今年最後の更新は、ガンダムSSです。
洗脳も改造も悪堕ちもありませんが、ちょっと異色のガンダムSSを楽しんでいただければと思います。
それではどうぞ。
「ソドン325号」
「ミノフスキー粒子の濃度、えらく高いです。こりゃ奴ら来てますね」
ナビゲーター席のウォルフマン軍曹が目の前の計器から顔を上げる。
ふう・・・
私は心の中でため息をつく。
どこで間違ってしまったのだろう・・・
どうして私はこんなところにいるのだろう・・・
外は絶対零度の冷たい宇宙空間。
そして右手に広がる巨大な天体、月。
私はどうしてこんなところにいるのだろう・・・
「コーゼル艇長、速度を落としてください。もし奴らがこのあたりにばら撒いていたとしたら危険です」
私はウォルフマン軍曹にうなずいた。
物思いにふけっている暇はない。
今は戦争中なのだ。
今はコロニーの建設よりも、破壊が優先なのだ。
私はスロットルを絞り、このソドン325号を減速させた。
ソドン325号は外洋タグボートともいうべき巡航艇だ。
強力なエンジンと推進剤タンクを後部に持ち、その前部にコクピットがついているといった感じの代物で、ミノフスキー粒子下での運用が前提のために視界はとてもよく作られている。
エンジン推力も高く、MS-06Cを二機曳航してもまったく問題がないほどだ。
この巡航艇をベースに、軍用のさまざまなセンサーを載せたり機雷敷設装置を搭載したりしたのがこのソドン325号であり、いわゆる特設敷設艇と呼ばれるものである。
通常は敷設艇と呼ばれることからもわかるとおり、敵軍の航路に進出して機雷をばら撒くのが任務であるが、時には逆の任務、掃海を命じられる場合もあり、ソドン325号は月とサイド3間の航路掃海の任務についていた。
もっとも、ルナ2近辺の制宙権しか持たない連邦軍が機雷戦を行いにやってくることなどめったになく、今のところは掃海と言うよりも哨戒と言ったほうがいいのではあるが。
『こちらサールトン。減速したようですが、何かあったんすか?』
ソドン325号から後部に伸びるワイヤーにしがみつく形のMS-06Fから通信が入ってくる。
この06Fも通常のザクではなく、後部バックパックに機雷敷設設備を持つマインレイヤー型と呼ばれるタイプだった。
「艇長のコーゼルよ。この周囲はミノフスキー粒子の濃度が極端に濃くなっているわ。連邦軍が仕掛けて行った可能性があるのよ」
私は周囲に目を凝らしながら艇を進める。
ムサイ級の軽巡でさえ、対艦機雷に触れたら大破はまぬがれない。
こんなちっぽけな特設敷設艇など木っ端微塵に吹き飛んでしまうのだ。
『了解。急激な機動を考慮し、いったん離脱します』
「そうしてちょうだい。機雷原を見つけたら掃海作業に入るわ」
『了解です』
06Fが手を離したおかげで、ちょっとだけ艇の重さが軽くなった感じがする。
ワイヤーで曳航する場合、こちらの機動に合わせて06F側でもバーニアを吹かしたりしなくてはならない。
そうじゃないと慣性の法則でお互いに振り回される羽目になってしまうのだ。
06Fなどのモビルスーツは推進剤の余裕は小さい。
自力で戦場や現場へ向かったりすれば、いざその場に着いたときには推進剤切れなんてことにもなりかねないのだ。
だからこうして推進剤に余力のある艦艇によって現場に運んでもらう。
できれば母艦設備のある軽巡や戦艦によって運ぶのがベストだが、こういった小型艇に曳航されるのも悪くない。
私の乗るソドン325号の真上に占位するMS-06Fマインレイヤー。
機雷原捜索中の私たちをカバーしてくれるのだ。
おかげでこちらは敵影におびえることなく捜索ができる。
こんな公国の近くまで来て機雷敷設をしていったのだとすれば、おそらく強襲機雷敷設艦。
サラミス級あたりの巡洋艦を改装して作ったやつに違いない。
だとしたら砲撃力だってそれなりに持っている。
ふう・・・
どっちにしてもこんな小艇じゃ木っ端微塵ね。
「艇長、あれを」
ウォルフマン軍曹が窓外の一点を指差す。
「えっ?」
思わず私も指差す方向に目を凝らす。
どこ?
見えないわ・・・
あ・・・
あれか?
ある・・・
あるわ・・・
機雷の群れだわ・・・
それは太陽光の反射を極力抑えた黒い塗装の邪悪な球体の群れだった。
あちこちからとげを突き出した球体は、直径が二メートルほどもある代物。
一撃で船を大破させるその球体が、ざっと見ただけでも二百から三百ほどは浮かんでいる。
気がつかなければまともに突っ込み、大爆発を起こしてしまうだろう。
一刻も早く掃海してしまわなくてはならない。
こんな航路近くじゃいつ船が通るかわからないわ。
「ゆっくりとやっているような数じゃないわね。オリーヌ、すぐにレーザー通信で本部に打電して。本格的な掃海艦をよこしてくれって頼むのよ」
「了解です、艇長」
私の背後の席に座る茶色の髪のそばかす少女、オリーヌ・ジュオー上等兵がすぐに通信パネルに通信文を打ち込んで行く。
おそらく数時間もすれば掃海艦が来るだろう。
でも、それまで放っておくわけにも行かないわ。
「破片爆雷は何個ある?」
「五つです。とても足りませんね」
ウォルフマン軍曹が肩をすくめる。
足りるはずがないわね。
これほどまでにばら撒かれているとは思わなかったもの。
先ほどまではおそらく貨物船に化けた敷設艦が二・三十個仕掛けて行くのがせいぜいだと思ってた。
そのぐらいなら破片爆雷五個もあればどうにか処理できるのだ。
「いいわ、できるだけのことはやりましょう。破片爆雷でできるだけ破壊し、あとはマインレイヤーのザクマシンガンとこの艇の機銃で一個ずつ破壊するしかないわ」
「やれやれ、それしかないですね」
ウォルフマン軍曹も苦笑する。
まあ、やらないよりはマシってことね。
「サールトン曹長、聞こえる?」
『こちらサールトン。聞こえます、准尉殿』
「今から機雷原を処理にかかるわ。破片爆雷を打ち出すから気をつけてね。それが終わったら残った機雷を片っ端からマシンガンで狙撃して」
我ながら情けない命令だと思う。
浮いている機雷を一つずつつぶすだなんて・・・
でも、機雷処理はこれが一番確実な手段。
流れた機雷で民間船が沈んだりしたら目も当てられないわ。
『了解です。やれやれですね』
「まったくだわ。いつも連邦にやってやっているお返しをされたわね」
私は苦笑した。
『コーゼル准尉殿! 何か来ます!』
いきなりマインレイヤーのサールトン曹長が大声を上げる。
「何?」
私は窓外に目を凝らした。
「後ろです! 後ろから!」
ウォルフマン軍曹が叫んだので、私はとっさに艇を反転させ、接近する物体に正対させた。
「赤外線パターン照合・・・民間船です。航宙輸送公社の貨物船C型です。本国に向かっているんだ」
「オリーヌ! すぐに進路を変更するように伝えて! このままじゃ機雷原に突っ込んじゃう!」
「了解です。接近中の貨物船へ、こちらは特設敷設艦ソドン325号。直ちに進路を変更せよ! 繰り返す、直ちに進路を変更せよ!」
通信機に向かってオリーヌが必死に訴える。
お願い、間に合って・・・
「ミノフスキー粒子のせいで発見が遅れた。速度が速い。間に合えばいいが・・・」
「こちらも進路をずらします。破片爆雷の投射は中止。貨物船が通り過ぎるのを待つわ」
私はソドン325号を貨物船のコースからはずし、様子を見る。
『こちら貨物船C-28。どういうことですか? いったい何が?』
「機雷原に向かっています。いいから早く進路を変えて!!」
のんきに返信してきた貨物船に、オリーヌが思わず怒鳴りつける。
無理もない。
あと五秒もすれば回避不能になってしまうのだ。
とにかく早く進路を変更してもらわねば。
窓外に見える貨物船は、ようやく船体各所のバーニアノズルを点火する。
コンテナを大量に積み込んだ大きな船体が、ゆっくりとその進路を変え始める。
お願い・・・間に合って・・・
私は祈るような思いで貨物船の針路変更を見つめている。
手袋の中はもう汗でじっとり。
あの船には少なくとも十数人が乗り組み、満載された貨物は本国が待ち望んでいる大事な貨物なのだ。
機雷ごときで失うわけにはいかないのよ。
「貨物船、針路変更右三十度。どうやら回避間に合いますね」
ウォルフマン軍曹もホッとしたような表情を見せる。
私も大雑把な計算で貨物船が回避可能であることを確かめて、思わず表情を緩めるのだった。
いきなり窓外に光が走る。
貨物船の横腹から爆発が起きる。
「きゃあっ!」
「えっ? 何?」
オリーヌの悲鳴が上がり、私も思わず目を疑った。
光は続けざまに走り、そのたびごとに貨物船から炎が噴きあがる。
よたよたと回避行動を取っていた貨物船などひとたまりも無い。
「敵です! 畜生! 近くに潜んでいやがった!」
「対空警戒! サールトン曹長離れて! まとまっているとやられるわ! 敵は何なの?」
私はすぐに艇を起動させ、ランダム加速を開始する。
「ああ・・・貨物船が・・・」
オリーヌの悲しげな声とともに、ゆっくりと分解していく貨物船。
あれではもう助からない。
「作業用ポッドらしきもの二機。その背後にでかいのがいます!」
「でかいの?」
「おそらく母艦です。形状は連邦のコロンブス型に酷似」
私は手元のモニター画面に目を落とす。
そこには太陽光を受けてグレーに輝く大型船と、こちらに向かってきているであろう作業用ポッドが映し出されていた。
「連邦め・・・なんてものを」
私は思わず絶句する。
その作業用ポッドのてっぺんには、巨大な大砲が一門付いていたのだ。
一体何を考えているのか・・・
あんなものを作業用ポッドにつけたりしたら、まともな機動などできなくなるに違いない。
でも、貨物船を砲撃したのはこいつらに間違いない。
おとなしく機雷原に突っ込むことを期待していたのが、進路を変えそうになったので砲撃したということか・・・
許せない連中だわ。
「サールトン曹長! ザクマシンガンの準備は?」
『できてます。任せてください。あんなポッド一撃でひねり潰してやりますよ』
すでに戦闘態勢をとっているサールトン曹長の06Fマインレイヤー。
背中のバックパックのおかげで戦闘稼働時間は通常の06Fより短いものの、戦闘力そのものはそう変わるものではない。
「油断しないで。あんなものでも大砲の威力は大きいわ。当たったら命取りよ」
『わかってます。大丈夫ですって』
マインレイヤーが敵の作業用ポッドに向かっていく。
こちらも少しでも援護をするべく、私は艇の機関砲をそちらに向けた。
敵の作業用ポッドは砲身を振りたててマインレイヤーを迎え撃つ。
二対一ということで自分たちが有利と判断したのかもしれない。
でも、そんな作業用ポッドに大砲つけただけの代物でマインレイヤーに立ち向かう?
私は右舷機関砲の発射を命じた。
少しでも敵作業用ポッドの注意をそらし、マインレイヤーの援護をしてやるのだ。
ウォルフマン軍曹が機関砲を操作し、砲弾をばら撒いていく。
曳光弾が光の尾を引いて作業用ポッドに向かう。
もちろん直撃を期待したものではないが、当たってくれと念じてしまうのは仕方がない。
サールトン曹長のマインレイヤーもザクマシンガンを連射しながら突っ込んでいく。
あの作業用ポッドの大砲ならば、これだけの機動をしている物体には当たりづらいはず。
逆にザクマシンガンは接近したほうが命中させやすい。
案の定敵の作業用ポッドは慌てふためいて左右に散る。
連携も何もないあわてぶりだ。
二対一の数の優位よりも、機体性能が段違いだということに気が付いたのだろう。
今さら遅いけどね。
貨物船の仇は取らせてもらうわよ。
きらっと何かが光る。
敵の作業用ポッドがいたあたり。
一体何が?
私はハッとした。
罠だ。
あいつらは私たちと同じ機雷敷設屋だ。
ワイヤーの両端に機雷をつけた奴をマインレイヤーの進路上に置いておけば・・・
「サールトン曹長! 軌道を変えて!!」
私の声はほとんど悲鳴に近かった。
モビルスーツは運動性に優れた兵器だ。
その理由の一端はAMBACによる機体制御。
モビルスーツを人型たらしめている手足を使って姿勢制御を行なうのだ。
そのことが裏目に出た。
サールトン曹長の頭の中からは、所詮敵は作業用ポッドに大砲をつけただけという認識が抜けなかったのだろう。
怖いのは二機が連携して撃たれること。
だから私も機関砲でその連携を崩すべく射撃を命じたのだ。
サールトン曹長もそう思い、まずは二機をばらばらにするべくその中心に向かって突っ込んだ。
ところがそれは敵も予想していたことだった。
二機の作業用ポッドは慌てふためいたように見せかけ、左右に展開することでマインレイヤーを誘い込んだのだ。
マインレイヤーのとる手段としては、いったん二機が散開した中央部をすり抜けて、AMBACですばやく後ろを向き、逃げる二機のどちらかの背後から射撃をするというのが定石だろう。
その上で軌道変更してもう一機を屠ればいい。
このやり方で我が軍は今まで多数の連邦軍宇宙戦闘機を撃破してきたのだから。
今回もそうするのが当たり前だったのだ。
「いやぁっ!」
私の背後でオリーヌが悲鳴を上げる。
窓外で起こる爆発。
マインレイヤーが爆散したのだ。
「サールトン曹長・・・」
私は声を失った。
マインレイヤーは定石どおり敵作業用ポッド二機の間をすり抜けた。
そしてAMBACで姿勢制御するために手足を振る。
その位置にワイヤーが浮かべてあるとは気が付かなかったのだ。
いや、万一気が付いたとしても、すでに遅かったのだ。
ワイヤーを引っ掛けてしまえば、端に付けられた機雷が引き寄せられる。
軌道を変えようとしたところで絡み付いてくる。
そして機体にぶつかったところで爆発する。
AMBACはそれをほんの少しだけ早めたに過ぎないのだ。
ワイヤーの端に付けられた二個の機雷の爆発力に、マインレイヤーが耐えられるはずは無かった。
「コーゼル艇長、奴ら来ます」
私は一瞬呆けていたらしい。
ウォルフマン軍曹の声にハッとする。
窓外には勝ち誇ったような連邦の作業用ポッドがゆっくりと近づいてくるのが見える。
ブルーグレーの機体にガンメタルの大砲が輝いていた。
「こちらを無事に帰すつもりは無いってことね。当然でしょうけど」
「どうします? こちらには機関砲しか武装がありません」
もともとタグボートに毛が生えたような巡航艇。
武装などたかが知れている。
推進剤のおかげで最終速度(全ての推進剤の半分を延々と加速に使い、残り半分で減速して速度を0にする場合の瞬間最高速度のこと。数値上は光速を超えることもある)こそ速いものの、巡航加速は大きくない。
逃げ出しても敵の射程外に出るのは難しいだろう。
「それでもやるしかないわ」
私は操縦悍を握り締めた。
「艇長、連邦から通信です。“直ちに降伏せよ”」
オリーヌの沈んだ声が流れてくる。
降伏なんてできるものですか。
「オリーヌ、降伏は拒否するって言ってやんなさい!」
「えっ?」
オリーヌの驚いたであろう顔が目に浮かぶ。
たぶん返信するとは思ってなかったのだろう。
だが、すぐに彼女がコンソールを操作する音が聞こえてきた。
「ウォルフマン軍曹、破片爆雷用意」
「了解です。しかし破片爆雷じゃ・・・」
かわされるのは百も承知。
だが、少しでも隙ができれば儲けもの。
敵の冷静さを失わせてやる。
降伏勧告の拒否と同時に、破片爆雷を投下する。
機関砲も一連射して少しでも被害を与えるべく試みたが、やはり相手はかわしてきた。
だが、破片爆雷の爆散破片を食らえばただではすまないのはわかっている。
連邦の作業用ポッドはあわてて回避行動に移り、爆散球(爆発した破片が球状に広がる状態)から離れていった。
ブンという音を立てそうな勢いで、曳光弾が艇の脇をかすめていく。
こしゃくな小艇と思ったのだろう。
マインレイヤーを失った以上、降伏するのが当たり前だと思ったに違いない。
それが降伏を拒否したばかりか、逃げることなく向かってきたのだ。
叩き潰してやると意気込んでいるのだろう。
二機の作業用ポッドは、ばらばらの軌道を取りながらも、こちらにその大砲を撃ってきたのだ。
私はランダム加速で艇の動きを幻惑させる。
加速と減速を繰り返し、相手の照準を狂わせるのだ。
その上で相手を引き寄せるべく逃げ回る。
どうかうまくいって・・・
オリーヌもウォルフマン軍曹も無言でそれぞれの仕事に打ち込んでいる。
時折私の命で機関砲を撃ち、破片爆雷を投射する。
連邦の作業用ポッドは最初は遠くから、やがて当たらないことに業を煮やしたのか、追いすがってきて射撃してくるようになった。
おそらく弾数が少ないのだろう。
かといってこちらを逃がす気にもなれないから、接近して一撃でしとめようという腹なのだ。
推進剤の量は少なくても、機動性ならこちらより上と思っているのだろう。
機動性とは加速力ではない。
ようは何回姿勢制御できるかなのだ。
推進剤の量が多ければ多いほど、加減速に使える量も多くなる。
それだけランダム加速もできるのだ。
今頃はちょこまかと逃げ回るこの艇に、熱くなっているに違いない。
食いついてくる二機の作業用ポッド。
背後を取られるぎりぎりの瞬間に軌道を変えてやる。
それだけで射線をかわし、相手に射撃の機会を与えない。
でも、さすがに何分間もその状態を維持できるものじゃない。
相手も無駄な射撃をしてこなくなっている。
あと少し・・・
このまま食いついてきて・・・
じりじりとした時間。
相手も相当に焦れているはず。
おそらく次の一撃ははずさないと決めている。
ほんの一瞬のチャンスがあれば、指はトリガーを押してしまうはず。
私はそのことにかけていた。
一瞬私は艇をふらつかせる。
ランダム加速に酔ったふりをしたのだ。
これだけ加減速を繰り返せば酔いが来ても不思議じゃないし、事実オリーヌはさっきから吐き気をもよおしている。
私もかなりきつかったが、何とか気力で持ちこたえていたのだ。
おそらくこれで敵の作業用ポッドも気付いたはず。
こちらのランダム加速が鈍ると考えてくれれば・・・
私は誘いをかける。
大きく艇をふらつかせ、その後しばらくは直進する。
これで次には撃ってくる。
私はそのときを待っていた。
再度艇をふらつかせた私は、艇を直進軌道に載せる。
1・・・チャンスという判断。
2・・・照準セット。
3・・・トリガーボタンを押す。
いまだ!!
私は大きく艇を軌道からはずす。
曳光弾が二発、艇の背後から左脇をかすめるように飛んでいく。
やった!
私は思わず叫んでいた。
軌道が交差するすれすれで、私たちの艇は相手の船体をかすめていく。
ブルーグレーの船体が大きく窓外に広がり、そして急速に脇に遠ざかる。
おそらく奴らに回避の余地はない。
今頃はきっと・・・
二発の砲弾は、艇をかすめて飛び去った。
そしてその行き先には、コロンブス型の補給艦があったのだ。
おそらく機雷敷設艦に改造され、武装作業用ポッド二機を搭載していた母艦だろう。
私は最後の瞬間に相手の射線がそいつと重なるようにしてやったのだ。
二発の砲弾がコロンブス型に突き刺さる。
そして、ぎりぎりで回避した私たちの艇とは違い、二機の作業用ポッドは回避する暇はなかった。
彼らに残された道は激突しかなかったのだ。
背後で爆発するコロンブス型と二機の作業用ポッド。
内蔵していた機雷が連鎖爆発しているのだろう。
いくつもの爆発が起き、周囲に破片を振りまいていく。
あれでは誰も助からない。
貨物船乗員に対する、せめてもの慰めになるだろうか・・・
******
数時間後、私たちは掃海艦と合流し、機雷の除去を行なった。
連邦の機雷敷設艦と二機の武装作業用ポッド、どうやら“ボール”という名前らしいものを撃破したことは、本部に報告されるらしい。
私はともかく、ウォルフマン軍曹とオリーヌには昇進という話ぐらい出てほしいものだわ・・・
私は・・・そうね・・・少し休暇が欲しいかな・・・
そんなことを考えながら、掃海艦に曳航される艇の中で、私は少し眠りに付くのだった。
- 2008/12/31(水) 19:32:52|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4
どうもローネフェルトの話が終了してから、ガンダムものがなくなってしまってちょっと寂しい思いをしております。
そこでまた気楽に書けて気分転換に最適なガンダムものをひとつ書こうかなと思っているのですが・・・
(10月以降のSS減少はガンダム終了が大きいですね)
そこで皆さんにアンケートなんです。
ガンダムものを書くとしたら、どんな話がいいですか?
1、新主人公(連邦側)による一年戦争。
2、新主人公(ジオン側)による一年戦争。
3、旧主人公(ローネフェルト)による後日談→デラーズ戦までの0081ごろ
4、その他(Zなど)
5、やめて欲しい(新作を書く前にやることがあるだろう)
と、いうことで、ご意見ございましたらお寄せ下さいませ。
勝手なお願いですが、よろしくお願いいたします。m(__)m
WEB拍手の下にアンケートフォーム作りましたので、投票していただけると嬉しいです。
- 2006/12/29(金) 21:12:31|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
ローネフェルトとともに歩んできたガンダムSSですが、一応これにて最終回です。
これまで応援していただき、本当にありがとうございました。
周囲ではすでに星々の光がきらめきを取り戻しつつあった。
それはとりもなおさず、戦闘が終息に向かっていることの証。
星々を隠していた爆発の光が無くなってきたということ。
でも、まだ戦いは終わってはいない。
目の前の黄色いジム。
ビームサーベルの赤い輝きがまぶしい。
妙な感じね。
まるで一騎打ち。
もうそんな必要はどこにも無いのでしょうけど。
『お姉さま、下がってください! こいつは私が!』
アヤメの声がヘッドフォンに入ってくる。
『お姉さま、ブリュメルが待っています。ここは私たちに任せてください!』
パットの声も入ってくる。
何を言っているの!
あなたたちこそ速くここから離脱しなさい。
「ミナヅキ少尉。ノイマン准尉を連れてここから離脱し、ブリュメルに帰投しなさい! これは命令です!」
『お、お姉さま・・・』
『い、いやです。お姉さま』
「命令だといったでしょ! 下がりなさい!」
まったく・・・この娘たちは。
私は思わず苦笑する。
戦いはこの一戦で終わりではないのよ。
ここで死んだら、誰がジオン本国を守るの?
「これは命令よ! 従いなさい!」
私は再度怒鳴りつけ、15の体勢を整える。
先ほどから敵もこちらの様子を窺っているようだ。
面白いものね。
力が伯仲するというのはこういうことなのかしら。
動いたほうが負ける・・・
そんな感じがして、うかつに飛び込めないのだ。
ヘルメットの中を汗が伝う。
手袋の中も汗が滲む。
私は一気に勝負をかけるべく飛び出した。
来たっ!
俺はとっさに引き金を引いてしまう。
戦場での無意識の反応だ。
さっきは射撃させなかったのに・・・
おとなしく降伏してくれればよかったんだが・・・
俺の射撃と同時にアナスタシアとミスティも射撃を開始する。
まるでスタートの号砲でもあったかのように全てが動き始めた。
「ちきしょう! まだやる気なのかよ!」
俺は怒鳴りつけていた。
ボールの射撃は正確すぎた。
砲身がピッタリこちらを向いていたのだ。
動き出せば当たるはずが無い。
私が飛び出すと同時にアヤメとパットも飛び出て行く。
まったく・・・
後退しなさいって言ったのに・・・
黄色のジムは一瞬躊躇したよう。
これなら!
私はビームサーベルをフェンシングのように突き出した。
「クッ」
これでも胴を貫けないのか?
私のビームサーベルはぐんと沈み込む黄色いジムの頭部を貫く。
それと同時に黄色いジムのサーベルは私の15の右足を刎ね飛ばしていた。
「ちきしょう! この期におよんで!」
俺は向かってくる二機のリックドム目掛けて砲撃を行なう。
『やだー』
ミスティのボールが狙われている。
「ミスティ、下がれ!」
ちくしょう・・・
なぜあの時俺は撃たせなかった!
ちくしょう!
俺は必死になってトリガーを引く。
『いやー!』
「ミスティ!」
俺はただ叫ぶだけだった。
「右足が・・・」
バランスが崩れたたらを踏むようにつんのめる。
すれ違いざまの一撃はお互いにダメージを与えたが、双方ともまだ戦闘は可能。
私はすぐさま振り返って、次の攻撃に備える。
『キャー!』
えっ?
パットの声?
「パット!」
私はモノアイを操作する。
「あれは・・・」
見るとパットの09Rがボールの一機と接触したような感じだった。
よかった・・・
あれなら・・・
「パット! 姿勢を直して軌道を変えなさい!」
私は叫んだ。
あのまま漂流しては軌道予測が容易になる。
それは死を意味するのだ。
「パット、早く!」
パットの09Rにアヤメが向かう。
アヤメ、お願い。
パットを助けて・・・
「一体何が?」
俺は一瞬何が起こったのかわからなかった。
ミスティの放った最後の一弾が、リックドムのヒートサーベルを弾き飛ばしたのだ。
そのためバランスを崩したリックドムの腕がミスティのボールの主砲に激突。
ミスティのボールは主砲を折り取られ、リックドムは妙なロールをしながら流れていったのだ。
「よかった・・・助かった・・・」
俺は安堵した。
『・・・全・・・告ぐ・・・』
聞き取りづらい通信が何か喚いている。
『・・・全軍の・・・兵・・・停止・・・・・・』
全周波通信だと?
その時、緑色の発光信号が戦場上空に打ち上げられた。
その時私の注意はパットに向けられていた。
パットの援護にアヤメが入ってくれた時、私はあらためて敵に向いた。
だが、それはすでに遅かった。
私の15はいきなりビームサーベルごと右腕を切り落とされたのだ。
「しまった~!」
私は急速に機体を後退させ、黄色いジムと距離をとる。
だが、敵はまっすぐにこちらへ来る。
だめだ・・・
逃げられない・・・
右腕右足を失ったのがバランスの悪さをもたらしている。
脚部バーニアが意味を成していないのだ。
やられる・・・
私はジムのビームサーベルが貫いてくるのを覚悟した。
「戦闘停止? どういうことだ?」
俺は母艦であるモンテビデオに確認を入れる。
『ア・バオア・クーより降伏の信号が入りました。さらにジオン国内で政変があったようです』
「ア・バオア・クーが降伏?」
そうか・・・
終わったのか・・・
よかった・・・
『はい。すでに一部の艦艇は陸戦隊とともにア・バオア・クーに入港中。両軍に即時戦闘停止命令が下りました。以後、自衛戦闘のみが許されます』
モンテビデオの可愛い女性通信士が状況を説明してくれる。
周囲の戦闘は急速に終結しつつあるようだった。
「了解した。わが小隊は一機が大破。収容を急ぎたい」
『了解です。すぐに艦長にお伝えいたします』
「頼む」
俺は通信を小隊内に切り替える。
「ミスティ、アナスタシア、戦闘は終了だ。自衛戦闘以外はするな。それにミスティ」
『はい』
「モンテビデオが来てくれる。後退しろ」
『了解。後退します』
青い顔をしたミスティがモニターの中で震えていた。
急速に遠ざかる黄色のジム。
どういうこと?
『マリー、マリー、生きていたら返事をして!』
ブリュメルが呼んでいる。
「こちらローネフェルト。何が起こったの?」
私は回路をつないで通信を確保する。
『マリー、よかった。大変なことが起こったわ。戦争終結よ』
戦争終結?
戦闘終結ではなく?
『ギレン総帥もキシリア閣下も戦死なさったわ。ザビ家は失脚してダルシア首相が連邦と和平を結んだのよ』
連邦と和平?
ダルシア首相って・・・あの傀儡首相が?
戦争終結?
敵の謀略じゃないの?
「リーザ・・・それって本当なの?」
『秘匿回線で回ってきた情報よ。間違いないわ。ア・バオア・クーは降伏。グラナダでは和平条約が調印されたそうよ』
本当なんだ・・・
本当に戦争が終わったんだ・・・
「ふふ・・・あは・・・あははははは」
私は笑い出してしまった。
*******
やれやれ・・・
俺はタバコを取り出して火をつける。
よく生き残ったものだよ。
俺は苦笑する。
ボール隊の帰還率は50%を割っている。
そんな中で良くも・・・
煙を吐き出した俺の横顔をソフィアの青い目が眺めていた。
「何を考えていたの?」
「ん? よく生き残ったなってさ」
「あ、それは私もそう思うわ。よくも生き残ったものよね」
毛布の下の裸のソフィアがにこっと微笑む。
この顔を見られただけでも生き残った甲斐があるというものだ。
「あの時グレートデギンが投降してきたというんで、私たちは周辺の警戒に出撃したの。私は艦隊の外縁の警備だったわ」
ソフィアの手が俺の胸を撫でる。
俺は右手をソフィアの下にまわして、そっと抱き寄せた。
「そうだったのか・・・それで助かったのか・・・」
「ええ、そう」
俺の胸に顔をうずめてくるソフィア。
俺は苦笑する。
どうやらこいつとはもう離れられそうに無いな・・・
サイド3。
16バンチコロニー。
私は帰ってきた。
私は思い切り故郷の空気を胸に吸い込む。
この香り。
調節された空気だけど、やはり懐かしいことこの上ない。
軍艦ではなく、民間船を乗り継いでグラナダからここまで来たのだ。
ブリュメル以下各艦艇とモビルスーツは、ダルシア首相の下ジオン共和国軍としての保持を認められた分以外は連邦に引き渡される。
私はグラナダでブリュメルを降り、早々に除隊の手続きをとっていた。
もう戦争がなくなったのなら軍にいる理由も無い。
リーザは私に思い直して欲しかったようだけど、私は首を振った。
遅くなったけど、これからは操縦桿じゃなくパン生地を手にしようと思う。
父と母は元気だろうか。
私はレンタカーを借りて、ベイから市街へ向かっていった。
計画されて区画ごとにきちんと建物が並んでいるジオンの都市。
地球上の都市のように無様な姿を晒してはいない。
その街角の一角にそのお店があった。
小さな小さなパン屋さん。
以前はこんなお店でパン屋として過ごすなんて気が滅入ると思っていた。
でも、今は違う。
こんな小さなお店だけど、美味しいパンを作って行きたい。
もう遅いかもしれないけど、父と母にしごいてもらってパン職人になりたい。
私は店の脇にレンタカーを止めると、トランクからバッグを取り出して肩に担ぐ。
カラフルな看板が彩っている店の入り口を入る。
「いらっしゃいませ!」
店の奥からエプロン姿の母が出てくる。
「えっ?」
「ただいま、お母さん」
私はそういった。
「お帰り、マリー・・・」
そう言って母の言葉が詰まる。
ただ、黙って私のところに来て抱きしめてくれた。
「マリー、マリーなのか?」
奥から父も現れる。
二人とも年をとったような感じだわ。
一年ちょっとしか離れていないのにね・・・
「ただいま、お父さん」
「マリー・・・」
父は母ごと私を抱きしめる。
苦しい・・・
「よかった・・・何にしてもよかった。さあ、入りなさい」
父が放してくれる。
「あ、その前にお父さんとお母さんにお願いがあるんだけど・・・」
私はそう切り出す。
「ん? なんだい?」
私を放してくれた両親を前にして、私は店の入り口を振り返る。
「お入りなさい、アヤメ」
私はおずおずと入ってきたアヤメを両親に紹介し、お店の手伝いをしてもらうつもりであることを告げた。
- 2006/09/26(火) 22:50:55|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:5
今日はローネフェルトの話をお届けします。
ちょっとずつしか書けていないのが情けないですねー。
困ったものです。
「クッ」
私は思わず口にする。
黄色のジムはやはり通常では考えられない運動性を発揮して、私のビームサーベルをかわしたのだ。
「速い!」
私は15をぐんと沈み込ませて黄色のジムのビームサーベルをかわして行く。
狙いすませたようなビームサーベルの一撃が私の頭上を通り過ぎる。
やはり手強い。
そのままの位置にいたら片腕ぐらいは持って行かれたかもしれない。
だけど・・・
「冗談じゃない!」
やられてたまるか!
死んでたまるか!
私は死んでたまるものか!
私は一気にバーニアノズルを噴かして体当たりに近い状態に持って行く。
そしてそのままビームサーベルを繰り出すのだ。
相手が息を飲むのがわかる。
「イッケェー!」
私の掛け声とともにビームサーベルが繰り出され、黄色のジムの胴を貫く。
はずだった・・・
「ソフィア!」
思わず俺は叫んでしまう。
目の前で繰り広げられるモビルスーツ戦。
それはまるで剣の舞いを見ているかのようだ。
だが、その舞いは一つ間違えば命が無い。
今もソフィアのライトアーマーは一瞬の差で胴体を貫かれることを避けていた。
その差はわずかにコンマ何秒かといったところだろう。
俺も部下たちも、それにどうやらあの鎧型モビルスーツの部下たちと思われるリックドムも、思わず見入ってしまうような剣の舞い。
それはこの激戦の中に生まれた一瞬の空白。
「ミスティ、アナスタシア、油断するな!」
『はい!』
『了解です』
俺たちはいつでも撃てるようにリックドムに砲門を向けている。
向こうは幸いなことにバズーカは無い。
だが、いつでもヒートサーベルで切り込める位置を保っている。
それでもやはりあの鎧型モビルスーツが気になるのか、モノアイは左右を行き来して落ち着かない。
撃つべきなのか?
常識的に考えれば撃つべきだ・・・
だが、相手だってそうやすやすとは撃たしてくれない。
軌道だって常に微妙に変化させている。
こちらに向かうことも、あの鎧型を援護に行くこともできる位置だ。
慕われているな・・・
隊長としては望みえる最高のものかもしれない。
『中尉殿、撃たないんですか?』
かすれるような声でミスティが訊いてくる。
「まだ撃つな!」
なぜだろう・・・
俺は撃たせなかった。
周囲では激戦が続いている。
だけど・・・
ほぼ大勢は決まった。
ジオンはこのア・バオア・クーでも負けたのだ。
『マリー、マリー! 聞こえる? 聞こえたら返事をして!』
この忙しい時に・・・
私は入ってくる通信を無視し、目の前の敵に集中する。
この敵を倒さねば・・・
『グワデンが撤収するわ。デラーズ大佐が戦場を離脱するのよ! あなたはどうするの?』
どうするって言われても・・・
モニターの片隅で一団の艦船が深宇宙へ向かい離脱するのが見える。
モビルスーツも続々と向かっているようだ。
「あれは・・・」
私は思わず笑みを浮かべた。
片腕の14がグワデンへ向かっている。
どうやら生き残っているようね・・・
私は牽制でビームサーベルを振り回し、いったん距離をとる。
「撤退命令は出ているの?」
『でていないわ。というより大混乱中よ。司令部はヒステリーだし、シャア大佐は落とされるし・・・』
あのシャア大佐も落とされたのか・・・
『もうお終いよ。部隊はてんでに逃走中。デラーズ大佐の部隊を含めれば三割が戦場を離脱中よ』
もうお終いか・・・
その通りだわね。
でも、撤退命令の無いうちに戦場を離脱するのは・・・
それに・・・
あのジムが逃がしてくれるかな・・・
私はモニターに映る黄色いジムを見つめる。
どんな男が乗っているのかしらね・・・
私はゆっくりとビームサーベルを構え直した。
「ガンダムが沈んだ?」
俺は耳を疑った。
アムロ・レイがやられたのか?
『識別信号の反応が無くなったとのことです』
アナスタシアの冷静な声が現実であることをうかがわせた。
『中尉殿、あれを!』
なんだ?
出港する軍艦?
こんな混戦状態で発進してくるというのか?
『ザンジバル級です!』
「わかってる。だけど、いまさらどうするつもりだ?」
『ああっ』
「なにっ!」
俺は驚いた。
発進してきたザンジバル級は、発進直後にブリッジを直撃されたのだ。
あれではブリッジの要員は助かるまい。
次々と砲撃がザンジバルに集中する。
すでにア・バオア・クーの周辺には敵艦艇はほとんどいない。
モビルスーツの脅威も去りつつある今、艦艇の主砲は獲物を探してうずうずしていたのだ。
そこへ飛び出すなど自殺行為もいいところだ。
俺は炎上するザンジバルを黙って見ているだけだった。
- 2006/09/23(土) 22:39:01|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4
ローネフェルトの続きですー。
ドゾー
「ギレン総帥が戦死?」
私は耳を疑った。
それじゃ戦いは終わりなの?
しかし、私の周囲では変わらない殺戮が繰り広げられている。
見たことの無い角ばったスタイルで動力パイプがむき出しになった09Rがヒートサーベルを振るっている。
どうやら改良型のリックドムみたいだ。
『詳しいことはわからないわ。ただ、艦隊司令部はキシリア閣下の指揮下に入ったわ。ただ困ったことが・・・』
この乱戦の中でしっかりとレーザー通信を確保してくれている。
いまさらながらブリュメルの要員の腕の良さを思わせるわね。
「困ったこと?」
『ええ・・・グワデン座乗のデラーズ大佐が艦隊の再編成を行っているわ。ブリュメルも麾下に入るように呼びかけてきているの』
こんな時点で再編成?
混乱に拍車をかけるだけではないの?
「どういうこと?」
『わからないわ。ギレン総帥の志を継ぐものは参集せよって言ってるわ』
リーザが肩をすくめている。
『お姉様、来ます!』
パットが私の肩を掴んでくる。
見ると部隊を集結させた小規模な連邦の戦隊が向かってくるところだ。
『こちらも支援に徹するけど、そちらも頑張って。何かあったらまた連絡するわ』
「了解」
私は画面の向こうのリーザにうなずいた。
背後の要塞はすでに各所で陸戦が始まっている。
表面からはあちこちで火を噴いているのだ。
私は集めたモビルスーツを臨時に指揮を取る。
最後の一暴れ・・・ね。
ビームサーベルが巡洋艦の横腹を切り裂いていく。
ノーマルスーツを着た乗組員たちが空間に吸い出されていく。
私はそのままエンジン部にサーベルを突き立てた。
爆発が広がって行く。
私はその船体を蹴って離れ、爆発を避けて行く。
『大尉!』
『うおっ!』
私は一瞬自分が呼ばれたのかと振り返る。
一機の14が右腕を吹き飛ばされる。
青と緑のゲルググか・・・
どうも14に乗るパイロットは腕を吹き飛ばされるのかしらね。
私は苦笑した。
『大丈夫ですか? 大尉!』
『む、不覚。流れ弾を食らうとは・・・カリウス、私はいったんドロワに戻る』
『ドロワは応答しません。この位置ではグワデンの方がよろしいかと』
『わかった。グワデンに後退する。連邦の雑魚どもめ、待っているがいい!』
後退して行く青と緑の14を私は何となく見送った。
!
とっさにレバーを引き私は15の位置を変える。
砲弾が集中して脇をかすめて行く。
「どこから?」
私は周囲を操作する。
あれか。
ボールの集中射。
私は一団となって撃ってくるボールの編隊を見つけていた。
「はずしたか。ミスティ、アナスタシア、来るぞ!」
俺は二人の部下に注意を促す。
ジムに気を取られている敵モビルスーツを、遠くから集中射で撃ち落すという戦法はなかなか効果を上げていたが、こちらに気が付かれては難しくなる。
混戦となってしまった今ではジムも分散してしまっていて、このあたりに駆けつけてくれそうな機体は無い。
『中尉殿・・・ホワイトベースが・・・』
ミスティの泣きそうな声が入る。
「ミスティ、余計なことに気を取られるな!」
俺はそう言いつつも画面の一部を切り替える。
あれは・・・
ホワイトベースが・・・強行上陸?
画面に映るア・バオア・クーにのし上げるホワイトベース。
なんてこったい・・・
『中尉殿!』
アナスタシアの声にわれに帰る。
紫の鎧騎士・・・
いつか出会った奴か?
手強いぞ、これは・・・
私の周囲に二機の09Rが寄ってくる。
すでに二人ともヒートサーベルを構え、バズーカは手放している。
おそらくは数機を屠ってきたことだろう。
心強い二人をバックに私はボールに突っ込んで行く。
直撃さえしなければボールなどは・・・
砲弾がすり抜けて行く。
軌道を読まれさえしなければこっちの・・・
私はとっさにシールドを構えた。
マシンガンの弾がシールドで炸裂する。
コクピットに衝撃が走る。
正確な射撃だわ。
シールドで受けてよかった。
私は機体をひねって軌道をずらす。
あれか・・・
黄色いジム?
いつぞやの?
「アヤメ、パット、ボールは任せるわ」
私は現れた強敵目掛けて15を駆った。
「嘘だろ・・・」
俺は目にしたものが信じられなかった。
黄色いジム・ライトアーマー。
肩口に付けられた機体番号12は間違いなく彼女のものだ・・・
ソフィア・・・なのか?
『お待たせ』
スピーカーから声が入る。
畜生・・・
生きていたのかよ・・・
接近する黄色のジム。
運動性は通常のジムとは違う。
これはただの敵ではない。
強敵だ。
私は懐に潜るべく15を接近させる。
マシンガンを構える黄色のジム。
私はシールドを構えて突入した。
マシンガンの弾ごときではこのシールドは破壊できない。
無論、ロケット弾が入っていればただではすまないんだけどね。
私はそのままビームサーベルを突き出した。
- 2006/09/11(月) 20:43:16|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:3
ローネフェルトの続きですー。
ちょっとだけですけど、お楽しみいただければ幸いです。
前方で輝くいくつもの爆発光。
モビルスーツも艦船もそれぞれ人が乗っている。
あの光は死の光。
敵も味方も次々と死んでいっているということだ・・・
『お姉様ぁ、来ますわぁ』
その口調にホッとしている私がいる。
いつものアヤメだ。
この激戦の中でも自分を見失ってはいない。
少しは成長したのだろうか・・・
私は少し微笑んだ。
「アヤメ、パット、行くわよ!」
『『了解!』』
私は15を獲物に向けた。
黄色いビームの刃が装甲板を切り裂いていく。
06のヒートホークですら切り裂ける装甲だ。
15のビームサーベルに貫かれればひとたまりも無い。
ボールのパイロットは痛みを感じる暇もなく蒸発したに違いない。
すり抜けた私の背後で爆発するボール。
私は油断なく周囲の敵に切り込んで行く。
ロケット弾を装備したシールドはとっくに弾を失っている。
私の持っている飛び道具はあと一本のシュツルムファウストのみ。
戻ったらマシンガンを装備しなければ。
『うわー!』
『おかあさーん!』
通信機からは相変わらず叫び声が飛び込んでくる。
でも切るわけには行かない。
命令も同じ周波数で入ってくるのだ。
『くそったれー!』
「!」
聞き覚えのある声?
私はモノアイに周囲を走査させる。
ミノフスキー粒子下で通信が明瞭に聞こえる範囲は広くない。
遠くないところにいるはず・・・
私は苦笑した。
こんなときだというのに・・・
声しか知らない一人の男を捜しているなんてね。
ビームの直撃を受けて爆発する連邦のジム。
居た。
何となく温かいものを感じる。
絶対零度の冷酷な戦場で戦友の存在はなんと温かく感じるものか・・・
「うふふ・・・まだ片手なのね」
私の目の前に映し出されているのはMS-14ゲルググ。
しかも見慣れた片手の無い奴だ。
ヒル・ウエストエイト中尉。
生きていたんだわ。
『へへへっ、ここが見せ場だって言うのに見せる彼女がそばに居ないってか・・・』
相変わらずの軽口。
彼特有のリズムなのだろう。
パイロットにはいろいろなへんな癖を持つ者が結構多い。
中には戦闘の間中般若心経を唱えるものもいるというわ。
要は戦闘の最中に自己を律する手段の一つなのだ。
彼の場合はある意味それが独り言になっているのでしょう。
「ここに居るわよ、ウエストエイト中尉」
私は苦笑しながら声をかける。
『え? 今なんと?』
14のモノアイがこちらを認める。
『パープルのモビルスーツ・・・は、ははは・・・』
「久し振りね、中尉」
だが、突然14はビームライフルをこちらに向けた。
「えっ?」
14の指が動き引き金が引かれる。
オレンジ色のビームが一瞬にして私の15の脇を通り、私の背後に迫っていたジムを吹き飛ばす。
ウエストエイト中尉を認めて一瞬直進してしまった私を狙ってきたのだろう。
『ふふふ・・・油断ですよ。大尉殿』
「ダンケ。中尉」
私は右手の親指を上げる。
『よっしゃー! これで死ねなくなったぞー! 見てろ連邦めー!』
ウエストエイト中尉の14が右手をたかだかと上げた。
『何言ってるんですか~!』
パットの声が割り込んでくる。
『ええ?』
『お姉さまは男には渡さないわ!』
アヤメも怒鳴り込んでくる。
『えええ?』
困惑するウエストエイト中尉。
私は笑ってしまった。
これでは私にはボーイフレンドは作れそうに無いわね。
私は接近してきたMP-02Aのそばに行くと、こちらへ呼び寄せた。
少しでも戦力を集中し、局所的優勢を作り出すしかない。
一体連邦にはどれだけの戦力があるのか・・・
あの光は何かを変えることができたのか?
『こちらローエングリン! 船体破損がひどく戦闘続行不能! 戦場を離脱する』
『司令部! 司令部応答を! 司令部聞こえますか?』
『なんだ? 何でキシリア閣下が指揮を取られているんだ?』
『おい! 誰でもいいから指揮を取ってくれ!』
なんだ?
何かあったのかしら?
私は思わず要塞を振り返った。
- 2006/09/04(月) 21:13:57|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:3
お久し振りのローネフェルトです。
モビルスーツ戦が始まりました。
あっという間に戦場は混乱と錯誤が支配する空間に陥って行く。
私の周囲にはすでに敵の大編隊が飛び交っているのだ。
「パット、アヤメ、私から離れないで」
『了解』
『大丈夫です、お姉さま』
二人の09Rはしっかりと付いてきている。
この分なら問題は無い。
私はシールドの裏からビームサーベルを取り出すと、不用意に接近してきたジム目掛けて突き出した。
「邪魔だぁ!」
ビームサーベルの一撃はジムの脇腹を切り裂いていく。
私の15がその場を離れた時にはジムは火球となって爆散した。
『うわあっ!』
『助けてぇ!』
レシーバーに飛び込んでくる絶叫の群れ。
あちこちでモビルスーツが火球になっていく。
09Rの蹴りを受けてひしゃげ散るボール。
サラミス級の主砲の直撃を受けて爆散する06F2。
MP-02Aの銃撃で炸裂して行く連邦の突撃艇。
どこから弾が来るのかわからない。
まったく速度の落ちない宇宙空間では、時限炸裂式の弾でなければ、敵も味方もどこで味方を撃ち落しているか知れたものでは無い。
『キャァー!』
「!」
レシーバーに入ってきた悲鳴に反射的に息を飲む。
「パット!」
私はパットの09Rを目で探す。
「パット!」
『大丈夫。大丈夫です、大尉殿』
パットの09Rが15の脇に滑り込んでくる。
右肩の装甲に傷が付き、塗装がはがれてさび止めの赤がむき出しになっている。
『直撃を受けちゃいました。でも、大丈夫です』
「気をつけなさい! 死んじゃだめよ」
私は思わず怒鳴りつける。
死んで欲しくない。
もう誰も死んで欲しくない。
「連邦め! いい加減にしなさいよ!」
私はビームサーベルを敵巡洋艦の横腹に突き刺した。
『あああ・・・お母さーん・・・』
火だるまになりながら飛び続けているガトル戦闘爆撃機。
それは私の目の前で四散する。
『いやぁー』
ビームサーベルに真っ二つにされるMP-02A。
数の差がじわりと響いてきている。
それもこんなに早く。
まだ戦闘が始まって一時間ほどしか経っていない。
数だけじゃないわ・・・
技量の差。
連邦のジムは恐るべきモビルスーツなのだ。
それは乗った私がよく知っている。
この戦争の中盤、連邦軍には各地で手に入れた06で編成された部隊があったという。
でも、それは奴らが言うほど活躍しては居ない。
06は一朝一夕に動かせる代物ではないからだ。
私も他のパイロットも数ヶ月におよぶ訓練を施して、やっと06を自在に動かせるようになったのだ。
捕獲した06に一週間やそこらで訓練したからと言って乗りこなせるはずが無い。
けど・・・
ジムは違う。
ジムはその運動のほとんどを搭載コンピュータが行なってくれるのだ。
だからパイロットのやることはジムを動かすことではなく、ジムを戦わせることなのだ。
だからこそ私でもジムを動かすことができた。
ジムを戦力として戦わせることができたのだ。
『ママー!』
私の目の前で最新鋭のMS-14が爆散する。
動かすことさえできていない機体は最新鋭だろうと敵の的にしかならない。
技量不足のパイロットでは使いこなせない。
「やめてよ・・・」
私はラッチからシュツルムファウストを取り出して構える。
「お願いだから・・・」
先端を接近してくるマゼラン級戦艦に向ける。
「もうやめようよ!」
私はトリガーを引いた。
いきなり側面から黄色いビームが突き刺さる。
一瞬の静寂のあと、船体が膨らんで爆散する。
『上角二度! 退避だ!』
ホワイトベースの反応は早い。
戦艦リバダビアの爆発による破片を被らないようにすぐに軌道を変えて行く。
がんがんと俺のボールにも破片が当たって不気味な音を立てて行く。
『『キャー!』』
アナスタシアとミスティが悲鳴を上げている。
そりゃそうだろう。
俺だって不気味この上ない。
破片だって下手したらボールぐらいはあっという間に破壊して行くのだからな。
「大丈夫だ! 心配するな!」
半ば自分に言い聞かせるように俺はそう言ってやる。
接近してくる敵モビルスーツ隊。
その中心には一瞬にして戦艦を沈めた見たこと無い機体がある。
「足が無い?」
俺はその特異なフォルムに目を引かれた。
大型のモビルアーマーと思われるが、宇宙空間では不要な足をはずしているということもありうる。
俺はその発する圧倒的な威圧感をひしひしと感じていた。
あいつにはベテラン、それも只者では無い奴が乗っている。
「二人とも離れるな! 来るぞ!」
俺はゴクリと唾を飲む。
味方モビルスーツ隊はここには居ない。
艦隊に付いているのは俺たちをはじめとした護衛のボール隊だけ。
ザクやドムならともかく、あの新型を止めるのは・・・
「来たっ」
ロケット弾が足の無い新型に向かって行く。
足無しのモノアイがぎょろりと上を向き、そこに居るものを認めたようだ。
「ようし。行っちまえ」
悔しいが俺には相手できない。
足無しの相手はお任せするよ、アムロ少尉。
足無しはまるで獲物を見つけたかのようにスラスターを吹かして上昇して行く。
ガンダム。
後は頼んだ。
俺は艦隊の護衛に専念する。
『どういうこと? 半数をNフィールドにって言う命令だったでしょ? 司令部は何を考えて・・・わかったわ! マリー、聞いての通りよ。すぐにSフィールドに向かってちょうだい』
リーザの苦悩の表情が映し出されている。
艦艇もモビルスーツも敵に翻弄されている。
Nフィールドの敵とSフィールドの敵のどちらに対応するかに混乱があるのだ。
先ほどはNフィールド、今はSフィールドを重点と見ているのだろう。
どうしようもないわ・・・
数も技量も全てが足りないのよ・・・
でも・・・
ここを落とさせるわけには行かない・・・
「わかったわ。パット、アヤメ、Sフィールドに向かうわよ」
私は15をSフィールドに向ける。
『気を付けて。Sフィールドにはあの白い悪魔が居るわ。シャア大佐と交戦中よ』
「了解よ。大佐に期待するわ」
私はリーザに手を振った。
- 2006/08/18(金) 21:50:45|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
はあ・・・
書けないなぁ・・・
スランプかなぁ・・・
ここのところSS書く気力が出てきません。
夏バテ?
はあ・・・
ということで、言い訳がましく少ししか書いていないことを正当化?
ほんのちょっとですが、どうぞー。
「動いた!」
栗色の髪のパーシス少尉が叫ぶ。
「全艦戦闘配備!」
「要塞からも通信です。各艦戦闘配置に着けとのことです」
「了解したと伝えろ」
リーザがすぐさま指示を下す。
「連邦軍はNフィールドより攻撃を開始するようです。空母ドロスを中心としてこれを迎撃せよとのことです」
「うむ、モビルスーツ隊を発進させる。補給作業は終わったのか?」
「補給作業、終了しました。ローネフェルト大尉に来て欲しいとのことです」
「了解した。今行く」
私はノーマルスーツのバイザーを閉める。
『マリー』
?
艦橋を出て行こうとした私は振り返った。
『死んじゃだめよ』
振り返りもせずにただ片手を上げて送ってくれるリーザ。
「了解」
私は大きくうなずいた。
「二人とも準備はいい?」
『準備完了しています』
『いつでもいいですぅ』
二人の元気な声が流れてくる。
私は各部のチェックを済ませた後、YMS-15を発進口に向けた。
「YMS-15ギャン、アマリア・ローネフェルト発進する」
『大尉殿、発進どうぞ。ご武運を』
「ええ、あなたもね」
ブリュメルの通信担当士官はウルリカ・レーンクビスト少尉。
学校を出てすぐにこのブリュメルに配備された新米少尉だが、今はもう充分に中堅士官としての実力を備えていると言っていい。
宇宙に出て一ヶ月あまり。
私にとってはこのブリュメルは我が家のようなものだ。
失いたくは無い。
発進口にグリーンのランプが灯る。
私はスロットルレバーを倒し、15を虚空に飛び出させた。
「編隊を組んで。われわれは空母ドロスの隊と合流し、Nフィールドの敵を迎撃するわ」
『『了解!』』
私の背後にピッタリと付く二人の09R。
私たちの周囲にはこれまで見たこと無いほどのモビルスーツがひしめいてきている。
『すごい・・・』
パットのつぶやきが聞こえる。
この数に圧倒されたのだろう。
確かにこの数はルウムを思い出させるものがあるわね。
あの時は私もまだ06Cに乗っていたもの・・・
まだ一年しか経っていないのに、もう十年前のような気がするわ。
『モビルスーツ隊は第二ラインまで進出。侵攻して来る敵を攻撃せよ』
ドロスからの命令が各モビルスーツに伝えられる。
「聞こえたわね? 第二ラインまで出るわよ」
『了解です』
『了解ですぅ』
二人の返事を聞きながら、私は周囲を確認する。
ブリュメルを含めた艦艇は、要塞砲とともに支援砲撃に徹するため後方待機。
その中心には巨大で何段もの発進口を備えた空母ドロスが鎮座していた。
周囲には各戦線からかき集められたモビルスーツの群れ。
驚いたことにMP-02Aのようなモビルポッドのほか胴体左右にロケット弾を装備したガトルタイプの戦闘爆撃機も多く飛んでいる。
持てる全てがここに集められたと言っていいのかもしれないわね。
『来ますよぉ』
アヤメが相変わらずの優しい声でさりげなく警告する。
正面には連邦軍の大艦隊がこちらに向かってくるのが映し出された。
私は思わず苦笑する。
これでカスしか残っていないですって?
じゃあ、私たちの数はカス以下じゃない。
『これより突入します!』
腹に巨大なミサイルを抱えて向かってくる連邦軍の突撃艇に向かい、ガトル隊が攻撃を開始する。
戦闘の火蓋が切られたのだ。
一瞬にして両軍の数機が爆散する。
ガトルがミサイルを放ち、連邦の突撃艇からも大型ミサイルが放たれる。
私はシールドのロケット弾をいっせいに発射する。
ずしんと言う軽いショックとともに56発のロケットが炎を吹いて飛んで行く。
こちらに向かってきた三機の突撃艇が火だるまと化した。
漆黒の戦乙女
最後のコメントということになりますかね
私も現在スランプ状態です、いつものように書き出しに悩んでおります
ローネさんの感想、自分たちがカス以下って言うのは、あの演説そのままに取るとそうなっちゃいますよね
きっと親ギレン派は優良主たる自分たちからすれば…なんて鼓舞してそうですが
向こうでのSSも期待しておりますよ~
8月1日 21:46
舞方雅人
>>漆黒の戦乙女様
お互いにつらいところですね。
新しいSSに取り組んでみようかと考えております。
今までのSSに少し行き詰まりを感じているのは確かなので。
困ったものです。
8月1日 22:31
- 2006/07/31(月) 21:26:36|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0
今日はローネフェルトをちょっとだけ送ります。
戦闘に入るのがなかなか遅くてすみません。
今日も戦闘に入りませんが、なにとぞご容赦を。
「な、なんだ? あの光は?」
「何が一体?」
モンテビデオの艦橋は戦慄した。
俺が艦橋に上がった時、その光は第一連合艦隊を直撃していたのだ。
「何があったか調べろ。全ての回線で情報を・・・」
艦長のサカッチ少佐が指示した途端、モンテビデオの各通信機器は飽和した。
『誰か~!!』
『フェーベが・・・フェーベが消滅?』
『第43戦隊は応答なし! 第28戦隊も同じく応答なし!』
『うわ・・・あ・・・』
『誰か応答してくれー!!』
『こちら戦艦ビクトリア! こちら戦艦ビクトリア! 救援を・・・救援を請う!!』
『たすけ・・・て・・・たす・・・』
『誰でもいい! 動けるものはこっちに来てくれ!!』
『フェーベ、ヒマリア、ともに応答なし。第一連合艦隊の旗艦をアリゾナに移せ!』
『キール、アストラハンともに応答なし!』
『再編を急ぎ現空域を離脱しろ! 第二射が来るぞ!』
『もうだめだ・・・もうだめだぁっ!!』
『敵が・・・敵がぁっ!!』
『開けてくれぇ!!』
「なんだこれは?」
サカッチ少佐が腰を浮かす。
通信機から聞こえるのは悲鳴と絶叫。
「スズヤに確認しろ。モンテビデオはいかがすべきか? とな」
「は、はい」
慌てて通信機に取りつく通信担当士。
「何をしている! ボールの発進準備をして置け!」
「了解しました」
俺は艦長に敬礼すると、艦橋から退出する。
『戦艦ヤマシロ、応答なし!』
背後で聞こえるその名前に俺は黙って目をつぶった。
『お姉さま、いえ、大尉殿。全軍に通信です』
「通信?」
私は何が起こったのかわからなかった。
MP-02Aの事故がまだ収まっていないのに・・・
『ギレン総帥の特別演説が行なわれるとのことです。各艦艇、各機とも通信回線を開くようにとのことです』
パットの09Rが私の15の肩を掴む。
『戻りましょう、大尉殿。ブリュメルが近くまで来ています』
「わかったわ・・・戻りましょう」
私はうなずいた。
『我が忠勇なるジオン軍兵士達よ。今や地球連邦軍艦隊の半数が我がソーラ・レイによって宇宙に消えた。この輝きこそ我らジオンの正義の証である。決定的打撃を受けた地球連邦軍にいかほどの戦力が残っていようと、それはすでに形骸である。あえて言おう、カスであると。それら軟弱の集団がこのア・バオア・クーを抜くことはできないと私は断言する。人類は、我ら選ばれた優良種たるジオン国国民に管理・運営されてはじめて永久に生き延びることができる。これ以上戦いつづけては人類そのものの危機である。地球連邦の無能なる者どもに思い知らせてやらねばならん、今こそ人類は明日の未来に向かって立たねばならぬ時である、と』
「ご苦労様」
ブリュメルの艦橋に上がった私をギレン総帥の演説とリーザの笑顔が出迎える。
「ソーラ・レイ?」
直立不動でギレン総帥の演説を聞いている艦橋要員たちの間をすり抜ける。
「光を見たでしょ? コロニーマハルを使ったレーザー砲よ」
リーザの表情がかげる。
コロニーを使ったレーザー砲?
噂に聞いていたあれが・・・ついに・・・
「いい気なものだわ・・・マハルには何百万も人がいたのに・・・」
「リーザ。それ以上は・・・」
私に耳打ちするように言ってくるリーザを私は押しとどめる。
どこで密告されるかわからないのだ。
こんな時節では、どんなことをしても総帥府に取り入っておこうとする輩もいるだろう。
「気にすることは無いわ」
「リーザ・・・」
『ジークジオン!』
スクリーンではギレン総帥の演説がクライマックスを迎える。
だが、ブリュメルの艦橋は静かだった。
「パーシス少尉、連邦軍の観測は続けている?」
「はい、艦長」
栗色の肩までの髪の女性士官がリーザにうなずいた。
「動きがあったらすぐに知らせて。おそらくこのまま引き上げたりはしないわ」
「まさか・・・いくらなんでも再編成のために後退するのでは?」
航海長のオスカー・パウルス中尉が振り向いた。
「甘いわ。連邦にしてみればここでの後退は政治的にマイナスにしかならないわ。それにソーラ・レイは連射が利かないでしょ。だとしたら後退再編成に時間をとって再度のソーラ・レイを受けるよりは一気に攻撃に転じる可能性は高いわ」
私もうなずく。
実際のところソーラ・レイによる被害を受けても、なお連邦軍の戦力は我々の戦力を上回っているのだ。
おめおめと逃げ帰ることは考えられない。
「連邦軍、二手に分かれます。やはり来るようです」
「やはりね・・・戦闘準備!」
「了解!」
私は気を引き締めた。
『あれがホワイトベース・・・』
アナスタシアのつぶやきが聞こえる。
ボールのコクピットから見るホワイトベースは白くてよく目立つ。
俺たちの乗る巡洋艦モンテビデオは戦艦ルザルを旗艦とした艦隊に再編成されることになったのだ。
その中核はホワイトベース。
連邦の白い勇者たちだ。
話によればアムロ・レイ少尉はまだアナスタシアやミスティと変わらないどころか、もっと幼い少年兵だという。
それがあの活躍ぶり。
ニュータイプだとかというのもわかる気がする。
『中尉殿・・・こんな戦力で勝てるんですかぁ?』
「エイボン曹長。大丈夫だ。確かに味方は損害を受けた。だが、被害はわずかだし、ジオンの悪あがきもそうは続かないさ。現にあの光だって一撃だけだろ?」
俺はまったくの気休めを言う。
指揮官は腹芸ができないとならないのだ。
事実はそんなものでは無い。
おそらく半分近い戦力を失ったのではないだろうか。
応答が無い戦艦だけでも二十数隻におよぶ。
だが、それを言ったところで始まらない。
いつだって希望を与えてやるのは指揮官の仕事だ。
もっとも・・・兵士というものはいつだって士官の嘘を簡単に見破るものだが・・・
『そ、そうですよね? ジオンはもうお終いなんですよね・・・』
「ああ、だからこの戦いは無理するなよ。俺たちはしっかりとやることをやればいいだけなんだ。間違っても英雄になんかなろうとするなよ」
『中尉殿も死なないで下さい・・・』
俺はどきっとした。
アナスタシア・チュイコワ曹長・・・
俺はもう生きていても仕方ないんだよ・・・
ソフィアはもういないんだ・・・
情け無い話だが、俺はソフィアに惚れちゃっていたらしい。
彼女がいるから頑張れた。
ヤマシロがあの光に飲み込まれた今となっては・・・
「大丈夫だ。みんな死なない。死ぬもんか」
俺は心にも無いことを言っていた。
姫宮 翼
有名台詞ですね。カスであるとは。
で、この後このお方は死んでしまうわけですね。
と言う事はこの後はお楽しみの展開ですか。楽しみに待っています。
足なんて飾りなんです(笑
7月27日 19:31
漆黒の戦乙女
ギレン最後の演説ですね
ギレンの演説は毎度自信たっぷりなんですが、演説を聞かせる対象が全世界(ガルマ国葬)、ソロモンが落ちた直後(高官達に向けて)、そして今回のア・バオア・クーの将兵達に向けてと周りの変化で国が負けに向かっているという表現をしているとテレビで言っていたシーンなので印象に残っております
ローネたちの運命、一番気になるのはそこでしょうねwアヤメたちとの甘いひと時をもう一度過ごすことができるのか…楽しみです
7月27日 21:48
舞方雅人
>>姫宮 翼様
レス遅くなってすみません。
AMBACさえなければ足なんぞ不要ですよねー。
偉い人にはそれがわからんのです。(笑)
>>漆黒の戦乙女様
なるほどー。
言い聞かせる相手の変化ですか。
確かに国内向けになって行きますよね。
ローネたちの運命は・・・
どうなるのかなぁ。
7月28日 21:56
- 2006/07/26(水) 22:08:23|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0
今日は少し早めに更新です。
この後でちょっとやることがあるものですから。
今日はローネフェルトです。
よかったら読んでやって下さいませ。
「今、どのあたりだ?」
俺はモンテビデオのパイロットルームで読みかけの雑誌から顔を上げる。
「間もなくア・バオア・クーの第三哨戒圏に入るあたりでは無いでしょうか」
編み物の手を休めるチュイコワ曹長。
物静かなクールビューティというイメージが強いアナスタシアだが、時間があるときはいつも編み物をしていることが多い。
一度誰にあげるのか聞いたことがあるが、にっこり笑ってナイショですと言われてしまった。
今編んでいるのはどうやらセーターらしい。
色から言っても男物のようだが・・・
「中尉殿! 中尉殿!」
パイロットルームに駆け込んでくるエイボン曹長。
こいつはおっちょこちょいなところがあるが、憎めない可愛い奴である。
「どうした?」
俺は立ち上がると自販機のところへ行く。
「ホワイトベースがやりましたよ。すごいですぅ」
目をきらきらさせているミスティ。
まるで自分のことのようだ。
「やったって? 何が?」
「ソロモンの亡霊ですよ。ソロモンの亡霊を撃破したんです!」
「なんだと?」
俺はコーラのチューブを取り出してキャップを開けた。
ソロモンの亡霊というのは、先日コンペイ島周辺の艦艇を次々と撃沈してくれた恐るべきモビルアーマーのことだ。
コンペイ島に残されたデータによると、どうも遠隔操作の小型機を使ってくるらしい。
殺りあいたくない相手だったが・・・そうか、ホワイトベースが殺ってくれたか・・・
「すごいわね。さすがホワイトベース」
編み物の手を止めるアナスタシア。
俺はコインを入れて二人の分も飲み物を取り出した。
「ほらよ」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
俺が投げるチューブを二人はしっかりキャッチする。
「あ、それとそれと、戦争終わりです」
「戦争終わり?」
俺は耳を疑った。
ソロモンが落ちたってキャリフォルニアが落ちたって降伏しないジオン軍だぞ。
サイド3までは終わらないんじゃないのか?
「どういうことなの?」
アナスタシアもいぶかしげにしている。
「ジオンの王様がレビル将軍に降伏して来たんですよ。間もなくフェーベに接触してくるとか。うーっ、やったぁぁぁぁ!」
万歳して飛び跳ねるミスティ。
これで戦争が終わるということで嬉しいのだろう。
「それって本当なのか? いまいち信用できないが・・・」
「謀略の可能性もありますね」
俺とアナスタシアは顔を見合わせる。
確かに謀略の可能性は否定できないのだ。
「そんなこと無いですよ。もう艦橋では戦争終わったってノーマルスーツ脱いでいますよ」
「まだ脱ぐなよ。油断はするな」
俺は急いでそういった。
確認できるまでは油断するな。
「はい、中尉殿」
慌てて黄色のパイロットスーツのシールを確かめるミスティ。
すまんな。
だが、用心に越したことは無いんだ。
「艦橋に行ってくる」
俺は情報確認のために艦橋へ向かった。
岩肌を掠めるように飛ぶ私のYMS-15。
その背後には急速に接近してくる二機の09Rがいる。
ジャイアントバズのペイント弾は私を交錯するように放たれ、ぎりぎりのところで要塞表面の岩に赤や緑をぶちまける。
やるわね・・・
私はベクトルを左右に振り分け、反転のチャンスをうかがって行く。
パットもアヤメもすごくいいコンビーネーションに育ってきたわ。
もう宇宙での戦闘には何の問題も見当たらない。
それどころか気を抜くと撃墜されちゃうわね。
私はようやく装備されたシールドからビームサーベルを抜き放つと、急速に減速して要塞の表面を蹴り飛ばす。
いきなり反転した私の15に二人の09Rは一瞬コース取りにためらいを見せる。
こういった場合には二人という点がかえって不利に作用しかねないのだ。
私はまっすぐにアヤメの09Rに突っ込んで行き、ビームサーベルを作動させずに突き出した。
『あうぅ・・・やはりお姉さまはさすがですぅ』
アヤメの声がしょげている。
そりゃね。
負けるわけには行かないじゃない。
『イヤァァァァァッ』
ヒートサーベルを振りかざして突っ込んでくるパットの09R。
私の教えを忠実に守っているわね。
近接戦闘は勝利した一瞬気が抜けるもの。
本当に危険なのは敵を切り伏せた後なのだ。
「ごめん」
私はアヤメの09Rを蹴り飛ばして位置をずらす。
直前にいた位置を狙いたがわずパットの09Rは切り裂いた。
すかさず私はシールドのロケット弾を模擬発射する。
コンピュータの計算が当たり判定を下し、パットの09Rは脚部損傷とみなされた。
『まだまだぁ!』
AMBACを使わずに各部バーニアを吹かして反転するパットの09R。
「甘い!」
そんな動きは見切っているわ。
私は反転した09Rののど元にビームサーベルを突きつける。
これで・・・えっ?
『相討ちですよ。お姉さま』
パットがしてやったりと笑っている。
パットの09Rのヒートサーベルはピッタリと私のコクピットの前に切っ先を突きつけていたのだ。
いつの間に・・・
私は苦笑した。
その時、曳光弾が私の脇を走り抜けて行く。
「な? 敵?」
私はすぐに全周索敵を行なう。
?
周囲に敵の姿は無い。
『す、すみません』
すぐにレーザー通信が入ってくる。
『実弾訓練中に軌道を変更してしまいました』
見ると不恰好なモビルポッドが数機、展開して実弾訓練中らしい。
あれがMP-02Aオッゴ?
じっくり見るのは初めての機体。
円筒を横にして下部にアーム、上部にモノアイ、そしてザクマシンガンを固定武装とした機体。
とにかく簡単に作れて数を揃えるための兵器。
連邦のRB-79と大差ない代物。
どちらが有効なのかしらね。
「こちらは軽巡ブリュメル所属のYMS-15およびMS-09R。実弾訓練は充分気をつけなさい」
『え、ええっ? ロ、ローネフェルト大尉殿ですか?』
え?
通信機から流れる少女の声。
あの時の少女たちなの?
『第894モビルポッド中隊のエリカ・シュトラウト上等兵です。昨日は握手していただきありがとうございました』
私は昨日の少女たちの顔を思い浮かべる。
あの中の一人だったのだろう。
「こちらこそ。頑張ってね。シュトラウト上等兵」
『はい。頑張ります』
力強い声。
きっとあのコクピットの中でドキドキしながら私の声を聞いているに違いない。
そう思うと、なんだかかえって照れくさいわね。
『こら、いつまでおしゃべりしているの! 大尉殿はお忙しいのよ。それにまだ訓練は終わっていないわ』
『は、はい、小隊長』
シュトラウト上等兵のMP-02Aが戦列に復帰する。
再度の射撃訓練に望むのだろう。
私もチームの訓練を再度行なおうと二人のほうに振り返った。
『ビジッ・・・ビジジジ・・・』
いきなり空電ノイズが通信機に割り込んでくる。
私は再度振り返った。
『シュトラウト上等兵!!』
『エリカ~!!』
複数の叫び声が上がる。
先ほどまで会話していたMP-02Aのザクマシンガンが爆発していた。
「な・・・」
私はすぐにスロットルを全開にし、ペダルを踏み込む。
ぐんと言うショックとともに15が加速を開始する。
「何があった?」
『暴発です。シュトラウト上等兵のオッゴの銃が暴発して・・・』
クッ・・・
私は歯噛みする。
起こるべきことが起こってしまったのか・・・
「シュトラウト上等兵! シュトラウト上等兵! 返事をしなさい!」
私の背後にはすぐにバックアップができるようにアヤメとパットが続行する。
何も言わなくてもこうした判断ができるのは心強い。
『ああ・・・あああ・・・痛い・・・痛いよぅ・・・』
ザクマシンガンの暴発で推力を得てしまったMP-02Aは要塞に向かって落ちて行く。
各所から火花を吹いたMP-02Aは制御不能に違いない。
「聞こえる? シュトラウト上等兵! 聞こえているなら脱出して!!」
私は声を限りに叫んでいた。
すでに他のMP-02Aはあまりの事に動けないで居る。
私は何とか加速を合わせて追いすがろうと15を向けた。
『ああ・・・いやぁ・・・死ぬのはいやぁ・・・おかあさーん・・・おにいちゃーん・・・』
「脱出しなさーい!!」
私の叫びもむなしくMP-02Aはそのままの速度でア・バオア・クーに激突する。
『ジジジ・・・』
爆発が起こり通信機にノイズが入る。
「シュトラウト上等兵!!」
私はやりきれない思いに包まれた。
整備不良だ・・・
学徒動員はパイロットだけではない。
モビルスーツを稼働させるために重要な整備部門でも学徒動員によって少年少女が働いている。
だけど、一週間やそこらの指導期間でモビルスーツの整備などできるはずが無いじゃない・・・
だから・・・
だから絶縁不良とかが・・・
『お姉さま・・・』
『お姉さま、あれを』
そばに来たパットとアヤメが一点を指差す。
?
あれは何?
私が顔を上げたその向こうで、一筋の光が宇宙を切り裂いていった。
姫宮 翼
整備不良で事故死は本当に勘弁して欲しいです。
信用が出来ないと言う精神面への恐怖が出てきますからね。
学徒動員なんてどっちにしても良い事なんてありはしないんですよね。
ソーラレイ出てきましたね。これでいよいよ最終局面ですか。
スターダストメモリーの時はガトーが単機で突っ込んで破壊していたのが印象的な兵器です。
7月23日 19:50
漆黒の戦乙女
整備不良…嫌な言葉ですね
パイロット…というか兵士としては戦場で散ることが一番名誉?なんだと思うんですがこれはなんと言っていいやら
模擬戦、パットもすごく強くなったわけですね
そしてとうとうでたソーラレイ発射、後のない国(者?)同士の総力戦が始まるわけですね
ガトーがつっこんだのはソーラシステムⅡの制御艦につっこんだわけで、ソーラレイは密閉型コロニーを改造した巨大なレーザー砲なんですねたしか
発展型なのがコロニーレーザー…になるのかな
7月23日 21:32
舞方雅人
>>姫宮 翼様
太平洋戦争当時の日本軍も整備不良にはなかされたようですね。
エンジンもすぐに故障したりとか、大変だったようです。
ソーラレイとソーラーシステムは混同しやすいんですよねー。
ミラー並べるのはソーラーシステムですー。
>>漆黒の戦乙女様
戦う前に死んでしまうというのはまさに浮かばれないですよね。
こういったこともあったのではないかと思い書きました。
最後の総力戦が大変ですー。
7月24日 22:09
- 2006/07/22(土) 19:54:51|
- ガンダムSS
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0
次のページ