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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

こんなものいらない!

オウム真理教の代表、麻原彰晃こと松本智津夫被告の死刑判決が確定いたしましたね。

二審が行なわれないという異常事態での結審は、この事件の異常さにある意味相応しい結末になったのかもしれません。

住宅街及び運行中の地下鉄に毒ガスを散布するという非道な行為は、世界の混沌を如実に現したものかもしれないですね。

こういったことを人間はやれるんだ。
そういう意識を皆に知らしめてしまったことが、9・11とともにこの事件を印象深くしていると思います。

人間の心の闇というものは恐ろしいということをはっきりと見せ付けた事件だったかもしれませんね。

さて、久々の「帝都奇譚」です。
お楽しみいただければ幸いです。

13、
いそいそと帰り支度を終える雛華。
時間こそ書いていなかったものの、昨日と同じぐらいの時間であることは間違いないだろう。
それともフジへ行くより、警視庁へ出向いたほうがいいかしら・・・
かつては夫との待ち合わせをそのように浮かれた気分で楽しんだであろう雛華だったが、今の雛華には夫のことは頭をよぎりもしない。
あれほど嫌がっていた三倉のことが、今は待ち遠しい存在に思えるのだ。
そのことが雛華にはおかしいこととさえ思わない。
「白鳳先生、今日はもうお帰りですか?」
いつもならこんなに早く学校を出て行くことは無い雛華に同僚教師も不思議に思う。
「ええ、お先に失礼します」
雛華はにこやかに頭を下げる。
そのまま雛華は職員室を後にした。

さて・・・来るかどうか・・・
タバコに火をつけながら小脇に抱えた帽子を被りなおす三倉。
昨日の今日だ。
普通なら来ないだろう。
だが、特高警察の刑事としての勘・・・なのか、それとも“新たな世界に生きる者”としての能力なのか・・・、三倉は白鳳雛華が来るだろうと感じていた。
ちょっとエキスを吸ってやっただけだが、あの快感から逃れることはできないのだ。
現に幾人もの女のエキスを、途中で吸うのをとめたことがあるが、みな一様に吸って吸ってとせがむのだ。
それが命を失うことになろうとも。
「くくく・・・」
タバコの煙を吐き出す三倉。
さて、フジに向かうとするか・・・
彼はゆっくりと警視庁の建物を後にした。

ゆっくりと立ち上がるニコライ・ヴォルコフ。
足りぬ・・・
失ったものが多すぎる。
黒き血の持ち主を見つけたというのに・・・
「あの女・・・赦さん」
ぎりっと歯軋りするヴォルコフ。
まだ夕暮れには早いが出かけるとしよう。
また獲物が必要だ。

心臓がドキドキする。
ああ・・・どうしちゃったのかしら・・・
まるで恋をしているよう・・・
恋?
雛華は愕然とする。
私・・・恋をしているの?
あの・・・あの三倉さんに恋を?
そんな・・・
だが否定できない。
否定しようと思えば思うほど頭の中には三倉のにやついた顔が思い出される。
私には・・・私にはあの人が・・・
雛華は夫の顔を思い出そうとする。
だが、思い出そうと思えば思うほど、その顔はいやらしく笑った三倉の顔になるのだった。
ああ・・・だめ、だめよ・・・
だが、雛華の足取りは止まらない。
彼女はまるで夢遊病のように三倉に引き寄せられていく。
もうすぐフジが見えてくる。
時間はまだ2時間近くも早い。
だが、雛華はフジで三倉を待つことしか考えられなかった。

「ただいま・・・」
どこをどう歩いてきたのかわからない。
多分、いつもの通学路を歩いてきたに過ぎないのだろう。
喉が渇く・・・
何かが変だ・・・
一体何が・・・
私はどうしちゃったのだろう・・・
摩耶子は自問する。
だけど答えがでるはずも無い。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
和服姿の使用人たちが出迎える。
「ただいま」
摩耶子は努めて笑顔で振舞おうとする。
「破妖さんはいらっしゃる?」
摩耶子は月子に聞いてみようと思っていた。
もしかしたら、これこそが呪いなのかもしれないのだ。
そう思えば今日自分がちょっと変なのも理由が付く。
私は呪われたのかもしれないわ。
「いいえ、お出かけになられておりますが」
使用人の一人が不在を告げる。
「そう・・・」
摩耶子はちょっとがっかりした。
守ってくれると言っておいて、肝心な時にいないなんて・・・
摩耶子は使用人の一人にカバンを渡して部屋に向かう。
これから着替えをして、少し授業の復讐でもしなくては。
このお守り・・・役に立っているのかしら・・・
摩耶子はポケットの中のお守りに手を伸ばす。
「痛っ!」
指先に痛みが走る。
お守りに触れたとたんにまたしても電気のようなものが走って、摩耶子は指を引っ込めた。
「お嬢様?」
カバンを受け取った使用人が驚いて摩耶子に声をかける。
「何よこれ!」
何か無性に腹が立って、摩耶子はお守りの紐を引いて取り出すと床に投げ捨てる。
「お嬢様?」
床に放り出されたお守りは、なぜか摩耶子の神経を苛立たせる。
「ふん」
摩耶子はスリッパを履いた足で、お守りを蹴り飛ばした。
「捨てといて」
「あ、は、はい」
摩耶子はそう言い捨てると踵を返して自室へ向かう。
使用人もただ黙って付いていくしか出来なかった。

かつかつと夕暮れの通りに硬質な靴音が響く。
まだまだ踵の高い靴など履く女性は少ないが、月子はわりと好んでいた。
和服はいざという時の動きが制限される。
その点スカートもさほど違いは無いのだが、まだしもスカートの方が動きやすい感じがした。
「遅くなったわ・・・賀茂家の人々ももう少し物分かりが良ければいいものを・・・」
まだまだ人通りの多い時間であるが、そろそろ女性の姿は少なくなる。
そんな中、破妖月子は鷹司家へ向かって足取りを速めていた。

月子は・・・
1、「何か気配が・・・?」
  ただならぬ気配を感じ、その出所を探る。
2、「お腹空いたわね・・・」
  ただならぬ空腹感を感じて、近くの食堂を探す。
3、「あれは?」
  ただならぬ人物を見かけ、後をつけてみる。
4、「何も無いわね」
  ただならぬことは何も無く、まっすぐに鷹司の家に戻る。
  1. 2006/09/15(金) 21:26:48|
  2. 帝都奇譚
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

オウム事件もようやく最後を迎えたと言えるでしょうね。ただし、今回の判決に至るまでには、なにせ「時間がかかりすぎた」のも一つの問題点として、司法制度の見直しになればなと思っています。

これでサリン事件の被害者の方々の溜飲が下がったと同時に、上裕氏が何やら、不可解な新教団を立ち上げるとの情報も流れていますから、オウムが本当に壊滅したのかという事については、まだまだ注意を払わなくてはいけないですね。
  1. 2006/09/16(土) 00:22:03 |
  2. URL |
  3. grendy #-
  4. [ 編集]

これもお久しぶりの話ですね。そろそろ摩耶子も堕ち時期だと思っています。
しかし、月子さんがいると浄化フラグが立ちそうですね。

選択肢は1でお願いします
  1. 2006/09/17(日) 06:43:10 |
  2. URL |
  3. 姫宮 翼 #mQop/nM.
  4. [ 編集]

レス遅くなってすみません

>>grendy様
これで一応の区切り・・・であることは間違いないですね。
でも、被害者の救済などまだまだ手付かずの問題が山積みかも。
大変な事件だったんですよねー。

>>姫宮 翼様
はい、お久し振りですみませんですー。
摩耶子はこのまま・・・行くかどうか。
三倉とヴォルコフも侮れません。
1ですね?
了解ですー。
  1. 2006/09/17(日) 19:59:38 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
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