昨日の「機械化シチュ」SSに続きまして、新年SS第二弾は私の作品ではメジャーな「悪堕ちシチュ」もののSSを投下です。
タイトルは「魔法熟女ラビカルバニー」です。
魔法で熟女でバニーですってよ奥様! (笑)
お楽しみいただければ幸いです。
それではどうぞ。
魔法熟女ラビカルバニー
「人間たちに悪さをする魔物たち! おとなしくなさい!」
夜の闇に響き渡る軽やかな声。
気を失った女性に食らいつこうとしていた鬼のような姿の魔物が、思わず振り返る。
そこには、二メートルほどもある長さの大きな杖を持った美しい女性が立っていた。
銀色をしたその杖には、先端に大きな青い宝玉が嵌まっている。
しかもその女性は、ピンク色のバニーガールコスチュームを身に着け、脚には網タイツとピンクのハイヒール型のアンクルブーツを履き、頭頂部にはウサミミの付いた髪飾りを付けていた。
いわばよく見るバニーガールそのものが大きな杖を持っているという格好だったのだ。
「ゲゲ……ナニモノダ?」
たどたどしい日本語を口にする鬼のような魔物。
おそらくその姿を見た者が、物語に出てくる鬼というものを伝えたのであろう。
「わ、私は……うう……ま、魔法熟女……ラビカルバニーよ……」
顔を真っ赤にしながら、最後の方は消え入りそうな声でその名を言うバニーガール姿の女性。
確かに熟女というにふさわしく四十代くらいの女性のようで、ほど良く肉の載った肉体がバニーガールコスチュームで強調され、妖艶さを醸し出している。
大きな胸ははちきれんばかりであり、丸いお尻も尻尾の付いたコスチュームからあふれそうなぐらいだ。
だが、それがかえって魅力的でもある。
「ゲゲ……ウマソウダ」
足元に転がった女よりはるかに襲いがいのありそうな女。
鬼はそう思う。
こいつを犯して食えばきっと美味なことは間違いないだろう。
「グゲゲゲゲ」
鬼がその両手を振りかざしてバニーガールに襲い掛かる。
「ひい……」
その圧倒的な迫力に思わず小さな悲鳴を上げる彼女。
こんなことに巻き込まれるなんて考えたこともなかったのに……
「ラビカルスタッフを向けるんだホイ」
彼女の背後からふわふわと空中に浮いた白ウサギのぬいぐるみのようなものが声をかける。
「こ、こう?」
彼女は言われたとおりに手にした大きな杖を鬼に向ける。
これこそ魔法熟女ラビカルバニーの武器の魔法の杖、ラビカルスタッフだ。
すると、その先端に埋め込まれた青い宝玉から稲妻のようなものが走り、鬼に命中する。
「グギャァァァ」
一瞬で鬼は黒焦げとなり、グズグズと崩れていく。
あとには細かなチリが残るだけだった。
「すごい……こんな威力が……」
思わず目を丸くする彼女。
まさかあの強そうな鬼が一撃とは。
「これがラビカルスタッフの威力だホイ。これからお前は魔法熟女ラビカルバニーとして、魔物たち を狩っていくんだホイ」
ふわふわと飛んできて彼女のそばに来る白ウサギのぬいぐるみ。
「ねえ……お願いだからその熟女ってのは……」
「夕べも言ったホイ。お前はとても少女とは言えないホイ。それにいやなら絵梨香(えりか)がやることになるホイ。もともとそのコスチュームは絵梨香に合わせて作られているホイ」
自分の着ている躰にぴちぴちのバニーガールコスチュームを見下ろす彼女。
確かに彼女には一サイズ小さいのは間違いなさそうだ。
「うう……わ、わかったわよ……」
がっくりとうなだれるラビカルバニーだった。
******
「おはよう、ママ。うーん……」
眠い目をこすりながら起きてくる少女。
どうして学校などに行かなくてはならないのかと毎朝思ってしまうのは仕方がない。
「おはよう。ほら、早く仕度しないと遅れるわよ」
母は娘をせかし、遅刻しないようにと念を押す。
「わかってるよぉ……ふわぁ……」
あくびをしながら顔を洗いに洗面所へ行く娘。
その間にも母は食事の支度に余念がない。
夫と娘を学校に送り出すのは大変だ。
やれやれ、毎朝戦争だわぁ。
「それじゃ行ってくるよ」
一足先に仕度を終えた夫が声をかけてくる。
「行ってらっしゃい。お弁当は持った?」
「ああ、持ったよ」
カバンをちょっと掲げる夫に、母であり妻である彼女は笑顔で見送りをする。
「気を付けてねー」
「行ってらっしゃいパパ」
顔を洗い終えた少女も父を見送り手を振る。
「さ、絵梨香もさっさと朝ごはん食べちゃいなさい」
「はーい」
毎日のルーティンワークとは言うものの、慌ただしいのは否めない。
朝は忙しいのだ。
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい。車に気を付けるのよー」
「わかってるってぇー」
はずむような足取りで学校へ向かう娘に、思わず母も笑顔になる。
もう小学生じゃないというのに、ついつい車に気を付けてなどと言わずもがななことを言ってしまうのは母親としての癖なのか。
とはいえ、これで朝の慌ただしさも一段落。
少しは落ち着いた時間を迎えることができる。
「ふう……」
とりあえず椅子に腰を下ろす彼女。
「お疲れ様だホイ」
「ひゃぁっ!」
いきなり声をかけられ、思わず椅子から飛び上がりそうになる。
見ると、いつからいたのか、ふわふわと空中を白ウサギのぬいぐるみが浮かんでいた。
「ルビ君? もう、びっくりさせないで!」
彼女はふわふわと宙に浮かぶ白ウサギのぬいぐるみにそう声をかける。
このふわふわと浮かぶウサギのぬいぐるみ……実は妖精だというが……を見てしまったのが、彼女、荒実理津香(あらざね りつか)の運命の変転の始まりと言っていい。
このウサギの姿をした妖精ルビのおかげで、彼女は魔法熟女ラビカルバニーにならざるを得なくなってしまったのだから。
「まったく、どこに隠れていたんだか……まさか絵梨香に変なこと言ってないでしょうね」
「言ってないホイ。それよりもお茶の一つぐらいは出してほしいホイ」
すすすっとテーブルの上に降り立ち、お茶を要求するルビ。
「もう、厚かましいんだから」
やれやれと思いながらも、ちょうど自分も飲みたかったこともあり、理津香は立ち上がる。
そして朝ごはん代わりにクッキーを二枚ほど添えて出す。
少しでもあのコスチュームが似合うように痩せなくては……
そもそもの発端は一昨日の夜中にこの妖精を見たからだった。
珍しくも夜中に尿意を覚えて起き出し、トイレを済ませてベッドに戻ろうとしたところで娘の部屋の方へ向かう白く光る火の玉のような物を見つけてしまい、思わず小さくひいっと声を上げてしまったのだ。
その白い火の玉は、理津香の声を聞きつけるとすうっと彼女の元にやってきて、白ウサギのぬいぐるみの姿に変わっていった。
あまりのことに理津香が床にへたり込むと、その白ウサギのぬいぐるみは彼女に向かってこう言った。
「おい、騒ぐなホイ! おとなしくするんだホイ!」
「え? えええええ?」
ぬいぐるみが動いている上に、さらに言葉をしゃべったことで、理津香は完全にパニックになる。
これは夢よ……
夢に違いないわ……
理津香は必死にそう思い込もうとしたが、白ウサギのぬいぐるみはお構いなしに近づいてくる。
「ルビは光の妖精だホイ。この世界は邪悪な魔物に浸食されつつあるホイ。だから、これからあの部屋の少女を魔法少女に変身させ、魔物と戦ってもらうホイ。だからおとなしくしているホイ」
白ウサギのぬいぐるみはそう言うと、再び白く光る火の玉に変化して絵梨香の部屋に行こうとした。
「え? えええええ?」
思わず声を上げる理津香。
「ま、待って! 待ちなさい!」
理津香は必死にルビを止める。
この白ウサギのぬいぐるみがしゃべったのも恐怖だが、絵梨香に魔物と戦わせようとするなんて冗談じゃない。
あの子はまだ中学生になったばかりよ!
娘にそんなことをさせられるものですか!
「なんだホイ? ルビは忙しいホイ。時間がないホイ」
「妖精だかルビだか知らないけど、娘には手を出さないで!」
フラフラと立ち上がる理津香。
なんとしてもこのわけのわからないものを絵梨香の元へ行かせるわけにはいかない。
「そうはいかないホイ。彼女は魔法少女になる資格があるホイ。彼女に魔法少女になってもらって、この世界を守るホイ」
白ウサギのぬいぐるみの姿に戻るルビ。
「どうして? どうしてあの子なの? 他の人にやらせればいいじゃない! 大人じゃダメなの?」
子供に戦わせようなんてひどすぎる。
魔物との戦いなんてありえないわ。
理津香はルビをにらみつけた。
「ダメだホイ。あの子が適任だホイ」
首を振るルビ。
「どうして? あの子じゃなくてもいいでしょ? 魔物と戦わせるなんてひどすぎる! お願い、あの子にそんなことをやらせないで!」
両手で拝むようにしてお願いする理津香。
だが、ルビはプイとそっぽを向く。
「お願いします。あの子には……あの子にはそんな危険なことはさせないで」
理津香はひざまずいて懇願する。
「そんなにあの子が魔法少女になるのはいやかホイ?」
いやに決まっている。
そもそもこれ自体が夢であってほしいし、魔物と戦うなんて夢じゃなかったとしたらなおさらやらせられるはずがないと理津香は思う。
「親としてあの子が危険な目に遭うのを見過ごすわけにはいきません! どうか諦めて……」
土下座をしてルビに頭を下げる理津香。
「だったらお前がやるホイ」
「は?」
思わず顔をあげる理津香。
「だったらお前がやるんだホイ。あの子を魔法少女にしたくないなら、お前が魔法少女になるんだホイ」
「え? ええええええ?」
またしても思わず声が出てしまう。
魔法少女になれですって?
そんなの無理に決まっている。
「どうするホイ? お前が嫌ならあの子にやらせるしかないホイ」
「ぐっ……」
言葉に詰まる理津香。
でも、絵梨香にやらせるわけにはいかない……
それぐらいなら……
「わ、わかったわ……ま、魔法しょ……少女になります。なりますから……」
「わかったホイ。あの子の親だから素養がないわけでもなさそうだホイ。とりあえずお前で代用してみるホイ。お前がダメだったら、すぐにあの子に変更するホイ」
ルビが絵梨香の部屋を見る。
「だ、ダメ! あの子はダメ! や、やります。私がやりますから」
絵梨香のため……絵梨香のために……
理津香はやるしかなかった。
カランと音がして、理津香の目の前に黒い革の輪っかのようなものが現れる。
「それを首に着けるホイ。魔法少女の変身リングだホイ」
「変身リング?」
理津香はそれを手に取ってよく見てみる。
どう見てもウサギのワンポイントが付いた黒革の首輪と言っていいものだ。
「これを首に?」
理津香の言葉にルビがうなずく。
そんな……
これではまるで犬か何かみたいではないか……
「いやなら……」
理津香が戸惑っていると、ルビが変身リングを取り上げようとする。
「いやじゃない。いやじゃないです」
慌てて理津香はそのリングを首に嵌める。
理津香の首には少し大きいようだったが、留め具をパチンと留めると、すうっと縮まって理津香の首にぴったりと合わさった。
「それでいいホイ。これでお前は魔法少女ラビカルバニーになるんだホイ」
「ラビカルバニー?」
「そうだホイ。その変身リングのウサギのワンポイントに指を当て、ラビカルバニーチェンジというホイ」
は……恥ずかしい……
ルビの言葉に思わず顔が赤くなる理津香。
「早くやるホイ!」
「わ、わかったわよ。うう……」
理津香は仕方なく立ち上がり、首輪のウサギに右手の人差し指と中指を当てる。
「ラビカルバニーチェンジ!」
理津香がそう言うと同時に首輪が輝き、光の渦が理津香の躰を包み込む。
「ひえええええ」
なにがなんだかわからないが、理津香の全身に光がまとわりつき、その姿を変えていく。
やがて光が収まると、そこにはピンクのバニーガールコスチュームをまとった理津香が立っていた。
「えええええ?」
我に返った理津香が思わず声を上げてしまう。
足にはヒールの高いピンク色のアンクルブーツに黒の網タイツ。
胴体部分には肩がむき出しになるピンク色のバニーガールのコスチューム。
お尻には丸くて白いシッポもある。
手首にはカフスが付き、頭にはピンク色のウサギの耳を模したカチューシャが乗っかっていた。
まさに絵に描いたようなバニーガールの姿ではないか。
これを着るのはさすがに恥ずかしすぎる。
「成功だホイ! これでお前は魔法少女ラビカルバニーになったんだホイ! 魔法……少……女?」
理津香が変身したことに喜びつつも、最後は首をかしげてしまうルビ。
「ちょ、ちょっと! これじゃない衣装はないの? これはあまりに恥ずかしいわ」
思わずもじもじと躰を隠そうとしてしまう理津香。
まさかこの歳になってバニーガールの恰好をするとは思いもしなかったのだ。
「無いホイ。いやなら……」
「ああ、いやじゃない、いやじゃないんだけど……その……」
ルビの言葉を慌てて遮る理津香。
これではほとんど脅迫である。
「だったらその恰好を受け入れるホイ! 今からお前は魔法少女……」
ルビはそこまで言って考え込む。
「いや、魔法熟女ラビカルバニーだホイ! 魔物たちからこの世界を守るホイ!」
ビシッと理津香を指さすルビ。
「じゅ……熟女って、そんな……」
「いやなら……」
「わ、わかった! わかりました!」
半ばやけくそで答える理津香。
こうして理津香は魔法熟女ラビカルバニーとなってしまったのだった。
******
「本当にこっちで合ってるの?」
深夜、人々が寝静まったころに、ふわふわと浮く白ウサギのぬいぐるみと、その隣に大きな杖を持ったピンク色のバニーガールが五階建てほどのビルの屋上に立っている。
「間違いないホイ。魔物の気配が濃くなったホイ」
周囲に気を張り巡らせているルビ。
魔物の探知はルビの役目であり、その退治はラビカルバニーである理津香の役目なのだ。
「あそこだホイ」
「行きましょう」
一人と一匹がビルの屋上からジャンプする。
理津香はあらためてラビカルバニーとなった自分の力に感心してしまう。
こんな高いビルから遠くへジャンプすることはもちろん、地面に着地しても全くなんともないのだ。
人間では考えられないことだろう。
光の使徒としての力にはすごいものがある。
「ゲゲ……オンナ……クウ……」
クンクンと鼻を鳴らして獲物のにおいを嗅ぐ一匹の魔物。
額からは一本の角が生え、黄色い目がらんらんと輝いている。
口からは牙が覗き、筋肉が発達した肉体は巨人を思わせる。
青白い肌をしたその姿は、まさしく物語に出てくる青鬼と言ったところだろう。
今その鬼は、どこかに手ごろな獲物はいないかとうろつきまわっているところだったのだ。
「どうやら今回も低級の魔物のようね」
数回ほどの戦いで、理津香も戦う相手のことがわかってきていた。
主に現れるのは低級の魔物であり、鬼に似た姿の連中だ。
鬼たちは性欲と食欲を満たすために人間を襲い、食い散らかしていく。
こいつらが社会を混乱させていくようになれば、やがて中級から上級の魔物も現れるようになり、世界は浸食されていくのだ。
だからこそ、今のうちに低級の魔物である鬼たちを始末していき、社会を平穏にしておかなければならない。
「今のところは数も一体ずつですんでいるホイ。この調子で地道に潰していけば、やがてこの世界は危険だということで魔物も来なくなるはずだホイ」
「そのためにも……ということね」
ルビと顔を見合わせる理津香。
やらねばならない以上はやるしかないのだ。
いまだにこのバニーガールの恰好には抵抗はあるものの、それでもだいぶ慣れてきたようで、今では戦うときには恥ずかしさも感じない。
今日も早いとこあの鬼を片付け、家族が目を覚まさないうちに戻らなくては……
「ラビカルフラッシュ!」
魔物に向けた杖の先端から稲妻がほとばしり、魔物を包み込むようにして焼き尽くす。
黒焦げになった魔物は崩れ去り、塵となって風に飛ばされていく。
「ふう……」
今回は手ごわかった。
ラビカルバニーの躰もあちこち痛む。
全身を覆うバリアーのようなものがあるので、直接的な傷はめったにつかないものの、受け止めきれないダメージはやはりあるのだ。
これはまた明日はあちこち痛いかも……
ラビカルバニーになったことで驚異の回復力も手に入れた理津香だったが、それでも数時間は痛みが残るのだ。
明日の掃除はきついなぁ……
理津香はルビとともに家に向かいながらも、そんなことを考えていた。
******
「もう……何体倒せばこの世界をあきらめてくれるの?」
ラビカルバニーに変身した理津香が宙を舞う。
屋根伝いにジャンプし、魔物が出現した現場に急ぐのだ。
このところ二日と空けずに現れる魔物たち。
もし自分がいなかったら……今頃どうなっていたのかと思うとゾッとする。
もしかしたら絵梨香が魔物の被害に遭っていたのかもしれない……
そんなことにさせてなるものですか!
「いた! あ、あれは……まずいホイ」
魔物を見て驚いているルビ。
「えっ? どうしたの? きゃっ!」
一歩遅れて地面に降り立つ理津香。
だが、そこにいた魔物に思わず手で目を覆って小さく声を上げてしまう。
そこにいた魔物は明らかにこれまでの鬼のような魔物ではなく、別の種類だったのだ。
頭部はトカゲかヘビのような生き物を思わせ、目は瞳が縦に細長く金色に輝いており、ギザギザの歯が覗く口からは長い舌がだらんと垂れている。
躰は筋肉質の男のような人間ぽい姿をしているものの、皮膚は灰色でナメクジのようなヌメッとした感じを思わせる。
お尻からは太いシッポが伸びており、背中には背びれのようなものも生えていた。
なにより驚いたのは、股間にオスの証ともいうべき立派なペニスがぶら下がっており、それがみるみるうちにムクムクとそそり立ってきたのだ。
「ケケケケ……」
長い舌で舌なめずりをする魔物。
明らかにラビカルバニーの出現に性欲を刺激されているようだ。
「ル、ルビくん、あれは……いったい?」
「中級の淫魔だホイ。今までの低級の魔物とは能力が格段に上だホイ」
「そ、そんなぁ……」
ルビの言葉にラビカルステッキをぐっと握りしめる理津香。
今までよりも格段に上だなんて……
私で勝てるの?
「大丈夫だホイ。ラビカルバニーには光の防護があるから淫魔の攻撃など通じないホイ。相手のパワーにさえ気を付ければ問題ないホイ」
「わかったわ」
ルビの言葉を信じ、素早く一撃を繰り出す理津香。
その重い一撃がステッキを通じて放たれる。
上がった土煙が一瞬視界を遮って淫魔の姿が隠れる。
間髪入れずにダッシュで飛び出し、そのまま杖を叩きこむ。
「えっ?」
だが、杖に魔物に当たった時の衝撃がこない。
突き込んだ先に淫魔がいないのだ。
「どこ? きゃっ!」
相手を探そうとした瞬間に脇腹に尻尾の一撃を食らって弾き飛ばされる。
そのまま地面に倒れ込むも、素早く躰を回転させて立ち上がる。
「ケケケケ……オマエ、マホウショウジョ……ジャナイ?」
口からよだれを垂らし、ラビカルバニーをにらみつける淫魔。
「残念だったわね、魔法少女じゃなくて! 私は魔法熟女ラビカルバニーよ!」
何度言っても恥ずかしくなるようなネーミングだが、もう慣れたし、どうせ聞いているのはルビとこの魔物だけなので気にしない。
「ケケケ……マホウジュクジョ……オレ……コノミ」
ニタッと笑う淫魔に理津香はゾッとする。
「好みって……まさか私に欲情している?」
淫魔の股間のペニスは先ほどからそそり立ったままだ。
その形は確かに夫どころか人間では比べ物にならないくらいに太くてたくましい。
だが、そんなものに犯されるなんて考えたくもない。
「オマエ……コノミ……オレノ……ドレイニスル」
べろりと再び舌なめずりをする淫魔。
そそり立つペニスからは先走りの液があふれてくる。
「ど、奴隷?」
奴隷って、あの鎖でつながれて働かされる人のこと?
「心配ないホイ! どうやらこいつは作隷(さくれい)淫魔らしいけど、光の防護が守ってくれるホイ!」
「さ、作隷淫魔?」
淫魔と対峙したままルビに聞き返す。
いったい何のことだろう?
「作隷淫魔は犯した相手を自分の言いなりになるメス奴隷にしてしまう淫魔だホイ」
「えっ? ええええ?」
メス奴隷?
メス奴隷ってアダルトビデオやゲームに出てくるようなやつのこと?
そんなぁ……
とにかく、この魔物を倒さなくては被害が広がってしまう。
理津香は気を取り直して、再度淫魔にラビカルステッキからの一撃を繰りだそうとする。
だが、一瞬早く淫魔の舌が素早く伸び、理津香の手からステッキを弾き飛ばしてしまう。
「あっ!」
まさかこの距離に舌が届くとは思っていなかった理津香。
慌ててステッキを拾いに行こうとするが、その躰に舌が巻き付いてくる。
「えっ? ウソ!」
ぐっと強い力で引き寄せられる理津香。
巻き付いた舌の力が強く、ラビカルバニーの力でもまったく振りほどけないのだ。
理津香はなすすべもなく引き寄せられてしまう。
「ダメだホイ! なんとか抜け出すホイ!」
「そ、そんなこと言っても……くっ」
ルビの言うとおりになんとか抜け出したいのだが、躰に巻き付いた舌が離れない。
それどころか、外そうとしてもぬらぬらとした唾液で掴みづらいのだ。
「ケケケ……ツカマエタ」
「くっ、は、離しなさい!」
引き寄せると同時に自らも近づいてきた淫魔が、理津香の躰を抱きしめる。
強靭な尻尾も脚に巻き付いてきて、理津香はさらに抜け出すことが難しくなってしまう。
「ケケケケ……オマエツヨイ……オレノコノミ……ドレイニスル」
「だ、誰があんたなんかの・・・」
理津香は必死で身をよじってなんとかしようとするものの、まったく振りほどけない。
い、いったいどうしたら……
シュルルと理津香の躰に巻き付いていた舌が離れていく。
そして淫魔の口に戻っていったと思うと、今度は理津香の口めがけて伸びていく。
「う……うぶっ!」
歯を食いしばっていたにもかかわらず、淫魔の舌はたやすく理津香の口をこじ開ける。
そ……そんな……
理津香は気色悪い舌がのどの奥に入り込んでくるのを感じる。
まるでイラマチオをされているようだ。
「う……ごご……」
息がつまりそうになる。
た……助けて……
喉の奥に何か流し込まれていく。
途端に躰が熱くなってくる。
な……なんなの?
「ケケケケ……オレノダエキ、メスヲハツジョウサセル……スグニオレノホシクナル」
舌を入れたままで、器用に言葉を発する淫魔。
そ、そんな……
絶対に……そんなことは……
淫魔の言葉に首を振る理津香。
だが、躰はどんどんほてってくる。
股間がうずき、セックスしたくなってくる。
ああ……そんな……
「ケケケケ……オマエ、オレノモノ」
「んぐ……んぐぅ」
いやぁっ!
「ラビカルバニー! 落ち着くんだホイ! 大丈夫だホイ! 光の防護があるから性行為をしたことが無い処女には淫魔の攻撃は効かないホイ!」
「んんんんんん!!」
理津香が愕然とする。
ウソでしょ……
私は処女じゃないんですけど……
理津香の目がだんだんトロンとなってくる。
胸がドキドキする。
躰が熱い。
セックスしたくてたまらない。
おマンコにぶっといチンポをハメてほしい。
はあぁぁぁん……
「ケケケケ……キイテキタヨウダナ」
シュルルと理津香の口から舌が引き抜かれ、淫魔の口へと戻っていく。
「ハア……ハア……」
呼吸が荒い。
オスが欲しくて欲しくて仕方がない。
彼に思いっきり抱かれたい。
欲しい。
欲しいの。
理津香の目が欲望に満ちていく。
目の前の淫魔のそそり立つペニス。
どうしようもなくあれが欲しい。
あのペニスが欲しい。
「ハア……ハア……ハア……」
理津香はその場に膝をつく。
「ああ……」
そして淫魔の太ももに縋りつくようにして、そのペニスに頬擦りする。
「ケケケケ……ホシイカ?」
「欲しい……欲しいです……」
うっとりとした目で淫魔を見上げる理津香。
「シャブレ」
“待て”を解除された犬のように、理津香は淫魔のペニスを口に含む。
先ほどの舌よりも太いにもかかわらず、それは理津香の口を喜ばせ、感じさせてくれる。
一瞬で襲ってくる幸福感。
強い主人のペニスを舐める喜びのようなものがあふれてくる。
ああ……好き……
このおチンポ……大好き……
理津香はおいしそうに淫魔のペニスをしゃぶっていた。
「どうしてだホイ? 淫魔の攻撃が効いているホイ? ラビカルバニー、しっかりするホイ! 負けちゃダメホイ!」
ルビが大声で叫んでいる。
だが、理津香の耳には届かない。
淫魔の唾液を流し込まれ、その虜になってしまっているのだ。
「んむ……んん……」
先ほどとは違い、自らのどの奥までペニスを頬張っていく理津香。
今まで感じたことのない快感と幸福感が理津香を包む。
「ケケケ……ダスゾ」
淫魔がそう言った次の瞬間、理津香の口の中いっぱいにねばつく液体が放出される。
それがなんとも言えずうれしいし、また美味しく感じてしまうのだ。
理津香は淫魔の精液をたっぷりと受け止め、口の中で味わっていく。
そして、すべてを飲み干して口の中を開けてみせた。
「ケケケ……オマンコヲダセ」
「はい」
理津香はためらいもなく変身を解除する。
光に包まれた理津香の躰は、一瞬でラビカルバニーから普段の理津香の姿になる。
そしておもむろに下着を脱ぎ捨てると、淫魔の前で寝転んで股間をさらしてみせた。
「ああ……」
深夜の路上であられもない格好をしているというのに、理津香は幸せを感じていた。
強いオスに支配される喜び。
おマンコを求められ、見られる喜び。
これからたくましいチンポを突き込んでもらえる幸せ。
いずれもこれまで味わったことのないものだ。
理津香は幸せだった。
「ケケケ……」
淫魔が先走りを滴らせたペニスを理津香に突き立てようとする。
「ああ……」
その様子に胸を高鳴らせる理津香。
もはや夫のことも娘のことも脳裏から消え去り、ただただペニスを入れて欲しがっている一匹のメスだ。
「ラビカルバニー! 屈しちゃダメだホイ! どうして淫魔なんかに負けているホイ!」
ルビの叫びも今の理津香には雑音にしか聞こえない。
それどころかうるさく耳障りな叫びに感じるのだ。
なにをあんなに叫んでいるのだろう?
これからあの素敵なおチンポを味わえるのに……
ああん……
早くぅ……
「ケケケ……オレノチンポイレル……オマエトリコ……オレノドレイナル……イイナ?」
「はいぃ! なりますぅ! 奴隷になりますぅ!」
淫魔の言葉にうなずく理津香。
注ぎ込まれた唾液が理津香から正常な思考を奪っているのだ。
今の理津香はおチンポを入れてもらえるならどんな言葉にもうなずくだろう。
ズブリと淫魔のペニスが理津香のおマンコに突き入れられる。
「ひゃぁぁぁぁん!」
思わず歓喜の声を上げてしまう理津香。
なんてすごいの?
こんな素敵なおチンポは初めて。
今まで経験したどんなチンポよりも素晴らしいわ。
ああぁぁん……
幸せ……
幸せですぅ……
ズンズンとリズミカルに突き入れられる淫魔のペニス。
理津香の躰がそのたびに前後する。
口からよだれを垂らして全身を襲う快感に身をゆだねる理津香。
こんな気持ちよさは初めて。
もうこれ以外のチンポとのセックスなど考えられない。
私の身も心もこの方のもの。
私のすべてはこの方のものなのぉ。
「ああ……ああああああああああ……」
全身を振るわせながら絶頂に達していく理津香。
それと同時に淫魔のペニスからも大量の精液が理津香の中へと流し込まれる。
それは作隷淫魔の名にたがわず、理津香の体内へと潜り込み、その脳まで浸透していくのだ。
作隷淫魔の精液を取り込んだメスは、その支配下に置かれ、文字通りメス奴隷と化すのである。
だが、理津香の場合はそれだけでは終わらなかった。
ラビカルバニーの変身を解除したのちも理津香の首に嵌まっていたリング。
そこから急激に黒い霧のようなものが広がったのだ。
「ゲゲゲゲ?」
突然のことに慌てて理津香から離れる淫魔。
ペニスが抜き取られた理津香のおマンコから、淫魔のザーメンが垂れ落ちる。
黒い霧はやがて粘性を持つコールタールのように変化し、理津香の躰を覆っていく。
顔も躰も手も足も覆い尽くし、やがて理津香は真っ黒なタール人形のようになってしまう。
そしてすぐにそのタールが収縮し始め、理津香の躰を覆う衣装のように変化する。
足の部分は太ももまでの黒いハイヒールのブーツへと変わり、両手も二の腕までの長手袋に変わっていく。
胴体部分もこれまでのバニーコスと同じような胸から股間までを覆う黒いボンデージスーツへと変化する。
背中からは黒いコウモリのような翼が広がり、お尻からは黒く先端が矢じりのようになった細長いシッポが生えていく。
額にも黒いサークレットのようなものが嵌まり、首の変身リングはトゲの付いた首輪となる。
耳は細長く尖り、頭の両側からはねじれた角が伸びていく。
開いた両目は金色に輝き、瞳が盾に細長く変わっていた。
理津香は淫魔に変貌していたのだった。
「なんてこったホイ……中級どころか上級クラスの力を感じる淫魔だホイ……」
理津香の変化を愕然とした表情でルビは見つめる。
「ゲゲゲ……コレハイッタイ?」
淫魔も異常を感じたのか、少し後ずさりをする。
「ハア……ン。うふふ……大丈夫ですわご主人様。私はご主人様のメス奴隷です」
ゆっくりと立ち上がる理津香。
その姿はまさに妖艶な女淫魔そのものだ。
「ゲゲゲ……ホントウカ? オマエ……オレヨリツヨソウ」
「この力をくださったのはご主人様。私をこうして淫魔にしてくださった素敵なお方。私はもう身も心もご主人様のものです。私をどうかご主人様のメス奴隷としておそばにおいてくださいませ」
やや及び腰の淫魔に対し、理津香はそう言ってひざまずく。
「ケケケケ……コレハイイ……オマエ、オレノメスドレイ……イイナ?」
「はい、ご主人様」
うっとりと自らの主人を見上げる理津香。
「ケケケ……オマエ……ナマエ……ナニ?」
「名前ですか? ラビカル……って、それは以前の名前でした。うふふ……淫魔熟女インビキュラなんて言うのはいかがでしょう?」
今の理津香にとっては、人間の名も魔法熟女の名も似つかわしくない物であり、新たな名を名乗るのは当然である。
「ケケケ……インビキュラ……オボエタ」
「ありがとうございますご主人様。このインビキュラ、未来永劫ご主人様のメス奴隷としてお仕えいたします。どうぞ、このインビキュラのメス穴を存分にお楽しみくださいませ」
インビキュラは嬉しそうに一礼し、淫魔のペニスを欲望に満ちた目で見つめていく。
「ケケケ……ホシイノカ?」
「ああ……はい、ご主人様。ですが、その前に……」
インビキュラはスッと立ち上がり、背中のコウモリの翼を広げてジャンプする。
そしてこそこそと逃げ出そうとしていたルビの前へと降り立った。
「うふふ……どこへ行くのかしら、ルビ君?」
「な? お前には関係ないホイ! お前はもう魔法熟女じゃなく淫魔になってしまったホイ。だからルビにはもう関係ないホイ!」
後ずさりをし、逃げる隙を伺うルビ。
「うふふ……そうね。もう私とは関係が無くなったから、これからあの子のところに行って魔法少女にするつもりなんでしょ?」
インビキュラの金色の目がルビをにらみつけ、口元には笑みが浮かんでいる。
「そ、そうだホイ! お前たちの好きにはさせないホイ! あの子に魔法少女になってもらって、お前たちを倒してもらうホイ!」
ルビは振り返って走り出すように見せかけ、逆にインビキュラの脇をすり抜けようとする。
「ひぎゃっ!」
だが、インビキュラの手から放たれた黒い稲妻がルビを直撃して、ルビを地面にたたきつけた。
「ダメよルビ君。あの子はこれからご主人様の餌になってもらうの。あの子ならきっとご主人様も満足してくださるわ。魔法少女なんかにさせたりしないんだから」
地面に倒れたルビにゆっくりと近づくインビキュラ。
「そんな……自分の娘を餌にする気かホイ?」
ルビが驚愕する。
「あら……私は淫魔よ。人間の小娘なんて淫魔にとって餌以外の何者でもないでしょ? うふふふふ……」
インビキュラが再び手から黒い稲妻を出す。
「ひぎゃぁぁぁぁぁ!」
黒焦げになって崩れ去るルビ。
「うふふ……これで邪魔者は消えたわ」
インビキュラはにやりと笑った。
「ケケケケ……ヨウセイヲケシテシマウトハ……」
淫魔にとってもこれは驚きだった。
妖精を消すのは中級の魔物では難しいのだ。
それをあっさりとやってしまうとは……
「うふふ……ご主人様にとっても邪魔になるかと。それに、私にとっても目障りでしたから」
ゆっくりと淫魔のそばに戻ってくるインビキュラ。
「さあ、邪魔者はいなくなりましたわご主人様。どうぞこのメス奴隷のインビキュラの躰を存分に味わってくださいませ。うふふふ」
そう言いながら淫魔の腕に自らの腕を絡ませる。
「ケケケ……タノモシイ……イイゾ、タップリカワイガッテヤル」
淫魔としてもまんざらではない。
こんな強い淫魔が自分のメス奴隷なのだ。
喜ばしいことに違いない。
「ん……」
抱き寄せられ、淫魔のキスを受けるインビキュラ。
二体の淫魔は、そのまま闇の中へと消えていくのだった。
END
いかがでしたでしょうか?
よろしければ感想コメントなどいただけましたらうれしいです。
今日はこんなところで。
それではまた。
- 2022/01/03(月) 20:00:00|
- 異形・魔物化系SS
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