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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

少女兵たち

MSイグルーはまだ見ていないんですが、オッゴと言うモビルポッドには惹かれるものがありますね。

棺桶にもいろいろありますが、ボール、パブリク、ガトル、そしてこのオッゴ。
こんな兵器に乗せられて戦わなければならなかった兵士たちが、気になっちゃいます。

学徒動員などということは二度と起きてほしく無いですね。

重力。
言い換えるなら引力と言ってもいい。
物体と物体の間にはどんな物体同士でも必ず働くこの力。
この力は対象となる物体の質量や大きさに影響される。
つまり、軽巡の艦内などよりも、このア・バオア・クーにいると重力を感じることになるのだ。
このちょっとした違いが違和感となって襲い掛かってくる。
だらしないものね・・・
私は苦笑した。
ほんの今月初めまで地球という重力井戸の底にいて、何の違和感も感じていなかったというのに、ちょっと躰が無重力に慣れるとすぐに重力変化に戸惑いを感じてしまうのだもの。
私は時計を見る。
今はジオン標準時12月29日の16時18分。
半舷上陸によって休暇を得た私は、行くところがあるわけでもなくア・バオア・クー内のレクリェーション施設へ向かうことにする。

レクリェーション施設と言っても、このア・バオア・クーは18万人を擁する一大要塞。
映画館や図書館、酒場やショッピングセンターまであって、時間つぶしには事欠かない。
本当ならアヤメとパットも連れて来たかったんだけど・・・
二人は二人でどこかへ行ってしまっていた。
父親が死んで以来パットとはあまり顔を合わせてはいない。
状況を把握するためにも艦橋にいることが多かったし・・・
いや、いい訳はよそう。
パットの悲しそうな顔を見ていられなかったのよ。
ふう・・・
私は首を振って通路を歩いていく。

「「イッチニィ、イッチニィ、イッチニィ・・・」」
元気のよい掛け声が通路の奥から聞こえてくる。
このア・バオア・クーの通路は割りと広めであり、将兵の格好のジョギングコースになっている。
きっとそうした一団だわ。
そう思って私は通路の端に寄る。
「「イッチニィ、イッチニィ、イッチニィ・・・」」
先頭を切っているのは伍長らしいわね。
その後ろにいるのは上等兵。
どうやら配属されたばかりの新兵たちね?
って・・・嘘・・・
私は走ってくる兵士たちを見て驚いた。
まだ、少女たちじゃないの・・・
走ってきたのはいずれもパットよりも幼い少女たちだった。

「ぜんたーい、止まれ!」
先頭の伍長の号令で一斉に少女たちの足が止まる。
いずれも可愛らしい少女たち六人。
「全員、士官殿に対し、敬礼!」
通路の端に一列に並び、私に対して敬礼をしてくる少女たち。
新品のグリーンの制服がまだ躰に馴染んですらいないのだ。
私は答礼を返しながら、どうしても質問をするのを止められなかった。
「ご苦労。私は軽巡洋艦ブリュメル所属のモビルスーツ小隊長、アマリア・ローネフェルト大尉よ」
「「ご苦労様です、大尉殿」」
目をきらきらさせながら少女たちは私を見つめてくる。
まっすぐな、純真なその眼差し。
こんなところではなく、学校の教室にこそ相応しいかも。
「あなたたちはどの部隊?」
「私たちは一週間前に配属されたばかりの第894モビルポッド中隊です。私はリサ・クリーテン伍長です」
先頭の伍長が自己紹介をしてくれる。
「私はアルマ・レーベンホフ伍長です」
もう一人の伍長も負けじと自己紹介をする。
どうやらこの二人はリーダー格であり、何かにつけて張り合っているのだろう。
「休んでいいわ。モビルポッド? あなたたちは工兵なの?」
私はちょっと不思議に思った。
彼女たちの胸には間違いなくモビルスーツパイロットの徽章が付いている。
まだ幼いこの娘たちはパイロットなのだ。
でも、モビルポッドということは作業用・・・?
「違います。私たちは新型戦闘用モビルポッドMP-02Aオッゴのパイロットです」
「オッゴ?」
聞きなれない機体だわ。
「はい、配備されたばかりですから・・・」
姿勢を少し楽にしたものの、少女たちの緊張が伝わってくる。
きっとこんなふうに士官に話しかけられるなどなかったのだろう。
「あなたたち、歳はいくつ?」
おそらくパットと変わらないか下ぐらい・・・ね。
「十五歳です。来年ハイスクールに進学します」
明るい茶色の髪の毛をしたそばかす少女、クリーテン伍長がにこやかに答える。
十五歳ですって?
「私もです。ズムシティ第一校志望です」
レーベンホフ伍長がやはり訊かれもしないことを言う。
オレンジ色がかった髪の毛と整った顔立ちは可愛らしい。
「ハイスクール前の娘が・・・パイロットなの?」
「はい、私たちは学徒動員で緊急招集を受けたんです」
少女たちがいっせいにうなずく。
学徒動員・・・それにしても十五歳まで・・・
私は唇を噛む。
「た、大尉殿」
一人の少女がおずおずと手を上げる。
「こら、勝手な発言は・・・」
「いいわ、言って見なさい」
私はレーベンホフ伍長を制した。
「大尉殿、お願いがあります」
「お願い?」
くりくりとした瞳をまっすぐに私に向けてくる少女兵。
「あの・・・手を握っていただいてもよろしいですか? ベテランパイロットの大尉殿にあやかりたいんです」
私は目をつぶった。
怖いのだ。
彼女たちはジオンを救おうとその身を捧げる。
だが、戦場へ出るのは怖いのだ。
当たり前だ。
私だって怖い。
だからどんなものでもいいからすがりたいのだ。
たとえそれが気休めであろうとも・・・
「ええ、もちろんよ。私こそあなたたちのような兵士と一緒に戦えるのは光栄だわ」
私は右手を差し出した。
「ありがとうございます!」
少女がしっかりと私の手を握る。
「大尉殿、私も」
「私もお願いします」
「私も」
私は次々と少女たちの手を握る。
「いいこと、絶対に死んじゃだめよ。いいわね」
「「はい、大尉殿」」
私の言葉に彼女たちはうなずく。
ああ・・・どうか・・・どうかこの娘たちを無事に生き延びさせてください・・・
私は彼女たちに別れを告げ、通路を歩き出す。
背後では少女たちのかけ声が再び上がる。
私は天を仰いでため息をついた・・・

結局図書館で暇を潰しただけでわたしはブリュメルに戻ってくる。
もっとも、それなりにそのあとでウインドショッピングを楽しみ、美味しそうなアップルパイを片手にぶら下げてではあるが。
戻ったらアヤメとパットを呼んでお茶にしよう。
私はそう思いながらタラップを上がって行く。
新型艦だというのにあちこちの塗料が剥げているブリュメル。
無理も無いわね。
すでに何度も戦闘を経験しているんだもの。
私はこの艦が好きだ。
艦長のリーザをはじめ、いい乗組員が揃っている。
絶対に沈めたくは無い。
私はエアロックを抜け、艦内に入り込んだ。

「お帰りなさい、お姉さまぁ」
パイロット控え室に入ったとたんにアヤメが抱きついてくる。
「え、えっ?」
私がよろめくのも構わずにそのままキスを交わしてくる。
「ま、ま・・・」
待ってと言うことすらできずに、私の口はふさがれた。
「ぷあ・・・お姉さまぁ」
無邪気な笑顔を見せるアヤメ。
その顔の向こうに赤くなりつつも腰に手を当てて怒っているパットがいた。
「ア、ア、アヤメさん! お姉さまを独り占めしないで下さいって言ったばかりじゃないですか!!」
「うふふ・・・やーだ。やきもちパットも可愛いけど、お姉さまは私のモノぉ」
にっこり笑って舌を出すアヤメ。
まったく・・・
先ほどの少女たちとどっちが大人なんだか。
私は苦笑する。
「だ、だめですぅ!! お姉さまは二人のものですぅ!!」
ちょっと待って・・・
いつから私はあなた方の所有物に?
そう思う間もなく、パットもそばにやってきて私とアヤメを引き離そうとする。
「離れてくださいアヤメさん!!」
無理やり引き離そうとするパットと、そうはさせないとばかりに密着してくるアヤメ。
「ふ、二人とも離れなさい!」
私は抱きしめられて息苦しくなり、思わず大声を出してしまう。
「わ、ご、ごめんなさいお姉さまぁ」
「ひゃ、す、すみません大尉殿」
二人は弾かれたように離れていった。
「まったく・・・アップルパイが潰れちゃうじゃない」
私は苦笑しながらテーブルの上にパイの入った箱を置く。
すると、箱がもう一つテーブルの上に置いてあるのに気が付いた。
「あら?」
「うふふ・・・お姉さまとぉ、美味しいケーキを食べたいなって思ったんですぅ」
「アヤメさんと一緒に行って買ってきたんです」
ニコニコしながらパットが箱を開ける。
白いクリームに彩られたケーキやチョコレートケーキが美味しそう。
「わあ」
私は思わず声がでた。
「美味しそうね」
「はい。お姉さまも喜ぶかなって思いまして」
「パットと私で選んだんですよぉ」
二人とも楽しそう。
あら?
はあ・・・いつの間にかパットも私をお姉さまと呼ぶようになっちゃったな・・・
「今お茶入れますねぇ」
「お願いするわ」
私は席に着き、アップルパイとケーキでつかの間のティーパーティを楽しむことにしたのだった。


姫宮 翼
ここまで負けが込んでいるとはかなり凄惨ですね。
私も昔、戦争の映像等で日本のこれを見たときなんて頭を横に振りました。
この学生達やひめゆり隊が出なければ、他国の若者達が戦争に行かなければもしかしたら世界中が変わったかも知れないと思っていますね。
前線で戦局分かっているローネフェルトさんだから分かる事でしょうね。前線は今更学生達を招集することも無いだろうにと思っていたんでしょうか。
こういう兵士が真っ先に死ぬんですよね……。
7月19日 20:09

漆黒の戦乙女
学徒兵ですか、ゲルググに乗せるのがキシリア派ならこちらはギレン派でしょうか?
彼女達が生き残れる可能性は…低そうな気がしますね
そしていつもの甘甘なひと時wパットも完全にお姉様呼びが定着したようで…仲がいいのか悪いのかw
7月19日 22:03

舞方雅人
>>姫宮 翼様
ひめゆりの少女たちも特攻機に乗って飛び立った少年たちも二度とあってはならないと思います。
本当に戦争というものはつらくて悲惨なものです。
それを知らない人が多すぎますよね。
目をつぶるのではなく、きちんと情報を与えて、戦争を知らしめるべきだと思いますよ。
戦争を知らない人こそ戦争をしてしまうと思いますからね。

戦争もの書いていて説得力無いよなぁ。ww

>>漆黒の戦乙女様
学徒動員の兵士たちがいずれも09Rや14に乗れたわけでは無いでしょうからね。
それよりもこういったモビルポッドや06に乗せられた人が多かったのでは無いでしょうか。
生き残れるかは・・・難しいだろうなぁ。

アヤメとパットは・・・仲いいですよ。(笑)
7月20日 21:50
  1. 2006/07/18(火) 22:01:44|
  2. ガンダムSS
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前夜祭

いよいよ明日7月16日が、私がブログを開始した日です。
つまり今日は前夜祭。(笑)

明日の一周年記念はやはりSSを投下します。
でも、今日の前夜祭も、やはりSSを投下しますねー。

今日はローネフェルトです。
終戦を迎えたら次はどうしましょうか・・・
ローネフェルト戦後編?

宇宙に浮かぶ雨傘。
いや、もしくはキノコといったところか・・・
特異な姿が背後の星々を隠し、深遠の宇宙に浮かんでいる。
宇宙要塞ア・バオア・クー。
我がジオンの最終防衛線。
こことグラナダを結ぶラインを突破されれば、ジオンにとって後は無い。
「間もなくア・バオア・クーに到着します」
ブリュメルの艦橋は慌ただしくなる。
入港作業にかからねばならないのだ。
私は一人窓外を眺めている。
この要塞は連邦を防ぐことができるのか?



「左舷より艦隊が接近中!」
オペレーターの悲鳴にも似た声が上がる。
「入港の順番はこっちが先でしょう?」
リーザが思わず左を向く。
人間というのは左と言われると振り向いてしまうものなのだ。
もちろんすぐにリーザは切り替えられたスクリーンを凝視する。
スクリーンに映し出されたのは、三隻の機動部隊。
先頭にいるのは翼を広げたダークグリーンのザンジバル級。
それと見慣れたグリーン塗装のムサイ級ではなく、完成したばかりと思われる新型のムサイ改級で色も赤茶と言っていいような色のが二隻。
「あれは・・・海兵?」
リーザが腰を浮かす。
あまりにも急速に接近するその艦隊は、こちらの存在など無視するかのようだった。
海兵?
私もスクリーンを凝視する。
突撃機動軍内の荒くれ集団。
開戦直後の大量虐殺の実行者。
抱かれるイメージはそんなものだろう。
指揮官はシーマ・ガラハウ少佐、いや、今は中佐だわ、確か・・・
「通信を、早く!」
「すでに送ってます」
「まったく・・・どうしようもない狼どもだわ」
リーザは舌打ちをする。
「返信ありました」
「スクリーンに出して!」
すぐにスクリーンに先方の艦橋が映し出される。
ニヤニヤと下卑た笑いとだらしなく前を開いた軍服。
いかつい男たちとまるで娼婦のような雰囲気を漂わせる女性たち。
これが軍艦の艦橋なの?
『呼びかけてきたのはあんたかい?』
キャプテンシートの女性がすっと立ち上がる。
まだ若い女性だが、長い髪の毛をなびかせ、中佐の階級章をつけている。
「軽巡ブリュメル艦長のリーザ・オスハイマーです。ア・バオア・クー第五宇宙港への入港はこちらが優先でとなります。割り込まないでいただきたい」
立ち上がって敬礼するリーザ。
『ふふ・・・』
相手は妖艶な・・・と言っても見る者を不安にさせる笑みを浮かべる。
『なかなか可愛いねぇ。そこのオペレーターも、それからそこの大尉も』
視線が私の方を向く。
「中佐?」
『わかっている。私は突撃機動軍海兵隊のシーマ・ガラハウ中佐だ。優先権がそちらにあるのは百も承知さぁね』
「艦隊、なおも接近中。このままでは30秒後に接触します!」
『ふふふ・・・可愛いオペレーターの言うとおりさね。どうする? リーザ艦長。あっははははは・・・』
腰に手を当てて高笑いをするシーマ中佐。
背後のクルーたちも笑いを隠そうともしない。
「クッ・・・上角30度、二時の方向に変針!」
やむなく変針を命じるリーザ。
ぐんと躰が沈み込み、ブリュメルが進路を変えて行く。
『すまないねぇ、リーザ艦長。あっははははは・・・』
笑い声だけを残して通信が切れる。
「ばかにしてぇ」
リーザの歯噛みが聞こえてくる。
私は思わず苦笑してしまった。



『第一艦隊、進発します!』
『補給隊は続いて発進。艦隊の後方に続け』
『第二艦隊の発進準備を続けろ!』
『第三艦隊はどうなった!』
ごった返す宇宙港内の通信が流れてくる。
俺は発進して行く艦艇を黙って見つめていた。
『中尉殿、こちらでしたか』
『中尉殿』
黄色のノーマルスーツがそばにやってくる。
可愛い俺の部下たち、ミスティ・エイボン曹長と、アナスタシア・チュイコワ曹長だ。
あのあと俺はどうにか無事に拾われ、こうしてコンペイ島で機体を待っている。
ミスティも無事で、あんなことがあったにもかかわらずケロッとしていやがった。
「積み込みは終わったのか?」
俺は手すりにもたれかかりながら、二人のほうに向き直る。
『私たちの機体は積み込み完了しました。あとは中尉殿の機のみなんですが・・・』
『やはりボールなんでしょうか・・・』
「だろうな。いまさら小隊にジムが配備されるとも思えないよ」
俺は苦笑する。
ジムが欲しいのは確かだが、そうなると小隊の構成がいびつになる。
それは望むことではないからな。
『行っちゃいましたね・・・エリアルド大尉殿』
少し寂しそうにミスティが言う。
彼女はソフィアに可愛がられていたからな。
気持ちはわかる。
『シン曹長殿もですね』
窓外を発進して行く艦隊に目を移す。
レビル将軍指揮下の第一連合艦隊。
旗艦のフェーベのそばに戦艦ピョンヤン。
少し離れて戦艦ヤマシロが浮いている。
ソフィアの小隊はヤマシロに配属になったのだ。
俺は夕べの感触を思い出す。
柔らかいソフィアの躰。
その温もりがまだ残っているようだ。
『そろそろ艦にいらしてください。艦長がお待ちですから』
「なんだ、それを早く言えよ」
俺は躰を起こして床を蹴った。



サラミス級巡洋艦「モンテビデオ」
これが俺たちの新しいお宿だ。
もっとも、格納庫搭載型の新型ではなく、ニューヨークシティと同じく0070年代前半就役の旧式艦である。
俺たちのRB-79ボールは甲板前部にワイヤーで止められているだけ。
ジムは搭載されず、ボール小隊が一個載せられるだけなのだ。
新品のボールが今搭載されていく。
どうやらあれが俺の機体か。
やはりボールがまわされたことに、俺はやっぱりという気持ちを抱いてしまう。
『ボールですね。中尉殿』
チュイコワ曹長の声が何となく嬉しそうなのは気のせいか?
「まあな、今の連邦には贅沢はご法度だからな」
俺は内心の落胆を気取られないように勤める。
いよいよア・バオア・クーか・・・
まったく・・・
年明けはまた厳しくなりそうだな・・・
俺はタラップを上がり、モンテビデオに乗り込んだ。



『かなり無理したんじゃないですか?』
ア・バオア・クーの技術士官が私の方を向いてにやりと笑う。
入港したブリュメルは艦及び装備の整備を行なわれる。
アヤメやパットの09Rはそうでも無いみたいだけど、私の15は脚部を再度整備しなくてはならない。
なにせ、破壊されたあと応急処置しかしていないのだ。
「工場に持っていくなんて言わないでしょうね」
ここにいたって乗機を取り上げられたのでは目も当てられないわ。
『まあ、それは言いませんがね。脚部は交換したほうが・・・』
「交換部品なんて・・・あるの?」
このYMS-15は試作機だ。
部品があるとは言っていたけど、脚部丸々となるとあるかどうか・・・
『そうですなぁ・・・難しいかもしれません』
ふう・・・
それなら下手にいじらないほうがいいわ。
とりあえず着艦とAMBACには支障が無いわけだし、オーバーホール中に敵にでも来られたらたまらない。
「足のほうはいじらないで。推進器関連を重点的にやってちょうだい」
『了解しました』
私は敬礼して作業にかかる技術士官を背にし、その場を後にした。



漆黒の戦乙女
ソフィアさんに死亡フラグが立ちましたね
ローネさんはギャンがちょっと大変そうな感じ、生き残れるのでしょうかね
7月16日 22:02

舞方雅人
>>漆黒の戦乙女様
そうなんですよねー。
レビル艦隊ですからねー。
まあ、どうなることやら。
皆さん生かしてやりたいんですけど・・・ね。
7月17日 21:32
  1. 2006/07/15(土) 21:41:30|
  2. ガンダムSS
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ラ・ラ・・・

ペルソナドライバー霊姫終わりましたー。

うーん・・・微妙。(笑)
悪堕ちも洗脳もあるんですけどねー。

なーんか肩すかしを食わされた気分になるのは何でだろう。
いや、面白いんです。
いいシチュなんです。
でも微妙・・・かなぁ。

悪くはないですよ。
買って損ではないと思います。

さて、今日は連邦軍側。
ソロモンに到着したバーナード君です。

宇宙港に一隻の宇宙戦艦が入港して行く。
マゼラン級宇宙戦艦「フェーベ」。
レビル将軍麾下の第一連合艦隊の旗艦である。
ここは旧ソロモン。
今は我が軍の前進拠点となった「コンペイ島」である。
昨日、我が軍はティアンム提督始め多大な損害を出しながらもソロモンを攻略した。
損傷を受けたガンビア・ベイを旗艦とする我が艦隊は陥落後のソロモンに入港。
使用可能な宇宙港と修理施設によってガンビア・ベイはドック入りした。
俺の所属する艦隊はここで解散。
以後は新たな艦隊に配属になることになる。
もっとも、のんびりしてなどいられないだろう。
レビル将軍のコンペイ島上陸も、多分に政治的意味合いが大きい。
きっとこの光景はTVによって全世界、ジオンを含む全世界に配信されているはずだ。
ジオンのプロパガンダ放送は、ソロモン放棄は予定の行動だと言っているが、例えそうだとしてもこの映像はジオン国民には衝撃だろう。
俺はそんなことを考えながら、ゆったりとボールを漂わせる。
すでに周辺に敵の気配はない。
全ての敵は遁走し、ア・バオア・クーへ向かうかグラナダへ向かっている。
どうせ明日か明後日にはまた出撃なのだ。
少しのんびりしたってバチは当たるまい。

『こらっ! だらけているんじゃないぞ。バーナード君』
突然ヘッドフォンに柔らかい怒鳴り声が飛び込んでくる。
スクリーンに映る黄色いモビルスーツ。
ジムライトアーマーだ。
徹底的に軽量化されたために一撃食らったらヤバい機体だが、ソフィアはよく使いこなしている。
「だらけてなどいませんよ。少しぼうっとしていただけです」
『それがだらけているって言うのよ。しっかりしなさい。お友達を連れて来たんだから』
ソフィアの声はいつ聞いても耳に優しい。
ん? お友達?
『お久し振りです中尉殿。シン・ファンレイです』
シン軍曹?
アラスカでファンファンを駆っていたあのシン軍曹か?
「シン軍曹? ほんとにシン軍曹か?」
『今は曹長です。中尉殿』
黄色のライトアーマーの影から現れるジム。
なんてこった・・・
俺は正直うらやましい。
「ジムのパイロットになったのか?」
『はい。パターソン大尉殿の推薦がありまして』
なるほど。
確かに彼女ならジム乗りとしてもやって行けるだろう。
「どこに配属されたんだ?」
『第一連合艦隊第三戦隊所属の戦艦ピョンヤンです』
「戦艦配備か。たいしたもんだ」
これはお世辞ではない。
やはり連邦軍には戦艦を重要視する風潮が根強いのだ。
当然格納庫を搭載した後期型マゼラン級だろうが、甲板係止の前期型マゼラン級だろうが、そこに配備されるジム隊は優秀な者が回される。
『そんなことないですよ。たまたまです』
「相変わらず幸運の妖精は一緒に居るのか?」
俺はファンファンのコクピットにぶら下がっていた翅を広げた妖精のマスコットを思い出していた。
「もちろんです。小隊内では三番機ですが、この機体の製造番号も895番機なので、5が付いているんですよ。幸運の五番機です」
俺は思わず笑みを浮かべた。
社会にでたらまだまだ大学生と言ってもいいぐらいの年齢だ。
占いや可愛いものを好むのは当然だろう。
『中尉殿、あれを』
シン曹長のジムが指差す先には一隻の奇妙な宇宙船が浮かんでいた。
全体を白で塗られた船体。
左右に張り出した翼は大気圏内での航行を前提としているもの。
左右のモビルスーツデッキの張り出しと、後部両舷のエンジンポッドにより、まるで宇宙を駆けるペガサスのようにも見える。
「ペガサス級・・・ホワイトベースか・・・」
噂には聞いていたが、実際に実物を見るのは初めてだ。
ブライト・ノア大尉にアムロ・レイ少尉。
連邦軍の若きヒーローたちか・・・
俺はその勇姿に見惚れていた。

『ねえ、二人とも。何か・・・妙な感じがしない?』
ソフィアのライトアーマーが周囲を探る。
「妙な感じ・・・ですか?」
俺もカメラを望遠から広角に切り替えて周囲の索敵を行なった。
静かな宇宙だ・・・
何もおかしなところはない。
『あ・・・大尉殿も感じられるんですか? 私もさっきから頭痛がして・・・』
シン曹長のジムが少し離れて行く。
「風邪でも引いたんじゃないのか?」
『そんなことは・・・』
言葉尻が小さくなるのは否定しきれないってことか・・・
俺は苦笑する。
戦艦の個室で汗をかく運動をしていたんじゃないのか?
『つぅ・・・』
シン曹長のジムが揺らめく。
「シン曹長!」
言わんこっちゃない。
熱でもあるんじゃないのか?
『きこ・・・え・・・る・・・』
「聞こえる? 何がだ?」
「シン曹長!」
ソフィアのライトアーマーがシン曹長のジムを横から支えるようにカバーした。
その時、スクリーンの片隅が光る。

「爆発? 何だ?」
俺はすぐに射撃ボタンの安全レバーを解除する。
「エイボン曹長! チュイコワ曹長! 俺のそばに寄れ!」
『了解』
『了解です』
すぐに二人の声が聞こえる。
よかった・・・
俺はホッとした。
『巡洋艦イシカリ、爆沈!』
『周囲を警戒しろ! 攻撃か?』
『わからん! あっ! ニューメキシコ爆沈!!』
薄れていたミノフスキー粒子を通して悲鳴のような通信が交錯する。
一瞬にして巡洋艦と戦艦が爆沈?
一体何だ?
『聞こえ・・・る・・・聞こえるんです、中尉殿!』
「だから何が聞こえるんだ!」
俺は周囲に集まってきたエイボン曹長とチュイコワ曹長のボールを確認し、シン曹長を怒鳴りつける。
報告はきちんとしないとだめだろうが・・・
『ラ、ラ・・・って音・・・ラ、ラって聞こえるんです!』
なんだそりゃ?
「無線の混信じゃないのか? エリアルド大尉殿は聞こえますか?」
その間も周囲を見渡すが、何もない。
また光。
今度は何がやられたんだ?
『私には聞こえないわ。シン曹長、ほんとに聞こえたの?』
『今でも聞こえるんです。ラ、ラって・・・気味悪いよぉ・・・吐き気がする・・・』
「風邪の幻聴だ! とにかく今は周囲を警戒しろ!」
『り、了解』
ふらふらしながら飛んで行くジムに俺は不安を覚える。
もし敵だとすればいい的だ。
『巡洋艦ヴォルガ、アマゾン、ともに爆沈!』
『敵はどこだ? どこにいるんだ?』
『現場なら敵は見えるだろう! こっちは電気系統の修理がまだ終わっていないんだ、見えるわけないだろう! お、おい、どうした? 38エリア、38エリア!』
混乱に拍車がかかっている。
何が起こっているのかさっぱりわからない。
ジオンの置き土産が起動しているのか?
自律機雷か何かの攻撃なのか?
コンペイ島と艦隊が翻弄されている。

何だ?
なんか小さいものが見えた気が・・・
突然近くに居た巡洋艦グリーンランドの船体に爆発が起こる。
「なんだよ、一体?」
『キャァー』
エイボン曹長の声だ。
『エイボン曹長?』
見ると進路がずれたグリーンランドがのしかかるようにエイボン曹長のボールを押しつぶそうとしている。
ちいっ!
俺はレバーを思い切り倒し、フットペダルを踏みつける。
間に合えっ!
俺は全てのパワーで推進剤を吐き出させ、ボールをエイボン曹長の機体に近づける。
スローモーションのようにゆっくりと艦首をこちらに向けてくるグリーンランド。
宇宙巡洋艦がこれほど獰猛な表情に見えるのは初めてだ。
必死に機動を行なうエイボン曹長のボールがグリーンランドの艦首に接触されかけている。
胴体部の爆発が艦首を弾き飛ばし、それがまさに質量兵器のごとく向かってくるのだ。
『お母さーん!』
「うりゃー!」
俺のボールに衝撃が走る。
目いっぱいに伸ばしたアームにエイボン曹長のボールが触れる。
振動とともにアームはひしゃげ、それと同時にエイボン曹長のボールの軌道がありえない方向に変わって行く。
続けざまの衝撃。
弾かれたエイボン曹長のボールはグリーンランドの軌道をはずれ、衝突圏外へ飛んで行く。
『キャァー』
叫びたいのはこっちだぜ。
「こなくそっ」
俺はレバーを思い切り倒し、ボールを急角度で下に沈ませる。
スクリーンの脇にはまさに巡洋艦の艦首。
それがぐんと上に飛び上がって行く。
メキメキという音とともにコクピットのハッチがゆがんで行く。
頭の上を通過して行くグリーンランドの艦首がボールの上面を擦り、主砲を吹き飛ばして行ったのだ。
エアーが抜け、機器類の音が一切聞こえなくなる。
ヘルメットを閉じていたので問題ないが、すでにボールは警告ランプのオンパレードだ。
俺は素早くベルトを外し、立ち上がってゆがんだハッチをこじ開ける。
深遠な宇宙と、青い地球が目に入った。
「こちらランディス・バーナード。これより脱出する」
聞こえているかいないかわからないが、とりあえずは言っておくに越したことはない。
目の前をヘルメットのないノーマルスーツの兵が漂って行く。
グリーンランドの乗組員だろう。
ああはなりたくないな・・・
俺は発信機と救難発光機を作動させると、宇宙へ飛び出した。


姫宮 翼
地獄のオールレンジ攻撃ですね。ゲーム等でも悪夢の射程を誇る奴です。
ララァの歌が聞こえると言う事はこのシンと言う子はNTでしょうか?あぁ、ちょっと曖昧です。記憶が薄れていますね。
この前、逆襲のシャアとVガンダムの最終巻をレンタルしたんですが艦が簡単に沈むんですよね。
主人公や名前ありキャラの機体が強いのかもしれませんが。
リーンホースJrのビームラムや戦艦にビームシールドは結構先進的なアイディアだったと今になっても思います。F-91のビームフラッグも結構面白いですしね。
7月9日 21:35

通りすがりのMCマニア
> ペルソナドライバー霊姫終わりましたー。
>
> うーん・・・微妙。(笑)
> 悪堕ちも洗脳もあるんですけどねー。
>
> なーんか肩すかしを食わされた気分になるのは何でだろう。
> いや、面白いんです。
> いいシチュなんです。
> でも微妙・・・かなぁ。

ある意味よく分かります(笑)
とりあえず、一番萌えるのが『自由意志を奪われた○○』という段階で、私は何かを間違えているのでしょうか?(爆)
(自由意志奪われた割に、妙にあれこれ曰うのはどんなものなのか、とは思ってしまいますが)

それにしても……MAIKA、ADVゲーム形式に地の文を導入するあのスタイル、いい加減どうにかならないものかと思ってしまうのは自分だけでしょうか?(^_^;)
7月9日 22:24

漆黒の戦乙女
NTさんがいますね
覚醒して活躍するんでしょうか?
逆シャアだとネオジオンの艦隊はあんまり撃沈されていた記憶ないですね
核ミサイルの余波で2隻?アムロが1隻落とした以外は…基本的に戦艦はエンジン部を狙わない限り簡単には落ちませんしね
特に逆シャアの時は戦闘ブリッジが存在してるから余計に落としにくくなってるのかも
7月10日 19:45

舞方雅人
>>姫宮 翼様
シンちゃんはNTですね。
これから活躍するかはなんとも言えませんが。
艦船はモビルスーツには弱いですからね。
それにこの時は画面上でも次々と撃沈されていましたからね。
ビームシールドってビームサーベル同様に不可思議な気がしますー。ww

>>通りすがりのMCマニア様
どうもMAIKAは洗脳をエロを抵抗無く受け入れられる心理状態にすることと捕らえている気がしますね。
なんか洗脳、悪堕ちスキーとしては微妙な気がするんですよね。
まあ、悪くないんですけど、微妙でした。

>>漆黒の戦乙女様
戦闘艦艇も逆シャアではかなり進化していますからね。
沈みづらくはなっているでしょう。
シンちゃんの活躍はどうかなぁ。
7月10日 22:38
  1. 2006/07/09(日) 20:06:17|
  2. ガンダムSS
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お父さん

お久し振りのローネフェルトです。
いよいよ戦場はア・バオア・クーへまっしぐらです。

『お帰りなさい、ローネフェルト大尉。艦長がお呼びです』
15をブリュメルに着艦させると、すぐに通信が入ってくる。
「了解」
私はヘルメットを取りながら、そう答えた。
ブリュメルのハンガーに15を寄せ、私はコクピットをでる。
背後では次々に着艦してきた09Rが同じようにハンガーに立ち並ぶ。
ハッチを開けて出て来るアヤメとパットに手を振り、私は艦橋へ向かった。

シュンと音を立ててドアがスライドする。
艦橋に入った私に艦橋のみんなの視線が集まった。
その視線に賛嘆の色が浮かんでいることに私はちょっと照れくさくなる。
「アマリア・ローネフェルト。帰還しました」
私は敬礼して艦長席のリーザに帰還報告をする。
「ご苦労様。ノイマン准尉はどうしている?」
「え?」
パットがどうかしたの?
「はい、帰還してブリーフィングルームに待機しているはずです。警戒態勢が解除されるまではそのままですが・・・」
「そう・・・」
リーザの表情が曇っている。
「何かあったのね?」
私はリーザに近寄った。
「『ソロモン臨時艦隊』の指揮を取っていたフェリックス・ノイマン大佐が先ほど亡くなられたわ」
「フェリックス・ノイマン大佐って・・・まさか・・・」
私は何か重たいものを飲み込んだような気分に襲われた。
「ええ、パトリシア・ノイマン准尉のお父様よ・・・」
リーザがうなずいた。

窓外に映る星々の光。
大気が無いのでまるっきり瞬くことはない。
冷たく暗い深遠の宇宙。
こんなところでさえ人々は殺しあう。
ここ戦いはいつ終わるの?
一体何人の命を吸えば満足するの?
サイド3は戦火には巻き込まれてはいない。
でも、いつ連邦軍が攻撃してくるかわからない。
情報が錯綜しているけど、ソロモンは巨大な火柱で焼き尽くされたという。
連邦軍は新兵器を持ち出してきたのだ。
核などは問題ではない巨大な火柱。
一説にはルナツーからの巨大レーザー砲ではないかとも言う。
信じたくないけれど、ルナツーからソロモンを直撃できるレーザーが連邦にはあるのだろうか・・・
私は重い足取りを引き摺る。

“ソロモン臨時艦隊”
陥落寸前のソロモンから巨大モビルアーマーで出撃したドズル・ザビ閣下は、艦隊をまとめて後退するように発光信号を掲げたという。
チベ級重巡ローエングリンで指揮を取っていたノイマン大佐は、突然残存艦隊で最高位指揮官が自分であることに気が付いたとか。
戦艦グワランで指揮を取っていたオルデン准将は連邦軍に向かっていったきり音信普通。
ソロモンに残った艦艇はローエングリンの周囲に集まったらしい。
ノイマン大佐は戦闘空域からの離脱を宣言。
ドズル閣下の命令どおりに残存艦隊をソロモン臨時艦隊として、ソロモン空域を離脱したとのこと。
しかし、敵は一部を追尾艦隊として派遣。
ソロモン臨時艦隊は脱出して来た艦艇やモビルスーツを取りまとめ、必死に逃げたものの、連邦軍の追尾艦隊の攻撃を受けて被害が続出。
指揮を取っていたノイマン大佐座乗のローエングリンは、後方に陣取って味方の撤退を援護中に艦橋と前部主砲に被弾。
艦橋要員の大半が一瞬にして戦死した中で、負傷しながらも指揮を継続。
私たちが到着するまで艦隊を保持しつつ脱出の指揮を取っていたのだという。
援護艦隊にブリュメルが含まれていることを知ったノイマン大佐はただひと言・・・『パトリシアが来たか・・・』とだけ告げて亡くなられたとのこと。

私はブリーフィングルームのドアをスライドさせた。
「あ、お姉様ぁ」
「お帰りなさい、大尉殿」
談笑していたであろうパイロットスーツのままの二人が顔を上げた。
が、すぐに二人の表情が険しくなる。
それだけ私の表情が暗いのだろう。
「お、お姉様ぁ・・・」
「・・・・・・」
アヤメは心配そうにこちらを見ているが、パットが視線をはずしたことに私はハッとなった。
この娘・・・知っていたの?
「パトリシア・ノイマン准尉」
「・・・・・・」
「パトリシア・ノイマン准尉!」
「・・・・・・はい・・・」
ゆっくり立ち上がるパット。
その表情は苦悶に満ちている。
「あなた・・・ソロモンに父親がいるって・・・どうして言わなかったの?」
「父が・・・戦死したんですね?」
私はゆっくりとうなずいた。
「・・・・・・」
唇を噛み締めるパット。
アヤメもうつむいてしまう。
「知っていたんでしょ? 出発前にどうして会って来なかったの?」
「薄々は知っていました。ローエングリンが港にいることもわかっていました。でも、会いに言っても父は会ってはくれなかったでしょう」
「パット・・・」
「私はノイマン家の長女です。父は息子が生まれなかったことをとても気にしていました。娘では軍人にできないっていつも言っていたんです」
パットの目から涙があふれてくる。
「私の家は軍人の家系でした。古くは欧州大戦にまでさかのぼると聞いています。私は父がその家系を誇りにしているのがわかっていました」
「パット・・・」
「だから私はジオンに生まれたことが嬉しかった。ジオンでは男も女も関係ない。軍は全ての適齢期の男女を受け入れてくれるからです」
切々と話すパット。
「父は私が志願したと聞いて驚いていました。女性が軍に入るべきではないと思っていましたし、時期が時期でしたから・・・」
私はたまらずにパットのそばへ行き、抱きしめる。
「私・・・父に認めて欲しかった・・・俺の娘は立派な軍人なんだぞって言って欲しかった・・・お父さん・・・お父さーん・・・うわぁぁぁぁぁぁ」
私の胸にしがみつき泣きじゃくるパトリシア。
私は彼女の髪の毛をやさしく梳いてやり、そのまま泣くに任せてやった。

『総帥府報道部発表。我が忠勇なる宇宙攻撃軍は、迫り来る連邦の脅威に対し乾坤一擲、ソロモン周辺において一大決戦を挑みました』
艦橋の窓外を流れ行く棺の群れ。
『剛勇無双のドズル・ザビ閣下率いる我が軍は、新兵器を繰り出す敵軍に対し真っ向からこれを攻撃。多大な戦果を上げることに成功いたしました』
ランチでローエングリンに行き、パットと二人でノイマン大佐に面会して来た。
おそらくは物静かな知将として、部下の絶大な信頼を受けていたに違いない。
ローエングリンはソロモンの陥落以上にノイマン大佐の死を悼んでいるようだった。
『これまでに確認された戦果は、戦艦二十五隻、巡洋艦三十一隻、モビルスーツ及び突撃艇など百数十に及ぶと見られ、これによって連邦軍の攻撃は完全に頓挫いたしました』
『お父さーん・・・お父さーん』
遺体にすがり付いて泣きじゃくるパットの姿は見ていられなかった。
『我が方の損害は極めて軽微なるも・・・』
バキッという音がする。
キャプテンシートのリーザの持っている飲み物用のプラスチックボトルがひしゃげて、中身が滴り落ちていた。
『司令官たるドズル・ザビ閣下が負傷せられたることと、敵軍の攻撃を頓挫せしめたことにより、ソロモンの役目はここに終了したとギレン総帥はお考えであらせられ』
最後の棺が窓外を通り過ぎて行く。
この戦いで何人死んだのか・・・
『持久不敗体勢確立のため、絶対国防圏への戦力の集中を図るためにソロモンを放棄。宇宙攻撃軍への転進命令を出したということであらせられます』
転進か・・・
どう言いつくろおうともソロモンは陥落したのよ・・・
『これはあくまでも予定の行動であり、ソロモン放棄は既定の方針であることを国民の皆様にはお知らせいたします。来るべき年が輝かしい年になりますよう、国民の皆様の重ねての国家への献身を期待いたします。ジークジオン』
私はスクリーンに映っているアナウンサーを一瞥し、ブリッジを後にした。


姫宮 翼
ローエングリンと聞くとSEEDの陽電子砲を思い出します。
レーザー兵器はソーラーシステムでしょうか?この時代なら多分あっていると思います。
そう言えばパトリシアちゃんは初対面の時も軍人の家の出だとありましたね。
お父さんが前線で戦死は仕方ないと言えば仕方ないですが、家族からすれば衝撃は計り知れないでしょう。
娘が軍人になってくれたのは嬉しいけどそれを表面には出せないのと、女は男が安心して帰ってこれるように家を守って欲しいとパトリシアちゃんのお父さんは思っていたのかも知れないと私は思います。

それにしても、この放送はジオンの損傷と連邦の損傷を入れ替えているとかそんな感じでしょうか?どっちにしろ真実ではありませんね。情報改竄までやりはじめたらいよいよ危険だと思います。
7月7日 18:04

漆黒の戦乙女
まぁ、放送で負けてますなんて絶対言いませんし、ジオニックフロントの小説なんかでもジャブロー攻略で敵の新型MSを何機撃墜したとかという放送をしていた描写がありましたからそういう意味では戦争に負けている国家の末期症状の表現の一つという感じですね
なんとなく見えていないところでパットをなぐさめるアヤメの姿が思い浮かびそうな…ローネフェルトは指揮官という対場になるからそういうのはできないだろうな…ちょっと残念なような気も
7月7日 22:17

舞方雅人
コメントありがとうございます。

>>姫宮 翼様
そういえばSEEDの陽電子砲はローエングリンでしたねー。
レーザー兵器はおっしゃるとおりソーラーシステムのことです。
おそらくはまだ情報が錯綜しているでしょうし、ドズルでさえ「レーザーとでも言うのか?」と言ってましたしね。
パットの父はまさしくそういう気持ちだったと思いますよ。
情報改竄はまあ、やるだろうなということで。

>>漆黒の戦乙女様
まさに末期の情報統制を狙って書いて見ました。
いわゆる大本営発表ですね。
ジオン国民にとっては戦火は遠い場所での出来事(本土空襲などがあるわけじゃない)ですから、結構効果があるのじゃないかって思います。
パットを慰めるアヤメ・・・いいですねー。
そういうふうに奥行きを感じていただけるのは作者冥利に尽きますです。
7月7日 22:31
  1. 2006/07/06(木) 21:21:00|
  2. ガンダムSS
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片腕の14

今日はローネフェルトですー。
よかったらご一読下さいませー。

シュツルムファウストの一撃は避け損ねた敵のモビルポッドを一撃で粉砕する。
私は使い終わった筒を投げ捨て、ビームサーベルを構え直す。
囲まれていた味方のモビルスーツに向かっていた敵の集団がこちらを向いた。
「来るわよ、アヤメ、パット」
『わかってますぅ』
『大丈夫です、大尉殿』
二人の声がヘルメットから流れてくる。
「背中は任せるわ。行くわよ!」
私は15を乱戦に突入させる。

左腕を失いながらも、ビームライフルを乱射しているMS-14に向かっていた敵がこちらを向く。
「遅い!」
私はベクトルを一切変えぬままにビームサーベルでなぎ払う。
いつもながらその切れ味は素晴らしい。
装甲をものともせずに切り裂いていくのだ。
まるでナイフでバターを切るかのよう。
一瞬後に私の背後で爆発が起こる。
私はすぐに次の目標に狙いを定めて15を駆る。
敵の数は半端じゃない。
どこを向いても敵・敵・敵、そして・・・傷付いた味方。
『ダンケ! 助かったぜ』
さっき敵に囲まれていたMS-14が脇に並ぶ。
グリーンとグレーの一般的な量産機塗装。
エースに優先配備と聞いていたので、パーソナルカラーのゲルググが多いと思っていただけに、その塗装はかえって新鮮だ。
事実、ワルトラントのウェルマン少佐も肩にブルーのラインを入れていた。
『それにしても紫とは見かけない色だな。それにその機体、初めて見るぜ』
14のモノアイがこちらを向く。
何かコクピットの中まで見透かされるような感じだわ。
「おしゃべりは戦いの後にしたほうがいいのではない?」
私は前方のモビルスーツ隊に切りかかって行く。
敵はノーマルのジムが三機。
この15の能力を持ってすれば怖い相手ではないが、いかんせん数が違う。
気を抜いている暇はないのだ。
『女か。ならばいいところ見せないとな』
すっと前に出るMS-14。
そのまま片腕を突き出してビームライフルを三連射する。
味方の06F2に気を取られていたのか、ジムが二機、一瞬のうちに撃墜された。
『チッ、一機外した!』
舌打ちの音さえ聞こえそうな口惜しそうな声。
私は苦笑すると、こちらに気がついてマシンガンを構えようとするジムの懐に飛び込み、そのまま胴体を貫いた。
『おお、やるねぇ』
「ゲルググのパイロット、軽口を叩いていると殺られるわよ」
私はそういったものの、これが彼の戦闘のリズムなんだろうなと理解する。
最後外したとはいえ、二機のジムを連射でしとめるのは並じゃない。
『すまないな、これも癖みたいなものでね。俺はヒル・ウエストエイト。ソロモン駐留の第58モビルスーツ大隊所属の中尉なんだぜ』
またビームライフルで一機のモビルポッドを撃ちぬく14。
やはり上手い。
「そう。私は軽巡洋艦ブリュメル所属のモビルスーツ隊指揮官、アマリア・ローネフェルト。階級は大尉なんだけど」
『げ、上官かよ』
私は思わず吹き出した。
『失礼いたしましたぁ! てっきりたたき上げのベテラン曹長クラスと思っておりましたぁ! うわっち!』
「中尉!」
いきなりウエストエイト中尉のMS-14の腕の辺りが爆発する。
『大丈夫っす。ビームライフルに流れ弾が・・・』
見るとMS-14の持っていたビームライフルが途中からへし折られている。
混戦で怖いのはこれなのだ。
今のだってもしかしたらザクマシンガンの弾かも知れない。
「気を付けて・・・」
『了解。いやぁ、美人にそう言われるとやる気がでますねぇ』
ウエストエイト中尉は背中のラックからビームサーベルの柄を取り出すと、その刃を形成する。
薙刀のような変わった形状だが、もちろんビームでできているので周囲のフィールドがそうさせているのに過ぎない。
『さあて、行きますか!』
片腕のMS-14はそのまま私とともに敵モビルスーツとの混戦に入った。

グリーン塗装の見慣れないモビルスーツ。
ライフルを構えて遠距離射撃をするつもりのようだわ。
どうやらジムの特殊仕様型みたいね。
私は機動をかけて滑り込むようにそのジムの脇に出る。
まるでスローモーションのようにそのジムの引き金が引かれつつあるのを感じる。
一瞬早く私のビームサーベルが脇腹をえぐって行く。
『!』
ゆがんだジムの外板からコクピットが一瞬だけ見える。
信じられないものを見たかのような連邦軍のパイロット。
豊かな胸がそのパイロットの性別を明瞭に示していた。
「あなた方さえこんな所にいなければぁ!」
私は思わず怒鳴りつける。
火花が飛び散って爆炎がコクピットを包み込み、そのパイロットの姿を隠す。
私はビームサーベルを引き抜くとそのままジムに背を向けた。

乱戦が続いている。
そんな中でしっかりとアヤメは私の背後にピッタリと位置していた。
私のムチャな機動にもかかわらず、気がつくときちんと背後に占位しているのだ。
運動性のまったく違う15と09Rでありながら、それを続けるというのは並大抵ではないだろう。
あらためて私はアヤメのモビルスーツ乗りとしての腕に感心する。
『お姉様!』
アヤメの声。
私は下方視界を正面に入れる。
真下から一撃を食らわせるべく接近していた連邦のジム。
狙いは悪くないが、私に気が付かれていたのが予想外と言ったところか。
私は15の手足を振っていきなり上下を反転させる。
接近してマシンガンの貫通力を高めようとしていた敵は、気が付かれているとは思っていなかったのか反応が鈍い。
「落ちろ!」
私は15を突っ込ませようとした。
そのタイミングを計ったかのように私の15は弾幕に包まれる。
「え?」
私はとっさにレバーを引いて制動をかけた。
一隻の巡洋艦とその周囲に展開していたモビルポッドが私の軌道を読んでいたのだ。
なんて小癪。
しかも制動の間にジムはマシンガンを構えてこちらを狙いつけている。
「このぉっ!」
私は制動を解除し、再度バーニアを思い切り吹かす。
ベクトル的には読まれやすい機動だが、まずはジムを片付けなくては。
私はそのままジムに体当たりをするかのごとく接近する。
敵はこちらが距離を離すと思ったのか、接近に対してうろたえているかのようだった。
意味も無くマシンガンを振り回したかと思うと、背中からビームサーベルを抜き放つ。
もちろんそんな行動はいまさらまったく意味がない。
私は難なく接近すると、ビームサーベルを突き刺した。

爆発の閃光が闇を切り裂く。
一隻のサラミス級が爆沈する。
周囲のモビルポッドもただではすまない。
あるものは爆発に巻き込まれ、あるものは回避行動で僚機に体当たりしてしまう。
結局一隻のサラミス級の爆沈は合計三機のモビルポッドを巻き添えにしていったのだ。
振り返ってジムの爆発を確認した私の目にアヤメの09Rと、その後方で手を上げているパットの09Rが映る。
どうやらサラミス級の爆沈はパットの支援射撃によるものらしい。
「助けられちゃったわね。ありがとう」
私は近距離レーザーで通信を送る。
すぐに二人の09Rは手を上げて答えに代えた。
パットなどはとんでもありませんというふうに09Rに体の前で左右に手を振らせるものだから、私は思わずその09Rの人間臭い仕草に思わず笑ってしまうほど。

『どうやら敵は後退を始めたようですよ、大尉殿』
私のそばにやってくる片腕の無いMS-14。
その周囲には彼の部下たちなのか、09Rや06F2、さらには06Cまでがやってくる。
こんな戦争初期の機体までが使われているなんて・・・
「こちらの抵抗に嫌気がさしたんでしょうね。こちらも後退しましょう、ウエストエイト中尉」
私の視界にも急速に後退していく敵艦隊が捉えられる。
どうやら戦闘は終わったらしい。
「生存者をできるだけ救助しましょう。アヤメ、パット、手伝って」
『了解です、大尉殿』
『はあぁい』
二人それぞれの返事が返る。
私は味方艦艇に収容されていくモビルスーツ隊の援護をしながら、二人とともに救助活動に当たることにした。


静寂
また個性の強い中尉どのですなw
でも嫌いにならないな。
軍規にうるさい上官にあったら叩かれること必死ですが、ローネでよかったね、ウエストエイト中尉。

さりげなくでたグリーン塗装の射撃仕様ジムは・・・ジムスナイパーかな?
でもあれってたしか地上戦用だよね?機密性とかあったっけ?

6月22日 21:28

漆黒の戦乙女
ゲルググなかなかいい感じで戦ってますね
片腕で戦うゲルググと聞くとどうしてもガトー機が浮かびますが彼はア・バオア・クーでなったわけだからありえないんですよね

静寂さんの疑問ですが、スナイパーは2種類ありまして静寂さんが仰ったのは08登場の陸戦ジムベースのスナイパーのことだと思います
で、今回登場したのはスナイパーカスタムのほうだと思われます
まぁ、テレビで初登場したのはZのジャブロー攻撃の時でしょうからあんまり知られてないかも

6月22日 21:59

ALTION
ゲルググが彼だけってのがジオンの末期をあらわしてきて良い感じです。F2と06Cが並んでいるというのも珍しいですが。乗っているパイロットはムードメーカーですな。人の死を見る職業やっていると明るくなるか、暗くなるかのどちらかだそうですが・・・

グリーンのジムといえば、漆黒の戦乙女様が言うとおり、ジムスナイパーカスタムですね。ライトアーマーとスナイパーカスタム。どちらもエースパイロットのための機体ですね。スナイパーカスタムは性能向上型、ライトアーマーはその名のとおり装甲削ってヒットアンドアウェイを旨とする機体。どちらもMSVが初出ですね。08のジムスナイパーは陸ジムのマイナーチェンジでしかないですからね。と余計なことまで言ってしまいましたが、さりげなく、g-thanさんのところで聞いた台詞が・・・元ネタはあるのでしょうけども・・・それでは失礼します。
6月23日 0:15

姫宮 翼
ジムスナイパーはやっぱり森林迷彩色で塗装して、カモフラージュした後敵のMSを狙撃すると言った地上戦のイメージが強いです。
多分、08小隊のようなイメージが自分の中であると思います。
高速で接近されたら遠距離狙撃タイプは脆弱ですからねー。今回は運が悪かったんでしょう。
このときはまだジオンは降伏していないのでしょうか?これ以上長引くと本当に凄惨な状況になるでしょうね……。
6月23日 19:14

舞方雅人
>>静寂様
実はある方がモデルなんです。
もちろんその方はこれほどアクの強いキャラではない(はず)ですが。
個性が強いと感じていただけたのならキャラとしては成功かな。ww
グリーンのジムは皆様おっしゃるとおりジムスナイパーカスタムです。
連邦の切り札的存在ですよね。

>>漆黒の戦乙女様
ガトーのゲルググはかっこいいですよね。
ジオンの系譜では第二部に入っても載せ続けちゃいます。ww
確かにジムスナイパーカスタムはマイナー機ですからね。
ご存じなくて当然かも。

>>ALTION様
めぐりあい宇宙ではア・バオア・クー戦のときに14と05が並んでいたりしましたので、06Cなら充分現役だろうと思いました。ww
末期のジオンは使えるものは何でも使わざるを得なかったでしょうしね。
ソロモンで作業用として使われていたのではないかと思っています。
g-thanさんのところで聞いたセリフ?
どのことでしょうか?

>>姫宮 翼様
懐に入り込まれるとつらいですよねー。
本来ならその前に撃破しなくてはならないはずなんですよね。
今回は相手がローネフェルトということで、相手が悪かったと思っております。ww
ソロモンそのものは降伏しているでしょうけど、脱出した艦隊は何とかグラナダなりア・バオア・クーなりに逃げ込もうとしているので、降伏はしておりません。
当然追撃も厳しいものとなりますよね。
6月23日 22:14
  1. 2006/06/22(木) 20:44:36|
  2. ガンダムSS
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脱出艦隊

息つく間もなくまた戦いです。

一年戦争はこのあたりが日程的に非現実感を持ってしまいます。
12/24からの一週間でソロモンとア・バオア・クーを落とさなければなりません。
三年戦争ぐらいのほうが良かったと思うんですけどねー。

ま、とにかくローネフェルトにとっても正念場。
がんばれー

「前方より発光信号多数・・・これは・・・」
「艦長! 前方より接近してくる物体があります!」
双眼鏡を覗いていた監視の兵と、通信兵が同時に声を上げる。
一人でも手があったほうがいいかと、私も対空監視に余念がない。
私はすぐに双眼鏡を監視兵の見ていたほうに向ける。
オレンジ色の信号が次々と見え隠れしている。
あれは何?
ハッ!
私は息を飲んだ・・・
損傷艦?
「きゃあぁぁぁぁ!」
双眼鏡を覗いていた女性兵士が悲鳴を上げる。
無理もないわ・・・
私は暗澹たる思いで双眼鏡を下ろす。
「スクリーン、最大望遠!」
キャプテンシートのリーザが命じる。
すぐに私の見ていた光景が艦橋の全ての人間の眼前に展開された。
「!」
「ああ・・・」
艦橋の全ての人間が息を飲む。
舵輪を握っていた航海長も思わず目をそらした。

そこには、片方の推進器から火花を散らしながらよたよたと航行するムサイ級軽巡や、前部の主砲を吹き飛ばされ、艦橋すら失っているチベ級の重巡、船腹に大穴を開けたままかろうじて推進器が生きているパプア級の補給艦などの小艦隊だったのだ。
しかも、そんな沈没寸前の各艦艇にへばりつくようにしてモビルスーツが取り付いたり、ノーマルスーツの兵士たちが甲板にむき出しでしがみついたりしているのだ。
周囲に寄り添うように航行しているジッコ突撃艇やガトル戦闘爆撃機にすら、ワイヤーを張り巡らして兵士たちが取り付いている。
こんなにひどい状況の艦艇は見たことがない・・・

「な・・・何があったの? ソ、ソロモンは・・・どうなったの?」
「間に合わなかった・・・間に合わなかったんだ・・・」
艦橋にざわめきが走る。
「うろたえるな! 推測だけで状況を判断してはならない!」
リーザの叱咤が飛ぶ。
厳しい表情で前方の艦隊を見据えているのだ。
「旗艦に通信を送れ! 救助活動に入ろうと思うが許可を、と」
「わかりました」
通信兵はすぐにリーザにうなずき、ワルトラントに通信を送る。
「いや、待って!」
私はスクリーンに目を凝らす。
スクリーンのかなたで光が瞬く。
ノーマルスーツの兵士と06F2や09Rがしがみついていた比較的損傷の少ない軽巡が爆発する。
「!!」
「何?」
「トロメル沈没! 味方艦隊の後方に敵艦隊!」
「ワルトラントより入電! ブリュメル及びスタメルは我に続け。敵追尾艦隊を攻撃する。以上です!」
リーザがうなずく。
「最大戦速! ワルトラントに続け!」
私はすぐさま双眼鏡を手近の兵に渡してモビルスーツデッキへ向かう。
「出撃するわ。いいわね?」
「もちろん」
リーザが振り返って片手をあげるのを見ながら、私はエレベータに乗り込んだ。

『モビルスーツ隊発進準備! モビルスーツ隊発進準備!』
私は急いでノーマルスーツに着替える。
この動作ももう慣れたもの。
今では一分ぐらいで着込むことができる。
酸素の残量を確認し、襟元をシールしてヘルメットを取る。
そのままモビルスーツデッキへ向かう私の背中にアヤメとパットの二人が従った。
「味方損傷艦艇に対する敵の攻撃を防ぐわ。いいわね」
『『了解!』』
即座に返ってくる返事。
何か気分がよくなるわね。
二人なら私の背中は安心して任せられるわ。
こんな気分で出撃できるのはいつ以来かしら・・・
私はそう思った。

「発進準備はできているの?」
私はモビルスーツデッキに入るなり怒鳴りつける。
もちろん整備クルーも慣れたもので、ノーマルスーツのヘルメットのバイザー越しの視線がこちらに集中する。
パイロットが現れたことをこれで知るのだ。
『もちろんですよ。大尉殿!』
整備長が私のYMS-15からキャットウォークへ降りてくる。
他の整備員たちもそれぞれの機体から離れて、発進態勢が整って行く。
『いつでも発進できます。ただ・・・』
「ただ?」
私はアヤメとパットをそれぞれの機体に乗り込ませる。
二人はすぐに床を蹴って、自分の機体に向かっていった。
『シールドの予備が用意できません。全弾ぶち込めとは言いましたが、捨てて来いとは言いませんでしたよ』
私は苦笑した。
確かにあんな奇妙なシールドはそうそう準備できるものじゃない。
予備部品のコンテナの梱包を解き、使用できる状態にするには一日仕事だろう。
それよりも整備クルーは機体の整備をするだけで手一杯なのだ。
その苦労を助長しているのが他でも無く私の15。
09Rで統一されていれば整備にもそれほど苦労はないだろう。
しかし、同じツィマッドとはいえまったく違う機体が混じれば、整備は苦労することになる。
「ごめんなさいね整備長。シールドは抜きでいいわ」
『ええ、ですが飛び道具抜きというわけにも行かないでしょう。あれを使ってください』
私は整備長の指差す方を見る。
なるほど。
私の15には腰のところに二本のシュツルムファウストが取り付けてあったのだ。
一発使い捨てのロケット兵器だが、弾頭の巨大なHEATは直撃すればモビルスーツはおろか、連邦のマゼラン級戦艦すら撃沈できる。
もっとも・・・当たれば・・・だけどね。
「ありがとう整備長。行ってくるわ」
私はぽんと床を蹴ってYMS-15に取り付いた。

「システムオールグリーン。アマリア・ローネフェルト、YMS-15ギャン、出る!」
私は周囲のクルーの安全を確認した上でバーニアを吹かす。
ぐんと加速される重量感のある機体。
でも、その重量はまったく感じさせないし、06Fなんかよりよほど運動性はいい。
わずか一年で・・・
私は窓外に広がった宇宙空間に思いを馳せた。
我が国が独立を求めて起こしたこの戦い。
緒戦の勢いは凄まじかった。
私たちはあろうことか人口の半分をこの世界から消し去ってしまったのだ・・・
私は今でもそのことを考えると身震いが起きる。
本当によかったのだろうか・・・
私たちの自由はそれほどまでに犠牲が必要だったのだろうか・・・
連邦の搾取・・・
虐げられた生活・・・
そんなことは考えたことも無かった・・・
でも・・・
父も母も売り上げが落ちたって言っては連邦の無策のせいにしていた・・・
小麦粉の値段が上がったって言っては連邦のコロニー締め付けだって責めていた・・・
ギレン総帥の言いたいことはわかる。
コロニーは自立するべきだ。
けれど・・・
すでにコロニーに人はいない・・・
人の住んでいるコロニーはリーアとジオンだけになってしまったと言ってもいい・・・
そのリーアはちゃっかりこの戦争に中立を表明して受け入れられている。
中立ということは連邦から距離を置くということ・・・
と言うことはリーアはすでに独立しているということではないか・・・
私は苦笑した。
もっとも・・・
それを言うならジオンも同じ。
我が軍はすでに目的を達成しているのだ。
そう・・・1月31日で目的は達しているのだ。
南極条約・・・
条約は国家と国家が結ぶもの。
決して中央政府と地方叛乱勢力が結ぶものではない。
そう・・・
あの時点で連邦はジオンを国家と認めたのだ。
詭弁かもしれない・・・
でも、解釈上はそうなるのだ・・・
では、その後の戦いは一体なんなのか・・・
地球に降下しおびただしい物資と人名を消費し・・・
連邦とジオンの意地の張り合い・・・
私は首を振る。
よそう・・・
私は軍人だ・・・
それを考えるべき立場にはいない。

『アヤメ・ミナヅキ少尉、行きます!』
『パトリシア・ノイマン准尉、出ます!』
二機の09Rがすぐにブリュメルから発進する。
我が艦隊は最大戦速で敵艦隊に向かいつつあった。
前方では敵艦隊の攻撃を受けつつある味方艦隊が、必死の防戦に入っている。
残弾少ないモビルスーツが、次々としがみついていた艦艇から離脱して、敵艦隊へ向かって行く。
「二人とも、いいわね? 遅れないで」
『『了解!』』
二人の声がハモっている。
ずいぶんと仲良くなったものだ。
私の機体を紫に塗ってからかもしれないわね。
アヤメの09Rは通常装備。
ジャイアントバズとヒート剣、それにシュツルムファウストが一本。
一方パットの09Rはジャイアントバズが二本。
さらには肩からマシンガンまで提げている。
ある意味遠距離支援に徹してもらう。
彼女の射撃の腕は間違いない。
命中率の悪いバズーカもしっかり当ててくれるはず。
私とアヤメが突入し、パットが支援をする。
私はこの方針で望むことにしたのだった。

私たちの前方を高速航行している重巡ワルトラント。
私たちの小隊がその脇をかすめて行く。
その時だった。
戦場ではほんのちょっとのことが生死を分ける。
モビルスーツ発進のために艦首の発進口を開いたワルトラントは、その瞬間にビームの直撃を食らったのだ。
前方の脱出艦隊を狙った敵のビームの流れ弾。
それがまさに最悪の瞬間に最悪の場所に着弾したのだ。
発進しようとしていた09Rはなすすべもなく爆発。
その爆発は格納庫を火の海にし・・・
ワルトラントは火球となって轟沈した。
『旗艦が!』
悲鳴のようなブリュメルの通信士の声を聞きながら私は唇を噛む。
あれでは生存者はいないだろう・・・
連邦め!
私は前方をにらみつけた。

必死で逃げ惑う損傷艦艇。
だが、その機動には限界がある。
外部に取り付いている兵やモビルスーツを考えたら、急激な機動など取れるはずもないのだ。
中にはワイヤーを切って兵士たちを虚空に放り出すジッコや、握っていたワイヤーを放り出して敵艦隊に向かって行くモビルスーツなどもいる。
そんな中、連邦の砲撃は緩むことがない。
一隻、また一隻と被弾を重ね、沈んで行く艦が現れる。
これは戦闘ではない・・・
虐殺ではないか!
私は無言のまま15の左手にシュツルムファウストを構えさせる。
モビルスーツは利き腕など関係ない。
ただ、使われる兵器や、パイロットの感覚で、どうしても右手を使うことが多いのだが。
このシュツルムファウストの射程は短い。
充分に接近する必要がある。
今はまだ早い。
私はじりじりしながら距離を縮めて行く。

敵艦隊付近での戦闘が始まっている。
離脱艦隊から死を覚悟して防戦に向かったモビルスーツ隊が敵モビルスーツとの戦闘に入ったのだろう。
敵の数は艦だけでも二十隻はいる。
モビルスーツは五十機はくだらないだろう。
そんな中へ弾薬も推進剤も乏しいモビルスーツが向かって行くのだ。
味方を一機でも多く逃がすために。
はらわたが煮えくり返る。
ソロモンが落ちたのは間違いない。
この損傷艦艇が全てを物語っているだろう。
だけど、こうまで完膚なきまでに叩き潰しに来るとは・・・
すでに戦意を失っている相手をなぶり殺しにするなんて・・・
私は知らずにスロットルレバーを力いっぱい握り締めていた。

『お姉様、来ます!』
アヤメの緊張した声が流れてくる。
すでに私たちの機も敵モビルスーツとの交戦空域に入ってきたのだ。
前方には苦戦中の味方モビルスーツが数機固まり、必死の防戦に努めている。
敵はまるでインディアンが幌馬車を襲うかのように、我が軍のモビルスーツを取り巻き始め、一撃を食らわせては離脱して行く。
そいつらが新たに現れた我が小隊と、スタメルから発進した小隊に気がついたのだ。
わずか六機の援軍だが、囲まれた味方は歓喜の声を上げてくれる。
私はシュツルムファウストを見舞ってやった。


姫宮 翼
敗北に見えている敵を撃ってはならないとは分かるんですが、現地の兵士からすれば何をしてくるか分からないや。捕まったら何をされるか分からないの恐怖心で戦いが続くでしょうね。

ジオンは、コロニー落としましたからね。
あれでコロニー落としとコロニー住民の独立の論争になると泥沼になりますよね。
ジオンが落として連邦や地球に「力」を見せて、逆に二度目のコロニー落としを恐れて連邦は大規模戦争になりましたからこれは論争になります。
ここら辺は一年戦争のサイドストーリーの主人公も考えていたと思います。ちょっと自分の記憶が曖昧になっていますが。
この戦争で一番儲けたのはやはり武器商だと思います。ここはアナハイムでしたっけ?MS開発は。


でも一兵士であるローネフェルトさんは生き延びる事が最優先でしょう。戦争終結が迫ってきたら兵士は生きて家にたどり着かないといけませんから。
ここから先は連邦軍は物量で一気に押し潰しますから戦場から帰るのも至難の技ですね。
補給等がままなら無くなると思いますが生きて帰ってほしいですね。

すいません、なんだか長くなっちゃって。
6月18日 18:16

漆黒の戦乙女
戦争終盤ともなれば、もう歯止めというものが効かなくなるころでしょうね
種のラストでも同じような描写が存在してましたからね…今までの恨みを晴らすと言う感じでしょうか
あれは核ミサイル撃って、反撃は巨大なガンマ線レーザー(Zのジャブロー核自爆のような感じの展開もありましたけど)
閑話休題

もうそろそろ補給線やらも厳しいころでしょうが、がんばってほしいですね
6月18日 22:24

舞方雅人
>>姫宮 翼様
戦いや戦争はやめるのが一番難しいですね。
負けているほうは挽回のためや自己保存のために、勝っているほうも自己保存や負けている側の抗戦のためにやめることができづらいんですよね。
おっしゃるとおりローネは生き残ることが第一です。
それ以外は全て考えなくてもいいと言っていいでしょうね。
とにかく生き延びて欲しいものです。

コメント長いのは大歓迎ですよ。

>>漆黒の戦乙女様
戦闘に歯止めが効かなくなるのは歴史的にも多いですね。
ア・バオア・クーの戦いの後でジオン共和国の一画でパン屋をやっているローネフェルトも見たいものです。
アヤメとパットが店員をやってたりして。(笑)
6月19日 21:31
  1. 2006/06/17(土) 19:39:33|
  2. ガンダムSS
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赤い彗星

30万ヒット到達・・・感無量です。
11ヶ月で30万も行くとは思いもしませんでした。

来月はいよいよ一周年。
何か考えたほうがいいかなぁ。(笑)

とりあえず、ちょっとだけですがローネフェルトの更新です。
あの方がチラッとだけ。(笑)

「急な帰還命令はどういうこと? おおよその察しはついているけど」
私はYMS-15を整備兵に任せてブリッジに駆け上る。
キャプテンズシートに着いているリーザが厳しい表情で出迎えた。
「ご苦労様。まんまとしてやられたってところね。敵の囮に引っかかったんだわ」
クッ・・・
私も唇を噛む。
敵は木馬をかく乱に使用している。
私たちはそれに乗せられるように戦力を分散し、さらに敵の囮にまで引っかかって貴重な時間を無駄にした・・・というわけか・・・
「それで? ソロモンなんでしょ?」
「ええ、緊急回線で全周囲発信しているわ。ソロモンは敵と交戦中。付近の艦艇は救援にこられたし・・・とね」
「すでに交戦中?」
私は首を振る。
今から間に合うのか・・・
ここからではどんなに急いでも丸一日はかかる。
「大丈夫よ・・・」
リーザがポツリとつぶやく。
「大丈夫・・・ソロモンは二日や三日で落ちはしない・・・お正月を過ぎる頃には攻め疲れた敵が撤収することになるでしょう・・・」
彼女自身その言葉を信じていないだろうに・・・

「ソロモン攻略が始まりましたか・・・」
ここは巡洋艦ニューヨークシティの士官休憩室。
タバコをくゆらす俺の前にこの艦の航海士官がくつろいでいる。
「ああ、第二連合艦隊及び第三艦隊と第十三独立艦隊が攻撃を開始した。ソロモンは防戦一方になっているという」
ポケットからタバコを取り出したのを見て、俺はライターを貸してやる。
俺たちの母艦ガンビア・ベイは右舷を直撃され中破。
左舷デッキのみ使用可能な状態のため、ジム隊のみが着艦。
俺たちボール小隊はニューヨークシティへの回収を余儀なくされたというわけだ。
このニューヨークシティはU・C0071に就役したサラミス級巡洋艦初期型だ。
第二連合艦隊や第一連合艦隊に配備されているジャブロー建造艦やルナツー建造艦と比べると、電子装備や主砲の出力、推進器の効率性など、かなりの面で劣るのは間違いない。
実際、0071年就役のこのニューヨークシティと、0079年就役のサウサンプトンを比べれば、同型艦といいながらも別種の艦と言っていいほどの開きがあるのだ。
つまり、どういうことかというと、失っても惜しく無い艦なのだ。
エリートコースから外れたような一癖も二癖もある連中と、配属されたばかりの若造。
それを取りまとめる実直な艦長。
旧式と言っていい艦だが、実力は高いだろう。
現に先ほどの戦闘はそれを物語る。
「敵の後退はそのためですか・・・」
俺はライターを受け取りポケットにしまう。
ガンビア・ベイではソフィアがシャワーを浴びているかな・・・
そんなことをつい考えた。
生き残ったと思った途端にこれだ・・・
男って奴は・・・
俺はタバコの煙を吐き出しながらソフィアの柔らかさを思い浮かべる。
「そういうことだな。今頃慌てふためいているだろうさ」
タバコの煙が漂う。
嫌われモノだし、俺自身吸わないでいようとも思うのだが・・・
生きて帰ったとなると吸いたくなるんだよな・・・
「中尉殿、ここでしたか」
「中尉殿」
黄色いノーマルスーツの少女たちが入ってくる。
途端にこの煙だらけの空間が華やいで見えるのは、部下に対する欲目だけでもあるまい。
現にこの士官休憩室にいる男どもはみなそのボディラインをストレートに現すノーマルスーツ姿に釘付けだ。
「どうした?」
俺は立ち上がる。
可愛い部下たちをいつまでも無遠慮な男どもの視線に晒しておくこともあるまい。
「ガンビア・ベイからで、修理にまだかかるとのことです。そのため一時的にサイド4へ向かうとのことでした」
可愛く敬礼してくるミスティ・エイボン曹長。
つぶらな瞳の幼さの残る少女だ。
「我々は修理が完了するまでニューヨークシティの下部甲板を借りるようにとのことです。すでにシナプス艦長には連絡済みとのことでした」
対照的に少し大人びた感じのアナスタシア・チュイコワ曹長。
深いブルーの瞳が落ち着きを感じさせる。
「わかった。艦長には俺の方からも挨拶しておく」
俺はタバコを灰皿に投げ入れ、二人を連れて休憩室を後にした。

じりじりするような時間。
最終速度との関係からこれ以上の速度は出せない。
出したとしたら止まれないのだ。
ソロモンを越えて宇宙のかなたへ行ってしまう。
実際に我が軍も連邦も、被弾により推進器の暴走が始まって最終速度を突破してしまい、地球圏を飛び出してしまった軍艦は十指にあまる。
「後方より接近するものがあります。宇宙船のようです」
「宇宙船? この速度で?」
リーザがスクリーンを見上げる。
後方カメラの映像がスクリーンに映し出される。
「最大望遠です」
「?」
私も見上げる中、スクリーン内にダークグリーンの船体が映し出されてくる。
「敵味方識別信号グリーン。友軍です」
「友軍艦?」
その船は優美な流線形に左右に張り出した翼を広げている。
「艦形、及び熱紋照合。グラナダ艦隊所属の機動巡洋艦ザンジバルです」
「ザンジバル? あの新型艦?」
聞いたことがあるわ。
新型の機動巡洋艦ザンジバル。
大気圏突入能力を持つ最新鋭艦で、確かランバ・ラル隊が使用していたはず。
地上から上がってきたのかな?
「ワルトラントへの通信を傍受。どうやらソロモンへ向かっているようです」
通信兵がヘッドフォンで通信を傍受している。
お下げ髪の少女と言っていい娘。
学徒動員によって召集されたのだろう。
戦争が無ければきっと学校で恋と学業に熱中していたに違いないわ。
「スクリーンに出せる?」
「出せます」
すぐにスクリーンにワルトラントとザンジバルの通信が流される。
「!」
私はハッとした。
赤い軍服に目の周囲を覆うマスク。
あの有名な“赤い彗星”シャア・アズナブル・・・確か大佐だ。
『我々もソロモンへ向かっている。キシリア閣下は決してソロモンを見捨てているわけではない。今頃グラナダからは救援艦隊も進発している頃だと思う』
『それは助かる。我々は“あなたが”取り逃がした木馬を追ってここにいる。残念ながら捕捉はできなかったが』
ウッズマン大佐の神経質そうな顔がゆがんでいる。
名の知れた赤い彗星が取り逃がしてさえいなければ、我々がこんな所にいる必要もなかったと言いたげだ。
『木馬は連邦の切り札だ。そうやすやすと倒せる相手では無いよ。だが、手数をかける』
ザンジバルがブリュメルを追い抜いていく。
最終速度の違いがこうして形になって現れるのだ。
『どちらにしてもソロモンへ行けば木馬もいるだろう。君たちも急ぎたまえ。ソロモンが落ちる前に』
『わかっている! 速度が違うのだ。やむを得まい』
舌打ちするウッズマン大佐。
『では、先に行く』
敬礼をして通信を終わるシャア大佐。
そのままザンジバルは我々の艦隊を追い抜いていった。

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  1. 2006/06/13(火) 21:55:24|
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帰還

いよいよ日本対オーストラリアのキックオフですねー。
頑張れ日本。

まあ、こんな時ぐらいしかサッカー見ないほうなんですけどね。
Jリーグはあんまり見ないからなぁ。

でも、やはり、ここ一番の大舞台ですからね。
頑張れ日本。

ということで、ローネフェルトの帰還です。
とりあえずの戦闘終結です。

戦場から離脱する私とアヤメ。
艦隊の位置は始めの位置からそれほど変わっていない。
つまり敵艦隊に接近後、また離脱を始めたということ。
進路はソロモン。
おそらくソロモンに敵の攻撃が始まったんだわ。
「アヤメ、後ろは付いて来ている?」
私は後方を振り返る。
敵艦隊との交戦を終えて離脱を始めた味方機が見えるはず。
『はい、噴射炎は二機。一機落とされたようですぅ』
「・・・ええ」
私も確認した。
後方に追いすがって来ている噴射炎は二機分。
ワルトラントの小隊のうち一機を失ったのだ。
あのモビルポッドかもしれない・・・
あの黄色のジムかもしれない・・・
どちらにしろ我々の戦力では対抗し得なくなってきているのか?

『敵モビルスーツ、引き上げて行きます』
『た、助かったんだわ・・・』
二人の声が安堵に満ちる。
それも思わず息をつく。
運がよかった・・・
敵モビルスーツ一機撃破。
ニューヨークシティとの共同撃墜といったところか・・・
敵の新型は慣れていなかったのか?
軌道があまりにも素直すぎた。
もっともそれは他のスカート付きも言えたのだが、こちらの砲火が新型に集中したというに過ぎない。
それにしても・・・
ジム二機破壊。
ガンビア・ベイ中破・・・か・・・
『中尉・・・』
そばにやってくるソフィアのライトアーマー。
黄色の塗装が目立ちすぎる。
それでいながら無事に済んだのは彼女の腕前によるところが大きいだろう。
伊達に生き残ってきてはいないということだ。
「ご無事で何よりです。大尉殿」
『ありがとう中尉。あとで会いましょう』
俺は思わず口元がゆがむ。
「それは命令ですか?」
『うふふ・・・ええ、命令よ。バーナード中尉』
ライトアーマーがガンビア・ベイに向かう。
「了解です。大尉殿」
俺も部下たちを連れて帰途に着いた。

「ウェルマン少佐が戦死?」
『はーい。後方のリックドムよりのワルトラントへの通信を傍受しましたぁ』
戦闘が終わった途端にいつもの語尾を延ばす話し方になるアヤメ。
鼻にかかったような甘える声。
でも、なぜか聞いていると心地よい。
それにしても部隊長が戦死とは・・・
「ブリュメルまではあと少し。帰還したらすぐに状況を確認して伝えるわ。おそらく・・・」
『ソロモンですねぇ・・・間に合うとも思えないですけどぉ』
「それでも・・・よ・・・」
私は首を振る。
ソロモンが落ちるはずが無い・・・
あそこは私たちの家も同然なのよ。
落ちるはずが・・・

『こちらブリュメル。ビーコンを発進します。全速航行中ですので充分注意してください』
「了解」
私は15を着艦軌道に載せる。
三隻のウッズマン機動部隊は全速でソロモンに向かいつつある。
着艦のために速度を緩めるなどということも無い。
もちろんベクトルさえ合っていれば、速度差など無いようなものだ。
でも、この速度ではもし何かのデブリにでも衝突したら・・・
「アヤメ。先に行きなさい」
『了解ですぅ』
アヤメの09Rが着艦コースに乗る。
ブリュメルの後部ハッチにグリーンの信号が灯っている。
軽い噴射でそのままハッチに飛び込んで行くアヤメの09R。
私もそのあとに続いてブリュメルに着艦した。
  1. 2006/06/12(月) 21:20:05|
  2. ガンダムSS
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サラミス級巡洋艦ニューヨークシティ

アクセス情報はほぼ復旧したようです。
でも、この約三日間はカウントされません。
手前味噌で恐縮ですが、ほぼ3000のアクセス数が失われたことになります。
残念です。

今日はローネフェルトストーリーです。
よろしければお読みいただければと思います。

「さすがに四機とは・・・」
私は15をスライドさせ、囲まれないように軌道を変える。
私の軌道をマシンガンの弾がよぎる。
「やるわね」
一瞬遅かったら直撃されていたかもしれない。
僚機がいないのがつらいわね。
脱出しようにも推進剤がないし・・・
このまま燃料切れまで暴れるしかない。
私は目の前に近づいてきたジムにビームーサーベルを突き出す。
敵のシールドが裂け、左腕に損傷を与えるも致命傷にはならない。
慌てて距離を取りに後退するジム。
敵はこちらを囲んで格闘戦には持ち込ませない気のようね。

「その鎧には射撃武器がないんだ! 距離を保てば大丈夫!」
何か変だと思っていたがようやくわかった。
奴は射撃が出来ないんだ。
機動力もあり、ビームサーベルまで持ち出してくるような奴だが、射撃用の武器が無いみたいだ。
だとしたら対処は接近しないこと。
できるだけ軌道を読んでの射撃戦。
それしかない。
『そうみたいね。わかったわ、中尉』
落ち着いたソフィアの声。
なんか嬉しい。
いい女が自ら抱いてと言ってくるんだ。
男としては冥利に尽きる。
後はただ生き残るのみ。

距離をとるか・・・
当然だわね。
私だってそうするもの。
でもね。
漫然と距離をとっていると・・・
私はフットペダルを踏み込んで黄色のジムに15を向ける。
さっきの射撃はあの機体。
色違いということは隊長機かエースパイロット。
まずはそれを落とす!
私はビームサーベルを繰り出した。

「!」
足元をかすめるように滑り落ちる黄色のジム。
私のサーベルはかすりもしない。
「速い?」
ただのジムではないわけか・・・
なら、これはどう?
バーニアを吹かして一気に下降する。
このYMS-15は運動性では負けはしない。
推進剤が心細いが仕方が無い。
真横に流れて一気に切り裂く。
私の握るレバーに手ごたえが・・・
ビーー!
警告音?
ガクン!
衝撃?
一体何が?
スクリーンに映し出される各部の表示。
脚が!
左足が吹き飛んだ?
何が起こったの?

「やった!」
ついに捕らえた!
誰の弾かはわからないが、小隊の三機のボールの弾が直撃したのだ。
ソフィアのライトアーマーを直線的に追ってくれたおかげで軌道を読めたのがよかった。
あとは射弾を集中するのみ!
「続けて撃てぇっ!」
俺は怒鳴りながらもトリガーを引く。
AMBACのバランスを崩した鎧は機動しづらい。
何とか撃ち落せないか?
俺はそんな甘い考えを持ってしまっていた。

「右脚部バーニア推力カット。AMBAC自動補正。背部ノズル逆噴射。いったん離脱」
私は15を黄色のジムから離れさせる。
重心バランスが狂った状態ではサーベルを突き出しても当たらない。
補正をかけてバランスを取り戻さなくては。
「?」
うそ・・・
黄色のジムがこんなに早く?
スクリーンに映し出される黄色のジム。
マシンガンの銃口がこちらを狙って・・・
避け切れない?
私は身を硬くした。

急速に回避する黄色のジム。
「えっ?」
その位置を一発のロケット弾が過ぎ、同時にオレンジ色のビームが切り裂いていく。
『お姉様ぁっ!』
ヘルメットに響いてくる聞きなれた声。
アヤメ・・・
間に合ったんだ・・・
『無事か? 山猫!』
熱源がスクリーンに表示される。
艦隊のモビルスーツ隊だわ。
来てくれたんだ。
私はホッとした。

『ニューヨークシティより各機へ! ニューヨークシティより各機へ! 敵モビルスーツ接近! その数四機!』
「もう来ているってよ!」
俺は小隊の後退を命じる。
敵モビルスーツが五機もいるんじゃ話にならない。
「二人とも下がれ! ガンビア・ベイに後退するんだ!」
『り、了解』
『了解です』
俺はしんがりにつき、二人を急がせる。
ガンビア・ベイで弾幕を張れば少しは牽制になるだろう。
それしかやりようは無い。
モビルスーツに立ち向かうなんてのはこいつじゃ無理な・・・

『よくもお姉様を!』
アヤメの機が突っ込んでくる。
左脇にプロペラントのタンクを抱え、右手に構えたバズーカが火を噴いた。
黄色のジムはこちらの戦力が増えたことで態勢を立て直すつもりだろう。
いったん離れて行く。
バズーカの弾はかわされたが、アヤメの機が私のすぐ脇に来てベクトルを合わせる。
『お姉様、お待たせしました。推進剤です』
戦場でタンクを取り付けるなんてムチャな作業だわ。
「ミナヅキ少尉、タンクはあとで取り付けます。タンクを浮かべてあなたは敵へ!」
タンクを取り付けるには15の背後で09Rが作業をしなくてはならない。
そんなことをしていたら艦砲のいい的だわ。
『でもお姉様・・・推進剤切れの機では・・・それに敵艦隊にはウェルマン少佐の隊が向かっていますから』
「これは命令よ。敵に付け入る隙を与えないようにしないと」
『ですがすぐに終わります。取り付けるだけですから』
そう言ってアヤメの09Rは私の15の背後に回りこむ。
「アヤメ!」
『すぐに終わります!』
機体が接触するかすかな振動が伝わってきた。

「突っ込んでくる?」
まっすぐに向かってくるジオンの新型。
ザクでもスカート付きでもない。
グレーとグリーンの塗装の機体。
どうしてこうもいきなり新型ばかり出て来るんだ?
「抜かせるな!」
敵はジム隊をまったく相手にせずに向かってくる。
母艦を叩くのはセオリーだし、こちらは敵の鎧野郎にかまけすぎた。
残弾は残り二発。
これが最後の一斉射と言っていい。
ここを抜かれれば艦隊は直援のボール隊のみ。
はっきり言ってどうしようもない。
『ボール隊。バーナード中尉』
呼び出し?
「バーナードです」
『ニューヨークシティ艦長エイパー・シナプスである。これより貴隊の上角二度に主砲を撃ち込む。敵が回避したところに撃ち込みたまえ!』
なるほど!
「わかりました!」
俺はすぐに反応する。
「いいか、巡洋艦の艦砲射撃終了と同時に一撃を食らわすぞ」
『了解です』
『わかりました』
主砲を振りたてるボール隊。

『3・2・1・撃てぇ!』
シナプス艦長の号令がこちらにも聞こえる。
ニューヨークシティが通信をまわしてくれているのだ。
一隻はずれて果敢にモビルスーツの援護に入ってくれる頼もしい艦だ。
サラミス級の砲撃力を一番に発揮し、しかも敵に対する表面積を減らすために艦首を向けて航行している。
逃げ腰のガンビア・ベイとイシカリとはえらく違う。
これも艦長の違いなのだろうか。
ニューヨークシティのメガ粒子主砲が放たれ、我が隊の上をかすめて行く。
敵は新型が一機とスカート付きが二機。
それらがいっせいに回避に移る。
この瞬間だ。
一番軌道を読みやすい瞬間。
「撃てぇっ!」
俺は思いっきり叫んでいた。

「爆発?」
今の光は?
戦場は徐々に遠ざかっている。
敵艦は高速で避退中だし、こちらはベクトルを維持したまま漂流と言っていい。
推進剤の残量はみるみる増えている。
背面に取り付けられたプロペラントタンクからの流入が続いているのだ。
だが、満タンになったとして、再度の攻撃は難しいかも。
『モビルスーツの爆発みたいです』
どっちかの機が沈んだということか・・・
『お姉様。あれを・・・』
アヤメの09Rが空を指差す。
青の発光信号?
艦隊のいる方向に光る青い光点。
撤収命令?
何があったのか?
「アヤメ、引き上げるわよ」
『ハイ、お姉様』
私は15を帰路に乗せた。

[サラミス級巡洋艦ニューヨークシティ]の続きを読む
  1. 2006/06/06(火) 22:21:15|
  2. ガンダムSS
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二機目

アクセス情報が更新されないのは、どうやらMSN側に問題があるみたいですねー。
原因を調査中ですので、しばらくお待ち下さいとのことでした。

先週末の時点で291011でしたので、三十万ヒット直前での更新不能はちょっと残念ですー。
まあ、どうしようもないことなんですけどねー。

さて、ローネフェルトの続きですー。
お読みいただければ幸いです。

「くあっ、またしても新型か? ジオンの奴め」
俺は思わず毒づいた。
まるでどこかの屋敷にでも置かれていそうな中世の鎧。
それをモチーフにしたであろう新型のモビルスーツ。
薄い紫色のその機体は先日出会った新型機と同じぐらいに動きがよい。
『抜かれた? 中尉! そっちに敵の新型が!』
ソフィアの叫び声が入る。
スカート付きに翻弄されていたんだ。
抜かれるのも当然だろう。
「わかってます」
まっすぐに向かってくるジオンの新型。
それでいながら微妙に速度差をつけてくるあたりがベテランを感じさせる。
「エイボン曹長、チュイコワ曹長。ベクトルと軸線を俺の機に合わせろ。撃てと言ったら一斉射撃だ」
『了解です』
『了解』
こいつでどこまでやれるか・・・
きついな。
正面のモニターに映る紫色の鎧。
タイミングが・・・
「撃てぇっ!」
振動がコクピットに伝わってくる。
ボール三機の集中射が鎧に向かった。

来た!
私は思い切ってシールドを投げ捨てる。
ロケットを撃ちつくしたシールドは武器としては使えないし、シールドとしては心もとない。
意味の無い重量を抱えているほど余裕は無い。
だが、この瞬間にその重量は意味を成す。
シールドを放り投げた15はその反作用でわずかに軌道が変わるのだ。
私の脇を砲弾が過ぎて行く。
正確な射撃・・・
あのモビルポッドは侮れない。
小隊単位での集中射はこちらの装甲をいともたやすく抜いてくる。
だけど・・・
射撃偏差を取り直している暇は無い。
ここを抜けば敵艦へは一直線。
母艦を失えばモビルポッドは溺れるだけ。
かわいそうだけどこれは戦争なのよ。
私はバーニアを吹かして、敵のモビルポッドをかわして行った。

「クッ、だめか」
一瞬のチャンスにかけてみたものの敵はあっさりとかわして行く。
あとは弾幕を張ってまぐれ当たりに期待するしかない。
敵の狙いは明らかだ。
母艦を沈めて帰る場所をなくすつもり。
航続距離の知れているボールやジムなど、母艦が無ければ漂流するだけ。
見つかった時にはパイロットは死んでいる。
「二人とも反転しろ! 後ろから攻撃する!」
『『了解』』
俺は鎧がすり抜けたあとに後ろから攻撃することにする。
せめて至近弾でも当てられれば・・・
イシカリとニューヨークシティからも砲撃が始まる。
ガンビア・ベイも回避行動に入る。
そこへ向かって行く敵の鎧に俺は砲撃を開始した。

「ふふ・・・後ろをくれてやったからって、そう焦ってばら撒くことも無いんじゃない?」
後ろのモビルポッドが砲撃を開始する。
背後からの砲撃は確かに当てやすく感じるが、実際にはそうでもないのだ。
焦って読まれるような軌道を取りさえしなければ、敵のほうこそ好位置を得たと思って必要以上に焦ってくれる。
そこをちょっとAMBACで姿勢制御してやれば・・・
それにしても残念だわ。
マシンガンでもあればあのモビルポッドぐらいいつでも落としてやれるのに・・・
それに・・・
私はちょっとほっとしていた。
木馬じゃなかったのね・・・
目の前にいる敵艦は三隻。
補給艦と巡洋艦?
補給艦じゃないのか?
どっちにしても!

「くそっ、当たりゃしねぇ」
毒づいたところでどうしようもない。
当たらないという事実に変わりは無い。
『中尉殿! あれを!』
チュイコワ曹長が指し示す先にはガンビア・ベイがいる。
右舷ハッチを開けておおわらわでジムを出すつもりのようだ。
「遅いだろ!」
俺は舌打ちをする。
100年も前の太平洋で行なわれた海戦じゃあるまいし。
艦載機発進前に攻撃されるなんてお粗末過ぎる。
『ヨシュア・マクドゥエル。発進します! うわぁ!』
かすかに聞こえてくるパイロットの声。
ガンビア・ベイが急速回避行動に入ったために発進口で振り回され、壁にぶつかったのだろう。
『くそっ、母艦を・・・』
ようやくソフィアのライトアーマーが追いついてくる。
敵のスカート付きは逃げられたのか・・・
それにしてもたった一機で艦隊をやるつもりかよ。
俺は必死で照準器に敵の鎧を捉えようとした。

補給艦からモビルスーツ?
いまさら発進とはのんきなものね。
敵との遭遇を考えていなかったの?
まさか・・・
私はビームサーベルを振りかざす。
狙うは敵の補給艦。
小艦隊といえども、潰しておけば少しは楽。
発進したモビルスーツが向かってくる。
ふふ・・・
何となく笑いがこみ上げるわ。
発進時に母艦と接触するなんて素人なのかも。
連邦もたいしたことないわね。

『後ろに目でも付いているんですか?』
『当たらないよぉ・・・』
「泣き言はよせ!」
泣き言を言いたいのは俺も同じだ。
三機のボールの砲撃はいともたやすくかわされる。
それに、奴は的確に射線にガンビア・ベイを入れてくるのだ。
時限信管と近接作動信管を使っているとはいえ、味方撃ちは避けたいからどうしても攻撃の手が鈍る。
『ジムが行くわ』
『二小隊二番機。マクドゥエル様の機だわ』
俺は苦笑する。
まだまだ学生気分が抜けない二人の少女だ。
戦場という極限状況で擬似恋愛には事欠くまい。
ちょっとかっこいいジムのパイロットなら、女性兵士の憧れの的になる。
これで実力もあれば・・・
運でもいいから生き残れ。

「ジムなんでしょ? 私も乗ったわよ!」
直線的に突っ込んでくるジム。
背中からビームサーベルが引き抜かれ、赤い輝きがほとばしる。
「いい機体よね。でもね」
私は腕を振ってベクトルをずらし、そのまま脇をかすめるように動く。
敵のジムは動きが鈍い。
取り扱いに慣れていないのか?
私は苦笑した。
敵の機体に乗った経験があるパイロットはそうはいないだろう。
「射撃戦向きなのよ。その機体は!」
フットペダルを踏みこむ。
ぐんとジムが迫ってくる。
私はビームサーベルを振り下ろした。

『うわあっ!』
クッ・・・
俺は唇を噛む。
目の前で爆散していくジム。
相手が一枚も二枚も上手だ。
これではどうしようもない。
『ああ・・・』
『マクドゥエル・・・様が・・・』
愕然としているであろう声が聞こえる。
これが戦場。
生き残る技量が無い奴には生きる権利を与えてくれない。
しかし、何とかしなければ。

『いつまでも好きには!』
ソフィアともう一機のジムが鎧に向かう。
ガンビア・ベイからも遅まきながら残りの二機のジムが出る。
合計四機で囲めば少しは敵も・・・
『させないよ!』
ライトアーマーのマシンガンが火を噴いた。

[二機目]の続きを読む
  1. 2006/06/04(日) 21:25:34|
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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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