大国であるアスラン氏族国連合およびソロマニ連合との三大国間の緩衝地帯のようなものだ。
三大国はお互い宙域の一部を占めてはいるものの、その間の空域はそれぞれ手を出さずに済ませている。
そのためそれぞれの大国の影響を受けている中小の星間国家がいくつか成立し、お互い独自の世界を作っているのだ。
そういった恒星間小国家をまたにかけて貿易をする強者もいるが、やはり帝国内のような治安の安全性は見込めない。
一攫千金を求めるつもりも俺には無い。
となれば、安全な帝国内での貿易をするのが良い。

幸いここから2パーセクのところに、ラヴィニア星系がある。
ラヴィニアはウラカッシュ星域の星域首都でありテクノロジーレベルも高い。
貿易の出発点としては申し分ない。
さらにラヴィニアからは、ジャンプ1でいける星系がラヴィニア含めて6個もある。
しかもすべてCタイプ以上の宇宙港だ。
ラヴィニアライン
「ガムボール」で貿易をするならこういう星の並びがいいだろう。
問題は、ここからどうやって行くかだが・・・

俺は再び宇宙港まで出向くと、宇宙船用品の取扱店に入っていった。
ここでは宇宙船に関する部品等いろいろなものが手に入る。
これもこのカーナシュがBタイプ宇宙港であるおかげだな。

宇宙港の規模というのはさまざまなものがあるが、トラベラー協会や偵察局ではそれを五段階評価で分けている。
一番規模が大きくさまざまなことができるのがAタイプ宇宙港であり、以下B、C、D、Eタイプへとランクが下がっていくのだ。
ちなみに宇宙港が無い星系はX(エックス)で表される。
Aタイプ宇宙港には恒星間宇宙船を建造可能な造船施設が付随していなくてはならず、Bタイプ宇宙港では非恒星間宇宙船の建造ができなくてはならない。
つまりここカーナシュでは非恒星間宇宙船が作れるわけだ。
それだけに宇宙船の部品も手に入れやすい。
もっとも、ここのテクノロジーで手に入らないレベルの高技術の部品は輸入になるので割高にはなるが。

俺は可変型増設タンクを手に入れることにする。
増設タンクというのは、船倉内に設置して燃料の容量を増加させるものだ。
燃料の増加ができれば、二回目のジャンプをすることもできる。
つまり、二連続ジャンプで今まで行けなかった場所に行くことができるようになるのだ。
俺の「ガムボール」の場合であれば、ジャンプ一回につき10トンの燃料が必要になる。
つまり10トン分の燃料を余分に船倉に蓄えておけば、一回目のジャンプ後にその燃料を船体タンクに移し変えることで二回目のジャンプをすることができ、2パーセク先の星までいけるのだ。

増設タンクには固定式と可変式がある。
固定式はいったん設置すれば船内タンクと同じように燃料を移し変える手間が無く使用することができるが、その分船倉の容量が減ってしまう。
一方可変式はいちいち燃料を移し変える手間がかかるが、物によっては巨大な水袋のようなものもあり、折りたためばほとんど場所をとらずに済ませられるものがあるので、使わないときは船倉容量をほぼ以前のまま使えるのだ。
俺はこっちを使うことにした。

10トンタイプの特殊繊維で作られた可変増設タンクは一万クレジットで買うことができた。
これなら折りたためば1トン程度の大きさにすることができる。
船倉がその分小さくなってしまうが、なに、あって困るものじゃない。
いざとなればジャンプが二回できるというのは心強い気分になれるのだ。

可変増設タンク・・・と言っても液体燃料用の特殊袋だが、を手に入れた俺は、早速ラヴィニアラインへ向かうことにする。
まずは宇宙港から委託される船荷を確認しようと思ったが、このカーナシュからならばラヴィニア行きの貨物はうなるほどあるに違いない。
むしろ増設タンク分の船倉容量が少なくなるのだから、安く買って高く売れる投機品を探してみたほうがいい。
そう思った俺は宙港街でブローカーを探すことにした。

カーナシュは人口も多くBタイプの宇宙港がある星系だ。
宙港街にはさまざまなブローカーがうろついている。
小規模運送会社の船長や俺のような個人商船の船長を相手に貿易品を売りつけようと狙っているのだ。
酒場に行けばそんなブローカーとはたいてい出会うことができる。
宙港街の酒場はいわばそういう会合の場でもあるのだ。

俺は酒場の店主を通じてひとりのブローカーを紹介してもらった。
タイトスカートのスーツがよく似合う女性だ。
かけているきつめのメガネが表情を引き締めて知的に見せている。
俺はこういう女性は嫌いじゃない。
いつかは秘書として彼女のような女性をそばにおいて仕事をするのも悪くないな。

彼女が提示してきたのはカーナシュ綿という綿の一種だった。
これはこのカーナシュで取れる繊維植物で、衣料品にはよく使用されている。
今回はこのカーナシュ綿の梱包55トンを引き取ってほしいという。
繊維品だから急ぐ必要はないし、だいたいの人間は服を着るわけだからどこでだって売れるだろう。
だが、問題は俺の行き先になりそうなラヴィニアやアストリアが主に農産物輸出をしている星系だということだ。
そういう星系はこういった繊維品は自前で生産していることが多く、持っていっても安く買い叩かれる可能性がある。
俺は別の商品がないかたずねてみた。

すると彼女は量が少なくてもいいのならと、カーナシュで作られているコインを提示してきた。
このコインは金を含有しており、さらに細工が精巧なので工芸品としての価値もあり、好事家にはそれなりの価格で売れるらしい。
トン数にしたら4トンほどしかないが、1トン当たりの価格は二万クレジットと普通の船荷の二十倍にもなる。
しかもこれでもかなり良心的価格らしい。
どうしたものか・・・

結局俺は彼女からコインを4トン分購入し、残りを宇宙港からの貨物で済ませることにした。
彼女には手数料と合わせて八万四千クレジットを払い、宇宙港には使用量と燃料代、それと「ガムボール」の生活必需品の手配料合わせて四千二百クレジットを支払う。
その代わり宇宙港からは35トン分の貨物の運送費三万五千クレジットを受け取った。
残金は十三万二百。
ガバスが「ジャンプ準備」プログラムを組み込んでくれたからジャンプに費用はもうかからない。
よしよし、何とかなってきたかな。

俺はガバスに別れを告げると、「ガムボール」を発進させた。
わずか数週間の付き合いだが、俺にはこの「ガムボール」がとても性に合っている気がした。
たった1G加速しかできないし、ジャンプもわずか1パーセクだし、大気圏突入さえできない不便な船だが、それでもこの「ガムボール」はたった一人で運航する宇宙船としては必要にして充分だった。
以前乗っていた偵察艦より使い勝手は悪いが、その使い勝手の悪さが逆に俺には面白くも思えたのだ。

「ジャンプ準備」プログラムを作動させ、俺は一回目のジャンプに備える。
ラヴィニアは2パーセク先の星系だ。
途中で一回深宇宙に出て、そこで燃料を積み替えてもう一回ジャンプする必要がある。
まずその途中の深宇宙までのジャンプの計算を行うのだ。

6時間ほどの航行ののち、「ガムボール」はジャンプ可能距離に到達する。
宇宙船のジャンプは巨大な重力場のそばでは不安定になり、事故の可能性が高くなる。
つまり、ある星系からジャンプしようと思ったら、その惑星なり衛星なりから一定の距離を離れなくてはならないのだ。
この距離はほぼ惑星直径の100倍にあたり、ジャンプする宇宙船は惑星等の重力場から100倍直径分離れてからジャンプするのが普通なのだ。
俺は「ガムボール」をほぼ静止させ、ジャンプドライブを作動させる。
一瞬躰がよじれるような感じがして「ガムボール」が「ジャンプ空間」と呼ばれる異空間に入ったことを感じさせる。
だが、次の瞬間、俺はいままでの航海で感じたことのないような振動とコンピュータが発した警告音とで最悪の事態が起こってしまったことに気がついた。
通常通りジャンプが行われなくなってしまった状態・・・ジャンプミスだ・・・
俺は青ざめた。
  1. 2012/05/22(火) 20:53:05|
  2. しずく
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しずく(1)

昨日ご案内いたしましたとおり、今日から八日間連続で一本SSを投下したいと思います。

タイトルは「しずく」です。

今回はいつもとは趣を異にしまして、私が大学時代から楽しんでおりましたSFテーブルトークRPG「TRAVELLER:トラベラー」の世界観をそっくりそのままお借りしてまいりました。
舞台となるのは「リーヴァーズ・ディープ宙域」です。
ですので、「TRAVELLER」をご存じない方には、若干お楽しみいただきづらいかもしれませんが、できるだけ世界観は文中で説明するようにはしたつもりです。
また、主人公の乗る宇宙船は、ネットで見かけたオリジナル宇宙船を使わせていただきました。

なお、世界観や舞台は「TRAVELLER」のものを使わせていただきましたが、キャラクターや事件、政府の設定などはオリジナルとなっておりますので、ご了承くださいませ。

それではどうぞ。


「しずく」

「よう、ミシェル、今日で終わりなんだってな」
赤ら顔した陽気なオヤジであるガバスが声をかけてくる。
彼のいうとおり今日で俺はこの偵察局を去ることになる。
明日からは心機一転、別の働き口を探すことになるのだが、俺は特に不安を感じてはいなかった。

「ああ、あんたにも世話になったな」
俺はガバスに手を振って返事する。
彼はこの偵察局カーナシュ基地の艦船運行課の主任で、俺も世話になってきた相手だ。
彼がいなかったら俺の乗っていた偵察艦はまともに動きやしなかっただろう。

「寂しくなるなぁ。もう一期ぐらい勤める気は無かったのか?」
近づいてきたガバスが俺の肩に手を乗せる。
「ああ、それも考えたんだけどね。でも、まだ若いうちに次の仕事に就いたほうがいいと思ったんだ」
これは俺の本音だ。
正直言って帝国の恒星間偵察局というのは職場としては悪くない。
報酬だって充分すぎるぐらいだろう。
何せこの宇宙に君臨する巨大帝国の公務員なんだからな。

銀河に羽ばたいた人類が作り上げた巨大な星間国家「(第三の)銀河帝国」。
ただ「帝国」とだけ呼ばれることがほとんどのこの既知宇宙最大の星間国家は、その内部に優に一万を超える星々を従えている。
古くから使用されている「パーセク」を距離基準にし、8X10パーセクで1星域として、それを縦横4X4の16星域を集めたものが宙域と呼ばれる範囲。
その宙域を帝国は約17も治めているのだ。
途方も無い広さである。

最も銀河に広がっているのは人類だけではない。
異種族だって広がっている。
それらも巨大な星間国家を形成しているが、その中には帝国と敵対しているものも少なくはない。
もっとも、今現在は表立って帝国と事を構えている国は無い。
一応の平和が保たれているのだ。
だが、ちょっとしたバランスの変化で、宇宙は戦乱に包まれる可能性があるのは間違いない。

そんな帝国の中で「帝国恒星間偵察局(IISS)」というのは「帝国軍」と並んで重要な組織である。
恒星間の広い空間は光の速さを超えなくては飛び越えることなどできやしない。
人類はジャンプドライブというものを開発してその問題を解決したが、そうなると通信もそのジャンプドライブを積んだ宇宙船で運ばなくてはならなくなる。
電波を送ったのでは何年かかるかわからないのだ。
その帝国内の通信業務をつかさどるのが偵察局である。
早い話が帝国内の郵便屋だ。
そしてそれと同じく重要な任務が各世界の情報を収集することだ。
それは各星系の惑星の数等にはじまって、その世界の人口や主要産業にいたるまであらゆることを調査するのである。
その情報が帝国の基本情報となり、徴税等が行われることになるのだ。
偵察局が無ければ帝国は成り立たないといわれるゆえんである。

俺はこの偵察局で独立任務部に就いていた。
この各星系の情報収集をする部門である。
とにかく何でもやらされるので、宇宙船の操縦から力仕事までこなさなくてはならないのだ。
そのため若い人材が好まれ、俺のように1期4年の任期を3期も勤めるともう年寄り扱いである。
そんなわけで俺はここらで偵察局を辞め、別の仕事に就こうと思ったのだ。

「独立任務部に偵察艦使用の申請は出したのか?」
「いいや、しばらくはのんびり過ごそうと思ってね。まあ、パイロットの資格はあるから、そのうちどこかの商船会社にでも就職するよ」
偵察局の独立任務部ではパイロットの資格は必須なので、必然的に退職者はパイロットの資格持ちとなる。
そのため常時パイロットを求めている商船会社に就職する人間も多い。
商船会社にしても自前でパイロットを養成する余裕の無い中小会社も多く、偵察局出身者はわりと再就職には困らないのだ。
とはいえ多少の貯金もあるし、しばらくはのんびりするつもりだった。

「そうか。ところでお前さんさえよければいい話があるんだがどうだ?」
ガバスがにやっと笑みを浮かべる。
このオヤジがこんな表情を浮かべるときは要注意なんだがな・・・
「いい話?」
俺はとりあえず聞いてみる。
「ちょっとこっちへ来てくれ」
ガバスは基地の艦船が保管されている区画に向かっていく。
やむなく俺もそれに付き従うことにした。

「これは?」
そこにはいつも見慣れた楔形の偵察艦と並んで、あまり見かけない真ん丸の宇宙船が浮いていた。
まさに球体としか言いようの無いデザインで、下部と思しきところからは推進器であるスラストプレートがのぞいている。
直径は15メートルほどしかなく、宇宙船としてはかなり小さな部類だろう。
それにしても球形とは珍しいものだ。
球形は宇宙船としては意外と使いづらいのだ。
その形状は容積を生かすには球面が邪魔となって生かしきれず、また完全流線型とならないために大気圏内での使用ができないのだ。
せいぜいガスジャイアント(巨大ガス状惑星)での燃料補給が可能であるというぐらいである。

「小さい船だな。小艇かい?」
「いいや、これでも恒星間宇宙船さ」
ガバスの言葉に俺は驚いた。
こんなに小さくて恒星間宇宙船だと?
最小クラスの偵察艦よりもまだ小さいじゃないか。
「球形だから小さく見えるだけさ。これでも偵察艦と同じく100トンはある」
「これで100トン・・・」
宇宙船のトン数は液体水素1トンの容量を基にする。
空間にしたら約14立方メートルだ。
つまり100トンとは、液体水素100トン分の容積を持っているということで、重量ではない。
とはいえ、100トンとは小さい船だ。
恒星間宇宙船としては最小となるのが100トンだけど、この船は見ため的には同じ100トンの偵察艦の半分ほどの長さしかない。

「ギャリソンにあるヴァーノン造船が作った小型商船でね、わずか100トンなので一人でも充分に運用が可能というのが売りなんだそうだ」
確かに・・・
200トン以上の宇宙船になればパイロット以外にも航宙士や機関士が必要になってくるが、200トン未満の宇宙船にはその規定が無い。
だからパイロット一人でも運行が可能なのだ。
偵察艦が便利な理由もそこにある。
偵察局員一人でも目的の星系にいくことができるというのは、フットワーク的に非常に軽いのだ。
「船荷はどのくらい積めるんだい?」
「52トンだ」
「52トンも?」
俺はまたしても驚かされた。
100トンの宇宙船で52トンもの船荷が積めるなんて想像もできない。
偵察艦なんぞはわずか3トンしか積めないというのに・・・

「まあ、その分ジャンプは1パーセクだし加速も1Gしかできないがな」
ガバスが苦笑する。
だが、商船としてはそれでも悪くない。
実際数多く就航している200トン級の自由貿易船や400トン級の指定設計商船なんかはいずれもジャンプ1に1G加速だ。
つまりこの小さな球体は、充分商船としてやっていける宇宙船なんじゃないのか?

「問題は客をまったく載せられないことだな。貨物だけだと一ヶ月二航海として8万から10万クレジット・・・投機品貿易でもしないと赤字だなぁ・・・」
「それはちょっときついな。やはり商船としては小さすぎるか・・・」
赤字運行では商売にならないからなぁ。
「でもな、助成金がでる航路ならそう悪くないぞ。どんな商船でも一隻でも多く来てほしいって航路はあるからな。それにな・・・」
「それに?」
「一人で運行できるってことは給料が要らない。わずらわしい人間関係も気にしなくていい。一人で宇宙を飛びたいって奴は結構多いと思うぜ」
俺はうなずいた。
商船会社に就職しようとは思っていたものの、そこでのわずらわしい人間関係はごめんだった。
偵察局のいいところは、単独行動が多かったことなのだ。
だれにもわずらわされたくないというのはよくわかる。

「まあ、実際このカーナシュからガーギル、ギャリソン間なんてのはいずれもBタイプ以上の宇宙港のある星系ばかりだ。こいつで商売を始めるにはいいラインだと思わんか?」
「ガバス、いったい何が言いたいんだ?」
俺もいい加減に焦れてきた。
この小さな宇宙船が、俺にいったい何のかかわりがあるというのか?
「こいつで商売を始めてみないかってことさ」
「俺が? この丸っこい宇宙船で?」
俺は目が点になる。
そりゃあ、いずれどこかの商船会社に就職しようとは思っていたが、自分で貿易船オーナーになるなんて考えても見なかったのだ。
「よせやい。俺にはこいつを買う金なんか無いぜ」
恒星間宇宙船となれば中古の偵察艦だって千七百万クレジットはする。
俺の退職金がせいぜい三万クレジット。
逆立ちしたって宇宙船なんか買えっこない。

「それがな、いい申し出があるんだよ」
先ほどと同じようにガバスがにやっと笑う。
「いい申し出?」
「ああ、実はな、ヴァーノン造船はこいつを作ってみたものの、思ったように販売実績が伸びてないんだ」
「売れてない? なぜだ?」
小型一人乗りの商船は悪くないと思うが・・・
「さっきも言ったとおり、こいつは客を乗せられない。自然と収入は貨物輸送に限られる。となれば船体費用と運行費用をまかなうのが大変なのさ」
「それはわかる。助成金なしじゃきつい」
「だが助成金対象の宇宙船はある程度一般的なものでなきゃならん。運行数が少なければ必要な宇宙船とはみなされない」
「なるほど」
俺はうなずく。
「そこでヴァーノン造船ではこの船を普及させるべく手を打ってきたのさ。退役偵察局員に10年間無償で貸し出すという形でね」
「無償で貸し出す?」
「そうさ。運行費用こそ必要だが、船体の費用は当面ただでいいという形だ。そして商船として充分実用に足るという実績を作れば、助成金をもらってこの船を使ってみようという連中も出てくるはずだからな」
「なるほどな」
俺は納得した。
ヴァーノン造船では一時的に赤字になってもこの船の実用性をアピールできればいいということなのだ。
それに退役偵察局員であれば、使用した宇宙船を最悪偵察局が買い上げてくれるかもしれないという思惑もあるのだろう。

「だが・・・俺は偵察局員だぞ。商売がうまくいく保証なんてない」
「なあに、運行費用だけなら宇宙港差し回しの船荷を運ぶだけでも充分稼げるさ。それだけでも実績になるんだよ」
「なるほどね」
俺は苦笑した。
ヴァーノン造船は何が何でもこの船を売りたいらしい。
いや、それは名目で、偵察局とのかかわりをより太くしたいというのが目的だろうか。
「OK、わかったよ。使わせてもらうよ。実際宇宙船が手に入るなんて夢のようだしな」
「そう来なくっちゃ。実はすでに書類は用意済みだ。あとはお前さんのサインをするだけだ」
やれやれ、手回しがいいことだ。
おそらく紹介料のいくらかでももらっているんだろう・・・

                   ******

エアロックを抜けた俺は宇宙服のバイザーを開ける。
冷んやりとした空気に新型船の真新しいにおいが混じっている。
まだ二、三度しか宇宙を飛んでいない船。
新品の宇宙船だ。
それも誰のものでもない俺のものだ。
俺は胸の鼓動が高まるのを抑え切れなかった。

船体は四層になっている。
一番下が機関室。
ここには宇宙船を跳躍させるジャンプドライブと、通常空間を移動させる機動ドライブ、そして船全体に動力を送るパワープラントがおいてある。
そして船の頭脳とも言うべきコンピュータもこの機関室に付随していた。
モデル1型のごくごく平凡なコンピュータだが、船の運航にはなくてはならない装置である。

二層目と三層目はカーゴルームになっている。
この二層であわせて52トンもの船荷を積むことができるのだ。
もっとも球形の壁になっているので、コンテナにすると52トンいっぱいというわけにはいかないだろう。

一番上が居住区と艦橋になっている。
艦橋というよりもコクピットといったほうがいい感じで、操作パネルとシートがあるだけの狭い場所だ。
徹底的に簡素化され価格を安く仕上げているらしい。
居住区も二人分の専用室を一緒くたにした感じで、ベッドが二つに共用室という感じだ。

あと武器設置点が一ヶ所あり、武装する場合はここに武器を搭載することになる。
武装のコントロールはコクピットでできるようになっているようだ。
燃料はこういった内部スペースと外板の間に入る形になっている。
11トンの燃料で1パーセク分のジャンプを一回と、4週間分のパワープラントの動力をまかなうようになっている。

正直武装に関しては望み薄だと思っていたのだが、ガバスが廃棄する偵察艦から引っぺがした奴でよければくれてやるということだったので、お言葉に甘えさせてもらうことにした。
これで単架砲塔と一門のビームレーザーを搭載することができた。
ただし、廃棄処分のジャンク品だから動作保障はなし。
金がたまったら早々に買い換えろということだ。
とはいえ非武装に比べれば、武器があれば身を守ることができるので心強いことこの上ない。
もちろん武装に関しては許可をもらってあるのは言うまでもない。

ガバスによれば、ヴァーノン造船ではこいつのことを「ゴルフボール」級小型貨物船と呼んでいるらしい。
いかにもこの球形の宇宙船にふさわしい名前だろう。
ヴァーノン造船ではほかにも球形宇宙船を手がけており、「ベースボール」級自由貿易船なんてのもあるらしい。
噂ではこの「ゴルフボール」級の改装型をS型偵察艦として偵察局に採用してもらいたいという思惑もあるそうだ。
やっぱりな。
だから退役偵察局員に船を貸すなんてことをしているのだろう。
まあ、どっちにしても俺にとっては渡りに船だ。
大事に使わせてもらうとしよう。

無事に退役の手続きを終えた俺は、早速船の登録に行ってくる。
ガバスのおかげであとは名前を書くばかりとなっていた書類に記入し、船主登録を済ませれば晴れてあの船は俺のものになるというわけだ。
もちろんあくまで俺は貸与してもらっただけだが、実質的には俺のものといってもいい。
10年後、うまく商売を続けていられればこいつの船体費用ぐらいは払えるかもしれないしな。

俺はこの船を「ガムボール」と名付けることにした。
「ゴルフボール」級貨物船「ガムボール」。
小さいが、噛めばいい味がするというわけだ。

俺は早速宇宙港当局に掛け合って、低純度燃料を11トン入れてもらった。
低純度は安いのがとりえ。
1トン百クレジットで買える。
しめて千百クレジットだ。
さらに食料等の消費物資を搬入してもらう。
ジャンプには一週間という時間が必要だ。
その間の食い物だってバカにはならない。
水だって必要だ。
これが一人あたり二千クレジット。
この船は俺一人だから二千クレジットだけとなる。
あと宇宙港使用料が百クレジット。
全部で三千三百クレジットを俺は支払ってくる。
俺の退職一時金が三万クレジットだから、その十分の一が出て行ってしまう計算だ。
おいおい、商売がうまくいかなきゃ大変だぞこれは・・・

このカーナシュからジャンプ1で行けるのは隣のガーギルしか無い。
カーナシュ・ガーギル・ギャリソン
ガーギルはテクノロジーこそ高いが、人口が七千人ほどしかいないため商売先としてはあまり魅力が無い。
なのでガーギル行きの貨物はどれほどあるか心配していたが、幸いその心配は杞憂に終わり船倉を一杯にするのに充分な貨物を見つけることができた。
というわけで宇宙港から52トン分の船荷を預かりガーギルに運ぶことにする。
まずはここから出発だ。
輸送費は先払いなので、宇宙港から1トン千クレジットの輸送費五万二千クレジットを受け取った。
差し引き四万八千七百クレジットの儲けか。
なるほど、運行費用しか払わないですむなら船倉を一杯にすれば充分儲けは出るわけだ。
  1. 2012/05/21(月) 21:00:00|
  2. しずく
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