今日は帝都奇譚を少々。
短いですがご容赦を。
17、
「ここか・・・」
銀座のネオン華やかな中、月子はカフェー「フジ」の前にやって来ていた。
「警視庁特別高等警察の三倉警部補・・・」
月子はあらためて相手のことを考える。
警察関係の人間ということは、普通の相手ではない。
それなりに権力の使い方も知っているし、特高警察ともなればなおさらのこと。
だからこそ放っておくわけにはいかない。
でも、ここで祓うわけにはいかないわね・・・
どうしようか・・・
月子はしばし考え、やがて「フジ」の中に入っていった。
カタン・・・
机の上に鉛筆が転がる。
広げられたノートにはさっきから同じ文字しか書かれてはいない。
渇いた・・・
渇いた渇いた渇いた・・・
渇いた渇いた渇いた渇いた渇いた渇いた・・・
喉が渇いて仕方が無い。
勉強などできるはずが無い。
机に向かっても喉の渇きが癒されるわけではない。
さっきからお茶を飲んでいるけれどちっとも効果が無い。
そのせいか夕食はまったく口を付ける気にならなかった。
お腹はたぷたぷ・・・
でも喉の渇きは癒されない。
お茶じゃだめ・・・
お茶なんかじゃだめ・・・
もっと・・・
もっと別のもの・・・
もっと・・・もっと甘い・・・
脳裏によみがえる昼間のこと。
給湯室脇での真木野小夜との口付け・・・
甘い・・・
とても甘い彼女の味・・・
小夜・・・
そう・・・
まずは彼女がいい・・・
彼女を飲もう・・・
あの甘い・・・
甘い・・・
摩耶子はふらっと席を立つ。
そのまま無言で彼女は部屋を出て行った。
ぴちゃ・・・くちゅ・・・ちゅぶ・・・
そそり立つ肉の棒。
太く大きなそれは幹に血管を浮き立たせ、先端に広がる傘は彼女の口からはみ出てしまうほど。
舌を這わせ唾液をまぶしながら、根元から先端へとその味を楽しみ、にじみ出る液体をしゃぶり取る。
今までは考えたことも無い、男の肉棒の味わい。
なぜ考えたことも無かったのか今では不思議でならない。
この肉棒のためならどんなことも厭わない。
“新たな世界に生きる者”となった今、彼女にとってはこの肉棒こそが全てと言ってもいいだろう。
ちゅぶ・・・くちゅ・・・
彼女の舌の動きにあわせ、肉棒はピクピクと反応している。
放出が近いのだ。
何となく嬉しくなって彼女は舌の動きを早める。
そしてのどの奥までくわえ込み、舌を絡めてピストンを繰り返す。
やがて放出される粘りのある液体。
喉に絡み飲みづらいが、それこそが主人の喜びの証。
彼女はうっとりとその味を楽しんだ。
「ククク・・・さて、出かけるぞ」
身支度を整えるヴォルコフ。
「はい。ヴォルコフ様」
その背後に付き従うのはあのマネキンガールだ。
だが、その目は赤く輝き、異様な妖艶さを纏っている。
洋装に身を包み、ヴォルコフに従う闇の女だった。
「お客様」
カフェーの女給が入ってくる。
「ん? なんだ」
先日の部屋と同じ部屋で雛華を待っていた三倉は、すでにワインを楽しんでいる。
「これをお渡しするよう言われました」
一枚の紙片が手渡される。
「ん?」
いぶかしむ三倉。
「誰からだ?」
「白鳳とおっしゃるご婦人です」
「ほう・・・」
手を振って女給を下がらせる三倉。
あの女、何を書いてきたのか・・・
三倉は紙片を広げてみる。
そこにはただ話があるので外に出てきて欲しいとだけ書かれていた。
「ふん・・・」
三倉は立ち上がる。
「あの女・・・どうやらもう少し可愛がってやる必要があるようだな・・・」
長い舌が唇を嘗め回した。
- 2006/12/18(月) 21:31:05|
- 帝都奇譚
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小説はブルログに来次第に見ています.
白鳳雛華がどんなに悪に抜けるのか分かりたいです.
韓国には雪がたくさん降りました.
ニュースでは 1981年以後のソウルの大雪だったと報道しています.
それだから天気はもっと寒くなりました.
外に出るのが恐ろしいですね.
その所は天気がどうですか?
- 2006/12/20(水) 12:31:31 |
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- ベルクルド #-
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>>ベルクルド様
雛華はとりあえずは解放されちゃいましたね。
今度は摩耶子がヤバそうですが。(笑)
私は日本でも北の方である北海道に住んでおりますので、雪は毎年多いです。
韓国の大雪はこちらでもニュースで報道されました。
充分にお気をつけ下さいね。
- 2006/12/20(水) 21:47:51 |
- URL |
- 舞方雅人 #-
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