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舞方雅人の趣味の世界

あるSS書きの日々

今日は雪の中

いつもなら先週顔を出しているはずの父の施設でしたけど、先週の札幌は大荒れの天気でしたので、一週ずらして今日行ってきました。

実は今日も天気は荒れるという話でしたので、ずらしてもダメだったかーと思っていたんですが、幸い午後は晴れ間がのぞき、行くときは天気が良かったです。
三週間ぶりの父は今日も元気そうで、楽しく話しをしてきました。
ただ、本人はもうかなり認知症が進んでおりますので、何度も「今日は何しに来た?」みたいなことを聞くんですよね。
父に会いに来たんだよとは言うのですが、何かのついでに寄ったのではないかと思っちゃうみたいです。

帰りは一転して雨から雪。
日が暮れて冷えると、雨が雪に変わりました。
湿った雪があっという間に積もっていくような状態で、家に帰ってきたときはカバンの上も白くなるぐらい。
今晩から明日にかけて雪が続くとのことで、札幌でも明日の朝は雪が積もりそうです。
いやだなぁ。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2017/11/18(土) 18:45:55|
  2. 日常
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鶴ひろみさん急死

今日は昨晩劇的なサヨナラ勝ちを収めた稲葉ジャパンのことを書こうかと考えていたのですが・・・

朝、ネットのニュースで流れてきました訃報。
声優の鶴ひろみさんが、車を運転中に大動脈剥離を起こしお亡くなりになられてしまったというニュースでした。

鶴さんは、主に1980年代から90年代にかけて活躍なされた声優さんで、最近はナレーターなどのお仕事が多かったようですが、ドラゴンボールのブルマ役、アンパンマンのドキンちゃん役などを演じられておられました。
実は私はあんまり印象に残った役を存じなく、マクロスのキムやGS美神の美神令子を演じられていたということぐらいしか記憶になかったのですが、突然の訃報にびっくりしました。

まだ57歳という若さで、本当にご無念だったのではないかと思います。
ご冥福をお祈りいたします。

それではまた。
  1. 2017/11/17(金) 18:52:36|
  2. ニュース
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清宮君仮契約

今日の札幌は気温が上がらず、かなり寒かったですね。
明日は今日以上に寒くなるとかで、天気予報も雪です。
いよいよ本格的な雪のシーズン到来ですねぇ。
やれやれ・・・ _(:3 」∠)_

そんな中、この寒い札幌を本拠地とする北海道日本ハムファイターズと、今年のドラフト一位の清宮幸太郎君が今日仮契約を結んだというニュースが。
契約金は一億円プラス出来高五千万円、年棒は一千五百万円だそうです。
すごいー。
まさに期待の表れですねぇ。

それにしても、入団はしてくれるものとは思っておりましたけど、こうして仮契約が行われますと、やっとちゃんと決まったなと思いますね。
これまでは本当に来てくれるの? 大丈夫? みたいなところが多少とはいえありましたからねぇ。
背番号はまだ未定のようですけど、何番になりますでしょうかね。
清宮君と言えば○○番みたいに背番号を自分の物にしていってほしいものです。
来季はまだまだ二軍での育成が中心とは思いますけど、頑張ってください。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2017/11/16(木) 18:34:18|
  2. スポーツ
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今年は七名

プロ野球のFA宣言申請期間が昨日で終了し、今日FA宣言選手の公示が行われました。
これに伴い、明日から各球団は宣言をした選手と交渉を行うことが可能となります。

今年宣言をおこなったのは七名でした。
国内移籍のみが可能なFA宣言をおこなったのが、阪神の大和選手、日本ハムの増井投手、西武の野上投手の三人。
一方海外移籍も可能なFA宣言をおこなったのは、オリックスの平野投手、ロッテの涌井投手、日本ハムの大野選手、ソフトバンクの鶴岡選手の四名でした。

阪神は大和選手の残留を願いつつ、それ以外のFAによる補強はどうやら行わないようです。
日本ハムも宣言残留を認めておりますので、他球団との交渉次第では増井投手や大野選手も残留という可能性がないというわけでもなさそう。
とはいえ、まあたぶん残留はないんじゃないかなという気はしますね。

交渉は明日からですが、この七名の方が来季どこのユニホームを着ていることになるのでしょうか?
気になるところです。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2017/11/15(水) 18:35:01|
  2. スポーツ
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3個分隊VS5個分隊

先日「Squad Leader」をソロプレイしました。
第3盤の集落が舞台です。

独軍はランダムセレクトの兵力の一番少ないやつを使ってみました。
これでどこまで耐えられるかです。
わずかに467分隊が3個、指揮官も8-1指揮官が1個のみですが、機関銃はMMGが2丁HMGが1丁と高い火力を誇ります。

独軍の兵力をポイント数にしてみると約200ポイントとなりますので、攻撃側は約300ポイントを目安にしました。
ダイスの結果、陣営は米軍。
そこで、666分隊を5個、9-1指揮官と7-0指揮官をそれぞれ1個、MMGを1個としました。

勝利条件は独軍が立てこもる村の教会の占領とし、N1の二階建て建物を教会に見立てました。

米軍は村に入ったところで兵力を展開した状況で配置。
一方独軍は教会の二階にMMG2丁とそれを操作する2個分隊、および8-1指揮官を重点配備。
教会を囲む石塀の影にHMG1丁とそれを操作する分隊1個を配置しました。
17111001.jpg

米軍は兵力を二手に分け、2個分隊に右手を迂回させ、回復役として7-0指揮官が同行。
一方攻撃役として9-1指揮官とMMG及び3個分隊を教会の正面から向かわせます。
これに対し独軍の射撃は苛烈を極め、右翼で1個分隊が混乱して裏返り、正面では何と9-1指揮官が裏返った上に分隊1個が除去されてしまいます。

さすがに米軍は厳しいかと思いましたが、ここから米軍の火力と回復のしやすさが本領発揮。
米軍右翼の裏返った分隊は、7-0指揮官があっという間に回復させ、正面は残った2個分隊が石造建物に陣取って独軍を射すくめます。
そのため、石塀の影でHMGを撃っていた独軍1個分隊が混乱し、HMGを投げ捨てて後退。
米軍は9-1指揮官も回復して、右翼から1個分隊を道路を渡らせ教会に接近させます。

独軍は教会の二階からMMG2丁と2個分隊で射撃を行いますが、米軍は裏返ってもすぐに回復し、射撃をしてきます。
一方独軍は指揮官が一人しかいないため、裏返った分隊をなかなか回復させられません。
17111002.jpg

独軍は2個目の分隊が混乱し、米軍がついに教会の一角に飛び込みます。
階段を上って二階に突入してくる米軍に対し、独軍は最後の1個分隊も外からの米軍の射撃で混乱してしまいました。

ほぼ大勢が決したと思ったのですが、なんとここで独軍にダイスの神が微笑みます。
8-1指揮官の元で回復を試みた独軍の2個分隊が2個ともサイコロ二個で4以下を出して回復したのです。
9-1指揮官率いる正面部隊も教会に突入していた米軍は、まさかの目の前での独軍の回復に衝撃を受け、続く独軍の射撃でなんとピンゾロで除去されてしまうという悲劇に。
17111003.jpg

米軍は残りが1個分隊になってしまい、ほぼ占領が不可能となりましたので、ここで終了。
最後の最後で独軍の大逆転となりました。
なんとまぁ。

これだけ両軍ともに兵力が少ないと、一回のダイスの目がすごく大きく影響するんですよね。
米軍はほぼ勝利していたと思われたんですが、最後にピンゾロを出されてしまいました。

やっぱり「Squad Leader」は面白い。
今度はもう少し兵力を増やしてまたやってみたいと思います。

今日はこんなところで。
それではまた。
  1. 2017/11/14(火) 20:21:43|
  2. ウォーゲーム
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クモとアリ

ブログ開設から4500日記念SSの第三段です。
今日はショッカー風女怪人SSです。

タイトルは「クモとアリ」です。
まあ、そのまんまです。(笑)
お楽しみいただけましたら幸いです。

それではどうぞ。


クモとアリ

「はあ・・・」
玄関を開けた時の絶望感・・・
今日もまた家には誰もいなかった・・・
一人・・・
たった一人の人がいてくれないことがこれほどつらいことだとは・・・
「優斗(ゆうと)さん・・・」
確かに時間的にはまだ帰っていない時間かもしれない。
いつもなら誰もいない家に帰ってくるのは普通のことだった。
でも・・・
それはあと二時間もすれば彼が帰ってくるのがわかっていたからのこと。
だが今は・・・
「優斗さん・・・あなたはいったいどこに・・・」
今日は・・・
今日こそは家に戻ってきてくれているかもしれない・・・
そう希望をもって家に帰るようになって一週間。
いまだ彼は戻っていない。
誰も出迎えてくれなかった玄関で、紗月(さつき)は思わず膝をつき、涙を流すのだった。

「それじゃ行ってくるよ」
いつも通りに玄関を出ていく優斗。
「あ、行ってらっしゃい。私もすぐ出ます」
身支度を整えながら彼を見送る紗月。
スーツ姿の優斗がにこやかに手を振っていく。
いつもと変わらぬ二人の朝。
だが、この日から優斗は帰ってこない。
会社はいつも通りに退社したという。
事故や事件という話もない。
両親や親戚の家に行ったという報告もない。
共通の友人に聞いても誰一人彼の行方を知る者はいなかった。

三日後には警察にも届け出た。
もはやそれ以上できることはなく、あとは帰りを待つしかない。
最初は浮気も疑ったが、もはや戻ってきてくれるのならどうでもいい。
結婚して一年ちょっと。
スポーツマンの彼にあこがれたのは彼女の方。
それからはことあるごとにアタックし、彼女の座を射止めた。
そして結婚。
本当に幸せだった。
でも・・・
幸せだったのは自分だけだったのではないだろうか・・・
魅力のない自分に飽きられてしまったのだろうか・・・
もっと女を磨いていればよかったのだろうか・・・
何となく惰性で夫婦をしていたからではないだろうか・・・
いろいろなことが思い浮かぶ。
とにかく戻ってきてほしい。
彼がいないのでは生きている意味がない・・・

食事を作る気にもならず、部屋に一人でいることにも耐えられず、紗月は家を飛び出した。
どこへ行く当てがあるわけでもない。
ただ一人でいるのがいやだった。
いつも二人で笑って過ごしていたあの部屋。
一人でいるのは耐えられない・・・
「優斗さん・・・どこなの?」
夜の街をうろつく紗月。
いつしかその足は人気のない暗闇へと向かっていた。

「えっ? あれ?」
気が付くと暗い裏路地を歩いていた紗月。
どこをどうやって歩いてきたのか・・・
そもそもここはどこなのか?
「いけない・・・戻らなきゃ」
そう思って来た道を戻ろうとはするものの、はたして自分が来たのは右の道からだっただろうか、左の道からだっただろうか記憶がない。
「えっ? どうしよう・・・ここどこ?」
昼間ならまだ周囲の風景から判別がついたかもしれない。
だが、今はもう夜。
街灯も少なく、住宅もちらほらとしかなく、さっぱり方角がわからない。
「どうしよう・・・」
紗月は青ざめたが、とにかく行けるところまで行ってみようと道を歩き出す。
その時だった。

「きゃっ!」
突然彼女の躰に何かが絡みつく。
ねばつく太いヒモのようなものが手足に絡みついて、もがけばもがくほど絡まってしまうのだ。
「やだ、何これ? 何なの?」
引きちぎろうとしても、彼女の力では引きちぎることもできない。
それどころか、かえって絡まりを深めてしまう。
「だ、だれか・・・助けて」
まるで蜘蛛の巣にでも引っかかてしまったかのように、ヒモに絡めとられてしまう紗月。
そこに数人の人影が現れる。
「あ、すみません、たすけ・・・」
一瞬助けを求めかけた紗月だったが、現れた人たちの異様な姿に言葉を失ってしまう。

それは何とも異様な姿。
体形から男性が二人に女性が一人ということはわかるものの、そのいずれもが頭のてっぺんからつま先までの全身を黒いタイツ状の衣服で覆っており、顔も目の部分以外は覆われているため、日本人なのか外国人なのかもよくわからない。
両手両足は黒いブーツと手袋を付けており、腰にはドクロのマークの付いたベルトを締めている。
まるで何かで見た特撮のキャラクターみたいだ。
そしてそれ以上に驚くべき姿なのが、彼らの後ろに立っている異形の姿。
がっしりした体格だが、全身を黒く短い剛毛が覆い、ところどころに赤い筋状の毛が走っている。
頭には角のような二本の突起があり、赤く丸い目が大きいのが二つに小さいのが四つこちらをにらんでいる。
口元には左右に開くあごのようなものがあり、肩からは片方二本ずつの人間の腕のようなものが生えていた。
「あ・・・あああ・・・」
まるで蜘蛛と人間が融合したかのようなその異形の姿に、紗月は声も出ない。
この躰に絡みついたヒモのようなものは、この化け物の巣だったとでもいうの?

「シュシュ―! この女だ。連れていけ」
「キキィーッ!」
蜘蛛の化け物の言葉に黒づくめの連中が奇声を上げて応える。
男二人が左右から紗月の腕を抑え、女は紗月の口に何やら布をかぶせてくる。
「やっ、何を、やめ・・・て・・・」
何かの薬品の臭いが紗月の鼻を通り、彼女は急速に意識が遠くなっていった。

                   ******

「ん・・・」
意識が戻ってくる。
「ここは?」
ぼんやりと見上げる天井。
そこにはTVなどでよく見る手術用の無影灯のようなものが点いていた。
「えっ?」
慌てて躰を起こそうとしたものの、両手と両足が固定されていて起き上がれない。
それどころか、首まで固定されているではないか。
「ちょ、ちょっと、何これ?」
自分がいったいどうなったのか、紗月は全く見当もつかない。
わかっているのは、自分があの化け物たちに捕らえられたことと、ここに寝かされていることだけ。
いったい何がどうなっているのか・・・

スッと彼女の額に何かが触れる。
「ひっ!」
思わず小さな悲鳴を上げる紗月。
見ると、彼女の頭のところに、あの蜘蛛の化け物が立っているではないか。
「ひぃーー! いやぁぁぁぁぁ!」
恐怖のあまり大声でわめき首を振る。
「シュシュ―! サツキ・・・」
「えっ?」
突然自分の名前が呼ばれたのだ。
「ど、どうして?」
「シュシュ―! サツキ・・・怖がるな・・・」
彼女の額をなでながら、躰の位置を彼女の横に移す蜘蛛怪人。
「ど、どうして私の名を・・・」
そう尋ねた紗月の脇に、チャラッと音がしてペンダントが置かれる。
それは新婚旅行で二人で買ったペンダント。
もう片方は紗月の首にかかっており、もう片方は・・・
「まさか・・・優斗・・・さん?」
「シュシュ―! それは改造を受ける前の俺の名だ。今の俺は組織の改造によって生まれ変わり、クモ男となったのだ」
複数の赤く丸い目が紗月を見つめている。
「まさか・・・そんな・・・」
紗月は言葉が出ない。
探していた愛する人がまさかこんな姿になっていようとは・・・

「シュシュ―! 恐れることはない。お前は試験に合格した。お前も組織の改造人間になれるのだ」
「えっ? 改造人間?」
「シュシュ―! そうだ。首領様にお仕えし、組織の一員として人間どもを支配する改造人間だ。俺はお前を俺のパートナーとして改造人間に推薦した。そしてお前は見事に試験に合格したのだ」
何を言っているのか?
改造人間?
組織?
紗月には何が何だかさっぱりわからない。
そもそもこの状況は現実なのだろうか?
本当に目の前のこの異形の姿があの優斗さんなのだろうか?

「シュシュ―! 俺はお前を失うのが怖かった。下等な人間のままでは、いつかお前は組織によって単なる奴隷にされてしまう。だから俺はお前を改造人間に推薦したのだ。せめて女戦闘員でもと・・・だがお前は改造人間になれるのだ。俺も誇らしく思うぞ」
紗月の耳元で語り掛けているクモ男。
だが、紗月にはそんな言葉は耳に入ってこない。
「いやぁ・・・いやです。お願い・・・家に、家に帰して」
「シュシュ―! バカなことを。お前は選ばれたのだ。組織の一員となる栄誉を与えられたのだ。おとなしく改造を受けるのだ」
「いやっ! いやぁっ! 改造なんていやよぉ!」
必死になって身をよじる紗月。
化け物になんかなりたくない。
そう思い、何とか逃げ出そうとするものの、手足の枷は彼女の力ではどうすることもできない。
「シュシュー! 構わん。この女の手術を始めるのだ」
「キキィーッ!」
いつの間に現れたのか、全身を白い全身タイツに包んだ男女がクモ男の指示に従い、紗月の手術を開始する。
「いやっ! いやぁぁぁぁっ!」
もがく紗月の口に麻酔のマスクが付けられ、紗月はまたしても深い闇の中へと意識が沈んでいくのを感じていた。

                   ******

紗月は夢を見ていた。
夫優斗との楽しい夢。
二人で他愛もない話をして笑い、手をつないで抱きしめ合う。
夫のたくましい胸に抱かれ、そのぬくもりに包まれる。
安心と希望に満ちた世界だ。
やがて夫の姿が変化する。
その躰には黒く短い剛毛が生えていき、腕も四本に分裂する。
顔も剛毛に覆われ、角のような突起や赤く丸い目ができていく。
紗月は一瞬驚いたものの、むしろその姿を好ましく感じることに気が付いた。
改造人間となり、蜘蛛の力を手に入れた夫。
下等な人間からより高い存在へと生まれ変わったのだ。
なんて素敵なのだろう・・・
羨ましい・・・
自分もそうなりたい・・・
改造され、改造人間として生まれ変わりたい・・・
紗月は強くそう思う自分に気が付いた。

すると、紗月の躰に変化が起こる。
内臓が強化され、補助機械がその機能をサポートする。
心臓も、肺も、消化器官も、すべてが強化されていく。
力も強くなっていく。
筋肉が強化されていくのだ。
人間の何倍もの力が出せる筋肉。
それが紗月の躰を変えていく。

脳にも機械が埋め込まれる。
より自分の躰を制御できるように、より組織のことを理解するために。
新たな社会をつくる組織。
自分もその一員に加わるのだと紗月は理解する。
首領様に従い、一糸乱れぬ統率で組織のために働く。
それが組織の一員である自分の務めなのだ。
なんてすばらしいのだろう。
今までの自分はおろかだった。
下等な人間どもの一部として地球を汚すことしかできなかった。
だが、これからは違う。
自分は選ばれたのだ。
首領様に選ばれたのだ。
改造人間になる栄誉を与えられたのだ。
こんなうれしいことはない。
これからは首領様のためなら何でもする。
紗月はそう思う。

やがて紗月の躰に黒くて硬い外皮が貼り付けられていく。
銃弾すら跳ね返すことのできる硬い外皮だ。
これからはこの外皮が自分の肌となる。
そのことが紗月はうれしかった。
両手も、両脚も、胴体も外皮に覆われていく。
胸のところは形良く膨らんだ昆虫のお尻を思わせる感じだ。
ここからは酸を吹き出すことができる。
母乳などというくだらないものではない。
下等な人間を溶かす強力な酸だ。
なんと素晴らしい事だろう・・・

最後は頭も変わっていく。
髪の毛はきれいになくなり、硬い外皮で覆われる。
額には二本の触角が作られ、これまで以上に感覚が研ぎ澄まされていく。
これなら暗闇の中で行動しても問題はないだろう。
目も複眼に置き換わり、より多数の目で見ることができる。
たった一つの目でものを見ていたなど、なんと下等だったのだろう。
自分は進化するのだ。
改造人間というより高度な存在に。
そして組織のために行動する。
それこそが自分が生まれ変わる意味なのだ。

『目覚めよ。アリ女よ』
首領様の声が響く。
その瞬間、紗月は自分が何者かを理解した。
自分はアリなのだ。
強靭な外皮を持ち、両手の爪でトンネルを掘り進み、不要な人間を蟻酸で始末するアリなのだ。
紗月などという名前にはもはや用はない。
それは下等な人間だった時の名前。
今の自分はアリ女。
改造人間アリ女なのだ。

「リリリリー!」
彼女はゆっくりと起き上がる。
そして手術台からゆっくりと降り、首領に対して一礼した。

                   ******

ドアをたたくノックの音。
硬質な響きが気持ちいい。
あらためて自分の躰が硬質化したことを感じさせてくれる。
「シュシュー! 誰だ?」
ドアの向こうからクモ男の声がする。
それだけでアリ女の心は踊る。
「リリリリー! 私はアリ女。入ってもいいかしら、クモ男?」
あらためて自分の名を口にして喜びに浸る。
アリ女・・・
なんていい響きだろう。

「シュシュー! もちろんだ。今開ける」
ドアのロックが外される。
先ほどまでトレーニングをしていたと戦闘員に聞いていたので、おそらく今は休息中だったはず。
もしかしたら後にしてくれと言われるかと思っていたが、入れてもらえてうれしい。
「シュシュー! よく来たな、アリ女。歓迎するぞ」
ドアを開けてアリ女を出迎えるクモ男。
その剛毛に包まれた躰がたくましい。
改造人間というのはこんなにも素敵なものだったなんて・・・

「リリリリー! 休息中にお邪魔だったんじゃないかしら?」
「シュシュー! とんでもない。お前が来てくれるのを待っていた」
「リリリリー! ホント? うれしいわ」
クモ男の部屋に入るアリ女。
アジトの控室は質素だが一通りのものはそろっている。
椅子、テーブル、ベッドなど。
室内にある鏡に彼女の姿が映っている。
大きな頭には額から触角が伸び、楕円形の複眼が鏡の中から彼女を見ている。
左右に開くあごは鉄の棒さえ噛みちぎる。
全身は黒光りする外皮に覆われていてとても硬いが、滑らかなラインは彼女が女性の改造人間であることをあますところなく表している。
二つの胸のふくらみはアリの腹部を模しており、そこから出る蟻酸は強力だ。
まさにアリと人間の融合した姿は、彼女にとって誇らしい姿だった。

「シュシュー! 座るがいい」
クモ男が椅子をすすめてくる。
どうやら彼自身はベッドにでも腰掛けるつもりらしい。
「リリリリー! 私もそっちへ行っていいかしら?」
せっかく二人になったのだ。
そばに行って触れ合いたい。
アリ女はそう思う。
自分が改造人間になれたのはクモ男の口添えがあってのこと。
そのお礼もしたい。

アリ女はクモ男の返事を待つことなく彼の隣に座る。
そしてその身を彼にもたれかけさせる。
温かい。
クモ男の体温を感じる。
なんだかとても懐かしい。
もちろん、あのころのことなど思いだしたくもない。
自分が人間だったなど吐き気がする。
だから・・・
私たちは新たに時を刻んでいこう。
改造人間同士の素晴らしい時間を・・・
「リリリリー! ねえ、クモ男。どう? 私は生まれ変わったわ。私は改造人間アリ女。あなたのおかげよ。感謝しているの」
「シュシュー! 俺もうれしいぞ。お前は美しい。これからはともに組織のため、首領様のために働こうではないか」
「リリリリー! ええ、もちろんよ。偉大なる首領様。あの方のためなら何でもするわ。でも、その前に・・・」
アリ女はクモ男の顔を見つめる。
「シュシュー! その前に?」
「リリリリー! あなたにお礼がしたいのよ。私を改造人間に推薦してくれたお礼。それにね、私、まだ自分の躰のすばらしさを味わいきってないの。あなたが味わわせてくれると嬉しいんだけど・・・」
クモ男の顔を手で引き寄せながら、アリ女はベッドに躰を横たえる。
「シュシュー! それじゃたっぷりと味わわせてやるとしよう。ケケケケケ・・・」
クモ男は奇妙な笑い声をあげ、そっとアリ女の上に重なった。

                   ******

「うわーーー! ば、化け物だーー!」
悲鳴を上げて逃げてくる警備員。
失礼な男だわ・・・私たちは化け物なんかじゃないわよ・・・
もうすぐここにやってくるであろう警備員に対してアリ女はそう思う。
自分たちは首領様に選ばれた改造人間なのだ。
下等な人間どもとは違う。

警備員の背後では、シュシューというクモ男の声や、キキーッという戦闘員たちの声が聞こえてくる。
既に大半の警備員は始末したはずだが、生き残りがいたようだ。
私たちの姿を見たからには始末しなくてはならない。
人間を殺せると思うとアリ女の心は高ぶってくる。
まるでこれからセックスでもするかのよう。
アリ女の顎が笑みを浮かべるようにやや左右に開く。
クモ男とのセックスは最高。
改造人間同士のセックスがあんなに気持ちがいいものとは思わなかったわ。
任務が終わったらまた・・・
くふふ・・・

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
息を切らせた警備員がやってくる。
もうすぐ玄関ということで、少し安堵したのかもしれない。
愚かな男。
所詮は下等な人間ということね。
暗闇からゆっくりと姿を現すアリ女。
薄暗い中に黒光りする外皮が反射する。
「うわーーー! こ、こっちにも化け物がーーー!」
「リリリリー! まったく失礼な男ね。私たちは化け物なんかじゃないわ。私たちは改造人間。お前たち下等な連中とは違うのよ」
腰が抜けたのか、へたり込んでしまった警備員を見下ろすアリ女。
おびえた表情で自分を見上げる警備員に、アリ女は嗜虐心をくすぐられる。
「リリリリー! 私たちを見たものは死あるのみ。死ね!」
両手でアリの腹部のような乳房を持ち上げ、そこから強力な蟻酸を吹きかける。
「ギャーーー!」
蟻酸をかけられた警備員は断末魔の悲鳴を上げ、ドロドロに溶けていく。
その姿がなんとも見ていて気持ちいい。
人間を殺すことがこんなにも気持ちがいいなんて・・・
アリ女は改めて改造人間となった自分を素晴らしく感じた。

「シュシュー! 始末したようだな」
クモ男が天井から降りてくる。
どうやら彼のほうも終わったようだ。
「リリリリー! ええ、始末したわ」
足もとの液体を見やるアリ女。
警備員は骨も残さずに溶けきっていた。
「シュシュー! よくやったぞ。これでお前も組織の立派な一員だ」
我がことのようにうれしそうなクモ男。
推薦したことが間違っていなかったと思っているのだろう。
「リリリリー! 当然でしょ。私は改造人間アリ女。組織の忠実なしもべよ」
「シュシュー! そうだな」
「リリリリー! それにしても・・・人間を殺すのって楽しいのね。もっともっと殺したいわ。クフフフ」
「シュシュー! 安心しろ。次の任務ではもっともっと殺せるさ。それより・・・」
二本ある右手でアリ女の腰を抱き寄せるクモ男。
「シュシュー! 早くアジトに帰って楽しもうぜ」
「リリリリー! ええ、もちろんよ。今夜は寝かせてあげないんだから。クフフフフ」
自らも躰を寄せるアリ女。
二体の異形の怪人たちは、仲良く闇に消えていくのだった。

END


四日間にわたりましたSS投下期間、お楽しみいただけましたでしょうか?
お読みいただきまして本当にありがとうございました。
また次回作に向けて執筆頑張りますので、どうか今後とも当ブログ「舞方雅人の趣味の世界」をよろしくお願いいたします。

それではまた。
  1. 2017/11/13(月) 20:47:19|
  2. 改造・機械化系SS
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  4. | コメント:7

スートレディ

ブログ開設から4500日記念SSの第二段です。
今日はどちらかと言うと正統派の悪堕ちSSだと思います。

タイトルは「スートレディ」です。
正義のヒロインチームの活躍をお楽しみいただけましたら幸いです。
それではどうぞ。


スートレディ

「たぁーっ!」
スラッと伸びる足の一撃。
全身を白い全身タイツで覆った男がたまらず壁にたたきつけられる。
頭部も白いマスクで覆われ、目も耳も鼻もない。
まるでゆで卵のような頭だ。
胸の部分には、トランプのスペードのマークと数字の3と書かれていて、ほかにも同様に白い全身タイツと胸にトランプのマークや5だの8だの数字が書かれた男たちが身構えている。
銀河を荒らす広域指定凶悪集団トランプ兵団のトランプ兵だ。

一説にはクローンで作られた人間もどきだとも、さらってきた犯罪者を改造しているともいわれるが、捕らえてマスクをはぎ取ろうにも継ぎ目がなく、また、死体を解剖しても頭部には脳だけしかないため、個人の特定というのがほぼ不可能な連中だ。

このトランプ兵が、最近銀河のあちこちで集団で暴行や襲撃、大量殺人などを犯しており、銀河警察としても対応に苦慮していたところだった。
しかし、今回情報から拠点と思われる場所が判明したことに伴い、一気に中枢をつぶすべく銀河警察は二人の女性刑事を投入してきたのだった。

二人という人数は少ないようにも見えるが、本来銀河警察は各星系に一人の宇宙刑事を配置するのが通常であり、その星系での宇宙犯罪は一人の宇宙刑事が担当するのが普通である。
もちろんサポート役は付くが、そのサポート役は基本は情報収集などであり、犯罪の対処は宇宙刑事が行うのだ。
その宇宙刑事を二人も送り込むということは、銀河警察が本気であることの表れであり、また投入されたのも女性とはいえ数々の宇宙犯罪を解決に導いた二人で、いわば銀河警察にとっての切り札ともいうべき存在だったのだ。

「さすがは拠点ね。トランプ兵の数が結構多いわ」
ピンクのバトルスーツに身を包んだ女性が、バイザーの奥から行く手に立ちはだかるトランプ兵たちをにらみつける。
「でも、ま、所詮はザコ。私たちの相手じゃないわ」
もう一人のパープルのバトルスーツの女性がピンクの女性の隣に立つ。
この二人が銀河警察の女性宇宙刑事たちだ。
ピンクがコードネームリサ、パープルがコードネームレイカと呼ばれている。
「さあ、さっさと片付けて、女王様にご対面と行きましょう」
「ええ」
二人は息の合った動きでトランプ兵たちに突っ込んでいく。
一般の人間では全く歯が立たないトランプ兵も、この二人の宇宙刑事の敵ではなかった。

                   ******

「さて、どうやらここが玉座の間のようね」
「いよいよ女王様にご対面ね」
トランプ兵の集団を倒し、ついに奥までたどり着く二人。
情報ではいまだこの拠点から脱出したものはいないという。
ならば、トランプ兵団のボスともいうべき女王、カードクイーンがまだいるはずなのだ。

トランプ兵団のボスが女王と呼ばれていることはすでに情報として知られていたが、果たしてどのような人物なのかは知られていない。
もちろん女王と呼ばれているとはいえ、男か女かも定かではない。
もしかしたら、コンピュータかもしれないとか、ズムン星人のように男女という概念がないのではとか、いろいろと言われてはいるものの、いずれもうわさの域を出ないのだ。

「用意はいい? リサ」
「いつでもOKよ。レイカ」
二人はうなずき合い、扉を開けて転がり込む。
「銀河警察です! おとなしくしなさい!」
「カードクイーン! あなたを銀河警察の名において逮捕します!」
二人は素早く左右に分かれ、すぐに戦闘態勢を取る。
だが、部屋は広いがらんどうで、豪華な椅子が一つあるだけだった。

「いない?」
「逃げられた? まさか、そんな・・・」
思わず椅子のところに駆け寄る二人。
だが、そこには誰もいた様子がない。
「どういうこと? ほかに出口もなさそうだし」
「椅子が動くとか?」
ピンクのスーツのリサが試しに椅子を動かしてみる。
しかし、椅子はがっちり固定されているようで動かない。
「抜け穴があるというわけでもなさそうね・・・」
顔を見合わせる二人。
「最初からここにはいなかった・・・ということかしら?」
「情報が間違いだった?」
「わからない。トランプ兵の数から言って、ここが拠点の一つであることは間違いないとは思うんだけど・・・」
首を振るレイカ。

「ひっ!」
小さな悲鳴とともに、突然リサがレイカの視界から消える。
「えっ?」
レイカが何が起こったのかを理解する前に、彼女もいきなり視界が回転する。
「な、なに?」
二人が、自分たちが足をつかまれて宙に持ち上げられたのだと気が付くまでに数秒間。
その間に彼女たちは、両手両足を天井から生えてきた触手のようなものに捕らえられてしまっていた。

「な、何これ?」
「いやぁっ!」
二人は触手によって宙づりにされ、手足を大の字に広げられてしまう。
何とか逃れようとするものの、空中では思うように動けない。
「こ、こぉのぉ!」
「は、放しなさい!」
二人はじたばたともがくが、触手はさらに何本もが絡みついてくる。
「く、くそぉ・・・」
「あ・・・あああ・・・」
どうにも身動きが取れない二人。
両手も絡みつかれてひっぱられているので、武器を手にすることもできないのだ。

『ホホホホホ・・・ようこそ銀河警察の女性刑事さんたち』
部屋の中に女性の声が響く。
「なっ、だ、誰?」
「まさか・・・カードクイーン?」
二人はきょろきょろと周囲を見る。
が、部屋には誰もおらず、天井から生えた触手のみ。
「姿を見せなさい! カードクイーン!」
「卑怯よ! 私たちを放しなさい!」
『オホホホホ・・・ここまで来たのはお見事です。さすがは銀河警察の切り札と呼ばれる二人だけのことはある』
相変わらず声だけが部屋に響く。
「姿を見せなさい!」
「カードクイーン! 出てきて私たちと勝負しなさい!」
リサもレイカも身動きのできない自分に歯噛みする。
だが、この状況ではどうしようもないのだ。

『オホホホホ・・・そなたたちは美しく強い。わらわはそなたたちを気に入りました。どうですか? 銀河警察をやめ、わらわに従いませぬか?』
「なっ? ふ、ふざけるな!」
「私たちにあなたに従えと?」
カードクイーンの申し出に一瞬唖然とした二人。
だが、直後に猛烈な怒りが湧いてくる。
冗談ではない。
「私たちは銀河警察の宇宙刑事よ! 犯罪者に従うなんてありはしないわ!」
「バカにするのもいい加減にしなさい! 私たちは絶対にあなたに従ったりなどいたしません!」
『ホホホホホ・・・今のは所詮形だけの質問。そなたたちがそのままわらわに従うなどとは思ってません。ならば、そなたたちを作り替えてしまえばよいのです。わらわに心から従うように』
「なんですって? 作り替える?」
「バカなことを言わないで! どんなことをされても私たちはあなたに従ったりはしないわ!」
『ホホホホホ・・・その言葉、最後までそう言っていられるかしらね。ホホホホホ・・・』
カードクイーンの笑い声が室内に響く。

『では始めましょう』
カードクイーンの言葉とともに、彼女たちを拘束している触手の周りにさらに触手が現れる。
それらの触手たちがうねうねと彼女たちの躰を這いまわりはじめると、驚いたことに彼女たちの着ているバトルスーツが細かい粒子になって消えていく。
「えっ? 嘘・・・」
「いやっ! 何これ!」
リサもレイカも驚きを隠しきれない。
やがて触手は二人のかぶっているヘルメットにもまとわりつき、ヘルメットも消してしまう。
彼女たちの着ていたアンダースーツや下着もすべて消し去られ、もはや二人は身に何もまとわぬ裸のままで、触手に躰を這いまわられていた。
「うう・・・こんな・・・」
「ま・・・負けない・・・私たちは負けない・・・」
唇を噛み締めて、気色悪さに耐えるリサとレイカ。
触手の這いまわる感触がヌルヌルとして気持ち悪いのだ。

「えっ?」
リサは思わず声をあげる。
鎌首を持ち上げたように彼女の躰の上に伸びてきた触手の先端が、思わず男性の性器の先端のように見えたからだ。
まさか・・・
一瞬触手によって犯されるのではと思うリサ。
だが、触手はその先端から白い粘液をビュッと噴き出し、彼女の躰に噴きかける。
「い、いやぁっ!」
まるで男性に精液をぶっかけられたようだ。
気持ち悪いことこの上ない。
「ひぃっ!」
隣ではレイカも同じ目に遭っている。
二人の胸やお腹に白い粘液がべたべたと噴きかけられていた。

やがて触手たちがうねうねと彼女たちの躰にその粘液を塗り広げ始めていく。
「ひいぃぃぃぃぃ」
レイカはあまりのことに大きな悲鳴を上げてしまう。
リサもキッと唇を噛み締めるが、気持ち悪さは耐えがたいほどだ。
だが、粘液が塗り広げられていくに従い、だんだんじんわりと気持ちよさを感じるようになる。
え・・・うそ・・・
リサもレイカもそのことに戸惑いを感じるが、首から下の全身に粘液が塗り広げられることで、ますます気持ちよくなってしまうのだ。
ど・・・どうして・・・でも・・・気持ちいい・・・
いけないとは思うものの、気持ちよさに抗えなくなっていく自分がいることに二人は気が付いていた。

白い粘液は、触手によって塗り広げられ、二人の躰を覆っていく。
覆われた部分は白く染まり、やがて皮膚そのものになっていく。
じょじょに二人の躰は白く覆われ、手指の先から足のつま先まですべてが白く覆われていく。
やがて足を拘束していた触手が二人の足首から下を完全に覆いつくし、ウネウネとうねりはじめる。
ああ・・・ん・・・あ・・・
まるで足のマッサージを受けているかのように気持ちよさが二人の躰を駆け巡る。
やがて触手が離れると、二人は気付かなかったが、二人の足は足の指が消え、かかとがとがって白いハイヒールブーツを履いたような形に変化していた。
それと同時に躰を覆う粘液もナイロン状に変化し、二人はまるで白い全身タイツを着たようになってしまう。
それはまるで、あのトランプ兵のようだった。

二人の躰の首から下が完全に白に覆われると、今度は触手は躰の数ヶ所に色を付けていく。
リサはピンク、レイカは紫色だ。
それは宇宙刑事のバトルスーツのパーソナルカラーでもあったが、今度彼女たちに付けられるのは、トランプのマークであった。
リサにはピンク色のハートが、レイカには紫色のダイヤのマークがそれぞれ描かれていく。
右胸、左の太もも、右の脛。
そういった個所にマークが描き加えられていく。
それと同時に二人の髪も染められる。
リサは金髪からピンクの髪に、レイカは黒髪から紫の髪に変わっていく。
「ああ・・・あああ・・・」
「んふぅ・・・はあぁぁん・・・」
全身を走る快感に二人は悩ましげな声を出す。
自分たちが変えられているというのに、全く抵抗ができないのだ。

そして触手は二人の顔にも粘液を噴きかける。
白い粘液が二人の顔に塗り広げられ、二人は白いメイクをしたように白い顔にされてしまう。
やがて一本の触手がそれぞれの唇に重なり、二人の唇を染めていく。
リサの唇はピンクに、レイカの唇は紫に。
そして二人の左頬にはハートとダイヤのマークが描き込まれた。

『ホホホホホ・・・その粘液で化粧されると、心まで姿と同じに染まってしまうのよ。さあ、仕上げをいたしましょう』
カードクイーンの言葉とともに、黒い稲妻が二人の躰を直撃する。
「あああーー!」
「きゃぁーーー!」
悲鳴を上げ、全身をしならせる二人。
その左胸に、黒くくっきりと“A”の文字が浮かび上がる。
「ああ・・・あふ・・・」
「ああ・・・ん・・・」
悲鳴を上げるのをやめ、やがて二人の口元に笑みが浮かぶ。

『ホホホホホ・・・どうやら仕上がったようですね。二人とも気分はどうかしら?』
触手によってゆっくりと床に下ろされる二人。
二人のヒールが床を踏むカツッという音が部屋に響く。
「「はい、カードクイーン様。とてもいい気分です」」
先ほどとは全く違い、崇拝するような表情で玉座を見、片膝をつく二人。
『ホホホホホ・・・そなたたちが何者か言ってごらん』
「「はい。私たちはカードクイーン様にお仕えする忠実なしもべ。スートレディです」」
「私はハート」
かつてはリサだった女が誇らしげに胸を張る。
「私はダイヤ」
かつてレイカだった女が妖艶な笑みを浮かべる。
「「どうぞ、私たちに何なりとご命令を」」
声を合わせて唱和する二人。
カードクイーンの言葉通り、二人の意識は塗り替えられてしまったのだ。
『ホホホホホ・・・可愛いスートレディたち。これからは二人で私のために働くのですよ。私のエースとして』
「「もちろんです! カードクイーン様!」」
あらためて誰もいない玉座に一礼し、二人は立ち上がる。
その顔には邪悪で冷たい笑みが浮かんでいた。
「さあ、行きましょうダイヤ。この周囲の銀河警察の奴らを血祭りにあげに」
「ええ、行きましょうハート。カードクイーン様に歯向かう愚かな連中は私たちの手で始末するの」
「うふふふふ・・・」
「うふふふふ・・・」
ヒールの音も高らかに玉座の間を後にするスートレディの二人。
『オホホホホ・・・頼もしいこと』
二人のいなくなった玉座の間に、カードクイーンの笑い声が響いた。

                    ******

「キャッ」
殺風景な部屋に押し込められる女性たち。
その数は10人以上。
制服姿の女子生徒や、若いOLたちもいる。
「うふふふふ・・・結構上玉がそろったようじゃない?」
「ええ、ダイヤ。私たちにはかなわないけどね。ふふふふ」
おびえる女性たちを前に二人で笑っているハートとダイヤ。
銀河警察の切り札と言われていた二人の女性刑事は、今やトランプ兵団のエース(切り札)として暗躍しているのだ。
今日も拉致してきた女性を一人連れて来たところだった。

「うふふふふ・・・安心なさい。お前たちを殺したりはしないわ。それどころかちゃんとかわいがってもらえるところに連れて行ってあげる」
「地球人の女性は高値で売れるわ。あなたたちのおかげで私たちトランプ兵団も潤うってわけ。ふふふふ」
二人のスートレディはもはや人身売買など当然のこととしか思わない。
カードクイーンのためならどんなことでも行うようになってしまったのだ。
「ねえ、ダイヤ。私カードクイーン様にお願いしようと思うんだけど」
「あら、ハート。何をお願いするの?」
「この“女子高生”っての、私たちの部下に作り変えていただかない?」
「あら、いいわね。私も専属の部下が欲しいって思っていたところよ。トランプ兵たちじゃ面白くないものね」
顔を見合わせて笑顔になる二人。
「決まりね。今ここに四人いるから、二人ずつ部下にしていただきましょう。スートガールズなんてどうかしら」
「いいわね。スートレディとスートガールズ。トランプ兵団にぴったりだわ」
「それじゃ早速戻って・・・」
「ええ、カードクイーン様に・・・うふふふふ・・・」
「うふふふふ・・・」
自分たちの運命を想像して青ざめる女性たちを前に、二人の悪に染まった女たちは期待に胸を弾ませながら帰路に付くのであった。

END


いかがだったでしょうか?
明日は三本目。
改造ものSSを投下しようと思います。
お楽しみに。

それではまた。


(23:20追記)
途中からリサとレイカの色が逆になってしまっておりました。
修正をいたしましたので、すでに読んでしまわれた方は若干違和感を感じられるかも。
失礼いたしました。
  1. 2017/11/12(日) 20:20:02|
  2. 洗脳・戦闘員化系SS
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掃除機と加湿器 (後)

昨日に続きまして「掃除機と加湿器」の後編をお送りいたします。
ザラベダみたいな悪魔っ娘が私のところにも来ないかなー。

それではどうぞ。


                   ******

うう・・・ん・・・
だんだん意識が戻ってくる。
ゆっくりと目を開ける紗枝梨。
ここはどこ?
私はいったい?

紗枝梨はゆっくりと周囲を見る。
どうやら我が家のリビングのようだわ。
私、いつの間にか眠ってしまっていたのかしら・・・
ゆっくりと躰を起こす紗枝梨。
だが、自分の躰に何となく違和感を覚える。
『あら? どうかしちゃったかしら?』
自分の声がすごくくぐもって聞こえる。
それもそのはず、彼女の躰は先ほどまでとは全く違っていたのだ。

彼女は裸だった。
ゆっくりと立ち上がった彼女の姿は、確かに人間の女性としてのボディラインは保っていた。
それは二人の子を持つ四十台の女性としてはかなり美しいもので、彼女の夫もよくそのスタイルの良さを褒めていたものだった。
しかし、今の彼女の姿は、人間らしいのはそのラインだけだったのだ。

彼女の躰からは頭髪を含めた毛髪がすべて消え失せており、後頭部は剥きたてのゆで卵のようにつるんとしていて、股間の茂みも全くない。
全身は白かった肌の色が濃いグレーになっており、躰の脇にオレンジ色のラインが走っている。
何よりその皮膚は柔らかみのない硬質なプラスチックになっており、首や肩、腕や足などの関節部は球体関節となっていた。
彼女の異質さを際立たせるのがその顔で、鼻と口が酸素マスクのような三角形のカバーで覆われ、そこから床にまで達するような長い灰色の蛇腹のホースが伸びている。
ホースの先端にはT字型をした掃除機の吸い込み口があり、彼女の声はそこから聞こえていたのだ。
背中には持ち手のようなコの字型のでっぱりができ、尾てい骨のところからはコンセントに差し込む電源コードのプラグが見えている。
膝と足首のところには回転するキャスターが付いていて、四つん這いになったときに腕だけで移動できるようになっていた。
両方の形の良い乳房には、先端に押しボタンになった乳首が付いており、右側に“電源”と、左側には“コード”と書かれている。
それはまさに、紗枝梨と彼女が先ほどまで手にしていた掃除機が融合した姿に他ならなかった。

紗枝梨は躰に感じた違和感を確認するべく、戸棚のところにある鏡を見る。
そこにはまるで酸素マスクを付けたように鼻と口をすっぽりと覆われ、頭髪がすっかり抜け落ち、肌の色もグレーとなった自分の顔があった。
だが、紗枝梨はもうそれを変だとは思わなくなっていた。
それどころか、掃除機である自分にとっては当たり前の姿だと思うようになっていた。
『どこもおかしいところはないわね。気のせいだったみたい。今はもう違和感も感じないし』
T字型の吸い込み口の先からくぐもった声がする。
それももう、紗枝梨の中では当たり前のことになっていた。

『ああ・・・そうだわ、掃除を・・・掃除をしなきゃ・・・掃除をしたいわ』
まるで美味しいものを嗅ぎつけたかのようにホースの先端を床に下ろしてクンクンと嗅ぐようなしぐさをする紗枝梨。
チリやホコリの臭いがたまらなく彼女をそそる。
『ああ・・・掃除・・・掃除よ・・・』
紗枝梨は尾てい骨のところの電源プラグを持ち、ずるずるとひっぱっていく。
すると彼女の体内からコードが伸びていき、やがて黄色い目印のラインが現れる。
そのことを感じ取った紗枝梨は、すたすたとコンセントのところへ歩み寄り、プラグを差し込む。
『ふわぁ・・・』
体内に電気が巡ってくる気持ちよさ。
思わず声が出てしまう。
体内に電気が通ったことで、紗枝梨は右胸の乳首スイッチを押す。
すぐさまヒュゴーーーというモーター音が唸り、紗枝梨の口から伸びたホースの先端にあるT字の吸い込み口から大量の空気が吸い込まれ始める。
そして空気は紗枝梨の体内を通り、お尻の穴から排気として噴出していくのだ。
ああ・・・気持ちいいわぁ。
紗枝梨は体内を空気が流れていく快感に酔いしれる。
空気が流れるだけでこれなら、実際にゴミを吸ったらどんなに気持ちがいいのだろう。
もう、紗枝梨は我慢ができなくなっていた。

紗枝梨はすぐに四つん這いになり、ホースの先端を床に付ける。
ゴーッという音とともに床の空気がチリやホコリと一緒に吸い込まれ、紗枝梨の体内を流れていく。
あん・・・なんて気持ちいいの・・・ゴミを吸い取ることがこんなに気持ちよかったなんて・・・
紗枝梨はその気持ちよさに感動さえ覚えてしまう。
これこそが彼女が生まれてきた喜びと言ってもいいだろう。
チリやホコリは彼女の体内に取り込まれ、空気だけがお尻から出ていく。
呼吸などはもう必要がない。
前から吐き出すなどありえないではないか。

四つん這いになって床のチリを吸い込んでいく紗枝梨。
時々腕を使って躰を前進させる。
カラカラと膝と足首のところのキャスターが回り、彼女の躰をスムーズに移動させていく。
紗枝梨はもう、掃除が楽しくて楽しくて仕方がなかった。
あらかた床のごみを吸い取ってしまうと、胸の電源ボタンで一度電源を切り、紗枝梨は今度は股間に手を伸ばす。
彼女の股間部分は収納ケースになっていて、そこに隙間用の細くなった吸い込み口がセットされているのだ。
紗枝梨はそれを取り出すと、ホースの先端のT字型吸い込み口をはずし、隙間用吸い込み口をセットする。
『うふふふ』
先端の形状が変わり、それがまた紗枝梨を喜ばせる。
これで隙間のゴミを吸い取れるのだ。
楽しみだわ。

再び電源ボタンで電源を入れると、また猛烈な勢いで空気を吸い込み始める紗枝梨。
そのまま姿勢を低くし、口から伸びるホースを家具の隙間に差し入れていく。
毎日掃除しているはずなのに、いつの間にか溜まっているチリやホコリ、さらには虫の屍骸なんかも紗枝梨の中に吸い込まれていく。
ひゃー・・・なんて気持ちいいのぉ・・・ゴミがこんなにたくさん・・・最高だわぁ・・・
ゴミを吸い込めば吸い込むほど気持ちがいい紗枝梨。
もはやゴミを吸わない生活など考えられない。
もっと・・・もっとよ・・・
紗枝梨はさらにゴミを求めていく。
ここが終わったら寝室ね・・・その次は・・・そうだわ、愛由美の部屋も幸雄の部屋もあるわ・・・
あの子たちの部屋なら、きっと多くのゴミがあるに違いない。
そう思うだけで紗枝梨は身震いするほど興奮してしまう。
もはや子供たちの部屋には立ち入らないなどという考えは彼女から消え去っていた。
ああん・・・楽しみだわぁ・・・
これからのことを思いながら、紗枝梨は隙間のゴミを吸い込み続けていく。
その様子をザラベダは満足そうに眺めていた。

                  ******

「ただいまぁ」
玄関で少女の声がする。
学校を終えた愛由美が帰ってきたのだ。
紺色の制服に身を包んだ愛由美は高校生になったばかり。
なんとなく制服もまだしっくりと馴染んではいないような感じだ。

「あー、お腹空いたぁ。ママァ、何か食べるものあるー?」
リビングに入るなり、カバンを置いてソファに腰を下ろす。
とりあえず一息入れておやつか何かを食べたいところなのだ。
「ママァ?」
いつもならお帰りなさいと言ってくれるはずの母が出てこないことに、首をかしげる愛由美。
だが、すぐに疑問は解ける。
両親の寝室のほうから掃除機の音が聞こえるのだ。
どうやら掃除をしているところだったらしい。
「もう・・・」
愛由美は何か食べるものがないかどうか聞くため、寝室に行こうと立ち上がった。

「ママァ、ただいまぁ・・・えっ?」
両親の部屋に入った愛由美は目を疑った。
そこには母親ではなく、灰色の躰をした裸の女性が四つん這いになって何かをしていたのだ。
「ひっ! だ、誰?」
思わず小さく悲鳴を上げる愛由美。
その声に反応したのか、掃除機の音が止まり、裸の女がゆっくりと立ち上がる。
『あら、お帰りなさい』
「ひーっ!」
その姿はまさに異形。
裸の女性には違いないのに、灰色の肌をしており、足にはキャスターが付いていて、むき出しの胸は乳首が押しボタンのようになっている。
顔からは口と鼻がマスクのようなもので覆われ、そこから床にまで長いホースが伸びており、その先端には掃除機の吸い込み口のようなものが付いていたのだ。

「ば、化け物!」
あまりのことに床にへたり込んでしまう愛由美。
『まあ、いきなりなぁに? 母親を見て化け物だなんて。何かのギャグ?』
灰色の女の化け物が腰に手を当ててにらんでくる。
「は? え? ママ? ママなの?」
愛由美にはとても信じられない。
目の前のこの異形の女が母親とは思えるわけがないのだ。
『何を言ってるの? ママの顔を見忘れたの?』
愛由美はぶんぶんと首を振る。
母の顔を見忘れたりするはずがない。
はずがないからこそ、今この目の前にいるのが母とは思えないのだ。
『おかしな娘ねぇ。あ、おやつならゴミ箱から適当にあさっていいわよ』
「えっ?」
ゴミ箱から?
いったい何がどうなっているの?

「マ、ママなの? ど、どうしてそんな姿に?」
『ええ? ママの姿が何か変?』
灰色の女が自分の躰を見降ろしてみる。
『どこも変じゃないわよ。足のキャスターもちゃんと回るし、モーターも問題ないわ。ゴミだってまだ詰まってないわよ』
そう言ってお腹のふたを開け、中からピンクの四角いケースを取り出して中を見る。
『うん。まだいっぱいになってないわ。問題ないわよ。ほら』
そう言ってケースの中身を愛由美に見せる。
ピンク色の箱の中に床から吸い取ったゴミが少し溜まっていた。

「ひーっ!」
たまらず悲鳴を上げる愛由美。
何?
なんなの?
ママが・・・ママが化け物になっちゃったの?
『いちいちうるさい娘ねぇ。今日はどうしたの? ママ、今掃除しているんだからあっちへ行ってなさい』
「そ、掃除?」
『ええ、そうよ。私は掃除機ですもの。掃除をするのは当たり前だわ』
「掃除・・・機?」
『ええ、そうよ。私は掃除機。ゴミを吸うのが大好きなの。ベッドの下のゴミを吸うのが楽しみだわぁ』
そう言って胸のボタンを押すと、モーター音がし始め、彼女はそのまま四つん這いになる。
『私は掃除するんだから邪魔しないで』
「あ・・・あああ・・・」
あまりのことに、愛由美はまるで這うようにしてその場を後にする。

どうしよう・・・
どうしよう・・・
ママが掃除機になっちゃった・・・
どうしよう・・・
病気?
それとも何かの呪い?
とにかく誰かに知らせなきゃ・・・
でも誰に?

必死になって何度も転びそうになりながらリビングに戻ってくる愛由美。
中に入ろうとしたその瞬間、何かが愛由美の胸に当たる。
「きゃん!」
声を出したのは愛由美ではない。
「えっ?」
思わず何がぶつかったのか確かめる愛由美。
すると、彼女の足元に奇妙な小さい女の人の形をしたものが倒れていた。
「えっ? 人形?」
愛由美は思わずその人形のような小さな女を拾い上げる。
その女は奇妙な恰好をしており、躰にぴったりした紫色の服を着て、背中からコウモリのような羽を生やしている。
お尻からも先がとがった矢じりのようになった尻尾が生えており、まるで絵本に出てくる女の悪魔のようだ。
手にした感触は柔らかく、また温かみもあるので、もしかしたら生きているのかもしれない。
「な、なにこれ?」
愛由美はその奇妙な小さな女に戸惑った。

「う・・・うーん・・・」
小さな女が目を覚ます。
「ひゃっ! い、生きてる!」
思わず手から振り落としてしまう愛由美。
小さな女は、床に落ちそうになる寸前で背中の羽を広げ、ふわりと飛び上がった。
「と、飛んだ?」
「もう、いきなりぶつかってきて、何するのよ」
小さな女は愛由美の顔のあたりまで飛んでくると、腰に手を当てて怒っている。
「な、なに? なんなのあんた?」
先ほどから信じられないようなことばかりが起き、愛由美はもう何が何だかわからない。
「何って・・・あー、いけない! また見られちゃったわ。もう・・・ユキオに石をぶつけられてから散々だわ」
「えっ? 幸雄?」
いきなりこの小さな女から弟の名が出たことに驚く愛由美。
「そう。ユキオに石をぶつけられたの。でもね、美味しいチョコをくれたからもういいの。赦してあげたわ。わざとじゃないって言ってたし」
「幸雄を知ってるの?」
「知ってるわよ。あなたの弟なんでしょ?」
「そうだけど・・・あなたはいったい?」
この小さな女と弟はいったい何の関係があるのだろうか?
いったい我が家に何が起こっているというのか?

「見てわからない? 私は悪魔。ユキオと契約したの。だからユキオにだけは名前を教えてあげたわ」
「契約? 何の契約?」
「ユキオの望みをかなえてあげたのよ。ユキオはママに掃除機になっちゃえって言ったの」
ふふんと胸を張る女悪魔。
そうだったのか・・・
ママが掃除機になってしまったのは幸雄が原因で、この悪魔がママを掃除機に変えたんだ・・・
愛由美は愕然とする。
まさか弟がそんな望みを悪魔に言うなんて思ってもいなかったからだ。
確かに掃除は好きじゃない様子だったし、私もママが掃除掃除っていうのはいやだったけど・・・
掃除機になってしまえなんて言っていいはずがない。

「あなたがママをあんなふうにしたのね!」
愛由美は目の前でひらひらと飛んでいる女悪魔をつかみ取る。
「キャッ! 何するのよ! 離しなさい!」
「離してもいいから、ママを元に戻しなさい!」
愛由美はぐっと顔を近づけて女悪魔をにらみつける。
とにかく今は母親を元に戻すのが先決だ。
「はあ? あなたバカ? ゆでタマゴを生タマゴに戻せるとでも?」
憐れんだような笑みを浮かべる悪魔に愛由美はムッとなる。
「あなたがやったんでしょ? 元に戻しなさいよ! 何とかして」
思わず手にも力が入る。
「痛い痛い! 何するのよ! このバカ女! あんたも何かに変えてやる! えーい!」
いきなり悪魔の手が光ったかと思うと、愛由美は急速に意識が遠くなってしまった。

                   ******

「あ・・・れ?」
目を覚ます愛由美。
なぜ眠っていたのか思いだせない。
何か大変なことが起こっていたような気もするけど・・・

ゆっくりと躰を起こす愛由美。
どうやらリビングの床で寝ていたらしい。
愛由美はボディに傷がついていないか確認する。
女性の柔らかなラインはそのままだが、その姿は先ほどまでの彼女とは一変していた。
頭髪などの毛髪はすべて消え、白い肌はよりつややかな白のプラスチックの肌へと変化している。
関節はボール型ジョイントになっていて、お尻からは尾てい骨のあたりから黒いコードが伸びている。
小ぶりだが形の良い両胸は右が電源ボタン、左がダイヤル式のタイマーになっていた。
お腹の部分は取り外しができるようになっていて、コの字型の取っ手が付いている。
顔の造りは以前の愛由美のままだったが、口だけは大きく開いたままで固定されていた。

自分の硬質な白いプラスチックのボディを確認した愛由美は、どこにも傷がついていないことに安堵する。
そしてクンクンと空気を嗅ぐようなしぐさをする。
「いけない。部屋が乾燥しているわ」
愛由美はそういうと、カツカツと硬質な足音をさせ、台所へ行ってお腹の取っ手を持って引っ張り出す。
すると、お腹の部分が四角く外れ、大きなタンクになっていた。
愛由美は無言でそのタンクに水を入れ、再び自分のお腹にはめ込んで、台所を出る。
そしてリビングの隅っこに行き、お尻から伸びたコードをコンセントにつなぐと、そのまま床に座り込む。
お尻をぺたんと床に付けるいわゆるアヒル座りという座り方で座ると、愛由美は右胸の電源ボタンを押す。
すると、愛由美の体内でかすかな振動が起き、口から霧状になった水が吐き出され始める。
ああ・・・気持ちいい・・・
愛由美はうっとりとして目を閉じる。
空気中に霧状の水を吐き、空気を湿らせることがこんなにも気持ちがよかったなんて・・・
愛由美は大きな口を開け、霧状の水を吐き続ける。

「どう? 加湿器になった気分は?」
愛由美の肩に女悪魔が飛んできて腰を下ろす。
そんなの決まっているじゃない。
「最高よ。部屋を加湿するのがこんなに素晴らしいことだとは思わなかったわ。加湿器になれて幸せ」
愛由美は心からそう思う。
加湿器じゃない自分などもう考えられない。
このままずっと部屋の加湿をしていたい。
愛由美はただそれだけを考えていた。

「くふふ・・・チョコのお礼にしてはサービスしすぎたかしら。でもまあ、二人の女たちも幸せそうだし問題ないでしょ。いい事したわぁ」
三つ又のトライデントを手に愛由美の肩から飛び上がる女悪魔ザラベダ。
そのままリビングを出ると、ちょうど寝室の掃除を終えて、いそいそと二階へ上がっていく紗枝梨の姿が見える。
きっと愛由美や幸雄の部屋を掃除しに行くのだろう。
邪魔しちゃ悪いわね。
それじゃ二人ともお幸せにー。
ザラベダは笑みを浮かべると、そのまま窓を開けて飛び去って行く。

幸雄が智樹とたっぷりゲームを楽しんでから家に帰ってきたのは、夕方も遅くなってからのことだった・・・
「うわーーーん! ママーー! お姉ちゃーーん!」
ブォーーーン
シュコーーー

END


明日はヒロイン悪堕ち短編を投下いたしますのでお楽しみに。
  1. 2017/11/11(土) 20:36:02|
  2. 異形・魔物化系SS
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掃除機と加湿器 (前)

昨日告知いたしました通り、ブログ開設から4500日達成記念といたしまして、今日から四日連続でSSを三本投下したいと思います。
今日明日と前後編で一本、12日に一本、13日に一本投下する予定です。
お楽しみいただければと思います。

今日は「掃除機と加湿器」の前編です。
なんのこっちゃと思われるタイトルかと思いますが、異形化作品の一種と思っていただければと思います。

それではどうぞ。


掃除機と加湿器

「ヤバ・・・」
玄関へ向かおうと階段を下りてきた幸雄(ゆきお)は思わずそう口にしてしまう。
リビングで母親がこれから掃除機をかけようとしていたところだったのだ。
うわぁ・・・
心の中でまずいところに来てしまったと焦る幸雄。
ちょうど母の掃除タイムに当たってしまったらしい。
何とか見つかりませんようにと念じながら、彼はこっそりと玄関へ向かう。
だが・・・

「幸雄! どこへ行くの? お部屋の掃除はしたの?」
黙って通り過ぎようとしていた息子を目ざとく見つける母親。
彼女は持っていた掃除機を置き、そのまま息子のほうへと向かう。
見つかっちゃった・・・
幸雄は思わず肩をすくめる。
またお小言が始まってしまうよ。
急いでいるのになぁ・・・
そう思ってももはやどうしようもない。
幸雄は仕方なく母親のほうを向いた。

「友達のところに行く約束をしてるんだよ。帰ってきたら掃除するよ」
そう言って何とかこの場を逃れようとする幸雄。
「またそんなこと言って! 日曜日だって掃除するって言って結局しなかったじゃない!」
その態度に思わず口調が荒くなってしまう母の紗枝梨(さえり)。
どうせこの調子なら帰ってきたところで掃除などするはずがないのだ。
「今日はするよぉ」
幸雄は必死に弁解する。
「本当に? しなかったら、今日こそママがあなたの部屋に入って掃除するからね」
腰に手を当てて息子をにらみつけている紗枝梨。
もちろんそれは最終手段である。
紗枝梨には、たとえ子供であろうと一人の人間として過度にプライバシーには立ち入らないというルールを自分で決めている。
だからこそ、自分の部屋は自分でちゃんときれいにしてほしいのだ。
姉の愛由美(あゆみ)はそこそこ掃除をしているようだけど、この子はなかなか掃除をしようとはしない。
おそらく部屋の中はホコリでいっぱいだろう。
そんな部屋にいたら具合悪くなってしまうのにと紗枝梨は思う。

「そ、それはだめだよ。いろいろと置いてあるから、ママが勝手に動かすとどこに行ったか分からなくなっちゃう」
幸雄は慌てて首を振る。
母親に部屋に入られたら、ゲームやマンガが片付けられていないことがわかってしまう。
いや、彼も自分なりには置き場所を把握しているし、片付けているつもりではあるのだが、母親にとっては散らかっていると見えるらしいのだ。
だから本棚とかゲーム入れに勝手に戻されて、あとで探す羽目になるのはいやだった。
「だったらちゃんと自分で掃除しなさい! ホコリだらけの部屋にいたら病気にもなっちゃうのよ!」
「わかりました! 行ってきます!」
「あ、待ちなさい!」
逃げるが勝ちだとでも言わんばかりに、幸雄は母に背を向けた。

逃げ出すようにして玄関から外に飛び出す幸雄。
ふう・・・
やれやれ。
ママのきれい好きにも困ったものだよ。
毎日毎日掃除機をかけないと気が済まないんだもの・・・
うんざりした表情を浮かべる幸雄。
母の紗枝梨は病的なほどのきれい好きなのか、毎日掃除機をかけている。
そのため、幸雄にも毎日掃除しろ掃除しろとうるさいのだ。

あーあ・・・
せっかくこれから智樹(ともき)のところでゲームやるっていうのに、すっかり出ばなをくじかれちゃった。
ホントにもう腹が立つ。
一週間ぐらい掃除機かけなくたって平気だよ!
ママのバカ!
そんなことを思いながら、幸雄は腹立ちまぎれに転がっていた石を蹴飛ばす。

「キャッ!」
突然石が飛んで行った方向から声がした。
えっ?
驚く幸雄。
なんか変な声がしたぞ。
えっ?
何?
不思議に思って幸雄が石の転がったあたりに行くと、石の下敷きになっている変なものを見つける。
「えっ? お人形?」
それは、一見女の子たちが遊ぶような着せ替え人形みたいなものだった。
大きさ的にも着せ替え人形のようなもので、身長30センチぐらいだろうか。
二本の変な角の付いたフードが首から上を覆っており、躰も紫色のぴったりした全身タイツみたいなのを着ているため、女性であることが一目でわかる。
だが、背中からはコウモリの羽のようなのが生えていて、お尻からは先のとがった尻尾が伸びている。
なんと言うか、マンガに出てくる女の悪魔みたいな人形だ。

「えっ? これって生きてるのかな?」
幸雄はしゃがみこんで、彼女をそっと指先でつついてみる。
「う・・・うう・・・ん」
倒れていた小さな女がもそりと動く。
「うわ、生きてる」
思わず驚いて声を出す幸雄。
何これ?
初めて見るその小さな女性に、幸雄はちょっと興味を持った。

「ううーん・・・あっ!」
女悪魔の人形みたいなのが、目を覚まして幸雄を見上げてくる。
「あなたね! 石をぶつけたの!」
どうやらやっぱりさっきの石が当たっていたらしい。
「ご、ごめん。当たるなんて思わなかったんだ」
思わず謝る幸雄。
まさか石を蹴った先にこんなのがいるなんて思いもしなかったのだ。
「ひどいわ! ケガしなかったからいいけど、もしかしたら死んでいたかもしれないのよ!」
起き上がって腰に手を当てて怒っている女悪魔。
だが、なんというか小さくてかわいい感じで、怖さを感じさせるものがない。
いったいこれは何なのだろう。
幸雄はついまじまじと見てしまう。
躰は小さいが、大人の女性ぽくもある。
スタイルがいいうえに、躰にぴったりしたタイツ状の服だから、いやでも躰のラインに目が行ってしまう。
幸雄はなんだかちょっとドキドキしてしまった。

「ごめんなさい。ホントに当たるなんて思わなかったんだ。ところで、君は何者なの?」
幸雄はとりあえず彼女に謝ると、彼女が何者なのか尋ねてみる。
「何者って・・・えっ? もしかして私が見えて? キャッ! 私見られてるの?」
突然うろたえる彼女。
両手で顔を覆っている。
「うん。見えてるけど・・・」
「見られた―。石をぶつけられたせいだわ。どうしよう・・・ちょっとあんた! 責任取りなさい!」
いきなりビシッと彼女が幸雄を指さしてくる。
「せ、責任?」
びっくりする幸雄。
いきなり責任なんて言われても・・・
「ど、どうすればいいの?」
「うーん・・・とりあえず名前を教えなさい」
「い、池島(いけしま)幸雄」
「ユキオね。とりあえず私のことは誰にも言わないこと。いいわね?」
「いいけど、そっちも名前を教えてよ」
こっちが名乗ったんだから、そっちも名乗ってほしいと幸雄は思う。
「そんなことできるわけないでしょ!」
ふんという感じで横を向く彼女。
「むっ、じゃあ君を見たことをクラスのみんなに言いふらす」
「なっ! わ、わかったわよ。私はザラベダよ」
意外とあっさり名前を教えてくれたことに幸雄は拍子抜けした。
まさか言いふらすなんてことが通じるとは正直思っていなかったのだ。
「ザラベダだね。で、君はいったい何者なの?」
「もお、この姿見てわからないの? 悪魔よ! あ・く・ま!」
キッと幸雄をにらみつけ、その前でくるっと一回転してみせるザラベダ。
なんと言うか、躰のラインがしっかり出ていてすごくきれいだと幸雄は思う。

「で、なぜ私に石をぶつけたのか白状しなさい!」
ザラベダは落ちていた自分のトライデントを拾って突き付ける。
先が食事に使うフォークのように三つ又に分かれた槍の一種だ。
「だから、君を狙ったんじゃないよ。ちょっとむしゃくしゃしてさぁ。あっ、こんなことしてられないんだ」
幸雄は智樹のところへ行かなくちゃならなかったことを思い出す。
「ごめんね。石をぶつけちゃったお詫びにこれをあげるよ」
ポケットから板チョコを取り出す幸雄。
智樹の分と合わせて二枚持ってきたけど、智樹とは一枚を半分こすればいいやと思ったのだ。
「えっ? こ、これは?」
自分の躰ぐらいもある大きさのチョコを手にしてよろけるザラベダ。
なんと言うか可愛い。
「チョコだよ。その躰の大きさだと、いっぺんに食べると鼻血が出るかも。じゃあね」
幸雄はそう言ってその場を後にする。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
ザラベダはそういうと、チョコをもって幸雄を追いかける。
背中のコウモリの羽で空を飛び、幸雄の肩に乗っかるのだ。
幸いザラベダの声に幸雄が立ち止まったため、彼女は何とか彼の肩に乗ることができた。
「ふう・・・もう! こんなのもらったら私のほうがもらいすぎじゃない! いいわ。取引しましょう。何が望み?」
ザラベダは彼の肩に座り込むと、そのままチョコの包み紙を剥いてむしゃむしゃと食べ始める。
小さな躰なのに大きなチョコにかぶりつく姿に、幸雄は思わず苦笑した。
「望みって言われても・・・これと言って望みなんてないけど・・・」
チョコを食べ終わるまでは降りそうもないザラベダに、幸雄は仕方なくそのまま歩き出す。
それにしても、ザラベダはボクに姿を見られて慌てていたのに、ほかの人にも見えちゃうんじゃないのだろうか?
ちょっとそんなことも頭をよぎったが、気にすることもないのだろう。

「嘘! 望みがないなんて嘘よ。たいていの人間は望みがあるわ」
幸雄の肩でキッと彼をにらみつけるザラベダ。
欲のない人間など彼女は会ったことがないのだ。
これまでの人間は、彼女が悪魔だと知ると、逆に利用してやろうという連中だった。
その上で彼女を何とか出し抜こうとするばかり。
この少年ユキオだってそうに違いない。

「そりゃボクだって、もっとゲームが欲しいとかもっとお小遣いが欲しいとかあるけどさ。悪魔にお願いはしないよ。だって、悪魔にお願いしたらよくないことがあるじゃないか」
多くの物語じゃ悪魔にお願いした人はろくなことにならないということを幸雄は知っている。
だから、ザラベダがどんなにかわいい見た目をしていても、何かをお願いするという気にはならなかった。
というよりも、ザラベダが悪魔ということ自体が信じられない。
むしろ、物語に出てくる妖精だと言ってくれた方がまだ信じられるような気がしたのだ。
「それはその人の受け取り方次第よ。一つの事象も見る方向によっていいことにもよくないことにも見えるもの」
チョコの甘い香りを漂わせてザラベダはそういう。
今回彼女にユキオをだまそうとかそういう意識はなかった。
石をぶつけたことを素直に謝り、悪魔だという彼女を見ても特に驚かず、それどころかチョコをくれるなんてお人よしもいいところだ。
だから、こっちもお人よしになってやろうというのだ。
悪い話じゃないだろうに・・・
そう彼女は思う。
一方で、幸雄はザラベダのいう見る方向によっていいことにも悪いことにも見えるという言葉に戸惑った。
それは見方によっては悪いこともいいことだっていうことなのだろうか?
ママが掃除しろ掃除しろと言うのも、悪いことではなくいいことだというのだろうか・・・

「ねえ、望みはないの?」
重ねて問いかけるザラベダ。
「ないってば」
幸雄は首を振る。
「それじゃ私が困るわ。チョコもらっちゃった分取引で返さなきゃ。石をぶつけられたにしては受け取りが多いのよ。そういえば、なんで石をぶつけたのかまだ聞いてないわ」
「だからザラベダを狙ったんじゃないってば。ママに小言を言われてむしゃくしゃしてたから、石を蹴飛ばして気を晴らそうとしたんだ。そうしたらそこにザラベダが・・・」
出がけの一件を思い出す幸雄。
ああ・・・帰ったら掃除しなくちゃならないのかぁ。
そう思っただけで家に帰りたくなくなる。
いっそ今日は智樹の家に泊まらせてもらおうか?
そんなことすら考えてしまうのだ。

「お小言?」
人間の親にはよくある行為だ。
子供を躾けるため、自分の思いをぶつける行為。
子供がどう思おうと、子供のためという名目で押し付ける。
それこそ受け取る側次第の行為だ。
「うん。ママはきれい好きでさ。毎日掃除機をかけないと気が済まないんだ。それをボクや姉さんにも押し付けてさ。姉さんはまだ一日おきぐらいに掃除するからそうでもないけど、ボクはあんまり掃除しないから、毎日毎日掃除しろ掃除しろってうるさいんだ」
「ふーん・・・ユキオも大変ねぇ」
同情するようにうなずくザラベダ。
「もうさ、そんなに掃除が好きなら、ママが掃除機になっちゃえばいいんだよ。そうしたら好きなだけ掃除できるじゃん」
その言葉にザラベダの目が輝く。
「承ったわ」
「えっ?」
幸雄がザラベダのほうを見ると、彼女は板チョコを一枚きれいに食べ終えていて、彼の肩から飛んでいく所だった。
「ザラベダ?」
「ふふふ・・・私に任せて」
「えっ?」
幸雄が何を任せてなのか聞こうと思った時には、ザラベダはもうそこにはいなかった。
なんだろう?
ボクなんか言ったかな?
ちょっと思い返してみるものの、何かを望んだつもりはない。
まあ、いいや。
智樹のところに急がなきゃ。
それにしても、悪魔と話したなんて言ったって、誰にも信じてもらえないよな、きっと。
幸雄はそう思って苦笑した。

                   ******

「ふう・・・」
思わずため息をついてしまう紗枝梨。
またやってしまったわ・・・
怒ったり声を荒げたりしないようにって思っていたのに・・・
それもこれもあの子がきちんと自分の部屋を掃除しないから。
根本的な原因はそこなのだと紗枝梨は思う。
姉の愛由美はそこそこ掃除をするのに、どうしてあの子は掃除をしないのだろう?
きっとあの子の部屋にはホコリが溜まっているんだわ。
私ならホコリまみれの部屋にいるなんて耐えられない。
呼吸をするだけでホコリを吸ってしまいそうでゾッとするわ。
紗枝梨はホコリまみれの部屋にいる自分を想像して身震いをする。
子供のころからきれい好きだった紗枝梨にしてみれば、どうしてそんなところにいられるかがわからないのだ。

ふう・・・
こんなことしていても仕方がないわね。
さっさと掃除機をかけてしまいましょう。
そう思い椅子から立ち上がる紗枝梨。
掃除機かけなんてめんどくさいだけだけど、ホコリが溜まることに比べたらマシだもの。
はあ、ホコリなんて溜まらない世界ならいいのに・・・
心の中でそう文句を言いながら、紗枝梨は掃除機をセットしていく。
さあ、掃除をしてしまわなくては・・・

「ふーん・・・あなたがユキオのママなのね」
「えっ?」
突然背後から声をかけられて驚く紗枝梨。
慌てて振り返るが、誰もいない。
「えっ?」
きょろきょろと部屋を見渡しても人がいる様子はない。
夫は会社だし、娘はまだ学校だ。
幸雄はさっき出かけてしまったし、それに女の声だったような気がする。
空耳?

紗枝梨がそう思って再び掃除機のセットをしようと思った時、ふと目に付くものがあった。
リビングのテーブルに人形が腰かけているのだ。
しかも、長くすらっと伸びた足をぶらぶらと揺らしているではないか。
「えっ? 人形?」
まさかそんなところに人形が置いてあるだなんて思いもしなかった。
しかも、なんだか不気味な人形だ。
躰全体にぴったりしたタイツのような黒い服を着ており、背中からはコウモリのような羽が生えている。
頭には先端が丸くなった角のようなものが左右に生え、手にはフォークのように先が三つに分かれた槍のようなものを持っている。
まさかさっきの声はこの人形が?
もしかして愛由美のものかしら・・・

「ユキオの願いをかなえに来たわ」
紗枝梨がよく確かめようとテーブルに近づくと、驚いたことにその人形が立ち上がる。
「えっ?」
人形がひとりでに立ち上がってしゃべった?
いや、人形にしては生き生きとしすぎている。
まさか本当に生きている人形?
紗枝梨は自分が見ているものがとても信じられない。
「ユキオはね、あなたが掃除機になっちゃえばいいって言っていたわ。だから私がその願いをかなえてあげるの。取引成立よ」
人形が背中の羽を広げ、くすくすと笑っている。
「え? 幸雄が? あ、あなたはいったい?」
違う・・・
これは人形なんかじゃない・・・
紗枝梨はだんだん恐ろしくなる。
「私は悪魔。悪魔ザラベダ。さあ、あなたは掃除機になりなさい!」
ザラベダはニヤッと笑みを浮かべると、持っていたトライデントの先端を紗枝梨に向ける。
そして何事かをつぶやくと、紗枝梨は糸の切れた操り人形のようにその場で意識を失った。

(続く)
  1. 2017/11/10(金) 20:47:34|
  2. 異形・魔物化系SS
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4500日

2005年の7月16日にスタートしましたこの「舞方雅人の趣味の世界」

今日で、開設以来12年と3ヶ月と25日が経ちまして、なんと4500日目となりました。

17110901.jpg

もちろん途中に引っ越しなどのせいで1ヶ月ぐらい止まった時期がありますので、正確には記事を書いた日数が4500日分あるというわけではないのですが、そこは大目に見ていただければ嬉しいです。
ともあれ、開設日からは今日で4500日となりました。

自分で言うのもなんですが、すごいですよね。
私自身、生まれてから今日までで1万9千日ちょっとで、まだ2万日には達してません。
そのうちの約4分の1の日数をこのブログとともに歩んできたんですねー。
そう考えると感慨深いものがありますです。

いつも言っておりますことですが、これもひとえに訪れてくださる皆様のおかげです。
いつも本当にありがとうございます。
最近は歴史系や兵器系のネタがほとんどなくなってて申し訳ありません。
引っ越しで資料等がしまわれたままになってしまっているので、なかなか引っ張り出せてないんですよねー。
ちゃんと整理しなくては。(^_^;)ゞ

皆様がお楽しみになされていらっしゃるであろう記念SSに付きましては、今執筆中のはちょっと間に合わなかったので、書き溜めていた三本を四日間で投下しようと思います。
明日、明後日で一本、日曜月曜で一本ずつの予定です。
お楽しみいただければと思います。
執筆中のものに関しましてはまたいずれ。

次はまた5000日を目指して続けていきたいと思います。
順調にいけば2019年の3月24日ということになるかと思います。
続けていられるといいなぁ。

それでは4500日を経過した「舞方雅人の趣味の世界」をこれからもよろしくお願いいたします。
明日からをお楽しみに。
それではまた。
  1. 2017/11/09(木) 20:44:13|
  2. 記念日
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舞方雅人

Author:舞方雅人
(まいかた まさと)と読みます。
北海道に住む悪堕ち大好き親父です。
このブログは、私の好きなゲームやマンガなどの趣味や洗脳・改造・悪堕ちなどの自作SSの発表の場となっております。
どうぞ楽しんでいって下さいませ。

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