fc2ブログ

舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

魔のかけら(4)

1000日連続更新達成記念SS第二弾「魔のかけら」
今日は最終回です。
最後まで楽しんでいただければ幸いです。

読み終わったあと、よろしければ拍手なりコメントなりをいただけるとすごくうれしいです。
皆様の反応が一番の励みになりますので、よろしくお願いいたします。m(__)m


ハア・・・ハア・・・
カラダが熱い・・・
ゾクゾクスル・・・
テアシガうまくウゴカナイ・・・
ワタシハどうなるの?
腕がシビレル・・・
アタマガイタイ・・・
ウアアア・・・
カラダガヘンダヨォ・・・

めりめりと音がする。
私の両腕が二つに裂けて行く。
それぞれが二本の腕となり、指も五本ずつそろってる。
ざわざわと全身から太い毛が生え始め、見る間に私の躰を覆って行く。
お尻の上側がぷくりと盛り上がり、腰が少し浮いてくる。
ああ・・・
そうなんだ・・・
私は蜘蛛になるんだ・・・
大蜘蛛様にメスにふさわしい躰になるんだわ・・・
私は二本になった右手を上に伸ばしてみる。
それぞれがまったく意識せずに動いてくれる。
うれしい・・・
腕が二本しかなかったなんて信じられない・・・
自由に動く四本の腕。
そのそれぞれに黄色の毛が縞状に輪になって生えている。
綺麗。
黄色と黒の体毛。
両脚も同じように縞模様に覆われ、腰の両側には小さな蜘蛛脚が生えてくる。
くふふ・・・
小さいけど、這い回るには便利そう。
人間の形が色濃く残っている私の躰。
でも悪くない。
私は蜘蛛人間。
大蜘蛛様のメス蜘蛛なのよ。

私のあごが左右に割れる。
それぞれが触肢と鋏角に形を変え、歯は牙へと姿を変える。
額には黒く丸い単眼が生まれ、私は愛する大蜘蛛様の姿を何重にも見ることができた。
お尻は巨大なふくらみとなり、黒と黄色の毛が覆う。
私は蜘蛛。
大蜘蛛様のメス蜘蛛。
私は糸を伝って地面に降りると、割れたガラスに自分の姿を映してみた。
綺麗・・・
全身は女のラインを保持したまま黒と黄色の毛が縞模様を作っている。
なんて素敵なのだろう。
私は蜘蛛に生まれ変わったんだわ。
私はうれしくて、いつまでも自分の姿を眺めていた。

                       ******

日が昇る。
私は満腹になった躰を大蜘蛛様のそばに横たえる。
なんて幸せなんだろう・・・
大蜘蛛様と一緒にいる喜び。
そして、初めて獲物を狩った喜び。
私は満足して舌なめずりをする。

人間がこんなに美味しいものとは知らなかった。
私は生まれ変わった姿で自分の家に戻ると、寝ていたお母さんを食べてきた。
驚いて暴れるお母さんを糸でがんじがらめにして噛み付いた。
血肉がとても甘くて美味しい。
私はお腹いっぱいになるまでお母さんを貪り食ったのだった。

ピク・・・
何かが近くにいる・・・
私は気配を感じて目を覚ます。
今は昼間。
私たちにとってはつらい時間。
大蜘蛛様の躰はまだ完全ではない。
今この場を悟られるのはまずい。
私はゆっくりと起き上がり、糸の感触を確かめる。
あちこちに張り巡らした糸が、侵入者の存在を教えてくれる。
わざわざこんなところに来るなんて・・・
でもいいわ・・・
私は思わず笑みが浮かぶ。
大蜘蛛様の栄養にはちょうどいい。

私は糸壷から糸を出し、天井に絡めて這い登る。
工場の屋根に上がって這い回り、侵入者を探る。
くふふふ・・・
四本の腕と両脚、それに腰の蜘蛛脚が私の躰をすばやく這い回らせてくれる。
なんて素敵なのかしら。
蜘蛛って最高だわ。

いた。
工場の入り口からこちらを覗いている人間。
中の様子をうかがっている。
白い着物に緋色の袴。
長い黒髪を後ろで束ね、きりっと引き締まった表情で緊張しているよう。
くふふふ・・・
朱音さんだ。
うれしいな。
朱音さんがやって来たんだ。
きっと、魔のかけらを探しに来たんだ。
前回私に任せて大蜘蛛様と戦う羽目になっちゃったから・・・
今回は自分でかけらを取り込んだ大蜘蛛様の存在を確認しに来たってところよね。
大蜘蛛様がここにいることがわかれば、きっと郁美ちゃんを呼ぶんだろうな。
くふふふ・・・
そうはさせない。
朱音さんをここから帰すわけには行かない。
そうだ・・・
朱音さんも大蜘蛛様のメスになればいいんだ。
朱音さんならきっと素敵なメス蜘蛛になる。
くふふふふ・・・
それがいい・・・

恐る恐ると敷地内に入ってくる朱音さん。
かけらの魔の気配を感じたんだろうけど、大蜘蛛様が極力気配を殺しているので確信がもてなかったに違いない。
だから郁美ちゃんや私に連絡を取る前に確認しに来たのだろう。
朱音さんらしい。
知ってた?
私はそんな朱音さんが大好きだよ。
郁美ちゃんにはもったいないよ。
朱音さんはきっとすごく素敵な蜘蛛になれるよ。
一緒に大蜘蛛様のメスになろうよ。
きっとすごく気に入ってもらえると思う。

私は気配を殺して朱音さんの背後に回る。
糸を梁に絡めて両脚に引っ掛ける。
するすると糸を出しながらゆっくりと地面に向かって降りて行く。
くふふふふ・・・
朱音さん。
蜘蛛ってとっても素敵だよ。
私は地面に降り立つと、糸壷の糸を引き出して網を作る。
そして、一気に投げつけた。

                       ******

朱音さんを捕らえるのは簡単だった。
私の蜘蛛糸で作った網はそう簡単には抜けられない。
朱音さんは何が起こったかもわからずに、躰の自由を奪われたのだ。
必死で逃れようともがく朱音さん。
でも、ちょっとだけ麻痺毒を注入したらすぐにおとなしくなった。
くふふふふ・・・
可愛いものね。
私はぐったりとなった朱音さんを抱きかかえ、大蜘蛛様のところへ連れて行く。
くふふふふ・・・
四本の腕はとっても便利。
私は器用に糸を伝い、巣の中心に向かっていった。

糸にくるまれた朱音さん。
私はそっと糸をはずし、巫女服を脱がして行く。
わぁ・・・
肌の色がとても白い。
美しい・・・
人間にしておくのはもったいないよ。
早く蜘蛛になってもらわなきゃ・・・
私は朱音さんを裸にすると、逃げられないように両手首と両足首に糸を巻きつけて巣に固定する。
大蜘蛛様がのそりと起き上がり、ゆっくりと近づいてくる。
くふふふふ・・・
だめですよ大蜘蛛様。
この女は獲物じゃないんです。
この女は大蜘蛛様のメスになる女なんですよ。
だから食べずに可愛がってあげてくださいね。

「う・・・あ・・・」
朱音さんが目を覚ましたようね。
くふふふ・・・
可愛い。
食べちゃいたいぐらい。
「こ、ここは・・・えっ?」
朱音さんの目が見開かれる。
裸で両手両脚が固定されていることに気がついたんだ。
くふふふふ・・・
「コンニチハ」
私は人間の言葉で話しかける。
「ひっ? あ、あなたは・・・」
視界に入ってきた私の姿を見て驚いているわ。
くふふふふ・・・
こんな素敵な姿なのにね。
「コンニチハ、アカネサン」
「そ、そんな・・・狭霧ちゃん? あなたは狭霧ちゃんなの? その姿はいったい?」
身をよじって自由になろうともがく朱音さん。
だめだよ。
私の糸は人間の力ぐらいじゃ絶対に切れないんだから。
「クフフフ・・・エエ、ワタシハサギリ。ドウデスカ、コノスガタ? ステキデショウ?」
私はその場で一回転して、蜘蛛になった姿を見てもらう。
黒と黄色の毛で覆われた躰はとても素敵でしょ?
すぐに朱音さんもこうなるわ。
「そんな・・・どうし・・・て・・・」
あまりのことに声も出ないのかな?
そんなに驚くことないのにね。
「クフフフ・・・ワタシハオオグモサマノトリコンダマノカケラノオチカラデ、メスグモニシテイタダイタノ。トッテモキモチイインデスヨ」
私は朱音さんに説明する。
そうすれば朱音さんも納得するはずだわ。

「ああ・・・なんてこと・・・私があの時一人で行かせたばかりに・・・」
唇をかみ締めている朱音さん。
くふふふ・・・
何も悔やむことないのにね。
私はメス蜘蛛になれてとても幸せ。
生まれ変われたことを感謝しているのに。
「狭霧ちゃん・・・郁美が来たら元に戻れるよう何とかしてみるわ。だからお願い。これを解いて」
朱音さんは何とかして逃げ出そうとしているみたい。
でもだめ。
それに郁美ちゃんなんかに来て欲しくない。
郁美ちゃんなんか大嫌い。
「ダメデスヨ、アカネサン。ニガシマセン」
「狭霧ちゃん・・・あなたはもう身も心も・・・」
「クフフフ・・・スグニアカネサンモソウナリマス。イッショニオオグモサマノメスニナリマショウ」
私は朱音さんの上にかがみこむと、つんと突き出た胸に舌を這わせる。
「ひゃあっ」
くふふふ・・・
可愛い声。
素敵なメス蜘蛛になりそう。
一緒に大蜘蛛様に可愛がってもらいましょうね。

私は朱音さんが舌を噛んだりしないように糸を結って猿轡をする。
こうしちゃえば舌を噛むなんてできないよ。
そして朱音さんの胸に鋏角を突き刺し、傷をつける。
赤い血が一筋たれて、私は思わず舐めとった。
「クフフフ・・・アカネサンノチハオイシイ」
「ムグッ・・・ムググッ・・・」
身をよじる朱音さん。
でも逃れるすべはない。
私は自分の腕に噛み付くと、私の体液を朱音さんの胸に注ぐ。
傷口から私の体液が朱音さんの躰に混じり、魔への変化を促すのだ。
「ステキデスヨ、アカネサン」
私は体液を朱音さんの胸になすりつけながら、耳元でそっとささやきかける。
「ムグー・・・ムググ・・・」
恐怖に染まった朱音さんの表情は美しかった。

私は再び朱音さんの胸に舌を這わす。
胸の先端を舌で転がし、おへその周りをそっと愛撫し、密生する叢を指でそっとかき分ける。
くふふふふ・・・
朱音さん可愛い。
そっと両手で朱音さんの頭を押さえ、私はやさしくキスをする。
猿轡の隙間から唾液を奥に流し込む。
くふふふ・・・
私の体液がじわじわ効いてくると思うわ。
大蜘蛛様と同じく、私の体液も朱音さんを切なくしてくれるはず。
今にあそこがジンジンしてくるよ。

私は躰をずらすと、朱音さんの股間に顔を近づける。
濃厚なメスのにおいがあふれてくる。
私は叢をそっとかき分け、湿ったところに舌を這わせた。
「ムグゥー!」
朱音さんの躰がビクンと跳ねる。
とろりとした蜜が流れ出す。
私は蜜を味わうように、朱音さんの奥まで舌を伸ばして行く。
「ムグッ、ムググゥー!」
躰をびくびくさせて快楽を感じている朱音さん。
くふふふ・・・
うれしいな。
私の舌で朱音さんが喜んでくれているんだ。
本当は私も産卵管で朱音さんとつながってみたいけど、それはまだ先の話。
だからその前にたっぷりと朱音さんの体をほぐしてあげるね。
私は舌と触肢をやさしく使って、朱音さんのあそこを愛撫する。
それだけで朱音さんの躰は軽く絶頂を迎えていた。
これで準備は整った。

私は最後に朱音さんにキスをして、たっぷりと唾液を注ぐと脇へどける。
あとは大蜘蛛様にお願いしなくちゃ。
大蜘蛛様に朱音さんを犯してもらうの。
精液と一緒にかけらの魔を注ぎ込んでもらい、朱音さんをメス蜘蛛にしてもらうのよ。
くふふふふ・・・

                      ******

「アア・・・アアア・・・キモチイイ・・・キモチイイノォ」
ぬちゃぬちゃと音を響かせて大蜘蛛様を受け入れている朱音さん。
両脚を絡め、四本の腕で大蜘蛛様の頭部を抱きかかえている。
黒と黄色の毛が全身を覆い、お尻は大きく膨らんでいる。
あごは二つに割れて触肢と鋏角を形成し、額には黒い単眼が輝いていた。
「クフフフフ・・・ドウデスカアカネサン。オオグモサマノメスニナッタキブンハ?」
「アア・・・サイコウ。サイコウナノォ。メスグモニナレテシアワセヨォ」
全身を貫く快楽に歓喜の表情を浮かべている朱音さん。
くふふふ・・・
もうすっかり朱音さんも一匹のメス蜘蛛ね。
私は大蜘蛛様の背中から回り込み、朱音さんにキスをする。
ドロッとした唾液が絡まり、二人の間に糸を引く。
素敵・・・
私たちはメス蜘蛛。
大蜘蛛様の忠実なメス蜘蛛なの。
これからは二人でたくさん巣を張らなくちゃね。
人間どもは美味しいよ。
朱音さんもきっと気に入るはず。
たくさん食べようね。
でもその前に・・・
「ネエ、アカネサン。ヤラナクチャナラナイコトガアルンダケド」
「クフフフフ・・・エエ、イクミヲシマツスルコトネ」
「エエ、オオグモサマノジャマニナルタイマシヲホウッテハオケナイワ」
「クフフフ・・・ワカッテルワ。アノコハフタリデタベチャイマショ。キットオイシイワヨ。クフフフフ・・・」
朱音さんが素敵な笑みを浮かべる。
これから食べる郁美ちゃんの味を想像し、私も笑みがこぼれるのだった。

END
  1. 2008/04/13(日) 19:06:13|
  2. 魔のかけら
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6

魔のかけら(3)

今日めでたく阪神金本選手が2000本安打を達成、同時に新井選手も1000本安打を達成しました。
阪神も快勝し気分もいいです。
金本選手、新井選手、おめでとうございました。

さて、1000日連続更新達成記念SS第二弾「魔のかけら」
今日は三夜目です。
楽しんでいただければ幸いです。


ふ・・・くっ・・・
ハアハア・・・
だめ・・・
授業に集中できない・・・
ハア・・・
躰が・・・
躰がうずくよぉ・・・
私はもう我慢できずにスカートの上から秘部をなぞる。
ショーツはもうさっきからぐしょぐしょに濡れている。
どうしちゃったんだろう・・・
躰が熱い。
エッチな気分が止まらない。
一人エッチしたい・・・
一人エッチしたい・・・
したいよぉ・・・
ペン先で擦ったりつついたりしたけどぜんぜんだめ。
それどころかますますしたくてしたくてたまらなくなっちゃう。
ハア・・・ハア・・・くうぅ・・・
指がもう止まらない。
私は周りを確認して、みんなが授業を聞いている中でおもむろにスカートを捲り上げる。
濡れてべちゃべちゃになったショーツの上から指を差し入れ、叢の中に忍ばせる。
ハア・・・気持ちいい・・・
指先がひだを擦り、膨らんだお豆をつんつんと刺激する。
私はもうそれだけで天にも昇るような快感が背中を駆け抜けていく。
はあ・・・ん・・・
指が秘部の奥の敏感なところに触れたとき、私は授業中にもかかわらずにイッちゃっていた。

「大丈夫、狭霧ちゃん? なんだか顔が赤いわ」
お昼休み、ふらふらと歩いていた私に郁美ちゃんが声をかけてくる。
「あ、大丈夫だよ」
私はそう答えたけど、郁美ちゃんはあんまり信じてないみたい。
あれから午前中だけで五回はイッちゃったの。
だから顔が赤いのはそのせいだと思う。
風邪とかじゃないから心配は要らないのになぁ。
「本当? 具合悪いなら保健室に行ったほうがいいよ」
「大丈夫だってば!」
私は思わず声を荒げてしまう。
郁美ちゃんは具合が悪くなったら朱音さんが看病してくれるんでしょ?
私が具合悪くなったって保健室に行けばいいって言うだけで・・・
朱音さんを独り占めするなんて許せないよ。
どうして朱音さんは郁美ちゃんのお姉さんなのよ。
どうして朱音さんが私のお姉さんじゃないのよ。
そんなのってずるいよ。
朱音さんを独り占めするなんてずるいよ。
「狭霧ちゃん・・・」
「もういいよ。私は大丈夫だからほっといて」
私は郁美ちゃんに背を向けると、自分の教室に向かって走り去った。

止まらない・・・
私の躰はどうなっちゃったんだろう・・・
午後の授業の間もずっと私のあそこは疼き続ける。
ふらふらしながら家に帰ってきて、早々にベッドにもぐりこみ一人エッチをしてしまう。
止まらない・・・
何度もイき果てる私の躰。
止まらない・・・
どうしちゃったんだろう・・・
怖い・・・
恐ろしい・・・
自分の躰がどうしようもなくなっている。
怖い・・・
恐ろしい・・・
でも・・・
でも・・・気持ちいい・・・
気持ちいいよぉ・・・

何も食べたくない。
お母さんには躰の具合がちょっと変だと言って食事を断った。
心配して部屋に覗きに来てくれたけど、私は布団をかぶったまま生返事をしていた。
ううん・・・
私の手はずっとあそこをいじりっぱなしだったのだ。
何度も何度もイき果てているのに・・・
躰がまだまだ快楽を欲している。
指の動きが止まらない。
ううん・・・
止まらないんじゃないわ。
止めたくないの・・・

誰もが寝静まった真夜中。
躰の火照りは止まらない。
私はゆっくりとベッドから起き出した。
躰の火照りを止めなくちゃ・・・
躰の疼きを癒さなきゃ・・・
私はそっと窓を開ける。
ひんやりした夜の空気が気持ちいい。
私はパジャマのままで外に出る。
裸足のままで飛び降りる。
行かなくちゃ・・・
素敵な場所に行かなくちゃ・・・
私はしんと静まり返った街中を、その場所目指して走っていった。

これは夢?
これは現実?
わからない。
あそこがジンジンする。
躰が疼いて切ない。
癒して欲しい。
私のあそこを犯して欲しい。
大きなあれで犯して欲しい。

私は一軒の廃工場にやってくる。
以前資金繰りが悪化して倒産したとか言っていた。
そんなことはどうでもいい。
ここにいる。
ここにいらっしゃる。
私を癒してくださる存在がここにいらっしゃるの。

私はまったくためらわない。
だって、ここにいらっしゃるのだもの。
ためらう理由など何もない。
私は入り口からは見えづらい奥のほうへ歩いていく。
ひんやりとした空気が気持ちいい。
所々に割れたガラスが落ちている。
踏むとじゃりっと音がする。
ちょっとだけ血が出るけど気にしない。
奥へ行かなくちゃ・・・
そばへ行かなくちゃ・・・

ひしゃげた大きな鉄の扉。
無理やり捻じ曲げられたに違いない。
この奥。
この奥に行けばいい。
私は広げられた入り口を通り、工場の建物に入って行った。

ふわ・・・
私は驚いた。
そこは宮殿。
白と黒に染め上げられた宮殿とも言うべきものだった。
黒々とそびえる廃工場の機械類。
そこに放射された白く輝く糸の群れ。
獲物を捕らえ、そして邪魔者を排除する巨大な巣。
幾何学的な模様が闇に映え、幻想的な美しさをかもし出していた。
そして・・・
その中央に大きな大きな蜘蛛の姿が見て取れた。

あ・・・
私はふらりと前に出る。
巨大な巣の美しさに心奪われていたのはほんの一瞬。
行かなくちゃ・・・
行って疼きを沈めてもらわなきゃ・・・
行ってこの身を犯してもらわなきゃ・・・
大きな蜘蛛は動かない。
じっと耐えて傷を癒しているのだろう。
おろかにも私が傷つけた腹部の傷。
かなりの深手だったはず。
謝らなくちゃ・・・
おろかな私を赦してくださいって謝らなくちゃ・・・
私は手近な糸に手をかけると、四つんばいの格好でのぼっていく。
どこに手や足を乗せればいいか、私はすでに知っていた。
両手と両足で躰を支え、巨大蜘蛛のところへのぼっていく。
ああ・・・
なんて素敵なんだろう・・・

私は巨大蜘蛛の前にたどり着くと、大きく両手を広げてアピールする。
巣の中心は糸が密生していて、立ち膝になっても大丈夫。
私はゆっくりとパジャマを脱ぎ、下着もすべて脱ぎ捨てる。
いくつもの単眼が私の躰を眺めている。
はあ・・・ん・・・
躰が熱いよ・・・
お願いです・・・
私を・・・私を犯して・・・
私はうっとりと大きな蜘蛛の毛むくじゃらの躰を眺め、両手でそっと頭部に触れた。
蜘蛛も前の二本の脚を延ばして私の躰を抱き寄せる。
私は蜘蛛の頭にそっと口付け、下にもぐりこむように寝そべった。

蜘蛛の頭が私の胸に迫ってくる。
鎌のような鋏角がそっと私に触れてくる。
あ・・・
気持ちいいよ・・・
全身に走る甘い快感。
抱いて・・・
私を抱いて好きにして・・・
触肢から液体がにじみ出てる。
あごのところの触肢がメスの性器を探している。
私は触肢を手繰り寄せ、優しく導いた。
ここ・・・
ここが私の性器なの。
あなたの触肢を入れて欲しいの。
私をあなたのものにして。

ずぶりという感触が伝わってくる。
初めての痛みが全身を貫いた。
私は必死で声を押し殺し、痛みに耐えて我慢する。
でも・・・
でもうれしい・・・
これで私はメスになった。
これで私はこの蜘蛛のメスになったんだ・・・
私は痛みと喜びの中で意識が遠くなるのを感じていた。

                        ******

ん・・・あ・・・
ゆっくりと目を開ける。
窓から朝の光が差し込んでくる。
あ・・・れ?
私はベッドで上半身を起こす。
ここは・・・
私の部屋だ。
あ・・・れ?
夢?
あれは夢だったの?
私は布団を跳ね除ける。
ちゃんとパジャマを着ているし、下着だって穿いている。
でも・・・
私は思わず笑みを浮かべた。
夢じゃない。
あれは夢じゃないわ。
下腹部に感じる挿入感。
じんわりと鈍い痛みが残っている。
それに足元のシーツは汚れ、泥と乾いた血がついていた。
夢じゃない。
私は夕べ抱かれたんだ。
じわっとあそこが濡れてくる。
私は思わずショーツの中に指を差し入れ、叢の奥をまさぐった。
ニチャ・・・
粘りつく愛液。
かき混ぜて指を抜くと、とろりと糸を引いてくる。
キラキラ輝く私の糸。
空気に触れて固まったしなやかな細い糸が指に絡まってのびている。
素敵・・・
これが私の糸・・・
うふふふふ・・・
私は思わずうれしくなる。
お母さんに呼ばれるまで、私はねちゃねちゃと粘つく糸を股間から引き出して遊んでいた。

「おはよう、狭霧ちゃん」
にこやかに手を振ってくる郁美ちゃん。
私はおとなしく手を振り返す。
いやな感じ・・・
破魔札を隠し持って、いつでも魔を払おうと身構えている。
にこやかな笑顔は優越感の表れだとでも言うのかな。
いやな感じ・・・
朝のいい気分が台無しだよ。
「おはよう、郁美ちゃん」
私は仕方なく笑顔を向ける。
「狭霧ちゃんのとこは英語の宿題出た?」
「え? ううん、私のところは特に・・・」
当たり障りのない会話。
つまらない女。
どうしてこんな女が朱音さんの妹なのだろう。
朱音さんにはもっとふさわしい・・・
うふふふ・・・
そうよ・・・
朱音さんにはもっとふさわしい・・・
私は思わず笑みが浮かんだ。

つまらない学校。
くだらない日常。
なくなってしまえばいい・・・
こんな世界はなくなってしまえばいい・・・
壊したい・・・
めちゃくちゃにしてやりたい・・・
思い切り暴れまわりたい・・・

いらいらする自分をなだめ、私は学校が終わったらすぐに家に帰る。
郁美ちゃんがどこかに寄って行こうかって誘ってきたけど、そんなのつまらない。
それよりも我慢していた一人エッチをしたいよ。
昨日よりはずっといいけど、やっぱり授業中一人エッチを我慢するのは大変だったんだから。
うーん・・・
しちゃえばよかったかなぁ。
我慢するなんて躰によくないよね。
でも・・・
でも見つかったら先生に怒られるだろうしなぁ・・・
でも・・・そうなったら先生なんかぶち殺しちゃうんだから。

「ただいまぁ」
私は靴を脱ぐのももどかしく、急いで二階に駆け上がる。
お母さんがなんか言ってたけどそんなの知ったこっちゃない。
一人エッチ・・・
一人エッチ・・・
一人エッチするんだ。
私は部屋に鍵をかけ、すぐにベッドに身を投げ出す。
スカートを脱ぎ捨て、すでにぐちょぐちょに濡れたショーツも脱ぎ捨てる。
ハア・・・ん・・・
くちゅ・・・
すでにしっとりと粘ついた私の秘所。
愛液が指に絡み付いて糸になる。
指を引き出せばすぐに一筋のきらめく糸が伸びてくる。
うふふふ・・・
綺麗・・・
ねばねばする私の糸。
獲物に絡めたらどんなに気持ちがいいだろう・・・
糸で絡めて血肉をすする・・・
ああ・・・
考えただけでイッちゃうよぉ・・・
私は全身を駆け抜ける快感に、あっという間に上り詰めていた。

                       ******

「ハア・・・」
カラダガホテル・・・
ゼンシンガアツイ・・・
イコウ・・・
アソコニイコウ・・・
アノカタノモトニ・・・
アノカタノメスニナルタメニ・・・
サア・・・
イコウ・・・

「ハア・・・ン・・・」
股間が熱くなる。
躰が欲している。
黒々とそびえる工場の白く広がる幾何学模様。
綺麗・・・
とても綺麗・・・
私はすぐに登って行く。
手足を使ってよじ登って行く。
巣の中央に鎮座している大蜘蛛様。
私の愛する大蜘蛛様。
今行きます。
今晩も・・・
今晩も私を犯して・・・
私を汚してください。

白くふかふかな糸の褥(しとね)。
私は生まれたままの姿で横たわる。
躰のあちこちがむずむずする。
大蜘蛛様が私を見つめ、私は全身が熱くなる。
ゆっくりとやってきて、毛むくじゃらの脚が私の躰をさわさわと愛撫してくれる。
ああ・・・
なんて気持ちがいいんだろう・・・
うれしいよぉ・・・
大蜘蛛様のメスである喜び。
それはどんなことよりもすばらしい・・・

ぬぷっと音を立て、大蜘蛛様の触肢が入ってくる。
躰を突き抜ける快感。
まるで全身が震えるよう。
ぬぷぬぷと私の中がかき混ぜられる。
私は両足を大蜘蛛様の頭部に絡め、両手で大蜘蛛様の前脚を抱きかかえる。
昨日とは比べ物にならない快感。
私の躰が喜んでいるんだ。
私が大蜘蛛様のメスになったことを喜んでいるんだ。
気持ちいいよぉ・・・
大蜘蛛様・・・大蜘蛛様ぁ・・・
私は全身を震わせて絶頂を迎えるのだった。
  1. 2008/04/12(土) 20:05:12|
  2. 魔のかけら
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

魔のかけら(2)

1000日連続更新達成記念SS第二弾「魔のかけら」の二日目です。
楽しんでいただければと思います。


どさっと言う音とともに尻餅をついてしまう。
足元に飛び散った巨大蜘蛛の体液が、私の足を滑らせたのだ。
急いで態勢を立て直そうとした私の周りに白い粘ついた糸が降ってくる。
「あ、し、しまった」
私はすぐに逃れようと躰をよじったが、周囲に散らされた糸がすぐに絡んでくる。
「うあっ・・・」
床について立ち上がろうと思っていた手首にも糸が巻きつき、それが引っ張られて腕をさらう。
「いやぁっ」
両足にも糸が絡みつき、それがすぐに引っ張られる。
私は両手両足に糸を絡みつかせたまま、巨大蜘蛛に引き寄せられていた。

「くっ、くそっ」
右手に握っていた短刀は尻餅をついたときに手から離れていた。
懐の棒手裏剣を取り出そうにも、両手が引っ張られるのでうまく行かない。
「そんなぁ・・・」
私はきっと青ざめていただろう。
まさかこんなドジを踏んじゃうなんて。
私は必死に手足をばたつかせて逃れようと試みるが、もがけばもがくほど糸が絡み付いてくる。
巨大蜘蛛は張り巡らした糸の上に陣取り、お尻から糸を繰り出してさらに私に絡めてくる。
「ああ・・・いやぁっ! 誰か、誰かきてぇ!」
私の躰はじょじょに身動きが取れなくなり、バンザイをしたまま巻き取られていく。
巨大蜘蛛のあごが不気味にカシカシとうなり、どんどん引き寄せられていく。
「いやだぁっ! 誰か助けてぇ!」
声を限りに叫んでみても、誰も助けには来てくれない。

「ううっ・・・くっ」
躰をよじろうにもよじることさえできなくなってくる。
巨大な蜘蛛の巨大な頭部が眼前に迫ってくる。
なんて奇怪・・・
なんて醜悪・・・
蜘蛛なんてまじまじと見たことなかったけど、こんな状態では否が応でも見せられる。
正面にある四つの単眼が私を見つめ、あごに付随する触肢と鋏角が鎌のように振り上げられ、獲物に突き刺そうと待ち構えている。
食べられる・・・
食べられちゃう・・・
いやだ・・・
いやだ・・・
そんなのはいやだぁ・・・
「いやだぁっ!」
私は無理やりに上半身を引き起こすと、唯一自由になっていた口を開け、迫ってきた鋏角に噛み付いた。
グチャリ・・・
さほど頑丈ではない鋏角は私のあごの力の前に屈し、一部が噛み千切られてドロッとした液体が口の中に流れ込む。
『ギェェェェェ』
蜘蛛が悲鳴にならない悲鳴を上げる。
私はあごに力を込め、必死に噛み付いていた。
体液がのどに流れ込んで行くが、そんなことはかまっていられない。
食うか食われるかよ。
私は無我夢中で蜘蛛に噛み付き、じたばたともがいていた。

「狭霧ちゃん!」
あ・・・れ?
郁美ちゃんの声が聞こえるよ。
私はもう巨大蜘蛛の撒き散らした体液をあちこちにかぶっていたので、目を閉じていたのだ。
粘つく苦い液体がそこらじゅうに飛び散っている。
「郁美・・・ちゃん」
私はうっすらと目を開け、流れ込んでくる蜘蛛の体液に目をしばたたかせながら、声の方向を見定めた。
「狭霧ちゃんを放しなさい!」
白い着物と緋色の袴を身につけた郁美ちゃんが、破魔札を片手にこちらを見据えている。
「あ・・・」
私は一瞬ドジを踏んだ自分をにらんでいるのかと思ったけど、郁美ちゃんは私を捕らえた巨大蜘蛛をにらんでいたのだ。
『キシャァァァァ』
巨大蜘蛛は郁美ちゃんの登場に恐れをなしたのか、少し距離を取ろうとしているかのよう。
郁美ちゃんの退魔師としての鋭い視線にたじろいでいるのだろう。
『キシャァァァァ』
巨大蜘蛛は私ごと絡めた糸を切り捨てると、突然八本の脚を使って跳躍する。
郁美ちゃんが突進を予期してかわすのを想定していたのだろう。
巨大蜘蛛は郁美ちゃんの脇をすり抜け、窓ガラスを突き破って外へ出る。
「あっ、待ちなさい!」
「あ、郁美ちゃん・・・待って・・・」
郁美ちゃんは私をおいてすぐに巨大蜘蛛のあとを追う。
巨大蜘蛛を逃がすわけには行かないから・・・
だから私を放っておいても追わなくちゃならない・・・
それは・・・わかるけど・・・
私は郁美ちゃんが出て行ったドアをじっと見つめるしかできなかった。

                          ******

「とにかく二人とも無事でよかったわ。ごめんなさい狭霧ちゃん。私が単独で行かせたばかりに・・・」
申し訳なさそうに私に頭を下げる朱音さん。
私と郁美ちゃんは伊嵜神社に戻ってきていた。
結局郁美ちゃんも巨大蜘蛛は追いきれなかった。
いずことも無く姿を消した巨大蜘蛛。
私たちは殺されてしまった人の後始末をゆだねると、神社に戻るしかなかった。
「いえ・・・私が悪いんです・・・油断したばかりに」
なんだろう・・・
胸がむかむかする。
躰が熱い・・・
「それにしても大変だったわね。どろどろだからシャワーを浴びなさい。詳しくはあとで聞くわ」
「あ、はい。シャワーお借りします」
私は朱音さんに一礼して、こびりついた巨大蜘蛛の体液を洗い流すためにシャワーに向かう。
「ごめんね、狭霧ちゃん。委員会が終わってすぐに向かったんだけど」
郁美ちゃんもさっきから謝ってくれている。
でも、私は素直に受け入れる気にはならなかった。
「もういいよ。私自身が悪いんだし。シャワー浴びるから一人にしてくれる?」
「あ、そうね。ゆっくり洗い流すといいわ。それじゃまたあとで」
郁美ちゃんは朱音さんと同じように申し訳なさそうにして私のそばから離れていった。
「ふう・・・」
どうしちゃったんだろう・・・
心がささくれ立っている。
なんだかとてもいらいらする。
思いっきり叫んで何もかも手当たり次第に壊したくなる。
そうしたらどんなに気持ちいいだろう・・・
あれ・・・?
何を考えているんだろう・・・
シャワー・・・浴びなきゃ・・・

熱いお湯が汚れた躰を洗い流してくれる。
あの化け物蜘蛛の体液でどろどろになった躰がきれいになるのは気持ちがいい。
あ・・・ん・・・
躰が火照る。
どうしたんだろう・・・
躰の中がジンジンする・・・
シャワーの刺激がなんだかたまらない。
くちゅ・・・
ん・・・
右手が股間にのびて行く。
指が叢を分け入って、ひだの奥を刺激する。
あ・・・
濡れて・・・いる・・・
お湯のせいじゃない・・・
あん・・・
気持ちいい・・・
私はいつしか指で秘所を擦っていた。
ああ・・・ん・・・
気持ちいいよぉ・・・
指が止まらない。
腰が浮く。
私はシャワーを浴びながらすぐに果てていた。

はあ・・・
バスタオルで髪の毛を拭きながら、私はため息をついていた。
はあ・・・
一人エッチしちゃった・・・
しかも秋津洲家のシャワー室で・・・
うー・・・
恥ずかしいよぉ・・・
どうしちゃったんだろう・・・
「狭霧ちゃん、気持ちよかった?」
「ひゃーーーー」
私は心臓が止まるほどびっくりして飛び上がる。
「ご、ごめんなさい。驚かしちゃったみたいね」
気がつくと脱衣所の入り口から朱音さんがこちらを覗いていた。
「だ、大丈夫です。ちょっと驚いただけで」
私はどきどきする胸を抑えて呼吸を整える。
朱音さんは長い黒髪の清楚な美人。
見た目だけじゃなく、とても優しいお姉さん。
郁美ちゃんがうらやましいぐらい。
あーあ、私にもこんなお姉さんがいたらなぁ・・・
「ごめんなさい。そんなに驚くとは思わなかったわ。お風呂気持ちよかった?」
「あ、はい。とても気持ちよか・・・って、朱音さん見てたんですか?」
「えっ? 見てたって何を?」
私は頭から湯気が出た。
朱音さんはお風呂が気持ちよかったか尋ねたんであって、ひ、一人エッチのことじゃないんだよ。
「あ、あわわわ・・・な、何でもないです。何でも」
私はぶんぶんと首を振る。
「くすくす・・・おかしな狭霧ちゃんね。リビングにアイスがあるから食べてね。郁美、シャワー空いたわよ」
「はーい」
奥の方から郁美ちゃんの声がする。
きっと今まで郁美ちゃんは朱音さんに先ほどのことを話していたんだろう。
私がドジをして捕まっていたことも食べられそうになっていたことも包み隠さず・・・
ドクン・・・
郁美ちゃんにはわかるもんか・・・
いつも後ろで破魔札を扱う郁美ちゃんには、魔物と戦う恐ろしさなんてわかるはずが・・・
わかるはずが・・・
「どうしたの狭霧ちゃん? アイス食べないの?」
「あ、はい。いただきます」
私は朱音さんに頭を下げると、入れ替わりに入ってきた郁美ちゃんの脇をすり抜けてリビングへ向かう。
郁美ちゃんが何か言おうとしたようだったけど、今は郁美ちゃんの顔は見たくなかった。

「ただいま・・・」
伊嵜神社をあとにした私は自分の家に戻ってきた。
「お帰りなさい。今日もバイトだったの?」
奥からエプロンで手を拭きながらお母さんが顔を出してくれる。
「うん・・・」
私は気のない返事をしてすぐに二階に上がっていく。
お母さんには退魔のことはナイショにしているのだ。
私が夜出歩くのは、伊嵜神社での郁美ちゃんのお手伝いのアルバイトということになっている。
お父さんもお母さんも自分が甲賀忍者の末裔だなんて知りもしない。
私だって朱音さんの知り合いの深斎(しんさい)老人に説明されなきゃわからなかったと思う。
でも、おかげで手裏剣やクナイなんかはすぐに使いこなすことができた。
化け物に対してだって引けは・・・
今日は運が悪かったのよ・・・
あそこで足さえ滑らせなかったら、郁美ちゃんがいなくたってあいつの動きを封じるぐらい・・・
ドクン・・・
はん・・・
な、なんだろ・・・
あいつの・・・あの巨大蜘蛛のことを思うと・・・
あ・・・
躰が・・・
躰が火照る・・・

私は自分の部屋に入ると、すぐにベッドに倒れこむ。
伊嵜神社で着替えてきた制服のスカートを脱ぎ捨て、ショーツの上からなぞっていく。
ふああ・・・
どうしたんだろ・・・
今日はすごくエッチな気分になるよ・・・
どうしちゃったんだろ・・・
ショーツの上から指を当てているだけなのに、すぐにじんわりと染みてくる。
ふあ・・・
指の動きがだんだん激しくなり、私はもどかしくショーツを脱ぎ捨てる。
白いソックスを履いた足にショーツがまとわりつくのを蹴飛ばすようにして放り捨て、制服の下半身をむき出しにして叢を掻き分ける。
ぷっくりと膨らんだお豆を中心に強く弱くこすり付け、背中を駆け上る快感に打ち震えていく。
ああ・・・気持ちいいよぉ・・・
腰が浮いてつま先がキューと丸まっていく。
いつもよりも数倍激しく感じる快感に、私は真っ白になっていく。
ああ・・・あああ・・・

『狭霧、狭霧、晩御飯食べないの?』
お母さんの声に私はハッとなる。
絶頂を迎えたあとで少しぼうっとしていたらしい。
でも、すごかった。
あんなに気持ちよかったのは初めて。
どうしたんだろ・・・
まさか・・・蜘蛛のせい?
まさか・・・ね・・・
『狭霧ー?』
「あ、ハーイ、今行きます」
私は濡れたショーツの代わりを箪笥から出して穿き替え、部屋着に着替えて下に下りた。

                          ******

「おはよう狭霧ちゃん」
「おはよう郁美ちゃん」
いつものように学校へ行く途中で郁美ちゃんと合流する。
なんだろ・・・
一瞬背筋がぞくっとしたよ?
なんだろ?
「狭霧ちゃん眠そうね。もしかして寝不足?」
「う、うん・・・なんとなくね」
私は苦笑してごまかす。
夕べはどうにもエッチな気分が抜けなかったのだ。
布団に入ってからも何度もしちゃって・・・
気がつくと明るくなっていたのだった。
「もしかして昨日のことを気にしている? 大丈夫よ。お姉ちゃんが気配を探ってくれているわ。それにあいつはかなりの深手だったから当分身動き取れないはずよ」
ドクン・・・
そうか・・・そうだよね・・・
かなり深手・・・だったよね・・・
ふあ・・・
ま、まただ・・・
あそこが・・・
あそこが感じて・・・
ショーツがじんわりと濡れてくるのを感じる。
ああん・・・
またしたくなっちゃった・・・
はあん・・・
「狭霧ちゃん? 狭霧ちゃん、どうしたの?」
「え、あ、な、なんでもないよ。さ、早く学校へ行こう」
私は気持ちを落ち着けて平静を装うようにする。
一人エッチしたいなんて気づかれちゃ大変だもんね。
私は笑顔でごまかしながら、郁美ちゃんと学校へ向かった。
  1. 2008/04/11(金) 20:03:36|
  2. 魔のかけら
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

魔のかけら(1)

1000日連続更新達成記念SS第二弾は新作短編SS「魔のかけら」を四夜連続でお送りいたします。
四日間楽しんでいただければ幸いです。


「魔のかけら」

「ハッ!」
棒手裏剣が狙い過たずに巨大ガエルの腹部に突き刺さる。
「ゲゲゲッ」
苦悶の声なのか単なる泣き声なのかわからないような声を上げる化けガエル。
牛ほどもある巨大ガエルは、舌を振り回してムチのごとく当てようとするが、そんなものに当たる私じゃない。
「郁美(いくみ)ちゃん、気をつけて!」
私は身軽くジャンプで舌をよけながら、後方で札を構えているもう一人の退魔師に声をかけた。
「心配無用よ。そっちこそ気をつけて!」
視線を化けガエルから逸らさずに、私に注意する郁美ちゃん。
もう・・・
わかってるってば・・・
でも、さすがに場慣れしている郁美ちゃんは動じてない。
いつでも札を投げられる準備をして、化けガエルをにらみつけている。
月明かりに白い着物と緋色の袴が映えてとてもきれい。

私はいつもどおりに化けガエルの注意をひきつけて、郁美ちゃんのとどめが確実に刺さるように相手の戦闘力を奪うのだ。
私と郁美ちゃんはこのコンビネーションで、何体もの妖魔を封じてきたのだった。
「そこっ!」
再び私は棒手裏剣を投げ込む。
化けガエルの手足に突き刺さるそれらが動きを封じるのだ。
「破っ!」
瞬間、郁美ちゃんの手が動いて、数枚の破魔札が飛んでいく。
「グギエェェェェェ」
化けガエルに張り付いた破魔札が、化けガエルの魔を封じていくのだ。
見る間に化けガエルは小さくなっていき、普通のアマガエルに戻ってしまう。
うう・・・
小さくなってもカエルはちょっと苦手だよ。

「退魔終了。お疲れ様」
郁美ちゃんが黒く染まった破魔札に火をつける。
めらめらと燃える破魔札が魔を浄化していく。
これで一件落着。
退魔成功ってわけ。
「お疲れ様、郁美ちゃん」
私も袴のすそを直しながら、使った棒手裏剣を回収する。
白衣の内側にしまってホッと一息。
「被害もたいしたこと無くてよかったわね」
「うんうん。こいつってばただ鳴いて暴れるだけだったもんね」
今日の相手はさほど凶悪な奴じゃなかった。
これぐらいなら私だけでも充分なのに、今でも私は半人前。
そりゃあ、郁美ちゃんは正規の退魔師だけど、私だって甲賀忍者の末裔なんだし、少しは任せてくれてもいいのになぁ。
「さあ、戻って報告しましょ。冷たいアイスがあるわよ」
「やたっ、抹茶アイスあるよね?」
「ええ、たまには甘い物いいよね」
私はぶんぶんとうなずく。
抹茶アイスは大好き。
早く戻って報告しよう。
私は郁美ちゃんの手を引っ張るようにして、伊嵜(いさき)神社に向かって駆け出した。

                        ******

こつんと頭に衝撃が走る。
「ふえ?」
私はぼんやりとした頭で何事が起こったのか周囲を見渡す。
くすくすという忍び笑いと、腰に手を当てて怒っている先生の顔が目に入る。
「あっ」
私は一瞬で目が覚めた。
今は授業中だったんだっけ・・・
「チョークをぶつけられてやっと起きたか瑞雲(みずくも)。顔でも洗ってきたらどうだ?」
「す、すみません。だ、大丈夫です。目は覚めました」
私は頭を下げる。
う~・・・
仕方ないよね・・・
夕べだって遅かったんだし。
化けガエルの被害が無かったのは私たちのおかげなのに・・・
「遅くまで起きているからだぞ。夜更かしもほどほどにな」
あう~・・・
私は肩をすくめるしかなかった。

「もう、散々だよー」
放課後、私は郁美ちゃんに午前中のことを話した。
郁美ちゃんは笑っている。
そりゃあ郁美ちゃんは居眠りなんかしないだろうけどさ・・・
私はちょっと口を尖らせて、帰りにハンバーガーでも食べて行こうって郁美ちゃんを誘った。
「ごめんね狭霧(さぎり)ちゃん。委員会の会合があるの。今日は一緒に帰れないわ」
郁美ちゃんが両手を合わせて拝むマネをする。
「そっかー」
私はちょっと残念に思ったけど、委員会じゃ仕方がない。
頭もよくて頼りがいのある郁美ちゃんは、いつもクラスで何らかの委員を頼まれるのだ。
それをいやな顔一つしないで引き受けるんだから、郁美ちゃんはすごいよね。
私だったら頼まれたってやだよ。
まあ、頼む人もいないけどね。

というわけで今日は一人で学校から帰る。
ハンバーガーショップに寄ろうかとも思ったけど、一人で寄ってもつまらないしね。
まあ、どうせ夜になればパトロールだ何だって呼び出されることになるとは思うんだけど・・・

プルプルプル・・・
あれ?
着信だ。
誰からだろう。
私はポケットから携帯を取り出して開いて見る。
着信:伊嵜神社
へ?
神社からだ。
なんだろ。
私はすぐに通話ボタンを押して電話に出た。
「もしもし」
『ああ、よかったわ。狭霧ちゃん大至急来てくれない? ちょっと困ったことになったのよ』
「朱音(あかね)さんですか? 何があったんですか?」
電話をかけてきたのは伊嵜神社の宮司の秋津洲(あきつしま)朱音さんだ。
郁美ちゃんのお姉さんであり、神社本庁を通じて退魔を依頼してくる元締めのような人でもある。
朱音さん自体には退魔の力が無いらしく、退魔自体は郁美ちゃんの仕事だけど、私も甲賀忍者の末裔の力を見込まれて、いつの間にか手伝いをするようになっている。
それにしても、妖魔なんてものがこの世界にいるなんてこと、郁美ちゃんと親友じゃなきゃ知らなかったよね。
『魔のかけらが出現したらしいの。郁美には連絡取れなくて・・・』
そうか、今日は委員会だから・・・
郁美ちゃんは学校じゃ携帯の電源切っているし、まさか退魔の仕事があるからって呼び出してもらうわけにも・・・
それに夕方とはいえ、こんな時間から妖魔が活動するなんて思いもしないよ。
「わかりました。すぐに行きます」
私はすぐに伊嵜神社に向かって駆け出していた。

神社に駆け込んだ私を待っていたのは、朱音さんの険しい表情だった。
「はあはあ・・・お待たせ、朱音さん」
「狭霧ちゃん、来てくれてよかったわ。早速だけど様子を見てきて欲しいの」
「様子?」
朱音さんがこくりとうなずく。
「一瞬強い魔の気配を感じたの。たぶん魔のかけらが出現したんだと思う」
「魔のかけらが?」
魔のかけらというのは、どこからか突然現れる邪悪な魔力の塊で、周囲に影響を及ぼして妖魔にしてしまうことがあるものだ。
先日の化けガエルもそうやってできたものかもしれない。
「魔のかけらなら放っては置けないわ。周囲の生き物が取り込んだりしたら・・・」
「うん。妖魔に変化しちゃう」
「だから急いで封じなくちゃいけないわ。かけらの封じ方は知っているわね? もし手に負えないようなら連絡して。郁美を向かわせるわ」
「大丈夫です。かけらだったらいただいた破魔札で私でも封じられます」
私は朱音さんの言葉に力強く答えると、すぐに巫女服に着替えて出動する。
魔のかけらが妖魔を生み出す前に封じちゃわなくてはならない。
でも、魔のかけらは特定の形を持つわけではないので、どれがかけら本体なのか見極めないとならない。
何度か見たことはあるけど私に見つけられるかな・・・
ううん、こんなときこそ私の力を見せてやろう。
郁美ちゃんがいなくたって私一人でも大丈夫。
もう半人前じゃないって事を見せなくちゃ。

夕暮れの街中を巫女服で駆けて行く。
緋色の袴が夕日に照り映えている。
幾人かの好奇の目がこちらを見ているけど、気にしてはいられない。
一刻も早くかけらを確認するべく、私は朱音さんの感じた場所へ向かっていく。
朱音さんは魔を感じることにかけては一級の腕前だ。
朱音さんのおかげでこの街の妖魔被害はよそに比べて少ないぐらい。
その朱音さんが強く感じるのだから、魔のかけらも強力なのかもしれない。
だったら、私でも見つけるのは容易だろう。
最近は私だって魔を感じることぐらいできる。
そんな強力な魔のかけらなら、私にだって感じ取れるよね。

「このあたりのはずだけど・・・」
私はゆっくりと脚を止める。
閑静な住宅街。
こんなところに魔のかけらが現れたなんて・・・
早く見つけなきゃ・・・
私はゆっくりと深呼吸して周囲を見渡した。
買い物帰りのご婦人たちが、何事だろうと私を見ている。
夕食の支度をしているいい匂いがあちこちの家から漏れている。
そんな中で私は精神を集中し、魔の気配を探ってみた。

ドロッとしたいやな気配が漂ってくる。
これだ!
私は気配を感じられたことにうれしくなる。
もしかしたら一軒一軒探さなくちゃならないかもと覚悟していたのだ。
気配を捕まえればこっちのもの。
私は漏れ出てきた魔の気配がどこからなのか確認する。
あそこだわ・・・
その気配は一軒の住宅から漏れているのだった。

私は意を決して呼び鈴を鳴らす。
いきなり巫女服の女子高生が尋ねてきたら不審に思われるだろうけど、魔のかけらを放っては置けない。
出てこない?
呼び鈴を押してしばらく待ったが反応がない。
二度三度と押してみても、家人が出てくる様子がない。
留守かも?
私は確認の意味でドアノブを回す。
カチャリ
ドアノブはあっけなく回り、ドアが開く。
あらら、鍵がかかってないよ。
う~・・・
仕方ない。
私は意を決した。

「ごめんください」
ドアを開けて玄関に入る。
途端にムッとするような魔の気配が強くなる。
間違いない。
この家のどこかに魔のかけらが出現したんだ。
何がきっかけで現れたのかはわからないけど、一刻も早く封じなきゃ。
私は草履を脱いで奥へ向かう。
空き巣みたいだけど仕方ないよ。
とにかく魔のかけらを確認して、早く伊嵜神社に報告しなきゃ。

「失礼します・・・」
リビングに通じるドアを開けたとき、私は思わず固まった。
リビングには巨大な毛むくじゃらのものがうごめいていたのだ。
私は必死で悲鳴を上げないように口を押さえる。
ああ・・・そんな・・・

室内にいたのは巨大な・・・それはそれは巨大な蜘蛛だった。
腕ぐらいもある太さの脚を八本うごめかせ、白い糸で室内に巣を張っている姿を見たとき、私は悲鳴を必死で抑えるのが精一杯だった。
「そんな・・・もう取り込んじゃって・・・」
蜘蛛が魔のかけらを取り込んだんだ。
「くっ・・・」
これじゃ私の手には負えない。
郁美ちゃんを呼ばなきゃ・・・
私は一歩あとずさる。
巨大蜘蛛は何かに糸を巻きつけ、抱え込むように脚を動かしている。
糸に絡まれた細長い物体から、すらりと伸びた女性の脚が見えたとき、私にはその物体が何なのか理解できた。
この家の人だ。
この家の人が巨大蜘蛛に捕らわれたんだ。
今しも巨大蜘蛛はその人に牙を突き立てている最中だったのだ。

「うわぁぁぁぁぁ・・・」
私は叫びだしていた。
「その人から離れろぉ!」
私は懐から棒手裏剣を取り出し、思いっきり投げつける。
二本、三本と続けざまに投げつけ、いずれもが巨大蜘蛛に突き刺さる。
『グエェェェェ』
声にならないような声を上げ、巨大蜘蛛は暴れ狂う。
大きく膨らんだ腹部から、どす黒い体液が流れ出る。
「うげっ」
私は思わず吐き気をもよおすが、そんなことをしているときじゃない。
巨大蜘蛛は腹部に三本の棒手裏剣を受けたものの、まったく動きを止めはしない。
むしろ怒りに燃えて食事の邪魔をした私をにらみつけてくる。
私は短刀を抜き、左手には再び棒手裏剣を構えて巨大蜘蛛に対峙した。

『ギシャァァァ』
巨大蜘蛛が私の方に向かって飛び掛ってくる。
私はそれを避けつつ、相手の動きに合わせて短刀を突き立てる。
こうすれば、相手の重量自体がダメージを大きくしてくれるのだ。
『ギェェェェ』
うなり声を上げる巨大蜘蛛。
切り裂かれた腹部からドロッとした体液がほとばしり、私の頭から降りかかる。
「うえぇ」
吐き気をこらえながらすかさず棒手裏剣を叩き込む。
すばやくかわそうとした巨大蜘蛛だが、棒手裏剣の一本が一つの脚に深々と刺さりこむ。
「どうやら妖魔化したとはいえ図体が大きいだけの蜘蛛のようね。これなら・・・」
棒手裏剣と短刀の一撃は巨大蜘蛛の動きを鈍らせている。
このまま行けば動きを封じるくらいわけはない。
あとは郁美ちゃんが来るのを待つだけ・・・
「えっ?」
足袋を履いた足が滑る。
私は一瞬何が起こったのかわからなかった。
  1. 2008/04/10(木) 21:00:08|
  2. 魔のかけら
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

カレンダー

08 | 2023/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

時計

プロフィール

舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

ブログバナー


バナー画像です。 リンク用にご使用くださってもOKです。

カテゴリー

FC2カウンター

オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

管理人にメールなどを送りたい方はこちらからどうぞ

ブログ内検索

RSSフィード

ランキング

ランキングです。 来たついでに押してみてくださいねー。

フリーエリア

SEO対策: SEO対策:洗脳 SEO対策:改造 SEO対策:歴史 SEO対策:軍事

フリーエリア