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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

オオカミとコウモリ(後)

新作SS「オオカミとコウモリ」の後編です。
タイトル通りコウモリが登場です。
お楽しみいただけましたら幸いです。


                   ******

クレープ屋からの帰り道。
夕暮れの中、二人の女戦士が道を歩く。
「うーん・・・美味しかったぁ」
クレープのおいしさに満足気な顔の絵里。
その様子に隣で由梨が苦笑する。
「ん? 由梨は美味しくなかった?」
確かにあんまり多くは食べてはいなかったようだが・・・
「いや、そんなことは・・・」
だが、由梨にとって物足りなかったのも事実だった。
人肉を食べてみたい・・・
ウルフイエローとなった由梨には、クレープなんかよりもそっちの方がよほどおいしそうに感じるのだ。

「やっぱりあれ? 昼間の一件が尾を引いてる?」
目の前で人間が引き裂かれるのを見たというのだ。
食欲がなくて当然だろう。
甘いもので元気を出してもらおうと思ったけど、もしかしたら裏目に出てしまったのかもしれない。
絵里は自分の考えの浅さに思い至る。
「ううん・・・そんなことないわ」
「だといいけど・・・」
「ねえ・・・ちょっとこっちを通っていかない? 夕陽がきれいなところがあるのよ」
「えっ? ええ」
突然の由梨の申し出に一瞬戸惑う絵里。
だが、気晴らしになるならそれもいいとすぐにうなずく。
二人は高台にある公園へと向かった。

「うわぁ、きれいねぇ」
高台から夕陽を望む絵里。
確かに由梨の言う通り夕陽がとてもきれいに見える。
この街でこんなところがあるとは知らなかった。
いや、この高台公園そのものは知っていたのだが、夕陽がきれいとまでは知らなかったのだ。
「でしょ。まるで血の色みたい」
「えっ?」
驚いて隣の由梨に目をやる絵里。
そこにはとても冷たい目と笑みを浮かべた由梨が立っていた。
「由梨・・・どうしたの? 何か変よ?」
「そうかしら。ほら、人間どもの血の色って素敵じゃない?」
「由梨・・・昼間の件がそんなにショックで?」
「ショック? いいえ、とても楽しかったわよ。泣きわめく家族を爪で引き裂いていくのは本当に楽しかったわ。うふふふふ・・・」
「ゆ、由梨? いったい何を・・・?」
絵里は思わず一歩後ずさる。
いつも仲良く付き合っていた友人が急に全く知らない人物に思えたのだ。

「うふふ・・・あの人間どもを引き裂いて殺したのは私だって言っているのよ。楽しかったわ」
冷たい目を輝かせて笑う由梨。
その手に付けられたブレスレットのスイッチが押される。
「由梨! 何を?」
こんなところで変身するなんてどういうつもりなの?
そう思う絵里の目の前で、由梨の躰に黄色の粒子がまとわりつき、彼女をウルフイエローに変えていく。
大まかな外見はかつてのイエローダガーと変わらない。
だが、両脇の白いラインは黒くなり、両手の手袋と両足のブーツには毛が生え、足先はオオカミの足のようになっている。
お尻には黄色のふさふさの尻尾が生え、ヘルメットにはオオカミの耳が付いていた。
「由梨・・・その姿は・・・?」
思わず息をのむ絵里。
「アオーン! うふふふふ・・・これが本当の私の姿よ。私はウルフイエロー。ウルフガブー様によって眷属に生まれ変わったの。アオーン!」
「そ、そんな・・・由梨が・・・そんな・・・」
目の前で起こった出来事が信じられない絵里。
だが、周囲にいた市民たちの悲鳴が絵里をハッとさせる。
「皆さん、逃げて! 早く逃げて!」
すぐに周囲の人たちに逃げるよう指示する絵里。
そして自分もブレスレットに手をかける。
「由梨、待ってて、すぐに元に戻してあげる。ダガーチェンジ!」
絵里の躰にピンク色の粒子がまとわりつき、それがダガースーツへと変化する。
ピンク色に白のラインが両脇に入ったミニスカート型のスーツ。
バイザーに前面を覆われたフルフェイス型のヘルメット。
両手両足もブーツと手袋でカバーされ、露出部分は一切ない。
「ピンクダガー、降臨!」
アースダガーチームの一人、ピンクダガーがそこにいた。

「由梨、目を覚まして! あなたはガブーに操られているのよ!」
「アオーン! 違うわ。私は生まれ変わったの。ウルフガブー様のおかげで偉大なるガブーのすばらしさに目覚めたのよ」
鋭い爪をピンクダガーに向けるウルフイエロー。
あの爪ならダガースーツも無事では済まないかもしれない。
ピンクダガーがそう思うほどの鋭さだ。
「仕方ないわ。あなたを倒して由梨を取り戻す!」
ぐっとこぶしを握り締め、ウルフイエローに対峙するピンクダガー。
だが、彼女は背後から近づくもう一体の存在に気が付かなかった。

「グッ! えっ?」
いきなり背後から首を絞められるピンクダガー。
「グルルルル・・・油断したようだな。敵が目の前にいるだけとは限らんのだ」
「ガッ・・・ま、まさか・・・ガブー怪人?」
両手で首に回された相手の腕を引きはがそうとするピンクダガー。
だが、すぐにその手をウルフイエローが引き離し、左右に広げられてしまった。
「なっ?」
「グルルルル・・・俺様はガブー怪人のウルフガブーだ。そしてこいつは俺様の忠実なしもべになったというわけさ。そうだな?」
「アオーン! はい、ウルフガブー様。私はウルフガブー様のためなら何でも致します。アオーン!」
嬉しそうに吠え声をあげるウルフイエロー。
バイザーに浮き出た牙の模様が心なしか笑ったようにすら見える。
「くっ・・・あなたが由梨を・・・」
「グルルルル・・・そうさ。だが心配はいらん。お前もこいつと同じ俺様の眷属にしてやろう」
「本当ですか、ウルフガブー様? よかったわね。あなたも私と同じウルフガブー様のしもべになるのよ」
「くっ! だ、だれが・・・あなたの眷属になど・・・」
必死にもがき、何とか逃れようとするピンクダガー。
だが、二人がかりで押さえられてはどうしようもない。

「ケケケケケ・・・そいつは吾輩にもらえないかな? ウルフガブーよ」
「むぅ! 誰だ?」
夕闇が広がってきた公園に声が響く。
「ケケケケケ・・・吾輩だよ、ウルフガブー」
バサッと空気を切る音がして、黒い影が降りてくる。
全身を短い黒い毛に覆われ、両耳が大きく広がり、両腕には大きな羽が広がっている。
「グルルルル・・・バットガブーではないか。どうしてここへ?」
「ケケケケ・・・お前が面白いことができたと言っていたのでな。どうだ、その女は吾輩のモノにさせてもらえぬか?」
コウモリの怪人バットガブーがウルフガブーに話しかける。
「グルルルル・・・ほう、いいとも。ほかならぬお前の頼みだ。この女はお前のモノにするがいい」
あっさりと了承するウルフガブー。
同じガブー怪人同士ということもあるが、バットガブーとは妙に馬が合うのだ。
そのバットガブーの頼みであれば断る理由はない。

「ケケケケケ・・・それはありがたい。では早速」
「いやっ! 何を!」
ピンクダガーの両手をイエローウルフから受け取り、そのままその首筋に牙を突き立てるバットガブー。
「ひぐっ! ダ、ダガースーツが・・・そんな・・・」
バットガブーの牙に貫かれた首筋から何かが流れ込んでくる。
「ケケケケケ・・・吾輩のエキスをたっぷりと注入してやったぞ」
首筋から牙を離し、満足そうに笑みを浮かべるバットガブー。
「あ・・・躰が・・・しびれ・・・」
突き飛ばされるようにウルフガブーに放り出され、そのまま地面に倒れ込むピンクダガー。
その躰が小刻みに痙攣し、もはや声も上げられないようだ。

やがてピンクダガーのスーツにも変化が起き始める。
両脇の白いラインがすうっと黒く染まっていき、両足のブーツがコウモリの足のように変化する。
両腕からピンクの飛膜が形成し始め、コウモリの羽のように広がっていく。
手袋の指先からは鋭い爪がのびて尖っていく。
フルフェイスのヘルメットの両脇には大きなコウモリの耳ができ、バイザーの口のあたりに三角系の牙の模様が浮かび上がった。

「ケケケケ・・・ほう、これはこれは。さあ、起きるがいい」
バットガブーの言葉にゆっくりと起き上がるピンクダガー。
だが、その姿は以前とは異なり、両腕から胴体にかけてコウモリのような飛膜が広がっている。
「キキキキキー! なんて気持ちがいいのかしら。素晴らしいわ。私は生まれ変わりました。ありがとうございます、バットガブー様」
自分の躰をかき抱くようにしてくるくると回るピンクダガー。
「ケケケケ・・・これでお前は吾輩の眷属となったのだ。バットピンクと名乗るがいい」
「はい。それが私の新しい名前なのですね。私はバットピンク。バットガブー様の忠実な眷属です。何なりとご命令を。キキキキキー!」
スッとひざまずいて一礼するピンクダガー。
いや、もはや彼女はバットガブーによってバットピンクに作り替えられてしまったのだった。

「ケケケケケ・・・これは何とも面白いではないか。ウルフガブーよ、どうしてこんなことができるとわかったのだ?」
ピンクダガーが眷属と化したことに満足しながらも、なお驚きを隠せないバットガブーがウルフガブーに振り返る。
「グルルルル・・・先日人間を襲った時にな、噛みついたところに唾液を流し込んでしまったのだ。そうしたらその人間がオオカミ人間になったのでな。これは面白いと思ったのさ」
「なるほどなぁ」
腕を組んでうんうんとうなずくバットガブー。
「まあ、そいつは変化に耐えきれずにすぐに死んだがな。こいつらアースダガーならもしかしてと思ったのさ。こうもうまくいくとはね」
ウルフガブーがウルフイエローを抱き寄せる。
「あん・・・」
うっとりとしたしぐさでウルフガブーに寄り添うウルフイエロー。
「グルルルル・・・よくやったぞウルフイエロー。お前はもう完全に俺様のモノだな」
「もちろんですウルフガブー様。私はウルフガブー様の忠実なる眷属です。アオーン!」
それを見てバットピンクを立たせ、その肩を抱き寄せるバットガブー。
「ケケケケケ・・・これからはお前にも働いてもらうぞ、バットピンク」
「はい。何なりとご命令を。バットガブー様。キキキキー!」
ウルフイエローに負けずバットガブーにしなだれかかるバットピンク。
彼女ももはや身も心もバットガブーに完全に支配されてしまったのだ。

「ケケケケケ・・・まったく最高ではないかウルフガブーよ。で、どうするのだ? ほかの連中も眷属にするのか?」
「グルルルル・・・お前がそうしたければするがいい。俺様は野郎の眷属などいらんがな」
「ケケケケケ・・・それもそうだ。吾輩もいらん」
ウルフガブーの言葉に苦笑して首を振るバットガブー。
「グルルルル・・・だが、これで奴らを倒すのはこいつらにやらせればいい。できるな?」
「もちろんです。あんな連中と仲間だったなんて思いだしたくもありません。アオーン!」
「私もですわ。この生まれ変わった素晴らしい躰を見せつけ、奴らをこの爪で引き裂いてやります。キキキキー!」
ウルフイエローもバットピンクも両手の爪をかざしてみせる。
「ケケケケケ・・・どうやらもう仲間に対する親愛の情はなくなったようだな」
バットガブーの言葉に二人は深くうなづいた。

                   ******

「失礼します。うふふふふ・・・」
「うふふふふ・・・」
執務室に入ってきた由梨と絵里の二人に、机から顔をあげる遊佐司令。
二人が妙に冷たい笑みを浮かべており、また二人とも濃いアイシャドウを引いているのが明香には気になった。
「どうしたの、二人とも? 何か用?」
「うふふふふ・・・司令は今日何の日かご存知ですか?」
「当ててみてください。ふふふふ・・・」
つかつかと机のそばまでやってくる二人。
どうにもいつもと雰囲気が違う。
いったいどうしたというのだろう?

「さあ、わからないわ。ごめんなさい。誰かの誕生日だったかしら?」
首をかしげる明香。
いろいろと考えてみるが思い当たるものはない。
「うふふふ・・・残念」
「残念ですわ。ふふふふ・・・」
冷たく微笑んでいる由梨と絵里の二人。
「もう。意地悪しないで教えてちょうだい。いったい何の日なの?」
務めて明るくしようとする明香。
きっと二人は何かサプライズを仕掛けようとしているのかもしれない。

「うふふふ・・・それでは発表です」
「ふふふふ・・・実は・・・アースダガーの最後の日なんですよ、遊佐司令」
「えっ? 最後の?」
きょとんとしてしまう明香。
いったい二人は何を言っているのだろう?
最後の日とは?
「最後の日って・・・どういうこと?」
「うふふふふ・・・人間は察しが悪いですね」
「ふふふふ・・・仕方ないわよバットピンク。下等な人間どもには理解しがたい事なんだわ」
「それもそうね、ウルフイエロー」
顔を見合わせてくすくすと笑っている二人。
下等な人間だなどと、ガブーのようなことを・・・
えっ?
思わず椅子から立ち上がる明香。
「あなたたち・・・まさか?」
「うふふふふ・・・ようやく気が付いたのかしら?」
「ふふふふ・・・愚かな人間ね。さあ、私たちの本当の姿を見せてあげましょう」
そう言って二人は腕のブレスレットに手を伸ばす。
すぐさまピンクと黄色の粒子が彼女たちを包み込み、由梨と絵里の姿をウルフイエローとバットピンクへと変貌させた。
「アオーン! やっぱりこの姿がいいわぁ。人間の姿なんてしたくないわね」
「キキキキー! まったくだわ。この姿こそ本当の私」
以前のイエローダガーやピンクダガーの姿とそれほど変わっていないはずなのに、耳や尻尾、羽が付いただけでこうもまがまがしい雰囲気になるものか?
明香は二人の変化に愕然としていた。

「あ、あなたたち・・・」
「アオーン! どう? この姿。素敵でしょ? 私はウルフガブー様のおかげで生まれ変わったの。今の私はウルフガブー様の眷属ウルフイエロー」
「キキキキー! 私も生まれ変わりました。今の私はバットガブー様の眷属バットピンクなんですよ、遊佐司令」
「そんな・・・くっ!」
我に返った明香はすぐにインターコムに手を伸ばす。
自分はともかくこの状況をほかに知らせなくてはならない。
「レッド! ブルー! グリーン! 大至急司令官室へ来て! イエローとピンクがガブーに取り込まれたわ! 大至急来て!」
きっと呼び出している最中に襲われるものと覚悟していた明香だったが、意外にも二人は襲ってはこなかった。
それどころか腕組みをして明香の様子をうかがっている。
「もういいんですか? 司令。キキキキー!」
「何なら、もっと助けを呼んでもいいんですよ。アオーン!」
その言葉に色を失う明香。
「ま・・・まさか・・・」
「ふふふふ・・・厚司の躰を切り裂くのは気持ちがよかったわ。アオーン!」
「大樹もよ。結構筋肉質だったから切り裂き甲斐があったわ。キキキキー!」
鋭い爪をかざして見せつける二人。
「博人はちょっとだけ私たちを疑ったみたいだけど・・・」
「二人で襲えばなんてことなかったわね」
「三人とも・・・なの?」
がっくりと椅子に崩れ落ちる明香。
「ほかにもオペレーターとか警備兵とか。アオーン!」
「いっぱい切り刻んでやりましたわ。キキキキー!」
「最後は私というわけなのね・・・」
あきらめた表情を浮かべつつ、机の下の拳銃に手を伸ばす明香。
この拳銃の特殊弾ならダガーショットと同じ程度の威力を持つ。
おそらくこの二人にもかなりの効果があるに違いない。

「うっ? うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
突然頭の中をかき混ぜられるような激しい頭痛が明香を襲う。
思わずもんどりうって椅子から転げ落ちる明香。
取り出した拳銃も床に転がってしまう。
「ああ・・・あああ・・・」
「アオーン! ふふふふ・・・バットピンクの超音波はさすがね」
「キキキキー! ダメですよ、司令。そんなもので私たちに歯向かおうとするなんて」
超音波を止め、転がっている拳銃を遠くへ蹴り飛ばすバットピンク。
「うう・・・ううう・・・」
超音波が止まったことで頭痛は収まったものの、激しい衝撃で躰がうまく動かない。
「うふふふふ・・・心配はいりませんわ。司令を殺すつもりはありません。キキキキー!」
彼女のそばにやってくるイエローウルフとバットピンク。
「な・・・なんで?」
「ふふふふ・・・偉大なるガブーの首領様は、司令の才能を見込まれたのです。人間にしておくには惜しいと。アオーン!」
「ですから、司令を首領様の下へお連れして、首領様のお力で生まれ変わらせていただけるのですわ。キキキキー!」
動きのとれない明香を見下ろし、楽しそうに話している二人。
「うらやましいな。私たちは眷属だけど、司令はガブー怪人に生まれ変われるんだもの。アオーン!」
「本当ですわ。司令ならきっと素敵なガブー怪人に生まれ変われますよ。キャットガブーなんてどうでしょう? キキキキー!」
「そんな・・・ことは・・・」
「さあ、行きましょう司令。首領様がお待ちですわ。キキキキー!」
「や・・・やめろ・・・」
何とか抵抗しようとする明香。
だが、ウルフイエローが抱きかかえるようにして彼女を連れ去っていく。

やがてオオカミとコウモリのガブー怪人と、そいつらに率いられる黄色とピンクの女怪人に加え、黒猫と人間の女性が合わさったようなガブー怪人が現れるようになるまでに、そう時間はかからなかった。

END
  1. 2017/09/06(水) 20:49:32|
  2. 改造・機械化系SS
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:11

オオカミとコウモリ(前)

久しぶりにSSが一本書きあがりましたので、今日明日の二日間で投下したいと思います。
タイトルは「オオカミとコウモリ」です。
楽しんでいただけると幸いです。

それではどうぞ。


オオカミとコウモリ

『イエロー、そっちは大丈夫?』
ヘルメットの内蔵スピーカーから聞こえてくるピンクの声。
「こっちは大丈夫。クグチューぐらいは私だけで充分」
そう答えて路地に逃げ込むクグチューたちを追っていくイエローダガー。
奴らを逃がしてしまえば、いずれまたどこかで悪事をおこなうに違いないのだ。
非情なようだが、敵は殲滅する。
それが地球を守るアースダガーの一員たる彼女の役目。

「ガブーのクグチューめ、ちょこまかと・・・でも逃がしはしないわよ!」
脇に白いラインの入った、黄色のミニスカート型のダガースーツと呼ばれるバトルスーツで全身を覆い、フルフェイスのヘルメットで頭部をカバーした姿は、まさに特撮番組に出てくるヒロインそのものだが、彼女の所属するアースダガーもまさにその特撮番組に出てくる正義の戦隊と言っていい。
レッド、ブルー、グリーン、イエロー、ピンクの五人の戦士たちが、地球侵略をもくろむ謎の組織ガブーと戦っているのだ。
現実だと言ってもなかなか信じてもらえないに違いない。

近年世界を騒がせている謎の組織ガブー。
最初は新たなテロリストの組織かと思われたものの、まるで動物の着ぐるみを着ているかのようなガブー怪人や、灰色の全身タイツにネズミのような頭と尻尾を持つクグチューと呼ばれる戦闘員が集団で現れ、世界征服を表明するに至っては冗談としか思われなかった。
だが、ガブー怪人やクグチューたちの力はすさまじく、警察力で抑え込むのは不可能と理解されるのにそれほど時間はかからなかった。
各国は軍隊による対応に乗り出したが、それさえも簡単に蹴散らしていくガブー怪人たちに、世界は驚愕し、頭を悩ませることになったのだ。

そんな中、日本では特殊バトルスーツの開発に成功し、アースダガー戦隊を作ることによってガブー怪人たちの阻止に成功していた。
ガブー怪人を五人のコンビネーションで翻弄して倒していくアースダガー戦隊。
これによって各国もそれぞれ自前の戦隊チームを編成し、ようやくガブー怪人に対処する目途が立ってきたという現状だったのだ。

「チュチュ―!」
「チュチュ―!」
お尻から伸びる尻尾を振りながら狭い路地を逃げていく二体のクグチューたち。
頭には大きな丸い耳が付いていて、時々ぴくぴくと動いている。
彼らがかぶり物や着ぐるみを着ているわけではないことが、そのことからもわかる。
「くそっ、こうも動き回られては・・・」
戦闘区域の周辺には警報が出され、一般市民は屋内待機を指示されてはいるものの、こうした狭い路地ではいつ市民と出くわさないとも限らない。
また、塀や生垣の向こうには民家があるわけで、こういう場所では拳銃型の武器「ダガーショット」を撃つわけにもいかなかった。
なんとか追いついて格闘戦に持ち込まねば・・・
次第に焦りを感じてくるイエローダガー。

「チュチュ―!」
「チュチュ―!」
突然クグチューたちの脚が止まる。
行き止まりの路地に入り込んでしまったのだ。
すぐさま戻って違う道に入ろうとしたものの、その前にイエローダガーが立ちはだかる。
「追いつめたわよ。もう逃がさない」
急いでクグチューたちを倒してしまわなくてはならない。
時間がかかれば、どっちかが塀を乗り越えて民家に入ってしまうかもしれないのだ。
そのため、一気に片をつけるべくイエローダガーはクグチューたちに飛び掛かった。
「ヤーッ!」
イエローダガーの手刀がクグチューの喉を砕く。
「チュチュ―!」
もんどりうって倒れるクグチュー。
すかさずもう一体の方には長い足を生かして蹴りを入れる。
「チュチュ―!」
蹴り飛ばされて塀に躰をたたきつけられたクグチューは、これもその場に倒れて動かなくなった。
「ふう・・・」
肩の力を抜いて息を吐くイエローダガー。
どうやらこいつらを逃がさずに済んだようだ。
思わずヘルメットのまま額の汗をぬぐおうとし、気が付いて苦笑する。

「グルルルルル・・・」
「えっ? 誰?」
背後からの唸り声に振り向くイエローダガー。
そこには青白い毛皮に覆われ、耳をぴんと立て、黄色の目をらんらんと輝かせ、牙をむき出して唸る直立したオオカミの姿があった。
「ガブー怪人!」
驚くイエローダガー。
先ほどタイガーガブーというガブー怪人をアースダガーは倒したばかりだったのだ。
これまでのガブーの動向から言って、数日は動きがなくなるはずだった。
それなのにまさかという思いがあったのだ。

「グルルルル・・・俺様はウルフガブー。イエローダガー、よくもクグチューたちを倒してくれたな」
牙をむき出し鋭い爪を向けてくるウルフガブー。
その威圧感に思わず一歩後ずさりしてしまう。
まずい・・・みんなを呼ばなければ・・・
ガブー怪人と一対一では倒すのは難しい。
負けるとまでは言わないものの、やはりチームで当たるのが正しいだろう。
だが、そんな思いをよそにウルフガブーが飛び掛かってくる。
「くっ!」
間一髪のところでウルフガブーの爪を避けるイエローダガー。

「ほう、よく避けたな。俺様の動きについてこられる奴はそうはいない」
振り向いてにらみつけてくるウルフガブー。
「くっ・・・」
奴の言うとおりだ。
一瞬でも気を抜けばあの爪や牙に引き裂かれてしまうだろう。
みんなを呼ぶにはどうしてもそちらに気をとられる。
いったいどうしたら・・・
イエローダガーのヘルメットの中で冷や汗が流れる。

「グルルルル・・・今度はどうかな?」
挑発するかのように笑みを浮かべるウルフガブー。
その鋭い爪がギラリと光る。
勝負は一瞬。
奴が飛び掛かってくるときの一瞬にかけるしかない。
ごくりとつばを飲み込むイエローダガー。
その手のひらにも汗が浮く。
失敗は許されない。
なんとしても・・・

「ガァァァァァッ!」
唸り声をあげて飛び掛かってくるウルフガブー。
「今だ!」
イエローダガーの手が腰のホルスターからダガーショットを抜き、そのまま射撃する。
狭い路地だがやむを得ない。
「グオッ!」
「ガッ!」
お互いに苦悶の声をあげる二人。
イエローダガーを飛び越えて着地したウルフガブーは、その肩の毛皮がちりちりと焦げている。
イエローダガーのほうも右肩に受けた衝撃で思わずダガーショットを落としていた。

「グルルルル・・・なかなかやるな。気に入ったぞ」
「それはどうも」
お互いにまた向き直る二人。
だが、イエローダガーは確実にダメージを受けていた。
衝撃で右手がしびれて、ダガーショットを拾えないのだ。
次に飛び掛かってこられたら・・・
どうしたらいいの・・・

「ガァァァァァッ!」
「グッ!」
飛び掛かってくるウルフガブーに身構えるイエローダガー。
だが、予想された爪による攻撃は来ず、代わりに素早く背後に回ったウルフガブーに羽交い絞めにされてしまう。
「なっ?」
いきなりのことに驚くイエローダガー。
次の瞬間、彼女の首筋に痛みが走る。
「あぐぅ!」
それがウルフガブーに噛みつかれたものだということにイエローダガーは気付く。
そ、そんな・・・
ダガースーツを貫いたというの?
防弾防刃の強化服であるダガースーツを貫くなど、通常では考えられない。
だが、現に彼女は首筋に食い込む牙の痛みを味わってしまっていた。

「グルルルル・・・これでいい」
あっさりとイエローダガーを離すウルフガブー。
がっくりとその場に膝をつくイエローダガー。
か、躰がしびれ・・・る・・・
全身に広がる痛みとしびれ。
立っていることもできないのだ。
「な・・・何を・・・」
「グルルルル・・・俺様のエキスをたっぷり含んだ唾液をお前の中に流し込んでやったのさ」
「だ・・・えき・・・?」
たまらず地面に倒れ込むイエローダガー。
その躰が小刻みに痙攣している。
「そうだ。お前を俺様の眷属にするためにな。喜べ。お前は俺様のものとなる」
「そ・・・んな・・・」
必死に立ち上がろうとするイエローダガー。
だが、すでに目はかすみ、意識も朦朧となってくる。
やがて彼女の意識は闇の中に沈んでいった・・・

ぴくぴくと痙攣するイエローダガーの躰。
やがてその躰に変化が表れてくる。
黄色のダガースーツの脇にある白いラインが黒く染まっていき、ブーツにもこもこと毛が生え始め、つま先がオオカミの足先のように変化する。
お尻からは黄色の毛におおわれたオオカミの尻尾が生え、ぱたぱたと揺れ動く。
「グルルルル・・・ほう、スーツごと変化していくか。面白い」
鼻づらの長いオオカミの口元に笑みを浮かべるウルフガブー。
その間にもイエローダガーの躰は変化し、両手の手袋にも毛が生え、指先からは鋭い爪がのびていく。
フルフェイスのヘルメットにも毛に覆われたオオカミの耳が生え、バイザーの口元のあたりには白い三角の牙のようなマークが描かれる。

「うう・・・ううう・・・アオ・・・アオーーン!」
やがてオオカミのような吠え声をあげ、ゆっくりと起き上がるイエローダガー。
両手両足に毛が生え、尻尾と耳が付いた姿は、まさにオオカミと化したイエローダガーの姿だった。
「グフフフフ・・・どうやら俺様の眷属に生まれ変わったようだな。今日からお前はウルフイエローと名乗るがいい」
「アオーン! それが私の新しい名前なのですね? ありがとうございますウルフガブー様。私はウルフイエロー。ウルフガブー様の忠実な眷属です」
尻尾をぱたぱたと振り、ウルフガブーの足元にひざまずくイエローダガー。
いや、もはや彼女はウルフガブーによって作り出されたウルフイエローだった。

「グルルルル・・・ではお前の力を見せてみろ。そこの民家にいる連中を始末するのだ」
路地脇の一軒を指し示すウルフガブー。
「かしこまりました。うふふふふ・・・アオーン!」
こくりとうなずき、吠え声をあげて民家に飛び込んでいくウルフイエロー。
悲鳴と笑い声が交錯し、やがて両手を血に染めたウルフイエローが戻ってくる。
「三人ほどいましたので皆殺しにしてまいりました。人間を爪で切り裂くのって楽しいです。アオーン!」
「グフフフフ・・・よくやったぞ。完全に俺様の眷属と化したようだな」
「ありがとうございます、ウルフガブー様」
足元にひざまずき、ウルフガブーに頭をなでられ尻尾をぱたぱたと振るウルフイエロー。
「グルルルル・・・ところで人間の姿になることはできるのか?」
「やってみます。アオーン!」
以前と同じように右腕のブレスレットでスーツの解除をするウルフイエロー。
すると、一瞬全身が光に包まれ、アンダースーツ姿の女性の姿が現れた。
だが、その目には冷たい光が宿り、濃いアイシャドウが引かれ、口元にも邪悪な笑みが浮かんでいる。
「どうやら可能なようです、ウルフガブー様」
「グルルルル・・・そのようだな。これはいい・・・いいか、お前はその姿で奴らの元へ戻るのだ。そして俺様からの次の命令を待て。いいな?」
顎に手を当ててうんうんとうなづくウルフガブー。
これはいい手駒が手に入ったと考えたのだ。
「かしこまりました。ウルフガブー様のご命令のままに」
再びひざまずく彼女。
そして立ち上がると、くるりと振り返り、かつての仲間たちの元へと戻っていった。
邪悪な笑みを浮かべたまま・・・

                   ******

「あ、居た居た。おーい! こっちだ!」
「大丈夫? 由梨!」
路地から出たところで、レッドダガーとピンクダガーの二人が駆け寄ってくる。
レッドダガーはほかの二人も手招きして呼んでいるようだ。
真っ先に駆け寄ってきたピンクダガーが、自分もダガースーツを解除する。
茶色のショートカットの似合う、少し幼い感じのする女性だ。
凛として少しきつめの感じのイエローダガーこと辛木由梨(からき ゆり)とは対照的だが、ダガーチームの女性陣は二人きりということもあって仲は良い。
「ええ、大丈夫よ、絵里」
心配そうなピンクダガーこと相園絵里(あいぞの えり)にちらっと眼をやりそう答える由梨。
その目のいつもと違う冷たい感じに絵里は違和感を感じる。
それにいつもこんなに濃いアイシャドウを引いていただろうか・・・
「クグチューたちはどうしたの? 何かあった?」
「倒したわ。何も問題はないわよ」
表情を変えずに歩きだす由梨。
躰にぴったりしたアンダースーツがそのラインを際立たせている。
「お、無事だったな? なんだもう解除したのか? その格好で歩くと男たちには目の毒だぜ」
遅れてやってきたブルーダガーが軽口をたたく。
「やめてよ。もう敵はいないんだしいいでしょ。なんならあなたたちもアンダースーツ姿になれば?」
じろりとブルーダガーを見やる由梨。
思い過ごしだろうか・・・
だが、どことなくいつもと感じが違う・・・
絵里は何となくそう感じるのだった。

迎えの車に乗り込みアースダガーベースへ向かう五人。
その中で由梨はぼんやりと外を見ている。
何となく周囲を拒絶しているようで、絵里はやはり気になった。
ダガーチーム五人のうち、ピンクダガーの絵里とイエローダガーの由梨だけが女性であり、絵里と由梨という名前の語感も似ていることから、二人はユリエリコンビとして知られていた。
絵里にしても由梨は頼りになるメンバーだし、全幅の信頼を寄せている。
逆に由梨に頼ってもらえているかというと・・・
そっちの方はやや心もとないと絵里は思う。
だが、今日の由梨はどうしたのだろう・・・
どうにも違和感がぬぐえないのだ。

「あの路地で惨殺死体が見つかったぞ! 由梨、何か見なかったか?」
今日の戦いのデータをチェックしていたレッドダガーこと熱野厚司(ねつの あつし)が振り返る。
「えっ?」
「聞いてなかったのか? お前がクグチューを追いかけて入ったあの路地で惨殺死体が見つかったんだよ」
上の空のような返事をする由梨に、厚司が繰り返す。
「あ・・・ああ・・・ガブーの怪人が・・・」
何か言いよどむ由梨。
「怪人が? 怪人がいたのか?」
「なんで言わないんだ?」
アンダースーツ姿のブルーダガーこと空田博人(そらた ひろと)と、グリーンダガーこと林原大樹(はやしばら だいき)も振り返る。
まさかあの場に怪人がいたなんて・・・
タイガーガブーだけじゃなかったの?
由梨の言葉に絵里も驚きを隠せなかった。

「すぐに立ち去って行ったし、クグチューたちを相手にしてて報告が後回しになってしまって・・・ごめん」
頭を下げる由梨。
「そうか・・・まあ、次回はすぐに俺たちにも知らせてくれ」
「ああ。奴らが一度に二体以上の怪人を送り込んできたとなると・・・」
「厄介だな・・・」
腕を組んで今後のことを考える大樹や博人。
厚司も今のことをノートPCに打ち込んで報告する。
アースダガーベースに着くまでにも、リーダーはやることはいろいろとあるのだ。

「それで・・・その怪人がやったの?」
「ええ・・・ずたずたに切り裂いて・・・楽しんでいたわ」
「そう・・・」
絵里は由梨の違和感の理由がわかった気がした。
怪人が人間をずたずたに切り裂くところなんて正視に耐えられるものじゃない。
きっとそれで由梨はショックを受けたんだわ・・・
そう自分で納得し、あとで気晴らしに連れ出そうと考える絵里だった。

                   ******

「みんなお疲れ様。第二の怪人が現れていたということは、今後の対応として留意すべきことだけど、とりあえず今のところ動きはないみたい。みんなには準待機態勢で申し訳ないんだけど、それぞれ休息に入ってちょうだい」
アースダガーベースに戻ってきたチームのメンバーを出迎える、アースダガーチーム司令官の遊佐明香(ゆざ めいか)。
まだ三十代の若さでアースダガーチームの指揮を執る有能な女性だ。
個性の強いメンバーをしっかりと把握して取りまとめている。
彼女に敬礼し、それぞれの部屋に引き上げるメンバーたち。
そんな中、絵里は部屋に入ろうとした由梨に声をかける。
「由梨」
「・・・何?」
一瞬にらまれたような感じがしてドキッとする絵里。
だが、すぐにいつもの由梨の表情に戻っていた。
「一息ついたら甘いもの食べに行かない? クレープの美味しい店が雑誌に紹介されていたの」
「・・・いいわ」
ぎこちなく笑みを浮かべる由梨。
やはり目の前で行われた惨殺が堪えているのかもしれない。
それでも気丈にふるまっているのが由梨らしいと絵里は思う。
「それじゃあとで呼びに来るね」
「ええ」
そう言って絵里は手を振って由梨と別れる。
絵里が立ち去ったことで、どことなくホッとしたような顔をする由梨。
そのまま自分の部屋に入ってドアを閉める。

「アオーーーーン!」
自室に入ると由梨は思わず吠え声をあげる。
胸糞の悪い連中と一緒にいたので気分が悪かったのだ。
早くあんな連中は皆殺しにしたい。
由梨は心の底からそう思う。
奴らは偉大なるガブーとウルフガブー様に歯向かう愚かな連中。
ウルフガブー様の命令でなければ、さっさと爪で引き裂いているだろう。
由梨はダガースーツを起動させ、本当の姿に変身する。
黄色い粒子が彼女の躰にまとわりつき、彼女の姿を変えていく。
黒いラインが入った黄色のスーツ。
その足は毛に覆われたオオカミの足。
その手は鋭い爪がとがった毛むくじゃらの手。
お尻からもふさふさした尻尾が生え、ヘルメットにはオオカミの耳がぴんと立つ。
これこそがウルフイエローに生まれ変わった彼女の本当の姿だ。
「アオーン! なんて気持ちがいいのかしら。これこそが本当の私。私はウルフガブー様の眷属、ウルフイエロー」
姿見に映った自分の姿に満足するウルフイエロー。
とりあえずアースダガーベースへの潜入には成功した。
今後のことをウルフガブー様に伺わなくてはならない。
「ウルフガブー様・・・ウルフガブー様・・・」
彼女は心から崇拝するウルフガブーに思念派を送る。
眷属に許された能力だ。
「ウルフガブー様・・・」
まるで愛しい恋人の声を聞きたいかのように、彼女はウルフガブーを呼び続けた。

(グルルルル・・・どうやらうまく忍び込めたようだな?)
「はい、ウルフガブー様。奴らの基地に忍び込みました。途中、奴らの仲間を引き裂きたいのをこらえるのに大変でした」
主からの思念派に思い切り尻尾を振るウルフイエロー。
(グルルルル・・・我慢しろ。近いうちに思い切り暴れさせてやる。だがその前に強敵アースダガーを始末しなくてはならん)
「はい。もちろんです。奴らの仲間だったことなど早く忘れたいですわ。アオーーン!」
(そのためには一人ずつになった時を狙うのだ。できれば外へおびき出し、お前と俺様の二対一になったところで仕留める)
「それならばさっそくいいチャンスがございます。先ほどピンクダガーより一緒に外出しないかと誘われました」
(ほう・・・それはいい。では俺様の元へ連れてくるのだ。いいな?)
「かしこまりましたウルフガブー様。必ずや仰せの通りに。アオーン!」
吠え声をあげて思念派を切るウルフイエロー。
胸のところで構えた爪がきらりと光った。

続く
  1. 2017/09/05(火) 20:38:40|
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女怪人を造ロット

昨日でSS週間は終わりと思ったかな?
だが、もうちょっとだけ続くんじゃ。

ということで、12周年記念SS週間も今日が最後となります。
タイトルは「女怪人を造ロット」です。

この作品はツイッター等でお世話になっておりますTAOむらさき様が制作なされましたスロット、「女怪人を造ロット」(https://slot-maker.com/slot/6381/)が面白かったので、これに基づいて作ってみました。
お楽しみいただけましたら幸いです。
それではどうぞ。


女怪人を造ロット

「いらっしゃいませ。どのようなお花をお求めですか?」
にこやかに入ってきた客に笑顔で挨拶する女性店員。
だが、入ってきた客はこの夏空にコート姿で帽子を目深にかぶっているという怪しい格好で、しかも並べられたとりどりの花々には目もくれず、彼女の方ばかりを見つめている。
「あ、あの・・・」
さすがに彼女も戸惑いを隠せない。
「ふむ・・・いい肉付きだな」
「えっ?」
「それに健康そうだ。ようやく目当てのものが見つかったか・・・」
「あ、あの・・・お花のこと・・・ですよね?」
店員は男が花を一切見ていないことに気が付いてはいたが、無理やりにそう話を持っていく。
「いや、お前のことだ。健康そうでその上いい肉付きをしている」
「や、やめてください。単に太っているだけです」
彼女は男の態度にとてつもなく不快感を感じたものの、まだ相手に何かされたわけでもなく、お客として花を買ってくれる可能性もあるため、強く出ることはできなかった。
「いや、肉付きのいい胸とお尻だが、腰はきちんと括れている。いわゆる豊満な女性というべきだろう」
「やめてください。いい加減にしてくれませんか? お花を買わないなら出て行ってください」
なおも続けてきた男性に、さすがに彼女もこれ以上はと意を決する。
どのみち彼女をからかいに来たに違いないのだ。
彼女にとって自分のスタイルは決して好みではなかったのだから。

「いや、お前に決めた。喜ぶがいい。お前は選ばれたのだ。我が組織のコンピューターに」
男がにやりと笑う。
「えっ?」
男が指を鳴らすと、突然どこから現れたのか、黒い全身タイツに身を包んだ男たちが四五人店内に入ってくる。
「ひっ!」
「この女だ。連れて行け!」
「キキーッ!」
コートの男の命令に従い彼女を捕まえる全身タイツの男たち。
「いやっ! いやぁっ!」
彼女の叫びもむなしく、すぐに店先に一台のワンボックスカーが現れ、彼女を無理やり押し込んでしまう。
そしてコートの男もワンボックスに乗り込むと、そのままいずこかへ走り去る。
この日、花屋の女性店員が一人、忽然と姿を消した・・・

                   ******

「は、放して! 私をどうするつもりなの?」
「は、放して―!」
「お願いです。家に帰して・・・」
裸で牢に入れられた三人の女性たち。
一人は先ほどさらわれてきた花屋の店員である。
女性たちはあまりのことに涙を浮かべ、躰を抱えて震えている。
「黙れ! お前たちは我が組織のコンピューターによって、女怪人の素体に選ばれたのだ。光栄に思うがいい!」
泣き叫ぶ彼女たちのところへコートの男がやってきて怒鳴りつける。
その顔には目当ての素体が手に入った満足そうな笑みが浮かんでいた。
「なんなんですかそれって!」
「私はただの主婦です。そんなのに選ばれるなんて何かの間違いです」
「黙れと言っている! お前たちを見つけるのに、どれだけ苦労したかわかっているのか? 見ろ!」
男の指さす先には大きなモニターがあり、そこには三段のパネルが並んでいて、文字がちらちらと目まぐるしく変化していた。

「これは“女怪人を造ロット”というものでな、我が組織はこれに基づいて女怪人の素体を選んでいるのだ。まずはお前」
男が一番年上と思われる女性を指さす。
「お前が選ばれた理由はこれだ」
男がモニターの前のボタンを押すと、モニターの文字が停止して文字列が現れる。
作ろっと3
そこには、“清楚な” “熟女を” “毒蛾女に” と表示されていた。
「どうだ? お前は清楚な熟女だ。だからお前はこれから改造を受け、我が組織の女怪人毒蛾女となるのだ。うわはははは・・・」
「そんな・・・清楚な熟女って・・・私じゃなくても・・・」
「うるさい、黙れ! それからそこのお前!」
次に男は真ん中にいた元気そうな女性を指さす。
「お前には苦労させられたぞ! 見ろ!」
男がボタンを押すと、また画面の文字列が替わる。
作ろっと2
“臭いフェチの” “OLを” “毒蜘蛛女に”
その画面を見た時、彼女は青ざめた。
「同僚に隠れてこっそりと靴の臭いを嗅いでいただろう? お前のような女性を見つけるのは本当に苦労したぞ」
「な、なんですか、そのあまりにもピンポイントな・・・」
「黙れ! だから言っただろう! 組織のコンピュータが選び出すことに間違いはないのだ。お前は毒蜘蛛女にしてやろう」
「い、いやぁ! いやよぉ! いっそ殺してぇ!」
がっくりとうなだれるOL。
まさかこんなところで性癖をばらされてしまうとは・・・

「最後にお前!」
男は最後に先ほど拉致してきた店員を指さす。
するとモニターの文字がまた変化し、“豊満な” “花屋さんを” “毒キノコ女に” と表示される。
作ろっと1
「そんな・・・」
それで男が妙に肉付きにこだわっていた理由がわかった彼女だったが、もはやそんなことはどうでもいいほどの絶望感しか彼女にはない。
「うわはははは。お前は毒キノコ女となるのだ。これ以上ない毒々しい毒キノコを用意してやろう」
「ああ・・・いやぁ・・・」
絶望のあまり床に伏して泣き出す店員。
だが、男はそんな三人の姿を、不敵な笑みを浮かべながらただ見下ろしていた。

                   ******

手術台からゆっくりと起き上がる異形の姿。
頭と思われる部分には毒々しい赤い大きな傘が開き、ひだひだから白い胞子が舞い落ちる。
全体のフォルムは柔らかな女性のようであり、大きく豊かな胸が二つぷるんと揺れていた。
「ケケケケケ・・・」
人間のままの唇に笑みが浮かび、奇妙な笑い声が漏れてくる。
その姿にコート姿の男は満足そうにうなずいた。
「うむ、毒キノコ女よ。生まれ変わった気分はどうかな?」
「ケケケケケ・・・最高の気分ですわ。私は毒キノコ女。偉大なる組織に心からの忠誠を誓います。ケケケケケ・・・」
コートの男にひざまずいて一礼する毒キノコ女。
以前、花屋で笑顔を見せ花を売っていたあの女性店員とはとても思えない。

「キシュシュシュシュ・・・これで全員の改造が終わったわね」
「ヒュヒュヒュヒュヒュ・・・おめでとう毒キノコ女。これで私たちは全員が女怪人に生まれ変わったわ」
コートの男の後ろから姿を現す二人の異形の女たち。
全身を黒い毛におおわれ、両脇に四本の脚が蠢いている毒蜘蛛女と、茶色の毛に覆われ背中に極彩色の翅を広げる毒蛾女だ。
「ケケケケケ・・・ありがとう毒蛾女、それに毒蜘蛛女も。二人と同じ仲間になれてうれしいわ。ケケケケケ・・・」
「キシュシュシュシュ・・・私たちはみな毒をもつ者同士ね。私は毒液を」
「ヒュヒュヒュヒュヒュ・・・私は毒鱗粉を」
「ケケケケケ・・・私は毒の胞子をそれぞれ人間に吹きかけるのね」
三体の女怪人たちが皆妖しい笑みを浮かべている。
「それにしても、こんなに素敵な躰に生まれ変われるなんて思わなかったわ」
「ヒュヒュヒュヒュヒュ・・・まったくね。あんなに嫌がっていた過去の私がバカみたい」
「ケケケケケ・・・これからは三人で組織のために働きましょうね」
「ええ、もちろんよ。キシュシュシュシュ・・・」
「組織のためなら何でもするわぁ」
「ケケケケケ・・・私たち、仲良くやれそうね。ケケケケケ・・・」
三人の女怪人たちの楽しそうな会話に、あらためて深い満足感を感じるコートの男であった。

END


いかがでしたでしょうか?
これでブログ開設12周年記念のSS週間はすべて終了しました。
手持ちをすべて吐き出してしまいましたので、しばらくは新作を作るまでお時間をいただくかと思います。
なるべく早く新作を書いて皆様に公開できるようにいたしますので、今後とも当ブログ「舞方雅人の趣味の世界」を、どうぞよろしくお願いいたします。

それではまた。
  1. 2017/07/24(月) 20:08:29|
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ママはおんなかいじん

ブログ12周年記念といたしまして、昨日まで四日連続で中編SSを一本投下させていただきましたが、今日からは短編を二三本投下していこうと思います。

第一段は「ママはおんなかいじん」です。
すごく短いSSでして、さらにかなーりダークかつ救いのないお話となっておりますので、そういうのはちょっとなーと思われます方は、そのままブラウザを閉じていただけるよう、SS自体は「追記」のほうに載せますので、読んでもいいよと思われます方は「追記」からお入りくださいませ。

なお、明日はちょっとしたMCモノを一本投下しようと思いますので、そちらもどうかお楽しみに。












[ママはおんなかいじん]の続きを読む
  1. 2017/07/21(金) 20:19:01|
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試験に向けて

ストレスが溜まっているのでしょうか?
妄想が結構わいてきます。
一方でWordの検定も近づいてます。

うおお!
どうすりゃいいんだ!

ということで、ついついSSを書いてしまいました。
これも文字入力の練習さと自分をごまかして。(笑)
楽しんでいただければ幸いです。


試験に向けて

「ふう、これで美香(みか)も大学生か。おめでとう。しっかり勉強してくれよ」
娘のグラスにビールを注ぐ父。
まだ未成年ではあるが、お祝いの時ぐらいはいいだろう。
「本当よー。学費高いんですからね。ちゃんと勉強して元を取ってもらわないと」
決して嫌味ではなく、半分冗談ではあるのだが、目が笑っていない母。
「わかってます。ちゃんとやるから」
注いでもらったビールのグラスを手に取る娘。
どこにでもあるような普通の家庭だ。
今日は娘が大学に合格したことによるお祝いなのだろう。
テーブルの上には出前で取り寄せたお寿司が置かれ、デコレーションケーキもその横に鎮座する。
組み合わせ的にはあり得ないのだろうが、お祝いを豪華にしたいと思うとこうなるのだろう。

「それじゃ美香の大学合格を祝してカンパーイ!」
父の掛け声とともにグラスを掲げる三人。
だが、その腕が宙で止まり、その目が驚愕に見開かれる。
突然室内に黒雲が沸き起こり、その中から一人のいかつい男が現れたのだ。
男はマントを羽織り、肩などにとげのついた黒い軍服のような服を着て、軍帽のようなものをかぶっている。
全くこの場には似つかわしくない人物だ。

「な、なんだお前は?」
一瞬の驚愕ののち、我に返った父親が男に声をかける。
「やかましい! 俺様は忙しいんだ! おとなしくしていろ。死にたくなければな」
男が口を開いて一喝する。
その迫力と威圧感に、我に返っていた三人はまたしても動きが止まってしまう。
「まったく・・・新型プログラムの検定試験など、なぜ俺様がやらねばならんのだ」
ぶつぶつ言いながら勝手に椅子に座り、小脇に抱えていたノートパソコンを開く男。
いかつい男とノートパソコンの取り合わせも何か妙におかしみを感じさせる。
「あの・・・家をお間違えでは? ここは私たちの家なのですが・・・」
「黙れと言っているだろう! 殺されたくはあるまい?」
黙ってしまった父親に対し、何とか男を追い出そうとした母親も、一喝されて黙ってしまう。
それほどに男の発する威圧感はすごかったのだ。

「まったく・・・あいつは自分ができるからといろいろとうるさいからな。まずは『ワープロソフト風改造ソフト』とやらを立ち上げてと・・・立ち上げると言っても立ち上がってはいかんぞ」
なにやらぶつぶつ言い始めるいかつい男。
背中を丸めてノートパソコンの画面に見入っている。
「よしよし立ち上がったな。次はと・・・新規ファイルを作成し書式を整えてと・・・で?」
男が唐突に顔を上げ、三人を見回す。
ひそかにテーブルの下でスマホで警察に連絡を取ろうとしていた美香は、思わず手が止まってしまった。
「ん? どうやらここは三人家族のようだな? まあ、練習にはちょうどいいか」
うんうんと一人でうなずき、男は再びノートパソコンの画面に目を落とす。
「あ、あの・・・家を間違ってませんか? そろそろ出て行って・・・」
「うるさいやつらだな。まずはお前らを黙らせるか」
言葉を途中で遮り、ぎろりと父親をにらみつける男。
「ええと、挿入タブから表の挿入を選んでと・・・三人だから四行二列でいいか・・・」

17032101.jpg

すると、ノートパソコンの画面に表が表示される。
「うむ、名前は・・・ええい、いちいち聞くのも面倒だからこれでいいか」

17032102.jpg

男はこう文字を打ち込んだ。
すると、三人の躰に一瞬ピリッと電気が走ったような感覚が起きる。
「ん?」
「い、今のは?」
顔を見合わせる三人。
楽しいはずの合格祝いパーティーがどうしてこんなことになってしまったのか・・・

「よしよし。うまく認識が行われたようだな。それではこうだ・・・」
再び文字入力を行っていく男。

17032103.jpg

男が入力を終えると、三人から表情が消える。
そして、じっと男に注目を始めるのだった。
「よしよし。うまく作動したな。俺様の名はバゴーズ。お前たちは俺様に従うのだ」
「「「はい。バゴーズ様」」」
無表情のままで一斉に返事をする三人。
「よしよし。ではまずお前からだ・・・」
そういって父親にいくつか質問をするバゴーズ。
その答えをノートパソコンに入力していく。

17032104.jpg

次に母親と娘にも同じように質問し、文字入力をしていく。

17032105.jpg

「うむうむ。あとはこの表の中を変更していけばいいわけだな。なんだ。簡単ではないか。これなら検定も楽勝だな」
うんうんと一人うなずくバゴーズ。
だいたい試験しますからねとは何事だ!
アルフィナめ、単なる秘書官のくせして生意気にも俺様に指図とは。
ちょっと技術部門にいいものを作らせたからと自慢げにしおって。
このようなもの、すぐに使いこなして見せるわ。
作戦に必要なものを自分が使えないのでは指揮官として問題だからな。
いちいちアルフィナを戦場に呼ぶわけにもいくまい。
そう思い、予想外に使いやすそうなことにホッとするバゴーズ。

一方で、表中に“バゴーズに従う”と表記されてしまったことで、バゴーズに逆らえなくなってしまった三人。
みんなそれぞれが不安そうな表情でバゴーズがこれから何をするのかを見つめている。
助けを求めたくても、先ほどバゴーズにおとなしくしていろと言われてしまったので、大声を出すこともできない。
「まずはお前からだ。お前は何にしようか・・・」
ぎろりと父親の伸夫(のぶお)を見やるバゴーズ。
そのままにやっと笑ってカタカタとキーボードに文字を入力していく。

17032106.jpg

「ひぐっ」
突然しゃっくりのような声を出す伸夫。
その躰がじょじょに茶色の毛におおわれていく。
「あがっ! あがががが・・・」
のけぞるように躰をそらし、苦しみ始める伸夫。
着ている服も掻きむしるようにして引き裂き、その茶色の毛におおわれた躰をあらわにしていく。
「ひぃっ!」
「パ、パパッ!」
思わず立ち上がり、苦しむ父親に駆け寄ろうとする母と娘。
「座っていろ! 座っておとなしく見ているのだ。その男が変化するところをな」
「「は、はいっ!」」
立ち上がりかけた二人は、すぐに背筋を伸ばして返事をし、そのまま椅子に座ってしまう。
父親のところに行きたくても、座っていろと言われたので立つこともできないのだ。
その間にも、父親の変化は進んでいく。
躰全体を茶色の短い毛が覆い、まるで何かの動物にでもなったかのようだ。
「あ、あなた・・・」
「パパ・・・」
立ち上がれないもどかしさと、父親が何か得体の知れないものになっていくような恐怖に、母と娘は包まれていた。

「キキ・・・キキキキ・・・キキーッ!」
苦しんでいた父親の口から奇声が発せられる。
服がちぎれぼろぼろになった躰は毛で覆われ、その両腕からは膜のようなものが躰の両脇にかけて広がっている。
耳は先端がとがって大きくなり、口からは乱杭歯となった牙がのぞいている。
「キキーッ! キキーッ!」
奇声を上げるその姿は、まさに人間離れした異形という感じだ。
「あ、あなた!」
「パ、パパ!」
席を立てないまま、父親の変化に衝撃を受ける二人。
目の前で人間が異形の化け物になっていくのだから当然だろう。

「キキキキー! 俺は人間伸夫と吸血コウモリの合体怪人コウモリ男41歳! オスでジャクドのメンバー。バゴーズ様に従います。キキキキー!」
すっくと立ちあがり、奇声を上げて書き換えられた表のとおりに宣言するコウモリ男。
まさしくその姿はコウモリと人間が合体したものにほかならず、両腕から両わき腹にかけて広がる羽が印象的だ。
「うむ。それでいい。お前はコウモリ男。これからはジャクドのために働くのだ」
完全に変化したコウモリ男に満足するバゴーズ。
これは面白いではないか。
これなら現場で簡単に怪人を作り出すことができる。
今までのようにアジトに連れ帰る必要もなくなるではないか。

「あなた・・・」
「パパ・・・」
青ざめた表情でコウモリ男を見つめる母と娘。
愛する夫と父が化け物になってしまったのだから無理もない。
「キキキキー! 素晴らしいぞこの躰は。お前たちも早くバゴーズ様に書き換えてもらうがいい。キキキキー!」
牙を剥きだしてにたぁっと笑うコウモリ男。
「うむ。次はお前だ」
コウモリ男の言葉に促されたわけでもないだろうが、バゴーズは次の標的に母親を選ぶ。
「ヒイッ!」
恐怖に悲鳴を上げる慶子(けいこ)。
だが、座っていろと言われた躰は頑ななまでに動かない。

その間にバゴーズはカタカタとキーボードで文字を入力する。

17032107.jpg

入力を終えてEnterボタンを押した途端、慶子が躰をびくっと震わせる。
「ひぐっ! い、いや・・・あ・・・あがががが・・・」
先ほどの伸夫と同じように苦しみ始める慶子。
強い力で服を引き破り、下着もむしり取っていく。
「マ、ママ!」
先ほどと同様に見ているしかない美香。
一方、すでに変化を終えたコウモリ男はにやにやしながら妻の変貌を眺めている。
「あぐぐぐぐ・・・」
裸になってしまった慶子の肌が、じょじょに緑色に染まっていく。
さらに表面がびっしりと細かいうろこ状へと変化していく。
苦しげな息をする口からは、舌がだらんと飛び出すと、そのままシュルシュルと床に付くまで伸びていく。
「ひぃぃぃぃぃぃ!」
母親の変化に目を覆って悲鳴を上げる美香。
ついに恐怖がバゴーズのおとなしくという指示を超えてしまったのだ。
それでも両手で口元を抑え、できるだけ声を抑えた悲鳴になっているところは、この表による指示の拘束力の強さを示しているだろう。
その間にも母親の変化は続いており、両目がギョロッと飛び出したかと思うと、そのまま顔の両側へと移動し、そこで上下左右自由に動く目玉へと変化する。
両手の指先の爪は鋭く尖り、両足はハイヒールのブーツのように変化する。
お尻からは小さく短い尻尾が伸び、そこで変化は終了した。

「ケケ・・・ケケケ・・・ケケケケケ・・・」
奇妙な笑い声をあげる慶子。
「マ、ママ・・・?」
「ケケケケケ! アタシは人間慶子とカメレオンの合体怪人カメレオン女39歳よぉ! メスでジャクドのメンバー。バゴーズ様に従いますわぁ。ケケケケケ!」
垂れ下がっていた舌をシュルッと引っ込めると、今度は素早く伸ばしてテーブルの上のフォークをはじき飛ばし、壁に突き立てる。
「フフフ・・・それでいい」
二人目も問題なく怪人に変化させることができ、バゴーズは笑みを浮かべる。
「キキキキー! いい女怪人になったではないか。美しいぜ、カメレオン女」
コウモリ男がぺろりと舌なめずりをする。
性的興奮をしているのは間違いない。
「ケケケケケ! でしょう? アタシもまだまだ捨てたもんじゃないわよねぇ。ケケケケケ」
頭の後ろに手を当て、クイとポーズをとるカメレオン女。
自らの肉体に誇りを感じているようだ。
確かに緑や赤のうろこ状の皮膚に覆われてはいるものの、そのラインは女性の柔らかさや腰の括れ、形の良い乳房など美しいと言えなくもない。
二人とも完全に自分が怪人となったことを喜んでいるようだ。
これも表の威力なのだろう。

「いやぁ・・・いやぁ・・・」
両手で顔を覆って泣き出してしまう美香。
両親がともにおぞましい化け物になってしまったのだ。
当然だろう。
「戻して・・・パパとママを元に戻して!」
涙ながらに美香がバゴーズに懇願する。
「キキキキー! 冗談じゃない! ただの人間に戻るなんて願い下げだぜ」
「ケケケケケ! アタシもごめんだわぁ。この躰はとても素晴らしいのよ! 下等な人間なんていやよ!」
だが、完全に身も心も怪人と化した二人は逆に人間に戻ることを拒否してくる。
「ケケケケケ! それよりも、あなたこそ早くバゴーズ様に書き換えてもらいなさい。怪人になるのはとてもいい気持ちよぉ。ケケケケケ!」
「キキキキー! まったくだ! お前も早く怪人になるがいい」
「いや! いやぁっ!」
頭を抱えるようにして首を振る美香。
「クククク・・・嘆くことはない。お前もすぐに書き換えてやる」
そう言ってノートパソコンに文字を入力し始めるバゴーズ。
二人が順調にいったことで、気をよくしているのだ。
「やめ! やめてぇっ!」
美香が必死に訴えるものの、バゴーズの指はたどたどしくもキーを打ち込んでいた。

17032108.jpg

入力を終えてEnterキーを押すと同時に、美香の躰に異変が起こる。
「あぐっ・・・あぐぅ・・・ぐぅ・・・」
喉を掻きむしるように苦しみ始める美香。
そのまま胸から服を引き裂いてちぎっていく。
やがてその躰が変化し始め、頭部が巨大に膨らんでいき、躰にも毒々しく赤黒いイボが現れていく。
膨らんだ頭部はやがて傘のように開いていき、顔の部分は襞が作られて目鼻がその中に埋もれていく。
服を引きちぎった爪は鋭く尖り、脚はハイヒールのブーツのように変化する。
「ふう・・・ふう・・・ふう・・・」
全身が巨大な毒キノコのように変化する美香。
その苦しそうな息遣いがやがて収まっていく。

「クシュ・・・クシュシュシュシュ・・・」
奇妙な声を発する美香。
その閉じられていた目が開き、口元にニタァッと笑みが浮かぶ。
「クシュシュシュシュ! アタシは人間美香と毒キノコの合体怪人毒キノコ女18歳! メスでジャクドのメンバーよ。バゴーズ様に従いますわ。クシュシュシュシュ!」
表のとおりに声を上げる毒キノコ女。
もはやそこに清楚な女子大生の姿はない。
むしろ不気味な妖艶さを漂わせる女怪人の姿がそこにあった。
「よし、これでお前もジャクドの怪人だ。これからは俺様の命令に従うのだ」
「クシュシュシュシュ! もちろんです、バゴーズ様。どうぞ何なりとご命令を。クシュシュシュシュ!」
毒キノコ女が巨大な傘の広がる頭を下げる。
「キキキキー! これでわれら親子はみんな怪人に生まれ変わったわけだな」
「ケケケケケ! まあ、いやだわコウモリ男ったら。あたしたちはもう親子なんかじゃないでしょ? アタシたちはお互いジャクドの怪人同士。仲間でしょ」
「クシュシュシュシュ! そうよ。あたしたちは仲間。一緒にジャクドのために働くのよ。」
「キキキキー! そうだったな。俺たちは仲間だ。よろしく頼むぜ」
「ケケケケケ! こちらこそよぉ」
「クシュシュシュシュ! 仲良くしましょうね」
三体の怪人たちが仲良く笑いあっている。
それは数十分前と同じような光景だが、その姿は大きく変わっていた。

「クシュシュシュシュ! それにしても最高だわ。なんて気持ちがいいの。こんな素晴らしい怪人になれるのに嫌がっていたなんてバカみたい」
広がった頭部の傘を揺らしながら毒キノコ女が躰をかき抱く。
「キキキキー! まったくだ。怪人になれて最高だぜ。これもバゴーズ様のおかげだな」
「ケケケケケ! 本当ね。バゴーズ様には感謝してもしきれないわぁ」
シュルシュルと舌を伸ばすカメレオン女。
コウモリ男もうんうんとうなずいている。
「ふん・・・感謝などはいらん。しっかり働いてくれればいい」
「「「ハッ、バゴーズ様!」」」
感謝などという言葉を聞き、ぶっきらぼうにいうバゴーズ。
それにも三体の怪人たちは声をそろえて返事をする。
「ふん・・・お前たちは単に俺様の検定試験対策の結果生み出されたにすぎんのだ。せいぜいそれを忘れるな。まあ、当面は今まで通り人間どもに紛れて暮らすのだ。いいな。命令は追って与える」
「キキキキー! かしこまりました。しかし、この姿では人間どもに紛れるというのは・・・」
コウモリ男が困ったような顔をする。
怪人の姿のままではいずれ騒ぎになりかねない。
「むっ、そういえば擬態能力を書き込んでいなかったな」
急ぎカタカタとキーボードに打ち込むバゴーズ。
擬態能力は基本設定ではなかったようで、書き加える必要があったのだ。
ついでに表の枠を広げ、メインの能力も書き加えておく。

17032109.jpg

Enterキーを押すとすぐに以前の人間の時の姿に変化する三体の怪人たち。
「キキキ・・・おっと、この姿ではキキキキーはまずいな。だが、これで周囲の人間どもに怪しまれることはないな」
「怪しむような人間は殺してしまえばいいのよ。こんな姿いやだわ。無防備すぎるじゃない」
「アタシもいやよ。毒キノコ女の姿がいいわ」
すぐにカメレオン女と毒キノコ女は怪人としての姿に戻ってしまう。
「ふん、家の中ぐらいならいいだろう。だが外に出るときは注意しろよ」
「ケケケケケ! わかっておりますわぁ」
「クシュシュシュシュ! 早くこの姿で常にいられる社会にしたいです」
「それなら俺も。キキキキー!」
そういってコウモリ男も怪人の姿に戻る。
まあ、よかろう。
いざとなればこの家の周囲を始末すればいい。
そう思い、バゴーズは苦笑した。

                     ******

「それでそのまま戻ってこられたんでしたね?」
赤いボンデージ衣装に身を包んだ妖艶な美女が書類束を片手に立っている。
バゴーズの秘書官を務めるアルフィナという女性だ。
有能で事務処理は完全に任せている。
「ああ、何か問題があったか?」
グラスを傾け酒を飲むバゴーズ。
いつ飲んでもこのワインという酒はうまい。
地球を占領した暁には母星に持ち帰るのもいいだろう。
「特に何も。というより、こちらの指示を完璧にこなしてくれています。元が家族だったからなのか、コンビネーションもいいようです。行き当たりばったりで怪人にしたにしては優秀かと」
「ほう。それはいい」
うんうんとうなずくバゴーズ。
あの三体は確か、バゴーズが引き上げるときには怪人化祝いとか言って用意したごちそうを食べていたのではなかったか。
「特にカメレオン女の暗殺の能力はなかなかです。保護色を使ってターゲットに忍び寄り、その舌で縊り殺す。彼女自身暗殺をかなり楽しんでいるようですわ」
「クククク・・・俺様の目に狂いはなかったということだ。あの主婦はどこか屈折したものを持っていたのだろう」
「おそらくその通りかと」
「それで? 結果は出たのか?」
「はい。バゴーズ様の検定試験の結果が出ました」
書類束を開くアルフィナ。
そのしぐさが美しい。
「もちろん合格だろうな? 俺様はきちんと使いこなしたのだから」
「いいえ、不合格です」
あっさりと言い放つアルフィナ。
「な、なんだと? どうしてだ!」
思わずグラスを取り落としそうになるバゴーズ。
不合格など信じられない。
だが、アルフィナはふうとため息をついた。
「解答欄をすべて一つずつずれて記入されてました。ですからバゴーズ様はそそっかしいところがあるとあれほど・・・」
「な・・・それは何とかインチキできんのか!」
「できません!」
きっぱりとアルフィナに言われて頭を抱えるバゴーズ。
「ですが、追試を行います。今度はしっかり注意してくださいませ」
「う・・・わかった」
「大丈夫です。解答自体は合っていたものばかりですから。解答欄さえ間違えなければ・・・」
「わかった、気を付けよう」
苦笑するしかないバゴーズ。
だがまあよかろう。
ジャクドに三体の怪人が加わったのだ。
それもアルフィナによればなかなか有能そうではないか。
それでいい。
バゴーズはグラスをぐいっと傾け、アルフィナの腰を抱き寄せるのだった。

エンド

うーん、表を別に画像として掲載しなきゃならないのは面倒ですね。
いかがでしたでしょうか?
よろしければコメントなどいただけますとうれしいです。

それではまた。
  1. 2017/03/21(火) 21:19:13|
  2. 改造・機械化系SS
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夢がかなうとき

4000日&丸11年連続更新達成記念というにはあまりにも短編ではありますが、SSを一本投下いたします。
タイトルは「夢がかなうとき」です。

もうね、まさに私個人の夢がかなったらこうなるのだろうなというシチュエーションの短編です。
本当にシチュのみの短編SSですが、楽しんでいただければ幸いです。
それではどうぞ。


夢がかなうとき

「ん・・・んちゅ・・・れろ・・・んぷ・・・」
まさか・・・本当だったなんて・・・
俺の股間に顔をうずめ、一心不乱に俺のモノをしゃぶる黒髪の女子の姿に俺は驚きを隠せない。
驚きはその少女の行為だけではない。
その少女は黒いレオタードを身につけ、黒タイツを穿いて目の周りに黒いアイシャドウを引いている。
両手には黒い長手袋をはめ、脚にはヒールが長い黒のブーツが履かれていて、頭には黒いベレー帽をかぶっている。
つまり全身を黒一色で固めているのだ。
なぜそんな服装をしているのかといえば、俺がそう願ったからに過ぎない。
悪の組織の女戦闘員はそういう姿であるべきだと俺が思ったからなのだ。
だからと言って彼女がそんな格好をする理由はなかったはずだ。
これもまた俺の願いがかなったということなのだ。
学校で一番の美人と言われている彼女をだますのはちょっと気が引けたけど、どうせ試すなら手の届かない相手にしようと思ったのだ。
先生が呼んでいるという嘘に簡単に引っかかってくれた彼女は、あっさりと俺に拉致され、こうして体育倉庫につないだ隠し通路からアジトへと連れ込んだのだ。
そこから先は簡単だ。
気を失わせた彼女を、手術台に寝かせるだけ。
あとは自動で行われる。
俺がスイッチを入れただけで、彼女はあっという間に俺の思う悪の組織の女戦闘員に変わっていったのだった。

そして今、彼女は俺を首領様とあがめて崇拝し、自分の口で俺のモノをしゃぶってくれているのだ。
地下に作られた謎の施設。
その入り口がなぜ俺の部屋につながっていたのかはわからない。
だが、これで俺の夢はかなうのだ。
古い特撮番組にでてきた悪の組織。
その首領になりたいという俺の夢が・・・
ばかばかしいがあのDVDを見たときから、俺はいつか悪の組織の首領になりたかったのだ。
それがまずかなわないものだったとしてもだ。
だが今は違う。
彼女を見れば、夢はかなうに違いない。
そうだ・・・俺の夢はかなうのだ。

                   ******

「尾野(おの)さん・・・いや、今は女戦闘員01号だったな。今の気分はどうだ?」
俺はゆったりしたイスに座りながら、目の前にひざまずいている彼女に尋ねる。
その口には先ほどザーメンを出したばかりだ。
「はい。とてもすばらしい気分です。私は女戦闘員になるために生まれてきたと感じます。こうして首領様に女戦闘員にしていただきましてとても幸せです」
片ひざを付いて頭を下げる女戦闘員01号。
学校一の美人が俺の前にひざまずいている。
しかも俺の大好きな特撮の女戦闘員の格好をしてだ。
それだけで俺の股間はまた膨らんでくる。

「01号、今お前に家族を始末して来いと言ったらどうする?」
「もちろんすぐに始末してまいります。それにあのような下等な人間どもはもう私の家族などではありません。私は首領様にお仕えする女戦闘員です」
ひざまずいたまま顔を上げて笑みを浮かべる女戦闘員01号。
その笑みは冷酷な笑みだ。
家族思いだった彼女は、もう家族を下等な存在としか思わなくなっているのだ。
「それでいい。今は命じる気はない。それよりも・・・」
彼女が女戦闘員になったことで、この設備が本当に使えるということがわかった。
ならば夢をかなえるためにも、組織員を増やすのが次の仕事だろう。
「01号。お前の友人たちを拉致して連れてくるのだ。お前の友人たちもかわいい娘が多かったはずだな。お前同様女戦闘員にしてやろう」
「はい。かしこまりました。きっとみんな女戦闘員となる喜びを感じるでしょう」
家族を始末しろと言われたときとはまた違ううれしそうな笑みを浮かべる01号。
心から友人たちが女戦闘員となることをうれしく感じているに違いない。
俺がうなずくと、彼女はすっと立ち上がり、美しいボディラインを惜しげもなくさらしたレオタード姿の背を見せて、俺の前を後にした。

                   ******

「えっ? ど、どういうこと?」
「いやっ! な、なんなの?」
「は、放して! 助けてぇ!」
「美理(みり)、どういうことなの? 私たちをどうするつもりなの?」
ずらりと並んだ女子たち。
いずれもが手術台に寝かせられ、手かせ足かせで固定されている。
今から彼女たちを改造し、女戦闘員に仕立て上げるのだ。
01号が連れてきただけあって、みんなかわいい女子たちだ。
きっと素敵な女戦闘員になるに違いない。

「うふふふふ・・・みんな怖がることはないわ。あなたたちも私と同じく首領様にお仕えする女戦闘員になるの。すばらしいわよ」
心から信じきっている笑顔で友人たちにそういう01号。
「01号。お前がスイッチを押すといい。友人たちを女戦闘員にしてやるのだ」
「はい、首領様」
「いやぁっ!」
「やめてぇっ!」
女子たちの悲鳴が響く中、01号は嬉々としてスイッチを押す。
たちまち手術台には色とりどりのカラフルな光線が照射され、女子たちの躰を染め上げた。

カツコツとヒールの音が床に響く。
「うふふふふ・・・」
「うふふ・・・」
「うふふふふ・・・」
かすかな笑い声を上げながら一様に冷酷な笑みを浮かべている女子たち。
いずれ劣らぬ学校内の美人たちが一列に並んで俺の前に立っている。
しかも全員がそろって01号同様に黒いレオタードに黒いタイツを身に着け、黒い長手袋とブーツを穿き、黒いベレー帽をかぶっている。
そして目には黒いアイシャドウを引いているのだ。
なぜそうなるのかはわからないが、着ていた物を分解し再合成したりするのかもしれない。
もっとも、彼女たちにとってはもはや衣服ではなく肌なのかもしれないけど。

「「「イーッ!」」」
いっせいに右手を挙げて敬礼する女子たち。
いや、今はもう女戦闘員たちだ。
「私は女戦闘員02号です。首領様に永遠の忠誠を誓います」
「私は女戦闘員03号。どうぞ何なりとご命令を」
「私は女戦闘員04号です。首領様のためなら何でもいたします」
「女戦闘員05号です。首領様にはむかうものは私が始末いたします」
先ほどまで必死に逃げようとしていた彼女たちが、今では俺に忠誠を誓っている。
これだ。
これこそが俺の求めてきたもの、俺の夢だったものだ。
「イーッ! 首領様。私たち女戦闘員に何なりとご命令を」
俺の脇に立っていた01号が、彼女たちの横に行き、右手を挙げる。
これで女戦闘員たちは一応そろった。
あとは女怪人だ。

                   ******

「う・・・うーん・・・」
手術台に寝かせられている里倉弥生(さとくら やよい)先生。
メガネをかけた童顔が特徴で、そのせいか年より若く見え、生徒たちよりも幼い印象すら与えてくる。
教え方は上手で、俺は里倉先生のおかげで数学の成績が上がったようなものだ。
やさしくてかわいらしいと生徒たちの間でも人気が高い。
「よくやったぞお前たち」
俺は居並ぶ女戦闘員たちに声を掛ける。
「「「イーッ! ありがとうございます。首領様!」」」
いっせいに右手を挙げて敬礼する女戦闘員たち。
その表情は俺の言葉にうれしさをにじませている。
みんな俺の命令に従うのが気持ちよくて仕方がないのだ。
俺の忠実なしもべたち。
かわいいやつらだ。

「うーん・・・こ、ここは?」
メガネの奥の目をゆっくりと開ける里倉先生。
「え? え?」
起き上がろうとして自分の両手両足が固定されていることに気が付いたらしい。
周囲も薄暗いし、きっとかなり驚いているだろう。
「うふふふふ・・・」
「うふふふふ・・・」
「うふふふふ・・・気が付いたようね」
周囲にいる女戦闘員たちが里倉先生を見下ろしている。
黒い衣装に身を包み、黒いアイシャドウを引いた女子たち。
里倉先生は何がなんだか理解できまい。
「あ、あなた方はいったい? 飯野(いいの)さん? 川島(かわしま)さん? 野村(のむら)さん?」
「うふふふふ・・・それは私たちが女戦闘員になる前の名前」
「今の私たちにそのような名前は無意味」
「私たちは首領様にお仕えする女戦闘員なのよ」
冷たい笑みを浮かべながら里倉先生を見下ろしている五人の女戦闘員たち。
「女戦闘員? どういうことなの? 私をいったいどうするつもりなの? 悪ふざけはやめて!」
身をよじって手足の固定から逃れようとしている里倉先生。
小柄な躰と童顔のせいで、なんだか少女を捕らえているような感じがする。
だが、躰つきは紛れもなく大人の躰で、バランスの取れたボディラインが美しい。

「うふふふふ・・・恐れることはないわ」
「うふふふふ・・・先生は選ばれたのです」
「先生は首領様に選ばれ、女怪人に生まれ変わるのです」
相変わらず笑みを浮かべている女戦闘員たち。
これから起こることに胸を躍らせているのだろう。
「03号」
俺は一段高くなっている席から女戦闘員03号に声を掛ける。
本当ならレリーフ越しに声を掛けてやるほうがそれらしいのだろうが、まあ、それはおいおい。
「イーッ! お呼びですか首領様?」
すぐに03号が俺の足元にやってくる。
「お前は里倉先生を尊敬していたそうだな」
03号、川島愛華(かわしま あいか)は教職希望で、里倉先生のような教師になりたいと言っていたらしい。
「イーッ! それは以前の人間だったころの私の考えです。今の私が尊敬するのは首領様ただお一人のみ。あのような下等な人間を尊敬することなどありえません」
まさに俺好みの返事を返してくる03号。
アイシャドウを引いた目がうっとりと俺を見上げている。
「そうか。それなら彼女を再び尊敬できる存在にしてやるのだ。スイッチを入れろ」
「イーッ! かしこまりました」
一礼して手術台に戻る03号。
里倉先生のかけているメガネをやさしくはずし、そっと脇によけておく。
そして脇にあるスイッチのそばに行き、力強くそれを押した。

「きゃあーーっ!」
すぐさま里倉先生の躰に色とりどりの光が放射される。
先生の着ているものが粉々に分解され、一糸まとわぬ裸になる。
そしてすぐに先生のきれいな肌が黒く短い剛毛に覆われ始め、その形も変わっていく。
思ったとおりだ。
このシステムは女戦闘員どころか女怪人を作ることさえできる。
それも俺の思ったとおりにだ。
誰が用意したものかは知らないが、有効に活用させていただこう。

光が明滅するたびに先生の躰は変わっていく。
もはや以前の先生の面影はどこにもない。
だが、全体的なラインはやっぱりあのかわいらしい先生だ。
俺はその姿を見ているだけで、股間が硬くなっていた。

「ケケ・・・ケケケケケ・・・」
光の明滅が終わり、手術台の上から奇妙な声が漏れてくる。
俺があごをしゃくると、01号が手足の固定をはずす。
ゆっくりと躰を起こす異形の姿。
なれど、それは妙に美しく俺には感じた。

「ケケケケケ・・・なんだかすごく気分がいいわぁ・・・力がみなぎってくる感じ」
床に脚を下ろし、立ち上がるかつての先生。
黒と黄色の剛毛に覆われた手足。
両脇からは新たに小さな脚も生えている。
お尻には大きなふくらみが付き、額には小さな単眼が並んでいる。
それは蜘蛛の姿。
里倉先生は蜘蛛と人間が合わさった蜘蛛女になったのだ。

鋭い爪が付いた手をすっと脇に置かれたメガネに伸ばす蜘蛛女。
だが、手にとって持ち上げたところで、その手が止まる。
「ケケケケケ・・・こんなものはもう必要ないんだわ」
口元に冷酷な笑みを浮かべ、そのままメガネを床に落とす。
そしてハイヒール状になった足でメガネを踏み潰した。
「ケケケケケ・・・」
つぶれたメガネを満足そうに見下ろす蜘蛛女。
「改造が終わったようだな、蜘蛛女よ」
俺は蜘蛛女に声を掛ける。
やはり組織の怪人第一号は蜘蛛でなくてはな。
「ケケケケケ・・・蜘蛛女・・・それが私の新しい名前なのですね?」
先ほどとは違い、やさしい笑みを浮かべる蜘蛛女。
「そうだ。お前は俺の手で生まれ変わった。今のお前は怪人蜘蛛女だ」
「ケケケケケ・・・なんて素敵なのかしら。私はもう下等な人間なんかじゃないわぁ。私は蜘蛛女。私をこんなすばらしい躰にしてくださってありがとうございます。どうぞ何なりとご命令を、首領様」
俺の座っている場所にまで近づいてきて、すっとひざまずく蜘蛛女。
そうだ。
これこそが俺の夢だ。
俺は悪の組織の首領なのだ。
今は第一歩を歩き始めたに過ぎない。
これからどんどん組織を大きくしてやろう。
女怪人も女戦闘員もたくさん作り出そう。
そして世界を裏から混乱させてやるのだ。
表立って世界征服なんてめんどくさいことはしない。
俺は俺の好きなように生きる。
そのための女怪人であり女戦闘員なのだ。

「蜘蛛女よ。組織のために有用な女たちを次々とさらってくるのだ。いいな?」
「かしこまりました。首領様のお目にかなう女性たちをたっぷりと捕らえてまいりますわ。お任せくださいませ」
一礼していた顔を上げ、牙のある口元につめたい笑みを浮かべる蜘蛛女。
やさしい里倉先生はもういない。
ここにいるのは俺の命に忠実に従う怪人蜘蛛女だ。
「ケケケケケ・・・お前たち、私に付いていらっしゃい」
立ち上がりざまに振り向き、女戦闘員たちに声をかける蜘蛛女。
「「「イーッ! かしこまりました、蜘蛛女様!」」」
右手をいっせいに挙げて従う女戦闘員たち。
蜘蛛女が自分たちの指揮官であるということを、ごく自然に受け入れているのだ。
もちろんそれは俺がそう設定したからだが。
蜘蛛女と女戦闘員たちはカツコツとヒールの音を響かせてアジトを後にする。
その後姿の美しさに、俺はしばらく見惚れていた。

                   ******

「ケケケケケ・・・あなたは選ばれたのですわ、森沢(もりさわ)先生」
「こ、これいったい? いやっ、いやぁっ!」
学校でも美人の誉れ高い森沢めぐみが手術台に寝かされている。
美貌と知性を兼ね備えた才女だ。
確かに彼女なら組織の女怪人にふさわしい。
必死に嫌がる彼女だが、極彩色の光が彼女の躰に照射されると、みるみるうちに彼女の躰が変化する。
やがてゆっくりと立ち上がる異形の姿。
「ああ・・・なんていい気分なのかしら。私はもうくだらない人間なんかじゃないわ。首領様にお仕えする女怪人サソリ女よぉ。キキキキキ・・・」
右手の毒針から毒を滴らせながら、うれしそうに笑うサソリ女。
また一人、俺の配下の女怪人が増えたのだ。

「そんなぁ・・・」
「先生が・・・森沢先生が・・・」
「いやぁ! いやぁ!」
サソリ女の脇では、数人の女子生徒たちが女戦闘員に拘束されて立っている。
目の前で起こったことが衝撃的だったようで、みんな青ざめた顔をしているようだ。
「うふふふふ・・・心配は要らないわ」
「お前たちもすぐに私たちのように女戦闘員に生まれ変わるの」
「そうなれば、首領様にお仕えする喜びと、怪人様に対する尊敬の念が芽生えるわ」
女子生徒たちを逃がさないように囲んでいる女戦闘員たち。
サソリ女の手術が終わった手術台に、次々と女子生徒たちを寝かせていく。
やがて彼女たちも黒レオタードに黒タイツという姿の女戦闘員へと生まれ変わっていった。

これでいい。
俺の組織はどんどんと構成員が増えていく。
いずれは学校だけにとどまらず、町や県へと広がるだろう。
そしてやがては世界へも。
俺の作った悪の組織が暗躍するのだ。
なんて楽しい夢の世界。
ここまで来たら組織名を決めようと思う。
もちろんその名は一つしかない。
俺は偉大なるあの作品に敬意を表し、心をこめて組織の名を「ショッカー」と名づけるのだった。

エンド
  1. 2016/07/23(土) 22:08:33|
  2. 改造・機械化系SS
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性処理用女怪人誕生

昨日予告しましたとおり、3500日記念の新作SSを一本投下いたします。

今回の作品は、悪堕ちというよりもエロ堕ちと言っていいかと思います。
短い作品ですが、お楽しみいただければと思います。


性処理用女怪人誕生

「う・・・こ、ここは?」
薄暗い部屋の中で姫原さおり(ひめはら さおり)は目が覚めた。
一瞬自分が、なぜこのような場所で寝ているのかわからなかったものの、どうやら麻痺ガスを嗅がされ、意識を失ってしまったらしい。
しまった・・・油断してしまったわね・・・
さおりは歯噛みする。
彼女は友人たちとの楽しい会合で、つい油断してしまったことを悔いた。

姫原さおりは地球防衛チームサンダーナイトの一員サンダーピンクである。
彼女を含むサンダーナイトは、地球を狙う邪悪な組織スカルダーと日夜戦い続けていたのだ。

「どうやら捕まってしまったみたいだし、とにかく何とか逃げ出さないとね」
さおりは躰を起こそうと試みる。
麻痺ガスの影響は抜け切っているようだったが、残念ながら両手両足が拘束されているようで起き上がることができない。
あちゃー・・・まずったなぁ・・・美紗子司令にまた怒られちゃう・・・
さおりの脳裏に美人だが厳しい司令官の姿が浮かぶ。
きっとまた今回のことも怒られるのだろう。
だが、それもここから逃げ出すことができてからのことだ。

さおりは両手両足の拘束を何とかはずそうともがいてみる。
だが、そう簡単に拘束が解けるはずもない。
おそらく何度試みても難しいだろう。
そうなると・・・
きっとスカルダーの連中は自分をこのままにはしておくことはないだろう。
おそらくどこかへ移送することになるはず。
もしくは牢のような場所に入れられるかも。
そのときにはこの拘束がはずされるだろう。
そのときがチャンスだ。
さおりはそう考える。
それならば、下手にもがいて体力を消耗するのは得策ではない。
今はおとなしくしてスカルダーの連中を油断させたほうがいい。
さおりは一回深呼吸をして、おとなしく横になったまま事態の変化を待つことにした。

「ふむ・・・無駄な足掻きはしないか。さすがはサンダーピンク」
重々しい足音が響き、一人の偉丈夫が近寄ってくる。
「お前は、スカルダーの指揮官ゼネラルヘル」
近寄ってきた相手が怪人クラスではなく大幹部ゼネラルヘルであることに驚くさおり。
どうやら相手を油断させて脱出というのもそう簡単ではなさそうだ。
「ほう、我のことを知っているか。地球人の情報収集力もなかなか侮れんな」
重厚な甲冑を着た男がにやりと笑っている。
黒い全身タイツを着たような躰に銀色の甲冑が重なって鈍くひかっている。
「私をどうするつもり? 人質にするつもりなら無駄なことよ」
さおりはそう言い放つ。
おそらくサンダーナイトチームはさおりを見捨てる決断を下すだろう。
人質を取られたからといって、地球を危険にさらすわけには行かないのだ。
「ふん、お前を人質にするつもりなどない」
「だったら早く殺したらどう? 私を生かしておけば、いろいろと厄介なことになるかもしれないわよ」
さおりは挑発するようにゼネラルヘルをにらみつける。
何とか相手の隙を導いて、ここから脱出するチャンスを作るのだ。

「ふん、お前を殺すつもりはない。殺すつもりならとっくに殺している」
「それじゃ私をどう・・・」
「お前たちサンダーナイトによって、我がスカルダーはずいぶんと煮え湯を飲まされた。この屈辱は晴らさねばならん」
苦々しげにさおりを見下ろすゼネラルヘル。
その目が怒りに満ちている。
「屈辱・・・」
これまでサンダーナイトはスカルダーの地球侵略の野望をことごとく打ち砕いてきた。
それは彼らにとっては相当な屈辱だったと言うことなのか。
「そうだ。だからお前には我等以上の屈辱を与えてやるのだ。もっとも・・・お前自身は屈辱と感じないかもしれないがな」
ゼネラルヘルの口元に笑みが浮かぶ。
その笑みはさおりの背中に冷たいものを感じさせるには充分過ぎる笑みだった。
「いったい何を・・・」
「クククク・・・お前には我がスカルダーの女怪人になってもらおう」
「スカルダーの女怪人に?」
スカルダーはその地球侵略の尖兵として、地球の生き物を模した怪人を投入してくるのが常だった。
主に昆虫などグロテスクな生き物が多かったが、その怪人に自分がされると言うのか?
さおりは恐怖した。
「いやっ! いやよ! 怪人になんかなるのはいやっ!」
先ほどまでの冷静さは消えうせ、必死に拘束をはずそうともがくさおり。
だが、手足を固定した拘束は全くびくともしない。
「クククク・・・改造を始めるとしよう」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」
薄暗い室内にさおりの悲鳴が木霊した。

                    ******

「う・・・あ・・・」
どうやらまたしても気を失っていたらしい・・・
だが、今度は冷んやりとした床に横たわっていたようだ。
幸い両手両足の枷ははずされているらしい。
「ここは・・・いったい?」
先ほどと同じような問いをつい発してしまう。
もっとも、先ほどとは言ったものの、あれから何時間経っているのかさっぱりわからないが。

ゆっくりと彼女は起き上がる。
薄暗いせいかなんだか目がおかしい。
小さな画像がいくつも見えるような感じがするが、どうしたのだろうか。
思わず目をこすろうとして、彼女は自分の腕がいつもと違うよう感じることに気が付いた。
「えっ? これが私の手?」
彼女の腕は黄色の細かい毛のようなものがびっしりと表面を覆っていた。
それは腕から手の甲にまで広がっていて、節くれだった指には鋭い爪が付いている。
「えっ? な、なんなの・・・これ?」
彼女はあわてて自分の躰を見下ろした。
すると驚いたことに、腕だけじゃなく腹部以外の彼女の躰全体が黄色の細かい毛に覆われていることに気が付いた。
腹部はなにやらうねうねとした蛇腹状の皮膚が覆っており、二つの膨らんだ胸はまるで昆虫の腹のような同心円状の節で形作られていた。
背中には薄い赤と黄色の翅がたたまれており、彼女がちょっと力を入れると、蝶か蛾の翅のように広がっていく。
「い・・・いやぁ・・・な、何なのこれ・・・私はいったい・・・」
思わず恐怖に頭を抱えてしまう。
いったい自分の身に何が起こったと言うのだろう。
以前の自分はこんな姿ではなかったはずではなかったか?

「おっ、目が覚めたようだな。邪魔するぜ」
室内に入ってくる異形の影。
がっしりとした体格に黒い細かい毛が全身にびっしりと生えている。
口元はあごが左右に分かれ、額にも目があり、お尻の部分は巨大なふくらみになっている。
どこからどう見てもクモをベースにした怪人だ。
「あなたはスカルダーの怪人!」
「ああん? お前だってスカルダーの女怪人じゃねーか」
「えっ?」
クモ怪人の言葉に驚く彼女。
「そ・・・そんな・・・違う・・・私は怪人なんかじゃ・・・」
必死に否定しようとするが、なぜか自分が何者なのか思い出せない。
以前の自分は別なはずだった気がするのに、全く思い出せないのだ。
「私は・・・私はいったい?」
「ああ? なんだぁ? まだ脳改造がされていないのか? スカルダーに対する忠誠心はどうした?」
「スカルダーに対する忠誠心・・・?」
クモ怪人に言われそのことを考えた瞬間、彼女の中にスカルダーに対するとても大きな崇拝の気持ちが湧き起こる。
スカルダーの偉大さ、すばらしさ、そして自分がその一員であることの喜び。
これらがいっぺんに彼女の心に染み込んでくる。
「ああ・・・あああ・・・私は・・・私はスカルダーの一員・・・偉大なるスカルダーに忠誠を・・・忠誠を誓います・・・」
「そうだ、それでいい。お前はスカルダーの女怪人だ」
「はい・・・私はスカルダーの女怪人です」
彼女の中から先ほどまでの自らの姿に対する恐れはいつの間にか消えていた。
それどころか、彼女は今の自分の姿こそが正しい自分の姿だと認識するようになっていたのだった。

「よし、それじゃ早速頼むぜ」
「えっ? 頼むって・・・何を?」
クモ怪人の言葉に戸惑う彼女。
いったい何を頼まれているのかわからなかったのだ。
「おいおい、何を言ってるんだ? 性処理だよ性処理。俺を気持ちよくさせ抜いてくれるんだろ? お前はそのための性処理用女怪人だって聞いたぞ」
「性処理? 私が性処理用女怪人?」
彼女は驚いた。
性処理なんて言葉聞いたこともない。
だが、その言葉がとても甘美で魅力的に感じる。
それに、彼女の目はさっきからクモ怪人の股間に注がれていたのだ。
彼の性処理をする・・・
なんて魅惑的なことだろう・・・

「性処理・・・性処理・・・」
うわごとのようにつぶやく彼女。
じんわりと彼女の股間が濡れていく。
頭の中はもうクモ怪人の股間にあるもののことでいっぱいだ。
「そう、性処理だ。まずはしゃぶってもらおうか」
「しゃぶる・・・はい・・・」
クモ怪人の言いなりになって彼の元に行く。
そして彼の前にひざまずくと、彼の股間をそっと触る。
すると、今まで隠れていたクモ怪人のペニスが、むくむくと鎌首をもたげてきた。
「ああ・・・素敵・・・」
彼女は本心からそう思う。
すでに彼女は彼の性処理をすることが当然と感じていた。
なぜなら、それが彼女の存在する意味だからだ。
彼女は性処理用女怪人なのだから。

いつしか彼女は長いストロー状に伸びた口吻を器用にクモ怪人のペニスに巻きつけ、こするようにしごき始める。
「おおっ、フェラチオならぬ口コキか? これはこれでなかなか・・・」
両手で彼女の頭を鷲掴みにしながら、気持ちよさに腰を降り始めるクモ怪人。
太くたくましいペニスを口吻で絡め取ってしごく楽しさ。
それに彼が気持ちよさそうにしていることが、彼女の心を満たしていく。
彼女の口コキで彼が喜んでくれているのがうれしいのだ。
彼女は強弱をつけてクモ怪人のペニスをしごいていく。
なんて楽しいのだろう。
「うっ・・・出るぞ! うっうっ・・・」
クモ怪人のペニスの先端からドロッとした白濁液が飛び出てくる。
「きゃっ」
白濁液を浴びせられ、思わず声を上げてしまう彼女。
だが、かけられたこと自体はいやではなく、むしろなんだかうれしかった。
ねっとりとした白濁液。
彼女はそれを指で掬うと、ストロー状の口吻を伸ばしてジュルジュルと吸い取っていく。
口の奥で広がる精液の味が、なんだかとても美味しく感じられた。
「美味しい・・・」
「クケケケケ、そう感じるように改造されたってことだな」
「そうなのかしら・・・でも、いやじゃないわ・・・」
「それもそう感じるようにされていると言うことだ。さあ、四つんばいになって後ろを向けな」
「えっ? こ、こうですか?」
クモ怪人に言われ、その通りに四つんばいになってお尻をみせる彼女。
丸いお尻が魅惑的だ。
「俺はこっちの方が好きでな」
クモ怪人はそう言うと、彼女のお尻に指を差し入れる。
「ひゃん!」
思わず声を上げ背筋を伸ばす彼女。
「クケケケ、力抜けよ」
クモ怪人の指がクニクニと彼女のお尻の穴をほぐしていく。
「ひゃぁぁ・・・ひゃぁぁ・・・」
最初はいやな感じだったものの、すぐに躰は快感を感じ始め、だんだん腰を振りはじめる。
「そろそろ行くぞ。それっ」
「あひゃぁぁん」
お尻の穴に太い異物を押し込められ、甘い悲鳴を上げる彼女。
だが、彼女のお尻はすでにずっぽりとクモ怪人のペニスをくわえ込み、快感をむさぼっていく。
「いい・・・いいですぅ・・・いい・・・」
クモ怪人のピストンに合わせ、躰を前後させていく。
初めてのことなのに、なぜかすごく気持ちがいい。
「どうだ? ケツでまぐわうのもいいものだろ?」
「はい・・・いい・・・いいですぅ」
腰を振りながら彼女はそう答える。
「そういえばお前、名前はなんていうんだ?」
「名前? 名前・・・わかりません・・・思い出せない・・・ああん・・・いい・・・」
「そうか・・・だったら俺がお前に名前をつけてやるよ。そうだな・・・どうやら蛾をモチーフにした性処理用の女怪人のようだし、マゾッ気もありそうだからな。マゾメスならぬマゾモスというのはどうだ?」
「マゾモス・・・私の名前はマゾモス・・・ああ・・・私はマゾモスですぅ」
彼女の脳裏にマゾモスという名が刻まれる。
この瞬間から彼女はもう自らの名がマゾモス以外には感じられなくなっていた。
「クケケケケ・・・いい名だろう? おぅ・・・行くぞ!」
「はいぃ・・・来て・・・来てくださいぃ・・・」
次の瞬間、彼女の中に熱いものが流れ込んでくる。
そしてそれと同時に、彼女の全身を言いようのない快感が突き抜けていった。
「ふあぁぁぁぁぁぁ」
声を上げながら床に崩れ落ちるマゾモス。
あまりの快感に躰に力が入らなかった。

                     ******

「キュイーッ」
「キュイーッ」
奇声を上げ、全身黒づくめの男たちが現れた。
大きな丸い複眼をしたアリのような頭部を持ち、躰は人間の男が黒い全身タイツを着たような姿をしている。
スカルダーの戦闘員たちだ。
どうやらまたあれから少し時間が経ったらしい。
クモ怪人はいなくなったようだ。
おそらくやることをやって満足したのだろう。
戦闘員たちは三人。
皆なんとなく遠巻きに彼女を見つめているようだ。
以前の彼女ならすぐに戦闘態勢に入っただろうが、今の彼女には全くそんな気持ちは起こらない。
彼らは新たな“お客様”なのだ。
性処理用女怪人となった彼女に取り、性処理をしてあげるべき仲間たちなのだ。

「こんにちは、戦闘員の皆さん」
マゾモスはゆっくりと近づいていく。
「「キュイーッ」」
戦闘員たちは互いに顔を見合わせる。
「うふふ・・・心配しないで。私はあなたたちの性処理をする女怪人マゾモス。これから気持ちいいことたっぷりとしてあげる」
ごくごく自然に彼女はそう口にする。
先ほど以来、彼女はもう自分が何者かを理解していた。
自分は偉大なるスカルダーの一員であり、仲間たちの性処理用女怪人なのだ。
そのことが彼女にとっては誇らしく、またうれしかった。

やがて彼女は一人の戦闘員の前にひざまずく。
「うふふ・・・たまっているんでしょ? いいのよ。遠慮しないで」
彼女は戦闘員の股間をそっとなでる。
すると、全身タイツ状の股間がむくむくと屹立し、太いペニスを形成する。
「ふふふ・・・やっぱりたまっていたのね。太くて素敵・・・いただきます」
勃起したペニスを目にしたマゾモスは、すぐに口吻を伸ばして巻きつける。
そして頭を前後させて口コキをはじめた。
「キュイ・・・キュイーッ!」
彼女の頭に手を置き、腰を振りはじめる戦闘員。
その様子に、他の二人も股間にペニスを形成する。
「うふふ・・・あなたがたには手でしてあげる」
両手でそれぞれのペニスを握り、シコシコとしごき始めるマゾモス。
それだけでもう彼女自身も股間がじんわりと濡れてくる。

「キュイ・・・キュイーーーッ」
やがて次々と白濁液を放出する戦闘員たち。
その液を全身に浴び、マゾモスはとても気持ちがよかった。
すぐにストロー状の口吻で精液を吸い取っていく。
出されたばかりの精液はとても美味しかった。
「うふふふ・・・美味しい・・・今度はこっちにちょうだい」
そう言って股間を広げるマゾモス。
黄色い細かい毛に覆われた中にピンクの肉ひだが覗いている。
すでにそこはとろとろと大量の蜜を流していた。
すぐに三人の戦闘員たちは代わる代わる彼女を犯し始めるのだった。

                   ******

「ん・・・んお・・・」
ペニスをしごかれる感触がたまらない。
手コキともフェラチオとも違う感触だ。
ゼネラルヘルは自分のペニスをしごいている相手を見下ろす。
黄色の細かい毛で覆われた丸い大きな頭部に、額に生えた木の葉の葉脈のような触角がふるふると震えている。
黒くて丸い複眼は彼のペニスを一心に見つめ、口は細長いストロー状の口吻になっていて、それが彼のペニスに巻きついてしごいていた。
「ん・・・ふふふふ・・・すっかり性処理が上手くなったようじゃないか?」
「ああ・・・はい・・・私は性処理用の女怪人です。性処理は得意ですわ」
細長い口吻の先から声がする。
フェラチオではないからこそ声が出せるのだ。
「ふふふ・・・こんなことをして屈辱ではないのか?」
「屈辱? なぜですか? 私は性処理をするのが役目です。屈辱どころかとても楽しくて気持ちいいですわ」
彼の言葉に驚いたように顔を上げるマゾモス。
「それならいい。これからも皆の性処理を行うのだ」
「もちろんです。たっぷりと抜いて差し上げますわぁ」
まるで笑みを浮かべたかのように喜んでいるのがわかる。
もはや彼女は心の底から性処理用女怪人マゾモスへと変化していたのだ。
「出すぞ。うっ・・・」
びゅくびゅくと白濁液が放出され、マゾモスの顔を白く染める。
「ひゃあん」
かけられたことに喜び、すぐに指でぬぐって口吻で吸い取っていくマゾモス。
ジュルジュルと精液を味わい、飲み干していく。
「美味しいです・・・ゼネラルヘル様のザーメン最高ですわ」
満足そうにマゾモスはそう言った。

「次は下の口にもゼネラルヘル様のザーメンを味わわせてください」
床に腰を下ろし、股間を広げてみせるマゾモス。
黄色い毛で覆われた股間にピンクの性器が顔を出す。
「まあ待て。その前にお前に仲間を紹介してやろう」
「仲間・・・ですか?」
「そうだ。お前と同じ性処理用の女怪人だ。元は我らに歯向かうサンダーナイトチームの司令官を務めていたようだがな」
ニヤリと笑うゼネラルヘル。
「そうなのですか? 偉大なるスカルダーに歯向かうなんておろかですわ。でも、仲間になってくれたのならうれしいです」
「ふふふふ・・・仲良くしてやるがいい。おい、連れて来い」
ゼネラルヘルが指を鳴らす。
すると、戦闘員に左右の腕を掴まれるようにして一人の女怪人が入ってきた。
丸い大きな複眼と額から伸びた触角。
左右に割れたあご。
背中からは薄い翅がのびており、躰は黒と黄色の細かな毛に覆われている。
どうやら彼女は蜂の女怪人らしい。

「こ、ここは・・・私はいったい?」
戦闘員たちが下がると、ゼネラルヘルとマゾモスの前に一人取り残されたような形になり、不安そうな感じをみせていた。
その様子に、マゾモスはスッと立ち上がるとゆっくりと彼女に近寄っていく。
「どうやらまだ脳改造が未熟なようね。怖がることはないわ。私たちは仲間。ともに偉大なるスカルダーの一員でしょ?」
そばに寄って耳元で囁くマゾモス。
その言葉に一瞬躰を硬くし、うつろになる蜂怪人。
「仲間? 私はスカルダーの一員? スカルダー・・・スカルダー・・・そうよ・・・私は偉大なるスカルダーの一員・・・スカルダーの一員なんだわ・・・」
じょじょに生気を取り戻していく蜂怪人。
「それでいいの。あなたも私も偉大なるスカルダーの一員。そしてともに性処理用の女怪人なの」
「性処理?」
「そう。仲間たちの性処理を行うのが私たちの使命。あなたもそう思うでしょ?」
「ああ・・・あああ・・・そうです・・・私は性処理用の女怪人。皆さんの性処理を行うのが私の使命・・・」
蜂怪人にも性処理のことが刷り込まれていく。
「うふふふ・・・あなたお名前は?」
「えっ? 名前? 名前・・・わかりません。私はなんという名前なんですか?」
困惑する蜂怪人を見て、マゾモスは振り返った。
「ゼネラルヘル様、彼女に名前を与えてあげてもよろしいですか?」
「かまわん。いい名前をつけてやれ」
「ありがとうございます。うふふふ・・・あなたは蜂の女怪人。今日からはマゾビーと名乗りなさい」
「マゾビー・・・私はマゾビー・・・はい、私はマゾビーです。性処理用の女怪人マゾビーですわ」
蜂怪人の中ですべてが書き換えられていく。
もはや彼女は正義を守るサンダーナイトチームの女司令官ではない。
浅ましく仲間たちのザーメンを求める性処理用女怪人マゾビーに生まれ変わったのだ。

「さあ、早速ゼネラルヘル様にご挨拶なさい」
マゾモスに促され、マゾビーはゼネラルヘルの元へと歩みを進める。
「ゼネラルヘル様、私は性処理用女怪人マゾビーです。どうかゼネラルヘル様のおチンポを味わわせてください」
そう言ってかがみこむマゾビー。
ゼネラルヘルの股間からむくむくとペニスがそそり立ち、マゾビーの目の前に突き出される。
「ああ・・・ありがとうございます。美味しそうなおチンポ・・・いただきます」
二つに割れたあごで起用にペニスをくわえ込むマゾビー。
その様子を見るマゾモスも、次第に股間から蜜が垂れてくる。
「ああ・・・ゼネラルヘル様・・・私、ほかの方の性処理をしてきてもよろしいですか?」
「ああ、いいだろう。楽しんでくるがいい」
「ありがとうございます。うふふふふ・・・たっぷり抜いて差し上げますわぁ・・・」
複眼を潤ませ、これからのことに思いを馳せるマゾモス。
足音も高くゼネラルヘルの元から戦闘員たちのところへと向かっていく。
彼女は今、とても幸せだった。

END
  1. 2015/02/16(月) 21:07:34|
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ヒツジ男のセーター作戦

今日は新年一発目の短編シチュのみSSを投下いたします。

タイトルは「ヒツジ男のセーター作戦」です。
ギャグ風味ですがお楽しみいただければと思います。

それではどうぞ。


ヒツジ男のセーター作戦

「う・・・」
俺はうっすらと目を開ける。
ここは・・・どこだ?
俺はいったいどうしたのだ?

俺は薄暗い中で室内を見回す。
ここがどこかはわからないが、どうも何か病室かなんかのような消毒液のにおいがする。
俺は病院にいるのか?
それにしては室内は薄暗く、チカチカと瞬いている機器類も病院のものというよりは何か実験室かなんかのような雰囲気だ。

俺は上にかけられていた布をめくって起き上がろうとした。
「?」
俺は何か違和感を感じる。
俺の躰って、こんな毛むくじゃらだったか?
俺の躰は白いもこもことでも言うような毛で覆われていたのだ。
その白い毛で覆われているのは股間から上の部分で、太ももから下は黒いウェットスーツとでも言うような感じで逆に一本も毛がない。
足先はなんかブーツでも履いているような感じだが、俺の足はこんな感じだったっけ?
何か違っているんじゃないか?
だが、何が違っているのかわからない。
もともとこういう躰だったといわれればそんな気もするし、違っているといわれればそうかもしれないと言う気もする。

とりあえず起き上がり、ベッドから立ち上がる。
寝ていたのはベッドと思っていたが、どうも円形の硬い台だったようで、クッションすら敷いておらずただ枕が置いてあるだけだ。
何で俺はこんなところに寝ていたんだ?
わからない。
とにかくわからないことだらけだ。

『目が覚めたようだな、ヒツジ男よ』
突然重々しい声が室内に響いてくる。
どうも天井のほうから聞こえたので、思わず俺は天井を見上げる。
すると、天井付近の壁に巨大な一つ目のレリーフがあり、その目の瞳が不気味に発光しているではないか。
「ヒツジ男?」
俺はそう呼びかけられたことに戸惑いを感じた。
俺はヒツジ男などという名前だったのか?
奇妙な名前だが、妙にしっくり来る感じもする。
うん・・・ヒツジ男と呼ばれるのは悪くない。

『そうだ。お前は我がサタンガーの改造人間ヒツジ男。今日からはサタンガーのために働くのだ』
一つ目からの声が響いてくる。
それは俺の中にまるで染み込んでくるような声だ。
聞いているだけで恐れを感じ、同時に偉大さも感じる声だ。
この声に従うことこそ正しいこと。
俺はすぐにそのことを理解した。
「ハハッ、かしこまりました。どうぞ何なりとご命令を」
俺はスッとひざまずく。
そうだ。
俺はヒツジ男。
偉大なるこの声の持ち主、サタンガーの首領様にお仕えする改造人間なのだ。
そのことが俺の脳に焼き付いてくる。
なんとすばらしいことだろう。

『ヒツジ男よ、お前は我がサタンガーの第一号怪人。サタンガーのこれからの発展はお前の力にかかっている』
「ハハッ」
なんと・・・
俺の働き次第でサタンガーが発展すると言うのか?
これほどやりがいがある任務はない。
『第一号怪人といえば、多くはクモが選ばれると言う。だが、今年は未年。新たな年に新たな怪人となればヒツジ男となるのは自明の理』
「仰せの通りでございます」
だから俺はヒツジ男なのだ。
新たな年にふさわしいではないか。

『ヒツジ男よ。早速お前には我がサタンガーの人員を確保する任務を与える』
「ハハッ」
『すでにお前自身でも感じているだろうが、お前には特別な能力を与えてある。その能力を使って人員を確保するのだ。よいな』
「ハハッ。お任せください、首領様」
俺は首領様に深々と頭を下げる。
首領様に命令したいただけるなど光栄のきわみ。
なんとしても任務を果たして喜んでいただかねば・・・
俺は早速任務を果たすためにアジトをあとにした。

                   ******

さて・・・
サタンガーの人員を増やすと言うことだが、首領様はそれ以上のことはおっしゃらなかった。
ということは、人選は俺に任されているということだろう。
ならば俺とてヒツジ男という名の通り男だ。
人員を増やすなら女性の方がいい。
目も喜ぶと言うものだ。
メェーー
俺は思わず声を上げる。
女性を仲間に引きずり込むとしよう。

夜の街に繰り出した俺は、闇の中から獲物を探す。
どうせなら美人がいい。
美人がサタンガーの仲間になるなら、任務もはかどると言うものだ。
さて・・・
どこかに美女はいないものか・・・

いた・・・
俺の目になかなかの美人が映る。
駅から出て自宅へ向かうところらしい。
タイトスカートから伸びる脚がすらりとしてとても綺麗だ。
俺はどうやら脚フェチの気があるらしいな。

俺はひそかに女の後をつける。
もちろんビルからビル、屋根から屋根へと移動するので、人間どもの目に触れることはほぼないだろう。
万一見られたとして、屋根の上をヒツジの怪人が駆けていたなどと他者に言おうものなら、おかしなやつだと思われるだけだ。
それに、見られたら始末すればいい。

女は20代後半ぐらいか・・・
住宅街の通りを歩いていく。
人通りもなくなり、おあつらえ向きだ。
俺は女のすぐ後ろに追いつくと、胸の部分から毛を引っ張った。
俺の毛は特殊繊維だ。
捩ればすぐに白い毛糸になる。
この毛糸こそ、俺の特殊能力なのだ。

俺は頭の後ろについている編み棒を取り外すと、猛烈な勢いで毛糸を編み始める。
毛糸はみるみるマフラーのようになり、俺はそれを投げつけた。
マフラー状の毛糸はすぐに女の頭に巻きつくと、声を上げられないように口をふさいでしまう。
これで助けを呼ばれることはなくなった。

俺は女のところへ行くと、女の服を無理やり脱がす。
「むーっ! むぐぅーー!!」
女は必死に叫び声をあげようとするが、マフラーが口をふさいでいるのでうめき声にしかならない。
俺は女を裸にすると、ドンと突き飛ばす。
思わず女は尻餅をついて地面に倒れこんだ。
綺麗な白い素肌が美しい。
俺は再び胸の毛を捩って毛糸にすると、編み棒で編み始める。
今度はセーターを編むのだ。
最近世間で流行ったあの胸開きセーターだ。
俺は目にも留まらぬスピードで編み棒を動かすと、見る見るうちに毛糸が彼女の躰に絡まってセーターになっていく。
「むぅ・・・む・・・ああ・・・」
女の声も次第に甘い声に変わっていく。
俺のセーターを着たものは俺の言いなりになるのだ。
これこそが俺の特殊能力だ。
俺は毛を使ってサタンガーの人員を確保するのが任務のヒツジ男なのだ。

女の上半身がじょじょにセーターに覆われていくと、下腹部にも変化が起こる。
裸だった躰に黒いレオタードのような服が形成されていくのだ。
つまり、黒のレオタードを着た女が、白い胸開き縦セーターを上から着ているというなんともエロティックな服装に変わっていくのだ。
なんとすばらしい。
俺はこの能力を与えてくれた首領様に感謝した。

やがて女はゆっくりと立ち上がる。
下半身はぴったりした黒いレオタードが覆い、上半身には今流行の胸開きハイネックの白い縦セーターを身に着けている。
開いた胸元からは形の良い胸が黒レオタードに覆われているのが覗いており、とても扇情的だ。
手には甲の部分に白いもこもこの毛が付いた手袋を嵌めており、脚にはすねあたりまでの長さのもこもこの白い毛のブーツを履いていた。
女は口元を覆っていたマフラー状のものをはずすと笑みを浮かべる。
その口元は濡れたように赤く、目の周りには黒いアイシャドウが引かれていた。
「ヤーッ! ヒツジ男様、何なりとご命令を」
先ほどまでの俺に対する恐怖は消え去り、俺に対する崇拝が浮かんでいる目。
右手を斜めに上げ、俺に対する忠誠を誓っている。
なんとすばらしいことだ。
これでこの女は俺のしもべ。
サタンガーの一員となったのだ。
「メェーーー! それでいい! お前は女戦闘員となったのだ。これからは俺に仕えサタンガーのために働くのだ」
「ヤーッ! かしこまりました。ヒツジ男様の命令に従います」
女戦闘員となった女が声高らかに宣言する。
なんともたまらないではないか。

                   ******

「ヤーッ! ヒツジ男様に忠誠を誓います」
「ヤーッ! 私はヒツジ男様の忠実なしもべです」
俺に手編みのセーターを着せられた女たちが次々と女戦闘員へと変わっていく。
黒レオタードの上に胸開き白セーターを着たエロティックな女たちだ。
目の周りには黒いアイシャドウが引かれ、唇は淫靡に真っ赤に塗られている。
手には甲の部分にもふもふの毛が付いた手袋を嵌め、足にも同じく毛の付いたもこもこのブーツを履いている。
全員が全く同じ衣装を着て、全員が一様に俺に忠誠を誓っているのだ。

「うふふふ・・・これであなた方も私と同じくヒツジ男様のしもべ。これからはヒツジ男様のために働くのよ」
俺の傍らで新たな仲間に声をかける女戦闘員。
一番最初に俺のしもべになったことで、先輩として指導にあたっているのだ。
どうやら本人は俺の秘書のようなつもりらしい。
まあ、結構有能なようなので、いろいろと雑務を任せている。

ともあれこれで女戦闘員も十人を超えた。
サタンガーの暗躍を始めるにはいい数だろう。
首領様からも新たな任務が課せられている。
サタンガーに歯向かう愚か者を始末するのだ。
ターゲットの中には女もおり、そのガードに付いていた女性SP二人を俺は先ほど女戦闘員に仕立て上げたのだ。
今まで自分を守ってくれた人間が自分を襲ってくる。
サタンガーに敵対する愚か者にはショックだろう。
俺は思わずほくそ笑む。

「お前たち、用意はいいな?」
「「「ヤーッ!」」」
右手を上げていっせいに応える女戦闘員たち。
「行け! メェーーーー!」
俺の命令で女戦闘員たちはターゲット目指して駆けて行く。
俺はその姿に深く満足するのだった。

END
  1. 2015/01/02(金) 20:09:13|
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ジャアクーの魔手

昨日お知らせしましたとおり、今日はシチュのみ短編SSを一本投下いたします。
楽しんでいただけましたら幸いです。


ジャアクーの魔手

「くっ、現れたわね、ジャアクーの戦闘員ども!」
仲間の捜索に出ていた私の前に、ばらばらと姿を現す全身黒づくめの連中。
頭のてっぺんから足のつま先までナイロンの黒い全身タイツに覆われたような姿をした、暗黒結社ジャアクーの戦闘員たちだ。
人間と同じような姿形をしているが、力は人間の数倍もあり、集団で襲い掛かってくるので厄介な連中でもある。

「「キキーッ、キキーッ!」」
奇声を発して私に向かってくる戦闘員たち。
私はすぐさまバイクを降り、右手のブレスレットをかざして“装着"を行なう。
光の粒子が私の躰を包み込み、全身にジュエルスーツを纏わせてくれて、私は宝玉戦隊ジュエルファイターの一人、ジュエルホワイトに“変身”した。

「ターッ!」
襲い掛かってくる戦闘員どもを、私はキックやパンチを繰り出して倒していく。
ジュエルスーツを装着しジュエルファイターとなった私には、戦闘員どももかなわない。
一人二人と倒されていくが、いかんせん数が多く、このままでは切りがない。
「ブルー、ブルー、聞こえる? こちらホワイト。今Gブロックでジャアクーの戦闘員どもと戦闘中。応援願います!」
私はヘルメットの通信装置で仲間のブルーを呼ぶ。
『こちらブルー。すまない、こちらもDブロックで戦闘員たちと戦闘中だ。今はそっちに行くのは無理だ』
だがヘルメットから流れてきたのは悲痛な声。
そんな・・・
二ブロックで戦闘員たちが出現するなんて・・・
今までにはなかったことだわ。
もう・・・
こんなときにレッドがいないなんて・・・
どこに行ったのよ、あいつは!

『気をつけるんだ! こっちにいるのは戦闘員ばかり。そっちにジャアクーの怪人がいるかもしれないぞ』
ブルーの指摘に私はハッとする。
そうだわ。
戦闘員たちが単独で行動するはずがない。
彼らを指揮する怪人が必ずいるはず。
この近くにいるかもしれないわ。
私は襲い掛かってくる戦闘員どもをなぎ倒しながら、周囲に警戒を行なう。
ジャアクー怪人は戦闘員などとは比べ物にならない力の持ち主だ。
その力は軍隊一個師団に匹敵するとさえ言う。
もちろん私たち宝玉戦隊はそのジャアクー怪人に対抗するために結成されたチーム。
三人集まればどんな怪人が出てきても負けはしないのだけど・・・

「あっ?」
突然私の躰に衝撃が走る。
一瞬何が起こったのかわからなくなるが、強力な攻撃を受けたのは間違いない。
「くっ、一体?」
私は思わずひざをつく。
ジュエルスーツ越しにこれほどの衝撃を受けるとは、どう考えてもジャアクー怪人の攻撃に違いない。
「シグシグシグー!」
奇妙な声が響いてくる。
その声のした方を向くと、そこには初めて見るジャアクー怪人が立っていた。

「シグシグシグー!」
そのジャアクー怪人は首から下を黒い全身タイツで覆い、身長ほどもある薙刀のような武器を構えていた。
頭の部分には横長の交差点で見かける信号機そのものが乗っかっており、赤青黄色の信号ランプが明滅している。
「出たわね、ジャアクー怪人!」
私はまだふらつくのをこらえて立ち上がり、ジャアクー怪人に向き直る。
「シグシグシグー! 俺様はシグナルジャアクー。俺様のシグナルビームの威力はどうだ?」
信号機を赤青黄色と点滅させているシグナルジャアクー。
ジャアクー怪人はいろいろな機器が人間の頭の部分に納まったような姿をしているのが一般的であり、まさにこのシグナルジャアクーはジャアクー怪人の典型的な姿といってよい。

「たいしたことないわね。私たちジュエルファイターを舐めないでちょうだい」
私は精一杯の強がりを言うが、正直先ほどの衝撃はもう一度食らいたいとは思わない。
何とか早くブルーと合流し、チームでこいつに立ち向かわねば。
「シグシグシグー! それはそうだろう、手加減してやったからな」
「手加減ですって?」
「シグシグシグー! そうだ。お前を殺す気はないからな。おとなしく俺様に捕まるがいい」
薙刀の柄をドンと地面に突いて威圧してくるシグナルジャアクー。
「捕まる? まさかレッドもお前が?」
三日前から連絡が取れなくなったジュエルレッド。
私は彼の捜索のために今日はこの地区を見回っていたのだ。
「シグシグシグー! ジュエルレッドなどもういない」
「な? どういうこと?」
「すぐにわかる。シグシグシグー! シグナルビーム!」
「あっ!」
シグナルジャアクーの信号機から三色のビームが発せられる。
しまった!
会話に気を取られてしまっていたわ。
回避する間もなくビームの直撃が私を襲う。
ジュエルスーツが衝撃のかなりの部分を吸収してくれたものの、私は吹き飛ばされてしまう。
「う・・・ぐっ・・・」
全身が麻痺したように動かない。
「シグシグシグー! 安心しろ。お前を殺す気は無いと言っただろう。おとなしく眠っていろ」
ゆっくりと近づいてくるシグナルジャアクー。
「ガッ!」
ヘルメットに薙刀の柄で一撃を食らった私は、その場で意識を失った・・・

                   ******

「う・・・」
じょじょに意識が戻ってくる。
「あ・・・さ・・・?」
一瞬自室のベッドの上で朝を迎えたのかと思ったが、すぐに記憶がよみがえる。
そうだわ・・・
あのシグナルジャアクーとかいうジャアクー怪人に気を失わさせられたんだった・・・
私は起き上がろうと躰を起こそうとした。
「えっ?」
起き上がれない。
見ると、両手首と両足首ががっちりと金属で固定されているのだ。
さらに驚いたことに、私の躰の首から下が、臙脂(えんじ)色の全身タイツを着たようにナイロンのようなもので覆われている。
いつの間にこんなものを着せられたのだろう?
全く着ている感じがしないほど私の躰に密着しているわ。
「これは・・・一体?」

「シグシグシグー! 気がついたようだな」
いきなり声がして、ヌッと現れるシグナルジャアクー。
私が起きるのを待っていたというのだろうか?
よく見ればここはどこかの室内。
周囲にはよくわからない機材が並び、その中央に私が寝かされている台がある感じだ。
どうやら私は捕獲されてしまったと言うことらしい。

「どうやら私は捕らえられてしまったみたいね。私を捕らえることができて満足かしら?」
私はシグナルジャアクーをにらみつける。
「シグシグシグー! ああ、満足だとも。俺様の目的はお前をこうして捕まえることだったのだからな」
ゆっくりと私に近づいてくるシグナルジャアクー。
見れば見るほどあの信号機が丸ごと人間の頭の部分に乗っかっているだけの姿だ。
「私を捕まえるのが目的?」
「シグシグシグー! そうだ。お前を捕まえるのが目的だ」
「ひゃっ!」
私は思わず声を上げる。
シグナルジャアクーの手が、私の太ももに触れたのだ。
「シグシグシグー! いい手触りだ」
シグナルジャアクーの青信号が激しく点滅している。
「わ、私をどうするつもり? ジュエルレッドもお前たちの手に落ちたというの?」
「シグシグシグー! ジュエルレッド? 違うな。ジュエルレッドなどもういない」
「まさか・・・お前たちに殺されたとでも?」
私は最悪の結果を覚悟する。
こいつのシグナルビームは強力だ。
ジュエルスーツを着ていても相当なダメージを受けてしまう。
そこを攻撃されれば、単独では勝ち目が・・・ない・・・

「シグシグシグー! ジュエルレッドは死んではいない。だが、もういない」
「ど、どういうこと?」
死んではいないがもういない?
意味がわからないわ。
「シグシグシグー! ジュエルレッドはお前の目の前にいるではないか。紫藤恵美香(しどう えみか)」
「!」
私は息を飲んだ。
どうしてこいつは私の名前を知っているの?
ジュエルレッドは目の前?
まさか?
まさか・・・
「まさか・・・あなたがジュエルレッドだとでも言うつもり?」
「シグシグシグー! その通りだ。以前の俺様はジュエルレッド池森竜也(いけもり りゅうや)などというくだらない人間だった。だが、偉大なる暗黒結社ジャアクーのおかげでこうしてシグナルジャアクーとして生まれ変わることができたのだ! シグシグシグー!」
シグナルジャアクーの信号機が激しく瞬く。
「そんなバカな・・・ジュエルレッドがジャアクー怪人に変えられてしまったと言うの?」
私は愕然とする。
人間をジャアクー怪人にしてしまうなんて・・・
「シグシグシグー! いいや、変えられてしまったのではない」
「えっ?」
「俺様は自ら望んで変えていただいたのだ。このすばらしい肉体、偉大なる暗黒結社ジャアクーの強力なる怪人に自らな。シグシグシグー!」
「自ら? どうして? そんなことって・・・」
私はもう何がなんだかわからない。
助けて・・・
ブルー・・・
拓斗(たくと)・・・
助けて・・・

「シグシグシグー! どうしてだと? 決まっているではないか。お前を俺様の物にするためだ!」
「えっ? ど、どういうこと?」
「シグシグシグー! お前があの青倉拓斗(あおくら たくと)を愛したりなどするからだ。なぜあんな男を選んだ! あの男のどこがいいのだ! なぜ俺様ではダメだったのだ!」
シグナルジャアクーの赤信号が点きっ放しになっている。
そんなことを言われても・・・
私自身気がつけば拓斗のことが好きになっていたのだ。
それでもチームでいるときには態度に出さないように気をつけていたつもりだったのに・・・
「シグシグシグー! 俺様は許せなかったのだ。お前があの男のものになるなど許せなかったのだ。そんな俺様に偉大なるジャアクーは声をかけてくれたのだ」
「ジャアクーが?」
「そうだ。ジャアクーにくれば、お前を我が物にすることができるとな。俺様はその言葉に従った。そして、ようやくお前を俺様の物にすることができるのだ。シグシグシグー!」
「あなたの物に? ふざけないで! 勝手なことを言わないで! 竜也は以前からそうだったわ。自分勝手に独り決めして私や拓斗が反対したら機嫌を損ねて! そんなところが好きになれなかったのよ!」
私はそう言い放つ。
私が誰を好きになろうと私の問題よ。
今わかったわ。
私が竜也を好きになれなかった理由がね。

「シグシグシグー! だまれ! もはやお前の気持ちなどどうでもいいのだ」
「どうでもいい?」
「そうだ! お前はこれから俺様と同じく偉大なるジャアクーの女怪人に生まれ変わる。そうすれば、お前は下等な人間どものことなどどうでもよくなり、同じジャアクー怪人の俺様を好ましく思うようになるのだ。シグシグシグー!」
今度は青信号が点きっ放しになるシグナルジャアクー。
「わ、私をジャアクー怪人にするですって?」
私は愕然とした。
ジャアクー怪人になどされてたまるものですか!
「シグシグシグー! すでにお前の躰は肉体強化を受け、こうして強靭な肉体へと変っている。あとは頭部に仮面を嵌めるだけだ。おい!」
「キキーッ!」
いつの間にかシグナルジャアクーの背後に控えていた戦闘員が、大きなカメラを持っている。
下の部分に穴が開いていて、まるで人間の頭がすっぽり入るほどの・・・
「まさか・・・それを・・・」
私の頭にかぶせると言うの?
「いやっ! いやぁっ!」
私は必死に身を捩って拘束から逃れようとする。
だが、手足を固定する金具からどうしても逃れることができない。
「シグシグシグー! 心配はいらん。すぐに偉大なるジャアクーの一員となれたことに感謝するようになる。お前もジャアクー怪人となるのだ」
「いやぁっ! ジャアクー怪人になるのなんていやぁっ!」
必死にもがく私の頭を戦闘員が押さえつけ、その間にもう一人の戦闘員が、巨大なカメラを私の頭にかぶせてくる。
「いやぁっ! やめてぇっ!」
私の願いもむなしく、私の頭には巨大なカメラがかぶせられた。

「あ・・・あああ・・・あああああ・・・」
視界がさえぎられ、がっちりと頭に食い込んでくる巨大なカメラ。
全身にしびれるような感覚が走り、頭の中に何かが流れ込んでくる。
それは闇。
混沌としたどす黒い闇が私の頭に流れ込んでくるのだ。
いやだいやだいやだ・・・
助けて!
拓斗!
お願い!
助けて!
頭の中で闇がかき混ぜられていく。
世界が闇一色に塗りつぶされていく。
怖い怖い怖い・・・
闇が・・・
闇が広がっていく・・・
どうして?
どうして拓斗は助けに来てくれないの?
私がこんなに苦しんでいるのに助けてくれないの?
拓斗・・・
そう・・・
そうなんだ・・・
拓斗は私なんかどうでもいいのね・・・
私が苦しんでいてもいいのね・・・
そうよね・・・
拓斗は人間だもん・・・
ちっぽけでつまらなくて下等で生きている価値のない人間たちの一人だものね・・・
あは・・・
あははは・・・
どうしてあんな男が好きだったのかしら・・・
あんなのただの人間じゃない・・・
私が好きになるような価値があるとでも言うの?
下等な人間風情のくせに・・・
許せない・・・
許せないわ・・・
下等な人間どもめ。
そうよ・・・
下等な人間どもは私たちの足元にも及ばない連中。
偉大なるジャアクーのすばらしさを理解しようともしない。
それどころか、ジャアクーに歯向かってくる者さえいるのだ。
おろかな身の程知らずの連中。
八つ裂きに引き裂いても足りないぐらいよね。
うふふふふ・・・
なんだかいい気持ちになってきちゃったわ。
さっきまで苦しんでいたのがバカみたい。
私は何を苦しんでいたのかしら・・・
私は偉大なるジャアクーに選ばれた存在だと言うのに・・・
何を苦しむことがあると言うの?
むしろ喜ばしく誇らしいことじゃない。
そうよ・・・
アタシは偉大なるジャアクーの一員。
ジャアクーにすべてをささげて忠誠を誓わなくちゃ・・・
偉大なるジャアクーに・・・

アタシはゆっくりと目を開ける。
レンズのカバーが開き、ズーム部分がウィーンと音を立てて伸びて焦点が合ってくる。
今までよく見えなかったこの部屋の天井がくっきりと見えるわ。
うふふふ・・・
なんだかとっても力がみなぎってくるみたい。
私は両腕に力を入れてみる。
ガシッと音がして、今までびくともしなかった金属の枷が壊れていく。
うふふふふ・・・
こんな枷でアタシを捕らえておくなんてできるわけないわ。
アタシはジャアクーの女怪人。
下等な人間どもとは違うのよ。

アタシは両脚の枷もぶち壊し、ゆっくりと起き上がる。
ああ・・・なんていい気分なのかしら。
こんないい気分は生まれて初めてだわ。
「デジデジデジー!」
アタシは産声を上げるかのように大声で鳴く。
うふふふふ・・・
最高の気分よぉ。

「シグシグシグー! どうやら仮面が定着し、改造が終わったようだな。ジャアクー怪人になった気分はどうだ?」
アタシのそばで見守ってくれていたシグナルジャアクーが声をかけてくれる。
「デジデジデジー! そんなの決まっているじゃない。最高の気分だわ。こんなにいい気分なのは初めてよ。デジデジデジー!」
アタシは思いっきり声を上げる。
そのたびに全身が興奮し、偉大なるジャアクーの一員となった喜びが駆け巡る。
「アタシは偉大なる暗黒結社ジャアクーの女怪人デジカメジャアクー。ジャアクーに永遠の忠誠を誓いますわ。デジデジデジー!」
アタシは右手を胸に当て、偉大なるジャアクーに忠誠を誓う。
今までのアタシはなんと愚かだったのだろう。
これからはジャアクーのためなら何でもするわ。
偉大なるジャアクーに栄光あれ!

                    ******

「あはぁん・・・はぁん・・・あん・・・あん・・・いい・・・いいわぁ・・・」
アタシは胸を揉みしだきながら腰を振る。
シグナルジャアクーの太いペニスが奥で暴れてとても気持ちがいいわぁ。
これが・・・これがジャアクー怪人同士のセックスなのよね。
人間だったときには味わえない最高のセックスだわぁ。
「シグシグシグー! たまらんぜぇ。こうしてお前を抱けるんだからな。ジャアクー怪人は最高だ!」
「デジデジデジー! 全くだわぁ。アタシもこうしてあなたとセックスできるのは最高よ、シグナルジャアクー」
「本当か? そんなこと言って、今でもあのジュエルブルーとのセックスを思い出しているんじゃないのか? シグシグシグー!」
アタシの下で突き上げてくるシグナルジャアクー。
もう・・・そんな意地悪を言うなんて・・・
「デジデジデジー! 冗談はよしてよ! あんなくだらない人間のことなんかもう思い出したくもないわ。あなただって見たでしょ? アタシが奴の首をねじ切ってやったのを」
そう、ジュエルブルーなどもういない。
アタシのデジカメフラッシュとシグナルジャアクーのシグナルビームを食らえばジュエルブルーだってひとたまりもなかった。
ジュエルスーツをぼろぼろにして動けなくなった奴に、アタシは以前のアタシがジュエルホワイトだと告げてやった。
そして絶望に打ちひしがれた奴の首をこの手でねじ切ってやったのよ。
ぶちぶちと筋肉が切れていく感触は今思い出してもたまらない。
人間を殺すのは最高の楽しみだわぁ。
あん・・・
思い出したら興奮してきちゃった。
「シグシグシグー! おおっ、締りがよくなったぜ。たまらんな」
「デジデジデジー! アタシの中は最高でしょ? たっぷり搾り取ってあげるからね」
アタシは赤青黄の信号を明滅させるシグナルジャアクーの顔をカメラで写し取る。
アタシの脳裏に最高のパートナーとして刻み込まれたわ。
アタシたちは偉大なるジャアクーのジャアクー怪人。
こうしてセックスを楽しみ、人間どもをぶち殺すの。
ああん・・・最高の幸せだわぁ。
イく・・・イくぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・
アタシは全身を震わせて、絶頂に達するのだった。

END
  1. 2014/10/27(月) 20:08:34|
  2. 改造・機械化系SS
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午年の初夢

今日は新年一発目の超短編SSを投下します。

タイトルは「午年の初夢」
シチュのみ短編ですが、お楽しみいただければと思います。

長めのSSはまた後日。


午年の初夢

「えっ? あれ?」
目が覚めたら馬になっていた。
いや、馬と人間の合いの子というべきだろうか?
足はひづめのようになり、太ももは太くたくましく、躰は茶色の短い毛が覆い、背中には鬣(たてがみ)が生えて、鼻面は伸びていた。
鏡を見たわけではないのにこれは馬だとわかっていた。
俺は馬人間になったんだ。

『目が覚めたようだな』
頭の上で声がする。
偉大なる首領様の声だ。
俺を馬人間に改造してくださった偉大なる首領様。
たった今お声を聞いただけなのに、俺はこの方に全身全霊で従わなきゃと思った。

『起きるのだ、馬男(うまおとこ)よ』
「はい、首領様」
俺はすぐに起き上がる。
馬男。
それが俺の名前だ。
首領様に名前を呼んでもらえたのだ。
なんてうれしいことだろう。
俺はもう首領様のためなら何でもするぞ。

                    ******

夜道を歩いている若い女。
仕事を終えて自宅へ帰るところだろう。
そういえば、俺も以前はそんな行動をしていたような気がする。
まあ、そんなことはどうでもいい。
あの女はなかなかいい女のようだ。
俺の配下にするにはちょうどいいだろう。

俺は女が人気のない道に入ったところで姿を現す。
「ひっ? だ、誰?」
突然俺が現れたことで女が息を飲む。
「ヒヒーン! 俺は馬男だ。女、一緒に来てもらうぞ」
「ひぃぃぃぃっ! ば、化け物ぉ!」
悲鳴をあげる女に俺は息を吹きかける。
「あ・・・」
ククク・・・俺の吐く息は催眠ガスになっている。
嗅げば意識を失ってしまうのだ。
俺は付き従っている全身黒尽くめの戦闘員たちに命じると、意識を失った女をアジトに運ばせた。

                   ******

「放して! 私たちをどうするつもりなの? 放して!」
「お願いです。家に帰してください。お願いですから」
「いやぁ・・・助けてぇ・・・誰か助けてぇ」
手術台の上に寝かされている五人の女たち。
いずれも若くなかなかの美人たちだ。
この女たちが俺のしもべになるというのは興奮を隠し切れないな。

「いやぁっ! いやぁっ!」
「やめて! やめてぇ!」
俺の見ている前で裸の女たちに色とりどりの光が浴びせられていく。
女たちの躰を強化し、俺のしもべにふさわしい躰に改造するのだ。
グフフフフ・・・

「ああ・・・あああ・・・」
「あうう・・・ああ・・・」
苦悶の表情を浮かべる女たち。
だが、その表情がじょじょに穏やかなものになっていき、今度は目つきがきりっと引き締まってくる。
「うう・・・ううう・・・」
「しもべ・・・私は・・・しもべ・・・」
どうやら女たちの脳に刷り込みが行なわれているらしいな。

やがて固定具がはずされ、ゆっくりと立ち上がる女たち。
その顔には邪悪な笑みが浮かんでいる。
「うふふ・・・」
「うふふふ・・・」
彼女たちは用意された漆黒のレザーの衣装をまとっていく。
彼女たちの躰にぴったりしたレザーのボンデージスーツだ。
そしてひづめのような厚底のピンヒールブーツを履き、両手にレザーの手袋をはめていく。
頭には馬の耳を模した目の部分までを覆うレザーマスクをかぶり、尻尾のついたベルトを締める。

カツッとブーツの音が響く。
一列に並んだ女たちがいっせいに右手を上げる。
「「「ヒヒーン!」」」
誇らしげに胸を張り、俺の前でいななく女たち。
俺のかわいいポニーガールたちだ。
「ヒヒーン! お前たちは今日から俺のしもべとなったのだ」
「「「ヒヒーン! はい、私たちはポニーガール。馬男様の忠実なしもべです。どうぞ何なりとご命令を」」」
マスクに覆われた顔で唯一覗いている口元に邪悪な笑みを浮かべているポニーガールたち。
これからは俺の手足となって働いてくれるだろう。

「よし、ついてくるのだ」
「「「ヒヒーン!!」」」
カツカツと足音を響かせて俺のあとについてくるポニーガールたち。
俺はそのことに満足しながら首領様の命令を果たすために出発するのだった。

END
  1. 2014/01/02(木) 21:32:48|
  2. 改造・機械化系SS
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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