FC2ブログ

舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

淫魔になった私

昨日に引き続き、新年二本目のSSを投下いたします。
タイトルは「淫魔になった私」です。

それではどうぞ。


淫魔になった私

「う・・・ん・・・んん・・・」
寝苦しい・・・
躰が熱い・・・
何かがおかしい・・・
熱い・・・
熱い・・・
あああああ・・・

「ハッ」
私は目を覚ます。
室内はもううっすらと明るい。
もう朝なの?
「はあ・・・はあ・・・」
私は額の汗をぬぐう。
すごい汗だわ・・・
いったいどうして・・・
ん?
私は何か違和感を覚える。
「えっ?」
私の手が真っ黒?
これはいったい?
私はがばっと跳ね起きて、枕もとのスタンドを点ける。
すぐに明かりが点き、室内がさらに明るくなった。

「えええっ?」
私は驚いた。
私の両手が真っ黒なのだ。
しかも、明かりに照らされてつやつやと輝いている。
これはいったい?
よく見ると、私の躰も黒くなっている。
つやつやと光を反射し、それでいて黒が際立っているのだ。
私はベッドから降りて全身を見下ろしてみる。
「なんなの・・・これ?」
私は思わずつぶやいてしまう。
昨夜着たはずのパジャマは消え去り、私は漆黒の衣装を着ていたのだ。

「ど、どういうこと?」
私の両脚は黒いエナメルのハイヒールのブーツを履いていた。
それも太ももまである長さのブーツだ。
こんなブーツを買った覚えは全くないのに。
それどころか、私自身が着ているものと言えば、まるで肩紐の無い黒い水着ともバニーガールのコスチュームともいえるようなエナメルでつやつやした衣装なのだ。
それもおへそのところの部分がくりぬかれたようになっていて、おへそが丸見えになっている。
背中も大きく開いているみたいで、とても恥ずかしいデザインの衣装だ。
どうしてこんなものを着ているの?
両手だって、ブーツやこの衣装と同じくエナメルの長手袋を嵌めている。
さっき手が真っ黒だと思ったのはこのせいだ。
二の腕までの長手袋なんてどこからいったい?

と、とにかくこんな衣装は脱いでしまわなくては。
私は手袋を外そうとする。
「痛っ!」
ええっ?
手袋が腕に密着してしまっているわ。
どうして?
そんな・・・
服もブーツも試してみるけど、まるで躰の一部にでもなったみたいに脱ぐことができない。
どうして?
いったいどうして?
私はいったいどうなってしまったの?

と、とりあえずそろそろ朝の支度をはじめなくちゃ・・・
私は鳴る直前になっていた目覚ましのスイッチを切り、この格好のままでは恥ずかしいので上にパジャマの上着を羽織り、朝の支度をしようと部屋を出る。
カツカツとブーツのヒールの音が響いて気持ちいい。
向かいの部屋にはあの子が寝ていて、美味しそうなオスのにおいがかすかに感じ取れる。
そろそろあの子もそう言う年ごろなのかしらね。
うふふ・・・
私はペロッと舌で唇を舐める。
あの子の味はどんなかしら・・・

まずはとにかく顔を洗って朝食の支度をしなくては・・・
それにしてもなんだか暑い。
こんなものを着ているせいかしら・・・
私は羽織っていたパジャマの上着を脱いで、リビングの椅子の背もたれにかける。
ふう・・・
これでいいわ。
私は洗面所に行って顔を洗う。
冷たい水がほてりの残った顔に気持ちがいい。
洗顔を終えて顔を上げた私は、鏡の中に映った自分の顔を見る。
ええっ?
私はまた驚いた。
額の両側、こめかみのあたりから、左右に二本の角が生えていたのだ。
角は左右からねじれるように伸びて、額の正面のあたりへとつながっている。
ど、どうしてこんなものが?
これじゃまるで鬼みたいじゃない。

(鬼なんかじゃないわ)
えっ?
今声が聞こえたような・・・
(うふふふ・・・やっと私の声が聞こえるようになってきたかしら?)
やっぱり聞こえる。
「誰? 誰なの?」
私は周囲を見る。
でも、誰もいない。
声は女性のようだからあの子のはずがないし・・・
いったい誰?
(うふふ・・・私は淫魔)
「インマ?」
声はまるで頭の中から響いてくるみたい。
嘘でしょ?
頭の中で?
(直接話しかけているからそう聞こえるだけよ。あなたもすぐにできるようになるわ)
「わ、私が?」
(そうよ。だってあなたも淫魔なんだもの)
「インマ? 私がインマ?」
違うわ・・・
私は・・・私は丘矢紫織(おかや しおり)よ。
インマなんかじゃないわ。

(いいえ、あなたは淫魔)
否定する私の頭の中に声が響く。
「違う! 違う!」
必死に首を振る私。
私はインマなんかじゃない!
(いいえ、あなたは淫魔よ。淫らな魔物と書いて淫魔。怖がることはないわ。すぐにあなたは淫魔であることを喜びに感じるようになるの)
そ、そんな・・・
そんなのいや!
いやです!
(これはあなたが望んだことよ。心の奥底でね)
「私が?」
私が望んだことですって?
そんなバカな・・・
(すぐにわかるわ。すぐにね。うふふふふ・・・)
頭の中の声が小さくなって消えていく。
いったい今のは?
今のはなんなの?
私はいったいどうなってしまったの?

「ママ・・・」
私は驚いて心臓が飛び出しそうになる。
「こ、こうちゃん?」
私が振り向くと、起きたばかりで眠そうに眼をこすっている浩平(こうへい)が洗面所の入り口に立っていた。
「ママ?」
なぜかぼうっとした表情で私を見ている浩平。
その理由に私はハッと気が付いた。
「こ、こうちゃん? ち、違うのよ。これは違うのよ。これはちょっとした手違いみたいなもので、ママは好きでこんな格好をしているんじゃないのよ。ホントよ」
私は手と首を振って弁解する。
こんな格好を好きでしているんじゃないのよ。
ああ・・・
こうちゃん・・・信じて・・・

「こうちゃん?」
どうしたのかしら?
浩平はただぼうっと私を見ているだけ。
その目もどこか虚ろで、なんだかまだ夢の世界にいるみたい。
もしかして立ったまま寝ちゃっているのかしら?
「こうちゃん?」
私は浩平のそばに行く。
ああ・・・
なんだかいいにおい・・・
浩平のにおいだわ・・・
美味しそうでたまらない・・・

「こうちゃん?」
「ママ・・・」
ぼうっとしたまま返事をする浩平。
「こうちゃん・・・」
私は浩平の前にしゃがみ込むと、パジャマのズボンを下ろしていく。
いいにおい・・・
オスのにおいだわぁ・・・
ああ・・・
美味しそう・・・
パジャマのズボンを足元まで下げると、彼のパンツも下ろしていく。
まあ・・・
この子ったら、まだ小さいのにちゃんと勃起してくれているわ。
なんて嬉しいの。
ママを見て勃起してくれたのね。
嬉しいわぁ。

私はそっとおちんちんを手に取ると、思わず頬擦りしてしまう。
彼の熱さが頬に伝わってくるみたい。
なんて素敵。
ああ・・・
どんな味なのかしら・・・
いただきま・・・

「あっ!」
私は思わず浩平を突き飛ばすようにして離れる。
ダメ!
ダメよ!
私はこの子の母親なのよ!
こんなのはダメ!

「マ、ママ?」
浩平がびっくりしたように私を見ている。
何が起こったのかわからないのだろう。
「ご、ごめんねこうちゃん。ごめんなさい」
私はその場を逃げるようにあとにする。
ああ・・・私はなんてことを・・・

                   ******

結局私は風邪を引いたということにして、できるだけあの子と顔を合わせないようにして学校へと送り出す。
あの子を見てしまえば、またあんなことになってしまうかもしれない。
いったい私はどうしてしまったの?
本当に淫魔になってしまったというの?

浩平が学校に行った後、私は職場に欠勤の電話をしておやすみをもらう。
こんな格好では職場に行けるはずもない。
私は改めて自分の姿を鏡に映す。
何となくバニーガールを思わせるような肩紐の無い胸から下だけを覆う黒い衣装。
しかもお腹の部分にはひし形にくり抜かれ、おへそがそこから露出している。
背中も大きく開いていて、肩甲骨のあたりには黒いこぶのようなものがある。
これはいったい何なのだろう?
両脚には太ももまでの長さのロングブーツを履いており、かかとはピンヒールみたいになっている。
両手も二の腕までの長さの長手袋で覆われており、いずれもがつややかな黒いエナメルレザーでできているようだ。
頭にはこめかみのあたりから左右に二本の角が出ており、ねじれたように額の方へと伸びている。
問題なのは、これらがすべて躰に密着していて、脱ぐことができないということだ。
まさか、これからずっと私はこの姿のままなのだろうか・・・
淫魔・・・
どうして私は淫魔になど・・・

                   ******

「ん・・・?」
玄関で呼び鈴が鳴ったみたい。
私はソファーの上で目を覚ます。
時計を見るともう午後一時。
知らないうちにうたたねをしてしまっていたらしい。

再び呼び鈴が鳴る。
「はーい。今行きます」
私は玄関へと向かう。
こんな時間に誰かしら?

「はい、どなた?」
『ネットスーパーです。ご注文の品をお届けに参りました』
あ・・・そういえば午前中に注文していたんだったわ。
外出しないようにしようと思って・・・
なんでそんなことを思ったんだったかしら・・・

「はい」
玄関を開ける私。
宅配の男性がギョッとした顔をする。
あら、若くていい男じゃない?
美味しそう。
そういえばお昼まだだから、お腹が空いたわぁ。
私は思わず舌なめずりをする。
オスのいいにおいがプンプンするわ。

「ねえ、上がってお茶でもいかが?」
私は宅配のお兄さんを誘ってみる。
うまくいけば味見ができるかも。
「い、いえ・・・商品はこれで全部ですので、し、失礼します」
必死に私を見ないようにしつつも、ちらちらと目が私を追ってくる。
うふふ・・・
無理しなくていいのに。
もっと私を見て。
この胸なんかどうかしら?
私はおっぱいを持ち上げてみせる。
あら?
私の胸ってこんなに大きかったかしら?
なんだか私にふさわしいわね。

「で、では」
「あら、残念」
そそくさと逃げるように去ってしまった宅配のお兄さん。
せっかく美味しそうなオスだったのに。
残念だわ。
でも、外からはオスのにおいがたくさん漂ってくる。
ああ・・・
たまらないわぁ・・・
オスのにおいっていいにおいなのねぇ・・・
食べたくなっちゃう・・・

私は届けてもらったものを片付けようと室内に入る。
その時、室内の鏡に私の姿が映り、私はハッとした。
わ、私はいったい?
今、私は何を考えていたの?
オスを食べたいって・・・そんな・・・

あの宅配の男性がギョッとした顔をしていたのも当然だ。
こんな淫靡な格好をしたまま玄関を開けたのだもの。
びっくりするのも当たり前だわ。
ああ・・・
それなのに私は・・・
胸を見せつけようとさえ・・・
私の胸・・・いつの間にこんなに大きく?
それにお尻もなんだか大きくなったみたい・・・
そんな・・・
私は・・・私は・・・

いけない・・・
もうすぐあの子が帰ってくるわ。
こんな状態で、もしあの子が帰ってきたら・・・
私はまたあの子を・・・
あの子のおちんちんを味わおうとしてしまうかもしれない・・・

私は首を振る。
そんなことは許されない。
私はあの子の母親なのよ。
そんなことができるはずがないわ。
どうしたら・・・
いったいどうしたら・・・

私は窓を開けて外に出る。
背中の羽を広げて私は家を後にする。
とにかく今はどこかに姿を隠した方がいいだろう。
あの子のことは心配だけど、私がそばにいるわけにはいかない。
この状況を何とかしなくては・・・
ああ・・・どうしたらいいの?
私はどうしたら・・・

                   ******

なんだか頭がぼうっとする。
ここはどこ?
私はいったい?
お腹が空いたわ・・・
何か食べなくては・・・
何か・・・

いつの間にか周囲はもう暗い。
私は何をしているのだろう?
家に帰らなくては・・・
もうあの子が帰ってきているはず。
早く帰って・・・
帰って一緒にご飯を食べなくちゃ・・・

人気のない通り。
会社に戻るのか、それとも家に帰るのか、一人のサラリーマンが歩いている。
美味しそう・・・
私は思わず唾をのむ。
いいにおい。
オスのにおいだわ。
ああ・・・
なんていいにおいなの。

私はひらりと飛び降りる。
うふふふ・・・
突然目の前に私が降り立ったのでびっくりしているわ。
それなりに年齢が行っている男性だけど、性欲は有り余っていそう。
美味しそうだわぁ。

あん・・・
逃げなくてもいいのよ。
私はただあなたが欲しいだけ。
あなたの性欲を味わわせて欲しいの。
私は羽を広げて飛び上がり、再び彼の前へと舞い降りる。
うふふふふ・・・
怖がることはないわ。
さあ・・・私の目を見て・・・
私の目を・・・

「ん・・・んん・・・」
私は彼を物陰に連れ込むと、そのおちんちんにむしゃぶりつく。
美味しい・・・
なんて美味しいのかしら。
おちんちんがこんなに美味しいものだなんて知らなかったわ。
どうして今まで食べずにいたのかしら・・・

彼のザーメンを味わったあと、私は彼の上に馬乗りになって彼のおちんちんを下の口で咥え込む。
ああん・・・
セックスいい・・・
いいわぁ・・・
おちんちん最高。
たまらないわぁ。
私は指を舐めながら腰を振る。
彼のおちんちんからザーメンを残らず搾り取るの。
全部全部搾り取っちゃうの。
ああん・・・気持ちいいわぁ・・・

                   ******

「んふふ・・・」
アタシはぺろりと舌なめずりをする。
アタシの足元には干からびたオスの死体が一つ。
吸いすぎちゃったかしらね?
でもまあいいわ。
美味しかったわよ。
こうなるとデザートが欲しくなるわね。
もちろんデザートは・・・
んふふふ・・・

アタシは羽を広げて空へ舞い上がる。
気持ちいいわぁ。
最高の気分。
なんて気持ちがいいのかしら。
背中の羽はアタシを軽々と宙に舞わせてくれるし、お尻から延びた尻尾は飛ぶ時のバランスを整えてくれる。
青く染まった肌は夜の闇に溶け込み、アタシの姿を闇と同化させてくれる。
夜にふさわしい肌の色だわ。
んふふふ・・・

アタシは一軒のアパートの屋根に舞い降りる。
んふふ・・・
濃厚なオスのにおいもするけど、これは後でも構わない。
今食べたいのはデザートなの。

アタシはある部屋の窓を開ける。
中は暗い。
でもアタシには何の問題もない。
むしろ暗闇こそアタシたちの世界。
昼間の方が好きじゃない。

テーブルに突っ伏して眠っている少年。
あらあら・・・
ママを待っていて寝てしまったのね。
泣いていたのかしら?
こんなに遅くなるまで帰らないなんて、悪いママねぇ。
でも、もう大丈夫よ。
アタシがたっぷりとかわいがってあげる。
とっても気持ちよくしてあげるわ。
んふふふふ・・・

アタシは少年の頬を舌で舐める。
ちょっと塩辛い。
やはり泣いていたのね。
「ん・・・」
少年が目を覚ます。
「・・・誰?」
寝ぼけ眼でアタシを見る少年。
かわいいわぁ。
まだ熟していないオスのにおい。
んー・・・
たまらない。

「こうちゃん」
アタシは彼の名を呼ぶ。
確かそういう名前だったはず。
「ママ? ママなの?」
一瞬驚いたように目を見開いたものの、すぐにその目がとろんとなる。
んふふふ・・・
容易いものねぇ。
オスをその気にさせるのなんて簡単。

「こうちゃん」
アタシはそう言って両手を広げる。
「・・・ママ・・・」
少年は立ち上がって、ふらふらとアタシの方へとやってくる。
いい子ね。
たっぷりとかわいがってあげる。
アタシは彼を抱きしめて頬擦りをする。
柔らかいわぁ。
なんて美味しそうなのかしら。

立ち昇るオスのにおい。
この子もアタシに興奮してきたみたい。
アタシはこの子のズボンを脱がせ、パンツも下ろす。
まだ成熟しきっていないオスの性器が、それでも天に向かってそそり立っていた。
かわいい・・・
アタシはおちんちんに頬擦りする。
なんて美味しそうでかわいいおちんちん。
たまらないわぁ。

「あ・・・」
彼が小さく声を上げる。
んふふ・・・
アタシの口の中はいかが?
気持ちいいでしょ?
出しちゃっていいのよ。
あなたの味を味わわせてちょうだい。

やがてアタシの口の中に粘りのある液体が飛び出てくる。
ああん・・・
なんて美味しいの。
これがこの子の味なのね。
美味しいわぁ。
もっともっと飲みたくなっちゃう。

(うふふふ・・・もうすっかり淫魔になったみたいね? 息子さんの味はどう?)
頭の中に声が響く。
ええ、とてもおいしいわ。
私も声を出さずに答えていく。
息子の味は最高よ。

アタシは彼のおちんちんをきれいに舐め、その先端に吐息を吹きかける。
それだけでもう彼は再び元気になっていく。
今度はこっちね。
アタシは股間を指で広げておマンコを作り、彼を押し倒す。
「あ・・・ああ・・・」
んふふ・・・
だめよぉ。
こっちにも熱いのをちょうだい。
こうちゃんの熱いのが欲しいのよぉ。

彼の上で腰を振るアタシ。
彼のおちんちんはまだ未熟だけど、それがまたたまらない。
なんだかかわいくて仕方がないわ。
(あらあら・・・息子さんを襲っちゃうなんて。夢がかなってよかったわね)
夢?
アタシの夢?
んふ・・・んふふふふ・・・
そうだわぁ・・・
これがアタシの夢だったんだわ。
アタシはずっとこうちゃんと一つになりたかったんだわ。
これこそがアタシの夢だったのよ。
(そう・・・これがあなたの夢。だからあなたを淫魔にしてあげたの。どう? 淫魔になった気分は?)
最高よぉ。
最高に決まっているわぁ。
淫魔は最高。
アタシはもう身も心も淫魔よぉ。
淫魔シオリよぉ。

アタシが腰を振っていると、こうちゃんのザーメンがアタシの中にほとばしる。
ああーん・・・
いいわぁ。
これがこうちゃんのザーメン。
こうちゃんのザーメンがアタシの中に流れ込んできたのねぇ。
最高よぉ。
ゾクゾクしちゃう。

「ママ・・・」
「こうちゃん・・・」
アタシはこうちゃんの唇にキスをする。
こうちゃんはアタシのもの。
これからもずっとずっとアタシのものよ。
さあ、行きましょう。
ふたりで淫魔の世界へ。
これからもママがこうちゃんをたっぷりと気持ちよくしてあげるわ。
んふふふふふ・・・
アタシはこうちゃんを抱きかかえると、そのまま闇の中へと飛び去った。

END


いかがでしたでしょうか?
清楚な女性が淫魔になっちゃうっていいですよねー。
それにしてもなんか息子を襲う話が続いてしまいました。
結構好きなシチュなんですよー。(^_^;)ゞ

今日はこれにて。
それではまた。
  1. 2020/01/04(土) 20:00:00|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:9

怪人スーツを着て女怪人として夜中に暗躍するママだけどいい? (後)

「怪人スーツを着て女怪人として夜中に暗躍するママだけどいい?」の後編をお送りいたします。

任務を終えて帰宅したアリ女ママ。
まさかの夜中のトイレを終えた息子に姿を見られてしまいますが・・・

それではどうぞ。


「ママ? ママなんでしょ? どうしてそんな格好しているの?」
あわわわわ・・・
どうしようどうしよう・・・
見られちゃった・・・
見られちゃったわ・・・
「ち、違うのよ・・・これは違うのよ!」
何が違うのかわからないけど、とにかく違うのよ!
「ううん、その声はママだよ。わかるよ。顔が見えなくてもママだってわかるよ」
ダメぇぇぇ!
わかっちゃダメよぉ!
「違うのよ・・・ママじゃないのよ。これは違うのよ」
ああ・・・どうしましょう・・・
見られちゃった・・・
見られちゃったわぁ・・・

「アリ・・・でしょ?」
「えっ?」
「アリでしょ? その恰好」
わかるの?
私がアリ女だということがわかるの?
それはそうよね・・・
私はアリ女ですもの。
このスーツを着た姿はアリにそっくりよね?
「アリなんでしょ? ママ」
「え・・・ええ、そうよ。アリよ」
ああ・・・もうなんて言っていいのかわからない。
どうしたらいいの?
私はどうしたらいいの?

「わあ、やっぱり! すごいや! すごい! かっこいい!」
「え? えええ?」
な、何?
紀博の目がキラキラと輝いているの?
全然私を怖がっていない?
どうして?
私はグザリアンの女怪人なのよ?
お仕事で人間を殺しちゃうのよ?
今も殺してきちゃったのよ?
でも・・・
でも、全然怖がっている感じじゃないわ。

「ねえ、アリなんでしょ? アリだよね、ママ?」
「え、ええ、そうよ。私はアリ、アリ女よ」
ああ・・・私は何言っちゃっているの?
私がグザリアンのアリ女だと知った人間は始末しなくちゃならないのよ。
わかっているの?
「うわぁ、すごい! すごいよママ! 最高だよ! すごくかっこいいよ!」
ぐっとこぶしを握り締めて興奮してはしゃいでいる紀博。
ど、どういうこと?
私がアリ女だと嬉しいの?
どうして?
それに・・・
「か、かっこいい?」
私のこの姿がかっこいいと思っているの?
「うん。すごくかっこいい! 映画に出てくるスーパーヒーローみたい」
紀博がコクコクとうなずいている。
ああ・・・ダメよ・・・
私はヒーローなんかじゃないのよ。
むしろ悪側なのよ。

「ち、違うわ。私はヒーローなんかじゃないのよ。むしろ悪い女怪人なのよ」
そう・・・
この姿の私はグザリアンの女怪人なのよ。
おそらく普通の人は私を悪い怪人と思うはずよ。
だから近づいちゃダメなのよ。
トイレも終わって戻るところだったんでしょ?
早くベッドに戻って・・・

「あー、悪の怪人なんだ。やったぁ! うれしいな」
「えっ?」
「むしろボクはスーパーヒーローよりそっちの方が好きなんだ。悪の女怪人をやってくれるなんて、やっぱりママはボクのことをよく知っているんだね」
えええええ?
それはダメよぉ。
悪の怪人なんか好きになっちゃダメぇ。
紀博が悪の道に進んだりしたらママ困っちゃうわぁ。
どうしましょう・・・

ううん、それよりも、今はこの状況を何とかしなきゃ。
「い、言ったでしょ。違うのよ。私はあなたのママじゃないのよ。私はアリ女。悪い怪人なのよ。だから早く部屋に戻って!」
「あっ、そうか。ごめんね。その姿の時はアリ女って呼ばないとダメなんだよね。うわぁ、すごい。本格的だ。よろしくね、アリ女」
そ、そうじゃないのよ。
いや、そうだけど、そうじゃないのよ。
紀博の思っているようなことじゃないのよ。
こんなことが首領様に知られたら大変なことになるのよ。
「そうよ。私はアリ女なんだから、そのまま起きていると大変なことになるわよ。痛い目に遭いたくなければさっさと部屋に戻って寝なさい」
「もう少し一緒にいたらダメ?」
ええ?
もう少し?
「ダ、ダメよ! 死にたくなかったら早く寝ること!」
「わぁ、すごい! 本当に悪の女怪人みたいだ。かっこいいよ。それになんだかとってもきれい」
な、なにを言ってるの?
ば、バカね・・・
きれいだなんて主人からもずっと聞いていない言葉だわ・・・
なんだかドキドキしちゃうじゃない・・・

「うう・・・ボクなんだか変になっちゃった・・・」
紀博がなんだか困ったような顔をする。
「どうしたの?」
私は驚いた。
まさか私の蟻酸でもかかってしまっただろうか?
「ボクのおちんちん、なんだか変なんだ」
そう言って股間を抑える紀博。
えええ?
どういうこと?
おちんちんが変って?
トイレしてきたんじゃなかったの?

「えっ? どうしたの? 痛いの?」
私はすぐに紀博に近づき、屈み込んで目を合わせる。
「痛いって言うより・・・なんかおちんちんがパンパンになってる・・・」
「えっ? どういうこと? ちょっと見せて」
「うん」
私は焦りながら紀博のパジャマのズボンを下ろす。
ああ・・・どうしよう・・・
もしかして何か病気だったりしたら・・・

「ええっ?」
私は驚いた。
紀博のパンツを下ろしてみたら、紀博のおちんちんがピンとそそり立っていたのだ。
もしかして、これって勃起しているの?
紀博も勃起するの?
ど、どうしたらいいの?
「マ、ママ・・・」
不安そうな紀博の声。
そうだわ。
この子はもしかしたらこんなこと初めてなのかもしれない。
どうしたら・・・
ああ・・・
こんなに破裂しそうになっている・・・
主人にしているようにしてもいいのかしら?

私は思い切って紀博のおちんちんをくわえ込む。
「ん・・・んん・・・」
「えっ? マ、ママ? どうして? き、汚いよ? 今トイレしてきたばかりだし」
「ぷあ・・・大丈夫。汚くなんてないのよ。私に任せて」
「えっ? う、うん・・・」
私のいうことに素直にうなずく紀博。
そう・・・それでいいのよ。
今、私が気持ちよくしてあげるからね。
そしていっぱい出しちゃうといいのよ。
ママのお口にいっぱい・・・
ううん・・・
違うわ。
今の私は紀博のママじゃない。
私はグザリアンの女怪人アリ女なの。
だからこれはイケナイことなんかじゃないのよ。
これはアリ女が姿を目撃した子供を黙らせるためにしてあげているだけなの。
それだけなんだから。

「あっ、なんか変だよ、おちんちん変になっちゃった。あっ・・・あっ・・・あっ」
「んちゅ・・・いいのよ、そのまま出しちゃっていいの。私の口の中に出しなさい」
「いいの? なんかおしっこまた出ちゃう」
私の頭をつかむようにして立っている紀博。
その腰がだんだんガクガクとして来ている。
私も舌でおちんちんを舐め回すようにしながら頭を前後させ、射精を促していく。
うふふふ・・・
なんだか変な気分だわ。
私・・・すごく興奮している。
主人にするフェラなんか問題じゃないわ。
ああ・・・出して出して出してぇ・・・

「あああああ・・・」
紀博が声を上げると同時に、私の口の中にねっとりとした液体が放出される。
これがこの子のザーメンの味なのね。
うふふふ・・・
なんだかゾクゾクする。
息子のザーメンを味わっちゃうなんて、悪の女怪人ならではかもしれないわね。
癖になっちゃいそう。
美味しいわぁ。

「おしっこ・・・おしっこ出ちゃった・・・」
紀博が泣きそうな顔をしている。
私はそっと抱きしめる。
「大丈夫よ、のり君。これはおしっこじゃないの。男の子が出す私の大好物なのよ」
「大好物?」
「そう。アリ女はこれが大好きなの。でも、このことは内緒よ」
「う、うん」
私の複眼をじっと見てうなずく紀博。
うん。
それでいいの。
ああん・・・
かわいいわぁ。

                   ******

「うーん」
なんだかんだと雑事を終わらせ、私は思わず伸びをして躰をほぐす。
そろそろ紀博が帰ってくる時間だわ。
うふふふふ・・・

私は二階の寝室のクロゼットから、隠してあるトランクケースを取り出してくる。
そしてカーテンを閉めて中が見えないようにする。
まあ、ここは通りに面しているというわけでもないから、そうそう外から見られるということもないだろうけど。

トランクケースを開け、中身をテーブルに並べていく。
黒々とつややかに輝くヘルメットやプロテクターに対し、全身を覆う全身タイツは光を反射しないマットな黒さが際立っている。
ああ・・・
ドキドキする。
お仕事とは全く関係ないのにこれを着る。
これを着て本当の“私”になる。
本当の“私”が紀博を出迎えるのだ。
そう思うだけでドキドキが止まらない・・・
ああ・・・
本当にいいのかしら・・・

あの晩、私たちは約束をした。
このことはだれにも・・・パパにも絶対内緒にすること。
約束をきちんと守ってくれれば、またこの服を着てアリ女になってあげること。
そしておちんちんに気持ちいいことをしてあげること・・・をだ。
その約束を紀博はきちんと守っている。
だから私も・・・約束を守るのだ。

私はいつもと違う日中の時間帯にアリ女の衣装を身に着けていく。
全身タイツに身を包み、レオタード型のプロテクターを上に重ね、ブーツや手袋も嵌めていく。
そして、アリの頭部を模したヘルメットをかぶり、アリ女へと生まれ変わる。
「ふう・・・」
いつもならこれから庭へ出て、土の中へと潜っていくのだけど、今日は違う。
今日はどこに出かけることもない。
この姿でこのまま紀博の帰りを待つのだ。
もし・・・
もし誰か来たら・・・
ど、どうしましょう・・・
誰も来ませんように・・・

私はトランクのふたを閉め、リビングの隅に寄せておく。
落ち着くためにコーヒーを淹れるが、なんだかドキドキして落ち着かない。
ああ・・・
のり君・・・
早く帰ってきてぇ・・・
私はまるで新婚時代に主人の帰りを待っていたかのように紀博を待つ。
ああ・・・
ドキドキするわぁ・・・

「ただいまぁ」
玄関で声がする。
私は一呼吸置き、それからおもむろに立ち上がる。
「お帰りなさい」
「ただいまー。うわぁ!」
部屋に入ってくるなり目を丸くする紀博。
うふふふふ・・・
どう?
この格好の私が見たかったんでしょ?

思わず立ち尽くしてしまった紀博を、私は優しく抱き寄せる。
「うふふふふ・・・捕まえた」
「えへへへ」
凶悪な女怪人につかまったというのに、にこにこしちゃっていちゃダメよぉ。
本当なら私はのり君を殺さなきゃならないのよ。
グザリアンの女怪人を見たものは始末しなきゃいけないの。
わかってる?

「ママァ・・・」
紀博も私の躰に抱き着いてくる。
こら・・・
ダメでしょ?
この格好の私はママじゃないのよ。
グザリアンの女怪人アリ女なんだから。
アリ女って呼ばないと。
「のり君、違うでしょ」
「あ、そうだった。アリ女だ」
「そうよぉ。私はアリ女。この姿の時はママじゃないのよ」
「うん。気を付ける」
もう・・・この子ったら・・・
そんなにキラキラした目で私を見るなんて・・・
うれしいわぁ。

私はそのまま紀博を持ち上げるようにして抱きかかえる。
うん、大きくなった今は普段の私には無理だけど、この姿なら余裕でこの子を抱きかかえられるわね。
「あ、ど、どうするの?」
「いいからおとなしくしていなさい。のり君はもう私に捕まったんだから」
「う、うん」
私は紀博を抱きかかえたまま階段を上がり、紀博の部屋へと連れていく。
そして部屋に入ると紀博を下ろし、背中のランドセルを下ろさせた。

「うふふふふ・・・さあ、アリ女がお口で気持ちよくしてあげる」
ランドセルを置いた紀博を、私はベッドの前に立たせてズボンを脱がす。
そして下半身をパンツだけにすると、そのままベッドに押し倒す。
うふふふふ・・・
いただきます・・・
私は舌なめずりをして紀博に覆いかぶさっていった。

                   ******

「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい。車に気を付けるのよー」
今朝もいつもと同じように紀博を送り出す。
うふふふ・・・
今日も帰ってくるのが楽しみね。
昨日はたっぷりとあの子の味を味わっちゃったわ。
うふふふふ・・・

でもまあ、ちょっと味わいすぎたのか、夕食のころはぐったりしちゃって寝るのも早くて、主人が風邪でも引いたのかって心配していたから、注意しなくちゃね。
主人の方も適当にかまってあげないと、気付かれたりしたら厄介だし。
でも、もう主人のなんてどうでもいいわ。
あの子の味を知っちゃった今、もうあの子無しには考えられないもの。
うふふふふ・・・
早く帰ってこないかしら・・・

コーヒーを淹れて一息つきながらスマホを見る。
LINEやメールの確認をするのだ。
まあ、専業主婦のスマホにLINEやメールが来ることなどめったにないのだけどね。
と・・・メールが一件。
グザリアンからだわ・・・
また仕事かしら・・・

メールを開いた私は息をのむ。
首領様が連絡を求めている?
連絡を・・・しなくては・・・
連絡を・・・
いったい首領様が私に何を?
偉大なる首領様がいったい・・・
まさか・・・
私は背筋に冷たいものを感じていた。

                   ******
                   ******

「ただいまー」
今日もまた、紀博が学校から帰ってくる。
うふふふふ・・・
喜んでくれるかしら。

「お帰りなさい」
「あっ!」
リビングに入ってくるなり目を丸くする紀博。
それはそうよね。
一週間ぶりだものね。

「わぁーい! アリ女だ! やったー!」
いきなり飛びついてくる紀博。
思わず私はよろけてしまう。
あん・・・
やっぱり力が出ないわぁ・・・
こんなことでよろめいてしまうなんて・・・

「もう、いきなり抱き着いてきたら危ないでしょ」
「ご、ごめんなさい」
謝りつつもうれしそうな顔で私を見上げている紀博。
ホントにこの子ったらアリ女の私が好きなのね。
大丈夫よ。
私はずっとそばにいるから。

あの日、首領様に呼ばれた私はアジトに出頭した。
そこで私は、首領様に紀博に正体を知られてしまったことを問い詰められたのだ。
グザリアンの掟は守らなくてはならない。
私は首領様に紀博を始末するように命じられた。
でも・・・
私にはそんなことできるはずもない。

私はできないと言った。
息子を手にかけるなんて私には無理。
いくら私がグザリアンのアリ女だとしても、それだけは無理。
だから私は必死にあの子は誰にも言わないこと、快楽によって虜にし、絶対服従をさせることなどを訴えた。
でも、首領様の言葉は冷たく、子供を始末するか、もう一つの道を選ぶかを訊いてきたのだった。

もう一つの道・・・
それはグザリアンの女怪人であることを辞めることだった。
グザリアンの女怪人であることを辞め、普通の人間に戻ってしまうこと。
それは確かに苦しいことではあったけど、私はそっちを選択した。
ええ・・・紀博を失うなんてできないもの。

首領様は私の願いを聞き入れ、私はグザリアンの女怪人であることを辞めた。
私の躰には再調整が行われ、ごく普通の人間と同じになってしまった。
さらにはアリ女のスーツも回収されたが、私が何とか頼み込んで、外見を模倣したレプリカを用意していただいたのだ。
そのレプリカが今日届き、こうして紀博にお披露目をしているというわけ。
感謝しなさいよ、のり君。
このスーツ、わざわざ用意してもらったんだからね。

「うれしいな。やっぱりアリ女のママは最高。もうこの格好してくれないかと思った」
私の胸に頬擦りをしてくる紀博。
「こら、ママって呼ばないって言ってるでしょ。私はアリ女よ。ちょっとスーツを手直ししてもらったの」
「そうなんだー。」
「これからは二人きりの時はいつでもアリ女になるわよ。のり君専用のアリ女なんだから」
うふふふふ・・・
のり君以外にこんな格好見せるつもりないしね。
それに、あの日以来アリの巣キットのアリたちは解放しちゃったんでしょ?
彼らがいなくても私がいるものね。
あなた専用の女王アリ女が。

「わぁい。ボク専用のアリ女なんてうれしいな。ねえ、またあれ、してもらってもいい?」
「もちろんいいわよぉ。たっぷり出してもらうからね」
「うん!」
私は大きくうなずいた紀博を連れて二階へと上がっていく。
主人が帰ってくるまではまだたっぷりと時間があるわ。
二人で思い切り楽しみましょうね。
うふふふふ・・・
ゾクゾクするわぁ。
私はこれからのことを思い、舌なめずりをするのだった。

END


以上です。
いかがでしたでしょうか?
感想コメントなどいただけますと嬉しいです。
明日にはまた短編を一本投下しようと思いますので、お楽しみに。

それではまた。
  1. 2020/01/03(金) 20:00:00|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:12

怪人スーツを着て女怪人として夜中に暗躍するママだけどいい? (前)

新年最初のSSは前後編で投下したいと思います。
今日はその前編です。
タイトルは「怪人スーツを着て女怪人として夜中に暗躍するママだけどいい?」です。
お楽しみいただければと思います。

それではどうぞ。


怪人スーツを着て女怪人として夜中に暗躍するママだけどいい?

「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。車に気を付けるのよー」
元気に玄関を飛び出していく息子の紀博(のりひろ)を私は見送る。
もう後ろを振り返りもしないで学校へ向かっていくわ。
学校が楽しそうで何よりねー。

さてと・・・
やっと朝のバタバタが終わった。
毎朝のことだけど、主人と紀博を送り出すまでは戦争よねー。
起きて朝食の支度をして主人を起こして紀博を起こして顔を洗わせて歯を磨かせて・・・
はあ・・・
ホント大変なんだから。

もちろん主人や紀博が出かけたからと言って、のんびりできるわけではない。
掃除も洗濯もしなくちゃならないし、食材の買い物にも出かけなくちゃいけないのだ。
やることはたくさんある。
とはいえ、一息つくぐらいは許されるだろう。
「いい香り」
私はインスタントのコーヒーを淹れ、テーブルについて一息入れる。
主人や紀博には朝食を作るけど、私はいつも朝はコーヒーだけ。
栄養補給なら、あとで特殊タブレットを飲めばいいことだ。

テレビでは相変わらずワイドショーが芸能人ネタや政治ネタをやっている。
いつもと変わらない午前中。
平凡な主婦の生活ってこんなものかしらね。

「さてと、始めましょうか」
コーヒーを飲み終えた私は、立ち上がって台所に向かう。
朝食後の家族の食器と一緒に洗ってしまい、水切り籠に並べていく。
掃除が終わったころには水も切れ、食器棚に戻すのだ。
そろそろ食洗器が欲しいわねぇ。
と、いうことで次は掃除。
私は二階に上がると、掃除機をセットして各部屋ごとにかけていく。
私たちの寝室が終われば紀博の部屋。
扉を開けて私はため息をつく。
今日もまた、いろいろと散らかっているものだ。
やれやれねぇ・・・

仕方なくベッドの周りをかたずけ、シーツと枕カバーを洗濯のためによけておく。
押し入れから洗濯済みのシーツと枕カバーを取り出し、新たにベッドに敷いていく。
床に置かれた本や漫画はとりあえず脇によけておく。
自分で片付けさせないと習慣付かないから、自分でさせなくてはならないのだ。
あの子が帰ってきたら最初にやらせなくては。

一通り終わったところで、今度は机のところに行く。
机の上も乱雑と言えば乱雑だったが、まあ、勉強や宿題をするスペースは確保されているようだ。
それよりも・・・
私は机のすみに置かれたケースに目を向ける。
それは透明で小さな金魚鉢のようなプラスチックケースだが、金魚鉢のような奥行きはなく、むしろすごく厚みがなく薄い。
中には白い砂粒がケースの上の方まで入っていて、その砂粒の中を黒い小さな生き物が動いている。
アリだ。
あの子にねだられて買ったアリの巣観察キット。
先日公園で捕獲してきたアリが十数匹ほど中で活動しているのだ。
白い砂粒が敷き詰まった土の中に見事なトンネルを掘っている。
部屋も二つほどあるようだ。
トンネルの中を動き回るアリたちを見ているだけで、結構面白い。
かわいいわぁ・・・
やっぱりアリは最高よね・・・
あの子はちゃんと餌をあげているのかしら。
あげてなかったら困るから、あとで私からも餌をあげるわね。
楽しみにしててね。

アリ。
キットの中でちょこちょこと動き回るかわいいアリたち。
でも、このアリの巣はそう長くは持たないだろう。
そう思うと私は心が痛む。
ここには大事なものが欠けているのだ。
そう・・・大事なものが・・・
「アリには女王様がいないと・・・ね・・・」
女王様がいないと・・・

私はしばらくアリたちを眺めていた。
ふと目をやると、アリの巣キットのそばには昆虫図鑑が置いてある。
きっとアリに関して調べているのだろう。
あの子がアリに興味を持つなんて・・・
やっぱり私の息子ということなのだろうか・・・
アリの素敵さ、すばらしさをわかってくれただろうか・・・
あの子が本当の“私”を知ったらなんていうかしら・・・
私はふとそう思ったが、慌てて首を振ってその考えを否定する。
本当の“私”を知られるなどということがあってはならないのだ。
そう・・・
本当の“私”を・・・

とりあえず私は掃除機かけを再開する。
本当の“私”?
今の私は偽物なのだろうか?
こうして平和に暮らしている私は・・・
でも・・・
あの子のためにも・・・

私は思いを振り払うように掃除に専念する。
紀博の部屋が終われば次は階段。
そして一階のリビングと和室に掃除機をかけて終了。
ふう・・・

水切りの終わった食器を食器棚に戻したら今度は洗濯。
主人のものと私のもの、紀博のものと区分けし、洗濯機に放り込む。
洗濯機が回っている間に私は冷蔵庫の中身を確認し、買い出しのメモを作っていく。
今晩は何にしようかしら。
ハンバーグは先日作ったし、カレーも最近食べたし・・・
肉じゃがあたりを作ろうかしらね。
きっと主人も喜ぶし。

私はドキッとする。
テーブルに置いてあったスマホが振動しているのだ。
メール?
まさか・・・

私はスマホを取り上げて確認する。
着信は思った通りメールだった。
しかも発信元は・・・グザリアン・・・
仕事が・・・入ったんだわ・・・
ああ・・・
本当の“私”にまた戻る時が来たんだわ・・・
久しぶりの本当の“私”に・・・

                   ******

「いっただっきまーす!」
おいしそうに夕食を頬張っていく紀博。
やっぱり作ったものをおいしく食べてもらえるのはうれしくなる。
いつかこの子も私の味を家庭の味としてお嫁さんに伝えたりするのかしら。
あと10年もしたら・・・
ううん・・・まだまだお嫁さんなんて早いわよ!
変な女を連れてきたりしたら赦さないんだから。

「ママ、どうかした?」
「えっ?」
「ボクの方をずっと見てたから」
ああ・・・
私は首を振る。
「ううん、何でもないわよ。美味しそうに食べてくれるなぁって思って」
「だって美味しいもん」
うれしいこと言うじゃない。
好き嫌いがないのがこの子のいいところよね。
人参もピーマンもちゃんと食べてくれるし。
主人は結構好き嫌いがあるから、きっと私に似たのねー。
いい子ねー。

「ただいまー」
玄関で声がする。
あら、今日は早かったのね。
私は立ち上がって玄関に行き、主人を出迎える。
「お帰りなさい。早かったのね」
「うん、今日は早く帰れた。お、いい匂いだな」
靴を脱ぎながら早速匂いを嗅ぎつけている主人。
「今日は肉じゃがよ」
「お、そいつは早く帰れてよかった」
そういって笑う主人。
いっぱいあるからたくさん食べてね。

夕食後、紀博と一緒にお風呂に入る主人。
私は後片付けをしながら、薬を用意する。
上がってきたら主人にこれを飲ませるのだ。
これはグザリアンが用意した睡眠薬。
これを飲ませれば朝までぐっすりと眠り、少々のことでは起きない。
私が抜け出しても気付かれないようにするには、これを飲ませておくのが大事なのだ。
紀博は部屋が違うし、めったなことでは夜中に起きたりしないから問題はない。
お仕事のためには仕方がないのよ・・・

夜中・・・
すっかり寝入ってしまった主人を横目に私は布団から出る。
そして、クロゼットの奥に隠してあったトランクケースを取り出し、それをもって寝室を出る。
向かいの部屋は紀博の部屋なので、できるだけ音をたてないようにする。
本当なら睡眠薬を飲ませればいいのだろうけど、あの睡眠薬は子供には強力すぎて、おそらく昼ぐらいまで目覚めなくなってしまううえに、躰にもよくないという。
まあ、あの子は一度寝たら起こすまで起きないから大丈夫よね・・・

私はそっと階段を下りて一階のリビングに行く。
そしてトランクケースをテーブルの上に置いてふたを開ける。
そこには黒くつややかな輝きを見せるいくつかの物が入っている。
これをまた身に着ける時が来たのね。

私はケースの中身をテーブルの上に取り出して並べていく。
それはすべすべしたナイロンのような素材でできている全身を覆う全身タイツと、両手両足に着用する手袋やブーツ、さらに全身タイツの上から胴体を覆う硬いプロテクターと頭にかぶるヘルメットだ。
私はそれらを並べた後、着ているものをすべて脱いで裸になる。
そしてマットな黒さの全身タイツを手に取り、背中側の開口部から足を入れて着込んでいく。
これって、吸いつくようなタイツの感触がとても気持ちいいんだけど・・・
「ん・・・きつい? もしかして太った?」
タイツを腰まで持ち上げていくと、いつになく締め付けられる感じがする。
私の躰は調整が行われているから、そんなに体形の変化は起きないはずだけど・・・
前回着た時からしばらく時間が経っているから、そんな感じがするのかもしれないわね。

「んしょ・・・」
私は躰に張り付くように密着する全身タイツをやや苦労しながら着込んでいく。
うう・・・
前回着た時はこんなにきつくなかった気がするのに・・・
少しダイエットしないとダメかしら・・・
体重は変わっていないはずなのに・・・

「ふう・・・」
髪をまとめて頭にかぶるフード部分をかぶり、ようやく全身タイツを着終える私。
これで顔の部分以外はすべて全身タイツに覆われることになる。
それこそつま先から指先、頭のてっぺんまで。
まるでテレビのバラエティ番組に登場するお笑いキャラみたいだけど、この全身タイツは特殊な繊維で作られているので、銃弾なんかは通さない。
それにある程度パワーサポートもしてくれるので、私でも力自慢のプロレスラーを片手でひねり上げることができるのよ。
すごいタイツなんだから。
とはいえ、こうもあからさまに躰のラインが出るのはやっぱり恥ずかしいわねぇ。

私は次に胴体部分を覆うプロテクターを着る。
これはつやのあるやや厚めのエナメルレザーのレオタードといった見た目をしている。
これを着ることで、股間の部分から首元まではタイツと二重に覆われることになるのだ。
この部分は爆弾の爆発だって耐えることができるのよ。
それにとても軽いから、着ていることもあんまり感じないしね。

そして私は膝上までのブーツを履く。
こちらもつややかなエナメルレザーのロングブーツといったもの。
かかとがとがったハイヒール状になっていて、これで蹴りを入れればかなりの破壊力となるわ。
私はファスナーを下ろしてタイツに包まれた足を入れ、ファスナーを上げて密着させる。
これでちょっとやそっとでは脱げないし、私の足そのものといっていいものとなる。
もちろん両手にはめる長手袋も同じこと。
肘までの長さの手袋は手の部分が厚めに保護されており、衝撃を吸収するようになっているし、指先には鋭い爪が付いているので、土はおろかコンクリートさえ突き破ることができる。
まさに私の武器。
今回もこれで・・・
ふう・・・
仕方ないの・・・
仕方ないのよ・・・

私は最後に残ったヘルメットを手に取る。
アリの頭部を模したような形をしており、巨大な複眼が私を見つめてくる。
これをかぶることで私は完成し、私は本当の“私”となる。
そうなれば私はグザリアンの一員として仕事をこなして報酬を得る。
ただそれだけのこと。
ただそれだけ・・・
報酬を得ればあの子の教育資金にできる。
将来あの子が何をするにも、お金は必要。
主人は全力で頑張ってくれているし、私を専業主婦にもしてくれている。
でも、貯金はあるに越したことはないのだ。
私が仕事をすれば、それだけ我が家は潤う。
それだけのこと・・・
それだけの・・・

私は意を決してヘルメットをかぶる。
頭の部分から鼻のところまでを覆うようになっており、口元だけが露出する。
両目の部分は完全に覆われてしまうような形となってしまうものの、ヘルメットの左右に付いた大きな楕円形の複眼と、額部分に伸びる二本の触角とによって、周囲の状況がダイレクトに脳に伝わってくる仕組みになっている。
そのため目が露出していなくても何も問題はなく、むしろ闇の中だろうが何だろうが周囲を把握するには何の問題もない。
それこそ土の中でも行動することができるわ。
そして・・・
このヘルメットをかぶることで、私の中にグザリアンの一員である喜びが湧いてくる。
うふふふふ・・・
そう・・・
これこそが本当の“私”。

私はリビングにある鏡にその姿を映し出す。
全身を黒一色で覆ったその姿は、まるで女の躰を持ったアリのような姿。
そうよ。
私はアリ。
偉大なるグザリアンの一員アリ女。
人間なんかとは違うのよ。
うふふふふ・・・

すべてを身に着け終わった私は、トランクケースのふたの裏側にあるスイッチを入れる。
ふたの裏には偉大なるグザリアンの紋章が描かれており、スイッチを入れることでその紋章が反応を始めるのだ。
「偉大なる首領様。アリ女、準備完了いたしました」
私は右手を斜めに上げ、忠誠のポーズをとる。
グザリアンの一員として心から首領様に忠誠を誓うのだ。
『アリ女よ、任務を与える』
紋章から首領様の重厚な声が聞こえてくる。
ああ・・・なんて素敵なお声だろう。
ちっぽけな私をこうして偉大なるグザリアンの一員にしてくださった首領様。
首領様のためならどんな任務もこなして見せるわ。

首領様に任務をいただいた私は、トランクケースを閉じて庭に出る。
うふふふふ・・・
私はそのまま庭の隅へ行くと、穴を掘って土の中に潜り込む。
アリ女である私にとって、土の中を移動するなどお手の物。
ターゲットに近づくのも容易になるのよ。
うふふふふ・・・

                   ******

土をかき分けて外に出る。
さっき出て行った我が家の庭の隅にぴったりと到着。
あとはかき分けた土を元のように埋め戻せばOKね。
明日にでもこの辺りを手入れと称してほじくり返せば、痕跡もかき消せるでしょう。

私は周囲を見渡して確認する。
誰も我が家の庭をこんな真夜中に注視している様子はない。
私はプロテクターなどに付いた土を払い落とし、そっと家に入る。
ふう・・・
これで一安心。
今回も任務完了だわ。

くふふふふ・・・
容易いもの。
ターゲットの家の庭まで穴を掘り進み、そこから家の中に忍び込んでターゲットを抹殺する。
殺したらあとは私の触角から出る蟻酸で溶かすだけ。
グザリアンにとっての邪魔者はそれで消え失せる。
くふふふふ・・・
首領様にもきっとお喜びいただけるわ。

さて、日が昇らないうちに着替えてしまわないと。
本当の“私”からいつもの私になるのはちょっと残念だけど、いつまでもこの姿でいるわけにもいかないものね。
私がそう思ってヘルメットを外そうとしたとき、突然部屋の明かりが点く。
「えっ?」
「えっ?」
私が振り向くと、そこにはパジャマ姿で立つ紀博の姿があった。
「の、のり君? 起きてきたの?」
「えっ? ママ? ママなの?」
しまったぁぁぁぁぁ!
ついついいつもの感覚でのり君って呼んじゃったぁぁ!
ど、どうしましょう・・・
姿を見られたら・・・
姿を見た者は・・・
グザリアンの怪人の姿を見た者は・・・

続く

  1. 2020/01/02(木) 20:00:00|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

チンポ怪人出現

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、pixiv等で「マラ頭巾」なる作品がいくつかございます。

そのデザインがとてもいやらしくてエロくていいなぁと思いましたので、今回そのデザインを基にした怪人に登場願うことにいたしました。
「マラ頭巾」ではお顔が全部あらわになっているのですけど、今作中のチンポ怪人は口元だけが出るようなデザインとなっております。

タイトルは「チンポ怪人出現」です。
お楽しみいただければ幸いです。
それではどうぞ。


チンポ怪人出現

「う・・・うう・・・ん」
だんだんと意識がはっきりしてくる。
ここはどこ?
私はいったい?

「ハッ」
私は目を開ける。
ここはいったい?
確か私は本部に戻る途中で襲撃を受けて・・・
あっ、ほかの二人は?

気が付くと私は両手を広げて固定され、十字架に磔にされたような形で立たされていた。
しかも、着ていた制服は脱がされ、首から下はまるでパンティストッキングの生地みたいな薄手のナイロンのようなものでできた透ける衣装を着せられている。
まるでストッキングでできている全身タイツのよう。
全身に着ているのに胸も、おそらく股間も透けて見えてしまっている。
は、恥ずかしい・・・
どうしてこんなのを着せられているというの?

「お目覚めですかぁ?」
やや甲高い女性の声。
カツコツという硬質の足音が響き、私の前に一人の女性が現れる。
見るからにけばけばしい化粧をし、真っ赤な唇に笑みを浮かべているその顔は、見るものによっては美しいというのかもしれない。
黒い皮の躰にぴったりした水着のような衣装をまとい、その胸をこれでもかとばかりに誇示している。
脚には網タイツを穿き、黒いブーツを履いていた。
何度かモニターで見かけた女性。
魔女ベルリシラ。
この世界を狙う悪魔どもの一人。

「どう? 眠り薬でゆっくり眠れたかしら?」
ベルリシラが黒い手袋に包まれた手で私の顎を持ちあげる。
私は無言で彼女をにらみつけた。
「あらあら、ご機嫌ななめみたいね。まあいいわ。もうすぐそんな気分も消え去るでしょうから」
ベルリシラが私の顎を離し、一歩後ろに下がる。
「私をここに連れてきたのはあなただったのね」
「当然でしょ。私たちにとって邪魔な組織であるパルサーチームの司令官なんですもの。丁重にご招待させてもらったわ」
やはり私をパルサーチームの司令官と知って拉致したわけか・・・
人違いでごまかすというわけにもいかなさそうね。

「ほかの二人はどうしたの?」
「始末したわ。必要ないもの」
ふふっと笑うベルリシラ。
私は護衛の二人のことを思い、唇を噛む。
悪魔め・・・
絶対に許さない。

「安心しなさい。あなたは殺さないわ」
「私を生かしておけば、あなたが後悔するわよ」
「さあ、どうかしら」
「ひっ!」
突然ベルリシラの手が私の胸を揉み、思わず声が出てしまう。
くっ・・・
私を辱めるつもりなのか?

「こんな服を着せて・・・私をどうするつもり?」
「うふふふふ・・・似合うわよ。全身パンストみたいで黒くてスケスケでおっぱいもおマンコも丸見え。あんまりお手入れはしていないみたいね。草がぼうぼう」
「くっ・・・黙れ! ひゃぁっ! やめろぉ!」
ベルリシラの手が今度は私の股間をまさぐってくる。
くう・・・
こんな目に遭わされるなんて・・・
いっそ殺したらどうなの!

「そんなことをしても無駄よ。いっそ早く殺したらどう?」
「言ったでしょ? あなたは殺さない。簡単に殺しちゃつまらないでしょ。それよりも・・・」
ベルリシラの顔が私のすぐそばに近づいてくる。
「お前にはたっぷりと屈辱を味わわせ、パルサーチームには絶望を思い知らせてあげるわ。もっとも、すぐにお前は屈辱など感じなくなっちゃうでしょけど」
そう言ってペロッと私の頬を舐めるベルリシラ。
いったい何をするつもりなの?
何をされても私は屈したりなど・・・

「これが何かわかるかしら?」
脇のボックスから何かを取り出すベルリシラ。
何?
三角の器?
それは中央がくぼんだ奇妙な形をしたピンク色のもの。
私が答えずにいると、ベルリシラがニヤッと笑う。
「ああ、ごめんねぇ。逆さまだったわぁ。これはね、こうするものよ!」
そう言って手にしたその器のようなものを私の頭にかぶせてくる。
「な、何?」
それは器のような硬いものではなく、何かぐにゃっとしたようなもので、私の頭にマスクのようにかぶせられ、首元まで覆ったかと思うと、肩と胸のあたりまで覆ってしまう。
さながら頭部がピンク色のマスクに覆われてしまったかのようで、視界がピンク一色になる。
「な、何これ? 何なの?」
どうやら口元だけは覆われていないようで、声を出すことはできるが、周りがまったく見えないのだ。
「うふふふふ・・・心配はいらないわ。すぐに感じ取れるようになるはずよ」
感じ取れる?
どういうこと?
ああん・・・
なんだか変な感じ・・・
胸が・・・もやもやする・・・

目の前がだんだんとちらちらしてくる・・・
なんだかうっすらと目が見えてきたような気がするわ。
これは手ね?
ベルリシラが私の顔の前で手を振っているんだわ。
「な、何をしているの?」
「手を振っているの、わかる?」
「わ、わかるわ」
ええ、なんだか周囲の様子がわかってきたわ。
磔になった私の前で、ベルリシラが手を振ってにやにやと笑っている。
それにとってもいい匂い。
これは彼女の匂いかしら?
ああん・・・なんだかムラムラしてきちゃうわ。

「じゃあ、これが何かわかるかしら?」
ベルリシラが何かを持ってくる。
何かしら?
板のようなもので・・・何かが映っているわ。
これは鏡ね。
ということは映っているのは私?
そ、そんな・・・これが私だというの?

私は驚いた。
そこに映っていたのは両手を広げて磔にされた女。
でも、その姿はとても異様だったのだ。
胸から下は黒い全身ストッキングを着たようにうっすらと透けた裸の女性。
おっぱいもおマンコも透けてほとんど丸見えになっている。
でも、胸から上は、まるでピンク色の・・・
まるでピンク色した男の人のあれのよう・・・
そう・・・
まるでチンポのようだったのだ。
エラを張り三角形の先端をそそり立たせたあのチンポのように・・・

「あはははは! どう? チンポになった気分は? すごくよく似合っているわよ」
ベルリシラが笑っている。
そんな・・・
私がチンポに?
チンポになっちゃったというの?
いや・・・
いやよ!
チンポなんていや!
いやよぉ!

「いやぁぁぁぁぁ!」
私は思い切り悲鳴を上げる。
いやよぉ!
取って!
取って取って取って!
この変なのを取ってぇぇぇぇ!

「あはははは・・・大丈夫よ。心配いらないわ」
えっ?
大丈夫?
どういうこと?
「言ったでしょ? すぐにいやじゃなくなるって」
「ひゃっ!」
鏡を置いたベルリシラが私の胸を揉んでくる。
「ほーーーら、気持ちいいでしょ?」
「いやっ! いやっ!」
私は身をよじって何とか逃れようとする。
でも磔になっていて動けないわ。
ああ・・・
な、なんなの?
なんだかいつもと感じが違うわ。
胸・・・
胸がなんだか・・・
クニクニと中で硬いものが動いているような・・・
ああん・・・
気持ちいい・・・

「うふふふふ・・・吐息が甘くなってきたわよ。胸がタマタマになってきたのがわかるでしょ? あんたはチンポになるのよぉ」
「いやぁ・・・いやぁ・・・」
ああん・・・
タマタマ気持ちいい・・・
さわさわと揉み揉みされるの気持ちいい・・・
だ、だめぇ・・・
タマタマだめぇ・・・
感じちゃう・・・
なんか感じちゃうぅ・・・

「うふふふふ・・・次はこっちよ」
「ひぃっ!」
ベルリシラの両手が私の首筋を撫でてくる。
な、何これぇ?
首筋を撫でられるのがこんなに気持ちいいなんてぇ。
信じられないぃ。
「ほーーら、シコシコ・・・シコシコ・・・」
「ひあぁぁぁぁ」
彼女の手が私の首筋を上下に撫でるたびに、私の全身を快感が走る。
嘘でしょ?
こんな快感初めてぇ。
気持ちいいー!
気持ちいいよぉ!

いつしか私はおマンコからだらだらとお汁を垂らしていることに気が付いた。
ああん・・・
おマンコ汁が出ちゃう・・・
だってぇ・・・
気持ちいいんだもん。
おマンコなんかよりもずっと気持ちがいいの。
おチンポシコシコ・・・
もっとシコシコしてぇ・・・

あっあっあっ・・・
なんか来る・・・
なんか来ちゃう・・・
頭のてっぺんになんか来るぅ・・・
出ちゃう出ちゃう出ちゃう・・・
あひーあひーあひー!
出ちゃうぅぅぅぅぅぅ・・・
私の躰にドバドバと降り注ぐ白い液。
あはあ・・・
なんか出ちゃったぁ・・・
気持ちいい・・・
なんだか頭の中が空っぽになっちゃったかのよう・・・
ああん・・・
もっともっと出したいわぁ・・・
あははははは・・・

「あっはははは・・・いっぱい出したわねぇ。どう? ザーメンを出した気分は?」
あー・・・
アタシが出したのはザーメンだったんだぁ・・・
あははは・・・
もう最高!
ザーメンもっともっと出したーい。
ドピュドピュって出したいわぁ・・・

カチャリと音がして、アタシの両手と両脚が自由になる。
あはぁ・・・
うれしい・・・
これでタマタマ揉み放題だわぁ。
アタシはさっそくお胸タマタマを揉んでいく。
ああん・・・
お胸タマタマがコリコリして気持ちいい・・・

「うふふふふ・・・」
アタシを見ているベルリシラが笑みを浮かべているわ。
あはぁ・・・
いい匂い。
メスの匂いだわ。
ああん・・・
彼女ってなんてエロい躰をしているのかしら。
思わずシコりたくなっちゃうじゃない。
シコシコしてザーメンをドピュドピュとぶっかけたいわぁ。

「あーらら、すっかりチンポ怪人になっちゃったかしら?」
私はハッとする。
わ、私はいったい何を・・・
私は首筋をさすっていた手を必死の思いで下ろす。
「違う・・・」
「あら? まだ自我が残っていた?」
「私は・・・私はチンポ怪人なんかじゃない!」
そうよ。
私はチンポ怪人なんかじゃないわ!
私は地球を守る・・・地球を守る・・・なんだったっけ・・・とにかく地球を守るチームのシコシコを・・・シコ指揮を執るのよ。
ああ・・・シコシコ・・・シコシコしたい・・・
シコシコしてドピュドピュ出したい・・・
私はベルリシラから顔をそらす。
ダメよ!
彼女を見ていたらムラムラしてシコっちゃいそう・・・
見てはダメ!

「あらぁ? もしかして、私を見て勃っちゃっているのかしらぁ? なんだかうれしいわね。ほーら、もっと見ていいわよぉ。私でシコっちゃいなさい」
「あっ!」
ベルリシラがアタシのそばに寄ってきて、いい匂いを振りまきながらアタシの顔を振り向かせる。
ああーーん・・・
メスだわぁ。
それも上質なエロいメス。
たまんなーい。
くふふふふ・・・
マン汁が垂れてきちゃう。
お胸タマタマもザーメン作っちゃうわよぉ。

ダメ・・・ダメよぉ・・・
ああん・・・
お胸タマタマ揉み揉みぃ・・・
ダメぇ・・・
ダメなのにぃ・・・
ああん・・・手が止まらないわぁ・・・
揉み揉みだけじゃダメ・・・
シコシコしなきゃ・・・

「あはははは! 私でシコってくれるのね? うふふふふ・・・ほーら」
ベルリシラ様がアタシのためにポーズを取ってくださっているわ。
それもペタンこ座りでおマンコに手を添えてオナりポーズなんてぇ。
最高ですわぁぁぁ。
アタシはもうたまらなくなって首筋を両手でシコっていく。
シコシコシコシコ・・・
ああん・・・気持ちいいー!
お胸タマタマからザーメンが上がってくるわぁ。
頭がピクピクしちゃうぅ・・・
あひぃ・・・
ダメ・・・
アタシはチンポじゃ・・・
アタシは地球を・・・
地球のメスでシコシコして・・・
ザーメンドピュドピュぶっかけるのよぉぉぉぉぉ・・・
あひぃぃぃぃぃぃ・・・

アタシの頭からドロドロザーメンがドプドプとあふれ出る。
あはぁぁぁぁ・・・
気持ちいいぃぃぃぃぃ・・・
ザーメンドピュドピュ気持ちいいわぁ・・・
もっともっと出したいわぁ・・・

アタシは全身の力が抜けたように床にへたり込む。
あはぁ・・・
なんだかもうどうでもいいわ。
エロいメスを見てシコシコできればそれでいいの。
ああん・・・
もう何も考えられない・・・

「うふふふふ・・・今度こそ完全にチンポ怪人になったんじゃない?」
ベルリシラ様がアタシの頭から漏れ出した残りを指ですくって舐めてくださる。
あはぁ・・・
うれしい・・・
アタシのザーメンもっと舐めてぇ・・・
「はぁい・・・アタシはぁおマンコ汁垂らしながら頭シコシコしてザーメンドピュドピュ飛ばすチンポ怪人ですぅ。もっともっとザーメン出したいですぅ」
アタシも自分の躰に付いたザーメンを指で舐めてみる。
あはぁ・・・
これがアタシのザーメン・・・
いいんじゃなーい?

                   ******

「うわー!」
「きゃぁー!」
悲鳴を上げて逃げまくる人間たち。
ああん。
オスはどうでもいいのよね。
オスなんか見たってアタシは勃ったりしないのよ。
やっぱりメス。
エッロいメスの熟れた躰を見ると、アタシはムラムラして勃っちゃうのよ。
そしてシコシコしてドピュドピュしちゃうわけ。
特におびえる表情のエロいメスに頭チンポからアタシのザーメンをぶっかけるのは最高の気分なのよねー。
ああーーん・・・
たまんないわぁ。

あはぁ・・・
見ーつけた。
エッロいメスだわ。
あらあら、旦那さんと一緒かしら?
邪魔ねぇ。
でも、熟女人妻のメスなんてアタシの頭チンポにズッキンズッキン響いてくるじゃないー。
これはもうシコシコしてぶっかけなくちゃね。

「う、うわっ」
「ひぃー!」
アタシはちょっとジャンプして、逃げる二人の前に飛び降りる。
うふふふふ・・・
こんなのチンポ怪人のアタシには朝勃ち前のオナニーよぉ。
「く、来るなぁ!」
あらあら、奥さんを守ろうと必死ねぇ。
手なんかつないじゃって何年ぶりぃ?
熟れ熟れボディに初々しい感じが加わって最強じゃない。
たまんないわぁ。

「はぐっ!」
アタシはオスの頭に鋭い爪で突きを入れる。
オスの頭は簡単に破裂し、周囲に血と脳みそが飛び散る。
あひゃひゃひゃひゃ・・・
気持ちいいー!
ザーメンをドプドプと出すのもいいけど、こうしていらない人間を殺すのも気持ちがいいわぁ。

「ひぃーー! あなたぁーー!」
両手を頬にあてて恐怖に悲鳴を上げるつがいのメス。
いいわぁ。
もうアタシのマンコは濡れ濡れで頭チンポが痛いぐらいに勃っちゃっているわぁ。
人妻ってホント、たまらないエロさよねぇ。
ああん・・・
先走りが出ちゃう。

「いやっ! こ、来ないでぇ!」
一歩二歩と後ずさるメス。
あん、怖がらなくていいのに。
あんなオスのチンポなんかよりぃ、アタシの頭チンポの方が大きくて立派よぉ。
ほら、カリだってこんなに広がっているのよぉ。
見ただけでおマンコ濡れ濡れになっちゃわないぃ?

「いやぁっ!」
アタシは震えるメスの顔を見ながら両手で首筋から頭チンポを扱きだす。
ああん・・・いいわぁ・・・
シコシコ・・・シコシコ・・・シコシコ・・・
ああん・・・来ちゃう来ちゃう来ちゃうぅ・・・
イくぅぅぅぅぅぅ・・・
アタシの頭チンポからザーメンが勢いよく噴き出して彼女の躰を白く染め上げる。
あひゃひゃひゃひゃ・・・
サイコー!
アタシのザーメンでメスのザーメン漬けが一丁上がりねぇ。
あひーん。
気持ちいいー。

「ま、待ちなさい!」
あらぁ?
誰の声?
なんかどこかで聞いたことのあるような声だわぁ。
でも、なんかムラムラしちゃうメスの声ねぇ。
アタシが声の方を向くと、そこには黄色のバトルスーツを身に着けたメスが一人立っている。
あらぁ?
確か・・・イエローパルサーだったかしら?
ああん・・・スーツが躰に張り付いて胸や太ももがいい感じのラインを出しているわねぇ。
けっこうエロエロじゃなーい?

「うっ・・・な、なんて形の怪人なの?」
あらぁ?
アタシを見て顔をそらすなんて、結構初心なのかしら?
そういうのもたまらないわねぇ。
躰はエロエロなのに心は初心なんて犯してくださいって言っているようなものじゃない。
これはもうアタシのザーメンでドロドロのぐちょぐちょにしてあげないとねぇ。
あひゃひゃひゃひゃ・・・
シコシコたまらなーい!

アタシはザーメンをぶっかけるべく、イエローパルサーにとびかかっていった。

END

よろしければ感想コメントなどいただけますと嬉しいです。
それではまた。
  1. 2019/09/15(日) 21:00:03|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

キュブス星人リマーカ

ブログ14周年記念シチュのみ超短編SSも昨日までで二本投下しましたが、今日はその三本目です。
昨日で終わりだと思った?
もうちょっとだけ続いたんじゃ。(笑)

タイトルは「キュブス星人リマーカ」です。
お楽しみいただけましたら幸いです。

それではどうぞ。


キュブス星人リマーカ

「ほら! いい加減に起きなさーい!」
母さんの大声が部屋中に響く。
起きなきゃ、起きなきゃと思いながらも布団の中でぐずぐずしていた俺は、思わずその声で飛び起きた。
「ほら! 起きたらさっさと顔を洗う! 遅刻するわよ!」
腰に手を当てて俺をにらんでいる母さん。
ひええ、怖ぇぇぇ!
俺は慌ててパジャマを脱ぎ、洗面所に向かうと顔を洗う。
その間にも台所からはパンの焼けるいい匂いがしてきて、母さんが朝食の用意をしてくれていることがわかる。
時計を見ると七時半。
確かにぎりぎりの時間だ。
早いとこ朝飯を食って学校へ行く支度をしなきゃ。

「おーい、利真子(りまこ)。財布を取ってくれ」
玄関で父さんの声がする。
会社に出かけるのに、また財布を忘れるところだったみたいだ。
「もう、あなたったら。ちゃんといつものところに置いておかないから」
ぶつくさ言いながらも母さんが財布を渡しているようだ。
まあ、なんだかんだと仲がいいのだろう。
国際結婚ならぬ異星間結婚としてはうまくやっているのかもしれない。

とりあえず席に着き、朝食を食べる俺。
まあ、実のところ俺の母さんは異星人だ。
もちろん地球人とは構造的にもほとんど差はなく、CT検査やレントゲンを撮られてもバレたりすることはないらしい。
こうやって俺という子供もできているしな。
まあ、弟か妹を作るというのはやめちゃったみたいだけど。

父さんと結婚する前は、ヒロイックリマーカとか言って正義のヒロインをしていたらしい。
きわどい水着だかレオタードだか着て、地球で悪事を働こうとする異星人を逮捕していたんだとか。
今は退職しているらしいけど、地球には星間保安機構だかのエージェントとして来ていたという。
地球は未だ星間条約機構に加わっていない後進星だから、そこで犯罪をしようという異星人もいるのだとか。
そういった異星人たちはヒロイックリマーカの活躍によって逮捕され、星間犯罪協定によって収容所惑星に送られたんだとか。
その摘発率が高かったこともあり、最近では地球に手を出そうという犯罪者は減り、ほかの星を狙うようになったらしい。

ヒロイックリマーカの活躍は当時地球でも話題になったそうで、今でも時折特集本が出たりする。
そういうのを見るたびに母さんは、あの頃は若かったとか、今じゃサイズが・・・とか、地球の食べ物がおいしいからとかぶつぶつ言っている。
まあ、とはいえ、母さんのスタイルは今でも充分美しいとは思うし、むしろ肉付きがよくなって友人連中に言わせると大人の魅力がーとか熟女でたまらんとか言われたりするわけだが・・・

ヒロイックリマーカというのは、実のところ本名のようなものらしい。
母さんの出身星がヒロイック星というそうで、地球で言うヒーローヒロインのヒロイックとたまたま一致したということらしい。
リマーカというのが母さんの名前で、おかげで普段は利真子なんて名乗っているというわけだ。

食事を終えた俺はとっとと支度を済ませると、カバンをもって玄関に行く。
「それじゃ行ってきます」
「行ってらっしゃい。気を付けるのよ」
玄関に見送りに出てくれた母さんに、俺は小さく手を振ると玄関を出る。
ちなみに母さんは空を飛ぶことができるんだけど、俺は残念ながら地球人の血が濃いらしく飛ぶことは不可能だ。
あーあ・・・
空飛べたら楽なんだろうになー。

                   ******

「えー、この公式はー、次の試験の重点項目だからー」
かったるい授業を聞いてると眠くなる・・・
ましてや午後の授業ならてきめんだー。
俺は何とか上下のまぶたがくっつかないように頑張るが、どうにも眠くてたまらない。
「ん? あれって・・・鳥か? 飛行機? それにしては変だな・・・」
後ろの席のやつがなんかぶつぶつ言っている。
鳥?
飛行機?
俺は窓の外を見て驚いた。
か、母さん?
かなり遠いが、赤いレオタードを着てマントをなびかせて空を飛んでいるのは母さんに違いない。
なんで?
なんで今になってヒロイックリマーカが空を飛んでいるんだ?

俺は何があったのか気になったものの、母さんの姿はすぐに遠ざかって見えなくなってしまい、それ以上追いかけることはできなかった。
クラスの連中も気が付いたのはほとんどいなかったようで、後ろのやつもすぐに何も言わなくなってしまったが、授業が終わった後にスマホでネットニュースを見たら、母さんの目撃情報がいくつか上がっていた。
ヒロイックリマーカ復活か?
目撃情報相次ぐ。
異星人の侵入か?
なんて記事がちらほらと。
あちゃー・・・
母さん、20年前じゃないんだからさぁ・・・

とはいえ、母さんが再びあの格好で出て行ったというのは気になるな。
いったい何があったのだろう・・・
そう思い、俺は学校が終わるとすぐに家に帰る。
まあ、特に何かあるというわけでもないしな。

「母さん!」
玄関を入るとすぐに俺は母さんを呼ぶ。
だが答えはなく、家の中は静かだった。
まだ帰ってないのか。
異星人相手に苦戦しているのだろうか?
もっとも、俺が生まれたときにはすでに母さんは引退していたから、実際にヒロイックリマーカが異星人と戦ったところなど見たことないし、当時の映像なんかでも直接の戦うシーンなどは見当たらなかったから、戦いはどっか別の空間のようなところでやっているのかもしれない。
まあ、今でも若いころの母さんのヒロイックリマーカ姿の映像なんて、なんだか恥ずかしくて見られないんだけどな。
ただ、クラスメートたちがそういうのをオカズにしているという話は赦せん!

「あーあ」
俺はカバンを放り出し、冷蔵庫からコーラを出して飲む。
母さん・・・
本当にヒロイックリマーカだったんだな・・・
今一つ信じられない気がするけど、さっきの飛んでいた姿は確かに母さんだった気がするし、衣装も過去の映像の通りだったしなぁ。
くそっ!
なんだかもやもやするなぁ!

『純(じゅん)、逃げてぇ!』
えっ?
なんだ?
なんか母さんの声が聞こえたような。
気のせいか?
「えっ?」
突然俺の前に黒い闇が現れる。
その闇の中からヌッとあらわれる人影。
いや、人なのかこいつは?
まるでマンガやアニメに出てくる悪魔のような姿じゃないか。
全身青い肌色をして、頭にはねじくれた角が左右に生えていて、背中には蝙蝠のような羽があり、先のとがった尻尾まで生えている。
何なんだいったい!

「ふん」
悪魔が俺に手を向ける。
俺はとっさに飛びよけようとしたが、躰が動かなくなってしまう。
くそっ、なんかの術をかけられたか?
やばい!
何とか抜け出さなきゃ。
だがどうやって・・・
俺がそんなことを考えている間に、悪魔は俺の前までやってくる。
そしてギザギザの歯の生えた口を開いてニヤッと笑うと、俺は意識が遠くなった。

                   ******

『ま・・・負けない・・・ああ・・・ん・・・』
『や、やめろ! 利真子に手を出すな!』
『あなた・・・私は・・・私はだいじょ・・・ああん』
なんだ?
これ、父さんと母さんの会話だよな?
なんか変じゃないか?
何が起こっているんだ?

俺はゆっくりと目を開ける。
あれ?
俺は寝ていたんだっけ?
ぼんやりとそんなことを思った俺だったが、そんな思いは瞬時に吹き飛んでしまう。
「母さん!」
闇の中で寝かされた母さんが、あの悪魔のような姿のやつに躰を撫でまわされていたのだ。
「母さん!」
俺は大声で母さんを呼ぶ。
ちくしょう!
なんで躰が動かないんだ!

「じゅ、純・・・」
首を動かして俺の方を見る母さん。
だが、すぐにその顔をやつが顎を持って自分の方へと向けてしまう。
「ガキが目を覚ましたようだぞ。お前のいやらしい姿を見てどう思っているかな?」
「や、やめなさい!」
「クククク・・・こんなに熟れておいしそうな躰をこんな躰にぴったりした服に包んでおきながらやめろってか? お前こそこの熟れた躰で息子を誘惑していたんじゃないのか?」
「バカなことを言わないで!」
母さんがやつを怒鳴りつけるけど、奴は母さんの躰を包む赤いレオタードの上からいやらしい手つきで母さんの躰を撫でまわす。
くそっ!
なんで躰が動かないんだよ!

「利真子! くっ・・・くそっ!」
母さんにばかり気を取られていたが、俺からちょっと離れたところには父さんがいた。
父さんは怒りに真っ赤な顔をして、必死に躰を動かそうとしているようだったが、俺と同じで動けないらしい。
二人して正座をさせられたような姿のまま母さんとやつの方に向いている。
くそっ!
あいつは母さんをもてあそぶところを俺と父さんに見せつけようというのか?
母さん・・・
なんでそんな奴につかまったんだ・・・

「クククク・・・この躰、たまらんな。お前ら、今からこの女が俺のものになるところをよく見ておけ」
ぺろりと先が二つに割れた長い舌で母さんの頬を舐める男。
悔しくてたまらない。
母さんを放せ!
ちくしょう!

「くぅ・・・俺が人質になどされたばかりに・・・」
父さんが唇を噛んでいる。
そういうことなのか!
あいつは父さんを人質にして母さんを!
そして俺も人質にしているんだ!
だから母さんはあいつに手が出せないのか・・・
くそぉーっ!

「あなた・・・あなたのせいじゃないわ。この男が・・・この男が卑劣なだけよ」
キッと悪魔のような男をにらみつける母さん。
その目は強い怒りに満ちていた。
「私の躰を汚したって、心は絶対にあなたなんかに屈するものですか!」

「おうおう。麗しき夫婦愛ってやつか? だがいつまでその心とやらが続くかな? もうすぐお前は俺のサになるのだ」
「サ?」
「サ?」
母さんが思わず聞き返したように、俺も聞き返してしまう。
サってなんだ?
「クククク・・・そうかお前は知らないのか。俺たちキュブス星人にはなインとサの二種類があるのさ。そうだな。お前たちにわかるように言えば男と女。オスとメスというわけだ」
キュブス星人?
こいつはキュブス星人という異星人なのか!

「で、キュブス星人のサからはインしか生まれてこない。わかるか? 最初からサとして生まれてくるキュブス星人はいないのさ」
にやりと笑うキュブス星人。
「ではどうするか。我々と同じような種族のサを、キュブス星人のサとして作り変えるのさ。お前のようなヒロイック星人は俺たちのサにするには非常に都合がいい。前から俺はお前こそが俺のサとしてふさわしいと目を付けていたのさ。クククク・・・」
「そんな・・・」
母さんの目が驚きに見開かれる。
嘘だろ。
母さんをキュブス星人にしてしまおうっていうのか?
そんなことが?

「ひやっ!」
「さっきのキスでお前に飲ませたものが何かわかるか? あれはキュブス星人の種だ。そろそろお前の中で芽を出すころさ」
母さんの胸をもみながらその首筋に先割れの舌を這わせていくキュブス星人。
「やめろぉ! 利真子を放せ!」
「あ・・・あなた・・・大丈夫。私は絶対に・・・はああん!」
父さんの方を向いて笑みを見せた母さんが突然悶えだす。
「利真子!」
「母さん!」
「ああ・・・あああん・・・あああっ」
俺と父さんが必死になって母さんを呼ぶ。
だが、母さんの躰がじょじょにキュブス星人のような青い肌になり始めていく。
そんな・・・
母さんが・・・
嘘だ!

「ああ・・・あああ・・・」
母さんの肌の色が青くなる。
母さんの歯がぎりぎりととがってギザギザになっていく。
母さんの両手の爪が黒くなって伸びていく。
母さんの目がまるで猫の目のように瞳が細長くなっていく。
母さんの頭にも両脇からねじくれた角が伸びていく・・・
母さん・・・
母さん・・・
母さん・・・

鋭く伸びた爪で着ているレオタードを切り裂いていく。
プルンと大きなおっぱいがあらわになり、背中からは蝙蝠のような羽が伸びてくる。
足の指の爪も鉤爪のようになって、黒く染まる。
そして・・・お尻からは先端が鋭くとがった尻尾が生えていた。

「はあ・・・ん」
母さんは悶えるのをやめ、紫色になって先端が二つに割れた長い舌でぺろりと唇を舐める。
そして、うっとりとしたようにキュブス星人の男を見つめていた。
「ククククク・・・これでお前はもうキュブス星人となったのだ」
「はい・・・私はキュブス星人。なんだかとっても気持ちがいいですわぁ」
ゆっくりと上半身を起こし、男に抱きかかえられてキスを交わす。
母さん・・・
そんな・・・
母さんは・・・本当にキュブス星人になってしまったというのか?

「利真子・・・」
「母さん・・・」
悪魔のような姿に変わってしまった母さんに、父さんと俺はただそうつぶやくしかなかった。
「うふ・・・あらぁ、美味しそうなのがいるわねぇ」
俺たちの声を聞いたのか、俺たちの方を向いてにやりと笑みを浮かべる母さん。
なんて淫靡な表情をするんだ・・・
あれが母さんなのか?

「クククク・・・変化したばかりで飢えているのだろう? 俺のをたっぷりと味わうがいい」
キュブス星人がその股間のものを見せつける。
なんて大きさだ。
あれがキュブス星人のチンポなのか?
俺なんか・・・

「あん・・・こっちもなんて美味しそう。でも、メインディッシュはあとからにしましょ? まず先にあっちを食べつくしてから・・・」
男のチンポに頬擦りし、ゆっくりと立ち上がる母さん。
ちぎれたレオタードもマントもむしるようにして投げ捨て、豊満な躰を見せつけるようにして胸を揺らし舌舐めずりをしながら俺たちの方にやってくる。
「利、利真子・・・」
「うふふ・・・アタシはもうそんな名前じゃないわ。アタシはキュブス星人リマーカ。あなたのザーメンを味わわせてちょうだい」
身動きできずに転がされている父さんのそばに腰を下ろす母さん。
いや・・・もうキュブス星人のリマーカになってしまったのか・・・
「うふふ・・・確かにあっちと比べると小さいかも。でも・・・」
父さんのズボンからチンポを取り出して、鋭くとがった黒い爪でもてあそびながら先の割れた舌を這わせていく母さん。
「うう・・・や、やめ・・・」
「うふふ・・・アタシの舌はどう? 気持ちいい?」
あうう・・・
ダメだよ母さん・・・
俺まで・・・勃っちゃうよ・・・
俺は目をそらして見ないようにする。
くそっ!
なんていやらしい姿なんだ・・・

「クククク・・・その二人はもうお前にとってはただの獲物だろう? 干からびるまで吸い尽くしてやるがいい」
「うふふふ・・・ええ、そうしますわ。ア・ナ・タ」
突然爆発音が響き、俺は何事かと振り返る。
すると、爆炎に包まれたキュブス星人が信じられないかのように目を見開いてゆっくりと倒れていく。
「な・・・なぜだ?」
「うふふふ・・・残念ねぇ。アナタのも大きくて美味しそうなんだけど、アタシはやっぱりこっちの方が好きみたい」
見ると、母さんの手の周りの空気が熱を帯びて光がゆがんでいる。
今の爆発は母さんがやったことなのか?

「利真子?」
「母さん」
俺も父さんも思わずそう口にする。
「あん・・・ごめんなさいあなた。あのキュブス星人のインを油断させるためにはアナタ呼びするしかなかったのよぉ。だってぇ、アタシにとってはやっぱりあなたのこれが好きだしぃ、あなたの味を思い出したら、もっともっと味わいたくなっちゃったんだもの。いいでしょ?」
そう言って父さんのチンポをしゃぶっていく母さん。
はは・・・
なんだよ・・・
俺たちは父さんのチンポの味に助けられたのかよ・・・
なんてこった・・・

                   ******

「く・・・あっ・・・わっ・・・か、母さん・・・出るっ」
くちゅくちゅと音を立てて俺のチンポを舐めしゃぶる母さん。
以前とは全く違う青い肌の顔で、紫色の唇が俺のチンポをくわえこんでいる。
そのフェラチオはとても気持ちよくて、俺はすぐにザーメンを出してしまった。
「んーん、美味しい。やっぱり純が母さんって言いながら出してくれるザーメンの味は背徳の味が濃くて最高だわぁ」
ぺろりと先の割れた長い舌が、俺のザーメンが付いた唇を舐めている。
なんていやらしいメスの顔。
でも、俺はその顔から目が離せない。

「んふふ・・・次はこっちにもちょうだい」
床にお尻をつき、Mの字に開脚して指でくぱぁっとおマンコを広げてくる母さん。
今の母さんは革ひものような胸も股間も全く隠す気がないような衣装を着て、黒い長手袋と太ももまでの網タイツを穿いている。
それがなんとも淫靡でたまらない。
でも・・・

「だ、だめだよ母さん。学校に遅れちゃう」
あの日から朝はいつもこうだ。
まずは父さんを味わい、次に俺のザーメンを求めてくる。
夜は夜でまた二人のザーメンを欲するのだ。
キュブス星人の主食は異性との性行為らしい。
だから男は女に精を注ぎ込むことで食事となり、逆に女は精を注いでもらうことが食事になるんだとか。
でも、毎日がこれじゃあ・・・

「もう・・・しょうがないわねぇ。こっちはこれからだっていうのに。少しぐらい学校なんか遅れたっていいでしょ? ダメ?」
甘えるように俺を見つめ、指を唇に持っていく母さん。
「だ、だめだよ。もうすぐ試験があるんだし」
「もう・・・学校なんか破壊しちゃおうかしら。キュブス星人ならそんなものよりセックスの方が大事なのにぃ」
「や、やめてよ、そんなことしたら大変なことになっちゃうよ」
「かまわないわ。どうせ警察も自衛隊も私たちキュブス星人には歯が立たないんだし」
「だ、だめだって」
俺はぶんぶんと首を振る。
「ふう、仕方ないわねぇ。純が帰ってくるまで我慢するわ。いい、純。今日も友達を連れてくるのよ。そうね・・・今日は三人がいいわ」
黄色い目に猫のような細長い瞳を輝かせて俺に命じてくる母さん。
この目で見られると、俺はもうなんだか母さんには逆らえなくなる。
これもキュブス星人の能力なんだろうか?
「うん。わかったよ。呼んでみる」
「うふふ・・・やっぱり若い男のザーメンは美味しいからねぇ。楽しみだわぁ」
これから獲物を味わうかのように舌舐めずりをする母さん。
俺はそれを見ながら、学校へ行く支度を始める。

「ねえ、純」
「なあに、母さん?」
「あんた学校でいじめてくるようなやつとかいやな教師とかいないの? いたら教えてほしいんだけど」
背中から俺を抱きしめてくる母さん。
母さんの腕と蝙蝠のような背中の羽が俺を包み込んでくる。
うはぁ・・・おっぱいが背中に当たるよぉ・・・
「そ、そんなのいないけど」
「そうなのぉ? 残念。そろそろ思いっきり干からびるぐらいに吸い取りたいんだけど」
「だ、だめだよそんなことしたら! 先日父さんの会社の上司を干からびさせちゃって騒ぎになったじゃないか!」
あの時はとりあえず何とかごまかしたけど・・・
もし・・・
もしあの時母さんが父さんじゃなく、あのキュブス星人の方を選んでいたとしたらどうなっていただろう・・・
おそらく、あの男と一緒になって地球の男たちからザーメンを搾り取りまくっていたに違いない。
そんなことにならなくて本当によかったとは思う。

「だってぇ。あの男は死んで当然よぉ。あの人に残業させるなんて。あの人は早く帰ってきてアタシにザーメンをたっぷりとそそいでくれる大事な人なんだから、残業なんて許されないわ」
ムニムニと俺の背中におっぱいを押し付けてくる母さん。
絶対わざとやってるだろ。
「だめだよ母さん。母さんは正義を守るヒロイックリマーカだったじゃないか。人を襲うなんていけないよ」
「ええ? やめてくれる。アタシがヒロイック星人だったなんてことはもう思い出したくもないの。アタシはキュブス星人のリマーカ。いい、二度とアタシがヒロイック星人だったなんて言ったら吸い殺すわよ」
母さんの声が低くなり、俺を抱きしめる腕に力が入ってくる。
「わ、わかったよ母さん」
「ん。わかればよろしい。純はいい子ね。お母さん純のザーメンの味も大好きよ」
腕の力を緩めて、俺の首筋をぺろりと舐める母さん。
ああ・・・
やっぱり母さんはもう完全にキュブス星人になっちゃったんだ。
でも・・・
俺はもうそれでいいと思うようになっている。
エロくて美しくて俺とセックスしてくれる母さん。
多分この世で最高の母さんなんだ。

「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
玄関で見送ってくれる母さん。
さて、今日も頑張ろう。
そして誰を連れてこようかな。
俺は友人たちの顔を思い浮かべながら、母さんが満足しそうなやつを探していた。

END

いかがでしたでしょうか?
よろしければ感想コメントなどいただけますと嬉しいです。

これで正真正銘14周年記念SSは終了です。
また次回作をお楽しみにー。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2019/07/20(土) 21:00:00|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

恐怖! 怪人イバラ女

今日は超短編SSを一本投下します。
タイトルは「恐怖! 怪人イバラ女」です。

先日、ツイッターでフォローしておりますI.M.K様が、とても魅力的なツイートを投下されておりまして、今回I.M.K様のご承諾の下、SS化させていただきました。
そのもととなりましたツイートがこちら。



この一連のツイートを拝見し、思わずSS化してしまいました。
元ツイート同様お楽しみいただければと思います。

それではどうぞ。


恐怖! 怪人イバラ女

「うーん・・・気持ちいい!」
伸びをして胸いっぱいに新鮮な空気を吸う。
植物の香りに満ちたこの清浄な空気を吸うのがとても心地よい。

平日午前中のほとんど人気のない植物園。
ここで散歩をして思索に耽ったりするのが彼女、池早結衣(いけはや ゆい)の楽しみというか日常の一コマだった。

小説やコラムなどの文章を書いて収入を得ている彼女に取り、気分良く脳を働かせることは非常に大事なことであり、この植物園で散歩することで構想をまとめるのは彼女にとっては重要なことなのだ。
幸い、それほど注目される植物があるわけでもないこの植物園は、平日の午前中であればほとんど人はいない。
もちろん休日にはそこそこ人はやってくるので、そういう日には行かなければいいのだ。
静かな環境の中で植物の香りを楽しみながら思いをまとめていく。
この時間が彼女は非常に好きだった。

「あら?」
ふと彼女の足が止まる。
「確か・・・ここの咲いている花は昨日は白かったような・・・」
くいっと眼鏡を直して咲いている花を見つめなおす彼女。
そこには棘のついた蔓を這わせ、紫色の花を咲かせている植物が茂っていた。
なんとなくその花が、昨日は白かったような気がしたのだ。
とはいえ、彼女はいつもここに来ているものの、植物をじっくりと観察していたわけではない。
静けさや植物の香りといったものが良くてここで散歩をしていたまでで、花の色が白か赤かなどということはそれほど興味がなかったため、この花が白かったというのが勘違いということも充分にあり得る。

「テリハノイバラ・・・バラ科バラ属の蔓性低木。白い花を咲かせる・・・って、やっぱり花は白いんだ」
彼女は脇にある解説文を読み、花が白で間違いないことを確認する。
で、あれば、なぜ今ここで咲いている花は紫色なのか?
「光の加減?」
もう少しよく見ようと彼女が一歩近づいた時、その植物から突然蔓が伸びてくる。
そして彼女の首や胴体、足などに絡みついてきたのだ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」
彼女は悲鳴を上げるが、周囲には誰もいない。
管理棟も離れた位置にあるので、聞こえる者はいないだろう。
近くには監視カメラも見当たらず、彼女に蔓が巻き付いたことは誰にも知られずじまいだった。

「た、助けて! 誰か!」
必死で絡みついてきた蔓を外そうともがく彼女。
だが、蔓は所々で切れると、まるで輪のようになって彼女の首、両手首、胴、太ももをがっちりと固定してしまう。
最悪なことに両手を振り上げた状態で手首を固定されてしまったため、両手が頭の後ろで拘束されたような感じになってしまい、身動きが取れない。
「な、何なの? これ? だ、誰かぁ!」
必死にもがけばもがくほどリング状になった蔓はぎりぎりとその拘束を強めていく。
首も胴も太ももも、がっちりと締め付けられ、彼女はただ突っ立っているだけしかできなくなってしまった。

「ひっ!」
やがてリング状になった蔓からは棘が生え、彼女の肌に突き刺さってくる。
「い、痛い! 痛いぃぃぃ!」
手首や胴、太ももに食い込んでくる蔓の棘。
それ以上に首に刺さってくる棘が彼女に激痛をもたらしてくる。
「ひぃぃぃぃぃっ!」
激しい痛みに苦しむ彼女。
だが、蔓に生えた棘から何かが注入されてくるのを感じると、痛みがじょじょに治まり始めたことに彼女は気が付いた。
そして、むしろ痛みはじんわりとした気持ち良さに取って代わり始め、だんだんと拘束されていることに快感を覚えていくようになってくる。

「はぁぁぁん・・・なんでぇ?」
口から甘い吐息を漏らし始める彼女。
拘束された躰がくねくねと悩ましく動き始めていく。
気持ちいい・・・
もっと・・・
もっとしてぇ・・・
もっと流し込んでぇ・・・
知らず知らず彼女は自ら棘から流し込まれるものを求めるようになっていく。
やがて彼女の髪には変化が現れ、つややかな黒い色だった髪が、だんだんと濃緑色へと変わっていく。
それは蔓を伸ばしてきたテリハノイバラの葉と同じ色であり、同様につややかな濃緑色を帯びていた。

「はぁぁぁぁぁん!」
彼女がひときわ大きく喘ぐと、彼女の全身はまばゆい光に包まれる。
それは神々しくも禍々しくも見える光であり、彼女の姿はその光に覆われて見えなくなってしまった。

やがて光がじょじょに収まると、一つの人影が現れる。
その顔は先ほどまでの彼女と似た顔をしていたが、躰は大きく違っていた。
その躰はボディラインをあらわにした裸の女性のようであったが、全身はつややかな濃緑色に染まり、所々にうっすらと葉脈のようなものが浮き出ていた。
形の良い両胸には乳首の代わりに紫色の花が咲き、雄蕊や雌蕊が覗いている。
両手の甲や頭にも紫色の花が咲き、ふくよかな香りを漂わせている。
両胸や両腕には背中から伸びた蔓が巻き付いており、鋭い棘が付いていた。
唯一肌色を保ったその顔には、右頬に花の文様が現れ、口には笑みが浮かんでいる。
眼鏡の奥の知的な瞳は緑色に染まり、彼女がもはや人間ではないことを示していた。

「ウフフフフ・・・」
彼女の口から笑いが漏れる。
「ウフフフフ・・・なんて気持ちがいいのかしら。植物と一つになるのがこんなに気持ちがいいことだったなんて・・・ウフフフフ・・・」
彼女は笑みを浮かべながら足元を見る。
そこには先ほどまで咲いていたテリハノイバラの枯れた姿があった。
「そう・・・私と一つになったことであなたの役目は終わったのね。でも安心して。これからは私が種子を広げてあげる。そのためには・・・ウフフフフ・・・」
怪しく笑みを浮かべる彼女。
すでにその意識は以前の彼女のものではなかったのだった。

                   ******

「ママー! お花ー!」
「ああ、美香(みか)ちゃん、走ったら危ないわよ」
咲き誇るきれいな花に興奮したのか、思わず駆け出してしまう少女を追いかける母。
散歩がてら以前から気になっていたこの植物園を訪れた母と娘だ。
「それにしてもきれいねぇ。いろいろな花がいっぱい」
「うん。きれいー」
花壇のそばで色とりどりの花に見惚れる二人。
その様子を樹々の陰から見つめる緑色の目があった。

「ウフフフフ・・・まずはあの二人を・・・ああん、楽しみだわぁ」
自らの躰をかき抱くようにして身もだえする全身濃緑色の女。
植物怪人に変化してしまった池早結衣の姿だった。

「ママ、向こうにもお花が」
「あ、美香、待ちなさい」
母の言葉も聞かずに行ってしまう少女を、やれやれという感じで苦笑しながら後を追おうとする母。
だが、その時、シュルシュルと伸びてきた蔓が母親の躰と腕、そして口をふさぐように絡みつく。
「うっ? む・・・むむーっ!」
慌てて悲鳴を上げようとした母だったが、口を抑えるように巻き付いた蔓のせいで悲鳴を上げることができない。
何とか逃れようともがく母を、じょじょに蔓が引き寄せていく。
「む、むー! むー! むむー!」
必死に手を伸ばして助けを乞う母だったが、やがてその姿は植物園の樹々の間に引きずり込まれて行ってしまう。

「あれ? ママー? ママー?」
てっきり自分を追いかけてきてくれていると思ったはずの母親の姿が見えなくなり、少女はとたんに不安になる。
「ママー? ママー?」
花壇のほうから樹々のほうへと戻って母親を探してみるが、どこに行ってしまったのか母親の姿はない。
「ママー?」
「・・・・・・こっちよ・・・」
心細くなった少女の耳に、ふと母の声が聞こえる。
「ママー!」
喜んで樹々の茂る小道に入っていく少女。
だが、すぐに彼女の細い腕は脇から伸びてきた蔓に絡めとられてしまう。
「えっ? きゃあっ!」
絡みついた蔓はすぐに少女の躰にも巻き付いて、彼女を拘束してしまう。
「いやぁっ! 助けてぇっ! ママーッ!」
「あらあら、おとなしくしなさい、美香。あなたもママと一緒にしもべになりましょうね」
そういって姿を見せた母親は、緑色の目をして首と頭に棘のついた蔓のリングをはめ、両腕にも棘のついた蔓を這わせていて、胸にはそれぞれ紫色の花が咲いていた。
顔色も薄い緑色に染まり、右の頬には花の文様が浮かび上がっている。
彼女は娘が蔓に絡まれているというのに助けようともせず、ただ笑みを浮かべて眺めていた。

「マ・・・ママ?」
先ほどまでとは違った姿の母親に少女はパニックに陥ってしまう。
「いやぁぁぁぁぁぁ! ママー! ママー!」
「ウフフフフ・・・心配はいらないわ。あなたもすぐに私のしもべにしてあげる。この女のようにね」
悲鳴を上げる少女のそばに植物の怪人が現れる。
「ひぃーー! お、お化けーー!」
「まあ、失礼ね。私はテリハノイバラと人間の女性が融合したより高度な生物なのよ。そうね、イバラ女様とでもお呼びなさい」
全身を濃緑色に染めたイバラ女が誇らしげに胸を張る。
両胸の先端で咲き誇る紫色の花がフルフルと雄蕊や雌蕊を揺らしていた。

「いやぁっ! いやぁっ!」
必死に首を振っていやいやをする少女。
だがイバラ女は背中から棘のついた蔓を伸ばすと、少女の頭に巻き付ける。
「ひっ!」
一瞬、棘の刺さる痛みに小さな悲鳴を上げるが、すぐに少女の目はうつろになり、だんだんと緑色に染まっていく。
首や腕にも蔓が巻き付いて融合し、肌も薄い緑色に染まっていく。
まだ未発達の胸の先端にはいずれ咲くであろう花のつぼみが付き、その代わり両手の甲には紫色の花が咲く。
最後に右頬に花の文様が浮かび上がると、少女の変化は完成した。

「ウフフフフ・・・気分はどうかしら? 私のしもべになった気分は?」
「・・・・・・はい、最高です、イバラ女様。私はイバラ女様のしもべです。何なりとご命令を・・・」
うつろな表情でイバラ女に応える少女。
その横には母親もそろい、少女とともにイバラ女に一礼する。
「ウフフフフ・・・思った通りだわ、私の蔓を巻き付けて棘を刺せば、私の思い通りにすることができる。ウフフフフ・・・この調子でもっとしもべを・・・アハハハハ」
イバラ女の笑い声が静かな植物園に響いていく。
母と娘のほかに数人の女性がこの植物園で行方不明になったというニュースが流れたのは、その日の夕方だった。

END

いかがでしたでしょうか?
今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2018/08/26(日) 17:48:47|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7

ゴム女のフェラ

昨日予告しました通り、今日から三日間連続で短編SSを三本投下いたします。
今日はその一本目。
タイトルは「ゴム女のフェラ」です。
いつもの私の作品とはちょっと違う、ある意味「変な」作品になってしまいましたが、よろしければご覧くださいませ。

それではどうぞ。


ゴム女のフェラ

「浩一(こういち)が?」
俺は思わず聞き返す。
確かに昨日今日とあいつ学校に来ていないから気にはなっていたし、風邪かなんかだとは思うけど、しばらく学校に来られないようなら様子をうかがおうとも思っていたんだが・・・
でも、無気力状態だって?

「ああ、LINEにも既読がつかないしスマホに電話しても出ないからさ、さっき自宅の方に電話してみたんだけど、そしたら母親が出てさ、浩一のやつ呼びかけても返事すらしないっていうんだ」
確かに健司(けんじ)の言う通り俺が送ったLINEにも既読がつかない。
でも無気力状態で返事もしないって何なんだ?
「原因は? 病気か?」
「それが、よくわからないらしい。ただ、多少衰弱しているのはあるとかないとか」
「なんだそりゃ?」
俺は首をかしげる。
とにかくそれなら一度見舞いにでも行って様子を見た方がいいだろうか・・・

結局俺は健司と二人で帰りに浩一の家に行ってみることにする。
まあ、無気力状態といったところで、俺たちが行ったら話ぐらいはできるだろうと思ったのだ。
だが、結果はそうではなかった・・・

浩一は青ざめてやつれた姿でベッドに座ったまま、薄ら笑いを浮かべているだけだった。
俺や健司、そして浩一の母が何を言っても返事すらしない。
ただ薄く笑いを浮かべて・・・その・・・股間をさすっているだけだったのだ。
もちろんあれをむき出しにしてしごいたりするわけじゃない。
ただ、パジャマのズボンの上からさすっているだけだ。
だが、薄笑いで股間をさすっているというのは、どう見ても尋常ではなかった。
浩一の母親も俺たちが会うことで浩一の変化を期待したようだったが、残念ながらそうはならなかった・・・

俺たちは浩一の家からの帰り道無言で歩くだけだった。
だが、バス停で自宅方向へ向かうバスを待つ間、健司がふとつぶやいた。
「なあ・・・浩一のやつ、もしかしてゴム女にフェラされたんじゃないのかな・・・」
「は?」
俺は思わず変な声を上げてしまう。
なんだ?
何を言い出すんだ、健司のやつ?
「ゴム女にフェラ?」
「うん。なんとなくそんな気がして・・・」
「なんだそりゃ?」
ゴム女?
フェラ?
フェラって・・・あれだろ?
チンポをしゃぶってもらうやつだろ?
浩一が女にチンポしゃぶってもらったっていうのか?

健司がスマホを操作して俺に見せる。
何やらオカルトのサイトらしい。
都市伝説の一つとしてゴム女のことが紹介されていた。
それは、全身をゴムの衣装で覆った女だそうで、頭までゴムマスクに覆われているそうだ。
いわゆる巨乳で腰はくびれお尻も大きくて魅力的らしい。
口の部分だけはゴムに覆われていないそうで、そこからは真っ赤な口紅を塗った唇が露出しているんだそう。
そのなまめかしいボディラインを見せつけ、男が思わず勃起をすると、そのゴム女はアイ・ワント・ザーメンとたどたどしい英語とも日本語ともつかない言葉をしゃべり、フェラチオをしてくれるという。
それはとても気持ちよく、男はすぐに射精してしまいたくなるらしいが、そこで射精をしてしまうと、ゴム女の虜となり、ゴム女にフェラしてもらうことしか考えられなくなってしまう。
そしてゴム女に三度フェラチオをされると、男は姿を消してしまうというのだ。
食われるのか連れていかれるのかは定かではないという。

「なんだこりゃ? どう見たって作り話だろう?」
結局俺はバスを降りるまでずっとそのゴム女のことが載ったサイトを読み続けていた。
「俺もそうは思うけどさ。何だか浩一の様子を見ていたら・・・さ・・・」
確かに記述的にはなんとなく一致するような気がしないでもない・・・
でも、だからと言って、そんなバカな・・・
「きっとオナニーのやりすぎなんだよ、あいつ。結構エロ画像をあさっていたらしいしさ」
「まあ、そうなんだとは思うけど・・・」
俺の言葉に健司も一応はうなずく。
だが、そのあとは二人ともまた無言だった。

                   ******

「浩一がいなくなった?」
俺は青ざめた。
それって・・・マジで・・・
「ああ、俺、結局気になって今朝浩一の家に電話してさ、今日は学校に来れそうか聞こうとしたんだよ。そしたらおばさんが浩一がいなくなったって・・・」
健司はきっと浩一がいなくなっていないか確かめたかったんだろう。
あいつが学校に来なくなって三日目だし。
「どこかそのあたりをうろついているとかじゃ? 夢遊病みたいにさ」
「おじさんもおばさんも探しているらしいし、警察にも言うって言ってた。でも・・・」
「でもなんだよ! まさかお前、浩一がゴム女に連れていかれたって思っているのか?」
俺は少し語気が荒くなっていたと思う。
健司はそんな俺から顔をそらし、ごめんと謝った。
「いや、こっちこそごめん。すまん」
俺も頭を下げる。
チクショウ!
なんだってこんなことに・・・

結局その日に浩一が見つかることはなかった。
そして、次の日も、その次の日もまた見つかることはなく・・・
俺たちは浩一のいない一週間を終えようとしていた。

                   ******

ん?
寝ていた俺は何かの気配を感じてふと目が覚めた。
なんだ?
俺は闇の中に目を凝らす。
すると、窓から入る薄明りの中、部屋に誰かが立っているのがわかる。
「えっ?」
俺は思わず声を出してしまう。
だが、不思議と恐怖や驚きは感じない。
なんだろう。
どこか心の片隅で、来ることを感じていたからなのだろうか?

それは女の姿をしていた。
全身を真っ黒いゴムに覆われた女。
薄明りの中にシルエットが浮き出ている。
生唾を飲み込みたくなるほどの美しさ。
真っ黒なゴムに包まれ、見事なボディラインが浮き出ている。
大きなおっぱいはまるでメロンのようだ。
腰はコルセットのようなもので絞られ、キュッと括れて豊かな尻へとラインを作っている。
脚はすらっとしてて、よく見るとブーツのようなものを履いている感じだ。
見せつけるように胸を持ち上げている両手もゴムの手袋に包まれている。
頭部も髪の毛は全く見えず、目も耳もゴムマスクでおおわれている。
唯一真っ赤な唇だけが闇の中でなまめかしく覗いていた。

ゴム女。
彼女こそがあのサイトに載っていたゴム女なんだ。
俺ははっきりと理解した。
ゴム女が俺のところにやってきたのだ。

『アイ・ワント・ザーメン』
真っ赤な唇が蠢き、英語とも和製英語ともつかないような言葉を話す。
私はザーメンが欲しい・・・と言っているんだろう。
俺はごくりと唾をのむ。
言われるまでもない。
彼女の姿を見た時から、俺のチンポは痛いほどに勃起しているのだ。
彼女のなまめかしい姿を見て、勃起しない男などいるものか。

『アイ・ワント・ザーメン』
彼女は俺の前にかがみこみ、俺の股間を優しくまさぐってくる。
唇以外すっぽりと覆われていると思っていた彼女の頭は、後頭部から髪の毛がポニーテールのように外に出されているのがわかる。
そのつややかさが、全身を覆うゴムとはまた違う質感で美しい。

『アイ・ワント・ザーメン』
彼女は俺のパジャマのズボンの前を開け、俺のチンポを取り出していく。
すでにパンツの中で先走りを出していた俺のチンポは、彼女のゴムに包まれた手に触れられて、今にも発射しそうにいきり立っていた。

『アイ・ワント・ザーメン』
あむっと彼女の真っ赤な唇が俺のチンポをくわえ込む。
温かいヌルッとした感触が俺のチンポを包み込み、俺の全身にぞくぞくする快感を与えてくる。
「うわぁ・・・」
たまらない。
俺は情けなくもすぐに射精してしまう。
『ん・・・んむ・・・』
口の中に出された精液をおいしそうに飲み込んでいくゴム女。
ぺろりと舌なめずりをして笑みを浮かべる。
『おいしい・・・』

『アイ・ワント・ザーメン』
まだ飲み足りないとでもいうかのように、再びそう口にするゴム女。
その言葉に一度射精したはずの俺のチンポは、またむくむくとたぎってくる。
すぐにゴム女は嬉しそうに俺のチンポを頬張り、今度はねっとりと舌を絡めて俺のチンポをしゃぶっていく。
なんだ・・・
なんなんだこの快感は・・・
たまらない・・・
こんな気持ちよさがこの世にあったなんて・・・
いや、俺はもうこの世じゃないところに来てしまっているのか?
ああ・・・
たまらない・・・

                   ******

気が付くと朝になっていた。
ゴム女はいつの間にか消え、俺は下半身をむき出しにしたままベッドの上に横たわっていた。
ああ・・・
あれから何度射精をしたのだろう・・・
気持ちよかった・・・
あんな気持ちよかったことは他にはない。
もう一度・・・
もう一度でいいからゴム女にフェラチオをしてもらいたい・・・
もう一度・・・

何もする気になんかなれない。
とりあえず上掛けだけは掛けたが、それ以上のことなどする気になれない。
思う浮かぶのはあのフェラチオのことだけ。
真っ黒のゴム女が真っ赤な唇で俺のチンポをしゃぶってくれたことだけ。
それ以外のことなどどうでもいい。
全くどうでもいい。
もう一度・・・
もう一度ゴム女に会いたい・・・
ゴム女にフェラチオをしてほしい・・・

母さんが来て何か言っていた。
俺の額に手を当てて何か言っていた。
父さんも来て何か言っていた。
どうでもいい。
俺が来てほしいのはゴム女だ。
それ以外のことなどどうでもいい。
俺は股間をそっと探る。
もう一度しゃぶってほしい。
もう一度フェラチオしてほしい。
もう一度あのねっとりとした感触を味わいたい・・・

腹が減った気もするけどどうでもいい。
夕方になったのか、夕日が差し込む中で健司が来たような気もするがどうだったろう。
何だか俺の様子を見て青ざめてあたふたと帰っていったような気もする。
どうでもいい・・・

夜が来る。
待ち望んでいた時間。
俺は寝ずに待っている。
そして彼女が現れる。
全身をゴムに包んだ彼女。
真っ赤な唇に笑みを浮かべた彼女。
美しいボディラインを惜しげもなく見せつけてくる彼女。

『アイ・ワント・ザーメン』
なまめかしい唇が動き、そう言葉を紡いでくる。
それを聞いただけで俺のチンポはもうはち切れんばかりだ。
ザーメンを出したくて仕方がない。
俺のザーメンをたっぷりと味わってほしい。
俺のチンポをたっぷりとしゃぶってください。
ああ・・・

ちゅぶっちゅぶっという音がする。
気持ちいい。
たまらなく気持ちがいい。
何度でも出してしまう。
もうすべて出し尽くした感じがするのに、まだ出したい。
彼女が求めるなら俺のすべてを出し切ってもいい・・・

『エイスケの味は好き。アイ・ワント・ザーメン』
マスクで顔が覆われているのに、まるで彼女がほほ笑んでいるかのように感じる。
どうして彼女は俺の名前が栄介(えいすけ)だと知っているのだろう・・・
一瞬そんな疑問も湧くが、そんなことはどうでもいい。
もっと・・・
もっと俺を味わってくれ・・・

                   ******

誰かが何か言っている・・・
ああ・・・
朝なのか・・・
あれは母さんか・・・
ゴム女じゃないんだ・・・
だったらどうでもいい・・・
今の俺に必要なのはゴム女だけだ・・・
彼女にフェラチオしてもらうことだけが俺にとっては必要なことなのだ・・・
ははは・・・
俺のチンポよもっと頑張れ・・・
もっともっとザーメンを出してくれ・・・
そうじゃないと・・・
そうじゃないとゴム女が来てくれなくなるじゃないか・・・
だから・・・
だからもっとザーメンを・・・

夜が待ち遠しい・・・
まだ夜にならないのか?
何もかもがどうでもいい・・・
ただゴム女だけいてくれればいい・・・

もうすぐ夜が来る・・・
夜になれば彼女が来てくれる・・・
チンポはさっぱり大きくならなくなっちゃったけど、彼女がしゃぶってくれればきっと元気になってくれるはず・・・
チンポをしゃぶってくれさえすれば・・・
ゴム女にチンポを・・・

いつの間にか眠っていたらしい
目を覚ました俺の目の前に立っていたのは、全身真っ黒のゴム女だった。
なまめかしい躰のラインを見せつけ、赤い唇に笑みを浮かべている。

『エイスケ、アイ・ワント・ザーメン』
それは俺にとってはアイ・ラブ・ユーと同じ意味。
俺はすぐに躰を起こし、股間のまだ小さなままのチンポを出す。
ゴム女は俺のチンポがまだ小さいままなのが分かったのか、笑みがスッと消えたものの、それでも俺の股間に顔を寄せてくる。

『アイ・ワント・ザーメン』
俺のチンポに吹きかかる吐息。
それだけでもう射精してしまいたいぐらいなのに、俺のチンポは大きくならない。
なんでだよ・・・
大きくなれよ・・・
ザーメン出してくれよ・・・
俺がそう思いながら必死になっているにもかかわらず、相変わらずにチンポは小さいまま。
その小さなチンポに、ゴム女はそっとキスをして、ちゅるっと口にくわえ込む。
その瞬間、俺の意識はどこかへ飛んだ・・・

                   ******

う・・・
あれ・・・
俺は・・・
俺はいったい?

目が覚めた俺は周囲をうかがう。
どうやらまだ夜中なのか真っ暗闇だ。
いや、夜中だって俺の部屋はこんなに暗くはならないはず。
なんというか墨汁の中にいるみたいに真っ黒というか暗闇の中なのだ。
いったいここはどこなんだろう・・・
俺の部屋ではないみたいだけど・・・

だが、何だか気分がいい。
先日までのような搾りつくされたような疲労感は消え失せている。
でも、その代わり何だか躰が圧迫されるような感じがする。
身をよじるたびにぎちぎちと音がする。
それに胸もなんだか重たい気が・・・

(アイ・ワント・ザーメン)
ドクン
心臓が跳ね上がる。
ゴム女の声。
それが頭の中に響いてくるのだ。
(アイ・ワント・ザーメン)
ゴクリと俺は唾をのむ。
嘘だろ・・・
俺はザーメンなんか・・・
でも・・・
でも・・・
何だかのどが渇く・・・

俺は水でも飲もうと起き上がる。
きっとフェラチオしてもらってザーメン出しちゃったからのどが渇いているんだ。
だからあんな言葉が・・・
ぎちぎちぎゅむっ
俺が躰を動かすとゴムがよじれる音がする。
えっ?
どういうこと?
俺は自分の躰を見ようとして、目が見えていないことに気が付いた。
えっ?
俺?
俺目が見えてない?
でも感じている。
周囲が闇の中だということを感じているんだ。
見えなくても感じているんだ。
それににおい。
ゴムの心地いいにおいを感じる。
俺はぺろりと唇を舐める。
自分の唇が真っ赤なことも、そこからピンクの舌が覗くのも感じられる。
なんなんだこれ?
俺はいったいどうなったんだ?

(アイ・ワント・ザーメン)
『アイ・ワント・ザーメン』
ああ・・・
そうか・・・
俺は水なんかが飲みたいんじゃない・・・
ザーメンが欲しいんだ・・・

(アイ・ワント・ザーメン)
『アイ・ワント・ザーメン』
俺の真っ赤な唇が蠢いてそう呟いている。
(アイ・ワント・ザーメン)
『アイ・ワント・ザーメン』
『アイ・ワント・ザーメン』
うふふふふ・・・
ザーメンが欲しい・・・
ザーメンが欲しい・・・
元気のいい男のおちんちんをしゃぶっておいしいザーメンをたっぷりと味わいたい・・・

私は両手で自分の豊かな胸を持ち上げる。
ゴムに包まれた大きな胸がたゆんたゆんと揺れている。
素敵・・・
ゴムに包まれた手とゴムに包まれた胸がこすれあい、ぎちぎちという音を立てる。
ああ・・・
なんて心地いい音。
ゴムは最高。
あとはザーメンを・・・

『アイ・ワント・ザーメン』
私は舌なめずりをする。
挑発するように腰をくねらせ、胸を揺らして男の勃起を促していく。
この姿を見れば、たいていの男はおちんちんを大きくさせておいしいザーメンを出すだろう。
『アイ・ワント・ザーメン』
私においしいザーメンを飲ませてちょうだい・・・
さて、誰のザーメンがいいかしら・・・

ああそうか・・・
私はハッと気が付いた。
ゴム女が私の以前の名前を知っていて、あの部屋を知っていたのは当然だ。
だって・・・
だってあのゴム女はコーイチだったんだもの。
彼も私と同じようにゴム女になったんだわ。
そしておいしいザーメンを出してくれる男として私のところに来てくれたんだ。
うふふふふ・・・

それじゃ私はケンジのところに行こう。
彼ならきっとおいしいザーメンを出してくれるはず。
少なくとも家にいた年老いた男よりはずっとおいしいはず。
私はケンジのザーメンを搾り取ることを思い浮かべて笑みを漏らす。
カツコツとヒールの音を鳴らして、私はケンジの部屋に行くために闇の中へと向かう。
待っててねケンジ。
あなたのおいしいザーメンをいただくわ。
『アイ・ワント・ザーメン』
私はそう呟くと、闇の中へと姿を消した。

エンド

いかがでしたでしょうか?

明日はオーソドックスとも言える怪人改造ものを投下しようと思います。
どうぞお楽しみに。
  1. 2018/07/17(火) 21:00:00|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8

河童に奪われた母

お正月以降創作意欲が下がったのと、いろいろと精神的に創作向きの状況にならなかったためにしばらく間が空いてしまいましたが、今日はSSを一本投下いたします。

タイトルは「河童に奪われた母」です。
タイトルを一見してわかるように寝取られSSですので、そういうのがお好きでない方はご注意ください。

それではどうぞ。


河童に奪われた母

お婆ちゃんの家に来てからママの様子が何だか変な気がする。
なんだかときどきぼうっとしたような表情をしているし、ボクの言うことにも上の空で聞いていたりするし、時々ボクのことが誰だったか思い出そうとしているような気さえする。
いったいどうしちゃったんだろう・・・

今ボクはママと一緒にお婆ちゃんの家に来ている。
夏休みだし、お盆はパパの方のお爺ちゃんの家に行くことになっているから、ちょっと早いけどママの方のお婆ちゃんの家に来たのだ。
考えてみたら当たり前のことなんだけど、パパとママにもパパとママに当たる人がいて、ボクにはお爺ちゃんとお婆ちゃんが二人ずつもいるのだ。
そのうちママのパパはボクが生まれる前に死んでしまったそうで、ママの子供のころの家には今はお婆ちゃんが一人で住んでいるらしい。
裏には畑があって、伯父さんも時々顔を出すそうだからお婆ちゃん一人で生活するのは問題ないそうだけど、パパの方のお婆ちゃんと比べると、確かに元気そう。

ここの近くには山や林があって、林の中には沼もあるんだけど、その沼には近づいちゃダメなんだって。
なんでもその沼には昔から河童が住んでいて、子供や女の人に悪さをするらしく、この付近の人は近づかないようにしているんだとか。
ママは、きっと子供が沼に遊びに行って溺れたりしないようにするためなんでしょうねと言って笑っていたから、たぶん河童なんていないんだろう。
実際こっそり行ってみたけど、とてもきれいな場所で、ちょうどお日様が水面に当たってキラキラしてた。
思わず泳ぎたくなっちゃったけど、ちょうど探しに来たママに見つかって怒られちゃったんだよね。
やっぱり今でも近づいちゃダメみたい。
確かに柵とかないし、すぐに深くなっていそうだったから危ないのかもしれないけど・・・

そういえばあの時ママはちょっとキョロキョロしていたっけ。
なんか誰かに見られているような気がするって言ってた。
河童かもねって言ったら、まさかって笑っていたけど・・・

「お盆には敬一(けいいち)も帰ってくるそうだよ」
「兄さんが? 残念。会いたかったな」
ママとお婆ちゃんが話をしている。
あれ?
ママの首筋、赤くなってる・・・
髪もなんだかしっとりしている感じだし・・・
どうしたんだろ?
朝シャワーでも浴びたのかな?

「あんたはあちらの実家にも行くんでしょ?」
「うん。正樹(まさき)さんのお休みがお盆しか取れないし。やはり顔を出さないと」
「そうだねぇ。あちらさんに顔を出すのも大事だからね」
「兄さんには母さんからよろしく言っておいて」
「そうするよ」
ママはお婆ちゃんのことお母さんって呼ぶんだな。
なんだかちょっと変な気持ちだ。

「それじゃお婆ちゃんはちょっと畑に行ってくるね。健(たける)ちゃん、このあたりは何にもないからつまらないでしょ?」
「大丈夫だよ。ゲームボーイとかも持ってきてるし」
「そうかい。最近はどこでもゲームができるね。それじゃ行ってくるね」
お婆ちゃんが身支度して出かけていく。
裏の畑に行くようだ。
ボクも来た時に見せてもらったけど、キュウリやトマトやナスなんかが作られている。
キュウリがあんなふうになっているなんて面白いよね。
ママはあんまり野菜が好きじゃないから見ようとしなかったけど、どうしようかな、また見せてもらおうかな?

                   ******

結局ボクはお婆ちゃんに付いて畑に行ってきた。
そしてキュウリやトマトの収穫のお手伝いというか、もぐのを少し手伝ってきた。
お婆ちゃんは上手だねって褒めてくれたけど、正直お世辞なんだと思う。
でも、自分でもいだトマトやキュウリはとても美味しそうで、戻って食べるのが楽しみだ。
ママはなんだか寝不足だったみたいで、少し横になると言っていた。
風邪とかじゃないみたいで大丈夫そうだけど、そんなに夜更かししていたのかな?
なんだかこっちに来てから変だよね。

「ただいまぁ」
ボクはいつもとは違うお婆ちゃんの家の玄関を入り、台所に行って手を洗う。
取ってきたトマトやキュウリも洗わなきゃ。
「お帰りなさい」
ママも起きてきたのか台所に入ってきた。
「ただいま。見て、こんなに取ってきたんだよ」
ボクは籠に入ったトマトやキュウリをママに見せる。
「あら、美味しそうね。一本ちょうだい」
「えっ?」
ボクが驚いていると、ママはまだ洗ってもいないキュウリを一本つかみ取り、そのままポリポリと食べ始める。
「えっ? ママキュウリは嫌いなんじゃ?」
確かボクには、健はパパに似たからキュウリ食べられていいわよねって言ってたよね。
ママはどうもこのキュウリの青臭いにおいが苦手だって・・・
「ん・・・そうだったかしら? 美味しいわ。もう一本ちょうだい」
そういうとママは一本どころか三本まとめて持っていく。
「それまだ洗ってないよ」
「いいわ、別に」
ポリポリと音を立てながらキュウリを食べるママ。
なんだかいつものママと違うような・・・
どうしちゃったんだろう・・・
ママ・・・

「そうだ・・・健、泳ぎに行きましょう」
「えっ?」
「どうせ午後は暇なんでしょ? ここはちょっと離れたところに町営のプールがあるの。行きましょ」
なんだか急にうきうきしているママ。
泳ぎに行こうなんてどうしたんだろう。
いつもならボクが誘っても、友達と一緒のほうが楽しいわよとか言って来てくれないことの方が多いのに。
「ね。いいでしょ? 健が行かないならママ一人でも行っちゃうけど」
「い、行くよ。行く」
ボクは慌てて部屋に海パンを取りに行こうとする。
「あらあら、お昼食べなくていいの?」
「た、食べるよー! うーん・・・」
「あははは・・・慌てちゃってダメねぇ。そんなんじゃダメよぉ」
ボクはなんだかママが笑いながら何か言っているのを聞きながら、海パンを取りに行った。

                   ******

「ふう・・・疲れたぁ」
お婆ちゃんの作ってくれた晩御飯のカレーを食べた後、部屋に戻ったボクはもうぐったりだった。
ママがあんなに泳ぎが上手だなんて思わなかった。
それにずいぶん長く水に潜っていられるのでびっくりだ。
どうやったらそんなに長い間水に潜っていられるのって聞いたけど、そういえばいつの間にかできたわってなんだか不思議そうに自分の手を見つめていたっけ。
それにずっと水の中に入りっぱなしで、泳いでいる方が気持ちよさそうにしてた。
プールの閉館ぎりぎりまでいるんだもん、こっちが疲れちゃった。
あ・・・
ダメだ・・・
ご飯食べて床に横になったら、もう目が開けていられないや・・・
ねむ・・・い・・・

あ・・・れ・・・?
いつのまにか寝ちゃっていたのかな?
もう真っ暗だ・・・
毛布がかかってる。
ママがかけてくれたのかな?
ママは?
いない?
トイレにでも行ったのかな?
一緒の部屋で寝ているはずなのに・・・
布団は敷いてあるけど・・・
ボクもトイレに行きたくなったし、行ってみようか。

あれ?
トイレは真っ暗だ。
誰もいないや。
てっきりママが入っているんじゃないかと思ったんだけど・・・
どこに行ったんだろう・・・

ボクはとりあえずおしっこをして部屋に戻る。
やはりママはいない。
なんだかボクは急に不安になってしまう。
ママはどこに行ったのだろう?
もしかして・・・もう帰ってこなくなったんじゃ?
そんなの嫌だよ!

ペシャ・・・
えっ?
なんだろう、今の音。
何かの水音?
ボクが不思議に思い耳を澄ますと、ひたひたと廊下を歩く音がする。
その音が近づいて・・・
「わぁっ!」
ボクは思わず声を上げてしまった。
いきなりふすまがすうっと開いて、ママが入ってきたからだ。
「あら? 目が覚めていたの?」
「マ、ママ・・・どこに行ってたの?」
ボクはドキドキする心臓を抑えてママに聞く。
「ん・・・トイレよ」
「えっ? いなかったよ?」
「・・・・・・どこだっていいでしょ。早く寝なさい」
なんだかママの目がボクをにらんでいるようだ。
それに、髪の毛がびしょぬれじゃないか。
「ママ、髪が濡れて・・・」
「いいから早く寝なさい。子供がいつまでも夜更かししているものじゃないわ」
そう言ってママは服のまま布団にもぐりこんでしまう。
ボクは仕方なく自分も布団に入って目をつぶる。
ママはいったいどうしちゃったんだろう・・・

「ん・・・あ・・・あん・・・はい・・・」
ん?
ママの声?
何か言ってる?
「ああ・・・沼の水の味・・・うふ・・・あの子の精液のにおい・・・はふぅ・・・気持ちいい・・・」
ママが布団の中でごそごそしている。
何をしているんだろう?
ボクはそっと目を開けて、ママのほうを見る。
暗いからよくわからないけど、濡れた髪の毛がママの顔にかかっているみたいだ。
「はい・・・私は・・・私はもう・・・私はあなたのママですぅ・・・」
何を言っているんだろう?
ママは目が覚めているのかな?
「あ・・・はぁぁぁ・・・い、イく・・・あふ・・・」
えっ?
またどこかへ行っちゃうの?
「ママ?」
ボクは思わずママに呼びかける。
でも、ママから返事はなく、すうすうという寝息が聞こえてくる。
なんだ・・・
寝言だったのかな?
マンガなんかで寝言って知っていたけど、これがそうなのかな?
ママも寝言を言うんだ・・・
あはは・・・

                   ******

うーん・・・なんだか夜中の変な時間に起きたせいか眠いや。
でももう朝だから起きなきゃ。
ママはもう起きたみたい。
ボクも起きよう。

「おはよう」
「ああ、おはよう」
「おはよう」
ボクが居間に行くと、お婆ちゃんとママがいた。
ママは朝からポリポリとキュウリを食べている。
それになんだか顔色もいつもとちょっと違う感じだ。
髪も濡れている。
「ママ・・・今朝も髪が濡れているの?」
「えっ? ああ、これ? なんかね、髪が乾くのがいやなのよ。だからシャワーでちょっとね」
「もう、だから健ちゃんにも言われたでしょ。ちゃんと髪を乾かしなさい」
お婆ちゃんがボクの分の朝食を用意してくれながら、ママに言う。
「ええ? いやよ。髪が乾いたら死んじゃうわ」
「えっ?」
「えっ?」
ボクとお婆ちゃんが顔を見合わせる。
髪が乾いたら死んじゃう?
どういうこと?

「優香(ゆか)、あんたまさか沼に行ったんじゃ・・・」
お婆ちゃんが驚いている。
沼って・・・あの沼?
「さあ・・・どうだったかしら・・・どうだっていいでしょ。ごちそうさま」
ママはそう言って席を立ってしまう。
そして置いてあったキュウリをわしづかみにして持って行ってしまう。
「ママ・・・」
「ああ・・・どうしよう・・・あの娘まさか・・・」
「お婆ちゃん?」
何だろう?
お婆ちゃんが慌てている。
どうしたんだろう?

「健ちゃん。いい? ママのそばにいてちょうだい。目を離しちゃだめよ」
「あ・・・う、うん」
ボクはうなずく。
「お婆ちゃんちょっと住職様と相談してくるから。いいわね、ママから目を離さないでね」
「はい」
住職様って、お坊さんのことだっけ?
お婆ちゃんは慌てたようにあたふたと出かけてしまう。
ボクは朝食を食べ終えると、ママのところへ行こうと思って部屋に戻った。

あれ?
ママがいない?
てっきり部屋に戻ったんだと思っていたんだけど・・・
ボクは慌ててママを呼びながらお婆ちゃんの家の中を探してみる。
お婆ちゃんからママから目を離さないでって言われていたのに・・・
「ママ! ママ!」
ボクは仏間やらトイレ、押し入れのふすまも開いて中を見る。
でもママはどこにもいない。
どうしよう・・・
ママはどこへ行っちゃったんだろう・・・

もしかして畑?
キュウリが食べたくて畑に行ったのかも。
ボクはそう思い、急いで靴を履いて外に出る。
そして裏の畑に行ってみる。
でも・・・
ママはいない。
畑にもいなかった。
ママ・・・
どこへ行ったの?

沼・・・
ママはもしかしたら沼に行ったのかもしれない。
沼にいるのかも。
ボクは急いで沼の方へと駆け出した。

「あ、いた」
ボクは思わず声を上げる。
沼にまでやってきたボクは、沼で泳いでいるママを見つけたのだ。
しかもママは水着も着ないで裸で泳いでいる。
なんだかボクは見てはいけないものを見たような気になって、ついママに声をかけるのをためらってしまった。

「ケケケ・・・」
ハッと気が付くと、ボクの後ろにそいつはいた。
頭のてっぺんが平らになっていて、そこが濡れている。
鋭い目でボクを見つめる顔には、黄色みががったくちばしのような口がある。
躰はアマガエルのようなヌメッとした緑色の肌に覆われ、手の指の間には水かきが付いていた。
背中には亀の甲羅のようなものを背負っていて、お腹の部分はやや白みがかって他とは色が違っていた。
背丈はボクと同じぐらい。

「か・・・河童?」
絵本で見た河童にそっくりだ。
まさか本当に河童がいるなんて・・・
「ケケケ・・・お前、あのメスの子供か? あのメスを取り返しに来たのか?」
「マ、ママのこと?」
「ケケケ・・・あのメスはもうオイラのお母ちゃんになるんだ。もうオイラのものだからな」
えっ?
ママが河童のお母さんになるだって?
「だ、ダメだよ! ママはボクのママなんだから!」
ボクは思い切り首を振る。
冗談じゃない!
ママを河童になんか取られてたまるもんか!

「ケケケケ・・・ちょうどいいや。お前の尻子玉をもらおう。お前の尻子玉を食わせれば、あのメスは完全に河童のメスになるんだ」
「ふ、ふざけるな!」
尻子玉が何だか知らないけど、ママを河童になんかさせるもんか!
「よし、じゃあ、オイラが勝ったらもらうことにする。行くぞ! はっけよい! ケケケケ・・・」
「えっ?」
ボクが驚く間もなく、河童は両手を一瞬地面に着き、ボクめがけて突っ込んでくる。
あ、これは相撲だとボクが気が付いた時には、ボクはもう思い切り河童に投げ飛ばされてしまっていた。
「あ・・・ぐぅ・・・」
ボクは背中から地面にたたきつけられ、痛みで一瞬息ができなくなる。
「よし。オイラの勝ちだな。お前の尻子玉をいただくよ。ケケケ・・・」
「ひぎゃぁっ!」
ショックで動けなくなっていたボクは、くるんと地面にうつぶせにされると、あっという間にズボンを降ろされてお尻の穴に手を突っ込まれてしまう。
そしてその手がボクの中から何かを奪い取ってしまう。
あ・・・
急激に力が抜けていく・・・
頭もぼうっとして、何も考えられなくなっていく・・・
ボクは・・・いったい・・・

「ケケケ・・・見ろ。こいつがお前の尻子玉さ」
河童がボクに手にしたきれいな小さな赤いガラス玉のようなものを見せてくる。
あれが・・・ボクの・・・尻子玉?
「こいつをあのメスに食べさせれば、あのメスは完全に河童になる。オイラのお母ちゃんになるんだ。ケケケケ・・・」
「や・・・め・・・」
ダメだ・・・力が出ないよ・・・
「ケケケ・・・いやなこった。オイラそのために三日もかけてあのメスに精を注ぎ込んできたんだからな。すでにもう半分は河童になっているさ」
「マ・・・ママ・・・」
そんな・・・
ママが河童になっちゃうなんて・・・
そんなの嫌だよ・・・
「お前はそこであのメスがオイラの母ちゃんになるのを見ているんだな。あとで会わせてやるよ。ケケケケ・・・」
「ま・・・て・・・」
ボクは必死で手を伸ばしたけど、河童は笑いながら沼へと戻っていってしまう。
くそ・・・躰が・・・動けぇ・・・

「あ・・・いたぁ。もう・・・昼間だから出てきてくれないかと思ったわ」
沼の方からママの声がする。
ボクは必死の思いで躰を動かし、沼のほうが見られるように向きを変える。
ママ・・・
ボクの目の前で裸のママが河童とキスをしている。
そんな・・・
ママ・・・

「ケケケ・・・昼間から会いに来るなんてどうしたんだ?」
「あん・・・だってぇ、躰が乾くし、沼で泳いでいる方が気持ちいいんですもの。それにあなたにも会えるし」
「ケケケ・・・やっとオイラのお母ちゃんになる気になったみたいだな」
「あん・・・ええ・・・私はもうあなたのもの。あなたのママになります」
ママが河童の躰を抱き寄せる。
いやだ・・・
いやだいやだいやだ!
「や・・・め・・・ろ・・・」
力が出ないせいで声も思うように出せない。
悔しい悔しい悔しい・・・
ママ・・・
ボクはここにいるよ・・・
ボクのところに戻ってきてよー!

「ケケケ・・・この唇は誰のものだい?」
「んん・・・ぷはぁ・・・もちろんあなたのものよ」
「ケケケ・・・このおっぱいは誰のものだい?」
「あん・・・もう・・・あなたのものよぉ」
「ケケケ・・・それじゃここは?」
「ひゃん・・・あなたのものです。ああ・・・おねがい・・・入れて・・・」
ボクは思わず目をつぶる。
あんなママは見たくない。
あんなの・・・
あんなのママじゃない・・・
ボクのママは・・・
ボクのママは・・・

「ケケケ・・・それじゃその前にこれを食べるんだ」
「えっ? これは何?」
えっ?
もしかして?
ボクが目を開けると、河童がママにあの赤いガラス玉を渡すところだった。
「それは尻子玉さ。美味しいよ。ケケケケ・・・」
「尻子玉? 綺麗・・・いただきます」
「だ・・・め・・・マ・・・マ・・・」
ボクは必死に止めようと叫ぶけど、ママはボクの尻子玉を口に入れてしまう。
「んふ・・・飴玉みたい。美味しい」
あ・・・
そんな・・・
ボクの尻子玉が・・・
食べられちゃった・・・

「ケケケケ・・・美味しいだろう?」
「ええ、とっても。美味しいわ」
「それじゃ、たっぷり可愛がってあげる。行こうかお母ちゃん。ケケケケ・・・」
「はい。行きましょ。ケケケケ・・・」
ママが笑って水の中に潜っていく。
そのあとで、河童がこっちをちらっと見て、同じように潜っていく。
ボクはそれを見て、意識が遠くなっていった・・・

                   ******

「うっ・・・」
なんだ?
冷たいっ!
ボクは思わず目を開ける。
どうやら水が顔にかかったみたいだ。
「ん・・・目が覚めた、健ちゃん? ケケケケ・・・」
ママの声がする。
ママがいたずらしてボクに水をかけたのかな?
「マ、ママ?」
ボクは声のする方に顔を向ける。
なんだかまだ力が全然入らない・・・
「ブッブー! ざーんねんでしたー! アタシはもうあなたのママじゃありませーん。ケケケケ・・・」
「えっ?」
驚いたボクの目に映ったのは、以前とは全く違ったママの姿だった。
「どうぉ? 見てぇ、この姿。素敵でょう? アタシは河童になったのよぉ。ケケケケケ・・・」
笑いながらくるりと一回転してみせるママ。
その姿はあの河童と同じように、頭のてっぺんが平らで濡れた黒髪をたらし、カエルのような緑色の肌が全身を覆っていた。
顔には黄色みがかったくちばしが付いてて、両手の指の間には水かきもある。
背中には楕円形の亀の甲羅のようなものがあり、おっぱいからお腹の部分だけはやや白い。
それはいつも見慣れていたママの面影を色濃く残した河童だった。

「そんな・・・」
呆然とするボクの前で、あの河童がママのところにやってくる。
ちょうどボクとママが並んだら、あのぐらいの身長差だろう。
「ケケケケ・・・お前の尻子玉でこいつは完全に河童になった。もうこいつはオイラのお母ちゃんだ」
そう言って河童がママに抱き着いていく。
「あん・・・もう・・・甘えん坊ねぇ。アタシのことはママって呼んでほしいわぁ。その方が母親って気がするの。ケケケ・・・」
子供を抱き寄せるように河童を抱き寄せて頬擦りするママ。
そんな・・・
ひどすぎる・・・

「ケケケ・・・なんか呼び慣れないけどお母ちゃんがそういうならママって呼ぶよ」
「うふ・・・ありがと。うれしいわ。ケケケ・・・」
にこやかにほほ笑んでいる河童のママ。
「やめろー! ママを・・・ママを返せ!」
畜生・・・躰が・・・躰が動けば・・・
「ケケケ・・・いやなこった。こいつはもうオイラのママだ。そうだろ、ママ?」
「ええ、もちろんよぉ。残念ね、健ちゃん。アタシはもうこの子のママなの。もうあなたのママじゃないのよ。ケケケケケ・・・」
まるでボクに見せつけるかのように河童を抱き寄せるママ。
ボクは涙が止まらない。
畜生・・・

カチッと音を立ててくちばしを合わせる二人。
「ケケケ・・・このママのくちばしは誰のもの?」
「もちろんあなたのものよぉ。ケケケケ・・・」
「それじゃ、このママのおっぱいは?」
「もちろんあなたのものに決まっているわぁ。たっぷり揉んでちょうだいね。ケケケ・・・」
ゆさゆさと揺れるおっぱいが河童の手で揉まれている。
「ケケケケ・・・それじゃママのここもオイラのものかな?」
「あん・・・その通りよぉ。ここにあなたの太いのを入れてもらいたいわぁ。そしてあなたの弟や妹をたくさん産むの。最高だわぁ。ケケケケケ・・・」
「やめろぉぉぉぉぉぉ!」
いやだぁいやだぁ!
そんなママなんて見たくないーー!

「ケケケケ・・・うるさい子ねぇ。いい? アタシはもうあなたとは何の関係もないの。もう少ししたら動けるようになるから、おとなしく戻りなさい。二度と沼には来ちゃだめよ。もし来たら・・・」
ママがボクを怒ったようににらみつけてくる。
「アタシがあなたを殺すから。ケケケケケ・・・」
ママが高笑いしている。
ボクを殺す?
ママが?
嘘でしょ・・・?

「ケケケケ・・・そういうこった。お前は運がいいぜ。普通は尻子玉を抜くと死んじゃうんだ。お前は子供だから命が強かったのかもな」
「ママを・・・ママを返して・・・」
ボクは必死で河童に手を伸ばす。
ママを返せ・・・
「ケケケケ・・・じゃあな。行こう、ママ」
「ええ。それじゃね、健ちゃん。アタシのことはもう忘れるのよ。アタシはこの子のママなんだから。ケケケケケ・・・」
河童と手をつなぎ水の中へと入っていくママ。
ボクが何度ママと呼んでも、ママはもうこっちを振り返らなかった・・・

                   ******
                   ******

「それで・・・どうなったの?」
心配そうに俺の顔を覗き込んでくる彼女。
なんというか・・・かわいいんだが、この笑顔はどこかで見たような気もする・・・
「どうというか・・・俺は婆ちゃんと住職さんに沼の近くで倒れているところを見つけられ、病院に連れていかれてしばらく入院したよ」
「お母さんは?」
「それっきりだった・・・消防団とか警察の方たちが沼をさらってくれたけど、河童も母も出てこなかったよ」
そう・・・あの日以来俺は母と会っていない・・・
「ふーん・・・」
プールサイドに腰かけるようにして水に浸けた足をパシャパシャさせている彼女。
健康維持と体力維持を兼ねてジムのプールで泳いでいたら、いつの間にか俺は彼女と知り合い、仲良くなっていた。
今日も俺は彼女と二人で会社帰りのジムのプールで運動がてらデートみたいなもの。
なんというか彼女かわいいんだけど、なんで俺こんな話をしたんだっけ?

「そっかー。ごめんね、つらい話させちゃって。健君のご両親にご挨拶しなきゃって思ってたから」
「えっ? それって?」
「うん。先日の話、ちゃんとご両親にご挨拶してお返事しようと思ったんだけど・・・」
俺は何ともうれしくなる。
さっきまで母との別れを思い出し、少し気分が落ち込んでいたんだけど、そんなのどこかに吹き飛んでった。
「じゃ、じゃあ」
「はい。お受けします。よろしくね、健君」
俺の方を見て力強くうなずいてくれる彼女。
やった!
俺は思わず心の中でガッツポーズをとる。
「それじゃ、俺の方こそ君のご両親に挨拶に行かなくちゃ。さっきも言った通り、俺の方は父さんももう死んじゃってるし挨拶する人なんていないから」
「ええ、そうね。今度の週末にでも行きましょ。その沼に」
ケケッと笑う彼女。
「えっ?」
沼?
沼って・・・あの?

「アタシも久しぶりだわ。ママとお兄ちゃんに会うの。あ、ママは健君のママでもあるんだっけ? ケケ・・・」
そう言ってプールに入って泳ぎ出す彼女。
「アタシね・・・ママとお兄ちゃんの娘なの。これからもよろしくね、健君。アタシはもうあなたのものよ。ケケケ・・・」
トプンと水の中に潜っていく彼女。
ああ・・・そうか・・・
彼女の笑顔はママに似ていたんだ・・・
彼女がキュウリサンドが好きなのも、泳ぎが得意なのも当然か・・・
ははは・・・
おそらく沼にもどれば、彼女も河童の姿に戻るのだろう。
すると俺は、ママの義理の息子になるってことになるのかな?
あははははは・・・
まあ、それも悪くないか・・・

END
  1. 2018/03/10(土) 20:36:42|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8

掃除機と加湿器 (後)

昨日に続きまして「掃除機と加湿器」の後編をお送りいたします。
ザラベダみたいな悪魔っ娘が私のところにも来ないかなー。

それではどうぞ。


                   ******

うう・・・ん・・・
だんだん意識が戻ってくる。
ゆっくりと目を開ける紗枝梨。
ここはどこ?
私はいったい?

紗枝梨はゆっくりと周囲を見る。
どうやら我が家のリビングのようだわ。
私、いつの間にか眠ってしまっていたのかしら・・・
ゆっくりと躰を起こす紗枝梨。
だが、自分の躰に何となく違和感を覚える。
『あら? どうかしちゃったかしら?』
自分の声がすごくくぐもって聞こえる。
それもそのはず、彼女の躰は先ほどまでとは全く違っていたのだ。

彼女は裸だった。
ゆっくりと立ち上がった彼女の姿は、確かに人間の女性としてのボディラインは保っていた。
それは二人の子を持つ四十台の女性としてはかなり美しいもので、彼女の夫もよくそのスタイルの良さを褒めていたものだった。
しかし、今の彼女の姿は、人間らしいのはそのラインだけだったのだ。

彼女の躰からは頭髪を含めた毛髪がすべて消え失せており、後頭部は剥きたてのゆで卵のようにつるんとしていて、股間の茂みも全くない。
全身は白かった肌の色が濃いグレーになっており、躰の脇にオレンジ色のラインが走っている。
何よりその皮膚は柔らかみのない硬質なプラスチックになっており、首や肩、腕や足などの関節部は球体関節となっていた。
彼女の異質さを際立たせるのがその顔で、鼻と口が酸素マスクのような三角形のカバーで覆われ、そこから床にまで達するような長い灰色の蛇腹のホースが伸びている。
ホースの先端にはT字型をした掃除機の吸い込み口があり、彼女の声はそこから聞こえていたのだ。
背中には持ち手のようなコの字型のでっぱりができ、尾てい骨のところからはコンセントに差し込む電源コードのプラグが見えている。
膝と足首のところには回転するキャスターが付いていて、四つん這いになったときに腕だけで移動できるようになっていた。
両方の形の良い乳房には、先端に押しボタンになった乳首が付いており、右側に“電源”と、左側には“コード”と書かれている。
それはまさに、紗枝梨と彼女が先ほどまで手にしていた掃除機が融合した姿に他ならなかった。

紗枝梨は躰に感じた違和感を確認するべく、戸棚のところにある鏡を見る。
そこにはまるで酸素マスクを付けたように鼻と口をすっぽりと覆われ、頭髪がすっかり抜け落ち、肌の色もグレーとなった自分の顔があった。
だが、紗枝梨はもうそれを変だとは思わなくなっていた。
それどころか、掃除機である自分にとっては当たり前の姿だと思うようになっていた。
『どこもおかしいところはないわね。気のせいだったみたい。今はもう違和感も感じないし』
T字型の吸い込み口の先からくぐもった声がする。
それももう、紗枝梨の中では当たり前のことになっていた。

『ああ・・・そうだわ、掃除を・・・掃除をしなきゃ・・・掃除をしたいわ』
まるで美味しいものを嗅ぎつけたかのようにホースの先端を床に下ろしてクンクンと嗅ぐようなしぐさをする紗枝梨。
チリやホコリの臭いがたまらなく彼女をそそる。
『ああ・・・掃除・・・掃除よ・・・』
紗枝梨は尾てい骨のところの電源プラグを持ち、ずるずるとひっぱっていく。
すると彼女の体内からコードが伸びていき、やがて黄色い目印のラインが現れる。
そのことを感じ取った紗枝梨は、すたすたとコンセントのところへ歩み寄り、プラグを差し込む。
『ふわぁ・・・』
体内に電気が巡ってくる気持ちよさ。
思わず声が出てしまう。
体内に電気が通ったことで、紗枝梨は右胸の乳首スイッチを押す。
すぐさまヒュゴーーーというモーター音が唸り、紗枝梨の口から伸びたホースの先端にあるT字の吸い込み口から大量の空気が吸い込まれ始める。
そして空気は紗枝梨の体内を通り、お尻の穴から排気として噴出していくのだ。
ああ・・・気持ちいいわぁ。
紗枝梨は体内を空気が流れていく快感に酔いしれる。
空気が流れるだけでこれなら、実際にゴミを吸ったらどんなに気持ちがいいのだろう。
もう、紗枝梨は我慢ができなくなっていた。

紗枝梨はすぐに四つん這いになり、ホースの先端を床に付ける。
ゴーッという音とともに床の空気がチリやホコリと一緒に吸い込まれ、紗枝梨の体内を流れていく。
あん・・・なんて気持ちいいの・・・ゴミを吸い取ることがこんなに気持ちよかったなんて・・・
紗枝梨はその気持ちよさに感動さえ覚えてしまう。
これこそが彼女が生まれてきた喜びと言ってもいいだろう。
チリやホコリは彼女の体内に取り込まれ、空気だけがお尻から出ていく。
呼吸などはもう必要がない。
前から吐き出すなどありえないではないか。

四つん這いになって床のチリを吸い込んでいく紗枝梨。
時々腕を使って躰を前進させる。
カラカラと膝と足首のところのキャスターが回り、彼女の躰をスムーズに移動させていく。
紗枝梨はもう、掃除が楽しくて楽しくて仕方がなかった。
あらかた床のごみを吸い取ってしまうと、胸の電源ボタンで一度電源を切り、紗枝梨は今度は股間に手を伸ばす。
彼女の股間部分は収納ケースになっていて、そこに隙間用の細くなった吸い込み口がセットされているのだ。
紗枝梨はそれを取り出すと、ホースの先端のT字型吸い込み口をはずし、隙間用吸い込み口をセットする。
『うふふふ』
先端の形状が変わり、それがまた紗枝梨を喜ばせる。
これで隙間のゴミを吸い取れるのだ。
楽しみだわ。

再び電源ボタンで電源を入れると、また猛烈な勢いで空気を吸い込み始める紗枝梨。
そのまま姿勢を低くし、口から伸びるホースを家具の隙間に差し入れていく。
毎日掃除しているはずなのに、いつの間にか溜まっているチリやホコリ、さらには虫の屍骸なんかも紗枝梨の中に吸い込まれていく。
ひゃー・・・なんて気持ちいいのぉ・・・ゴミがこんなにたくさん・・・最高だわぁ・・・
ゴミを吸い込めば吸い込むほど気持ちがいい紗枝梨。
もはやゴミを吸わない生活など考えられない。
もっと・・・もっとよ・・・
紗枝梨はさらにゴミを求めていく。
ここが終わったら寝室ね・・・その次は・・・そうだわ、愛由美の部屋も幸雄の部屋もあるわ・・・
あの子たちの部屋なら、きっと多くのゴミがあるに違いない。
そう思うだけで紗枝梨は身震いするほど興奮してしまう。
もはや子供たちの部屋には立ち入らないなどという考えは彼女から消え去っていた。
ああん・・・楽しみだわぁ・・・
これからのことを思いながら、紗枝梨は隙間のゴミを吸い込み続けていく。
その様子をザラベダは満足そうに眺めていた。

                  ******

「ただいまぁ」
玄関で少女の声がする。
学校を終えた愛由美が帰ってきたのだ。
紺色の制服に身を包んだ愛由美は高校生になったばかり。
なんとなく制服もまだしっくりと馴染んではいないような感じだ。

「あー、お腹空いたぁ。ママァ、何か食べるものあるー?」
リビングに入るなり、カバンを置いてソファに腰を下ろす。
とりあえず一息入れておやつか何かを食べたいところなのだ。
「ママァ?」
いつもならお帰りなさいと言ってくれるはずの母が出てこないことに、首をかしげる愛由美。
だが、すぐに疑問は解ける。
両親の寝室のほうから掃除機の音が聞こえるのだ。
どうやら掃除をしているところだったらしい。
「もう・・・」
愛由美は何か食べるものがないかどうか聞くため、寝室に行こうと立ち上がった。

「ママァ、ただいまぁ・・・えっ?」
両親の部屋に入った愛由美は目を疑った。
そこには母親ではなく、灰色の躰をした裸の女性が四つん這いになって何かをしていたのだ。
「ひっ! だ、誰?」
思わず小さく悲鳴を上げる愛由美。
その声に反応したのか、掃除機の音が止まり、裸の女がゆっくりと立ち上がる。
『あら、お帰りなさい』
「ひーっ!」
その姿はまさに異形。
裸の女性には違いないのに、灰色の肌をしており、足にはキャスターが付いていて、むき出しの胸は乳首が押しボタンのようになっている。
顔からは口と鼻がマスクのようなもので覆われ、そこから床にまで長いホースが伸びており、その先端には掃除機の吸い込み口のようなものが付いていたのだ。

「ば、化け物!」
あまりのことに床にへたり込んでしまう愛由美。
『まあ、いきなりなぁに? 母親を見て化け物だなんて。何かのギャグ?』
灰色の女の化け物が腰に手を当ててにらんでくる。
「は? え? ママ? ママなの?」
愛由美にはとても信じられない。
目の前のこの異形の女が母親とは思えるわけがないのだ。
『何を言ってるの? ママの顔を見忘れたの?』
愛由美はぶんぶんと首を振る。
母の顔を見忘れたりするはずがない。
はずがないからこそ、今この目の前にいるのが母とは思えないのだ。
『おかしな娘ねぇ。あ、おやつならゴミ箱から適当にあさっていいわよ』
「えっ?」
ゴミ箱から?
いったい何がどうなっているの?

「マ、ママなの? ど、どうしてそんな姿に?」
『ええ? ママの姿が何か変?』
灰色の女が自分の躰を見降ろしてみる。
『どこも変じゃないわよ。足のキャスターもちゃんと回るし、モーターも問題ないわ。ゴミだってまだ詰まってないわよ』
そう言ってお腹のふたを開け、中からピンクの四角いケースを取り出して中を見る。
『うん。まだいっぱいになってないわ。問題ないわよ。ほら』
そう言ってケースの中身を愛由美に見せる。
ピンク色の箱の中に床から吸い取ったゴミが少し溜まっていた。

「ひーっ!」
たまらず悲鳴を上げる愛由美。
何?
なんなの?
ママが・・・ママが化け物になっちゃったの?
『いちいちうるさい娘ねぇ。今日はどうしたの? ママ、今掃除しているんだからあっちへ行ってなさい』
「そ、掃除?」
『ええ、そうよ。私は掃除機ですもの。掃除をするのは当たり前だわ』
「掃除・・・機?」
『ええ、そうよ。私は掃除機。ゴミを吸うのが大好きなの。ベッドの下のゴミを吸うのが楽しみだわぁ』
そう言って胸のボタンを押すと、モーター音がし始め、彼女はそのまま四つん這いになる。
『私は掃除するんだから邪魔しないで』
「あ・・・あああ・・・」
あまりのことに、愛由美はまるで這うようにしてその場を後にする。

どうしよう・・・
どうしよう・・・
ママが掃除機になっちゃった・・・
どうしよう・・・
病気?
それとも何かの呪い?
とにかく誰かに知らせなきゃ・・・
でも誰に?

必死になって何度も転びそうになりながらリビングに戻ってくる愛由美。
中に入ろうとしたその瞬間、何かが愛由美の胸に当たる。
「きゃん!」
声を出したのは愛由美ではない。
「えっ?」
思わず何がぶつかったのか確かめる愛由美。
すると、彼女の足元に奇妙な小さい女の人の形をしたものが倒れていた。
「えっ? 人形?」
愛由美は思わずその人形のような小さな女を拾い上げる。
その女は奇妙な恰好をしており、躰にぴったりした紫色の服を着て、背中からコウモリのような羽を生やしている。
お尻からも先がとがった矢じりのようになった尻尾が生えており、まるで絵本に出てくる女の悪魔のようだ。
手にした感触は柔らかく、また温かみもあるので、もしかしたら生きているのかもしれない。
「な、なにこれ?」
愛由美はその奇妙な小さな女に戸惑った。

「う・・・うーん・・・」
小さな女が目を覚ます。
「ひゃっ! い、生きてる!」
思わず手から振り落としてしまう愛由美。
小さな女は、床に落ちそうになる寸前で背中の羽を広げ、ふわりと飛び上がった。
「と、飛んだ?」
「もう、いきなりぶつかってきて、何するのよ」
小さな女は愛由美の顔のあたりまで飛んでくると、腰に手を当てて怒っている。
「な、なに? なんなのあんた?」
先ほどから信じられないようなことばかりが起き、愛由美はもう何が何だかわからない。
「何って・・・あー、いけない! また見られちゃったわ。もう・・・ユキオに石をぶつけられてから散々だわ」
「えっ? 幸雄?」
いきなりこの小さな女から弟の名が出たことに驚く愛由美。
「そう。ユキオに石をぶつけられたの。でもね、美味しいチョコをくれたからもういいの。赦してあげたわ。わざとじゃないって言ってたし」
「幸雄を知ってるの?」
「知ってるわよ。あなたの弟なんでしょ?」
「そうだけど・・・あなたはいったい?」
この小さな女と弟はいったい何の関係があるのだろうか?
いったい我が家に何が起こっているというのか?

「見てわからない? 私は悪魔。ユキオと契約したの。だからユキオにだけは名前を教えてあげたわ」
「契約? 何の契約?」
「ユキオの望みをかなえてあげたのよ。ユキオはママに掃除機になっちゃえって言ったの」
ふふんと胸を張る女悪魔。
そうだったのか・・・
ママが掃除機になってしまったのは幸雄が原因で、この悪魔がママを掃除機に変えたんだ・・・
愛由美は愕然とする。
まさか弟がそんな望みを悪魔に言うなんて思ってもいなかったからだ。
確かに掃除は好きじゃない様子だったし、私もママが掃除掃除っていうのはいやだったけど・・・
掃除機になってしまえなんて言っていいはずがない。

「あなたがママをあんなふうにしたのね!」
愛由美は目の前でひらひらと飛んでいる女悪魔をつかみ取る。
「キャッ! 何するのよ! 離しなさい!」
「離してもいいから、ママを元に戻しなさい!」
愛由美はぐっと顔を近づけて女悪魔をにらみつける。
とにかく今は母親を元に戻すのが先決だ。
「はあ? あなたバカ? ゆでタマゴを生タマゴに戻せるとでも?」
憐れんだような笑みを浮かべる悪魔に愛由美はムッとなる。
「あなたがやったんでしょ? 元に戻しなさいよ! 何とかして」
思わず手にも力が入る。
「痛い痛い! 何するのよ! このバカ女! あんたも何かに変えてやる! えーい!」
いきなり悪魔の手が光ったかと思うと、愛由美は急速に意識が遠くなってしまった。

                   ******

「あ・・・れ?」
目を覚ます愛由美。
なぜ眠っていたのか思いだせない。
何か大変なことが起こっていたような気もするけど・・・

ゆっくりと躰を起こす愛由美。
どうやらリビングの床で寝ていたらしい。
愛由美はボディに傷がついていないか確認する。
女性の柔らかなラインはそのままだが、その姿は先ほどまでの彼女とは一変していた。
頭髪などの毛髪はすべて消え、白い肌はよりつややかな白のプラスチックの肌へと変化している。
関節はボール型ジョイントになっていて、お尻からは尾てい骨のあたりから黒いコードが伸びている。
小ぶりだが形の良い両胸は右が電源ボタン、左がダイヤル式のタイマーになっていた。
お腹の部分は取り外しができるようになっていて、コの字型の取っ手が付いている。
顔の造りは以前の愛由美のままだったが、口だけは大きく開いたままで固定されていた。

自分の硬質な白いプラスチックのボディを確認した愛由美は、どこにも傷がついていないことに安堵する。
そしてクンクンと空気を嗅ぐようなしぐさをする。
「いけない。部屋が乾燥しているわ」
愛由美はそういうと、カツカツと硬質な足音をさせ、台所へ行ってお腹の取っ手を持って引っ張り出す。
すると、お腹の部分が四角く外れ、大きなタンクになっていた。
愛由美は無言でそのタンクに水を入れ、再び自分のお腹にはめ込んで、台所を出る。
そしてリビングの隅っこに行き、お尻から伸びたコードをコンセントにつなぐと、そのまま床に座り込む。
お尻をぺたんと床に付けるいわゆるアヒル座りという座り方で座ると、愛由美は右胸の電源ボタンを押す。
すると、愛由美の体内でかすかな振動が起き、口から霧状になった水が吐き出され始める。
ああ・・・気持ちいい・・・
愛由美はうっとりとして目を閉じる。
空気中に霧状の水を吐き、空気を湿らせることがこんなにも気持ちがよかったなんて・・・
愛由美は大きな口を開け、霧状の水を吐き続ける。

「どう? 加湿器になった気分は?」
愛由美の肩に女悪魔が飛んできて腰を下ろす。
そんなの決まっているじゃない。
「最高よ。部屋を加湿するのがこんなに素晴らしいことだとは思わなかったわ。加湿器になれて幸せ」
愛由美は心からそう思う。
加湿器じゃない自分などもう考えられない。
このままずっと部屋の加湿をしていたい。
愛由美はただそれだけを考えていた。

「くふふ・・・チョコのお礼にしてはサービスしすぎたかしら。でもまあ、二人の女たちも幸せそうだし問題ないでしょ。いい事したわぁ」
三つ又のトライデントを手に愛由美の肩から飛び上がる女悪魔ザラベダ。
そのままリビングを出ると、ちょうど寝室の掃除を終えて、いそいそと二階へ上がっていく紗枝梨の姿が見える。
きっと愛由美や幸雄の部屋を掃除しに行くのだろう。
邪魔しちゃ悪いわね。
それじゃ二人ともお幸せにー。
ザラベダは笑みを浮かべると、そのまま窓を開けて飛び去って行く。

幸雄が智樹とたっぷりゲームを楽しんでから家に帰ってきたのは、夕方も遅くなってからのことだった・・・
「うわーーーん! ママーー! お姉ちゃーーん!」
ブォーーーン
シュコーーー

END


明日はヒロイン悪堕ち短編を投下いたしますのでお楽しみに。
  1. 2017/11/11(土) 20:36:02|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7

掃除機と加湿器 (前)

昨日告知いたしました通り、ブログ開設から4500日達成記念といたしまして、今日から四日連続でSSを三本投下したいと思います。
今日明日と前後編で一本、12日に一本、13日に一本投下する予定です。
お楽しみいただければと思います。

今日は「掃除機と加湿器」の前編です。
なんのこっちゃと思われるタイトルかと思いますが、異形化作品の一種と思っていただければと思います。

それではどうぞ。


掃除機と加湿器

「ヤバ・・・」
玄関へ向かおうと階段を下りてきた幸雄(ゆきお)は思わずそう口にしてしまう。
リビングで母親がこれから掃除機をかけようとしていたところだったのだ。
うわぁ・・・
心の中でまずいところに来てしまったと焦る幸雄。
ちょうど母の掃除タイムに当たってしまったらしい。
何とか見つかりませんようにと念じながら、彼はこっそりと玄関へ向かう。
だが・・・

「幸雄! どこへ行くの? お部屋の掃除はしたの?」
黙って通り過ぎようとしていた息子を目ざとく見つける母親。
彼女は持っていた掃除機を置き、そのまま息子のほうへと向かう。
見つかっちゃった・・・
幸雄は思わず肩をすくめる。
またお小言が始まってしまうよ。
急いでいるのになぁ・・・
そう思ってももはやどうしようもない。
幸雄は仕方なく母親のほうを向いた。

「友達のところに行く約束をしてるんだよ。帰ってきたら掃除するよ」
そう言って何とかこの場を逃れようとする幸雄。
「またそんなこと言って! 日曜日だって掃除するって言って結局しなかったじゃない!」
その態度に思わず口調が荒くなってしまう母の紗枝梨(さえり)。
どうせこの調子なら帰ってきたところで掃除などするはずがないのだ。
「今日はするよぉ」
幸雄は必死に弁解する。
「本当に? しなかったら、今日こそママがあなたの部屋に入って掃除するからね」
腰に手を当てて息子をにらみつけている紗枝梨。
もちろんそれは最終手段である。
紗枝梨には、たとえ子供であろうと一人の人間として過度にプライバシーには立ち入らないというルールを自分で決めている。
だからこそ、自分の部屋は自分でちゃんときれいにしてほしいのだ。
姉の愛由美(あゆみ)はそこそこ掃除をしているようだけど、この子はなかなか掃除をしようとはしない。
おそらく部屋の中はホコリでいっぱいだろう。
そんな部屋にいたら具合悪くなってしまうのにと紗枝梨は思う。

「そ、それはだめだよ。いろいろと置いてあるから、ママが勝手に動かすとどこに行ったか分からなくなっちゃう」
幸雄は慌てて首を振る。
母親に部屋に入られたら、ゲームやマンガが片付けられていないことがわかってしまう。
いや、彼も自分なりには置き場所を把握しているし、片付けているつもりではあるのだが、母親にとっては散らかっていると見えるらしいのだ。
だから本棚とかゲーム入れに勝手に戻されて、あとで探す羽目になるのはいやだった。
「だったらちゃんと自分で掃除しなさい! ホコリだらけの部屋にいたら病気にもなっちゃうのよ!」
「わかりました! 行ってきます!」
「あ、待ちなさい!」
逃げるが勝ちだとでも言わんばかりに、幸雄は母に背を向けた。

逃げ出すようにして玄関から外に飛び出す幸雄。
ふう・・・
やれやれ。
ママのきれい好きにも困ったものだよ。
毎日毎日掃除機をかけないと気が済まないんだもの・・・
うんざりした表情を浮かべる幸雄。
母の紗枝梨は病的なほどのきれい好きなのか、毎日掃除機をかけている。
そのため、幸雄にも毎日掃除しろ掃除しろとうるさいのだ。

あーあ・・・
せっかくこれから智樹(ともき)のところでゲームやるっていうのに、すっかり出ばなをくじかれちゃった。
ホントにもう腹が立つ。
一週間ぐらい掃除機かけなくたって平気だよ!
ママのバカ!
そんなことを思いながら、幸雄は腹立ちまぎれに転がっていた石を蹴飛ばす。

「キャッ!」
突然石が飛んで行った方向から声がした。
えっ?
驚く幸雄。
なんか変な声がしたぞ。
えっ?
何?
不思議に思って幸雄が石の転がったあたりに行くと、石の下敷きになっている変なものを見つける。
「えっ? お人形?」
それは、一見女の子たちが遊ぶような着せ替え人形みたいなものだった。
大きさ的にも着せ替え人形のようなもので、身長30センチぐらいだろうか。
二本の変な角の付いたフードが首から上を覆っており、躰も紫色のぴったりした全身タイツみたいなのを着ているため、女性であることが一目でわかる。
だが、背中からはコウモリの羽のようなのが生えていて、お尻からは先のとがった尻尾が伸びている。
なんと言うか、マンガに出てくる女の悪魔みたいな人形だ。

「えっ? これって生きてるのかな?」
幸雄はしゃがみこんで、彼女をそっと指先でつついてみる。
「う・・・うう・・・ん」
倒れていた小さな女がもそりと動く。
「うわ、生きてる」
思わず驚いて声を出す幸雄。
何これ?
初めて見るその小さな女性に、幸雄はちょっと興味を持った。

「ううーん・・・あっ!」
女悪魔の人形みたいなのが、目を覚まして幸雄を見上げてくる。
「あなたね! 石をぶつけたの!」
どうやらやっぱりさっきの石が当たっていたらしい。
「ご、ごめん。当たるなんて思わなかったんだ」
思わず謝る幸雄。
まさか石を蹴った先にこんなのがいるなんて思いもしなかったのだ。
「ひどいわ! ケガしなかったからいいけど、もしかしたら死んでいたかもしれないのよ!」
起き上がって腰に手を当てて怒っている女悪魔。
だが、なんというか小さくてかわいい感じで、怖さを感じさせるものがない。
いったいこれは何なのだろう。
幸雄はついまじまじと見てしまう。
躰は小さいが、大人の女性ぽくもある。
スタイルがいいうえに、躰にぴったりしたタイツ状の服だから、いやでも躰のラインに目が行ってしまう。
幸雄はなんだかちょっとドキドキしてしまった。

「ごめんなさい。ホントに当たるなんて思わなかったんだ。ところで、君は何者なの?」
幸雄はとりあえず彼女に謝ると、彼女が何者なのか尋ねてみる。
「何者って・・・えっ? もしかして私が見えて? キャッ! 私見られてるの?」
突然うろたえる彼女。
両手で顔を覆っている。
「うん。見えてるけど・・・」
「見られた―。石をぶつけられたせいだわ。どうしよう・・・ちょっとあんた! 責任取りなさい!」
いきなりビシッと彼女が幸雄を指さしてくる。
「せ、責任?」
びっくりする幸雄。
いきなり責任なんて言われても・・・
「ど、どうすればいいの?」
「うーん・・・とりあえず名前を教えなさい」
「い、池島(いけしま)幸雄」
「ユキオね。とりあえず私のことは誰にも言わないこと。いいわね?」
「いいけど、そっちも名前を教えてよ」
こっちが名乗ったんだから、そっちも名乗ってほしいと幸雄は思う。
「そんなことできるわけないでしょ!」
ふんという感じで横を向く彼女。
「むっ、じゃあ君を見たことをクラスのみんなに言いふらす」
「なっ! わ、わかったわよ。私はザラベダよ」
意外とあっさり名前を教えてくれたことに幸雄は拍子抜けした。
まさか言いふらすなんてことが通じるとは正直思っていなかったのだ。
「ザラベダだね。で、君はいったい何者なの?」
「もお、この姿見てわからないの? 悪魔よ! あ・く・ま!」
キッと幸雄をにらみつけ、その前でくるっと一回転してみせるザラベダ。
なんと言うか、躰のラインがしっかり出ていてすごくきれいだと幸雄は思う。

「で、なぜ私に石をぶつけたのか白状しなさい!」
ザラベダは落ちていた自分のトライデントを拾って突き付ける。
先が食事に使うフォークのように三つ又に分かれた槍の一種だ。
「だから、君を狙ったんじゃないよ。ちょっとむしゃくしゃしてさぁ。あっ、こんなことしてられないんだ」
幸雄は智樹のところへ行かなくちゃならなかったことを思い出す。
「ごめんね。石をぶつけちゃったお詫びにこれをあげるよ」
ポケットから板チョコを取り出す幸雄。
智樹の分と合わせて二枚持ってきたけど、智樹とは一枚を半分こすればいいやと思ったのだ。
「えっ? こ、これは?」
自分の躰ぐらいもある大きさのチョコを手にしてよろけるザラベダ。
なんと言うか可愛い。
「チョコだよ。その躰の大きさだと、いっぺんに食べると鼻血が出るかも。じゃあね」
幸雄はそう言ってその場を後にする。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
ザラベダはそういうと、チョコをもって幸雄を追いかける。
背中のコウモリの羽で空を飛び、幸雄の肩に乗っかるのだ。
幸いザラベダの声に幸雄が立ち止まったため、彼女は何とか彼の肩に乗ることができた。
「ふう・・・もう! こんなのもらったら私のほうがもらいすぎじゃない! いいわ。取引しましょう。何が望み?」
ザラベダは彼の肩に座り込むと、そのままチョコの包み紙を剥いてむしゃむしゃと食べ始める。
小さな躰なのに大きなチョコにかぶりつく姿に、幸雄は思わず苦笑した。
「望みって言われても・・・これと言って望みなんてないけど・・・」
チョコを食べ終わるまでは降りそうもないザラベダに、幸雄は仕方なくそのまま歩き出す。
それにしても、ザラベダはボクに姿を見られて慌てていたのに、ほかの人にも見えちゃうんじゃないのだろうか?
ちょっとそんなことも頭をよぎったが、気にすることもないのだろう。

「嘘! 望みがないなんて嘘よ。たいていの人間は望みがあるわ」
幸雄の肩でキッと彼をにらみつけるザラベダ。
欲のない人間など彼女は会ったことがないのだ。
これまでの人間は、彼女が悪魔だと知ると、逆に利用してやろうという連中だった。
その上で彼女を何とか出し抜こうとするばかり。
この少年ユキオだってそうに違いない。

「そりゃボクだって、もっとゲームが欲しいとかもっとお小遣いが欲しいとかあるけどさ。悪魔にお願いはしないよ。だって、悪魔にお願いしたらよくないことがあるじゃないか」
多くの物語じゃ悪魔にお願いした人はろくなことにならないということを幸雄は知っている。
だから、ザラベダがどんなにかわいい見た目をしていても、何かをお願いするという気にはならなかった。
というよりも、ザラベダが悪魔ということ自体が信じられない。
むしろ、物語に出てくる妖精だと言ってくれた方がまだ信じられるような気がしたのだ。
「それはその人の受け取り方次第よ。一つの事象も見る方向によっていいことにもよくないことにも見えるもの」
チョコの甘い香りを漂わせてザラベダはそういう。
今回彼女にユキオをだまそうとかそういう意識はなかった。
石をぶつけたことを素直に謝り、悪魔だという彼女を見ても特に驚かず、それどころかチョコをくれるなんてお人よしもいいところだ。
だから、こっちもお人よしになってやろうというのだ。
悪い話じゃないだろうに・・・
そう彼女は思う。
一方で、幸雄はザラベダのいう見る方向によっていいことにも悪いことにも見えるという言葉に戸惑った。
それは見方によっては悪いこともいいことだっていうことなのだろうか?
ママが掃除しろ掃除しろと言うのも、悪いことではなくいいことだというのだろうか・・・

「ねえ、望みはないの?」
重ねて問いかけるザラベダ。
「ないってば」
幸雄は首を振る。
「それじゃ私が困るわ。チョコもらっちゃった分取引で返さなきゃ。石をぶつけられたにしては受け取りが多いのよ。そういえば、なんで石をぶつけたのかまだ聞いてないわ」
「だからザラベダを狙ったんじゃないってば。ママに小言を言われてむしゃくしゃしてたから、石を蹴飛ばして気を晴らそうとしたんだ。そうしたらそこにザラベダが・・・」
出がけの一件を思い出す幸雄。
ああ・・・帰ったら掃除しなくちゃならないのかぁ。
そう思っただけで家に帰りたくなくなる。
いっそ今日は智樹の家に泊まらせてもらおうか?
そんなことすら考えてしまうのだ。

「お小言?」
人間の親にはよくある行為だ。
子供を躾けるため、自分の思いをぶつける行為。
子供がどう思おうと、子供のためという名目で押し付ける。
それこそ受け取る側次第の行為だ。
「うん。ママはきれい好きでさ。毎日掃除機をかけないと気が済まないんだ。それをボクや姉さんにも押し付けてさ。姉さんはまだ一日おきぐらいに掃除するからそうでもないけど、ボクはあんまり掃除しないから、毎日毎日掃除しろ掃除しろってうるさいんだ」
「ふーん・・・ユキオも大変ねぇ」
同情するようにうなずくザラベダ。
「もうさ、そんなに掃除が好きなら、ママが掃除機になっちゃえばいいんだよ。そうしたら好きなだけ掃除できるじゃん」
その言葉にザラベダの目が輝く。
「承ったわ」
「えっ?」
幸雄がザラベダのほうを見ると、彼女は板チョコを一枚きれいに食べ終えていて、彼の肩から飛んでいく所だった。
「ザラベダ?」
「ふふふ・・・私に任せて」
「えっ?」
幸雄が何を任せてなのか聞こうと思った時には、ザラベダはもうそこにはいなかった。
なんだろう?
ボクなんか言ったかな?
ちょっと思い返してみるものの、何かを望んだつもりはない。
まあ、いいや。
智樹のところに急がなきゃ。
それにしても、悪魔と話したなんて言ったって、誰にも信じてもらえないよな、きっと。
幸雄はそう思って苦笑した。

                   ******

「ふう・・・」
思わずため息をついてしまう紗枝梨。
またやってしまったわ・・・
怒ったり声を荒げたりしないようにって思っていたのに・・・
それもこれもあの子がきちんと自分の部屋を掃除しないから。
根本的な原因はそこなのだと紗枝梨は思う。
姉の愛由美はそこそこ掃除をするのに、どうしてあの子は掃除をしないのだろう?
きっとあの子の部屋にはホコリが溜まっているんだわ。
私ならホコリまみれの部屋にいるなんて耐えられない。
呼吸をするだけでホコリを吸ってしまいそうでゾッとするわ。
紗枝梨はホコリまみれの部屋にいる自分を想像して身震いをする。
子供のころからきれい好きだった紗枝梨にしてみれば、どうしてそんなところにいられるかがわからないのだ。

ふう・・・
こんなことしていても仕方がないわね。
さっさと掃除機をかけてしまいましょう。
そう思い椅子から立ち上がる紗枝梨。
掃除機かけなんてめんどくさいだけだけど、ホコリが溜まることに比べたらマシだもの。
はあ、ホコリなんて溜まらない世界ならいいのに・・・
心の中でそう文句を言いながら、紗枝梨は掃除機をセットしていく。
さあ、掃除をしてしまわなくては・・・

「ふーん・・・あなたがユキオのママなのね」
「えっ?」
突然背後から声をかけられて驚く紗枝梨。
慌てて振り返るが、誰もいない。
「えっ?」
きょろきょろと部屋を見渡しても人がいる様子はない。
夫は会社だし、娘はまだ学校だ。
幸雄はさっき出かけてしまったし、それに女の声だったような気がする。
空耳?

紗枝梨がそう思って再び掃除機のセットをしようと思った時、ふと目に付くものがあった。
リビングのテーブルに人形が腰かけているのだ。
しかも、長くすらっと伸びた足をぶらぶらと揺らしているではないか。
「えっ? 人形?」
まさかそんなところに人形が置いてあるだなんて思いもしなかった。
しかも、なんだか不気味な人形だ。
躰全体にぴったりしたタイツのような黒い服を着ており、背中からはコウモリのような羽が生えている。
頭には先端が丸くなった角のようなものが左右に生え、手にはフォークのように先が三つに分かれた槍のようなものを持っている。
まさかさっきの声はこの人形が?
もしかして愛由美のものかしら・・・

「ユキオの願いをかなえに来たわ」
紗枝梨がよく確かめようとテーブルに近づくと、驚いたことにその人形が立ち上がる。
「えっ?」
人形がひとりでに立ち上がってしゃべった?
いや、人形にしては生き生きとしすぎている。
まさか本当に生きている人形?
紗枝梨は自分が見ているものがとても信じられない。
「ユキオはね、あなたが掃除機になっちゃえばいいって言っていたわ。だから私がその願いをかなえてあげるの。取引成立よ」
人形が背中の羽を広げ、くすくすと笑っている。
「え? 幸雄が? あ、あなたはいったい?」
違う・・・
これは人形なんかじゃない・・・
紗枝梨はだんだん恐ろしくなる。
「私は悪魔。悪魔ザラベダ。さあ、あなたは掃除機になりなさい!」
ザラベダはニヤッと笑みを浮かべると、持っていたトライデントの先端を紗枝梨に向ける。
そして何事かをつぶやくと、紗枝梨は糸の切れた操り人形のようにその場で意識を失った。

(続く)
  1. 2017/11/10(金) 20:47:34|
  2. 異形・魔物化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

カレンダー

03 | 2020/04 | 05
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

AquariumClock 2

プロフィール

舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

ブログバナー


バナー画像です。 リンク用にご使用くださってもOKです。

カテゴリー

FC2カウンター

オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

管理人にメールなどを送りたい方はこちらからどうぞ

ブログ内検索

RSSフィード

ランキング

ランキングです。 来たついでに押してみてくださいねー。

フリーエリア

SEO対策: SEO対策:洗脳 SEO対策:改造 SEO対策:歴史 SEO対策:軍事

フリーエリア