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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

騎士物語(4)

騎士物語の四回目です。

これで完結となります。

それではどうぞ。


『マスター! 距離を!』
頭上からの声にはっと我に帰る私。
こちらを認識したのか、相手が距離を詰めてきたのだ。
剣も抜かずに両手を突き出して迫ってくるアーマドール。
普通じゃない。
私は剣を構えさせ、いったん下がって距離をとる。
相手の動きを見極めなくては・・・
不用意に踏み込めば、痛い目を見ないとも限らないのだ。

「エリーヌ、相手のデータはわかる?」
私は頭上に声をかける。
アーマドールは一体一体がファクトリーによる手作りとはいえ、本当に一から手作りというのは多くない。
たいていは基礎となる形式があって、そこに騎士個々人の注文でさまざまな個性を加えるのだ。
この“エリーヌ”とて基礎となっているのはヴェフゲン公型と呼ばれるもので、外装をやや軽くして動きを高めてある。
運動力こそ最大の防御と考えていた父の仕様だ。
『外見からは一般的なドロフスキー侯型のようですが、それにしては動きが鈍いです。重装甲化されているようにも見えませんが・・・』
エリーヌの判断に私もうなずく。
目の前のアーマドールはドロフスキー侯型だ。
行方不明のクレマン家の騎士が使っていたものではないはず。
ただ、ドロフスキー侯型は価格が安いので多くの騎士が使っている。
あまりにも一般的過ぎて誰の物かなどわかるはずもないわね。

『来ます、マスター』
「まずは一撃!」
考えていても仕方が無い。
とにかく相手の動きを止めるしかないのだ。
まずは一撃を食らわせて見るしかない。
私は“エリーヌ”を踏み込ませ、剣での一撃をお見舞いする。

「なにっ?」
私は思わず声をあげる。
振り下ろしたバスタードソードが相手に与えた衝撃を感じながらも、それ以上の衝撃を私は受けたような感じがしたのだ。
相手は剣を抜き放つこともせず、私の斬撃をその腕で受け止めたのだ。
アーマドール乗りはそんなことは普通しない。
そんなことをすれば、腕の装甲はひしゃげ、中の機構が回復不能のダメージを負う事が目に見えているからだ。
戦闘の最中に腕が使えなくなるなどあってはならないし、そんなことになれば戦闘は負ける。
だから腕へのダメージは極力避けようとするのが普通だった。
だが、目の前の相手はそんなことお構い無しに右腕で私の剣を受け止めた。
剣で受け流すことも盾で受け止めることもしなかったのだ。
どうして?

“エリーヌ”のバスタードソードはがっちりと相手の右腕に食い込んでいた。
腕の装甲を叩き割り、内部機構にダメージを与えている。
どす黒い循環液がどくどくと流れ出し、右腕はもう使えなくなったはず。
どす黒い・・・?
循環液がどす黒い?
循環液は緑色のはず。
いくら汚れたってどす黒くなんか・・・

『マスター!』
「えっ? ひっ!」
私は思わず悲鳴を上げた。
“エリーヌ”のバスタードソードに傷付けられた相手の腕から、シュルシュルと黒い触手のようなものが何本も伸び始めてきたのだ。
私は思わず距離をとろうとしたが、触手がバスタードソードに絡み付いてくる。
『剣を捨ててください!』
私はバスタードソードを捨てようとした。
でも遅かった。
黒い触手は相手の腕からだけではなく、アーマドールの各関節部や装甲の継ぎ目などから無数に伸びてきたのだ。
そしてそれらが“エリーヌ”の躰にシュルシュルと巻き付いてくる。
私は“エリーヌ”を触手から何とか引き剥がそうとしたものの、全身を触手に巻き付かれた“エリーヌ”は身動きがもう取れなかった。

「動け・・・動いてぇ・・・何なのこれ?」
私は軽くパニックになる。
こんな攻撃をされたことは一度も無い。
一体どういうことなの?
『わ、私にもわかりません。データに・・・まさか・・・ノーライフドール?』
「ノーライフドール? まさか・・・あんなのはお話の中に出てくるもののはずでしょ」
私はかつて一笑に付した噂話を思い出した。
無残に打ち捨てられたアーマドールが怨念のようなものを抱き、魔物を取り込んで動き出すという噂だ。
私は首を振って否定したものの、目の前のアーマドールがもしかしたらエリーヌの言うとおりの存在かもしれないということを肌で感じていた。
このアーマドールは普通じゃない。
このアーマドールは化け物だ。
ノーライフドール。
魔物が取り憑いた生きてないアーマドール。
生きている者を無差別に襲うという呪われたアーマドール。
そんなものが実際にいるなんて・・・

「あうう・・・」
私は必死で操縦悍を操作する。
引き寄せられているのだ。
ノーライフドールが触手を使って“エリーヌ”を引っ張っている。
振りほどけない。
『マスター! 何とか振りほどいてください!』
「やっているでしょう! このっ!」
操縦悍を引こうが押そうがびくともしない。
全身に触手を絡み付かせられて身動きできないのだ。
どうしたらいいの・・・

外部視察用のスリットからはもう何も見えない。
真っ黒い触手に覆われてしまったのだ。
外がどうなっているのかもうわからない。
私は絶望感に打ちひしがれながら、必死で操縦悍を動かすだけ。

『ヒャァァァァァ・・・』
「エリーヌ? どうしたの?」
頭上の悲鳴に私は戦慄した。
いったい何が起こっているの?
「エリーヌ! エリーヌ! 返事をして!」
『ひぁぁ・・・だめぇ・・・触手がぁ・・・やめてぇ』
「何? 何が起こっているの? エリーヌ! 返事をしなさい!」
『はひゃぁ・・・吸われるぅ・・・何かが吸われてるぅ・・・はふう・・・気持ちいい・・・』
「エリーヌ! しっかりして! 何が起こっているの? エリーヌ!」
私は声を荒げてエリーヌに呼びかける。
『あはぁ・・・気持ちいいですぅ・・・触手が絡み付いて・・・ああんそこはぁ・・・はあん・・・気持ちいい・・・』
エリーヌの声がどんどん甘くなっていく。
どうしてなの?
「エリーヌ! 脱出しなさい! 早く!」
私はもう気が狂いそうだった。
とにかく“エリーヌ”を引き剥がそうと必死に操縦悍を握るけど、“エリーヌ”はあちこちをギシギシ言わせるだけでピクリとも動かない。
「エリーヌ! エリーヌ! 早く逃げて!」
『・・・・・・』
エリーヌの返事が無い?
「エリーヌ! エリーヌ!! 返事をしてぇっ!!」
私はとにかくエリーヌの名を呼び続ける。
こんな任務引き受けるんじゃなかった。
クレマン家のアーマドールもきっとこいつにやられたに違いない。
私もこんなところで朽ち果ててしまうというの?

「エリーヌ! エリーヌゥ!」
『ウフ・・・ウフフフフ・・・』
背筋がぞくっとするような笑い声。
「エリーヌ? エリーヌなの?」
『ウフフフ・・・アハハハハ・・・』
頭上から響いてくる笑い声。
いつものエリーヌの声なのに、何かが違う。
「エリーヌ! どうしたの? しっかりして!」
『アハハハハ・・・ハアァン・・・気持ちいい・・・触手が躰に絡み合って・・・ハアァン・・・』
普段のエリーヌとは思えない甘い声。
「エリーヌ! いったいどうしたの? 何があったの?」
『ウフフフフ・・・心配は不要ですわ、マスター。マスターもすぐに闇の一部になるすばらしさがわかるようになると思います』
私は上を見上げる。
「エリーヌ・・・何を言っているの?」
『ウフフフフ・・・気持ちいい・・・闇に浸るのってとても気持ちいいんですよ、マスター』
私はぞっとした。
エリーヌじゃない・・・
エリーヌの声だけどエリーヌじゃない・・・
いったい上で何があったの?
私は言いようの無い恐怖に襲われる。
「わぁぁぁぁぁ!!」
私はハッチを開けるレバーを引く。
ここにはいられない。
こんなところにはいられないわ。

でもだめだった。
いくらレバーを動かしてもハッチは開かない。
私は必死でハッチを蹴飛ばしてでも開けようとしたけど、私の蹴りぐらいでは開かないのだ。
「わぁぁぁぁ・・・」
私はただわめき散らし、ハッチをどんどんと叩きつける。
「開けてぇ! ここから出してぇ!!」
もう何がなんだかわからない。
私はただここから逃げ出したかったのだ。
『ウフフフフ・・・だめですよ、マスター』
「エリーヌ・・・お願い、開けて。私をここから出して!」
『ウフフフフ・・・それはできません。マスターは選ばれたんです。今から私と一つになり、二人で一緒にノーライフドールに生まれ変わりましょう。ウフフフフ・・・』
「いやぁっ! そんなのいやぁっ!!」
私は泣きながらハッチを叩く。
だが、厚い装甲板のハッチはびくともしなかった。

「ひあっ」
何かぬめっとしたものが首筋に当たる。
「何? 何なの?」
私は反射的に振り返った。
「ひいっ!」
思わず私は悲鳴を上げる。
操縦席の私の背後の壁面から、黒いぬめぬめとした触手のようなものが何本も伸び始めていたのだ。
「いやぁっ!」
私は必死になってハッチの開放レバーを引き、ハッチを蹴りつける。
だが、すぐに足元からも目の前のハッチからもぬめぬめした触手が伸び始め、私の脚に巻きついてきた。
「いやぁっ! いやぁっ!」
私は腰の短剣で触手に切りつける。
どす黒い粘液を撒き散らしながら触手は切れていくものの、一本一本切る端から新たな触手が生えてくる。
「いやぁっ! お願い! 誰か助けてぇ!」
叫びながら切りつける私の腕にも触手が絡まってくる。
「ああ・・・」
右腕も左腕も触手が絡まり、私は腕が動かせなくなる。
「いやぁっ! むぐっ」
思わず叫んだ瞬間、一本の触手が私の口の中に入ってきた。
「んぐっ、むぐっ」
私は何とか噛み切ろうと歯を立てたが、触手は弾力があって短剣で切るようには噛み切れない。
「んごっ?」
のどの奥に触手が張り付いて何かが吸い取られる。
手袋の隙間から入り込んだ触手が手首からも吸い取っていく。
首に巻きついてきた触手も首筋に張り付いて吸い取っていく。
ああ・・・何これ・・・
何を吸い取っているの?
やめて・・・
吸い取らないで・・・

『ウフフフフ・・・どうですかマスター? 気持ちいいでしょ?』
エリーヌの声がする。
ええ・・・
なんだかすごく気持ちいい・・・
触手が全身に絡み付いて私を抱きしめてくれているみたい・・・
まるでゆりかごの中のよう・・・
とっても気持ちいい・・・
ああ・・・気持ちいいわぁ・・・

気持ちよさに力の抜けた私の躰を、触手が包み込むように覆っていく。
私はとても安らかな気持ちになり、触手にすべてをゆだねていく。
強靭なチェインメイルを着ているはずなのに、触手はいともたやすくチェインメイルを剥ぎ取ってしまい、下着すらも脱がされる。
すっかり無防備になった私に触手は絡みつき、股間からもお尻からも入ってくる。
うねうねと私の中で蠢き、私を気持ちよくしてくれる。
「むふぅ・・・ん・・・」
のどの奥もお腹もお尻も全部が気持ちいい。
こんな気持ちいいのは生まれて初めて。
お願いだから全部・・・全部吸い取って・・・

空っぽになっていく私・・・
その代わりに触手が私を満たしてくれる・・・
吸い取られていく代わりに闇が私を満たしていく・・・
今までの記憶、意識、生命力・・・
そんなものがすべて吸い取られ、私は新たに満たされていく。
そうか・・・
これは死なんだわ・・・
私は今死者になっていくんだ・・・
気持ちいい・・・
生きているってなんて無様だったんだろう・・・
どうして命なんてくだらないものが大事だったんだろう・・・
生きているなんて馬鹿らしい。
そんなものにしがみついている愚か者どもがわずらわしい。
命がなくなることの喜びを見せ付けてやりたい。

「うふふふふ・・・」
いつの間にか口の中の触手がはずれ、私は笑っていた。
こんなに死が気持ちいいなんて。
命を捨て去ることがこんなにすばらしいことだったなんて・・・
もう私は生きるなんて無様なことはしない。
永劫の闇の中で命あるものにその愚かしさを教えてやるの。
「あはははは・・・」
楽しみだわぁ・・・

『ウフフフフ・・・いかがですかマスター? 闇の世界の住人となった気分は?』
「うふふふ・・・ええ、最高の気分だわぁ。闇の世界の一員になることがこんなにすばらしいことだったなんて思わなかった。もう私は命などというくだらないものは持たない。ノーライフドールとなって永劫の闇の世界に暮らすの。なんてすばらしいのかしら」
私の周りの触手が形を変え、私の手足と躰を包み込む。
触手と私は一体となり、私の全身が“エリーヌ”全体へと広がって行く。
私はノーライフドール。
“エリーヌ”はノーライフドールとなった私の手足。
そしてエリーヌは私と一つになったのだ。
「町へ行きましょうエリーヌ。あそこにはたくさんの生きている連中がいるわ。奴らを殺してその命をすすってやるの。きっと甘美な味がするわ。そして奴らに命を失う喜びを教えてあげましょう。私たちで闇の世界を広げるのよ。ウフフフフ・・・楽しみだわぁ」
『はい、マスター。楽しみですね。ウフフフフ・・・』
頭上から聞こえてくるエリーヌの可愛い笑い声に、私も思わず口元に笑みが浮かんでいた。

END


以上です。

いかがでしたでしょうか?

よろしければ拍手感想などいただけますとうれしいです。

それではまた。
  1. 2011/02/11(金) 20:54:07|
  2. 騎士物語
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騎士物語(3)

騎士物語の三回目です。

今回はついつい世界観にのめりこんでしまったような気がします。

それではどうぞ。


「あ~、まったくぅ・・・」
王宮を出てすぐに私は内心の苛立ちを吐き出してしまう。
「マスター?」
エリーヌが驚いたように私を見る。
そうか・・・
エリーヌにはよくわかっていないんだ。
「ううん、なんでもないわ。ただちょっとうまくやられたなーって思っちゃってね」
「うまくやられた・・・ですか?」
少し考え込むような表情を見せるエリーヌ。
こういうところは普通の少女となんら変わるところがない。
本当にこの娘は作られた娘なのだろうかと考えてしまうわ。
「ええ、フォーコンブレ侯にね」
私はエリーヌを馬車に乗せ、自分も乗り込んでドアを閉めた。

「フォーコンブレ侯はタヌキオヤジよ。まんまと再度の遠征をさせられる羽目になったってこと」
「正体不明のアーマドールのことですね?」
ゴトゴトと馬車に揺られながら、私はエリーヌにうなずいた。
「どうせあのタヌキは、手柄を立てさせたいような息のかかった奴にやらせたんでしょうけど、どうも手に負えなさそうということでこっちに押し付けてきたのよ」
「押し付けて・・・ですか?」
「そう。私がうまく対処すれば前回のと合わせて少々褒美をやればいいし、もし失敗しても、目障りな女騎士などという存在がいなくなる。その上であらためて別の人を任に当てればいいってわけ」
「なるほど・・・よくわかりました」
エリーヌの表情が曇る。
やはり彼女にしてもいい気分のものではないのだろう。
「でも、ま、またエリーヌと一緒に出かけられるか。帰ったら忙しくなるわよ。よろしく頼むわね」
「はい、もちろんです。マスター」
こちらを見て微笑むエリーヌの笑顔に、私はすごく癒されるのを感じていた。

                   ******

出立の準備はあわただしく行われた。
正体不明のアーマドールは、ヴァーゾン辺境伯の領地と国王陛下の直轄領の境目付近に出没するという。
ヴァーゾン辺境伯も国王陛下もともに相手側のアーマドールかと思い、それぞれ抗議を申し入れたところで双方に関係のない正体不明のアーマドールであることがわかったという。
ヴァーゾン辺境伯の領地は王都からは約一週間の距離。
やれやれ、遠征費がいくらかは出るとはいえ、また痛い出費だわ。

「マスター、出発の準備整いました」
先日と同様モーガブル六頭立ての台車にきちんと寝かせられた“エリーヌ”が、朝の陽の光を浴びて輝いている。
先日の戦いの跡は微塵もない。
この二日ほどで、ファクトリーの連中がきちんと手入れしてくれたのだ。
その“エリーヌ”の後ろには従者の乗る荷馬車が付き、先頭には私のための馬も用意されている。
私は荷馬車に荷物を積むと、玄関先まで見送りにでてきてくれたお爺様を抱きしめて、その両頬に行ってきますのキスをした。
「気をつけてな。ラシェル家のことなどどうでもいいから、無事に帰っておいで。死んではならんよ」
「わかってます」
お爺様のお返しのキスを受け、私は大きくうなずく。
死ぬつもりなどないけれど、騎士として見苦しいこともできない。
その覚悟を、私は改めて心に刻む。
「それでは行ってきます、お爺様」
私は見送りのみんなに手を振ると、先頭の馬にまたがってラシェル家を後にした。

街道を行く私たちの後ろには、ちょっとした隊列ができていた。
街道とは言っても、町や村との間では巡邏の目も届かない場所が結構ある。
そういった場所では盗賊や追いはぎの類が出ることもあるし、何より野生の獣や魔物がでることもあるのだ。
だから町々を交易する商人は隊商を組んで護衛を雇ったりするし、一般人は隊商に加えてもらったり、こうして騎士や軍勢の移動に付いて行ったりして安全を確保するのだ。
そういうわけで、私たちの後ろにも、幾人かの商人と一般人が付いてきているのだった。
おかげで、“エリーヌ”をつんだ台車には新婚の若妻さんが同乗している。
旦那さんとは王都で知り合ったものらしく、今回の旅は結婚の報告を旦那さんと一緒に旦那さんの両親の家にしに行くのだそうだ。
小柄でかわいい感じの女性で、エリーヌと楽しそうに話している。
まさかエリーヌがユニットドールだなどとは思ってもいないんでしょうね。

一週間ほどかけて街道沿いの宿場町を経由しながら、私たちはヴァーゾン辺境伯領との境界までやってくる。
幸い今回はさほどの問題もなく無事に来ることができた。
盗賊や追いはぎが出てくることも、魔物の類に襲われることも、アーマドールを奪おうとするような輩にも出会わずにすんだ。
ここから先はヴァーゾン辺境伯領になるので、国王陛下の騎士である私はうかつには入れない。
もっとも、今回はこのあたりに出没する正体不明のアーマドールの探索なので、ヴァーゾン辺境伯領に入り込む必要はない。
この境目の宿場町であるキロブスクの町を拠点にして動けばいいのだ。
私は早速この町を管理する町長のところへ行き、国王陛下の命令でしばらくこの町に滞在することを告げた。
町長は傍目にも大げさすぎるほどの歓迎を示してくれ、好きなだけ滞在してくださいと言ってくれた。
悪いけどお言葉に甘えさせていただくとしましょう。

町長は私に一軒の家を提供してくれた。
宿の一部屋を使わせてもらえれば充分だったのだけど、空き家になっているので自由に使ってほしいとのこと。
これも私はお言葉に甘えさせてもらった。
小ぶりだけどいい家だし、滞在するにはもってこいの家だわ。

私は早速エリーヌとともに“エリーヌ”を起動させ、慣らし運転をする。
一週間台車に寝かせきりだったけど、各部の駆動は何の問題もない。
心臓石も出発前に交換したばかりだから生き生きしているし、循環液もさらさらと静かに流れている。
これがしばらく使っていると、心臓石の動きは弱まり、循環液もドロドロに濁ってくるのだ。
そうなったらアーマドールそのものの動きも鈍くなるので、さっさと取り替えなくてはならない。
アーマドールを動かすのは大変なのよね。

                   ******

正体不明のアーマドールが出現するまでは出番がないと思いきや、翌日から私はすぐに忙しくなった。
最初は女騎士ということで物珍しさもあったのだろうけど、それ以上に国王陛下の騎士が来たということで、いろいろな問題ごとが持ち込まれることになったのだ。
その大半は町長が裁定すればいいものだったので、私は単に国王陛下の代理としてその裁定にいわばお墨付きを与えればいいだけであったのだけど、それでも細かい揉め事まで持ち込まれてきたのには疲れてしまう。

それが終わったら今度は町の周辺の猛獣退治。
森林虎や巨大蛙などを、アーマドールを使って追い払うのだ。
蛙と言っても大きなものは人間を一飲みにしてしまうほどの大きさがある。
森に入る人間がまれに襲われたりすることがあるのだ。
こういった猛獣は町の周囲に近づかなければそれでいいので、アーマドールの巨体で脅かしてやれば当分は近づかない。
それでも寄ってくるような奴は退治しないとならないけどね。

そんなこんなでキロブスクに来て十日ほども経つと、ようやく忙しさも一段落する。
エリーヌの作ってくれた夕食を食べ、お茶を飲んでゆったりと過ごす夜。
ユニットドールの能力に家事を加えたのは誰なのかしらね。
まあ、これだもの男性騎士がユニットドールを愛でるのも無理ないわ。
可愛くてかいがいしく身の回りの世話をしてくれるんですもの。
手放すなんてできないわよね。

あわてたようなノックの音がする。
もしかして?
私はすぐに立ち上がると玄関のドアを開けた。
「何事?」
「き、騎士様! で、出た! 出ました!」
玄関先では青ざめた顔をした男が町の外を指差している。
「正体不明のアーマドールね?」
「は、はい。森にいます」
「わかったわ。すぐに行きます。あなたは町長さんにもこのことを知らせて」
私は男の人にそう言ってドアを閉め、すぐに身支度を開始する。
見るとエリーヌもエプロンを外し、白いフィットした特殊スーツに着替えていた。
「すぐに“エリーヌ”を出すわ。お願い」
「了解です、マスター」
着替え終わったエリーヌが外へと駆け出していく。
私はその間に全身を覆うチェインメイルの上に皮の胸当てと腰当てを着け、ブーツと手袋を身に着けた。
そしてヘルメットをかぶり、外へ出る。
すでに庭先では、“エリーヌ”が起動態勢に入っていた。
私はすぐに胸の操縦席に入り込み、躰を固定して操縦悍を握る。
足のペダルを踏み込むと、アーマドール“エリーヌ”は、ゆっくりと立ち上がった。

「エリーヌ、各部チェック」
『チェック終わってます。異常なし』
私の声にすぐに頭上から反応が返ってくる。
“エリーヌ”の頭部にあるドールハウスと呼ばれる制御槽におさまったエリーヌが返事をしてくれるのだ。
うん、今日も息は合っているわ。
「行くわよ」
『了解です、マスター』
私は“エリーヌ”を歩かせ始めた。

足音を響かせて大地を振るわせるアーマドール。
重量があるから仕方ないとはいえ、町中では迷惑だわね。
私は大通りを郊外に抜け、そこから森に向かうことにする。
キロブスクの町の周囲はほとんどが森。
その中を一本の街道がヴァーゾン辺境伯領まで延びているのだ。
街道の途中にできた宿場町であるキロブスクは、周囲の開拓もそれほど進んではおらず、うっそうとした森が周囲には広がっている。
そこは木こりでさえ奥までは入らない未知の森。
正体不明のアーマドールが出没するにはもってこいの場所なのだ。

樹木の間に見え隠れする一体のアーマドール。
まだ遠いせいもあって、どんなアーマドールかはわからない。
ただ、月明かりがあるのに装甲板の輝きが鈍いよう。
あまり手入れをされていないのかしら?
だとしたら山賊が手に入れたアーマドールという可能性もある。
騎士の持ち物であるアーマドールだけど、奪われてしまったアーマドールが無いわけじゃないし、そういった中の一体が売られずに使われているということだってあるだろう。
充分に使いこなせなくても、旅人や村人を威嚇するには充分すぎるのだから。

「エリーヌ、何かわかる?」
『今のところは何も・・・動きがあんまりよくないようです』
樹木の間をゆっくりと動いている相手のアーマドール。
動きが制限される森の中とはいえ、確かに動きはよくないようだ。
やはり正規の訓練を受けた騎士ではないのかも。
「近づくわ。正体を確かめる」
『了解です、マスター』
私は“エリーヌ”を街道からはずれさせ、森の中へと踏み入れさせた。

幸い満月に近い時期のおかげで、相手を見失うことはなさそう。
でも、森の中に入ってしまえば、アーマドールといえども樹木にさえぎられて視界は悪くなる。
まさかとは思うけど、待ち伏せとかには気をつけなくては。
私は樹木の間を縫うようにしながら、相手のアーマドールに近づいていく。
相手は動きが鈍く、なんだか酔っ払っているようにも見える。
いったいどんな人が乗っているのかしら・・・

『マスター』
「何?」
頭上からの声に私は答える。
『どうも様子が変です。相手から・・・その、何も感じられません』
どういうわけかわからないが、ユニットドールは人間の“気”のようなものを感じ取ることがある。
それが今回は何も感じないということなのか。
事実私も相手から気迫めいたものは何も感じない。
むしろ、何を考えているのかわからない不気味さのようなものを感じていた。
「そうね。なんというか、私も相手の気持ちが感じられない気がするわ」
『充分注意してください。何があるかわかりません』
「了解」
私は“エリーヌ”の腰からバスタードソードを抜き放つ。
樹木の間を縫うには邪魔くさいけど、戦闘には欠かせない。
それにしても・・・一体どんな奴なのだろう・・・

「えっ?」
私は驚いた。
不意に相手のアーマドールがこちらを向いたのだ。
その瞬間、私はいいようのない恐怖に襲われた。
「な、何?」
甲冑を着た騎士を模したアーマドールの頭部には、バケツを逆さにしたようなグレートヘルムがかぶせられている。
その正面には外を見るためのスリットがついていて、ユニットドールはそこから外を見るのだけど、そのスリットの奥が不気味に赤く輝いていたのだ。
まるでアーマドールに目があって、それが赤く輝いているみたいだわ。
こんなアーマドールは見たことが無い。
いったいこいつは何なの?
  1. 2011/02/10(木) 21:11:26|
  2. 騎士物語
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騎士物語(2)

騎士物語の二回目です。

それではどうぞ。


「お爺様、ただいま戻りました」
午後の日差しが差し込む書斎でお爺様は本を読んでいらっしゃったが、私とエリーヌが入っていくと、顔を上げて笑みを浮かべてくれた。
「おお、クロディーヌ。お帰り。無事で何よりだ。エリーヌもご苦労であったな」
本を閉じて膝の上に置き、両手を広げて私を迎えてくれるお爺様。
「ありがとうございます、アンリ様」
エリーヌが片膝をついて一礼する。
「お爺様もお元気そうでうれしいわ」
私はお爺様に抱きつくと、その頬にそっとキスをした。
「早馬で戦いのことは聞いたよ。よくやってくれた。ラシェル家の誉れだ」
「ありがとうございます、お爺様」
私はお爺様から離れ、ほめてもらえたことに礼を言う。
お父様亡き今、ラシェル家はお爺様と私が守っていかなくてはならない。
少しでもその役に立てたのであればうれしいわ。
「土産話を聞きたいところだが、今日は疲れているだろう。旅の汚れを落として休むがいい」
「はい、そうさせていただきます。お爺様」
お爺様の配慮に感謝して私たちは部屋を出る。
もうくたくただったのだ。

「わ、私は自分でやりますからマスター」
「だめ。一緒に来なさい。いつも言っているでしょ」
私は湯浴みにエリーヌを引っ張っていく。
人の手で作られたものとはいえ、ユニットドールは人間とほとんど変わりない外見をしているのだ。
女の子は身奇麗にしておかなくちゃね。

湯船に溜められたお湯を桶に取り、私はエリーヌの躰を拭く。
エリーヌは観念したようにおとなしく、私に拭かれるがままになっていた。
それにしても・・・
本当にこれが作られたものだというのだろうか?
肌のやわらかさも温かさも人間と変わりが無い。
小ぶりの胸の膨らみも、股間の性器だって変わりが無い。
ここまで人間そっくりに作る必要があるのだろうか?

唯一といっていい違いは首筋の後ろにある三つのソケット。
ユニットドールはここにアーマドールからのケーブルをつなぎ、アーマドールの基本動作を制御する。
そのため騎士は、歩くとか腕を振り上げるなどといった基本動作を制御せずに、戦いの動作だけを行わせることができるのだ。

アーマドールとは言ってみれば騎士の着る鎧である。
その外見は騎士が儀礼のときや戦いのときなどに着る全身鎧に酷似している。
ユニットドールと操縦者が乗り込むために頭部と胸部がやや太くなっており、それに合わせて脚部も太くはなっているものの、全体を見ればまさにヘルメットをかぶり全身を鎧で覆った騎士の姿そのものなのだ。
鎧は武器の一種であるから戦いに使われ、傷ついたり壊れたりするもの。
アーマドールも同様に、戦いに使われて傷つき壊れていく。
壊れるのは仕方ないとは言うものの、精密な制御システムを作る端から壊されるのではたまらない。
せめて制御システムは取り外しが可能なようにしておき、本体が壊れても制御システムは無事であるようにしたい。
制御システムが取り外しができるとなると、今度は持ち運びが大変である。
どうせなら自力で移動ができる制御システムであるほうがいい。
と、なれば、高貴なる者が連れて歩いても見栄えのいい形であるほうがいい。
そんな考えがユニットドールをこうした人間型に導いたのだ。
そりゃ、一緒に歩くなら金属の塊なんかであるよりも、エリーヌのような人間の形をしているもののほうがいいというのはわかる。
でも、これではあまりに人間に似すぎている。
まさに魔法技術の傑作。
私自身、エリーヌを作られたものであるという認識は持ちづらく感じていた。

「はい、終わり」
私はエリーヌの髪の毛を拭いてやる。
金色の髪がとてもきれい。
うらやましいぐらいだわ。
「ありがとうございます、マスター」
エリーヌのにこやかな笑顔を見て、私は思わず抱きしめたくなってしまう。
ファクトリーの連中は、きっと騎士にこういう感情が湧くことを計算していたのだろう。
こういう保護心が湧く対象であれば、戦場でもユニットドールを確保して連れ帰ってくれるに違いないからだ。
悔しいが、その策略に私自身もハマっているというわけか・・・
「どういたしまして」
私はエリーヌに笑顔を返して風呂場から出し、自らの躰を拭き始める。
ぬるくなったお湯を含んだタオルが気持ちよかった。

                    ******

「おはようございます、マスター」
エリーヌが部屋に入ってきて鎧戸を開ける。
とたんに窓から朝の光が差し込んできてまぶしい。
私は寝ぼけ眼をこすりながら、ベッドで上半身を起こした。
「おはよう・・・もう朝なの?」
とてもじゃないが寝たりないわ。
それにしても、久しぶりの家のベッドは気もちよかったぁ。
「もう二度目の鐘が鳴り響きました。早く支度をしないと遅れます」
エリーヌはそういうと、着替えをベッドの脇に置いてくれる。
いけない。
今日は王宮に出向いて帰還の報告をしないといけないんだわ。
私はすぐに飛び起きると、服を着替えて身支度を整え始めた。

「おはようございます、お爺様」
食卓にはすでにお爺様が着いていた。
「ああ、クロディーヌ、おはよう」
お爺様がにこやかに微笑んでくださる。
めがねの奥の細い目が、よりいっそう細くなっていた。
私はすぐに食事の用意をさせ、朝食をかき込んでいく。
国王陛下の午前中の謁見に間に合うようにしなければ。
「ん・・・げほっ」
あわててパンをのどに詰まらせる。
「こらこら。あわてて食事をするからじゃ。もう少し落ち着いて食べなさい」
お爺様が笑っている。
「は、はい、お爺様」
私はショコラを飲んで落ち着いたところでそう言う。
う~・・・
恥ずかしいざまを見せてしまったわ。

「ご馳走様でした。それではお爺様、国王陛下に帰還のご挨拶をしに行ってまいります」
食事を終えた私は、ナプキンで口をぬぐうと席を立つ。
簡単な朝食だけど、やっぱり家で食べる食事は美味しいわ。
夕べの食事といい、あとでコックのゲランに美味しかったと言ってあげなくてはね。
「くれぐれも陛下に失礼の無いようにな。クロディーヌ」
「はい、お爺様」
私はお爺様の表情が少し翳ったのを見た。
「クロディーヌ、そなたには苦労をかける。そなたの父が生きておれば・・・」
またその話。
私は黙って首を振る。
「その話は言わないでくださいお爺様。父の死はどうしようもなかったことです」
「だが、クロディーヌ、せめてそなたが男であったなら・・・王宮で惨めな思いをすることも・・・」
「お爺様、お気になさらないでください。私が女だということでいろいろ言われているのは確かです。でも、私はそんなことはなんとも思っておりませんから」
男に生まれなかったのは私の力でどうにかなることではないし、ほかにラシェル家を継ぐことができる男子がいるわけでもないのだ。
どうあれラシェル家は私が継ぐしかない。
そりゃあ、いずれは婿を迎えて子を産まなければならないのだろうけど、今はこうして気兼ねなく男のようにしているのも悪くないのだ。
少々のことは気にするまでもない。
少々のことは・・・

「マスター、そろそろ出かけましょう」
いつものように白い躰にぴったりした特殊スーツを着たエリーヌが迎えに来る。
アーマドールのユニットドールとして、騎士のそばに控えていなくてはならないのだ。
「それでは行ってまいります、お爺様」
「うむ、気をつけてな」
私はお爺様に抱きついて頬にキスをすると、エリーヌを連れて部屋を出た。

ゴトゴトと馬車が揺れる。
昨日までと違い、今日は馬車の座席に座っての移動。
窓の外では、朝のざわめきが町を彩っている。
王宮までのしばしの間、私は生き生きとした町の表情を楽しんでいた。
「ファクトリーには手配をしておきました。王宮から戻るころには、職人たちが来ていると思います」
私の向かい側に座るエリーヌの報告に、私は黙ってうなずく。
戦いで傷付いた外板や消耗品を交換し、整備を行ってもらうのだ。
おそらく二日もすれば、“エリーヌ”はまた元通りぴかぴかに磨き抜かれた姿になるだろう。
新たな戦いに備え、身だしなみを整えるのだ。

程なく馬車は王宮に到着する。
正門の左右にはまさに磨き抜かれたアーマドールが屹立し、周囲を無言で威圧している。
そばにいる衛兵も銀色に赤い飾りのついた胸当てを着け、アーマドールに勝るとも劣らない派手さで国王の権力を見せ付けていた。
私は衛兵に身分と用向きを伝え、王宮内へと馬車を進ませる。
広大な庭園を抜け、宮殿玄関で馬車を降りると、私はエリーヌとともに宮殿の中へと入っていった。

謁見の間。
そこは数多くの廷臣が国王陛下に謁見を許される場所。
私とエリーヌは、幾人かの人々が謁見を待つ控え室の中で順番を待つ。
商人や官僚、地方から来た貴族、そして私のようにユニットドールを従えた騎士が国王陛下への目通りを待っている。
そのいずれもが、エリーヌを連れた私に好奇と嫌悪の無遠慮な視線を向けていて、隣の人とひそひそ話をしているのだ。
いつもと同じこと。
もう慣れてしまった。
女だてらに騎士を名乗りアーマドールを乗りこなす存在など、男の騎士たちには耐えられるものではないのだろう。
逆に商人や貴族には物珍しい珍獣にでも見えるのか、エリーヌと私の取り合わせをいやらしい目で見るものも少なくない。
ふう・・・
慣れたとは言っても、戦場にいるほうがはるかにましだわ・・・

「騎士クロディーヌ・ラシェル殿」
名を呼ばれた私は、エリーヌを連れて謁見の間に進む。
大きな両開きの扉が開き、広い室内に通される。
がらんとした部屋は、国王陛下の権力の大きさを誇示するように窓も柱も巨大で天井も高かった。
部屋の奥の一段高くなった玉座には初老の国王陛下が座り、その周りを重臣たちが詰めている。
初老とはいえ国王陛下は精気に満ちた顔つきをしており、その威厳は周囲を圧していた。

私とエリーヌは室内の中ほどまで進み、そこで膝を折って一礼する。
国王陛下のお言葉を待ち、そして今回の遠征の結果を報告するのだ。
「クロディーヌ・ラシェルよ。よう無事で戻った。余はうれしいぞ」
重々しく響く国王陛下の声。
その力強いお言葉に、私は思わず畏怖の念を抱いてしまう。
「ありがたき幸せ。これもすべて国王陛下のご威光の賜物かと」
深々と頭を下げる私とエリーヌ。
「うむ。報告はすでに受けている。辺境の村・・・なんと言ったかな?」
「ロウォーヌでございます、陛下」
「そうであったな。ロウォーヌ村だ。ロウォーヌ村をよく我が手に収めてくれた」
耳打ちをなされたのであろう重臣の方の声が聞こえ、再度お言葉を下さる国王陛下。
「あの土地は国王陛下にこそふさわしいもの。私はただそれを証明したに過ぎません」
「うむうむ。そなたの働き見事であった。これでしばらくあのビュシエール男爵もおとなしくしておろう。愉快なことよ。わっはっはっは・・・」
国王陛下がお笑いになっている。
ビュシエール家は男爵家ではあるものの、その勢力は侮りがたいものがあるので、国王陛下も内心苦々しくお思いだったのかもしれないわ。

「クロディーヌ・ラシェルよ。褒美を取らす。好きなものを言ってみよ。地位か? 領地か?」
私は黙って首を振る。
地位も領地もほしくないわけじゃない。
でも、ラシェル家は先年のザルクエンヌ遠征で加増を受けている。
ここで更なる加増を受けては、ほかの騎士たちの嫉視を受け、ろくなことにはならない。
なので、ここは辞退するほうがいいのだ。
「国王陛下のありがたきお言葉、このクロディーヌ心より感謝いたしております。なれど、此度のことは国王陛下のご威光を知らしめるためのものであり、褒美を受けるようなことではございません。どうか私ごとき若輩者にご配慮はご無用にお願いいたします。ただ、国王陛下にはラシェル家という忠実なる臣下がいることをお気に留めていただきさえすれば、このクロディーヌ、望外の喜びでございます」
「うむ。そうか。そなたは欲がないな。わかった。今後もラシェル家の忠誠に期待するぞ」
私の返事に満足してうなずかれる国王陛下。
これで少しはラシェル家の印象を強められたはず。
私はともかく、ラシェル家は今後も続いていかなくてはならないのだ。
足元は固いほうがいい。

「陛下」
国王陛下の傍らから声が上がったとき、私はいやな予感がした。
声をかけたのはフォーコンブレ侯爵ロスタン。
国王陛下の腰ぎんちゃくといわれている男だ。
あまりいい噂は聞かない。
「何かな、ロスタン」
「クロディーヌ殿の申しよう、若年ながらなかなかお見事。このロスタンも感服つかまつりました。いかがでしょう? 此度のことはクロディーヌ殿には少々物足りなかったのではありますまいか。であるからこそ褒美には値しないとおっしゃられておられるのかと」
クッ・・・
そう来たか・・・
私は唇を噛み締める。
「ふむ・・・騎士同士の戦いは決して物足りぬとは思わなかったが・・・」
もちろん物足りないなどあるはずもない。
できればこのような遠征はそうそうあってほしくないぐらいなのだ。
「いえいえ、陛下、クロディーヌ殿であればその実力にふさわしい任務があろうというもの。いかがでしょう? 先日来辺境を騒がせておる謎のアーマドールの探索と排除をお命じになられては?」
謎のアーマドール?
いったい何のことだろう・・・
「おお、あの話か・・・ふむ・・・確かクレマン家の者が向かったはずだが、どうなったのか?」
「それが、あの者アーマドールもろとも行方が知れませぬ。おそらくは返り討ちにあったものかと・・・」
「ふむ・・・侮れぬということか」
「はい、陛下。なればこそ」
私は黙って国王陛下とフォーコンブレ侯爵の会話を聞いているしかない。
言葉をさしはさむことなどできはしないのだ。

「ふむ、どうかなクロディーヌ・ラシェルよ。そなた、この任を引き受けてはみぬか?」
「ハッ、国王陛下のご命令とあれば、このクロディーヌに否やはございません」
私は内心を抑えてこう答えるしかなかった。
「うむ、では任せるとしよう。無事に帰還したあかつきには、今度こそ褒美を取らせるぞ」
「ハッ、ありがたき幸せにございます」
「うむ。下がるがいい」
「ハハァッ」
私は国王陛下に一礼を行うと、フォーコンブレ侯爵をにらみつけるように一瞥し、エリーヌをつれて謁見の間を出る。
まったく・・・
してやられたわ・・・
  1. 2011/02/09(水) 21:19:03|
  2. 騎士物語
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騎士物語(1)

本日から2000日連続更新達成と260万ヒット達成の記念としまして、SSを一本投下いたします。

タイトルは「騎士物語」です。

悪堕ちSSとしてはちょっと微妙かもしれませんが、お楽しみいただければと思います。
それではどうぞ。


「騎士物語」

ノーライフドール・・・そは命のないアーマドールのこと。
闇の中、永劫に動き続ける呪われしアーマドール。
命あるものを憎み、妬み、そして殺していく魔に取り憑かれたアーマドール。
そに魅入られしアーマドールもまた、ノーライフドールとなりにける。
その邪悪なる姿を見た者で、帰ってきた者はいまだおらず・・・
(吟遊詩人の間で伝わる詩の一節)

                   ******

ずしんと言う衝撃がシートに伝わってくる。
“エリーヌ”の持つバスタードソードが相手のブロードソードを受け止めたのだ。
思わず操縦悍を握る手に汗がにじむ。
もし受け損なっていれば、あのブロードソードは“エリーヌ”の鎧をぶち破り、私の肉体など赤い血の染みに変えてしまっていたことだろう。

『どうしたのですか、マスター? 動きが鈍いです』
頭上からエリーヌの声がする。
クッ・・・
ここ数日乗らなかっただけで、動きに鈍さが出ているのかしら?
「ありがとうエリーヌ。助かったわ」
私は素直に感謝する。
私の反応だけでは、正直あの一撃は受け止められなかったかもしれない。
『礼は不要です、マスター。気をつけてください。次が来ます』
操縦席にいる私の正面にはスリット状の覗き穴があり、そこから相手の重厚なアーマドールが見えている。
相手は一度後退して間合いを取り、私と向き合っていた。
その剣が陽光に輝き、次の一撃を繰り出すべく伺っている。

「了解。次は油断しない」
私は唇を舐めて湿らせる。
騎士が乗り込んで操縦する巨大な自動鎧とも言うべきアーマドール同士の戦いは、一瞬の油断が命取りになるのだ。
『それでこそマスターです。おそらく次は中段からの一撃を狙ってくると思います』
「了解。中段ね」
私はエリーヌの判断に全幅の信頼を置いている。
アーマドールの頭部に位置する彼女はまさしく“エリーヌ”の頭脳。
“エリーヌ”を使う上で、彼女のサポートは欠かせない。

『王の騎士よ! おとなしく降伏するんだな。女のくせにアーマドールなどに乗って命を粗末にするものではない』
相手のアーマドールから声がする。
こちらに降伏せよと言っているのだ。
冗談ではない。
国王陛下の命なのだ。
むざむざとこの地を獲られてなるものか。

私はペダルを踏み込んだ。
すぐに私の動きに反応して、“エリーヌ”の巨体が走り出す。
相手との距離を一気に詰め、その胴を薙いでやるのだ。
『何っ?』
こちらの反応が予想外の早さだったのか、相手の対応が一瞬遅れた。
ラウンドシールドを構えてこちらの攻撃を受け流そうとするが、私の方が動きが速い。
“エリーヌ”のバスタードソードが、相手のシールドごと腕を弾き飛ばし、そのまま胴に一撃を食らわせる。
アーマドールの循環液が飛び散り、銀色の鎧がひしゃげていた。
そしてそのまま巨体が倒れこみ、納屋を一軒押しつぶす。

「そこまで! 陛下の騎士の勝ちとする」
戦いの見届け人が宣言し、戦いは終わった。
私はほっと一息を付くと、バスタードソードを鞘に収める。
見ると、倒れこんだ相手のアーマドールの胸と頭から、騎士とユニットドールが這い出してくるところだった。
「くそっ。こんなはずでは・・・お前がちゃんとしないから!」
いかにもプライドの高そうな若い騎士がユニットドールを蹴飛ばしているのを見て、私は気分が悪くなる。
どうして自分のアーマドールのユニットドールを蹴り飛ばすなんてことができるのだろう。
ユニットドールなくしてアーマドールなど動かすことはできないのに・・・
「申し訳ありません、ガストン様。申し訳ありません・・・」
地面に蹴り転がされ、踏みつけられながら必死に謝罪しているユニットドール。
人間ではないとはいえ、その外見ははかなげな少女に過ぎない。
躰にぴったりした特殊なスーツをまとい、アーマドールの頭部で動きを制御する大事なユニットなのに・・・

「そういうことは領地へ戻ってからやってくれない? 見るに耐えないわ」
私は“エリーヌ”をしゃがませて、胸のハッチを開ける。
そして操縦席から降りると、相手の騎士に向かってそう言った。
「くそっ! この俺が女に負けるだなんて・・・くそっ! くそっ!」
もう一度足でユニットドールを蹴り、こちらに一瞥をくれて去っていく相手の騎士。
よくあれで騎士が務まるもの。
男爵領の人間が嫌われるのもわかる気がするわ。

地面から起き上がった紫色の髪のユニットドールが私をチラッと見て、すぐに自分のアーマドールに戻っていく。
再起動して引き上げの準備をするのだろう。
巨大な家畜モーガブルが六頭で牽く台車がやってきて、胴部のひしゃげたアーマドールを載せて行く。
それを見ていた私の横に、“エリーヌ”を同じく台車に横たえたエリーヌがやってきた。
「お疲れ様でした、マスター」
「ありがとうエリーヌ。あなたのおかげで何とか勝てたわ」
「いいえ、マスターの実力です。おめでとうございます」
躰にぴったりした白いスーツを着た小柄な少女が、私ににこやかに微笑んでいる。
金色の髪と青い目が美しい。
騎士たちの間で、ユニットドールを愛玩する者たちがいるというのもうなずける。

「国王陛下の代理人たる見届け人として宣言する。この土地争いは国王陛下の騎士、クロディーヌ・ラシェルの勝利を持って決着となす。ビュシエール男爵家も異論はありますまいな?」
「ビュシエール男爵家の代理人たる見届け人も了承する。男爵閣下にはそのように伝えましょう」
双方の見届け人が書類にサインを交わしてお互いに渡す。
これでこの戦いは終わったのだ。

「おめでとう、ラシェル殿。国王陛下の代理として礼を言いますぞ。これでこの村の帰属は王家直轄領に組み入れられることになった。今後ますます発展していくであろう」
栄養の行き届いた血色のいい中年の男性が私の元へ来る。
私はすっと膝を折って一礼した。
相手は国王陛下の代理人。
機嫌を損ねるわけには行かない。
「ありがとうございます。これもひとえに国王陛下のご威光の賜物と存じます」
「おそらく王都に戻り次第陛下からお言葉を賜ることになるでしょう。しかと心得て置かれますよう」
「ハッ、ありがたき幸せ」
私は陛下の代理人が立ち去るまで頭を下げていた。
やがて代理人が立ち去ると、私は立ち上がってほっと一息つく。

「おめでとうございます。マスター」
後ろに控えていたエリーヌがやってくる。
「ありがとうエリーヌ。でも、王都に戻ればまた陛下のお呼び出しがあるんでしょうね」
私は思わず苦笑する。
「仕方ありません。マスターはそれだけのことをしているのですから」
エリーヌが微笑んでいる。
この笑みが作られたものであるなんて考えづらい。
ファクトリーの連中はいったい何を考えてユニットドールの形を少女を模して作ったのかしら。

「“エリーヌ”の固縛は完了しました。いつでも出発できます、マスター」
金色のショートの髪が陽光に輝く。
ぴったりした白い特殊スーツはその少女らしい躰つきをまったく隠そうともしていない。
普通ならばとても恥ずかしいだろうに、彼女はまったくそんなことは感じていないのだろう。
私ならあのスーツはとてもじゃないが着られない。
今着ているこの躰にフィットしたチェインメイルだって、アーマドールから降りたらなんとなく恥ずかしいのに。
「それじゃ、戻るとしましょう。まだ日は高いから、次の町までは充分に行けるわ」
「はい、マスター」
エリーヌがにっこりと微笑んだ。

                   ******

日の傾いた中、町へと通じる道を馬を進ませる。
そろそろ宿場町が見えてくるころだ。
今日はそこでゆっくりできるはず。
“エリーヌ”の本格的な点検は無理でも、表面の汚れぐらいは落としてやらないとね。

先頭を行く私の背後では、ごろごろと重い地響きを立てて六頭のモーガブルが牽く台車が、アーマドールである“エリーヌ”を載せて付き従っている。
傾いた日が“エリーヌ”の白銀の装甲板を輝かせ、その脇にちょこんと腰掛けている金色の少女の髪も同時に輝かせていた。
“エリーヌ”を載せた台車のさらに後ろには、国王陛下より付けられた従者が数人、荷馬車に乗って付いてくる。
荷馬車の荷台には、彼らのほかに“エリーヌ”用の消耗品が山のように載せられていた。
巨大な魔法機械であるアーマドールは簡単には動かない。
動かすにはそれこそ大量の消耗品が必要になる。
各部を駆動させる循環液も、動くたびに補充してやらなくてはならない。
関節の部品も磨り減るのが早いので、先ほどのような戦闘をやった後は取り替えるのが望ましい。
動力源の心臓石も、一定期間ごとに取り替えなくてはならない。
アーマドールを所有するということは、本当に金がかかるのだ。
今回のような国王陛下からの命での出陣であれば一定額の支度金が出るものの、陛下の命令を賜るのは名誉であるとの思いから、たいていは自腹で不足分を補わなくてはならない。
それだけは頭が痛いことではある。

私は再度背後を振り返る。
小山のような巨獣モーガブルの背中越しに、台車に横たわった“エリーヌ”が見える。
その横の少女が歌っているのだ。
アーマドールと同名の少女。
アーマドールと一緒に作られ、一生をその制御にささげる少女。
見た目は人間となんら変わらない。
白磁のような肌はやわらかく温かみすら持っている。
青い目は澄んでいて美しく、その声は聞くものを虜にするほど綺麗。
後ろの連中もエリーヌの声に聞き惚れているようだ。
先ほどまでの無駄口が静かになっている。
私もその歌声を聴きながら、馬を進めるのだった。

                      ******

五日後、私たちは王都カディアスへと戻ってきた。
今回の遠征はそれほど僻地というほどでもなかったが、辺境であったことに間違いはない。
王都の城門をくぐれば、そこには懐かしくなる喧騒が満ち満ちていた。
雑踏の大勢の人の体臭。
道路の隅にぶちまけられている汚物。
商店に並ぶ干し魚や干し肉の臭い。
同じ商品でも果物や野菜はまた違う香りを放っている。
それらが入り混じって、なんともいえない空気のにおいを形作る。
帰ってきた。
思わずほっとするものを感じる。
私は馬を進めながら、このけっしていいとは言えないにおいの空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

「アーマドールだー」
「わーい」
「わーい」
子供たちが駆け寄ってくる。
ここ王都カディアスでは、アーマドールはそれほど珍しいものではない。
とはいえ、王宮内に鎮座するアーマドールを見る機会など子供たちには無いだろうし、各貴族の所有するアーマドールにしても、そうそう目にするものでもないだろう。
子供たちは物珍しそうに、ゴトゴトと重い音を立ててゆっくりと通りを進む六頭牽きの台車の周りに集まり、その上に横たわる銀白色に輝くアーマドール“エリーヌ”を、その輝きに負けぬほどに目を輝かせて見ているのだった。
「あんまり近寄ってはいけません。危ないです」
「はーい」
台車の上からエリーヌに注意され、子供たちは素直に答える。
それでも子供たちは付いてくるのをやめようとはしない。
男の子も女の子もそれぞれ、台車の上の白銀の巨人と白い服の少女に目を奪われているのだった。

私は歩みを速めるでも遅くするでもなく、子供たちが付いてくるに任せる。
追い払うなんてまねはしたくないし、かといって帰宅を遅くする気にもならない。
子供たちも飽きればすぐに去っていくに違いない。

はたして、通りを一丁も進めば子供たちは去っていった。
台車の上で寝ているだけの動かないアーマドールなどすぐに興味を失ってしまうのだ。
私は子供たちに事故が無かったことに安堵し、やがて目的地に台車を着ける。
なつかしの我が家だ。
やっと帰ってきた。

私はエリーヌに指示して“エリーヌ”を起動させる。
モーガブルの牽く台車から降ろし、格納場所に置かねばならないのだ。
私はしゃがみこんだ“エリーヌ”の腹部にあるハッチから中に入り、操縦席に座り込む。
そして再度“エリーヌ”を立ち上がらせると、外に向かってこう言った。
「皆さんご苦労様でした。今回の遠征はこれで終了です。解散してください」
国王陛下から派遣されてきた付き人たちは、一様にほっとした表情で立ち去っていく。
モーガブル六頭立ての台車もごろごろと音を立てながら去っていく。
アーマドールは戦うための武器であり、移動のための道具ではない。
そのため、長距離の移動にはこうして台車で運ぶ必要があるのだ。

私はアーマドール用に設えられた出入り口から庭に入り、その一画を占める格納場所に“エリーヌ”を座らせる。
“エリーヌ”が入ってきたことで、家の中から黒服を着たベシエールがでてきて、にこやかに私を迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、クロディーヌお嬢様」
私はハッチを開けて“エリーヌ”から飛び降りた。
「ただいま、ベシエール。お爺様はお元気?」
「はい。このところはご気分もよろしいようです」
初老のベシエールは、父の代から仕えてくれる執事で、留守の間は屋敷のことを取り仕切ってくれている。
もっとも、うちはそれほど裕福ではないので、屋敷といっても小さなものだし、使用人もごくわずかだけどね。
「そう、それはよかったわ。外に馬と馬車が止めてあるので中に入れておいてちょうだい。私はエリーヌと一緒にお爺様に帰還の挨拶をしてくるわ」
「かしこまりました、お嬢様」
うやうやしく一礼するベシエール。
私は“エリーヌ”の動力を停止させてから降りてきたエリーヌを連れ、家の中に入っていった。
  1. 2011/02/08(火) 20:54:41|
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北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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