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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

小夜の死

100万ヒット記念SS第三弾は、一年以上間を空けてしまいました「帝都奇譚」の続きです。
本当に本当に本当にお待たせしてしまい申し訳ありません。
ほんのちょっとですが、これから再開しますので楽しんでいただければと思います。

これまで掲載した部分についても、随時こちらのブログに移転させますので、読み返していただけるようにいたします。

それと、「魔法機動ジャスリオン2ndプロローグ・魔女生誕」に多くのコメントならびに拍手をいただきありがとうございました。
皆様にすごく支持していただけたんだなぁと、すごく感激しております。
これからも自分が楽しめ、皆様に楽しんでもらえるようなストーリーを書いていきたいと思います。
あらためまして、100万ヒット到達皆様本当にありがとうございました。

それではどうぞ。

21、
「う・・・あ・・・」
摩耶子はふと目を覚ます。
いつの間にか机に突っ伏して、うたた寝をしてしまっていたらしい。
時計を見ると午前三時、すでに深夜をかなり回ってしまっている。
「いけない、眠り込んでしまったのだわ・・・」
きちんと寝る支度をしようと思い顔を上げる摩耶子。
その口元からつと雫がたれる。
「あ、よだれ? はしたないわ」
思わず口元を手でぬぐう。
するとその手が赤茶色に染まった。
「えっ? これは・・・血?」
手の甲についたのは血と思わしきもの。
赤茶けて乾きかけている。
「寝ているときに口の中でも切ったかしら・・・」
摩耶子は机の脇の化粧台の中から手鏡を取り出して映してみる。
しかし、口の周りはおろか、口の中も切った様子は無い。
「どうしたのかしら・・・」
摩耶子は首をかしげた。

「今夜は来ない・・・か・・・」
鷹司家の一室で、感覚を研ぎ澄まし外部からの気配を探っている月子。
三倉との戦いを宮内省の退魔部門に報告していたために戻るのが遅くなってしまったのだが、幸いなことにヴォルコフの動きはなさそうだ。
「ふう・・・」
肩の力を抜き、首筋を少し揉む。
昼はヴォルコフの捜査、夜は鷹司家のお嬢様の護衛。
休む暇などありはしない。
「人使いがあらいんだから・・・」
苦笑する月子。
破妖家の一人として類稀なる力を持つがゆえに駆り出されるのだ。
「これも仕方なし・・・か・・・」
とりあえずは仮眠をとることにしよう。
そう決めて月子は布団を用意する。
ヴォルコフのようなものが現れれば、気配は尋常ではない。
眠っていても気が付かないはずは無いだろう。
「おやすみなさい」
灯りを消して眠りに就く月子。
一日が終わった。

「おはようございます」
「おはようございます」
いつものように白鳳女学院の朝が来る。
校門を次々とくぐっていくセーラー服の少女たち。
その中にいつものように摩耶子もいた。
今朝はとても気分がいい。
朝食はあまり食べる気がしなかったけど、お腹もすいていないし元気が湧いてくる気がする。
「おはようございます」
そう言って下駄箱で靴を履き替えようとした摩耶子は、玄関の片隅の異様な雰囲気に気が付いた。

「姉川さん?」
摩耶子は思わず声をかける。
玄関の片隅では姉川久がうつむいてすすり泣いていたのだ。
「何があったのですか?」
「鷹司さん・・・」
顔を上げる久。
大粒の涙が浮かんでいる。
「姉川さん・・・」
「鷹司さん・・・真木野さんが・・・真木野さんが・・・」
久がまたうつむいてしまう。
「真木野さん? 昨日お昼をご一緒した小夜さんですわね? 彼女がどうかしたのですか?」
摩耶子は昨日一緒だった後輩の顔を思い浮かべる。
栗色の髪をしたかわいらしい少女だったが、彼女がいったいどうしたというのだろう。
「今朝・・・亡くなられたと・・・」
「えっ? 亡くなられた?」
摩耶子は驚いた。
「昨日は・・・昨日はあんなに元気だったではありませんか? 何か悪い冗談ではないのですか?」
「私も最初はそう思いました。でも、先ほど真木野さんのお身内の方が学校へ見えられて・・・今朝・・・今朝・・・ああっ」
ひざから崩れ落ちる久。
無理もない。
茶道部の後輩として久は小夜を本当に可愛がっていたのだ。
「まさか・・・」
摩耶子も言葉を失った。

『摩耶子様・・・』
摩耶子の脳裏に小夜の柔らかそうな唇が浮かんでくる。
ドクン・・・
その瞬間、摩耶子の心臓が跳ね上がった。
「小夜さん・・・」
そうだった・・・
摩耶子は昨日の昼、小夜と給湯室で口付けを交わしていたのだ。
なぜそんなことをしたのかわからない。
でも、それは紛れも無い事実。
それに・・・
摩耶子の脳裏で微笑んでいる小夜。
うっとりと呆けたように摩耶子を見つめている。
電灯の灯りに照らされた小夜の栗色の髪が美しい。
電灯の灯り?
電灯の?
えっ?
私が小夜さんと会っていたのは昼間のはず・・・
いいえ、でもこの光景は夜・・・
私は・・・
私はその後で彼女に会っている?
夜に彼女に会っている?
摩耶子は何か意識がぼんやりとしてくるのを感じていた。
「鷹司さん!」
「摩耶子さん!」
あ・・・
躰が倒れて行くのがわかる。
そして桜が彼女を呼んでいることも・・・
  1. 2008/02/17(日) 20:47:39|
  2. 帝都奇譚
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

久しぶりの帝都キタ――(゚∀゚)――!!
ホリドルも続きが気になりますが、こっちの方が自分のストライクゾーンど真ん中(笑)なので、
今後どうなるのかがとても気になってます。

前回と今回の話の間にあった出来事は…真夜中の出来事は…?
実はそこが一番見たかったんですよねぇ…うーむ。
  1. 2008/02/18(月) 22:55:12 |
  2. URL |
  3. 闇月 #04hOWrHY
  4. [ 編集]

>>闇月様
そのあたりは今後摩耶子がじょじょに思い出すと思います。
少し気合いいれて書いていきますので今後をお楽しみにー。
  1. 2008/02/19(火) 19:18:38 |
  2. URL |
  3. 舞方雅人 #-
  4. [ 編集]

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Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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