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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

選ばれてしまった母と娘 (再掲)

マーチン・シン様の作品の二次創作と言いますか、イラストに感化されて文章を書いてみましたという作品でして、一時マーチン・シン様のpixivページに掲載していただきました作品です。

諸事情で掲載ページが消えてしまいましたので、許可をいただきまして、当ブログの方で掲載させていただくことになりました。
すでにご覧になられた方も多いとは思いますけど、あらためてお楽しみいただけましたら幸いです。

それではどうぞ。


選ばれてしまった母と娘

だんだんと日差しが強くなってくる季節。
ただ、暑さはまだそれほどでもない。
放課後、日が沈むまでの長い時間を木陰で読書をして過ごすにはいい季節だ。
蓮生愛華(はすお あいか)は公園のベンチに腰掛け、好きな歴史小説を読んでいる。
もう何度も繰り返し読んでいる歴史なのに、作者が違うと表現も違い、新しい世界のように思えてくるのが面白い。
かつてお隣の大陸で繰り広げられたという三国の群雄史。
多彩な登場人物がそれぞれの思いをかけて相争う。
愛華が一番好きなのは時代が三国に収束する前の戦乱の時代。
のちの三国でトップに立つ群雄たちがのし上がってくるあたりだ。
このあたりは何度読んでも面白い。
だから、愛華はついつい後半よりも前半を多く読むことが多かった。

雷に驚いて箸を落す。
だがそれは小心者と見せかけることで、相手に大したことのない人物と思わせるのが目的の偽装。
虚々実々の駆け引きなのだ。
こういうところが面白い。
だから、愛華はこの物語が好きだった。

「お待たせー」
公園に駆けてくる一人の女子高生。
城北アカデミーの制服を身に着け、軽やかな動きでやってくる。
にこやかな笑顔が日差しとも相まってまぶしいくらい。
やや明るい茶色の髪を両脇でお団子にした彼女は、ちぎれんばかりに手を振ってくる。
伸びやかな躰はまるでネコ科の動物を思わせるようなしなやかさだ。
この躍動感こそが彼女の魅力であり、虎島美子(こじま みこ)の本質なのだろう。
愛華は思わず自分も小さく手を振り、読んでいた本を閉じた。

「遅くなってごめーーん。待った?」
愛華の前にたどり着き、ハアハアと息を切らせている美子。
どうやらかなり急いできたらしい。
「ううん、これ読んでいたし、そんなに急がなくてもよかったのよ」
愛華は立ち上がって読んでいた本を見せ、笑顔を浮かべる。
だが、こうして美子が急いで来てくれたということは素直にうれしい。
「や、ずいぶんと待たせちゃったかなって思ってさ」
美子も笑顔を浮かべる。
やはり運動を得意としているからなのだろうか、息はもうほとんど整ったようだ。
運動が苦手な愛華にとってはうらやましい限りである。

「ハルちゃん先生?」
「うん。研究会の方は特にやることはなくて済んだんだけど・・・ね」
美子が苦笑する。
ハルちゃん先生というのは、美子が所属する考古学研究会の顧問である北原はるかのことだ。
気さくで優しい教師である彼女のことを、生徒たちは親しみを込めてハルちゃん先生と呼んでいる。

だが、ハルちゃん先生は美子にとってはもう一つ別の顔を持っていた。
それは、ガイア・フォースの支援者としての顔である。
ガイア・フォースとは、ガイア(地球)の力を借りて戦う三人の少女たちのことであり、そのうちの一人が虎島美子本人だったのだ。
彼女はガイアの力を秘めたガイア・キーによってガイア・タイガーへとチェンジし、魔人ジャーラーの復活をたくらむヤーバン一族と、日夜人知れず戦っているのだった。
そしてそのガイア・フォースの活動を知り、情報面等で支援してくれているのが、ハルちゃん先生こと北原はるかだったのだ。

とはいえ、美子本人はガイア・フォースのガイア・タイガーと言えども城北アカデミーの生徒であり、北原はるかも城北アカデミーの教師である。
当然ガイア・フォースに絡まない部分での関わりというものもあるわけで・・・
先ほどまで美子はハルちゃん先生に勉強の様子を尋ねられていたのだ。
「うー・・・次の試験が不安だよー」
美子が思わず頭を抱える。
そうなのだ。
運動が得意な美子だが、勉強の方はそれほど得意ではない。
もちろん城北アカデミーに通っているのだから、頭は悪くはない。
ただ、どうしても躰を動かすほうが優先されてしまうのだ。

そんな美子を見て愛華がポンと背中をたたく。
「ほらほら、そんな顔は美子には似合わないよ。クレープでも食べに行きましょ」
途端に美子の顔が晴れやかになる。
生来の食いしん坊である美子は、食べることには目がないのだ。
「行く! クレープ食べる!」
すでに目を輝かせてクレープのことしか頭になくなっているかのよう。
このくるくると表情が変わるところも、ネコ科ぽくて愛華は好きだった。

「行きましょ。それと日曜日は空いてる?」
カバンを持ち歩き出す二人。
「日曜? 空いてると思うよ」
「じゃあ、うちに来ない? 一緒に勉強しましょ」
「ホント? やったぁ!」
思わずガッツポーズを作る美子。
彼女と違って愛華はどちらかというと勉強を得意としている。
メガネをかけ、キリッとした表情の中にも人懐こさを見せる愛華は、美子にとっては大事な大事な親友だ。
もちろんガイア・フォースのほかの二人は別格だが、城北アカデミーに転校してきて右も左もわからなかった美子に、いろいろと声をかけてくれたのが愛華だった。
それ以来二人はとても仲の良い友人として付き合ってきたのだった。

「うちのママもきっと喜ぶよ。最近美子ちゃん来ないけどどうしたのって言ってたから」
「ホント? あんまり押しかけたりしたら悪いと思っていたから・・・」
「そんなことないよ。うちはいつでも大歓迎」
愛華が眼鏡の奥の人懐こい目で美子を見る。
そのきれいな目が美子は大好きだった。

                   ******

闇・・・
深い闇・・・
いずこともしれぬ闇の中、一人の女性がいた。
黒を基調とした躰にぴったりとした衣装を着た彼女は、まさに妖艶という言葉がふさわしいような美しさを持っていたが、今はその顔に苦虫をかみしめたようなきつい表情が浮かんでいた。
その目には怒りが満ち、先端にヘビをかたどった杖を握る手も硬く握りしめられている。
彼女こそ、ヤーバン一族の事実上のトップともいうべき存在。
大魔女・ソヤと呼ばれる存在だった。

敗北。
この二文字が彼女に怒りをもたらしている。
偉大なる魔人ジャーラー。
彼を復活させ、ヤーバン一族の再びの繁栄をもたらすこと。
これこそが大魔女・ソヤの願いである。
そのためには希望の鍵と呼ばれるものを手に入れなくてはならない。
ヤーバン一族の力をもってすれば、容易いことと思われたが、事態はそう簡単にはいかなかった。

かつて魔人ジャーラーを封じ込めた忌々しい存在、ガイア・フォースが再び立ちはだかってきたのだ。
地球の力を借りて戦う三人の人間たち。
その容姿からおそらくは少女と思われるその三人、ガイア・イーグル、ガイア・オルカ、ガイア・タイガーによって、ヤーバン一族の行動はことごとく阻止されてしまっていたのだ。

人間など簡単に蹴散らしてしまうジャラジャラ兵や、さらにその上の力を持つ蛮獣人という戦力を繰り出しても、ガイア・フォースによって倒されてしまう。
何とか彼女たちを倒さなくてはならない。
ソヤはそのことに怒っていたのだった。

だが、そのためには戦力がいる。
失われてしまった戦力の立て直しが必要なのだ。
特に先日の戦いで失われた女ジャラジャラ兵の損失は痛かった。
なんとしても最優先で補充を行う必要があるだろう。

ジャラジャラ兵とは、ヤーバン一族の戦闘ユニットである。
黒い全身タイツのようなジャラジャラスーツに身を包み、ヘビが牙をむきだした顔を模したような模様の付いたマスクで頭部を覆っている。
手足はブーツと手袋で覆い、腰には紋章入りのバックルの付いたベルトを締めている。
胸の部分はグレーのプロテクターで覆われており、少々のダメージなど意にも介さない。
まさに理想の兵士とも言うべき存在であり、複数で連携の取れた行動をとるのが特徴だった。

一方女性型のジャラジャラ兵は、姿こそ男性型ジャラジャラ兵とほぼ同じものの、躰のラインは女性のようにしなやかで美しく、また全身を覆うジャラジャラスーツの色も小豆色をしている。
力は男性型に劣るものの、その主目的は隠密行動や諜報活動、大魔女・ソヤの行う儀式の補佐などであり、直接戦闘をするものではない。
プロテクターの肩ベルトの部分も男性型が右肩にかかっているのに対し、左肩と逆になっていた。

ジャラジャラ兵は主に古代人の亡骸を大魔女・ソヤが魔人ジャーラーの力を借りてよみがえらせたものである。
しかし、人間を素材に作ることもできないわけではなく、その場合は若干の個性を持たせることも可能だった。
特に隠密や諜報活動を行う女ジャラジャラ兵は、個々の判断力が必要な局面が多く、むしろ人間を素材として作った方が都合がいい。
事実、今大魔女・ソヤが重宝している女ジャラジャラ兵は、かつてはカイシャというものに属するOLと呼ばれる平凡な人間の女性だったのだ。
だが、適性をソヤによって見いだされた彼女は、女ジャラジャラ兵に作り変えられ、ソヤにとって非常に使い勝手のいい女ジャラジャラ兵へと生まれ変わっていた。
彼女のような女ジャラジャラ兵があと数体は欲しい。
ソヤはまずそこから手を付けることにした。

手にした杖に魔力を込めるソヤ。
杖の先端のヘビの頭部の目が光り、周囲に淡い光を放ち始める。
その光に向かって何やら呪文を唱えるソヤ。
すると、その光の中に町の光景が浮かび上がる。
町の光景はしばらくあちらこちらへと視点が切り替わっていったが、やがて道行く一人の女性がアップになる。
成熟した大人の女性で、落ち着いた雰囲気を持っている。
住宅街を歩いているところを見ると、どこかで用でも済ませてきたのかもしれない。
やさしそうな顔立ちではあるものの、どこか芯の強さのようなものも感じられる。
なるほど。
この女なら素質がありそうだ。
まずはこの女を女ジャラジャラ兵に作り変えてやろう。
ソヤの口元に笑みが浮かぶ。
その女は一軒の家にたどり着くと、玄関を開けて中に入っていく。
表札には、蓮生と表示されていた。

「エリナ」
「ヤー!」
大魔女・ソヤの呼びかけに即座に返事が返ってくる。
ソヤが振り向くと、小豆色のジャラジャラスーツに身を包んだ女ジャラジャラ兵がかしこまってひざまずいていた。
「出かけるわ。ヤーバンエキスを用意しなさい」
「ヤー!」
一礼してすぐに闇の中に姿を消す女ジャラジャラ兵。
すぐに再び現れると、その手には小瓶が握られていた。
「ふふふ・・・お前の仲間を作ってあげる。楽しみにしてなさい」
「ヤー!」
ソヤはその小瓶を受け取ると、笑みを浮かべてそう口にする。
お前のように使い勝手のいい女ジャラジャラ兵ができるといいわね・・・
「ふふ・・・うふふ・・・おほほほほほ・・・」
手の甲を口元にあてながら高笑いをするソヤ。
カツコツとヒールの音を響かせながら、やがてその姿は闇の中へと消えていった。

                   ******

「ふう・・・」
用事を終えて家に帰ってきた蓮生美乃里(はすお みのり)は、上着を脱ぐとエプロンを身に着ける。
早ければもうすぐ娘の愛華が学校から帰ってくるはず。
夕食の仕込み等してしまわなくてはいけないだろう。
そう考え、室内着に着替えるよりもエプロンで仕込みまではやってしまおうと考えたのだ。

キッチンに戻る途中、リビングの棚に立てかけてある家族写真が目に入る。
昨年、愛華が城北アカデミーに入学した記念に家族で写したものだ。
真新しいアカデミーの制服を身に着けて誇らしげにしている愛華の表情が明るい。
思えばあの子ももう高校生。
早いものだわと美乃里は思う。
若くして愛華を産んだために夫ともども苦労もしたが、おかげでこうして並んで写真を撮っても、まるで姉妹かのようにも見えるほどに美乃里の姿は若々しい。

夫に似たのであろう物静かなところのある愛華は、本が大好きで、ともすれば本を友達としてしまうようなところがある。
そのため学校では友人ができないのではないかと心配したものの、幸い転校してきた子とすごく仲良くなったらしい。
家でも、先日美子がとか、今日の美子はなどとその子のことをしょっちゅう話題に上らせる。
家に連れてきたときもとても楽しそうにしていたものだった。
その子、虎島美子という名の子だったが、愛華とはまるで正反対と言っていい娘で、愛華の静に対して美子の動、知に対して勇といった感じだったものの、それがかえっていい方向に作用して馬が合っているようで、美乃里もいい友人ができたものとうれしく思っていた。

もしかしたら今日は二人でどこかに寄ってくるかもしれないか・・・
そう美乃里は思う。
もちろん仲のいい二人がどこかに寄って楽しんでくるのは大賛成だし、それならそれでいい。
どっちにしても下ごしらえだけしておけば、あとはどうとでもなるだろう。
美乃里はそう思い、キッチンに入った。

「ヒッ!」
思わず息をのむ美乃里。
誰もいないはずのキッチンに、一人の女性が立っていたのだ。
灰色の長い髪を背中に垂らし、頭の両側からは角が生えている。
額にはまるで目のような赤く輝く石の付いたサークレットを嵌め、負けず劣らず赤い目が美乃里を見つめている。
口元にはやや冷たい笑みが浮かび、先の尖った耳にはイヤリングが揺れていた。
黒を基調にした水着のような衣装には、まるであばら骨のようなものが左右の腰のあたりを飾っており、お腹のあたりには蛇腹のような部分が付いている。
すらりと伸びた脚は目の細かいメッシュのようなタイツに覆われ、ヒールの高いブーツがふくらはぎのあたりから下を包んでいた。
両腕は二の腕まで衣装と同じ黒い長手袋が嵌められ、右手には女性の身長よりもやや短い長さの杖が握られている。
まさに妖艶という言葉を絵にしたような妖しい女性がそこにいたのだった。

「あ、あなたはいったい・・・?」
動物的な本能ともいうべきものが美乃里に危険を知らせてくる。
一刻も早く逃げ出さなくてはならないはずなのだが、美乃里の躰は動けなかった。
女性のあの赤い目を見た瞬間、美乃里はまるでヘビに睨まれたカエルのように動けなくなってしまっていたのだ。

「うふふふふ・・・我が名はソヤ。ヤーバン一族の長である魔人ジャーラー様にお仕えする大魔女・ソヤ」
にっこりと微笑むソヤ。
その笑みがさらに美乃里の背筋を凍らせる。
「大魔女・・・ソヤ・・・」
ガクガクと震えるひざ。
かろうじて絞り出す言葉。
逃げなくては・・・
悲鳴を上げて助けを求めねば・・・
そう思うものの、躰は全くいうことを聞こうとしない。
たすけ・・・て・・・あなた・・・雄介(ゆうすけ)・・・さん・・・
心の中で夫の名を呼ぶ美乃里。
いつだって彼は駆けつけてくれた。
美乃里や愛華が困っているときにはいつも助けてくれた。
心から愛する夫、雄介。
お願い・・・
助けて・・・

「うふふふふ・・・そう怖がることはないわ。お前は脱皮するのだ。我が忠実なるしもべとして」
ずいと美乃里のそばに近寄るソヤ。
「脱・・・皮?」
「そう。その人間とやらの皮を脱ぎ捨て、ヤーバン一族のジャラジャラ兵としての皮を着る」
ぺろりと舌なめずりをするソヤ。
その舌がまるでヘビのように先が二つに割れていることに美乃里はさらなる恐怖を受ける。
「うふふふ・・・さあ、このヤーバンエキスをお飲み」
右手の杖を離し、手の中に小瓶を生じさせるソヤ。
驚いたことに手から離された杖はそのまま宙に浮いていた。

「くっ」
小瓶の中身が何であるかはわからないものの、とにかく何かを飲まされまいと固く口を閉じる美乃里。
だが、予想に反してソヤはその小瓶の中身を自らの口に含んでしまう。
そして、動けずにいる美乃里の顎を持ちあげると、その口を美乃里の唇と重ね合わせた。
「ん・・・んんん・・・」
必死に抵抗する美乃里。
しかし、ソヤの舌が強引に美乃里の唇を割り開き、中の液体を流し込んでくる。
あ・・・
甘い・・・
美乃里がその液体の味を感じたとき、彼女の意に反して、液体は喉の奥へと滑り落ちていくのだった。

躰がカアッと熱くなる。
胸が苦しくて息ができない。
目の前が赤くなり、まるで焼けた鉄を喉から流し込まれでもしたかのようだ。
全身が熱を持ち、躰をめぐる液体が細胞の一つ一つを何か別のモノに変えていく。
「あ・・・ぐ・・・」
唇を離された美乃里がかすかにうめき声を上げた。

心が冷えていく。
熱を持つ躰とは裏腹に、心はどんどん冷えていく。
冷たく、暗く、闇の中へと沈んでいく。
愛、優しさ、母性、慈しみ、希望、そういったものがすべて闇に塗りつぶされ、代わりに忠誠、服従、冷酷、嗜虐、そういったものが美乃里の中に作られていく。
人間であったことは過去のこととして追いやられ、代わりにヤーバン一族となったことの喜び、誇り、そして優越感が満ちてくる。

「ああ・・・あ・・・」
自分が違うものへと変わっていく恐怖。
だが、それも徐々に消えていく。
むしろ変わることの喜びがだんだんと増してくる。
その美乃里の目にも喜びが浮かび、瞳には小さい緑色の点が浮かび上がっていた。

「服を脱ぎなさい」
ヤーバンエキスが浸透してきたことを見て取ったソヤが、そう命令する。
「・・・・・・ヤー・・・」
美乃里は小さくそう答えると、着ているものを脱いでいく。
エプロン、ブラウス、スカート、ストッキング・・・
ショーツに手をかけたとき、一瞬ためらいを見せた美乃里だったが、やがてそのままショーツを下ろしていく。
最後にブラジャーを外し、美乃里はまっさらな姿でソヤの前に立つのだった。

「これを着るのよ」
ソヤが手をかざすと、小豆色の折りたたまれた布のようなものが現れる。
美乃里はそれを無言で受け取り、広げていく。
それは首から下をすっぽりと覆う小豆色の全身タイツ。
ジャラジャラ兵のジャラジャラスーツだった。

背中側に切れ込みがあるその全身タイツに、美乃里は無言で脚を差し入れる。
「あ・・・」
かすかに漏れる小さな声。
つま先が滑り込んだだけで、美乃里の躰にはまるで電気が走るように快感が走ったのだ。
なんてすべすべで気持ちいいの・・・
美乃里の心臓がどきどきする。
こんな素敵なものに包まれるなんて・・・
こんな素敵なものが私を包んでくれるなんて・・・

何かに憑かれたようにタイツをたくし上げていく美乃里。
それにつれて小豆色のタイツが美乃里の脚を染めていく。
まるで吸い付くかのようにフィットするタイツ。
その気持ちよさに美乃里の息は荒くなる。
ハア・・・ハア・・・ハア・・・
包まれれば包まれるほど気持ちよくなっていく。
太ももあたりまでたくし上げた後で、今度はもう片方の足を差し入れる。
ハア・・・ハア・・・ハア・・・
なんて気持ちよさ。
なんて快感。
そう・・・
これは快感。
これは快楽。
今まで味わったことのない強烈な快楽だ。

小豆色に包まれた自分の脚。
つま先は一つになり、足の指など消え去ってしまったかのよう。
美乃里はさらにタイツをたくし上げていく。
太ももから腰へ。
腰からお腹へ。
お腹から胸へと上げていく。
タイツが胸まで来たら、今度は袖に手を通す。
右腕を入れ、袖を手繰って指先まで通していく。
つま先と違ってこちらは手袋状になっており、五本の指がそれぞれ包まれるようになっている。
すぐに指の一本一本がタイツと密着し、貼り付いたように一体となる。
左腕も同様にタイツが覆い、小豆色へと染まっていく。
両腕が肩まで覆われ、胸元の部分を引き上げると、美乃里の躰は首までぴったりとジャラジャラスーツに覆われた。

「あ・・・」
背中の切れ目が閉じていく。
ファスナーなどがあるわけではない。
何もしないのに、ただ閉じるのだ。
閉じた後には何も残らず、切れ目があったことすらわからない。
それを美乃里は背中で感じ取っていた。
いや、全身がそれこそこのジャラジャラスーツに包まれたことで、むしろ鋭敏な感覚となっていたのだ。

美乃里は理解する。
これは脱皮なのだ。
確かに動作的には着込んだように見える。
だが、これはヒトという皮を捨て、ヤーバン一族のジャラジャラ兵という新たな皮に脱ぎ変わったのだということを。
もうこのジャラジャラスーツが脱げることはない。
それはそうだろう。
自分の皮膚を脱いだりする者はいない。
これは新たな自分の皮膚なのだ。
その証拠に、乳首はピンと浮き出ており、おへそのくぼみもはっきりとわかる。
股間の性器すら、うっすらと浮き出ているようではないか。
だが、ヘビが硬いうろこに躰が守られているように、彼女もこのジャラジャラスーツに守られる。
熱にも冷気にも耐えるし、衝撃にも強いだろう。
まさに強靭な皮が守ってくれるのだ。

「はあ・・・」
美乃里は悩まし気に熱い吐息を吐く。
気持ちよくてたまらない。
ヒトであることなど、もはやどうでもいい。
このジャラジャラスーツに包まれた自分はもうヒトなどではないのだ。
それがたまらなく気持ちいい。
美乃里の指はジャラジャラスーツに包まれた躰を愛しげになぞっていた。

ひとしきり自分の躰を愛撫した後、美乃里の手は置かれていたブーツに伸びる。
さらに自分の躰を強化するのだ。
ジャラジャラ兵としてヤーバン一族のために働くのだ。
そのために・・・
美乃里はブーツに足を入れる。
黒革でできたようなハイヒールのブーツは美乃里の足をすっぽりと覆い、内側に開いた切れ目が閉じていく。
このブーツはジャラジャラ兵の足をさらに保護し強化するもの。
彼女の蹴りを格段に強くし、ジャンプ力などもアップする。
美乃里はもう片方の足にもブーツを履く。
スーツとブーツが密着し、美乃里の脚はすねから下がブーツの黒に覆われる。

次は手袋。
こちらもブーツと同じで彼女の手を保護し強化するもの。
ひじまでの長さの長手袋になっており、美乃里はそれらを嵌めていく。
指先まで通して手になじませると、手袋はすぐにスーツと一体化して、美乃里の手そのものとなる。
両手が黒く染まったのを見て、美乃里は口元に笑みを浮かべた。

そしてプロテクター。
胸はやはりジャラジャラ兵としてもカバーすべきところなのだ。
そのため、男女ともにジャラジャラ兵は胸の部分をプロテクターで覆っている。
肩ベルトの位置が左右で違う以外は同じと言っていい。
美乃里はそのプロテクターを胸に当てて止める。
すぐにプロテクター自体が美乃里の躰に順応し、引き締めるように一体化することで彼女の豊かな胸を覆っていった。

美乃里が最後に手にしたのはマスク。
頭部をすっぽりと覆うフルマスクであり、顔の部分にはヘビが牙をむきだしたような顔を模した模様が浮かんでいる。
ヒトが見れば異形で恐怖を覚えるようなその模様も、今の美乃里にとっては素敵で誇らしく、かぶりたくなる模様だ。
これをかぶれば・・・
美乃里はドキドキする。
すでに恐怖などはどこにもない。
新たな生が始まるのだ。
自分は生まれ変わりジャラジャラ兵となるのだ。
それは素晴らしいことだった。

マスクを持つ美乃里。
その様子を大魔女・ソヤが見つめている。
美乃里の動きが止まっているのは、うまくいっていないからでもためらっているからでもない。
楽しんでいるのだ。
美乃里はジャラジャラ兵に生まれ変わるのを楽しんでいる。
なぜなら、美乃里の瞳はすでに焦げ茶色ではなく深い緑色へと染まっており、ジャラジャラ兵と同じになっていたし、その唇を舐める舌も、かすかに先が二つに割れ、ヤーバン一族と同じになっていたからだ。
あとは・・・
ふふっと小さくソヤは笑った。

やがて美乃里の手がマスクを頭にかぶせていく。
「はあああ・・・」
大きく声を出す美乃里。
マスクに包まれる快楽に酔いしれているのだ。
髪の毛を中に閉じ込むようにしてすっぽりとかぶっていく。
美乃里の頭が小豆色に覆われていく。
首元までマスクをかぶり、目の位置を合わせていく。
ジャラジャラ兵のマスクは、そのヘビの顔をした模様の目の位置が、ちょうど合わさるようになっているのだ。
マスクの目の奥に、美乃里の目が現れる。
深い緑色に染まった瞳。
それがまるでマスクのヘビの目となったかのように、目全体が緑色へと広がった。
それと同時に襟元に広がったマスクの首元が、喉に貼り付くように密着し全身タイツと一つになる。
すべての露出部分がなくなり、美乃里の躰は完全にジャラジャラスーツに覆われた。

全身を小豆色のスーツに包んだ美乃里のところに近づくソヤ。
彼女はそっと美乃里の背後に回り込む。
そしてその手にベルトを作り出すと、それを美乃里の腰へと回しながら、彼女の耳元でささやいた。
「これでお前は、完全なジャラジャラ兵となるのだ」
その言葉にゾクゾクするほどの感激を覚える美乃里。
完全なジャラジャラ兵。
そう・・・
私はジャラジャラ兵になるのよ。

腰にベルトが嵌められる。
無地だったバックルにヤーバン一族の紋章がすうっと浮かび上がってくる。
美乃里は下腹部にズシッとした重さを感じ、同時に強烈な力強さが湧いてくる。
ヤーバン一族の力。
魔人ジャーラー様によってもたらさせる大いなる力。
ジャラジャラ兵としての力だった。

「ジャ・・・ジャラッ・・・」
マスクの口元から小さく声がする。
マスクをかぶった後、ずっと両手で愛撫するように頬を撫でていた美乃里。
その口から声が漏れるのだ。
「ジャラ・・・ジャラ・・・ジャラジャラッ! ジャラジャラッ!」
だんだんと力強く繰り返されていく。
それはジャラジャラ兵の鳴き声。
まるでガラガラヘビが尻尾を鳴らして威嚇するような声。
新たなジャラジャラ兵の誕生の産声だった。

「ジャラジャラッ! ジャラジャラッ!」
ジャラジャラと声を上げながらソヤに振り向くジャラジャラ兵。
「うふふふ・・・さあ、お前が何者か言ってごらん」
「ヤーッ! 私はヤーバン一族の一員、ジャラジャラ兵ミノリ! 魔人ジャーラー様と大魔女・ソヤ様の忠実なしもべです。ジャラジャラッ!」
右手を上げて忠誠を誓うジャラジャラ兵ミノリ。
もはや彼女は人間ではない。
ヤーバン一族の新たなジャラジャラ兵へと生まれ変わったのだった。

「オホホホホ! それでいいのよ。これからは我のために働きなさい。いいわね」
「ヤーッ! 私はジャラジャラ兵ミノリ。ソヤ様のためなら何でもします。何なりとご命令を。ジャラジャラッ!」
高笑いしつつ、その返事に満足するソヤ。
新たな使い勝手のいい駒を手に入れたことに喜びを覚える。
ほかにももう一二体ほど手に入れたいところだ。
「まあ、それは次にでも・・・」
そう思って、ミノリを連れて立ち去ろうと思ったソヤは、ふと立てかけてある家族写真に気が付いた。
あれは・・・
このジャラジャラ兵の娘か?
なるほど・・・
うふふふふ・・・
写真に写る愛華の姿に、ソヤはミノリと同じものを感じ取る。

「ミノリ」
「ヤーッ!」
名を呼ばれ、すぐにソヤのそばに行くジャラジャラ兵ミノリ。
ジャラジャラスーツが見事なまでに彼女の美しいボディラインを描き出す。
「この娘はお前の娘かい?」
「ヤーッ! ソヤ様、その娘は私が以前ヒトだった時には確かにその通りですが、今の私はジャラジャラ兵です。その娘とは何の関係もありません」
まったくためらいもなく答えるミノリ。
彼女にとっては写真に写っている夫も娘もただの関係ないヒトなのだ。

「ふふ・・・ミノリ、以前のヒトの姿に擬態しなさい。この娘もジャラジャラ兵にするわ。手伝いなさい」
「ヤーッ! かしこまりました、ソヤ様」
ミノリはソヤに手を上げて敬礼すると、両手を顔の前でクロスする。
次の瞬間、ミノリの姿は以前の蓮生美乃里の姿へと変化した。
ジャラジャラスーツが外見を擬態したのである。
ただ、その瞳は以前の茶色ではなく深い緑色をしており、唇もピンク色ではなく小豆色だ。
そこからちらりと覗く舌も、先がかすかに割れている。
ジャラジャラ兵として人間に擬態するにも限界があるのだった。

ほぼ以前の清楚な人妻の姿に擬態したジャラジャラ兵ミノリに、以前と同じようにふるまうよう命じるソヤ。
これでいい。
あとはこの写真の娘が帰ってくるのを待つだけ。
これで使い勝手のいい女ジャラジャラ兵が二人手に入るというものだ。
「オホホホホホ・・・」
ソヤは嬉しそうに笑っていた。

                   ******

今日もまた楽しい時間だった。
美味しいクレープに楽しいおしゃべり。
愛華自身はあまりしゃべる方ではないものの、美子がいろいろと面白い話題には事欠かない。
今日も美子が8、愛華が2くらいの割合でしゃべっていただろうか。
だからと言ってお互いに不満なわけではない。
美子は思い切りしゃべることができるし、愛華はそれを楽しく聞いていられる。
それでいて、時々愛華が意見を付け加えたりすると、美子は感心したようにそうだねぇ、ホントだねぇとうなずいてくれるのだ。
考古学研究会にも鯱原南美(しゃちはら なみ)という天才少女がいるという話なのだが、どうも彼女のいうことは美子にとっては難しく感じるらしく、愛華に聞いた方がよくわかるらしい。
きっとひいき目もあるのだろうけど、愛華はそう言ってもらえてうれしかった。

日曜日に美子を呼んだことをママにも言わなくちゃ。
きっと喜んでくれるはず。
ママも美子のことを好いていてくれているみたいだから。
日曜日が楽しみ。

学校でほぼ毎日会っているというのに、休日にも会うというのは何か特別なようにも感じる。
勉強もしなくてはならないだろうけど、多分ほとんどの時間は他愛もないおしゃべりになるだろう。
それがまた楽しいのだ。

「ただいまぁ」
玄関を開けて家に入る愛華。
日が長くなってきたとはいえ、そろそろ家の中はかなり暗い。
「あれ?」
いつもならリビングの光が廊下に漏れてきているものなのだが、今日はリビングも暗いようだ。
ママ、出かけているのかな?
愛華はそう思いながら靴を脱ぎ、カバンを手にリビングまで進んでドアを開ける。

「えっ?」
一瞬愛華はギョッとする。
リビングのテーブルのところに誰かが座っていたのだ。
慌ててドアの横の照明のスイッチを入れる。
「ママ・・・」
ホッとする愛華。
部屋が明るくなると、テーブルに着いていたのは母親だったことがわかったのだ。
「お帰りなさい・・・ジャラ・・・」
無表情で愛華に言葉をかけたミノリが、急に口をつぐむ。
「もう、ママったらびっくりさせないでよ。誰かと思ったじゃない」
愛華は安堵すると同時に、驚かされたことにちょっとだけ文句を言う。
「あら、どうして?」
席を立つミノリ。
「だって暗い中に座っているんだもの。どうして明かりを点けなかったの?」
「えっ? そうね・・・暗かったの気が付かなかったわ」
ジャラジャラ兵は暗闇でも目が見える。
そのためミノリには暗かったという意識がなかったのだ。
「えっ?」
母の言葉に愛華は驚く。
あんなに暗かったのに気が付かなかったというの?
それに・・・何かいつものママと雰囲気が違うような・・・

「それよりも、先ほどからソヤ様がお待ちかねよ」
スッと愛華の背後に回り、その肩に手を置くミノリ。
「えっ? 誰?」
愛華は母の方を振り返って聞き返す。
ソヤなんて名は聞いたこともない。
「大魔女・ソヤ様。今日からお前の支配者となられるお方よ」
グッと肩をつかまれ、押し出されるように歩かされる愛華。
「痛っ・・・マ、ママ? なに?」
訳も分からず無理やりリビングの中央に押し出される愛華。
いったい何がどうなっているの?

「オホホホホ・・・娘が来たようね」
キッチンから姿を現す一人の女性。
それはまさに妖艶な美女と言ってよい姿だったが、躰のラインを強調するかのような黒を基調とした衣装を身につけ、頭部の両側には角のようなものが伸びており、手にした杖も先端がヘビのような形をしたまがまがしいものだ。
「あ、あなたは?」
愛華は驚く。
どうしてこんな人が家にいるの?
どうしてママはこんな人を家に入れたの?

「オホホホホ・・・我はソヤ。魔人ジャーラー様にお仕えするヤーバン一族の大魔女」
「ヤーバン・・・一族?」
その一族のことを耳にしたことはあった。
美子がふとした時に言っていたような記憶がある。
考古学研究会に関する事柄だと思い、気にも留めはしなかったのだが。

「そう。お前も今日からヤーバン一族のジャラジャラ兵になるのよ。ジャラジャラッ!」
耳元で声がする。
「えっ?」
振り向く愛華の目に、ヘビが牙を突き立てるような模様の付いた小豆色のマスクに緑色の目がらんらんと輝いている顔が映る。
「ヒッ!」
息をのむ愛華。
肩をつかんでいたのは母親だと思っていたのに、いつの間にか小豆色の躰にぴったりしたスーツを着た女性に変化していたのだ。

「オホホホホ・・・ご覧、お前の母親はもうすでに立派なジャラジャラ兵へと生まれ変わったわ」
口元に手を当てて高笑いをするソヤ。
「嘘・・・ママ・・・なの?」
この小豆色のスーツを着ているのがママだっていうの?
愛華は愕然とする。
「ジャラジャラッ! 違うわ。私はもうお前の母親などではないの。私はヤーバン一族のジャラジャラ兵ミノリ。さあ、お前もジャラジャラ兵におなりっ!」
肩を押さえていた手を、素早く愛華の胴と首に回すジャラジャラ兵ミノリ。
「あうっ」
その力はものすごく強く、愛華は身動きができなくなってしまう。
「オホホホホ・・・無駄よ。ジャラジャラ兵の力は人間などとは比べ物にならないわ。抜け出せはしない」
ソヤの言うとおりだ。
愛華の力ではとても抜け出すことなどできないだろう。
「ママ、やめてぇ! 放してぇ!」
必死に逃れようともがく愛華。
だが、ジャラジャラ兵ミノリの拘束はびくともしない。
「おだまり! お前はジャラジャラ兵に選ばれたのよ。光栄に思いなさい。ジャラジャラッ!」
まるでガラガラヘビの威嚇音のようにジャラジャラと鳴くジャラジャラ兵ミノリ。
「いやぁっ! そんなのはいやぁっ! 助けて! 助けてぇ! ママァ! パパァ! 美子ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
かすかな望みを託して親友の名を叫ぶ愛華。
だが、応えるものはいなかった。

「うぶっ!」
羽交い絞めにされた愛華の口をソヤの口が覆う。
その口が無理やりこじ開けられ、甘い液体が流れ込む。
ああ・・・
いやぁ・・・
喉の奥を滑り落ちていく液体。
その甘さが愛華を変えていく。
自分が何か別のモノへと変わっていく感覚。
ごめんね・・・美子・・・
私・・・もう・・・
あな・・・た・・・と・・・
愛華の目から涙が一筋流れ落ちた。

                   ******

手の中にあるのは小豆色のマスク。
その表面には、ヘビの顔を模したような模様が浮かんでいる。
ああ・・・
なんて素敵なのだろう。
ヘビはヤーバン一族の象徴。
素晴らしい生き物。
今、愛華はそのヘビの一族の一員となる。
こんなうれしいことはない。

全身を包む小豆色のジャラジャラスーツはもう愛華の皮膚。
気持ちよくてたまらない。
こんなにジャラジャラ兵になることが素晴らしいことだなんて思わなかった。
どうしてさっきまであんなに嫌がっていたのかわからない。
最高の気分だわ。

愛華の目はもう深い緑色に染まっている。
もうメガネになど頼る必要はない。
すべてのものがはっきりと見える。
舌の先もかすかに二つに割れている。
その舌でぺろりと唇を舐める愛華。
その頬がほんのりと赤く染まり、息がやや荒くなっている。
ドキドキが止まらない。
このマスクをかぶれば私はジャラジャラ兵になる。
偉大なるヤーバン一族の一員になれる。
魔人ジャーラー様や大魔女ソヤ様のお役に立てるようになる。
ああ・・・
私は今、ジャラジャラ兵になるんだわ。

マスクをかぶる愛華。
そのヘビの目と愛華の目が重なり合う。
「あああああ」
思わず歓喜の声が出る。
全身を貫く電流のような快感。
ヒトであることを捨て去る喜び。
まさに脱皮。
愛華は生まれ変わるのだ。

「ジャラ・・・」
両手でマスクに包まれた顔を撫でまわす愛華の口から声が漏れる。
「ジャラ・・・ジャラジャラ・・・」
それは産声。
「ジャラジャラッ・・・ジャラジャラッ・・・」
新たな生を受けた喜びの声。
「ジャラジャラッ! ジャラジャラッ!」
力強く繰り返され、声を発するのが当たり前になっていく。
「ジャラジャラッ! ジャラジャラッ! あああ・・・気持ちいいぃぃぃぃぃ!」
全身で官能の快楽を味わう愛華。
その様子にソヤは笑みを浮かべていた。

「オホホホホ・・・どうやら終わったようね。さあ、お前が何者か言ってごらん?」
「ヤーッ! 私はヤーバン一族のジャラジャラ兵アイカ。魔人ジャーラー様と大魔女・ソヤ様の忠実なるしもべです。ジャラジャラッ!」
スッと右手を上げてソヤに敬礼するアイカ。
もはや彼女はヒトではない。
ヤーバン一族のジャラジャラ兵に生まれ変わったのだ。
「それでいいわ。今日からお前もミノリとともに我のために働きなさい」
手を伸ばしてそっとアイカの頬を撫でるソヤ。
「ジャジャァァァァァァ・・・」
それだけでアイカは奇妙な声を上げてしまい、へなへなと腰が抜けてしまうほどの気持ちよさを感じてしまう。
「あらあら・・・ジャラジャラスーツが気持ちよすぎちゃったかしら」
「ヤ・・・ヤー、気持ちいいですぅ・・・」
躰をかき抱くようにして両手で全身を愛撫するアイカ。
床にぺたんと座ってうっとりとしている。

「ジャラジャラッ! おめでとうジャラジャラ兵アイカ。これであなたも私の仲間ね」
床にしゃがみ込み、アイカの頬を撫でるジャラジャラ兵ミノリ。
その手にアイカのジャラジャラスーツの感触が伝わってきて気持ちがいい。
「ありがとう、ジャラジャラ兵ミノリ。私たちはジャラジャラ兵の仲間同士。仲良くしましょうね」
頬を撫でるミノリの手に自分の手を重ねるアイカ。
アイカもミノリのジャラジャラスーツの気持ちよさが伝わってくる。
触れあっただけでこれほど気持ちがいいのであれば、抱き合ったりしたらどうなるのだろう。
もっともっと仲間同士で触れ合いたいと二人は思う。
彼女たちはもう母と娘ではなく、ジャラジャラ兵という同じ仲間同士だった。

「お前たち、じゃれあうのは戻ってからにしなさい」
「ヤ、ヤーッ!」
「ヤーッ!」
ソヤの言葉に立ち上がる二人のジャラジャラ兵。
元は母と娘なだけに、ミノリの方が背が高いものの、それ以外はほとんど同じと言っていい。
ともにヘビが牙をむきだしたような顔の模様のマスクから緑色の目を光らせ、すらりとしたしなやかで美しいラインを惜しげもなくさらしている。
素質から見て充分使い物になるだろう新たなジャラジャラ兵が二体も手に入ったことに、ソヤも満足感を感じていた。

「オホホホホ・・・これでここにもう用はないわ。引き上げるわよ」
「ジャーッ! お待ちください、ソヤ様」
新たなジャラジャラ兵二人を従えて引き上げようとするソヤを、ジャラジャラ兵アイカが引き留める。
「何か?」
気分良く引き上げようとしたところを引き留められ、やや気分を害するソヤ。
その口元の笑みが消える。
「ジャーッ! 申し訳ありません。一つ提案がございます」
片膝をついて頭を下げるジャラジャラ兵アイカ。
「提案? 面白い。言ってみよ」
ソヤの不機嫌がいっぺんに吹き飛んでいく。
これなのだ。
ただ作っただけのジャラジャラ兵は提案などしない。
この二体はヒトというものを器として作ったもの。
だから思考というものを持っている。
ヒトを器にジャラジャラ兵を作るのは、こういうことを求めているからなのだ。

「ヤーッ! ジャラジャラ兵となった今、ヒトのいう友情などと言うものは全く感じておりませんが、私がヒトだった時に友人という存在だった女がいます」
許可を得て話し始めるアイカ。
もちろん友人というのは美子のことだ。
「名前は虎島美子。彼女は拳法の使い手であり、物事の観察力が豊かで隠密行動にはふさわしいと思います。彼女をジャラジャラ兵に脱皮させれば、ソヤ様のご期待に沿える働きをするかと」
アイカは何のためらいもなく美子をソヤに差し出す。
美子であればソヤ様の役に立つだろう。
そのことだけがアイカにとっては重要なのだ。

「ソヤ様、その少女なら私からも推薦いたします。彼女であれば有能なジャラジャラ兵になるかと」
ジャラジャラ兵ミノリも口添えをする。
数度遊びに来ている少女のことは彼女も気に入っていたし、彼女であれば仲間にしても問題ないと思うのだ。

「ほう・・・そのような女が・・・」
ソヤは杖の先をジャラジャラ兵アイカに向ける。
アイカから美子の記憶を読み取るのだ。
もちろんすべてを読み取れるわけではないが、ジャラジャラ兵にふさわしい素体かどうかぐらいのデータは読み取れる。
「フフフ・・・面白い。この女ならジャラジャラ兵にふさわしかろう。すぐに呼び出すがいい」
ソヤの口元にまた笑みが浮かぶ。
今日はなんといい日だろうか。
ジャラジャラ兵にふさわしい器が三つも手に入るとは。

「ヤーッ! ですがお言葉なれど今呼び出すのは得策ではないかと」
「どういうことか?」
ソヤはますますこのジャラジャラ兵を気に入る。
このジャラジャラ兵は状況というものを確実に認識している。
目的を達成するためにどう行動すればいいかを考えている。
そのためにはソヤの命令通りにあえて行動しないということすらできるのだ。
それがソヤのためであるから。

「彼女とは二時間ほど前に別れたばかりです。今呼び出せば、何かあったかと思われ、変な警戒をされてしまうかもしれません」
「ほう・・・」
「彼女とは日曜日にここで会う手はずになっております。その時まで待った方が確実かと思います」
アイカは恐れながらも意見を述べる。
ソヤの忠実なしもべとして、ソヤのためになると思うからこそだ。

「ソヤ様、私もジャラジャラ兵アイカの考えに賛成です。日曜日に来るということであれば、ここで待ち構えるほうがよろしいかと」
すかさずアイカの意見を支持するミノリ。
娘を思う母ではなく、仲間同士のつながりなのだ。

ソヤは考える。
この二人の意見はもっともだし、そうするほうが良いというのは彼女もすぐに理解した。
であれば、いったん二人を連れてここを立ち去るか、それとも二人をここに残すかを決めねばならない。
ソヤはちらっと写真を見る。
ジャラジャラ兵になる前のミノリとアイカ、それに男が一人写っている家族写真だ。
男の方はどうでもいい。
男性型のジャラジャラ兵はそれこそコマ。
命令に従って戦ってくれればそれでいい。
女性型のように様々な自立行動を求められることはない。
だから器にこだわる必要もない。
この男をジャラジャラ兵にするつもりはないのだ。

二人を連れてここを立ち去るのは簡単だ。
だが、そうなるとこの男は二人を探すだろう。
もしかしたら、その美子という娘に二人の行方を尋ねるかもしれない。
それではやはり警戒させてしまうだろう。
かといって二人を擬態させてこの場に残すというのも考え物だ。
もちろん二人にはその能力はあるだろう。
だが、この男はあまりにも近い存在すぎる。
何がきっかけで二人がヒトではなくジャラジャラ兵となったことに気が付かないとも限らない。
やはり危険だ。
ならば・・・
ふふふふ・・・
ソヤは二つに割れた長い舌で唇を舐めた。

                   ******

「ただいまー。ああ・・・疲れた・・・」
日もとっぷりと暮れ、時計が21時を差すころに、この家の主である蓮生雄介(はすお ゆうすけ)が帰宅する。
今のご時世、なかなか定時で帰るというわけにはいかず、だいたいがこのくらいの帰宅時間だ。
とはいえ、家に帰れば妻の手料理が待っているし、お酒も楽しめる。
まあ、そう悪い話でもあるまいと雄介は思う。

「帰ったよ」
今晩の夕食は何かなと思いながらリビングに入る雄介。
だが、いつもなら聞くことができるお帰りなさいの声はなく、テーブルの上もまっさらで何もない。
妻と娘の二人はテーブルに着いて座っているが、無言のままで顔を上げようともしない。
なんだ?
なんだ、いったい?
雄介は不思議に思う。
二人はいったいどうしたというんだ?

「美乃里・・・愛華?」
雄介は二人に声をかける。
「うふふ・・・」
「ふふふ・・・」
その声に反応したかのように二人がスッと立ち上がる。
「うふふふ・・・一応お帰りなさい、かしら」
「ふふふ・・・そうだね」
いつもと様子の違う二人に雄介は戸惑う。
いったいどうしたというのだ、二人とも。
それに、様子だけではなく何かが違う。

「美乃里・・・愛華・・・その目はいったい?」
いつもと違う深い緑色をした目に気が付く雄介。
それに愛華はいつもしているメガネをかけていない。
「あーあ・・・気が付いちゃったのね」
「ちょうどいいよ。私、いつまでもこんなヒトの姿に擬態しているのなんて嫌だもの」
「私もそうだわ。早く本当の姿に戻りたい」
くすくすと笑いながら意味の分からない言葉をつぶやいている妻と娘。
雄介は思わず後ずさる。
「お前たちはいったい・・・」

「ジャーッ!」
「ジャーッ!」
突然、声を上げながら両手を顔の前でクロスする二人。
次の瞬間、二人の姿が変化し、小豆色のジャラジャラスーツに包まれたジャラジャラ兵の姿になる。
「わ、わっ!」
驚く雄介。
いきなり妻と娘が、ヘビが牙をむきだしたような顔の模様の付いたマスクと小豆色の全身タイツで躰を覆ったような姿に変わってしまったのだ。
いったいこれはどういうことなのか?
困惑する雄介の前で、二人は向かい合ってお互いの顔を撫でまわす。
「ジャラジャラッ! ハア・・・やっぱりこの姿がいいわぁ」
「ジャラジャラッ! ええ、これこそ私たちの本当の姿。ミノリの顔、とても気持ちいい」
「アイカの顔もいいわぁ。ずっとこうして撫でまわしたくなっちゃう」
お互いの顔をうっとりと撫でまわす二人。
「二人とも・・・いったい?」
「ジャラジャラッ! うふふふ・・・私たちはヤーバン一族のジャラジャラ兵」
「私たちは脱皮して生まれ変わったの。私はジャラジャラ兵アイカ」
「私はジャラジャラ兵ミノリよ。ジャラジャラッ!」
唖然とする雄介に二人は自分たちが何者かを名乗っていく。
それは二人にとってとても誇らしいことだった。

「グハッ!」
突然床にたたきつけられる雄介。
いきなり躰が宙に舞ったかと思うと、床にしたたかに叩きつけられたのだ。
あまりの衝撃に息も一瞬止まるほど。
「グ・・・グウ・・・」
あおむけに横たわる彼を、二人のジャラジャラ兵と、彼を背後から投げ飛ばしたと思われる異形の存在が見下ろしている。
頭の両側にギョロッとした大きな丸い目を回転させ、肩には大きなとげが突き出ている。
がっしりとした躰は緑色や赤い色が覆っており、がっしりとした足には黒いブーツが履かれていた。

「ば・・・ばけも・・・グハッ」
強烈な蹴りが雄介の脇腹に炸裂する。
「ジャラジャラッ! 失礼な男ね。ガメレオン様は化け物などではないわ」
ジャラジャラ兵ミノリが雄介を蹴り飛ばしたのだ。
「ジャラジャラッ! この方は蛮獣人ガメレオン様。お前などとは比べ物にならない素敵なお方なのよ」
ジャラジャラ兵アイカのマスクの緑色の目が見下したように雄介に向けられる。
「グゲゲゲゲ。今日からは俺がこの家の主となってやる」
不気味な笑い声をあげる蛮獣人ガメレオン。
その目は絶えず周囲をきょろきょろと見回している。
「な・・・に?」
「うふふふ・・・そういうこと。お前はもう用済みなの」
「今日からはガメレオン様がお前の代わりをしてくださるわ」
愕然とする雄介にくすくすと二人のジャラジャラ兵の笑いが向けられる。

「そう言うことだ。グゲゲゲゲ」
蛮獣人ガメレオンが笑いながら両手を顔の前で交差させる。
みるみるその躰がスマートになっていき、人間の躰へと変化する。
顔も床で倒れている雄介の顔そのものとなり、にやりと笑みを浮かべていた。
「そ・・・んな・・・」
化け物がもう一人の自分になってしまったことに恐怖する雄介。
それに合わせるように二人のジャラジャラ兵も両手を顔の前で交差させ、顔だけを人間の顔に擬態する。
そして、ゆっくりと雄介に擬態したガメレオンの左右に行くと、彼にそっと身を寄せ、本物の雄介に笑みを見せた。
「うふふふ・・・どう? これなら誰も気付かないでしょ?」
「これからは私たちが仲良し家族を演じるから、安心してね」
くすくすと笑いながら偽の雄介に躰を預けるミノリとアイカ。
「グゲゲゲ・・・かわいい“妻”と“娘”ができて、俺もうれしいぜ」
「ああん、かわいいだなんてうれしいですわ、“あなた”」
「これからはガメレオン様が私の“パパ”ですわ」
両手を二人の肩に回し、優しく抱きしめる偽の雄介。
それをうっとりとして受け入れる二人の女たち。
まさにあの家族写真のような光景がそこにあった。

「愛華・・・美乃里・・・」
奪われてしまった幸せに雄介の目から涙がこぼれる。
「うるさいわねぇ。もうお前には用はないわ」
「目障りだからさっさと死んでくれる?」
胸のプロテクターからナイフを取り出す二人のジャラジャラ兵。
首から下は小豆色のスーツに包まれているのに、顔だけが以前の愛華と美乃里のままであることが、余計に雄介を絶望させる。
「愛華・・・美乃里・・・」
絶望と叩きつけられたダメージとで動けなくなっている雄介に二人が迫る。
「うふふふ・・・さよなら、用のなくなったあなた」
「さよなら、もういらなくなったパパ」
二人のナイフが雄介に突き刺さる。
「グハッ」
絶命し、シュウシュウと音を立てて煙のように消えさっていく雄介の死体。
あとには血痕すら残らない。

「グゲゲゲ・・・これでいい。今日からここはヤーバン一族の拠点の一つとなるのだ」
偽の雄介が室内を見回してニヤッとする。
なかなかにいい家だ。
ここを我が物にできるというのはありがたい。
「ソヤ様のためにも、ここを拠点にできれば様々な情報収集ができますわ」
顔をマスク姿に戻すジャラジャラ兵ミノリ。
人間の顔などよりも、こっちの方が本当の自分の顔なのだ。
「あとは日曜日に虎島美子をここに呼んで・・・うふふ」
ジャラジャラ兵アイカも顔をマスクに戻してくすくすと笑う。
美子がジャラジャラ兵の仲間になるのが今から楽しみなのだ。
そのために、アイカはスマホを使ってメッセージを送る。
「うふふふふ・・・美子、あなたもきっとジャラジャラ兵になれたことを喜んでくれるに違いないわ」
アイカは心からそう思った。

                   ******

「あー、気持ちよかったぁ」
バスタオルで髪を拭きながらバスルームから出てくる美子。
あとは、スマホでネットサーフィンでもしながら、寝るまでの時間をゆったりと過ごすだけ。
「ん?」
スマホにメッセージが着信している。
愛華からだ。
何かあったかな?
そう思ってメッセージを確認すると、明日から土曜日まで急な用事が入って学校に行けなくなったという。
でも、日曜日には家にいるので、忘れずに来てねということだった。
会えないというのは残念だったが、用事ということであれば仕方がない。
むしろ日曜日が楽しみだ。
どうかヤーバン一族が土曜の夜や日曜日に活動したりしませんように。
美子はそう思いながら返事を打つ。
「必ず行くからよろしくね」
そうメッセージを送り、美子は日曜日に思いを馳せるのだった。

END

いかがでしたでしょうか?
コメント等いただけますと嬉しいです。

明日、もう一作の方も再掲載いたしますね。
ではでは。
  1. 2021/01/09(土) 21:00:00|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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戦闘員製造工場

今日10月10日は、一年の中でも様々な記念日が集中している日だそうで、ざっと上げるだけでも、「目の愛護デー」「マグロの日」「缶詰の日」「貯金箱の日」「トマトの日」などなどあるらしいです。

それで、10月10日の1010を千十(せんとお)と読ませることで、特撮・フィクション系の「戦闘員の日」というのもアリではないかと数年前から提唱させていただいておりますけど、おかげさまでそこそこ浸透してきてくださったようでうれしい限りです。

もちろん提唱した私としても、今日は一本短編SSを投下いたしたいと思います。
タイトルは「戦闘員製造工場」です。
まあ、どこかで見たような話ではありますが、楽しんでいただければ幸いです。

それではどうぞ。


戦闘員製造工場

 「本部! 応答してください! 本部!」
 右手首に嵌めたブレスレットのスピーカーから聞こえてくるのはノイズだけ。
 返事はない。
 私はチャンネルを切り替える。
 「ブルー、聞こえる? レッド、応答して!」
 声をかけてしばらく待つが、やはり応答はない。
 ダメだわ……
 どうやら通信妨害をされているみたい。
 やはり、ただの廃工場ではなさそうね……

 ふらりと外出をした帰り道。
 日も暮れて家路を急いでいた私は、近道をしようとしてたまたま通りかかったこの廃工場の付近で、ある人影を目にとめた。
 それは全身を青い全身タイツ状のスーツで覆った二つの人影。
 目以外の頭からつま先まですっぽりと覆ったその姿は、間違いなくゾアークの戦闘員の姿。
 それらがこの廃工場に入り込むのを見かけたのだ。

 地球を征服しようとたくらむ悪の組織ゾアーク。
 その魔の手は世界中に伸びている。
 彼らは獣人と呼ばれる強力な怪物と、青い全身タイツ状のスーツを身にまとった多数の戦闘員とでチームを組む。
 それらが各地で暴れまわり、住民を恐怖に陥れているのだ。
 私はそのゾアークに立ち向かうために作られたチーム、パルサーファイブの一人。
 黄の戦士パルスイエロー。
 仲間たちと一緒に、ゾアークを倒すために戦っているの。

 そのゾアークの戦闘員たちがこの廃工場に入り込んだということは、ここはゾアークにとって関係のある場所なのかもしれない。
 本部にも仲間にも連絡がつかないというのは悩ましいが、せめてここがどういう場所なのか調べておくぐらいは必要だろう。
 もし、ゾアークの関連施設なら、準備を整えて叩き潰さなくてはならないのだから。

 私はゾアークの戦闘員が入り込んだと思われる建物に近づき、窓からそっと中を覗く。
 幸い月明かりが周囲を照らしてくれており、部屋の中にも差し込んでいる。
 誰もいないがらんとした部屋。
 使われなくなって久しいようだわ。
 この部屋ではないとすると、いったい……

 私は足音を殺して入口へと近寄り、そっとドアを開けてみる。
 月明かりが差し込む暗い廊下に、いくつもの足跡がある。
 やはりここに誰かが出入りしているのは間違いないわ。
 そういえばここは廃工場になってからかなり経つにもかかわらず、いまだに取り壊されるという話を聞かない。
 何者かが意図的にこの廃工場を残しているのかもしれないわね。
 おそらくは……ゾアーク……

 私は周囲を警戒しながら、そっと中へと入り込んでドアを閉める。
 いきなり警報が鳴るようなことは無さそうね。
 それに、監視カメラのようなものも見た限りでは無さそう。
 あくまでも廃工場として見せかけることにしているのかもしれない。

 私は気を付けながら足跡を追っていく。
 どうやら足跡は一方方向に続いているようだ。
 って、廊下が奥に続いているのだから当然か。

 いくつかの部屋と思われるドアの並びを抜け、突き当たりの頑丈そうな扉の前に来る。
 足跡はその扉の向こうに続いているようだ。
 私は警戒しながら取っ手を動かし、扉を開ける。

 「ふう……」
 反応は何もなく、静かなまま。
 私が入り込んだそこは、広々とした空間。
 おそらく工場のメイン区画だったのだろう。
 いくつかの機械類は残されてはいるものの、その多くは撤去され、今はただの広い空間になってしまっているようだ。
 窓からは月明かりが差し込み、一種異様な雰囲気を漂わせている。
 廃墟が好きというマニアにはたまらない光景かもしれないわね。

 それにしても、ゾアークの戦闘員はどこに?
 ここではないのだろうか?
 足跡も入り混じっているようで、ぐちゃぐちゃになっている。
 それこそ廃墟マニアが入り込んでいるという可能性も無いとは言えない。

 私はとりあえず室内を歩いてみる。
 確かにゾアークの戦闘員はここに来たと思ったんだけど……
 いったいどこに消えたというのか……

 いくつかの足跡を見て、私はおかしなことに気付く。
 足跡の一部が、壁に向かっているのだ。
 壁に?
 どういうこと?

 私はその足跡が向かっている壁を調べてみる。
 だが、どう見てもただの壁にすぎない。
 おかしいわね……
 何か仕掛けがあると思うのだけど……
 私は、その壁のそばに撤去されずに残っている機械があることに気付く。
 その機械にはレバーが付いており、放置されてしばらく経っているはずなのに、なぜかそのレバーは動かしたような跡がある。
 もしかして……
 私はレバーを動かしてみる。
 ビンゴ!
 レバーを動かした途端、足跡の向いていた壁が下へと吸い込まれ、地下に下る階段が現れたのだ。
 こういうことだったのね。

 私はゆっくりと階段を降りていく。
 降りた先には壁にレバーが付いており、それを操作すると上の壁が元通りに閉じていく。
 こういう仕掛けだったとはね。
 ここはゾアークの施設で間違いないわ。
 だとしたら、ここで何をしているか確かめないと……

 レバーを操作したことで通路には明かりが点く。
 上の廃工場とは全く似ても似つかないきれいな通路。
 ほこりが積もって足跡を残すようなこともなく、ピカピカに磨かれている。
 私は気を付けながら、通路を先へと進んでいく。
 奴らはここでいったい何をしているというのか……
 それを調べ、本部に知らせなくては。

 また突き当たり。
 今度は壁にスイッチがある。
 私は一瞬躊躇したものの、そのスイッチを押してみる。
 すると、突き当りの壁全体が横にスライドし、中から様々な音が聞こえてくる。
 ゴゴゴゴと低いうなりを上げている機械音が大半だが、中から人の悲鳴のようなものも聞こえてくるのだ。
 まさか……
 中に人が?

 中に入り込んだ私は、そこが上の廃工場と同じくらい広い空間になっていることに気が付いた。
 私がいる位置は、入ってすぐに左右に伸びるキャットウォーク状の通路になっており、一階層低い位置に床があって、様々な機械がうなりを上げているのが見えるのだ。
 私は通路に作られた手すりから身を乗り出すようにして、その機械類をよく見てみる。
 いくつかの機械がベルトコンベアで有機的につながれているようで、コンベアに載せられたものがその内部を通っていく形らしい。
 それはまるでなにかの工場のよう。
 いったいここでは何を作っているというの?

 「い、いやぁっ!」
 「や、やめろぉ! 助けてくれぇ!」
 えっ?
 私が見ている前で、ベルトコンベアに人が載せられて動いていくのがわかる。
 若い男女が裸にされ、それぞれ手足をベルトコンベアに固定されて載せられているのだ。
 「いやぁっ!」
 「うわぁっ! やめろぉ!」
 私が止める間もなく、男女の載せられたベルトコンベアは、そのまま機械の開口部へと流れていく。
 私はあまりのことにどうすることもできない。

 ガコンガコン、ゴゴゴゴと、二人を飲み込んだ機械がうなりをあげる。
 いったいあの二人はどうなってしまうというの?
 ゾアークはいったい何をしているというの?
 私はどうしたら……

 とにかくあの機械を止めなくては!
 まだ間に合うかもしれない!
 私は下へ降りる階段を探す。
 右手に下に降りる階段があるのを見つけた私は、すぐさまそちらへ向かうと、階段を駆け下りる。
 お願い……
 何とか間に合って……

 私が下のフロアに降り、機械の制御パネルを探そうとしていた時、今までうなりを上げていた機械の音が低くなる。
 えっ?
 ちょうど私の左側の位置に、機械からの排出口があり、そこからベルトコンベアに載った男女が運び出されてくる。
 だが、その姿を見て私は息を飲んだ。

 ベルトコンベアに載って機械から出てきたのは、以前の姿の二人ではなかったのだ。
 二人の躰は全身がすっぽりと青い全身タイツ状のスーツに覆われ、目だけがそこから覗いていた。
 両手と両脚は黒い長手袋とブーツを嵌められ、腰にはゾアークの紋章のついたベルトを締めている。
 それはまさに先ほど私が追ってきたゾアークの戦闘員の姿そのものだったのだ。
 そんな……
 まさか……
 今まで私たちが戦ってきたゾアークの戦闘員って、こうして……?

 カチャッと音がして、二人の両手両脚を止めていた金具が外れる。
 それと同時に二人はゆっくりと躰を起こし、ベルトコンベアから降りて立ち上がる。
 「キキーッ! 私は偉大なるゾアークの戦闘員」
 「キキーッ! 私は偉大なるゾアークの女戦闘員」
 「「ゾアークに忠誠を誓います。キキーッ!」」
 直立し右手を上げて、声をそろえて奇声を発する二人の戦闘員。
 ゾアークは……
 ゾアークはこうして戦闘員を作っていたというの?
 大変だわ。
 早くこのことを知らせてここを潰さなければ……

 私は完成したばかりの二人の戦闘員たちに見つからないよう機械の影に隠れ、そろそろと入ってきた扉に戻ろうとする。
 できればすぐに通信をしたいが、おそらくここも妨害がされているだろう。
 何とか戻ってここを抜け出さなくては……

 「あら? もう見学はおしまいかしら?」
 戻ろうとした私に、背後から声がかかる。
 「がっ!」
 私が振り向くと同時に、私の全身に衝撃が走る。
 しまった……
 衝撃波だわ……
 この技を使うのは……
 意識が遠くなりそうになりながらも、私は相手を確認する。
 カツコツと靴音を響かせて近づいてくるのは、黒と紫の戦闘スーツに身を包み、額に赤い宝石の付いたサークレットを嵌めているゾアークの女幹部テメーラ。
 「やはり……あなたが……」
 「うふふ……ゾアークの戦闘員製造工場にようこそ、パルスイエロー黄乃弘美(きの ひろみ)さん」
 床に倒れた私に二度目の衝撃が走り、私は意識を失った……

                   ******

 「ハッ?」
 私は目を覚ます。
 ここは……いったい?
 起き上がろうとした私は、両腕と両脚が金具で固定されていることに気が付く。
 「えっ?」
 しかも、私はすべての衣服を脱がされ、丸裸の状態なのだ。
 「う、嘘でしょ……」
 真っ先に確認したブレスレットも右手から外されてしまっている。
 完全に捕らえられてしまった……ということか……

 「ようやくお目覚め?」
 足元の方から声が聞こえ、やがてその声の主が姿を見せる。
 「テメーラ……」
 私を衝撃波で叩きのめした女がそこにいた。
 「うふふ……なかなかに鍛え上げられた素敵な肉体ね。美しいわ」
 私の躰を舐めまわすように見つめてくるテメーラの目。
 「それはどうも。褒められてもちっともうれしくはないけれど」
 私はありったけの憎悪を込めてにらみつけてやる。
 「あらあら、褒め言葉ぐらい素直に受け取りなさいな」
 「ひゃっ!」
 テメーラが手にした乗馬鞭のようなもので私の胸をつついてくる。
 「んふふ……そんなににらまなくても。せっかくこれからお前にも体験させてあげようというのに」
 「体験?」
 いったい何を体験させるというの?
 「そう……我がゾアークの戦闘員製造工場を、せっかくパルスイエローが見学に来てくれたんですもの。体験学習もしていってもらわないとねぇ」
 ニヤリとどす黒い笑みを浮かべるテメーラ。
 私は背筋がぞっとする。
 「私をゾアークの女戦闘員にするつもりなの?」
 「ええ、もちろん。本当はお前のような優秀な人間は獣人にしてあげたいところなんだけど、せっかくこの工場に来たんだもの、ここの体験をさせてあげるほうがいいでしょ」
 テメーラはまるでそれが親切な行為であるかのように口にする。

 「くっ!」
 冗談じゃないわ。
 ゾアークの戦闘員になんてされてたまるものですか!
 私は必死に両手の拘束を外そうと力を入れる。
 「うふふふふ……無駄よ。ブレスレットを外され、バトルスーツを装着できないお前は、しょせんただの人間。その金具を外すことなど不可能なこと。あ、そうそう。あのブレスレットはありがたくいただいて、分析に回しておいたわ」
 私は唇を噛む。
 なんというミス。
 ブレスレットを奪われてしまうなんて……

 「さて、それじゃそろそろこの工場を体験してもらいましょ」
 テメーラがそう言って乗馬鞭を振ると同時に、ガコンと音がして私の躰が動き始める。
 これは……あのベルトコンベアだったの?
 私の躰はベルトコンベアで運ばれ、その進む先にはあの機械が口を開けて待っている。
 「くっ!」
 私はなんとか金具から手を抜こうと試みるも、どうしても抜くことができない。
 「それじゃ私は出口で待っているわね。しっかり体験してきてねぇ」
 ひらひらと手を振っているテメーラ。
 「私は……私は絶対にゾアークの女戦闘員なんかにはならないわ!」
 「はいはーい。出口から出てきたときに、お前がなんと言うか楽しみだわ」
 反対側の方に歩いていくテメーラ。
 私は……
 私は女戦闘員になどなるものか!

 近づいてくる開口部。
 ベルトコンベアは着実に躰をそこへと運んでいく。
 「くっ!」
 私は歯を食いしばる。
 覚悟を決めるしかない。
 ここから抜け出すことができないなら、抵抗するしかない。
 ゾアークの女戦闘員などと言うおぞましい人形にされてしまわないためにも……
 耐えきるしかないわ!

 ガゴンガゴンとうなりを上げている機械。
 私の躰はその中へと吸い込まれていく。
 周囲が暗くなり、騒々しい機械の音が耳に響く。
 「うごっ!」
 いきなり私の口に何かがかぶさり、無理やり口を開いて喉の奥にチューブを押し込んでいく。
 「うげっ! うげぇぇっ!」
 まるで胃カメラでも飲み込まされたよう。
 「ぐぼっ」
 押し込まれたチューブから何かが私の胃の中に流し込まれていく。
 な、何これ?
 さらに躰の表面には何かねばつく液体のようなものが吹き付けられる。
 顔にも吹き付けられ、私は目をふさぐしかない。
 熱い……
 躰が熱い……
 何これ?
 躰が焼けるように熱い……
 ああ……
 内と外から火で焙られているような熱さだわ……
 熱い……
 熱いよぉ……
 誰か助けてぇ……

 私は熱さと苦しさで首を振る。
 だが、頭の左右から挟み込まれるようにして固定され、首を振ることもできなくなる。
 キーンという音がして、頭に衝撃が加わってくる。
 嘘でしょ……
 頭に穴を?
 ひぎっ!
 突然躰に電気が走る。
 頭の中がぐちゃぐちゃにかき混ぜられていく。
 いやっ!
 やめてっ!
 私の頭をいじらないでっ!
 やめてぇぇぇぇぇぇ!

                   ******

 目の前が明るくなる。
 機械の中から私の躰が外に出てきたのだ。
 照明の明るさが、まるで朝の太陽のよう。
 気持ちのいい目覚めの朝のようだわ。

 カチッと音がして、私の手足を固定していた金具が外される。
 私は上半身を起こして、生まれ変わった自分の躰を見る。
 私の躰はその全身が青い全身タイツ状の戦闘スーツに包まれている。
 躰にぴったりとフィットしたこのスーツは、とても強靭なうえに着心地が良く、それこそ私の皮膚と言っていいものだ.。
 脱ごうと思えば脱げるものだが、脱げと命令でもされない限り脱ぐつもりなどない。
 両手と両脚はそれぞれ黒い手袋とブーツになっており、これもスーツと同じように私の躰に密着している。
 頭も目以外はすべて青いスーツと一体になったマスクで覆われ、私は両手でそれに触れ、その気持ちよさにうっとりした。
 腰には偉大なるゾアークの紋章が付いたベルト。
 このベルトのおかげで、私は自分が偉大なるゾアークの一員であることの喜びを感じるのだ。
 ああ……
 素晴らしいわ……

 「キキーッ!」
 私はベルトコンベアから立ち上がると、右手を上げて偉大なるゾアークに対する服従の声を出す。
 ああ……
 気持ちいい……
 なんて気持ちいいのかしら……
 服従の声を出すことがこんなに気持ちいいことだったなんて……
 この声を出すことで、私は自らが偉大なるゾアークに従う者であることをあらためて感じることができるんだわ。
 なんてすばらしいの?
 最高だわ。

 カツコツという足音が響く。
 私は顔を正面に向けたまま、直立不動の姿勢を崩さない。
 当然だわ。
 おそらくあの足音はテメーラ様のものですもの。
 偉大なるゾアークの魔女司令テメーラ様。
 失礼があってはいけないのよ。

 「うふふ……どうやら新しい女戦闘員が完成したみたいね」
 ゆっくりと私の前に姿をお見せくださるテメーラ様。
 黒と紫色の躰にフィットした戦闘スーツ姿がとても素敵。
 私たちの指揮官として尊敬するに値するお方。
 「キキーッ!」
 私はテメーラ様に右手をスッと伸ばして敬礼する。
 「ふふふ……さあ、言いなさい。お前は何者?」
 テメーラ様の持つ鞭が私の顎を持ち上げる。
 「キキーッ! 私は偉大なる組織ゾアークのしもべ、女戦闘員です!」
 私は胸を張ってゾアークの女戦闘員であることを答える。
 偉大なるゾアークにお仕えし、ゾアークのためなら何でもするの。
 いかなる命令にも従います。

 「んふふ……そうよぉ、それでいいの。今日からお前はゾアークの女戦闘員374号。いいわね?」
 「キキーッ! それが私の新しい名前なのですね? ありがとうございます!」
 私はもう飛び上がりたいくらいにうれしくなる。
 テメーラ様から直接に名前をいただけるなんて!
 「そうよ。それがお前の新しい名前。うふふふふ……」
 楽しそうに笑っていらっしゃるテメーラ様。
 「キキーッ! はい! 私は偉大なるゾアークの女戦闘員374号です! よろしくお願いいたします、テメーラ様!」
 「アハハハハ……最高だわぁ。ねえ、374号。お前、以前の名前とか覚えている?」
 えっ?
 私の以前の名前?
 テメーラ様のその質問を聞いた瞬間、私は膝ががくがくと震えるほどの恐怖を感じてしまう。
 私は……
 私はいったい何と言うことを……

 「キキーッ! も、申し訳ございませんテメーラ様。わ、私は……以前の私は……」
 思いだすことさえ嫌な記憶。
 かつての私が行っていたことはとんでもない行為。
 愚かだったと言って済まされるものではないわ……

 「以前の私は?」
 言葉に詰まってしまった私に、テメーラ様は先を続けるよう促してくる。
 私は覚悟を決めて、先を続けた。
 「以前の私は、愚かにも偉大なるゾアークに歯向かうパルサーファイブの一人、パルスイエローとして活動し、ゾアークに大きなダメージを与えてまいりました……その罪は赦されるものではありません。キキーッ!」
 私はかつての自分が行った愚かな行為に打ちひしがれながらも、テメーラ様に正直に打ち明ける。
 たとえ罰を受けることになったとしても、やむを得ないわ……

 「うふふ……そうね、確かに以前のお前はパルスイエローだった。でも……」
 テメーラ様の鞭の先端が私の頬にそっと触れる。
 「今は違うんでしょ?」
 ああ……
 私は目の前が明るくなる。
 「キキーッ! もちろんです! 今の私はパルスイエローなどではありません! 今の私は偉大なるゾアークにお仕えする女戦闘員! 女戦闘員374号です! キキーッ!」
 私は大声で服従の声を発する。
 私は女戦闘員!
 偉大なるゾアークにお仕えする女戦闘員です!

 「うふふふ……それでいいわ。これからはゾアークのために働きなさい。いいわね?」
 「キキーッ! はい、テメーラ様! 私はもう身も心もすべてを偉大なるゾアークに捧げます。ゾアークのためなら何でもいたします。どうぞ何なりとご命令を。キキーッ!」
 私は胸を張ってそう答える。
 ああ……
 てっきり罰を受けるものと……
 これからは今までの罪滅ぼしのためにも、ゾアークにこの身を捧げ、全力でお仕えしなくては……

 「来なさい。お前にはいろいろと聞きたいことがあるわ。もちろん、教えてくれるわよね? パルサーファイブのことを」
 「キキーッ! もちろんです。私の知識のすべてをお伝えいたします。私が愚か者だった時の思いだしたくもない記憶ですが、偉大なるゾアークのためになるのでしたら、喜んで。キキーッ!」
 カツコツと靴音を響かせて颯爽と歩き始めるテメーラ様に付き従い、私もその後に続いていく。
 私の知識が少しでも偉大なるゾアークの役に立つのであれば、これほどうれしいことはないわ。
 私はゾアークの女戦闘員としての誇らしさを感じながら、テメーラ様に従うのだった。

END

いかがでしたでしょうか?
よろしければコメントなどいただけますと嬉しいです。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2020/10/10(土) 19:00:00|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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二次創作SSを送らせていただきました

pixivの相互フォロワーでありますマーチン・シン様が、非常に魅力的な正義のヒロイン「聖獣少女隊ガイア・フォース」と悪の組織「恐怖!!ヤーバン一族」の設定を描かれておられましたので、ついつい一般女性の女ジャラジャラ兵化二次創作SSを許可いただいて書かせていただきました。
(イラストではジャジャラ兵となっておりますが、ジャラジャラ兵とあらためられたとのこと)

今回、そのSSがpixivで公開されましたので、こちらでも紹介させていただきます。

タイトルは「選ばれてしまった母と娘」です。
(タイトル名をクリックしていただけると作品ページに飛べます)

全身タイツを着込む系の女戦闘員ということで、書いていて本当に楽しかったです。
是非お読みいただき、楽しんでいただければと思います。
よろしくお願いいたします。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2020/02/08(土) 17:56:42|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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あるマンガを参考にした結果

今日は超短編SSを一本投下します。
先ほど書き上げたばかりのピカピカの新作です。(笑)

タイトルは「あるマンガを参考にした結果」です。
ふとあのマンガのあの小道具って洗脳アイテムとして使えるよなーって思ったもので、突発的に書いてしまいました。
おそらく何のマンガの何の小道具かはすぐお判りになるかと思います。
お楽しみいただけましたら幸いです。

それではどうぞ。


あるマンガを参考にした結果

「むう・・・またしてもパワフル5(ファイブ)の連中にしてやられたか・・・これではいつまで経っても地球征服など夢のまた夢・・・なんとかせねば」
黒いフロックコートのような衣装に身を包み、三角帽をかぶった偉丈夫がため息をつく。
地球を狙うコロルス船団のダーズ船長だ。
移住に適した星を目指して宇宙をさまようコロルス船団は、この地球を目指して今や着々と進んでいる。
船団の到着までに地球を征服するのが、先遣船隊長であるダーズ船長の役目だった。

しかし、地球征服に着手したのもつかの間、彼らの前にはパワフル5という地球人の五人組が立ちはだかったのだ。
赤、青、黄、桃、緑色の五色のスーツを身にまとった男女の五人。
彼らの前には繰り出した魔獣人はことごとく敗北し、全く歯が立たない。
地球人などしょせんは下等な連中と見下していたダーズだったが、まさかここまでてこずることになるとは予想外だった。
もしこのまま船団本隊が来るまでに地球を征服できなかったとすれば、ダーズは船団長に処刑されてしまうのは間違いない。
まさに生きるか死ぬかの瀬戸際なのだ。
だが、いったいどうすればいいのか・・・

「うふふふ・・・ずいぶんとお悩みのようですわね、船長」
ダーズはその声に振り向く。
そこには丈の長い白衣を身にまとい、ややきつめの眼鏡をかけた美女が立っていた。
「ふん、ドクターマースか。何か用か?」
彼女は彼の先遣船で船医を勤めている女性だが、頭も切れるため、船の相談役も兼ねていた。
とはいえ、あくまで彼女は医師であり、戦いのスタッフではない。

「船医として船長の健康を気遣うのは当然ですわ。そのような青い顔をされているのに放ってはおけませんもの」
「青い顔は元からだ!」
ダーズが思わず言い放つ。
コロルス船団にはさまざまな人種がいるが、ダーズは青い肌のブルー人なのだ。
「ちょっとした冗談ですわ。それに苦悩なさっているのは本当でしょ?」
「確かにそうだが・・・お前の出番ではない」
「ドクターとしてはそうかもしれません。ですが・・・相談役としては・・・ある提案をお持ちしたのですが・・・」
くすっと笑うマース。
その笑みは見るものを魅了すると言ってもいいだろうが、やや冷たさを感じさせるものでもある。

「提案だと?」
ぎろりと彼女を見るダーズ。
「ええ、パワフル5を倒せばいいのでしょ?」
こともなげなその言い方に、ダーズはムカつきを覚える。
「簡単に言うが、そうやすやすとはいかんぞ。奴らのチームワークは抜群だ。それこそ一人一人のパワーを何倍にもしてしまう」
彼の言う通りなのだ。
パワフル5のそれぞれに対しては力で上回る魔獣人を何体も送り込んできた。
それこそ、一局面では圧倒したこともあったぐらいだ。
しかし、そのいずれもが彼らのチームワークに倒されたのだ。
彼女の思うように簡単に倒せる相手ではない。

「ええ。ですが、そのチームワークを崩してしまえばどうかしら? その上彼らのパワーをこちらが利用できれば・・・ふふふふ」
意味ありげに笑っているマース。
どうやら自信があるらしい。
「ふむ、それほどいうならどのような策があるのか言ってみろ」
ダーズも興味を覚える。
いったいどのような策があるというのか?
この際は何でも試してみるべきかもしれんな。

「実はこのようなものにヒントがありましたの」
マースが懐から何かを取り出す。
それは地球人たちが読むマンガと呼ばれるものだった。
「マンガ・・・だと?」
「ええ。これをご覧ください」
開いて差し出されたマンガを読むダーズ。
どうやら基本はギャグ系のマンガのようだが・・・
「これは・・・」
登場したある小道具がダーズの興味を引く。
「うふふ・・・これと同じようなものを作ってみましたわ。お試しいただけますか?」
「うむ。面白い。やってみよう」
ダーズは力強くうなづいた。

                   ******

「グハハハハハ! おびえろ! すくめ! 我が船団の前にひれ伏すがいい!」
大きな角を頭に載せた水牛の魔獣人スイギューダが町を破壊する。
その周囲には痩せた灰色の躰をしたグレイという戦闘員たちが付き従っている。
彼らこそダーズの配下として地球征服のために働く連中なのだ。

「いいぞ。もっと暴れろ! やがてパワフル5がやってくる。その時こそ・・・」
スイギューダたちの暴れる様子をビルの屋上から見下ろすダーズ。
その手には何やら黄色いふわふわした毛玉のようなものが握られていた。

やがてオートバイの爆音とともに五人の戦士が現れる。
赤、青、黄色、桃色、緑のスーツをまとった男女。
地球を守るパワフル5だ。
彼らは暴れまわるスイギューダの前に立ちはだかると、威勢よく名乗りを上げる。
まさに地球人のヒーローと言っていいだろう。
だが・・・
今日はそうはいかんぞと、ダーズはほくそ笑んだ。

五人にとびかかるグレイたちをバッタバッタとなぎ倒すパワフル5。
グレイたちは地球人など10人相手でも問題ない強さのはずなのだが、パワフル5の前ではまるで赤子の手をひねるかのようにあしらわれる。
あのスーツの威力はすごいものだ。
多少鍛えているとはいえ、地球人の能力をこれほどまでに高めるスーツとは。
何とか分析する必要があるだろうが、これまではそのかけらさえも手に入れることはかなわなかったのだった。

グレイをあらかた倒し、スイギューダの前に集結する五人。
「よし、あとはもうお前だけだ!」
「おとなしく帰るのなら見逃してやってもいいぜ」
「さっさとごめんなさいすれば?」
魔獣人一体ならほぼ勝利は間違いない。
そういう気持ちが多少出ているのだろう。
彼らの言動にはある程度の余裕が見える。
事実スイギューダはほぼ追い詰められた格好となっていた。

「どれ、マースの策を使ってみるか」
ダーズは手にした黄色の毛玉のようなものを投げつける。
狙いはパワフル5の桃色。
五人の中で桃色だけが女性なのだ。
あのマンガではこの道具が使われていたのは女性。
それを忠実に再現したというマースの言葉を信じるならば、この道具が威力を発揮するにはやはり女性に嵌めるしかないだろう。

「グハハハハハ! 舐めるなよ! お前たちなど俺様だけで充分だ!」
スイギューダが大声で笑う。
決してハッタリではない。
だが、不利なのも間違いないだろう。
いつもならばこのままパワフル5の勝利となるところだ。
はたして今回はどうかな?

「えっ?」
パワフルピンクが声を上げる。
気が付くと黄色い毛玉のようなものが両手に貼り付いていたのだ。
「何これ?」
パワフルピンクが手に付いたものを振り払おうと両手を振る。
その瞬間、その毛玉のようなものが大きくなり、彼女の手をすっぽりと覆うくらいに膨らんだのだ。
そう、ちょうどスポーツの応援をするチアガールの持つポンポンのような黄色いふわふわしたものに。
「な?」
一瞬何が起こったのかわからないパワフルピンク。
だが、その両手から力があふれてくるのを感じる。
躰が動き出し、足を大きくあげたくなる。
両手を突き上げ、思い切り声を上げたくなる。
フレー! フレー! と言いたくなる。
応援したい!
応援したい応援したい!
応援したーーーい!

スッと前に出るパワフルピンク。
黄色いポンポンを胸のところに構え、軽やかな足取りでスイギューダの背後に行く。
あまりの突然の行動に、ほかの四人もスイギューダさえもただ見ているだけだ。
「ピンク・・・?」
「ピンク?」
唖然としているパワフルレッドほか四人。
いや、スイギューダさえも唖然としていたのだった。

「フレー! フレー! スイギューダ!」
大きな声でポンポンを振り上げるパワフルピンク。
背筋がぞくぞくするほどの快感が走る。
一瞬にしてパワフルピンクの思考は染め上げられてしまう。
私はチアガールなのだ。
スイギューダを応援するチアガールなのだ。
これこそが私の本当の姿なのだ。
なんて気持ちがいいのだろう。
応援することがこんなの気持ちいいことだったなんて。

「フレー! フレー! スイギューダ! 頑張れ頑張れスイギューダ! 頑張れ頑張れスイギューダ!」
足を大きく蹴り上げ、両手のポンポンを振り回す。
気持ちがいい。
とっても気持ちがいい。
こんな気持ちがいいことだなんて知らなかった。
もっともっと応援したい。
「頑張れ頑張れスイギューダ! パワフル5なんてぶっ飛ばせー!」
そうよ。
パワフル5なんてぶっ飛ばしちゃえー!

「ピ、ピンク?」
「何やってんだピンク!」
「おかしくなったのか、ピンク!」
予想もしないピンクの行動に戸惑う四人。
一方スイギューダの方は妙に力が湧いてくることに気が付いていた。
なんだこれは?
応援されるということがこんなに力強いものなのか?
やれる!
これはやれるぞぉ!

「うわぁっ!」
スイギューダの頭突きに跳ね飛ばされるパワフルグリーン。
続けざまにブルーも跳ね飛ばされてしまう。
「くっ!」
素早く態勢を整えるレッド。
イエローもグリーンを助け起こす。
なんていう強烈な頭突きだ。
何度も食らえばただでは済まないだろう。

「いいぞ! いいぞ! スイギューダ! いっけー! いっけー! スイギューダ!」
目の前で仲間がダメージを負っているというのに、ピンクの気持ちは高揚していた。
自分の応援でスイギューダがパワフル5を圧倒しているのだ。
それがすごく気持ちがいい。
もっともっと応援したい。
応援してスイギューダが活躍するのを見たい。
ピンクはもうそのようにしか思えなかった。
仲間なんてどうでもいい。

「ぐわぁーっ!」
イエローが弾き飛ばされる。
「レッド! ここはもうパワフルシュートで!」
「だめだ! あの技は五人がそろわなければ!」
「ちくしょう! ピンクはどうしちまったんだ!」
口々に叫ぶパワフル5のメンバーたち。
「おそらくあのポンポンだ。あれがピンクを操っているんだ!」
「ピンク! そのポンポンを手から離せ! 正気に戻ってくれ!」
「いやよ! このポンポンは私の物! 誰にも渡さないわ! フレー! フレー! スイギューダ!」
すらりとした脚を蹴り上げて応援するピンク。
もうスイギューダの応援しか頭にない。
「ちくしょう! 五人そろわないと技の発動ができないなんて誰が考えたんだよ!」

                   ******

「ぐふっ!」
スイギューダの角に腹を貫かれて倒れ込むブルー。
そのそばにはレッド、イエロー、グリーンも地面に横たわっていた。
「グフフフフ・・・」
倒れたブルーのヘルメットを踏み潰すスイギューダ。
終わったのだ。
あのパワフル5を倒したのだ。
自分でも信じられないが、確かに四人は足元に倒れているのだ。

「ヤッター! ヤッター! スイギューダ! 強いぞ強いぞスイギューダ! いえーーーい!」
ポンポンを振り回して喜ぶピンク。
倒されたのが仲間たちだったことなどもうどうでもいいのだ。
「グフフフフ・・・ありがとうよ。お前の応援のおかげだ」
ピンクのところに戻って礼を言うスイギューダ。
そのことがまたピンクをうれしくさせる。
自分の応援で彼が勝ったことがうれしい。
もっともっと応援したい。
これからももっと。
ピンクはもはやパワフルピンクではなかった。
コロルス船団のピンクのチアガールとなったのだ。

この結果はダーズをも充分満足させるものだった。
まさかこうもあっさりとパワフル5を倒せるとは。
これなら地球征服もはかどるだろう。
それに・・・いい手駒も手に入ったようだ。

やがてその脅威のパワーで地球人たちを恐怖のどん底に落としいれるスイギューダのそばには、黄色いポンポンを振って彼を応援するピンク色の女戦士の姿が付き従うのが見られるようになったのだった。

END

いかがでしたでしょうか?
あの道具っぽさが出ていればよいのですが。

今日はこんなところで。
それではまたー。
  1. 2020/01/25(土) 21:55:30|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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正義のヒロインは選択肢を選んで悪の女戦闘員に

10月10日に始まりました「(特撮系)戦闘員の日」週間も、今日が最終日。
ということで、SSを一本投下いたします。
最後の最後にもう一本ということで。(´▽`)ノ

タイトルは、「正義のヒロインは選択肢を選んで悪の女戦闘員に」です。
今回もシチュのみ短編という感じですが、楽しんでいただければ幸いです。

それではどうぞ。


正義のヒロインは選択肢を選んで悪の女戦闘員に

「う・・・うーん・・・」
私はゆっくりと目を覚ます。
ここは・・・どこ?
私はいったい・・・
頭がズキズキする・・・
いったいどうしたというの?

私はゆっくりと躰を起こす。
「えっ?」
思わず声が出てしまう。
起きた拍子に見た自分の躰が信じられないことになっていたのだ。
なんなの、これは?

私の躰は全身がぴったりと覆われた黒いタイツのようなもので覆われていたのだ。
いわゆる全身タイツとでもいうのだろうか?
首から下はすべて覆われ、両手と両脚もそれぞれ黒いブーツと手袋に包まれていた。
腰にはベルトが巻かれ、そこには・・・ああ・・・なんてこと・・・
邪悪結社ダアルドの紋章が付いていたのだ。
「これは・・・ダアルドの?」
私は寝かされていたベッドから起き上がって躰を調べる。
どうやら傷つけられたりはしていないらしい。
どこも痛みはないし、無事なようだ。
だが、それにしても・・・
この格好はとても恥ずかしい・・・
なにせ躰にぴったりと貼り付くような感じなので、胸のふくらみはおろかおへそのくぼみもあらわになっているし、その・・・股間のあたりもくっきりと・・・

とはいえ、これはどうやって脱ぐのかもわからない。
背中にファスナーでもあるのかとも思ったけど、どうもそうでもないらしい。
ブーツや手袋、ベルトなんかは外せば外せそうだけど、これまでのダアルドとの戦いで倒した怪人や戦闘員たちはみな最後に自爆を遂げている。
ということは、このベルトを外した瞬間にドカーンということにもなりかねない。
いや、むしろ彼らはそれを狙って私にこれを着せたのかもしれないのだ。
私がこの衣装を嫌がってベルトを外したところでドカーン・・・
充分にあり得る話ではないだろうか・・・
うかつに外すわけにはいかないわ・・・
とにかくここがどこで、どうすれば出られるのかを調べなくては。
この服のことは・・・今は気にしないでいるしかなさそうね。

殺風景な部屋。
白い壁には窓一つない。
天井にも何もないが、天井自体が発光して明かりになっているようだわ。
部屋の中には私が寝かされていたベッドがあるだけ。
私の着ていたものや持ち歩いていたものもない。
そうだ・・・
思い出したわ。
確か私はショッピングに出てて、そこにダアルドの襲撃があって、スーツを装着しみんなを呼ぼうとしたところ、何人かの人質を取られて・・・
やむなくスーツの装着をあきらめたところを、ガスのようなものを嗅がされたんだっけ・・・
あの人質の人たちはどうなったのかしら・・・
無事だといいけど・・・

とにかくここからまずは脱出しなくては。
壁にはドアが一つ。
それ以外に出入りできるところはなさそう。
私はカツコツと足音を響かせてドアのところに行く。
ブーツのヒールが硬質な床をたたく音だ。
気を付けないと、この足音でダアルドの連中に気付かれてしまうかもしれない。

ドアはスライドタイプのよう。
取っ手も何も付いてない。
脇にスイッチがあるだけだわ。
このスイッチで開け閉めするのだろう。
赤いスイッチと青いスイッチ。
どちらかを押せば開き、どちらかを押せば閉じるということだろうか。
そしてスイッチのところには何か文字が書いてある。
開くとか閉じるとかの単純な言葉ではないようだが、なになに・・・
「今着ているスーツについて?」
今着ているスーツって、この黒い全身タイツみたいなもののこと?
どういうこと?

赤いスイッチのところには、“どうせ脱げないし脱いだら裸になるので脱がない”とあるわ。
そして青いスイッチの方には、“脱ごうと思えば脱げるけど着ていると気持ちいいので脱がない”と書かれている。
このどちらかを選べということ?
どっちにしても脱がないという結論に変わりはないようだけど・・・
まあ、さっきも考えたように、うかつに脱ぐのは危険だろうから、脱がないという結論には賛成だわ。
どっちを押せば開くのかしら?

私は赤いスイッチを押してみる。
どうせ今は脱げないし、裸になるので脱がないというのはその通りだもの。
だが、ドアは全く反応がない。
じゃあ、こっち?
私は青いスイッチを押す。
すると、ドアはシュッと音を立てて開いたのだ。
なるほど・・・
脱ごうと思えば脱げるけど、気持ちいいので脱がないってことね。
確かにこれだけ肌に密着していると、気持ちいいのは確かよね。
躰にフィットしてすごくなじむ感じだし。

ドアの外は左右に伸びる廊下になっている。
ここも天井がぼうっと光って明るいわ。
廊下そのものは白い壁面で作られていて、先ほどの部屋と同じ感じ。
さて、どっちへ行けばここから出られるのか・・・
そう思った私だったが、左右の廊下はどっちに行ってもすぐに行き止まりになっていた。
どういうこと?
出口はいったい?

ふと見ると、行き止まりになっている壁の脇にもスイッチがあり、文字が書かれている。
もしかして反対側にも?
念のため確認すると、反対側の壁にもスイッチがあり、こちらにも文字が書かれていた。
こちらの壁に書かれているのは、“私はダアルドの女戦闘員である”という言葉。
先ほどの壁には、“私はダアルドの女戦闘員ではない”という言葉だ。
これはもちろん私はダアルドの女戦闘員ではないというほうのスイッチを押したいのだけど、押してもたぶん開かないのではないだろうか。
試しに戻って押してみたものの、やはり壁はそのままだ。
仕方なく私は、私はダアルドの女戦闘員であると書かれたスイッチを押す。
すると、壁がグオングオンと音を立てて下に下がっていき、床に吸い込まれるようにして消え去ると、その先にも通路が続いているのが分かった。
なるほど・・・
この衣装はダアルドの女戦闘員の衣装ということなのね。
私はダアルドの女戦闘員。
そう思い込ませたいんでしょうけど、そうはいかないわ。
なんとしてもここを抜け出すんだから。

カツコツとヒールの音を響かせて廊下を歩いていく。
なんだか廊下に反響する音が気持ちいい。
さて、この先には何があるのかしらね。
ん?
廊下の途中にドアがあるわ。
中を確かめるべきかしら・・・

私はドアの前で立ち止まる。
このまままっすぐ廊下を歩いて行ってもいいのだけど、ドアの中が何なのかも気になるわ。
ドアにはさっきと同じく赤と青のスイッチ。
ここには文字は書かれていない。
確かさっきは青のスイッチで開いたのよね。
私が青のスイッチを押すと、ドアがスライドして開く。
どうやら中は部屋になっているらしい。
ここはいったい?

私は部屋に入ってみるが、そこには何もない。
空き部屋?
いや、そうではない。
奥の壁面がモニターになっているんだわ。
今は何も映されていないけど。
こんな大型モニターなら、映画なんか見たら迫力ありそうね。

突然背後でスライドドアが閉まる。
しまった!
罠だった?
私は慌ててドアのところに行くが、あるべきはずのスイッチがない。
うそでしょ?
どうやって開けるの、これ?

室内が急に暗くなり、モニターが明るくなる。
何?
何が始まるの?
どういうこと?

“ダアルドシアターへようこそ。これよりシューティングゲームをしていただきます。ゲームが終われば、背後のドアが開きます。拒否権はありません。ゲームをしなければずっとドアは閉じたままとなります”
モニターにに映し出される文字。
シューティングゲーム?
いったい何をやらせようというの?
ここから出るためにはやらなくちゃいけないというの?
くっ!
まさかゲームに何か仕掛けがあるのでは?

モニターの下側が左右に開き、そこから拳銃の載った台がせり出してくる。
拳銃とはいっても、黄色のプラスチックで作られたおもちゃの拳銃のようだ。
グリップの部分にワイヤーが付いていて、どうやら引き金を引くと信号が送られる仕組みになっているらしい。
いわばまさしくゲームセンターの拳銃ということか。
でも、これで何を撃てというの?

モニターの画面が変わり、新たな文字が映し出される。
“これより二種類の画像をモニターに映し出します。好きな方を撃ってください”
好きな方を?
どういうこと?

「えっ?」
私は息をのむ。
モニターに表示されたのは、布で口に猿轡をされ、躰を縛られた女性だったのだ。
それは紛れもなく人質になっていた女性の一人。
まさか、彼女を撃てと?
確かにこの銃はおもちゃで実弾が出るわけではないし、狙うのはあくまでもモニターの画像。
とはいえ、もしここで引き金を引いてしまえば、人質になっている彼女に何らかの危害が行くかもしれないのだ。
そんなことができるわけがない。

落ち着くのよ。
映し出される映像は二種類と言っていた。
もう一種類を確かめればいい。
私はそう思い、もう一種類の映像を待つ。
「そんな・・・」
画面が変わって映し出されたのは、私たちADAT(エーダット:アンチ・ダアルド・アタック・チーム)のマークだったのだ。
これを撃てと?
ADATの一員である私にこれを・・・

私がためらっているうちに、映像は再び縛られた女性に変わる。
やはり彼女を撃つわけにはいかないわ。
仕方ない・・・
次に画像が変わった時に・・・
マークを撃つだけだから大丈夫だと思うけど・・・
みんな・・・ごめん・・・

再度画面が変わり、ADATのマークが映し出される。
私は拳銃を構えて引き金を引く。
「ピンポーン」
画面がピンク色に輝き、風船が飛び交い、軽妙な音が鳴る。
まるで何かクイズ番組で正解を出したときのような感じだ。
あはは・・・
なんだか気持ちいい・・・

また人質の女性に切り替わる。
私は銃を構えてADATのマークに切り替わるのを待つ。
ほどなく画面が切り替わり、私はADATのマークであることを確認して撃つ。
「ピンポーン」
気持ちいい・・・
もう一発。
「ピンポーン」
もう一発!
「ピンポーン」
あはははは・・・
なんだかすっごく楽しいわぁ。

気が付くと背後の扉は開いていた。
どうやらクリアしたみたいね。
私はなんだかいい気分で部屋を出る。
さて、次は何かしら。
うふふふふ・・・

廊下を進んでいくと、またしても突き当り。
思った通り脇には赤と青のスイッチがある。
もちろん選択肢もしっかりある。
今回は何かしら?
どれどれ?

“お前にとってADATは憎むべき敵である”
“お前にとってADATは憎むべき敵ではない”
なるほどこう来ましたか。
ここは私にとってADATは憎むべき敵ではないなどを選択する理由はないわね。
選んだところでこの壁が開くわけもないでしょうから。
だとしたら、当然私にとってADATは憎むべき敵であるを選択するに決まっているわ。

私は赤いスイッチを押す。
先ほどと同様に壁がグオングオンと音を立てて床に沈んでいき、奥の通路とつながった。
うふふふふ・・・
ADATは憎むべき敵・・・
当然ね。
ADATは憎むべき敵よ。

廊下にヒールの音が響いていく。
肌に密着するスーツが心地いい。
このスーツは最高だわ。
ずっと着ていたくなる。

またしても行き止まりの通路。
もう・・・なんなのここは?
どうあっても私を閉じ込めておこうというつもりかしら。
そうはいかないんだから。

見ると右手にスライドドアがある。
もちろんここも赤と青のスイッチが。
そして選択肢も。
“お前は自らの意志ではADATと戦わない”
“お前は自らの意志でADATと戦う”
決まってるでしょ。
私は自らの意志でADATと戦うわ。
ADATは憎むべき敵ですもの。
そうよ。
ADATは倒さなくては・・・

私は青いスイッチを押す。
スライドドアが開き、私は部屋の中に入り込む。
「なっ!」
私は驚いた。
てっきり中には誰もいないと思っていたのに、立っている人影があったのだ。
しかも二人も。

私も思わず床に転がり、一回転して戦闘態勢を整える。
まさか人がいるとは思わなかったわ。
いったい誰が?
だが、相手は私に声をかけてくるでも、攻撃を仕掛けてくるでもなかった。
それどころか、私が入ってきたにもかかわらず、その場に突っ立ったままなのだ。
どういうこと?

「なーんだ」
私はゆっくりと立ち上がる。
何も反応がないはずだわ。
部屋の中で立っていたのはマネキン人形だったのだ。
それも二体とも。
不思議なことに、一体は私と同じような黒い全身タイツ姿でダアルドの紋章の付いたベルトを締めている。
もう一体は私たちの本部でよく見かけるADATオペレーターの制服姿だ。
これはどういうことなの?
ダアルドの女戦闘員とADATのオペレーター?

私が不思議に思って近づくと、足元の一角が開いて、そこから台がせりあがってくる。
よく見ると、その台には鋭い短剣が載っていて、そのそばに文字が書いてある。
“お前の敵はどちらかを見極め、この短剣を突き立てよ”
なるほど・・・
私の敵はどっちなのかということね?
そんなの決まっているじゃない。
うふふふふ・・・

私は短剣を握ると、ADATのオペレーターの制服を着たマネキンに振り下ろす。
何度も何度も何度も・・・
ADATは憎むべき敵。
ダアルドに歯向かう愚か者たち。
首領様の偉大さを解せぬやつら。
消えて当然な連中なのだ。

「ピンポーン」
正解のチャイムが鳴る。
ああ・・・うれしい。
そうよ・・・
私はダアルドの女戦闘員ですもの。
正解して当然だわ。

私は短剣でズタズタになったマネキンを蹴飛ばし、意気揚々と部屋を出る。
さあ、次はどんな選択肢が待っているのかしら?
うふふふふ・・・
楽しみだわ。

部屋を出ると、行き止まりだったところにまた通路が開いている。
正解だったから当然よね。
この先へ来いってことだわ。
うふふふふ・・・

私は誇らしげに胸を張り、通路を歩いていく。
本当にこのスーツは躰の動きを阻害しなくて最高だわ。
もうこれ以外のスーツなんて着る気もない。
これこそが私にふさわしいスーツだわ。

なんだかどんどんと奥へ奥へと向かっているような気がする。
もしかして、このアジトの中心に向かっているのかしら?
だとしたらなんだかうれしい。
もしかしたら首領様にお目通りがかなうのかも。
楽しみだわ。

突き当りにある重々しい両開きのドア。
おそらくここがアジトの中心ね。
ドアの中心にはやっぱり赤と青のスイッチがある。
もちろんこれはどちらかを選んで押せというもの。
そしてその選択肢は?

「お前はダアルドに心からの忠誠を誓うか? ・・・ね」
“はい。忠誠を誓います”
“いいえ。忠誠を誓いません”
そんなの決まっているじゃない。
「はい! 私はダアルドに忠誠を誓います!」
私はそう答え、赤いスイッチを押す。
両開きのドアがゆっくりと開き、私を中へと招き入れる。
私は喜びを感じながら室内へと入る。
この部屋に入れるのはダアルドに選ばれた者のみ。
私は選ばれたのよ。
なんて嬉しいのかしら・・・

広い室内。
奥にはモニターがあるだけ。
私はそのモニターの前に進み出てひざまずく。
するとモニターが点灯し、揺らめく影が映し出される。
『よく来た。心歪められし者よ』
偉大なる首領様の声。
心を歪められた?
どういうことだろう?
私の心は歪んでなど・・・
だが、首領様の言葉に異議をさしはさむなど許されない。
『お前はこれより、我がダアルドの女戦闘員。ダアルドのために働くのだ。よいな』
「ハッ! 私はダアルドの女戦闘員。首領様に心からの忠誠を誓います。どうぞ何なりとご命令を」
私は首領様の言葉に答え、右手を胸にあてて頭を下げる。
首領様のご命令なら何でも致します。

『早速お前に命令を下す。お前はこれよりADATの一員に成りすまし、奴らの基地に潜入せよ。そして、我が命に従い、奴らを内部から破滅させるのだ』
「かしこまりました、首領様。これより私はADATのメンバーに成りすまし、奴らの基地に潜入してご指示を待ちます。ダアルドの女戦闘員である私にお任せくださいませ」
『うむ。期待しておるぞ』
「ハハッ!」
首領様の命令を聞いて私は身震いするほどの喜びを感じる。
奴らの基地に潜入するなど、なんと素晴らしい任務だろう。
必ずやご期待に沿えなくては。
うふふふふ・・・
首領さまに歯向かう連中など皆殺しにしてあげるわ。

私は一礼して立ち上がると、首領様の元を後にする。
さあ、任務を完遂しなくては。
私はゾクゾクするほどの興奮を胸にADATの基地へと向かうのだった。

END

以上です。
いかがでしたでしょうか?
よろしければコメント等感想をお寄せいただけましたらうれしいです。

これにて戦闘員の日週間は終了です。
また来年をお楽しみに。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2019/10/17(木) 21:00:00|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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彼女は女戦闘員(後)

台風19号は大変な状況のようなので、どうか皆様充分ご注意くださいませ。

こんな時になんなんですが、昨日の前編に続き、「彼女は女戦闘員」の後編を投下したいと思います。
台風で大変だとは思いますが、読むことができる方には読んでいただいて、少しでも楽しんでいただければと思います。
気分転換の糧にしていただけましたら幸いです。

それではどうぞ。



「あー、ねみーー」
俺は大きなあくびをしながら学校に行く。
ここ二日ほど夜更かしというか、ほとんど徹夜みたいなこともやっているしな。
眠くて当たり前ではあるんだが・・・
今日も午後の授業を捨ててどっかで寝ていようかなぁ・・・

「おはようございます、怪人様」
聴き慣れてきた鈴の音のような軽やかな声。
だが、少し沈んだ感じ?
玄関の靴箱のところで上靴に履き替えていた俺は、思わず声の方を向く。
「鴇沢さん? まさか俺を待ってたの?」
そこにはなぜか不安そうな表情でうつむき加減で俺を見上げている彼女の姿が。
待ってたのという俺の問いにコクコクとうなずいている。
なんと言うか、この小動物っぽいところもかわいいんだよなぁ。
彼女自身が小柄だから余計にそうなんだろうなぁ。

「何かあった?」
上靴に履き替えた俺は、彼女を片隅へと連れていく。
なんにしてもあんまり目立ちたくはないからな。
「あの・・・昨晩私が着替え終わる前に急に帰られてしまったので・・・何か怪人様のご気分を損ねるようなことをしてしまったのかと・・・」
鴇沢さんがうつむきながらそう言ってくる。
あー・・・
俺が昨夜さっさと帰っちゃったからか。
もしかして彼女はそれが自分のせいだと思っている?
いや、まあ、確かに彼女のせいとは言えないこともないけどさぁ・・・
帰ってから急いで布団に入って二回もしちゃったからなぁ・・・
うう・・・
まさかクラスメートの女子をオカズにあれをしちゃうことになるなんて思いもしなかったけど・・・

「怪人様?」
俺が返事をしないからか、不安そうな目で俺を見ている彼女。
「あ、いや、違う違う。単に俺が早く帰って寝ようと思っただけなんだ。鴇沢さんが悪いなんてことは一つもないから安心して」
俺は両手を振ってそんなことはないと身振りで示す。
彼女はホッとしたような表情を浮かべ、ちょっとだけ左右を確認した。
「鴇沢・・・ですか?」
「あ・・・」
俺も思わず左右を確認し、玄関にいる連中がこっちを見ていないことを確かめる。
「お前のせいじゃないから安心しろ、64号」
「よかった。ありがとうございます、怪人様」
彼女の表情がぱあっと明るくなり、ぺこりと頭を下げてくる。
何がありがとうなのかはよくわからんが、とりあえず誤解は解けたようだ。
「それじゃ私は教室に行きます。あ、カバンをお持ちしましょうか?」
「あ、いや、いいよ。俺もすぐ行くから」
「はい。それでは失礼して先に教室に行ってます、怪人様」
やはりテテテテという感じで走り去る64号。
さっきまでとは打って変わって弾むような感じだ。
ホントかわいいなぁ。
たまらんなぁ。

「怪人様」
上靴に履き替えたあとそのままにしちゃっていた外靴を靴箱に入れようとしていた俺は、背後から声をかけられ心臓が飛び上がるほどびっくりする。
彼女とは違う女性の声が俺をそう呼んだのだ。
「はいぃぃ?」
振り返ると、そこにはなんだか冷たい目で腕組みをしながら俺を見つめてくる関畑(せきはた)先生が立っていた。
音楽担当の先生で、美人と評判の先生だけど、まさか今の彼女との会話を聞かれていたのかな?

「怪人様ねぇ」
ボソッとつぶやくように言う関畑先生。
「な、なんですかそれ?」
「今の子、あなたのことをそう呼んでいたようだったから、なんなのかなーと」
まるで射抜くような目で関畑先生が俺を見る。
美人って、こういう目をすると結構怖いものだな・・・
「き、聞き間違いでは? そんなこと言ってましたっけ?」
俺はなんとかとぼけてみる。
「ふふ・・・どうだったかしらね。ほら、さっさと行かないと一時間目が始まるわよ」
ぺろりと舌で唇を舐め、俺の前から去っていく関畑先生。
なんなんだいったい?
遅刻の取り締まりでもやっていたのかな?
それにしてもなんだか迫力があったなぁ。
美人は怒らせるものじゃないな。

                   ******

さてと、午前の授業も終わってお昼だお昼だ。
それにしても午前中は眠かったなー。
というか寝てたなー。
おかげで何回か注意されたけど、眠いものは仕方ないよな。
うん。

ということで俺は購買に昼飯を買いに行く。
母さんが今日は寝過ごしたからって弁当を作ってくれなかったのだ。
千円札一枚よこして、これで昼は済ませなさいってか。
やれやれだ。
こんな時マンガだと彼女がお弁当を作って・・・
鴇沢さん・・・いや、女戦闘員64号がお弁当を作ってくれて・・・怪人様どうぞ、あーん・・・なんて・・・
そういう展開があったりするといいのになぁ。
はあ・・・
まあ、さすがにそこまでは無理か。

「怪人様」
「はわぁっ!」
購買でお昼を買って戻ってきた俺は、またしても背中から声をかけられる。
「と、鴇沢さ・・・いや、64号。驚かせるなよ」
「す、すみません」
慌てて頭を下げる彼女。
いや、そこまでしなくてもいいよ。
「どうした? 何かあったか?」
「あ、いえ・・・その・・・怪人様さえよろしければ、お昼をご一緒させていただけないかと・・・」
「は? へ? 俺と?」
「はい・・・」
手に小さなお弁当箱を持って上目遣いで俺を見る彼女。
ダメですってば!
かわいすぎるだろ!

「も、もちろんいいけど」
というかぜひ!
「よかった。それじゃこちらへ」
途端に彼女は笑顔になり、俺を案内するように先に立つ。
どこへ行くのだろう?
まあ、さすがに教室で一緒にというのは気恥ずかしいから、二人きりになれるところならどこでもいいけど。
二人きり?
二人きりかぁ・・・
ひゃっほーい!

「どうぞ」
「あ、うん」
彼女に連れてこられたのは三階の音楽室だった。
もちろん昼休みなので今は誰もいない。
二人きりになるにはいい場所かもしれないが・・・
「いつもここで?」
「はい。ここならほとんど邪魔は入りませんので」
そう言って彼女は席に着く。
「ふーん・・・」
俺も彼女の隣に座らせてもらい、購買で買ってきたものを出していく。
「怪人様はお弁当とかではないのですか?」
「ああ、今日は母が寝坊したとかで作ってくれなかったんだ。いつもは弁当だったりするんだけど」
まあ、うちの母の場合、寝坊することがわりと多かったりもするがな。
「そうなのですか? あの、ご自身でお作りになったりとかは?」
彼女もお弁当を用意して食べ始める。
彩りもきれいで美味しそうなお弁当だなぁ。
「無理無理。さすがに弁当は作らないよ」
俺は首を振る。
そりゃあ、たまに焼きそばとかチャーハンぐらいなら作ったりするけどさ。

「そうなのですか。さすが怪人様です」
なぜか目を輝かせて俺を見る彼女。
「へ? なんで?」
「擬態を完ぺきにこなすためとはいえ、下等な人間どもを親として扱い、自分の食べるものをそのような連中に任せるなど、尋常な覚悟ではありません。素晴らしいと思います」
「はいぃぃ?」
なんですかそれ?
「申し訳ありません。私にはまだそこまでの覚悟ができず、あの人間どもに私の口に入るものを作らせる気にはなりませんです。なので、朝は特別ドリンクを飲み、昼は自分でお弁当を用意し、夜はバイト先で食べると言ってアジトで食べていますです」
あ・・・
そういうことか・・・
悪の組織の女戦闘員として、敵である下等な人間が作る食事など何が入れられているかわからないと思っているんだ・・・
そういうことなのか・・・

「ですので、さすが怪人様は心構えが違うなぁと思わせられます。すごいです」
眼鏡の奥の彼女の目がキラキラしている。
いや、そんなすごくはまったくないと思うぞ。
そんなふうな目で見られてもこっちが困惑してしまう。
「いやいや、そんなことはないぞ。むしろお弁当を自分で作る方がすごい」
お弁当を作るなど、朝は結構大変だろうに・・・
「そうでもないです。材料はあの連中に用意させてますし。あの連中に財力を使わせるのもトテンコプの一員として当然のことですから。うふふふ・・・」
冷たい笑みを浮かべる彼女。
ああ・・・なるほど・・・女戦闘員というのはそういうふうに考えるものなのか・・・
普段は見せないような彼女の表情。
俺はそこになんだかゾクゾクするものを感じてしまう。
これが悪の魅力というものなのだろうか・・・
でも・・・
このままでいいのかなぁ・・・

「どうかしましたか、怪人様?」
俺が何となく彼女を見つめていたのに気が付いたらしい。
「あ、いや・・・そういえば任務って結構ヤバいのか? 誰かを殺すとか、どこか破壊するとか・・・」
もしかして・・・彼女もそんなことをしているのだろうか・・・
そういえば最初の時は彼女は俺を殺そうとしていたんだったっけ・・・
「いいえ、私はまだ新入りですから、それほど大変では。クモ女様の退路確保のために警備員の始末をしておくとか、追ってこられないように車に細工を仕込んでおくとかそのくらいですから」
いやいや、それは充分ヤバいって・・・
でも、そんなことを当たり前のようにやっちゃうのか・・・
やっぱり悪の組織の女戦闘員というのは、そうじゃなきゃ務まらないんだろうなぁ・・・
どうしたものかなぁ・・・

そうだ・・・
彼女を少しずつ普通の生活に戻していけばどうだろう。
擬態を完璧にするために日常を増やせ、みたいな感じで。
そうしてできるだけ任務から遠ざけてみて。
そうしていつかは・・・

「あの・・・あのさ」
「はい、なんでしょうか?」
「週末は任務入ったりしてる?」
「週末ですか? 今のところは入っていないと思います。クモ女様からも何も言われておりませんし」
少し首をかしげて考え込みながら、そう返事する彼女。
「だったら、どこか遊びに行くか、映画でも見に行かない?」
うあー!
誘ってしまっているよ・・・
胸がドキドキするー・・・
「遊びに・・・ですか? 怪人様と・・・ですか? 私で・・・よろしいのですか?」
なんだか目を丸くしている彼女。
よろしいんです。
君だからいいんです。
俺はコクコクとうなずく。
「はい、喜んで! うれしいです。でも、本当に私のような新人の女戦闘員でもよろしいのですか? 遊びにとおっしゃってますけど、何か極秘任務とかだったりするのではないのですか? だとすれば、私では怪人様の足手まといになるのではないかと・・・」
今度は俺がブンブンと首を振る。
「いやいやいやいや、足手まといなんかじゃないから。えーと、ほら、新人だからこそ、人間たちの中に紛れ込む擬態をもっと完璧にこなす練習をしなきゃならないだろ? 俺と一緒にその練習をしないか?」
あー・・・
くそっ!
結局怪人である俺からの命令ってことにしてるじゃん。
でも、これで彼女が誘いに乗ってくれるなら・・・
それでもいいか・・・

「あっ、確かに怪人様のおっしゃる通りです。私、家でも学校でも人間たちを見るとなんだかイライラしちゃって・・・早く世界が首領様の治める世界になってほしいとばかり・・・でも、それじゃ私が女戦闘員だということがバレてしまう可能性があるということなんですよね」
うんうんと自分で納得してうなずいている彼女。
うん、まあ、それでいいよ。
「だからごく普通の高校生同士として遊びに行くことで、擬態もよりうまくできるようになるんじゃないかなぁ」
「はい、わかりました怪人様。週末はよろしくお願いいたします。ヒャイーッ!」
突然立ち上がって奇声を上げ、右手を胸に当てる彼女。
「わぁ、だからそれがまずいってば」
「あっ、し、失礼いたしました」
思わず真っ赤になってしまう彼女に、俺は苦笑いを浮かべるのだった。

                   ******

やっほーい!
デートだデートだデートだ!
初めてのデートだー!
なんだか無理やりぽくなってしまったかもしれないけど、それはそれだ。
どこに行こうか?
何をしようか?
こりゃ午後の授業なんて受けてられないよ。

俺は午後の授業をすべて放り出すと、先日のように用具室で昼寝する。
授業なんてくそくらえだ。
そういえば、ここで昼寝して寝過ごしたから彼女とこうして話せるようになったんだったなぁ。
もっと仲良くなれるといいなぁ。
そして・・・いつでもあの女戦闘員の格好で、あん・・・怪人様ぁ、そこはダメですぅとか言って・・・
むふふふ・・・
あ、やべ・・・
勃ってきちゃった・・・

                   ******

「よっ・・・と」
俺は周囲に誰もいないのを確認し、校門をよじ登る。
ここ数日ですっかり慣れた深夜の学校。
さて、今日は彼女はもう戻ってきているかな?

昼寝で睡眠を補充した俺は、放課後になると一目散に家に帰り、手当たり次第に雑誌やネットを調べて彼女が喜びそうなデートプランを立ててきた。
幸い先日封切られた話題の超大作映画があるので、まずはそれを見ることがメインのA案と、ちょっと足を延ばして遊園地に遊びに行くことをメインとするB案の両方を用意し、彼女に選んでもらおうと思うのだ。
プランの確認だけならもちろん明日学校で聞けばいいだけなのだけど、やはり彼女の女戦闘員姿も見たい。
だから、今夜も学校にやってきたというわけだ。
さて・・・

俺はいつものように玄関のドアを確かめ、開いているのを確認する。
どうやら彼女は戻ってきているみたいだな。
ということは、急がないと着替えられてしまうかも。
俺は急いで教室へと階段を駆け上がる。
彼女の女戦闘員姿が見られなくなっちゃう。

「えっ?」
俺は驚いて足を止める。
廊下に誰かいるのだ。
すらりとした細身の女性で、タイトスカートを穿いているよう。
一瞬彼女かとも思ったけど、当然にシルエットが違う。
こんな夜中にいったい誰が?

「うふふふ・・・やっぱり来たのね。怪人君」
人影が一歩踏み出したことで、窓から差し込む外の明かりがその姿を照らし出す。
「関畑先生・・・」
そこには音楽の関畑先生が立っていたのだ。
「うふふふ・・・首領様もお人が悪いわぁ。この地区を担当する私にも一言も言わずに、単独行動の怪人を派遣するなんて」
妖しい笑みを浮かべながらゆっくりと近づいてくる関畑先生。
「えっ?」
首領様?
ま、まさか・・・
関畑先生も?

「うふふふふ・・・」
関畑先生は足を止めると、俺を見ながら、ゆっくりと着ている服の胸のボタンを外し始める。
えっ?
何を?
ボタンを外した上着を脱ぎ捨て、腰のホックを外してスカートも足元に落とす。
黒いパンストに包まれた脚がむき出しになる。
「な、ななな?」
俺が慌てるのをよそに、先生はブラウスのボタンも外しゆっくりと脱いでいく。
そして上靴を脱ぎ捨てると、脚に穿いていたパンストも脱ぎ捨てる。
黒いブラジャーとパンティだけになった先生の姿は息をのむほど美しかったが、先生はそのブラジャーとパンティまでも脱いでしまう。
そして片手の甲を軽く腰に当て、その裸体を見せつけるように軽くポーズをとっていた。

「ふふふ・・・そろそろ擬態はやめにしたら? 私も擬態を解除するわ」
「えっ?」
擬態・・・ですと?
先生の裸体がじょじょに変化し始める。
黒い毛が躰を覆い始め、頭にも変化が現れる。
脚や腕には赤いラインが現れ、指先には鋭い爪が伸びていく。
頭頂部には二本の角のようなものが生え、目は黒く丸い目に変わっていき、額にも小さな目が現れる。
お尻には大きなふくらみができ、脇からは細い足が二本ずつ生えてくる。
口元だけは人間のままだけど、それはまるでクモと女性が融合したかのような姿だった。

「嘘・・・でしょ?」
「あら、嘘じゃないわよ。関畑綾芽(あやめ)は仮の姿。本当の私はトテンコプの女怪人クモ女なの。64号が言っていたでしょ?」
そう言って自らの姿を見せつけるようにくるっと回って見せる先生。
彼女の言っていたクモ女様って・・・関畑先生のことだったのかよ・・・
「さ、私も正体を見せたのだから、君も正体を見せたらどう、怪人君? もっとも、無理だと思うけど。うふふふふ」
大きな黒い目が二つと額の小さな目が俺を冷たく見つめてくる。
人間のままの口元にはかすかな笑み。
まるで獲物を見つめるようだ。
俺が怪人なんかじゃないことは、はなからわかっているらしい。

「いや・・・俺はそう簡単に正体を現せるもんじゃないんでね。首領様の命令があれば別だが」
うう・・・
ここは何とか時間を稼いで、隙を見て逃げ出すしか・・・
「あら、言うわね。あっさりと降参するかと思ったのに」
ちょっと意外そうな先生の声。
いや、降参したって殺しますオーラみたいなものが先生から出ているんですけど。
「先生がクモ女だっていうのは、俺も聞かされてなかったぜ。首領様は俺にも内緒だったらしい」
「うふふふ・・・結構頑張って芝居するわね。でも・・・」
「ガッ!」
気が付くと、俺の首には白い荷造りひものような太さの糸が絡んでいた。
嘘だろ・・・
糸を飛ばすところなんて見えなかったぞ・・・

「ぐわぁっ」
先生はとんとジャンプすると、そのまま廊下の天井に貼り付いて俺の真上まで這ってくる。
そしてそのまま糸を引き上げて俺の首を吊り上げ始めたのだ。
こ、殺す気だ・・・
つまり、俺が何を言おうと殺すつもりなんだ。
「さあ、白状なさい。俺は怪人なんかじゃありません、ただの下等な人間ですって。正直に言えば苦しまずに一瞬で殺してあげるから」
天井から俺を見下ろしてニヤッと笑う先生。
く・・・くそっ・・・
なんとか・・・なんとか・・・

「ほら、いつまでも強情張ってないで、さっさと白状しなさい。そうじゃないとじわじわとなぶり殺しよ」
「い、今なら・・・ま、まだ見逃してやる・・・俺を殺せば・・・首領様・・・から・・・怒られる・・・ぞ」
ええい、ハッタリだけど通じてくれー。
「バカなことを。お前のことはすでに首領様に確認済みなの。その程度のことしていないとでも思ったの?」
ぐえーっ!
く・・・苦しい・・・
息が・・・
「ほら、苦しみたくなければさっさと俺は怪人じゃありませんって言いなさい!」
「俺は・・・」
俺は・・・
俺は・・・
俺は・・・
「俺は怪人だー!!」
ちくしょう!
俺は何を言っているんだよー。
くそーっ!

急に躰が自由になる。
首への圧迫がなくなり、俺は廊下に倒れ込む。
「はあ・・・はあ・・・」
ど、どうして?
俺は喉を押さえてとにかく息を吸う。
いったい?

「ふう・・・強情ねぇ。とっくにわかっているんだから素直にごめんなさいすればいいのに」
床に降り立った先生というかクモ女が腰に手を当てて俺を見下ろしている。
「げほっ・・・げほっ・・・だ、だって・・・」
「だって?」
「俺が怪人じゃないと・・・彼女が・・・64号が俺を殺さなきゃならなくなっちゃう・・・」
「は? 64号が?」
俺はうなずく。
そうだよ。
俺が怪人じゃなければ、彼女は俺を殺さなきゃならなくなる。
彼女にそんなことはさせられない!

「ぷっ・・・あははははは」
お腹を抱えて笑い出すクモ女。
笑うなよー。
俺だって変だって思うさ。
彼女が知る前にあんたが俺を殺すんだろうし。
でも・・・
でも・・・
俺は64号に俺自身から怪人じゃないと伝えるまでは、怪人だということにしたいんだ!

「バカねぇ。64号じゃなくて私が殺すんだけど」
ゆっくりと近寄ってくるクモ女。
「それでもだ。俺が怪人じゃないとなれば、64号は俺を殺さなかったことでミスを犯したことになっちゃう。そうなれば組織が彼女を許さないんじゃないのか?」
少なくともテレビの悪の組織はそうだった。
どっちにしても、俺が怪人じゃないと言えば64号が苦しむことになる。
そんなこと・・・させられるもんか!

「なるほどね。いいわ。そんなに怪人だと主張したいのなら、君、怪人になりなさい」
「は、はい?」
なんですか、それ?
俺を怪人に?
怪人になれと?
「怪人になりなさい。そして堂々と64号と怪人として付き合えばいいのよ。うん。それがいいわ」
「待って! 先生待って!」
「うふふふ・・・先生じゃないでしょ。クモ女よ。よろしくね、怪人君」
ニヤッと笑みを浮かべるクモ女。
あー・・・
これはもう・・・
俺に選択の余地はなさそうだ・・・

                   ******

「キシュシュシュシュシュ」
俺の溶解液で金庫の扉が溶けていく。
こんな鉄の扉など、俺の溶解液にかかればひとたまりもない。
俺はもろくなった扉を簡単に開け、中の機密書類を手に入れる。
これで任務は達成だ。
容易いものだぜ。
警備員がいると言ったところで、しょせんは人間だしな。
俺や女戦闘員にかなうはずもないのだ。

「64号」
「ヒャイーッ!」
俺は背後に付き従う女戦闘員を呼び、彼女の持っているカバンに書類を入れていく。
付いてきているのは彼女一人だけだが、こんな任務にはそれで充分だ。
「キシュシュシュ。よし、引き上げるぞ」
「ヒャイーッ! かしこまりました、ムカデ男様」
女戦闘員が右手を胸に当て、敬礼する。
そのまま俺は彼女を連れてその場を後にする。
キシュシュシュシュ・・・
俺の動きに遅れないように必死についてくる女戦闘員。
よしよし、しっかりと俺に付いてきているな。
かわいいやつ。

                   ******

「ひゃっ! あん・・・ムカデ男様ぁ・・・ダメぇ・・・ダメですぅ! ひゃあん」
任務を終えた俺は家に女戦闘員64号を連れ込むと、ベッドの上で彼女の躰を抱きしめてその感触を味わっていく。
64号はくすぐったいのかそれとも恥ずかしいのか、ダメダメ言っているが、それでも俺の抱擁に身を任せている
キシュシュシュシュ・・・
まったくかわいいやつだ。
女戦闘員の躰はたまらんぜ。
あー、柔らかいなぁ。
俺は爪で女戦闘員の躰に傷を付けてしまわないように気を付けながら、その躰を愛撫する。
もちろん両脇に生えている歩肢を使うことも忘れない。
何本もある俺の歩肢がワサワサと彼女の躰を撫でるのだ。
その柔らかい躰とすべすべの衣装。
女戦闘員のすばらしさがそこにある。
キシュシュシュシュ・・・

あの日、俺はクモ女に拉致されるようにしてトテンコプのアジトへと連れていかれ、そこで怪人化の処置を受けた。
俺のモチーフにはムカデが選ばれ、俺はトテンコプの怪人ムカデ男として生まれ変わったのだ。
茶褐色の硬い外皮が俺の躰を覆い、鋭い爪は鉄の板さえ貫く。
口からは溶解液を吐くこともできるが、クモ女と同じく口元だけは人間のままの見た目を保持している。
これは言葉をしゃべるうえで都合がいいかららしい。
怪人と言えどもコミュニケーションは言葉で行うということだ。
もっとも、おかげでこうして女戦闘員のマスク越しにキスをすることもできるのだがな。
それにしても便利な躰だ。
天井を這うことも狭い隙間に入ることも簡単にできる。
人間を始末するなど容易いこと。
俺の両親にも遠くへ“旅行”に行ってもらったことで、こうして好き勝手に女戦闘員を連れ込めるというわけさ。
まったく怪人というのは最高だぜ。

「ん・・・んん・・・ぷあ・・・ああ・・・ムカデ男様」
キスを終え、マスクの奥の目がうっとりと俺を見上げてくる。
ベッドの上で俺に躰をもてあそばれているというのに、かわいいやつだ。
怪人になった俺にとって、最初はあの戦闘員スーツさえ着ていれば女戦闘員など誰でもいいようにも思ったものだったが、やはり64号は特別だ。
本来クモ女配下だった彼女を俺は譲り受け、今では俺専用の女戦闘員となっている。
その証拠に彼女の胸のマークも赤いムカデに変わっている。
誰のものでもない俺専用の女戦闘員だ。
「キシュシュシュシュ・・・そうだな?」
「えっ?」
「お前は俺専用の女戦闘員だと言ったんだ」
「あ・・・はい。私はムカデ男様専用の女戦闘員です」
うるんだ目で俺を見る64号。
学校では今まで通り擬態を続けてはいるものの、夜はこうして俺の家で楽しむことが当たり前になっている。
着替えも俺の家でするようにさせているので、夜の学校にわざわざ行く必要はない。
そのうち64号に両親を始末させ、俺の家にずっといるようにさせるのもいいかもしれない。
そうなればもっとこの躰を楽しむこともできるというもの。
まあ、おかげでクモ女あたりに任務をおろそかにしないでねと釘を刺されたりするのだが、かまうものか。
俺の好き勝手にさせてもらうさ。

「あ・・・ダメです」
俺は爪で64号の戦闘員スーツの股間部分に切れ目を入れる。
スーツなどまた用意してやればいい。
俺は股間のモノを外皮の隙間から覗かせると、屹立したそれを彼女の内膣へと突き立てていく。
「ひゃ、ひゃん! あ・・・」
躰を震わせ、喜んで俺のモノを下の口で飲み込んでいく64号。
さて、楽しい夜はこれからだ。
たっぷりと楽しませてもらおうか。
俺は64号の上でゆっくりと腰を振り始めるのだった。

END


以上です。
いかがでしたでしょうか?
よろしければ、コメントなど感想をいただければ嬉しいです。

それではまた次作をお楽しみに。
ではではー。
  1. 2019/10/12(土) 21:00:00|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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彼女は女戦闘員(前)

昨日、10月10日は千十(せんとお)で「(特撮系)戦闘員の日」ということで、女戦闘員のSSを一本投下させていただきましたが、一本だけじゃちょっと寂しくありませんか?
ということで、10月10日から17日までは「(特撮系)戦闘員の日週間」と範囲を広げちゃいまして、今日と明日でSSを一本前後編で投下したいと思います。

今日はその前編です。
タイトルは「彼女は女戦闘員」です。
はい、タイトルそのままです。
ややラブコメっぽい仕上がりになっていると思います。
いつもとはちょっと違った話になっているとは思いますが、お楽しみいただけましたらうれしいです。

それではどうぞ。


彼女は女戦闘員

「嘘・・・だろ?」
俺は愕然とする。
時計を見たら夜中の1時。
なんでこんな時間まで俺は眠りこけていたんだ?
しかも学校の中で?
えええええ?

えーと、昨日は明け方までゲームしてました。
ほぼ徹夜で学校来ました。
午前中何とか授業を受けました。
お昼食べたらもう眠くてどうしようもないので、用具室で昼寝しようと思いました。
気が付くとこんな時間でした。
ってか?
やべぇ。
どうせなら朝まで目が覚めないほうがよかったんじゃね?

今から帰れるのかな?
玄関開いているのかな?
はあ・・・
まあ、とりあえず教室行ってカバン取ってこなきゃ。

俺はとりあえず用具室から出て教室へ向かう。
夜の学校ってシーンとして気味悪いなぁ。
電気点けてもいいのかなぁ?
外からの月明かりや街灯の明かりが入ってくるから、廊下が暗くて歩けないってわけじゃないけど・・・
とにかくさっさとカバン持って玄関行ってみるか。
鍵がかかってたらどうするかだなぁ・・・

「ひっ!」
「えっ?」
教室の扉を開けた俺は、予想外のものを見てしまう。
女子が一人、それも奇妙な格好をした女子が教室にいたのだ。
首から下がほとんど裸みたいに見える黒い全身タイツのようなものを着た女子が。
な、なんだぁ?

「い、いいいいい・・・」
「は?」
「いいいいいやぁぁぁぁぁぁぁ!」
「わあっ」
突然大声をあげる女子に、俺は思わずびっくりする。
彼女の方も俺を見た眼鏡の奥の目が驚愕に見開かれていた。
「みみみみみみみみ」
「な、なんだ?」
「見ーらーれーたぁぁぁぁぁ!」
いや、そりゃ見ちゃったけどさ・・・
「あああああああ、まずいまずいまずい、私が女戦闘員であることを見られたぁぁぁぁ!」
「へ?」
女戦闘員?
女戦闘員って、あれですか?
特撮とかに出てくる下っ端ですか?
彼女が?

って、よく見たら、彼女は同じクラスの鴇沢(ときざわ)さんじゃないか?
なんで彼女がこんな時間に教室にいるんだ?
しかもそんな躰のライン丸出しみたいな全身タイツを着て。
「鴇沢さん?」
「ああああああああ、私の名前まで知ってるぅぅぅぅぅぅ! 始末? 始末するしか? 始末するしかないぃぃぃぃ?」
えええ?
始末って?
始末ってドラマとかで言う殺すって意味か?
俺を殺すっていうこと?
マジですか?

ひゅっと音がして、俺の脇をナイフのようなものがかすめる。
マジなのかよぉ!
「ま、待て! 待って!」
俺は慌てて両手を前で振る。
「始末・・・始末しなくちゃ・・・私がトテンコプの女戦闘員だと知ったものは始末しなくちゃ・・・」
眼鏡の奥の目を血走らせ、俺を睨みつけるように向けてくる鴇沢さん。
まずい。
このままじゃ本当に殺されかねない。
どうしたら・・・

「待てって女戦闘員!」
ぴくっとなって動きが止まる鴇沢さん。
ダメもとで言ってみたけど、いやマジで彼女は本当に女戦闘員だっていうのか?
なんかの特撮の撮影かなんかじゃないのか?
でも、何とかこの場を切り抜けなきゃ。

「女戦闘員! お前の番号は?」
確かテレビでは戦闘員って番号とかで呼ばれていたりするよな。
彼女にも番号があるのかどうかはわからんけど、とにかく俺は番号を訊いてみる。
「ヒャ、ヒャイーッ! 私は女戦闘員64号です!」
いきなり気を付けをして右手を胸に当て、番号を言う鴇沢さん。
番号あるのかよー。
ど、どうしよう・・・
ここは合わせたほうがいいかなぁ・・・
ええい、ままよ!
「よし、ご苦労。警戒を解け。俺は敵じゃない」
「敵じゃ・・・ない?」
キョトンとする鴇沢さん。
眼鏡の奥の目が困惑している。
そりゃそうだよなぁ。
うーん・・・

「ああ、俺は敵じゃない。実は俺も組織の一員だ」
うう・・・そんなこと言って大丈夫か?
でも、ただの人間ですと言っても逃がしてもらえそうもないしなぁ。
何とかごまかして・・・
「組織の? 友倉(ともくら)君もトテンコプのメンバーなの?」
あ、よかった・・・俺のことは友倉圭太(けいた)ってわかってくれていたか。
「あ、ああ」
こうなりゃ何とか仲間だと思ってもらうしかないな。
「よかったぁ・・・私もうどうしようかと思って・・・」
そのままぺたんと床にへたり込んでしまう鴇沢さん。
ありゃ、彼女の方もかなり緊張していたのか。
それにしても目のやり場に困る・・・
完全に躰のライン丸出しの黒い全身タイツにブーツと手袋、それに怪しげな紋章のベルトですか。
まさに特撮の女戦闘員そのまんまじゃないですか。
まさかそんなのが実際にいるなんて・・・

「そ、それで友倉君も戦闘員なの?」
う・・・
戦闘員だと俺も同じような全身タイツを持っていないとやばいかな?
どうしよう・・・
「い、いや・・・俺は・・・俺は・・・俺は怪人だ!」
うう・・・
なんかどんどんドツボにはまっていっているような気がするのは気のせいか?
「か、怪人?」
鴇沢さんの目が丸くなる。
「し、失礼いたしました! ヒャイーッ!」
いきなり立ち上がって右手を胸に当て奇声を上げる鴇沢さん。
「わ、私、新入りなもので怪人様とは全く存じ上げず・・・その・・・ご無礼をお赦しください!」
目を潤ませて思い切り頭を下げる鴇沢さん。
うひゃー。
これはこの組織は相当に上下関係が厳しい感じ?

「だ、大丈夫だから。問題ないから。赦すから」
「ヒャイーッ! ありがとうございます、怪人様」
ホッとしたように表情が緩む彼女。
う・・・なんというかかわいい。
考えてみれば、鴇沢さんはクラスでも目立つ子じゃなかったから、今まで気にしたことなかったなぁ。
こうしてみると結構かわいいよなぁ。

「あ、いけない! 私ったら」
鴇沢さんが慌てたように机の上のカバンから何かを取り出す。
俺が何だろうと思っていると、彼女は眼鏡をはずしてそれを頭からかぶり、目だけが覗くようなマスク姿になる。
「ヒャイーッ! 正装もせずに失礼いたしました。あらためまして私は女戦闘員64号です。よろしくお願いします」
なるほど・・・そのマスクをかぶった姿が正しい女戦闘員の格好というわけね。
なんだかすごくエロくてたまらないんですけど。
うう・・・勃ってしまいそうだ・・・

「あ、ああ、こちらこそよろしくな」
俺はできるだけ冷静になろうとそう答える。
「あの、怪人様?」
「ん?」
「怪人様も任務を終えて学校に着替えに?」
あー、なるほど。
彼女は任務を終えてここで着替えていたのかー。
その途中で俺が入ってきてしまったと・・・
「あ、いや、俺は・・・」
「あ、そうですよね。怪人様は着替えるというよりも擬態ですもんね」
うはぁ・・・ということは、人間に擬態した怪人がこの世にいるってことかよ。
ヤバいだろ、それ・・・
「ま、まあな」
擬態なんかできませんけどね。
「すごいです。私今まで全く友倉様が怪人様だったなんてわかりませんでした」
両手を胸の前で組み合わせて何やら感動しているみたいですけど、俺自身自分が怪人だなんてそんなこと今の今までわかりませんでしたよ。

「そ、そっちこそ教室で着替えたりしていたのか?」
「はい。うちで着替えたりしたら親にバレちゃうかもしれませんから。そうしたら始末しなくちゃならなくなりますし」
う・・・そうだよなぁ。
もう俺もいまさら嘘でしたなんて言えないよぉ。
「じゃあ、親はえっと、64号でいいんだっけ? が女戦闘員だとは知らないわけだな?」
「もちろんです。知られないようにしています。組織のことを知られるわけにはいきませんから」
「そ、そうか・・・」
な、なんだろう・・・
なんか彼女の秘密を知ってしまったようなそうじゃないような・・・
うう・・・
それにしてもその格好は目の毒だよ。
彼女すごくエロい躰しているのなぁ・・・

「もしかして怪人様も?」
「あ、ああ、親に知られるわけにはな」
「怪人様もそうなんですね。うふふ」
「どうした?」
「あ、すみません。その気になれば人間など一捻りであるはずの怪人様が、親に隠れてトテンコプの任務に就いていらっしゃるかと思うと、何か親近感が湧いて・・・」
マスク越しでもわかる笑顔。
なんだよ。
かわいすぎるじゃないか、彼女。
「そりゃ、一応高校生のふりをしているからな」
「ですよね。私もまじめな女子高生を演じるように頑張ります」
「あ、ああ」
彼女が普段目立たないのは演技なのかな?
「ところで怪人様、怪人様は何モチーフの怪人様なのですか?」
「モチーフ?」
やべ・・・モチーフってなんだ?
「私が直接お仕えする怪人様はクモ女様なんです。だからほら、胸にクモのマークが」
ああ、胸のところの赤いマークはそれか。
確かにクモの形が胸に・・・
うう・・・
おっぱいがもろにそのままの形でタイツに浮き出ているよ・・・

「ああ・・・そ、それは・・・」
どうしよう・・・
下手なモチーフを言ってしまうとやばいかも・・・
「それは?」
「それは・・・新入りの女戦闘員などにはまだ教えられん」
「あっ、し、失礼いたしました。クラスメートだからついなれなれしく・・・申し訳ありません」
ぺこりと頭を下げ、見た目にもわかるほどに肩を落とす彼女。
「いやいや、気にするな。俺もクラスメートに仲間がいてうれしい」
「ありがとうございます。何かお役に立てることがありましたら、何なりとご命令ください」
「あ・・・ああ・・・」
俺が気にするなと言っただけで、ぱあっと明るい表情になる彼女。
「ま、まあ、それはともかく、さっさと着替えて帰らないとやばくないか?」
「あ、ヒャイーッ! すぐに着替えます」
彼女はすぐにマスクを脱ぎ、手袋を外して背中のファスナーを下ろし始める。
「わっ」
俺は慌てて教室の外へと飛び出した。

                   ******

結局俺は彼女が着替え終わるのを廊下で待つ。
月明かりに照らされた廊下。
これからどうしたものか・・・
それよりも、悪の組織だの女戦闘員だの何かの冗談じゃないのかとも思う。
まあ、彼女なら、冗談だったとしても最後まで付き合ってやってもいいかもしれないけどさ。

「お待たせしました、怪人様」
教室から制服に着替えた彼女が出てくる。
普段教室で見かける彼女だ。
女戦闘員だなんてホント何かの冗談としか思えない。
「どうぞ」
差し出される俺のカバン。
「あ、サンキュー」
そうそう、このカバンを取りに来たんだったっけ。
「怪人様もお帰りになられるのですか?」
廊下を歩く俺に付き従うように一歩下がって歩いてくる彼女。
「その怪人様っていうのはやめようよ。友倉でいいから。それに・・・隣を歩いてくれると嬉しいな」
「よろしいのですか? 怪人様の隣を女戦闘員の私が歩いても」
「いいから。それに怪人様はやめろって」
「かしこまりました、怪人様」
うはぁーーー!
人の話を聞けー!
でもなんだかゾクゾク来る。
女の子に様付けで呼ばれるなんて、それなんてエロゲですか?
たまりませんです。

「いや、だから友倉君でいいよ・・・」
惜しいけどな・・・
「かしこまりました、怪人様」
ダメだこりゃ。
まあ、おいおい直してもらえばいいのか・・・
とりあえず俺の言ったとおりに俺の隣を歩いてくれる鴇沢さん。
確か鴇沢澄恵(すみえ)さんだったな・・・
どうして彼女が女戦闘員になんてなったんだろう・・・

驚いたことに玄関は開いていた。
鴇沢さんが言うには、トテンコプが手を回してくれているらしい。
なので、彼女も着替えるのにここを使っているのだとか。
おいおい・・・
学校が悪の組織に利用されているのかよ。
日本は大丈夫なのか?

                   ******

「圭太! 起きなさい!」
俺は母さんの声で目を覚ます。
もう朝かぁ。
昨日は学校で夜中まで寝ていたけど、やっぱり朝は眠いよ。
そういえば結局あのあと俺たちは、普通にクラスメートが通学路で別れるようにして帰ったんだっけ。
家に帰ってきたら父さんも母さんも寝ちまっていたし・・・
息子が帰ってきてないのに心配じゃなかったのかよ。
そりゃ、時々友達のとこに遊びに行ったまま帰ってこないこともあるけどさ。
んで、結局俺は夕食を食べ損ねていたので、夜中に冷蔵庫をあさる羽目になったんだよな。

いつもと同じように支度をして学校に行く俺。
校舎を見てもなんだか昨晩のことがあったからか、少し違う雰囲気にも感じるな。
ここで鴇沢さんがあんな格好を・・・
彼女かわいかったなぁ・・・
あの女戦闘員の格好もう一回見られないかなぁ・・・

「おはよう」
俺はいつものように教室に入って席に着く。
「おはよう」
「おはよう」
これまたいつものようにクラスメートたちが俺に挨拶を返してくる。
全く何も変わらないいつもの光景。
そういえば、結局昨日はゲームやらずに寝ちゃったな。
まあ、あんなことがあったし・・・
脳裏に浮かぶ鴇沢さんの全身タイツ姿。
正直に白状すると、俺は布団に入っても全身タイツ姿の鴇沢さんのことが頭から離れず、しばらく寝られなかったんだよなぁ。

俺は席に座っている鴇沢さんの後姿に目を向ける。
もちろんいつもの制服姿で、髪は栗色のショートカット。
ここからは見えないが眼鏡をかけていて、まじめそうだけど、笑顔はとてもかわいい。
うん・・・
なんで俺は今まで彼女のかわいさに気が付かなかったんだろうな。
おとなしくて目立たなかったからかなぁ。

俺はもう一度彼女と何か話そうと、機会をうかがってみる。
残念ながら休み時間には無理だったものの、お昼休みに彼女が一人で教室を出ていくのに気が付いた。
これはチャンスだ。
俺はそう思い、彼女の後を追いかけてみる。
たぶんトイレか何かだと思うけど・・・

と思って廊下に出たものの、彼女の姿が見当たらない。
「あれ?」
しまった・・・
昼休みの廊下は行き来する生徒たちでいっぱいなのだ。
ちょっと目を離しただけで見失ってしまうには充分か。
うーん、残念。

仕方なく俺は自分のトイレを済ませると、適当に彼女を探しつつ教室へ戻る。
「まだ戻ってないか・・・」
入り口から彼女の席を確認すると、まだ席には戻っていない。
どこへ行ったんだろう・・・
「うわっ」
「キャッ」
突然背中にドンと誰かがぶつかってきた。
「わ、ごめん。俺が入り口で突っ立ってたから」
俺はすぐさまその場をよける。
「い、いえ、こちらも前をしっかりと・・・」
ぶつかったことに驚いた表情で俺を見る女子生徒。
眼鏡の奥の目がとてもかわいい。
って、あれ?
「鴇沢さん?」
ちょうど戻ってきて入り口にいた俺にぶつかったのか?
「か、怪人様?」
「わ、わ、わぁ! ちょっとこっちに来て」
俺はびっくりして鴇沢さんの手を引っ張るようにして連れていく。
背後が何かざわめいたようだが知ったことか!
そして渡り廊下につながる人気のないあたりまで二人で来る。

「あ、あの・・・怪人様?」
「わぁ、ごめん」
俺は慌てて手を離す。
夢中で鴇沢さんの手を引っ張ってきてしまった。
「いえ、問題ないです。それで私に何か?」
やや緊張した感じの鴇沢さん。
そりゃそうだよな。
いきなり引っ張ってこられたんだもん。
「あ、あの・・・」
「はい」
「その・・・」
「はい」
うー・・・なんで言葉が出てこないんだ?
「ほ、放課後・・・時間ある?」
「放課後ですか? はい。バイト行くまでの間は大丈夫ですが」
「じゃ、じゃあ・・・どっかなんか食いに行かない?」
「食べにですか? はい、喜んで」
やったー!
にっこり微笑んでくれる鴇沢さん。
その笑顔がとてもかわいい。
「ほ、ほんと? いいの?」
「もちろんです。何かの任務なのですよね? 怪人様のお手伝いができるのは光栄です」
あー・・・
そう来ましたかー・・・
まあね・・・
うん・・・
怪人の命令には逆らえないよね・・・
あーあ・・・

「あの・・・どうかなさいましたか、怪人様?」
「あ・・・いや」
えーい、くそ!
鴇沢さんと過ごせるならそれでもいいや!
ちくしょー!
なんでこんなもやもやするんだよ。
「それじゃ放課後に」
俺は彼女にそれだけ言って、そそくさと教室に戻る。
くそー!
俺は怪人なんかじゃねーぞ!

とは毒づいたものの、鴇沢さんと一緒にいられるというのはやっぱり楽しみなわけで、俺は午後の授業そっちのけで放課後を待つ。
クラスの連中に何か言われるのも面倒なので、俺は放課後になったらさっさと外に出て校門のところで彼女を待つ。
しばらくすると彼女が来てくれて、俺はホッとした。
もしかしたら来てくれないかもと思ったのだ。

「お待たせしました」
そう言ってぺこりと俺に頭を下げる彼女。
「いや、全然。来てくれてよかった」
「それは当然怪人様のご命令ですから来ますよぉ」
笑顔を浮かべる鴇沢さん。
う・・・素直に喜べないなぁ。

俺は手っ取り早く彼女を連れて近所のハンバーガーショップに行く。
そういえば彼女はこのあとバイトがあるとも言っていたし、店選びに時間をかけているわけにもいかないだろう。
「おごっていただいていいんですか?」
「いいよいいよ。遠慮なく」
ハンバーガー代くらいはいくらでも出すよということで、俺は二人分の会計を済ます。
その間に彼女は席を取っておいてくれたようだ。
俺は用意された二人分のハンバーガーセットを持って彼女のところに行く。

「それじゃいただきます」
ぺこりと俺に頭を下げ、ポテトを口に持っていく彼女。
ダメだー。
なんというか仕草の一つ一つがかわいい。
完全的に俺、彼女に参っている・・・
「どうかしましたか? あ、もしかしてまだ食べちゃいけませんでした?」
「いやいやいや、そんなことないから。どんどん食べていいから」
俺もハンバーガーにかぶりつく。
でも、味なんてわかんねぇよ。

「ところで、バイトって何やっているの? やっぱり悪の組織の?」
俺は話のきっかけにと思い、バイトのことを尋ねてみる。
「あ、ご存じなかったですか? バイトっていうのはあくまでも見せかけで、実際は訓練と待機時間になっているんです。バイトって言っておいた方が両親とかごまかせますし」
あー、なるほど。
「でもバイト代とか出ないと怪しまれない?」
「バイト代じゃなく任務の報酬はちゃんと出ますよ。バイト代よりもずっといいです。怪人様は出ないのですか?」
「あ・・・えー・・・いや、出るよ。出るけど女戦闘員はどうなのかなーと」
報酬が出る悪の組織なのかー。
「出ますよ。こうやって人間社会に紛れ込むためにもお金は必要と首領様もおっしゃってますし」
もぐもぐとハンバーガーを食べている鴇沢さん。
そりゃそうか。
戦闘員も怪人も人間社会で暮らすには金が要るか。

「いつも夜中に学校に?」
毎日あんな感じで夜中に学校にいるんじゃ、結局親に怪しまれるんじゃないか?
「いいえ。昨晩は練習でしたので。任務に向けてのクモ女様との連携の訓練のために」
「そうか・・・って、もしかしてうちの学校にほかにも怪人や戦闘員がいるのか?」
「えーと・・・言ってもいいのかな? クモ女様がいます」
「えええええ?」
ちょっと待て。
うちの学校に怪人がいるのかー?
「ご存じなかったのですか?」
「え、いや、ほら、俺は単独行動専門で別ルートからこっちに来ているからさ。まさか付近に仲間がいるとは思ってなかったんだ」
うう・・・どんどんドツボにはまっていく・・・
バレたらただじゃすまないかも・・・

「そうでしたか。もし、私でお役に立てるのでしたら、何でもご命令ください。クモ女様にもそうするように言われましたので」
「へ?」
「今日の昼休みに怪人様の件をクモ女様にご報告いたしました。クモ女様も近くに仲間がいるなんて聞いていなかったけどうれしいわ、そばにいて協力してあげてねと」
うはぁ・・・
そんな報告しちゃったんですかぁ?
もしかして俺って、かなりヤバくね?
これは正直に言った方がいいのかも・・・

「あ、あのさ・・・」
「はい、なんでしょうか?」
眼鏡の奥のくりくりした目が無邪気に俺を見つめてくる。
「その・・・もし・・・もし昨日あの場に入ってきたのが、怪人じゃなかったらどうしていた?」
「もちろん始末します。昨日は慌ててしまったのでナイフとか血しぶきが飛び散っちゃうような武器を使おうとしちゃいましたけど、次は落ち着いてロープなどで絞め殺そうと思います。あとで自殺に見せかければよいかと」
全く答えにためらいがない。
ダメだー・・・
俺、実は怪人じゃないんだ・・・なんて言おうものなら、“自殺”することになってしまう・・・
「そ、そうか」
「でもよかったです。昨日入ってきたのが怪人様で。そうじゃなかったら私、クモ女様に叱られてしまうところでした」
なんていう屈託のない笑顔。
俺が怪人じゃないとは全く疑っていないのか?
俺、怪人だという何の証拠も出していないんだぞ。

「そういえば、鴇沢さんはなんで女戦闘員なんかに?」
「はい? あ、私ですか?」
「うん」
そうだよ。
どうして彼女のような人が悪の組織の女戦闘員なんかやっているんだ?
「私は任務中のクモ女様を見てしまいまして。それで死ぬかトテンコプの一員となるか選びなさいと言われました」
「それで・・・」
「はい。死ぬのは嫌だったので、トテンコプの一員になりました。でも、おかげで女戦闘員として肉体の強化もしていただきましたし、理想の世界を作る首領様のお手伝いをすることもできるようになりました」
目を輝かせる鴇沢さん。
「じゃあ、女戦闘員になったことは後悔してない?」
「もちろんです。後悔なんてするはずがありません。私は女戦闘員であることに喜びを感じてます。怪人様にも鴇沢なんて言う人間名じゃなく女戦闘員64号って呼んでほしいです」
えええ・・・
いや、それはなぁ・・・
「64号・・・?」
俺は小声でそっと呼んでみる。
「はい! 怪人様!」
まるで子犬が喜んでいるみたいに明るい表情をする彼女。
ぐわー。
こんなに喜ばれたら、もうそう呼ぶしかないじゃん。
あああ・・・
もうダメだぁ・・・

「あっ、私そろそろアジトに行って待機しなくては。行ってもよろしいでしょうか?」
スマホで時間を確認する彼女。
「うん。いいよ」
本当はもっとお話ししたいところだったけど、仕方がない。
「ありがとうございます。それでは失礼します。ごちそうさまでした」
ぺこりと頭を下げる彼女。
「気を付けて、64号」
「ヒャイーッ! ありがとうございます、怪人様!」
突然立ち上がって右手を胸に当て奇声を発する鴇沢さん。
やべぇ!
周囲の人々が何事かとこっちを見る。
「あわわわ、し、失礼しましたぁ!」
俺は慌ててトレイとごみを片付け、急いで彼女を連れて店を出る。
ひー!
視線が痛いー!

「す、す、すみません。私、新米なもので怪人様に64号って呼んでもらえてすごくうれしくて、つい・・・」
しょぼんとしょげている鴇沢さん。
「いや、いいよ。俺もちょっとびっくりしたけど。まあせっかく擬態しているんだし、お互いできるだけ擬態しているときの名前で呼び合った方がいいかもな」
「はい・・・気を付けます」
「うん。気を付けてくれればそれでいいから。じゃ、俺はここで。また明日」
「はい。また明日よろしくお願いします。怪人様」
そういって頭を下げ、テテテテと走っていく彼女。
あーあ・・・
俺はどうしたらいいんだろう・・・

                   ******

「さすがに昨日の今日じゃ、いないかな?」
一度は布団に潜り込んだものの、結局眠れなかった俺は夜中の学校にやってくる。
校門は閉まっているようだし、誰かがいるような気配も・・・
窓からは非常口を示す緑色の明かりや、消火栓の位置を示す赤ランプの明かりが漏れているぐらい。
まあ、昨晩だって明かりは点けなかったから、いるとしたって明かりが点いているはずはないんだけど・・・

「あれ? もしかして怪人様ですか?」
「えっ?」
振り向いた俺の前には、全身を黒い全身タイツで覆い、目だけを出したマスクをかぶった女戦闘員が立っていた。
「と、鴇沢さ・・・いや、ろ、64号か?」
「ヒャイーッ! はい、私は女戦闘員64号です!」
ぴしっと背筋を伸ばして気を付けをし、右手を胸に当てる64号。
「わ、バカ! 大声を出すな!」
「あ、すみません」
慌てて自分の口をマスクの上から押さえている彼女。
「いや・・・大丈夫そうだ。任務・・・終わったのか?」
俺は周囲に何の反応もないのを確かめると、声を潜めてそう尋ねる。
学校の周囲が雑木林でよかったよ。

「ヒャイーッ! 任務と言いますか昨日と同じく訓練でした」
俺と同じように彼女も声を潜めて答える。
会えたのはうれしいけど、とりあえずここにいるのはまずいだろう。
学校の中に入った方がよさそうだ。
「今日も着替えに戻ってきたのか?」
「はい。制服が教室にありますので」
「じゃあ、行こう」
「はい、怪人様」
うなずいて俺のあとについてくる64号。
とはいうものの、校門は閉まっているしどうしたら・・・
「怪人様?」
どうしたものかときょろきょろしていた俺に、彼女が声をかけてくる。
「あ、ああ、校門がしまっているからどうしようかと・・・」
「あっ、失礼いたしました。怪人様は擬態していらっしゃったんでしたね。少々お待ちを」
彼女はそういうと、すぐにスススッと走ってジャンプする。
「何っ?」
驚いたことに、彼女は背丈以上の高さの校門をあっという間に飛び越えてしまったのだ。
そして校舎側に飛び降りると、すぐに校門を開けてくれる。
「すごいな・・・」
「お待たせしました。どうぞ」
「あ、ああ・・・」
俺は彼女が開けてくれた校門を通って敷地内に入り、そのまま校舎に入り込む。
やはりトテンコプとやらが玄関を開けておいてくれているのだろう。

俺たちは昨日とは逆に夜の廊下を教室に向けて歩いていく。
最初は俺の背後に付こうとした64号だったが、俺が隣を歩くように指示をする。
それにしても、彼女の着ている戦闘員の衣装は躰のラインがめちゃめちゃ強調されて、毎度目のやり場に困ってしまう・・・
並ぶと彼女の胸がドンとせり出しているのも一目瞭然だし・・・
「怪人様も任務だったのですか?」
「あ・・・いや・・・うん・・・」
本当は彼女に会いに来たんだけど・・・やっぱりそう言うのは照れ臭い。
「お疲れ様です。単独任務は大変ではありませんか?」
マスクをかぶった顔が俺の方を向いている。
不思議なもので、布が全部覆い隠しているのに、鼻や口の動きとかで、彼女の表情を感じ取れる。
「いや・・・まあ・・・大したことは・・・」
うう・・・
俺が本当はただの人間で、怪人なんかじゃないとバレたらどうなってしまうのだろう。

階段上って廊下を歩いて俺たちは教室の前に来る。
「それじゃ、すぐに着替えてきますので少々お待ちください」
そう言って教室に入ろうとする64号。
「あ・・・待って」
「はい?」
あ・・・
う・・・
彼女が俺の方を見ている。
うう・・・
「その・・・もう少し・・・」
「はい」
「もう少し・・・その恰好の64号を見て・・・いたいんだけど・・・」
ううう・・・
言ってしまった・・・
変態じゃん俺・・・
でも・・・
でも・・・
すごく魅力的なんだよ、その恰好・・・

「はい・・・いいですけど」
キョトンとしたまま窓から差し込む光の中に立っている64号。
美しい・・・
普段見る制服姿とは全く違う・・・
首から肩、そして脇から腰を通って足へと流れるライン。
括れた腰を強調するベルト。
たわわな胸に貼り付いたかのようなクモのマーク。
なんというかたまらない。
ヤバい・・・
あそこがヤバいことになってきた・・・

「も、もういいよ」
「あ、はい」
よくわからないという感じで首をかしげながら教室に入っていく64号。
ふう・・・
まずいよこれ・・・
俺完全に変態じゃん。
全身タイツ姿の女性にこんなに見惚れちゃうなんて・・・
ヤバすぎる・・・
それにズボンの中ではちきれそうになっているこっちもヤバい・・・

「ご、ごめん。俺先に帰るから。ごめん。また明日」
俺は教室の中で着替えている64号にそう声をかけ、返事も聞かずにその場を後にする。
これ以上ここにいたらどうなっちゃうかわからない。
ヤバいヤバいヤバい。
俺はとにかく一目散に家に帰ることだけを考えた。

                   ******

(続く)
  1. 2019/10/11(金) 21:00:00|
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脱出を試みる女たち

今日は10月10日です。
この数字にちなんで「目の愛護デー」ですとか「トートバッグの日」ですとか「トマトの日」なんて言う記念日もあるようですが、1010を千十(せんとお)と読ませて「銭湯の日」でもあったりするわけです。
で、1010を千十(せんとお)と読ませるのであれば、当然私などはごろ合わせで「(特撮系の)戦闘員の日」としたいわけでして、数年前から勝手にこの「戦闘員の日」を提唱させていただいておりました。

おかげさまで最近はこの10月10日は「(特撮系)戦闘員の日」というのも、それなりに知っていただけているようで、何人かの方々に賛同していただいたりしているようでありがたい限りです。
ということで、もちろん私も何か作品を上げないわけにもいきませんので、短編SSを一本投下いたしたいと思います。
タイトルは「脱出を試みる女たち」です。
楽しんでいただけましたら幸いです。

それではどうぞ。


脱出を試みる女たち

「ああ・・・ダメだわ。ここも見張られているみたい」
廊下の角から奥をそっと覗き込んだ古和(ふるわ)先生ががっかりとうなだれる。
「先生・・・」
「そんな・・・」
私はあきらめきれずに、先生と入れ替わるようにしてそっと角から覗いてみる。
ああ・・・そんな・・・
あの女たちが三人もいるなんて・・・

そこは普段使われることのない非常口の一つ。
何か災害があった時のために設けられている出入り口。
そんな非常口の前にも、あの女たちが三人も配置されているとは・・・
いったいあの人たちは何者なの?

目だけが覗く黒いマスクで頭を覆い、首から下も躰のラインがあらわになるレオタードのような衣装を身に着け、脚には網タイツを穿いている。
腰には大きなバックルの付いたベルトを嵌め、両手両足は黒い手袋とブーツを着け、背丈ほどもある棒を一本武器として持っているのだ。
女たちは全員同じ格好をしており、日本人なのか外国人なのかさえわからない。
一応は日本語をしゃべるようだけど、外国人だって日本語を上手にしゃべる人は大勢いるし。
わかっているのは、彼女たちが私たちをこの校舎に押し込め、どこにも出られないようにしているということと、デクダルンという国だか組織だかに属しているらしいということだけ。
いったいどういうことなのだろう・・・

「先生・・・」
「先生・・・」
美羅(みら)ちゃんも亜寿香(あすか)ちゃんも不安そうな顔で先生を見つめている。
でも・・・先生だってきっと不安に違いない。
どうしてこんなことになってしまったのだろう・・・
わからないことだらけだ。

私たちは林間学校で、今はそういう行事のための宿泊用となっているこの廃校舎にやってきた。
校舎の周りの林を散策したり、みんなで夕食を作って食べたり、校庭でみんなで遊んだり楽しい時間を過ごしていたのに、二日目の夜に突然あの女たちが現れて、私たちをこの校舎に閉じ込めてしまった。
逃げ出そうとした人は何人もいたけど、悲鳴が聞こえてそれっきり。
男子と女子は校舎の両端に分かれるようにさせられ、男子がどうしているのかはわからない。
もしかしたら・・・もう・・・
私は不吉な思いを振り払うように首を振る。
先に逃げた人たちが何人かは無事に逃げ出せているかもしれない。
もしかしたら助けが来るかもしれない。
でも、だからと言ってじっとしているわけにもいかないわ。
何とかここから逃げださなきゃ。

私は、古和先生が逃げ出せそうなところを見つけてくるというので、一緒についてきた。
ほかの人たちのように部屋でじっとしているなんてできないもの。
できるだけのことはしたいじゃない。
美羅ちゃんと亜寿香ちゃんも部屋でじっとしているのは嫌だと言ってついてきた。
何とかみんなで逃げ出せれば・・・

「でも、どうします先生? 玄関も裏口もあの人たちが見張ってますし、窓から逃げてもすぐに見つかってしまいます」
私は先生の決断を促す意味でもそう尋ねてみる。
実際に窓から逃げた男子もいたようだったが、すぐにあの女たちにつかまってしまったようだった。
だからこそ、この非常口は校舎の裏側にあたり、すぐに裏の林に逃げ込める。
できることならここから逃げ出すのが一番だろう。
でも・・・あの女の人たちに勝てるとは思えないし・・・

「私に考えがあるわ」
古和先生が立ち上がる。
「どうするのですか?」
「いつまでもここにいては危ないわ。こっちに来て」
先生が先に立って歩き始めたので、私も美羅ちゃん亜寿香ちゃんと一緒に後を追う。
やがて先生は元は物置か何かだったのかもしれない小部屋の中に入り、私たちもその後に続いた。

そこにはいくつか銀色に輝くトランクケースのようなものが並べられていた。
「これは?」
「朝に出口を探しているときに見つけたの。これを使えば何とかなるかも」
そういって先生がそのトランクケースの一つを開ける。
「えっ?」
「これって?」
私も亜寿香ちゃんも目を丸くする。
トランクケースの中には、あの女の人たちが着ていた黒い衣装が入っていたのだ。
黒いレオタードに網タイツ。
ブーツに手袋。
それに大きなバックルの付いたベルトと黒いマスク。
あの女の人たちが着ていた衣装一式が入っている。

「私がこれを着れば、奴らの仲間の一人と思わせられると思うの。それで私が何とか非常口を見張っている三人を別の場所に連れて行くから、あなたたち三人はその間に非常口から外へ出て裏の林に入り、街まで戻って警察に知らせてちょうだい」
先生がもう上着を脱ぎ始める。
「先生、危険です! もしバレたりしたら・・・」
「たぶん大丈夫。このマスクは目だけしか露出しないわ。だから着ているのが誰なのかなんてわからないと思う」
「でも・・・」
私も美羅ちゃんも亜寿香ちゃんも顔を見合わせるしかできない。
確かにマスクをかぶってしまえば誰が誰だかわからなくなるとは思うけど・・・

「これしかもう手はないわ。むしろあなたたちの方こそ気を付けるのよ。私は彼女たちが何の目的でこんなことをしているのか探ってみるわ」
スカートを脱ぎ、ブラウスも脱いでいく先生。
「先生・・・」
確かにこれしか方法はないのかもしれないけど・・・
「えーと・・・そろそろ後ろを向いててくれると助かるんだけど」
先生がにこっと笑みを見せる。
「あっ」
私たちは急いで先生に背を向けた。

「これを・・・んしょ・・・ん・・・次は・・・すごいすべすべ・・・気持ちいい・・・」
「先生?」
「あ、ごめん。なんだかこれすごく着心地がいいのよ。すごく躰にフィットする感じ。次はこれね・・・」
私の背後でごそごそと先生が着替えをしている。
あの女の人たちが着ていた衣装は、すごく躰のラインを強調するような衣装だった。
あんなの着たらとても恥ずかしい気がするけど、今はそれどころじゃないから、とにかく先生の格好を見ても気にしないようにしなきゃ。

「あ・・・ふ・・・はあ・・・ひゃ、ひゃん・・・ひゃいーーー!」
先生が突然大声を上げたので私はびっくりした。
「せ、先生? 大丈夫ですか?」
「先生?」
「先生? どうしたんですか?」
「・・・・・・何でもないわ。大丈夫よ」
落ち着いた声が返ってきて私はホッとする。
そして着替え終わったかどうか尋ねようとしたとき、先生は私たちの脇を通り抜けて自分から前に出てきた。
「さあ、行きましょう」
先生の格好はあの女の人たちと全く同じになっていた。
目だけが覗く黒いマスクをすっぽりと頭にかぶり、首から下は黒いレオタードを身に着け、脚には網タイツを穿いている。
腰にはベルトを嵌め、両手と両脚には手袋とブーツを着けていた。
唯一違うのは背丈ほどもある棒を持っていないだけで、なんというか雰囲気まで変わった感じがする。
制服の持つイメージのすごさだろうか。

私たちは先生の後について部屋を出る。
カツコツと先生の履いているブーツのヒールの音が響く。
「先生・・・足音が」
私が後ろから近寄って小声で声をかける。
足音が響いては気付かれてしまうのではないだろうか。
「大丈夫よ。心配ないわ」
すたすたと気にする様子もなく歩いていく先生。
もしかしたら、こそこそするほうがかえって怪しまれると考えているのかも。

私たちは先ほどの廊下の角まで来る。
ここを曲がればあの非常口だ。
先生はその先をちらっとだけ覗き、私たちの方を向く。
いつも冷静な先生の目がマスクの中から私たちを見つめていた。
「あなたたちはここにいなさい。いいわね」
いつもより威圧感のある先生の声に私たちはうなずき、姿勢を低くする。
そして先生が足音を響かせてあの女の人たちの方に行くのを、廊下の角からそっと覗き込む。

先生の予想通り、あの女の人たちは同じ衣装を着た先生が近づいても警戒する様子はない。
やがて先生は女たちのところに行くと、いきなり気を付けをして右手を斜めに上げた。
「ヒャイーッ! 私は偉大なるデクダルンの女戦闘員! 今日から皆様とともにデクダルンのために働きます」
えっ?
突然のことに私はびっくりする。
あれは先生がとっさに考えたことなの?
女戦闘員って何なの?

「ヒャイーッ! ご報告があります。あの廊下の角に脱走しようとしている女たちが三人います。すぐに取り押さえるべきかと」
右手を上げたまま私たちの方をちらっと見る先生。
う、うそでしょ・・・
そんな・・・

「ヒャイーッ! ご苦労! すぐに取り押さえよ!」
「ヒャイーッ!」
「ヒャイーッ!」
真ん中の女の命令に左右の女たちが右手を上げ、すぐに私たちの方へと走ってくる。
「逃げて!」
私は美羅ちゃんと亜寿香ちゃんにそう叫び、自分もとにかく走り出す。
うそでしょ・・・
先生が・・・
先生がそんな・・・

廊下を走って逃げる私たちの背後から女たちが追ってくる。
速い。
これじゃ追いつかれ・・・
「ガッ!」
突然全身に電気が走ったような衝撃を受ける。
思わずその場に倒れこむ私。
衝撃に気が遠くなりながらも見ると、女たちが持っている棒を美羅ちゃんや亜寿香ちゃんに向けていた。
「あ・・・う・・・」
ダメだ・・・声が出ない・・・
女たちの棒の先端から電気のようなものが走り、美羅ちゃんも亜寿香ちゃんも廊下に倒れこんでしまう。
「そ・・・な・・・」
「ヒャイーッ! 逃げられはしないわ。連れて行きなさい」
「ヒャイーッ!」
「ヒャイーッ!」
女たちが言葉を交わしあい、美羅ちゃんと亜寿香ちゃんを担ぎ上げる。
私は何とか逃げようとするけど、躰がしびれて動かない。
「あら、まだ意識があるのね。おとなしくしなさい」
私を抱え上げようと屈み込む黒いマスクの女。
その声に私は聞き覚えがあった。
「せ・・・せ・・・」
「ヒャイーッ! 私はもうお前たちの先生ではないわ。私は偉大なるデクダルンの女戦闘員。さあ、おとなしく来るのよ」
私の躰が抱え上げられ、私は意識を失った。

                   ******

「は、放してー!」
「た、助けてぇーーー!」
美羅ちゃんと亜寿香ちゃんの声がする・・・
いったい何があったの?
私はいったい?

私はゆっくりと目を開ける。
ここは?
私は夢でも見ていたの?
でも、そんな思いはすぐに吹き飛んでしまう。
私の前には、十字架に磔になったような美羅ちゃんと亜寿香ちゃんがいたのだ。
しかも、二人ともあの黒いレオタードや網タイツを穿いており、その躰のラインがむき出しになっているではないか。
あの女たちと違うのは、目だけが出る黒いマスクをかぶっていないだけなのだ。
「美羅ちゃん! 亜寿香ちゃん!」
「伊代美(いよみ)ちゃーん」
「伊代美ちゃーん」
泣きじゃくる二人が私の名前を呼んでいる。
すぐさま二人の元へ駆け寄ろうとした私だったが、気が付くと私の両手両足も彼女たちと同じように固定されていて、しかも私も同じようにレオタードや網タイツを身に着けていた。
「う、嘘・・・これは」
私も二人と同じ格好をしているなど全然気づかなかった。
いつの間にこんな格好をさせられたというのだろう。
ともかく私は何とか自由になろうともがくが、手足の固定はびくともしない。
どうしたらいいの?

「ヒャイーッ! 目が覚めたようね」
磔にされている私の隣にあの女たちの一人がやってくる。
ほかの女たちと違って、レオタードの首元に赤いV字型のラインが入っている。
もしかしたらリーダーなのかもしれない。
私が何も答えずにいると、美羅ちゃんと亜寿香ちゃんのところにも女たちが近寄っていく。
その手には何か黒い布のようなものを持っていた。
あれは何?

「その服の着心地はどう? 躰にフィットして気持ちいいでしょう?」
私は無言を貫く。
でも、彼女の言う通りだった。
この服は躰にフィットして着ていることを感じさせないぐらい。
まるで第二の皮膚であるかのような感じさえする。
私はともすればこの服に気持ちよさを感じるのを、必死の思いで否定した。

「うふふふ・・・残念なことにマスクの洗脳能力は、対象が意識を失っているとあまり効果を発揮しないの。だからあえてお前たちが目を覚ますまで待っていたというわけ」
マスクの・・・洗脳能力?
それじゃ先生は・・・
あのマスクをかぶってしまったから、この女たちの仲間になってしまったというの?

私が愕然としていると、もう一人の女がそばにやってくる。
「マスクを持ってきたようね」
「ヒャイーッ! こちらにお持ちしました」
それは目だけが出る頭をすっぽりと覆う黒いマスク。
そしてそれを持ってきた女の人の声は・・・
先生の声・・・

「うふふふ・・・あそこにおいておけば、一人ぐらいは私たち女戦闘員に変装しようとして自分から着るのではないかという首領様のお言葉の通りだったわね。どう? デクダルンの女戦闘員になった気分は?」
「ヒャイーッ! 最高です。まるで生まれ変わったような気持ちです。デクダルンの女戦闘員であることがこれほど誇らしく素晴らしいことだったなんて・・・それに78号というナンバーも与えていただいて・・・ああ・・・幸せです」
うっとりとした口調で答えている先生。
ああ・・・もうあの先生はいなくなってしまったんだわ・・・

「うふふふふ・・・喜びなさい。この女だけでなく、お前たちも選ばれたのだから」
「選ばれた?」
どういうこと?
私たちも選ばれたとは?
「お前たちは部屋でおとなしくしているということをせずに、ここから脱走しようとした。そういう行動力のある女は偉大なるデクダルンの女戦闘員にふさわしい」
女戦闘員に?
ふさわしい?
まさか・・・
私たちも先生と同じように?

「うふふふふ・・・あなた方もすぐにデクダルンの女戦闘員になれるわ。このマスクをかぶればね」
赤いVラインの入った女が顎をしゃくってほかの女たちに指示をする。
「いやっ! やめてぇ!」
「いやぁっ!」
美羅ちゃんと亜寿香ちゃんに女たちがマスクをかぶせていく。
「美羅ちゃん! 亜寿香ちゃん! むぐっ!」
私にも先生がマスクをかぶせてくる。
私はなんとかかぶせられないようにと頭を動かすが、手足が固定されている以上それもわずかな抵抗でしかない。
「や、やめ・・・」
私の視界が黒い布でふさがれ、鼻も口も覆われていく。
首元までマスクが引き下げられると、目のところがのぞき穴に合わせられ、外が見えるようになる。
目が見えるようになりホッとしたのもつかの間、私の頭に声が響いてくる。
女戦闘員・・・
デクダルンの女戦闘員・・・
私はデクダルンの女戦闘員・・・
デクダルンに忠誠を誓い、首領様のために働くことが私の使命・・・
デクダルンに忠誠を誓い、首領様のために働くことが私の喜び・・・
やめ・・・やめて!
私の中に入ってこないで!
私は女戦闘員なんかじゃない!
私は女戦闘員なんかじゃ・・・
私は女戦闘員・・・
私はデクダルンの女戦闘員・・・
デクダルンに忠誠を誓い、首領様のために働きます・・・
デクダルンに忠誠を誓い、首領様のために・・・

手足の枷が外され、私の躰が自由になる。
私は手首をさすりながら、脇に置かれていた手袋を着け、ブーツを履いていく。
そして偉大なるデクダルンの紋章の付いたベルトを腰に巻き、デクダルンの一員になった喜びを感じていく。
そう・・・
私はデクダルンの女戦闘員。
偉大なる首領様の手足となって働くことが私の喜び。
なんてすばらしいのかしら。
首領様の命令なら何でもするわ。

私と同じように手袋やブーツ、ベルトを身に着け終わった二人もやってくる。
私の仲間たち。
これからはともに首領様のために働くのだ。
「「「ヒャイーッ!」」」
私たちは上級戦闘員であるC07号に右手を上げて敬礼し、服従の声を出す。
ああ・・・なんて気持ちがいいのだろう。
これまでの愚かな人間だった時のことなど洗い流されていくみたい。
もうそんな過去は思い出したくもないわね。

「ヒャイーッ! うふふふ、いい子たちね。今日からはお前たちも女戦闘員。偉大なるデクダルンのために働きなさい」
「「「ヒャイーッ! 仰せのままに!」」」
私たちは再び服従の声を上げる。
「それでいいわ。お前たちはこれからそれぞれ79号、80号、81号と名乗りなさい」
「「「ヒャイーッ! ありがとうございます!」」」
ああ・・・なんて嬉しい。
私にもナンバーをくださったんだわ。
私は81号というわけね。
なんて素敵。
私は女戦闘員81号。
私はデクダルンの女戦闘員81号よ。
デクダルンに栄光あれ!

                  ******

「そっちへ行ったわ80号!」
「ヒャイーッ! 了解。うふふふふ・・・逃げられるとでも思っているのかしら」
80号の言うとおりだわ。
この周囲一帯はもう私たちデクダルンの制圧下。
逃げられるはずがないのに。
愚かな人間たち。

「いやっ、来ないで!」
地面に這いずりながら、必死で逃げようとする女。
哀れな女。
残念ながらお前は選ばれなかったのよ。
私たちのような女戦闘員にはね。
だから死になさい。

私はスパークロッドの先を女に向けてスイッチを押す。
「きゃぁぁぁぁ」
電撃が放たれて女が黒焦げになる。
うふふふふ・・・
これで不要な人間がまた一人消えた。
偉大なる首領様の求める世界にまた一歩近づいたわ。
ああ・・・
偉大なる首領様。
私にさらなるご命令を。
私は女を始末したことを報告するために、アジトへと戻るのだった。

END

以上です。
よろしければ感想コメントなどいただけますと嬉しいです。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2019/10/10(木) 21:00:00|
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バニーガールコス姿が普段着と認識洗脳させられた美人ママ

今年も夏コミが始まったみたいですね。
暑い中大変だと思いますけど、熱中症には充分ご注意を。

で、私はというと、何となく妄想SSを一本書いちゃいましたので投下します。
タイトルは「バニーガールコス姿が普段着と認識洗脳させられた美人ママ」です。
はい、舞方はボンデージも大好きですけど、バニーガールコスも大好きです。
どこかに美人バニーガールさん落ちていないですかねー。
落ちていたらすぐ拾って帰るんですけどねー。(笑)

まあ、益体もない妄想SSですけど、お楽しみいただけましたら幸いです。
それではどうぞ。


バニーガールコス姿が普段着と認識洗脳させられた美人ママ

「お邪魔しますー」
ボクは友達のタケル君の家に入る。
「あら、いらっしゃい。ゆっくりしてってね」
「は、はいーー?」
玄関に出てきたのはタケル君のママ。
だけど、その恰好はテレビなんかで見るバニーガールの格好をしていたのだ。
頭にはウサギの耳を付け、躰には黒い水着みたいなバニーガールの服を着て、脚には網タイツを穿いている。
タケル君のママは美人だからすっごく似合うんだけど、なんでなんでなんで?
なんでバニーガールなの?

「やあ、来たな。あがれよ。ママ、コーラね」
奥からタケル君が出てきて、ボクを家に上げてくれる。
「はーい、ご主人様」
タケル君のママはぺこりとタケル君に頭を下げると、お尻の白いウサギの尻尾を振るような歩き方で奥に戻っていく。
「は・・・はあ・・・」
ボクがあっけにとられていると、タケル君がにやにやしていた。
「いいからあがれよ。話はあとだ」
「うん」
ボクはタケル君に促されるままタケル君の部屋に通させてもらった。

とりあえずボクはタケル君の部屋で腰を下ろすと、一息つく。
あー、びっくりした。
まさかタケル君のママがバニーガールの格好しているなんて思わなかったもんな。
でも、すごく似合っていたなぁ。
きれいだった。
うちのママだとあんなにきれいじゃないよなぁ・・・
いいなぁ・・・
マナミさんもバニーガールの格好してくれないかなぁ・・・
ボクは隣のマナミお姉さんのことを思い出す。
マナミさんなら、きっとすごくバニーガールの格好が似合うと思う。

「はぁい、お待たせしましたぁ」
すぐにグラスとコーラのペットボトルを載せたトレイを持ったタケル君のママがやってくる。
うわぁ、あらためて見ると本当にきれいなバニーガールさんだ。
脚なんか網タイツですらっとしてて、黒い背中の開いたコスチュームもとても似合ってて、お尻には白い尻尾が揺れていて・・・
なんだか見惚れちゃうよぉ。

「はぁい、どうぞぉ」
甘い声でボクにグラスを差し出してくれるタケル君のママ。
「ど、どうも」
ボクがグラスを受け取ると、そこにコーラを注いでくれる。
シュワーッという音とともに炭酸がはじけ、冷たさが手に伝わってくる。
でもボクは注いでくれたタケル君ママの胸が気になってしまってそれどころじゃない。
衣装のカップに収まった胸の谷間がもろに見えてしまうんだもん。
ボクは何とか気をそらすために、コーラを一息に飲んでしまう。
「ぷはぁー」
「あら、喉が渇いていたのね。もう一杯どうぞぉ」
半分以上減ったグラスに、またコーラを注いでくれるタケル君ママ。
頭の上ではウサギの耳飾りがゆらゆらと揺れているし、真っ赤な口紅を付けた唇がすごく目を惹いてしまう。
きれいだ・・・
タケル君ママすごくきれい・・・

「それじゃごゆっくりどうぞ。ご主人様、何かありましたらすぐにお呼びくださいませ」
グラスとコーラを置いてトレイを手にお辞儀をするタケル君ママ。
「ああ、行っていいよ。そうだ。ママ、そこでゆっくりくるっと回るんだ」
「はぁい、ご主人様」
タケル君がそういうと、タケル君のママはにこにこしてそこでゆっくりと回ってくれる。
うわぁ・・・
こんなにバニーガールさんを間近でじっくり見られるなんて思わなかったよ。

「ハハッ、だいぶ驚いたみたいだね」
タケル君のママが部屋を出て行った後、ゲームの準備をし終えたタケル君が笑っている。
「そりゃそうだよ。まさかタケル君のママがあんな格好しているなんて・・・」
「ハハッ、うちのママはもうあれが普段着だと思っているのさ。放っておけばあの格好で買い物に行ったりすると思うよ。まあ、騒ぎになっても困るから、とりあえずそれはやめさせているけどな」
「普段着? あれが?」
えーっ?
バニーガールの格好が普段着だなんてどういうことなの?
タケル君のママは普段からあんな格好しているの?

「うん、そうだよ。ママはね、もうオレの言うことを心から信じるようになったんだ。だから俺が、『お前の普段着はバニーガールの格好だ』って言ったら、すっかりそう信じ込んでいるのさ」
「えーっ? 何それ? どうしてそんなことに?」
ボクは驚いた。
タケル君の言うことを何でも信じるって?
「まあ待てよ。最初から説明するからさ。実はこれのおかげなんだ」
タケル君はそう言ってベッドの下に隠すように置いてあった箱を取り出すと、その中身を見せてくれた。
「えっ? 何これ?」
そこには、まるでおちんちんのような形をした石が入っていたのだ。
それもボクのおちんちんなんかじゃなく、パパのおちんちんと同じぐらいの大きさだ。
「まるでおちんちんみたいだ」
「な? そう思うだろ? オレもそう思ってさ、思わず拾ったんだよ」
タケル君がニヤッとする。
「拾った?」
「ああ、学校帰りに川岸を歩いていたらさ、草むらに落ちていたんだ」
こんなのが草むらに?
もしかして流されてきたのかな?

「で、見るからにおちんちんだからさ、みんなに見せようと思って拾ったんだ。そしたら、なんだかすごく躰がピリピリとしてさ、すごく元気になったような気がしたんだ」
そういってタケル君はそのおちんちん石を取り出して見せてくる。
「で、いい気分で家に帰ってきたらさ、ママが手を洗えだのうがいしろだの宿題やれだのうるさいからさ。なんだか文句言いたくなって、『うるさい。オレに命令するな。お前こそオレの言うとおりにしろ』ってこの石を突き付けながら言ってやったんだ。そうしたらママが『はい・・・言うとおりにします』って言ってさ、それからはオレの言うとおりにするようになったんだ」
「ええ? 何それ?」
「オレもよくわかんないけどさ、こいつがなんか魔法みたいなものでママに俺の命令を聞かせるようにしたんだと思う。だからさ、オレはママをオレの召使にしてやってさ、オレの好きなバニーガールの格好をさせているわけ」
ああ、タケル君もバニーガールの格好が好きなのかー。
確かにあの格好ってすごくいいもんね。
ボクも大好きなんだ。

「今じゃなんでもオレの言いなりなんだぜ。お尻を触らせろって言ったら触らせてくれるし、おっぱいだって触れるぞ。もちろんあの格好で」
「いいなぁ。バニーガールさんの胸を触れるなんて」
「それに、オレの好きなものだけ出すように言ってあるから、ハンバーグや唐揚げ、カレーなんかいつも作ってくれるんだ」
「野菜は食べなくていいの?」
うちはちゃんと野菜も食べなさいってママが言うからなぁ。
「もちろんさ。野菜は嫌いだから出すなって言ってあるからな」
「いいなぁ」
うらやましいなぁ。
あんなきれいなママがバニーガールの格好して美味しいもの作ってくれるなんて最高だよー。

「パパは今は単身赴任中だからいないけど、今度帰ってきたらパパもオレの召使にしてやるつもり。お小遣いいっぱいもらうんだ」
「あー、いいなぁ」
お小遣いいっぱいほしいよね。
「あと先生も召使にしようか? 先生には宿題を出さないのが当たり前って信じさせて、水着あたりを普段着にしてやろうか。くふふふ」
「あー、それもいいな。先生前にプール学習の時水着姿きれいだったもんね」
「だろう?」
うんうん。
先生が毎日水着で授業なんてすごくいいかも。

「トオルは誰か召使にしたい奴いるか? なんだったらオレがそいつをトオルのいうことは何でも信じる召使にしてやるぞ」
「えっ? いいの?」
ボクは思わず聞き返す。
「いいよ。その代わりこのことは内緒だぞ」
「うん、もちろん」
ボクはうなずく。
どうしよう・・・
誰がいいかなぁ・・・
やっぱり・・・

                   ******

「お帰りなさい、ご主人様ぁ」
ボクが家に帰ると、マナミさんがバニーガールの格好で出迎えてくれる。
大きなおっぱいがバニーガールのコスチュームからはみ出そうだ。
「ただいまぁ」
ボクはマナミさんにカバンを渡し、家の中に入っていく。
そのボクの後を召使であるマナミさんが付いてくるんだ。
なんて気持ちがいいんだろう。
最高だよー。

「お帰りなさい。おやつあるわよ」
ママがテーブルにおやつを用意してくれている。
今日はシュークリームだ。
やったー。

ボクは自分の部屋にカバンを置きにマナミさんを行かせ、その間に手洗いとうがいを済ます。
戻ると、すでにマナミさんはいつものように椅子に座って待っているので、ボクはそのマナミさんの上に座る。
こうするとマナミさんの胸がボクの背中に当たるので気持ちがいい。
「はい、ご主人様、どうぞぉ」
マナミさんがシュークリームを取ってボクに食べさせてくれる。
マナミさんはもうボクの召使。
タケル君がマナミさんにあの石を突き付け、ボクの召使になってボクの言うことは何でも信じるように命じたから、マナミさんはボクの召使になった。
あとはママやパパ、隣のおじさんおばさんにもそのことが当たり前のことだと思うようにしておしまい。
こうしてマナミさんはボクの家でずっとボクの召使として過ごしている。
もちろんボク好みのバニーガールの格好が普段着だと思い込んでいる。
最高だー。

タケル君は今度は先生を召使にするという。
きっと水着姿で授業をしてくれるようになるだろう。
楽しみだなぁ。
早くその日が来ないかな。
ボクはワクワクしながら、マナミさんが差し出すシュークリームを頬張った。

END

いかがでしたでしょうか?
今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2019/08/10(土) 20:30:00|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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人妻の蛇足

先日投下いたしました短編SS「正義戦隊に追われた怪人がうちに逃げ込んできた人妻」が、予想以上に好評でうれしい限りです。

おかげさまでハニーセレクトでの画像をいただいたりと、作者としても冥利に尽きますです。

とまあ、その影響もありまして、ついついあの続きを書いてしまったりしてしまったわけです。(笑)
もうね、蛇足以外の何物でもないわけですが、カーマギリーと一体化してしまった人妻のその後を楽しんでいただければと思います。

それではどうぞ。


人妻の蛇足

「初めまして、尾倉(おぐら)博士。週刊科学週報の五里(ごり)と申します」
“私”は名刺入れから偽造名刺を出し、初老の紳士に手渡す。
尾倉博士は先ごろ新エネルギー理論を発表し、新たなエネルギー源の可能性を打ち出した地球人。
そんな地球人が生きていてもらっては困るのよ。

「これはこれはようこそ。あまり長い時間は取れませんがよろしいかな?」
「ええ、それはもう。お話を聞けるだけで充分ですので」
“私”はできるだけ笑顔を浮かべ、相手の警戒心を解くように努める。
それにしても、地球人のオスはメスには弱い。
特に美しいメスには。
だからこそ、“私”の躰には利用価値があるというもの。

今回は単独インタビューということで、室内には“私”と博士の二人きり。
なんと好都合なのか。
地球人のメスの姿をしているというだけで、これほど無防備になるとは思わなかった。
これならゴリグランの地球侵略もやりやすくなるというものだが、どうもそう簡単にも行かないらしい。
“私”の報告により、将軍は“私”以外のドルビードルやセンチピーにも合体をやらせてみたらしいが、それがどうにもうまくいかなかったとのこと。
合体した地球人のオスやメスが狂ってしまってどうにもならなくなったそう。
もしかして、“私”は運がよかったということなのかしら・・・

それはともかく、こうして“私”は一つになれている以上、楽しまなくては損である。
地球人のオスを躰で誘惑するというのは実に楽しい。
“私”はでたらめなインタビューをしながら、黒ストッキングを穿いた脚をこれ見よがしに組み替えたり、胸元が見えたりする角度を向けたりして初老の紳士の反応を楽しんでいく。
博士はインタビューに答えながらも、その目は“私”の脚を追い、または胸元にくぎ付けになったりしているのがすぐわかる。
本当に楽しいわぁ。

でたらめインタビューのネタも尽き、視線を楽しむのもそろそろやめにしなくてはならない。
“私”の目的を果たさなくてはね。
“私”は立ち上がって博士に丁寧に礼を言うと、そのままカーマギリー様と分離する。
この何とも言えない自分の半分が失われるような切なさ。
あらためて私がカーマギリー様の一部であるということが再認識される。
もう私はカーマギリー様なしではいられないわ。

「ぐわーー!」
カーマギリー様の右手のカマが一閃し、博士の躰を引き裂いていく。
血しぶきが飛び散り、哀れな紳士は絶命する。
「クキキキキ・・・ゴリグランの邪魔者は死あるのみだ」
カーマギリー様が死体を見下ろして笑っている。
「うふふふふ・・・」
私も思わず笑みが浮かんでしまう。
カーマギリー様の言う通りよ。
下等な地球人のくせにゴリグランの邪魔をしようなどとは愚かなこと。
私のように躰を使っていただけるのは本当に幸せ者なんだわ。

私は部屋の窓を開けると、すぐにカーマギリー様の前に立つ。
するとカーマギリー様が私の躰の中に戻ってくる。
「クふふふふ・・・」
これで私はまた“私”に戻ったわ。
なんて気持ちがいいのかしら。
何度感じても最高だわ。

“私”はその場で床に倒れて気を失ったふりをする。
すぐに外からバタバタと音がして、何人かが部屋に入ってきた。
「何が? うわっ!」
「博士! 博士!」
「救急車! 救急車を呼べ!」
「君! 君! しっかりしたまえ!」
研究所の所員たちが“私”を揺さぶり起してくる。
ほかにも救急車を呼んだり博士に声をかけたりしているようだが、もう遅いわ。
「う・・・うーん・・・あっ、きゃぁぁぁぁ!」
“私”は目を覚ましたように見せかけ、多少大げさに悲鳴を上げる。
「大丈夫か? 何があったんだ?」
「あ・・・ば、化け物が・・・化け物が突然窓から入ってきて・・・」
「なんだって?」
“私”を抱え起こした所員が窓から外を確認する。
「誰もいないぞ」
「本当です! 本当なんです!」
“私”は躰を抱えるようにして大げさに震えてみせる。
クふふふふ・・・
こうして演技をするのもなんだか癖になりそう。

「とにかく君はここにいたまえ」
「はい・・・その前にちょっと吐きそうなのでトイレに行っていいですか」
「ああ、行ってきなさい」
“私”は所員に頭を下げ、トイレに行くふりをして隙を見つけて建物から出る。
玄関には救急車が到着し、パトカーのサイレンも聞こえてくる。
おそらくはストームチームも駆けつけるに違いない。
クふふふふ・・・
愚かな連中だわ。
せいぜいいなくなった怪物を探し求めるのね。

“私”は何食わぬ顔で通りを歩き、アジトへ戻るための転送場所へと向かう。
転送そのものはどこでもできないことはないけど、やはり地球人の目の前で転送するのは問題だからだ。
できるだけ人目につかないところへ行き、そこからアジトに戻るのだ。

「美穂(みほ)? 美穂じゃないか?」
「えっ?」
“私”は思わず振り向いてしまう。
「美穂・・・美穂だろ?」
“私”を呼び止めたのはビジネススーツ姿の地球人のオスだった。
あ・・・
あな・・・た・・・
“私”の中の記憶が呼び起こされる。
二週間ほど前まで一緒にいた“私”のつがいのオスがそこにいたのだ。

「美穂・・・美穂・・・どうしていなくなって・・・」
このオスは“私”を以前のままの私だと思っているんだわ。
それに、“私”の中の私にもこのオスを好ましく思っているところがまだ残っているみたい。
だが・・・このオスに“私”が以前の私とは違うと感づかれて騒がれたりしても面倒だわ。
どうしたものかしら・・・

「美穂・・・何か言ってくれ・・・美穂」
まるで懇願するかのように“私”に詰め寄ってくる地球人のオス。
このような人目のあるところで注目を浴びるのは得策ではない。
「あ、あの・・・人違いだと思います」
“私”はこの場を切り抜けようと、このオスとは無関係を装うことにする。
“私”の中の私がちょっとだけ何か反応するが、今はそれを押し殺す。
「えっ? 人違い?」
驚いたように“私”の顔を見る地球人のオス。
名前は七斗佑士(ななと ゆうじ)といったか。
おとなしくこれで引き下がってくれればいいが。

「はい。“私”は五里ちひろと言います。美穂じゃありません」
“私”は先ほど尾倉博士に渡した偽の名刺を取り出してみせる。
「そんな・・・そんなに似ているのに・・・」
“私”の名刺を見て愕然としている佑士。
これで納得してくれただろうか。
だが、なんだ・・・
“私”の中で何かが・・・
胸が痛い・・・

がっくりと膝をつく佑士。
「大丈夫ですか?」
思わず“私”は彼に声をかける。
「ああ、はい。大丈夫です。あなたがあまりに妻に似ていたもので」
よろめくようにしながらも立ち上がる彼。
「妻に?」
「はい。実は妻が先日から行方不明になっていまして・・・」
どくん・・・
“私”の心臓が跳ね上がる。
“私”の中の私が反応しているというのか?

「行方不明?」
「はい。先日家の近所でゴリグランが現れたらしいのですが、その時以来行方不明なのです」
「そうなのですか・・・」
“私”は彼の言葉にうなずく。
どうしたというのだ・・・
このような地球人のオスは放って、早く転送場所に行かなくてはならないのに・・・

「ははっ・・・あなたを見たときに美穂がいた、美穂が無事だったと思い込んで思わず声をかけてしまいました。すみません」
「いえ・・・そんな・・・」
似ているなんて当然だ。
それはつい先日までの私なのだもの。
くそっ・・・
どうしてこんなに離れがたい・・・
いっそこいつは始末するべきなのか?

「でも、確かに別人と言われて納得です」
「えっ?」
どういうこと?
「その・・・うまく言えないんですけど、妻とは雰囲気が違うんです。やっぱり違うものなんでしょうね」
「雰囲気が・・・」
なんだか胸が痛い。
“私”が私ではないと言われ、ちょっとショックを受けているというのか?
“私”は・・・私?

「どうもすみませんでした。お時間を取らせてしまってごめんなさい」
そういって彼は立ち去ろうとする。
あ・・・
「あの・・・」
どうした?
“私”は何を言おうとしているんだ?
「“私”・・・このあと少し時間があるんです。よかったら少しお話しませんか?」
“私”はにっこりと笑顔を浮かべていた。

                   ******

「ん・・・んん・・・んちゅ・・・」
どうしてこんなことになっているのか?
“私”はいつしかラブホテルとやらで、彼の交尾器官、チンポとやらを口にくわえて舐めしゃぶっていた。
いったい何をやっているというの?
どうして“私”がこんなことを?
でも、“私”の中の私が喜んでいる。
彼のチンポをおいしく感じている“私”がいる。
“私”はオスのはずなのに・・・

仕方ないのよ・・・
これは今後の作戦のため・・・
だって、彼が今後も妻を探そうとするなら、もしかしたら“私”の正体に気づいてしまうかもしれない。
そうなったらストームチームに通報されてしまうかもしれないわ。
だから、ここで彼の口を封じてしまわなくてはならないのよ。
それに・・・
あんながっかりした彼の姿を見たら、そのままにはしておけなかったのよ・・・

「ち、ちひろさん・・・だ、だめだよ。で、出ちゃう・・・」
「ん・・・いいの・・・出して。“私”の口の中にたっぷりと」
“私”はさらに喉の奥まで彼のものをほおばっていく。
クふふふふ・・・
なんだかおもしろい。
“私”の口でこんなに感じてくれているなんて・・・
これまた癖になっちゃいそう・・・

「あ・・・ああ・・・」
“私”の口の中に飛び出してくる大量の精液。
“私”はそれを余さず飲み込んでいく。
クふふふふ・・・
なんだか変な気分。
オスと交わるというのも悪くないわね。

「ちひろさん・・・」
「今日はここまで。奥さんには秘密よ」
“私”はいたずらっぽくウィンクする。
「あ・・・ああ・・・」
うなずく彼。
ダメだわ・・・
彼の口を封じるなんて・・・
“私”には無理・・・

                   ******

「えっ? 何?」
“私”をかばおうとした軍服姿の女を、“私”は後ろから羽交い絞めにする。
「あ、あなたはいったい?」
「クふふふふ・・・罠にかかったわね、ストームチームの司令官智田梓(ちだ あずさ)」
「そ、そんな・・・あなたもゴリグランの?」
“私”に押さえつけられて愕然としている梓司令。
ストームチームの司令官であり、頭脳である彼女も、しょせんは下等な地球人のメスにすぎない。
“私”がちょっとゴリグランに襲われているという演技をしただけでこのざまだ。

「ええ、そうよ。“私”はゴリグランの一員。でも恐れることはないわ。あなたも運が良ければすぐにゴリグランの一員になれるわよ」
“私”はじたばたともがく梓司令を後ろから羽交い絞めにして、身動きができないようにする。
「ギシュシュシュシュ・・・そのまま押さえつけておいてくれ。こいつの躰は俺が戴くぜ。ギシュシュシュシュ」
梓司令の前にはゴリグランの仲間であるゴキローチがいて、彼女と合体しようとしているのだ。
うまくいけば彼女の躰を使って、ストームチームの本部に潜入できるかもしれない。
運任せともいえる合体だが、試してみる価値はあるだろう。
ダメならダメでも構わないのだ。

「いやっ! いやぁぁぁぁっ!」
梓司令の躰にゴキローチが潜り込んでいく。
クふふふふ・・・
このままうまくいくといいわね。
さあ、ゴキローチと一つになりなさい、梓司令。

「キシュ・・・キシュシュ・・・キふふふふ・・・もう手を放してもいいぜ。じゃない、いいわ」
“私”はゆっくりと手を放す。
「キふふふふ・・・どうやらうまくいったようだな。智田梓と俺は一つになったというわけね」
自分の手を見つめながら笑みを浮かべている梓司令。
これで彼女もしばらくすれば、ゴキローチに躰を使ってもらえる喜びを感じるようになるわ。
「おめでとうゴキローチ。いえ、ストームチーム司令官智田梓」
「ありがとうカーマギリー。いえ、五里ちひろさんだったかしら?」
“私”の方に振り返り、ニヤリと笑う梓司令。
「この姿の時は五里ちひろでも七斗美穂でもどっちでもいいわ。まあ、あのオスの前では五里ちひろで通すけど」
どうせ作戦で必要だったから付けただけの名前だけど、あのオスの前ではちひろで通さないとね。
「そうなの? まあ、地球人の名前なんてどうでもいいわね」
「あら、そうでもないわよ。潜入にはその名前が大事なんだから、しっかり自分のものにしなさい。もっとも、その躰のほうでちゃんと反応してくれると思うけど」
まあ、“私”の場合はそう名前を呼ばれる状況もなかったけどね。

「だから、しっかりとその躰をかわいがって、ちゃんとしつけてあげなさい。そうすれば躰の方でも協力してくれるようになると思うわ」
「キふふふふ・・・そうみたいね。もうだいぶ抵抗する気もなくなってきたみたいだし、ストームチームの本部の様子も問題なくわかるようになってきたわ。それどころかだんだんと自分の手でストームチームを滅ぼすのが楽しみに感じ始めているみたい」
自分の躰をあらためて見つめている梓司令。
彼女もきっと躰を使われる楽しさと、地球人を騙すことができる快感を感じ始めているんだわ。
クふふふふ・・・
「それじゃあとはよろしくね。楽しんでくるといいわ」
「ええ。しっかりと楽しんでくるわね。キふふふふ・・・」
“私”はゴキローチと一体化した梓司令に手を振ってその場を後にする。
ストームチームも風前の灯火かしら。
さて。
“私”のお楽しみはこれからね。

                   ******

“私”はある家の玄関の呼び鈴を押す。
すぐに玄関の扉が開いて、地球人のオスが一人顔を出す。
「あ・・・ちひろさん・・・」
「クふふふふ・・・来たわよ、佑士さん」
“私”はそのまま彼を押しのけるようにして上がり込む。
ここはかつての“私”の家。
勝手知ったるなんとやらだわ。
さあ、たっぷりと楽しまなくちゃね。

「あ・・・ああ・・・ちひろ様・・・」
素っ裸で“私”の足元に寝転がり、“私”を様付けで呼んでいるオス。
そのそそり立つチンポとかいう交尾器官を、“私”は網タイツを穿いた足でしごいてやる。
クふふふふ・・・
“私”の足の裏でチンポがぴくぴくしているわ。

「いやらしいオスねぇ。“私”の足に踏まれてチンポをぴくつかせているなんて。あんたちょっと変態じゃないの?」
“私”がそういうと、オスはますますチンポを硬くする。
地球人とは奇妙なものだ。
バカにされているような言葉を言われているのに、まるで喜んでいるようだわ。
クふふふふ・・・
気持ちいい・・・
地球人のオスをこうやってしつけるのも悪くないわねぇ。

素っ裸なオスと比べ、“私”は太ももまでの網タイツを穿き、黒いコルセットで躰を締め付ける。
胸と股間があらわになるので、必要な部分を隠していないような気もするが、それがオスを喜ばせるのだ。
両手には黒い手袋を嵌め、短めのムチをしならせている。
これでたたくとオスはひいひい言いながらも喜ぶのだ。
まったく地球人のオスは面白い。
もっともっといじめたくなるわぁ。

「ねえ、変態さん。こうしていじめてくれる“私”と、いなくなってしまった奥さんと、どっちがあなたに必要かしら?」
「ああ・・・あああ・・・ちひろ様・・・ちひろ様です」
“私”にチンポを足でしごかれながら、“私”の名前を連呼するオス。
「クふふふふ・・・それじゃ、もう奥さんのことを探すのはやめて、“私”に従いなさい。いいわね?」
「は、はいぃ・・・もう妻は探しません。ちひろ様に従いますぅ・・・」
こくこくとうなずきながら、オスは今にもはち切れそうなチンポをぴくつかせている。
「いい子ね。それじゃご褒美よ」
“私”は足を前後させ、オスのチンポをさらに踏みつけるようにしてしごいてやる。
「あ、あひぃぃぃ」
すぐにオスのチンポからは白い交尾液が飛び出して、“私”の足の裏をぬるつかせた。
「もう出したの? 早いのね。汚れたわ。舐めなさい」
“私”は交尾液のついた足の裏をオスの顔に押し付け、舌で舐めさせる。
オスの舌が網タイツ越しに足の裏を舐めてくすぐったい。
ああん・・・
なんて気持ちがいいのかしら。
最高だわ。
地球人のオスをメスとしてしつけるのって最高。
これからはもっと多くのオスをしつけていこうかしら。
きっとたのしい毎日になりそうね。
クふふふふ・・・
“私”は自分の指を唇に這わせ、この快楽に身悶えした。

END

いかがでしたでしょうか。
よろしければコメントなどいただけますと嬉しいです。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2019/08/02(金) 21:00:00|
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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