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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

新ユニフォーム決定

いつものごとくのゴキブリさんの続きです。
少々短めですが楽しいでいただければ幸いです。

10、
「うふふふ・・・素直なことはよいことよ。さあ、着てご覧なさい」
「ハーイ」
美沙は紙袋の中のレオタードを取り出しブーツや網タイツも手に取っていく。
「い、板鞍さん」
「サイズは合っていると思うわ。あなたたちのデータはお持ちなはずですから。」
音夢は舌なめずりをするようにして美沙がスカートのホックを外すのを見つめている。
「先生、いくらなんでも変です。レオタードの変更なら私たちよりも先に部長に言われるべきではないでしょうか?」
制服のスカーフを外し上着も脱ぎ始めた美沙から目をそらしながら瑠美はそう言って抗議した。
とにかく何かおかしすぎる。
こんなハイヒールのブーツで新体操ができるはずも無いし、ルール違反に違いない。
「うふふ・・・そうよね。蔭山さんに言うのが先ですわね」
音夢が妖しく笑みを浮かべる。
瑠美は自分の意見が届いたことにホッとした。
「そうです。百原先生や部長とも相談してからでないと決められません」
「心配は要らないわ。このレオタードを着用するように指示されたのは百原先生なの。」
「えっ?」
瑠美は耳を疑った。
百原先生自身がこのレオタードを?
どういうことなの? いったい・・・
「それにね、蔭山さんにはもうお話は通したのよ。入ってらっしゃい、蔭山さん」
『はい、粟崎先生』
ガラッと扉が開かれ、全身を黒で覆った蔭山えみりが入ってくる。
その姿はまさしく音夢と同じレオタードに網タイツ、それとブーツと手袋を身につけていた。
「着心地はどうかしら、蔭山さん?」
机の上で脚を組み直す音夢。
「はい、とても素敵な着心地です。躰が軽くて・・・生まれ変わったようです」
胸元に右手を当ててうっとりとした表情を浮かべるえみり。
「部、部長・・・」
「うふふ・・・香嶋さんも早く着なさい。これは新体操部の新ユニフォームに決まったことなのよ」
愕然とする瑠美にえみりは妖しげな笑みを浮かべてそう言った。
その笑みは普段のえみりからは想像もつかないほどの淫らさを持っていた。
「あ、あああ・・・な、なんなの・・・いったい・・・」
思わずあとずさる瑠美。
彼女は助けを求めるように美沙の方へ目をやった。
「い、板鞍さん・・・」
美沙はすでに網タイツを穿き終えレオタードを身につけていた。
そしてえみりが見せていたようなうっとりするような表情を浮かべていたのだ。
「い、板鞍さん・・・」
瑠美の背中を冷たいものが走る。
この場で彼女は一人ぼっちになってしまったように孤独感に捕らわれた。
「はあ・・・ん・・・これ・・・すごく気持ちいい・・・」
夢遊病のように虚ろな目をしながら美沙はブーツを履いている。
「そうでしょう? これはとても素敵なレオタードなのよ」
「うふふ・・・これで板鞍さんも私たちの仲間ね」
音夢とえみりの笑みがとても邪悪なものに感じる。
仲間という言葉が何かとても不吉なことのように瑠美には思えた。
「躰が軽いわぁ・・・とてもいい気分」
美沙は手袋をつけ腰に赤いサッシュベルトを巻いていく。
最後に首に赤いスカーフを巻いた美沙は、もう瑠美の知っている美沙ではないような感じがした。
「うふふ・・・どう? とてもいい気分でしょ?」
「はい。もうこのレオタード以外着るつもりはありません。新体操部のユニフォームはこれで決まりです」
自分の躰をかき抱くようにして両手を躰に回す美沙。
「うふふ・・・これであとは香嶋さんにも着てもらわなきゃね」
えみりが瑠美用の紙袋を手に取った。
「イ、イヤァァァッ!」
瑠美の悲鳴がこだました。

「それでは失礼します」
体育教官室の前で深々と礼をして三人の少女たちが廊下に現れる。
ところどころに蛍光灯が点いた薄暗い廊下を彼女たちは立ち去っていく。
にこやかな笑みを浮かべて他愛も無いおしゃべりに興じているところは他の女子生徒たちとなんら変わりが無い。
だが、その服装はまったく他の生徒たちとは違っていた。
三人ともが黒の網タイツにレオタード、そしてハイヒールのブーツに手袋をはめ赤のサッシュベルトとスカーフをしていたのだ。
「もう、瑠美ったらあんなに抵抗するんだもの」
「まったくだわ。押さえつけるのに大変だったのですよ」
「すみませんでした。まったく・・・どうしてあんなに抵抗しちゃったのかしら。こんな素敵なレオタードを着るのを拒んでいたなんて・・・」
えみりと美沙に対して申し訳無さそうにうつむく瑠美。
レオタードを着込んだ彼女にとって、これを着たがらなかったというのは愚かなことだったとしか思えない。
「明日が楽しみよね。部員みんなの分も届くんでしょ?」
「ええ、百原先生自らが届けてくださるらしいわ。選ばれた新体操部員たちのためにって」
「うふふ・・・なんか嬉しいな。選ばれた喜びを感じるわ」
えみりと美沙はすっかりこのレオタードが気に入ったようだ。
もちろん瑠美も今はこのレオタード以外を着るつもりなど無い。
学校指定の制服などわずらわしくて動きづらいだけだ。
だが、粟崎先生からは学校を出るときには制服を上から着るように言われている。
ちょっと残念だったが仕方なかった。
彼女たちはそれでも玄関に着くまでは制服を着るつもりは無かった。

「フシューッ、よくやったわ音夢」
入れ替わりに体育教官室に入ってくるゴキブリ女。
「イーッ、お褒めの言葉ありがとうございます」
音夢は無意識に右手を上げて敬礼していた。
変装用クリームのおかげで顔のペイントはごまかしているものの、すでにその顔には赤と緑の色が浮かんでいるはずだ。
「香嶋瑠美にはフェロモンを使わなければならないかと思ったけれど、無理やり着せちゃったわね」
「いけませんでしたでしょうか・・・レオタードさえ着せてしまえばと思いましたので」
少し叱責を恐れるようにビクッとする音夢。
「フシューッ、構わないわ。これで新体操部員は戦闘員に生まれ変わるわね」
「イーッ、彼女たちも光栄に思うでしょう」
「うふふふ・・・明日が楽しみね」
ゴキブリ女は妖しく笑みを浮かべたのだった。
  1. 2005/11/14(月) 21:58:15|
  2. デライトもの
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漫才コンビ

このたびマインドコントロールSSをたくさん掲載なさっているE=MC^2様から当ブログにリンクを張っていただくことができました。
大変光栄でとても嬉しくまたありがたいことでございます。

おかげさまで昨日は訪れてくださる方が一気に増えて、なんと一日で4700ものアクセス件数となりました。
これもひとえにE=MC^2様のおかげであり、訪れてくださる方々のおかげだと思います。
誠にありがとうございました。m(__)m

ところが残念なことに、こちらからのリンクが張れない状態が続いておりまして、当ブログからE=MC^2様へ行くことができない状態です。
MSNのサポートセンターの問い合わせをして、そのご指示通りにいたしてはいるのですが、何か問題があるらしくリンクができない状態が改善されません。

大変ご迷惑をお掛けしておりますが、改善に向け努力中でありますのでなにとぞご容赦をお願いいたします。

さて、今日もデライトの暗躍をつづっていきたいと思います。
改造洗脳レオタードによって女戦闘員となりつつある粟崎音夢が次に狙うのは・・・

9、
「クククク・・・改良された洗脳改造レオタードは効果的ですね。わずか一晩で肉体改造をほぼ終了しているようじゃないですか。この分では思考洗脳も明日には終わりそうですね」
スクリーンに映し出されている音夢、いや女戦闘員F131号の後ろ姿を見ながら含み笑いをもらすチャン・ザ・マジシャン。
「いかがです? ドクターリン」
「ふん。本来肉体の改造に二日も三日も掛かるほうがどうかしているんですわ。融合改造の戦士たちと違って戦闘員たちは肉体の強化と代謝の変更だけなんですから。今までが悪すぎるのですわ」
チャン・ザ・マジシャンに水を向けられたドクターは鼻を鳴らす。
洗脳改造用強化レオタードは彼女の担当ではなく機械工学部門が主となって改良を加えたものだ。
もちろん肉体の強化と代謝を変えるためのデータについてはドクターリンの生物化学部門が提供している。
それを元に微小機械であるナノマシンが織り込まれたレオタードが肉体を変化させ、パルスカラーと同様に脳に刺激を与え続けることによって思考を洗脳して行くのである。
もちろんレオタードだけではなく、ハイヒール状の強化ブーツや網タイツも同様に肉体改良に作用するのだ。
肉体改良を終えたレオタードは肌に密着し着用者の皮膚となって着用者の身を守る防護服の役割を果たすことになる。
防弾、防刃、耐熱、耐寒など内部の肉体をかなりの面で保護してくれるのだ。
拳銃の弾や砲弾の破片程度では戦闘員を殺すことはできないだろう。
もちろんむき出しの頭部はある程度損傷に弱い面も否定できないが、そこも頭蓋骨が相当の強度に強化されるため、鉄パイプや金属バットぐらいでは損傷を与えることはできない。
また、代謝も変化してしまうため、老化はかなりの間抑えることができ、実質戦闘員の寿命は100年ぐらいはあるだろう。
100年ではたいした違いは無いと思われがちだが、戦闘員たちはそのままの若々しさをそこまで保てるということであり、限界を迎えたときには急速に老化が進み瞬時に老衰死するのである。
もっとも、戦闘によって死ななければということになるが。
「クククク・・・まあそう言わないで下さい。彼らとて遊んでいるわけでは無いのですから」
「ふん、そうかしらね」
右手の中指でメガネの中心を持ち上げるドクターリン。
肉体改造を専門とする彼女にとって視力を回復するなどは雑作も無いが、メガネというアイテムを彼女は気に入っており、ゆえに使用を続けているのだった。
もっとも、チャン・ザ・マジシャンはリンの美しさを損ねているのではないかとも思っていたが。
「まあ、どちらにしても、この洗脳改造レオタードがあれば女戦闘員たちを大量に作り出すことができるのですよ。もっともそれにはある程度の素質が必要ですがね」
「フシューッ、お任せ下さいませチャン・ザ・マジシャン様。私の教え子たちならば必ずや優秀な女戦闘員に生まれ変わるはずでございますわ」
チャン・ザ・マジシャンが振り返ったのを感じて、跪いていたゴキブリ女が顔を上げる。
その表情は教え子たちがこれから試合場で晴れ姿を披露するのを楽しみにしている女教師のものだった。

「あーあ、ついていないわ。瑠美と一緒に呼び出しだなんてね」
ため息をわざとらしくつきながら廊下を歩いている女子生徒。
赤みの強いショートカットの髪の毛とくりくりした瞳が印象的な活発そうな感じを与える少女である。
「それは私のセリフです。私こそ板鞍さんと一緒に呼び出されるなど不本意ですわ」
同じく並んで廊下を歩いている女子生徒がぷいと顔をそらす。
長い腰まである髪の毛がつやつやと輝いていてまさしく碧の黒髪という表現がふさわしい。
切れ長の目と小さな口が顔全体を人形のように纏めており、少し冷たさを感じさせるもののお嬢様といった清楚さを漂わせていた。
「でも、何で呼ばれたんだろう」
「私たちが呼ばれるということは成績のことではありませんわね。それならば呼ばれるのは板鞍さんだけでしょうから」
くすっと含み笑いをする香嶋瑠美。
「うん、そう思う。って違うだろ、おい!」
何の気なしに返事をしたもののその意味を知って反論する板鞍美沙。
仲がいいとまでは言えないものの二人きりの時にはこうして冗談を言い合うこともできるのだが、後輩たちと一緒になるとなぜか素直になれなくなってしまうのだ。
「板鞍先輩の方がかっこいい」
「香嶋先輩の方がやさしい」
そういった後輩の声に私だってと思っているうちに二人は新体操部の二大リーダーになってしまったのだった。
後輩たちはある意味二人を偶像視してしまい、二人が仲が悪いものと決めてかかってしまっている。
それで後輩同士自体が相手側を避けてしまうようになり、グループが別れてしまっているのだ。
「まあ、確かにそれは冗談ですが、やはり部活のことだと思いますわ」
瑠美が表情を引き締める。
「だよね。鈴美センセもガッコ来てないみたいだし」
美沙は頭の後ろで手を組んでいる。
「風邪かもしれませんけど心配ですわ」
「鈴美センセあれでけっこう繊細なところあるからね」
「繊細でないのはあなたぐらいですわ」
しれっと言う瑠美。
「な、」
思わず美沙がにらみつけるが、瑠美は意に介した様子は無い。
「それよりも聞きました? 私たちを呼び出した粟崎先生のこと」
「ほえ? う、うん、聞いたよ」
はぐらかされてしまった美沙はそう言うしかない。
「白糸先生を完璧に無視しちゃったばかりか、逆に伸しちゃったんってんでしょ」
「伸しちゃったって言うのは違うらしいわ。無視された白糸先生が肩に手を掛けたときに脚がもつれて転んじゃったらしいわよ」
「あ、そうなんだ。でも粟崎センセらしくないよね網タイツとブーツだなんて」
「そうですわね」
二人にとって粟崎音夢は小柄な体育教師ということ以外にそれほど意味のある存在ではない。
もちろん体育の授業はきちんと行なうし、教師として無能と思うことは無いが、新体操部の顧問でコーチである百原鈴美ほどの存在感は無いのだ。
だから今回のことも普段の粟崎先生とはちょっと違うなという認識でしかない。
それがどういう結果を待つかはわかるはずも無かった。

日が暮れた体育教官室。
部活動が一通り終わったあとで顔を出すように二人は粟崎音夢に言われていたのだ。
もうすぐ夏休みなので、夏季合宿の打ち合わせかとも思ったが、それならば百原先生がいない今日はおかしいし、部長の蔭山えみり(かげやま えみり)が呼ばれるだろう。
二人のどちらを部長にしても問題があると考えた鈴美の決断だったが、結果はさして変わりが無く蔭山えみりはお飾り同然だった。
それでも一応は部長だし、行事や生徒会活動ならえみりが呼ばれるはずだったのだ。

コンコンと扉をノックする瑠美。
『どなた?』
扉の向こうから返事がある。
「香嶋です、それと板鞍の二名、まいりました」
『そう、他には誰もいない?』
えっ?
瑠美と美沙は顔を見合わせる。
他に誰かいるか?
普段教員室へ呼ばれたときにそんなことを尋ねられたことは無かった。
「は、はい、いません。二人だけです」
『そう、お入りなさい』
「はい」
二人はそっと扉を開く。
中に入った二人はそこで息を飲んだ。

そこには冷たい笑みを浮かべた粟崎音夢が、あろうことか机の上に座ってすらりとした脚を組んで二人を見つめていたのだ。
「あ、ああ・・・」
「セ、センセ?」
二人とも何がなんだかわからない。
当然だろう。
粟崎音夢はデライトの女戦闘員の黒いハイネックのレオタードに網タイツ、そしてグローブとブーツという姿だったのだから。
「扉を閉めなさい」
「は、はい」
何がなんだかわからないうちに美沙は後ろ手に扉を閉める。
「うふふふ・・・ようこそ選ばれたお二人さん。歓迎するわ」
片ひざを持ち上げ、両手でひざを抱えるようにかかとを机の上に引っ掛けた姿勢の音夢が妖しく微笑む。
「選ばれた?」
「先生、その姿はいったい?」
二人ともその視線は粟崎音夢に釘付けで、その異様なレオタード姿に戸惑いを感じている。
「うふふふ・・・素敵でしょう? とても気持ちがいいのよこのレオタード。あなた方も着ればわかるわ」
口の端をゆがめてくすくすと笑っている音夢。
「着てみればって・・・わ、私たちもですか?」
「ちょ、ちょっと恥ずいよ・・・」
瑠美も美沙もレオタードを着るのには慣れているし、大会などでは衆目を浴びることも多い。
しかし黒一色に赤のサッシュとスカーフという音夢の姿はちょっと躊躇ってしまう。
「ふふ・・・これからはこれが新体操部の衣装になるわ。いえ、戦闘員部かしらね」
「セントウイン?」
「え~っ? これが新体操部のユニフォーム?」
微妙に疑問を感じるところが違うようだったが、瑠美も美沙も何かが変なことは感じていた。
「うふふ・・・心配はいらないわ。私も着てみるまではいやだったけれど、これを着たらもう脱ごうとは思わないわ」
「先生どうしちゃったんですか?」
「まいったなぁ。瑠美は黒髪だから黒が似合うけどあたしは赤毛だから赤系がいいんだけどなぁ」
美沙はどうせなら赤がいいらしい。
「い、板鞍さん。そういう問題ではありませんでしょう?」
瑠美はあきれた。
何かがおかしいとは思わないのだろうか、彼女は。
「うふふ・・・残念ながら赤は無いわ。でも言ったでしょ。そんなことは気にならなくなるって」
音夢の妖しげな笑みがかえって瑠美には不気味だった。
こんな服装が新体操に許されるはずは無い。
それにユニフォームを変えるような話がなぜ粟崎先生から出てくるのか。
本来ならば鈴美先生から持ち出される話ではないだろうか。
「そうかなぁ。あたしでも黒似合うかなぁ」
「板鞍さん! 私は納得行きません」
「うんうん、瑠美の言いたいこともわかるよ。ちょっち恥ずいよね」
美沙がコクコクとうなずいている。
あ~・・・この娘は・・・
「でもさ、こうして見慣れるとさ、粟崎先生のこのカッコってけっこう格好よくない? なんかさ、SM女王様って感じもするし。あたし結構あれって好きなんだよね。あのボンデージって言うの」
「板鞍さん!」
瑠美は思わず声を荒げてしまう。
まったくこの娘は・・・
「え~っ、瑠美だって女王様じゃん。きっと似合うと思うけどな」
「似合う似合わないの問題じゃなくて・・・おかしいと思わないのあなたは!」
「何が?」
あ・・・
瑠美は絶句した。
だめだ・・・まったく気がついていない。
「うふふふ・・・とにかく着てみなさい。話はそれからよ」
音夢が机の脇にある紙袋を指し示す。
「えっ?」
「今着るんですか? ここで?」
さすがの美沙もそれには驚いたのだろう。
あっけにとられた様な顔をしている。
「大丈夫よ。カーテンは閉まっているし、もうここには誰も来ないわ。更衣室だと思えばいいのよ」
「そ、そんなこと言われても・・・」
「しっかたないなぁ」
瑠美のためらいをよそに美沙は紙袋に手を伸ばす。
「い、板鞍さん! あ、あなたここで着替えるつもり?」
「まあ、見られる心配ないみたいだし、粟崎先生もそう言ってるし」
紙袋の中身を取り出して並べて行く美沙。
「あ、あなた・・・このレオタードを着てみたいわけ?」
「えへへ・・・ちょっち」
あ・・・
瑠美はめまいがした。

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  1. 2005/11/08(火) 20:01:14|
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ゴキブリ女さんのイラストをいただきました

当方のブログと相互リンクをいただいておりますkiss in the darkのg-than様より大変素晴らしい贈り物をいただきました。

現在進行させていただいている暗黒結社デライトに改造された百原鈴美ことゴキブリ女さんの改造後のお姿をイラストで送っていただいたのです。

公開してもよろしいとの許可をいただきましたので、ここに公開させていただきますね。
もう、すごく素晴らしいイラストで素敵です。

g-than様はご自身のサイトでいつも素敵なイラストを公開されておられますので、ぜひぜひ皆様一度覗いてみて下さいませ。

画像をクリックすると大きな画面となります。
ゴキブリ女all

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  1. 2005/11/07(月) 21:43:37|
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今日は少しだけ

休みだというのにばたばたとしていて落ち着かなかったせいもあるんですが、今日は気分的に乗れなくて・・・
SSもスムーズに書き進められませんでした。
ちょっと短めですし、あんまりモエモエのシーンも入っていないですが、ご容赦下さいませ。m(__)m

8、
朝、音夢は目を覚ました。
すごく気分がいい。
こんなに体が軽く感じられるのはどうしたことだろう。
彼女はソファに寝転がっていた。
夕べはベッドに入る気がしなかったのだ。
ベッドで寝ているとすぐに行動を起こせない。
なぜだかわからなかったが、すぐに躰を動かせるようにしておくことが必要に思われたのだった。

ガリッという音がして床のフローリングに傷が付く。
音夢のブーツが傷つけてしまったのだが、彼女はふと目を落とし軽蔑するような眼差しをしただけだった。
強化ブーツで傷が付くようなやわな床だなんて・・・まったく気に入らないわね・・・
音夢はふんと鼻を鳴らし、ブーツのかかとで床を蹴る。
普段はぴかぴかに磨いてあるフローリングの床に傷が付くが、今の音夢には気にならない。
それよりも躰の軽さの方が気になった。
音夢はすっと立ち上がり、躰を動かしてみる。
こぶしを握り締めてパンチを繰り出してみたり、右足を高く上げてキックを蹴りだしてみたりする。
すごい・・・
躰にまるで羽根が生えたみたいだわ・・・
音夢は嬉しくなった。
狭い部屋だが物に触れずに宙返りをすることだってできた。
この分なら三階の窓から飛び降りても平気だろうし、二階建ての屋根の上に飛び上がることだってできるだろう。
戦うにはうってつけの躰だわ・・・
音夢はそう思い、ちょっと変な感じがした。
あれ?
私は誰と戦うのかな?
だが、その疑問はすぐに意識の奥底に沈んで行く。
戦うのだ。
彼女は戦闘員なのだから。
音夢は何も考えることなく顔を洗うために洗面所に行く。
洗面所の鏡に映った彼女の顔には薄く赤と緑の色が浮かんでいた。

電話のベルが鳴る。
「はい」
音夢は受話器を取った。
『フシューッ、おはよう、気分はどう?』
ゴキブリ女の声がする。
音夢はすっと右手を上げて敬礼をした。
それがまったく当然のように無意識に。
「おはようございますゴキブリ女様」
躊躇いも無くそう口にする。
彼女にとってゴキブリ女は指揮官であり従わなければならない存在だ。
『ふふふ・・・どうやら洗脳の効果が出てきたようね』
「洗脳・・・ですか?」
音夢にはよくわからない。
洗脳って何かしら・・・
私には関係ないことだわ・・・
私はただゴキブリ女様の指示に従うだけ。
「ご指示をどうぞ」
『フシューッ、放課後に新体操部の香嶋瑠美と板鞍美沙を呼び出しなさい。そして私に連絡を取りなさい』
「わかりました」
音夢はこくんとうなずく。
ゴキブリ女の言うことは絶対だ。
音夢には逆らうことなど考えることすらできなかった。
『玄関の袋にはあなたに必要なものが入っているわ。あなたは普段どおり学校へ行くのよ。いいわね』
「かしこまりました。ゴキブリ女様」
音夢の顔に笑みが浮かんだ。

いつもの時間に家を出る音夢。
しかし今日はいつものようににこやかな表情ではなかった。
笑みは浮かべているのだが、どちらかというと冷たい感じを与える笑みであり、事実彼女は周囲の人間を冷笑しているのだった。
夏にもかかわらずハイヒールのブーツを履き、ひざを隠すほどの長さのスカートからは網タイツが覗いている。
普段の彼女はあまり穿かないスカートだったが、今日はグレーのスカートを身につけていた。
上にはパステルブルーのブラウスを身につけているものの、驚いたことに首元には真っ赤なスカーフが巻かれていて、やはり普段の彼女とは違う雰囲気をかもし出している。
ふう・・・本当ならレオタードだけで過ごしたいのに・・・でもご指示には従わなくちゃ。
音夢はあの後電話で受けた指示通りの行動を取っていた。
与えられたバッグの中に入っていたクリームで顔の色をごまかし、ボトルに入った食事を取る。
音夢はまったく気にならなかったが、以前食べていた食事はまったく口にする気にはなれなかったのだ。
それよりも出かける前にはいつもなら行くはずのトイレにもまったく行く気にはならなかった。
ボトルでの食事と強化レオタードによって組成自体を変えられた肉体は排泄をせずに済ませられるのだ。
もちろん音夢はそれらがすでに当たり前のことに思えていた。
そして、レオタードの上に洋服を羽織って出かけることにしたのだった。

鷺ノ宮学園までは電車で二駅ほどである。
程なく音夢は学園に到着したが、すでに周囲には朝早い時間に登校してくる生徒たちの姿があった。
「おはようございます」
「おはようございます」
何となく普段の粟崎先生と雰囲気が違うことを察しながらも挨拶をしていく生徒たち。
そんな生徒たちをよそに音夢は薄く冷笑を浮かべたまま職員用通用口のほうへ向かって行く。
「おはようございます」
無表情でそのまま靴を履き替えもせずに入り込む音夢。
「あ、ちょ、ちょっと粟崎先生?」
玄関で校務員が声をかけるものの、音夢は振り返りもせずに行ってしまう。
「あ、あれ?」
校務員は首をかしげるしかできなかった。

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  1. 2005/11/07(月) 21:39:21|
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強化レオタード

今晩は。
風呂上りに一杯やっていい気分の舞方です。(笑)
今日も休みでしたのでゴキブリさんの続きを書きました。
よろしければ目を通してやって下さいませ。

あと、SSを今までのSSと、戦争物やガンダム物といったSS2とに分けましたのでご了承下さいませ。
それでは。

7、
そこに立っていたのは百原鈴美ではなかった。
黒と茶色のつやつやした外骨格を身に纏った異様な昆虫人間とでも言うべきものが立っていたのだ。
「ああ・・・いやぁ・・・」
恐怖のあまり床に尻餅をついてしまうその姿は麻理香と同じだ。
「フシューッ、今晩は粟崎先生」
人間の姿をとどめている口元からいつも聞き慣れた声がする。
「あ・・・あ・・・も、百原先生?」
必死に後ずさりながら、音夢はこの化け物が百原鈴美なのかどうかの問い掛けをした。
「フシューッ、ええ、私は百原鈴美よ。もっとも、それは改造される以前の名前ね。今の私は暗黒結社デライトのゴキブリ女なの」
すいっと躰を体育教官室に滑り込ませるゴキブリ女。
その動作はやはりゴキブリらしく無駄が無い。
「ゴ、ゴキブリ女・・・?」
スラックスが汚れることも構わずに床を後ずさり、ついに音夢は背中を壁に押し付ける形になる。
その様子を楽しげに見下ろしながらゴキブリ女はハイヒールの音を響かせて音夢の前に立った。
「ええ、そうよ。私はこの素晴らしい躰に改造されたの。お前たち下等な人間とはもう違うのよ」
酷薄そうな笑みを浮かべるゴキブリ女。
その長い触角がふるふると揺れている。
「フシューッ、これからは私たち暗黒結社デライトが人間どもを支配してあげるわ。まずは手始めにこの学園を支配するの」
「そ、そんな・・・」
誰か人を呼ばなきゃ・・・
音夢はそう思うものの躰はすくんでしまい、悲鳴を上げることすらできなくなっている。
「フシューッ、心配は要らないわ。お前は女戦闘員になれる素質があるわ。支配する側になれるのよ」
支配する側?
どういうことだろう・・・
ああ・・・でも逃げなくちゃ・・・殺されるかもしれない・・・
音夢は必死に逃げ道を探すが、彼女の前には両手を腰に当てたゴキブリ女が立っていてとても逃げ出せそうは無い。
背後の壁には窓があるが、ここは体育館の二階部分だから飛び降りるには高すぎる。
どうしたらいいのだろう・・・
音夢は絶望感に囚われた。

うふふ・・・この学園にはデライトの一員となる素質を持った女どもがたくさんいるわ。
チャン・ザ・マジシャン様がおっしゃられた通りね。
ゴキブリ女はチャン・ザ・マジシャンの命令を思い出す。
私立鷺ノ宮学園を女戦闘員の養成機関とすること。
それがゴキブリ女に与えられた使命だった。
生徒たちをフェロモンで簡易洗脳し、素質がある生徒には洗脳改造レオタードを着せて女戦闘員に育成するのだ。
そのための手駒は多い方がいい。
この粟崎音夢は女戦闘員として手駒にするにはふさわしいだろう。
うふふ・・・
邪悪な考えがゴキブリ女の胸中に沸き起こる。
ここでフェロモンを嗅がせて操るのは簡単だが、それでは何となく面白くない。
恐怖のまま人間を縛り付けるのも悪くないわ。
にやりと笑みを浮かべるゴキブリ女。
彼女は用意しておいた紙袋を粟崎音夢の前に放り出す。
「フシューッ、中身を出しなさい」
「えっ?」
音夢は目の前に置かれた紙袋に目をやった。
黒い紙袋には隅に小さく髑髏のマークが描かれている。
「早く開けて中身を出しなさい!」
「は、はい」
ゴキブリ女の声が荒くなったことで、音夢は慌てて中身を取り出した。

「こ、これは?」
音夢は今自分が置かれている状況が良くわからなくなってきた。
彼女の目の前には今取り出したものが整然と並べられている。
それは彼女自身の几帳面な性格からそうしてしまったのだが、並んだ品物は音夢もよく知っているものばかりだった。
「レ、レオタード?」
音夢の前に置かれているのは黒で統一された衣装だった。
黒のハイネックのレオタード。
黒い網タイツ。
黒い革のハイヒールブーツ。
そして黒い長手袋。
そしてワンポイントとして腰に巻くサッシュベルトと首に巻くスカーフだけが赤い色をしていた。
「フシューッ、そうよ、レオタード。裸になってこれを着なさい」
「ええっ?」
音夢は目を丸くした。
そりゃあ部活動などでレオタードを目にすることは多いが、彼女自身はほとんど着たことは無い。
体操部や新体操部の顧問ではない彼女は大体がジャージでいることが多いのだ。
ボディラインに自信が無い彼女はレオタードを着るなんて夢にも思わなかったのだ。
「早く着なさい!」
いらだったようにゴキブリ女はその鉤爪でロッカーの扉をぶち抜く。
鉄板でできているロッカーの扉だったが、まるで障子紙のように引き裂かれた。
「ああ・・・は、はい」
音夢はもう生きた心地がしない。
殺されたくない・・・死にたくないよぉ・・・
音夢は立ち上がってスラックスのベルトを外す。
そして自分がなぜこんなことをしているのかわからないままに服を脱いでいく。

うふふふ・・・
気分がいい。
人間どもを支配するのは最高の気分だわ。
ゴキブリ女の目の前で、恐怖に駆られた音夢が見る間に服を脱いでいく。
うふふふ・・・でも喜びなさい・・・あなたはその強化レオタードによって肉体を強化されていくのよ。
その強化レオタードを身に着けることはとても気持ちいいことのはず。
あなたはその快楽に包まれながらやがてはデライトの一員となれるのよ。
私に感謝しなさいね。
笑みを浮かべながらゴキブリ女はかつての百原鈴美が座っていた椅子に腰を下ろす。

音夢は服を脱ぎ終えると、救いを求めるように少しだけゴキブリ女の方を見た。
しかし何の反応もかえってこないことを知ると、覚悟を決めて下着も取り始める。
清楚な白のブラジャーとショーツを取り去り、生まれたままの姿になった音夢は美しかった。
彼女自身は自分の容姿にまったく自信を持ってはいなかったのだが、スタイル抜群とは言えないもののそのバランスは悪くなかった。
ああ・・・恥ずかしい・・・
幸い夜になっていたので窓にカーテンが掛けられているため外から見られる心配は無い。
だが、音夢にとって学校で裸になることなど考えたことも無かったことだ。
しかもわけのわからない化け物に威されるままに裸になっている。
恥ずかしさと情けなさとで音夢は泣き出したかった。
「フシューッ、何をしているの? 早くそのレオタードを着なさい!」
ゴキブリ女の声が響く。
音夢は泣き出しそうになりながらも網タイツを手に取った。
つま先まで手繰ったあと、そっと足先を入れて滑らせるようにたくし上げていく。
同じように左足も差し入れるとたくし上げながら腰まで持ち上げる。
網の目がすべすべしている彼女の脚をよりいっそう引き立てて美しく見せるが、今の音夢にはそれに気がつく余裕は無い。
それよりも網の目からはみ出す陰毛に気を取られ真っ赤になっていた。
ああ・・・恥ずかしい・・・こんなにぼうぼうだったなんて・・・ちゃんと手入れしていたはずなのに・・・
音夢は必死に股間を隠しながらさっさとレオタードを手にとって脚を差し入れる。
両脚を通してたくし上げ、長袖に手を通す。
健康的な肌色が真っ黒く覆われていくのを何か不思議な感じで音夢は眺めていた。
どうしたのかしら・・・ちょっと気持ちいいな・・・
すべすべするナイロン風の手触りを楽しむように左手の袖に右手の指を這わせる音夢。
素敵・・・レオタードってこんなに気持ちがいい服だったんだ・・・
「フシューッ、後ろを向きなさい」
ゴキブリ女が立ち上がると音夢に背中を向かせ、背中のファスナーを首筋まで上げていく。
躰に密着していく感触は音夢を夢見心地にすらさせていった。
気持ちいい・・・このレオタード気持ちいいよぉ・・・
うっとりしている音夢の表情はどこと無く淫靡ですらあった。

「フシューッ、気持ち良さそうね」
その言葉にハッと我に帰る音夢。
「あ・・・ああ・・・」
「フシューッ、気にすることは無いわ。そのレオタードを着れば当然の反応よ」
ゴキブリ女が微笑む。
「そ、そうなんですか?」
音夢は何となくホッとした。
続けて音夢は膝まであるロングブーツを履いていく。
黒革のロングブーツは踵がハイヒール状になっており、ハイヒールを普段履いていない音夢にとっては立ちづらかったが、それもすぐに慣れていく。
そして両手に黒革に長手袋を嵌めると、音夢の躰は見事に黒一色で染まってしまった。
ああ・・・なんだろう・・・すごく気持ちいい・・・
音夢は自分の躰を見下ろす。
レオタードに包まれた躰と網タイツに包まれた太もも、それにブーツを履いた足先は滑らかなラインを描いて素敵だった。
「フシューッ、さ、こっちへ来なさい」
「はい」
音夢は何も考えることなくゴキブリ女のところへ行く。
ゴキブリ女は赤いサッシュとスカーフをそれぞれ彼女に巻いてくれた。
「フシューッ、これでいいわ。見てごらん」
そう言ってゴキブリ女は音夢の両肩に手を置いて反転させる。
そこにはロッカーの扉の裏に取り付けられた鏡が音夢の姿を映し出していた。
黒いレオタードに赤いサッシュベルトとスカーフ。
それはあつらえたように音夢にピッタリだった。
その鏡の中の姿を見た瞬間、音夢にはこれ以外の服装をしている自分が考えられなくなってしまった。
これ以外の服を着るということ自体思いつかなくなってしまったのだ。
「素敵・・・」
つぶやくように音夢は言う。

「フシューッ、これでいいわ。もう家へ帰りなさい」
「えっ? 家に帰してくれるんですか?」
驚いたようにゴキブリ女に振り返る音夢。
まさか帰ることができるとは思っていなかったのだ。
「構わないわ。ただし、家に帰ってもその服装は脱がないこと。ブーツもね」
音夢はすごく気が楽になった。
そんなことでよければいくらでも言う通りにするつもりだった。
それに音夢にはこの服を脱ぐつもりはまったく無かったのだ。
「はい、言う通りにします」
「フシューッ、いい娘ね。それじゃ家まで送ってあげるわ」
「あ、はい」
音夢は言われるままにゴキブリ女の後について体育教官室を出る。

玄関までどう歩いたのかもよくわからなかった。
音夢にとってはこの服装でいることがただ気持ちよかったのだ。
玄関脇で警備員が倒れていたようだったが夢だったかもしれない。
気がつくと音夢は自分の家の玄関に立っていた。
そのままブーツを脱ぐことも無く部屋に入って行く。
お腹が空いているはずだったが、車の中で手渡されたボトルの中身を飲んだことで食事を取らなくても満腹感があった。
「うふふ・・・」
部屋の姿見であらためて自分の姿を見つめる音夢。
その表情は淫靡さを漂わせていた。

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  1. 2005/11/01(火) 20:43:07|
  2. デライトもの
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何なりとご命令を・・・

時間が欲しー。
思わずそう叫んでしまいたくなりますね。
借りているDVDも見なくちゃならないし、やりかけのエロゲーはやらなきゃならないし、そして何よりSSを書きたいし。
ということでとにかく書きたいSSを書くことにしました。
思ったほど書くことができませんでしたが、ゴキブリさんの続きです。
よろしかったら目を通してやって下さいませ。

6、
うつろな表情で自分を見上げている麻理香を見ていたゴキブリ女は、えもいわれぬ感情が沸き起こってくるのを止められなかった。
そう・・・人間を支配する喜び・・・
その感覚の虜になっていたのである。
「フシューッ、さあ、私の足をお舐め」
そう言ってゴキブリ女は自分の脚を麻理香の前に出す。
「はい、ゴキブリ女様」
麻理香は躊躇いもせずに恭しく這い蹲るとぺろぺろと舌で彼女の硬質な輝きを放つつま先を舐め始めた。
そのうっとりした表情はなまめかしい。
ああ・・・なんて素敵なの・・・
ゴキブリ女はその状況に酔いしれる。
そうよ・・・人間どもは私たちが支配してやるのよ。
私たち暗黒結社デライトが支配するの。
ああ・・・私はなんて幸運なのかしら・・・デライトによって改造を受けることができたなんて・・・
そうよ、私は暗黒結社デライトのゴキブリ女。
こんなことをしていられないわ。
ゴキブリ女は表情を引き締めると麻理香から足を引き離す。
「フシューッ、もういいわ。来なさい」
「はい」
麻理香も立ち上がるとふらふらとゴキブリ女のあとに続いた。

ああ・・・私ったらなんて恩知らずなことを・・・一刻も早く戻らなきゃ・・・
ゴキブリ女は首元に手を当てるとスイッチを押す。
パルスカラーには通信装置としての機能も持っているのだ。
「フシューッ、こちらはゴキブリ女。蜘蛛女、近くに居ますか?」
『シュシューッ、ええ、すぐ近くに居るわよ。どうしたの?』
すぐにゴキブリ女の頭の中に蜘蛛女の声が響く。
振動によって音声を伝えるこの装置は音を出さないため潜入行動などに支障をきたすことは無い。
「フシューッ、人間を一人連れてアジトへ行きたいのですが許可願いますか?」
『お待ちなさい。今確認を取るわ・・・OKよ。すぐに迎えに行くわ』
「お願いします」
ゴキブリ女は麻理香を連れて玄関先で待つ。
程なく黒塗りのワンボックス車がやってきてドアを開けた。

「シュシューッ、素敵よ、ゴキブリ女」
ワンボックス車の後部は向かい合わせに座ることができ、蜘蛛女の前にはゴキブリ女と夢遊病者のような麻理香が座っていた。
「フシューッ、ありがとうございます、私もこの躰はとても気に入りましたわ」
ゴキブリ女が妖しく微笑む。
「改造してもらってよかったでしょ?」
「フシューッ、ええ、あんなに改造を拒否していたなんて馬鹿みたいでした」
そう言ってゴキブリ女は改造された躰を愛しむように両手でかき抱く。
「シュシューッ、この女はどうしたの?」
「フシューッ、私のフェロモンの実験ですわ。戦闘員にできそうかなと思ったものですから連れてきました」
「そう、女性警官を操るとはなかなかやるわね」
蜘蛛女もくすくすと忍び笑いを漏らす。
「イーッ、間もなくアジトに到着いたします」
助手席のF91が振り向いた。
「シュシューッ、わかったわ」
蜘蛛女がうなずいた。

ひんやりとしたデライトのアジト内。
その中央にあるホールにゴキブリ女はやってきていた。
奥の壁には髑髏のレリーフが飾られ、その前には赤と緑の服装をしたデライト極東担当幹部のチャン・ザ・マジシャンが立っている。
ゴキブリ女はその前に跪くと頭を下げた。
「フシューッ、お赦し下さいませ、チャン・ザ・マジシャン様」
「クククク・・・お帰りなさい、ゴキブリ女。よく戻りましたね」
白く塗られた顔に不気味な笑みを浮かべるチャン・ザ・マジシャン。
その顔を見上げたゴキブリ女はとても気持ちが安らぐことに気がついた。
私は・・・私はどうしてここから出て行ったりしたのかしら・・・
こここそが私の居場所。
もう二度と出て行ったりはしないわ・・・
「申し訳ありません、勝手なことをいたしました。これからはチャン・ザ・マジシャン様の命令に心から服従いたします。何なりとご命令を」
「クククク、けっこうですね。早速あなたにはやってもらいたいことがあるんですよ」
そっとチャン・ザ・マジシャンはゴキブリ女の肩に手を置く。
その手が肩に触れたとき、ゴキブリ女は嬉しくて涙が出そうになった。
ああ・・・私は・・・私はこの方のためならば何でもできるわ・・・
「はい、何なりとお命じ下さい」
「クククク・・・」
チャン・ザ・マジシャンが不気味な笑い声を上げた。

「百原先生どうしちゃったのかなぁ・・・」
もう暗くなった窓の外をふと眺める粟崎音夢(あわさき ねむ)。
私立鷺ノ宮学園の女性体育教師の一人である。
小柄で華奢な体格で、茶色の髪と丸みを帯びた顔が実際よりずいぶん幼く感じさせるため、生徒から友達感覚で声を掛けられることが多い。
いつもは百原鈴美が新体操部の面倒を見ているが、今日は連絡も無しで休んでいたのだ。
そのため彼女が新体操部に顔を出したのだが、もちろん彼女に新体操のコーチができるわけは無い。
結局香嶋と板鞍が仕切る形で練習が行なわれたのだ。
まあ、二人とも実力は折り紙付きだし、後輩も慕っているようだから任せておいてもいいだろう。
風邪だとしても明日には連絡があるだろうし、百原先生がこのまま来なくなるわけじゃないだろうから。
音夢はそう思って日誌の記入を終えると帰り支度を始める。
今日は予定外の新体操部の面倒を見たので普段より遅くなっていた。
すでに校内に人は少なく、体育教官室には彼女しかいない。
「さて・・・と」
鞄を持って立ち上がる音夢。
机の上を振り返って忘れ物が無いか確認する。
そして再び向き直ると扉へ向かった。

コンコンとノックの音がしたとき、音夢はびっくりした。
「えっ? ど、どなた?」
思わず手にした鞄を取り落とすところだったのを隠すように平静を装う。
『フシューッ、うふふ、いてくれたのね、粟崎先生』
「えっ? 百原先生? 百原先生ですか?」
扉の向こうからした声はいつも聞き慣れていた声だった。
『うふふふふふ・・・』
何が楽しいのか、百原先生は笑っている。
そして扉が開かれる。
そこに立っていた姿を見て粟崎音夢は悲鳴を上げた。

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  1. 2005/10/31(月) 21:32:11|
  2. デライトもの
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フェロモン

今日はゴキブリさんの続きです。
身も心も変わってしまった彼女。
これからどういう行動に出るのでしょうか。

5、
黒のレオタードに網タイツ姿の女戦闘員が走ってくる。
「イーッ、目撃者の始末を終わりました。」
彼女は右手を上げて敬礼するとそう言った。
まだ高校生ぐらいの少女と言っていい感じの女性だが、発する言葉は普通では考えられない言葉である。
「シュシューッ、ご苦労様、F91号」
黒塗りのワンボックス車の後席で脚を組んで座っている蜘蛛女が笑みを浮かべる。
妖しく魅力的な笑みだ。
改造される以前にはさぞかし男の気を惹くに充分な笑みだったろう。
「イーッ、どうやらゴキブリ女様も改造された喜びに目覚めつつあるようですね」
「うふふ・・・当然でしょうね。改造された躰の素晴らしさに気が付けば、わがデライトの改造戦士であることを誇りに思うようになるわ」
蜘蛛女はそんなのは当たり前と言わんばかりだ。
「蜘蛛女様もそうだったのですか?」
「・・・ええ、そうね・・・」
蜘蛛女は表情を曇らせる。
「シュシューッ、以前の私は何のとりえも無い平凡な主婦だったわ。夫と娘に囲まれて日々を暮らすだけの無意味な存在だったの」
「蜘蛛女様・・・」
「でもね、あるとき偶然私はデライトに捕らえられてしまったのよ。そこで私は光栄なことにデライトの改造戦士の素体として選ばれたわ。改造を受けて蜘蛛女に生まれ変わった私は、今とても幸せなのよ」
そう言って蜘蛛女は優しく微笑んだ。
「シュシューッ、だからきっとゴキブリ女も自分が幸せであることに気がつくはずよ」
「イーッ、私もそう思います。私もデライトの女戦闘員であることに誇りと喜びを感じていますから」
右手を上げて嬉しそうにF91号も微笑み返した。
そのとき遠くからサイレンの音が近づいてくる。
「イーッ、蜘蛛女様、どうやら誰かが警察を呼んだようです」
運転席の女戦闘員F67号が振り向く。
「シュシューッ、なんてこと。仕方ないわ、ゴキブリ女がしくじるようなら始末しましょう。それまでは様子見よ」
「イーッ、了解です」
F91号もワンボックス車に乗り込みその場を離れ、様子を見ることにする。
程なく一台のパトカーがゴキブリ女のアパートの前に停車した。

「はあ・・・すごく気持ちいい・・・」
うっとりとした表情でそうつぶやくゴキブリ女。
姿見に映し出されたその姿はつややかな外骨格に覆われた昆虫特有の硬質さを持っている。
「うふふ・・・私はゴキブリ女・・・私はゴキブリ女」
自分の存在を確かめるように自らの躰を抱きしめるゴキブリ女。
彼女にとってもう百原鈴美という名前は意味を持たなくなっており、ゴキブリ女という名前だけが脳裏を支配しているのだ。
「うふふ・・・なんて素敵なのかしら・・・この躰・・・私に逆らう人間は皆殺しにしてやるわ・・・」
ぞっとする笑顔を浮かべるゴキブリ女。
かつての生徒思いの女教師はそこにはいない。
「?」
サイレンの音が近づいてくる。
「フシューッ、警察? うふふふ・・・誰かが呼んだのね・・・」
ゴキブリ女はぺろりと舌なめずりをした。

「ここですか? 化け物が人を襲ったって言うのは?」
パトカーのドアを開けて一人の女性警察官が降りてくる。
「ああ、まあ、いたずらだとは思うけど、ここの夫婦はしょっちゅう喧嘩をしててね。付近の住民から苦情も出ているから、それと関係があるかもしれない」
運転席の方からは中年の男性警察官が降り、そう言って彼女の方を見る。
「旦那の方は俺が話しをするから、君は奥さんと話をして欲しいんだ。以前男は旦那の味方をするから話したくないって言っていたんでさ、君に来てもらったんだ」
「それは構いませんよ。派出所勤務としては当然のことですから」
にこやかにうなずく女性警察官。
まだ若く栗色のショートカットが可愛い感じだ。
おそらく配属されたばかりなのだろう。
二人は何気なくアパートに近づいていくが、その夫婦の部屋の扉が壊れていることに気がついた。
「なんだ? ゆがんでいるぞ」
「何かで叩き壊したんでしょうか?」
二人の警察官は顔を見合わせると、部屋の中に入り込んだ。

「ご免下さい」
「お邪魔いたします」
二人が入っていくと、玄関先にどす黒い血だまりができていることに気がつく。
「こ、これは?」
「ヒッ!」
驚愕し、思わず口元を押さえる女性警察官。
「大変だ、応援を呼んでくる」
そう言って同僚が出て行くのを、吐き気を抑えながら何とかうなずく。
死体を見るのは初めてではないが、床に転がっている半ば潰れた首を見たのは初めてなのだ。
「ガフッ!」
ピシャッという音がして彼女の足元に赤い液体が撒き散らされる。
「えっ?」
口を押さえて下を向いていた彼女はゆっくりと振り向いた。

そこには外へ向かった同僚が立ち止まっていた。
だらんと両手を下にしてうつむいている彼の背中から妙なものが生えている。
グロテスクな鉤爪を持った昆虫の脚のようなもの。
その先からは赤い液体が滴り、彼の足元を見る見るうちに真っ赤にしていく。
「あ、後東さん・・・?」
彼女が派出所に配属されて以来何くれとなく面倒を見てくれた先輩警察官の名前を呼んでみる。
まるでその返事を聞けばこの悪夢から逃れられるような感じだったのかもしれない。
「うふふふ・・・」
後東警察官の向こうから笑い声が聞こえてくる。
まるで楽しくて仕方がなく、つい笑みが漏れてしまったかのよう。
「だ、誰?」
彼女の躰に震えが走る。
ガクガクとひざが震えてしまっているのだ。
「フシューッ、うふふふ・・・ぶざまよねぇ。こんなにもろい躰をしているんだものね」
ブンと腕を振り、胸を貫いた死体を振り払うゴキブリ女。
その姿があらわになり、女性警察官はぺたんと尻餅をついてしまう。
「あ、ああ・・・あ・・・」
「うふふふ・・・まったく人間てすぐ死んじゃうのね・・・」
鉤爪の先に付いた血を舌で舐め取るゴキブリ女。
「い、いや・・・いや・・・」
必死に後ずさりしようとするが、血濡れの廊下は滑ってしまう。
おびえた彼女の股間からはちょろちょろと液体が流れ始めていた。

ああ・・・なんて可愛いのかしら・・・
おびえて半泣きになっている女性警察官を見てゴキブリ女はそう思う。
この女を支配したら・・・うふふ・・・楽しそうだわ・・・
人間を支配する。
そのことこそが下等な人間に対する正しい接し方であるように彼女には思えた。
うふふ・・・この女で試してみようかな・・・
ゴキブリ女はにやりと笑うと目の前のおびえた女に話しかけた。
「フシューッ、うふふふ・・・心配はいらないわ。あなたは私が支配してあげる」
「し、支配?」
女性警察官は泣きべそをかき、ぶざまに彼女を見上げている。
「フシューッ、ええ、支配してあげるわ。私のペットにしてあげる」
「あ、ああ・・・そんなのいやぁ・・・」
涙を流しながらいやいやをするが、ゴキブリ女は冷酷な笑みを浮かべて見下ろしていた。
「フシューッ、ねえ、これを嗅いでみてよ」
ゴキブリ女は自分の股間からフェロモンを滲ませる。
それはたちまち気化して女性警察官の鼻腔をくすぐった。
「えっ? あ・・・はあ・・・ん・・・」
彼女は少しの間鼻をひくつかせると、すぐにうっとりとした表情を浮かべるようになる。
「ああ・・・ああん・・・」
「フシューッ、上手くいったようね。どう、気持ちいいでしょ?」
ゴキブリ女がそっと手を差し伸べる。
すると女性警察官はうっとりとして微笑みながらその手にのどを差し出した。
「はあ・・・気持ちいいですぅ・・・ああ・・・私・・・私ぃ・・・」
「うふふ・・・私はゴキブリ女よ。お前の名前は?」
ゴキブリ女は彼女ののどを撫でてやる。
「は、はい・・・私は・・・私は安栖麻理香(あんざい まりか)ですぅ・・・」
「フシューッ、私は安栖麻理香です、ゴキブリ女様。でしょ?」
意地悪そうにのどを撫でる手の動きを止めるゴキブリ女。
「あ・・・は、はい。すみません、ゴキブリ女様ぁ」
そういった麻理香の表情は幸せそうだった。

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  1. 2005/10/25(火) 21:17:05|
  2. デライトもの
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うふふ・・・私はゴキブリ女よ

鈴美先生のその後です。
個人的にはこうして精神がじょじょに変化して行くのが好きなんですが、やっぱり書ききるのは難しいですね。
今回もうまく心の変化を書ききれていないような気がします。
それと少し冗長になっているような気もしますので、読んでくださる方々にはちょっと辛いかも。
とりあえず投下しますので、よろしければ目を通してくださいませ。

4、
「どういうつもり? 家へ帰しちゃうなんて」
深い青さをたたえた瞳をメガネの奥から向けてくるドクターリン。
「クククク・・・なに、ちょっとした実験ですよ。パルスカラーが彼女を洗脳するのに周囲の環境がどれほど影響を与えるかをね」
チャン・ザ・マジシャンは不適に笑う。
その自信はパルスカラーと呼ばれる洗脳装置に向けられたものだった。
今まで何人もの改造戦士が作り出されてきた。
初期の頃の洗脳技術は未熟であり、裏切り者まで出る始末だったという。
改造されることによって人間とは違った存在になったにもかかわらず、あまりの変貌振りにショック死してしまったものもいた。
そういった失敗を積み重ね、現在もっとも信頼が置けるのが改造戦士たちに取り付けたパルスカラーと呼ばれる首輪だった。
微弱な洗脳波が装着者の脳にじょじょに影響を及ぼし、次第にその精神を暗黒結社デライトの改造戦士としてふさわしいものに変えて行くのである。
先日改造を施した蜘蛛女も、改造以前は優しく慈愛に満ちた主婦だったのだが、このパルスカラーによって今では冷酷で無慈悲な改造戦士として暗殺などに活躍してくれている。
「まあ、改造後の戦士に対してはあなたの権限ですからね。とやかくは言わないけど、目撃されたりしたらまずいんじゃない?」
仕方ないわねという感じで肩をすくめるドクターリン。
その顔にいたずらっ子の少女のような表情が浮かぶ。
「クククク・・・心配は要りませんよ、ドクターリン。すでに彼女はパルスカラーの影響下にありますからね。人間どもを取るに足りない存在と感じ始めているでしょう」
チャン・ザ・マジシャンはこれから起こることへの期待にわくわくするものを感じていた。

郊外にある古びた廃屋。
その地下室の扉が開く。
顔を出して周囲を確認する赤と緑のメイクを施した女性。
「イーッ、こちらです、ゴキブリ女様」
「フシューッ、ありがとうF115号」
無意識に身をかがめて周囲を探る鈴美。
ゴキブリ女と呼ばれることもこの女戦闘員からなら気にならなかった。
「さ、行きましょう」
小柄でまだ幼さの残る可愛いこの女戦闘員F115号を鈴美は気に入っていた。
だから何も考えずにその後ろに従うことができたのだ。
F115号は先に立って廊下を進み、アジトの隠れ蓑となっている廃屋のリビングに到達する。
そこには紙袋と鈴美のハンドバッグが置かれていた。
F115号はそれを拾い上げると鈴美の方へ差し出す。
「フシューッ、それは?」
「イーッ、ゴキブリ女様の着ていらっしゃったお洋服とかが入っています」
「フシューッ、洋服?」
鈴美は自分の躰を見下ろした。
言われるまで気がつかなかったが、今の彼女は裸と言っていいだろう。
でも・・・
服を着るなんて必要あるのかしら・・・
鈴美は不思議に思う。
服を着るなんてのは自分の肉体を保護する必要がある下等な人間だからだ。
だから今の私には・・・
そこまで思って鈴美は何か変なことに気がついた。
私・・・私は人間?・・・私は・・・私は・・・
「イーッ、どうなさったのですか、ゴキブリ女様?」
「え? あ・・・わ、私は・・・私は何なの? 私は人間じゃないの?」
鈴美は何がなんだかわからなくなる。
自分が人間なような気もするし、そんな下等生物とは違うという気持ちもあるのだ。
「イーッ、あなた様は我が暗黒結社デライトの改造戦士ゴキブリ女様。下等な人間のごとき汚らわしい存在ではございません」
F115号は心配そうに鈴美を見つめる。
その目には彼女に対する深い信頼が寄せられていた。
そうか・・・そうよね・・・私は改造戦士ゴキブリ女だったっけ・・・
何か釈然としないながらも鈴美は考えるのをやめた。
そして紙袋を受け取り中身を確認する。
シンプルな白のブラウスと紺のスカート、それにショーツとブラジャーが入っている。
鈴美はそれを見つめていたがどうにも違和感を感じて仕方が無かった。
私はこんなものを身につけていたというの?
服を着るということが必要だとは思えない。
だが、とりあえずは持って行くことにしよう。
鈴美はハンドバッグと紙袋を手に取ると玄関へ向かう。
「イーッ、そろそろ夜明けが近くなります。充分に気をつけてください」
「フシューッ、わかったわ、ありがとう」
鈴美は少し不安に思ったが、意を決して外へでる。

外はまだ星空が広がっていた。
その時になって鈴美は廃屋には明かりがまったく点いていなかったにもかかわらず、まったく見るのに不都合が無かったことに気がついた。
やっぱり私は改造戦士なんだわ・・・
そう思うと何か気分がよくなる。
鈴美は無意識に首もとの首輪に手を当てた。
「イーッ、少しお待ち下さい」
そう言ってF115号は玄関前に止められていた黒塗りのセダンのところへ行き後部扉を開けた。
「イーッ、どうぞ、ゴキブリ女様」
F115号が直立して待っている。
鈴美はすごく気分がよかった。
そうよ・・・そうだわ・・・これこそが秩序よ・・・正しい世界なのよ・・・
「フシューッ、ご苦労様」
そう言って鈴美はセダンの後部座席に座る。
すぐに扉が閉められF115号は運転席へ回り込む。
セダンの窓は全てシェードが掛けられ、外から内部を覗くことはできない。
唯一正面だけがシェードが無かったが、そこから内部はよく見えないだろう。
「イーッ、まだ通る車も少ないはずです。ご自宅の住所をお教えいただいておりますので、しばらくお休み下さい」
そう言ってF115号は車を走らせ始めた。
鈴美はすごく安心した気分になり、やがてうつらうつらし始めたのだった。

「イーッ、ゴキブリ女様、着きました」
その声に鈴美は目が覚める。
見ると窓の外にはいつも暮らしていたアパートがある。
周囲はそろそろ夜が明け始めて薄明るくなりかけていた。
「フシューッ、ありがとう、送ってくれて」
「イーッ、いえ、これも任務ですので」
F115号はにこやかに微笑んだ。
その笑みはすごく可愛い。
鈴美は長い触角を揺らしながら車から降り立つと、自分の部屋がある二階へ向かう。
朝早いため周囲に人影は無い。
鈴美は肩から提げていたハンドバッグから鍵を取り出すと扉を開けて中に入る。
F115号はそれを見届けて車を出した。

「フシューッ・・・」
バッグと紙袋を放り出し、ベッドに寝転がる鈴美。
いろいろなことがあって疲れているはずなのに躰は休息を欲してはいない。
先ほどうつらうつらしたのも躰ではなく頭がこんがらかっていることが大きかった。
私はいったいどうなってしまったのだろう・・・
一人きりになって鈴美はそう思う。
夕べ学校から帰る途中で蜘蛛女に私は捕らわれた・・・
そして暗黒結社デライトのアジトへ連れて行かれ、そこであのチャン・ザ・マジシャン様やドクターリン様に出会った・・・
いつの間にか彼らを様付けで呼んでいることに鈴美は気がつかなかった。
そしてゴキブリとの融合手術を受けたんだわ・・・
鈴美は自分の右手を見つめた。
黒と茶色の外皮に覆われた腕はつややかでとても堅く、力だって強い上に鋭い鉤爪が付いている。
ゴキブリと融合した素晴らしい躰だが人間どもにはこの美しさはわからないだろう。
私・・・どうしたらいいのかな・・・
長い触角をそのまま右手に取り、口元に持ってきて舌で舐める。
舌の感触が触覚を通じて感じられてくすぐったい。
学校へ行かなきゃ・・・
だが果たして学校へ行ってもいいのだろうかとも思う。
この躰じゃ生徒たちが怖がるかな・・・
そう思ったとき鈴美は言い知れない苛立ちを感じた。
この美しい躰は改造戦士たる証だわ・・・
それが人間どもにはわからないのよ・・・
元の躰なら・・・
元の躰?
あんな躰に戻ってどうしようというの?
この躰こそ私の躰・・・
素晴らしい躰なのよ・・・
鈴美は両手で躰を抱きしめる。
でも、どうしよう・・・
今日は学校休んじゃおうかな・・・
鈴美はベッドの上で体を丸めた。

ガチャーン!
皿の割れる音がする。
『出てって! 出てってよ!』
『お前こそ出て行け!』
怒鳴り声も聞こえてくる。
鈴美は頭を抱えた。
また始まったのだ。
アパートの下の階に住む夫婦はしょっちゅう夫婦喧嘩が絶えない。
そのたびに物が投げられ壊れる音や怒鳴りあう声で起こされるのだ。
朝早く出勤する主人が支度をしている時に限ってその妻が不満をぶちまける。
その結果朝っぱらからの怒鳴りあいとなって周囲に迷惑を振り撒くことになるのだった。
それにしても今日は激しいわね・・・
防音が不十分とはいえいつもはこれほどはっきり聞こえることは無い。
それが今日はまるでこの部屋で怒鳴りあっているかのように聞こえるのだ。
『いい加減にしろ!』
『あなたはいつもそうじゃない!』
怒鳴りあいの声が鈴美をいらいらさせる。
布団をかぶってもまったく効き目が無い。
うるさいわねぇ・・・
喧嘩ならどこか別のところでやってよ・・・
下等生物のくせに・・・
鈴美はムカムカと腹が立ってくる。
「フシューッ、ああっもう、うるさいわねぇ!」
布団を跳ね除け、かつかつと足音も高く玄関へ向かい外へ出る。
階段を下りるのももどかしかったので、手すりを越えて飛び降りた。
キャーという悲鳴が聞こえたような気がするがそんなことはどうでもいい。
鈴美は下の階の部屋の前に立つとどんどんと扉をノックした。
「フシューッ、ちょっといい加減にしてよね! こんな朝早くから喧嘩なんて!」
驚いたことに軽くノックをしたつもりだったが、扉がゆがんでしまい開いてしまう。
「えっ? キャー!」
玄関先に出てこようとしていた中年女がいきなり鈴美の顔を見て悲鳴を上げた。
「どうした。うわぁ、ば、化け物!」
奥から様子を覗いたこの家の主人も驚いて悲鳴を上げる。
ば、化け物ですって?
私が化け物?
下等生物のくせに・・・
鈴美は怒りが湧き起こるのを押さえ切れなかった。
目の前で口を開けて驚いている中年女の頬を張り飛ばす。
ベシャッという音がして廊下の壁が真っ赤に染まる。
鈴美の鉤爪が女の顔を切り裂き、首を刎ねたのだ。
ああ・・・
気持ちいい・・・
鈴美は壁に撒き散らされた血を見た瞬間軽くイってしまうほどの快感を感じた。
「あは・・・あはははは・・・」
うっとりと血塗られた鉤爪を見つめる鈴美。
「う、ウワーッ!」
部屋の奥へ逃げて行こうとする男。
「フシューッ、逃がしはしないわ。あははははは」
鈴美は熱に浮かされたように男を追いかけて部屋に入っていく。
そして男の襟首を掴むとそのまま壁に叩きつける。
男の頭部はあっけなくつぶれ、血と脳漿を撒き散らして絶命した。
「あは・・・あははははは・・・」
鈴美はうっとりとして笑い続ける。
気持ちがよかった。
ただ気持ちがよかったのだ。
鈴美はひとしきり笑い続けると足元の死体を見下ろして踏みつける。
「フシューッ、下等生物のくせに私をイラつかせるからよ」
そう言って部屋を出る鈴美。
どうやら何人かの人間どもが見ているようだが、邪魔になるようなら殺せばいいだろう。
そう・・・私は改造戦士ゴキブリ女なのだ。
下等な人間どもは支配してやるのだ。
そう・・・私は選ばれた改造戦士ゴキブリ女。
鈴美の心から『百原鈴美』という名前が消えていく。
笑みを浮かべながらゴキブリ女は自分の部屋に戻った。

「あらあら、騒ぎになっちゃうわよ」
スクリーンを見つめていたドクターリンがニヤリと笑みを浮かべる。
「クククク、ご心配は無用ですよ、ドクターリン」
赤と緑の服の襟に両手の親指を掛けおどけたようなポーズを取るチャン・ザ・マジシャン。
彼はいつでも真面目そうに見えることが無い。
しかしその手腕は確かで、幾つもの作戦を成功させているのだ。
「ゴキブリ女の周囲には女戦闘員と蜘蛛女が待機しています。騒ぎは短時間で収束するでしょう」
「なるほど。手回しがいいのね」
感心したようにうなずくドクターリン。
「クククク・・・あなたの傑作ですからね。失いたくはありません」
「そんなことを言うわりには危ない橋を渡るわね。アジト内で過ごさせれば意識変化も問題無いでしょうに」
ドクターリンがメガネの奥の瞳を無遠慮に向ける。
「クククク、言ったでしょう、実験だと。もし万が一改造後に脱走などされても問題無いのかどうかを確かめるためにね。もちろんパルスカラーの能力は実証済みではありますが、いつ不測の事態というものが起きるかわかりませんからね」
手にしたステッキをくるくると回してドクターリンの目を楽しませながらも、その目はスクリーンの方を向いている。
「うふふふ・・・そんなこと言いながら楽しんでいるんでしょ?」
「おお、もちろんですよ、ドクターリン」
チャン・ザ・マジシャンは右手を胸に当てて慇懃に腰を折った。

[うふふ・・・私はゴキブリ女よ]の続きを読む
  1. 2005/10/18(火) 21:34:49|
  2. デライトもの
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う、嘘でしょ・・・私の躰が・・・

いつもより早い時間ですが、鈴美先生の変化シーンをお届けします。
あと、10/11投下分で手術室にいた女戦闘員を白いレオタードの医療用女戦闘員に修正いたしました。
ご了承下さいませ。m(__)m

3、
「いやぁっ! やめてぇっ!」
鈴美が声を限りに張り上げるが周りの連中はまったく意に介さない。
「イーッ、おとなしくなさい」
以前見た黒レオタードの女たちとは違い、白いレオタード姿に赤と緑の不気味なメイクを施した女が鈴美の腕を取り、注射器を突き立てる。
「いやぁっ!」
毒々しい蛍光ピンクの液体がシリンダー内から鈴美の体内に注入されていく。
「あ、あああああ・・・」
不気味な液体が注射されることに恐怖のあまり声も出せなくなってしまう。
注射器の針が抜かれると、代わりにドクターリンと呼ばれた女性が近づいて鈴美の頬をそっと撫でた。
「うふふふ・・・素敵だわぁ。この引き締まった素晴らしい肉体が茶色く節くれだった外骨格に覆われて行くのよ。完成を想像しただけでもうイッちゃいそう・・・」
艶めかしく吐息を吐きながらうっとりと鈴美の躰を眺めるドクターリン。
「く、狂っているわ・・・」
「お黙り! 私は狂ってなどいないわ。私の能力を理解できない愚か者どもだけが私を気違い呼ばわりするけど首領様は違った」
鈴美の言葉にキッとなってドクターリンはにらみつける。
「首領様は私の能力を認めて私をデライトに迎えて下さったわ。人間を改造することに関しては私の右にでるものなどいない!」
「そんなことをするのは狂った人だけよ」
鈴美はそう言ったが、その間にじょじょに躰が熱くなってくるのを感じていた。
「はあ・・・はあ・・・」
「うふふ・・・あなたに注射した薬はあなたの細胞を遺伝子レベルから変えて行くことができるの」
「遺伝子レベル・・・から・・・?」
躰が火照る。
頭がぼうっとしてくる。
何がどうなっているのかわからなくなってくる。
「さて、次はこれよ。」
ドクターリンはガラス瓶の中で蠢く大きなゴキブリを見せつける。
ガラス瓶の中で行き場を求めて足を動かす様はかさかさという音が聞こえてくるようだ。
「いや・・・やめてぇ・・・」
火照る躰に苛まれながら鈴美は懇願する。
だが、その目の前でドクターリンはそのガラス瓶に蛍光グリーンの液体を注ぎこんだ。
液体はすぐにゴキブリを溶かしていき、ガラス瓶の中はただのグリーンの液体だけになる。
「うふふ・・・ごらん。ゴキブリの遺伝子がこの液体に溶け込んだわ。あとはこれをあなたに注ぎ込むの」
「いやぁっ!」
「あははははは・・・」
ドクターリンの高笑いが鈴美の悲鳴をかき消して行く。
そしてドクターリンは機械の一つにその蛍光グリーンの液体の入ったボトルを機械にセットした。
すぐに白レオタードの女戦闘員たちが機械から伸びるチューブを鈴美の躰に取り付ける。
彼女たちはドクターリンの手伝いをするべく看護師から改造されたドクターリン専用の戦闘員たちだった。
鈴美の右手に取り付けられたチューブからは彼女の赤い血が吸い出されていく。
そして一旦機械に吸い込まれるとグリーンの液体と混じりあい、どす黒い液体となって左手のチューブから鈴美の躰に再び流れ込んでいった。

ああ・・・体が熱い・・・いったい何なの?
鈴美は台の上で体を切なそうにゆする。
微妙な火照りが彼女の躰を悩ませる。
「ああ・・・ん・・・はあ・・・はあ・・・」
鈴美の口から漏れる吐息がじょじょに艶を帯びてくる。
「うふふ・・・さあ仕上げに掛かるわよ。細胞活性線を浴びせなさい」
「イーッ」
ドクターリンの命令に右手を高く上げ敬礼する女白戦闘員。
すぐさま彼女の操作で手術用の無影灯のようなものが天井から降りてきて色とりどりのライトを鈴美に浴びせてきた。
「ああ・・・ああ・・・」
ライトは鈴美に適度な刺激を与え、火照りを快感に高めて行く。
「はあ・・・ん・・・ああ・・・はあん・・・」
鈴美の表情が徐々にうっとりしたものに変わっていく。
「クククク・・・以前と比べるとずいぶん気持ちよく変化していくようですね。ドクターリン」
その様子を壁にもたれかかりながら含み笑いを浮かべているチャン・ザ・マジシャンが見つめていた。
「うふふふ・・・ええ、改造に対し嫌悪感を失くせばそれだけ後の洗脳もやりやすいでしょ?」
鈴美の躰の表面に浮かび上がり始めた黒いつややかな染みが、徐々に広がり始めているのをうっとりと見下ろしているドクターリンが振り返りもせずに答える。
「後のことまで考えていただくとはありがたいですね。もっともパルスカラーはそんなことは関係なく洗脳しちゃいますがね」
クククと含み笑いをもらすチャン・ザ・マジシャン。
彼の持つステッキにはいつの間にか鈴美用の首輪が掛けられていて、くるくると回転させられていた。
「まあそうかもしれないけど、変化はやっぱり気持ちいいほうがいいじゃない」
ドクターリンがそう言う目の前では鈴美の躰がじわじわと黒と茶の外骨格に覆われていくところだった。
鈴美の滑らかな皮膚はつややかな堅い外皮に変化して行き、額からはピンと長い触角がゆらゆらと揺れ始めている。
頭部も髪の毛の代わりにヘルメット状の外皮が被さり、つやつやと輝いている。
両手の先は細かい毛の生えた鉤爪のある指先に変わっていき、両足の先も足指が無くなりハイヒール状に踵が尖っていく。
黒と茶の外皮は鈴美の躰を満遍なく覆っていき、腹部は茶色い節々が細かい毛を持ちながら覆っていく。
形良い柔らかな胸も茶色い外皮で包まれていき、女性であることを示す性器も堅い外皮がカバーする。
背中には柔らかな翅が生え、その外側をつやつやした堅い外翅が包み込む。
目も複眼に変化した鈴美は唯一口元だけが人間らしさを保っていた。
もちろん皮膚は強化され、歯も牙状に変化しているので人間のままではないものの、比較的人間らしい形状をしていたのだ。
「うふふ・・・どうやら完成のようよ」
「クククク・・・これは見事ですね。素晴らしい改造戦士の誕生だ」
台上で横たわるゴキブリ女に二人は満足そうに笑みを浮かべた。

ひんやりした台の上で鈴美は目が覚めた。
あ、あれ・・・?
私はどうしたんだっけ?・・・
確か家に帰る途中・・・
そこまで思い出したとき、鈴美は天井に見慣れない奇妙な生き物が彼女を見下ろしていることに気がついた。
「ヒッ!」
思わず両手で口元を覆う鈴美。
だがその不気味な生き物は、鈴美と同様に口元を押さえたのだ。
「えっ?」
鈴美はその生き物をよく見ようとした。
いくつもの映像が重なり合ってその生き物の細かいところまでも良くわかる。
しかもそれは平板な板に映し出されたものだった。
「鏡・・・?」
鈴美はすぐに気がついた。
あれは天井にある鏡だ。
その鏡に映っているのは自分なのだ。
「あ・・・ああ・・・」
そうだ・・・私はあのピエロに連れて来られて白衣の女に不気味な液体を注射されたんだわ。
そして私は・・・
「目が覚めたようだなゴキブリ女よ」
鈴美は声のした方へ振り返った。
そこにはあの赤と緑のピエロが笑みを浮かべて立っていた。
「ち、違うわ。私は百原鈴美よ。ゴキブリ女なんかじゃない」
鈴美は上半身を起こして首を振る。
長い触角がふるふると揺れて空気の流れの中からかすかな気配さえ読み込んで行く。
この部屋には彼一人しかいない。
鈴美は何となくホッとして首に付けられた首輪にそっと手をやった。
ああ・・・気持ちが落ち着くわ・・・
鈴美はこの首輪がとても気に入っていた。
首輪なんて犬みたいだったが外す気にはまったくならなかった。
「クククク・・・そうでしたね。あなたは百原鈴美。これは失礼した」
慇懃に腰を折りふかぶかと一礼するチャン・ザ・マジシャン。
だが不気味な笑みはまったく変わりが無い。
だが鈴美はその笑みが素敵に思えた。
先ほどまで感じていた嫌悪感は消えうせていた。
それに今彼が呼んだ『百原鈴美』という名前もどういうわけかピンと来なかった。
彼女は百原鈴美のはずなのに、百原鈴美ではない。
そんな気がしたのだ。
鈴美は首輪を触り続ける。
それだけで心が落ち着いた。
「クククク、改造は終わりました。それでどうしますか?」
チャン・ザ・マジシャンが両手を広げて鈴美に問いかける。
「えっ? どうするって・・・どういうこと?」
鈴美はつやつやした外皮に覆われハイヒールブーツのようになった自分の脚をずらして、手術台に腰掛けるようにして向き直る。
「私としてはこのままあなたにここにとどまっていただき、我が暗黒結社デライトの一員となってくれることを望むのですがね」
白く塗られた顔がゴキブリと融合した鈴美を見つめている。
「ですが、あなたが家へ帰りたいというのなら止めはしません」
「えっ? 帰っていいの? 私、家に帰ってもいいの?」
肩をすくめるチャン・ザ・マジシャンに鈴美は思わずそう言っていた。
「構いませんよ。我が暗黒結社デライトは自主性を重んじますからね。あなたが帰ると言うならば帰っていただいてけっこうです」
「か、帰ります。私・・・帰ります」
そう言って鈴美は立ち上がる。
ゴキブリと融合した躰はとても軽く、今ならどんな難易度の技でもできそうだった。
すごい・・・躰がこんなに軽いなんて・・・
「ああ・・・実に残念ですね。せっかく素晴らしい素質をもち、ゴキブリ女になれたというのに・・・クククク・・・・」
鈴美はちょっと気が咎めた。
そう・・・せっかく改造してもらったのに・・・このまま帰っていいのだろうか・・・
「な・・・わ、私はいったい何を・・・」
鈴美はわきあがった感情に驚いた。
こんな躰にされたことを感謝するなんて信じられない。
「どうしたかな、百原鈴美?」
「な、なんでもないわよ!」
鈴美は気を落ち着けようと首輪を触る。
「そうですか、それは失礼。ですがこのアジトの入り口はいつでも開いていますからね。クククク・・・」
チャン・ザ・マジシャンは相変わらず不気味な笑みを浮かべていた。
「ち、ちょっと聞かせて下さい。この躰は・・・元には・・・」
「クククク・・・戻せるものではありませんよ。ですがそんなに嫌いですか?」
鈴美はドキッとした。
先ほどからこの躰でもいいかなという気持ちが鈴美の中には確かにあったからだ。
「き、嫌いに決まっています。ゴ、ゴキブリなんて・・・嫌い・・・だわ・・・」
ゴキブリが嫌い?
嘘だわ・・・
こんなに生命力に満ち溢れ環境適応能力の高い生き物は他に無いじゃない。
黒光りするつややかな躰・・・
素敵な生き物よ。
鈴美は思わず目をそらす。
そのままチャン・ザ・マジシャンの脇を通り抜け通路に出ると、一人の黒レオタードの女性が立っていた。
確か・・・彼女たちは女戦闘員って言うんだったわ・・・
すらりとしたスレンダーな躰にハイネックのレオタードがよく似合っている。
太ももの網タイツもふくらはぎを包む黒いハイヒールブーツもあつらえたようにピッタリだわ。
顔のペイントがすごく美しい。
デライトのために働く下級戦士たちだけど、彼女たちがいてこそ暗黒結社デライトは成り立っているのよね。
「イーッ、出口までご案内いたします、ゴキブリ女様」
片手を挙げて敬礼する女戦闘員。
最近は生徒たちだってこれほど礼儀正しくは無い。
鈴美はすごく嬉しくなった。
「フシューッ、お願いするわ女戦闘員さん」
鈴美は無意識のうちに特有のうなり声を上げていた。
「イーッ、F115号とお呼びください」
「フシューッ、わかったわF115号。行きましょう」
鈴美は女戦闘員とともに通路を歩いていった。

[う、嘘でしょ・・・私の躰が・・・]の続きを読む
  1. 2005/10/17(月) 21:12:01|
  2. デライトもの
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我がデライトに選ばれたことを光栄に思うのです

何とか改造シーンまで書きたかったのですが、ちょっとそこまでいたりませんでした。
改造手術台の上の鈴美さんをお楽しみ下さいませ。

2、
「シュシューッ、怖がることはないわ。あなたは我がデライトによって選ばれた存在。人間を超える存在になれるのよ」
不気味に微笑む蜘蛛女。
その笑顔は優しく見えるものの、口元の牙や額の球形の目によって人間離れしている。
「い、いやです! 誰か、誰か来てぇ!」
鈴美は大声で叫ぶと振り返って走り出す。
そこにいる異形の者から一刻も早く遠ざかりたかった。
それが何者なのかは知らないがそばに居てはいけない者だ。
鈴美は本能的にそう感じ、走り出したのだ。
「シュシューッ、馬鹿な娘ね・・・こんな素晴らしい躰にしていただけるというのに・・・」
蜘蛛女はにやっと笑みを浮かべると、トンッという音とともにジャンプする。
そして音もなく民家の屋根に降り立つと鈴美の先回りをするべく中腰で駆け出した。

「はあっ・・・はあっ・・・」
息を切らせながら鈴美は走る。
後ろを振り返るのが怖い。
振り返ってもしそこにあの蜘蛛女がいたりしたら自分は腰を抜かしてしまうだろう。
そう思うととても怖くて振り返られなかったのだ。

だが、その必要ななかった。
鈴美の正面の白いもやの中から再び蜘蛛女が姿を現す。
「あ・・・ああ・・・」
驚きのあまり立ち尽くす鈴美。
いったいいつの間に正面に回りこんだのか・・・
「シュシューッ、驚くことはないわ。私は改造戦士ですもの。人間など足元にも及ばない動きができるのよ」
カツコツとヒールの音が闇に響く。
くすくすと薄く笑いながら蜘蛛女はゆっくりと近づいてくる。
「い、いや・・・来ないで・・・来ないでよぉ!」
鈴美は必死になって叫び、再び踵を返して走り出そうとした。
だが、シュッという音がして鈴美は脚を取られてしまう。
「キャアッ!」
思い切り前につんのめって転んでしまう鈴美。
「シュシューッ、逃がしはしないわ。一緒に来てもらうわよ」
鈴美が振り返るとそこには蜘蛛女が両手に白い糸を持ち、その糸が彼女の足に絡んでいるのが見て取れた。
蜘蛛女の糸は股間から伸ばされ、それを彼女は器用に両手で操っている。
「いやぁっ」
鈴美は必死になって足に絡みついた糸を外そうと両手を伸ばしたが、粘つく糸は外れるどころか彼女の指先まで絡め取ろうとくっついてくる。
「ああ・・・いやぁっ」
指先に絡みつく糸を解こうとしてもまったくかなわない。
「シュシューッ。無駄なことはおよしなさい。私の糸はダンプカーだって動きを止められるほど強靭なのよ」
蜘蛛女はさらに糸を繰り出して絡み付ける。
鈴美がもがけばもがくほど糸は両手足に絡まって行き、動きを固められてしまうのだ。
「だ、誰かぁ・・・助けてぇ!」
鈴美はもはや助けを呼ぶしか手がなくなっていた。
だがまだ夜の8時ごろだというのに誰も家から出てこない。
これだけ叫んでいれば誰かが顔を出しそうなものだったが、それすらないのだ。
「シュシューッ、無駄よ。この一画は眠らせてあるわ。お前の叫びは誰にも聞こえないわ」
「そ、そんな・・・」
絶望に打ちひしがれる鈴美。
「シュシューッ、さて、それじゃお休みなさい」
蜘蛛女がそう言うと、彼女の背後から数人の黒いレオタードを着た女たちが現れる。
みんな一様に真っ黒なハイネックのレオタードに網タイツ、そしてブーツを履いている。
腰には赤いサッシュを巻き、顔には異様な赤と緑色のペイントを施していた。
そのうちの一人が身動きのできなくなった鈴美に近づくとスプレーを吹き付ける。
「ぐ・・・げほっ」
思わず咳き込む鈴美。
だが、すぐに彼女の意識は闇の中に沈んでいった。

ひんやりとした空気。
真夏だというのにとても肌寒い。
いったいどうしてなのだろう・・・
そう思ったところで鈴美は目が覚めた。
「!」
慌てて身を起こそうとした鈴美は、一瞬にして息が詰まった。
「こ、これは?」
鈴美の首も両手も両足もがっちり固定されているのだ。
かろうじて動かせる首を回すと、鈴美の両手首はベルトで土台と拘束されていたのだった。
そしてその土台の上に鈴美は寝かされていることに気がつく。
背中がひんやりとしているのはそのせいだった。
だが、それだけではない。
驚いたことに鈴美は裸だったのだ。
「う、嘘でしょ・・・」
鈴美はブラウスはおろかブラジャーすらはずされていることに驚いた。
しかも下半身もむき出しになっているのは間違いない。
「そ、そんな・・・」
鈴美は何とか首を動かして周りを確認した。
そこは薄暗く、壁際にはいくつかのスイッチ類やメーターが明滅していた。
人影はなく、天井からは小さな明かりだけが鈴美を照らしていて、まるで薄暗いスポットライトを浴びているようだった。
私はいったいどうなるのだろう・・・
心細さが鈴美を捕らえて離さない。
声を上げて助けを呼びたかったが、裸では呼ぶのにもためらいを感じてしまう。
これからいったいどうなるのかしら・・・
鈴美の目には自然と涙が浮かび上がっていた。

「クククク・・・目が覚めたようですね」
声が響き、室内が明るくなる。
鈴美は自分が円形の台に載せられていることがわかった。
天井の一部が鏡のようになっているのだ。
鈴美は顔をそむけるようにして声のほうを向いた。
そこには赤と緑の衣装を着たピエロが立っていた。
白いメイクに鼻の頭や頬などに赤いワンポイントがあしらわれている。
テレビや映画などで見かけるピエロがそこに立っていたのだ。
「あ・・・あなたは?」
「これは失礼。自己紹介が遅れましたね。私はチャン・ザ・マジシャン。暗黒結社デライトの極東方面担当幹部というところです」
チャン・ザ・マジシャンは恭しく一礼し、その不気味な顔に笑みを浮かべる。
「チャン・ザ・マジシャン・・・?」
私はいったいなんでこんなところにいるのだろう・・・
この男はいったい何者なんだろう・・・
鈴美は何がなんだかわからなかった。
「クククク・・・その通りですよお嬢さん。我が名はチャン・ザ・マジシャン。以後お見知りおきを。クククク・・・」
「わ・・・私をどうするつもり?」
身動きできない鈴美は唇を震わせている。
「おやおや、震えていますね。心配は要りません。あなたは生まれ変わるのです。我が暗黒結社デライトの一員としてね」
チャン・ザ・マジシャンはにこやかに鈴美のそばへやってくる。
「そう、あなたはこれより改造手術を受けるのです。そして我が組織の改造戦士として生まれ変わるのですよ。クククク・・・」
そう言ってチャン・ザ・マジシャンは鈴美の額の髪を梳いていく。
鈴美はその行為にぞっとしたものを感じたが、どうすることもできなかった。
「いや・・・いやよ・・・お願い・・・家へ帰して・・・」
弱々しく懇願する鈴美。
だが、チャン・ザ・マジシャンはまったく構わずにこう言った。
「始めてください。ドクターリン」

「ええ、早速」
そう言って入ってきたのは白衣を纏った女性だった。
小柄な女性だが金髪と青い瞳はそれなりに整っている。
柔らかなラインを描く脚は網タイツに覆われており、黒いブーツが引き締めていた。
メガネの奥の眼差しは知的なものを感じさせるが、彼女を捕らえているのはただ改造への欲望だけだった。
「うふふふ・・・初めまして素体さん。私は暗黒結社デライトの生物化学担当のドクターリン。あなたの改造を担当するわ」
ドクターリンはメガネをすっと直し、にこやかに微笑みかける。
「あなたは運がいいのよ。我々デライトに選ばれたのですもの。もう人間などという脆弱な生物ではなくなるのよ」
人間じゃなくなる?
鈴美はドクターリンの言葉が信じられなかった。
だが、彼女を捕らえたあの蜘蛛女は特撮の着ぐるみなどではなかった。
まさしく女と蜘蛛が融合した生物だったのだ。
「や、やめて・・・お願いやめて・・・」
首を振り訴える鈴美。
しかしドクターリンはすでにいくつかの機械装置をセットし始めていた。
そして幾人かの白いレオタードの女たちが壁際の装置を操作し始め、室内にはブーンという機械の作動音がかすかに響き始めていた。

「クククク・・・ドクターリン、彼女はどんな改造戦士にするつもりです?」
「うふふ・・・この素体は元は体操選手だったのですよね」
ドクターリンの目がおびえる鈴美を見下ろしている。
「体操ではなく新体操ですよ。ドクターリン」
「くすっ、失礼、そうでしたわね。そこでその躰のしなやかさを生かしてゴキブリと融合させますわ」
そう言ってドクターリンはボトルに入った巨大なゴキブリを手元に取り寄せる。
それは黒と茶色が混じったつやつやした翅を持つ気味悪い生物であり、鈴美にとっては見るのもいやな生き物だった。
「クククク・・・ゴキブリですか。それはさぞかし素敵な改造戦士になるでしょうね」
不気味に微笑むチャン・ザ・マジシャン
しかし鈴美にとっては死刑宣告の方がまだましにさえ思える。
「い、いやぁっ! ゴキブリなんていやぁっ!」
鈴美は声を限りに叫び、必死になって拘束から逃れようともがくが、彼女を押さえ込んでいるベルトはびくともするものではなかった。
「お、お願い。何でも言うことを聞くから・・・ゴ、ゴキブリはいやぁ!」
「うふふ・・・そう嫌うものではないわ。この滑らかなラインはあなたの女性らしさを存分に引き出してくれるわよ。おほほほ・・・」
ドクターリンはいつものように手の甲を口元に当てて高笑いをする。
醜い生物と美しい女性を組み合わせることで生まれる新たなる美しさ。
それこそがドクターリンにとっての美というものであった。


今日はここまでです。
ゴキブリモチーフは2chでSM様が使われていて重なってしまうのですが、個人的にドクターリンのように醜いものと美しい女性の融合に萌える方なので、あえてゴキブリにしちゃいました。
嫌いな方には申し訳ありませんです。m(__)m
それではまた。

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(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
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